スペイン生活30年・今も続く私の冒険

くま伝

日本を飛び出してみたいと考えている方々、目的を見出せず悩んでいる方々へ


第52章 メンバーズハウスとインターネット

『マドリッドで唯一の日本語インターネットサロン』


 MH(メンバーズハウス)が稼働を始めたのは、ようやく世の中でインターネットが
一般に普及しつつある頃だった。
マイクロソフト社が出したWindows 95 が一つのパソコンブームを呼び、それと共に
インターネット文化が急速に広まり始め、Windows 98 、Windows 2000と、
マイクロソフト社がうなぎのぼりでその勢力を伸ばして行った時代、インターネットを
利用する人口も急速に増え、特に海外に出ると、インターネット環境は日本との
交信に不可欠なものとなりつつあった。

そんな時代、MHは、安全で経済的な住居と言うだけではなく、日本からの留学生や
旅行者達が集まって互いに情報交換を行なえる場であり、更にはマドリッドで唯一
完全な日本語環境でインターネットを利用出来る「日本語インターネットサロン」
としての役割を果たすようになって行った。

そう、この時代はまだ、日本語に限らず、オペレーションシステムやインターネットサロン
運営側が、諸言語による利用に対応するまでには至っていなかったのである。
そのため、スペインにあるインターネットサロンに行っても、仮に日本語の
ホームページをなんとか閲覧する事は出来ても、日本語で書かれたメールを
受信して読むことや、日本語文字でメールを書くことが出来ないと言う環境が
普通だった。

そう言った中で、MHは純粋に日本語OSが動いているパソコンだけを揃えた
純日本語環境インターネットサロンとして、日本人利用者が集中するようになった。
会員専用のインターネットサロンとして、僅かな会費を納めるだけで朝から夕刻まで
利用出来るようにし、夕刻の閉館時間のあとは、MH滞在者のみが利用できる時間
として確保した。

MHは、その利用者が増え続け、パソコン3台が置かれた狭いサロンは
いつもパソコンが空くのを待つ会員達でいっぱいだった。

待ち時間を利用して、会員間での交流を楽しむ者もいれば、それぞれの利用者が
読み終わったあと協会に寄付してくれた日本語の書庫コレクションから興味のある
書物を選び出し、これに読みふける人も多かった。

MHを利用するために必要な会員登録をする人の数は増え続け、あっという間に
千人、そして2008年には二千人を超えた。
一旅行者として数日間の滞在だけに利用する人もあれば、数週間、数か月、或は
数年の滞在に利用する人もあった。
また、毎年やって来ては、ここに拠点を置いてスペイン各地への小旅行を楽しむ
リピーターも増え、様々な障害をクリアして作り上げたMHは、スペインファンに
とっての「マドリッドのおうち」としての役割を立派に果たしつつあった。


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