第3回(2002年5月)


右手の爪にマニキュア
 『お姉ちゃん、透明のマニキュアを買って来てく、れ・・・る?』、『何に使うの?』・・・『つめに塗るんや』『エ〜!なんでまた?・・オカマかいな、この子は!』・・・。
私がギターを始めたころ、まだ瞬間接着剤は無かったと思います。とにかく"ラスケアード"を四六時中練習して、爪がいたみ、ギターの先生から聞いてマニキュアを塗るようになったのです。

 『誰ですか? さっきからカラカラ・カラカラ音を出しているのは !』、と先生、・・それはもう授業中であろうが、市電の中であろうが練習していました。右手の小指から薬指、そして中指、人差し指を、握った状態から一つずつ均等にはじき出し、最後は、人差し指を戻した時も音を出し、同時に始めの握った状態に戻る。この繰り返しです。
つまり、五つの音の繰り返しです。力も音も間隔も均等でなければなりません。これが出来ないとフラメンコギターは弾けません。と言われ、とにかくどこでも練習しました。

 今でもよく覚えていますが、通学の市電の中で「カラカラ、カラカラ」、とにかく、音が均等か、力も均等かを集中して自分は聞いているので他の人がどう思っていようがおかまいなしでした。しかし、私の前に座っているおじさんが、私の右手の爪を見、私の顔を見て不思議そうに思っている様子に気が付きました。その時、とっさに私は右手の爪が長いのでギターを弾くのが分かるだろうと思い、おじさんの目の前に出しました。するとこのオジサン・・『(いやらしく) ニヤ〜!』・・・気持ちの悪いオジサンがオバサンに見えたのです。「えっ!!」・・・(オバサン、いや、おっさん、僕、オカマと違うでー!)。

   今なら、男の子がまつげを抜いたり、パックをしたり、耳に輪をつけたり、爪をピカピカに磨いたりで、多くの男がオカマっぽくなっていますから、マニキュアぐらいで変に思う人はいないでしょう? そして今ヨーロッパでは同性同士の結婚を認める国が増えてきていますし、私は沢山の『同性愛』のアーチストを知っています。・・・・・(スペインのオカマ談義はまた後で。) ところで、今の日本では、"オカマ"も差別用語になったのでしょうか? 私は差別感などありませんし、個人差はあるにせよ、同じ「より良いもの」を追及する仲間でしたし、お互いの立場を認めた上では普通に付き合っていました。

 右手の爪には「マニキュア」から「液体ばんそうこう」を塗るようになり、そして「瞬間接着剤」へと、補強のために、十五年以上つけていました。

来月に続く

■エル・アルボンディガのプロフィール


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