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毎日のトップニュース


2月29日(火)

PPの選挙公約の目玉は所得税減税

昨日、アスナル首相は次期総選挙の公約の、目玉とも言える税制改革についての詳細を発表した。
具体的には、所得税の減税で現在最高48%のところを46%に、最低18%のところを15%にすることを約束している。また、子供を持っている家庭、65歳以上の納税者、中小企業に対する優遇措置についてもふれた。
この公約に対して、PSOEの経済政策担当のエギアガライ氏は不公平で間に合わせの選挙対策で、金持ちと投機家に有利な政策でしかないと強く批判。

CCOO、8ヶ月に及ぶRENFEの内紛に終止符をうつ

労働団体CCOOの交通連合委員会は昨日、中央鉄道セクターの首脳陣を解任することによって8ヶ月に及んだRENFEの内紛に終止符をうった。この解任により交通労働組合の代表者13人がRENFEの役員会と労働団体UGTと話合いを持ち、状況、関係改善のための同意を持つに至った。
この同意には、労働時間の短縮や報酬の増加等が盛りこまれ、さらにこの同意をCCOOの加盟者にも適用すること、また、数ヶ月以内に鉄道セクターの新しい幹部を選出する必要があることにもふれた。
解任された鉄道セクターの首脳陣はこの突然の解任を“クーデター”であると評し、民主主義に反し、4年間培ってきたこの団体を否定する最たる証拠であると強調した。

社会保険庁、病院での病原菌感染により死亡した女性に対し補償金を支払うことで和解

1997年にマドリッドの公立病院ラ・パス病院で心臓手術を受けた22歳の女性が手術中に感染したバクテリアが原因で10ヶ月後に死亡した件につき、社会保険庁と女性の家族が1450万ペセタの補償金で和解をすることとなった。
この女性は2歳のときに心雑音があると診断され、22歳で手術をうけることとなった。この手術中に病院内で繁殖する抗生物質にも強いバクテリアに感染、このバクテリアが引き起こす腫瘍を取り除く手術を11回も繰り返した末、結果的には大動脈に穴をあけるほどのものとなり、最後の手術中に死亡することとなった。
家族により裁判所に訴えられたが女性の死亡は医療ミスとしては認められなかった。しかし、裁判所が社会保険庁にこの病院内感染の責任があるとしたことから両者、和解の道をとることで同意した。


2月28日(月)

PSOE、アンダルシア議会で議席回復か

アンダルシアでは3月12日に総選挙と同時にアンダルシアの地方選挙も行なわれるが、この地方選挙についての聞き取り調査の結果が発表された。2月の18日から23日にかけて2521人を対象に行った調査ではPSOEが44.6%の得票率で獲得議席を1席から最高3席伸ばすもようで、もし、最高の伸びを見せた場合はPSOEは絶対多数を獲得することとなる。
PPもわずかながら伸びをみせ、やはり議席数では1席から3席の増、アンダルシア党(PA)は4議席を維持、IUは大幅に獲得議席を減らしそうである。
また、PSOEのマヌエル・チャベス議員候補はアンダルシア州の政治家の中で一番の評価をうけていることも明らかになった。

アウストゥリアスの炭坑で政府の補助金不正受給発疑惑

産業省は補助金の不正受給の疑いを持たれているアストゥリアスの炭坑、ラ・カモチャとゴンサレス・イ・ディエス社に国家エネルギー委員会(CNE)の調査団を送った。
同社は1999年に、国より国内生産の石炭に対して出る補助金を64億3400万ペセタ受けていたが、国内産と称して安い輸入物の石炭を混ぜていたと思われ、補助金の打ちきりが検討されている。
産業省は1996年にも同様の疑惑のあった他社の調査依頼を無視した経緯があったが、当時産業省鉱業セクションの長になったばかりであったパロマ・センディンは昨年、不正疑惑があったことをみとめながら、当時はそれを証明することが困難であったことや雇用問題に発展することを考えて、調査をしなかったことを明らかにしている。

ヨーロッパ室内陸上選手権でスペイン勢、メダル獲得

ベルギーのガンテで行なわれているヨーロッパ室内陸上選手権で土曜日に引き続き、最終日の昨日もスペイン勢が頑張り、計4つのメダルを獲得した。
土曜日にはアントニオ・ロドラットが1500メートルで金メダルを獲得した後、マルタ・ドミンゲスは女子3000メートルで、マヌエル・マルティネスが砲丸投げで銅、ダビス・カナルが400メートルで銀を手中にした。
カナルは400メートルでメダルを手にした2人目のスペイン人であり、砲丸投げでは今まで誰も表彰台に上がったことはなかった。
期待をされていた3000メートルのアンドレス・ディアスは5位、ヘスス・デ・ラ・フエンテは8位に終った。
昨年のセビージャの世界選手権で金メダルを獲得した走り幅跳びのニウルカ・モンタルボは故障のため欠場。


2月25日(金)

建設業界、建設中の事故防止を求めて48時間ストライキ

昨日から建築現場で働く労働者達の48時間ストライキが始まった。スペインの建築現場での事故はEU諸国で一番多く、昨年は290人の生命を奪っている。
労働団体のCCOO、UGTは行政機関や企業にこのような事故を防止するための法を遵守することを求めストライキを召集している。労働者のこのストライキへの支持率は89%との発表がなされているが、企業側は大都市では20%に満たないとみている。
労働団体は建設業界の不安定さや労働時間の長さ、仕事を下請け、孫請けにまわしていくことが事故の増加に繋がっていると強調している。
このストライキが行なわれている最中にもバレンシアとバルセロナで工事中に2人が死亡している。

マドリード市長の財産開示を求める

昨日、マドリード市長の市長裁量の銀行口座からの不透明な支出についての質疑応答でマドリード市議会は騒然とした。
反対派による厳しい質問と市長擁護にまわった大蔵省の議員との応酬は侮辱の言葉も飛び出し、紛糾した。宗教団体への突出した献金、市長夫人の旅行費用の支出に対し、執拗なまでの追及は最終的にマンサノ市長のこれからも夫人同伴で公務の旅行に行くこと、なぜなら夫人のことを愛しているからという発言を引き出してしまった。
反対派からの要求事項に関し、PPは市長裁量の口座の監視とコントロールのみを約束。社会主義政党出身の元市長、バランコ氏は自分が市長時代に行ったようにマンサノ市長は公に財産の開示をするべきだと指摘。

エル・エヒドの移民との同意の期限せまる

2月の始めに起こったアルメリアのエル・エヒドでの移民の襲撃事件で行政と移民との同意の期限が本日25日となったことで、行政の対応の遅れ、同意の不実行に対し、ストライキを再開するかどうかで移民達の間で意見が分かれている。
行政が約束した5つの点は25日の期限をもっても実行されるみこみは薄く、労働団体やNGOからも批判が出ている。この対応の遅れの最大の原因となっているのが、エル・エヒドの市長で、移民達の仮設住居にいれるベッドの大きさまで逐一関与している状態である。
物的、身体的被害を請けた移民達への補償は少しずつではあるが進んでおり、現在のところ金額は4千万ペセタにのぼっている。


2月24日(木)

スペイン各地で反ETA集会が行なわれる

一昨日、ビトリアでETAのテロ行為(昨日のトップニュース参照)の犠牲者となった2人の葬儀がとりおこなわれ、アスナル首相を始めとして各党の党首、6万人の市民が参列した。また、スペイン各地で反ETAの集会が行なわれた。この集会の中で、バスク州首長イバレッチェ氏の辞任を求める声も聞こえてきている。
このテロ行為の後、イバレッチェ氏によりバスク・ビトリア政府は議会上のEH(HB)との同意を破棄する旨の発表がなされていたが、その他の全ての政党はPNVに対しEH(HB)との全ての関係を絶つことを求めている。この要求に対し、PNVのスポークスマン、エヒバル氏は今はHBとの関係を絶つ時期として適切ではないとの判断を示し、HB側は議会上の同意を破棄することは大間違いであると反論している。

テレフォニカの役員会、BBVAとの提携について承認

各方面から反対の声が上がっている2月11日になされたテレフォニカとBBVAとの提携について、発表があって12日後の昨日テレフォニカの役員会で承認された。
テレフォニカとBBVAはこの提携にカイシャが参加できるように新たな可能性を探っていたが、カイシャとしては両者の株式の持ち合いや支払いの方法に納得せず、この申し出を断ることとなった。
また、現在カイシャはテレフォニカの株式5%を所有しているが、様々な角度から見なおしを行い、テレフォニカと戦略的な同意を得たことを発表、次回の役員会で承認を得る予定。

C型肝炎の感染源は麻酔医

1994年から1998年にかけてバレンシアの公立病院で蔓延したC型肝炎の感染源が麻酔医ではないかという疑いについて、裁判所命令でバレンシア大学の専門家たちが調査をしていた件で、DNA鑑定を行った結果、マセオ医師と171人の患者のビールスのDNAが一致したことが判明した。
マセオ医師は、患者が手術を受ける前もしくは手術中に何らかの物質を注射していたものとみられているが、裏づけはとれていない。同医師の多くの患者を実験台としたした行為は医師として異端行為であるだけでなく傷害罪を問われる犯罪行為にあたる。
この鑑定結果を受けて公衆衛生局は感染を食い止めるための分析に入るもよう。
C型肝炎は患者の70%が慢性化するといわれ、20%が肝硬変、もう20%が肝臓ガンへと移行する大変危険な病気である。


2月23日(水)

ビトリアでETAのテロ、2人死亡

昨日夕刻、アラバ県ビトリアのビトリア大学校内でETAによる爆弾テロが起きた。駐車車両の中にあったワゴン車に積んであった爆発物を遠隔操作で爆破させ、側を通りかかったバスク州の社会主義政党の幹部、フェルナンド・バエサとその護衛の警察官を死亡させた。
爆破の起こった場所はバスク政府の本部のある場所から200メートルと離れていないところで、バエサ氏が本部事務所に行く途中を狙ったものとみられる。
バエサ氏は1990年から1994年にバスク州副首長を、現在はバスク議会のPSE−PSOEのスポークスマンを務めていた。常日頃より、バスクの平和と自由を求め、強いアンチテロリズムの態度で臨んでいたため、以前からETAの暗殺リストに載っていたことが判明している。
このテロ行為に対し、バスク州首長イバレッチェ氏は昨年5月にバスク政府がEH(HB)と結んだ同意を破棄することを発表。

アスナル首相、BBVAにテレフォニカとの提携についての詳しい情報を求める

昨日、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)の総裁の1人フランシスコ・ゴンサレスは、BBVAとテレフォニカの提携に関する説明をする為首相官邸へ赴いた。
アスナル首相はこの会談で、BBVAとテレフォニカの提携を発表する前にBBVA側からもテレフォニカ側からもこの提携の及ぼす効果についての説明を受けていなかったことにふれ、詳細な情報を要求した。この提携は各方面で様々な反応を見せているが、特にPSOEからはメディアとインターネットの世界に権力が集中するため阻止するべきとの声があがっている。
ゴンサレス氏はこの提携が排他的なものではなく、カイシャへも参加の呼びかけをしたことを説明。
また、BBVAがイタリアのウニクレディトとの提携を模索していた件ではウニクレディト側より提携は困難な旨の連絡があったが、BBVAとテレフォニカの提携が影響していると見られる。

マドリードの市長の公金使いこみの疑惑、更に深まる

先日より、マドリードのマンサノ市長が市長裁量の口座より私的な旅行費用を支払ったという一連の使いこみ疑惑の調査で、新たな発見があった。
1991年から1998年にかけて、誰に気付かれることなく同市長の妻や環境省の議員ガルシア−ロイゴリの夫人の旅行費用として同口座より500万ペセタの金額を捻出していたことが指摘されている。ガルシア−ロイゴリ議員はこの疑惑に関して、この旅行はプエルト・デ・サンタ・マリア市に招待された公式なものと説明している。
また、疑惑の持たれている支払いの領収書などの書類は何年も前からのものにもかかわらず、あわててそろえられたような書類のように新しく、同じフォーマットで作られていると反対派は疑いを隠せないでいる。


2月22日(火)

PPの公約、91.4%の達成率と発表

4年の任期終了まであと3週間ほどとなった現在、PPの先総選挙での公約が91.4%(511項目中466)達成されたとPPのインターネットのオフィシャルサイトで発表された。
アスナル首相はスペインの経済成長、雇用問題の進展、ETAのメンバーの検挙に関する警察の功績等を評価しているが、数多くの重要課題が残されている。
教育問題においては0歳から3才児の就学無料という点で公立の学校の不足によって全く機能していないし、高校の年数は未だに2年のままである。徴兵制度を6ヶ月に短縮し、1ヶ月の給料を国で定められている最低賃金の50%を保証という点では、今だ9ヶ月のままであるうえ、1月1500ペセタしかもらっていない。電気料金の値下げに関しては、電力会社の自由化をしたものの大手の寡占状態が続いており、大口消費者への恩恵はあるものの個人消費者への還元は出来ていない。テロリストに対する仮出所制度を適用しないという点についてもテロリストに有利な法の運用がなされている。

イベリアの社長、空の混乱の責任は政府にありと発言

昨日、イベリア航空の社長、シャビエル・デ・イララはスペイン国内、ヨーロッパ内の空の混乱は管理、運営を出来ていない各国政府にあると指摘した。同社長はアメリカの航空状況を引き合いに出し、航空量とスペースの問題ではなく、管理の問題であること、具体的にはヨーロッパの国境がなくなった現在でも、各国が別々の国内システム、言語、オペレーションシステムを使っていることに問題があるのだと強調。ヨーッロパ内の統一したコントロールシステムを導入するよう政府に要求した。
また、現在民営化の最終段階に位置し、春頃には株式市場に上場予定のイベリア航空株はイベリアの従業員が株式取得の権利を有するとし、今までの持ち株と合わせると約20%に達することを発表。

“チンチョンの伯爵夫人”プラド美術館で本日より一般公開

昨日、プラド美術館において1800年にゴヤの描いた“チンチョンの伯爵夫人”が展示され、本日より一般公開が始まる。今のところ1階のベラスケスの絵の正面にガラスのプロテクションなしに展示されているが、そのうちに3階のゴヤの間に移されるもよう。
この“チンチョンの伯爵夫人”は肖像画のモデルの末裔に当たるルスポリ家が所有していたが、先月、国家が40億ペセタの値で入手したもの。保存状態が大変良く、ほとんど修復がされておらずオリジナルに近い。
展示する前にX線写真でみたところ、肖像画の下に他の2人の男性の肖像画が描かれていたことが判明しているが、その人物が誰であるかはわかっていない。


2月21日(月)

総選挙を前に労働省大臣の辞任、PSOEが原因究明を求める

先週土曜日、労働省のマヌエル・ピメンテル大臣が突然の辞任を発表したことについて各方面での波紋が広がっている。
移民局局長フアン・アイカールの妻の関係する会社がINEM(職業安定所)より20億ペセタにのぼる補助金を受けていたという事実の発覚が、辞任の引き金となっているが、以前から取り沙汰されていた新移民法に対する党内での意見の食い違いも遠因となっているとみられる。
この辞任に対して、PSOEのアルムニア幹事長は労働省ぐるみでの不正があったのではないかとアスナル首相に対し、原因の究明を求めている。
ピメンテル大臣の後任には現在まで社会保険庁の政務次官を務めていたフアン・カルロス・アパリシオ氏が任命された。

スペイン人が税金のために働く日数は179日

ヨーロッパ経営者団体UNICEの報告書によると、スペイン人は179日を税金を納めるために働いている。ヨーロッパ平均は208日、アメリカが138日、日本が146日である。世界の主要国の中ではスイスが125日と低く、一番税金に縛られている国は241日のベルギーという結果が出ている。
契約形態の柔軟性においてはアメリカを100とした場合EU平均が64、日本が58であることに比べ、スペインは140と圧倒的に数値が高い。この柔軟な雇用形態は会社が経費を削減できるという利点があり、ヨーロッパよりもアメリカで圧倒的に採用されている形態である。ヨーロッパでは被雇用者の終身雇用にかかる経費は多く、労働規約も大変厳しいが、スペインでは他のヨーロッパ諸国のような条件がない分このような契約形態を生み出したと言える。
UNICEはここ数年のヨーロッパの状況を分析し、アメリカでは生活のレベルが50%も上昇したにもかかわらず、失業数は減少していることを指摘し、政治家たちは企業の発展のために適切な枠組みを創設していくべきだとしている。

スペインの空港の未来

スペイン国内の主要空港は現在厳しい状況に追いこまれている。空の交通の自由化、乗客の増大は、慢性的な遅延を招いている。マドリード・バラハス空港、バルセロナ・プラッツ空港では空港拡大の必要性を主張しているが、近隣住民、エコロジスト、地方政府との折り合いがつかず、計画は宙に浮いたままの状況にある。
マドリードでは近隣の住民が新しい滑走路の設置に反対をとなえてのデモをし全国管区裁判所への上訴を用意しており、バルセロナでは新滑走路の一部が鳥類特別保護区にかかるためにブリュッセルからの返事待ちの状態である。
さらに、折りから空港内でも管制塔員の不足が取り沙汰されており、1998年に向こう4年間で741人の新規管制塔員を採用すると労働団体との契約を交わしたが、年間8%の伸びを見せているスペインの空の交通状況に追いついていない。
10年後のバルセロナ−マドリード間の新幹線導入計画も年間100万人の乗客減に繋がると見られるがそれでも大した状況改善にはならないであろうという見方が大半である。


2月18日(金)

キリスト教教会、投票に値する政党はひとつもないと発言

昨日、スペイン司教会のスポークスマン、フアン・ホセ・アセンホは3月12日の総選挙で、投票に値する政党は一つもないことを発表。司教会は、堕胎を合法とする政党はキリスト教の教義と相反すると説明し、PSOE、IUさらに以前は堕胎反対を唱えていたが現在では方向転換をしてしまったPPなどの政党を支持することはできないと表明。さらに、暴力やテロを擁護するような団体も支持に値しないと付け加えた。
但し、投票することは道徳上の義務であるからして、悪い中からも一番ましな政党を選ぶしかないとコメント。

エル・エヒドの市長、移民の仮設住宅建設に同意

アルメリアのエル・エヒドで起こった移民襲撃事件で家を失った移民たちに赤十字が仮設テントや生活物資を供給しようとしていたことに反対を唱えていたエル・エヒドの市長とスペイン政府、アンダルシア自治政府が同意に至り、早ければ今日からも仮設住宅の建設を始める。
市長は常に移民達の居場所をできるだけ村から離れた場所にと主張しつづけてきたが、今回移民達に供給される仮設住宅は村から離れた移民の作業場−温室−のそばに建てられることが決まったため、村としては満足のいく結果となった。しかし、労働団体や人権擁護団体は移民がスペイン社会の一員となることを意図しているため、この解決策は暫定的なものとみられる。

マドリードで消防隊員のデモ、警官隊と衝突

昨日、200人にあまりの消防隊員がマドリード市内で抗議行動を起こし、市内の主要な道路を一時的に遮断するという行為にでた。
この抗議行動はマドリード自治体が本来消防隊員で組織されていたSERCAM(マドリード緊急サービス)の管轄を環境庁から厚生省に移し、医療チームが救急のサービスを行うとする決定に端を発している。消防隊員はSERCAMの切り離しに関して、今までこのサービスに対応する為それ相応の講習を受けてきており、この活動を遂行していくのに十分な体制が整っているとしている。
さらに、隊員たちはこの切り離しの陰にはSERCAMを民営化してしまおうとするガジャルドン知事の意図が隠されているのではないかとの疑いをも抱いている。
デモ隊はPPの党事務所前で警官隊と衝突、これによって警察官14人、消防隊員3人が軽傷を負った。


2月17日(木)

PP、ついに選挙綱領発表

昨日、PPは215ページにわたる選挙綱領を発表した。あいまいな部分を多く残したこの選挙綱領はアスナル首相が各地で遊説を行う際に明らかにするという、劇的な効果を狙うPPの戦術であることもつけくわえられた。
PPの選挙綱領の軸になるものは次の通り。中小企業への援助策−新しく創設された中小企業には創設当初2年間は税金支払いに猶予を与える。地方自治体への部分的に間接税委譲−これに関しては各政党と各地方自治体との話し合いが必要。女性の社会参加援助−女性と女性の雇用者に対し、2年間の社会保険料免除、3歳までの保育園入園を保証。若年層の雇用問題−6ヶ月以上失業状態でいないよう新しい機会を与える。公衆衛生−病院での個人部屋の増設。麻薬対策等。

バラハス空港で“エクスタシー”の運び屋逮捕

今週火曜日マドリード・バラハス空港内で男女4人のアルゼンチン人が“エクスタシー”12万錠を所持しているのが空港警察によって発見され、身柄を拘束された。
アメリカ・フィラデルフィア行きの飛行機に搭乗するはずであったこの2組のカップルは伸縮性のベルトを2重にしたり、肩パッドやすね当てに薬の袋を分けて所持していたが、薬の重さで歩き方がぎこちなくなっていたところを警察に見咎められ、薬の所持を認めたもの。この“エクスタシー”の総量は28.3キロでスペイン国内で摘発された量としては1993年にアルバセテで摘発されたのに次いで2番目に多い。
この“エクスタシー”はスペインに流入してくるほとんどのこの種の薬と同様にオランダで製造されたものとみられ、警察当局では逮捕した4人から詳しく事情を聞き、薬の販売網の解明を急いでいる。

マドリードの飲食店協会、ウエルタス地区の深夜営業短縮措置に反対

マドリードの中心地、ウエルタス地区にある150ものクラブ、パブが集まり、市から深夜営業の時間短縮を迫られていることに対し反対運動を起こすことにきまった。
この反対運動は市役所がウエルタス地区の深夜営業短縮措置を決定した場合法律に反して6時まで営業を続けるというもの。
この地区の騒音は夜中の2時、3時でも80デシベル(65デシベルを超えると身体的、精神的な障害を引き起こすという)を超えており、近所の住民からの苦情が後を絶たない。
さらに、生演奏を供するこの地区の象徴ともいえるクラブが、カフェのライセンスのみで営業していた為、市役所から営業形態の変更を求められたことも反対運動に拍車をかけてしまった。このクラブが4日の期限をもって変更しない場合は閉鎖するとの市の通告には協会がこぞって反対をとなえており、営業ライセンスの変更を認めない市役所の非を責めている状態である。


2月16日(水)

TVEのPPよりのニュース放送に対して全政党結束して苦情提出

PSOEを筆頭にIU、その他民族主義政党は、TVE(スペイン国営放送)がPPに有利なニュース放送をしているとして中央選挙管理委員会に苦情を提出した。
選挙委員会規約や憲法で定められているようにスペインでは公営放送は各政党を公平かつ客観的に報道しなくてはならににもかかわらず、TVEは繰り返しその規約を無視し、中立性を保っていないとしている。これらの政党は連名にて中央選挙管理委員会このようなPPよりの放送に対し、何らかの措置を取るよう要求した。
TVEはこの苦情に対し、同局の放送予定であったコメディードラマにPPの文部省大臣が出演していたため急遽番組を差替える措置を取った。

エル・エヒドの市長、移民用キャンプ設営拒否の姿勢崩さず

先週起こったアルメリアのエル・エヒドでの北アフリカ系移民襲撃事件で被害にあった移民のためのキャンプ設営に対して、エル・エヒドの市長は住民8500人余りの署名とともに拒否しつづけている。
そのため、マドリードの赤十字より既に送られたテントや毛布、寝袋等生活に最低限必要な物資はアルメリアの倉庫で止まったままになっている。
市長は「住民はエル・エヒドがセウタやメリージャのような移民のゲットーになって欲しくない。」と話し、一時的にテントを張ったところで根本的な解決にはならないことを拒否の理由としている。
アルメリアの雇用者協会はこの襲撃によって住む場所を追われた移民達に一時的な居住の土地を確保しているが、この先如何すればよいかについて頭を悩ませている。
また、人種差別SOSの弁護士は外国人差別、排斥の襲撃に対して警察当局が積極的な行動を取らなかった責任として内務省のマジョール大臣の退任を要求している。

アラゴン地方、過疎化に歯止めをかけるための計画の中心は移民の定住

過疎化が進んでいるアラゴン地方では昨日自治体の現状を分析し、歯止めをかけるための対策を承認した。
アラゴン地方には730の市町村があるが、1991年の段階で77の市町村で65歳以上の人口が40%を超えており、2001年には422の市町村に広がると見られている。また、地方全体の人口が2005年には3.4%減少すると予想され、特に若年層で顕著にみられ、25歳人口は1981年と比べ2005年には175000人減の分析結果が出ている。
自治体の承認した対策のうち家族援助に関して、スペイン、ヨーロッパの現状をみれば、援助をしても女性が子供を産むだけに専念するとは考えられず、人口減少の歯止めにはならないと疑問の声が上がっている。
自治体の中で人口を増やせないのであるなら外からの流入に期待をかける他なく、そのために移民の定住を促進し、経済、社会、文化の担い手となるような方法を探す必要があるとしている。しかし、昨年度に政府の認めた移民への労働、居住許可書の割り当てはあまりにも少ないと労働者団体やNGOから厳しく批判されていた。


2月15日(火)

BBVA株、テレフォニカとの提携発表後、急上昇

先週金曜日にビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)とテレフォニカが提携を発表したが、それにより、週明け月曜日の株式市場ではBBVA株に買いが殺到し、約15分間取引が中止された。通常は変動幅は15%までと設定されているが、25%まで上げざるを得ない状況となった。
一時は20.11%の上昇、16.84ユーロの値がついたが、その後、少し落着き、終値は15.65ユーロで引けた。BBVA株の取引だけで2300億ペセタ以上が動き、市場の50%以上を占めた。
この株価の上昇により、BBVAはの先週金曜日より7950億ペセタも価値が上がったことになる。
これに対して、テレフォニカ株は1.35%の下げをみせた。

PSOE、PP時代に民営化された大企業に税金をかけることを検討〜総選挙に向けて

社会主義政党PSOEはアスナル首相率いるPP政府が民営化した大企業が民営化によって得た莫大な利益に対し、特別な税金をかけることを検討することを発表した。 PSOEはPPに対し、民営化という名目の下、アスナル首相の取り巻きを企業のトップに据え、権力と富の集中を図っていると糾弾。
アルムニアPSOE幹事長はこの特別税によって得た収入を本来国民が手にするべき利益として還元すること、特に若年層の雇用に力を注ぐつもりであることを示した。

イタリアの南で海難事故、スペイン人3人死亡、10人が行方不明

日曜日の真夜中に4300トンのポルトガル船籍“ザフィール”がイタリアの南沖でイタリアの船と衝突、沈没し、乗組員14人のうち3人が死亡、10人が行方不明となった。1人は、通りかかったロシア船に救助された。
イタリア船の船長によると当初は1850メートルの距離を保って並行に走っていたが突如“ザフィール”が方向を変え衝突してきたという。イタリア船は“ザフィール”の4倍の大きさがあり、衝突事故が起こった直後に救命ボートを下ろそうとしたが、同時に自らの船の損傷部分から海水が流入してきた為、急いで近くの港に向かったと言う。こちらの乗組員20人は軽傷で済んだ。
事故原因は不明だが、ポルトガル当局は“ザフィール”が安全基準を守っていたかどうかについての捜査をすすめると発表した。


2月14日(月)

PP、選挙綱領の一部を発表

3月14日に行なわれる総選挙に向け、昨日PPは選挙綱領の一部を発表した。
現在の時点では税制に関する部分で、地方自治体に大きく権限を譲渡し、部分的に間接税を地方自治体の財源とすることが目新しい点である。間接税の範囲は付加価値税(VAT)、タバコ、アルコール類、車両登録等。この地方自治体への譲歩はPPが絶対多数を獲得できない場合ジョルディ・プジョール率いるCIU(カタルーニャ連合)との連立が必要とされ、その連立の条件としてCIUからから求められていたもの。但し、CIUから要求されていたもう1点の税務権限を地方自治体に移すという点に関しては、はっきりと拒絶の態度を示した。
その他の点はまだあいまいなままで、どの程度の減税をするのか、どのように外国人法を改正するのか、人権法をどのように適用するのかなど、はっきりさせなければならない点は多い。

エル・エヒドの移民、ストライキを一時停止

エル・エヒドで先週より北アフリカ系移民襲撃に反対してモロッコ人労働者がストライキを続けていたが、昨日労働者と雇用者の同意をみたことで、一時的にストライキの停止をし、本日より襲撃事件前の労働に戻る予定。
労働団体や人権擁護団体の後ろ盾を得ているモロッコ人労働者たちはアンダルシア自治政府に彼らの要求を提出、州政府はその要求を受理した後、実行されることを約束。これに反して、エル・エヒドの市長は移民達の強要に同意した憶えもないし、受けた憶えもないとの理由から移民のための新しい住居を建設する為の土地を提供することを拒否した。 モロッコ人移民グループは要求した点を今月25日までに解決できない場合には再度ストライキを決行する予定であることを強調している。

公立老人ホーム入居待ちは8万人以上

スペインの65歳以上の人口は約650万人に達しているが、大部分は一人住まいもしくは老夫婦2人で住んでいる。65歳以上の公立老人ホーム入居希望者の3人に2人しか入居することができないといわれる。社会保険庁では入居待ちの正確な人数を把握していないが、入居待ちの人の半分は特別な医療を必要としているとする。
公立老人ホームでの1ヶ月にかかる費用の平均は約11万ペセタ、これが私立ともなると約15万ペセタとなる。
最近の報告によるとスペインの老人医療のためのベッド数は100人に3人の割合でしかなくヨーロッパ平均の5床、理想とされている8床に及ばない。 また、家から離れたくない人のためのデイ・ケア・サービスやヘルパー派遣のシステムも広がってきているが、やはりこちらも順番待ちの状況である。


2月11日(金)

BSCH、アルゼンチンのリオ・デ・ラ・プラタ銀行の株式取得に動く

昨日、サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行(BSCH)はアルゼンチン第2位のリオ・デ・ラ・プラタ銀行の株式28.1%の取得申しこみをしたことを発表。この株式取得のために7億5千万ドルの増資が必要とされる。増資の手続き終了後、BSCHはリオ・デ・ラ・プラタ銀行の株主に同銀行株7に対し、BSCH株5の割合での交換を提案する予定。
この株式取得によってBSCHはラテンアメリカでの基盤を固めていく方向でいる。BSCHグループでは昨年度の収益の約35%にあたる970億ペセタをラテンアメリカ諸国で稼ぎ出している。
この株式取得手続きの発表がなされた直後、マドリード・ラテンアメリカ・マーケットで11%の上昇をみせたのをはじめとして、ブエノス・アイレス株式市場でも終値が5%を超える伸びをみせた。

モロッコ政府、エル・エヒドの人種差別に対し抗議の意を表明

昨日、モロッコ政府はスペイン政府に向け、アルメリアのエル・エヒドで先週から起こっている北アフリカ系移民(特にモロッコ人)に向けた人種差別攻撃に関して、どんな場合においても許せざる行為であると抗議の意を表し、これからもエル・エヒドでの情勢を追いつづけることを強調した。また、両国の友好条約の実行を求めた。
昨日までの北アフリカ系移民による被害届は既に200を超え被害金額は少なくとも5億ペセタはくだらないとみている。また、モロッコ人労働者達のストライキは続いており、仕事を再開するためには加害者への制裁、賠償金の支払い、逮捕された同胞の釈放が必要としている。さらにスペイン当局の公式謝罪、不法移民の合法化手続きも求めている。

マドリード地方政府、アルコールの販売禁止年齢を16歳から18歳に引き上げ

スペインの主な地方自治体ではアルコール類を18歳未満の少年達への販売禁止政策を取っているが、マドリードでも近々販売禁止年齢を16歳から18歳に引き上げることになるもよう。
マドリード議会では1997年に少年保護団体からアルコール類の販売禁止年齢を引き上げるよう求められた際に全会一致で要求を退けた経験がある。その時点では16歳という年齢はアルコール類を買うのに十分な年齢であるとの判断であった。
この年齢引き上げ策に関して、現在16歳以上であればディスコやクラブなどアルコールを提供する場に自由に出入りできることから、実質的にアルコール類の販売をコントロールをすることができないため、非常に適用の難しい政策であると各方面の意見は一致している。


2月10日(木)

エル・エヒドの移民襲撃鎮火するが、新たな問題に発展

先週の土曜日に始まった北アフリカ系移民への地元住民の襲撃は(2月8、9日のトップニュースの項参照)昨日の段階でほぼ鎮火した。ただ、警察当局はまだ警戒を解いておらず、バイクやヘリコプターでのパトロールを続けている。
この襲撃に抗議して、農業に従事していたモロッコ人1万人あまりが昨日からストライキを始めた。この地方では現実問題として農業を成り立たせて行くには移民の手なしには考えられない状態である。そのため、収穫時期の真っ只中にある現在、人手不足は深刻な問題となり、モロッコ人に代わる人手を東ヨーロッパからの移民特にルーマニア人で補う策をとった。
この対策は北アフリカからの移民の仕事を奪うことにもなりかねず、移民同士の対立に発展して行くことが危惧されている。

スペインの高校生、大学入学選抜試験の改革に反対してデモ

昨日、各地方の高校生が一斉に文部省に対し、大学入学選抜試験の改革に抗議し、デモを行った。この抗議集会は、学生連盟(SE)が労働総協議会(CCOO)と労働総同盟(UGT)の教育部門の後押しを受けて各地方の高校生に呼びかけたもの。PSOEやIUも学生達の行動に共感を示している。
SEの会長はもし文部省がこの改革の政令を取り下げないのなら3月にも同様の行動を起こすことを発表。
2000人が文部省の前に集合したマドリードでは抗議文が読み上げられ、解散となったところで一部の学生が暴走、警官隊と小競り合いになり、11人が逮捕され、9人が怪我をした。
各地方自治体でもこの改革による混乱が避けられないでいるが、その中でもカタルーニャのジェネラリターのジョルディ・プジョール氏はこの改革を不服として憲法裁判所に訴えることを決めた。

第19回国際現代美術展「アルコ」、マドリードで開催

昨日、第19回国際現代美術展「アルコ」がフアン・カルロス国王が出席し、始まった。
28カ国から157、スペインから101のギャラリーに2500人の芸術家が出品している。今回の展示品は大型の物や写真を使ったものが20世紀の前衛主義的な作品と並んで多い。美術の市場でもインターネットによる売却が浸透してきており、バーチャルギャラリーをも考えられいる。
この中で売却リストの中に1947年のピカソの作品が含まれており、4億9700万ペセタの値がついているのが目玉となっている。


2月9日(水)

ETAの元“ナンバーワン”、フランスよりスペインに引き渡される

昨日、ETAの軍事担当の元“ナンバーワン”で1992年にフランス警察により逮捕され、同国内で刑に服していたフランシスコ・ムヒカ・ガルメンディア・“パキート”がフランスよりスペインに引き渡された。1997年にフランスの裁判所により10年の刑が言い渡されており、1992年からの拘留期間を含め8年弱の刑期を務めた。スペイン側に引き渡された後、マドリードの刑務所に収監されたが、これから全国管区裁判所での26の犯罪についての裁判が待っている。
“パキート”は1970年よりETAに加入。その後、めきめきと頭角をあらわし、1985年にはETAの軍事部門の移動部隊の責任を一手に引き受ける地位につきフランスに潜入、次々とテロ行為を画策、ETAの中でも最も血なまぐさい部門となる。その後、ETAの全権を掌握するまでに至る。
1990年に移動部隊のリーダーであったパロットの逮捕により、パキートが部隊を操っていたという証言を得られた。

テレフォニカの子会社「テレフォニカ不動産」株式上場に向けて準備をすすめる

テレフォニカの子会社で1998年に創設された「テレフォニカ不動産」が株式上場に向けて準備をはじめている。この子会社設立当時は5億ペセタの資本金であったが、徐々に増資をし、現在の所、16億7千万ペセタとなっている。しかし、資産は1050億ペセタを超えており、そのうちの800億ペセタがテレフォニカグループの所有する土地の価値とみられている。
テレフォニカグループのビジャロンガ会長は設立当初はこの不動産会社は土地建物を売却する為の会社として利用することを考えていたようだが、スペイン全土にあるテレフォニカグループの所有する不動産の分類に時間がかかってしまった。検討を重ねた結果7000にのぼる建物を売却することは様々な理由から不可能であるとの結論に落ち着き、建物自体の価値を評価し、株式を上場することを決定した。上場の時期は今のところ未定。

13歳の少女の落ち着き先はどこへ?〜裁判所の決定に村民全員が抗議のデモ

マリア・アンヘレス(13歳)はグラナダ県ベナマウレルで3年前から養子先の両親のもとで暮している。
アンダルシア州が彼女の最初の養子先の親から子供を虐待したという理由で親権を剥奪した後、いくつかの孤児院を転々とし、現在の養親のもとにやってきた。ところが、最初の養親がマリア・アンヘレスを自分達のもとに戻すようにとの裁判をおこし、セビージャ管区裁判所はその訴えを認めてしまった。 マリア・アンヘレスは自分を虐待した元の養親のもとにもどりたくないという希望を裁判官が聞いてくれなかったということを訴えており、その心情をくんだ村民2500人さらにとなり村の有志1000人が参加したデモとなった。
この村では木曜日にもこの少女を支えるためのデモを計画している。


2月8日(火)

エル・エヒドでの移民襲撃おさまらず

土曜日から始まったアルメリア県エル・エヒドでの北アフリカ系住民への襲撃は昨日もとどまることを知らず、暴走しつづけている。(昨日のトップニュースの項参照)放火、破壊行為、道路封鎖、警察の介入阻止といった行為は一般商店の休業、学校の臨時休校にまで発展した。
多くの移民達はこの襲撃を恐れ、警察の庇護を求めたり、山に逃げ込んだため食料の調達ができず赤十字の出動を招いてしまった。
このような事態の中で警察が昨日まで逮捕者を出さなかったことで各方面の連合や社会組織、政党から政府に対し手厳しい批判が出ている。
この襲撃の引きがねとなった土曜日の殺人事件の犯人は22歳のモロッコ人で既に警察によって逮捕されているが、以前より精神状態が不安定で犯行前にも精神病院での治療を受けており同朋の仲間達によって本国送還の手続きが取られている最中であった。

マドリード市長、私用の旅行を公費でまかなったことが発覚

マドリードのアルバレス・マンサノ市長が公金を使って私用の旅行をしたのではないかという野党の追及に対し、(2月2日付トップニュースの項参照)昨日、同市長はマジョルカとセビージャ行きの旅費215000ペセタを返金することを決めた。
この公金を流用した疑惑に関して、パルマ・デ・マジョルカの市長はマドリード市長夫妻のマジョルカ滞在が私用であったことを説明し、夫妻の姪の結婚式に出席するためのものであったことを明かしている。
野党勢力はこの市長の行動にからんで、1991年から1998年までの公金使用に対する証明書を全て提出するよう求めているが拒否されている。大蔵省の議員ブヒド氏はこの件についての報告書が出来あがるまでは全ての経費に関する領収書を披露することはできないことを強調した。

堕胎用ピル、導入される

昨日、公式に堕胎用のピルが導入された。しかし、ある研究所の販売窓口によるとどこの病院にも配布されていないと言う。
この堕胎用ピル、RU−486は妊娠7週目までの堕胎に関しては97%の効果が得られるという。スペインで堕胎の許可されている理由としては、暴行による妊娠、胎児の育成不良、そして妊娠中絶者の98%にあたる母親の肉体もしくは精神疾患により健康を害する恐れのある場合となっている。
このピルの利用によって年間5万人ともいわれる人口中絶者には朗報ともいえるこのピルは病院での検査を受けた後、3錠飲んだ後36時間から48時間後にもう一度別の薬を飲むことで完了する。
製薬会社は各地方自治体の公立病院よりピルの注文を受けているが自治体の内部手続きの遅れにより薬品の到着にはばらつきが出ているようだ。


2月7日(月)

テレフォニカとレテビシオンの争い、裁判にもちこまれる

テレフォニカとレテビシオンの電信電話市場における争いはついに裁判にもちこまれることとなった。 レテビシオンの訴えではテレフォニカが打ち出した“プラネス・クラロス”は市場に混乱を招き、消費者がレテビシオンの料金表の利点をきちんと判断できなくさせるものとされている。これによって受けた経済的損害については現在裁判所で調査を行っている。レテビシオンの社長ペドロ・デ・トーレスは、同社は市場の19%を握っているが、もし、テレフォニカがこのような競争を阻害するような戦略をとらなければ、もっと割合はもっと伸びていたであろうと語っている。
これに対し、テレフォニカ側も同社が登録した“RDSI”という略号をレテビシオンが不法に無断で 使用したことに対する仮処分の訴えをしていたが裁判所から退けられている。さらに1999年には支配者的地位の乱用によって13億3千万ペセタの罰金を申し渡されている。

エル・エヒド(アルメリア)の住人、移民達を襲撃

土曜日の夕方から始まった移民への襲撃は日曜日の夜、小康状態に落ち着いている。この襲撃はアルメリア県のエル・エヒドで土曜日の朝、26歳になる同村の女性が北アフリカ系の移民に刺殺されたことがきっかけとなって始まった。
人口5万人余りのうち30%が移民で占められているこの村は、以前より幾度となく住人から移民による強盗事件の被害届が警察に提出されていた。これに対し、移民側も度重なる住民の暴行行為による被害が続出していると警察に訴えていた。この両者の対立は2週間前に移民によって2人の農民が首をはねられ殺されたことで深まり、さらに土曜日の事件で住民の堪忍袋の尾が切れてしまったようだ。 住民は移民達の住む部落や経営する商店、バルなどを打ち壊したり火を放っており壊滅状態にしている。
この襲撃に対し、内務省のオレハ大臣は住民に冷静になることを求め、殺人者には法の裁きが下ることを約束した。

精神錯乱者、4人を殺害

昨日早朝、バレンシアで62歳になる精神錯乱者が自宅のガスを爆発させ、警察官2人、消防署員1人、隣人1人をイノシシ狩用の散弾銃で殺害するという凄惨な事件がおこった。
ガス爆発の音を聞いた近所の人の警察への通報によりパトロール中の警察官が現場に急行し、建物から火が出ていたため消防署に連絡した直後、建物内部に潜んでいた男に頭を打ち抜かれた。もう1人の警察官は爆発物の破片が直撃したものと思い、男の存在に気づかなかった。その後、かけつけた消防署員が建物内部で倒れていた老女を発見、消火活動を終えた後、ガラクタを運び出している最中に背中から散弾を受け死亡。その時点で男の存在に気付き、警察の特別部隊を要請。銃撃戦となり、部隊長が撃たれ即死。ガス爆発が起こって3時間後、屋根を伝って逃げようとした男を狙撃し、この事件に終止符をうった。男は病院に運ばれたが死亡。
近所の人によれば、近所の人と話すことはまれで、話せば、常に警察や裁判官や医者達につきまとわれている、そのうちに彼を殺しに来ると話していたといい、誰も相手にしていなかったようだ。


2月4日(金)

セビージャの家具店、床がぬけて185人がけが

昨日、午前中セビージャ県のドス・エルマノスの家具店で開店直後に1階の床が落ち、185人が怪我をするという災害が起こった。
この日、この家具店の100周年記念の大バーゲンの初日で、32000ペセタから3000ペセタに値下げした目玉商品である46の安楽椅子に大勢の人達が殺到した。
災害の起こった場所は幅7メートル、長さ15メートルの廊下で1ヶ所に予想以上の重量が集中した為に床がぬけてしまったものとみられている。床は鉄骨コンクリートでできていた。
怪我をした185人は4.5メートル下の半地下に落とされた形となり、そのうち38人は重傷、もしくは重態でセビージャ市内の6つの病院で手当てを受けている。
アンダルシア州ではこの災害の詳しい原因について早速調査を始めるもよう。

テラの最高幹部、ペレア氏からリナレス氏ヘ

テレフォニカのビジャロンガ会長はテレフォニカの子会社のインターネット事業会社テラの最高責任者にビジャロンガ氏の右腕であったフアン・ペレア氏から、TPI(電話帳のイエローページ)の役員であったアベル・リナレス氏に変更する旨の決定した。
ペレア氏はビジャロンガ氏の肝いりでテレフォニカに入社後、テレフォニカ・インターナショナルに移動。大した功績を上げられないまま、テラのもとにあたるテラ・ネットワークスで再起をかけ、株式市場で奇跡的な大躍進を遂げる。しかしながら、この成功により、ビジャロンガ氏の承諾を取り付けないまま強攻策をおしすすめたため、同氏の不興をかってしまったようだ。
また、ストックオプション問題にも批判的であったペレア氏は自ら退陣の道を選ぶことになった。

マドリード市長、不明瞭な公金使用

マドリードの市長のアルバレス・マンサノは野党PSOEより公金の不明瞭な使用について説明を求められている。
マドリード市長は市長の裁量によって自由につかえる口座を持っており、年間710万ペセタと決められている。この口座より、彼の妻の4度にわたる旅行費用や多くの宗教団体への寄付金、さらに交通違反の罰金までもが支払われていることが判明している。旅行費用に関しては公式行事への夫婦同伴での参加の場合は認められるわけだが、PSOEの追及によれば、旅行をしている時期にはその地での公式行事があったという記録はないという。
マドリード県の他の市長たちからも、マドリード市の市長裁量の公金使用の不明瞭さについては批判が出ており、証明書のない支払いについては個人のポケットより返金するべきだとの声が挙がっている。


2月3日(木)

ETAの幹部、フランスで逮捕される

昨日、フランス警察は、フランスのタルノにてETAの幹部で“コマンド・ビスカヤ”の元リーダー、フアン・カルロス・イグレシアス・“ガダフィ”(36歳)を逮捕した。また、ガダフィと一緒にいたETAのメンバー、コンセプシオン・イグレシアスも同時に警察に連行された。
ガダフィはフランスの裁判所から被疑者不在のまま6年の刑を宣告されており、スペインの全国管区裁判所からは少なくとも15件以上の殺人容疑で指名手配をされていた。 コンセプシオンは1995年にマジョルカにて現スペイン国王を暗殺しようとしたグループの1人と考えられていた。
このフランス当局の逮捕に関して、内務省のオレハ大臣はスペインとフランスの協力の成果であると強調。また、来週アスナル首相がパリを訪れ、シラク大統領との会談でもこの両国の協力体制に関する話題が中心となるもよう。

1999年のスペインの経済成長は3.7%

スペイン銀行の見解では、1999年のスペインの経済成長率は1998年より0.3%下がり、3.7%となり、スペイン政府が最終的に予想していた数値と一致した。
また、雇用も1998年に比べわずかながら上向き、3.3%の伸びを見せた。
経済成長の主や要因は利率の低さが影響しての消費がのびたこと、税制の改正などがあげられる。
EU全体の成長率平均は2.5%で、スペインよりも低いが前年が2.0%であったことを考えるとEU各国の経済回復がスペインよりも早いことを示している。
EUの中でスペイン製品を最も多く輸入している国がフランスとドイツであることも発表された。

建設現場での事故死者数が急増〜マドリード

最近7年間で建設現場での事故による死者数が急増している。マドリードの地方に限ってみても昨年1年間に18859件の事故があり、85人の犠牲者がでている。この問題に抗議するため、労働総協議会(CCOO)と労働総同盟(UGT)は全国14万人の労働者に呼びかけ、24、25日にストライキを敢行する予定でいる。
CCOOとUGTによればこのような災害が起きる元となっているのは日常的な事故を避けるような適切な対策を建設会社がとっていないことを挙げている。さらに建設現場での分業化が進み、下請け会社に仕事をまわすことで経費を節減し、また利益を追求するあまりに就業時間以上の労働を求めるなど労働者を過酷な状況に追いこんでいるとしている。


2月2日(水)

PSOEとIU、上院への立候補者リストを共同で提出することに同意

3月14日の総選挙に向けて、PP打破のためのPSOEとIUの共同戦線においてなかなか同意がみられなかったのであるが、昨日、上院への立候補者リストを共同で提出することに関しての同意をみた。この同意では、30の選挙区の3つの議席に対し、PSOEは1席をあきらめIUへ譲り、IUは2席をあきらめPSOEに譲り票の集中をはかることを意図している。さらにホアキン・アルムニアPSOE幹事長を次期首相候補として擁立する可能性をも含んでいる。
しかしながら、最終的にPSOEがIUに要求していた下院への8県からの立候補者のリストの取り下げは拒否された。
また、政策については両党でまだまだつめるところが残っており引き続き話合いを続けていくもよう。

新外国人法施行、初日は予想通りの大混乱

昨日は新外国人法の施行初日であったが各地の警察移民局で大混乱を招いた。長蛇の列を作る外国人同士、外国人と警察官の小競り合いが発展して、怪我人も出ている。
混乱は月曜日の午後から始まっている。新外国人法で合法化手続きにすすむためには1月の31日までに申請書を提出しておかなければならず、移民局が閉まった後にも列をなしていた。
さらに、この合法化手続きの開始日は2月22日に始まる。
このような大混乱にいたったのは全くの情報不足、明白な指示の欠如が原因であり、各方面の人権擁護団体、労働組合連合等から非難を浴びている。
労働省のピメンテル大臣はこの手続き期間が2ヶ月間であることが短いことを認めており、人権団体から提出されていた要請−3ヶ月から6ヶ月程度まで延長すること、また昨日のような大混乱を招かないような対策を講じること−についてもっともであると表明している。

ガリシア地方で最新の病院の現状

昨年夏に開業した“北部スペイン最新”の公立病院、サンティアゴ・デ・コンポステーラ病院。140億ペセタの総工費をかけて作ったこの病院のベッド数は755。
この病院では毎年お決まりの冬の病気、風邪や呼吸器系の症状で苦しむ人達が救急外来にやってきても何日も待たされているような状態が続いている。病室の不足により、3人部屋に4人の入院患者をいれたり、部屋の不足で廊下にストレッチャーにのせられたまま、車椅子のまま放って置かれたりしている。場所によってはストレッチャーが2列になっているところもある。
病人の家族からの不平不満は限度に達しているほか、医者自身からも患者の家族に対しこの状況をマスコミに訴えて現状を伝えて欲しいと言われているというはなしも伝わってきている。
なかには脳溢血をおこした女性や早急に足を切断しなければならに95歳の女性、肺炎にかかったまま日曜日から放置されている人など相当切迫した状態にあることは間違いなさそうである。
この状況に対して同病院長は、毎年冬の時期にはどこの病院でもこのような状態であり、3月まではつづくであろうという説明をしている。


2月1日(火)

BSCHがソシエテ・ジェネラルと協定締結

サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行(BSCH)とフランスのソシエテ・ジェネラルグループがヨーロッパ初の協定を締結するに至った。BSCHは現在同グループの株式を5.5%持っているが、さらにこの割合を7%まで引き上げ、同グループ一の株主となった。また、同グループもBSCHのの株式を所持するという合意に至り、これによって動く金額は13億ユーロとみられている。
この協定以外にもBSCHはスコットランド・ロイヤル銀行に5億ポンドの援助をする用意があることを発表。同銀行はナットウェストを配下におさめるためにスコットランド銀行としのぎを削っており、ナットウェストに新しく提示した金額をこの援助によって埋めることになるもよう。
BSCHはヨーロッパでの戦略を伸ばす為、ドイツ、イタリア、ポルトガルの銀行ともソシエテ・ジェネラルグループと同様の協定を締結する方向で動いており、さらにラテンアメリカ諸国ではブラジル、チリに重点をおく予定でいる。

不法移民の合法化手続きの期間を延長するよう、ONGが政府に要請

本日2月1日より新外国人法が施行されるが、この新法により恩恵を受けるであろう7万から8万人の不法移民の合法化手続きの期間が2ヶ月とされていることに関して、ONGを初めとして様々な機関から不充分であるとの声があがっている。
移民局では通常でも申請書の書類を処理する人手が少なく移民の列があふれており、さらにこの合法化手続きによってそれ以上の人であふれかえるのは目に見えているとの批判が出ている。
これらの団体からはこの手続き期間を2ヶ月から4ヶ月もしくは6ヶ月に延長してほしい旨の要請が政府に出され、また不法移民に対して申請の情報や彼らの有する権利に関して周知徹底して行きたいとしている。

マドリード地方政府、小学校の時間割について現状を維持することを決定

マドリード地方の公立小学校の時間割は現在、9時から12時半と14時半から16時までとに別れている。この時間割に関して、アルカラ・デ・エナーレス、トレホン・デ・アルドス等の72の小学校の父兄から昨年9月に9時から14時までの継続した時間割に変更して欲しい旨の要求が教育委員会にだされていた。父兄たちはこの要求を通す為に毎日のようにデモをしたり、子供達を学校に連れて行かないなど教育委員会に圧力をかけていたが、結局はいくつかの例外を除いては現状の時間割を維持して行くことに落ち着いた。
すでに継続した時間割で授業を行っている学校、子供達の通学に時間がかかり、休憩の時間内に往復ができない場合は認められる。
教育省では80%の父兄の同意があれば時間割の変更は可能という決定を下している。



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