サンティアゴ・デ・コンポステーラ観光のノウハウ
雨の街、、、石の街、、、宗教の街、、、食の街、、、そして世界遺産でもある街、、、
それがここ、サンティアゴ・デ・コンポステーラです。
★サンティアゴとは聖ヤコブの意。聖ヤコブはスペインと言う国の守護聖人です★
聖ヤコブ(サンティアゴ)の巡礼路
この街について触れる時、どうしても語らなければならないのが、この巡礼についてでしょう。 この街は、ローマ、エルサレムと並んで、カトリック世界3大巡礼地、または 3大聖地の一つなのです。日本人の多くはカトリック教徒ではありませんが、西洋人が 日本へ観光に来た時に、仏教徒でも無い彼らが、日本の文化に少しでも触れようとする時、 どうしても、仏教と言うものを抜きにしては 考えられないでしょう。それと同じ様に、或いは、もっと それ以上に、カトリックの国を日本人が訪れる時、その文化に触れようとするならば、必ず その根底に流れているカトリックの歩んできた歴史、哲学にも足を踏み入れざるを得ないのです。 2000年の歴史を持つカトリック世界の3大拠点の一つが、この街であるだけに、スペインを 旅するのであれば、その文化を感じるためには、是非ともいつかは訪れたい街でしょう。
さて、スペインには 歴史的に大きな文化の流れと融合をもたらしたルートが二つあります。
一つはほぼこの半島を南北に貫くルートで ”銀の道”と呼ばれるものです。これは はるか南、アフリカ
大陸のサハラ砂漠以南からのぼってきた文化が、砂漠を渡り、現モロッコの歴代の王都を通過し、
そこへ東方はペルシャから流れてきた文化と合流し、これがついにジブラルタル海峡を渡って
スペインに上陸してくるわけですが、スペイン、アンダルシア地方に入ったこの文化の流れを
更にイベリア半島の中央部から北部へと伝えると言う大役を果たして来たルートです。そして、
もう一つのルートと言うのが、今、我々が触れようとしている”サンティアゴ巡礼路”です。
かつて、ローマやエルサレムがキリスト教徒達の巡礼地として栄えていた時代、イスラム教の
勢いが強くなって、地中海沿岸での巡礼が危険なものとなってきた時、そう、巡礼をするのが非常に
困難になってきた時代、キリスト教徒達の心を強く引く事件が起きました。スペイン北西部、
現在のガリシア地方で、大変な人物の遺体が見つかったと、、、、。これこそが紛れも無い、聖ヤコブ
の遺体だったのです。聖ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)とは、約2000年前、
イエス・キリストに従って彼の教えを直接受けた12人の弟子、つまり12使徒と呼ばれる人物の中の
一人で、聖ペトロと並んで中心的存在であった人です。きっと、これだけ説明しておけば、普段、
カトリックと言うものに親しみの無い方でも、どうやら、これは 信者さん達にとって、ひいては
スペインと言うカトリック大国にとって、とてつもなく大切な人物であり、大切な場所なんだろう、、と
言うことは判って頂けるでしょう。それだけ感じて頂ければ十分です。
このページは 特に宗教関係のページでは 有りませんのでヤコブについてのこれ以上つっこんだお話は
ここではしません。少しだけ巡礼路について補足しておきましょう。前述のような大事件が起きてから
イスラム教徒軍の危険があった地中海沿岸での巡礼を止めて、ヨーロッパ中からこのヤコブの聖地へ
続々と人々が押し寄せるようになったのです。フランス国内を通って、ピレネー山脈を越えて、そこから
スペイン国内の巡礼路だけでも、目指す街サンティアゴ・デ・コンポステーラまで約900キロの道のり
です。この、スペインの北部を東西に貫くルートこそ、ヨーロッパ中の全ての国々、民族が数百年の間、
通り続けた結果、まさに沢山の異文化が融合し合ったルートなのです。そして、この巡礼路と前述の
銀の道は レオン県のアストルガと言う街で交差しています。こうなると、この辺りに一体、
どれだけの数の違った文化が伝えられ、お互いに影響を与え合って、その結果として何が出来上がった
のか、、、考えるだけでも非常に興味深いものがありますね。今現在でも、年間10万人前後(正確な
数字ではありません)の巡礼者がこの街を訪れています。
とにもかくにもカテドラル(大聖堂)でしょう。 聖ヤコブの遺体が安置されている所です。 これを見ずして、この街の観光は ちょっと考えられません。オブラドイロ広場と言う素晴らしい広場に 堂々と建っています。
後は修道院、教会が幾つかあります。それから大学も有名ですね。ただ、入場モニュメントとしては 特に特筆すべきものが、今、浮かびません。それだけ大聖堂の存在が大きいと言うことでしょうか。。。 敢えてあげるとすれば、これは入場モニュメントとは言えませんが、大聖堂と同じ広場に建っている パラドール(国営ホテル)ですね。イサベル女王、フェルナンド王の時代の巡礼者のための救護院跡を 使ったホテルで、素晴らしい歴史的建造物です。門の所に門番の様な人が立っていますが、別にいつでも 誰でもロビー、カフェテリアには入れます。
さて、まず、この街に来たからには それがフリーであれ、ツアーであれ、なんとしてもパラドールに 泊まりたいものです。ここに泊まる事自体、十分に意義のあるこだわりだと思います。ただし、 ここ、ヨーロッパに来ても アメリカンタイプの(良く言えば清潔感のある小奇麗な、、悪く言えば 殺風景でどこの国にでもある)ホテルを求める方は 最初から止めた方がいいでしょう。なぜかと言うと、 その様な方にとっては、ヨーロピアンタイプの歴史と伝統を持ったホテルは、単に暗くて、陰気にしか 写らないでしょう。確かに物理的表現をすると、そう言うことなのですから、、。でも、ここ、 ヨーロッパでしか味わう事の出来ない良さ、、、日本で言う”わび、さび”のようなものかもしれませ んねぇ、、、それが、ここには 余りあまるほどに揃っているのです。 夕食も一度はここのレストランで とりたいものです。
オブラドイロと言う、とっても広い広場に面して、カテドラルが建っています。少し離れて この建物を見上げてみましょう。2本の尖塔を持つ巨大な石のかたまりは、なんとなく表面に 苔むしたような?、不思議な色をしています。昔から、多くの巡礼者がこのお御堂を目指して 長旅をを続け、そして、街のすぐ近くにある”喜びの丘”と呼ばれる高台に立った時に、初めて この2本の尖塔を目にすることが出来たのです。数百キロ、或いは1000キロ以上の旅をしてきて、 ついにこの尖塔をその目でとらえた時の喜びと言ったら無かったでしょうね、、。まぁ、それは 置いておいて、石段を登って中へ入りましょう。
入り口をくぐると、すぐに、また別のもっと古い ”栄光の門”と呼ばれる門があります。その門の中央の柱の上に、サンティアゴ(ヤコブ)の像が 置かれています。そしてその柱には いつも人が並んでいることが多いですね。何をしているので しょうか、、、。 そう、長旅の後、やっとたどり着いたこの聖地の入り口でヤコブの像を支える 柱に手を当てて感謝の意を表していているのでしょう。 数限りない人々が手を当ててきた柱には 手の形に擦り減った窪みがありますから、どこに手を置けばいいのかは すぐに判ります。 そして、手を当てながら、その下の石の彫刻に自分の頭をコツンとあてる人が多いのに気づきます が、これは習慣的にそうするようになったもので、ヤコブとは何の関連もありません。日本でも 神社の牛の彫刻に頭をあてると頭が良くなるとか、、そう言った習慣と言うか伝統のようなものが あるでしょう。それと同じことです。ここでも、そうすることによって頭が良くなると言うのです が、それも後に歪んで伝えられたもので、本来はこの”栄光の門”の建築に携わったマテオと言う 名の建築家の頭の良さに与かろう、、と言うことから始まった習慣のようで、手をあてる柱の ちょうど裏に人間の顔の彫刻があるので、その頭に自分の頭を当てるのが正当な方法のようです。 ちゃんとこの正当方で入場手続き?をふんでから中へ進みましょう。。。。
中央の回廊をまっすぐ奥の大祭壇まで進みましょうか。ただし、ミサの最中であれば、横の回廊 から奥へ進みましょう。ここでは一日に何度もミサが行われるので そう言うタイミングで重なった 時には 邪魔をしないように観光しましょう。まず、ここを訪れる人が必ず行う事と言えば 大祭壇の中央に鎮座している聖ヤコブの像に抱擁して、更にその地下に安置されているヤコブの 棺にお参りすることです。これも、特に宗教的に抵抗のある方は全く無理にする必要はありません が、特にこだわらない人は、違う宗教でも、皆さんの旅の安全を見守ってくれたのかもしれません から、少し挨拶ぐらいしていくのも良いのでは無いでしょうか。地下へ降りる階段と祭壇の中央へ 登る階段は それぞれ、一方通行で、入る方向と出る方向が決まっているので、それに従って 入るようにしましょう。入り口には青い電気が、出口には赤い電気が、信号の様についています。
さて、先ほど、このカテドラルでは 一日に何度もミサが行われると書きましたが、その中で 幾つかのミサでボタフメイロと呼ばれる行事が執り行われるものがあります。 これは 一日で数回行われる事もあれば、一度も無いこともあります。これは信者さんには 勿論、そうでは無い一般の観光客の方にとっても、是非とも見てみたい大イベントです。 カテドラルに着いたら、まず、その日にこのボタフメイロが行われるのかどうか、、これを 確認するべきです。何時のミサでこれを行うのかが判れば、信者の方はそのミサに出席されるのもいいでしょう。一般の方は 長いミサをずっと見ているのが苦痛かもしれませんが、最初から列席しないと、途中からでは門を閉ざされて入れてもらえない 事もあります。特に、ヤコブの聖年にあたる年は人も多いので、途中から入れない 場合が多いです。具体的に何をするのかと言うと、巨大な御香を炊くのです。昔からこの 大聖堂を訪れる多くの巡礼者達を集めてミサを執り行う時に 聖堂内を清めるため、そして神に香をささげ、香の煙ととも祈りが天に届くようにと願いをこめ、巨大な御香をたく習慣があったのです。おおきな器に神父さんが御香を3度に分けて(3さじ)入れます。そして、高い天井からつるされたロープにこの器を結び付けます。それからロープの別の端を8人の男性がいっせいに引っ張ることによって、巨大な器があっという間に天井の高さまで持ち上げられます。その瞬間、パイプオルガンの体中に響き渡るような演奏が始まります。 この迫力は近くで実際に見ないと判らないでしょう。。。。ほんの5分ぐらいの出来事です。 これをよーく見るためには 大祭壇の近くに陣取るのは勿論ですが、祭壇の正面は通常、ミサに出席されている方々でいっぱいなので、祭壇の左右に設けられた席のできるだけ前の列に入り込むことです。そうすると、祭壇前の左右に通っているひときわ高い天井を使って、振り子のように振られるこの御香の動きを一部始終見ることもカメラに収めることも可能です。 中でのカメラ撮影、ビデオ撮影は全く自由です。 ただし、常にミサを行っている方々への礼儀をわきまえたうえでの撮影に限りましょう。
大聖堂を正面玄関から出て、左へ進むとオブラドイロ広場から伸びている最もにぎやかな通り、
フランコ通りに入ります。狭い通りですが、活気があります。土産物店、レストラン、
バーの連続です。土産物店では この街ならではの品を置いていますね。帆立貝の貝殻に紐を通して
首からぶら下げるようにしたもの、前述の御香の器のミニチュア版、それから木製の大きな杖に
ひょうたんを括り付けたもの。どれをとってもサンティアゴ巡礼のシンボルのようなものです。
一度はこの通りのレストラン、バーで海産物をつまんで行きたいところですね。ここはスペインでも、一番、海産物が美味しい所です。魚介類、肉料理、全部OKです。魚介類で特にお勧めは 生物が好きな方に限りますが、”生のアサリ”です。 日本では 生牡蠣は良く食べますが
生のアサリは、ほとんど食べたことの無い人が多いようです。生牡蠣も勿論、ここでも食べられますから、好きな方は一ダース単位で注文できます。が、是非ともこの”生アサリ”も試して
見ましょう。生きたアサリをこじ開けて、やはり一ダース単位で出してくれます。アサリは小さいので一人でも一ダースぐらい簡単に食べられます。必ず大きなレモンを添えてくれるので
それを まだ生きているアサリにたっぷりと絞るのです。すると、アサリがにゅうーっと伸縮します。痛いのでしょうねぇ、、、、(笑)。 これを残酷にも食べるのです。こりこりとしてとっても甘みがあって、ものすごく美味しいです。カウンターで簡単に頼めます。
注文する時は”アルメハ・ナトゥラル”と言いましょう。飲み物は 白ワインです。
私は個人的に、赤ワインしかほとんど飲まないのですが、ここ、ガリシアへ行った時だけは白ワインを飲みます。抜群に美味いのです。
一杯終えたら、そのままフランコ通りを進みましょう。すぐに信号のある交差点に出ます。 そのまま信号を渡って公園に入ります。少し奥へ進むと、右斜め前へ自然と伸びていく散歩道に なります。その奥まで行きましょう。そこは少し高台になっていて、そこから大聖堂の遠景をカメラに収めることが出来ます。
尚、カトリック三大聖地の一つであるこの町を、通常の方法では無く、また、単にヤコブ巡礼と言う名前だけを使って実は全く内容を伴っていない一般の旅行会社が主催するツアーでも無く、 本当にカトリック文化に焦点を合わせた巡礼の形で訪れたい方は、信者、信者でないにかかわらず、お問い合わせ下さい。
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