スペイン生活30年・今も続く私の冒険

くま伝

日本を飛び出してみたいと考えている方々、目的を見出せず悩んでいる方々へ


第46章 マドリッドのおうち(第三部)

『オスタル経営?』


 当時の私の計画はこうであった。

 ガイドブックに紹介されている、問題だらけの安宿を利用して旅している人々に、治安上の
問題が無い安全な宿を用意すること。
そのためには、ホテルではなく、その下のカテゴリーにあたるオスタルを安全な場所に作って、
これを紹介する事。

 理想的な物件を見つけた時、先述のコンサルタントに対しすぐに問い合わせたのは、
この物件を使って、オスタルの運営ラインセスを申請出来るかどうかと言う点であった。
そして答えは「イエス」であった。
同じ建物の中に、すでに二軒ばかりのオスタルが存在していたため、その方面の専門家では
無かった彼等は、ちゃんと調べもせず、憶測で返答したのだ。
愚かにもこれを信じた私は、迷わず、この物件を手に入れるべく手付を打ち、本契約に向けて
話を進めた。
幾つになっても失敗はするものである。
或いは、このような失態は私だけの得意技かもしれないが。

 もう後には引けない状況になってから、この物件をオスタルとして使えないことが判明したが、
理由はこうであった。

「既存のオスタルはその運営の継続を認められているが、新規のライセンスは幾つかの
理由によって降りない」

ライセンスが降りない主な理由は次ぎの2点だった。

まず、マドリッドの中心部にはすでに数え切れないほどのオスタルが存在しているために、
これ以上の必要性が認められていないという事。
そしてもう一つ、これが致命傷であったが、マドリッドの現行法では、宿として使用するためには、
エレベーターや通常階段とは別に、非常時用階段が完備されていなければならず、私が
売買契約を行なった建物は、この条件を満たしていなかったという点である。

そのような条例が無かった時代にライセンスを取った宿は今もその運営が認められているが、
今、新規にライセンスを取得するためには、この条件を満たす必要がある。

が、今更、この建物に勝手に非常時用階段を増築する事など不可能である。
さて、どうしたものか、、、

コンサルタント会社からは、日本人相手なら適当に無許可で違法宿をやっていれば良い。
どうせスペインにはそんな宿がいっぱいあるのだから、とまぁ、想像通りの無責任な発言が
飛び出してきた。

確かにこの国では、今現在も大きな問題となっているが、違法宿の占める割合が異常に大きい。

最近読んだ新聞記事によると、それが最もひどいのが確かバルセロナだったと思うが、
記憶に間違いが無ければ、全ての宿の半分以上は違法宿だったと思う。
首都マドリッドにしても、それと大した違いは無い。

 コンサルタント会社からそう言われて、一瞬、私もそれが一番楽な方法かなと考えた。
がしかし、ずっと前の章でも触れたことだが、

「楽な方へは流れず、面倒でも必要な手続きは早い内に済ませておくこと」

これが、長い目で見れば得策であることは充分に承知していた。

きっと何か策があるはずだ。
そう思って今度は、知り合いの弁護士に相談してみた。
そこから出てきた解決案は、、、


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