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毎日のトップニュース


1月31日(水)

政府、全国管区裁判所の給与凍結解除判決に対し上訴する

中央政府は、公務員の給与凍結を解除するという全国管区裁判所の判決を不服とし、昨日、上告手続きをとった。
この件に関してPPは第1野党のPSOEから強い批判を受けているが、ホセ・マリア・アスナル首相は、「給与凍結の原因を作ったのは、96年まで政権を担っていたPSOEである。公務員の給与を凍結することによってスペインはユーロ参入の条件をクリアすることができた。96年当時、ユーロに参入する為の条件を満たそうと努力すらしなかったPSOEに反論する余地はない。PPに反論している者の中には、良く考えずに発言をおこなっている者もいる。」とPSOE、特にサパテーロ幹事長に対し強烈に非難の言葉を浴びせた。
昨日のPPの動きを受け、CCOO、UGT、労働者委員会などは政府の方針に反対の意を表するデモを行うことを表明した。労働者委員会筋によると、最初のデモは来月12日と18日に各都市にて行なわれる予定であるとのこと。また、同委員会は6月にも公務員のストライキなどを予定している。

灌漑路建設計画、大多数の賛成票を集める

エブロ川から灌漑路を引き、カタルーニャ、バレンシア、ムルシア、アルメリアに年間1050立方ヘクトメートルの水資源を供給するという計画に大多数が賛成し、PPは計画を1歩進めることが可能となった。
会議は昨日開かれ、同席にて行なわれた投票では91の賛成票を集め、15票という反対票を圧倒的に押さえた。PSOEは会議の前日、灌漑路建設計画草案に反対する理由を述べた文書を各支部に配布したが、91の賛成票の中には、社会党が統治するカスティージャ・ラ・マンチャ自治州、エクストレマドゥーラ自治州の各代表による票もあった。この2つの自治州が党の方針と反対の態度をとった理由として、中央政府が2自治州の要求をのんだことが挙げられる。エクストレマドゥーラについては、中央政府は同州政府に灌漑路建設の為に1940億ペセタの助成金を出資することを約束した。
一方、投票を棄権するか反対に投票するか決めかねていたアンダルシア自治州代表は、中央政府とセビージャ、ウエルバの灌漑路建設について話合いを持ったものの、結局は反対に票を投じた。

スペイン観光業、5年連続で記録を更新

昨年度、スペイン観光業は1999年度と比較して3%の伸びを見せたことがわかった。
観光業はスペイン第1の産業であり、国内総生産の11%を占めている。観光業に従事する人口は150万人にも達し、その数は年々増えつづけている。データによると昨年1年間でスペインを訪れた観光客は4850万人、昨年10月までの観光収入は約1兆7000万ペセタとなっており、5年連続で記録を更新した。
一方、国立統計センターは先月のホテル料金の統計も出しており、先月は6,7%ホテル料金が上昇していることもわかった。
スペインはフランス、アメリカに次ぐ世界で第3の観光大国となっている。


1月30日(火)

BSCHの2000年度の収益、スペイン国内第1位

サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行(BSCH)は2000年度の収益が約7500億ペセタ(22億5800万ユーロ)に達し、国内第1位となったことを公表した。第2位のビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行には40億ペセタの差をつけている。
1999年度に比べて43.36%の増収の要因となったのは、ラテンアメリカ諸国での銀行買収、スコットランド・ロイヤル銀行への資本参加などが挙げられ、さらには手数料収入が30%ほど増加したことも大きい。一方、諸経費の増加も目立っており、37.6%という数字に対し、BSCHのボティン頭取は不満の意をもらし、2001年は経費の縮小を目指すとのコメントを出している。
今年の収益予想額は昨年度より27%多い4750億ペセタと発表されたが、前回の予想額より5%下回った金額となった。この弱気な見通しは証券マーケットに直接影響、昨日の株価は3.67%下落した。

移民のハンガーストライキをめぐってバルセロナ市と中央政府が対立

移民合法化を求めてバルセロナの8つの教会で600人の不法移民達が続けているハンガーストライキが既に10日目に入っているが、このハンストをめぐってバルセロナ市と中央政府カタルーニャ代表とが真向から対立する事態にまで発展している。
昨日にはジュアン・クロスバルセロナ市長がカタルーニャ代表に対し、先の特別合法化手続きで合法化を却下された34000人の手続きについて、中立な立場の専門家で構成される機関によって再審査を行うよう要請。クロス市長はバルセロナにおいて特別合法化手続きに申請した51000人のうちの70%が合法化を却下されたことにつき、マドリードの17%、アストゥリアスの1.8%と比較して大変多いことに憤慨しており、公正かつ透明な判断を仰ぎたいと考えている。
これに対し、カタルーニャのガルシア・バルデカサス代表は、同市長の中央政府に対する不信感を公にした態度を批判、政府の合法化基準は全ての人に同じよう適用しており、バルセロナの却下率が高いのはフランスと国境を接し、移民が大量に流入してきていることが原因だ、と話す。
昨日の昼にはハンストを続行中の移民達に、"受け入れがたい社会的脅迫"行為をしていると非難、全ての移民は合法的基準にのっとって審査される、という手紙を送達した。

またもやドメスティック・バイオレンスの被害者

今週日曜日、バルセロナ近郊コルベラ市の国道沿いの茂みから行方不明になっていた同市在住の38歳の女性の遺体が発見された。
今月23日に夫が妻の姉妹を訪ね、別居をすることになったのでしばらくの間2人の子供をあずかってくれるよう頼んだという。その後、妹の行方がわらかなくなったと姉妹からバルセロナ警察に捜索願が出されていた。
警察では夫婦の自宅を訪ねたが不在であったために、捜査を続け、木曜日に夫の所在をつきとめた。当初、夫は別れ話をした日から家を出ていて妻には会っていない、と話していたが、本人同行で家宅捜査を行った結果、ベッドルームの壁や中庭には血痕があっため、その場で夫を逮捕した。
警察や近所のボランティアなどは女性の発見に全力をつくし、付近一帯を捜索、ボランティアの1人が不審なゴミ袋2つが捨てられているのを発見。その中には切断され、ベッドカバーに包まれた女性の遺体が入っていた。遺体には殴られたような跡が2ヶ所あり、発見されたダンベルに血痕がついていたことからこれが凶器になったものとみられる。
警察では21日に夫婦で激しく口論をし、妻が別居を持ち出したことが原因で殺害してしまったものとみている。


1月29日(月)

アルサジュスPNV党首の発言、批判にさらされる

先週土曜日に、バスク国民党(PNV)のシャビエル・アルサジュス党首がETAのテロ行為についての見解を語ったところ、各方面からの痛烈な批判にさらされることとなった。
同党首は先週金曜日に海軍司令部に勤務する料理人がETAのテロ行為によって殺害されたことに触れ、「ETAのしていることは以前にも増して理解できなくなった。気の毒な料理人ごときを殺害し、なぜもっと上の方の人間をやらなかったのか。現在ある権力をつぶすための行為なら理解できるが。」という主旨の発言をしたもの。
PPのバスク長官カルロス・イトゥルガイス氏は、同党首の発言はETAが殺人を続けて行くことを鼓舞した、非道で無責任な発言であると糾弾している。また、裁判官、検察官に対して、アルサジュス党首の国家主権及び民主主義国家の破壊を促すような発言を取り上げ、検討するよう求めている。
バスク社会党でも、このような発言を行うアルサジュス党首が正常な精神を持っているとは思えない、と非難している。

大蔵省、内部報告書にて納税者データの保管書類の紛失を認めていたことが発覚

大蔵省では税務局内部会計監査委員会が1999年の11月にまとめた報告書の中で、一部の納税者データを記した保管書類が紛失していることを認めていたことが発覚した。
この報告書は、税務局の中でもエリート集団に属する経済分野別研究セクションが行っていた不正なデータアクセスに関する調査について記されていたものである。このセクションは国内経済の動向などを様々な角度から分析、研究するよう設置された部署であったにもかかわらず、その特権を利用して極秘企業データにアクセスし企業や投資家への脅迫、ゆすりなどの集団と化していたことが、企業からの告発により明らかになった。同年の4月には同セクションを解散させ、5人の調査官及び2人の副調査官の審理に入っている。
報告書では、当時このセクションから特定の納税者データへのアクセスが異常に多いことに不審をもった監査委員会から、1998年に同セクションに口頭で、個人データへのアクセスは控えるようにとの注意がなされ、それ以降のアクセスが激減した事も明らかとなっている。

スペイン北部、悪天候による被害続出

先週末からの悪天候は、ガリシア地方を中心に大きな被害を出している。
ア・コルーニャやルゴでは瞬間風速が110キロ〜140キロにまで達しており、樹木が倒れ、電線を切断、電気の供給が止まった。電力会社のウニオン・フェノサによれば、停電の範囲はガリシアの4県全てに及んでいるという。
ルゴやオウレンセの峠では豪雪による道路が遮断されるなど、交通に支障をきたした。また、ガリシア以外の県でも標高700メートル以上の地域での積雪が記録され、地方道が通行禁止となったところでは集落が外部から閉ざされ、孤立した状態となるところも出ている。
また、マドリードからビゴに向かうバスが国道4号線から高速52号線へとそれるカーブでスリップし横転、ガードレールをなぎ倒し、がけ下7メートルまで落下した。この事故でバスの運転手と乗客1人が死亡、22人が負傷し、病院へ運ばれた。事故当時、強風と雨のため路面が濡れ、スリップしやすくなっていたところにスピードの出しすぎでカーブをまがりきれなかったことが原因だと見られている。


1月26日(金)

ETAのテロ再び、今回はサンセバスティアンで

本日朝、サン・セバスティアンのロジョラ地区で、発進しようとした乗用車が爆発、車に乗っていたサン・セバスティアン海軍司令部勤務のラモン・ディアス・ガルシア氏(51歳)が車輛ごと吹き飛ばされ、即死した。
ディアス氏の自家用車にはダイナマイトが仕掛けられており、発進と同時に起爆装置が作動するようになっていたとみられる。バスク地方政府内務局では今回の犯行がETAの"コマンド・ドノスティア"の手のものによると確信しており、犯行に使用されたダイナマイトがETAの休戦中にフランス国内で盗まれたものであることも判明している。
死亡したディアス氏は、自営の電気工事会社を閉じた後、出入りしていた海軍司令部の調理場に再就職、12年間コックとして勤務していた。犯行のあった今朝も、いつものように近所のバルで朝食をとり、出勤しようと車に乗りこんだ直後に被害にあった。
この爆弾テロにより数人の負傷者が病院に運ばれたのを始め、付近に駐車中の自動車が破壊されるなどの被害が出ている。

中央政府、公務員の給与凍結解除判決による支出は9千億ペセタと見積もる

中央政府では、先の公務員の給与凍結解除判決を受け入れた場合の政府支出推定額が9千億ペセタにのぼると計算していることを明らかにした。大蔵省の試算によると、国家公務員60万人に対し2600億ペセタ、その他地方公務員120万人に対し6400億ペセタの支払いが生ずるという。
しかしながら、政府見解では全ての支払いが中央政府にかかってくるものではなく各自治州や市町村でも分担しなければならないとする。
この政府見解に対してカタルーニャ自治州のジョルディ・プジョール首長は即座に反論、「全国管区裁判所判決が効力を及ぼすのは国家公務員についてのみで、カタルーニャ自治州公務員、市町村の公務員には反映しない。万が一、自治州にまでも支払いを求められるようになると自治州の資金繰りに大きな影響を及ぼす」と話した。

救急治療を拒否された男性が路上で死亡

今週水曜日にバルセロナの路上で散歩中の67歳の男性が急死した件につき、カタルーニャ自治政府では詳しい事情調査に入ることを決定した。
この日、この男性は突然路上で倒れ、吐血したため通行人がこの場所から50メートルしか離れていないキロン病院の救急受付に駆けこみ、助けを求めたが、患者を連れてくるようにとの指示を出された。男性のもとにもどると、吐血量が多く、とても動かせる状態ではなかったため再度救助を求めたが、救急担当の医師が病院を離れることができないとし、現場まで行くことを拒否され救急車を呼ぶよう言われたという。また、男性を運ぶためのストレッチャーや電話を貸すことをも拒否され、通りがかった人の携帯電話から救急車を要請することとなった。
その後、病院の看護婦が2人駆けつけたが手を施すことができず、ここで初めて医師を呼びに戻った。そのうちに救急車が到着したがその時にはもうすでに死亡したあとであった。
男性の家族は病院が救急医療を施すことを拒否したために死亡した、として病院を正式に告訴する準備に入った。病院側は看護婦がかけつけるまでに10分しか要しなかったこと、救急担当の医師が病院を離れなかったのは規則に従ったもの、との説明をしているが、男性に付き添っていた3人の通行人は「少なくとも最初に病院の人間が到着するまでに20分はかかった」と証言している。


1月25日(木)

政府、公務員の給与凍結解除判決は議会の権限を侵害するものとして不服を表明

一昨日に出された全国管区裁判所の判決(昨日のトップニュース参照)に対し、議会の持つ権限を侵害するものとして閣僚からの批判が噴出、たとえこの判決に不服申立ての権利が認められていないとしても、あらゆる手段をとり立法権の回復をめざす、とする。ラホイ第1副首相は「当該判決は政府が経済政策を行い、議会が予算案を承認することを妨げるもので、"ゲームのルール"に違反する」と批判。給与凍結の決議をした当時の公共行政大臣でもあったラホイ副首相は、「97年の給与凍結はEUの基準に達するために避けることのできない必要な措置であり、このおかげで年間の欠損を1年間で4.4%から3%にまで引き下げることができた」とも説明した。
判決に従い、凍結されていた給与を遡って受け取ることができる公務員の数は220万人といわれるが、政府の支払わなければならない金額は何千億ペセタともつかず、経済省では、「この支払いのつけは労働者にまわることとなる」と話している。
また、ハビエル・アレナスPP幹事長は、議会の有する権限を擁護するために、PPと同道するようPSOEに呼びかけた。
一方、労働団体CCOOでは中央政府に対し、判決を認める宣言を5日以内に行い、速やかに債務となった給与の支払い手続きに入るよう求めている。

若き頭脳の流出に対抗するための計画は足踏み状態

スペイン国内で研究する場を得ることができない若き科学者たちが外国にその活躍の場を求めたり、研究職を見限ってしまったりと、ここ数年、スペイン国内では"頭脳の流出"を危惧する声が高まっている。
この流出に歯止めをかけようと、6年前に、新たな計画を創出したが、その計画自体が実態にそぐわないものであったために有効な手段となりえなかった。アメリカやフランスなどでは終身契約が一般的であるのに対し、スペインでは研究者の労働契約期間が3年プラス必要と認められれば2年の延長可、そして既に発足している研究プロジェクトにあるポストであることが条件となっていた。このような性格をもつ研究職の募集は一般企業だけでなく、公共の事業体でもほとんど行なわれず、失敗に終った。
このような事態をふまえ、昨年末に科学技術省では5年プラス5年契約で800のポストを用意するという計画を公表したが、科学に関する法令に抵触するという理由により宙に浮いた状態となっている。
この状況を打開するには法令を改正することであるが、導入することに時間がかかりすぎることから、研究界では改正以前に暫定措置として、既存のプロジェクトに従事しながら自身の研究をすすめるための手続きをとる、という可能性を提案している。
一方、スペインの科学技術分野の資金が非常に少ないことから、このようなプランを導入しても資金面でおいついていかないのではないかとの意見も出ている。

闘牛界にも狂牛病の影響、闘牛の死骸が焼却処分に

今月の31日に闘牛関係者と農業省、厚生省、内務省、各自治体の責任者が会談をもち、狂牛病に関連して、闘牛後の牛の死骸をどう処分していくかを検討する。
今年の闘牛シーズンはすでに始まっており、セビージャのプエブラ・デル・リオとトレドのベルビス・デ・ラ・ハラで開催された闘牛では、使用された牛がすべて焼却処分にされている。近日中にマドリードのアハルビルとバルデモリージョでも闘牛が開催され、その主催者たちの間でも処分方法について意見がわかれる。
アハルビルの関係者は「実際に焼却処分と決定されれば、1日分の牛の移送に4万ペセタ、焼却処分費用が18万ペセタかかるが、助成金の支払いが承認されれば農業省からその分の費用は戻ってくるだろう」と話すが、バルデモリージョのほうでは「支払いに関する署名をなした後でなければ、焼却処分の費用は支払うつもりはない」とする。
スペインでは年間2000にのぼる闘牛が開催され、11000頭の牛が処分されている。ラホイ第1副首相は牛の所有者が移送を請け負うことで助成金を6万6千ペセタ程度としたい意向を洩らしている。
闘牛を飼育しているスペインでも有数のビクトリノ・マルティン牧場では牛の焼却処分及び助成金に真向から反対しており、牛の検査をすることを求めている。また、マドリード・ベンタス闘牛場のフェデリコ・モレノ獣医も「焼却してしまうことは、狂牛病の疑いのあるものを検査、分析する可能性が奪われることである」と心配している。


1月24日(水)

全国管区裁判所、公務員の給料凍結解除の判決を下す

昨日全国管区裁判所は、1997年にPP政権によって適応された公務員の給料凍結を解除するという判決を下した。
PPは1997年に政権を握った直後、公共支出削減のために1994年にPSOE政権が労働者組合と交わした、先の3年間の公務員の給料を消費者物価指数の想定上昇率と同比率で値上げするという合意を破棄し、公務員の給料を凍結させた。全国管区裁判所はこのPPの措置を否認し、公務員の給料凍結を解除することをPPに言い渡した。
昨日の夕、同裁判所からの判決を受けたPPは同日晩に緊急会議を開き、党としての意見と解決策について話合いを持った。政府筋によると、政府は給料凍結解除が影響を及ぼす公務員の人数や政府が公務員に支払う額などの正確な数値を把握できていないとのこと。
また、全国管区裁判所は、判決には不服申立ての余地はないとしているにもかかわらず、PPは不服申立ての準備があることを公表した。
給料凍結解除を実施することになると、政府は1997年からの4年分の差額を公務員に支払うことになる。

政府、モロッコ、エクアドル、ポーランド国籍の移民に優先的に労働許可証を交付することを決定

内務省は昨日、モロッコ、エクアドル、ポーランド国籍の移民に対して、今年1年間優先的に労働許可証の交付を行うことを公表した。
政府は先の3国が選ばれた理由として、モロッコ国籍の移民はEU加盟国以外の国籍の移民の5分の1を占めていること、エクアドル国籍の移民はラテンアメリカ諸国からの移民の中で最多であること、ポーランドについては、東欧からの移民のうち最も多いのがポーランド国籍の移民であることを挙げている。3国の政府との具体的な会談予定も既に決まっており、本日ハイメ・マジョール内務大臣はエンリケ・フェルナンデス・ミランダ政府移民局代表と共にモロッコの首都、ラバトに向かった。ラバトでの会談を終えた後、同政府移民局代表は本日中にエクアドルに向かい、2月12日はポーランドにて会談を行う予定となっている。
しかしながら、モロッコ政府などは、スペイン政府からの優遇措置を理由にマフィアがスペインへの移住を希望している国民に密入国を持掛けるようになるのではないか、と懸念もしている。
PSOE側は今回の政府の措置について、「労働許可証交付の際に国籍による差別化を図るべきではない」とコメントしている。

平均以下の経済状態の家庭の56%が高齢者の家庭

国立消費研究所が昨日発表した統計によると、経済状態が平均より下回っている家庭の56%が65歳以上の高齢者の家庭であるということがわかった。
調査では、65歳以上の高齢者の年間平均収入は170万ペセタとなっているものの、3分の2の高齢者が現在の購買能力に満足していると回答した。
調査は経済状況のみではなく生活全般を対象に行なわれ、余暇の過ごし方としてテレビを見るという回答が最も多く、次に散歩に出かける・友人と会う、家族と過ごすという順になった。最も大きな心配事は健康状態であると回答した高齢者は85%にも上り、約50%が何かしらの慢性病を患っていると回答した。高齢者の健康状態は生活状況によっても左右されるようであり、家族と同居している高齢者で調子が悪いと回答したのは31%であったのに対し、1人暮しの高齢者では37%と数値が上がっている。現在65歳以上の人口は670万人であり、うち21%が1人暮しをしている。


1月23日(火)

新外国人法、本日より施行

昨年12月14日に可決された新外国人法が本日より施行される。
前外国人法では、スペインにて不法滞在や不法労働している移民に罰金しか要求できたなかったのに対し、新しい外国人法では、不法移民に48時間以内に強制送還することができる。よって、昨年の合法化特別措置の際に申請を却下された移民達は、本国に送還されることになる。しかし、強制送還を行うには、送還措置の該当となった移民の出身国が移民を自国の国民であると認めなければならず、実際に不法移民を強制送還するのは難しい状況となっている。現在のところスペイン政府はモロッコ政府とのみ不法移民本国送還の協定を結んでおり、今後、ナイジェリア、コロンビア、エクアドル、ドミニカ共和国、ルーマニア、ポーランド、セネガルなどスペインへの移民が多い国とも本国送還の協定を結ぶ予定となっている。また、新外国人法では不法移民にデモやストライキを行うこと、組合や協会などを発足させることも許可していない。
本日新外国人法が施行されることを受け、社会党グループやNGO、移民組合などは、「移民達の基本的人権を犯している」と政府を批判している。また、カデナ・セルが実施したアンケートでも、多くのスペイン国民も不法移民の強制送還には反対しているという結果が出た。

ナバーラで初の狂牛病のケースが発見される

ナバーラ自治政府は、昨日、同自治州にて初の狂牛病のケースが発見されたことを公表した。
今回発見されたケースは6歳と7歳の2頭の牛で、今月18日にパンプローナの屠殺場にて食肉にされていた。狂牛病の症状も見せていたわけでもなく、牧場で死亡したわけでもない牛から狂牛病が検出されるのは、スペインでは初めてのこと。
イグナシオ・マルティネス・アルファロナバーラ州農政理事の報告によると、病気が検出された2頭の牛は、1993年10月、1995年2月に誕生した牛であり、ナバーラ北部の農場で食用として放牧飼育されていたとのこと。同理事はプライバシーを理由に、この2頭の牛を飼育していた畜産農家の詳しい情報公開は控えたが、ナバーラでも狂牛病のケースが発見されたことに対して、「ナバーラ北部の山で放牧飼育されており原産地の品質証明を所持していた牛から狂牛病が検出されたことは、大変遺憾である。しかし、それでも自分自身はいつも通りの食生活を続け、もちろん牛肉も食べ続ける」とコメントした。
今回のケースで、スペインでは11件狂牛病の例が発見されたことになる。

雪崩により2人のスキー客が死亡

ヒローナのピレネー山脈で発生した雪崩によって行方不明となっていた2人のスキー客が昨日、遺体となって発見された。発見されたのは、ジョアン・ソレイさん(45)とジョルディ・アルテアガさん(40)の2人。2人は、唯一の生存者であるガブリエル・グラウさん(53)と共にコスタボナ山頂付近の避難所に向かっている際に雪崩に襲われたもよう。
救助活動は昨日の午前中から開始され、昨日午前9時ごろ、ヘリコプターが生存者のガブリエルさんを発見し、病院へ輸送した。ガブリエルさんは二晩を氷点下の雪山で過ごしたが、雪山に対する長年の経験と装備がガブリエルさんの命を救った。現時点では、3人を襲った雪崩がどのような形で発生したのかは特定できていない。
一方、昨年の12月30日から同じくジローナのピレネー山脈で行方不明となっているマリア・アンヘレス・ベルサさんは、いまだ発見されていない。


1月22日(月)

スペイン、エクアドル政府、移民相互協定署名に向けての話合い、最終段階へ

スペインで不法に滞在し、劣悪な環境での労働に従事しているエクアドル人たちの現状がクローズアップされ、特別合法化手続きを求められている中、スペイン、エクアドル両政府間では、移民に関する相互協定の署名に向けて具体的な話合いに入り、スペイン移民局のエンリケ・ミランダ代表がエクアドルを訪問する運びとなった。
両政府では毎年、スペイン政府が行う外国人への居住・労働許可書の発行数の30%をエクアドル人に割当てる、という方向で検討しており、約4万人という具体的な数字が挙げられている。現在、エクアドルでは深刻な経済危機に陥っており、ここ2年で30万人とも35万人ともいわれる人々が職を求めて海外へ流出している。また、この協定では、両国政府の代表となる委員会によって、スペイン国内の需要とエクアドルからの人的供給をすり合わせる、という移民を送り出す側も審査に参加することができる画期的なシステムを導入する事も盛りこまれている。
エクアドルのルイス・ガジェゴス大使は、この協定によって不法移民を完全に排除することは不可能ながら、マフィアによる人間の不法流入に歯止めをかけることができるのではないか、と話している。
一方、明日23日から施行される新外国人法によって、不法滞在外国人の強制送還が可能になることに伴い、各地で合法化を求める不法滞在外国人たちの抗議行動が起こっている。教会などに立てこもり、ハンガーストライキを決行、医師や看護婦の介入も拒否し政府が話し合いに応じるまで続ける覚悟であることを明らかにしている。

"バルカン・シンドローム"に対する給付金、幹部司令官に限られる

今年1月1日から施行された2001年度予算に関する付帯法により、公務期間中の事故・疾病のための死亡や永続的任務不能に関する年金受給を定めた国家年金受給者法の47条が修正された。この改正によって、その死亡、疾病原因が公務中にあったかどうかの証明を受給者側ではなく、公務中ではなかったとの反証を支払う側に課すこととなった。
昨今、旧ユーゴ戦争時にバルカン半島へ派遣された軍人の中から白血病などの癌患者が多く発生している問題−"バルカン・シンドローム"−に関して、この条項では幹部司令官などの公人のみにその権利を与えており、プロの軍人や予備兵などは受給者資格をもっていないことが明らかとなっている。
この新措置により、軍隊の中での社会救済措置に関する差別化が深刻化することとなるのは明白であるとの指摘を受けている。

カンタブリアにて検知された狂牛病疑惑の牛は生後25ヶ月?

サラゴサにある狂牛病の国立分析センターで、先週土曜日より、狂牛病に罹患していたとみられる牛の分析を開始しているが、この牛が生後25ヶ月ほどであることが明らかにされた。
狂牛病は生後30ヶ月未満では病気が進行していることがないとされており、食肉用に市場に出される牛のうち生後30ヶ月以上の牛にのみ検査を義務付けていた。しかしながら、生後25ヶ月程度の牛からも疑いがでたことで、同センター所長は、「これ以上若い牛から狂牛病が検知されるようなこととなれば、検査対象を30ヶ月以上の牛から24ヶ月以上の牛まで引き下げる必要性も検討しなければならない」とし、農業省にはコストの増加分である4億ペセタの負担を考えるよう求めている。
また、この狂牛病に関連し、本日にも闘牛界で闘牛後の牛を食肉として市場に出さず、焼却処分にするかどうかを話し合うこととしている。


1月19日(金)

ETAのメンバー、刑務所からの脱走を図る

昨日未明、アラバ県のナンクラレス・デ・ラ・オカ刑務所に収容されているETAのメンバー、イゴル・ソラナ・マタランスが刑務所から脱走を図ったが、監視塔のバスク地方警察官からの知らせにより、刑務官たちにより取り押さえられた。
ソラナは"コマンド・アンダルシア"に属し、セビージャの軍医殺害後に逮捕され、マラガの市議、アンダルシア検察長官殺害にもかかわったとされる。逮捕後はマドリードのバルデモロ刑務所に収監されていたが、水曜日にビルバオで行なわれた裁判に出席する為に移送されきていた。
逃亡する際にはシーツで作った綱を腰にまいており、独房の鉄格子を紐状ののこぎりで切断後、刑務所の中庭に出、囚人用のジム施設にそなえつけてあったはしごを持ち出して塀を越えようとした。刑務所の監督局では紐状ののこぎりの入手先が刑務所内の工房であるのか、外部から持ちこまれたものであるのかを特定することを急いでいる。また、逮捕時に刑務所では所持することを禁止されている4万ペセタの現金や刑務所付近の地図などを所持していたため、裁判所への往復や裁判所内で同人に逃亡の手助けをした協力者と接触した可能性などに関し、地方警察に捜査を要請している。
この脱走未遂に対してハイメ・マジョール・オレハ内相は、起こってはならないことが、起こってしまったが、刑務所内で捕らえられたことで警備という点においては評価したい、逃亡の企ては避けられないものだが、逃亡自体を阻止することが重要である、とのコメントを出している。

タイアレス問題でPP、グリーンピースの資料を取り上げ、PSOE前政権を批判

ジブラルタル港に故障、修繕のために停泊している英国原子力潜水艦タイアレス問題につき、世界的エコロジー団体である"グリーンピース"が提出した報告書を重要視していなかった中央政府が、今になって、同団体の過去の報告書に着目、PSOE前政権を批判、フェリペ・ゴンサレス前首相に説明を求めた。
この過去の記録とは、今回問題になっているジブラルタル港での修繕が初めてのものではなく、86年から95年までの間に同様の原子力潜水艦の故障、修繕が4回行なわれており、さらには87年末まで英国ロイヤル・ネイヴィがジブラルタル港に修理施設を所有していた、というもの。
PPでは、これらの故障、事故に関しての説明がなされた資料が全くない、とゴンサレス首相に詳細な説明を求めるとともに、PSOE現幹事長ロドリゲス・サパテロ氏には、アンダルシア州マヌエル・チャベス氏が予定している、ジブラルタルでの抗議行動を許可しないよう求めた。
この批判に対し、ゴンサレス前首相は「ジブラルタルにそのような施設が存在したことをたった今知らされたが、ロイヤル・ネイヴィ自身もその存在を今の今まで知らなかったことに安堵している」と皮肉を込めて答えた。

廃鉱に投棄された牛の死骸が近隣の川を汚染

今月初旬にガリシア州ア・コルーニャのメシア市の廃鉱にガリシア州政府から委託された業者が大量の牛の死骸を不法に投棄した処理方法をめぐって、ガリシア州政府の対応が注目されていたが、牛の死骸は投棄されたままの状態で、人々の健康に害を及ぼすことはない、とのコメントが出されていた。
しかしながら、死骸から体液、血液などが垂れ流し状態となっており、最近の大雨も手伝って近隣の川に流れ込むようになってしまった。州政府の衛生局では現状を認めており、この調査分析にあたった微生物学教授の話では川に流れ込んだ物質は水溶性で人体に有害であることを指摘する。
この汚染された川はサンティアゴ・デ・コンポステーラ市の水の供給源となるタンブレ川の支流にあたり、住民に直接影響をもたらすのではないかとの心配が広がっている。


1月18日(木)

政府移民局、市町村役場に居住許可証を所持しない移民の住民登録をしないように勧告

昨日開催された会議でエンリケ・フェルナンデス・ミランダ政府移民局代表は、会議に出席したスペイン全土の市町村役場の代表に「居住許可証を所持していない移民には住民登録をさせないように」勧告した。
同政府移民局代表の説明によると、「移民の問題は現在政府が抱えている問題の中でも大きなものであり、各市町村役場は住民登録を担う機関である為、移民問題解決の重要なポイントとなっている。よって、今回このような勧告をするに至った」とのこと。
今回の勧告がでたことを受け、人権協会のスポークスマンやモロッコ移民労働者団体の代表は、「住民票は居住許可証を所持しない移民にとって、医療サービスを受ける際には不可欠なものである。フェルナンデス・ミランダ氏は外国人法に、住民登録の際の居住許可証提示の義務という新たな規定を導入しようとしているのではないか」と同政府移民局代表を批判した。また、昨日の会議に出席した市町村役場の代表達もフェルナンデス・ミランダ移民局代表の勧告に驚きの様子を隠せないようであった。
現行の外国人法では、居住許可証を所持していない移民でも居住地域の管轄役場で住民登録が行えることになっている。

エル・コルテ・イングレス、不動産産業にも参入

スペイン小売業最大手であるエル・コルテ・イングレスが自社の百貨店やショッピングセンターにて不動産の販売を開始することになった。百貨店などでの不動産販売は、スペインでは初の試みである。
同社で不動産販売の案が出たのは昨年のこと。同社は競争の自由化が進んだ不動産市場に参入する為に、同市場大手であるフェロビアル社と契約の交渉を続けてきた。約2ヶ月に渡る交渉の末、昨日、ようやくフェロビアル社と契約を交わすことができ、今月26日からマドリードとマラガのエル・コルテ・イングレスなどで住居の販売を開始する。
総合百貨店であるエル・コルテ・イングレスは、住居の販売開始が生活雑貨を始め家具、火災保険などの売上にもつながるのではないかと期待している。また、同社は今回契約したフェロビアル社以外の不動産業者とも契約を交わし、マドリード、マラガ以外の都市でも不動産販売を開始することを予定している。
今までは新聞広告や専門誌などが商品販売の主な手段となっていた不動産業界に、エル・コルテ・イングレスは革新をもたらす事となりそうである。

マドリード県の学校で集団食中毒発生か?

マドリード県ポスエロ・デ・アラルコンの学校で多くの生徒達が中毒症状を見せている。
月曜日から同学校の生徒達は、熱、吐き気、下痢、頭痛などの症状を訴えており、現在までに220人の生徒たちが同じような症状を見せている。
保健所では、このような症状はウイルス性の病気や学校が調理用、飲用として使用している水によるものではなく、食中毒ではないかと見て調査を進めている。月曜日に同学校では給食としてパエージャ、魚料理、カスタードを出しており、これらのうちのどれかが原因であるとして、昨日保健所は月曜日の給食のサンプルを回収した。今日中には回収したサンプルの分析結果が出る予定となっている。
このような事態を前に保護者達は動揺を隠しきれず、中毒の原因が明らかになるまで子供達に学校を休ませるという家庭も多い。
同学校には約600人の生徒が通学している。


1月17日(水)

政府、狂牛病対策特別委員会を発足

昨日、マリアノ・ラホイ第1副首相は、より効果的な狂牛病対策を講じることを可能にする為に、狂牛病対策特別委員会を結成することを発表した。
第1福首相率いる同特別委員会を構成するのは、農産省、厚生省、環境省、内閣府の各代表。政府は、同委員会の結成によって、より効果的な狂牛病対策と消費者の不安解消を目指す。また、現時点では各省間で統一を見せていない対応策に関する意見をまとめることも目的としている。同特別委員会の初会議は本日開催される予定となっており、各自治州にて行なわれた狂牛病検査の過程・結果を追跡調査し、さらに、流行病学者や科学者の狂牛病に関する報告書も研究することになている。
同委員会発足の知らせを受け、今週の月曜日より続いていた農業団体による屠殺場の封鎖は解除された。しかし、ルイス・ロドリゲス・サパテロPSOE幹事長は、現在のような緊急事態を乗りきるには首相自らが第一線に立って問題に取り組むべきである、と政府の姿勢を批判している。
一方アビラでは、昨日新たな狂牛病のケースが検出され、問題の解決が急がれている。

ルイス・ガジャルドンマドリード知事、テレマドリード局長を解任

アルベルト・ルイス・ガジャルドンマドリード知事は昨日、シルビオ・ゴンザレステレマドリード局長を解任した。
解任の理由となったのは、今週の月曜日午後9時30分から放映されたバスクの現状をテーマにした報道番組。同番組では、バスク州副首長、バスク州政府の全政党の代表者、テロ犯罪犠牲者の会代表などのバスクの現状に関する意見を放送した。ルイス・ガジャルドン知事は、同番組内における表現、特にEH代表のアルナルド・オテギ氏のインタビューでマドリード県民を脅迫するような表現があったとし、同番組内容を不適切と判断、ゴンサレス局長を解任した。
しかし同局長は、「番組の目的はマドリ−ド県民にバスクの現状に対する各界からの意見を知ってもらうことであり、番組に問題はなかった。事実、同番組は県民からの大きな支持を得ることができた」と知事の解釈を批判した。また、テレマドリード職員も、今回の知事の決定は表現の自由を干渉するものである、とルイス・ガジャルドン知事に対し非難を浴びせている。

イギリス政府、タイアレスの原子炉安全確認作業にスペイン人専門家の同席を拒否

昨年5月より故障によりジブラルタル港に停泊している英国原子力潜水艦“タイアレス”の修理が最終局面を向かえた現在、再びスペイン政府、イギリス政府間の摩擦が大きくなってきている。
問題となっているのは、修理したタイアレスの原子炉を実験的に稼動させ、安全を確認する作業にスペイン人専門家を同席させるかどうかというもの。昨年11月にはスペイン原子力安全理事会が、「原子炉の安全確認作業にスペイン人専門家も同席すべきである」と要求、これを受けジョセップ・ピケ外相はイギリス政府にスペイン人専門家の同席許可を要請した。しかし、イギリス側は、「潜水艦の多くの部分は国家機密である為、安全確認作業でのスペイン人専門家の同席は認めることができない」とスペイン政府の要求を拒否した。
ピケ外相は要求を拒否されたことに対し、「我々は全ての作業において同席を求めているわけではなく、安全確認作業のみに同席を求めているだけである」とコメントした。


1月16日(火)

テレフォニカ、通話料値下げを延期

昨年12月に、テレフォニカが普通電話から携帯電話への通話料値下げを発表し昨日から適用する予定であったが、導入時期を延期する決定を下した。延期の理由に関し、テレフォニカのセサル・アリエルタ社長は経済省の付属機関であるテレコミュニケーション・マーケット委員会(CMT)がこの値下げを良しとしなかったため、と説明している。
CMTは直接値下げ等の許認可機関ではないが、諮問機関としてテレフォニカから料金についての意見を求められていた。この8.84%値下げ案において通話先がモビスター、アイルテル社に限られ、市場占有率15%のアメナ社が対象からはずされていたことが指摘され、全ての電話会社を対象としない場合は値下げとはいえず、限られたオペレーターに対する値引き案であるとの見方を示した。この方針に基づくと、テレフォニカは通話先にアメナ社を含めることで値下げ案とするか、電話会社各社個別に対応する値引きプランとするかを選択する必要が出てくる。

アセベス法相、新少年法によって釈放された殺人者が刑罰を免れることはないと力説

新少年法が施行され、未成年犯罪者たちが続々と出所していることに対して社会不安や各界からの批判が相次ぐ中、昨日、アセベス法相は、施行後2日の経過を公表するための記者会見を開いた。会見では、既に115人の少年未決囚が出所、59人が自宅へ戻ったことを明らかにした。
特に殺人などを犯した凶悪犯人については、国家検察局の指示により数週間うちに裁判が始まることを説明、この法律によって殺人者達が刑罰を免れることはないと力説した。
一方、司法関係者の多くが所属する労働団体UGT、CCOO、CSIFでは新法を導入するにあたっての物的、人的対策を政府、自治体が十分に行っていないと批判し、適切な方策や人員増加を求め、ストライキ及び座り込み運動を展開する予定としている。

アストゥリアスでも狂牛病検出される

昨日マドリードのアルヘテ動物衛生研究所よりアストゥリアス地方で狂牛病が検知されたことが明らかにされた。狂牛病にかかっていると確認された2頭の牛は13歳と5歳で、これらの牛のサンプルはサラゴサの国家研究所に送られ、最終的な判断を待つこととなる。
2頭の牛は既に処分されており、これらの牛の血をひく牛の追跡調査が始まっている。 アルヘテ研究所では現在までにアストゥリアス地方産433頭の牛のサンプルを分析していたが、アストゥリアス自治政府公共衛生局では、同地方において1994年に禁止された汚染動物飼料が使われていた時期があったために狂牛病の可能性がないとはいいきれない、と話していた。実際に汚染飼料が使用されていた時期からみて、病気の潜伏期間は4年から6年のあいだではないかとみられている。
一方、昨日からはじまった畜産団体などによる屠殺場封鎖行動により、通常屠殺される量の85%の牛、50%の豚が屠殺されなかったとの報告が出ている。この封鎖行動は本日も続けられ、数日中には市中に出まわる食肉の量が目だってすくなくなるであろう、と予想されている。


1月15日(月)

中央政府がエクアドル人の合法滞在許可の必要条件を厳格化していたことが明るみに

ムルシアでの事故をきっかけに、スペイン国内に不法に滞在している15万人ともいわれるエクアドル人の合法化問題が紛糾している中、サラゴサの弁護士会から、「このような状況を作り出したのは、中央政府が5ヶ月前にエクアドルとの2重国籍に関する相互協定を改正、厳格化したのが原因である」と明らかにされた。
1964年に締結されたこの協定ではスペイン、エクアドルにおいてお互いの国に滞在する人々に対して法的に有利な特権を付与していた。これは2重国籍を所有していない人にも適用されており、その国の国民と同様の権利を有するものとの認識がもたれていた。最近になり、エクアドルでの経済危機が深刻になってきたことで同国人のスペインへの流入が激化、行政当局では外国人法の条項をたてに阻止することを試みてきた。しかしながら、判例により観光という名目での入国を拒否することが不可能となり、合法滞在化手続きの必要条件を厳しくすることで解決を図ろうとした。
通常、外国人が働くことを希望する職種にスペイン人の失業者が大量にいる場合は許可が下りないが、エクアドル人に関して言えば、その職種に適した資質がある場合、スペイン人失業者の有無を問わず、との条項が存在した。中央政府ではこの条項を撤廃することで移民の流入に歯止めをかけようとしたが、実際にはこの措置が大量の不法滞在者を生むこととなってしまったという。
政府移民局では、特別措置として帰国時の旅費を政府が負担、来年度の労働許可割当の優先権付与保証等をあげエクアドル人に対し、再三にわたって自発的な帰国を呼びかけているが、"人間的な"対応を求めるエクアドル人達の中にはこの措置を拒否する者も出てきている。

畜産団体、中央政府へ狂牛病対策を求めて屠殺場封鎖を決行

本日より畜産団体がそろってカスティージャ・イ・レオン州、マドリード自治州にある屠殺場の封鎖を決行する。この封鎖には1万軒に及ぶ畜産農家も参加することになる予定。
このような強硬策に出たのは、狂牛病の発生から牛肉の消費量が激減し、畜産農家や関連業者などに大きな影響がでているにもかかわらず、中央政府がそれに対する適切な対策を施していないことに業を煮やしたためである。これらの団体では、アスナル首相に対しこの業界の現状を把握し、危機感をもって対策措置を講じることを求めており、また、月間110億ペセタともいわれる損失に対する十分な補償や危険とされた飼料や牛の処理コストの行政負担を要望している。さらには、はっきりした科学的根拠のない発言により牛肉に対する社会不安を増長させた、として厚生省のセリア・ビジャロボス大臣の辞任をも要求している。
封鎖を決行した団体では屠殺場の入口に陣取り、牛だけでなく豚の搬入も阻止している。団体ではこの封鎖で市場に出まわる食肉が少なくなり、消費者が手に入る食肉を食べざるを得ない状況をつくりだすことを目的としている。
業界では必要とあらば、いつまででも封鎖を続ける用意があることをはっきりと主張している。

新少年法施行に伴い、60日以内に収監中の1428人の行き先が決定される

13日の土曜日に施行された新少年法によって、一般刑務所や拘置所に収監されている16歳から20歳までの少年達が出所し、特別の更正施設や自宅での保護観察処分となったりしているが、行き先の確定していない少年がまだ1428人いることが発表された。これらの少年達は60日以内にどのような処分を受けるかがはっきりするが、法務省では出所できるのは多く見積もっても400人程度になるだろうとしている。
犯行時が18歳以下であった、という理由により出所している例も散見され、特に今年の4月に同級生を殺害した少女2人が保護・監視の下釈放された事案については被害者の家族や地域住民から司法のあり方について大きく批判されている。
また、18歳以下で未決のまま6ヶ月を超えた場合にも即時釈放がうたわれているため、家族3人を日本刀で殺害した少年も拘置所を出てNGOの保護施設に収容されることになった。この事案では検察側から少年の精神分析が求められていたが、本人、弁護側の強硬な反対にあい、実施されぬまま拘置所に収容された為、今回この恩恵を受けるに至った。この少年は裁判で刑が確定しても最高で8年間、特別保護施設に収容されるにとどまる。


1月12日(金)

バルセロナでETAのメンバー2人を逮捕

昨夜未明、バルセロナ市内でETAの"コマンド・バルセロナ"に所属するとみられるメンバー2人が地方警察隊員によって逮捕された。
逮捕のきっかけとなったのは、パトロール中の2人の警察隊員が、半ドアとなっている走行中の自動車に注意を促した後、後部ナンバープレートがずれていることを発見、さらにはこの自動車がETAの好んで利用するタイプであったことを記憶していたことであった。赤信号で停車した時点で職務質問を開始、相手に反撃する余地を与えないまま、ETAのメンバーであることをその場で確認し、応援を待って2人の身柄を拘束した。逮捕されたのはホセ・イグナシオ・クルチャガ(37)とリアルニ・アルメンダリス(27)で、前者は1997年に"コマンド・ビスカヤ"が摘発された際から手配リストにのっていたが、後者は警察には把握されていない人物であった。
クルチャガの所持していたピストルは昨年11月のエルネスト・ジュック氏殺害、12月のヘルビージャ警察官殺害時に使用されたものであることが確認され、また、彼らの乗っていた自動車には15キロの爆発物、起爆装置などが用意されており、爆弾テロを仕掛ける直前であったのではないかとみられている。
この逮捕がきっかけとなり、ETAのメンバーが借りていたアパートがつきとめられ、家宅捜査の結果、大量の爆発物や書類、コンピューターなどが押収されている。 警察ではこのコマンド部隊には2人以外にも逮捕されていないETAのメンバーが存在することを確信しており、さらなる捜査を続けている。

2000年インフレ率は4%

昨日、国家統計局から昨年のインフレ率が最終的に4%となったことが発表された。
中央政府の当初の予測が2%であったことから考えると2倍の上昇をみせたこととなる。予想を上回ったインフレ率の上昇は、燃料価格の高騰によるところが大きい。さらには狂牛病関連により牛肉以外の食肉や魚介類の値上がりが拍車をかけている。また、観光業界でも12月中のパッケージツアーの値上がりが影響し、1993年以来の上昇を記録している。
政府が予測を大幅に誤ったことで、企業が従業員の給与見直し条項によって支払わなければならない臨時の経費が2000億から2500億ペセタにのぼるとみられる。また、政府が支払う年金や公務員への給与、失業保険も増加し、総計3550億ペセタと計算されている。
この結果に対してロドリゴ・ラト経済大臣は「不本意な結果であるが、2001年の消費者物価はずいぶんとおちつくことであるだろう」とはなした。

政府は不法労働エクアドル人に一旦帰国し、労働ビザを取得するよう提案

ムルシア県ロルカでの事故(1月4日付けトップニュース参照)がきっかけとなり、何千人というエクアドル人が労働許可書なく不法に農作業に従事していることが公になったことで、中央政府移民対策局では早急な対応をせまられている。
エクアドル人達が特別合法化手続きを要求しているのに対し、昨日、中央政府、自治体、雇用主、労働者たちが会談を持ち、政府から歩み寄りをみせる回答を引き出した。
スペイン政府が近々エクアドル政府との相互協定を取りつけ、エクアドル人への労働許可特別割当枠を創設することを前提に、現在、不法で働いている人々が自発的に一旦自国に帰り、労働ビザを申請、取得してから今一度入国してくることを勧める提案を行った。さらにこれらの人々に今年の割当枠を優先的にまわし労働ビザを発給し、往復の旅行代金を当局が負担する事も約束している。
この提案に対して、スペインエクアドル協会では、提案を受け入れるかどうかは現在その状況にある人々の判断にまかせる、と話し、当局には該当する人々がエクアドルに帰国するまでの間に労働契約を締結する必要性を求めている。
一方、雇用者団体では、具体的に5000人に対する求人がある現時点で労働者を自国に帰らせるのは現状にそぐわない、とこの提案を厳しく批判している。


1月11日(木)

政府、移民社会統合委員会の大幅な改編を公表

政府は移民社会統合委員会の構成に大幅な変更を加えることを公表した。今回の委員会改編案が可決されると、政府代表委員の数は現状を維持する一方、現在過半数を占めている移民協会代表やNGO代表の委員数が約半分削減されることになる。
同委員会は1995年に創立された諮問機関であり、現在は政府から指名された委員長と30人の委員で成り立っている。30人の委員のうち10人が政府の代表、20人が移民組合、NGO、労働者組合の代表となっている。よって、現時点では非政府側の勢力が約3分の2を占めている為、委員会から政府への批判がでることが多く、先の外国人法改正に対しても同委員会は政府に強い批判を浴びせていた。
政府から出された改編案が通ると、新委員会は政府から指名された委員長と20人の委員で構成されることになり、20人の委員のうち10人が政府の代表、5人が移民組合の代表、残る5人がNGOや労働組合の代表となる。委員長を含めた11人の政府代表委員を獲得することで、同委員会から外国人法に対する批判が続いている現状を変えることが政府の目的であるのが明らかである。
この移民社会統合委員会改編案に対し、PSOEや女性連合などは、「政府は移民や我々をからかっている」と強く非難している。

ガリシアの獣医が検査なしに牛の健康証明を発行していたことが判明

昨日、ガリシア農業評議会と契約を結んだ獣医が検査なしに牛の健康証明を作成していたことがわかった。
これは、食用に出荷される全ての牛は病気にかかっていない事を獣医より証明されていなければならないという狂牛病対策法が実施されたことを受け、ガリシア農業評議会が34の獣医と契約を結び、牧畜農家の審査判定証さえあれば、農家が獣医の証明書を無料で入手できるようにするという措置を昨日より実施したことにより発生したものである。
ガリシア農業評議会によるこの措置は、各方面から非難を浴びており、ペドロ・リラルゴ獣医師会会長は、このような形で獣医の証明書を発行するのは法的に問題があるのは明らかである、と昨日発行した証明書を無効にすることを要求している。
ガリシア農業評議会と契約を結んだ獣医の大半が契約を破棄することを表明している。

PP、PSE、エルチャインチャの対応の遅れを批判

一昨日、ETAのメンバーがギプスコア県サラウツの墓地に爆弾を仕掛けた事件を受け、PPやPSEの党員たちがバスク地方警察エルチャインチャの対応が迅速でなかったと同警察を非難している。
先の事件でエルチャインチャは1度目の犯行声明を受けた際には仕掛けられた爆弾を発見することができず、2度目の犯行声明を受けたことにより再開した捜査で爆弾を発見。マリア・サン・ヒルギプスコアPP総長は、「危機管理の意識がエルチャインチャには欠けているのではないか」と批判、また、カルロス・イトゥルガイスバスクPP代表も、ハビエル・バルサバスク内政理事に対応の遅れに対する説明を求めている。
一方、ジローナでは昨日、防衛省出先機関の前でETAのメンバーが仕掛けた爆弾が爆発してる。この爆発により人的被害は出なかったものの、窓ガラスや壁が破壊されるなどの物的被害が出ている。


1月10日(水)

仕掛けられた爆弾の爆破装置の故障により追悼式の出席者、一命を取りとめる

昨日、ギプスコア県サラウツの墓地にてETAのメンバーによって仕掛けられた爆弾が発見された。
昨日は、1997年にETAのメンバーに殺害されたPPの議員、ホセ・イグナシオ・イルレタゴジェナ氏の追悼式が同地にて行なわれており、式に出席した故イルレタゴジェナ氏の家族、カルロス・イトゥルガイスバスクPP代表やマリア・サン・ヒルギプスコアPP総長他、多数のPP議員が一命を取りとめた。爆弾はイルレタゴジェナ氏の墓石に隣接する植木に仕掛けられていたが、リモートコントロールが上手く作動しなかった為に、爆破には及ばなかった。
追悼式が終了した約30分後にETAのメンバーと名乗る人物から、「PPの議員達を殺害する為に墓地に爆弾を仕掛けた」との電話があり、バスク地方警察エルチャインチャは直ちに爆弾の捜査を開始したが、爆弾を発見することが出来なかった為、電話の内容は狂言であったと見なし捜査を打ち切った。しかし、その4時間後に再びETAのメンバーと名乗る人物から爆弾の存在を知らせる電話があり、捜査を再開したところ、約5キロの爆発物を発見した。発見された爆弾は昨日の午後8時半頃エルチャインチャによって爆破された。
昨日は追悼式の前にエルチャインチャや護衛による墓地の周囲の安全確認は行なわれていなかった。
また、昨日、警察はイルンの工業団地にて、ETAのメンバーに誘拐された実業家のホセ・マリア・アルダジャ氏と弁護士のコスメ・デルクロウ氏が1995年から1996年にかけて幽閉されていたと思われる場所をつきとめた。

厚生大臣の発言に対し、各業界が非難を浴びせる

セリア・ビジャロボス厚生大臣の発言が議論を呼んでいる。
問題となっているのは、月曜日に同大臣が国民に発した、「牛骨を使用して料理をしないように」との勧告である。この発言に反発し、昨日ビジャロボス厚生大臣の召集で開催された狂牛病対策緊急会議には、多くの自治体の農政理事が出席を拒否した。昨日の会議には、自らの意思で出席したラ・リオハの理事、バレンシア自治州の理事以外は、エクストレマドゥーラ、ガリシア、カスティージャ・イ・レオンの各理事が、出席しなかった自治体の農政理事に会議の内容を伝えることを目的に出席したのみであった。
昨日、同厚生大臣は、ミゲル・アリアス・カニェーテ農産大臣の、「牛骨には危険性はない」との発言を受け、「使用を避けるべきであるのは脊椎であり、その他の骨の使用に関しては問題がない」と先の発言に対して弁明をしたが、各業界からの非難は治まらなかった。アレハンドロ・アロンソカスティージャ・ラ・マンチャ農政理事は、「もし今の姿勢をビジャロボ厚生大臣が今後も続けるのならば、政府や自治体、牧畜農家などが問題解決の為に努力していることが台無しになってしまう」と厚生大臣を非難し、ジョセップ・グラウカタルーニャ農務理事も、「一度ぐらいは厚生大臣としての役割を果して欲しい」と強く批判した。また、エクストレマドゥーラの農業団体は、「名誉を棄損された」とビジャロボ厚生大臣に対し250億ペセタの賠償金と発言の撤回を要求している。


1月9日(火)

最高裁、ゴメス・デ・リアニョ元判事の復職を認めず

昨年末に中央政府が行った恩赦により、ヘスス・ゴメス・デ・リアニョ元判事が復職可能かどうかについて検討していた最高裁刑事法廷では、昨日、それを認めないという決定を下した。同氏は"ソヘカブレ事件"の審理に関する背任の罪により15年間の裁判官資格の剥奪を宣告されていたが、この恩赦で復職の道が開けると考えられていた。
この決定を下した最高裁では、刑事責任に対しては恩赦が適用されるが、資格剥奪に関してはすでに執行されてしまっており、これを覆すことはできないと説明する。同氏が裁判官として復職するには前科が消える5年間を待って、新たに裁判官登用試験に合格するか裁判官登用の別枠を求めるかのどちらかとなる。
同氏は最高裁の決定を不服とし再度の審理を求めることを検討、これを却下された場合には憲法裁判所へ提訴可能かどうかも模索している。
法曹界及び野党各党ではおおむね最高裁の判断に満足の意を示しており、与党PPに対して、閣僚会議で発せられた法令が1870年発布の恩赦に関する法令に違反するものであるからその責任をとるべきである、と強く批判している。

ムルシアの農家、不法滞在外国人の雇用を一時的に停止

先日ムルシアのロルカにおいて不法滞在のエクアドル人がのったワゴン車が列車に轢かれ、12人が死亡するといった事件に関連して、ここ数日同地の不法滞在外国人達の労働状況が大きくクローズアップされてきている。
合法的な滞在、労働許可を所持しない外国人たちが過酷な労働条件の下、日雇いで農作業をしスペイン農業の底辺を支えているのが現実であるが、その農業を主要産業とするムルシア自治政府では、不法滞在者を雇用する側の取締りを厳しくしし始めている。
死亡したエクアドル人を雇用していたグリーンソル社リロン社長は警察当局に逮捕、拘留されているが、同業者組合では、この状況に抗議し、昨日、一斉に不法滞在者の雇用を中止し、農作業が全面的に中断されることとなった。組合や労働団体では早急に不法滞在者の合法化手続きがなされるよう求めるとともに、労働省に対して状況改善及び不法滞在労働者の半奴隷状態の回避対策を促す提案事項をまとめ提出している。
ムルシア自治政府では農作業員として働けるスペイン人失業者が1600人もいるのだから、まずスペイン人労働者と契約するべきだ、との強硬な態度を崩していない。

マドリード・バレンシア間を走るAVEのルート決定

昨日、勧業省アルバレス・カスコス大臣を先頭に、マドリード、バレンシア、ムルシア、カスティージャ・イ・ラ・マンチャ州の首長が一同に集まり、マドリード・バレンシア間を走る高速鉄道(AVE)のルートを決定する同意書にサインをした。
ルート決定までには各自治州の思惑が錯綜し、長い時間を要した。最終的にはマドリードからクエンカを通り、モンティージャ・デル・パランカルでバレンシア方面とアリカンテ、ムルシア方面の2つの路線に分かれる。建設計画では建設区間を5つに分割、第1段階ではカスティージャ・イ・ラ・マンチャ州のホセ・ボノ首長の主張が採択されアルバセテを含む路線から着手、その後アリカンテ、ムルシア区間へと続き、バレンシアに到達する区間は最終段階の工事となる。工事にかかる全コストは約1兆円でEU関連の基金を充当する予定としている。
運行開始時期は早くてもアルバセテ・ムルシア間の2005年、全線開通は2006年以降となりそうである。また、AVEが通ることにより新たに建設されるAVEの駅はクエンカ、アルバセテ、エルチェ、カステジョン、バレンシア、ムルシア、カルタヘナ、と決定され、トレドもその中に含まれている。しかし、トレドはこのAVE路線には含まれておらず、将来、セビージャ方面のAVEへの連結を視野にいれたものとみられる。


1月8日(月)

方策欠如のまま新民事訴訟法施行

前立法議会にて成立した新民事訴訟法が1年の猶予期間を経て本日7日をもって施行の運びとなったが、法曹界から新法施行に対応するだけの方策がいまだ講じられておらず、さらなる訴訟の混乱を招くとの批判があがっている。
1881年に施行された旧法にとって代わられる827条からなる新法は裁判の民事裁判の迅速性、簡易性を目玉に法務省主導で導入をみたものである。新法では、500万ペセタを超えない金額の借金取立て、家賃や管理費の滞納金返還請求の提訴手続きを行う際に弁護士を必要としない、保証金を供託する義務を排除、離婚請求調停の書類及び面接の簡素化、等を改編している。
司法審議委員会では、この改編により提訴件数が35%ほど増加し、それに伴って約100億ペセタの人的、物的経費がかかると推定している。しかしながら、裁判官、検察官の協会では、「法務省は昨年度に6億ペセタの予算を組んだだけで、2001年度分には1ペセタも計上していない」と話し、各地方自治体ではこの経費増加のしわ寄せが全て地方へまわってきていると不満をもらしている。弁護士会からも「実務と反する改正では正確な法の適用は難しい」と批判を浴びており、裁判問題の深刻化が指摘されている。 これらの批判に対してアセベス法相は「施行1年目には何らかの問題が発生するかもしれないが、法務省では人的、物的に関する全ての問題をクリアしてきた」と説明している。

バルカン半島派遣のスペイン軍人の発病と劣化ウランとの因果関係認められず

バルカン半島に派遣されている各国軍隊の隊員たちの間で発病している白血病が、米軍機が使用した武器の劣化ウランが原因なのではないかといわれている件について、スペイン国防省厚生局ルイス・ビジャロンガ大佐は、スペイン人発病者と劣化ウランの間に因果関係は認められず、自然発病である、と発表した。現在までにスペイン軍人6人が罹患、4人が死亡している。
同大佐は、6人が罹患した白血病の原因については不明としながらも、旧ユーゴへの派遣とは関係がないこと、一般的な国内の発病率と派遣された軍隊との発病率に大きな差がないことから特記するには至らない、と話す。また、コソボ、ボスニアで行った米軍の空爆により広がった放射線のレベルは世界中で普通に受けているレベルと同等のものであり、人体に大きな危険をもたらすレベルではないと説明した。


1月5日(金)

踏み切り事故で死亡したエクアドル人の雇い主は労働者搾取の罪で過去に有罪判決3回

一昨日ムルシアのロルカの踏み切りで列車と衝突したワゴン車に乗っていたエクアドル人12人が死亡した事故(昨日のニュース参照)で、これらエクアドル人を雇っていたグリーンソル社の社長ビクトル・リロン・ルイス氏が過去において労働者搾取の罪状で3回の有罪判決を受けていたことが明るみに出た。
労働団体のCCOOムルシア支部では現在までに同氏を60回にわたって告発したと話しており、UGTでも1年も前からこのような事故が遅かれ早かれ起きるのではないかと指摘してきたという。
事故にあったエクアドル人たちは運転手を除き、全員が不法滞在者でありブロッコリーの収穫1キロにつき10ペセタを支払うという約束で働いていた。同僚の話では、移民達の住居から仕事場である農園への移動の際には、警察の検問が多く不法滞在の発覚しやすい主要道路を避け、目立たない田舎道を利用していたため遮断機のないような踏切をも通らざるを得なかったという。
不法移民達の過酷な労働に関しては過去3回の有罪判決の中でも触れられており、労働契約は口約束によりなされたのみで、労働許可書及び居住許可書取得手続きもせず、社会保険の加入手続きもとっていなかった。さらには、賃金の未払いもあったとされる。
しかし、昨年末にはグリーンソル社が数々の裁判を免れるためとみられる破産宣告により倒産、現在は別会社を起し、リロン氏の右腕と称される人物によって操業している。

ガリシア州政府、牛の死骸を廃鉱に捨てたことは違法であると認める

ガリシア州ア・コルーニャ県メシア市でガリシア州政府が委託した業者が牛の死骸をランサ地区の廃鉱に捨て、問題となっている件(1月3日のトップニュース参照)につきガリシア州政府が廃棄処分の仕方について違法性はない、と説明していたが、昨日になって州首長より前言を撤回する発言があった。
フラガ州首長は、スペイン及び欧州の規定を逸脱していたことを認め、これ以上当該地に死骸を捨て続けることはやめることを約束。さらに、このような行為に及んだ経緯につき、"緊急事態"であったと説明、州内にある唯一の動物焼却施設が故障のため停止してしまったことからやむを得ずランサの廃鉱を使用したとのコメントを発表した。
この件については付近住民や農業組合などが環境破壊の犯罪であるとして告訴しているが、裁判所側では治安警察隊からの報告書の提出を待って結論を出したいとしている。

スペイン株式市場、米国の利下げの影響で急騰

水曜日に米国連邦準備制度理事会が利下げしたことに伴い、昨日スペインの株式市場が急騰、1999年の1月に続く大きな上げ幅を見せた。
マドリード証券市場では3.81%の伸びを記録、昨年1年で12%以上の落ち込みを見せていたがこの数日で5%程度回復した計算となる。
スペインの市場ではハイテク関連株と銀行株が買われ、テレフォニカが8.28%、子会社テラが9.15%の上昇を記録、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行、サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行もそれぞれ7.48%、5.85%上昇している。
また、対ドルでユーロが回復、ヨーロッパ中央銀行では政策金利を4.75%のまま据え置くことを決定した。


1月4日(木)

ワゴン車と列車が衝突し12人が死亡、2人が負傷

昨日午前7時40分、ムルシア県ロルカの踏み切りでワゴン車と列車が衝突し、ワゴン車に乗っていた12人が死亡し、2人が負傷した。
死亡、負傷した14人は全員エクアドル国籍であり、ワゴン車の持ち主であるノエリオ・エリアス・レオンさんが仕事仲間を迎えに行き、ブロッコリー農園に向かっている際に事故は発生した。事故が起きた踏切には遮断機が無く、アギラス・ムルシア間を走る列車と、踏切に入ってきたワゴン車の後部が衝突した。事故に遭ったワゴン車は8人乗りであったが、実際には14人が乗車しており、死亡した12人の中には親子もいた。また、負傷者のうち1人はまだ13歳の少女であった。死亡、負傷した14人の中には不法労働者もおり、警察は移民労働者達の労働状況なども調査している。
今回の事故が遮断機の無い踏切で発生したということを受け、踏切の安全性が大きく注目を浴びている。国鉄の情報によると、事故が起きたロルカでは28の踏切があリ、うち18には遮断機がなく、スペイン全国でも3,906の踏切が存在し、そのうち2,619の踏み切りに遮断機が備え付けられていない。

雪崩で行方不明の5人のうち2人が遺体となって発見される

カタルーニャ、アラゴン地方のピレネー山脈で起きた雪崩による行方不明者のうち2人が昨日遺体となって発見された。昨日発見されたのは、ジョセップ・ミラジェスさん(50)とジョセップ・アルティガさん(36)の2人。
ジョセップ・ミラジェスさんはバランドラウの山頂を目指していた3人の登山グループのうちの1人で、昨日午後1時50分頃、山頂から約50メートルの所で救助犬により発見された。ミラジェスさんは、同行者のジョセップ・マリさんがやはり遺体となって発見された場所から700メートルの所の硬い雪の層の下に埋まっていた為、救出作業は難航を極めた。ミラジェスさんの妻のマリア・アンヘレスさんは未だ行方不明のままとなっている。
ジョセップ・アルティガさんの遺体は昨日の午後4時頃、5組のスキー板が発見された場所の下から救出された。アルティガさんの遺体は垂直の状態で発見されており、雪の上を歩いていた際に穴に落ちたものと推定されている。同じく行方不明となっているアルティガさんの妻のエレナ・フェルナンデスさん、同行者のモニカ・ウダジョルさんはまだ発見されていない。
今日も救出作業は行なわれる予定だが、残る行方不明者の生存は絶望視されている。

咽頭癌患者、タバコ業者を相手取り訴訟を起す

昨日、約1,200人のバルセロナとレオンの咽頭癌患者が、タバコ生産業者などに対し賠償金を支払うように要求した。このような訴訟が起きたのはスペインでは初めてのことである。
訴えられたのはアルタディス、シタ・タバコス・デ・カナリアス、フィリプ・モリス、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの4社のタバコ生産業者とタバコ配給会社のロヒスタ。原告側は、「タバコは中毒になりやすく、喫煙をやめようと思っても既に禁煙することができなくなる。喫煙するという行動は全てが自らの意思によるものではない」と先の5社を訴えた。しかし被告側の5社は、現時点では原告側の要求を受け入れられないとしている。
今後、タバコ業者に対する訴訟は更なる広がりをみせるもようで、近日中には、サラゴサ、テラサ、タラゴナ、バジャドリッド、ビスカヤ、ブルゴス、サラマンカ、パレンシア、ギプスコア、カンタブリア、アラバの咽頭癌患者組合が同様に訴訟を起すことが予定されている。


1月3日(水)

カスティージャ・イ・レオンで狂牛病検出の疑い

昨日、カスティージャ・イ・レオン州は州内で死亡した牛2頭が狂牛病にかかっていた可能性が高いことを公表した。
死亡した牛は5歳以上でスペイン生まれだが、うち1頭の母親はオーストリア産であった。生存時から狂牛病独特の症状を示していたことから死亡時に簡易検査を実施、陽性反応が認められた。これらの牛のサンプルは詳細な分析のため、サラゴサにある国立分析センターに送られ最終結果を待つこととなるが、罹患の可能性は高いとみられる。
州政府では、これらの牛のいた牧場の場所を公表することを避け、レオン県北部の中規模牧場で家畜の飼育と搾乳に従事しているということのみコメントしている。さらに、死亡した牛は焼却処分されたため、流通経路にのることはなく一般消費者のもとに届く心配は全くないと強調している。また、カスティージャ・イ・レオン地方では市場に出す牛肉が狂牛病の危険が全くない年齢である12ヶ月以下のものに限られていると説明している。
11月にガリシアにおいて2頭の牛が狂牛病と認められて以降、牛肉全体で2〜7%の値下がりが認められ、成牛の肉に限ればその数値が13%に達するという。また、屠殺数も通常の7割程度まで落ち込んでいるという報告も出ている。

少年法改正に伴う改革に各自治体が追いつかず

法務省アンヘル・アセベス大臣の強力な後押しで今年1月13日に施行される新しい少年法について、各自治体から改正に伴う様々な変革においついていかない、との不満が出されており、猶予期間を与えてくれるよう中央政府に求めている状態である。
この改正では現在一般刑務所に服役中の16歳から18歳の少年達を少年専用の施設に収容することとなるが、各自治体では既存の施設では絶対数が不足することで新たな施設、人員を確保することを迫られている。しかしながら、これらに対応するには巨額の資金が必要となり、中央政府からの資金援助なしにはとても受け入れは不可能であることを訴えている。
カタルーニャ自治州においては唯一中央政府から独自の刑事政策決定権を与えられているため、州政府と中央政府との施策が衝突することも考えられると自治州法務局では改正そのものに反対の意を示している。アンダルシア州司法委員会では新法を適用する為に13億ペセタの予算を組んでいるが、福祉行政局では新たな保護施設の建設計画などに今年1年だけでも約140億程度のコストがかかってくると計算している。マドリード自治政府では議会で80億ペセタの予算が承認され、新法を評価しつつも、まだ受入れ体制が整っていないと話している。

レプソルYPF社、ブタンガスボンベを一気に174ペセタ値上げ

ブタンガスの国内市場98%をおさえるレプソルYPF社は、昨日、ブタンガスボンベの値段を一気に174ペセタ引き上げ、ボンベ1本1309ペセタとし、新料金は本日より適用される。
昨年10月、同社は中央政府より最高194ペセタまでの値上げを許可されていたが、当時、石油・ガソリンなどの燃料が大幅に値上がりしていたため世間からの風当たりが強く、20ペセタを値上げしただけでとどめていた。今回の料金改訂では2000年のインフレ指数に大きな影響が出ないよう、年が明けてから値上げに踏み切ったかたちとなった。
野党各党や消費者団体では、ここ最近は燃料の値段が落着いてきており、ガソリンの値下げもおこなわれているにもかかわらず、ブタンガスが大きな値上げを行うのはおかしい、と厳しく批判している。


1月2日(火)

悪天候による山の事故、5人の命を奪い、6人がいまだ行方不明

年末の休暇を利用して登山やスキーを楽しむはずだった人々がスペイン北部を襲っている悪天候の犠牲者となってしまったケースが相次いでいる。
ピレネー山脈のカタルーニャ、アラゴン地方で強風と大雪のため雪崩が起こっており、昨日の日没による捜索中止の段階までで命を落とした人が5人、行方不明者は6人となっている。
ジローナ付近の山では土曜日にバルセロナを出発した登山者3人のグループが帰ってこないという連絡を受けた自治体の消防署レスキュー隊が日曜から捜索を開始し、そのうちの1人が遺体で発見され、5人組のスキーヤーのうちの1人が遺体の発見された位置から200メートル離れた場所で救助された。両者の発見された場所が近かったこともあり、2つのグループが一緒になり悪天候を避けるように峡谷を迂回していたところに雪崩が襲ってきたのではないかと推測されている。救助された27歳の男性は極度の体温低下と凍傷を負っており、ヘリコプターで病院へ輸送された。雪崩の起こった場所は標高2000メートルを超えており、夜間の温度はマイナス10度まで下がるが、風の影響もあり、体感温度はマイナス30度くらいになるといわれる。行方不明者の家族は希望を捨ててはいないが、救助隊では生還の可能性はかなり低いであろう、とみている。
また、同じジローナの山中でも2人の登山者が凍死しているのが発見され、ジェイダではスキーの指導員がスキー場の滑走可能地域のチェックをしているときにやはり雪崩にあって生き埋めとなり死亡している。

死んだ牛を廃鉱に捨てているとして牧畜農家、住民がガリシア自治政府を訴える

ガリシアのア・コルーニャ県メシア市のランサ地区の牧畜農家と住民が、「ガリシア州政府が委託した業者が、廃鉱に死んだ牛を捨てているのは自治政府自らが定めた規定に反している」として自治州を訴え、州政府野党もこの件につき早急な説明を提出するよう求めている。
先週木曜日にランサ地区の廃鉱付近を通りかかった住民が廃鉱内で妙な作業をしていることを見とがめ近づいたが、中に入ることを拒まれた。翌日にはひどい腐敗臭がただよい、土曜日になってやっと中に入ってみると、牛の死骸が山と積まれ、さらに死骸をおろしているトラックや採掘車が何台か止まっていたという。住民達が治安警察に連絡し、作業中止を求めるもののどうすることもできなかったため、その夜から住民が廃鉱に通じる道を通行止めとする強硬策をとった。日曜日になり、やっと市長が姿を見せ、トラックの侵入停止措置を発令した。この命令を信じた住民が帰宅した1時間半の間にまたもやトラックが侵入して牛の死骸に石灰をかけていたため、住民側も自治政府を訴えるという手段を選択するに至った。
狂牛病の関連において、牛の死骸は検査を受けた後焼却処分をしなければならないという規定があるにもかかわらず、死骸には検査を受けた痕跡すら残っていないという。 自治州政府では牛の処分方法は違法ではなく、狂牛病に関して何の危険もない、とコメントしている。


1月1日(月)

本日は祝日のためお休みです。



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