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8月31日(木)

内務大臣、ETA対策には忍耐が必要と野党に理解を求める

昨日サン・セバスティアンにて開かれた会合にて、ハイメ・マジョール・オレハ内務大臣は、効果的なETAのテロ対策を確立する為には忍耐が必要であり、テロリズム対策専門家が充分に研究ができるよう配慮することが必要である、と主張した。
ETAは昨年12月までの14ヶ月間の停戦期間に内部の改編を行っており、警察側は現在のETAの状況を詳しく把握できていない。よって、現在のETAの犯罪対策計画は難しくなっている。さらに、現在のETAの手口は停戦以前とは変化している上に、一見ETAのメンバーであると判断しにくい、通常の生活とETAのメンバーとしての活動を両立させているメンバーが頻繁に犯行を行っている為、警察の調査は難航している。
このような状況を受けオレハ内務大臣は、「全員が望む結果を出す為には、現在のETAの状況を研究する為の時間が必要である」と野党側の理解を求めた。
また、火曜日に、PPの党員であったマヌエル・インディアノ氏が殺害されたことを受け、昨日、ETAのテロリズムに反対の意を表する大規模なデモがスペイン各地にて行なわれた。事件が起きたギプスコアのスマラガにて行なわれたデモでは、フアン・ホセ・イバレチェバスク州首長や犠牲者の遺族も参加した。今回のテロを犯した容疑者として、ハイメ・マジョール・オレハ内務大臣は、サン・セバスティアン支部のメンバーである可能性が強い、と発表した。

エブロ河を水源にスペイン最大の灌漑路建設

国レベルの灌漑路建設計画草案によると、エブロ河下流から年間1000立方ヘクトメートル(1兆リットル)の生活用水をカタルーニャ、バレンシア、ムルシア、アルメリア各地方に配給することになった。
イサベル・トニコ前環境大臣のもとで進められていた灌漑路計画を引き継いだ新プロジェクトチームは、基本的には前任プロジェクトチームの方針を受け継いではいるが、前任プロジェクトチームの計画に多少の変更を施している。変更の主たるものは、建設が計画されていた灌漑路の3分の1を削減すること、ホセ・ボレル元環境大臣の草案ではエブロ河を水源に年間1855立方ヘクトメートルの生活用水を配給する予定となっていたのを、1000立方ヘクトメートルにまで減少させたことである。この1000立方ヘクトメートルからカタルーニャ地方には年間200立法ヘクトメートル、バレンシア地方には年間300立法ヘクトメートル、ムルシア地方には400立方ヘクトメートル、アルメリア地方には100立法ヘクトメートルの生活用水を配給することになった。また、草案では、不規則な降水量が原因で常に水不足に悩まされている地中海方面を流れるエブロ河流域とと水量が豊富なドゥエロ河とタホ河の流域を結ぶ灌漑路の建設を計画していたが、PPからの承認が下りなかった。
今回の灌漑路建設計画は過去最大のものであり、建設期間は8年、施行費7000億ペセタを予定している。

夏休みのユーターンラッシュ、始まる

夏期休暇が終了することによるユーターンラッシュが始まり、交通局は今日のみでも約300万人の移動を見込んでいる。交通局が見込んでいる渋滞ピーク時は、12時から13時、23時から24時の時間帯であり、交通局はこの時間帯を避けるよう注意を促している。
また、レンフェも今日から来月4日まで通常の10%増しで列車を運行する。特に、アリカンテ、ムルシア、カルタヘナ、マドリッドを結ぶ路線は運行本数を通常の25%増しとし、カディス、マラガ、アルヘシラス、マドリッドの路線も通常の2倍の本数を運行する。
空路においても、通常より約20,000本多いフライトを予定している。
交通局は、ユーターンラッシュは今週末まで続くと見こんでいる。


8月30日(水)

ETA、再びPPの市会議員を殺害する

昨日午前10時頃、ギプスコアのスマラガにてPPの市会議員であるマヌエル・インディアノ・アサウストレ氏(29)がETAのメンバーによって殺害された。ウエスカにてパトロール中の治安警察隊員2人を殺害したわずか9日後のことである。
今回の犯行は、先月に開店したばかりのインディアノ氏が経営するパンや新聞、駄菓子などを販売する商店にて行なわれた。ETAのメンバーがインディアノ氏を襲撃した際、同氏はテロリストから逃げようと試みたが、店の奥にて銃弾に倒れた。ETAによって襲撃されたインディアノ氏の第一発見者は同商店を訪れた客であり、その時点ではインディアノ氏の息はあったが、後、収容先の病院にて死亡した。インディアノ氏は胸部と腹部に7発の銃弾を受けており、病院に運ばれた際には既に手の施しようがなかった。現時点では何人によって犯行が行なわれたか明確になってはないが、後に殺害現場を調査したバスク地方警察"エルチャインチャ"は2種類の弾丸13個を回収しており、犯行は2人以上の犯人によるものであったか、もしくは1人が2種類の銃弾を使用した可能性が高い。
殺害されたインディアノ氏は今年3月7日にスマラガ市議会員に就任しており、4月3日から本人の意思により護衛をつけていなかった。
インディアノ氏殺害の知らせを受けたホセ・マリア・アスナル首相は、「国家とテロリストたちとの和解点はない」とのコメントを発表した。また、ホセ・ルイス・ロドリゴ・ザパテロPSOE幹事長はバスク州首長のイバレチェ氏に、EHやHBとの関係をすぐさま破棄するよう強く促した。
今回のインディアノ氏の殺害でETAは昨年12月の停戦撤回から既に12人を殺害しており、インディアノ氏は1995年に殺害されたグレゴリオ・オルドニェス氏から10人目のPP党員の犠牲者となった。

セプサ、BPディーセルオイルを値上げ

スペイン石油業界第2、第3の企業であるセプサとBPは今日未明、ディーゼルオイルの価格を値上げし、農業や運送業などをはじめ一般消費者にも大きな反響を呼んでいる。今回の両社の値上げは、3日前にスペイン石油業界第1のレプソルYPFがガソリンなどの価格を値上げしたことに続くものである。
セプサは今月21日にディーゼルオイルの価格を2ペセタ値上げしており、さらに、今日未明にもまた2ペセタの値上げを実施した。今回の値上げによりセプサは、ディーゼルオイルをレプソルと同価格の1リットル119,9ペセタで販売することになった。
スペイン石油市場第3の企業であるBPは先週から段階的にディーゼルオイルの値上げを実施している。BPは、まず先週に1ペセタ、昨日にも1ペセタ、さらに今日未明1ペセタディーゼルオイルの価格を値上げし、現在1リットル当たり118,9ペセタで販売している。BPはまた、ハイオクガソリンの価格も昨日値上げし、BPで販売するハイオクガソリンは今までより1ペセタ高い、1リットル149,9ペセタとなった。
日増しに燃料の価格が高騰することを受けて政府は石油業界に、これ以上の価格上昇を押さえるように度々要請しているが、石油業界筋は、燃料価格高騰を解決する為の政府と企業間での話合いはなされていない、としている。
今回の値上げによって1998年10月の燃料価格自由化から、ディーゼルオイルの価格は40%上昇しており、無鉛ガソリン、ハイオクガソリンも各々24%、29%値上げしている。消費者にとって98年の燃料価格自由化は恩恵をもたらす物とはならなかった。

義務教育の月間授業料は2万5千ペセタから12万ペセタ

昨日スペイン消費者団体が発表した統計によると、スペインでの義務教育を受ける際の月間授業料は、2万5千ペセタから12万ペセタと公立、私立によりかなりの格差があることがわかった。
私立の場合は、制服代に6万7464ペセタ、教科書代に2万4517ペセタ、授業料に2万8373ペセタがかかる。さらに1万7235ペセタの給食費、1万2866ペセタの送迎代もかかり、計15万455ペセタが月間必要額となる。
公共出資を受けている学校の場合は、制服代、教科書代は私立と同額だが、授業料は私立の約半額の1万4221ペセタとなっており、送迎代、維持費も私立より安く、それぞれ9094ペセタ、1万3142ペセタとなっている。
一番安いのは公立の学校であり、2万4517ペセタの教科書代、8407ペセタの給食費に4792ペセタの送迎代の計3万7716ペセタが月間必要額となっている。
スペイン消費者団体の調査によると、教科書代は3,57%上がっており、ノート代は6,84%上がっている。


8月29日(火)

アスナル首相、イバレチェ氏提案の会談にPSOEが出席することを批判

バスク州首長であるフアン・ホセ・イバレチェ氏が提案した会談にPSOEが出席する予定であることを受け、昨日、ホセ・マリア・アスナル首相はPSOEに対し、「PNVの"策略"に同意し、政府との合意を破棄することは危険なことである」と批判した。
今回のアスナル首相のコメントは、明日開催されるハイメ・オレハ内務大臣とPSOEとの会談の直前になされたものであり、PSOE首脳陣はアスナル首相の批判を、「遺憾である」としている。
PSOE側は、バスク州首長が主催する会談に出席し、ETAを支持する政党であるEHとHB、PNV間で交わされているリサーラ協定を破棄するように説得することを試みる方針であるが、PP側は、PSOEがテロリズムに対する政府との協力関係を破棄するのではないかと懸念している。
アスナル首相は、「PSOEが政府との協力関係をないがしろにし、PNVの"策略"に乗ることはPP、PSOE両党にとってマイナス要因にしかならない、と数ヶ月以上前から忠告してきた。大切なのは民主主義尊重を土台にした政治的相互関係の強化であり、将来の平和を確約する道を見出すことである。何が間違った手段であるかは明白である」とPSOEを批判した。このコメント受けバスク州書記長のニコラス・レドンド氏は、「PSOEは常にバスク州首長から提案された会談に出席しており、来週開催される会談にも通常通り出席する予定である。ETAのテロ行為対策の為にも、PNVやバスク州首長がPSOEの方針を認識していることは重要である」と回答した。また、「PSOEはリサーラ協定に基づく会談には一切出席しない」とも付け加えた。
首相が公の場にて他党の政策を非難するのは今月の8日にホセ・マリア・コルタ氏がETAによって殺害された時以来のことである。

消火活動を行っていた2人の森林警備隊員が焼死

昨日、レオンのオエンシアにて消火活動をしていたビジャ・デル・ビエルゾ森林警備隊の隊員2人が焼死した。
焼死したのはフィデル・ブラニャス・バレドさんと、マヌエル・ガルシア・ガルシアさんの2人で、ポンフェラダから約60キロのところに位置するオエンシアとアルドンにわたり発生した火災の消火活動を行っていた。カスティージャ・レオン委員会環境理事のホセ・マヌエル・フェルナンデス氏の説明によると、死亡した2人が所属していたビジャ・デル・ビエルゾ森林警備隊とクエト森林警備隊が協力して消火活動を行っている際に、突然風向きが変化し2人は火に捕らえられたもよう。また、クエト森林警備隊の隊員1人も膝に軽いけがを負った。


8月28日(月)

スペインの燃料値上げ率、EUの中でも上位に位置

ガソリンを始めとするここ最近の燃料の価格上昇を受けて、スペインは、EU15カ国の中でも今年1月から今月21日の間での燃料価格値上げ率が最も高い国の一つとなった。
燃料の価格上昇が目立つ国々は、スペイン、ギリシャ、アイルランド、ルクセンブルグ、ポルトガルであり、スペインでは、今年1月から今月の21日の間に、最も消費率の高い無鉛ガソリンを10,2%値上げさせている。この、無鉛ガソリンの価格上昇率は、ギリシャの14,3%、アイルランドの12,1%の上昇に次ぐものである。また、ディーゼルオイルの価格も10,8%上昇している。これは、ポルトガルの12,0%に次ぐ上昇である。石油業界は、原油の国際取引価格の上昇を今回の燃料値上げの原因にしており、レプソル、セプサ、BPなどのスペイン石油業界の大手も1ペセタから2ペセタの燃料値上げを実施している。
一方、ドイツでは同期間の無鉛ガソリンの価格上昇率はわずか2,6%となっており、ディーゼルオイルも1,1%のみの価格上昇となっている。ベルギー、デンマーク、イギリスでも燃料価格はほとんど上昇していない。
しかしながら、スペインは価格上昇率においては最も数値の高い国の一つとなったが、実際の平均小売価格はEU各国の中でも最も低価格の国の一つである。スペインでは、無鉛ガソリンはギリシャ、ルクセンブルグに次ぐ低料金で販売されており、ディーゼルオイルについてもギリシャに次ぐ廉価となっている。

スペイン人親子、インドで殺害される

先週の土曜日、インド北部のヒマチャル・プラデシュにて登山に参加していたスペイン人親子が強盗団によって殺害された。殺害されたのは、マリア・アンヘレス・ヒロネスさん(34)とクリストバル・モリナさん(14)の親子であり、土曜日夜、キャンプを張った後に襲われたもよう。唯一の生存者であるイギリス人のマルティン・ヤングさんによると、「キャンプを張った後に強盗団が襲ってきて、二人に暴力をふるい殺害した挙句に彼等の所持金とカメラなどを奪って逃走した」とのこと。
事件が発生した場所は車道から約30キロ奥まった場所にあり、さらに、強い雨が降り続いたことにより犠牲者の救出活動は難航した。
ヒマチャル・プラデシュ州政府筋は、「事件が発生した場所は特に危険な地域というわけではないので、今回のような登山ツアーはよく行なわれているが、注意は怠ってはならない。」とのコメントを発表した。
2人の遺体はクル市に移され今日検死が行なわれる予定である。後、遺体はニューデリーに移される予定であるが、クルからニューデリーは約600キロ離れている上に道路事情が悪いので移送には12時間程かかってしまう可能性があり、遺体がスペインに帰還されるのは早くとも今週の水曜日、遅くなれば土曜日になる予定である。

エル・コルテ・イングレス、23,7%売上上昇

スペイン流通業第一人者であるエル・コルテ・イングレスグループは昨年、605億7200万ペセタの利益を上げ、前年度と比較し23,7%の増収となった。
利益の大部分を占めるのはスペイン最大の小売業者であるエル・コルテ・イングレス株式会社の売上であり、エル・コルテ・イングレス株式会社の昨年度総取引高は、前年度と比較して11,7%増しの1兆1400億ペセタとなり、純益は前年度の24,4%増しの400億300万ペセタとなった。
エル・コルテ・イングレス株式会社に続くのは、大規模スーパーマーケットのイペルコルであり、昨年度総取引高は3590億ペセタ以上(前年度の15.7%増し)、純益は161億600万ペセタ(29,9%増し)となった。
また、同グループの旅行部門や金融部門、建築部門なども総取引額、純益共に前年度の数値を上回った。


8月25日(金)

レプソル、ガソリンの価格を値上げ

スペインでの石油市場の45%を占めるレプソルYPF社が、ガソリンの価格を2ペセタ値上げした。レプソル社は、先週木曜日にもガソリンの価格を2ペセタ値上げさせており、この8日間に4ペセタも値上がりし、ガソリンの価格は1リットルにつき119,9ペセタとなった。石油産業筋は、「原油生産国機構に対して、原油生産量を増加するようにアメリカ合衆国とヨーロッパの国々が圧力をかけているものの、現在の国際原油価格は30ドルを下回らず、さらに、ヨーロッパ統一通貨であるユーロの価値が下がっていることもあり、ガソリンの価格上昇は予測できるものであった」とのコメントを発表している。さらに石油業界は、来週までに2ペセタから2,5ペセタの間でのガソリンの値上げを予定しており、ガソリンは1リットル122ペセタ以上になることになる。
また、レプソル社は一昨日にも農業用ディーセル油と暖房用ガスオイルの価格を値上げしている。農業・畜産業組合調整団の調査によると、この1年半の間に農業用ディーゼル油の価格は33ペセタも上昇しており、一昨日の値上げにより農業業界は1826億ペセタ以上の出費増加になることになる。
今回の農業用ディーゼル油の値上げを受け農業団体は、レプソル社や農政省、大蔵省に対し、抗議の意を表明する予定である。

アレシフェ警察、フォンセカ服役囚の遺族を告発

昨日、ランサロテのアレシフェ警察署長のマルティン・コンスエグラ氏は、5月20日にアレシフェ刑務所にて死亡したアントニオ・フォンセカ服役囚の遺族に対し、1回目の検死の後に遺体に手を加えたとして告発した。一昨日発表された2度目の検死結果では、フォンセカ服役囚の死因は頚部の強打によるものとされていたが、昨日のマルティン・コンスエグラ警察署長による会見では、「1回目の検死で外傷痕は全く発見されず、最も信憑性のある死因は薬物によるものである」とのコメントを発表した。このコンスエグラ警察署長のコメントを受けて、2度目の検死を行ったホセ・アントニオ・アンドラデ医師は、「法廷医であれば、遺体に残っている外傷が死亡した後に加えられた物であるかどうかは間違いなく判断がつくはずである」とコンスエグラ警察署長の見解に反論した。また、告発を受けたフォンセカ服役囚の遺族は、「フォンセカの遺体と面会できたのはわずか10分くらいであったのになぜ、遺体に手を加えることなどが可能であろうか」とコメントしている。

カディスにて210人の不法移民が逮捕される

今日未明、カディスにて北アフリカとモロッコからの210人の不法移民がスペインに入国を試みている際に逮捕された。
まず逮捕されたのは、タリファの海岸沖で発見された27人のモロッコ人であった。その後、今朝の5時15頃に全長7メートルの船に乗っていた57人のモロッコ人が逮捕された。
残りの逮捕された移民は北アフリカ系の不法移民であり、今朝の7時頃にパロマ・バハの軍隊付近にて35人の移民が逮捕され、また、国道340号線77キロ地点でも29人の移民が逮捕された。国道340号線にて逮捕された29人のうちには2人の乳児もいた。さらに、33人の移民を乗せた船が遭難したが、遭難した33人のうちの大部分は漁船の乗組員によって救出された。残りの移民はレスキュー隊によって救出された。
今回の、1度に210人という大人数の不法移民の逮捕は、過去において第3番目の規模の逮捕となった。


8月24日(木)

サン・セバスティアンとイルンにて爆弾が爆発

今日未明、バスク地方のサン・セバスティアンとイルンにて4個の爆発物が爆破した。
イルンでは午前4時頃、バスクの輸送会社であるオルキエギ社のトラック2台に仕掛けられてあった爆発物が爆破した。今回標的とされたのは、爆破が起こった午前4時ごろに国道121号線をパトロール巡回していた治安警察隊のパトロールカーであったが、トラック2台の爆破の影響は治安警察隊のパトロールカーにまでは及ばなかった。
また、サン・セバスティアンでは午前3時頃にビデビエタ地区のロス・オルモス通りにて爆発物の爆破が起きている。同地域の配水管工場やオフィスなどに爆破の影響が及ぶなど物的被害はあったものの、幸いにも人的被害は出ずに済んだ。さらに、サン・セバスティアンにおいては、バスク地方警察"エルチャインチャ"がグロス地区のラモン・マリア・リリ通りにてかばんに隠されていた爆発物を爆破させた。バスク地方警察のコメントによると、午前3時少し前に、同通りにあるビルバオ保険のオフィスに爆発物を仕掛けた旨を伝える匿名の犯行声明があったとのことである。

フォンセカ服役囚の死因は頚部の強打によるもの

去る5月20日にランサロテのアレシフェ刑務所にて死亡したアントニオ・フォンセカ服役囚(当時32才)の死因が頚部の強打によるものであったことが、昨日発表された。フォンセカ服役囚が死亡した翌21日の警察からの発表では、死因は麻薬の服用による心肺の停止とされていた。しかし、昨日発表された分析結果では、フォンセカ服役囚の遺体に麻薬が残っていた可能性があったことを否定し、死因は頚部の強打によるものであると断定した。当時、警察医からの報告を受けたカナリアス自治体代表のフランシスコ・カブレア氏は、「フォンセカ服役囚の死因は麻薬の摂取が原因である」とマスメディアに発表したが、昨日の会見では、「当時、カナリアス自治体政府として、フォンセカ服役囚の死因が麻薬摂取過多によるものと発表した記憶はない」としている。
警察側は、「フォンセカ服役囚は刑務所からの脱走を試みていた際に車のバックミラーに頚部を強打したことが原因で死亡した」とのコメントを発表している。
また、フォンセカ服役囚が死亡した当時に行った検死は赤十字によって行なわれたとされていたが、実際に検死を行ったのは赤十字ではなかったことが、昨日わかった。


8月23日(水)

死亡したETAのメンバー、ペドロサ氏を殺害したピストルを所持

今月7日に乗用車の爆破により死亡したETAのメンバーが、6月4日にビスカヤのドゥランゴにてPPの市議会議員であるヘスス・マリア・ペドロサ氏を殺害した際に使用したピストルを所持していたことがわかった。ヘスス・マリア・ペドロサ氏の殺害は男1人によって犯され、男は同氏を殺害した後に逃亡した。後にバスク地方警察が殺害現場を調査した際に、1977年ドイツ製の9ミリ口径ピストルの金具一部を発見した。
バスク地方警察"エルチャインチャ"が、ETAのメンバーが死亡したビルバオの現場を調査した際に、ペドロサ氏の殺害に使用したものと同一のピストルを発見した。さらに死亡したメンバーは、このピストルの他に3丁のピストルを所持していたことがバスク地方警察の調査によりわかった。このうち2丁のピストルに関しては、1983年にバスク地方警察から盗んだ物であった。残る1丁に関しては爆破による破損がひどく、未だ確認が取れていない。
バスク地方警察は、ペドロサ氏を殺害したのは、ドゥランゴなどで毎回犯行を犯すアラバ支部のメンバーであると見ていたが、実際に犯行を行ったのは7日に死亡した4人のメンバーである可能性が強くなった。
また、ETAは、ギプスコアの治安警察隊員宿舎を狙ったテロを計画していた事が、バスク地方警察が差し押さえた書類によりわかった。差し押さえた計画案によると、手榴弾によるテロ行為を計画していたもよう。

カタルーニャ鉄道の列車2台が衝突

昨日午前8時前、バルセロナ近郊のサン・ビセン・デ・オルツの駅にてカタルーニャ鉄道の列車2台が衝突した。引込み線にて、バルセロナ行き3両編成列車の出発準備の調整を行っているところに、マンレサ行きの6両編成の列車が衝突したもよう。衝突により両列車の先頭車両が破損し、マンレサ行きの列車の3両目が脱線した。マンレサ行きの列車には35人の乗客がいたが、もう一方の列車は、ちょうど乗客を駅で降車させた後であった為、列車に残っていたのは機関士のみであった。
この衝突による負傷者はマンレサ行きの列車を運転していた運転手と乗客2人と見られている。うち、運転士は大腿骨骨折の重傷を負い、地元の病院に収容された。一方の列車の機関士は、事故後、操縦室から脱出できなくなり、約2時間後に救出された。
カタルーニャ鉄道運営部長は、「調査が終了するまでは事故の原因を限定する事はできないが、飛行機に登載されているブラックボックスと同様の作用をする装置と、列車の進行方向を誤らせたレールの状態を調査しなければならない」とコメントした。

スペイン各地にて火災発生

昨日午後1時半頃、ブルゴスにて火災が起きた。火は、昨晩の時点では鎮静化させることができず、今までに約3,000ヘクタールの被害が出たもよう。出火したのはブルゴスのブリビエスカ市であったが、強い風と気温によって火の勢いは強まり、パンコルボ、スニェダ、バルカセレス、サンタ・マリア・デ・リバレドンダなどの市町村にまで被害は拡大した。火はマドリッドとフランスをつなぐ国道1号線や高速自動車道1号線にも及び、両自動車道は一時通行止めとなった。
また、セゴビアのエル・エスピナル市においても火災が発生している。被害範囲は広くなかったものの、同市のロス・アンヘル・デ・サン・ラファエル地区では避難勧告が出され、国道603号線のサン・ラファエル−高速自動車道6号線の料金所間が一時通行止めとなった。
さらに、マラガのカサレスやマドリッドのカブレア、ポスエロ・デ・アラルコンでも火災が起きており、マラガのカサレスでは200人以上が避難している。


8月22日(火)

PP、バスク州首長からの会談申し出を受け入れる

PPはバスク州首長であるフアン・ホセ・イバレチェ氏と会談を持つ事に合意した。PPバスク支部とバスク州首長との関係は、昨年12月にETAが停戦を撤回した事を切っ掛けに、緊張状態が続いていた。今回の会談の申し出はイバレチェ氏側からなされたものであり、PPはPNVの姿勢が柔軟になったことを評価し、今回の会談申し出を受け入れた。昨日のカルメロ・バリオPPバスク支部幹事長のコメントによると、「イバレチェ氏はPPが同氏との会談を持つ為の条件を実現した。イバレシェ氏はようやく方針の軌道修正を始めた。」とのこと。イバレチェ氏は、先日治安警察隊員2人がETAによって殺害されたことを受け、テロが行なわれた同日、初めてハイメ・マジョール・オレハ内務大臣に対して追悼の意を表した。今回行なわる予定の会談の大きな目的は、テロリズムの対策問題についての合意と、PNVがHBとの関係を破棄することを要求することである。会談には、ETAを支持している政党であるEHを除いた全ての政党が出席する予定である。
また、日曜日にETAが行った犯行によって2人の治安警察隊員が殺害されたことを受け、昨日、スペイン各地においてETAのテロリズムに反対を表明する為のデモが行なわれた。 サラゴサにおいては3万人以上がデモに参加した。
一方、 バスク地方警察"エルチャインチャ"は昨日、6人のETAのメンバーを逮捕した。逮捕されたのは2人の男性と4人の女性であり、ビスカヤ支部に所属していたと見られている。

ソル・メリア、トリップグループを買収

昨日、ホテルグループのソル・メリアはマジョルカの企業であるトリップホテルグループを約600億ペセタで買収することを発表した。今回の買収取引条件を双方の企業が快諾し、この合意によってトリップグループの株主はマジョルカで第2の規模の株主となる。ソル・メリアグループのセバスティアン・エスカレル副会長は今回の買収について、「トリップグループは、統合の効果が最良の形で現れるのに最適な規模の企業であった」とコメントした。また、トリップグループの交渉責任者であるハイメ・プイグ氏は、「この統合はスペインホテル業界における重大な出来事であり、双企業にとって非常に有意義なものである」とした。両企業間で交わされた合意により、統合後のソル・メリアホテルグループの運営理事にトリップグループ代表のルフィーノ・カレロ氏が就く事になっている。統合後はソル・メリアグループは410件のホテルを世界32カ国に所有することになり、世界の主要ホテル企業の中で12番目にランキングされる。
今回の統合を受けて、昨日のソル・メリアグループの株価は3,03%上昇した。

スペイン人登山家のドロテオ・ロメロさんの遺体が発見される

ペルー山岳救助隊は、昨日夜、首都のリマから350キロのところにあるウアスカラン山にて遭難したスペイン人登山家のドロテオ・ロメロ・ムニェスさんの遺体を発見した。ウアスカラン山は標高6,678メートルの雪山であり、ドロテオ・ロメロさん達の一行は日曜日に起きた雪崩にまき込まれたもよう。ドロテオ・ロメロさんの遺体は5,600メートル地点で発見され、後にヘリコプターで移送され、遺体安置所に移された。
また、ドロテオさんに同行していた3人も雪崩にまき込まれ負傷し、現地の病院に収容された。負傷した3人のうち1人は重傷を負った。


8月21日(月)

2人の治安警察隊員、ETAによって殺害される

昨日午前6時頃ウエスカ県サジェント・デ・ガジェゴにて、2人の治安警察隊員がETAによって殺害された。殺害されたのは、イレネ・フェルナンデス・ペレダさん(32)とホセ・アンヘル・デ・ヘスス・エンシナスさん(22)。2人が通常通りパトロールに出掛けようとした際に乗り込んだ公用車が爆破した。爆破された公用車は、治安警察隊の宿舎脇に駐車されていたものであり、約10キロの爆発物が仕掛けられていた。イレネ・フェルナンデスさんは即死、ホセ・アンヘルさんは2時間後に収容先のサン・ホルヘ病院にて亡くなった。イレネ・フェルナンデスさんはETAによって殺害された202人の治安警察隊員の内、初の女性隊員の犠牲者となった。ハイメ・オレハ内務大臣は、このテロ行為の容疑者を、「フランスから入ってきたETAのメンバーである可能性が高く、犯人は犯行後再びフランスに逃げ込んだのではないか」と見ている。今回のテロ行為は今月9日にナバーラにてフランシスコ・カサノバ准尉を殺害したわずか11日後のことである。ETAは昨年12月の停戦撤回から既に11人を殺害している。
一方、バスク地方警察"エルチャインチャ"は昨日、バスク州司法最高裁判所の発令を受け、今月7日に他の3人のメンバーと共に乗用車の爆破により死亡したETAのメンバー、エカイン・ルイスの弔問所をギプスコア県エルナニ市市役所に設置することを阻止した。この措置に反発したETAの支持者達がエルナニ市市役所前に詰め寄せ暴動を起こし、バスク地方警察と衝突した。
また、バスク地方警察は、昨日、ビトリアにて28キロのダイナマイトと爆弾5個を保有していたETAのメンバー3人を逮捕した。

グアダラハラとグラナダにて大規模な火災発生

土曜日にグアダラハラのパレハ市にて発生した火災は、約4000ヘクタールにまで及んだ。消火活動は火災発生同日の午後4時半頃に開始されたが、未だ火は沈静化されていないもよう。火はペラルベチェ町、ラ・プエルタ町、エスカミジャ町方面に向かっているものの、今のところ同3町に避難勧告は出されていない。被害にあった地域は森林地帯であり、樫や松などの森林資源が焼失した。マリアノ・テルエルグアダラハラ環境団体代表は、「(今回の火災は)グアダラハラにおける最大級の火災である」とコメントしている。また、同団体筋によると、「火の発生元はゴミ捨て場である可能性が強いが、詳しくは調査中である」とのこと。この火災の消火活動のために消火飛行機6機、ヘリコプター4機が出動している。
一方、グアダラハラの火災とほぼ同じ頃に発生したグラナダ県のルカル山脈の火災による被害は、1075ヘクタールにまで広がった。火は強い風にあおられ勢いを増し、また、火災が発生した場所は多くの峡谷があり複雑な地形をしている為、地上からの消火活動が行えず、火の沈静化は困難を極めた。グラナダのアンダルシア州環境団体代表のラファエル・サルセロ氏による発表では、「火災の原因は放火によるものである可能性が非常に強い」としている。この火災の消火活動の為に、5機の飛行機、7機のヘリコプター、220人の消防隊員などが出動している。

ジョアン・ソマリーバ、トゥール・ド・フランスを制す

昨日、ビスカヤ出身の自転車競技選手であるジョアン・ソマリーバ選手がトゥール・ド・フランス女性部門で優勝した。今回の優勝は、イタリア、ジロスのレースを制した後のことである。これにより、ソマリーバ選手は女性自転車競技史上2人目のジロス、トゥール・ド・フランス、両大会を同年で制した選手となる。ソマリーバ選手は、悪天候や転倒、また、チーム間での諍いなどの状況を見事に克服し、今回の優勝を手にした。この優勝によってソマリーバ選手は、自転車競技トラックレース世界チャンピオンであるドリー・ルアノ選手と共にシドニーオリンピックでメダルが期待される選手となった。
ソマリーバ選手は過去に2回ジロスの大会にて優勝を果たしているが、トゥール・ド・フランスでの優勝経験はなった。
トゥール・ド・フランスは14日間、総距離1492キロで競技される。


8月18日(金)

テレフォニカ、ドイツの携帯電話市場に参入

スペイン電話業界最大手企業であるテレフォニカが、ドイツ携帯電話市場に参入することになった。今回の入札は6企業連合間で競われ、最終的には6企業連合全てが権利を入手した。テレフォニカが主導する企業連合は、ドイツ携帯電話市場に参入する権利の為に、1兆3900億ペセタという莫大な額を支払うことになる。しかし、近年の携帯電話の需要は、携帯電話からインターネットへの接続が便利になった事を受け急速に伸びている為、ヨーロッパ携帯電話市場最大であるドイツ携帯電話市場に参入する事によって、さらなる成長が期待できるインターネット業界においても優位な状勢に立つ事ができる。
テレフォニカのドイツ携帯電話市場参入を受けて、PSOEのスポークスマンであるヘスス・カルデラ氏は、「テレフォニカのドイツ携帯電話市場参入は、スペイン経済史上最大の恩恵物である」とコメントした。
ドイツ政府は今回の入札で、8兆4000億ペセタの歳入を得る事になった。

アルバセテでの火災で1000ヘクタールの被害

約1000ヘクタールの被害が出たアルバセテの火災は、昨日午後、ようやく沈静化した。アルバセテ県農業代表団筋によると、火は強い風にあおられバレンシア県に向かっていたもよう。火は一時期沈静化に向かっていたものの、昨日の午後3時半頃に再び活性化した。ムルシア県、バレンシア自治州、クエンカ県、アルバセテ県から出動した消火ヘリコプターや小型飛行機に加え、約200人の消防隊員などが出動し、ようやく火は沈静化された。
一方、水曜日にリアサ市にて発生した、ブルゴス・マドリッド間を通過した輸送列車から生じた火花にる火災は、ロベレゴルドとソモシえラの市町村、マドリッド自治州、さらに、少なくともセゴビアの9地方に被害を出したようす。火災が発生した場所は森林地帯であった為に火の回りが非常に早いものとなった。この火災により、リアサ市の民家1700件の電話が不通となった。
また、カボ・デ・ゲタ自然公園にて発生していた火災も昨日午後、沈静化した。この火災による被害は大きなものとならずに済んだ。

アルカラ・デ・エナーレスの水道からディーゼル油臭が発生

昨日、アルカラ・デ・エナーレス市市役所は、水道水がディーゼル油の匂いがすると訴えた民家500件に対して、9月まで水道水を飲用しないように勧告した。この訴えは先月15日に届けられ、イサベル2世中毒学国立研究所の調査によると、アルカラ・デ・エナーレスのウエルタス通りの水道管から炭化水素が検出されたとのこと。今回の訴えを受け、同市役所は市民が消費するミネラルウォーターの費用と、月に2度の貯水槽清掃費用の為に100万ペセタの予算を立てた。水道水にディーゼル油が混入した原因として、同地区にある教会施設の予備ディーゼル油が流出したものと考えられている。


8月17日(木)

PNV、死亡したETAのメンバーの弔問所を市役所に設置する事を承認

昨日、ビスカヤのバスク国民党(PNV)は、今月7日に乗用車の爆破で死亡したETAのメンバー、パチ・レメンテリアの弔問所をマルキナ市市役所の会議室に設置する旨を承認した。また、マルキナ市にパチ・レメンテリアの遺体を移送する際に警察に出動させない為に何らかの手段をとる事も公約した。マルキナ市市長であるアンヘル・カレアガ氏が唯一承認しなかったのは、パチ・レメンテリアをマルキナ市の象徴市民とする事と、葬儀の費用を出資する事だけであった。今回のマルキナ市議会の決定を受けて、PP、PSOE、IUなどの他の政党は、「ETAによって殺害された犠牲者達への侮辱であり、死亡したテロリストが"英雄"となる事は大きな間違いである」とビスカヤのPNVとマルキナ市議会を批判した。マルキナ市はPNVによって統治されている市であり、市議会は6人のPNVの市会議員、ETAを支持している政党であるEHの市会議員4人、EAの市会議員1人の構成となっている。

3人の治安警察隊員、コカインの密輸の容疑で逮捕

マドリッド司法警察は日曜日にコロンビアからスペインへコカインを密輸していた組織のメンバーを逮捕した。逮捕されたのは7人の容疑者で、うち3人は治安警察隊員であった。逮捕された3人の治安警察隊員のうち2人は、マドリッドのバラハス空港での麻薬取り締まり犬先導隊員であり、主に麻薬の密輸発見の仕事をしていた。マドリッド司法警察筋によると、密輸組織は1年以上前から存在していた可能性が強く、コロンビアから乗客無しのスーツケースに麻薬を入れ、マドリッド・バラハス空港に到着した時点で組織に荷担していた2人の治安警察隊員の手により秘密裏の内に他の組織のメンバーに麻薬を渡していたもよう。今回逮捕された密輸組織は、同様の手段によってここ数ヶ月間に100キロ以上のコカインを密輸していた。同密輸組織のメンバー7人は、日曜日午前7時、コロンビアから新たなコカイン31キロの密輸を試みていた際に発見され逮捕となった。

人種差別問題で300人の移民がデモ

昨日、約300人の移民労働者がカタルーニャ地方のジェイダ県アルカラス市の広場に集まり人種差別問題を訴えた。今回のデモは、バルの経営者がアフリカ系移民の季節労働者に対し、罵倒を浴びせたことが切っ掛けとなった。目撃証言によるとバルの経営者は、「黒色人種は殺さなければならない」と移民労働者に対して叫んだようす。一方、バルの経営者は、「あまりにも酔っていたので帰ってもらいたかった」と証言している。さらに、移民間との全ての衝突を人種差別に置きかえるのは不当である、とも主張している。アルカラス市市長であるヘラルド・セラ氏が、もし人種差別言動が発覚したら何らかの処置をとる事を公約した事により、今回の騒動はおさまった。
また、月曜日から行なわれていたエアパックスに雇用されている移民労働者によるストライキは、事業主との間で賃金値上げと労働条件向上などの点で合意が交わされ終結した。カジェタノ・エスパックス社長は、また、来年の夏までには移民労働者達の寮も改装する事も保証した。


8月16日(水)

ETA、ウエスカの国道で100キロの爆発物を登載した乗用車を放置

ウエスカの国道230号線にて、ETAのメンバーが放置した100キロの爆発物を登載した乗用車を昨日、治安警察が監視の元爆破させた。爆破させた乗用車は、月曜日の昼間に国道230号線52キロ地点のガソリンスタンド付近に放置された。近隣住民の目撃証言によると、乗用車を運転していたのは女性で、目撃者に、車のバッテリーが切れたので自動車修理工場を探している、と訊ねたとのこと。後、同日の午後2時ごろに先の目撃者が現場を通りかかったところ、同乗用車が交通を妨げるような形で放置されていたので、ウエスカ治安警察に通報した。また他の目撃者によると、オートバイに乗った人物が乗用車を運転していた女性を迎えに来て、乗用車の中のかばんを持って走り去ったもよう。ETAのメンバーにより放置された乗用車は、バルセロナナンバーの偽造ナンバープレートを使用していた。
近日、アラゴン地方にてETAのメンバーによる爆発物を登載させた乗用車の放置事件が3件にものぼり、警察はETAがこのルートをフランスからスペインに入国する為に使用しているのではないかと見ている。
爆破の影響は半径200メートル付近にまで及び、近隣住民の家屋にも、ガラスが割れるなどの被害が出た。
また、先日ETAのメンバー4人が乗用車の爆発により死亡したのを切っ掛けに、サン・セバスティアンなどのスペイン北部の都市で、ETAを支持する若者達がバスや乗用車、キャッシュディスペンサーなどに火を放つ事件が相次いでいる。昨日に至っては、サン・セバスティアンのバスク大学教員宅にも簡易爆弾が仕掛けられた。近日、ETAの支持者によるバスク大学教員への脅迫事件の件数が増加している。

ヘスス・カルバージョ、シドニー断念

スペインを代表する体操選手であり、シドニーオリンピックで少なくとも2個のメダルが期待されていたヘスス・カルバージョ選手(23)が右膝の故障によりシドニーオリンピックの出場を断念した。カルバージョ選手は3ヶ月前、新たな技を試している際に靭帯を負傷した。カルバージョ選手は以前から主治医より、「手術を受ければ、シドニーオリンピックは断念さざるを得ないだろうし、手術を受けなかったとしても、問題が発生するであろう」と忠告を受けてきた。主治医のペドロ・ギレン氏によると、腱2本を変える必要があり、完治には6ヶ月から8ヶ月必要とのこと。男子体操代表団のヘクトール・ラミレス監督は、カルバージョ選手がシドニーを断念せざるを得ない旨を受け、「鉄棒や平行棒、また、吊り輪においてもメダルが期待されていた選手だけに残念である」とのコメントを発表した。カルバージョ選手は明日、手術を受ける事になっている。
また、キューバ出身の選手達もシドニーオリンピックの出場が危ぶまれている。スペイン国籍に帰化してから3年経過しないとオリンピックには出場できないという条約から、水球競技のイバン・ペレス選手の出場が問題となっている。同選手は1997年10月23日にスペイン国籍に帰化しているが、スペイン水球チームはイバン選手の帰化から3年間が経過するちょうど1ヶ月前の9月23日にカザフスタンと対戦する予定である。同じく、キューバ出身の陸上競技選手であるニウルカ・モンタルボ選手の出場については、キューバオリンピック委員会から承認されなかった。アルフレド・ゴジェノチェスペインオリンピック委員会会長はこれらの問題に対して、「キューバ政府に選手がスペインチームに参加できるように許可を申し出る必要がある」とコメントした。


8月15日(火)

今日は「聖母マリア被昇天」の祝日ですので、トップニュースはお休みです


8月14日(月)

PNV内部でリサーラ協定の効力について意見の相違

最近のETAのテロ行為の活発化によって、穏健派の民族主義政党PNV、EAが急進派のEHと結んでいるリサーラ協定に関して各方面からの批判が相次いでいるが、相変わらずPNVでは協定破棄を望んではいない。
しかしながら、ここにきてPNV内部でこの協定の効力について意見の相違が現れてきている。PNV議会スポークスマンのアナサガスティ氏は、この協定を“過去のもの”と評し、“ETAと卑怯者のEHが協定を亡き者とした”と述べ既に役に立たない協定であると公言している。これに対し、PNVスポークスマン、エヒバル氏はアナサガスティ氏に対し、“個人的な意見”として尊重はするが、党の方針ではないことを強調し、あくまでもPNVはリサーラ協定維持を貫くとし、協定は有効であると話している。
また、協定に署名するもう一つの穏健派政党EAもEHとの対話を続けて行くことを確認しており、リサーラ協定の有効性を認めている。

鉄道事業自由化政策によってRENFEの従業員数縮小と借金の軽減を図る

1週間前に、勧業省が2004年までに鉄道事業に私鉄の参入を認めるという意向を発表したが、この自由化政策の目的の2つの柱は、現在RENFEが抱えている1兆1400億ペセタの借金の軽減、34200人の従業員の3分の1を他の経営母体へ移行、にある。
労働団体が真向から反対しているアルバレス・カスコス勧業省大臣の自由化政策では、長距離路線や新幹線については政府からの補助金なしに私鉄とRENFEが同条件で競わせるが、利益を追求することが困難な近距離路線や地方路線については入札を行い運営に最適な企業を選ぶとしている。
また、勧業省に属している鉄道事業運営機関GIFに鉄道保全に携わる5700人、鉄道の運行にかかわる4700人、計10400人の籍を移行させRENFEのスマート化を図ることをもくろんでいるが、従業員の会社に対する愛着が強く、この政策が容易には進まないことが予想されている。


8月11日(金)

テロ対策についての話合い、政府とPSOEで一致協力していくことを取り決める

昨日、ETAのテロ対策について、中央政府と野党第1党POSEの幹部による会談が行なわれた。この席で、大まかな点については両者の意見が一致し、共同戦線をはってETAに対抗していく姿勢を示している。特に緊密な情報交換、バスク地方における取り締まり強化を必要とする地域の警察当局の人員増加、向上化を目指すと具体案を提出している。さらにPSOEは国会内でも緊急にこの論題についての討議を行う必要があることを提案している。
しかしながら、PSOEが民族主義政党、非民族主義政党を問わず、同じテーブルについて討議をして行くべきだとの意見に対し、中央政府では穏健派民族主義政党であるPNVを含めることに難色を示した。マジョール・オレハ大臣はPNVが役に立たない政党である以上、こちら側から歩み寄ることは何の利益も生まない、とはっきりと拒絶している。

アリエルタ社長、テレフォニカの幹部を刷新

先月26日にビジャロンガ氏の後任としてテレフォニカの社長に就任したセサル・アリエルタ新社長は昨日、ビジャロンガ前社長の側近であったテレフォニカグループ幹部の解任を決定し、グループ内外で手腕を振るえる人物の任命と組織の改編を行った。
テレフォニカ・メディアのガルシア・デュラン氏とテレフォニカ・モビルのルイス・マルティン・デ・ブスタマンテ氏が退陣することとなり、ファイナンシャル部門に明るいアブリ・マルトレル氏をグループナンバー2に抜擢、ルイス・ラダ氏をテレフォニカ・モビレスの社長に据えた。テラの社長にはヨーロッパ・ジェネラル・エレクトリック社の社長であったホアキム・アグー氏を迎えた。
これらトップの入れ替えは株式市場で好反応を得、テレフォニカ株が4.13%、テラ株が3.28%の上昇を見せた。
今月30日に予定されている役員会ではビジャロンガ体制時の役員の相当数が退陣をせまられることになるだろうという見方が強い。

ニウルカ・モンタルボ、シドニーオリンピック出場をキューバ政府に阻止される

昨年のセビージャでの世界陸上の女子走り幅跳び優勝者のニウルカ・モンタルボ選手がキューバオリンピック委員会からシドニーオリンピック出場を阻止されるという事態となった。
同選手はもともとキューバ人であったのだが、スペイン人と結婚、昨年5月にスペイン国籍を取得した。オリンピック憲章では国籍を変更してから3年間はその国の代表として出場することができない、と規定されているが、もとの国籍所有国が出場を認めればその限りではない。今回はそのような事例に当てはまる選手が水泳のニーナ・ジバネフスカヤ(元ロシア)とハンドボールのアンドレイ・チェプキン(元ウクライナ)とおり、両者ともロシア、ウクライナからの許可が届いている。
モンタルボ選手の場合はキューバオリンピック委員会が自国の選手の海外流出につながることを懸念、拒否することを決定した。
スペインではIOCへ提訴するすることを決めているが前例からみるとこの決定が覆される可能性は非常に少ない。IOCのサマランチ会長もさじを投げた状態で、最終的にはフアン・カルロス国王とキューバのカストロ大統領との話合いに委ねるしか方法がないことを匂わせている。


8月10日(木)

ETAのテロ、今度はナバーラで

昨日15時過ぎ、ナバーラ地方パンプローナの近郊ベリオサールで陸軍の少尉が自宅ガレージで背後から銃で撃たれ死亡した。犯人はETAのメンバーと見られ、単独で犯行に及んだ後、車で逃亡した。
殺害されたフランシスコ・カサノバ少尉はナバーラの出身でベリオサールから1キロと離れていないアイソアインで事務関係の部署に勤務しており、昨日もいつものように車で帰宅した直後を襲われた。通勤には決してユニフォームを着ることはなかったというが、犯人は被害者の毎日の行動を熟知していたことがうかがわれる。
遺体の安置されたアイソアインの本部にある教会にはマジョール・オレハ大臣、トリージョ国防大臣などがかけつけた。
マジョール・オレハ大臣は、国民に向かい、たて続けに起こっているETAのテロ行為に動揺することなく冷静さと暴力に屈しない姿勢を保つよう求め、アスナル首相と4時間にわたる会談をもっている。
一方、バスク州司法高等裁判所の検察局ではEHの幹部でスポークスマンであるアルナルド・オテギをテロ行為に賛辞を与えた、として告発した。告発の内容は月曜日に自動車の爆破でETAのメンバーと見られる4人が死亡したことにつき、この4人を“仲間であり、愛国者である”と位置付け“国のために戦った独立運動主義者”と評価したこと、さらに「この国(バスク州))は独立を勝ち得る為に戦いつづける」と付け加え、現在のETAのテロ行為はスペイン中央政府のとった戦術の結果なのだと公言したことが刑法571条と573条にふれるとする。
また、ETAの支持者達がPPギプスコアのマリア・サン・ヒル議長に対して“おまえは死ぬことになる”と叫び、脅迫したことに対してサン・セバスティアン検察局が告訴する予定となっている。

出産年齢上昇によりマドリッドの出生率上昇

20年間低下し続けていた出生率がようやく上昇した。先日、国立統計研究所(INE)と内閣・大蔵審議会が発表した統計によると、1999年度は前年度と比較して3259人多い5万2293人の新生児が誕生しており、マドリッドの出生率は6,6%上昇した。しかし、この出生率上昇は出産年齢が上昇した事を受けたものである。約半数(43%)の新生児が30才から34才の女性から誕生しており、19%の新生児が35才から39才の女性から誕生している。現在、平均出産年齢は30才以上となっており、1975年と比較すると5才も上昇している。よって、第2子、第3子をもうける夫妻は少なくなってきている。
また、INEとマドリッド州政府の統計によると、婚姻件数も増加しており1999年度は前年度と比較すると7,4%増加している。しかしながら、婚姻年齢も上昇しており、男性の平均婚姻年齢は30,2才、女性は28,8才となっている。
これらの出産年齢や婚姻年齢の上昇の主な原因として、若者達が仕事や住居を見つけるのが難しいという経済的問題や、若者間の概念の変化が考えられている。

タールによりマラガ、カディスの海岸、汚染される

マラガとカディスの海岸地帯がタールによって40キロメートルにわたり汚染された。火曜日午後、マラガのエステポナ近郊のカサレスとマニルバの海岸にてタールは発見され、翌日の午前にはカディスのラ・リネアの海岸にまで汚染は広がった。浜辺では市役所職員などがタールの回収を行なっているが、東からの風が新たなタールを運び、回収作業は難行している。タールの流出元は確認がとれていないが、大型船のタンクから流出したものか、もしくは、タンクを清掃した際に流出したものではないかとみられている。タリファ海洋救助センターは、「タールは劣化がひどく古いものであり、残りのタールについても環境に多大な影響を与えるとは思われない」との見解を示した。しかし、カディス環境保護団体のスポークスマンであるアントニオ・ムニョス氏は、「この地域における近年最大の環境災害である」と見なしている。現在、カディスの汚染された海岸全地域を遊泳禁止にしている。マラガの海岸においては、現時点では遊泳禁止にはされていない。今回の汚染は夏の観光ピーク時に起きたものであり、観光産業への影響が懸念されている。


8月9日(水)

ETA、ビルバオとマドリードで2つのテロ行為

昨日12時過ぎ、バスク州ギプスコア郊外のスマイアでETAによって爆破された自動車爆弾によってギプスコア県の経営者団体ADEGIの会長、ホセ・マリア・コルタ氏が殺害された。
コルタ氏は氏が経営する“コルタ社”を出て車に乗りこむ瞬間、同氏の車の横に駐車してあった自動車が爆発し、車もろとも飛ばされその場で死亡した。ダイナマイト15キロが仕掛けられた車は1時間以上前からその場に駐車されており、ETAのメンバーは見通しの良い場所に隠れ、同氏を待ち伏せし、リモコン操作によって車を爆発させたものと見られている。
コルタ氏はギプスコアの出身で、1995年よりADEGIの会長を務め1ヶ月ほど前に同職に再選されたばかりである。ADEGIは様々な思想を持つ経営者が集まる団体のため、同氏はその溝を埋めるために常に相互の対話を求めてきた。また、同氏はバスク語を母国語とし、民族主義政党PNVに近い考え方を持ち、バスク州首長イバレチェ氏とも個人的親交を持つ。しかしながら、ETAの度重なる企業への“革命税”の支払いを求める脅迫に屈することのないよう企業経営者達をまとめる役割も担っていた。

マドリードでは午後6時半頃、市内北部チャマルティン地区で車爆弾が爆破された。爆発の起こる20ほど前にETAを名乗る匿名の人物から警察、消防、マドリード自治体緊急連絡先に爆破予告の電話が入った。不審な駐車車輛を発見、付近住民へ注意を呼びかけた後に警察のコントロールのもと爆発が起こったが、50キロに及ぶ爆発物が積まれていた為その余波を受け11人が負傷し、付近の建物の窓ガラスが割れ、水道管が破裂するなどの被害が出た。現在、負傷者のうち3人が入院中。

一方、月曜夜ビルバオで走行中の自動車が爆破しETAのメンバーと見られる4人が死亡した事件で、身元が判明しているのはコマンド・ビスカヤの幹部“パッチ”・レメンテリアと3年ほど前からコマンド・アラバに所属していたと見られるアンチョン・サシアイン。さらに、もう1人もやはりコマンド・アラバの協力者であったアイトール・コルタサールではないかと見られている。残る1人については遺体の状態がひどく指紋と歯の治療痕から分析をするしか方法がなく、判明にはまだ数日かかるもよう。
これら4人の遺体が収容されているバスルト検死局に急進派民族主義政党EHのリーダー、オテギ氏やその他幹部が赴き、報道陣に「死亡した4人の“仲間”、将来のバスクをしょって立つ“愛国士”たちに人道的連帯感持つ」とバスク独立の闘士の死を悼む発言をし、さらには、死亡した4人に対する敬意を表する意味で、彼等の出身地でのゼネラルストライキを召集することを提案している。

エネルギー委員会、電気料金の自由競争が正しく行なわれていないことを指摘

今年6月に施行された政令では、7月1日から中小企業は契約をする電気会社を自由に選択でき、さらには最高15%までの割引を交渉することができるようになる、とされている。しかし、エネルギー委員会では、実際このシステムを知らない企業が多く、6万5千の企業がその恩恵を受けずにいるとする。
中央政府では電気事業の自由化をめざして、総選挙前に前産業省がこの種のサービスが受けられるようになるとする宣伝広告をうっていたが、野党からの猛烈な反対にあい、それ以降は積極的なキャンペーンをはっていない。同委員会では実際には、選択可能なユーザーは市場の43%を占めるにもかかわらず、情報不足のためそのシステムを利用しておらず、政府の意図が頓挫した状態であると警告している。


8月8日(火)

ビルバオで車爆発、死亡した4人はETAのメンバーか?

昨日午後11時ごろ、ビルバオのボルエタ地区で走行中の乗用車が爆発、車に乗っていた4人が死亡した。この大爆発で乗用車は原型をとどめず半径50メ−トルほどに散らばったため、事故当時死亡したのは3人だと考えられていた。
警察の捜査では、乗っていた4人はETAのメンバーとみられ、そのうちの1人は偽造身分証明書が残されていたことから“コマンド・ビスカヤ”の幹部“パッチ”・レメンテリアの可能性が大きいと発表されている。
ETAのメンバーは大量の爆発物と武器をどこかに運ぶ途中、もしくは新聞社3社が軒を並べるこの地区でテロ行為を計画していたのではないか、とテロ対策局ではみている。爆発の原因については車内に置いてあった爆発物の取り扱いを誤ったという説が有力である。

スペインで初めて“狂牛病”に似た羊の症例が検出される

ナバーラ地方政府は同地方の農場に“狂牛病”に似た羊の病気が存在することを明らかにした。つい10日ほど前にスクラピー(羊赤痢)の存在を否定したばかりであったが、サラゴサ大学の獣医学部でナパルとタファジャ農場で殺された羊の再検査を行い、この種の病気を確認するに至った。
この病気は羊から人間に直接感染することはないが、この病気にかかった羊を加工し牛の飼料として使い、牛が感染してしまうと人間にも感染する可能性がでてきてしまう。
しかし、ナバーラ政府では、1994年より地方の条例により、羊の肉を牛用の飼料にすることを禁じているため、人間への感染の可能性はほとんど考えられないとしている。
現在までにこの病気に感染していたとみられる羊2400頭は処分されているが、これ以外にもスクレピーに汚染されている群れがあるという確認がとれれば、予防措置として50万頭を処分することもありえる。この病気の潜伏期間が2年から5年と長期にわたるため厳しい措置を取らざるを得ないという。

スペイン女性は男性より26%給料が安い

EU統計局ユーロスタットがまとめた“EU諸国における低給料に関する報告書”ではスペイン人女性は男性よりも26%給料が低いという結果が出ている。
“低給料”の基準にあてはまるのは国別平均給与の60%以下もしくはパートタイム(週30時間以内)によるもの、である。スペインでは“低給料”の54%が前者で、13万ペセタ以下(税込み)の給料しかもらっていないこととなる。
EU内ではパートタイム労働者の80%を女性が占めており、パートタイムによる“低給料”労働者が多い国は65%のオランダ、63%のベルギー、55%のイギリスで、スペインでは32%とEU平均43%よりも低い。
男女間の給与水準の差が少ない国はドイツ、デンマーク、スエーデンなどで旧東ドイツ側に顕著にその傾向が見られる。ドイツ全体では女性の平均給与は男性の89.9%、と同水準に近づいている。
スペイン女性が男性よりも給与水準が低い理由は女性が責任ある地位へつきにくい、女性労働者の44%は30歳以下であることがあげられるという。


8月7日(月)

カタルーニャの山火事、5000ヘクタールを焼く

昨日午前中にカタルーニャのジローナ、ガリゲジャで起こった山火事は8つの市町村にまたがって広がり、森や雑木林5000ヘクタールあまりを焼き、いまだ鎮火していない。
昨日は強い北風が吹いており、近隣の山に飛び火し、火事の中心は3つに分かれた。そのうちの一つはカボ・デ・クレウス自然公園を襲う勢いである。
空と地上からの消火活動を続けているが、5市町村の住人に避難命令が出され、カダケスの住民と観光客は外部との連絡が絶たれ体育館などで夜を明かしている。
この大規模な山火事により電気の供給が止まり、3つの地方道、フィゲラスからフランス国境に抜ける国道が通行止めとなり、バルセロナとフランスを結ぶ国鉄が運休となっている。
火事の原因はガリゲジャの農業地帯での焚き火と見られており、詳しいことは捜査の結果を待つことになるが、カタルーニャ自治体ではこのような乾期で風の強い日に焚き火をすることは単なる不注意とはいえず、ある程度の意図を持っての行為といわざるを得ない、と話している。

勧業省、2004年までに鉄道事業に私鉄の参入を認める意向を明らかに

昨日、勧業省のアルバレス・カスコス大臣は、スペインの鉄道事業に私鉄の参入を認める意向をを明らかにしている。時期については現在の任期が終了する2004年をめどにしており、ヨーロッパ諸国の中でもトップの鉄道事情となることを想定している。
現在の鉄道事業はRENFEとFEVEの国鉄2社が独占しており、この2社を民営化することなく、民間の鉄道会社の参入をもって長距離、近距離ともに競わせることを意図している。しかし、鉄道事業は国の事業であるという観点から私鉄も既存の線路を使用することとする。
この発表はヒホンに“メトロトレン”の導入を発表した席で同時に行なわれた。ヒホンでのこのプロジェクトには敷設経費、車輛の購入などに200億ペセタ程度の投資を考えており、年間2500万人の利用を見込んでいる。

エクアドル人のマドリードへの流入は1年間で5倍に増加

マドリードではここ1年間にエクアドル人の住民登録数が約5倍に増えている。1年前の住民登録が6401人であったのが現在では30398人となりマドリード全体で141000人いるといわれている外国人の20%程度にあたる。
この現状はエクアドル本国が政治的、経済的危機の訪れた時期と重なっており、ツーリストとして入国したまま住みついてしまっているケースがほとんどである。実際に就労を目的としていても、入国時に“見せ金”を用意し、ツーリストを装えば簡単に入国できる。さらに就職先が決まれば、スペイン労働省が同じ業種にスペイン人失業者があふれているという理由で労働許可書発行の拒否をすることができないという協定をペルー、チリ、エクアドル政府と交わしていることもあり、流入の波はとどまるところを知らない。
しかし、なかなか就職先をみつけられないことに加え、需要に比べ供給過多が災いし賃金が安くスペイン人や他の国の移民よりも買い叩かれることがほとんどである。本国では帰国者がスペインを天国のような国であると吹聴し、間違った情報が流されていることが多いという。


8月4日(金)

アンダルシア州政府、中央政府とEUに未成年移民保護のための補助金を要請

アンダルシア州政府では毎日のように流入してくる未成年の外国人、特に北アフリカ、モロッコ人の保護にかかる経費の高騰に悲鳴を上げている。
現在のスペインの法律では密入国、不法滞在者であっても未成年であることが判明すると一旦はスペイン国内に留まることが可能となり、その子供達の母国の家族などについての調査が行なわれる。その間は未成年者保護施設で生活することとなる。これらの子供達の生活、保護に係る経費は1999年度には10億ペセタほどかかっており、全て州の予算でまかなわれている。
州政府と社会行政局では今年1年間に3000人ほどの子供達がやってくるものと推定しており、経費は15億ペセタほどに達すると見ている。この現状に州政府では州内だけでは解決できない問題となっているので、中央政府やさらにはヨーロッパ全体の問題でもあるとしEUに訴え、問題の解決、補助金を求めている。
このスペインの未成年に対する法律を逆手にとり、密入国斡旋マフィアが暗躍、未成年の流入に拍車をかけることとなっているが、実際に入国してくる子供達はスペインでの労働可能年齢より低い場合が多く、結局は窃盗団などの不法組織に入ってしまうことが多い。

クエンカの山脈にて大規模な山火事が発生

今週の水曜日にクエンカのカブレハス山脈にて大規模な火災が発生した。この火災による被害は2400ヘクタールにまで及び、フエンスクララス、フエンテナバ・デ・ハバラ、クバス・デ・バラスコ、ビジャール・デル・マエストレ、ビジャール・デル・サツ・デ・ナバロン、ナバロン、の6市町村が火災の影響を受けた。被害を受けた地域は森林地帯であり、樫、松、柏などの樹木が大きな打撃を受けた。クエンカ農業代表団筋によると、この被害を回復させるには60年から70年かかる見通しである。
今回の火災の原因は、麦藁を刻む機械から出た火花が原因と見られており、機械を運転していたフアン・カルロス・N.G.(31)を火事の容疑者として逮捕した。
また、先月の29日にカナリア諸島のラ・パルマ島にて発生した火災の容疑者も逮捕された。逮捕されたのは81才と48才の親子であり、家族でバーベキューをした際の火の不始末が火災の原因となった。このラ・パルマ島の火災による被害は5000ヘクタールにまで及んだ。昨日はまた、アルメリアのルカル山脈と、バレンシアのレケーナ、コルテス・デ・ピジャスの2町村にまたがる松林でも火災が発生している。

麻薬の使用判定貼布剤の効果は良好

マドリードの自治体では麻薬依存矯正機関(SAID)の協力を得て、6月より麻薬依存の囚人の一時帰宅時に麻薬使用判定貼布剤を使い効果を試していたが、この度結果が良好なためさらに枠を広げることを決めている。適用範囲は窃盗などの財産犯で収監されている麻薬依存の囚人。
この判定剤は5センチ四方程度のばんそうこうで上腕に貼られ、汗に含まれている成分に反応、ヘロインやコカインを摂取したかどうかがわかる仕組みとなっている。
アランフエス刑務所と解放矯正施設ビクトリア・ケントの囚人各1人ずつが“実験台”となった形であるが、両者とも一時帰宅中に麻薬の摂取が認められなかった、という結果が出た。この措置を推進するマドリードの裁判官とSAIDでは夏以降に、同様の処置を100人程度に広げたいとしており、この貼布剤が麻薬消費の心理的な抑止効果を生むと推定、麻薬から抜け出す足掛かりとなると話す。
これらの囚人達が一時帰宅中に麻薬を摂取していないことが判明した場合、罪の階級が下がり、さらには仮釈放の時期が早まるという恩恵を受けられる。


8月3日(木)

CNMVのビジャロンガ前テレフォニカ社長に対する調査を終了、“無罪放免”

国家証券マーケット委員会(CNMV)はビジャロンガ前テレフォニカ社長に対して行っていた株式の不正取り引き疑惑に関する再調査を終らせたことを発表した。
この件は1998年にビジャロンガ氏が社長であったその要職を利用して得た情報に基づき株式の売買を行い、不正に利益を得たのではないかというもの。
ビジャロンガ氏はアメリカ企業MCIワールドコム社との合併の話しが秘密裏に進んでいる最中にテレフォニカのストックオプション株を1億9800万ペセタで購入、その14日後に同株を売り払い2130万ペセタの利益を得た。CNMVではこの取引に関する調査を始め、9ヶ月後に証券マーケット法に違反してはいないという結論に落着いていた。しかし、先月ビジャロンガ氏のスキャンダルがすっぱ抜かれるのと同時にアスナル首相の再調査が必要だとの発言により、この件が蒸し返されていた。 CNMVは調査においては社長という地位によって得た情報を利用したという確固たる証拠は認められなかったと結論付けている。

合法滞在の許可の下りない外国人は国外追放の可能性がある

先月31日に終了した不法滞在外国人の特別合法化手続きに申請した約22万5千人のうち5万人程度は許可がおりないものと推定されている。
移民局のフェルナンデス・ミランダ局長は、手続き申請の主要要件である1999年6月1日以前より滞在していることの証明ができない者、その日付以降にスペインに到着した者はスペイン国内に滞在することは違法となるという判断を下す。さらに、国外追放の可能性も示唆し、不法滞在者の権利が保証されることは請け負えないと話す。
許可がおりなかった人達には最終的にはこの判断を不服とする再審査を裁判所に要求することができる。しかしながら、その結果が出るまでは強制送還措置を回避することができるかといえば、その限りではない。
一方、PSOEは、5万人の人々を不法滞在者としないような方法を考えるよう政府に求め、これらの人々を再度社会に戻し、次回の通常の許可割り当てを適用できるようにすることを提案している。

アセカ火力発電所の燃料漏れ、原因が明らかに

火曜日にタホ川を汚染した、トレド県のアセカ火力発電所にて発生した燃料漏れの原因が明らかになってきた。2本の安全弁の故障が原因と見られていたが、実際に故障していたのは4本の安全弁であった。この4本の安全弁の故障により、貯蓄タンクから移動されてくる燃料が供給タンクの許容量を超越してもなおポンプが稼動し続け、タンクから溢れ出した燃料が排水槽を通りタホ川に流出した。燃料が流出している間、管理センターの警告装置は作動しなかった。発電所側の報告によると、流出した燃料は25,000リットルとされているが、実際にタホ川から回収された燃料は報告された量を大幅に上回っており、少なくとも約倍量が流出したのではないかと見られている。


8月2日(水)

PSOE、ETAに対する戦術では中央政府と歩調を揃えることで同意

昨日、内務省マジョール・オレハ大臣がPSOEの幹部を招きETAのテロ行為に対する戦術を話し合うための会談を持った。4時間半に渡る夕食を取りながらの会談には、PSOEから執行部のニコラス・レドンドPSOEバスク州幹事長、元総理府大臣アルフレド・ペレス氏、次期議会スポークスマンヘスス・カルデラ氏が出席した。
この席ではETAのテロ行為に対し、いかなる武器による脅迫にも屈しない姿勢で対処することに意見の一致を見、警察当局の活動に信頼を寄せることでも両者で確認、ETA対策が強化、向上されることを期待するという意見に落着いた。
しかしながら、PNVにリサーラ協定から脱退するよう促すことには同意するが、PPのPNVに対する締め付けには疑問を呈し、たとえPNVがバスク社会に必要不可欠な政党ではなくなったとしても必要であることには変わりがないとし、ETAに対抗するにはPNVを含めた民主主義政党が結束を固める必要があると述べた。
また、PPバスク州長のカルロス・イトゥルガイス氏がETAの囚人には懲役刑が満了するまで出所はないものとするよう刑法の改正をしたい、とした意見にははっきりとした拒否の姿勢を示した。

アルヘシラスの港で2万人以上の里帰り北アフリカ人が足止めを食う

毎年夏になると恒例になっているヨーロッパで働いている北アフリカ人の里帰りの車がアルヘシラスの港に大量に押し寄せる風景は今年も例外ではなく、フェリーにいつまでたっても乗れずにいらだつ人々の様子が報告されてきている。
今年の状況が昨年より悪化していることは海峡通行局が認めており、見通しの甘さが一番の原因と見られる。同局の話しでは昨年より5%程度旅行客が増えることを予想していたものの、蓋を開けてみると25%以上の増加があったこと、1週間先の乗車券を持っているにもかかわらず乗船しようとした車が集まってきたこと、さらには新しく開通した北方からアクセスする道路と港内の車輛通行路の設計の悪さが重なり乗船場所に車が集中したことなどもこの大混乱に拍車をかけたものとする。
先週末から今週に入って続いている乗船を待つ車の列ももうそろそろ平常にもどる頃であるが、フランスからスペイン国境を越えてくる車の数がまた増加していると報告されていることから今週末も同様の混乱が起きる可能性もある。

トレドの火力発電所にて燃料漏れ

昨日、トレド県ビジャセカ・デ・ラ・サグラのアセカ火力発電所にて燃料漏れが起こり、トレド県を横断するタホ川に燃料が流出した。燃料漏れの原因は、15万リットルの燃料タンクの安全弁2本の故障と見られ、およそ10キロメートルにわたりタホ川を汚染したもよう。事故が発生したのは午前11時であったが、実際に近隣住民が通達を受けたのは午後に市民保護団からタホ川の水を使用しないように通告があった時点であった。ビジャセカ市市長の報告によると、流出した燃料は10万リットルであった。アセカ火力発電所は1969年に設立され、年間468,85GWhの電力を供給していた。


8月1日(火)

PNV、政策変更はないと断言

昨今、ETAの頻発するテロ行為に対する態度にPPやPSOEから厳しい批判を受けているバスク穏健派民族主義政党PNVは政策変更をするつもりは無い事を明らかにしている。度重なる、リサーラ協定からの脱退要求に態度を硬化させているPNVは急進派左派政党と対話を持ちバスク州内の問題を解決していくとする。PNVスポークスマン、エヒバル氏はPP政府に対し、PNVがETAと暴力協定を結びETAの“共犯”と化していると糾弾し続けるのであれば、法廷に持ち込むこともありうるとする。
さらにアルサジュス党首は、ETAとPPはPNVをつぶそうとする共通する目的を持ち、お互いが必要不可欠の存在であり、どちらか一方が欠けても目的は達成できないのだ、と激しい批判を繰り返した。

薬局での薬の販売に値引きが認められる

本日より、薬局で販売されている医師の処方箋を必要としない薬剤に関しては初めて10%までの値引きが認められることとなった。
この値引きは強制ではなく各薬局の判断にまかせられ、既に薬剤の箱に印刷されている値段から10%までの範囲で値引きしてもよいということ。この値引きが適用される範囲は鎮痛剤や、一般的な風邪薬、ビタミン剤、下剤など。
これらの薬剤は年間売上の約5.7%にあたり800億ペセタほどの金額となる。このような措置は野党社会党からの批判が多く、国家の社会保障システムの出費を押さえるとは考えられず、これらの値引きされる商品を購入することで不適切な薬の服用につながると警鐘を鳴らす。

不法滞在外国人の合法化手続き期間終了

3月21日から行なわれていた不法滞在外国人の合法化特別手続き期間が昨日をもって終了した。
全国で20万人を超えた申請者のうちの5万5千人はカタルーニャ地方、中でもバルセロナでは4万5千人に達しているが、地方政府ではこのうちの40%程度しか許可が下りないだろうと警告している。 マドリードでは5万2千人程度、アンダルシア地方が3万6千人と続く。アンダルシアの中でもアルメリアでの申請者は2万人に届いている。
人権団体ではこれらの特別措置について政府の設けた必要条件を批判、この枠にあてはまらない不法滞在の外国人達はこれからもスペイン国内で働きつづけるだろうし、その数は10万人にのぼるであろうと推定している。



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