スペイン生活30年・今も続く私の冒険

くま伝

日本を飛び出してみたいと考えている方々、目的を見出せず悩んでいる方々へ


第50章 胃潰瘍 (後編)

『メンバーズハウス稼働』


 私の意図からは全く外れ、チェス盤模様に並べられた床のタイルを
見た時のショックは相当なもので、すぐにでも「やり直せ!」と
怒鳴りつけたかったが、私はこれをぐっと我慢した。
なぜなら、そうでなくとも遅れている工事なのに、ここでまた、この一度
貼り終わったタイル全てを剥がし、床をならし、140平米ほどある床を
改めて作り直すと言う事は、そこでまた恐らく、1週間以上の遅れが
生じるであろうから。
これ以上ずれ込むと、約束の工期2か月がその倍の4か月になると予想し、
5か月後からの利用予約しか受け付けていなかったにも関わらず、
それでも間に合わない可能性が出てくるではないか。

工事が終わったあと、まさかすぐに使えるはずも無く、快適に利用
できるためには、工事の間に床はもちろん、壁や天井に積りに積もった埃を、
何度も何度も拭き取って綺麗にしなければならない。
また、全ての壁に塗られたペンキの匂いが気にならなくなるためには、
それ相応の時間が必要であり、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、ベッド、机、
パソコン、インターネット契約にネットワーク設定と、工事完了後に
やることは山ほどあった。

 タイル事件は、まさに氷山の一角に過ぎず、本当に胃に穴が開くのでは
ないかと思うほど心労の多い4か月間を過ごした後、思い描いていた
ものとは随分と異なるものではあったが、ようやく工事が完了。

かくして、治安が良く、交通の便も極めて良く、住むのには勿論、
特に旅行者にとっては、マドリッド市内でここ以上に便利な場所は無いと
断言できるほど理想的な場所に、誰もが気軽に利用出来る「マドリッドのおうち」、
経済的で安全な宿舎MH(メンバーズハウス)が誕生した。
1999年も終わろうとしていた頃だったと思う。

それから1か月かけて快適に利用出来る環境を整えた後、2000年に
突入してから、MHはついにその活動を開始する事となる。


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