"真実の瞬間"は闘牛に「優雅な美しい死」を与えるのが基本ですが、一剣で死を与えることは非常に 難しく、何回も刺しているとなぶり殺しの感があり、"ブーイング"を誘います。ひどい時には座布団 などが砂場に投げ込まれます。
剣は刺したが、闘牛に致命傷を与えられない場合は、十字剣(DESCABELLO, CRUCETA)で急所(延髄) を刺して殺します。
制限時間があって10分目に1回目の警告(AVISO)トランペットであり、13分後に2回目、15分後に 3回目となりますが、3回の警告は闘牛士に対する闘牛の殺す権利・義務の剥奪ということになり、 闘牛士にとっては不名誉なこととなります。
ムレタの演技が美しく、真実の瞬間に美しい死を闘牛に与えると、観客は一斉に白いハンカチを 打ち振って主催者長(PRESIDENTE)に、闘牛士に対する闘牛の耳の(褒美)を要求します。その要求に 答えて主催者長は、観客の打ち振るハンカチの数が大多数なら、白いハンカチを一枚出して闘牛の 耳を一枚切って闘牛士に与えるよう指示します。それでもまだ観客がハンカチを打ち振ってもう一枚 の闘牛の耳を要求している場合は、主催者長の判断によってもう一回ハンカチを出します。昔は 闘牛の足まで切り取ったりしましたが、現在では闘牛の尾(RABO)までが最高の褒美とされています。 闘牛の耳が与えられるようになったのは今世紀の初頭からです。
さて、この“ハンカチ”にかんしては詳しく規約が制定されています。
闘牛規約(Reglamento de Espectaculos Taurinos)と言うのがあって、Presidente(主催者長)が提示するハンカチの色と種類が決められているのです。主催者側の規定−3人の審判員が試合の進行をしますが、一応3人の中でPresidente(長)と呼ばれる人が、他の2人(Delegado,Asesor)と相談しながら判断をします。合図は総て、ハンカチになり、事ある毎に、Presidente ボックス(Parco)の前にだします。
白いハンカチ
闘牛開始の合図、各場面交代の合図、プレミオの耳の数の指示。
緑のハンカチ
闘牛が何かの理由で使えない場合、闘牛を牛舎に戻すあいず。闘牛士が制限時間内(15分)に殺せなかった場合、闘牛を牛舎に戻す合図。
赤いハンカチ
闘牛がManso(温和で、闘争心なく、野性的でなく、)で槍方の馬に突進せず、どうしても時間がかかってしまう場合、普通の銛より銛の部分が長い、黒銛(Banderilla Negra)を刺して闘牛の力を弱めます。その黒銛を打てと言う合図。
青のハンカチ
Bravoな闘牛の場合、観客の白いハンカチの振り具合で殺された闘牛を場内一週刺せる合図。牧場う主にとっては名誉なこと。
橙のハンカチ
牧場コンク−ル対抗などで極端によかった闘争心のある闘牛の死を免除(Indulto)する合図.最近では普通の試合でもIndultoが、種保存のため許可されています。
助手が切り取った闘牛の耳は、ALGUACILILLO(騎馬警官)ら渡され、ARENAで闘牛士に授与されます。 あくまでも公的儀式なのです。
闘牛の耳を受け取った闘牛士はPRESIDENTEに挨拶の後、助手を伴って場内を一周する権利を得ます。 観客の拍手に包まれながら、砂場を回り始めますが、観客からはいろいろな物が投げ込まれ、闘牛士 にとっては最高の名誉のときと言うことが言えます。
この獲得した耳の数が、闘牛士のランク付けにかなり影響してきます。闘牛士はあくまでも人気を 背負う芸人の域から抜け出られないからです。
殺された闘牛は、Mulillas(騾馬)によって、Arenaから場外へ運び去られます。当然、闘牛士が演技が良かった場合の闘牛の耳は切り取られています。一級、二級の闘牛場の場合には、闘牛の解体所が設置されており、その場で解体され、保健所管理のもとにマ−ケット、肉屋に持っていかれます。その間場内では、Arenero(砂場整備員)による砂場整理も終わり次の闘牛の出現となります。
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