スペイン生活30年・今も続く私の冒険

くま伝

日本を飛び出してみたいと考えている方々、目的を見出せず悩んでいる方々へ


あと書き


お腹が空いたら誰かが食べ物を差し出してくれるのを待つのではなく、自ら食べ物を探す。

暑ければ誰かが服を脱がせてくれるのを待つのではなく、自分で上着を脱ぐ。

寒ければ誰かが上着を着せてくれるのを待つのではなく、自分で上着を着る。


何を当たり前の事を書いているのだろう、、、とお感じになる方が多いと思うが、それでは次の文章は
どうだろうか。

日本政府や旅行会社が何も注意喚起をしていないと言う事は○○○と言う国へ旅行に行っても
安全なのだからその国へ旅行に行く。

先の3つの例文は、他人から施されるのを待つのではなく自ら能動的に行動せよと言う、
極当たり前の内容であり、恐らく、ほとんどの方が無意識の内に実行されていると思う。

そして後の例文は、能動的行動を全て放棄し、100%他力本願のスタイルに染まった内容であるが、
恐らく、これもまた、ほとんどの方が無意識の内に実行されているのでは無かろうか。

先の3例文を「当たり前じゃないか」と思い、後の例文についても、「確かにそうしていたかもしれない」
と言う方があれば、ここで一度、考え直してみる時間を持ってみては如何だろう?
そこにきっと、全く矛盾した自分が存在しているのが感じられると思う。


 今年、2015年の2月にシリアで自称イスラム国に捕えられた日本人2名が殺害されると言う
事件があり、3月にはチュニジアで起きたテロに日本人が巻き込まれると言う事件があった。

これらの事件に対し、日本社会で見られた反応について、幾つか気になる点があったので、
それについて、HP「スペイン何でも情報リアルタイム!」の掲示板を通じてメッセージを送る事に
したが、2月3日付けで書き込んだメッセージと、3月20日付けで書き込んだメッセージを引用し、
最後に張り付けておくことにする。

「偉そう」な文面もあるが、私自身も含め、日本民族が失いつつある「能動的姿勢」の大切さについて、
今一度、考え直してみても良いのでは無かろうか。 


*** 以下 SNJ掲示板からの引用 ***

「2月頭に起きた日本人捕虜殺害事件直後に投稿したメッセージより」

先日、自称イスラム国に捕えられた日本人が2名、殺害され、これにより、日本国内での
自称イスラム国への意識が高まっているようです。
これと共に、政府からの注意勧告もあってでしょうか、、、私は、日本のニュースに目を通して
いませんので、どのような表現がなされたのかは知らないのですが、日本が、そして日本民族が
ジーハディスタによるテロの標的となるとして、日本国内、そして、国外においても注意を
呼びかけているとの話を耳にしました。

こう言ったたぐいの事が起きると、いつもの事ですが、日本人民族の不思議な性質が頭を
もたげるようです。
それはつまり、こうです。

日本は安全、そして海外は危険 → 海外旅行も危険。

そして、日本から、スペインに住む我々の安否を気遣うメールや「スペインへ旅行に行っても
安全ですか?」と言った問い合わせが届き始めます。

近年、テロにしても、伝染病にしても、何かあるごとに、同じような現象が起き、そのたびに、
連絡をいただいた方々の気遣いへのお礼を兼ねたお返事を書き、また、スペイン旅行を行なう事
についての安全性についてもメールや掲示板を通じてお話して来ました。
まぁ、その続きで、今回も、このテーマについて少し触れておきたいと思います。

まず、いくつかの事実を箇条書きにしてみましょう。

  • イスラムとキリスト世界との闘争と共存の歴史は今に始まったことではなく、1400年もの間、
    ずっと続いている事です。

  • イスラムの名を借りる過激派集団によるテロ行為も、今、始まった事ではなく、昔から続いている
    事なのです。

  • 米国、英国、西ヨーロッパは、この過激派集団と敵対しており、ずっと前から、テロの
    ターゲットとなっており、実際にテロの被害を受けており、これらの国を訪れると言う事が、
    テロリストの標的内、そして、その射程距離に身を置くと言う事実は、今に始まった事では無く、
    ずっと以前からそうなのです。

  • 欧米諸国は、ずっとこれらテロ活動に対する警戒態勢を維持しており、今現在も、
    日本人捕虜殺害事件の前からその警戒レベルは上げられています。

  • 日本と言う国は、過激派集団にしてみれば、アメリカの子分的存在であり、また、
    NATOや国連の軍隊が起こす武力介入の資金源であり、日本の一般市民がどう認識
    されているのかは別として、しっかり彼らの敵国の一つであり、何も、今回の日本人捕虜殺害の
    事件以降、敵国として加えられた訳ではありません。

これら幾つかの事実を箇条書きにしたところで、少しお考えいただきたいのは、どうして、
日本人捕虜殺害事件の後の今になって初めて、日本の方々の多くが、次のような事を
考えるのかと言う事です。

  • 日本がテロの標的になった。
              →  ずっと前から標的です。

  • スペインへ旅行に行っても大丈夫なのだろうか。
              →  ずっと前から、何も状況は変わっていません。

結局のところ、今回の悲しい事件をきっかけに、初めて日本の政府も、国民も、
イスラムの名を語る過激派グループの存在や彼らが絡んでいる闘争が、「日本から遠く離れた
無縁な世界で行なわれている他人の問題」では無く、日本もしっかり関与している 「自分の問題」
である事を、少しだけ認識されたのでは無いのでしょうか。

日本と言う国は、国連派、NATO派の国です。
つまり、自称イスラム国と対立している国です。
そして、これはずっと以前からそうであって、今に始まった事ではありません。

このあたりの認識を少し新たにしておきませんと、東京と言う日本の首都が、実のところ、
彼らにとって格好の標的の一つであると言う事実さえ見逃してしまう事になりかねません。

アメリカの9.11事件、スペインの3.11事件の直後から、この、未来永劫、当たらなければ良い
危惧を抱いているのですが、イスラムの名を語るテロリストにとって、東京ほど都合の良いターゲットは
無いとも言えます。

理由は次のとおりです。

  • 彼らが最も嫌う国、米国の子分的存在である国の首都である。
      (彼らは日本をそう言う目で見ていると思います)

  • 世界的に知名度が高い大都会であるだけに、ここでのテロは彼らの存在感と力を世界に
    知らしめるのにうってつけである。

  • 日本の政府も、国民も、自分達は彼らが行っている闘争の「蚊帳の外」にいると思っており、
    全く警戒すらしていないため、事を起こすのがとっても簡単。

今回、この三つめだけが、二人の日本人の犠牲の元、少しだけ改善されたのかもしれません。
つまり、政府も、国民も、少しだけ、事の深刻さを認識する事が出来たのでは、、、と思っています。

以上、長々と勝手な事を書きましたが、私が住むスペインと言う国は歴史的にキリスト世界と
イスラム世界の境界を成して来たところです。
人々がどのようにこの違った文化を受け入れ、拒絶し、消化しつつ暮らしているのかを、
常に感じ取る事の出来るところです。
遠く離れた日本からでは見えない部分もあるかもしれませんので少し、触れさせていただきました。

最後に二つだけ補足です。

  • スペインを含め、ヨーロッパへ旅行に行くのは安全かと言う問いに対する答えは、
    各自の判断で見つけて下さい。
    私の見解は上に明白に示したつもりです。

  • 先の内容に、「自称イスラム国」と言う表現を何度も繰り返していますが、くれぐれも、
    「イスラム国」では無いと言う事、お間違えの無いよう、お願いします。


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「3月、チュニジアでのテロで日本人が巻き込まれた事件の直後に掲示板に書いたメッセージより」

 ところで、昨日、チュニジアでテロがあり、被害者の中にスペイン人も日本人も含まれていたようです。
被害に遭われた方々、そしてそのご遺族の方々にはおかけする言葉もありませんし、
亡くなった方々のご冥福をお祈りする以外ありませんが、ここで、また日本政府が
やや、とんちんかんな事を発言されているように思えますので私も、この場を借りて、
少し、とんちんかんなつぶやきをしてみることにします。
興味の無い方は読み飛ばしてください。

まず、今回のテロは、別に日本人が標的にされて行われたテロではありません。
日本人民族は、そこまで重視されていないと思います。

まだ事件直後、時間が浅い事もあって、テレビでもいろいろと推測でしかない情報が
流れていますので、正確な事は全く判りませんが、本来のターゲットは議会に集まっていた
議員達であって、国籍にも関係なく、また、ツーリストでは無かった、と言う見方も強いようですね。

日本政府からは、今回の事件について、

① 被害が出ないよう、最善を尽くしている。
② チュニジアは政情も安定しているので特に渡航するにあたって危険な国だとは認識していなかった。
③ 今後、どのように対応して良いのか判らない。

と言ったような発言が見られるようですが、私のつぶやきは次のとおりです。

① に対して:
   各国の政府がそれぞれの判断で必要と思われるテロ対策を行っているだけであって、
日本政府が危険エリアとして判断している国々において、具体的になせる対応策など
一つもありません。

② に対して:
チュニジアにおける危険性を認識できないと言う発言そのものに、あまりにも基本的な問題が
存在します。

③ に対して:
   ②への続きも兼ねてつぶやくとすれば、まず、危険性が大きいと思われるエリアを本当に把握
していないのであれば、これはもう話す余地も無いと思いますが、恐らく、把握しているにも関わらず、
それを直接的表現を使って公言する事にいろいろな意味で抵抗を感じておられるため、
避けているだけだと思います。
単刀直入に表現するなら、国別に危険エリアを示すのではなく、はっきりと

    「アラブ系民族による国々」
    「イスラム教が広く普及している国々」

    と言った表現をするべきでは無いでしょうか。

私は、このHPを通じて、いつも同じ事を繰り返してお伝えしようと努力して来たテーマがあります。
それは、「民族名や宗教名を使って、それらをひとまとめにしたネガティブな発言や表現は
避けるべきである」と言う事です。

今、③に書いた、危険エリアの示し方が、私のこのポリシーに反するとお感じになる方が、
もしもあるとすれば、それは大きな勘違いです。
なぜなら、私は、ここで、何ら、民族や宗教そのものについてのネガティブな発言はしていないからです。

以前にも書きましたが、「イスラム国」 と言う表現と、「自称イスラム国」とでは、大きな違いが
ありますが、「イスラム国」と言う表現を使って、ISISについて、語るテレビ局や新聞社、政治家が
あれば、それは大きな過ちであり、大問題です。

私が先に書いた、危険エリアの示し方は、民族、宗教そのものに対する差別的表現は
全くありませんが、ただ、この表現を政府レベルで行なうと、外交上の問題の原因となる可能性は
あると思います。

「くま伝」にも書いていますが、かつて、スペインの治安状況が最悪になった時、日本政府も、
マスメディアも、これについて一切、警鐘を鳴らすことはなく、「だんまり」をきかせていました。
私が、これについてネットを通じて広く伝えるまで、スペインの治安悪化の問題は伏せられていました。
今回も同じことが繰り返されようとしています。

「アラブ民族によって構成される国々、イスラム教を国教とする国々は危険だから、行かないように」

このように伝えることによる、外交上のマイナス面を恐れ、人命に関わる大切な警鐘を鳴らさずに
いるのでは無いでしょうか。

自称イスラム国に対する反発は、欧米社会だけでなく、イスラム教国、アラブ民族国家においても
高まっています。
そう言った中、自称イスラム国にとって、「最も気に入らない奴ら」と言うのが、今までは、
米国、英国あたりでしたが、今は、同じイスラム教を信仰する民族であるにも関わらず、自分達に
反抗し、西洋かぶれ的な言動を取る国々、、、つまり、彼らに組しようとしないイスラム教国であり、
アラブ民族国家です。

それはつまり、これらの国々が、テロ対象リスト・トップ入りをしていると言う事は火を見るよりも
明らかな事です。

これについては、彼ら自身、つまり、イスラム教国、アラブ民族国家の人々であれば、私から
指摘されずとも、よく承知しているはずです。
つまり、これを今更、第三者が指摘したところで、何も彼らの悪口を言っている訳でも無ければ、
ウソをでっちあげている訳でも無く、ただただ、現状を口にしているだけの事ではないでしょうか。

そして、これは、無意味に人命を失わないためにも、本来は政府のような公的機関が、
明確に伝えないといけないことなのだと思います。

私の方へも、たま~に、モロッコへの旅についての相談がやって来ますが、ここ数年、私は
同じ答えを返すようにしています。

「今、イスラム教国、アラブ民族国家への旅行は辞めておくのが賢明だと思いますよ。」

そう、今に始まった事ではなく、もう何年か前から、私はこのようにお返事しています。
不穏な状況になってきたのは、もう何年も前の事なのですから。

それをどうして、未だに、日本政府はちゃんと伝えられないのでしょうか、、、、

先述の②番:
  チュニジアは政情も安定しているので特に渡航するにあたって危険な国だとは認識していなかった。

今頃、こんな茶番のような発言が飛び出してくるとは、すでに驚きを越えていますね、、、

ちなみに、イスラム教国、アラブ民族国家での危険性が大である事についての理由は
他にもあるのですが、まぁ、つぶやきはこれぐらいにしておくことにします。


   外交、ビジネス よりも 人命の安全の確保 

こんな当たり前の価値判断基準ですが、なかなか守られていないように思うのは私だけでしょうか、、、

身の安全は、自分で守るしか無いのかもしれません。
しっかりと目を開いて、建前や営利を優先した情報に流されないよう注意しないといけませんね。

*** 以上 SNJ掲示板からの引用 ***


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