アントニオ・バンデラスだけがスペイン人俳優じゃありません。
今スペインで目がはなせない俳優さんたちを、個人的好みをまじえて紹介します。


JORDI MOLLA
ジョルディ・モジャ

名前からわかるようにカタラン人です。1968年バルセロナ生まれ。

彼の出演作で一番印象に残っているのは「La buena estrella」(下の写真)だと思います。日本では公開されたかどうか知りませんが、97年の作品で、ゴヤ賞(スペイン版オスカ−です)をかっさらった映画。私はこんなにせつない映画ここ数年見たことなかったです。これで彼はどうしょうもない野蛮で乱暴で下品な男、をやってます。私が彼を最初にみたのは「Perdona bonita, pero Lucas me quiere a mí」のゲイのバ−テン役。次は「Los años bárbaros」でフランコ時代に収容所から脱走する学生。彼のすごいところは、映画のたびに顔つきやしゃべりかたはもちろんのこと声まで変わるんです。全ての映画においてまるで別人なんです。

いわゆる“モレ−ノ/moreno”(ルビオ/rubio=金髪の反対でダ−クな色の髪)で、くどいラテン系顔なんですが、それに相反して目の色はきれいなグリ−ンなんです(普通モレ−ノの人は目の色も黒か茶の場合が多い)。そのコントラストが素敵、と口にする度「カラ−コンタクトきまってるじゃない」と冷ややかにスペイン人の友人に言われてしまいますが・・・・


JAVIER BARDEM
ハビエル・バルデム

この人は、私の抱く“ラテン系の男”のイメ−ジ(良い意味でも悪い意味でも)に最も近い人です。 一言でいうと、「濃い」というか「くどい」というか・・・ あ、でもこの人の演じる役柄が、という意味であって本人はどうだかは知りませんが。

俳優や監督ばかりの芸能一家バルデム家。母親のピラ−ル・バルデムは文句なしのベテラン女優、弟のなんとか・バルデム(名前忘れました)は新進の映画監督、などなどですが、その一家のなかでも文句なしに一番活躍しているのが彼、ハビエルです。

しかし、とにかく濃い役ばかり。「ルルの時代/Edad de Lulu」では近親相姦、「ハモン・ハモン/Jamón Jamón」では素っ裸で闘牛するし、「ゴ−ルデン・ボ−ルズ/Huevos de oro」(題名からしてくどい・・)ではシャツを半分開けて胸毛と金のネックレスをのぞかせ、カラオケでフリオ・イグレシアスを熱唱する典型的悪趣味ラテン男をやってました。唯一あっさりとしていたのがアルモドバル監督の「ライブ・フレッシュ/Carne trémula」の刑事役。似たような役ばかりやってて単調な役者だなぁと思っていた私のイメ−ジをぬぐいさりました。これからもちょっとあっさりめの役をときどきやって欲しいです。まぁ、とにかく今後も主演作目白押しの予定です。


EDUARDO NORIEGA
エドアルド・ノリエガ

映画のなかの彼は写真の100倍(ざっと計算して)かっこいいです。アレハンドロ・アメナバル監督とともにスペイン映画界にいきなり現れ、とんとんびょうしに売れっ子に。デビュ−作「殺人論文/Tesis」では単なる2枚目?という印象でしたが、「オ−プン ユア アイズ/Abre los ojos」あたりからじわじわと味をだしてきて、その後コメディ−なんかにも挑戦してがんばってます。

出演依頼殺到の売れっ子ですが、有名監督の大作には興味を示さず、新人監督のインディペンデント系作品中心に仕事を選んでます。けっこう骨があるな、という感じですね。

「俳優の私生活は謎に包まれているべきだ」というのが彼の持論で、出演作のキャンペ−ンのときしかマスコミに姿をあらわしません。普段はヘルメットをかぶってマドリッドをバイクでうろちょろしてるらしいのですが・・・


NAJWA NIMRI
ナジワ・ニムリ

イラン系の血が混じってるそうで、この不思議な名前はそこからきてるんでしょう。

夫が監督するインディペンデンド系作品に続けて2作主演。その後アメナバル監督のヒット作「Abre los ojos(邦題:オ−プン・ユア・アイズ)」の謎の女役、 メデム監督の「Los amantes del circulo polar(北極圏の恋人達)」の主演などで、一般に知れ渡るようになりました。彼女のこの吸い込まれそうな目、スクリ−ンでみるとはっとさせられます。

偶然彼女をマドリッドの地下鉄の駅で見たことがあります。ミネラルウォ−タ−のボトルをかかえ、地下鉄の通路で歌ってるアマチュアのミュ−ジシャンの演奏を聞いてました。にこにこして演奏に聞き入ってる彼女は、お化粧もせず、近所に買い物に行くような格好で、小柄な普通の女のコという感じ。スクリ−ンのなかで化けるタイプなんでしょうね。

ちなみに日本食好きで、マドリッドのある和食レストランに夫と共によくあらわれるそうです。


ARIADNA GIL
アリアナ・ヒル

アカデミ−賞外国語映画賞をとった「ベル・エポック」でレズの次女を演じていたのが彼女です。確かに、中性的な魅力のある人。金髪グラマ−、お目メぱっちり睫毛ばちばちがいわゆる美人とされて、いかにも染めてある金髪でいかにも手術してある胸のおねぇちゃんたちがテレビに氾濫する今日この頃、このひとの透明感は貴重です。


PENELOPE CRUZ
ペネロペ・クルス

ほんとうにお人形さんみたいな可憐な人です。
「ベル・エポック」でけなげな末娘役をやっていた子。その後も「ハモン・ハモン」をはじめ数々のヒット作に出演。ペドロ・アルモドバルの「ライブ・フレッシュ」のバスの中で出産する娼婦役でかわいこちゃん女優から脱皮したという感じ。アルモドバル監督のお気に入りの女優の一人となりました。

昨年のゴヤ賞(スペイン版オスカ−)では「La niña de tus ojos」という作品で見事に主演女優賞を受賞。作品自体は、笑いあり、涙あり、ドタバタありのそつなくまとまった典型的スペイン娯楽映画という感じで私はあまり好きではなかったんですが、ペネロペちゃんはとにかくよかったです。演技がどうこう以前に、彼女がスクリ−ンに現れるだけで観衆は一瞬息を呑むほどの“華”をもってます。最近はイギリスやアメリカのインディペンデント系の映画にも進出してます。


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