スペインニュース・コムがお届する
毎日のトップニュース


4月30日(火)

クリスティーナ王女に3人目のお子さま誕生

サルスエラ宮殿に近い筋によると、フアン・カルロス国王夫妻の次女クリスティーナ王女(パルマ公爵夫人)は、今日午前7時30分バルセロナのテクノン病院で男の赤ちゃんを出産した。名前は「ミゲル」という。クリスティーナ王女と夫のパルマ公爵、イニャキ・ウルダンガリン氏との間には、すでに2人の男の子がいる。国王夫妻にとっては5人目の孫となった。
クリスティーナ王女は、アストゥリアス王子、姉のエレナ王女とその2人の子供に続いて王位継承第5位にある。1965年6月13日生まれで、97年10月にハンドボールのスペイン代表選手でもあったイニャキ・ウルダンガリン氏と結婚、現在はバルセロナ在住。パルマ公爵夫妻の長男フアン・バレンティン・デ・トドス・ロス・サントス王子は99年9月29日、次男のパブロ・ニコラス王子は2000年12月6日それぞれバルセロナで誕生した。

ETAの資金調達に関わったバタスナ党メンバーら11人を逮捕

全国管区裁判所のバルタサール・ガルソン予審判事率いる国家警察隊は昨日、バスクとナバーラで、ETAや左翼ナショナリスト集団への資金調達に絡んでいたと見られる11人を逮捕した。ETAの資金調達の根源をつぶす目的で行われた今回の作戦には、3年以上という長い準備期間があった。内務省の発表によると、1998年後半に警察当局はそれまでの捜査をまとめ、スペイン、フランス、コロンビア、キューバ、パナマ、カボ・ベルデに散らばる170もの企業や事務所による、テロリスト組織や左翼ナショナリスト集団の活動維持のための資金提供に関する組織図を作成し、次第に包囲網を狭めていった。これらの経緯を経て、ついに昨日ガルソン判事から逮捕作戦の指令が下った。
逮捕は昨日の昼頃から開始され、まずパンプローナで民族執行委員会の元幹部ルフィ・エチェベリア容疑者(43)が他のバタスナ党員らと食事に行こうとしているところを逮捕された。その後バタスナ党議員や活動家、民族執行委員会メンバーで金庫番のジョン・ゴロチャテギ容疑者らがギプスコア、ビスカヤ各県で次々と逮捕された。当初逮捕者は12人と報道されたが、元バタスナ党議員で弁護士のラモン・サバラ氏は今朝出演したラジオ番組で、この作戦により家宅捜索を受け、コンサルタント業務を行っていた「合法的企業に関する一連の資料」が押収されたことは認めたが、逮捕されたとの報道は否定した。
しかしこの逮捕劇の24時間前には、バタスナ党スポークスマン、アルナルド・オテギ氏と党幹部数名が記者会見を行い、全国管区裁判所の命令により党に対して広範囲にわたる警察当局の作戦が繰り広げられていることが明らかになったが、これは逮捕に関する情報が事前に漏れていたことになり、警察当局に大きな衝撃を与えた。

セクシャル・ハラスメントで起訴されたポンフェラーダ市長、公判で無罪を主張

ポンフェラーダ市議会(レオン県)の元議員の女性に性的嫌がらせをしたとして起訴されている同市長イスマエル・アルバレス被告の口頭弁論が昨日、カスティージャ・イ・レオン高等裁判所で行われた。この裁判は、原告のネベンカ・フェルナンデスさんが、同市議会の税金担当議員だった時代に、市長のアルバレス被告からセクシャル・ハラスメント(性的嫌がらせ)を受けていたと告訴したことに始まった。被告の入廷に際し、裁判所前ではバジャドリッドの女性団体が市長に対して抗議を行った。口頭弁論は午前11時に始まり、アルバレス被告は落ち着いた様子で、検察、弁護側双方の質問に対して容疑を否定した。またネベンカさんについて「嫉妬深く、幼稚で未熟な女性」と形容し、「嫌がらせを行ったのは彼女の方である」と起訴内容は全く逆のものであると主張した。アルバレス被告の妻が重病で亡くなった99年8月以降、議員時代のネベンカさんと被告との間に「性的関係」が約5ヶ月にわたり存在したのは双方が認めるところである。しかし被告は、関係終結後ネベンカさんに対して仕事上不利になるような措置などをとったことは否定した。今日は原告の口頭弁論が行われる予定。

リーガ・エスパニョーラ終盤戦、急進的サポーターとの衝突相次ぐ

サッカーのスペイン・リーグは、閉幕まで残すところ2試合となり悲喜こもごものサポーターの興奮も頂点に達しているようだ。
2部降格がほぼ確実となっている最下位のテネリフェは、日曜日ホームスタジアムでバジャドリッドに5−1の大差で敗北を期した。この結果に激怒した急進的サポーターらが、試合後スタジアムから出てきた選手らに罵声を浴びせていたが、テネリフェのラッセルホフ選手が逆に車のハンドルを急に切ったりして、サポーターの一人が轢かれそうになった。今度はそのサポーターが大きな石を同選手の車に投げつけたり、他のサポーターらもドアを蹴る、揺り動かすなどしてもみ合いになった。
同じく2部降格寸前のサラゴサもセルタに1−0で敗れた。試合中もインチャス(急進的サポーター)らがグランドに降りようとして警備員に阻止されたりと、彼らの憤懣やるかたなし。そして試合が終わった午後8時、4000〜5000人のサポーターたちがスタジアム出口を取り囲み、サラゴサの選手に対し非難の声を浴びせようとしていた。サポーターの興奮はなかなか冷めやらず、午後11時ごろになってもファンらは選手らに向かって「お前たちにこのユニフォームを着る資格はない」「恥を知れ」などと叫びつづけた。しかし偶然にもこの日対戦したセルタのビクトル・フェルナンデス監督は、サラゴサの監督だった時代に国王杯をもたらしたことから、彼らから「ビクトル、戻ってきてくれ!」と歓呼されていた。そうしているうちに選手を迎えるバスが到着し、試合終了から3時間あまり経ってようやく選手たちは帰路に着くことが出来た。


4月29日(月)

ティッセン−ボルネミッサ男爵逝去( ジローナ )

美術品のコレクターとして世界的にその名を知られていたハンス・ハインリッヒ・フォン・ティッセン−ボルネミッサ男爵が、金曜日の午前1時、ジローナ県サント・フェリウ・デ・ギショルスにある自宅で、肺動脈内血栓塞栓による急性心肺不全で亡くなったことが、遺族とティッセン−ボルネミッサ財団の公式通知によって明らかになった。81歳だった。男爵の遺体は、家族に伴われてドイツへ移され、シュロース・ランスブルグ城の一族の墓地に埋葬される。またマドリッドのティッセン−ボルミネッサ美術館、ペドラルベス修道院(バルセロナ)やスイスにある男爵の邸宅などで記帳が行われている。同財団の公式スポークスマンによると、これまでにスペイン国王をはじめ、世界各国の政治家や文化人らが、男爵夫人や財団に対して弔意を表したという。
ハンス・ハインリッヒ・フォン・ティッセン−ボルネミッサ・デ・カゾン男爵は、1921年4月13日オランダはハーグの近くスケベニンゲンで、財政家ハインリッヒ・ティッセン氏とハンガリー出身のマルガリータ・ボルネミッサ女男爵との間に生まれた。父親の一族は、当時のドイツで最も裕福な家系のひとつである。父のティッセン氏は、1920年から美術品の収集を始め、生前その子供たちに贈与された。その後父のコレクションを再びひとつにまとめようと、息子のハンス・ハインリッヒ・フォン・ティッセン男爵は、家族兄弟が遺産として所有していた美術品を購入し、新たに手に入れた作品も含めて、今日の膨大な美術コレクションが築かれるに至った。
5人目の妻であるカルメン・セルベラ男爵夫人とは1985年に結婚した。その直後から、男爵はスイス・ルガノの邸宅「ビジャ・ファボリータ」に所蔵されていた世界でも屈指の個人コレクションをスペイン国内で一時的に公開することについて、スペイン政府との交渉を始めた。そして1988年、当時のスペイン文化大臣とティッセン男爵の間で、政府がビジャエルモサにある宮殿を展示場所として差し出すのと引き換えに、絵画775点を9年間にわたって政府に貸与するということで、合意した。この貸与に関しての管理や維持のためにティッセン財団が設立された。1993年、ティッセン男爵夫妻はこれらのコレクションが恒久的にスペインに留まることを希望するという意思を政府に告げ、政府は、この世界で最も重要な美術コレクションを、420億ペセタ以上の金額で買い取ったという経緯がある。日曜日の昨日は、地中海の素晴らしい景観が見渡せるコスタ・ブラバ地方サント・フェリウ・デ・ギショルスの邸宅「マス・マニャーナス」にて葬儀が行われた。この町には将来カルメン・セルベラさんが個人的に所有する19世紀〜20世紀のカタルーニャ絵画を集めた美術館を開館する準備が進んでいる。

アトレティコが1部リーグ昇格決定

サッカーのスペイン・リーグ2部で、1部返り咲きをかけて争っていたアトレティコ・デ・マドリッドは、自力での昇格がかかっていた土曜日の試合では、二部最下位のジムナスティック・タラゴナと引き分け、翌日の他試合の結果を待つこととなった。そして昨日は、レガネスがレクレアティーボに2−1で勝利したその瞬間、アトレティコ念願の1部昇格が決定した。1昨年二部に転落し、2季−721日間続いた悪夢から解き放たれた瞬間だった。2年間変わらず応援しつづけてきたサポーターたちは、紅白の縦じまのユニフォームを身につけ、チームの旗を手にマドリッドのネプチューン広場に結集し、「アディオス、ア セグンダ(2部よさらば)!アディオス!」と叫びながら喜びを分かち合った。また同クラブはこの夜、1部返り咲きという偉業を達成した監督のルイス・アラゴネス氏の契約を2年間延長することでサインをした。

スペインの犯罪件数、再び上昇傾向

警察統一組合(SUP)がこのほど公表した2002年第一四半期の犯罪統計では、国家警察の管轄である人口50万人以上の都市の合計で、351.149件の刑事犯罪が起きており、2001年の同時期の331.354件を6.0%上回る結果となった。また昨年の最終四半期(10月〜12月)と比べても、0.36%増えていることがわかった。しかしながら昨年は2000年に比べて、最終的に10%も犯罪件数が増加していたことを考えれば、いまのところ増加率は「減速しつつある」と言えるだろう。最も上昇率が高かったのは、バレアレス地方の49,6%、つづいてリオハ地方の35,1%、マドリッドの15,6%。逆に、国境をはさんでモロッコと接し、商業などの面で密接な関係にありながらも不法移民による犯罪の増加という矛盾を抱え、昨年までスペインで最も危険な都市とされていたメリージャやセウタでは、外国人法の厳格な適用の結果、今回の統計ではメリージャで12,8%、セウタで22,8%と大きく犯罪件数が減少した。先週の水曜日には、アスナル首相が国会で「2002年第一四半期の犯罪件数は、減少傾向を示している」と発言していたが、まったく逆の結果が公表されたことにより、社会党PSOEと警察組合は「犯罪の増加率が減少しているのと、実際に数が減っているのとでは、大きな違いだ」と首相の先の発言に対し、矛先を向けている。


4月26日(金)

「BBV事件」ガルソン判事はBBVの元取締役ら24人に嫌疑

先月旧BBV時代の海外秘密口座の存在が発覚したBBVA銀行だが、現在は検察庁汚職対策特別室のダビッド・マルティネス・マデロ検事と全国管区裁判所のバルタサ―ル・ガルソン予審判事が中心となって、捜査を進めている。ガルソン判事は昨日、エミリオ・デ・イバーラ元BBVA頭取やペドロ・ルイス・ウリアルテ同元副頭取兼専務取締役を初めとする24人の役員らの嫌疑者を決定し、リストを公開した。彼らに対する嫌疑は、横領、脱税、文書偽造、資金洗浄および収賄など。しかしながら現在のところ、政府の国税担当長官ポンガ氏やBBV専務取締役ゴリゴルサリ氏、バスク地方政府のマリオ・フェルナンデス元副代表に関しては、「時期尚早」としてリストには入っていないことを明らかにした。この事件の発端は、総額およそ2億2千5百万ユーロがタックス・ヘイブンにBBVの持っていた隠し口座を通じて流用されていたことが発覚したことに始まった。この事実はスペインの財政システムとその監督機関に対して国民に疑問を抱かせている。BBVは13年間にわたり隠し持っていた秘密の帳簿を、アルヘンタリア銀行と合併した2001年1月に清算し、新たに会計に組み入れた。ジャージー島などのタックス・ヘイブンにおける秘密口座の存在はスペインの大銀行のひとつであるBBVAの権力構図を揺るがし、フランシスコ・ゴンサレス氏を唯一の頭取に据え、またBBV出身の役員らを取締役会から締め出すという結果になった。今回の嫌疑者の決定により、さらに捜査が進むことになるであろう。

自分が死亡したと見せかけて何度も保険をだましとっていた男を起訴

今回起訴されたC.L.アロンソ容疑者は、ムルシア出身で現在はフランス在住。アロンソ容疑者はこれまで数回にわたって自身や妻がが死亡したり、障害者になったことに見せかけ、保険会社8社からおよそ百万ユーロ(1億8千万ペセタ)を騙し取っていた疑いが持たれている。昨日バルセロナ開かれた公判では、検察側はアロンソ容疑者とその妻に対し「詐欺の名人」として同容疑者に懲役14年を求刑した。しかし弁護側は、夫妻は過去すでに同じ容疑で2年から5年の刑期をペルピニャンで終えていることを引き合いに出して、無罪を主張した。アロンソ容疑者はこれらの嫌疑内容については、昔のことでよく覚えていないと答えた。検察と詐欺にあったとする保険会社各社でつくる原告団は、フランスでの裁判に関する法的書類の真実性に問題があるとして、今回のカタルーニャでの告訴に踏み切ったという。裁判はアロンソ容疑者が提出した、妻が病気であるという医師の診断書により、2度にわたり中断されたが、この診断書も偽りであると見られている。
一方妻のマリア容疑者も、一度だけ保険会社2社からそれぞれ3万ユーロと12万ユーロの小切手を受領したことを認めているが、詐欺行為を行っていたことについては「全く知らなかった」、また容疑については「何も覚えていない」として否認を続けている。アロンソ容疑者は現在居住しているフランスのペルピニャンで、看護士、トラック運転手やタクシー運転手などの仕事をしていた。原告側によると、1990年から93年の間に、容疑者自身や妻が死んだことに見せかけて数回にわたって保険会社8社から保険金を騙し取っていた。また四肢麻痺を引き起こすために、自ら硬膜外麻酔を注射したこともあるという。アロンソ容疑者は、ムルシアのシエサからフランスに渡った移民で、マタロー、バルセロナ、マドリッド、フィゲラス、ジローナの保険会社に合計12万ユーロの保険をかけていた。そして事故を装い、様々な文書を偽造して死亡や障害などを申告していたと見られる。また情報筋によると、同容疑者は自分と同じ名前である実の父親の偽の死亡証明を提出したこともあるという。


4月25日(木)

移民の乗った船が暗礁に乗り上げ、11人が死亡( ランサロテ )

昨日午前11時半ごろ、カナリア諸島のランサローテ島沿岸をパトロール中の市民警察は、暗礁の間に一隻の「パテラ」と呼ばれる小さな船が漂流しているのを発見した。壊れかけたこの船には7人の移民と見られる人たちが、ずぶ濡れになって乗っていた。市民警察に対する彼らの説明によると、船にはほかにも11人が乗っていたが、皆海に投げ出されておぼれてしまったという。救助された7人が同島のテギセ海岸にある警察署に移送されると同時に、海難救助隊、国家警察および市民警察のヘリコプター3機や救助船などが現場付近へ捜索に向った。そして遭難したパテラの周辺で、溺死した11人の遺体を収容した。彼らは皆パスポートや労働許可証なども一切所持しない非合法移民で、北アフリカやサハラ砂漠以南からやってきた人たちと見られている。航行中の寒さから身を守るため、ズボンやトレーナーなどを何枚も重ね着しており、海に投げ出されたときに海面に浮いていることが出来なかったのが溺死の原因ではないかとされている。
彼らが遭難したこの夜には、合計5隻のパテラがアフリカからカナリア諸島に向けて出発したという。沿岸では未明から濃い靄が発生しており、視界不良により暗礁に乗り上げたものと見られる。警察当局では、遭難したのは1隻だけではないとの憶測から海上での捜索を続けると同時に、すでに上陸している移民らもいるとみて、陸上での捜索も開始した。これにより5隻のパテラのうち初めに発見された船のほかに3隻がランサローテ島およびフエルテベントゥーラ島沿岸で発見され、船長や移民ら合計48人のマグレブ地域(チュニジア・アルジェリア・モッロコ三国の総称)やサハラ砂漠南部からの移民や船長らが逮捕された。

スペインの教育に関するアンケート調査 ― 向上はしたが規律の欠如

社会学調査センター(CIS)は、このほどスペインの教育に関するアンケート調査の結果を発表した。これによると、以前に比べて教育システムなどは全般的に向上しているが、学校の権威や規律が不足していると考えている人が多数を占めていることが明らかになった。調査の対象となったのは、2.498人の18歳以上のスペイン人。
まず学校や教師の権威に関しては、89.8%の人が「生徒・学生はもっと教師を敬わなければならない」という質問に「同意する」と答え、「教員は生徒・学生に対して必要な権限を持っているか」という質問に対しては65%が「NO」と答えた。 次に教育の責任という質問に関しては、63.7%が「若者の教育は教育機関と家庭それぞれに同じくらいの責任がある」と考えているが、32%は「両親だけに責任」、2.8%が「学校などの教育機関のみに責任がある」との回答があった。 最後に学校における宗教教育に関して、82.5%が「カトリックについての授業は希望者に対して行われるべき」と答えたが、その他の宗教(イスラム教、ユダヤ教、プロテスタントなど)について希望者に授業をおこなうべきかどうかという質問に対しては、約半数が「同意する」、約35%は「反対」その他は「無関心・無回答」だった。
このCISの調査結果は、与野党の間で全く逆の姿勢で受け止められた。与党国民党(PP)は国会の教育担当スポークスマンのフアン・カルロス・ゲラ・スンスネギ氏を通じて、「このアンケート結果は、現在政府が推進している教育資質法案による教育改革を“抗しがたいもの”として受け入れていることを示唆するものだ」と述べたが、反対に社会党(PSOE)は教育担当のカルメ・チャコナ氏が、「政府与党は政治的信任を得るためにCISにアンケートを依頼したが、失敗に終わった。なぜなら現在の教育状況が良くないと感じている人は少数派であることが明らかになったからである。」と語った。

パウ・ガソル選手、NBA年間最優秀新人賞に輝く。ヨーロッパ人選手では初めての快挙

バルセロナ出身のバスケットボール選手、パウ・ガソルさん(21)は今シーズン、FCバルセロナから米NBAのメンフィス・グリズリーズに移籍し、89試合に出場、1試合平均17.6得点、リバウンド8.9、出場時間36.7分という記録を残した。11月、1月、3月と3度ウエスタン・カンファレンスの月間新人賞に輝いており、今年のルーキー・オブ・ザ・イヤーの最有力候補選手として期待されていた。新人賞の選考は、バスケットボール界で活躍するジャーナリスト126人の投票によって行われる。この投票の結果、ガソル選手は117票、92.85%という高い得票率でリチャード・ジェファーソン選手(2位、ネッツ)やジェイソン・リチャードソン選手(3位、ウォリア―ズ)を圧倒した。またNBAがインターネットを通じて呼びかけた非公式のファン投票でも、31万の票数のうち90%がガソル選手がルーキー・オブ・ザ・イヤーにふさわしいと考えていたことが明らかになっている。 1953年の新人賞創設以来、ヨーロッパ国籍の選手が受賞するのはこれが初めてである。過去には、現在もNBAのスターとして活躍しているシャキール・オニール(1993年)、ティム・ダンカン(’98)、マイケル・ジョーダン(’84)、ヴァンス・カーター(’99)の各選手らがデビューの年に受賞している。
受賞の知らせを受けて、ガソル選手は「一生に一度しかチャンスのない賞。それをもらえたなんて信じられないです。」と喜びを表した。マイケル・ジョーダン選手を尊敬し、「メンフィスは静かないい町で、人々も親切。いいと思うところは、他人のことに干渉しないところ。」そして「NBAでは試合後の長距離の移動に慣れるのが大変だった」とインタビューに答えた。シーズンも終わり、しばらくは出身地のバルセロナで休暇をとる。その後8月29日からインディアナポリスで開催予定のワールドカップに向けてのキャンプが行われるマラガでスペイン代表チームと合流する。


4月24日(水)

偽装会社網をあやつりアルカイダに送金していた総責任者逮捕( マドリッド )

警察当局の情報部門により逮捕されたのは、スペイン国籍のシリア人、ムハンマド・ガレブ・カラジェ・ゾウアイディ(通称アブ・ターラ)容疑者。アブ・ターラ容疑者は、ウサマ・ビンラディン氏の率いるテロ組織「アルカイダ」から、隠れ蓑にした会社などを通して活動資金を集めるための実行責任者を任されていたと見られる。それらの偽装会社は建設業や不動産広告業などで、これまでに1億千百万ペセタ(66万7千ユーロ)が世界中に散らばるテロ分子の活動資金として送金されたことが明らかになっている。この内の3千万ペセタは、昨年9月11日の米同時テロの前に、世界貿易センタービルに激突した飛行機のパイロット、アッタ容疑者をドイツで勧誘したアブ・イリャス氏の銀行口座に振り込まれている。アブ・ターラ容疑者は、昨年の11月に他の10人のアルカイダメンバーと見られる者らとともに逮捕されたが、証拠不十分で釈放されていた。その後警察当局は、証拠をつかむために捜査を続け、今回同容疑者の手により米国、サウジアラビア、ドイツ、ベルギー、スペイン、ヨルダン、イエメン、中国、インドネシア、英国、トルコなどに送金が行われていた事実を掴んだ。捜査当局筋によると、同容疑者は現在建設および不動産広告業に従事しており、ここから資金を流していた疑い。また世界中に散らばるビンラディン氏の経済網の重要人物らと直接関わりを持っていたと見られる。4月14日のアハメド・ブラヒム容疑者に続き、今回アブ・ターラ容疑者が逮捕されたことにより、スペインがイスラム・テロリスト活動の資金面で、また9月11日の米同時テロ準備のカギとなる重要な場所のひとつであることが示された。

レオン県のガウディ建築で特別展開催

19世紀後半から20世紀にかけて、卓抜な建築手法で世界的に有名になったアントニオ・ガウディは、主としてカタルーニャ地方で活躍したが、カタルーニャ以外には4つの建築物がある。コミージャスの「エル・カプリチョ」(サンタンデール)、パルマ大聖堂の改築(マジョルカ島)、そしてレオンには「ボティーネス」と郊外のアストルガにある司教館である。現在はカハ・エスパーニャという銀行が所有している「ボティーネス」では金曜日からガウディの生誕150年を記念して、5月6月はカタルーニャ州政府の主催によりガウディからタピエスまで20世紀のカタルーニャの芸術家に関する展覧会が開かれる。また10月から12月まではバルセロナ市役所主催、カスティージャ・イ・レオン州政府の協力で「ガウディ − 経験・空間・幾何学・構造と建築」という展覧会の開催も予定されており、ガウディの独創的な手法をより理解するのに役立つであろう。

サン・ジョルディの日、本の市で賑わう( バルセロナ )

カタルーニャでは本やバラの花を贈りあう習慣で知られている「サン・ジョルディの日」の昨日、市内の大通りでは本市が開かれ、国内外からたくさんの作家たちが訪れて、新刊書にサインをする姿が見られた。夏のような日差しとサッカーのマドリッド対バルセロナの“伝統の一戦”で市民の気分も昂揚したのか、市は朝からたいへんな人出となった。このほど詩集「Los ciento volando de catorce」を出版した歌手のホアキン・サビーナさん、アントニオ・ガラ氏、エドゥアルド・メンドーサ氏、フアン・ホセ・ミジャ氏ら多くの作家が本を購入した市民らにサインをし、またアスナル首相夫人のアナ・ボテージャさんも自ら選び解説をつけた物語をまとめた「Erase una vez(昔むかしあるところに…)」の出版を記念して、セルバンテス賞授与式の行われていたアルカラ・デ・エナーレスから直行した。サン・ジョルディの日にちなんで購入された本の総売上げは1800万ユーロ、バラの花は500万本に上った。本の売上げは昨年よりも6%増えたという。

レアル・マドリッド、バルサ下し決勝進出に王手

昨日バルセロナのノウ・カンプスタジアムで行われた、サッカーの欧州チャンピオンズ・リーグ準決勝第一試合(ホーム&アウェー)は、レアル・マドリッドが2−0でFCバルセロナを下し、決勝進出に王手をかけた。この試合は欧州杯では43年ぶりとなるレアル対バルサの対決で、スタジアムには98.000人の観客がつめかけ、市内の通りは試合開始のころには人や車の往来も少なくなった。バルサは開始直後から盛んに相手ゴールを攻めていったが、キーパー、セサルのファインプレーや堅い守りに阻まれ全く得点できず。一方のレアルはその中でも機会をうかがっていたが55分、ラウルの右から左への長いパスをジダンが引き受け、前に出てきたキーパーのボナノ交差するような形になり、空いていたゴールに難なくシュートを決めた。また91分、後半に交代したマクマナマンが2点目を入れた。
この結果により、来月1日にマドリッドで行われる第2試合でバルサが逆転して決勝に進出するのはかなり難しくなったといえる。また今日は準決勝のもう一組、マンチェスター・ユナイテッド対バイエルン・レベルクセンの試合が行われる。


4月23日(火)

へスス・ヒル氏、70万ユーロの保釈金支払い釈放される

サッカーのアトレティコ・デ・マドリッド(スペイン2部リーグ)会長およびマルベージャ市長のへスス・ヒル氏は、市役所の公金2億6千7百万ユーロを横領した疑いで先週からマラガのアルカラ−メコ刑務所に収監されていたが、昨日ヒル氏の弁護士が保釈金として70万ユーロ(1億千6百50万ペセタ)の銀行保証を提出し、1週間ぶりに刑務所を後にした。刑務所前に集まっていたたくさんの報道陣を前に、息子のミゲル・アンヘル、アトレティコ社長と弁護士のオリバ氏に伴われジャージ姿で現れたヒル氏は、1週間の監獄生活について「とてもいい扱いを受けた。刑務所の中の人々はみな素晴らしい人たちばかり。ここでは自由の大切さについて学ぶことができる。毎日空を飛ぶ鳥たちばかり見ていて、しまいには鳥と会話をしているような気持ちになる。」と振り返った。また入所者の中にたくさんの「アトレティコ・ファン」がいたようで、口々に「マルベージャ万歳!アトレティコ万歳!ヒル万歳!」と叫んでいたと話した。自ら会長を務めるアトレティコの先週の試合については、「勝利が大きな慰めとなった」と語った。
裁判長は、今回釈放されたヒル氏の他に帳簿係りのカステル容疑者とマルベージャ都市計画社の経営者ロカ容疑者にそれぞれ45万ユーロ(7千5百万ペセタ)、コントラタス2000社のヒメネス容疑者とヒル氏の元法律顧問シエラ容疑者の2人に30万ユーロ(5千万ペセタ)の保釈金を命じた。

自動車会社セアット、社員若返りで「オペラシオン・トリウンフォ」

カタルーニャ最大の企業SEAT(セアット)社は、段階的に社員の若返りを図るために現在60歳以上の社員が占めている2000のポストを若い新入社員にリレー交代させていくことを発表した。この募集に対し、19〜29歳の若者約16.000人の応募があったという。最近テレビで大反響を呼んだスター誕生番組「オペラシオン・トリウンフォ」さながらに、大勢の候補者の中から、面接や健康診断、適正検査などによって8倍の確率で新入社員が選ばれることになる。
現在就業している60歳以上の社員2000人は、段階的に新しい社員に交代していくため、労働時間を現行の15%まで引き下げる。しかし1日の労働時間を短縮するのではなく、定年退職の日まで年間32日の有給休暇が与えられることになる。給与の85%は社会保険でまかなわれるため、彼らの給与も現在と変わらず、また65歳の定年退職後の年金額も変更なく支払われる。また新しく採用される若者たちは、60歳以上社員の残した85%を埋め合わせするのではなく、始めからフルタイム契約が約束されている。

エリクソンの人員削減でスペイン支社にも影響か

昨年から通信産業の分野での経営規模縮小が加速を続けるなか、このほどスウェーデンのエリクソンと、ドイツのシーメンスの2社が大幅な人員の削減を発表した。エリクソンのヘルストローム社長は昨日、コスト削減のため、今後2年で全社員の約4分の一にあたる2万人の削減を計画するとした。年内に解雇される人員の約半数はスウェーデン人社員だが、現在エリクソン社は、スペインに3.400人の社員を抱えており、このうち今回の人員削減の影響を受けるのは約440人、主にマドリッドとビルバオにある支店の社員とのこと。会社側の情報筋によると、すでに赤字に歯止めがかからず、追加人員削減も時間の問題と見られていたという。

欧州チャンピオンズリーグ準決勝、マドリッドとバルセロナが42年ぶりに今日対決

欧州杯では42年ぶり3度目の対決となる本日の準決勝第一試合は、FCバルセロナのホームスタジアム、ノウ・カンプで行われる。同スタジアムには10万人の観客と世界中から約800人の報道関係者が集まる予定。また自宅やバルなどで観戦する数百万人もの市民に向けて、国営TV1チャンネル、カナル・プルス(有料)、ビア・ディヒタル(有料)の3局で同時にTV放映される。今日はレアル・マドリッドではフィーゴ、モリエンテス、バルサではリバウド、シャビ、プジョールの各有力選手を欠いての試合となるが、リーガ・エスパニョーラ(国内リーグ)での優勝争いから離脱したバルサのレシャック監督は「決死の覚悟で臨む」、またレアルのデル・ボスケ監督は「この準決勝は天の恵みである」とそれぞれ“伝統の一戦”にかける意気込みを語った。試合はスペイン時間の午後9時から。


4月22日(月)

マドリッド北部で車両が爆発、死傷者は出ず

本日午前1時前、マドリッド北部のマヌエル・カルデイロ通り18番地で、1台の乗用車に仕掛けられた爆弾が爆発したが、幸いにもけが人はなかった。爆発があった場所は、石油会社レプソルYPFの駐車場で、付近にはカスティージャ広場やレアル・マドリッドの関係施設が集まる「シウダー・デポルティーバ」がある。捜査当局筋の情報によると、爆発物が仕掛けられていた車の車種はマドリッドナンバー、赤色のフォード・フィエスタで、事件の少し前に盗まれたもの。爆発の約15分前に25歳から30歳くらいの2人の若者がレプソルの駐車場に車を止めた後、立ち去っているのが目撃されている。また車には15キロの爆発物が仕掛けられており、事前に爆発を予告する電話などはなかったという。この爆発により、同駐車場に止められていた17台の車両が被害を被った。
犯行はETAのマドリッド部隊による可能性が強いと見られているが、まだ今の時点では調査段階にある。事件後、周辺地域で警察による包囲作戦がとられたが、今朝はすでに解除されている。先週土曜日にはバスク地方の中産階級の経営者などが多く居住していることで知られているビスカヤ県のラス・アレナス市ゲッチョー地区でもETAによる車両爆弾が爆発し、物的被害がでている。ゲッチョ−地区で同じようなテロ事件が起きるのは、これで4度目である。またETAによるものと見られるテロ行為が、首都マドリッド市内で行われたのは、昨年の11月6日以来。

「本の日」恒例のドン・キホーテ朗読リレー開催

明日4月23日のサン・ホルへ(カタルーニャ語でサン・ジョルディ)の聖日は、スペイン文学を代表する文豪セルバンテスとイギリスのシェークスピアの命日にもあたり「世界本の日」としてユネスコからも指定されている。この日にちなんで、スペインでは世界的に有名なセルバンテスの代表作「ドン・キホーテ」に関する様々な文化活動などが行われる。中でも今回で6回目を迎える「ドン・キホーテ朗読リレー」では、3日間にわたって、スペイン国内だけでなく世界各国、また海上や空からも有名人、一般市民らが参加してリレー形式で朗読が行われる予定。毎年一人目の朗読者は、前年の12月にセルバンテス賞を受賞した作家が務めるのが慣例となっており、今年はコロンビア人作家、詩人のアルバロ・ムティス氏により本日12時、マドリッド・美術サークル柱の間にて朗読が開始された。セルバンテス賞は、明日セルバンテスの出生地アルカラ・デ・エナーレスにおいてフアン・カルロス国王によりムティス氏に授与される。
朗読に参加するのは、一般市民から選ばれた人たちのほか、各界の著名人ら。政界からはラホイ内務大臣、トゥリージョ防衛大臣、デル・カスティージョ教育・文化大臣、左翼政党IUのジャマサーレス書記長ら。また電話回線や、無線、ビデオ会議などの通信手段によって、世界各地からも参加できるようになっている。ビデオ会議により朗読が行われるのは、セルバンテス協会事務所やスペインの国際協力施設がある、マンチェスター(英国)、ベルギーのブリュッセル、フランスのパリ、リヨン、ニューヨーク、ウルグアイの首都モンテビデオ、リマ、ブエノスアイレスなど。また交信は地上だけでなく、ピスエルガ川でパトロール中の海上警察、ビルバオの海上無線基地、数千マイル上空のマドリッド−リマ−ボゴタ間およびサンティアゴ・デ・チレ−マドリッド間の空の定期便の機内からも、乗客や乗務員らが数分間にわたって小説の一部を朗読する。

白昼の路上で妻が夫に発砲し殺害( グラナダ )

昨日午後1時45分ごろ、グラナダ市内で37歳の女性が、路上で夫(45)に向けてピストルを発砲し、死亡させるという事件があった。夫妻は事件直前、自宅で激しい口論をしたという。路上に倒れ伏した夫は、まだ息があると考えたらしい身元不明の数人によってワゴン車に乗せられ、近くの病院の入り口に置き去りにされた。病院関係者の証言によると、ワゴン車はすぐに走り去ったという。すでに死亡していたことが確認された夫の遺体は、司法解剖に回された。発砲した妻のほうは、夫の家族からの仕返しを恐れて警察に自首した。亡くなった夫の家族らは、夫は麻薬常習者で、夫婦の間にそれに絡んだいざこざがあり、今回の事件に発展したものと見ている。事件のあったグラナダ市内北部のカルトゥハ地区は、日常的に警察による麻薬取引の取締りや逮捕が行われている。近所の住民の話によると、この夫妻は普段は仲が良かったが、時々激しい口論をすることがあったという。また捜査当局では、現場に妻と一緒にいた18歳の甥が共犯者である疑いが強いとして調べを進めている。


4月19日(金)

今年に入って16人の女性が家庭内暴力により死亡

今週フェロール(ア・コルーニャ)とランサローテ(カナリアス)で2人の女性が夫やパートナーから暴力を受けて死亡していたことがわかった。これで今年に入ってからの家庭内暴力により死亡した女性は16人となり、昨年の同時期に比べて2人増えている。 エリベルト・ガルシア・ロチャ容疑者(67)は先週末、フェロールの自宅で自分の妻であるプリフィカシオン・プリエト・フェルナンデスさんを殺害し、その後自身も首を吊って自殺をはかった。夫妻の遺体は電話をしたが誰も応答しなかったことに不審を抱いた家族よって、水曜日に発見された。フェロール警察の科学捜査官ロドリゴ・ラモス氏は、検死の結果、妻の死亡は日曜日から月曜日にかけて、夫のほうは火曜日に死亡したと見ている。夫妻には子供がなかった。発見された時、プリフィカシオンさんは自宅の4階のベッドの上で頭部がかなり破損した状態で死亡していたという。警察当局によると、彼女は何か柄のついた物(おそらく工具など)で殴られたものと見られている。夫は1階で首を吊って死んでいるのが発見された。
妻はこれまで夫から家庭内で暴力行為を受けているなどの訴えはしていなかったが、しばらく前から別居しており、妻はアレス市の兄弟の家に住んでいた。事件の直前、先週土曜日になって夫の住む家に帰った。近所のキオスクの主人の話によると、妻はすでに別居していた事件の1ヶ月前に、夫が電話に出ないことを心配して警察に相談していたという。以前に夫妻がカニード市に住んでいた頃の近所の人たちは「夫婦はあまり社交的ではなく、夫のほうは特に難しい性格で、門前に止めた車の中で口論をするのが日常的に見られた」と話している。
ランサローテでやはりパートナーからの暴力の犠牲になって死亡したのはドイツ人のバーバラ・マストさん(47)。地元警察の説明によると、バーバラさんは以前から何度も暴力行為の被害を受けていたようだが、警察への被害届や相談はなかったという。ルドルフ・ジンマーマン(ドイツ人、47)容疑者は火曜日から水曜日にかけてパートナーであるバーバラさんを数回にわたって刺し、殺害した容疑で逮捕された。ジンマーマン容疑者から電話でことの次第を告げられたドイツ在住の元妻は水曜日に元妻は、ランサローテ島在住の友人に連絡をとり、バーバラさんが化粧品の仕事などで使っていたシャレー「カサ・ローレン」に行き、玄関ベルを鳴らしたが応答がなかったため直ちに警察に通報した。駆けつけた警察官によってバーバラさんが寝室で死亡しているのが発見された。バーバラさんの遺体には刃物による傷と頭部と顔に殴られた跡があった。容疑者は素直に逮捕に応じたという。
この事件をうけて、カナリア自治州の社会問題担当委員マルシアル・モラレス氏とカナリアス女性局のロサ・ダビラ代表はキャンペーンを張り、この中で約20人の著名な男性らが家庭内暴力追放を訴えた。このキャンペーンに同調しテレビのスポットCMに登場したのは作家のホセ・サラマゴ氏、彫刻家のマルティン・チリノ氏とフアン・クルス氏、芸人のマノロ・ビエイラ氏、音楽界からはペドロ・ゲーラ氏とアリスティデス・モレノ氏など。法律家でつくるテミス協会は昨日、「家庭内で暴力を受けている女性に対して被害届を出すように勧めていくのはよいことだが、その後彼女達に対する充分な保護策が取られていない」と現状を批判した。

バス・ストライキ中の利用者の交通費補償決定( マドリッド )

3月21日から4月15日の間、通算12日間に渡って行われたマドリッドの市内と郊外を結ぶ路線バスのゼネストはようやく労使交渉が妥結し、月曜日から通常通りの運行が開始されている。このストライキにより、およそ100万人のマドリッド市民の通学・通勤などに支障をきたした。交通委員会によると、この内約50万人が地下鉄や国鉄、郊外路線バスなどを自由に乗り降りできる1ヶ月単位のB、Cタイプ及び高齢者定期券の保持者である。しかしこれらの定期券の利用者は、このストライキ中にすでに前払いしていた定期券を使用することができなかった。各消費者団体や住民団体および影響をうけた首都近郊の市役所などは利用者に対し、定期券を使用できなかった日の交通費を返してくれるよう苦情の申し立てをすることを勧めている。これを受けてマドリッド州知事ルイス−ガリャルドン氏は昨日、利用者の立場を認め、交通業者団体は交通費返金を行うと発表した。

スペイン映画製作「失速」に心配の声

パス・ベガ、ピラール・ロペス、エドゥアルド・フェルナンデス、レオナルド・スバラグリア。今年ゴヤ賞を受賞し現在最も注目されている女優、俳優たちだが、彼らもスペイン映画製作における“危機”を前に腕を組み、じっと出番を待っている状態であるという。昨年、スペイン映画界はたいへんな好景気に恵まれた。年間123本の映画が製作され、その費用は映画市場の20%近くを占めるまでに至った。しかし今年の第一四半期のまとめでは、製作本数は前年同期に比べて32%減少し、市場に占める割合も10%を切った。業界ではこの状況に対しての見方が二つに分かれている。文化省とスペイン・プロデューサー協会連盟(FAPAE)などが、現在の映画製作における「減速」状態を認識してはいるものの、警鐘を鳴らす必要性に対しては否定的な考えを示しているのに対し、監督、俳優や技術者の側では、予定されていた映画の撮影がキャンセルが続いたり、提出されるシナリオの数が減ったりと確実に業界内に暗雲の兆しを感じ取っているようだ。最新作「魅惑の上海(El embrujo de Shanghai)」が封切られたばかりのフェルナンド・トゥルエバ監督は「最近のデジタル放送局各社は、スペイン映画よりもアメリカ映画やサッカーの試合放映権獲得のほうに目が向いているらしい」、また「花嫁の息子(El hijo de la novia)」の共同製作者ヘラルド・エレーロ氏は「昨年は映画をつくるのが本当に簡単だった。私達は“ニューリッチ”のような生活ができ、好景気のぬるま湯に浸かっていた。そのツケを払うときが来たのかも知れないね」と自戒を込めて語った。スペイン映画アカデミーの会長で女優のマリサ・パレデスさんは、先週バルセロナでの公式行事に参加したが、その中でスペイン映画の「失速」について触れ、業界内で解決策を探るために近日中にアカデミーを召集することを発表した。


4月18日(木)

首相はサパテロ氏に対し「BBV事件」の追及は社会党自体を危険にさらすと警告

昨日国会で行われた質疑応答で、アスナル首相はBBVA秘密口座事件に関して「この事件を深く調査することの必要性はあるが、国会で調査委員会を新たに設けることについての意義は感じられない。」と説明した。サパテロ党首はこの発言に対し、「民主主義の向上と透明性という(首相の)公約に完全に反している」と述べ、「金融の聖域、タックス・ヘイブン、金と権力の混同などの全てには非常な嫌悪感を抱く」と今回のBBVA秘密口座やヘスカルテラ事件などに見られるスペイン銀行や国税庁、証券市場委員会の機能低下を厳しく指摘した。社会党はBBVAとへスカルテラを比較する根拠については、数ヶ月前にへスカルテラ事件に関与した疑いで前大蔵大臣エンリケ・ヒメネス−レイナ氏が辞任したことを踏まえて、エスタニスラオ・ロドリゲス・ポンガ現大蔵大臣も“台風の目”であると説明した。最後にサパテロ氏はアスナル首相の政治姿勢に触れ、「首相の政治再生の公約と実現への努力の約束はある夏の夜、風とともに消えてしまったのか」と疑問を投げかけた。
これらの野党党首からの質問に対して、首相は事件の重大性を認識するとしたものの、BBVが“タックス・ヘイブンに申告外の金融機関”を創設したのは、今から12年前、社会党政権時代であったと牽制し、事件の調査や罰則などは必要としながらも「今の段階では」国会内に調査委員会を設置し誰かに政治責任を負わせることは考えていないと答えた。またこのような社会党の姿勢に対して衆愚政治に陥る危険性を示唆した。この後の質疑応答も社会党議員と政府与党の間で同じような会話が続けられた。

スペイン国営放送は、W杯放映権争いから撤退を表明

RTVE(国営ラジオ・テレビ放送)のハビエル・ゴンサレス・フェラーリ会長は今日、取締役会に対し同局が、来月31日から日本と韓国で共同開催されるサッカーのワールドカップ2002のTV放映権の獲得を断念したと発表した。
同会長はこれまで現在放映権を有している民間の有料デジタル放送局「ビア・ディヒタル」との間で行われてきた直接交渉について「双方とも合意に達する努力をしてきたが、予算との関わりでRTVEは最終的に交渉から撤退した。」また「2002年W杯の放映権を取得した場合にかかる費用は、2年前に当時のRTVE会長により着手された経営再建の目的を覆すことになるだろう」とも語った。しかしFIFAの定めるサッカー法の「一般的関心事への権利保護」法により、スペイン代表チームの全試合、開会試合、準決勝および決勝戦などの試合は無料放送されなければならないという規定があり、ビア・ディヒタルは無料放送のライセンスを持っておらず、また技術的にも難しいことから、規定されている試合に関して他の公共および民間の放送局へ、放映権の売却をすることになる。同社はキルヒ・グループ(FIFAから直接放映権を購入した会社)から約1億6千2百万ユーロでスペイン国内でのW杯放映権を購入したが、無料放送が義務付けられている試合に関してTVE側に4千5百万から5千2百万ユーロでの売却交渉を進めていた。関係者筋によると、現在のところ、これらの試合の放映権購入チャンネルはビア・ディヒタルと同じテレフォニカ傘下の民間TV局アンテナ3が有力と見られている。
TVEの決定により、今回はじめてスペインの国民的スポーツであるサッカーのワールドカップが国営放送により放映されないことになった。果たしてスペイン国民は今年のW杯を無事に自宅やバルのテレビで楽しめることができるのだろうか。

CD海賊版に抗議、ニューアルバムを半額で発売

アストゥリアス出身のベテランロークグループ「ラ・ウニオン(La Union)」は最新アルバムを「2枚で1枚の値段」で発売することを発表した。これは近年市場に出回っている「ピラテリア(海賊版販売)」に抗議し、これを終結させようという目的。これらの海賊版により、昨年はCDの国際市場全体での売上が約5%減少したという。ニューアルバムのタイトルは「エル・マル・デ・ラ・フェルティリダー(豊饒の海)」で製作発表の会場ではギタリストのマリオ・マルティネスさんが「2枚のアルバムは全く同じもの。もう1枚は誰かにプレゼントすればいいんじゃないかな。」またメンバーのラファ・サンチェスさんは「海賊版がこれ以上出回ると、僕たちがこれから先音楽を続けていくのが難しくなるかも。海賊版の販売行為には、多くの場合背後に麻薬密輸などに関わっているマフィアの存在があり、みなさんがこれらの違法CDを買うということは、彼らにお金を流していることと同じ、という認識をもってもらいたい」と話した。
ラ・ウニオンの20作目にあたるこのアルバムのタイトル「エル・マル・デ・ラ・フェルティリダー(豊饒の海)」は詩人、三島由紀夫に捧げたという。彼らにとって三島は「1980年代の浪漫主義のイコン」(ベースのルイス・ボリンさん談)。このアルバムではグループ初期のサウンドに回帰するだけでなく、海賊CDの撲滅に向けて新しい試みを行った。サンチェスさんはまた「ぜひCDのクレジットを見て、アルバムを良いものにするために、どれだけ多くの人が協力しているのかを知ってもらいたい」と締めくくった。


4月17日(水)

マルベージャ市長ヒル氏、3度目の刑務所行き

スペイン南部のリゾート地、コスタ・デル・ソルにあるマルベージャ市の市長であり、サッカーのスペインリーグ2部のアトレティコ・デ・マドリッドの会長へスス・ヒル・イ・ヒル氏が昨日夜アルカラ−メコ刑務所に収監された。ヒル容疑者は個人の利益のためにマルベージャ市長の職を利用し、91年から95年までの間に市役所の公金2億6千7百万ユーロを横領した疑いで、2001年2月に検察庁汚職対策局からの告発を受けた。その後最高裁の命により、全国管区裁判所のフアン・デル・オルモ予審判事が事件の予審を担当することになった。ヒル容疑者は法的手続きの終了する少なくとも今週金曜日の午後5時までを期限に、同刑務所で無条件接見禁止の状態で拘置されている。オルモ判事は同時にヒル容疑者の帳簿係りであると見られているマヌエル・カステル容疑者ら6人の事件に加担したと見られる容疑者らの収監を命じた。
ヒル氏が入獄するのはこれで3度目。一回目は1969年にマドリッド郊外にあった同氏所有のレストランの倒壊で58人が死亡した事件の責任を追及され服役したが、18ヶ月後に当時のフランコ総督により赦免された。二度目は1999年、俗に「Tシャツ事件」と呼ばれるマルベージャ市役所の資金を同氏が会長を務めるサッカーチーム、アトレティコ・デ・マドリッドに流用していた疑いで起訴され刑務所入りとなった。

UE内でスペイン、ポルトガル、ギリシャの3カ国が最低賃金600ユーロ以下

ユーロスタット(欧州連合の統計機関)の発表した2002年2月の調査によると、UE(欧州連合)内で月の最低賃金が600ユーロ(10万ペセタ)を下回っているのはポルトガル、ギリシャ、スペインの3カ国という結果がでた。ポルトガルでは2月の最低月給は総額406ユーロ、ギリシャ466ユーロ、スペイン516ユーロ(8万5千ペセタ)となっている。これらの金額は税金や社会保険料を差し引く前の総支給額である。しかしながら、ユーロスタットはスペイン、英国、オランダ、アイルランドの各国では最低賃金を支給されているフルタイムの労働者は少ない(1,4%〜2,2%)ことを指摘している。逆にフランスでは13,6%、ルクセンブルクでは15,5%のフルタイム労働者が最低賃金の収入しか得ていない。また全体的に、最低賃金を受け取る女性労働者は男性労働者の約2倍であるという。
尚、この調査の対象となったのは、国から最低賃金の限度が国から決められている9カ国(ベルギー、ギリシャ、スペイン、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、英国)で、その他のUE各国(イタリア、スゥエーデン、デンマーク、フィンランド、オーストリア、ドイツ)では同賃金の規定はないので、今回の調査対象からははずれている。

春祭り恒例の闘牛で、2人のマタドールが怪我( セビージャ )

昨日からアンダルシアのセビージャ市で始まった恒例の春祭り「フェリア・デ・アブリル」に伴い開催されている闘牛の興行で、2人のマタドールが闘牛中に牛の下敷きになったり、角で体を刺されるなどして怪我を負った。ひとりは第一頭目と闘ったオルテガ・カノさんで、見事なムレータさばきで体を回転させたところが牛の頭を見失い、そこを突かれて地面に倒れ、牛の下敷きになった。その後再び立ち上がり、牛を仕留め、観客の喝采の中救護室に運ばれた。次に登場したエンリケ・ポンセさんは、手にしたムレータを低い位置で移動させ牛を挑発したところ、それに乗った牛がポンセさんの膝の内側から角で突き、彼の体は宙に飛ばされた。地面にたたきつけられたポンセさんは、衣装の肩の部分が角に引っかかったままで強く揺すぶられた。しかしその後立ち直り、最後まで牛を挑発しつづけた。ポンセさんの受けた傷は、太ももの筋肉後部から前部にかけて30センチにわたる亀裂が生じ、同筋肉腺維を損傷し全治25日の重傷。またカノさんは、左ひじ損傷で、レントゲンの結果待ちではあるが全治45日と診断された。スペインの闘牛は現在シーズン真っ盛りで、両闘牛士もこれから多くの興行が予定されていた。尚、セビージャの闘牛は、この春祭りにあわせて21日まで続く。

96歳の女性が89歳の妹を短刀で刺す( マドリッド )

昨日午前、マドリッド近郊のモストレス市に住む96歳の姉が、同居していた89歳の妹の心臓にナイフを突き立て左胸に切り傷を負わせるという事件が起きた。いまのところ暴行の意図や原因ははっきりしていない。国家警察のスポークスマンによると、姉のほうはまだ証言をしていないという。96歳という年齢では事の詳細を思い出すのとが難しいようだが、おそらく何かの原因で起きた口論やけんかなどが発展したものと考えられる。病院に運ばれた妹のほうは、軽い怪我ですんだという。近所の人たちは「ふたりはいつも一緒でとても仲がよく、口論などしているところを見たことがない」と事件に驚いている。


4月16日(火)

マドリッドのバス・ストライキついに決着、今日にも運行再開

通算12日間、約100万人のマドリッド市民の足に影響を及ぼしたマドリッドのバス・ストライキは、昨日2時間以上にわたって行われた労使および仲裁役の三者による話し合いでようやく決着がついた。妥結内容は、月48,08ユーロのベース・アップ(労組側要求額は75ユーロ)、2005年までに段階的に3日間の休日増。労組側の要求していた週35時間労働については見送られた。この仲介役による裁定は法律により実行が義務付けられているものだが、労組側は妥結が完全に満足のいくものでない限りストの動員を続けると発表した。具体的にはこれまでのストライキ中に尊守されなかった最低運行限度に関して予定されている2000件(会社側の発表では800件)の罰則の全面取り消し。これを受けて会社側では、今日からバスを通常どおり運行させることを条件にこれを承諾した。また裁定は、将来のストライキに向けて労使および仲裁役の三者による最低運行限度尊守委員会の設置を義務付けた。
尚、このストライキ解除通告に伴い、今日午前6時からマドリッドの市内と郊外を結ぶ全ての路線バスは通常どおりの運行を開始している。

セビージャの春祭り開幕

今年で155回目を向かえるセビージャの春祭り「フェリア・デ・アブリル」が今日開幕した。未明には1,046件のカセータ(仮設小屋)が集まる100万平米という広大な会場入り口に作られた門に、35万個の電球によるイルミネーションが点灯された。
今年のお祭り初日はちょうどセビージャ県の祝日にあたり、昨夜は多くの入場者が各カセータにおいて恒例の「セナ・デル・ペスカイート」で祭りの開幕を祝った。会場では2万台分の駐車場を用意し、昼間は子供達を中心に、花で飾られた1,100頭の馬に引かれた馬車が練り歩くなどの催し物があり、夕方から明け方にかけては大人達でにぎわう。
この春祭りの歴史は、1847年3月5日に時のイサベル女王の命により3日間にわたる牧畜業に関する定期市が開催されたことに遡る。その中で作られた家畜の囲い場が、その後大きく発展した祭りのカセータの由来となっている。現在のカセータは家族ぐるみや個人所有、あるいは会員制になっているものもあるが、一般の人でも入れるものもあり、カセータ内では一日中セビージャの民謡などが歌われ、入場者は夜明けまで踊りに興じたり、飲食もできるようになっている。このお祭りは21日の日曜日まで続けられ、連日闘牛も開催される。市役所のデータによると、この春祭りには18億ユーロ(約3百億ペセタ)の収入が見込まれており、セビージャ県の年間総生産の1,6%を占めるという。

中東和平祈り9000人がデモ行進( マドリッド )

昨日マドリッド市内で、中東和平とパレスチナ人の権利擁護を求めてデモが行われた。行進には約9000人(主催者側の発表では1万4千人)が参加し、社会党PSOEの国会議員グループ代表へスス・カルデラ氏や左翼政党IUのガスパール・ジャマサレス氏、UGT、CCOOの代表らも姿を見せた。最終目的地のプエルタ・デル・ソルでは、女優のアイタナ・サンチェス−ヒホンさんが「イスラエルの軍事政策の不合理、冷酷、流血とパレスチナ人の自殺行為を終結させよう」という声明を読み上げた。 また米ワシントン議事堂前には数千人が集まり、イスラエル支持とパレスチナ人によるテロ行為を拒絶する集会を行った。この集会には主催者側の発表では約4万人が集結し、ブッシュ大統領を支持する声明を読み上げた。その他、ローマでもイタリア国内の公人らがイスラエル対する支援を呼びかけ市内を行進した。

首相は次回地方選挙選対委員長にマヨール氏を任命

すでに次期国民党(PP)総裁選には出馬しないことを明らかにしているアスナル首相だが、2003年に行われる全国地方選に向けて、元内務大臣で現在バスクPP名誉総裁マヨール・オレハ氏に次回の地方選の選挙対策委員長を引き受けてくれるよう、アレナス幹事長を通じて打診した。マヨール氏は2人の副幹事長ラト氏とラホイ氏が現在政府内で非常に重要な職務についていることから、同氏がもっとも時間的にも余裕があり適任という首相と幹事長の考えを思惑なしに理解しこれを承諾する意向を示した。またマヨール氏は今回の任命を首相の後継者指名とは切り離して考えると述べた。
前回地方選まではマリアノ・ラホイ氏が選対委員長を務めていたが、当時内務大臣だったマヨール氏がバスク自治州代表選に出馬したため、ラホイ氏は内務大臣の職を受け継ぐ形になり、さらに今回の選対委員長職は無理との考え。アスナル首相にとって総裁として参加する最後の選挙対策委員会は、これからマヨール氏の采配のもと、実行委員長としてエウヘニオ・ナサーレ氏、3名の実行委員:ロサ・ロメロ氏(地方政治部門)、へスス・メリノ氏(自治州部門)、フランシスコ・カンプス(調査・綱領部門)さらに各分野から任命された18名の委員により選挙綱領の取りまとめなどが行われる。地方自治州の総裁職から今回PP中央部への“復帰”は次期総裁候補となる可能性が非常に強まったといえる。


4月15日(月)

アルカイダの資金担当を逮捕( バルセロナ )

バルセロナ市民警察は昨日、サン・ジョアン・デスピ市にてアルジェリア人のアハメド・ブラヒム容疑者(57)を逮捕した。ブラヒム容疑者はウサマ・ビンラディン氏率いるテロ組織「アルカイダ」のスペイン国内での資金調達役と見られており、1998年8月7日の在ケニア及び在タンザニア米国大使館同時爆破テロ(224人死亡、4000人以上が負傷)に資金調達の面で関わっていた疑いがもたれている。同容疑者は広告業やヨット売買会社などを通じて資金調達を行っており、アルカイダ創設メンバーで、現在米国で受刑中のマフムド・サリム被告とも「近い関係」にあるといわれており、国家警察や市民警察の情報部門が7ヶ月前から捜査を進めていた。
ブラヒム容疑者は先週土曜日の午後7時ごろ、サン・ジョアン・デスピ市のマルガリータ・シルグー通りにある自宅で、4人のフランス国籍の若者らと一緒にいるところをその場で逮捕され、昨日マドリッドの市民警察本部に送還された。彼らと自宅でなにをしていたのかは現在捜査中である。米国、ドイツ、フランスの警察当局との協力により進められていた捜査では、ブラヒム容疑者はスペインを拠点にヨット売買、株式投資、広告、PR会社などを創設し、サウジアラビアをはじめとするアラブ諸国に向けてハイテク情報機器を送っていたと見られている。家宅捜索では、アルカイダ関連の多くの書類、コンピューター関連の証拠品などが小型のバン一杯に押収された。
また現在、数カ国にまたがる預金口座の数などについても調べが進んでいる。市民警察筋によると、同容疑者は運営していた会社の清算をはじめており、自宅のドアに「旅行中」との張り紙がすでにされていたことなどから、スペインからの出国を準備していたと考えられる。内務大臣のマリアノ・ラホイ氏は昨日、アルカイダの資金調達や、ナイロビ、ダルエスサラームの米国大使館爆破テロに関わったとされるブラヒム容疑者逮捕の重要性を指摘し、またジョセップ・ピケ外務大臣は、これらの逮捕作戦の意義について「少しづつアルカイダと取り巻く陰謀の幕が取り払われていっている」と語った。市民警察筋によると、アルカイダでは各国に資金調達の責任者を置き、グループの中心組織と密接な関係を保っている。
ブラヒム容疑者は1年前からバルセロナに隣接するサン・ジョアン・デスピ市のトーレブランカ地区にフィンランド人の妻エレナさんと娘のノラさんとの3人暮らし。ノラさんはスペイン語をほぼ完璧に話す。自宅のあるマンションは「市内でも一番の高級住宅地」(付近住民談)にあるという。家族は15年前からスペインに住んでおり、以前はマジョルカ島にもいたが、妻のエレナさんは「小さな島でイスラム教徒として生活するのは難しかった。やはり大都市のほうが住みやすいと考えパルマの家を売ってバルセロナに引っ越した。マドリッドとどちらがいいか悩んだ末バルセロナに決めたが、この決断は間違っていたのかもしれない。私の夫がテロリストですって?彼はもう57歳にもなるのです。そんなばかげたことをする年齢ではありません。」とドア越しに話した。また娘のノラさんは、「父はメディナのメスキータの図書館などのコンピューターによる情報管理構築の手伝いをしていたので、この1年間に家族でサウジアラビアに何度も旅行する機会があった」と話しているという。またブラヒム容疑者は現在“長期の旅行”に出発する予定ですでに自宅ドアに「旅行中です」との張り紙がしてあり、スペイン国内やサウジアラビアの携帯電話の連絡先などが多数書き添えられていた。

レアル・マドリッド、リーグ首位の座から降ろされる

サッカーのリーガ・エスパニョーラ第34節の試合が先週末各地で行われた。これまで首位の座をキープしていたレアル・マドリッドが、17位のオサスナ(パンプローナ)に3−1で敗れて2位に後退した。現在の順位は、1位バレンシア、2位レアル・マドリッド、3位デポルティーボ、4位バルセロナ。

マスターズ閉幕、スペイン人選手健闘

米オーガスタ・ナショナルGCにて行われていたゴルフの祭典「マスターズ」が14日閉幕した。優勝はディフェンディング・チャンピオンのタイガー・ウッズ。活躍が期待されていたスペイン人選手も健闘した。チェマ・オラサバル選手が通算7アンダーで4位、セルヒオ・ガルシア選手8位(通算4アンダー)、ミゲル・アンヘル・ヒメネス選手は9位という成績を残した。ヒメネス選手は昨年を上回る成績を残し、大いに満足した様子。反対にガルシア選手にとっては、今回決して満足のいく試合運びではなかったようだ。3日目のプレーを終え、首位のウッズに4打差と続いていたときのインタビューでは、「せめて2,3打差までもっていきたかった。」と話しており、それでも希望を失わずに臨んだ最終日だったが、1ホール目でボギー、続いてのホールではバーディーを取ったものの、再び次のホールでボギーを叩き、さらに4ホール目ではボールをバンカーに乗せるなどして次第に優勝争いから脱落していった。最終的には8位につけた。
3日目のラウンドで7位につけ、最終日逆転も可能かと見られていたオラサバル選手は、日曜日はリラックスしてラウンドすることに努め、それがいい効果を発揮し4位という好成績を残した。


4月12日(金)

チャマルティン地区でマンション火災、4人が焼死( マドリッド )

昨日未明、マドリッド市内北部のチャマルティン地区でマンション火災が発生し、4人が焼死、19人が火傷や怪我などで病院に運ばれたが重傷者はいなかった。火災が起きたのは、昨日の午前3時30分ごろ、ハバナ大通り20番地の地上8階建てのマンション。通報により消防車15台、はしご車4台および警察や救急もかけつけ、消火・救出作業は約3時間にわたって続けられた。地上階から出火した火はまたたくまに階上へと燃え広がり、玄関ホールや階段は煙に閉ざされ、住人らは家の中から出ることができず、皆濡れたタオルをかぶってベランダに出て救助を待った。
3階に住んでいた夫婦は、逃げようとして一旦は玄関のドアを開けたがすでに火炎と煙が達していたため、再び部屋に戻ろうとしたがドアが閉まらず、部屋の中にまで火が回ってしまった。あわてて毛布をかぶり、2歳になる子供を連れてベランダへ飛び出した。ベランダを開けたことによりさらに部屋内の火の勢いが増したが、わずかの差で無事消防隊によって救助された。午前4時ごろには20人が救出された。この火災で亡くなったのは、7階に住んでいたへスス・アラモさん(55)、屋上階に住んでいた家族ラモン・サアベドラさん(61)、妻のコンセプシオン・カスターニョさん(67)と息子のルイスさん(39)の合計4人。へススさんは、火災に気づいて階段を使って逃げようとしたが、3階と4階の間の踊り場で煙にまかれ倒れた。その後消防隊に発見されたときにはまだ息はあったが、すでに体の90%以上を火傷しており、病院に運ばれたがまもなく死亡した。ラモンさん家族は、ようやく火災が治まった数時間後、室内で3人が抱き合ったような形で死亡しているのが発見された。飼い犬のウッディーもそのそばで死んでいた。
出火元は、地上階にある管理人の作業部屋と見られている。ここはインターホンや建物内の電気系統を管理する小部屋で、15日前から工事が行われていた。出火原因はまだ調査中であるが、建物の中心部にある管理人作業室から出火した火は、またたくまにやはり中央の玄関ホールに続く階段を駆け上り、屋上へと縦に燃え広がった。作業室や階段は木製で燃えやすく、玄関ホールから階段〜屋上へと続く構造により、暖炉の煙突のような効果をもたらしてしまったことに今回の火災の特徴があると見られている。

全国で暴風雨、大雪の警戒警報

水曜日から半島付近を覆っている強い低気圧の影響で、スペイン各地で気温が氷点下を超えたほか、風雨が強まっている。昨日はガリシア、エストゥラマドゥーラ、メリージャを除く全国の各地方自治体で、雪、雨および暴風に対する警戒警報が出された。各地で床上浸水などが報告されたが、今年水不足が予想されていたカタルーニャ地方などではダムの水量を増やす恵みの雨となった。この悪天候は、明日以降も続き、気温は上がらずしばらくは雨が降り続く見込み。ただ月曜日ごろにはようやく晴れ間が現れるだろう。

3月の消費者物価指数0.8%上昇

昨日国立統計局(INE)は3月の消費者物価指数(IPC)を発表した。これによると、3月期の物価は先月に比べて、全体で0.8%上昇したことがわかった。これで今年に入ってから3ヶ月連続で指数は3.1ポイントをキープした。この数字の横ばいの理由は、今年からINEが1月〜2月のバーゲン価格も考慮にいれることになったからである。それですでにバーゲンが終わっている3月の物価が上昇したように見えたのである。この上昇率のうち、0.15%は洋服の価格によるもので、やはりバーゲンの対象品目の値段の変動が、この指数に少なからず影響を与えたようだ。洋服の価格は、1月には8.2%、2月は1.2%とそれぞれ下落したが、3月は2.1%再び上昇している。しかしながら、結果を最も大きく左右したのは観光産業で、0.8%の上昇率のうちの0.2%を占めており、前月比1.7%の価格上昇を示している。その内訳は、団体旅行が8.7%、レストラン・バー・カフェテリアが0.9%、ホテルや賃貸リゾートマンションなどが3.1%とそれぞれ値上げした。これは、去年は4月にあった聖週間の休暇が、今年は3月になったためと考えられる。しかし3.1%というインフレ、またこの業界の展望がそう明るくないことを鑑みると、この値上げは“泣きっ面に蜂”というところだろう。というのも、過去12ヶ月を通してみても、団体旅行は13.5%、レストラン・バー・カフェテリアは5.3%、ホテル・リゾート賃貸マンションは6.7%とすでに大きく価格上昇している上の今回の価格の上乗せが起きているのである。もうひとつの物価上昇の理由としては、1月から流通が開始された新通貨ユーロが2月待つの旧ペセタの消滅にともなって普遍的に使用されるようになり、便乗値上げが進んだことが挙げられる、とINEのカルメン・アルカイデ局長は指摘している。
また我々を物価上昇の脅威に陥れているのは、やはり石油の値上げだろう。燃料・潤滑剤の価格は前月比で3.4%上昇している。欧州中央銀行によると、この数週間で石油価格が上がっているが、これはユーロ圏におけるインフレ上昇につながり、また経済成長に不安をもたらす材料となるだろうと指摘した。食料品に関しても、3月は0.5%の上昇率を示したが、この内値上げしたのは野菜・豆類・じゃがいも(3%)、鳥肉(2%)、くだもの(0.8%)、油脂(2%)、パン(4%)。逆に値下がりしたのは、羊肉(4.7%)、魚類(1.7%)。


4月11日(木)

外出許可中に強盗、戦利品を囚人仲間に送っていた“ロビン・フッド”ついに逮捕

本名はフランシスコ・モラル・エスピノサ(54)、警察や刑務所関係者、受刑者らの間では“ロビン・フッド”というあだ名で知られていた。モラル受刑者は1997年からマドリッド近郊のアランフェス刑務所で服役中だが、それ以前も含めて盗みや武器の不法所持などで前科は100件に上る。しかも驚くべきことに、刑務所の外出許可を利用して銀行や宝石店などで強盗を働き、その金を同刑務所の囚人仲間に郵便為替で送っていたという。その際、送金人の名前として“ロビン・フッド”と常に記入していた。
モラル受刑者については、外出許可中の去る1月14日にレガネスのBBVA銀行サルサケマダ支店に強盗に押し入り、現金800万ペセタと20万3千5百ユーロを奪って逃げた疑いで警察当局が捜査を開始していた。またアランフェス刑務所には40件の郵便為替、合計8000ユーロが“ロビン・フッド”名で送られていた。先週の金曜日、モラル受刑者はいつものように週末の外出許可を得て刑務所を出た。警察の捜査官らはそのあとを追った。そしてシベレス広場にある中央郵便局窓口で、10ユーロ紙幣100枚の束を5つ手にした“ロビン・フッド”が何件もの郵便為替をアランフェス刑務所の囚人仲間当てに送金しようとしていたところを現行犯逮捕した。
警察の強盗対策班メンバーらは、この“ロビン・フッド”の数々の「冒険」についてよく知っていたという。というのも受刑中の1995年、彼らに対して、それまでに働いた強盗で得たお金を囚人仲間に少しでもいい暮らしをしてもらうために送っていたと告白し一同を仰天させていた。さらに「あまりにも長く刑務所にいたので、そこがあたかも自分の家のような気がしていた。」「今度出所したときにもやはり銀行強盗を続けるだろう。なぜなら金は銀行などにあるよりも、刑務所の友人たちの手にあるほうがよいからだ」などと発言していた。また1978年3月13日にカラバンチェル刑務所で、アナーキストだったアウグスティン・ルエダ受刑者が殺害された事件で、1988年当時の副所長と5人の職員を相手取った裁判が行われ、モラル受刑者も証人として出廷し、職員らが被害者を袋叩きにする用意をしていたところを見たと証言している。

バスのゼネスト続く。警察の護衛つき特別バス運行( マドリッド )

マドリッドの市内と郊外を結ぶ中・長距離路線バスのゼネラル・ストライキが続けられるなか、マドリッド州政府は最低運行限度を尊守し、市民の足を守るために特別運行サービスを実施する。州政府筋によると、この運行サービスは州内の20個所で実施され、明日からこれらのストライキに反対している運転手らによって運行される予定。さらにバスには警察官らによる護衛がつく。たとえば南部近郊のレガネス市役所では、明日は市役所の職員の運転で10台のバンを運行し、地下鉄や国鉄に乗り換えられるアルーチェ駅まで市民を送っていくことにしている。革新系労組UGT-マドリッドのスポークスマン、アンヘル・ゴメス氏は今朝「我々の要求に関して本格的な交渉を行い、合意に達するまでこのストは続ける」と述べた。

マスターズきょう開幕、スペイン人ゴルファーの活躍に期待

世界の名手たちが集う華やかなゴルフの祭典、「マスターズトーナメント」が米オーガスタ・ナショナルGCにて今年も開幕した。練習日のきのうは、現地はくもりで蒸し暑く、時折降る雨がグリーンを柔らかくしていた。今大会の注目株は、昨年優勝でマスターズ3冠を狙うタイガー・ウッズや2位のD.デュバル、3位のP.ミケルソンの各選手のようだが、我々は今年、2人のスペイン人選手の活躍に期待をかけよう。一人はベテラン(36歳)すでに2度グリーンのジャケットを羽織り、慎重さが特長のチェマ・オラサバル選手、もう一人は若くて(22歳)短気、そして冒険家のセルヒオ・ガルシア選手。
オラサバル選手は昨日のインタビューに答えて、「私が1994年にマスターズで初優勝したときは28歳だった。そのときは28歳という年齢はマスターズで勝つにはまだ若すぎると感じたものだ。その頃はプレイヤーとしての最高潮に達するのは30歳とされていたからね。しかし今は若い選手でも身体的にも精神的にもしっかりと準備ができている選手がでてきているね。それでもタイガーや昔のセベ(バレステロス)という別格を除けば、やはり大きなトーナメントは30歳以上の選手が勝っているよ。だからまだ22歳のセルヒオにだって優勝を期待しすぎてもいけないよ。」と語った。その後ガルシア選手は「若くたって大きな大会に勝てることを証明したい。僕は前よりも忍耐強くなってきているし、落ち着いて試合のプランを立てることも学んだ。でも僕のスタイル、危険を顧みないショットはこれからも続けます。少しは分別をつけるかもしれないけれど。」と昨年の失敗から学び成長したことをアピールした。
日本時間の午後9時半から始まる第一ラウンドの今日は、オラサバル選手が第13組、バレステロス選手19組、ガルシア選手は27組で出場する。

レアル強し、バイエルンに2−0で勝利

昨日行われた欧州チャンピオンズリーグ準々決勝第2試合(ブエルタ)2日目は、レアル・マドリッドがバイエルン・ミュンヘンに2−0で勝ち、準決勝進出を決めたが、一方 デポルティーボはマンチェスター・ユナイテッドに3−2で敗れ、惜しくも敗退した。この結果により、来る4月23日〜24日、30日〜5月1日にかけて行われるセミファイナルで、FCバルセロナとレアル・マドリッドのスペイン2チームが直接対決することとなった。レアル・マドリッドは、1955/56年の第1回から合計11回出場し、8度優勝している。欧州杯でのレアル対バルセロナ戦は過去に2度、59/60年はレアルが勝利、その翌年は審判により3度レアルのゴールが無効とされ、試合後物議を醸したもののバルサが勝っており、永遠のライバル同士の今回の対決が楽しみだ。


4月10日(水)

モロッコとの関係修復のため、政府は西サハラについての話し合いを承諾

昨年の10月27日に在西モロッコ大使が突然の本国召還命令を受け、帰国してしまって以来、スペインとモロッコの外交関係にひびが入ったままになっているが、昨日スペインのピケ外相は「欧州フォーラム2002プレス−新経済」の席上で、先週末に両国の外相同士が電話で「長時間の」対話を持ったことを明らかにした。先週木曜日にアスナル首相は、「すべてはモロッコ外交当局が在スペイン大使の帰還を実現してからだ」と強気の姿勢をみせていたが、その後の電話による外相同士の話し合いにより、スペイン政府の態度が一変して軟化したようだ。ピケ外相はまた、スペイン政府が西サハラ問題を初め、移民や麻薬密輸などに関してもモロッコと話合いをする用意があることを表明しており、「電話会談の印象は決して悪くなく、大使のスペイン帰還も数週間以内に実現されるのではないか」と楽観的な見方を示している。

マドリッドのバス・ストライキ続行。ピケ隊の投げた鉄の塊で少女が頭にけが

昨日までの2日間の予定で行われていた、マドリッドの市内と郊外を結ぶ路線バスのストライキは今日も続けられることになった。昨日も、ルイス・エドゥアルド・コルテス州副知事を仲介役に立て、長時間にわたって労働条件の改善について労使の間で折衝が行われたが、決着が着かなかった。ルイス−ガリャルドン知事も自ら労組幹部と連絡を取り合い、闘争終結、少なくとも100万人の中・長距離バスを利用する市民の足に影響が出ることを回避できるように力を注いだ。コルテス副知事と労使の3者対話は今日未明から再開されている。
これで通算6日目となるバスのストライキは、昨日今日の2日間で全ての運転手が参加して行われた。労働組合の発表によると、昨日はピケ隊(ストライキの裏切り行為を見張る者)が、運行していたスクールバスに向かって鉄の塊などを投げつけ、乗っていた11歳の少女の頭に当たり数針縫うケガを負った。これにより2人が逮捕され、他にも2人が警察官への暴行のかどで逮捕された。昨日は郊外に住む市民らが、自宅から一番近い地下鉄や国鉄の駅まで徒歩でかなりの時間をかけて歩いていく姿が国道沿いなどで見受けられ、道路は車で混雑、メトロや国鉄を何度も乗り継いで学校や会社に向かう人々で駅も混雑した。本日も最低運行現度の尊守は実行されず、すべての市内と郊外を結ぶバス路線で完全ストが行われる

バルサ、感動の大逆転でCL準決勝進出

昨日バルセロナ、ノウ・カンプ・スタジアムで行われた欧州チャンピオンズリーグ準々決勝第2試合、FCバルセロナ対ギリシャのパナテナイコス戦で、FCバルセロナが3−1で勝ち、ホーム・アンド・アウェー2試合の総合結果3−2で準決勝進出を決めた。昨日の試合ではバルサが2点差以上で勝たなければならなかったが、試合開始8分、パナティナイコスのコンスタンティノウが早々とゴールを決め、ファンらの間に戦慄が走った。しかしその後集中力を取り戻したバルサが、前半23分と、後半開始直後のルイス・エンリケの2ゴール、61分のサビオラのゴールで3点を挙げ試合に王手をかけた。残りは約30分、ダメ押しのもう1点で勝利の確定を誰もが望んでいたところだが叶わず、最後まで手に汗握る試合展開となった。
その他昨日は、ドイツのバイエルン・レベルクセンが4−2でリバプールに勝利し同じく準決勝進出を決めた。今日はレアル・マドリッド対バイエルン・ミュンヘン、デポルティーボ対マンチェスター・ユナイテッドの準々決勝2試合が行われる。準決勝でバルサは、今日のレアル対ミュンヘンの勝利者とあたることになっており、今日の結果が非常に注目される。


4月9日(火)

アギラールのビスケット工場閉鎖に住民猛反対( パレンシア )

パレンシア県北部アギラール・デ・カンポーのビスケット会社「フォンタネダ」の工場閉鎖とバスクおよびナバーラ地方への移転に対し、住民らが猛抗議している。工場は先週木曜日から生産を停止しているが、土曜日には町のレストランやバルなども閉店し、工場の存続を求めて町を挙げてデモを行った。昨日の朝7時半には、UB社の代表者らと8人の企業幹部らによる会合がもたれたが20分で終了し、その後幹部から従業員に対して工場の閉鎖撤回は不可能との通達がなされた。これを受けて午前8時半、2000人が建物前に押しかけ、そのうちの約200人が警備員を押しのけて建物内に乱入し、社長室にて決定への非難と説明をもとめて詰め寄った。その後夜になって地元警察が幹部らを建物内から解放しようとした際にも、住民らは物を投げつけ、警官は催涙ガスで応戦するなど、たいへんなもみ合いとなった。
フォンタネダ社は1929年にアルベルト・アルバレス氏によって創立され、25年以上前からアギラール・デ・カンポーに工場を置いている。この町には20年前から5つのビスケット工場があり「エル・プエブロ・デ・ラス・ガジェタス(ビスケットの町)」として知られている。人口約7800人のこの町の最盛期には1000人の従業員をかかえ、そのほとんどが女性だった。創立者の娘マリ・カルメンさん(54)は「この町の女性達は子供のころからこの工場で働きはじめ、いつでもビスケット作りの仕事に恵まれた」と語った。しかしフォンタネダ社は1996年に英ユナイテッド・ビスケッツ社に買収され、以後従業員数が減少し、今は212人が同工場に所属している。今回ユナイテッド・ビスケッツ社幹部は、現在の工場はアギラ−ル市内の中心部にあるためこれ以上の拡張は不可能として、工場のバスクおよびナバーラ地方への移転を発表した。212人の従業員のうち、40人は定年退職の繰り上げ、その他は新工場への異動が予定されている。

昨日急落のBBVA株、今朝持ち直し

スペイン銀行によるBBVA銀行の海外秘密口座調査のニュースを受けて、昨日の株式市場ではBBVA株が終値で4.98%も急落した。これにともなって、IBEX35指数も2.37%下落。このスペイン銀行による調査は 14ヶ月前に開始されているが、去る4月5日に大蔵省も調査に乗り出した。しかし今日火曜日の取引開始時には12.99ユーロの値をつけ、昨日の急落から1.5%回復した。

働くお母さんに月額100ユーロ支給

クリストバル・モントロ大蔵大臣は昨日、2003年1月から施行される個人所得税改革の新しい柱として、3歳未満の子供を持つ働く女性に対して月額100ユ−ロを支給することを発表した。この金額は、毎月前払いか所得税の申告時に控除という形のいずれかで支給され、申告をする勤労女性だけでなく、申告に必要な最低賃金に満たない収入の女性にも有利になる。大蔵省ではこれにより幼稚園や保育園への支払いやその他の子供にかかる経費への援助になることを期待している。

バルサ背水の陣、今日CL第2試合

サッカーのFCバルセロナは今日、欧州チャンピオンズリーグの準々決勝でギリシャのパナティナイコスとの第2試合に臨む。第一試合での敗戦(1−0)により、今日は2点以上の差をつけて勝たない限り、準決勝進出は不可能。試合はバルサのホームスタジアム、カム・ノウで午後8時45分(現地時間)から。


4月8日(月)

マドリッドのバス、ストライキに突入

昨日夜遅くまで続けられた労使交渉の結果、マドリッド市内と郊外を結ぶ路線バスが今日と明日ストライキに突入することが決まった。UGT,CCOO,USOの各労働組合は去る4月1日にストの予告を行い、その後労使の間で折衝が続けられていたが、結局ぎりぎりまで決着がつかなかった。そして昨日の夜中12時近く、運転手らは開発省とマドリッド州交通・公共事業委員会の定める最低運行現度40%という規定を破り、完全ストライキに突入することを決議した。すでに先月の21、22、27、28の4日間にもストは行われているが、今日明日の完全ストは約90万人のマドリッド市民の足に影響がでるだろうと予想されている。またこのストは州内だけではなく、ラ・セプルベダナ、ダイブス、アウト・レス、コンティネンタル・アウトの各社長距離路線バスの運行にも支障をきたす。唯一市内のEMTバスは通常どおり運行予定。

サパテロ氏は与党に対し、反テロリスト協定話し合いの公式議事録を要求

近々与党PPと社会党PSOEとの間で反テロリスト協定の締結を伴う政党法改正に向けて様々な協議が行われていく予定であるが、これに関してPSOEのサパテロ書記長は、協議開催日時の公告と公式な議事録の作成を要求することにしている。その理由は、去る3月21日に法務省において政府首脳陣とPSOEの間で持たれた政党法に関する法案作成会議の内容を政府与党側が公表せず、「自らの政党利益のために悪用した(サパテロ書記長)」ことによる不信感からである。同書記長はまた、「バタスナ党の非合法化は現在のわが国の政治における最も重要な協議課題である。それなのに我々は政府の意向を2月のある月曜日の新聞記事によって知らされたという具合。そして今になって政府はその案を協議もしないで我々に“取るか取らないか”の選択を迫っているのだ。これはすでに反テロリスト協定の5条と9条の“協定の改正はすぺて政党間の合意のもので行われる”という項目に反していることになる。この協定は憲法の真髄にも触れる問題である。なぜならば政党は民主主義における大事な役者なのである。」とアスナル首相とアレナス幹事長を非難した。またPP副幹事長および内務大臣のマリアノ・ラホイ氏も昨日、ラジオ局オンダセロのインタビューに答えて、「反テロリスト協定に関して両党の合意なしにことを進めるのは、国民の間に不信感をもたらす重大なミスである」と述べた。

ガソル選手、NBA新人賞目前

スペイン出身のバスケット選手、パウ・ガソル選手(21)の米NBAでの活躍に大変な注目が集まっている。ガソル選手は今季、FCバルセロナからNBA入りしメンフィス・グリズリーズでプレーしている。入団直後から持ち前の負けん気と速さ、2m13cmという高さで毎試合高得点をあげ実力を発揮しており、11月、1月、3月と3度月間新人賞に輝いている。これまでの15試合で平均17.2得点、8.7リバウンド、3.5アシストを記録し、グリズリーズを3月としてはチーム史上最高の成績に導いた。先週金曜日のヒューストン・ロケッツとの試合では32得点、14リバウンド、5アシストと大いに活躍し、「上昇気流のまま今季を終えたい。ひとつも疑問を残したくない」と試合後語った。といっても現在の彼の活躍ぶりからすると、大きなケーキに“パウ”の名前を記して祝うことに“疑問”の余地は少ない。グリズリ−ズの監督シドニー・ロウエ氏は、11月に「月間新人賞を3回とった選手は年間新人賞受賞にかなり近くなる」と述べていたが、ガソル選手はすでにその条件は満たしている。金曜日の試合には他チームの監督や選手らも観戦に集まり、新しいNBAのスターの活躍に期待をかけた。今月のレギュラーリーグ終了後に新人賞を含めたMVPなどが選出される。


4月4日(木)

BBV銀行の海外秘密口座を調査

スペイン銀行は当時のBBV銀行(現BBVA、フランシスコ・ゴンサレス頭取)に対して海外に秘密口座を作り資金を流用していた疑いで調査を行い、3月11日に報告書を取りまとめていた事が明らかになった。この調査は、去る2001年1月19日に当時の取締役エミリオ・デ・イバーラ氏とフランシスコ・ゴンサレス氏がスペイン銀行のハイメ・カルアナ総裁のオフィスを訪ねたことから始まった。両氏はカルアナ総裁に対し、ビスカヤ銀行(BB)の時代からビルバオ・ビスカヤ銀行(BBV)時代にかけての13年間に、合計378億5千万ペセタ(22億7千5百万ユーロ)が海外で流用され、またその資金がBBVとアルヘンタリア銀行の合併1年後の2000年9月期の決算で反映され利益をもたらしたとイバーラ氏からゴンザレス現頭取に伝えられていたと語った。
エル・パイス紙が今年3月11日に得た情報によると、BBVによるこれらの資金操作の主な柱のひとつは、カナル諸島にあるジャージー島に創設されたT.532と呼ばれるトラストとそれに付随するシャリントン社、もうひとつはリヒテンシュタインにあるアメラン財団。どちらもBBVが受益者となっていた。
アメラン財団は、ビルバオ銀行(BB)とビスカヤ銀行(BV)の合併後にBVの自己資金を操作するために創設され、代表者にはBB,BVそれぞれ2名づつの社員が名を連ねていた。この財団には、1987年以降、ジャージー島にある4つの会社を通じて送金などが行われていた。1991年末にこの4会社は解散し、14億7千4百万ペセタの資金と71億15百万ペセタの株式が清算され、当時のBBV社員の手によってアメラン財団の会計に移行された。ジャージー島のトラスト、T.532はシャリントン社が管理しており、1996年から98年の間にアルヘンタリア株の売買によってもたらされた134億4千4百万ドルの利益が流れていたが、2000年の同トラストの解散時にそれらの清算額はアメラン財団に移った。最終的にはアメラン財団の解散によって、これまでの資産合計374億2千7百万ペセタが、すでにアルヘンタリアと合併していたBBVAの2001年度会計に反映され、そこで初めて表面化した。
この調査は現在も続けられており、1997年当時の常任委員会メンバーら16人の同銀行の新旧役員(うち2人はすでに死亡)の名前が挙がっている。BBVA筋によると、現在の取締役会はこれらの資金流用の事実は全く知らされておらず、これからの調査には全面的に協力していく方針を明らかにした。

ワーナーブラザーズのテーマ−パーク、マドリッドに本日オープン

マドリッド自治州知事は本日マドリッド市郊外に完成した、ワーナーブラザーズのテーマパークの開演セレモニーを執り行う。今日のセレモニーには招待客だけが参列でき、一般公開は明日6日から。このテーマパークはワーナーの映画やキャラクターに関する5つのゾーンと、20のアトラクション、有名な映画のシーンの再現コーナーなどがある。市内からは新たにRenfe(国鉄)の路線が拡張され、San Martin de laVega駅で昨日開通式が行われた。

暴力行為防止委員会はベティスのホームスタジアムの1ヶ月閉鎖を要求

セビージャのサッカー一部リーグ、ベティスは内務省の諮問機関「スポーツにおける暴力行為防止委員会」の歴史に新たな汚点をつけることになりそうだ。3月23日、ベティスの会長の名を冠したロペラ・スタジアムにおいて、ベティス対セビージャ(セビージャ県のチーム同士のダービー戦)が行われた。ダービー戦で急進的なファン同士の小競り合いが起きるのは他県でもあることだが、この日は試合開始前にベティス側の観客のひとりがセビージャの過激派ファングループ「ペーニャ・ビリス」メンバーに向けて花火を数発投げつけたなどの危険行為があった。ホセ・ラモン・オルテガ同委員長は昨日、内務省幹部と話し合い、これらの事件を「非常に重大」と定義づけた。これによりベティスは2種類の制裁措置の案を提示された。一つ目はベティス側の観客による花火投てきで、スタジアム閉鎖と6万ユーロの罰金、二つ目は試合終了時に観客らがグラウンドになだれ込んだことによる3万5千ユーロの罰金。これらの制裁措置は同委員会始まって以来の最も重い措置となる。ただこれから手続きが重なることにより、今期の制裁実施は不可能と見られている。今週日曜には、警察当局による現場検証が行われる予定。


4月4日(木)

イスラエルはアスナル首相の仲介役申し出を拒否

欧州連合(EU)は3日夜、ルクセンブルクで緊急の外相理事会を開き、中東情勢打開のため4日にも現地に代表団を送る方針を決め、またスペインのアスナル首相は昨日、イスラエルのシャロン首相に対して、アスナル首相のアラファト議長との面会を認めるという条件で、今日にもエルサレムに赴き自ら仲介役となることを申し出た。またEU議長国のピケ外相、EU外交・安全保障部門のソラナ代表もアラファト議長と面会することを希望したが、イスラエル政府はこれを認めない方針を示した。
イスラエルのラジオ局によると、昨日夜から今日未明にかけて、イスラエルのシャロン首相を中心とする政府の安全保障閣議が開かれたが、この閣議ではアメリカのジニ中東大使のアラファト議長との会談希望の申し出について主に検討されたのではないかと伝えた。スペイン国営放送の流した情報によると、いまのところEU代表団は、イスラエルのエリザー国防大臣と会談する予定。しかしパレスチナのアラファト議長との面会が実現されない限り、他のパレスチナの代表者らもEU代表団とは会うことはできないであろう。またソラナ代表とピケ外相のもうひとつの使命は、国連安保理の決議第1402号を「いますぐに」実行させることである。この決議は、イスラエル及びパレスチナに対して戦火の停止、パレスチナ占領地区からのイスラエル軍の撤退、テロなどの暴力行為の禁止を要求している。EU代表団は今日の午前6時(スペイン時間)にイスラエルのテル・アビブに向けて出発した。
イスラエル政府がソラナ代表とピケ外相の提案にたいして拒否を表明する直前に、シャロン首相は電話でアスナル首相と直接会話し、やはりアラファト議長との会談を認めない意向を伝えた。ピケ外相とソラナ代表は今後もイスラエル政府の高官らとできるだけ多くの会談を持ち、パレスチナ代表部への「通行許可証」を求めていく方針。またピケ外相は、「イスラエル政府は諸外国の首脳らに対しても、アラファト議長との会話を一切認めないだろう。しかし議長の孤立は、パレスチナ側の交渉役が見つかるまでの一時的なものである」と述べた。

所得税制改正委員会は、適用期間の延長と税率引き下げを提案

税金の専門家マヌエル・レガレス教授率いる所得税制改正委員会は、昨日改正案をとりまとめて政府に提出した。改正案は、1)税率の適用期間を現行の6期間から4期間に減少、2)最高税率の現行48%から45%へ、最低税率を18%から15%へそれぞれ引き下げることを柱としている。委員会は、今回の改正案を家族や貯蓄、雇用などを支援する政府の新方策に加えることを提案し、またこの改正に必要な予算は24億から28億ユーロとの見込みを示した。政府はこれを検討し、所得税制改正は2003年1月から(2004年申告分)施行されるとの見通しを発表した。

007最新作、カディスで撮影開始

ピアース・ブロスナン主演の映画「007」最新作の撮影がアンダルシア西部の港町カディスで行われることになり、昨日出演者らが記者会見を行った。ブロスナンさんは、「ジェームス・ボンドは今我々が生きている厳しい現実世界から脱出させてくれるヒーロー」、また黒人の女優として初めてアカデミー賞主演女優賞を獲得した興奮と感激から未だ覚めやらない共演者のハル・ベリーさんは「007の映画は皮膚の色にこだわることなく私を女性として輝かせてくれる映画」と記者団に対して抱負を語った。またブロスナンさんは、カディス市の女性市長テオフィラ・マルティネス氏に対して、「非常に危険な作戦実施で怪我をしたエージェントを手当てする看護婦」の役を演じてほしいとラブ・コールを送った。マルティネス氏は、この申し出こそ辞退したものの、約550人の地元エキストラに混じって映画の撮影に参加することになった。最新作のタイトルは“Die Another Day”で、撮影は今月15日ごろまで同市で続けられる予定


4月3日(水)

スペインの住宅価格−先進国平均の6倍の上昇率を記録

エコノミスト紙は先進国における住宅価格について各国へのアンケートなどを元に調査を行った。この結果昨年までの12年間で、スペインの住宅の価格は先進国の平均上昇率を6倍も上回っているということが明らかになった。インフレの影響を差し引きしたとしても実質124%の価格上昇となっており、これは年間4%近くの上昇ペースであったといえる。
この調査の対象期間は1980年から2001年まで、対象国はアイルランド、スペイン、イタリア、オーストラリア、イギリス、アメリカ合衆国、ベルギー、カナダ、日本、スウエーデン、フランス、オランダ、ドイツの13カ国。
この期間のこれらの国々での住宅価格の平均上昇率は19%、平均値に近いのはアメリカの20%、またドイツの住宅事情は賃貸の占める割合が高くなってきており、販売価格は21%も下落している。確かにその国の個人所得が増えたりすることに伴って、住宅の価格も上昇するというのはあたりまえの話である。特にスペインでは調査対象の先進国中でも1人あたりの国民所得が急速に増加しており、今回の結果も納得できないことはない。しかしながら、国民所得の伸びが目覚しいながらも、同じ期間に住宅価格が実質95%の伸びに留まったアイルランドなどに比べると、スペインの124%という数字は驚くべきものであることがわかる。
都市別に見ると、たとえばアイルランドの首都ダブリンでの価格は実質207%の上昇であるのに比べて、マドリッドでは149%増と順位は逆になるもののやはりこの両国がトップ、つづいてニューヨークの112%、ロンドンの102%となっている。また同紙は昨年1年間の住宅価格の上昇率も調査しており、1位はスペイン(実質11.4%)、2位はアイルランド(8.6%)、また価格が下落したのは日本(実質3.6%減)およびドイツ(0.9%)であった。

トゥルエバ監督最新作の製作発表が行われる(マドリッド)

フアン・マルセの小説を題材に、市民戦争後のバルセロナをカラーで、1940年代の上海は白黒という2つの違った雰囲気をひとつの映画に閉じ込めたフェルナンド・トゥルエバ監督の最新作“El embrujo de Shanghai”(直訳すると「魅惑の上海」)の製作発表が昨日マドリッド市内で行われた。会場にはトゥルエバ監督のほか、アリアドナ・ヒル、エドゥアルド・フェルナンデス、アントニオ・レシネス、ホルへ・サンツら出演者が顔を揃えた。ストーリーは「幾人かの孤独、失業などを人生に抱え込んだ者たちが、仮想家族を作り、一時の幸福を味わうが、結局は美しい終末を迎える」(監督談)という。スペインでの公開は4月12日予定。

テネリフェ暴風雨被害、2000人が家を失う

先週日曜日にカナリア諸島のテネリフェ島で15の地区を襲った暴風雨の被害の報告が、サンタ・クルス・デ・テネリフェ市役所から発表された。1年間の総降水量に近い、2時間で224リットルという前代未聞の降水量を記録した自然災害だったが、発表によると25戸が家屋全壊、350戸が重大な損害を受け、約2000人の住民が家を失ったという。同市役所では、これらの数字は今後さらに増えていくだろうと見ている。またこれまでに6人が死亡、2人が未だに行方不明となっている。2.500平方リットル、高さ6メートルのフメロ・ダム(現在は使われていない)の一部に亀裂が見つかり、付近の120世帯が立ち退きを余儀なくされた。被害を受けた多くの住民は市内の見本市会場に避難しており、そこで毛布や食料、また心理カウンセリングなども受けている。しかしアレグリア地区の住民らのように空き巣などを心配し、未だ泥や土砂に埋もれている家に帰った人たちもいた。現在のところ、水道は飲用には適さないものの、約95%の住民に対して復旧が完了したが、約5000人が未だに電気のない生活を強いられているという。

レアルとデポル、ともに敗れる

昨日行われたサッカーの欧州チャンピオンズ・リーグ準々決勝第1戦で、レアル・マドリッドがバイエルン・ミュンヘンに2−1、デポルティーボ・ラ・コルーニャがマンチェスター・ユナイテッドに2−0と、ともに敗北を期した。今日はFCバルセロナ対パナティナイコス、リバプール対バイエルン・レベルクセンの2試合が行われる。ホームアンドアウェー方式で行われる準々決勝の第2戦は4月9、10の両日開催。


4月2日(火)

市民警察官との発砲劇によりPSE議員の護衛官が死亡(サン・セバスティアン)

今日午前、バスクのサン・セバスティアン市アルサ地区で、一般市民に扮して強盗犯などを現行犯逮捕しようとしていた市民警察官らと、社会党議員の私設護衛官との間で発砲事件が起き、警官1人が足に2発の銃弾を受けて重傷、護衛官は警察官らの反撃によりその場で即死した模様。
まだ事件当時の詳しい状況は明らかにされていないが、内務省筋によると、負傷した警察官らは、今朝サン・セバスティアン司法管区第3法廷の逮捕状により「非常に危険」とされている強盗犯らが同市のパセオ・デ・ララチョ通りで犯行を実施しようとするのを待ち、現行犯で逮捕しようとしていた。彼らは武器を携帯していたが、犯人らに気づかれないように一般市民の服装をしていた。そこにちょうどギプスコア県レソの社会党議員アイノア・ビジャヌア氏が私設護衛官ジョセバ・アンドニ・Uさんにガードされ近くを通りかかった。ジョセバさんは近くに一般市民に扮しながら武器を携帯している数人が待機しているのに気づき、ビジャヌア議員を狙ったものと勘違いし、彼らの一人に対して3度発砲した。3発の銃弾は市民警察官(イニシャルR.G.R.)29歳の太ももと胸部にあたったが、防弾チョッキを着用していたため命に別状はなかった。その直後警官らは発砲により反撃し、ジョセバさんはその場でほぼ即死状態となったという。
この後、市民警察官らは実際に追跡していた強盗犯らを逮捕した模様。

3月の失業率、7ヶ月ぶりに減少

国立職業安定局(INEM)が発表した2002年3月期の失業者数は、前月比17.003人減、の合計1.649.046人となり、労働総人口における失業率は9.65%(前月比1.02%マイナス)となった。これにより、昨年8月から続いていた失業率の上昇傾向に7ヶ月ぶりにストップがかかった。3月までの12ヶ月間のトータルを見ると、失業者の数は70.590人増(4.47%アップ)という結果がでた。また労働省の出した統計データによると、この3月期に新たに交された無期限の労働契約数は106.402件で全体の契約数の10.64%にあたる。自治州別に見ると、14の自治州で失業率が下がったものの、残りの3自治州では引き続き上昇している。
過去15年間の3月期における失業者数の平均下降値は、20.644人で、ちょうど2001年3月期の下降値と全く同じ値となった。

アルモドバル監督の"Hable con ella"上映でパリ映画祭開幕

第27回パリ映画祭が昨日フランスの首都パリにて開幕した。初日の昨日夜は、 スペインのペドロ・アルモドバル監督の最新作「アブレ・コン・エジャ」が上映された。今回アルモドバル監督は非常な期待と羨望をもって迎えられ、フェスティバル開幕前の先週金曜日から、パリのフナックで同監督の映画撮影現場などを収めた写真展の開催などの公式行事に精力的に参加している。
しかしながら、関係者の間でちょっとした波紋を呼んでいることがある。それはもしこのパリ映画祭で「アブレ・コン・エジャ」が賞を取ってしまうと、次に5月15日から開かれるカンヌ映画祭では受賞する可能性が低くなってしまうということだ。カンヌへの招待をさんざん引き伸ばしておきながら、ようやく「オール・アバウト・マイ・マザー」で監督を招待した時には、何の受賞の見返りも与えなかったカンヌ映画祭のディレクター、ジル・ジェイコブ氏と監督の確執は良く知られていることだが、今回はすでに同映画のアメリカ、オスカー賞受賞で世界的に有名になったアルモドバル監督が、権威あるカンヌ映画祭ではなく、それよりも規模の小さいパリのほうに力を入れているということは、ジェイコブ氏への“仕返し”ではないかと囁かれている。
今回の映画祭では、マドリッドが特別招待都市となっており、カルロス・サウラ監督、フェルナンド・トゥルエバ監督、女優のマリサ・パレデスさん、ペネロペ・クルスさん、カルメン・マウラさん、アナ・トレントさんらスペイン映画界のスターたちが顔を揃え、また、これまでのスペイン有声映画のうち28作を「スペイン映画の古典」として回顧する特別プログラムが用意されている。その作品の中には、たとえばJ.A.バルデム監督の「Muerte de un ciclista」、ビクトル・エリセ監督の「ミツバチのささやき」、最近の作品の中でもビセンテ・アランダ監督の「狂女フアナ」などが挙げられている。
パリ映画祭はこの1週間で約15万人の観客の来場を見込んでいる。また同じくスペイン映画2作、フリオ・メデム監督の「ルシア・イ・エル・セクソ」、ギジェルモ・デル・トロ監督の「エル・エスピナソ・デル・ディアブロ」がコマーシャル上映される。

サッカー、チャンピオンズリーグ準々決勝始まる

本日と明日のスペイン時間の午後8時45分、サッカーの欧州チャンピオンズリーグの準々決勝第1戦(ホーム・アンド・アウェー方式)4試合が行われる。今日開催されるのはミュンヘン、オリンピックスタジアムでバイエルン・ミュンヘン対レアル・マドリッド、スペインのア・コルーニャのリアソル・スタジアムでデポルティーボ対マンチェスター・ユナイテッドの2試合。レアル・マドリッドは前回のチャンピオンズ・リーグの準決勝でバイエルンと対戦し敗退しており、今回が屈辱戦となる。ロベルト・カルロス、エルゲラ、ミチェル・サルガドの各選手は記者団に対し、「バイエルンを打ち負かしたい」と試合への意気込みを熱く語った。
またア・コルーニャ市に到着したマンチェスター・ユナイテッドは、この予選リーグですでにデポルティーボに2度負けており、今日の試合にはチームの威信がかかっている。デポルのトリスタン選手は「僕たちが以前2度も勝っていなかったら、誰もがこの試合で彼らを負かすことは奇跡に近いと考えていただろう。確かにマンUは非常に強いチームだが、今は僕たちにも勝つ自信が充分にある。」と試合に臨む意気込みを見せた。


4月1日(月)

テネリフェで、豪雨により少なくとも5人が死亡

半島南部や地中海沿岸地方では大荒れのお天気となった聖週間だが、カナリア諸島のテネリフェ島では昨日午後に島を襲った豪雨で、少なくとも5人が死亡、34人が重軽傷、1500人が軍・消防隊やヘリコプターなどにより救助された。死亡が確認されているのは、県都のサンタ・クルス・デ・テネリフェで2歳の女の子と大人3人、郊外のラ・ラグーナで救助ボランティアのへスス・アントニオ・ガルバンさん(36)の計5人。
前代未聞の豪雨は昨日の午後3時ごろに発生し、3時間の間に1立方メートルあたり224リットルの降雨を記録した。テネリフェ島の北部から襲った豪雨は、サンタ・クルス・デ・テネリフェ市のある島の南部で大洪水を引き起こし、全ての道路は川のようになった。海抜の低い地域では最大で約3メートルもの浸水に見舞われた。これにより、港は閉鎖され、海上交通も不通となった。カナリアス緊急情報サービスの電話回線は完全にマヒし、島全体はパニックに陥った。また約1500台の電話が不通となり、電気や水道の供給がストップ、約7万人の島民に被害が出た模様。午後8時ごろには雨は治まったが、県道や高速道路が封鎖され、聖週間の休暇を終えて家路につこうとしていた多くの観光客などが、空港にたどり着けず、百数十人がロス・ロデオスの空港出発ターミナルで、また約100人がラ・ラグーナで一夜を過ごした。またおよそ400人の島民がやはり家に帰れず、地元警察により県都の見本市会場に避難した。一夜明けた月曜日の今日は、学校は休みとなり、グラン・カナリア島からの消防団も応援に駆けつけ引き続き救助や災害の収拾にあたる。テネリフェ市長のミゲル・セロロ氏と県庁は、気象庁に対し「災害の警告を出さなかったのは大きなミスだった」と怒りを露わにした。

トレデンバラの列車衝突事故は、人為的ミスとRenfeが指摘(タラゴナ)

死者2名、142人の重軽傷者を出した先週土曜日のタラゴナ市トレンバラでの列車衝突事故で、初期的な調査を終えたスペイン国有鉄道(Renfe)は事故は人為的なミスで起きた可能性が高いと指摘した。
衝突事故が起きたのは土曜日の午後8時10分で、合計約600人の乗客を乗せて同じ方向に走っていた2台の列車、カタルーニャ・エキスプレスとユーロメッドが側面衝突した。アリカンテ発バルセロナ方面に向かっていたユーロメッドは、トレンバラ駅を高速で通過しようとしていたが、その時副車線で通過待ちしているはずだった、やはりバルセロナ方面行きの地方列車カタルーニャ・エキスプレスが主車線に入り込んでしまい、各列車の頭部同士が擦り合うような形になった。
Renfeのミゲル・コルシーニ総裁は昨日事故現場を訪れ、正確な事故原因はまだはっきりしていないと述べた。またトレンバラ駅は自動制御により機能していたが、“現在の調査段階では”事故当時もとくに自動制御システムに誤りはなく、なぜカタルーニャ・エキスプレスがユーロメッドの通過を待たずに発車してしまったのか、その理由は解明されていないと説明した。同氏によれば、この駅の車線は、1997年に高速車両が通過できるように新しく設置されたものだという。車内で事故に遭った人たちは、衝突直前に車内の電気が消えたと証言している。これはおそらく安全装置が機能したことにより電気供給がストップしたものと思われるが、それでもなお列車は慣性により進みつづけてしまった。事故が人為的ミスであると指摘されているもうひとつの理由は、事故当時、現場には駅長以外には鉄道員はおらず、駅長はたったひとりで全ての施設機能の責任を負っていたということである。目撃者らの証言によると、カタルーニャ・エキスプレスの発車に気づいた駅長は、運転手に「信号が赤だぞ!」と大声で叫びながら危険を伝えようとしたという。昨日、勧業省のアルバレス−カスコス大臣はタラゴナ市を訪れ、被害者らの様子を聞き、また「駅の自動制御装置は正しく機能しており、2台の列車のブラックボックスの回収により、列車に送られた信号などが明らかになるが、事故原因の究明にはまた2〜3週間かかるだろう」と述べた。

政府の交通建設事業減速

勧業省主導で行われているインフラ整備事業のうち、目玉である3計画(AVE新線、マドリッド高速道路網、バラハス空港拡張計画)の完成が遅れている。1997年に計画が打ち出された、高速新幹線AVEのマドリッド−バルセロナ−フランス線は今年開通予定だったが、工事が遅れており、今のところ開通を2002年にバルセロナまで、またフランスまでは2004年に先送りしている。またマドリッド環状道路(M−50)とそこから放射状に走る4本の有料道路も2002年の完成予定には間に合わないとみられている。唯一、バラハス空港拡張事業については、工事開始が予定より2年遅れたものの、いまのところ順調に進んでいるというが、工事費用の面で見積もりに間違いがあったようだ。1997年に空港拡張計画入札で、ある設計事務所のプロジェクトが落札された時には1億8千万ユーロという予算だったが、4年後に同事務所は6億8千万ユーロという予算を新たに提示しているという。同じようなことがM−50やその放射状線R3(アルガンダ・デル・レイ)、R5(ナバルカルネロ)計画でも起きており、落札時よりも7億2千万ユーロも見積もりが増加した。このように政府のインフラ整備計画は工事費増大や、遅延などにより難航しているものが多いが、この他に現在工事が進んでいるのは、AVEのマドリッド−ジェイダ−バルセロナ間、マドリッド−マラガ間、マドリッド−レバンテ(バレンシア、アルバセテ経由)間など、また有料道路ではR−2(マドリッド−グアダラハラ間)R−4(マドリッド−オカニャ間)などである。




QUEDA TOTALMENTE PROHIBIDO LA REPRODUCCIÓN, LA REPUBLICACIÓN, O COPIAR CUALQUIER CONTENIDO DE NUESTRAS PÁGINAS.
全て内容おいて無断で使用・転載・複製することを禁じます

メールコンタクトはspnews@inicia.esまで