スペイン生活30年・今も続く私の冒険

くま伝

日本を飛び出してみたいと考えている方々、目的を見出せず悩んでいる方々へ


第32章 情報の選択

『良薬、口に苦し』


 私が観光ツアーガイドの仕事を始めた頃、私よりもずっと昔からスペインに移住し、以前から
この仕事をしていた日本人の中にも、労働許可証を持たない人達が存在した。
理由は、違法滞在者や違法労働者に対する取締りが全くもって徹底されていなかったからである。
適当にやっていても、捕まる事も無ければ、国外退去させられる事も無かったため、
わざわざ面倒な法的手続きを踏み、正式な許可証を取る人ばかりでは無かったのだ。

ところが、ちょうど私が働き始めた頃から、急に取り締まりが厳しくなり、空港などで、
到着するツアー客を迎えていた許可証を持たない現地在住ガイドが現行犯で捕まり、
あっという間に強制送還されると言う実例がパラパラ見られ始めた。
これは大変である。
これからこの仕事を始めようとしていた私は勿論、すでに長年、違法労働を重ねてきた
先輩諸氏にしても、すぐに自身の合法化を考えねばならなかった。
先輩諸氏については、もっと以前に手続きをしていれば、いとも簡単に労働許可証を
入手出来たはずなのに、取締りが厳しくなった今、これはもはや、至難の業と化していた。
この時、私が学んだ教訓は次ぎのとおりである。

*楽な方へは流れず、面倒でも必要な手続きは早い内に済ませておくこと。
*煩わしいと思えても親身になった助言をくれる人に耳を貸すこと。


 海外に出ると、いい加減なアドバイスをする先輩方が沢山存在する。

「労働許可証なんて取らなくても問題無いよ。適当にやってれば大丈夫だよ!」

こう言う無責任な助言を信じた人達が、数年後、痛い想いを強いられた訳である。

学生ビザで留学している人の中に、ビザが切れたあと、ちゃんと更新手続きをせず、
「そんなの放置しても大丈夫だよ。3ヶ月に一回、スペインから出ればOK!」
と言った、無責任な、そして耳に優しく、実に自分に都合の良いアドバイスを善しとし、
「ちゃんと更新手続きしないと駄目だよ」
と言う、面倒なアドバイスは却下した人、これを読んでいる方の中にもあるのでは無かろうか?

その後、何もトラブルに遭わず、無事、滞在なり勉学を終え、帰国した方は、それでも良いだろうが、
何かの折に、身分証明証の提示を求められ、違法滞在である事が知れると、強制送還は勿論、
今後、この国どころか、EU加盟国全てへの入国が困難となりかねない。
スペインが好きで、また来たいと思うのであれば、そう言った愚かなリスクは犯さないのが
賢明では無いだろうか。

 耳に痛い言葉、口に苦い薬にあるかもしれないその意味をちゃんと確認し、正確に判断すること、
これが外国では、日本で生活する時以上に大切な事だと思う。


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