スペイン生活30年・今も続く私の冒険

くま伝

日本を飛び出してみたいと考えている方々、目的を見出せず悩んでいる方々へ


第38章 資金繰り

『セールスマン』


 現地発信情報サイト、「スペインなんでも情報リアルタイム!」の運営維持のためには
それなりの費用がかかった。
今でこそ、個人のブログやFacebook他、インターネット上に一つのスペースを持ち、
そこから情報を発信すると言う事が実に簡単に、そして無料で行なえるようになったが、
当時は違った。
ホームページを持つためには、どこかの会社と契約をして、それなりの金額を支払って
スペースを借りるか、あるいは、自身のドメイン名を持つために、インターネットサーバーそのものを
用意し、固定IPアドレスの契約を行なうなど、一庶民には不可能とも言える経費がかかった。
勿論、弟の助けを受けながら、最低限の経費に抑えてはいたが、それでも、手伝ってくれている
スタッフ達への謝礼も払わなければならず、どうしても何らかの形での「収益」と言うものを得る必要が
出てきた。
そこで考えたのが、ホームページ上での広告掲載である。

すでに日本語で作られたスペイン関連のサイトとしては、恐らく最大のアクセス数を持つように
なっていた事もあり、広告主を得る可能性はあると思った。
ただ、インターネットがどう言うものなのか、正確に理解していない人々がほとんどだった時代の
ことである。
ようやくホームページと言うものが存在すると言う知識が広まり始めた程度で、インターネットに
参入するには、単にホームページを作ればそれで良いと思っている人が大半であった。
つまり、「我が社はすでにホームページを持っているので、わざわざ貴方のホームページに
広告を出す必要はない」と言う程度の知識である。

ホームページを作ったところで、それを誰も見てくれなければ何の効果も無いという事にまだ知識が
追いついていないのである。
「うちのホームページは、スペインに興味のある方々が最も頻繁に閲覧されているサイトですから、
ここからリンクを設定する事によって、御社のサイトを見てくれる人の数は飛躍的に増えますよ」と
説明しても、文字通り「チンプンカンプン」なのである。
時代が早すぎるのである。やろうとしている事が新しすぎたのだ。

それでも、根気良く広告主探しを続ける事にしたが、やはり見ず知らずのアジア人が
一個人として、突然、セールスに行ったところで、なかなか真剣に相手にしてもらえるものでは無い。
そこで、個人ではなく、会社であればもう少しセールスもやりやすいのでは無いかと考え、
会社法人を設立する事にした。


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