スペインニュース・コムがお届する
毎日のトップニュース


8月30日(金)

検事局、フランスにあるバタスナ党事務所の閉鎖要請を検討

現在ガルソン判事はニューヨーク滞在中で日曜日帰国の予定であるが、全国管区裁判所の検事局は、週明けにも判事にフランス・バスク地方にあるバタスナ党事務所の閉鎖のためのフランス司法機関への国際司法援助委託の手続きを要請する意向。
この司法援助委託のためには、まず検事局はインターポールとスペイン警察を通して、バタスナ党がフランスのバイヨンヌにある事務所で引き続き活動を行っている旨の公式証明書を取らなければならない。バタスナ党は火曜日に、郵便物配達先の住所をこの事務所に変えており、水曜日にはETAの元指導者の息子で現在バスク州議会議員を務めているジョス・テルネラ氏が、「バイヨンヌ事務所は"通常と全く変わらぬ状態”で機能している」と発表している。フランスでは協会として登録、保護されているバタスナ党だが、検事局は武装犯罪集団への所属という罪状でガルソン判事の判決を適用し、司法援助委託をすることにより、フランス事務所の閉鎖に関しては法的には何の問題も発生しないと見ている。フランスには政党のあり方を定めた法律は存在しないが、フランス外務省の広報官は昨日「フランスで政党を違法化できる根拠はいくつもあるが、その中に外国からの要求というのも含まれている」と述べており、スペインのいかなる要請についても検討する用意でいるが、政党解体の手続きについては司法経路でなく行政経路で行う方針。
フランスにはバタスナ党だけでなくPNV(バスク民族党)とEA(バスク連合)も籍をおいているが選挙に与える影響はわずかで、Union de Patriotas(愛国者同盟)の名のもとに共同で参選しているものの、先の選挙では全体投票数の1.9%、1934票しか獲得していない。一方、バタスナ党から分裂したアベルツァレン・バタスナ(愛国者連盟)は5.9〜6.4%、7570票を獲得している。

労働災害による死亡者増える

今年に入って最初の6ヶ月間の労働災害による死亡者数は昨年同時期に比べて9.96%の増加、仕事中の事故で亡くなっている574人の大部分は建設業またはサービス業に従事していたことが、この度公式の発表でわかった。労災事故死者数の増加は労働条件の悪化を意味しており、算出方法が議論の的になってはいるものの、スペインがヨーロッパで最も労災事故死の多い国であることは確かで、スペインは死亡者の5人に1人を生産している。
死亡者の増加に対し、労働災害事故全体の数(472,104件)は昨年比4.36%減。これは事故数が前年比3.78%増、死亡者数が前年比9.08%減の昨年とは全く逆の現象で、この結果を労働組合側は「問題改善のための政治家の意欲欠如」のせいだと政府を非難している一方、労働省側は、政府の努力が事故数全体の減少という結果をもたらしたと述べている。
労組側と政府で意見の食い違いが見られるものの、両者は、労災事故を減らすためにはしなければならないことがまだたくさん残っているという共通の見解を持っている。「我々の最大の弱点は、適切な処置をとるための情報を持たないことです」と労働省からの独立機関である国立労働安全衛生協会のレオデガリオ・フェルナンデス氏は語る。この協会は、スペインが持つ第三世界に匹敵する労災数を減らそうと努力を続けているが、好結果の獲得に時間を要している。
事故についての報告は、同様の事故が新たに起こるのを防ぐために不可欠であるが、現在使用されている報告書用紙では、十分なデータが得られないとレオデガリオ・フェルナンデス氏は認めている。協会職員によると、死亡者の国籍、下請け会社で働いていたのか人材派遣会社者か等のデータを含んだ新たな報告書用紙に変える予定だという。
労働組合はまた会社側を、労働危険回避法を守っていないとして非難している。1995年の改正で、労災に際しての雇用主の責任、懲罰が重くなっているが、多くの調査によって大半の会社がこの法律について知らないことが明らかにされている。しかし、建設会社で作る国内建設連盟のホセ・ルイス・パストール書記長は、「大部分の会社はこの法律について隅から隅まで把握している」と反論している。この法律の問題点は、6人以上の従業員がいる建設会社に労働危険回避の責任者がいなければならないとしている点で、90%以上が中小規模企業で構成されているスペインの建設業界では、ほとんどの会社が法の適用外になっている。また、この法律は、自社の業務内容内で予見される事故についての評価報告書作成を義務づけているが、労働組合の調査では70%以上の会社がこれを行っていないという。
ヨーロッパ全体では昨年登録された労災の死者数は5500人で、そのうち1030人がスペインで亡くなっている。しかし、ヨーロッパ諸国の多くでは例えば通勤中の事故は労災と認められておらず、スペイン政府はスペインの労災認定が他の国より広範囲に適用されているための数値であるとしているが、労組側はこのデータは公式に認められたものだとし、スペイン政府が労災を減らすためにもっと真剣に取り組むことを求めている。

スペイン内務省、カナリア諸島の不法入国者400人を国外追放

内務省は、この10日間でスペインと自国民再受け入れ協定を結んでいるアフリカでは唯一の国々のモロッコとナイジェリアへ350〜400人の不法入国者を送還することを決定した。これは、収容人数が600人を超えパンク状態になっているフエルテベントゥラ島の旧空港ターミナル収容センターの状態を改善するためで、まず昨日40人が飛行機でアルメリアに移送され、彼らはその後メリジャに船で渡り、ベニ・エンザル国境検問所でモロッコ当局に引き渡されることになっている。モロッコに最も近いスペイン、カナリア諸島では今年に入って7ヶ月の間に3000人以上の不法入国者が逮捕されている。
昨日収容人数最高記録が作られたフエルテベントゥラ島の旧空港ターミナル収容センターには1500メートル四方に605人(うち53人が女性でそのうち20人は妊婦)が詰め込まれており、不法入国者の急増により、軍隊がホテルから200のマットレスを運び込んだ。
収容されているサハラ周辺諸国出身者からナイジェリア人を探し出す作業が行われているが、強制送還されないために身分証明書を持たず、当局者をだまし通そうとする者が多く、作業は難航している。
人道的観点からして現在の収容センターの状態は数ヶ月前に人権擁護団体から抗議があったときよりも悪化しており、552人の男性でシャワー2つ、トイレ4つ、洗面台9つを使用、52人の女性は飲用水のボトル、トイレットペーパー、毛布などを保管してある倉庫に閉じ込められており、ここにはトイレ1つ、シャワー2つ、洗面台2つしかない。
10人に水疱瘡の感染が認められているが、必要な診断をするための医療設備の不足により、その他の伝染病感染があるかどうかはわかっていない。女性に妊娠検査が行われていないため、現在わかっている20人(うち6人は未成年)以外にさらに妊婦がいる可能性もある。
一方、昨日タリファ(カディス県)の海岸では、治安警備隊が数艘の船でやって来た乳児1人と4人の女性を含む計101人の不法入国者を新たに逮捕している。

バスケットボール世界選手権開幕

アメリカのインディアナポリスでバスケットボール世界選手権が開幕、ガードの控えマルコ選手が7本中5本の3ポイントシュートを決める活躍をしたほか、ガソル選手、フェリペ・レジェス選手も期待通りの活躍で、スペインは初戦の対カナダ戦を85−54の勝利で飾った。今日スペインが対戦するユーゴスラビアはアンゴラに113-63と大勝している。


8月29日(木)

バタスナ党、フランスでは活動続行

スペイン国内での活動禁止命令にもかかわらず、バタスナ党のフランスでの活動は堂々と続けられている。ガルソン判事の判決の効力はインターネットにまでは及ぶが、スペインとの国境からわずか26キロのバイヨンヌには届かない。昨日のバイヨンヌの事務所がいつもと全く変わらない状態で機能している一方、、バスク州警察はビスカヤ県にある5つの事務所を新たに閉鎖。国家警察もナバラ県の3つの事務所を閉鎖し、閉鎖された事務所はバスク9、ナバラ12の合計21となった。
フランスではバタスナ党は協会として登録されており、この協会は2001年にフランスのアベルツァレン・バタスナ(愛国者連盟)から分裂して作られたETAのテロ活動を糾弾する目的のもので、20世紀初頭に作られた法律の保護のもとにある。法律的には別々の国に登録された別々の機関であるが、実際にはガルソン判事が閉鎖を命じたバタスナ党のホームページにフランス、バイヨンヌ事務所の住所が出ているように、同じ団体である。スペイン政府関係者の話によると、公式にはいまだ要請が出されていないが、スペイン政府はフランス政府に、バタスナ党をスペイン政府と同様に扱うことに協力を求めているという。しかし、フランス外務省広報官はフランスにバタスナ党の組織があることを無視した上で、「バタスナ党の活動停止はスペイン政府の執行できる権限内にある」と述べるにとどめている。
バスク州政府のジョス・ジョン・イマズ広報官は、バタスナ党がナバラ州で国家警察に対しては見せなかった抵抗をバスク州では見せたのが、バスク州政府とバスク州警察の信用を失墜させるための“ショー”であったとして、昨日アルナルド・オテギ氏とバタスナ党を糾弾する発言をした。イマズ氏はビトリアで、PNV(バスク民族党)は25年前にすでに“決裂か改革か”についての討論に結論は出しており、バタスナ党がどれほど騒ぎ立てたとしてもバスク州政府は今更耳を貸すことなく、民主主義と地方自治権を守ると述べた。また氏は、司法機関の決定は常に守らなければならないのだから、バスク州政府はプロとして課された任務をまっとうしたのだともコメント、バスク州での閉鎖取り掛かりが遅れたことについては、作戦が複雑で、遂行する前に全国管区裁判所との間で解決しておかなければならない事項があったためであると説明している。
その一方でバスク州内務局は、9月7日にビルバオで“ファシズム反対”というスローガンのもとに2人の市民が個人的に召集するバタスナ党違法化反対デモを、「法律が求める条件をすべて満たしている」「開催を許可できない理由はない」として許可している。

セビジャの大学に立てこもっていた不法滞在移民の半数は強制送還済み

今月8日に滞在合法化を求め、2ヶ月間にわたる立てこもりの後、警察の介入によりセビジャのパブロ・オラビデ大学から強制的に退去させられた不法滞在移民275人のうち、半数がすでにスペイン領土内から追放されていることが警察関係者の話により明らかになった。スペイン内務省はこの件に関して公式に情報公開を行うことは拒否しているが、昨日関係者が明らかにしたところによると、少なくともセウタのセンターに収容されていた128人はアルジェリアに送還されているという。
アンダルシアの人権擁護委員事務所は、これらの不法滞在移民がその後どこでどういう扱いを受けているのかについての情報を全く流さなかったとして内務省を非難している。セウタの移民一時収容センター関係者によると、これらの移民たちはアルジェリアに向けて今月17日に7人、18日に8人、といった風に26日までにわたって少人数グループにわけて徐々に送還されていったという。
一方、昨日タリファ(カディス県)の海岸ではスペインに上陸しようとしていた船3艘、合計72人の不法入国者を治安警備隊が逮捕、最初に見つかった船には9人のマグレブ地域出身者と4人のアジア出身者が乗っており、2艘目には28人のサハラ周辺地域出身者、9人のマグレブ地域出身者、最後の船には22人のマグレブ地域出身者が乗っていたという。

スペイン経済、伸び悩み

国立統計局(INE)の昨日の発表によると、今年第二期のスペイン経済成長率は昨年同時期と比べて2%の成長を見せているという。第一期(1月から3月)も同じ数字であったことから、今年の前年比成長率は今のところ2%で、輸出部門での回復の助けにより、家庭での消費が落ち込んでいるものの、成長率の低下は防がれている。
国立統計局のデータによると、4期連続でスペイン経済は成長に減速が見られており、4月から6月の国内総生産(PIB)の成長はわずか0.4%。年間成長率2%は1993年末以来最も低い数字で、年間目標の2.2%にはまだ遠い。市場を活性化する要素の一つである家庭での消費はこの12ヶ月で1.7%成長と衰弱化が見られる。国立統計局によると、これは食費と非消耗品への出費が減ったためで、この現象は昨年から貯蓄率の増加という形となって現れている。
一方、国内需要の低下に反して対国外部門は回復をみせており、輸出部門は第一期マイナス2.5%だった成長率が今期マイナス1.4%にまで減少しており、成長率全体の低下を食い止めている。
政府経済担当官のルイス・デ・ギンドス氏は「スペインの経済成長伸び悩みはこの2%という数字で底を打った」と保証、デ・ギンド氏はプレス向けの講演で、年間2.2%の成長率は到達できる数字であると述べた。


8月28日(水)

バスク警察、バタスナ党事務所を力づくで閉鎖

バルタサル・ガルソン判事のバタスナ党活動停止命令遂行を阻止しようと、昨日バスク州の3県都にあるバタスナ党事務所には幹部が立てこもり、事務所の前には支持者が集結した。
警察の介入は午後4時半にビトリア事務所で始まり、15分後にビルバオ、続いてサン・セバスティアン事務所に突入した。40人の警官隊が遂行したビトリアの事務所閉鎖に際しては特に支持者との衝突は見られなかったが、約300人の支持者が集まったビルバオの事務所では最も大規模な衝突が起きている。4台のバンでやって来たバスク州警察が周辺をテープで囲んで封鎖した後、すぐに事務所に警察が入るのを妨害しようとする支持者との間で衝突が起こった。この間、1人の警官が警棒を奪われ、支持者の1人がパニック状態に陥り救急車で運ばれたが大事には至っていない。「給料をもらっている暗殺者」など罵声を浴びせられた州警察の警官たちは事務所の扉にたどり着くまで45分を要し、扉はバールでこじ開けなければならなかった。バタスナ党は警官隊の到着に備えて前もって周到に舞台を用意しており、EA(バスク連合)と共有している建物のバルコニーにはバスク語で「進めバタスナ党!バスクに民主主義を!」と書かれた垂れ幕を下げ、党幹部が手錠でバルコニーの手すりに自ら繋がれ、立ち退きを拒否した。
一方、サン・セバスティアンでは、PP(国民党)とPSOE(社労党)の事務所に向かおうとしていた400人を州警察が阻止、これに対しバタスナ党支持者たちは警察にガラス瓶を投げるなどして抵抗。バスに石を投げた3人と、バスに火をつけようとした4人の計7人逮捕、2人が負傷した。
バスク州での事務所閉鎖は昨日、ガルソン判事が閉鎖を阻止しようとする者をすべて立ち退かせるための新たな命令を出した後に始められた。ナバラ州でのバタスナ党事務所閉鎖に比べてバスク州での閉鎖が遅れたのは、州政府が全国管区裁判所に閉鎖を強行するためのこの新たな命令を要請していたためであるが、州政府広報官のジョス・ジョン・イマズ氏は命令遂行が遅れた理由は政治的なものではなく、物的・人的準備のためであったと発表している。
ビルバオ事務所事務所閉鎖の後、アルナルド・オテギ氏はバスク州知事のフアン・ホセ・イバレチェ氏(PNV)をスペインと取引し、彼の警告にもかかわらず“スペインの法律”を守ったと非難し、「中央政府がバタスナ党に対し画策した残忍な攻撃にかかわるべきではなかった。」とコメントした。バタスナ党事務所前に集まった支持者たちも「裏切り者」、「スペイン支持者」とPNV(バスク民族党)を罵倒、党にとってもバスク州警察にとっても“新たな時期”が始まると予告、「戦争をしたいならくれてやる。戦闘がいまや唯一の道だ」と述べたが、ETA支持のコメントはされなかった。

バスク政府、PPとPSOEを非難

バスク州政府は、ETAとその暴力行為と闘うためバスクの民主主義政党が努力して探ってきた協力の道が絶たれたと考えている。昨日サン・セバスティアンで、バスク州政府のイマズ広報官はPP(国民党)、PSOE(社労党)を始めとする大部分の政党が月曜日国会で承認した、法律によるバタスナ党の違法化は、今年に入って民主主義政党の間で持たれていた政治的協調を壊したと述べた。イマズ氏の見解では、これにより、バスク州政府とバタスナ党の間で築き上げられつつあったETAのテロ活動に対し共に闘うという絆が切れてしまったという。氏は、バスク州政府もバスク州議会も、バスクの人々の大半と共にバタスナ党違法化には反対で、PPとPSEの支持者の中にもこれに反対する人々がいると断言、バタスナ党を違法化することは“バスク人社会の一部を違法化”することであり、否定的な結果をもたらし得ると述べた。
イマズ氏は、国会の承認したバタスナ党違法化とガルソン判事の活動停止命令により、バタスナ党がさらに急進民族主義化することを保証、内部分裂により自治州の選挙で大幅に議席を減らし、バタスナ党への支持が弱っている今は党を違法化するのに適当な時期ではなかったと言い切っている。
一方、法務大臣のホセ・マリア・ミチャビラ氏、PPのハビエル・アレナス書記長、PPバスク州代表のカルロス・イトゥルガイス氏は、昨日、今こそバスク州政府と中央政府が協力するときだという内容のコメントをしており、UGT(労働総同盟)のカンディド・メンデス氏は今回の議会の決定に対し、「民主主義的方法として、難しいが必要な選択であった」と述べている。

相次ぐ移民逮捕にフエルテベントゥラの収容センターパンク

月曜日の夜、新たに3艘の船に乗った73人の不法入国者(うち11人が妊婦)がカナリア諸島のフエルテベントゥラ島で逮捕されたことにより、この島の収容センターにいる移民の数は862人となった。6つのトイレを備えた旧空港ターミナルを利用した収容センターにこれらの移民は詰め込まれており、すでに人権擁護委員とアムネスティ・インターナショナルから抗議が寄せられているが、もう一つの収容センターも飽和状態。一方、ランサローテ島の収容センターでは水ぼうそうの集団感染が秘密にされていたことが明らかになっている。
治安警備隊の発表によると、4日間で10艘のボート、180人が不法入国を企てて逮捕されたため、フエルテベントゥラ島とランサロテ島の収容センターはパンク状態だという。収容人数の最大限度が365人の旧空港ターミナルを利用した収容センターには496人、旧兵舎を利用したもう一つの収容センターは最大限度293人のところ320人が収容されていたところへ、一昨日夜、新たに3艘の船に乗った主にマリ、、ナイジェリアの不法移民73人が到着した。
1つ目のセンターには赤十字社看護婦とソーシャルワーカー、の半日勤務の医師が1人ずつおり、もう一つのセンターには内務省から派遣されている医師がいるというがまだ確認されていない。1999年11月に一時的に開かれた旧空港のセンターの衛生状態は救いがたいもので、トイレは90人に1つ。人権擁護委員、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマンライツ・ウォッチ等の人権擁護団体は伝染病の発生を危惧している中、12日に1艘のボートでランサローテ島に着いた6人の移民が水ぼうそうにかかっていたことが昨日発覚、事態は収拾されているというがこの6人は引き続き入院中である。


8月27日(火)

臨時国会、バタスナ党違法化要請案を可決。

昨日開かれた上院の臨時国会で、賛成295票、反対10票、棄権29票という数字でバタスナ政党の違法化を最高裁判所に要請する事を決議した。賛成票を投じたのはこの要請案の主導者であるPP民衆党とPSOE社会党の他に、CCカナリア連合、PAアンダルシア党。反対票はバスク民族主義政党であるPNV(バスク民族党),EA(バスク連盟)とカタルーニャの民族主義政党であるIniciativa per Catalunya(カタルーニャ主導党)とERC(カタルーニャ左翼共和党)。棄権したのはCiU(カタルーニャ州政府与党の穏健民族主義政党)、BNG(ガリシアの穏健民族主義政党)、Chunta Aragonesista(アラゴンの穏健民族主義政党)など各地方で勢力を持つ民族主義の政党に加えて、IU(統一左翼)も棄権票によって「バタスナの違法化には賛成だが、政府がイニシャチブをとっているその違法化の方法には反対。テロ行為を擁護する政党の違法化は司法権から行われるべきで立法府や政府から行われるべきでない。」との考えを示した。 PSOE社会党は政党法の条項にある「民主主義の基本理念」をバタスナ政党が冒している事を根拠にバタスナ党の違法化を要請する点においては与党PP民衆党と協力しているが、その討論の中で民族主義系民主政党に対する姿勢においてはPP民衆党と考えを異にしている事を明らかにした。 PP民衆党代表は反対票を投じたバスク州政府与党のPNVを熾烈に批判し、棄権したカタルーニャ州政府与党CiUにも攻撃の矢を向けたのに対し、PSOE社会党はイェスかノーかの二者択一的発想ではなく、民主主義政党もふくめていかにして全ての民主主義政党が一致してテロを擁護する政党を隔離していくかが重要であると述べた。またIU左翼連合代表もPP民衆党代表の発言に対し、政府の案に反対するものは全て悪者とするような考え方こそが民主主義に反していると批判。与党PPと政治協定を結んでいるCiUは、先の政党法決議の際もPP主導の決議案に反対票を投じアスナル首相の怒りを買ったが、今回も民族主義政党としてのイデオロギーを貫き棄権票を投じた。

ガルソン判事、バタスナ党の政治活動停止を命ずる。

立法府においてバタスナ党の違法化要請案が決議された昨日、刑事法を司る全国管区裁判所のガルソン予審判事は10年余にわたって行ってきたバタスナ党のテロリズム幇助活動を摘発するための捜査活動の成果として、バタスナ党の活動停止を命令する判決を下した。バタスナ党への一切の経済援助の打ちきり、全ての選挙へ立候補者を送る権利の停止、一切の政治活動の停止を命ずるこの判決は速やかに国家警察およびバスク州警察エルチャインチャに伝えられ、昨夜パンプローナにあるバタスナ党本部を始めバスク地方各地にある同党の主要支部は警察機動部隊の手によって封鎖された。
ガルソン判事がこの判決を下すとすぐ、バタスナ党スポークスマンのアルナルト・オテギ氏は、「街に出てバタスナ本部の前に集結しスペイン国家警察の武力による封鎖を阻止しよう」と党員に呼びかける一方、バスク州政府および州警察エルチャインチャに対し、スペイン国家警察が武力で行おうとするバタスナ党本部封鎖行為に「協力しないよう」呼びかけた。これに対しバスク州政府は「司法権が下した命令に従う」と表明。午後4時頃からバタスナ党の各地の支部には幹部が立てこもり建物の周りには党員を始めバタスナ支持者達が集まって来た。バタスナ支持者たちとの衝突を最小に留める為に国家警察の武力介入は深夜を待ち23時過ぎに行われた。パンプロナの中央本部を始め各地の支部から党幹部を退去させて封鎖を完了する作業は夜半過ぎに武力衝突や怪我人・逮捕者を出すことも無く達成された。このバタスナ党の政治活動停止命令に対し、アルノルド・オテギ氏は「バタスナ党の違法化はバスクの政治環境を著しく悪化し、PNVとの協調による平和模索の道をはばむ。」と発言し、ガルソン判事の判決に真っ向から対立して行く意志を表明した。

偽の噂に引き寄せられ、数百人の違法移民がバルセロナに押し寄せる。

これが始めてではないが、またしても「今バルセロナにおいて新たな移民合法化手続きが行われている」というデマの噂が飛び交い、カタルーニャ地方を始め各地に居る不法滞在移民者が大挙してバルセロナへ押し寄せた。数百人の人々が移民局バルセロナ派出所に近い中央郵便局から「合法化手続き申請書」を郵送する為に駆けつけ、同郵便局は大混乱となった。スペイン政府のバルセロナ駐在官は「今回も今後も新たに移民合法化措置が取られる事は一切無い」と断言したのにも関わらず、藁をもつかむ心境の不法滞在移民達は中央郵便局所長の「他の郵便局から出しても同じ」という言葉にさえ耳をかさず、最終的に警察が介入して強制退去させるまで、じっと長い長い行列を作って居た。

労働市場が活発になると学生数が減る

労働市場が活発であればあるほど16歳以上で学校に行っている人の数が少なくなるというのが、信用金庫カイシャ・カタルニャの調べによりわかった。
労働市場が活発なことで知られているバレンシア州、カタルニャ州、ムルシア州では義務教育でない教育を受けている学生の割合が少なくなっている。この3州では就職が簡単なため、多くの若者がスペイン平均より低い学歴で済ます傾向が見られる。しかし、労働市場が活発なもう一つの場所マドリッドでは同じ現象は見られない。マドリッド自治区は、スペイン平均をはるかに上回るスペインでも有数の高学歴地となっている。
調査したバルセロナ自治大経済学教授ジョセップ・オリベル氏は、この理由を中央政府や各企業の本社の集まるマドリッドでの求人条件が厳しいためであると見ている。スペインで最も学生の割合の多いのはアストゥリアス州、次にカスティジャ・イ・レオン州となっている。この2つの州は、労働市場が不活発で、若者は就職口が見つかりにくいために学業を深める傾向がある。その他にスペイン平均より学生の割合が多かったのはパイス・バスコ、ナバラ、アラゴン、カスティジャ・イ・レオン、アストゥリアスの各州。
同様の調査は今年の2月に“裸の王様−学校教育の失敗”というタイトルで、オクタビオ・グラナド前社会党上院議員とドミンゴ・コマス社会学教授によって行われており、大学教育がよりよい就職先を保証するという神話の崩壊について言及している。1989年には83%の両親が自分の子供に大学に進学してほしいと答えていたのに対し、2001年にはその割合が51%に落ちている。これは若者同様両親も、重要な社会ポストに就くには大学進学が必ずしも必要ではなく、働きながらでも達成することができることに気づいたからだと考えられており、この傾向は女子より男子に多く見られる。女子は男子より就職が難しいため、男子より義務教育後も学業を続ける人数が多くなっている。
1987年から2001年にかけて行われた16〜28歳の両親と同居している人を対象にした調査では、“両親の学歴が高ければ高いほど、その子供の学歴も高くなる”という結果も出ている。マドリッド、カタルニャ、ナバラでは両親の学歴がその他地域より高い。逆に学歴が低いのは、アンダルシア、カナリア諸島、カスティジャ・ラ・マンチャ、エクストレマドゥラ、ムルシア、セウタ、メリジャとなっている。
家庭の経済状況も学歴には関係している。両親の収入が多ければ多いほど、その子供の学歴は高い。経済状況が同じ家族を比べると、両親の学歴の高い方が子供も高学歴の傾向を見せている。
しかし、高学歴化が常に好結果を招くとは限らない。高学歴を修めたはいいが、就職先で求められる仕事が自分の修めた学業レベルより低いこともある。「給料の額を決定するのは学歴ではなく、その人の仕事における生産性である」と報告書は指摘している。


8月26日(月)

臨時国会審議今日開催

PP(国民党)とPSOE(社労党)、CC(カナリアス連合)とアンダルシア党の賛成票により召集が決まったバタスナ党違法化審議のための臨時国会が今日、開かれる。 この臨時審議では、“多数決制民主主義を脅かしている”としてバタスナ党を違法化することが最高裁判所に正式に要請されることになる。
PPの名においてホセ・アントニオ・べルムデス・デ・カストロ氏、PSOEの名においてフアン・フェルナンド・ロペス・アギラル氏により作成されたこの要請書は、今年6月29日に承認された政党法の適用条項と、その日以降のバタスナ党の特に反民主主義とみられる行動について記述されている。金曜日、夏期休暇後初めて行われる閣僚会議でこの要請書が承認され、政党法に違反しているとしてバタスナ党を違法化するよう政府から正式に最高裁判所に要請されることになる。
要請書の内容は“バタスナ党が、政党法により守られている民主主義の原則を侵害している”ことを基礎に、この政党がテロと密接に関係していることに言及、べルムデス・デ・カストロ、ロペス・アギラル両氏は、「バタスナ党は民主主義の投票により達成できないことを、脅迫により達成しようとしている」と述べている。しかし、政党法適用前まで遡ってバタスナ党の行動に言及することはされておらず、またバタスナ党違法化の根拠となる具体的な行動については、政府がこの後用意する、最高裁判所に違法化要請をするための司法報告書の記述に任せられる。
違法化への各党の姿勢は1週間前の国会常任委員会時と同じで、CC、アンダルシア党はPP、PSOEと同じく違法化に賛成、PNV(バスク民族党)、EA(バスク連盟)、Iniciativa per Catalunya(カタルニャ主導)、ERC(カタルニャ左翼共和党)は反対、CiU(カタルニャ連合)、IU(統一左翼)、BNG(ガリシア民族主義団体)、アラゴン党は棄権に投票する予定。PNVのスポークスマン、イニャキ・アナサガスティ氏は昨日、アスナル首相を“民主主義ナショナリストに対してテロリスト疑惑を植え付けようとしている”と批判、「アスナル氏は、PNVやCiUといった民族主義政党に対する国民的否定風潮を創り出しており、このままだとすべての民族主義政党を違法化しかねない」と述べた。

12自治区に大雨警報

アストゥリアス、カンタブリア、バスク、カスティジャ・イ・レオン、ナバラ、ラ・リオハ、アラゴン、バレンシア、ムルシア、カスティジャ・ラ・マンチャ、バレアレス、カタルニャに1時間30立方メートルを越える大雨の警告が出されている。木曜日から続くこの悪天候で、マジョルカ島で航海中の水夫が1人亡くなっている。
気象庁の予報によると、12の自治区で一時的にあられと強風を伴った大雨が予想されている。警察は市民にラジオなどによる公式の情報に気をつけているよう呼びかけ、車をやむを得ず使う場合は速度を落とし、十分な注意を払った上で運転するよう警告している。
嵐に見舞われた土曜日の午後にはバレアレス諸島のアンドリチョル岬沖で、エンジンがかけっぱなしになった操縦士のいない船が見つかり、乗組員の遺体がサンタ・ポンサ海岸で見つかった。さらに、川の激流に飲まれて行方不明になっていた2人は、昨日正午頃、無事救助されている。
一方、ギプスコア県を襲った嵐により、サン・セバスティアンの中心街が浸水したほか、船4艘が沈没、車1台が水に流され、11人が自宅から非難した。ギプスコア県その他の町でも浸水、地すべりが報告されており、地すべりのため、数時間にわたり遮断された道路もある。地域は現在は通常の状態に戻っているが、引き続き警戒体制が敷かれている。
気象庁は今日も、カタルニャ、バレアレス諸島、バレンシア州でところにより一時的に局地豪雨があると予想している。

週末の交通事故32件

昨日午前10時半ころ、バジャドリッド県のトルデシリャスとシグエニュエラ間の道路でトラクターがサイクリストのグループをはね、62歳男性が死亡、2人が負傷した。
この事故は週末に起きた32の交通事故のうちの1件で、この週末だけで32人が死亡、28人が負傷している。グラン・カナリアス島のラス・パルマスでは昨日午前8時半、対抗車線に飛び出したゴミ収集車が満員のバス1台に衝突、その他乗用車6台を巻き込んだ事故を起こし、8人が重症を負っている。
午後1時半にはエクストレマドゥラの高速道路で数分の間隔で交通事故が2件発生。最初の事故は、トラック同志の衝突で、3人が負傷、次の事故では少なくとも乗用車4台が巻き込まれ、女性2人と子供2人を含む9人が負傷した。

タリファとフエルテベントゥラで178人の不法入国者を逮捕

スペインに新たな不法移民上陸の波が押し寄せている。この週末、タリファ(カディス県)には2艘のボートで100人、カナリア諸島のフエルテベントゥラ島には5艘の木の船で78人がたどり着いており、警察はボートの操縦者5人も逮捕している。
タリファのカモロ岬沖1マイルで最初に船がみつかったのは昨日の午前7時、57人のマグレブ地域(チュニジア・アルジェリア・モッロコ三国の総称) 出身男性が乗っていた。午前9時半には37人のサハラ砂漠周辺地域出身者(男性19人、女性16人、乳児2人)を乗せた船を警察が発見。さらに3人のマグレブ地域出身者を乗せたボートも見つかり、彼らは全員、タリファの収容センターに移された。
フエルテベントゥラ島では、エンタジャダ灯台沖4.5マイルで島に着こうとしていた船のライトをパトロール中の警察が発見、モロッコ人18人と船の操縦者2人を逮捕した。明け方3時ごろには20人のモロッコ人男性を上陸させたばかりで西サハラ方面へ戻る途中であったボート2台を発見、操縦者2人を逮捕、数時間後にはグラン・バジェ海岸で40人を乗せたもう1台のボートも見つかっている。

週末のスポーツの結果

サッカー:スペルコパ第2戦がバレンシアで行われ、デポルティボが1−0でバレンシアに勝ち、1回戦との成績を合わせて4−0とし、3度目の優勝を飾った。デポルティボはこれまでスペルコパに出場した3回とも優勝している。一方のバレンシアは開始2分後のアヤラ選手の退場がひびいた。
バイク:チェコ・グランプリ、125CCレースで8人の選手が勝負をかけた最後のカーブで、9月に17歳になるダニ・ペドロサ選手が3位で抜け出し、残り数メートルでフランスのアルノー・ビセン選手を抜き、イタリアのルチオ・チェッキネッロ選手に次ぐ2位に入った。4位に入賞したのは弱冠15歳のエクトル・バルベラ選手。一方250CCのフォンシ・ニエト選手は自分でも認めるコーナリングミスで、4位。6年連続優勝をめざす現在総合順位1位のイタリアのメランドリ選手との差が37ポイントに開き、総合優勝は難しくなった。
ラリー:ドイツ・ラリー最終日の昨日、カルロス・サインス選手はエンストにより2分を無駄にし、順位を5位から8位に下げた。雨のせいで地面の状態が絶え間なく変わり、サインス選手はタイヤ選びに苦労したが、最終結果は1位のフランス人セバスティアン・ローブ選手と6分17秒差の8位。現在、サインス選手は総合成績でフィンランドのグロンホルム選手と25ポイント差の2位につけている。


8月23日(金)

ETAメンバーがパリの刑務所から脱獄

先週の土曜日、パリのラ・サンテ刑務所からETAメンバーのイスマエル・ベラサテギ・エスクデロ容疑者(32才)が脱走していたことが昨日わかった。ベラサテギ容疑者をその日面会に来た兄ホセ・アントニオが彼に取って代わるという方法での容疑者の脱走は、5日後の昨日、兄がすりかわりを告白するまで当局に気づかれていなかった。
ベラサテギ容疑者は5月の終わりに同刑務所に収監されていた。警察は彼が昨年夏のガンディア、マラガ、マドリッド、サロウでの車両爆弾テロに関与していたものとみている。
ベラサテギ兄弟が面会をしたのは、1867年に建てられ、20年前から閉鎖が検討されているラ・サンテ刑務所内にある4メートル四方の面会室で、監視はついていなかった。面会室には二人を隔てる鉄格子はなく、鋼鉄製の鍵付扉があるだけであった。兄弟はその部屋で衣服、身分証を交換、髪型までをも変え、45分の面会時間終了後、イスマエル容疑者は面会者用の扉から退出。鉄格子、セキュリティチェックも通り、刑務所の正門から堂々と脱獄した。
脱獄が発覚したのは昨日の午前中で、ホセ・アントニオ容疑者が看守に刑務所長に渡すようにと書簡を預け、その中で弟の脱走について告白したためであった。「18ヶ月しか違わない彼らは非常によく似ていたため、看守も気がつかなかった」と刑務所長は述べている。
同刑務所には他にもETAのメンバーが収監されていることから、当局では彼らもベラサテギ容疑者の脱走に手を貸したのではないかと見ている。ベラサテギ容疑者が逮捕されたのは今年の5月14日夜で、車両爆弾用の車を盗もうとしているところを捕まっており、ベラサテギ容疑者と一緒にいたもう1人の男は逃げのびている。
看守によると、家族や弁護士との面会用に使われる収監者身分照会用の見えないインクは、拒否する収監者が多く、看守との紛争のタネになっていたためここ数年、使われていなかったという。 フランスのマスコミから“あまりにも馬鹿げていて信じられない”と批判されている今回の脱走に関して、フランス当局は調査を開始し、よほどの幸運に見舞われない限り難しいと誰もが考えているものの、ベラサテギ容疑者を探し出すことに取り組んでいる。
ラ・サンテ刑務所の看守600人の労働組合によると今回の脱走は“予見できたこと”であったという。公式には1236人を収監できるとされているラ・サンテ刑務所だが、先の政府によって保安上の問題により上限は900人と定められた。しかし、実際にはパリの南に位置する4ヘクタールのこの刑務所に裁判待ち、あるいはすでに懲役を受けている1400人が収監されていおり、看守1人につき、80〜100人の囚人を監視しなければならなくなっている。
現在収監中のベラサテギ兄容疑者は、このままフランス当局からの起訴があるまでラ・サンテ刑務所に残る。脱走幇助は最高10年の懲役刑であるが、二人が兄弟であることから、ホセ・アントニオ容疑者に対しては、テロ目的の脱走幇助という罪状が適用されない可能性もある。

検察局もガルソン判事の決定を支持

全国管区裁判所のガルソン判事のオフィスに今朝、バタスナ党の法的代表者ジョネ・ゴリセラヤ氏(バタスナ党メンバーでETAの弁護士でもある)が呼ばれ、判事からバタスナ党の活動一時停止命令を出す意向を伝えられた。
ガルソン判事が、刑法にのっとりバタスナ党の最高5年までの活動一時停止命令にサインするのは月曜日と見られている。
一方、全国管区裁判所のヘスス・サントス検察官は今日にも“彼らの度重なる犯罪行為防止のために”バタスナ党の活動停止を後押しする内容の報告書をガルソン判事に提出する予定。
判事が3日前に提出を求めたこの報告書は警察からの62の報告書を元に作成されたもので、検察官によると「バタスナ党がETAという組織の基盤とも言える一部分を担っていることは明白である」という。
50ページにわたるこの報告書は、ETAとバタスナ党のつながりは明白であると保証し、バタスナ党が資金、メンバー、技術、資財の提供等においてサンタ・ポラで起きたようなテロを起こすためのETAの重要な“道具”となっていると指摘している。

4千億ペセタ以上がいまだユーロに交換されず

先月いっぱいで一般の銀行でペセタをユーロに無料交換できる期間は終了したが、スペイン銀行の発表によると、4036.52億ペセタ(24.26億ユーロ)がいまだに紙幣、コインの形でユーロに交換されずにいるという。
今月からは、ペセタをユーロに換えたい人は誰でも無料で各地のスペイン銀行で換えてもらえ、この交換期限は無期限。しかし7月終了時で、前月より15%少ない12.4億ユーロのペセタ紙幣、10.6億ユーロのコイン(前月からの大きな変化なし)が交換されずにいるという。

レアル・マドリッドとインテル・ミラン、ロナウドの移籍をめぐって会談

スペインのラジオ局カデナ・セルによると、レアル・マドリッドのホルヘ・バルダノ専務とインテル・ミランのマッシモ・モラッティ会長は、昨日フォルメンテラ沖に停泊しているヨットの中で行われた会談ですでにロナウドがマドリッドに移籍することで合意に達しているという。
両チームの間で今日も話し合いが続けられるのは、移籍金の交渉のためであるといい、両チーム間の取り決めにより、交渉は24時間以内に終えなければならない。
インテルはロナウドと交換に6億ユーロを要求。しかし、マドリッド側はエクトル・クーペル・コーチとの確執が公になり、負傷中の3シーズンも彼を見捨てなかったチームへの恩を忘れているとファンからもそっぽを向かれている選手にこれだけの金額は払えないとし、モリエンテス選手と1.2億ユーロ、さらにフラビオ、ソラリ、ムニティス選手の中からインテルが選ぶ選手1人という条件で移籍契約を済ませたい意向。
バルダノ氏は、今朝、「移籍の可能性は50%」と述べているが、「売りたい側と買いたい側の意思は見え、話し合いは進んでいるが、金額の開きがかなり大きい」ということも認めている。
バルダノ氏は、カデナ・セルの番組“El larguero”の中で、今日もモラッティ会長と電話で交渉を続けると述べたが、移籍金の額についても、移籍金を安くするための交換対象になっている選手についても言及することを避けた。
一方、モラッティ会長側は、昨日の会談は単なる“表敬訪問”で、ロナウドの評価に関してマドリッドとインテルの間に明らかにとても大きな差があると述べ、チームのHPには「新たな進展が見られる可能性はないだろう」と書いている。
しかし、イタリアのマスコミはロナウドの移籍があと一歩のところまできており、移籍金額の合意を残すのみであると報じている。
水曜日ブラジルでパラグアイとの親善試合に出場した当事者ロナウドは、今日ヨーロッパに戻ることになっている。彼の最終目的地がミランなのかマドリッドなのかは、両クラブチームの話し合いの結果にかかっている。


8月22日(木)

PSOE、支持率上げる

PSOE(社労党)がこの3ヶ月の間に、PP(国民党)との支持率の差を半分に縮めていることが、7月の社会学調査センター(CIS)の調べでわかった。1月の両党の支持率の差は9.7ポイント、4月には8ポイントであったのが、7月の調査時点では1.4ポイントに縮まっている。
PSOEがPPとの支持率の差をこれほど縮めたのは、2000年3月12日の総選挙以来初めてである。この時の両党の支持率の差は、10.4ポイントで、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ氏がPSOEの書記長に就任した時、この差は15ポイントにまで広がった。その後2年間で、両党の支持率の差は徐々に縮まってはいたが、今回ほど差が小さくなったことはなかった。
PSOEが4月からの支持率を34.4.ポイントから36.8ポイントに上げたのに対し、PPは42.4ポイントから41ポイントに下げている。この支持率は、選挙でどちらに投票するかという質問から得られた数字であるが、どちらの党に親しみを感じるかという質問に対する答えでは、PSOEは28.3ポイントで、PPの27.9ポイントに勝っている。
政府国会担当長官のホルヘ・フェルナンデス・ディアス氏は、支持率の差が縮まった原因として、6月20日のゼネストによる政治的・社会的欲求不満感の存在、首相選のためのPPの候補者不在を挙げている。
さらにリーダーとしての政治的統率力に関する調査では、4月に0.8点差でアスナル首相に負けていたサパテロ書記長が、7月には10点満点中4.85点対5.15点、0.3点差でアスナル首相を抜いている。それ以外の調査内容にも4月以降の現行政権の支持衰退が見られ、アスナル政権の行政に関してのアンケートでは、4月に32.4%が“良い”と答えていたのが、7月には27%に減少、“悪い”または“とても悪い”と答えた人が18.7%から21.4%に増えている。一方、PSOEの政策への評価は、“悪い”または“とても悪い”と答えた人が22.8%から20.3%に減少、“良い”と答えた人が18.7%から24%に増えている。
同時に行われたアスナル政権の現大臣の評価調査(10点満点)では、第一副首相のマリアノ・ラホイ氏が5.2点でトップに立った。2位はロドリゴ・ラト第二副首相で5点、アスナル首相は4.85点で3位だった。二人の副首相以外の大臣は全員落第点をつけられており、最も低い評価を受けた3人の大臣は、ミゲル・アリアス・カニェテ農業大臣(3.7点)、ジャウメ・マタス環境大臣(3.9点)、ピラル・デル・カスティジョ文部大臣(3.9点)であった。
またスペイン人の懸念についてのアンケートでは、失業(67%)、テロ(54.1%)、移民問題(25.9%)という結果が出ている。EU議長としてのアスナル首相の働きに対しての評価は、38.4%が“良い”、34.7%が“普通”、10%が“悪い”または“とても悪い”と答えている。
今回の調査は、PSOEのサパテロ書記長がPPのアスナル首相を国会の国政討論で負かした後の、7月16日から21日、モロッコとのペレヒル島問題で国が揺れる中、行われたものである。

オテギ氏、バスク州政府を脅迫

バスク州知事フアン・ホセ・イバレチェ氏は、昨日、「州政府は義務により、常に法を遵守する」と発言、バスク警察が司法機関からの命に従うことを明らかにした。その2時間前に、バタスナ党党首のアルナルド・オテギ氏は「バタスナ党に打撃を与えるような行動に出ることは考えもしないように。」とバスク州政府を脅迫している。
昨日、バルタサル判事がバタスナ党活動停止を命じる構えであるという知らせを受けて以来、バタスナ党は態度を硬化させている。オテギ氏は、バスク州政府を構成する3大勢力であるPNV(バスク民族党)、EA(バスク連盟)、IU(統一左翼)に対し、“民族の責任と、共通見解”を求め、もし彼らがバタスナ党活動停止に協力するならば“望ましくない事態”になるだろうと警告した。
またオテギ氏は、ガルソン判事を“国の操り人形”と定義、「バスク人の政党がどのようにあるべきかを、スペイン人ファシストが我々に教えようなどと二度としないようにバスク人は団結して闘うだろう。」と宣言した。
これに対するイバレチェ知事も厳しい返答をし、「州政府は義務により、常に法を遵守する」と述べ、オテギ氏にETAに殺人、脅迫、ゆすりをやめさせるよう要求した。

アスナル首相、“個人的理由”によりヨハネスブルグ・サミット欠席

アスナル首相は“個人的理由”により、ヨハネスブルグで開かれる国連の“持続可能な開発”サミットへ出席しないと昨日、大統領府から発表があった。サミットは8月26日から9月4日まで開催されるが、9月5日にはアスナル首相の娘、アナの結婚式がエル・エスコリアルで催されるためである。アスナル首相の欠席により、スペインの代表は環境大臣のジャウメ・マタス氏が務める。このサミットには100人以上の国家首脳が出席、うちヨーロッパからは、ジャック・シラク・フランス大統領、ゲルハルト・シュレーダー・ドイツ首相、トニー・ブレア・イギリス首相、シルビオ・ベルルスコーニ首相等11人の首脳が出席する。
1992年にリオ・デ・ジャネイロで開かれたサミットを記念して“リオ+10”と名づけられたこの会議には180の国々から5万人以上の人々が集まる。会議の目的は、“持続可能な開発”(環境と自然資源に配慮した上での開発)の推進と、水、エネルギー、健康、農業、生物多様性の保全問題に特に焦点を当てながら、貧困と不平等性の軽減を目指すことである。
スペイン代表団は38人からなるが、会議におけるスペインの具体的な方針については明らかにされておらず、スポークスマンはEUの決定を尊重した姿勢で臨むとだけ答えている。首脳を含まない低いランクの官僚で構成されている代表団を送るヨーロッパの国は、スペイン以外ではオーストリア、ギリシャ、ルクセンブルグ。ブッシュ大統領も出席はせず、パウエル国務長官が代理を務める。
NGO団体WWWF/Adena、インテルモン、グリーンピースは、スペイン政府がいかなる形の討論会も開かず、政府の“持続可能な開発”への政策を国民に明らかにしていないことと、アスナル政権のこのサミットへの関心の低さを非難している。彼らは225項目に及ぶ環境問題対策への提案をしているが、環境省からは何の回答も得ていないという。エコロジストたちは、その提案の中で特に、政府が2010年までに世界中の第一次エネルギー(水力、石油、石炭など)の10%を新しい再使用可能なエネルギー源に変えることに専心するよう求め、また現在飲料水へのアクセスを持たない人の数(15億人)を2015年までに半減させることも要求している。

群集が石を投げて、2人の移民の逮捕を妨害(セウタ)

昨日の午後5時ごろ、セウタのタラハル国境検問所の近くにある海岸で、海上の2台の水上バイクがセウタとモロッコの国境を越え、パキスタン人と見られる2人の移民を海岸に置き去りにするのを2人の警官が発見、バイクでパトロール中であった彼らは、水上バイクの2人を追跡したが、彼らはモロッコ海域に逃げのびた。次に彼らは上陸した移民2人を追跡したが、海岸にいたモロッコ人の群集が警官に向かって石を投げて妨害。この攻撃によりバイクの1台が壊れ、2人の移民は逃げおおせた。
水上バイクにより、移民を不法入国させるこの方法が見つかったのは、今週に入って2回目。8月にはセウタの南海岸に多くの人が訪れることを利用したものである。
一方、カディスとカナリア諸島では市民警察により、おとといから昨日にかけて54人の不法入国者が逮捕されている。
また、マドリッドでは中国人がスペインへ不法入国する手引きをしていた6人の中国人グループが逮捕された。上海からツーリスト・ビザで入国した人々は、このグループに労働・居住ビザ取得のために1人7000ドルを支払っており、警察の調べではこの数ヶ月間にこの方法で入国した中国人の数は100人あまりで、このグループは72万ユーロは稼いでいるという。


8月21日(水)

ガルソン判事、バタスナ党の活動停止へ

全国管区裁判所のバルタサル・ガルソン判事はバタスナ党とテロリストグループETAのつながりが明白であるとし、来週月曜日に開かれる臨時国会に先立って、昨日のバタスナ党違法化をめぐる政治討論会で、バタスナ党の活動一時停止を命ずるための法的根拠に関する報告書を三日以内に提出するよう、検察庁に申し渡した。判事はただちに刑法129条第1項を適用する意向である。この条項は、企業、店舗、施設などの閉鎖またはその団体の活動を一時的に停止するもので、この期間は5年を超えない。バタスナ党に活動一時停止が命じられた場合は、集会、デモ、会議等の活動ができなくなるが、当面、バタスナ党の議員の仕事には支障を及ぼさない。しかし、党自体は機能せず、さらに公共の場での度重なる破壊行為に対する賠償2400万ユーロを支払わないバタスナ党の資金は凍結されるため、これによりバタスナ党は選挙に候補を立てることができなくなる。
ガルソン判事が、バタスナ党の活動を一時停止するにあたって根拠にするのは、2002年6月12日〜15日の120ページに及ぶ国家警察情報収集センターの報告書で、現在のところは内容は秘密にされているが、来週ガルソン判事がバタスナ党に活動一時停止を申し渡す際には一部の情報が明らかにされるだろう。判事は来週の月曜、報告書の製作者たちと会合を持つ予定である。
金曜日の午前10時にはアルナルド・オテギ氏が党首を務めるバタスナ党の幹部の出頭が要請されている。彼らが現れない場合には、そのまま活動停止の手続きが進められるという。ガルソン判事は以前にもこの刑法の条項をエギ新聞の発行元であった会社オラインの活動停止、ハライ・ハイカの違法化などETAとつながりを持つ団体に適用している。 活動停止の判決が下った場合、バタスナ党は3日の期限内にガルソン判事に異議申し立てをすることができ、その際には刑法裁判所に上告されることになる。

昨年首都で生まれた子供の15%は移民の子

昨年、首都で生まれた子供28,908人のうち4,219人(15%)が移民の子であることがわかった。そのうちの半数近く、41%がエクアドル人の子供で、10%がコロンビア人、8%がモロッコ人、5%がドミニカ人であった。スペインで最も大きな産婦人科病院の一つであるラ・パス病院では、昨年生まれた子供9,352人のうち約25%の母親が外国で妊娠していた。2001年には移民の出生率が地元マドリッドの人々の2倍になっており、スペイン人の母親1000人に対して9人の子供が生まれているのに対し、移民の母親1000人に対しては17人が生まれている。
エクアドル人協会のラウル・ヒメネス氏によると、エクアドル人の多くの母親が、子供をスペインで産めば滞在合法化の許可が下りやすくなると考えているという。「もちろん、それは全くの勘違いなのですが。」と氏は付け加えた。「確かに小さい子供のいる両親をエクアドルに送還するのは子供のいないエクアドル人を送還するより難しいですが、それと滞在合法化手続きが甘くなるということには何の関係もありません。しかも、スペインは合法的滞在の書類を持っていないからといって移民を大量に強制送還しているわけでもない。これは口コミで伝わっている全くのデマです。そうしてデマを信じたために、子供が教育を受ける年になっても両親の滞在合法化の問題が処理されていないというのはよくある話です。」とヒメネス氏は語る。
マドリッド市役所の統計部によると、移民の中で最も出生率が高いのはフィリピン人で1000人に27人、続いて中国人23人、エクアドル人22.89人、ボリビア人20.98人、モロッコ人20.93人、ドミニカ人18.77人であるという。

麻薬使用により7月に11,000人を摘発

市民警察は、夏の取り締まりキャンペーンを展開、7月中に公共の場で麻薬を使用、または所持していた10,775人を摘発した。彼らは近日中にスペイン内務省からの通達を受け、300〜30,050ユーロの罰金を課される。市民警察によって行われているこのキャンペーンでは、公共の場での麻薬の使用(特にエクスタシー)と、麻薬摂取後の自動車の運転に重点が置かれた。
昨年は夏期3ヶ月で15,295人であったのが今年は7月の1ヶ月だけで10,775人が摘発を受けている。政権がPP(国民党)になってから摘発者の数は年々増しており、国立麻薬対策センターのデータによると、1997人には年間63,855人だったのが、昨年は112,269人となっている。
さらにこのキャンペーンでは793人が小規模の麻薬の売人として逮捕されており、コカイン60キロ、マリワナ279グラム、エクスタシーの錠剤4500錠、ヘロイン600グラムが押収された。捜査対象となったのは、歓楽街にある4000のバル、ディスコなどで、そのうち150店で、麻薬、または未成年者へのアルコール飲料販売の違反が見つかった。

チジダ氏、マグノリアの木の下に眠る

おととい死去したスペインを代表する彫刻家エドゥアルド・チジダ氏の遺体は荼毘に付され、その灰は昨日午後からエルナニにある彼の美術館の敷地内にあるマグノリア(泰山木)の木の下で休んでいる。埋葬は近しい者だけで行われ、故人が好きだったバッハの曲をバックに、妻、8人の子供、25人の孫、親しい友人たちが偉大な芸術家に最後の別れを告げた。
葬儀は今日の午後7時半からサン・セバスティアンのサンタ・マリア教会で行われる。


8月20日(火)

スペインを代表する彫刻家チジダ氏死去

20世紀スペインの最も重要な芸術家の1人であるエドゥアルド・チジダ・フアンテギ氏が、昨日サンセバスティアン、モンテ・イゲルドの自宅で妻ピラル・ベルズンセさんに看取られて亡くなった。78歳だった。「空間は美しく、静かで、完璧である。」と自身が記しているように、彼の空間理解の仕方は独特で、その作品は他の芸術家のものと間違われることのない独自のスタイルを持ったものであった。
彼の作品は世界中の有名美術館に展示されているが、エルナニ(ギプスコア県)には彼の美術館チジダ−レクがあり、彼の遺体は火葬された後、その灰がここに移されることになっている。
家族の発表によると、主として鉄や鉄筋コンクリートを使った素晴らしい作品の数々で世界的に名の知られたバスク人造形芸術家、エドゥアルド・チジダ氏が長年患っていた病のせいで亡くなったのは昨日午後6時頃。今年の3月には肺炎を起こして入院していたほか、アルツハイマーも患っていた。娘婿のゴンサロ・カルデロン氏によると、チジダ氏は日に日に弱っていき、妻と子供の何人かに看取られて静かに亡くなったという。
自宅に駆けつけた人々の中にはサン・セバスティアン市長オドン・エロルサ氏、友人の彫刻家アンドレス・ナヘル氏、イエズス会神父アントニオ・ベリスタイン氏などの顔があり、国王夫妻からは弔電が届けられた。弔意を表し、サン・セバスティアン市役所では昨日から半旗が掲げられている。
彼が最後に公の場に姿を見せたのは2000年10月、エルナニのチジダ−レク美術館で行われたセレモニーに出席したときで、この時チジダ氏はマドリッドのコンプルテンセ大学から名誉教授の称号を贈られている。
昨日はサラマンカで第一回国際彫刻シンポジウムが開かれており、チジダ財団の代表としてオープニングセレモニーに参加することになっていたチジダ氏の息子のルイス・チジダ氏は、父親の死亡の知らせにより参加できなくなり、突然の訃報に驚く関係者たちはチジダ氏の死を悼んで1分間の黙祷を捧げた。

バタスナ党違法化をめぐりPP、PSOEと民族主義政党が対立

昨日、国会議員たちはバタスナ党違法化に向けて来週の26日に臨時国会を召集することを多数決で決定した。PNV(バスク民族党)は召集反対に投票した唯一の党で、CiU(カタルニャ連合)は棄権した。
投票はPP(国民党)、PSOE(社労党)、CC(カナリアス連合)の賛成41票、CiU、IU(統一左翼)、その他政党による棄権7票とPNVの反対2票という結果であった。今回の討論の中でPNVのホセ・ゴンサレス・デ・チャバリ氏は「バスク人の15%が選挙により支持している政党を違法化するのは民主主義として正しくない」と述べ、違法化を推進するPPとPSOEを非難、バタスナ党を違法化すればバスク州内での対立が深まり、今後さらに暴力行為が増えるだろうと予言した。「バスク地方から自治権を奪うつもりでいるのか?」という問いかけに対し、PPのホセ・アントニオ・べルムデス氏はPNV側が一度も“生きる権利”について言及したことがないと反論、PNVが違法化に反対するのはイデオロギーのためでなく、ETAを支持しているからだと述べた。PPはバタスナ党を違法化することにより、ETAに資金源、広告塔、唯一の政治的支援を失わせることになると考えている。
PSOEのフアン・フェルナンド・アギラル氏の発言はさらに攻撃的で、バスク州政府が「ETAのテロとその政治的背景と闘うために目立ったことは何もしていない」と述べ、チャベリ氏に「あなた達はETAに殺されないが、我々はETAに狙われている」とPNVとETAとのつながりを糾弾した。PP同様バタスナ党違法化に十分な法的根拠があると考えているPSOEは、「25年間にわたって我々はあらゆる方法を試してきたが、民主主義国家におけるテロよる犠牲者の数は増えるばかりだ。使える方法はすべて試してみなければ。」と述べているものの、違法化により得られる効果をPPほど楽天的には考えていない。

スペインでの深刻な交通事故発生状態

DGT(交通総合局)の調べによると、スペインでは交通事故により毎日2人の歩行者が死亡、33人が負傷しており、歩行者事故の多さでEU諸国内第4位に位置するスペインの交通事故を減らすための夏のキャンペーンが現在行われている。
この10年間スペインにおける歩行者事故死者の数にはあまり変化がなく、毎年800〜1000人が亡くなっている。例えば昨年は、交通事故で亡くなった約5500人のうち、845人が歩行者であった。2000年には898人の歩行者が事故の犠牲となっており、毎年、高速道路、市街地で起こる交通事故死者の15%を歩行者が占めていることが、DGTの調査によりわかっている。
EU諸国内ではスペインでの歩行者事故死者数はフランス、ドイツ、ポルトガルに次いで第4位で、100万人ごとの死亡者数ではポルトガルに次いで2位、交通事故死者数全体ではドイツに次いで2位となっている。
DGTによると歩行者死亡事故の多くは、近くに横断歩道がないため歩行者が道路を渡ろうとして、ちょうど彼らが道路を渡り始めたときに起こっているという。犠牲者の数は女性より男性の方が多く、DGTは最初に渡り始める傾向が男性に多いためではないかと考えている。調査によって、歩行者の死亡事故の66%が、歩行者が横断報道以外の場所を渡っていた時、または十分に注意を配らないで道路を歩いていたときに起こっていることも明らかになっている。犠牲者が多いのは60歳以上と18歳以下で、未成年者の死亡者の半分以上は11歳以下だという。
マプフレ交通安全協会のアンケートによると、30%の人が交通事故で死ぬ確立の方が強盗にあって死ぬより高いと考えており、47%は「横断歩道が近くにないときは、遠回りするより信号待ちの車の間をすり抜けるかゆっくり走っている車の前を渡る方がよい」と答えている。
信号の設置が必ずしも命を救うことになるとは限らない。信号がすぐに変わったり、車の運転者が変わりかけている信号を飛ばして通ったりするからである。歩行者用青信号の時間は、歩行者の平均歩行速度1秒に1メートルを考慮して設定されているべきだが、例えばマドリッドでは歩行者は1秒間に1.3メートル(バルセロナでは1秒間に0.9メートル)進まなければならず、歩行者の10人に1人が広い通りを渡るときは十分な時間がないと答えている。


8月19日(月)

スペインの空港で管制塔の遅延スト

AENA(スペイン空港・航空)が要求どおりに就労規則を改訂するまでは時間外勤務はしないと管制官が行った遅延スト(わざと仕事をゆっくりして業務に支障を来たすようにするスト)により、昨日、スペインの大半の空港で空の便に乱れが出た。最も影響を受けたのはマラガ空港で、平均1時間半の遅れ。聖母被昇天の連休最終日にあたる昨日は各地の空港が混み合っており、さらにパルマ・デ・マジョルカ、メリジャ、アリカンテといった空港でも平均30〜45分の遅れが出た。
飛行機の出発時間の遅れの数値をめぐってAENAと管制官の間では論争となっており、大幅な遅れが認められたのはマラガ空港だけであったと主張する会社側と、メリジャで2時間半の遅延があったとする管制官側で対立している。セビジャでも2時間半の遅れが何便かに見られたほか、アリカンテで平均73分、マジョルカで平均28分の遅れが出たと管制官側は主張している。一方AENA側は、マドリッドでは平均8分、バルセロナでも平均13分しか遅れていないことを強調している。
最悪のケースはマラガ発バルセロナ行きのイベリア1243便で、土曜日18時出発の予定が、150人の乗客は8時間空港で待たされた後、イベリア航空が用意したタクシー(運賃約800ユーロ、所要時間10時間)でバルセロナに向かった。本来なら1時間15分で済む行程が、待ち時間を合わせてトータル18時間の悪夢となった。
乗客の1人によると、イベリア航空は18時出発予定のこの便について最初、1時間遅れで出発すると放送。その後の放送で、出発予定時刻は21時、22時30分と遅れ、最終的には便のフライトキャンセルとなり、代替大型バスでの移動が放送されたが、しかし、この大型バスも来ず、深夜2時、イベリア航空はタクシー代は会社負担で飛行機代も返却するという条件で、乗客に代替タクシーのサービスを提供することになったという。
しかし乗客の悪夢はこれだけで終わらず、タクシー乗務員に800ユーロと高速道路代を払っていたイベリア航空の職員は、バルセロナにやっとの思いで到着した乗客に航空運賃の返却を行わなかった。イベリア航空の責任者は「航空運賃の返却は通常と同様の手続きを経た後、返却いたします。」と昨日保証している。

スペイン国籍取得の移民急増

この10年間で、スペイン国籍を取得した外国人の数が4倍に膨れ上がっている。司法省によると、1991年には3,819人だったスペイン国籍取得外国人の数は、2001年には16,663人となっている。1991年12月31日からおよそ117,000人がスペイン国籍を取得しており、特に目立つのがアルゼンチン、モロッコ、ペルー、ポルトガル、ドミニカ共和国からの移民。
彼らがスペイン国籍取得者の大半を占めていることにはなんの不思議もない。なぜなら、中南米諸国出身者は、フィリピン、ポルトガル、赤道ギニア出身者と共に、最もスペイン国籍を取得しやすい国民であるからで、亡命者が5年、その他の国々からの移民は10年間継続して合法的に居住していることを求められるのに対し、彼らが求められるのは2年。
国籍取得者の中に優遇措置を受けていないモロッコ出身者が多く見られるのは、彼らがスペイン人と結婚しているためで、その場合は結婚して1年以上で、1年間合法的に居住していればスペイン国籍を申請できる。
今年に入ってのスペイン国籍取得者の数はさらに増えており、7月31日までに13,621人が取得している。(昨年の取得者数は16,663人。)

スペイン人の夏休みの出費平均は846ユーロ

スペイン人の夏休みの出費平均額は846ユーロであることが、ある保険会社のアンケートによりわかった。地域別に見ると、バスク地方とアストゥリア地方の人々はあまり出費せず平均576ユーロ、エクストレマドゥラ、アラゴン、カスティジャ地方の人々は平均823ユーロで、マドリッドの人々は平均900ユーロを夏休みに使っている。
スペイン人の典型的な夏休みのプランは、アンダルシアまたはレバンテ地方のビーチへ自家用車で行き、2週間から1ヶ月過ごすことであることもこのアンケートでわかっている。67パーセントは夏休みを家族と、21.8パーセントが恋人と、9.4パーセントが友人と過ごしていることもわかった。
スペイン人の休暇先としては、アンダルシア(20.2パーセント)、レバンテ(18.5)、カタルニャ(9.9)、ヨーロッパ(9.4)が挙がっている。54.4.%は滞在先を海と回答、文化に触れる旅、または山が15%前後で、この数字は55歳以上になると23%に上がる。
一方、旅行に利用する交通機関についてのアンケートでは、76.7%が自動車、続いて飛行機16%、電車3%、バス1.8%、船1%となっている。

週末のスポーツの結果

サッカー:コパ・デル・レイ(国王杯)優勝のデポルティボとスペインリーグ優勝のバレンシアの間でスペイン一のクラブチームを決定するスーペルコパの試合が行われ、3対0でデポルティボがバレンシアを下して優勝。
バスケットボール:スペイン代表対ロシア代表の親善試合が行われ、78−61でスペインが勝ったが、ガードのラウル・ロペス選手(ユタ・ジャズ)が昨年の11月から今年の5月まで負傷していた右ひざを再び負傷。全治2〜6ヶ月で、今月29日からアメリカのインディアナポリスで開かれる世界選手権出場は絶望。
テニス:インディアナポリス・トーナメント男子シングル決勝でスペインのフェリックス・マンティジャ選手がイギリスのグレッグ・ルゼツキ−選手に6−7、6−4、6−4で敗れ、惜しくもキャリア初優勝を逃した。
ゴルフ:スウェーデンオープンでアナ・ベレン・サンチェス選手が3位入賞。
F1:ハンガリーグランプリでフェラーリのルーベンス・バリチェロ選手(ブラジル)、優勝。2位もフェラーリで、ミハエル・シューマッハ選手(ドイツ)。スペインのペドロ・デ・ラ・ロサ選手は13位。


8月16日(金)

会計監査院、バスク州政府を告発

会計監査院は1999年度の政党会計に関する調査報告書について再度調査、バスク州政府が特別補助金を一般費用として会計処理し政党に支給しているため、バスク州の政党が、中央政府とバスク州から二重に補助金を受けていることを告発した。このような形で補助金を政党に支給しているのはバスク州政府だけで、推定されるETAとのつながりのため1987年から中央政府の援助金を凍結されているバタスナ党はこの方法で、1995年以来200万ユーロ以上の補助金を受けている。
1999年政党会計に関する最新の調査報告書で会計監査院は、バスク州政府が中央政府からの補助金をすでに受けている政党にさらに地方自治体からの補助金を支給している点について非難している。バスク州でのこの補助金の支給開始は1991年にさかのぼり、このような形の支給は政党財政令の規定にないことから、何年にもわたって監査機関から告発を受けているが、今回会計監査院は改めてこのバスク州政府の規則を外れた補助金支給を“法令の本質に背く”と告発した。
フアン・ホセ・イバレチェ知事が支給したこの特別補助金の金額は1999年度、約300万ユーロにのぼり、各政党は次の金額を受理している:PNV(バスク民族党)855,090ユーロ、PP(国民党)626,616ユーロ、EUSKAL HERRITARROK(現在のバタスナ党)554,400ユーロ、PSE(バスク社会党)、EA(バスク連盟)258,324ユーロ、IU(統一左翼)112,529ユーロ、Unidad Alavesa(アラバ連合)50,175ユーロ。

英国王立海軍、ジブラルタルの基地で放射性物質を紛失

ジブラルタル市は、水曜午後、英国王立海軍の責任者から英国植民地内の基地で、放射性物質を紛失したとの知らせを文書で受け取った。これによると、紛失されたのは直径5センチの球形のもので、基地と造船所内での放射線濃度を測るために使われていたものだという。
ジブラルタルで原子力潜水艦HMS Tirelessの修理が行われて以来、ジブラルタルの住民は英国海軍の植民地内における安全管理について心配していたが、その心配をなくそうという試みのもと、海軍のある高官は「この物体から放出される放射能の量はきわめて少量で、これに触ったとしてもなんの危険もない」と保証した。
海軍も昨日公式声明を出し、この物体の紛失が基地内の定期点検で発見されたものであることを明らかにした上で、「この物体から放出される放射能の量は太陽から我々が受けているのと同じ程度のものにすぎず、しかも開封して30分放置しておけば、放射能の量は3時間飛行機に乗っている間に受ける量以下になる。」と言明している。
海軍関係者が繰り返し放射能濃度の低さについて言及したにもかかわらず、ジブラルタル市は昨日英国防衛省に、ジブラルタル海峡での軍事施設において細心の注意を払って安全管理に努めること、ただちにすべての施設の安全管理チェックを行うことを書簡で要請した。

騒音対人種差別−キャンプ場からジプシーの家族、追い出される

9年前から毎年欠かさず夏にタラゴナのラメトジャ・デ・マルにあるキャンプ場にやってきていたバルセロナのジプシーの8家族が、火曜日、キャンプ場から騒音を理由に追い出された。キャンプ場の運営会社は騒音の苦情は他の利用客から出たものだとしているが、ジプシーの家族は追放の理由は人種差別と多人種への嫌悪にほかならないと考えている。運営者と市役所はこの理由を否定しているが、この追放劇をめぐって双方が関係機関に訴え出たため、カタルニャ州政府ではこの件を調査することにした。
運営者側に立った村長のアントニ・エスプ二氏は「ここはあらゆる人々に開放された海辺の村で、47の異なった国籍の人々が共存している場所です。」とラジオ、カデナ・セルで述べ、理由が人種差別ではないと強調、キャンプ場運営者を支援することを改めて表明した。村長は追放された家族が使用規定を守っていなかったことを確信しているという。
このジプシーの家族は先週の金曜日、キャンプ場にやって来た。9年前から夏には欠かさずこのキャンプ場に来ているが、今年は例年より人数が多かった。このキャンプ場の運営者は今年から変わったばかりで、ジプシーたちは新しい運営者が人種差別主義者であると非難している。代表者であるペドロ・モンテス氏は、着いてすぐに望まれない客だと言われた上、キャンプ場の中に離れ離れにテントを張らされたという。しかし、運営者側は、この時期キャンプ場は満員なので離れ離れにテントを張るのは止むを得ないことだったと説明した。運営者と何人もの利用客は、4日間の滞在中、ジプシーの家族がトイレ、プールなどのキャンプ場内の公共スペースで他の利用客に迷惑をかけていたと断言している。ジプシー達がキャンプ場を出る際、運営会社はもしもに備えて警察を呼んでおいたが、介入する必要は生じなかった。
この件に関しての調査にカタルニャ州政府の産業・商業・観光局が乗り出し、事実の解明を進めるが、ジプシーの家族もSOSラシスモ団体にこの件を訴えており、同様に消費者保護センターにも訴え出る予定だという。一方、キャンプ場運営会社も、ジプシーの家族を恐喝で訴えている。


8月15日(水)

今日は聖母被昇天の祝日のため、トップニュースは休みです。


8月14日(水)

ETA、バタスナ党違法化を推進する党に脅し

テロリストグループETAは、昨日バスク地方の公共ラジオ局エウスカディ・イラティアにバスク語の声明を送付、その中でサンタ・ポラで2人の犠牲者を出したテロ、トレビエハのハンバーガー店での爆発、サンタ・ポラ・ビーチへの爆発物設置がETAの手によるものであることを認めたが、今後も無差別テロを犯すことについては否定した。
この声明の中で、ETAは今月末の臨時国会でのバタスナ党違法化投票で賛成、または棄権する政党に脅しをかけ、また市民警察に対しても彼らがETAの標的となっていることを知らせ、家族を宿舎から連れ出すように勧告した。
一方、昨夜8時半すぎ、サン・セバスティアンのDYA(高速道路サービス)にマドリッド、カジャオ地区のデパート、コルテ・イングレスの駐車場で20分後に車両爆弾が爆発するだろうとの予告電話がETAの名で入った。このため警察はプエルタ・デル・ソルからグラン・ビアまでの買い物客でにぎわうこの地域を2時間半にわたって立ち入り禁止にし、爆薬探知機を持った処理班が2つあるデパートの駐車場の車を1台1台調べたが、疑わしいものは何もみつからなかった。

スペイン政府、治安維持のための法改正に9月から着手

マリアノ・ラホイ副首相が昨日発表したところによると、今年の5月までの犯罪率は昨年比で5.2%増加しているという。副首相は、アスナル首相が先の国会討論で言及した犯罪防止対策に、夏休み明けの9月から政府が取りかかることを約束した。対策の内容は、警察官の増員、外国人法の改正などである。
PSOE(社労党)によると、警察官労働組合が何度も繰り返しているように犯罪の増加の原因は警察官不足にあるという。「アセベス内務大臣は、与党がPP(国民党)になって以来警官が7000人減っている理由を説明するべきだ」と、PSOEのホセ・ブランコ氏は糾弾する。政府は今回の新たな犯罪防止対策プランの中で、今年から2004年にかけて市民警察と国家警察で新たに2万人警察官を増やす予定だというが、PSOEの司法内務担当広報官ビクトリノ・マヨラル氏は、この2年間で17000人の警察官が定年退職することを指摘、政府の案は効果的に見えても実際には2004年の時点で3000人の警官が増員されていることにしかならないと述べた。
外国人法に関しては、ラホイ副首相によると手直しを加える程度の改正で、スペインで犯罪を犯した外国人を国外追放する際の手続きを再編するという。政府はこれを最も重要な課題とみなしており、夏休み明けに真っ先にこの課題に取り掛かる意向である。
もう一つの法改正は民事訴訟法改正で、判決待ちの犯罪者の再犯を防ぐため、裁判官の召還に応じない者はすべて一時的に収監することができるというもので、さらに刑法の改正も行われる予定。

スペインのレジオネラ菌感染、5年前の7倍に

スペインでは今月、レジオネラ菌の集団感染により3人の死者が出ており、現在4つの地域での集団感染が発表されている上、昨日もバレンシアの病院での新たな集団感染が報告された。5年前の1997年と比べると、感染者の数は7倍に増えており、スペインはヨーロッパで最も感染の多い国となっている。厚生省は昨年7月に新しい衛生法を施行しているが、その1年後も、集団感染は報告されつづけている。専門家はこの衛生法は急ごしらえの不十分なものだと指摘、厚生省は再び法令の改正を検討している。
国立伝染病センター(CNE)のデータによると、1997年から2001年の間にレジオネラ菌感染は7倍、1999年からは3倍に増えている。公衆衛生局長のホセ・マリア・マルティネス・モレノ氏はエアコンの普及が進んだこと、以前は間違って肺炎と診断されることが多かったのが、新しい検査でレジオネラ菌感染が早く見つけられるようになったことが、データ上の感染者増加の原因であると考えている。
スペイン空調協会(ATECYR)事務長のアンヘル・ゴメス氏は、企業が空調設備の冷却塔の維持管理に資金を使いたがらず、冷却塔の多くが衛生局の登録を受けていないことを指摘、さらに病院の空調設備冷却塔の衛生管理も不十分であると述べた。ゴメス氏によると、多くの公共施設が正しい空調設備メンテナンスを行っていないという。
衛生法によると、施設の責任者は年2回冷却塔の点検を行わなければならず、その点検では細菌検査、物理化学検査等を行わねばならないことになっているが、具体的な合格数値は示されていない。

1500人のウサギ肉養殖者が抗議集会

昨日、マドリッドの農業・漁業・食糧省前に1500人ほどのウサギ肉養殖農者が集まった。これは、小規模農家畜産家組合の呼びかけによるもので、彼らはここ数ヶ月のウサギ肉の値段の下落に対する援助を求めた。
今回の値下がりにより、8000人の雇用が失われると見られており、養殖者たちは彼らに対する所得援助が存在しないことに抗議した。ロマン・サンタジャ組合代表によると、ウサギ肉1キロあたりのコストが1.6ユーロなのに対し、養殖者が受け取る金額は平均1.2ユーロとなっている上、この値下がりは消費者向け価格には反映されていないという。


8月13日(火)

PNV、バタスナ党の違法化に反対

8月26日に、バタスナ党の違法化を審議するための臨時国会が開かれることになっているが、PNV(バスク民族党)は、その際バタスナ党違法化に反対票を投じると昨日改めて発表し、さらに、CiU(カタルニャ連合)にも反対票を投じるよう働きかけているという。一方カタルニャの民族主義政党に対してPP(国民党)とPSOE(社労党)は、賛成票を投じるよう働きかている。
ハビエル・アレナ氏はバタスナ党違法化に賛成するようにとの書簡をPNVとバスク州政府に日曜日に送ったが、昨日PNVスポークスマンのイニャキ・アナサガスティ氏はビルバオで行われた記者会見で、違法化には反対する意向であることを改めて表明した。「ハビエル・アレナ氏はどういう資格の名のもとにこの書簡を送ってきたのか?中央政府の広報大臣としてなのか、PPの総書記長としてなのか?」とバスク州政府幹部の1人は言う。
ハビエル・アレナ氏が送ったこの書簡の中で、彼はバスク州政府が6月12日に採択した「37の自治権限を中央政府からバスク政府へ移譲することの要求」について、中央政府が話し合いの場を持つことを申し出ている。この書簡はアレナ氏によると、「PNVが“市民のために”賛成票を投じるよう訴えるためのもの」というが、PSOE、IU、EAの3党は、PPがバスク政府の自治権問題とバタスナ党の違法化問題という関係のないテーマをごちゃ混ぜにしているとPPを非難している。
アナガスティ氏はPNVがバタスナ党違法化に反対票を投ずることを表明しただけでなく、CiUにも同様の動きを求めた。記者会見で彼が「ETAに対する闘いと、PPが毎日行っている民主主義的民族主義反対運動の違いをCiUがはっきりと理解していることを確信している。」と述べた一方、カタルニャ州政府のアルトゥル・マス議長は「我々はPPであろうがPSOEであろうがPNVであろうが誰からの圧力も受けない。我々が民族主義を代表する政党であることはアナガスティ氏に言われなくてもわかっている。我々はすでに26日にどういう投票をするかを決めているが、それについては国会前夜まで明らかにするつもりはない。」とカタルニャ・ラジオで述べた。
PPは棄権が予想されるCiUの投票について“臆病者の行為”と批判、PP幹部のアナ・マト氏は、「スペイン国民のためにバタスナ党違法は不可欠で、そのためには今後もあらゆる方法でCiUには賛成票を投ずるよう働きかけていく。」とコメントした。 アナガスティ氏が中央政府に投げかけた質問、「バタスナ党を違法化した後でETAのテロが起こったらどうするつもりなのか?今度はPNV、CiU、EA、IUの各党を違法化していくのか?」に対し、政府は「バタスナ党を違法化するかどうかは裁判官だけが決定できる。議会で違法化を司法機関に申請することが決められるということは、我々の民主主義がETAの政治的代表団体を解散させたがっているということの表れとなる。もし、PNVが反対票を投じるなら、それは民主主義を捨て、急進民族主義を擁護することを選んだことに他ならない。」と回答した。

ヌエボス・ミニステリオス駅でのチェックイン利用客増えず

5月22日にリニューアルオープンして以来、マドリッドの地下鉄ヌエボス・ミニステリオス駅の利用客は1日平均85000人から145000人と大幅に増えた。この駅からバラハス空港までは12分で行くことができ、しかも34あるチェックインカウンターで荷物を預けることもできる。マドリッド州政府が大きく宣伝したこの新しいヌエボス・ミニステリオス駅の目玉、チェックインサービスが利用客不足に悩んでいる。
地下鉄の6、8、10番線と国鉄が乗り入れるヌエボス・ミニステリオス駅のチェックイン・カウンタ−では職員がのんきにおしゃべりをしている。利用客が少なく、他にすることがないからだ。航空券の販売は行わず、チェックインだけをカウンターで行っているイベリア航空の話では、7月にヌエボス・ミニステリオス駅でチェックインした乗客の数の平均は、1時間に14人、1日で230人ほどだという。(バラハス空港では1日平均25000〜30000人がチェックイン。)スパンエアーでもエアー・ヨーロッパでもヌエボス・ミニステリオス駅でチェックインする乗客の数は1日30〜100人ほどだという。
イベリア航空のチェックインカウンターで働くチーフの1人によると、利用客の数は予想をはるかに下回り、「アスナル首相、ガジャルドン知事、マンサノ市長が出席して盛大に開通式が行われたのに、誰も利用しに来ない。」と彼は話した。 チェックインカウンターで待ち合わせしていたイギリス人青年は、「スーツケースが盗まれたり、なくなったりしたという話を聞いたので、ここではチェックインしません。」と、ヌエボス・ミニステリオス駅を単なる多路線乗り入れの駅としてしか利用していなかった。
この駅でのチェックインは朝6時半から夜10時半までで、50キロ以下の荷物を受け付ける。自転車、サーフボード、生きている動物のチェックインはできない。34のカウンターのうち、自社で直接チェックインを受けているのはイベリア、スパンエアー、エアー・ヨーロッパの3社だけで、残り4社(アリタリア、プルナ、ランチレ、ポルトゥガリア)は下請け会社がチェックインをしている。スパンエアーとエアー・ヨーロッパはカウンターで航空券の販売もしている。
ヌエボス・ミニステリオス駅のもう一つの問題はタクシー。タクシー運転手協会に約束されていた150台の駐車スペースが駅にはない。「約束されていた仕事場がこの駅にはない。駅を再オープンさせるのが早すぎた。」と代表者は語った。

レジオネラ菌による死者3人

レジオネラ菌集団感染による初めての死者が報告された。死者が出たのはマタロ(バルセロナ)、バラカルド(ビスカヤ)、ウベダ(ハエン)でいずれも持病のある70歳以上の高齢者が犠牲となっている。
マタロで亡くなったのは83歳の女性で、日曜日に病院に運び込まれ、持病の呼吸器系の病気を併発して亡くなった。報告されている38人の感染者のうち、31人は引き続き入院中、2人は重体だという。市役所と衛生局はすでに感染源を発見している。
ウベダでは77歳の男性が亡くなった。彼は3日前に家族が「持病の肺炎をこじらせている」と入院させていたもので、死因はレジオネラ菌感染による肺炎。この男性は2週間前にアルバセテ県レオリッドにある温泉バニョ・デ・ベニトに滞在していたことからここで感染した疑いが持たれている。しかし、この施設の関係者はこれを否定、カスティジャ・ラ・マンチャ州衛生局の検査では何も検出されていないことを強調した。
バラカルドで亡くなった71歳の男性については、神経科入院時にすでに感染していたのか、院内感染したのかがはっきりしていない。この男性は日曜日、“循環器、呼吸器、腎臓に重大な疾患”が認められていたという。病院では念のため、神経科に入院している20人の患者を別の病棟に移し、神経科病棟の消毒を行った。
レジオネラ菌は、自然界の真水に普通に存在するバクテリアで、最も好む温度は人体と同じ37度。25度から40度の間で繁殖し、70度まで耐えることができる。
この菌は人から人に直接感染するのではなく、レジオネラ菌の住む水を飲んでも感染しない。菌の住んでいる水が霧状になったのを吸い込み、その水が肺に到達すると菌が肺で繁殖を始める。典型的な感染源はエアコンの室外機。同様に、スプリンクラー、温水プール、温泉、シャワーの水蒸気(特に水道管が汚れている場合)なども感染源となり、感染した人は、発熱、腹部の痛み、吐き気、嘔吐などの症状を訴える。健康体の人は感染しても重症にはいたらないが、高齢者には命取りとなることがある。男性に感染者が多く、若者と子供にはほとんど感染者が見られないのが特徴で、喫煙者は感染の危険率が高くなる。潜伏期間は2日から10日で、患者には抗生物質が投与される。レジオネラ菌感染を防ぐため、衛生局では口の広い蛇口を使い、1年に1度は消毒することを勧めている。


8月12日(月)

スペイン、メダル獲得数で3位に

ドイツのミュンヘンで行われたヨーロッパ陸上選手権で、スペインはロシア、イギリスに次いで、メダル獲得数3位となった。今回獲得したメダル数15(金6、銀3、銅6)は、これまでの最多記録であった1994年のヘルシンキ大会での9を大きく上回る結果で、大会前に目標としていた獲得数が達成された。
最終日の昨日は、男子5000メートル走でアルベルト・ガルシア選手が優勝、男子マラソンでフリオ・レイ選手、男子走り幅跳びでヤゴ・ラメラ選手が銅メダルを獲得した。 スタートから遅いレース運びとなった男子5000メートル走は、最終周になって5人が抜け出し先頭グループを形成、残り200メートルでアルベルト・ガルシア選手がスパート、そのまま逃げ切った。もう1人のスペイン人選手ロベルト・ガルシア選手は1秒足らずの差で惜しくも4位となった。世界選手権ではケニア、エチオピア勢の壁に阻まれるものの、アルベルト・ガルシア選手はヨーロッパでの無敵の強さを見せつけた。
激しい雨の降る悪条件の中行われた男子マラソンでは、先頭を走る11人のうち5人がスペイン人であったにもかかわらず、メダルはフリオ・レイ選手のみという結果に終わった。スタートから、フィンランドのホルメン選手が抜け出し、ノルウェーのラスムッセン選手もそれに続き、先頭を走った。しかし、20キロ地点でラスムッセン選手が脱落、スパイン人選手の中にはホルメン選手に追いつくだけのエネルギーを残す選手がなく、2位にはリトアニアの選手が入った。
男子走り幅跳びで銅メダルを獲得したラメラ選手は2年ぶりに表彰台に上った。全盛期には及ばない状態で、記録も7.99メートルに留まったが、2年間に及ぶスランプから抜け出す結果となった。

サンタ・ポラで爆弾発見

8月4日にETAによる爆破テロのあったアリカンテのサンタ・ポラの浜辺で、今朝、爆弾が見つかり、爆薬処理班により解体処理された。
市民警察の専門家が金属探知機と警察犬を使って、昨日ロープで囲った100メートルの範囲で捜索をしたところ、午前8時15分頃、深さ1メートルの場所に背嚢に5キロの爆薬を詰めた爆弾が見つかり、爆弾は処理班によってただちに解体処理された。
午前11時15分頃には浜辺は再び開放され、タオルやパラソルを持った海水浴客が場所取りに急いだ。
市民警察は金曜日と昨日にもこの地域を立ち入り禁止にしている。これは、金曜日にビトリアの高速道路サービスにETAの名前で、サンタ・ポラの浜辺にあるディスコ、エルカノの前にある椰子の木の横に爆薬を仕掛けたという内容の電話が入ったためである。この電話の後、サンタ・ポラの浜辺は立ち入り禁止にされ、25時間かけて爆弾の捜索が行われたが、爆弾は見つからず、土曜日の午後には再び浜辺は一般開放されていた。
金曜日のETAの名による電話の後、トレビエハ(アリカンテ)のショッピングセンターのハンバーガー店で爆薬が爆発したが、怪我人はなかった。

パブロ・オラビデ大学立てこもり移民、国外追放へ

木曜日の早朝逮捕された275人のセビジャ、パブロ・オラビデ大学立てこもり移民のうち、65人は自由の身となったが、210人は引き続き拘留されている。うち12人は、すでに提出していた滞在許可の申請が却下されているため、15日以内にスペインを出なければならない。210人のうち、滞在許可を得られる可能性のあるのは30人ほどだという。
警察、司法グループによる立てこもり移民の数の見積もりが実際より少なかったため、国外追放のための法的書類の準備に予想を上回る時間がかかった。80人分の書類が裁判官の元に届けられたのは日曜日の早朝で、すでに裁判官も秘書も帰宅していたが、提出を登録することによって、逮捕から72時間以内という期限内に国外追放の措置申請を終えることができた。
立てこもり移民たちは最長40日間の期間、移民収容センターに拘留され、自国への送還を待つ。130人はセウタ、残りはマドリッド、マラガ、ムルシアの収容センターに移送される。
国外追放不服申し立ての期限が48時間以内であるため、弁護士団は現在、全速力で書類の準備をしている。

週末のその他のスポーツの結果

テニス:シンシナティ・トーナメントでカルロス・モヤ選手がオーストラリアのレイトン・ヒュ−イット選手(ATPランキング1位)を破って優勝。自身のランキングは6位に上がった。現在トップテンには他にアルベルト・コスタ(5位)、フアン・カルロス・フェレロ(7位)のスペイン人選手の名がある。
モータースポーツ:フィンランド・ラリーで10秒のペナルティを受けたカルロス・サインス選手は4位。惜しくも表彰台を逃した。優勝は地元のグロンホルム選手。
ゴルフ:女子全英オープンでパウラ・マルティ選手がイギリスのキャリー・ウェブ選手に2打差で2位。


8月9日(金)

セビジャの移民立てこもり、警察の介入により終止符

昨日早朝、セビジャのパブロ・オラビデ大学に立てこもっていた移民が警察の介入により、強制的に退去させられた。大学側を強制退去に踏み切らせたのは、立てこもり移民と大学職員間の軋轢、移民の健康状態の悪化などに加え、ここ数日間で新たに100人近くの移民が到着したためであった。
6月10日に始まったこの立てこもりに参加した430人の移民のうち約200人は、滞在合法化の手続きを個別に開始するという行政の提案を受け入れ、人権擁護委員のホセ・チャミソ氏に書類を提出、次々に大学を後にし、居住するスペイン各地へ戻っていった。その後チャミソ氏を信用せず、引き続き大学で立てこもりを続ける移民が150〜170人ほど残っており、さらにここ数日間で同じ要求を掲げて新たに立てこもりに参加する移民が100人近く到着、昨日の警察の発表によると、逮捕されたのは273人であった。
立てこもりをしていた移民は1人のルーマニア人女性を除いてすべてアルジェリア人。 大学側の発表によると、今回警察に介入を以来したのは、立てこもり移民が新たに増えたことだけでなく、それにより移民間で暴力が急増したためでもあるという。関係者の1人は、「生命の危機にさらされていた移民たちもいた」と言う。大学によると、立てこもり移民の中に、自分の意志で大学を去ろうとする移民を妨害するグループが存在し、病人に対しても、大学から去ることを許さなかったたという。さらに立てこもりの場所で行われる改修工事を進めるためにも、移民を立ち退かせることが必要であった。
昨日の午前6時15分、外国人問題担当の警官隊がパブロ・オラビデ大学のキャンパスに到着。ヘリコプターで周囲を照らしながら、騎馬警官隊が移民たちを追い込み、273人に手錠をかけた。その後、彼らはセビジャ警察の体育館に連行され、そこで1人ずつ身分照会を受け、調書をとられた。今後の手続きとしては、まず彼らが何らかの訴訟に関与中であるかどうかを調べた後(その場合は判決が出るまではスペインに合法的に滞在できる)、弁護士と通訳立会いのもとで、警察の取調べを受ける。警察による様々な手続きの後、273人はセビジャの移民局事務所で、滞在合法化か強制送還かの決定を受ける。決定が不服の場合は、3日の猶予の間に不服申し立てをすることができる。
人権擁護委員のホセ・チャミソ氏によると、逮捕された移民のうち少なくとも30人は、滞在を合法化するための手続きがかなり進んでおり今後居住許可が得られる見通しで、あと30人近くも居住許可が得られる可能性は高いという。チャミソ氏は政府に対し、今回のケースに寛大な処置を願っている。

ジブラルタル海峡で最大のボート逮捕

昨日午前7時ごろ、タリファ沖2マイルで、新たに移民を乗せたボートが見つかった。これまでアンダルシアで見つかった中で最大のボート(長さ9メートル、幅2.5メートル、60馬力のエンジン)1艘には、70人の移民がひしめきあっていた。乗っていた移民たちはアフリカの民族多様性の好例を示しており、10人(うち1人は未成年)のマグレブ地域(チュニジア・アルジェリア・モッロコ三国の総称) 出身男性、60人のサハラ砂漠周辺地域出身者(うち29人が女性で10人の妊婦が含まれる)という構成であった。
乗っていた移民の何人もがエンジンの燃料に海水が混入したためにエチル鉛中毒にかかっており、やけど、呼吸困難などの症状を訴えていた。その他数人の女性も疲労または低体温症のため病院に運ばれたが、大部分の移民は数時間後に病院を出た。 残りの移民は、ラ・イスラ・デ・ラス・パロマスの元兵舎を使った移民収容センターに移され、そこで赤十字社が食料、毛布を配布した。
午後には、ロス・ランセス海岸の1.5マイル沖で沈みかかった状態のボートも発見されている。このボートは長さ8メートル、幅2メートルでヤマハの40馬力のエンジンを積んでおり、38人のマグレブ地域出身者が乗っていた。
昨日の108人の移民の逮捕により、今年度に入ってのジブラルタル海峡付近の海岸で逮捕された移民の数は1898人になった。
通常、タリファにやってくるボートの大きさは長さ6メートル、40馬力で40人ほどの移民が乗っているが、今回発見されたボートはいずれもそれより大きなもので、専門家の話では、これほどの大きさのボートだと、エンジンの馬力は200馬力は必要だという。

スペイン、新たに4つのメダル

ミュンヘンで開かれているヨーロッパ陸上選手権で、昨日スペインは4つのメダルを獲得した。まず午前中に、50キロ競歩でヘスス・アンヘル・ガルシア・ブラガド選手が銅メダルを獲得、午後の競技では1500メートル走でレジェス・エステベス選手、400メートル走でダビ・カナル選手、800メートル走でマイテ・マルティネス選手がそれぞれ銀メダルを獲得した。
1500メートルのゴールは写真判定の結果、1000分の2秒差でフランスのメーディ・バーラ選手が優勝、エステベス選手は惜しくも2位となった。昨日のメダル獲得選手のうち、カナル、マルティネス両選手は特に期待されていた選手ではなく、うれしい驚きとなった。現在スペインのメダル獲得数は8、今大会で予想されている獲得数まであと7つとなった。


8月8日(木)

180人が水道水で中毒

バルセロナにあるサンタ・マリア・デ・パラウトルデラで火曜日から、下痢、発熱、嘔吐という同じ症状で10人が病院に運び込まれていたが、カタルニャ州政府は昨日の正午まで、その原因について公式に発表していなかった。調査の結果、原因は水道水に含まれていたシゲラ・ソンネ菌(赤痢菌の一種)であったことが判明した。 6000人が住むこの村では、たいていの家族で少なくとも1人が嘔吐・下痢の症状を訴えていたにもかかわらず、自治体からの公式発表が何もなかった。州政府が地元の水道水供給会社に対する調査を開始すると発表したのは、昨日の正午近くになってからだった。
州政府は浄化不十分な水道水を供給したとしてこの会社を非難、しかし会社の責任者はこれをきっぱりと否定している。「誰かを非難する前に患者の調査を徹底的にするべきだ」と、会社の広報官は述べた。
村長のジョアン・マイネリス氏も昨日午後、役場でも独自にこの会社を調査し、もし何らかの責任が認められた場合にはこの会社を処罰すると発表した。
しかし、役場は昨日午後の水道の供給は止める必要がないと判断、浄化の際に塩素を通常の量より増やすに留めた。村民に対しては、新たな告知があるまでは水道水を飲まず、各家庭に設置されている貯水タンクを洗浄するように通知した。
カタルニャ州政府は、今回のこの赤痢菌繁殖の原因を先週カタルニャ地方を襲った大雨だと見ている。「この水道水供給会社が水をくみ上げている川には、先週の大雨により大量の有機物と泥が流れこんでいる。」と政府の公衆衛生担当官のルイス・サジェラス氏は語った。
しかし、水道水を飲んだり、料理に使った家族の中でも、中毒にかかった人とかからなかった人がいることから住民はこの説明に納得していない。患者の往来でごった返す病院の入り口で「私の家では舅にだけ中毒症状が出た」と、ピラル・ベントゥラさんは話した。
診断した医師によると患者は「7歳から50歳までの男女で、ここ2、3日の間に水道水を摂取している」という。乳児と老人にはほとんど感染が見られていないが、今回の赤痢中毒により入院している10人の中には91歳のお年よりが2人含まれている。

大学立てこもり中の移民に大学側、退去を命じる

セビジャのパブロ・デ・オラビデ大学に滞在合法化を求めて立てこもりを続けている移民120人に対し、総務部長のフアン・ヒメネス氏は昨日、大学キャンパス内で改築工事が行われるためという理由のもとに大学を立ち退くことを“勧めた”という。 ヒメネス氏は「彼らがいる限りは工事が出来ないのだから、立ち退かない際は警察を呼ぶこともいとわない。」と述べ、立ち退くよう通知して以来、移民たちが腹を立てて攻撃的になっていると付け加えた。
人権擁護委員のホセ・チャミソ氏によると、6月10日に立てこもりを始めた400人以上の移民のうち、滞在を合法化できる可能性があるのは100人ほどだという。身分証明書類を提出した200人ほどのうちの大半(170人)は、すでに立ち退き場所から去っている。チャミソ氏はこの立てこもりが移民たちが期待した結果には終わらないと予想、今回の抗議を扇動した人々を非難した。
チャミソ氏は昨日、セビジャ弁護士会会長のホセ・ホアキン・ガジャルド氏にアンダルシア地方以外に居住している131人分のファイルを提出、これらのファイルはこの後、スペイン各地のそれぞれの居住地で手続きを受ける。
チャミソ氏の事務所では引き続きウエルバとアルメリア居住の70人の移民の滞在合法化手続きを担当するという。

スペイン人の借金の平均額は14632ユーロ

スペイン人が銀行または信用金庫から借り入れている金額の平均は14632ユーロであるという。しかし、この金額は地方によってかなりの差があり、最も借金をしているのはマドリッドの住民で平均27000ユーロ以上、オレンセとセウタの住民の借金平均額は6000ユーロに満たなかった。
スペイン銀行が発表した最新のデータによると、今年の3月末の時点で企業や家庭に貸し出されていた金額は6千10億ユーロで、これは2001年3月末よりも700億ユーロ、今年初めより150億ユーロ多い。

スペイン、長距離走でメダル2個を獲得

ドイツのミュンヘンで行われているヨーロッパ陸上選手権の男子1万メートル走で、スペインのチェマ・マルティネス選手が金メダルを獲得、ホセ・リオス選手も3位に入った。マルティネス選手は残り250メートルで追い上げを開始、金メダル有力候補であったドイツのディエテル・バウマン選手を抑えて優勝した。女子走り幅とびに出場したコンチャ・モンタネル選手は惜しくも4位に終わり、出場選手最年少の彼女(21歳)は悔し涙にくれた。


8月7日(水)

アスナル首相、バタスナ党違法化への国会の承認を求める

スペイン政府は、下院緊急審議を召集し、1日も早くバタスナ党を違法化するための手続きを開始すると昨日発表した。国会で審議された後、この案は8月30日の閣僚委員会で追認され、9月2日に開かれる最高裁判所特別法廷において、バタスナ党の違法化が決定される見通しで、すでにPSOE(社労党)、CiU(カタルニャ連合)、CC(カナリアス連合)が支持を表明している。昨日、政府第一副首相のマリアノ・ラホイ氏は、過激民族主義政党であるバタスナ党違法化の要請を国家検察局が出せるように、新政党法が承認された6月27日以降のバタスナ党の行動についての報告書を検察局に送付したことを以上の政党に通知した。
休暇中のガリシア地方から、デモに参加するためテロ現場のサンタ・ポラに飛んだ第一野党、社労党の書記長、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ氏は、「政党法適用は市民の要望であり、我々は自身をもって取り組んでよい。今こそ法令適用の時である。」と、バタスナ党を違法化しようとする政府の意向を支持する発言をした。しかし、そのためには政府が責任をもって大多数の合意を得た上で合法的に手続きを進めなければならないとも述べている。
8月に国会が召集されるのは異例のことで、1990年湾岸戦争についての審議のために開かれて以来であるが、政府は「ETAとの戦いは最重要課題であって、例外適用もやむをえない」としている。

スペイン市民戦争中の行方不明者の名簿を国連に提出

一昨日、ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所のメアリー・ロビンソン高等事務官のもとに、スペイン市民戦争中、行方不明になったり殺されたりした人の名簿が届けられた。
レオンのエル・ビエルソで1ヶ月ほど前に始まった遺体探しの噂は、スペイン全土に広まり、ARMH(歴史的記憶を取り戻すための考古学者およびボランティア協会)によると、千以上の家族からの問い合わせがあったという。問い合わせの大半は、このときを待ち望んでいた60歳以上の高齢者からのもので、行方不明者の孫たちからの問い合わせもあり、中には遠くからポンフェラダのARMH本部までやって来た人々もいた。
スペイン中の特に道路脇には沢山の壕があり、その調査依頼のあまりの多さに、ARMHは国連に援助を求めた。1992年、国連は“全ての人々を強制拉致から守る宣言”を採択しており、あらゆる国に行方不明者、またはその遺体の捜索を義務づけるこの宣言にスペインも他の多くの国々と共に調印している。
行方不明者の家族の大部分は、この時まで自分から行動を起こしたことはなかった。その例外といえるのが、ヘスス・ペピン氏、81歳のケース。ペピン氏の村、サラゴサのウンカスティジョ村ではナショナリストたちが138人を銃殺した。殺されたうちの7人は彼の家族で、138人全員の名前を把握しているペピン氏は、1977年から調査依頼を歴代政府に送っており、国王にも直訴の手紙を送っている。
多くの家族は、彼らの夫、父、祖父が“民族主義者による反マルクス主義運動”の犠牲になったとだけ知らされており、埋葬先は知らないでいる。しかし、カルタヘナのサルバドラ・ロカさんのように、少なくとも50人がロス・レメディオス墓地の壕に埋められていると証言する人もいる。彼らが海軍兵だったことから、彼女は同じくカルタヘナ出身である防衛大臣フェデリコ・トリジョ氏に、彼らを掘り起こし、きちんと埋葬するための援助を依頼している。
その他、名前を公にしたくない人々は、国連に提出した名簿の中に、60年間の思いのたけをこめた。レオンのサン・ロマン・デ・ベンビブレの大工の孫のように、アストゥリアスに逃げる途中で殺された祖父の腕時計を近くの村のファランヘ党員が何年も使っていた思い出を記した人もいる。
合計で100以上に上るこれらの依頼は、国連が腰を上げるのに充分な数である。ARMHは遅かれ早かれ、国連がスペイン政府に調査の開始を要求するものと見ている。

アストゥリアス州もデクレタソを憲法裁判所に提訴

アストゥリアス州政府(PSOE)は、デクレタソ(とんでもない政令)の労働改正法に対して、違憲の訴えを憲法裁判所に今月中に提出する予定であると昨日発表した。
労働局担当議員グラシアノ・トレ氏によると、“例外的、または緊急”の状況にない不必要な法改正は違法であり、デクレタソは、憲法第9条第2項、第14条“スペイン人の基本的平等”を侵害し、失業者に自分の専門職種以外の職種での就労を義務づけることにより、第35条に定められた“職業選択の自由”を奪っているという。
アンダルシア、エクストレマドゥラ州もすでに同じ理由で憲法裁判所に提訴しており、同じく社会主義政府であるバレアレス州も、近々提訴に踏み切る見通し。

ヨーロッパ陸上選手権でスペイン人選手がメダル獲得

ミュンヘンで昨日から行われているヨーロッパ陸上選手権で、20キロ競歩でスペインのパキジョ・フェルナンデス選手が期待通りの金メダルを獲得、さらにフアン・マヌエル・モリナ選手も銅メダルを獲得した。
砲丸投げは、ウクライナのビロノグ選手が優勝、メダルが期待されていたマヌエル・マルティネス選手は5位に終わった。1500メートル決勝にはスペインのレジェス・エステベス、ホセ・アントニオ・レドラット、フアン・カルロス・イゲロの3選手が出場する。99年セビジャ大会で優勝、2001年エドモントン大会で銅メダルを獲得したスペインのニウルカ・モンタルボ選手(キューバ出身)は怪我のため、走り幅跳び決勝に進出できなかった。


8月6日(火)

スペイン政府、早急にバタスナ党違法化へ

日曜日のETAによる無差別テロの後、昨日ホセ・マリア・アスナル首相は、「バタスナ党を違法化する法適用の準備をあらゆる方面から進めている」と発表し、「スペイン人が、子供を含む無実のテロの犠牲者を埋葬している間、バスク地方では社会のゴミであるバタスナ党幹部が、なんの咎めも受けずにのさばっている。その状態をこれ以上許すわけにはいかない」とコメントした。
昨日、バタスナ党党首のアルナルド・オテギ氏は、サンタ・ポラでのテロについて、“痛ましい”結果を伴った“重大な出来事”と発言したが、ETAのテロを非難する言葉は彼の口から一言も発せられなかった。レンテリア、イルン、ポルトゥガレテ、パンプロナの役場では臨時集会を召集、サンセバスティアンとビトリアでもETAのテロを非難することで一致したが、これらの集会にバタスナ党の議員達は欠席、または出席しても書類に目を通すことなく沈黙を守った。
スペイン政府は、このバタスナ党の姿勢が新しい政党法適用のための充分な理由となるかどうかを調査するため、司法省に報告書を要請、内務大臣アンヘル・アセベス氏は「このような残酷きわまりない無差別殺人を非難しない政党は、私の考えでは民主主義において合法的であるべきでない。」と述べた。
バタスナ党違法化のための新法令適用に合意しているPP、PSOE(社労党)に対し、合意しない“民主主義”政党であるPNV(バスク民衆党)の反応は対照的であった。PNV執行部スポークスマンのヨセバ・エヒバル氏は、バタスナ党を違法化するのに充分な理由はまだないと述べ、この機会を利用し、「PPは、PNVがETAとこれ以上テロを続けないための秘密協定を結んだと言っていたが、テロの後になってみるとまた別の話をでっちあげようとしている」とPPを批判した。
バスク政府司法担当議員のヨセバ・アスカラガ氏は個人的な意見として「バタスナ党の沈黙は、違法化の充分な理由とはならない。」とし、バタスナ党の沈黙を、「卑怯ではあるが、犯罪ではない」と定義づけた。
政党法第9条2項には、“第9条に定められた行いが繰り返し見られる場合は裁判官の決定により、その政党を違法化できる”とある。第9条に定められらた行いというのは9つあり、その中に“明白または暗黙のうちにテロへの幇助がある場合、テロ行為を過小評価、または免罪する場合”と書かれており、今回の政府の要求により、司法省、国会、裁判官は、テロを糾弾するための集会に欠席することが“暗黙のテロへの幇助”に当たるのか、オテギ氏の発言が“テロ行為を過小評価、または免罪するもの”に当たるのかを判断しなければならないだろう。

サンタ・ポラでテロ犠牲者の葬儀が行われる

日曜日のETAによるテロの犠牲者になったシルビア6歳と、セシリオ57歳に最後の別れをするために昨日、サンタ・ポラでの葬儀に5000人近い人々が参加し、ビクトリオ・オリベル司教はミサの中で、テロリストに対しスペイン社会と教会が感じている“嫌悪”について触れ、ETAヘ暴力に訴えることをやめるよう呼びかけた。死亡したシルビアの両親の親戚、友人は、葬儀に出席したアスナル首相に強い非難の言葉を浴びせ、国家警察官の妻たちは警察署警備の不十分さを批判した。
葬儀にはアスナル首相のほかに、アンヘル・アセベス内務大臣、エドゥアルド・サプラナ労働大臣、フェデリコ・トリジョ防衛大臣、ホセ・ルイス・オリバス・バレンシア州知事とバレンシア州政府の役人、PSOE(社労党)中央執行部から3人、バレンシア社会党党首、バスク政府から厚生議員、司法議員が参列した。
警察官の妻たちは、車両爆弾によるテロの可能性があったにもかかわらず防壁、防犯カメラの設備が不十分であったことを指摘、さらにテロ当時、勤務についていた警官が1人であったことから、警察署の警備の不十分さを糾弾した。
ミサの後、参列した何百人もの人々が自主的に国家警察署までの行進に参加、「人殺し!」「Vasco, Si. ETA, No!」「ETA壊滅を!」などの叫び声を上げた。テロの現場とサンタ・ポラの町のバルコニーには、犠牲者を悼むための黒い旗が掲げられている。

ボテジョン禁止法から1週間、74人の逮捕者

マドリッド自治区で、公共の場での飲酒を禁止するなどからなる“薬物依存およびその他の錯乱を引き起こす物質中毒予防法”(通称ボテジョン禁止法)が施行されてから1週間、105件の通報があり、74人が道路での飲酒、17のガソリンスタンドがアルコール飲料の販売(法律では全面禁止)で警察の介入を受けている。残りの14件はアルコール販売禁止時間(夜10時から翌朝8時まで)を守らなかった商店、消火器を設置していなかったバル、著しい騒音を出していたバルに対するものであった。法律により、スーパーでは未成年者にはアルコール飲料は販売できない旨のポスターを目立つところに張ることが義務づけられているが、それを怠ったために通報されたケースもある。
法令に違反して道路で飲酒した場合は、300〜3万ユーロの罰金またはごみ収集の手伝いなどの社会奉仕が求められる。アルコール飲料を販売したガソリンスタンドの場合の罰金は、3万〜6万ユーロにのぼる。
しかし、マドリッドの中心地区では当面、区の守護聖人の祭りが重なっており、ボテジョン禁止法30条の規定では、守護聖人の祭り中は道路での飲酒が認められているため、現在、法令は適用されない。

ヨーロッパ陸上選手権、開幕

今日からドイツのミュンヘンでヨーロッパ陸上選手権が始まる。スペインは、94年ヘルシンキ大会でのメダル獲得数9を超えることを目標としている。
今日の午後7時頃(スペイン現地時間)にゴールが予定されている20キロ競歩では、パキジョ・フェルナンデス選手にメダルの期待がかかっている。もう1人の期待は砲丸投げのレオン出身マヌエル・マルティネス選手で、目標の22メートルに達すれば、メダルは確実であろう。ライバルは、デンマークのオルセン選手、ウクライナのビロノグ選手。侮れないのがフィンランドのハルジュ選手で、今年2回の競技会では20メートルしか記録していないが大舞台に強く、シドニー五輪では金メダルを獲得している。今日行われるもう一つの競技、女子1万メートル走では、ルイサ・ララガ選手が金メダル確実と見られているイギリスのポーラ・ラドクリフ選手に挑戦する。


8月5日(月)

アリカンテでETAによる車両爆弾テロ、2名が犠牲に

昨日午後8時半、サンタ・ポラ(アリカンテ)の国家警察署裏に駐車されていた車両爆弾が予告なしに爆発、6歳の警察官の娘と57歳の男性が死亡したほか、34人が重軽傷を負った。現場近くにはバスの停留所があり、スペイン有数のリゾート地で休暇を楽しむバカンス客でごった返していたため被害が大きくなった。
50キロの爆薬を積んだ黒のオペルの爆発によって周囲の建物の壁も崩れ落ち、爆発音は数キロ四方にわたってとどろいた。爆発の数分後には、警察によって周囲200メートルにテープが張られ、第2の車両爆弾の捜索が行われた。通常、ETAのテロではまず予告があり、そして逃げ道を確保するために第2の車両爆弾が仕掛けられるが、今回は予告も第2の車両爆弾もなかったことから、ETAは大量殺人を目的としていたと見られている。
34人の負傷者のうち2人は国家警察官で、怪我人は急きょ近くに設けられたテント張りの救護所で手当てを受け、重傷者はエルチェ総合病院とサンタ・ポラ病院に運ばれた。ベニドルム訪問中であったアンヘル・アセベス内務大臣は、エドゥアルド・サプラナ労働大臣、ホセ・ルイス・オリバス州知事とともに午後11時頃、現場に到着し、被害者の収容されている病院を訪問した。一方、赤十字は、被害者の収容センターを設置、住居が被害を受けたおよそ140人が一夜を過ごした。
今回のテロに対し、バタスナ党を除く各政党は非難声明を出している。バスク州知事は今日にも犠牲者への哀悼の意を公式に表明する見通し。スペイン各地では、今回のテロに対する抗議集会が予定されている。
アリカンテの南17キロに位置するサンタ・ポラは、人口2万人。夏のリゾート地として有名で、シーズン中、町の人口は20万人に膨れ上がる。

PP、バタスナ党へテロ非難声明を要求

沈黙を守っているバタスナ党を除く全ての政党は、昨夜、サンタ・ポラで起きたETAによるテロに非難声明を出した。国民党(PP)は、「政党法を適用する時が来た」とコメント、バタスナ党が今回のテロへの非難声明を出さない場合は、バタスナ党を違法と認めるための法律制定のために、上院でも下院でも全力で闘うつもりであると明言した。バスク州政府は、今日ETA非難集会を召集している。
一方、社労党(PSOE)執行部は“下劣で憎むべきテロ”への強力な非難・糾弾を表明、テロと戦うための民主主義の力を全面的に支援すると述べた。社労党はまた、“まっとうな人間の誰もが嫌悪を覚える残酷で血に餓えた殺人者の仕業”の犠牲となった人々とその家族への哀悼の意を表した。
スペイン政府首相、ホセ・マリア・アスナル氏は、テロ発生後常に、第一副首相であり政府スポークスマンでもあるマリアノ・ラホイ氏、内務大臣アンヘル・アセベス氏と緊密に連絡を取り合っていた。首相は今日から国王の滞在しているパルマ・デ・マジョルカで執務を行う。
バレンシア州知事のホセ・ルイス・オリバス氏は「ETAは今回のテロで人間の命の尊さを無視し、本性を剥き出しにした。」「ETAの目的は巷のマフィアと同じで、市民を脅すことだ」と述べ、バレンシアの住民に“今まで以上の団結”を求めた。
統一左翼(IU)は、“野蛮な殺人行為”はテロリストたちの理由なき残酷さを再び明らかにするもので、これらの行為の行き着く先は刑務所しかないと声明で述べている。
内務省の発表によると、これまでETAの犠牲になったのは市民339人、司法・警察関係者473人で、うち20人が子供。ETAは政府との休戦協定破棄以来41人を殺害しているものの、予告なしの無差別殺人は昨日が初めてで、今後、80年代のような無差別テロの嵐が吹き荒れるのではないかと心配されている。

雪男調査のスペイン人男性、遺体で発見される

先週の金曜日、パキスタン北西部にある自宅で35歳のスペイン人、ジョルディ・マグラネル氏が遺体で発見された。これはペシャワル警察の発表によるもので、スペイン外務省でもこの情報を確認している。警察によると、チトラル渓谷近くの村の自宅で、マグラネル氏は12年間働いていたパキスタン人の召使と共に首を切られた状態で発見されたという。アフガニスタンとの国境に近いこの村の周辺ではバルマヌと呼ばれる雪男の目撃情報が村人から寄せられており、マグラネル氏はこの調査のためにここに住んでいた。
マグラネル氏のもう1人の召使、20歳のアフガニスタン難民の姿が事件以降消えていることから、パキスタン警察では事情聴取のためにこの召使を探している。マグラネル氏がこの地でキリスト教を布教しようとしているとして、住民からの数々の苦情を受けていたパキスタン警察は、以前から、身の安全のために村を出るようにマグラネル氏に忠告していた。彼の遺体は昨日、解剖のため首都イスラマバードに移された。
マグラネル氏は、12年程前から雪男イエティを探しており、この7年間は山深いチトラル地方を調査のため旅し、カイラシュ谷にあるチトラルから40キロほど、7000メートル級の山の麓の海抜1100メートルの村に家を借りていた。地元民の言葉を操ったマグラネル氏は幻の動物研究の専門家で、パリの自然史博物館に協力していた。

週末のスポーツの結果

水泳:ベルリンで行われていたヨーロッパ水泳選手権で、スペインのニーナ・ジバネフスカヤ選手が50メートル背泳ぎで金メダルを獲得。ロシア出身のジバネフスカヤ選手は、200メートル背泳ぎで銀メダルも取っている。今回の選手権では参加19選手のうち13選手が決勝進出、11のスペイン新記録が生まれた。スペインは合計で8個のメダルを獲得している。
サッカー:サンティアゴ・ベルナベウ・スタジアムで行われた4チーム対抗、レアル・マドリッド100周年記念チャンピオンシップで、バイエルン・ミュンヘンが2対1でレアル・マドリッドを破って優勝。一方バルセロナは、アムステルダムでのヨーロッパの4クラブチーム参加の親善大会で、アヤックスに4対3で敗れた。
水球:ギリシャで行われた世界選手権で、スペインはロシアに10対8で破れ準優勝。3位はハンガリー。


8月2日(金)

タリファ沖で13人の移民の死体発見

市民警察と赤十字は昨日朝、13人の北アフリカ系移民の遺体をタリファ(カディス)の海岸で発見した。調べによると、彼らはスペインに入国しようとしてジブラルタル海峡を小舟で渡る長い旅の末、タリファの海岸へ150メートルの場所で溺れたものらしい。彼らと一緒に船に乗っていたと見られる生き延びた8人がこの数時間後、地上で市民警察に逮捕されている。
アンダルシア地方でも有数の観光地であるカディス県にあるタリファのバランコ・オンドは、過去にも同様の悲劇の舞台となっている。昨年2月5日には乗っていた船が沈んで12人のマグレブ地域出身者が溺死、その4年前の1997年9月15日には14の溺死体が見つかっており、さらに10人が行方不明とされた。
昨日の事件の詳細はまだ明らかにされていないが、市民警察と同様に赤十字も、船の操縦士がそれ以上陸に近付いて逮捕される危険を冒さないために、陸地から150メートルの地点で移民たちに下船を強要し、自身は逃げたという見方をしている。推定午前7時半頃、船から下ろされた彼らは陸地に辿りつこうと必死に泳いだが、死亡した13人は岩を避けられずに死んだものと見られている。犠牲者の中には4人の女性(うち2人は妊婦)が含まれていた。自殺行為に近いこのスペインに小舟で入国しようとする試みは、今年に入ってすでに何件もの悲劇的結末を迎えており、4月14日にはカナリア諸島のランサローテ島の観光地であるテギセ海岸で岩礁にぶつかって船が難破し、12人の移民が死亡している。

フランスで2人のETA構成員を逮捕

昨日、フランス警察はサン・フアン・デ・ルスとエンダヤで、フランシスコ・ハビエル・イラストルサ・ドロンソロ、マルコス・サガルサス・オイアルサバルの両容疑者(どちらも33歳)を逮捕した。
両者は、1994年から1997年まで20件以上のテロの首謀者であった“イバルラ作戦”の主要メンバーであったと見られている。このグループは警察の監視がつけられている疑いのため昨年4月に解散し、両容疑者はこの1ヶ月後フランス領バスク地方に逃げ込んだらしい。
このグループが関与したテロの中で死亡者を出したのは3件である。最初の1件は1995年4月19日、ナバラ県エンダルラサの国家警察署に仕掛けられた5キロの爆薬を解除している最中に、爆薬が地方警察のエドゥアルド・ロペス・モレノ氏の手の中で爆発、彼を死亡させたもので、2件目は同年12月16日、クリスマス商戦真っ只中のバレンシアで、デパート、コルテ・イングレスに5個の爆弾が仕掛けられ、うち女性トイレに仕掛けられていた爆弾で買い物に来ていたホセフィ―ナ・コレサ・ウエルタさん(当時43歳)が犠牲になった事件。3件目は1996年3月4日イルンで起きており、ギプスコア県のETA対策責任者であったバスク警察のラモン・ドラル・トラバルデロ氏が自家用車に仕掛けられていた爆弾で暗殺された。
一方、火曜日にウルグアイで逮捕されたETA構成員ヘスス・マリア・ラリス・イリオンド容疑者は現在、ウルグアイの刑務所に収監されており、スペインからの身柄引渡しの書類が届き次第、スペインに送還されることになっている。

スペイン人の60%が犯罪増加と移民増加を関係付ける

失業、テロについでスペイン人の不安の3位を占めている移民問題で、83.6%の人が雇用契約を持つ移民だけを入国させるべきだと考え、59.6%が最近の治安の悪化は移民の増加に関係があると考えていることが、社会学調査センター(CIS)の調べでわかった。
2000年9月まで統計結果に表れたことがなかった移民問題への不安は。以来、スペイン人の不安ランキングの順位を上がり続けている。 調査では87。2%が「すべての人が自分の国でなくても自由に住み、働けるべきである」、51.4%が「スペインに移民労働者は必要である」と答えているが、同時に53.8%がスペインに住む外国人の数を“多すぎる”としており、34.7%が“多いが多すぎるということはない”と答えている。
他国への親近感についての調査では最下位はモロッコであった。トップは西ヨーロッパ諸国、続いてラテンアメリカ、ポルトガルで、 居住許可を移民に与える際にどの国の移民に与えたいかについての調査でもモロッコはアジア諸国と並んで最下位で、トップはダントツで中南米(52.5%)、続いて東欧(21.3%)であった。
さらに47.5%が移民を“スペイン人と同等に扱う”と答えているが、同時に57.8%は「自分以外のスペイン人が移民を“不信”“軽蔑”して扱っている」と答えている。66.7%はスペイン語を習うという条件つきで「移民が自分の習慣、言語を守るのはよいことだ」、74.5%が「移民の子が自分の子供と机を並べて勉強しても構わない」と回答。スペインが移民を受け入れることについて肯定的な人は41.4%で、否定的は28.9%だった。

緊縮財政のスペイン・リーグ

昨シーズンはジダン選手の高額契約(7800万ユーロ)が話題になったが、今年のスペインリーグは、チーム改造にかかった1部リーグ全体の金額が8000万ユーロというチームの経済危機を反映する形となった。
今年はリーグ開始に1ヶ月足らずとなっても、レアル・マドリッドのようにチーム改造に1センティモも使っていないチームがほとんどである。新選手を獲得しないだけでなく、高額の給料を支払わないために選手を譲渡、プレゼントしようとしてさえおり、イバン・カンポとコンゴ両選手がその好例。この夏1番のニュースはバルセロナから自由になったリバルド選手の移籍であった。
2000/01シーズンには4億1400万ユーロだった一部リーグの支出額は、昨年度には2億2千万ユーロに縮小。今度のシーズンにはこれが8千万ユーロにまで減らされる予定である。原因はチームの主収入源である観客数の減少と、テレビ放映権の売れ行き不振だが、例外もあって今シーズンから一部リーグ復帰を果たすアトレティコ・マドリッドは清水の舞台から飛び降りて、ハビ・モレノ、エメルソン、ピノラ選手との契約に2000万ユーロを投じている。今年1選手に最も大金を使ったのは、デポルティボ・ラ・コルニャで、ポルトガル人、アンドラデ選手への1200万ユーロ。


8月1日(木)

社労党の1200市町村が憲法裁判所に予算運営安定法を起訴

社労党(PSOE)は、昨日予算運営安定法を憲法裁判所に提訴した。1200以上の社労党の市町村が同意し、社労党地方政治担当のアルバロ・クエスタ氏とジェイダ市長アントニ・シウラナ氏(スペイン市町村同盟副会長)は、地方政治の財政を圧迫するとしてこの法令の撤回を求める提訴状を昨日提出した。
1999年の高等裁判所による改正により、法律の適用地域に属する市町村の7分の1以上の市町村の同意があり、少なくとも住民の6分の1の支持があった場合はいつでも、市町村が国の法律に対して憲法裁判所に訴えることができる。社労党の主導で、“地方自治保護のため”6ヶ月の間に1200市町村の同意が集まり、この高等裁判所の判決を適用する初めてのケースとなった。提訴状は段ボール箱3箱にものぼり、昨日クエスタ、シウラナ両氏の手によって憲法裁判所に提出された。
クエスタ氏は「スペイン政府は地方政府の権限を脅かし、足かせをはめようとする一方で、必要な市民サービスの提供を経済的障害を設けて妨げようとしている。この提訴はスペイン市町村役場の新たな予算運営モデルの要求と中央政府批判の叫びである。予算運営安定法は、民主的方法で選ばれた地方の代表者たちに投票者への約束を守らせるのを妨げ、使途のはっきりしている予算にも限度と障害を設けており、これは基本的民主主義を脅かし、我々の憲法で制定されている、地方自治政府に代表される多数政治を尊重していない。」と述べた。
この法律は、国民党(PP)政府が最も擁護する法律の一つで、すべての公的行政機関に負債ゼロを求め、安定した予算運営によって国の繁栄を確立しようというもの。社労党は「年度内に必要な予算をきっちり定義するのは不可能で、年度末の会計報告でもし負債が認められないとすれば、市民の要求する行政サービスを保証することもできない」と強調。1200市町村の中にはバルセロナ、セビジャ、サラゴサ、ウエスカ、クエンカ、ジロナ、セゴビア、ジェイダ、ア・コルニャ、コルドバも含まれ、1430万人の署名が集まっている。

PNV党首、ETAとのつながりを否定

PNV(バスク民族党)のシャビエル・アルサジュス党首は、PNVがETAと休戦協定を結んでいるとするマリアノ・ラホイ副首相の発言を否定した。ギプスコア県ムトリク(バタスナ党政府)での集会で党首はPNVがETAともバタスナ党とも関与がないことを力説、「我々には我々のイデオロギーがある」と述べた。1ヶ月半の間、公の場での発言がなかった党首はこの機会を利用してPNVの107年の歴史を振りかえるとともに、与党PP(国民党)の執行部の政策を“反民族主義”と批判し、マルリ町の護衛付き司祭、フランシスコ・ジェラ教授の米国移住を例に挙げ、これらは民族主義に対する集団攻撃であると述べた。
アルサジュス党首は再びアスナル首相を“ファランヘ主義者”と呼び、強者におもねるが、弱者には手厳しいと批判した。
一方、最高裁検察グループは、1987年12月11日にサラゴサで起きた市民警察署へのテロに関与した容疑で、現バタスナ党所属バスク議会議員ホセ・アントニオ・ウルティコエツェア氏(通称ジョス・テルネラ)の起訴を最高裁に依頼した。このテロでは、250キロの爆薬を積んだ車両爆弾が使われ、女児5人を含む11人が死亡、73人が負傷しており、首謀者の1人であったフランス人のアンリ・パロは、その他10の暗殺、73の暗殺未遂、およびテロ犯罪に関与した罪で、1994年3月から懲役1802年の刑に服している。
国家警察が逮捕したETAメンバーから入手した情報によると、このテロは南フランスにあるETAの司令部からの命で行われたものであり、その幹部の中にホセ・アントニオ・ウルティコエツェア氏の名前があった。
ウルグアイでは、ウルグアイのETA最高責任者で中南米でもっとも逮捕が望まれていたヘスス・マリア・ラリス・イリオンド容疑者が火曜日に逮捕されている。これは、昨日アンヘル・アセベス内務大臣の発表でわかったもので、スペインは昨年、ラリス・イリオンド容疑者を暗殺未遂、恐喝、窃盗、武装グループへの所属の罪で裁くために、ウルグアイ政府に身柄引き渡しを要請しており、アセベス内務大臣はウルグアイ政府の協力に感謝の意を述べた。この逮捕でスペイン政府はETAに「世界のどの国にも逃げ場がない」ということを思い知らせた。
今日は、フランスの内務大臣ニコラス・サルコジ氏とアセベス内務大臣の会談が行われる。この中で両大臣はテロ対策、不法移民対策について話す予定。フランス内務大臣はその後、アスナル首相とも会談する。

ジブラルタル海峡での移民の死者減少

モロッコ人労働者移民協会の発表によると、今年1月から6月のスペイン海域でのジブラルタル海峡およびカナリア諸島近海での移民の死者、行方不明者の数は、昨年の114人から32人(うち死者18人、行方不明者14人)に減少したという。昨年から71%の減少を見せているものの、1997年からの犠牲者の数は4000人に達している。
「我々は、小舟に乗りこもうとする人々にこれから待ちうける危険について知らせる義務がある。移住に反対するわけではないが、無駄に命を捨てて欲しくない」と副会長のカミル・ラモウニ氏は述べる。今回労働省の援助金でキャンペーンが行われ、40のNGO機関のメンバーが、得をしているのはマフィアだけだという内容のポスターとビデオでこれ以上犠牲者を増やさないための運動をモロッコ北部で始める。

ヨーロッパ水泳選手権、スペイン7つ目のメダル

マドリッド出身のホセ・ミゲル・ヒル選手(31歳)が昨日、ベルリンで行われているヨーロッパ水泳選手権1メートル飛びこみ競技で銀メダルを獲得した。
これまでスペインが獲得したメダルは、銀メダルが200M背泳ぎ(ニーナ・ジバネフスカイア選手)、女子200Mリレー、シンクロナイズド・スイミングのデュオ演技(ジェンマ・メングアル選手、パオラ・ティラドス選手)、チーム演技とダビ・メカ選手の25KM遠泳で5つ、銅メダルがシンクロナイズド・スイミング、ソロ(ジェンマ・メングアル選手)の1つ。この後、100M背泳ぎのニーナ・ジバネフスカイア選手、スペイン国内新記録(25.72秒)で予選を通過したダビ・オルテガ選手の50M背泳ぎにメダルの期待がかかる。




QUEDA TOTALMENTE PROHIBIDO LA REPRODUCCIÓN, LA REPUBLICACIÓN, O COPIAR CUALQUIER CONTENIDO DE NUESTRAS PÁGINAS.
全て内容おいて無断で使用・転載・複製することを禁じます

メールコンタクトはspnews@spainnews.comまで