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2月28日(水)

ラホイ第1副首相、内務省大臣へ

バスク州首長への正式立候補を表明したマジョール・オレハ氏に代わり、マリアノ・ラホイ第1副首相が内務省大臣へ就任することが発表された。
ガリシア出身のラホイ内相は5年間で公共行政省大臣、教育文化相、そして総理府省大臣兼副首相を歴任してきた。人当たりが良く、それでいて思慮深く、すべてのことをそつなくこなすことができる人としてアスナル首相の信頼も厚い。さらにPSOEロドリゲス・サパテロ幹事長との関係も良好であることから、両党との折衝が円滑に進むであろうという期待も持たれている。また、マジョール前内相がバスク州地方選で勝利した場合に、同前内相が基礎固めをしてきたテロリスト対策を引継ぎ、両方向からETAへ立ち向かって行くことも視野に入れた辞令であることも明らかである。
この移動による総理府大臣の空席はカスティージャ・イ・レオン州首長であるフアン・ホセ・ルカス氏が埋めることとなった。ルカス氏は同州首長を10年間務め、何年も前から閣僚入りを噂されていた人物である。アスナル首相及びPPからは地方政治の場で中央政府を支えることのできる大物として高い評価を受けていた。

50年後のスペインは、世界で一番年寄りの国となる

国連の発表した全世界の人口推移見通しによると、2050年のスペイン人口は現在よりも900万人ほど減少し、3120万人程度になるという。先進国に共通する傾向としてこれから先の人口増は見込めず、出生率の低下、高齢化が顕著になり、平均年齢が高くなるという。
現在国別の平均年齢が世界で一番高いのが日本で、41歳、第2位が40歳のイタリアだが、50年後はスペインが55.2歳でトップに踊り出るというデータが出ている。 人口減少と高齢化は社会の福祉政策にも大きな影響を及ぼし、現在の年金制度を維持することが困難になり引退後の生活基盤を揺るがすこととなってしまう。現在の人口を維持し、労働者を確保する為には今以上に移民を受入れる必要性があり、計算によれば1200万人という数値が出ている。
世界的には、先進国の人口は12億程度のまま推移していくが、その他の地域は49億人から82億人まで増加していくものとみられている。


2月27日(火)

内務省、雇用先が決まっている外国人の合法化手続きを検討することを承諾

昨日、内務省マジョール・オレハ大臣とPSOE議会スポークスマンであるヘスス・カルデラ議員が会談、PP、PSOE間での移民対策に関する協定について話合った。
会談の結果、マジョール・オレハ内相は、雇用先が決定している不法滞在外国人に暫定的居住許可の付与について検討して行くことを承諾した。法的根拠となっているのが、新外国人法31条における人道的理由もしくは定住化しているという状況によって居住許可が受けられるというもの。後者の場合は雇用先との仮契約が存在することが条件となってくる。
PSOEでは同党が提起した両政党間のこの協定に中央政府が3月23日までに回答を出すよう圧力をかけており、回答がないようであれば、法廷に持ち込むことことも考えていると示唆。
PPの議会スポークスマン、ルイス・デ・グランデス氏はPSOE側の発言に対し、移民対策協定についての話合いと提訴とは全く別物である、と批判している。
一方、大半の労働団体、NGOなどでは政府の前向きな姿勢を好意的に受け取っているが、"人種差別SOS"では「政府の考えているような暫定的な施策ではなく、移民に対する根本的な解決が必要である」と批判的な態度を示している。

ガリシア経営者連合、失業者の職業訓練経費の水増し請求があったことを認める

ガリシア経営者連合(CEG)は数年間にわたって、会計上で大きな不正があったことを認めた。この不正については昨年、内部監査によって大量の使途不明金が存在し、偽の請求書、2重請求書などで水増し請求が行われているという疑惑がもたれたことに始まり、その後の外部会計監査によってその額が10億ペセタ近くに達していることが明るみに出たもの。
この不正は、1998年から失業者を対象に行う職業訓練を請け負っていた企業がからんでおり、新たに借りた訓練所に相場の3倍以上の賃料を支払ったり、存在していないサービスに対する請求、架空人物の契約にかかる費用の請求などが行なわれていた。 不正が行なわれていた時期の同連合の会長であったアントニオ・ラミロ氏は周囲の辞任要求に耐えきれずに昨年夏にその席を明け渡したが、責任についてはラファエル・サンチェス政務次官にすべてを押し付ける形をとった。
不正を行ったとされる企業のホセ・マヌエル・ロレンソ社長はいわれのない濡れ衣であり、根拠のない金銭は受け取ってはいない、と話している。

株式公開を前にイベリア航空パイロットが消極的労働ストライキを開始

4月3日の株式公開を前にしてイベリア航空のパイロット組合(SEPLA)が消極的な労働によるストライキを行うことを決定した。これは純粋にはストライキとは呼べないが、労働協約の早急な締結を求める為に、労働規約、マニュアルに忠実に働き、これらにあてはまらない仕事は拒否する、というもの。
SEPLAによれば、今までにパイロット達が自発的に多大な協力をしてきたにもかかわらず、会社側はそれに対する回答をよこさず、無関心を貫いてきたという。彼らの努力がどれほどのものであったかを知らしめ、両者での合意を無視することをやめさせる為には規則に忠実に働くしか方法がないとコメントしている。
SEPLAの要求の中には以前の協定によって減額された給与の回復と18%にのぼる昇給が含まれている。


2月26日(月)

内務省、"コマンド・ドノスティ"の支援部隊を検挙

先週、ETAの司令塔ガルシア・ガステルがフランスで逮捕されたのに続き、週末にはホセ・ルイス・ロペス・デ・ラカジェ氏やウエスカの治安警察隊員の殺害犯と目されるイニゴ・グリディ、そしてETAの"コマンド・ドノスティ"の支援部隊のメンバー10人が逮捕された。しかしながら、直接部隊に属さないものの、ETAの戦闘要員の核となるアイトール・アギーレ、アシエル・アルサジュスは逃亡に成功。警察当局では2人の行方を追うとともにその他のメンバーについても捜索を続けている。
また、逮捕に伴い、サン・セバスティアン、トロサ、レンテリアなどの隠れ家数ヶ所の家宅捜査したが、目立った発見はなかったとされる。部隊の持っていた膨大な資料の中からは政治家の動向やバスク地方警察エルチャインチャについての詳細な観察調査記録がみつかっていることが判明している。
マジョール内相は今回の大がかりな逮捕がコマンド部隊の壊滅にいたるほどの衝撃にはなっていないだろう、との見方を示している。

エブロ川の国家灌漑計画に反対してバルセロナで大規模な抗議行動

昨日バルセロナにて、中央政府の推し進めているエブロ川の国家灌漑計画に反対する大規模な抗議行動が起された。
この計画はエブロ川の水を水源に乏しいアルメリア、ムルシア、バレンシア方面に引いてこようというものであるが、エブロ川が通る州の人々はこぞってそれに反対している。今回のこの抗議行動はアラゴンやリオハ、ナバーラ、バスクなど8つの州市民がバルセロナに集結し、さらにはカタルーニャ州与党のCIU及びPPを除く政党、労働団体が加わり総勢20万人とも言われる人々が参加した。
読み上げられた抗議文は、川の水を移動させるという時代遅れの計画は経済的な面と自然環境の面から考えても到底支持できるものではない、と糾弾。デモの先頭を行く子供達は"エブロのデルタは君たちのものでもある。僕たちで救おう"というプラカードを持って歩いた。
カタルーニャ社会党のリーダー、パスクアル・マラガル氏は「抗議行動は水や国土を守り自然を大切にしたいとする人々の叫びだ」とコメントしている。

中央政府、労基法改正案を閣僚会議にかける旨発表

先日20日に雇用者組合が労働団体に対して提出した労基法改正案につき(2月21日付トップニュース参照)、両者の対話が全く進展をみせないことで、中央政府はこの問題を閣僚会議にかけ政府独自の見解をおしすすめていく予定であることを明らかにした。
政府の意向としては、正社員契約を増やすために雇用者側の負担を減らし理由無き解雇の場合の補償金を、24ヶ月を限度として33日分の給与に勤続年数を乗じた金額とし、この恩恵を受けることのできる労働者の年齢制限を広げることを認める方向にある。しかしながら、適用される労働者の範囲を全女性とする雇用者側の提案は性による差別として違憲になりうるため、排除している。この契約問題は早急に政令にて制定することを考えている。
また、政府独自の提案として、期限つき契約社員を減らすために、現在までは存在していなかった契約終了時の補償金として、12日分の給与に勤続年数を乗じた金額を契約社員にも支払わなければならないという条項を設ける予定でいる。これは来年の予算付帯法決定時に定めたいとする。


2月23日(金)

ETAの司令塔ガルシア・ガステル、フランスで逮捕

ETAの軍事組織のトップでチャポーテの名で知られるハビエル・ガルシア・ガステルが昨日、スペイン国境に隣接するフランスのアングレットで、フランス市民とカフェ・ハバナのオープンテラスで昼食を取っているところを逮捕された。内務省によると、ガルシア・ガステルは、昨日の事件も含めて、停戦破棄後のETAによるすべてのテロを個人的に指揮した者であるという。ここ数ヶ月の間に逮捕されたETA関係者の表明によると、これによって26人の死者を出したという。彼らの多くはチャポーテとアングレットで接触したことを請け合った。
チャポーテは逮捕時に、拳銃と偽の身分証明書と12.000フラン(300.000ペセタに相当する)を所持していた。情報によると、バヨーナ司法警察の4人の警官らに取り囲まれたおり、ほとんど抵抗しなかったという。
司法警察によると警官らは、同じバーにコーヒーを飲みに入ったところ偶然チャポーテに出くわし、仲間に通報したという。ここ数年最も探されていたテロリストまでどのように到達したのかについて、内務省としては詳細を提供したがらなかったが、別の情報によると、この作戦はスペインの警察との協力により、フランス司法警察によって実行されるに至ったという。
フランスの警察は、チャポーテがアングレットまで移動したと推定される、スペインの偽ナンバープレートをつけた車の所在を付きとめた。ETAのコマンドの隊長は昨夜、バヨーナの警察支局で尋問されるに至った。

クーデターから20年、2月23日の反乱、犯罪としては今日時効を迎える

本日以降、2月23日のクーデターの企ては司法機関の手を離れ、歴史家らだけの題材となった。1996年12月に最後の罪人アントニオ・テヘロが釈放されてから、どの判事もこの問題を取り扱っていないが、20年を経過して刑法上の時効となる今日まで、1981年2月23日の反乱の罪は司法的に追求可能であった。

6ヶ月以上の手術待ち患者、27%増

厚生省セリア・ビジャロボス大臣が国会に提出したデータによると、昨年5月31日から12月31日までの間に6ヶ月以上の手術待ち患者数が27%増加したことが判明した。
昨年、心臓外科手術の順番待ちがあまりに長すぎることから、病状が悪化したり、最悪の場合は死亡するなどの事態が明らかになってから、政府与党PPがこの状況の改善を目指すべく待機日数減少のための対策を打ち出していた。半年以上その効果についての報告がなされていなかったが、今回の数値を見る限り、社会保険庁がカバーする地域の状況は悪化しているといえる。
ビジャロボス大臣は、今回600人近く手術待ち患者が増えたことに関し、マドリード、カンタブリア、アストゥリアスの3病院が工事中であったため通常のペースでの手術がこなせなかったとする。これら3病院を除いた患者数は625人で、当初目標としていた数値に近づいている、と説明する。
PSOEスポークスマンのマティルデ・バレンティン女史はアストゥリアスにある8病院での調査結果では乳がん患者のうち25%が6ヶ月以上手術待ちをしている状況である、と糾弾。さらには手術の順番待ちリストに入るためには駐車場のように1人がでないと1人が入れないため正確なデータのとり方をしていない、とも批判している。 厚生省では"社会保険庁の発展プログラム"と題する計画を提示し、年内には手術待ち期間を最大55日までとする、という内容をもりこんでいる。


2月22日(木)

サン・セバスティアンでETAのテロ、2人死亡、4人重軽傷

本日朝8時頃、サン・セバスティアンのマルトゥテネ地区でETAの仕掛けた車爆弾が爆発、2人が死亡、4人が重軽傷を負うという事件が発生した。
爆発が起こった場所は国鉄駅のすぐそばで、そこから100メートルのところには刑務所が建っている。ETAは毎日この駅を利用している、近所の職業訓練センターの講師であるオルディシア市の市会議員イニャキ・ドゥブレウイル氏を狙ったとみられる。同氏及びその護衛官は爆破の際の金属片などを身体に受け病院に運ばれたが、命に別状はない。しかし、この爆発の巻き添えを食った電気敷設工事会社の職員2人は死亡した。また、同じ会社に勤務する職員2人も被害を受け、重傷である。
死亡した2人の1人ジョス・レオネ・アスコナ氏はETA寄り急進派民族主義政党EHの活動家であり、ギプスコア県ベイザマ市の市長の弟でもあった。
この会社では、職員が最寄駅から徒歩で通勤してくるため、毎日同じ時間に同じ場所を通る、という。爆弾を爆破させた人間はその時間に誰がそこを通り、どのような被害にあうか当然知っていたはずだと怒りをあらわにさせ、社員一同抗議文を発表している。

アトゥチャ議長、これ以上バスク議会を開催する必要性がないことに同意を求める

一昨日イバレチェバスク州首長がバスク議会の解散、地方選前倒しを発表したことを受け、バスク地方議会アトゥチャ議長は、議会解散が決定した今となってはこれ以上の議会開催は必要なしと判断、議会広報担当官会議で諮るよう要請した。
20日の解散まで計4回の議会が予定されているが、同議長は現在の議会では個人攻撃に終始、罵倒しあうような状況でまともな議論が望めないと憂い、議会開催の意味がないという。しかし、実際には議会を率いるPNVが少数派となったことで、議会でのイニシアティブを取ることができず、力不足が露呈されてきており、次期地方選前にこれ以上弱体化したPNVのイメージを有権者に見せたくないという本音が隠されている。同議長は「すでに賽は投げられた。今は各党がそれぞれの方法で有権者に自らのメッセージを伝えるしかないのだ。」とコメント。
議長の発言に対し、バスクPPでは未解決となっている論題が残っていることを指摘し、議長が不適切な権限の行使をしようとしている、と批判。また、バスク社会党でも、依然として議会内で誤った道を辿っているイバレチェ首長を救おうとする意図が見えている、と話している。

スペイン人の82%は裁判を避けたいと思っている

昨年9月18日から10月9日にかけて行なわれたアンケート調査によると82%のスペイン人が裁判に時間がかかりすぎ、できるならば避けたほうが良いと考えていることが判明した。この調査は司法審議委員会によって1200人を対象に実施されたものである。
39%の人々が裁判官の独立性が保たれていると感じており、49%が裁判は公平に遂行され、裁判官の態度も誠実であるとする。しかし、一旦裁判官が罪を犯すと温情をかけて甘い判決になると感じている人々が58%に達している。
また、83%のスペイン人が法廷で争うことに抵抗感を感じているが、その原因となっているのが、一般的な人々にとって法律用語の複雑さや難解さであるという。
一方、裁判手続きが時代遅れであるとみる人は66%、裁判官がしなければならないことをしていないと感じる人が56%おり、司法の活発化の為に何らかの措置を早急に取る必要がある、と考える人が94%にものぼっている。


2月21日(水)

バスク州地方選挙、5月13日に決定

昨日、イバレチェバスク州首長はバスク地方選挙を5月13日に行うことを発表した。 2年4ヶ月というバスク議会の中でも最短立法期間での結末を迎えたわけだが、昨年から連立与党であったバスク国民党(PNV)が急進派民族主義政党EHと袂を分かってから議会の少数派に転落、議会運営に支障をきたし、PPやバスク社会党(PSE)からの地方選前倒しという圧力に屈することとなった。
通常より早めの議会解散発表となったが、解散宣言は3月20日に行う運びとなり4月26日から5月12日まで選挙戦がくりひろげられる。イバレチェ首長は「この地方政府は誕生する前から死刑宣告を受けていたようなもの」とPP及びPSEに対し非難の色を強めた。
繰り上げ地方選挙が決定したことで、各党では次期バスク州首長へ立候補者の動きが早まっている。PPでは以前から伝えられていたように、現内務省大臣であるハイメ・マジョール・オレハ氏の出馬が確定的であり、数日中にも大臣職辞任ということになる。 PSEでは同党バスク幹事長のニコラス・レドンド氏がすでに出馬を明らかにしており、民族主義者と非民族主義者との融合、"ビロード革命"をなしとげることができる、との自信をのぞかせている。

雇用者組合、労基法改革案を労働団体へ提出

昨日、雇用者組合は労基法の改革をすすめるための同意をとりつけるべく労働団体へ同組合がまとめた改正案を提出した。CCOO、UGTなどの労働団体はこれを受け、緊急会議を行い改正案の検討を行った。
改正案の柱となるのは期間の定めのない本契約社員の解雇に伴う経費を削減することであり、1997年に採用された「理由無き解雇の場合は42ヶ月分を限度として45日分の給与に労働年数を乗じた金額が解雇補償として支払われなければならない」という項目を「24ヶ月を限度として33日分の給与に…」と改正、これから新たに契約を結んだ労働者に適用する方向で検討することを求めている。さらには解雇時から法的な判決が下されるまでの間の給与保障制度を削除することも提案の中に含まれている。適用範囲については年齢や失業期間などを現行よりも広げることで労働者側の同意をとりつけたい意向である。
パートタイム契約については現行では上限が1日のうちの77%と定めてあるが、この上限を撤廃、1年を通して雇用者側が好きなように時間配分をすることができるように、という要求もあげられている。
また、期限付き契約社員については同じ職場に同じ労働者が継続して契約を更新することを禁止する項目を追加、違反した場合には法規違反として法的処置が下される。
労働団体では、改革をする場合には、給与所得者の32%が期限付きの契約社員である現状をふまえ、期限付き契約形態を制限するものでなければ、話合いに応じれるものではない、と話している。

全国管区裁判所検察局、ナバーロ裁判官を告訴

昨日、全国管区裁判所検察局はホアキン・ナバーロ裁判官を政府及び司法審議委員会を誹謗したという罪状にて告訴した。
同裁判官は日刊紙「GARA」のインタビューにて、先日改正された少年法についての質問を受け、アスナル首相の「テロリストはテロリスト、少年であってもテロリスト」発言を批判、「この発言自体がテロリストだ。国家をテロリストに仕立て上げようとしている」と答えた。さらにはETAのシンパであるペペ・レイの発行する"アルディ・ベルツァ"1月号では「新少年法は街頭での破壊行為をする若者に対する懲罰的残虐法である」と話し、「若者達を狂牛病と同様"狂少年病"として扱っているように見える」と繰り返し述べていた。
さらに、検察局からの告訴について"ばかばかし"く、かつ"狂った"行動としか考えられない、との感想をもらしている。


2月20日(火)

内務省、27000人の国外追放予定移民たちの合法化手続き申請の見直しを発表

昨日、国家移民担当局のエンリケ・ミランダ局長は、現在宙に浮いた状態となっている27000人の国外追放予定移民たちの処遇につき、先の特別合法化手続きの際に提出した申請書を早急に見直していくことを発表した。この見直しは人民擁護の会や司教などから人道的な理由や地域に根付いた生活を営んでいるなどの理由による合法化の道もあるのではないか、という申し入れを検討した結果による。
同局長は移民たちの状況について個別に判断し、必要と認められる全ての例外的措置をもって対応したいと話している。また、スペインでは移民の受入れを歓迎しているが、その場合でも常に合法的な手続きを踏むことが必要であると強調、偽の情報を流して移民たちをコントロールするマフィアに対抗するには、人手を必要とする企業が率先して求人を公開し、円滑な移民受入れを行うことが必要であるとも話している。
一方、不法に滞在しているエクアドル人たちが自発的に本国へ帰国するのであれば、優先的にビザが発給され、往復の旅費もスペイン政府が負担するという措置に名乗りを挙げた者たちの第1陣が昨日エクアドルへと帰国の途についた。3万人と言われる不法滞在エクアドル人のうちこの措置に賭けた人は今のところ1500人。スペイン国内に小さな子供がいる場合は両親のうちどちらかが帰国し手続きをすればよいことになっており、片親しかいない場合には帰国を免除し、スペイン国内で手続きをとれるという例外措置も設けられている。

中央政府、ETA対策合意署名を拒否し外国人法を批判する司教会を非難

中央政府は、司教会がETA対策に関してPP、PSOE間で取り交わされた合意文書への支持署名を拒否し、政治的な合意文書であると批判した事に関して、「政府は今まで一度も署名を求めたこともない。」と断言。アントニオ・ロウコマドリード大司教の、「バスク州内での民族主義者と教会との兼ね合いもあり司教会でも意見の分かれるところである」という発言に関し、カバニージャス広報大臣が「この問題は政府と教会の間の問題ではなく、教会と信者の問題である」と反論。
PSOEのマヌエル・チャベス党首も司教会のあいまいな態度を批判し、責任感の無さを非難している。さらにPPのハビエル・アレナス幹事長は、司教会がテロ問題は政治的な問題という理由で拒否の姿勢を打ち出しているにもかかわらず同じ政治的な問題である移民問題に関しては口をはさみ、外国人法を徹底批判した態度に疑問を呈す。
ロウコ大司教はこれら司教会への批判に対して、「われわれ教会は常にテロリズムを否定してきた。教会の判断では合意文書が政治的な意味合いを多く含むとみなしたからである」とし、「キリスト教は無理解の歴史の上にたつ」とコメントしている。


2月19日(月)

移民対策に関する合意に向けてPP、PSOEが話合いを示唆

先週、ロドリゲス・サパテロPSOE幹事長によって移民対策に関する合意についての話合いを求められたことに対し、歯切れの悪い返事をしていたPPであったが、昨日になり、外国人法の修正を強要しないならば、話合いの席についてもいいとの態度に転換した。
PPの軌道修正を発表したのはラホイ第1副首相及び広報省カバニージャス大臣。スペインのEU内における移民政策を念頭においての話合いが必要であることを強調、PSOEに対し、はっきりと本腰をいれた態度で会談に臨むことを求めている。
ロドリゲス・サパテロ幹事長は外国人法の修正を求めていく姿勢を崩してはいないが、それによって話合いが頓挫する事も避けたいという意向をもっており、同法の適用方法や他に考えられる措置を話合い、現状に即した合意としたい旨を明らかにしている。実際に現在の外国人法は不法滞在外国人たちにより無視されている状況にあり、正常に機能しているとは言いがたい。同幹事長はその点を指摘し、昨年12月にテロリスト対策合意文書に署名したように、今回も移民対策についての合意をとりつけたいもよう。

政府、大学入学選抜試験方法の改革を模索

中央政府は大学への入学選抜試験方法を現行より厳しくし、新たな方法を採用するべく模索を続けている。
現行では全国一斉選抜試験(Selectividad)を受け、その点数と高校時代の平均成績とを組合わせ総合点数を算出、スペイン全国の大学から自分の行きたい大学の学部へと願書を提出し、その持ち点によって選考される。
現在政府、教育省が考えている制度は、高校卒業時に最終試験を課す、もしくは各自治体毎に高校終了認定試験を行い、その後各大学で独自の入学試験を行うというもの。この方式は全国一斉選抜試験を廃止するということを意味する。また、大学及び学部独自の試験においては、各分野に関係の深い課目に重きを置いた選抜方法を採用することにもつながる。
ピラール・デル・カスティージョ教育相はここ数週間で教育改革についての会議を精力的にこなしており、将来の教育を視野にいれ各自治体の教育担当者との意見交換も活発化させている。この改革についての性急な結論は望んでおらず、様々な角度からの分析、議論をもって詰めていきたいという意向を明らかにしている。


2月16日(金)

52大学の学長がバスクの自由擁護のために集結

昨日、昨年の12月にETAによる爆弾テロ未遂のあったバスク州大学レイオアキャンパスにてスペイン大学長連盟に所属する全国61の公立、私立大学学長のうち52人が集まり、民主主義、自由、生活を擁護するための対話と団結を求める呼びかけをした。
バスク州大学マヌエル・モンテロ学長は「現在、バスク州内では言論の自由、学問の自由が脅かされ、日々、恐怖との戦いである。もうこれ以上、民主主義を脅かすテロリスト、ファシストたちの脅迫や卑劣な行為に目をつぶるのはたくさんだ。自由な意見を述べることにいかなる恐怖も感じず、学識者に警護をつける必要があると社会が考えないようになることが我々の基本的な要求なのだ」と決議書を読み上げた。
この集会にはバスク州各政党のトップや学識者、ETAの被害者である元バスク教育局長ホセ・ラモン・レカルデ氏、先日の爆弾テロ未遂時の標的となった同大学のエドゥルネ・ウリアルテ教授なども出席した。
バスク地方警察の厳重な警戒のもとに行なわれた集会であったため、暴徒の侵入などはなかったが、この集会に反対する多数の覆面姿の若者達が校内のガラスを破壊したり、コンピューター機器を投げつけるなど一時騒然となった。また、バスク州政府が極左翼の若者組織であるハイカが起そうとしていたデモに許可を降ろさなかった為、ETAよりの政党HBやその支援者達が校内で抗議行動を起こすという事態に至った。

アンダルシア州議会での人種差別発言者はPPではなくPSOEの議員

2月7日のアンダルシア州議会が始まる直前に、ある議員による人種差別発言がTV局のまわしていたフィルムの中に録音されていたことが判明した後、その暴言者がPPの議員であるということが公にされていた。この発言は「モーロはモロッコに帰ればいい、それが彼らのいるべき場所なのだから」というもので、その場に居合わせたある議員や録画作業をしていたTVE(スペイン国営放送)放送局員の「PPのマティアス・コンデ議員がそれらしき発言をしていた」というあやふやな証言を鵜呑みにし、PSOEが同議員に責任を取るようにもとめていた。
しかしながら、昨日になって地方議会第3副議長であるPSOEのラファエル・センテノ議員が記者会見上で、同人自身の発言であることを明らかにし、さきの発言とコンデ議員が不当な嫌疑を受けたことに対して謝罪した。
PP側は同議員の処分だけでなく、コンデ議員犯人説を信じたホセ・カバニージャスPSOE広報担当官の退陣、議席返還を求め、さらには間違った証言をしたTVEアンダルシア放送局員に対しても何らかの法的措置をとるとしている。
あやうく犯人にされそうになったコンデ議員はセンテノ議員の暴言よりも、これを政治的に利用しようとしたPSOEのやり方が汚い、と批判している。

市警察、今年中に1361人の警官を新たに組み込む

市警察は今年1361人の新しい警官を加え効果を上げようという。昨日地域治安委員会のマリア・タルドンによって提出されたデータによると、これは現在の5,205人から6,566人に引き上げることを示す。ホセ・マリア・アルバレス・デル・マンサノマドリード市長はこの会議の中で、売春の規制と公道でリトローナ(アルコール飲料)を飲むことの禁止について仲裁した。マドリード自治政府議員のフランシスコ・ハビエル・アンスアテギは、国と地域の警察の協力を強調した。
今回、未成年者を取り扱う特別配置の中に、"補導員"の機能を受け持つ一定数の警官が割り当てられる予定である。無断欠席、教育施設周辺での麻薬の販売、少年グループ間のケンカなどの問題を見つけ出すため、小学校と直接連絡を取り、父母会との協力を促進していく。
売春問題については、左翼連合(IU)のイネス・サバネス代表が、女性を売買するマフィアへの反対行動の必要性を強調した。"左翼連合は売春行為について検討するための討論会を提案した。私達は現行のものよりもっと優れた規制が必要ではないかと思っているのだが、常に適切な処置を与えているテーマである。私達の意向は、売春をしている人々を抑圧するものではなく、客になっている人々を取り締まっていくもの"と市長は説明した。

自転車のオチョア兄弟交通事故、リカルド死亡、ハビエル重態

昨日午後4時過ぎアンダルシアのマラガ近郊で自転車競技の練習中、ケルメチームのオチョア兄弟が自動車に轢かれるという事故が起こった。
ビスカヤ出身の双子の自転車競技者であるリカルドとハビエルは前後してマラガ市内から50キロほどの道を走っていたが、前方から来た自動車に相次いではねられた。前を走っていたリカルドの方が衝撃が大きく、ヘリコプターで病院に運ばれたが、すでに心停止、脳死状態で医師が手をつくすこともできず死亡。ハビエルも頭蓋骨打撲、脳内出血、胸部打撲、身体中ほとんど全ての骨折状態で緊急手術を受けたが、非常に危険な状態であるという。
事故にあった場所は対抗2車線4メートルの幅、路肩50センチという道路であった。以前より、自転車競技選手の路上での練習には危険が伴うと指摘されており、アマチュア選手を含めると交通事故で死亡した人は昨年だけでも350人といわれている。
ハビエルは去年のツール・ド・フランスの山越えでトップをとり、一気に注目を浴び、これからの自転車界での活躍が期待されていた。


2月15日(木)

法務省、司法審議委員の選考方法変更を議会に提案

法務省アンヘル・アセベス大臣は国会に司法改革プログラムを提出し、改革内容についての説明を行った。野党各党ともおおむね賛成の意を示したが、唯一司法審議委員会(CGPJ)の委員選出方法の変更については異議を唱えている。
現在の選出方法は総勢20名の委員選出を半々に分け、各々上院、下院にて5分の3以上の賛成を得て、任命される。これを1980年から85年にかけて採用していた方法に戻そうというのが法務省の意図するところである。20名のうちの12名を裁判官、判事の所属する各協会、団体によって選出されることとし、残る8名を上院にて4名、下院にて4名を任命するという方法である。
4000人近い裁判官、判事のうち保守性の強い協会に所属する者が1000人ほどいることを考え合わせると法務省の考える旧態の選出方法ではCGPJ自体保守色が際立つこととなる。アセベス法相は現在のCGPJの委員が"PPの代表者"、"PSOEの代理人"などと色分けされていることで司法に対する大きな損害となっている、と現在の選出方法を批判している。
一方、各党に肯定的にとらえられた項目は改革に伴う2500億ペセタの追加予算に関するもの。また、裁判を午後にも行うようにすることも大きな目玉となっており、開廷時間については法務省の定める枠内であるならば、各自治体の自由裁量とする、という計画も盛り込まれている。

シャム双生児の切り離し手術、成功

昨日、マドリードのラ・パス病院にてモロッコ人のシャム双生児の切り離し手術が行なわれた。この双生児は生後21ヶ月の女児。腰から下が癒着し脚を共有していた。
シャム双生児の切り離しの条件として主要器官が独立していることが大前提となるが、今回のケースは心臓、肺などが2人分それぞれ機能していた。手術では第5脊椎以下恥骨を分け、泌尿生殖機能を新たにつけ、腎臓をおのおの一つずつ所有することとなった。2年後くらいをめどに通常の生活を送れることをめざす。
2人の両親はモロッコの首都ラバトから700キロ離れた村に居住、今回はNGOの協力によりスペインでの手術の運びとなったものだが、経済的な問題もあり、両親の付き添いはかなわなかった。
マドリードの同病院はここ10年で同様の切り離し手術を7回行っている、この方面では権威ある病院といわれている。

社会事業局、家庭内暴力で苦しむ女性のさらなる保護を裁判官に求める

2001年から2003年までの第2次家庭内暴力対策計画に即して、社会事業局ダンカウサ局長は、裁判官に対し、家庭内暴力に苦しむ女性たちを保護する為に、迅速かつ効果的な裁判及び、統一した見解による判決を求めた。
1998年に第1次計画が始動、それにより女性からの訴えは14%増えている。しかしながら、昨年だけで44人の女性が夫や恋人の手によって死に至らしめられており、98年より25.7%も増加しているという事実も無視できない。
社会事業局では全国で一生のうちに1度は家庭内の暴力に苦しむ女性が60万人ほどいると推定しており、そのうちの60%は警察に訴えることもしないといわれる。キャンペーンなどにより1人で苦しまず、訴え出るようにと進めている反面、これらの訴えへの対応が適切に行なわれているとは言えず、刑法改正とともに裁判官達の柔軟な対応も求めていくという。さらには家庭内暴力が起きている家庭では離婚の手続き中である場合も多く、刑事面からだけでなく民事との連携も密にする必要があることも説いている。また、当直の裁判官にも即刻予防のための措置をとることができるよう求めている。
ダンカウサ局長はこの計画のための予算を約90億ペセタほど取っているといい、これは暴力に苦しむ女性の駆け込み寺となる保護施設の建設や女性を側面から支援するNGO組織への助成などにまわしていく予定であるとする。


2月14日(水)

会計監査裁判所、ヘスス・ヒルを告訴

マルベージャ市長であり、アトレティコ・デ・マドリードの元会長でもあるヘスス・ヒル氏が会計監査裁判所検事局によって告訴された。
同局では国家総検事局長宛てに同市長が犯したとされる犯罪についての報告書を送り、この事案についての担当が汚職対策検察局になるかマラガ検察局となるのかの判断をあおいでいる。
報告書の中で、同市長が偽の負債、存在しない債権者を捏造したことや3億8200万ペセタにのぼる議員に対する裏づけのない支払い、秘密の銀行口座の存在、会計上や土地整備計画における多数の不正などが指摘されている。
同市長は市保有の土地を市場価格よりも格安で業者に売却、業者とは市の専門家の意見書を無視することなどの協定を結んでいたとされ、マルベージャ市に与えた経済的損害は、13億ペセタにのぼると推定されている。91年から99年までの市の使途不明金は620億ペセタ、そのうちの半分は同市長によって作られた市の関連会社と称するトンネル会社31社にばらまかれている。
同市長はすでに別件によりマラガ地方管区裁判所より汚職や不正売買などの罪状で28年間の資格剥奪処分、罰金刑を言い渡されており、さらには全国管区裁判所では"アトレティコ事件"が審理されている状態である。

インフレ後退、消費者物価指数下降

昨日1月期の消費者物価指数が発表されたが、それによると前月12月から1月にかけてはゼロ成長、通年指数(IPC)は4%から3.7%に下降した。この数値は中央政府が目指す年間2%に向けて良い傾向といえる。IPCの下降は昨年値上がりを続けていたガソリン、ディーゼルオイルの4.5%値下げが大きく影響しており、それに伴い電気料金の値下げが行なわれたこと、ユーロの回復がみられたことも主な要因と考えられる。
しかしながら、構造的インフレはここ5年間で最も大きな上昇傾向を見せている。12月時に比較し、0.5%の上昇を記録している。これはサービス業界の値上がり、特に交通機関、レストランの値上がりが原因となっている。
今回1月期は国家統計局がIPCの算出方法に手直しを加え、分類項目、比重のかけ方を変更している。前年度の算出方法を使用した場合は、今回の数値より若干低いものとなる可能性が指摘されているが、大きな変化は認められないであろうとされている。

バレエ・ナショナルのアイーダ・ゴメス解任される

昨日、スペイン・バレエ・ナショナルの芸術監督であり、第1舞踊者でもあるアイーダ・ゴメスが解任された。
アイーダのバレエ団の中での専横によって団員の間でくすぶっていた不平不満が大きくなりつつあったが、ついに、先日のパルマ・デ・マジョルカ公演で彼女が勝手に演出を変更したことに怒った団員が舞台中、観客の面前で言い争いを始め、ことは収拾のつかない状況にまで発展してしまった。
国立舞台芸術・音楽協会のアンドレス・アモロス会長は団員から出された苦情やアイーダの行状をツアーに同行して記録した報告書をもとに、彼女に対する処分を会議に諮り検討、結局、解任を通達した。
この解任通告を受けたアイーダは「わたしがここ3年間でやってきたことは素晴らしい物であり、とても満足している。恨み?そんなものはないわ」とコメントしている。
彼女の後任はまだ決まっていないが、アントニオ・カナーレス、アントニオ・マルケスなどの名前が挙がっている。団員の間では86年から92年まで同職を務め、現在セントロ・アンダルス・ダンスカンパニーの監督であるホセ・アントニオを押す声も多い。

ハビエル・バルデム、米国アカデミー賞最優秀主演男優にノミネートされる

昨日米国アカデミー賞のノミネートが発表されたが、最優秀主演男優賞の部門にてスペイン人で初めてハビエル・バルデムが名を連ねた。
彼は「Before night falls」でキューバ人作家の役を好演、ゴールデングローブ賞でもノミネートされていた。
その他のノミネート作品を考えれば、賞をとることは容易ではないとみられているが、ハビエル自身以前から「オスカーは宝くじ。当たれば嬉しいけど、当たらなかったらまた買えばいいんだ。」と話している。
一方、ホセ・ルイス・ガルシ監督の「You're the one」 はノミネートされず、アメリカで高い評価を受けていたフェルナンド・トゥルエバ監督の「Calle 54」はドキュメンタリー性が低くミュージカル映画であるとの理由からやはり、最終選考には残らなかった。


2月13日(火)

科学者ら、ゲノムのデータにフリーアクセスできるよう要求

ワシントンで昨日、ヒトゲノム地図についての発表が行なわれた。 国際研究グループの責任者らがデータへのフリーアクセスを強調する一方、セレラ社はデータが自己利益に反映することへの期待を隠さなかった。 ロンドン、パリ、ベルリン、東京で行なわれた国際研究グループの発表の間、セレラ社の態度は厳しく批判された。イギリスチームのコーディネーター、ジョン・サルストンは"ゲノムは売り物ではない。この研究を私企業の手にゆだねるのは犯罪に等しい"と念を押した。フランスの研究所所長のジャン・ウェイッセンバックはパリで、セレラ社が自己の研究を完成するために公のデータをベースにしているのは明らかである、と断言した。

スペインの科学者ら、国に早急な対策を要求

ヒトゲノム解析においてスペインの関与がわずかばかりであることから、科学者らの間で批判的な反響を巻き起こしている。"まさに今始まったばかり"のこの遺伝子の研究において、政府はこの新しい時代に"再び乗り遅れない"ための適当な処置を講じるべきだろうとしている。この新しい研究に参加しないことへの社会的、政治的なコストは、研究に必要な資金よりも高くつくだろう。 スローアン‐カテリング記念ガン・センター(ニューヨーク)のジョアン・マッサゲは、"科学や技術の成果はいずれにせよスペインに入ってくる。それを外国の企業の手にゆだねてしまうのか、自国での開発に取り入れるのかは、国が決めなければならない"と言っている。

バラハス空港、飛行機の遅れヨーロッパで2番目

ヨーロッパの中で2,000年に最も高い確率で飛行機の便に遅れを出した空港に、スペインのバラハス空港(マドリッド)とイタリアのマルペンサ空港(ミラノ)が記録された。 バラハス空港から出発した便の36,4%が15分以上の遅れを被り、これと同じことが到着便では37%となっている。これはヨーロッパの最も重要な27の空港の状況を分析するヨーロッパ航空協会によって昨日発表されたデータによるものである。バルセロナのエル・プラット飛行場はこの中の10番目に記録されている。

住宅の平均価格、14,8%上昇

ここ1年で住宅の平均価格が14,8%上昇した。自治体別に見ると、バレアレス(22,1%)、バスク(20,7%)、リオハ(18,1%)、ナバーラ(17,9%)、マドリッド(16,5%)、カナリアス(15,6%)、カンタブリア(15,5%)、の順になる。特に高値を示ているのは、バスク(250,600ペセタ/u)、マドリッド(236,500ペセタ)、バレアレス(206,200ペセタ)である。


2月12日(月)

マドリッドとバレンシアで外人法への反対デモ

主催者らによると50.000人、警察によると10.000人という何千もの人々によって、昨日外人法反対と不法移民を支持するデモが行なわれた。この抗議は、バジェカス教会内立てこもりを支援する、立てこもりの会によって召集された。教会立てこもりは50以上の異なる国籍の人々が参加しており、開始から16日が経過している。 "アスナール、忘れたのか、スペインは移民の国だ"、"人間は誰一人として不法ではない"、"ヨーロッパ人種差別主義者、ヨーロッパ帝国主義者"というのが昨日のデモの中で最も多く繰り返されたスローガンである。デモは正午にアトーチャを出発し、2時間後にはめざすプエルタ・デル・ソルに着いた。デモ行進の最前列には、バジェカスの教会に16日前から立てこもっている移民達の姿があった。 プエルタ・デル・ソルで読まれた公式声明によると、主催者らは、外人法の廃止、不法移民らの即合法化、警察による追跡の中止を要求した。加えて、立てこもりや抗議活動は要求が実現されると見られるまで続くだろうと告げた。 バレンシアでは6.000人から8.000人の人々が、ビザの期間延長とスペインにいる移民達が働けるための仮の認可を要求するデモが行なわれた。

スペイン・リリカ劇団の乗ったバス、アビラで横転。死者7名、負傷者12名

国道6号線から外れないよう必死の操作を試みる直前、"眠ってしまった"、と運転手のフランシスコ・ロペスは叫んだ。しかしそれもむなしく、ヒホン・ホベジャーノ劇場でサルスエラ"セビージャの下宿人"の公演を終え帰途にあったスペイン・リリカ劇団の乗ったバスは、すでにコントロールを失っていた。昨日早朝6時頃、オルビタ(アビラ)付近のマドリッド−コルーニャ道路の直線区域で起こったバス横転事故は、死者7名、負傷者12名を出す結果となった。

アルコ、20回目の開催を迎える

現代芸術の祭典アルコが、画廊、その他の団体の協力と、多くの人々の参加を得るなか、個人や公的機関の国際的芸術収集の促進をめざし、20回目の開催を迎えるに至った。 明日、ファン・カルロス国王の2時間の訪問を迎え、アルコの開会式が行なわれる。今年20回目の開催にあたり274の画廊が集合し、20世紀に展開された近・現代芸術の傾向やテクニックなど、そのすべてが公開されるもの。3億ペセタの予算で、マドリッド自治体、マドリッド市、商工会、マドリッド銀行が加わり、マドリッド見本市(IFEMA)によって組織されている。


2月11日(日)

スペイン人の嫌がる職を移民がカバー

社会研究センター(CIS)、国民統計研究所(INE)と社会学者らによって行なわれた最近の社会調査によると、建設、農業、家政婦、高齢者介護などの職種は、移民の労働力によってまかなわれているという。スペイン人は、悪い労働条件のためにこれらの分野の雇用をますます受け入れたがらなくなっている。 去る12月には、緊急に労働力を必要とする3つの分野で200.000人以上の失業者があったにもかかわらず、建設部門で20.950、サービス部門で74.327、農業部門で3.076と、100.000近くの雇用が賄われずに終った。さらにファン・カルロス・アパリシオ労働大臣によると、2000年には118.000人の外国人が社会保障に加入したという。"失業と雇用の供給があるなら、なぜ外国人労働者に頼らなければならないのか"という問いに、"スペイン人がある特定の仕事を拒否するという現象は明らかに存在する。雇用条件に不都合な点が一つでもあればそれで十分なのだ。例えば居住地を変えたくないとか…"と職業安定所(INEM)のアルムデナ・ドゥランは説明する。スペイン難民救済委員会会長及びマドリッドの社会党議員であるデリア・ブランコは"移民達はスペイン人から職を奪いに来る、という言い分は間違っている。彼らは、働いていないと自分の立場を合法化できないのではないか、という不安を持ちながら、悪い労働条件のため誰もやりたがらない仕事をしているのだ"と付け加える。


2月9日(金)

アラゴン州政府、改正された新外人法に対してその違憲性を告訴

1月23日に始まった新外人法に対して、移民側からの反応は勿論、その他、各種協会、NGO,政党など、様々な機関からの反発も持ち上がっている。そう言った中で、昨日アラゴン州政府の討議において、賛成36票、反対21票 により、新外人法の違憲性と人権侵害と言う両面から同法の再改正を求めて上訴する決議が下された。これにより今回の外人法改正後、アラゴン州が、初めての再改正を求める法的措置を取る事となる。

牧畜業者5000人余りがマドリッドにおいてデモ。1300億ペセタの救済金を求める

農牧関連団体の計算によると、狂牛病問題の影響から来る牛肉の値段下落のための損失が約300億ペセタ、感染の恐れがある動物や汚染された恐れのある器物の処理による損失が約180億ペセタ。更に、値段低下による損失だけではなく、売上自体の極端な低下による損失も多大なもので、これらの数字には含まれていない。そう言った状況下で、国鉄アトーチャ駅のすぐ前にある農林省に向けて雨の降る中5000人余りがデモを行い、1300億ペセタの救済、保証金を支払うよう要求した。これに対する農林省側の回答は、要求を受けた経済的保証に関して、次の水曜日までに返答をする、、、と言うもの。

アンダルシア州議会、ロルカが最期を過ごした地所を買収

アンダルシア州議会は、2年以上の複雑な交渉の末、グラナダ市ビスナールにある夏の別荘として使われていたラ・コロニアという建物がある地所の買収をまとめた。この地所は市民戦争中、フランコ派に不満を抱く者たちが射殺される前に夜を越す収容所に変わった。1936年8月18日の夜、詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカはここに監禁され、最期の時間を過ごした。 アンダルシア州政府の環境文化庁はこの地所の持ち主らに、最初に要請された1億ペセタの値を大きく下回る2.200万ペセタを支払う予定である。アンダルシア州議会は、持ち主らが良識を持って合意を受け入れない場合には、徴発策を用いる意向があることを示した。この実現にあたって、スペイン研究家でありロルカの伝記作家であるイアン・ギブソンなど多くの人々が貢献した。 文化庁評議会は、政府軍によって報復を受けた何千もの人々の共同墓地が横たわる、バランコ・デ・ビスナールの急カーブにいたるこの地所すべてを整理する意図がある。それと同時に、この地域を歴史名所として宣言する予定である。


2月8日(木)

PSOEのサパテロ幹事長、アスナル首相に要請・・・ ”大地へ着陸せよ!”

「空の上から地上を見るから重大な問題が豆粒のように見えるのだ。いい加減に着陸せよ。  地上民はあなたを歓迎しよう! 安全な着陸を祈る!」 狂牛病や違法移民の急激な増加と言う重大な問題を前に、「些細な問題」と言う表現をしたアスナル首相に対し、PSOE幹事長サパテロ氏が討論の中で彼に向けた皮肉たっぷりの言葉である。  これに対し、アスナル首相は 「私は有効な措置を取るためのイニシアティブを取ってきたが、 残念ながら、上空からあなた方地上民が全く協力的に動かないのを確認出来るに至っただけである」 と反論。 サパテロ氏は付け加える。「政府はこれらの重大な社会問題に対して、何ら効果的な解決策を打ち出していない。このままではスペイン政府は何も出来ずただ単に磨耗して行くだけ。アスナル首相は国政について何もせず、またやり方も実に下手である。野党側は様々な解決策を提案して来たが政府側には全く話し合いの姿勢も無く、ただただ我を通すだけ、、、スペインのリーダーシップをとろうと言う態度など全く見受けられない」。  これに対し首相は「あなた方は国政に口を出す前に自分達の内部整理だけやっていなさい。それすら満足に出来ていないようだが?」

PSOE、スペインがかかえる10の最重要問題に対し50の解決案を提示

野党側は訴えるだけで解決案を一切提示しないと主張したがる政府に対し、国会討論が行なわれる 数時間前に、PSOEは早期解決の必要がある10の最重要課題に対する解決方として50種の提案を明示した。10個の最重要課題の中には狂牛病関連、移民問題関連、裁判関連、 経済政策関連、教育関連、治安関連、住居問題、、、などが含まれる。 経済政策の中にはインターネット24時間接続を月額3000ペセタ以下で提供すると言う項目もありインターネットの普及を積極的に推進しようとする意図が明確に見られる。 この50案の提出がなされた数時間後の国会討論の中で、アスナル首相は相変わらず「野党側は社会問題について何ら解決案を提示しない」と言う発言を繰り返した。

狂牛病患者の血液により汚染された薬剤がおよそ1500人のスペイン人に投与

先日、イギリスから11カ国へ向けて狂牛病患者から提供された血液が輸出されていた事が報道された が、1996年から97年にかけてスペイン全国の20以上の病院において、イギリスより輸入された 同病患者の血液により汚染された薬剤が使用されていたことが判った。 肺など呼吸器系の重度な痛みを伴う患者およそ1400人〜2100人へ投与された模様。 スペイン厚生省はこの薬剤投与による発病は一切認められていないと発表しているが、この病気が 発病するまでには10年以上の潜伏期間があるのが普通。


2月7日(水)

PP、身分証明書やパスポートなどに 地方自治体固有の公用語による表記を含める事に反対

昨日、カタルーニャ議会の3議員が中心となって、「カステジャーノ(標準スペイン語)以外に 地方自治体固有の公用語を持つ自治体においては、公式身分証明書の発行の際、内容の記述は、 まず固有の公用語による表記、そして更にカステジャーノによる表記と言う順序で行なうようにする」 と言う案を提出したのに対し、PPのみが同案を否定するに至った。 しかし、他の政党全てが賛同した事により、PPは法自体の改正では無いが、政府発行の身分証明書と 運転免許証に関しては、本人の要望がある場合にのみ、カステジャーノ、そして自治体固有の公用語に よる表記を認める方向で検討する事で同意した。

コロンビア、違法移民問題に関し、すでにスペインーエクアドル間で結ばれた協定と同様の合意を 得るため、スペイン政府との交渉を開始

コロンビア人違法滞在者はエクアドルからの違法移民と同じ方法でスペイン内へ入ってくるケースが 大半で、入国時は3ヶ月間の観光ビザと、滞在に必要充分な所持金証明を提示し、3ヶ月の期間が 過ぎた後、そのままスペイン国内に滞在を続ける結果、違法移民となると言うものである。 入国時は合法的手段を取っているために、この方法でスペインに残る違法移民にブレーキをかける 事は困難。 そのために増えつづける違法滞在者を合法化するため、すでに交わされたエクアドルー スペイン間の協定は、スペイン政府が交通費負担をする事により彼らを一旦、自国へ送り返し、 正式な手続きをとった上で再度スペインへ渡航して、合法的立場でのスペイン滞在が出来るように なると言うもの。 これに引き続き、コロンビアも同じ内容では無いにしても、同様にコロンビア人の 違法滞在者を合法化出来るための協定を目的としたスペイン政府との交渉に入った。 エクアドル人に対し「違法滞在の合法化を目指したエクアドルへの一時帰国」の希望者募集が始まっているが、応募者は早くも1000人に達している。

狂牛病感染牛、ガリシアで新たに3頭発見、計9頭となる

昨年11月に最初の例が発見された時点では、単独の異例であり大きな問題では無いとされたにも 関わらず、それからたった2ヵ月半たった今、同地方で狂牛病感染が認められた牛の数がすでに 9頭にものぼる。1000頭を検査するにつき1頭の割合で発見されている。 今回発見された3頭の牛は、サラゴサの同病研究所によりその感染が確認された。


2月6日(火)

エンデサ社とイベルドローラ社、合併断念

昨日、何ヶ月にも及ぶ交渉の結果、電力会社のエンデサ社とイベルドローラ社は合併計画を断念することを発表した。
合併計画が頓挫した大きな要因は、先週中央政府閣僚会議により両社に課せられた合併時における条件であり、両社は最終的にこの条件をクリアすることが困難であるとの判断を下したもの。
合併手続きを進めるにあたり、中央政府が将来にわたりエネルギー業界を政府の影響下におけるよう意図していたことへの反発、また、両社が政府との取り決めにより受け取ることになっている未払いの助成金8000億ペセタから株式売却益を差し引き、その結果助成金なしという事態におさまることになるであろう政府の条件が両社の決断を大きく左右した。さらに、エンドサ社会長は金融経済の側面からと法的側面からみた合併案に対する専門家からの報告書でも、政府の示した条件がこのプロジェクトの足を引っ張ることになるだろうとの考えで一致していた、ということを明らかにしている。
両社の決定に対し、野党PSOE経済担当官は「政府の行った介入は全くもってばかげている」と強く非難、しかし、ロドリゴ・ラト経済省大臣は「政府は消費者保護の立場を考え、その条件を示したもの、両社の決定を尊重する」とコメントするにとどまった。

カタルーニャ自治政府内の確執、政府ナンバー2、執行部代表を辞任

カタルーニャ自治州政府内にある確執は昨日カタルーニャ民主連合(UDC)のリーダーであり、事実上州政府ナンバー2であるデュラン氏が執行部代表を辞任したことで、さらに大きくなってきた。
ジョルディ・プジョール自治州首長率いるカタルーニャ連合(CIU)はUDCとの連立により1980年から長期にわたり州政府を押さえてきた。同首長は先月に入り、独断でアルトゥール・マス氏を自分の次期後継者と位置付ける州政府トップの地位に指名したことから、デュラン氏の不興をかい、両者の溝は修復不可能な状態となってしまった。
デュラン氏は、「自分が辞任することが州政府、プジョール首長、マス氏にとって最適な選択であり、自由に政府を運営していくことができるであろう」とコメントし、「今後はUDCのリーダーとして陰からCIUが与党であり続けるよう全力をかたむけていく」と新たな意志を表明した。

最高裁、リアーニョ元判事の復職請求を棄却

昨日、最高裁はゴメス・リアーニョ元判事が申し立てていた裁判所判事への復職請求事案につき、その申し立てを棄却、5年間は復職が不可能であることを申し渡した。
リアーニョ元判事はソヘカブレ事件において判事としての職権を濫用、不当に裁判を支配したとして、高等裁判所から判事職を罷免され、15年間の判事資格剥奪が決定していた。しかしながら、昨年、政府が行った恩赦により、裁判所への復職、資格剥奪の撤回ができるものとの申し立てをしていた。この問題については法解釈の相違により、様々な見解が示されていたが、最終的には最高裁により司法界への復帰は不可能であるとの判断が下されたこととなった。
実際に、中央政府がリアーニョ元判事を復職させるよう働きかけていることに関して、司法の民主化を推進する裁判官協会からは「最高裁の決定を覆そうとする政府を挙げての抵抗」と厳しく非難されている。また、同協会では司法の立場からだけでなく憲法に則った判断であるとし、全ての国民、公人は裁判所の判決に従わなければならないことを強調している。


2月5日(月)

エクアドル人への本国帰還のための旅費負担申請期間を今月28日までに限定

スペイン中央政府がエクアドル政府と締結した相互移民協定に伴い、現在スペイン国内に不法に滞在しているエクアドル人たちが自発的に本国へ戻れば、スペインでの雇用を保証し優先的にビザ取得手続きを進める、という措置期間を今月28日までに限定することが発表された。
この措置を希望するエクアドル人は各県の担当局に、先月23日の新外国人法施行以前からスペインに滞在していることの証明を付して自発的帰国申請をすればよいことになっている。この申請により帰国のための旅費をスペイン政府が負担することも可能になる。仮に、申請をせずにこのまま不法滞在を続けた場合は新法により72時間以内の国外追放命令を受けることとなる。
スペイン−エクアドル協会ではこの協定自体現在の移民状況を悪化させる元凶となるとみており、大部分のエクアドル人は本国での借金に縛られスペインへ戻ることが不可能になるのではないかという不安に陥っているという。
他方、この両国の相互協定締結を受け、コロンビア政府も同様の協定を求めスペイン政府に交渉を要請してきている。

闘牛の耳までもが焼却処分

ヨーロッパ内では狂牛病が発覚してから、その蔓延をおさえるよう様々な対策がとられてきているが、その中でも屠殺場以外で死んだ牛は例外なく焼却処分にするという規定がある。スペインでは昨年初めて狂牛病のケースが報告され、それに伴い闘牛場で死んだ牛にも例外なく適用されることになった。 現在マドリードのバルデモリージョで行なわれている闘牛フェスティバルでも闘牛後の牛が焼却場に運ばれ、処分されているが、良い闘牛を見せた闘牛士に与えられる牛の耳までもが焼却場行きとなってしまった。
一般的に闘牛士に与えられた牛の耳は闘牛士から闘牛場の客席に向かって投げられるケースが多々見られるが、今回の闘牛では唯一、耳1枚を手にしたホセ・イグナシオ・ラモス闘牛士が場内1周をおえたあと、もらった耳を返却、他の牛の死骸と同様、焼却処分となっている。
主催者側では牛の焼却処分、運送コストがかかる上、牛の肉を売却できなくなることでさらに収入減となる。闘牛牧場主の中にはこの措置を批判する者もおり、特に闘牛用に育てられた牛は純粋な穀物飼料や牧草を食べてきているので、狂牛病にかかる危険性はまったくない、と話している。

公衆電話の返却口に指をはさまれた青年の救助に3時間

日曜日の夜中1時ごろに公衆電話を使用していた24歳の青年がお金の返却口に指をはさまれ、その救助に3時間を要したという事件があった。
この青年はマドリードでも週末になると若者で賑わう場所で友人に電話をかけようと公衆電話ボックスに入ったが、電話をかけても相手が出なかったことから受話器を戻し、入れた100ペセタ玉が戻ってくるのを待った。しかし、途中でつかえたまま落ちて来る気配がなかったため右手の中指を返却口の中に入れてみると、盗難防止のシステムが働き、指が抜けなくなってしまった。この事態に消防隊、救急隊員、警察官が救助にかけつけたが、何をしても効果はなく、テレフォニカ(電話会社)の技術者を呼ぶ以外に方法が見つけられなかった。
指を挟まれてから約3時間後に技術者が到着、システム解除のための鍵を使い電話機を開き、事無きを得た。
この青年は「自分のお金を取り戻そうとしただけ」と話しており、このような緊急の事態に備えたサービスを用意していない電話会社を訴えることも考えているという。
電話会社の技術者はここ1年で指を挟まれて抜けなくなった人が3人もおり、その都度彼が出動しているという。消防隊でも以前からこのような緊急の場合に備えてのマスターキーを電話会社に求めているが、何の返答も得ていないと話している。


2月2日(金)

言語研究家のラファエル・ラペサ氏、逝去

スペイン語の言語研究の第一人者であり、スペイン語教育にその一生をかけたラファエル・ラペサ氏が昨日、マドリードの自宅で逝去した。
1908年生まれの同氏は市民戦争中に読み書きのできない兵士達のスペイン語教師として派遣され、戦後は言語学の造詣を深めて行った。1954年からはスペイン王立アカデミーの一員となるだけでなく、米国やラテンアメリカ諸国の数々の大学で客員教授として招かれ教鞭をとってきた。
同氏が1942年に著わした"スペイン語の歴史"は言語学を専攻する学生にとってのバイブルとして必要不可欠なものとの認識がもたれている。生涯にわたっての彼の著作は200を超えており、最近数年間は音韻論とシンタックスの研究に余念がなかった。同氏にとってスペイン語とは生命を持ち豊かで動きのある言葉であったが、それがゆえに変化し毒されていく言葉を保護して行くことに真剣でありつづけた。

女性労働者のうち6人に1人がセクハラに悩んでいる

労働団体CCOOの助成によってまとめられた"スペインの職場におけるセクシュアル・ハラスメント"と題する書物が昨日紹介された。この中では職場における女性労働者の感じるセクハラについてのアンケート調査結果が含まれている。アンケートは600人の女性、400人の男性を中心に電話での聞き取り調査で行なわれた。
女性労働者の18%までが現在までに何度かセクハラを受けた経験があると答えている。セクハラを受けた人の中には仕事場を変える必要に迫られた人が35%、機会があった時点でセクハラをする相手と顔を合わせないで済む部署に配置転換をした人が28%であった。積極的に法的手段に訴えた人は3%にとどまっているのは職を失うかもしれないという不安が理由となっている。
セクハラを受けやすいタイプの傾向はないが、離婚していたり別居状態の女性、正式契約を結んでいない女性は被害にあうパーセンテージが高いことがわかっている。
また、セクハラにあった場合でもどのような処置をとってよいかわからない為、行動を起こさない場合が多い。これはセクハラを受けたと思いすぐに抗議をするとヒステリックな女性だと思われたり、抗議するのが遅くなると、セクハラ行為を受け入れたと非難されることが原因となっている。

リセオクラブ、ついに女性会員の受け入れ決定

バルセロナのリセオ劇場に隣接するスペインでも最古の権威あるプライベートクラブ、リセオクラブは、1847年の設立以来、女性会員を認めていなかった。しかしながら、昨日の会員集会によって150年以上続いたクラブの会員資格を修正し、女性も会員となることが可能となった。8時間に及ぶ討議の後投票、賛成429票、反対290票の結果19世紀の遺物は姿を消した。ここ10年ほどは女性を会員資格から排除しているクラブの定款を改訂するようバルセロナ各界からの声が大きくなっていた。 定款改訂を不服とするグループでは「この会員資格修正はこの組織の精神と品格を根底からゆさぶるものである」としてすでに法的手段に訴えている。
会員資格の修正によって女性の会員を受け入れることが可能になったことで、会員達の間からは女性会員第一号をソプラノ歌手のモンセラ・カバジェに、との声があがっている。


2月1日(木)

エクアドルとの協定締結、スペインに不法滞在中の者への特別枠については明文化されず

昨日、エクアドルのキトにてスペイン、エクアドル間の移民政策に関する相互協定が締結された。この協定により、スペインで不法に滞在しているエクアドル人が合法的に滞在、労働するための道が開かれたかたちとなったが、肝心なエクアドル人優先枠については具体的に名文化されず署名された。
スペインのハイメ・マジョール内相は合法化されるであろう具体的な人数については明言を避けたが、現在スペインでの不法滞在者が自発的に本国に一旦帰国しビザを取得してくるのであれば、旅費をスペイン政府が負担し、その者たちの雇用先を保証、ビザ取得手続きを優先的に行うことを確約した。また、移民問題が法的に擁護される唯一の道は合法滞在者と不法滞在者の線引きを明確にすることであり、エクアドル内にある不法移民を斡旋、搾取する悪の温床を断ちきることが必要であるとコメントした。
一方、合法滞在を求めてバルセロナの教会に立てこもり、ハンガーストライキを続けている700人あまりの不法移民達は中央政府が話し合いの席についた場合にはハンストを中止するとしているが、先の特別合法化手続きで却下された34000人のうち20000人を合法化しないうちは教会から立ち退くことはしない、と話している。

ETA"コマンド・マドリード"の重要人物、フランスで逮捕される

今朝6時頃、フランスのアルディにてETAの"コマンド・マドリード"に所属し、数々のテロ行為にかかわったとみられている重要人物アントニオ・ガビオラがフランス警察に逮捕された。自宅にて逮捕された同人は偽造身分証明書を所持していたという。
ガビオラは1980年にETAの政治軍事セクションに入り、2件のテロ行為に参加した後1983年には軍事部隊に籍を移した。1985年には"コマンド・マドリード"の一員として当時のセントラル銀行の頭取リカルド・テヘロ氏を殺害、1988年にはエミリアノ・レビージャ氏誘拐事件にかかわったとされる。1991年にフランス国内で一旦逮捕されたものの、スペイン側が、確たる証拠がないという理由で身柄引渡しを要請しなかったことから釈放された。その後、1982年におこされた誘拐事件の犯人として国際氏名手配されるに至った。
この逮捕に先立ち、フランスのマリリーズ・ルブランシュ法相が明日マドリードを訪問し、アンヘル・アセベス法相と会談をもつことが発表された。この会談ではスペイン政府がテロリストや凶悪犯人について国家間の身柄引渡し要請なしにスペインへの移送を可能にするよう法整備を求めることとなるもよう。

狂牛病関連の法規違反すでに2000件を超える

治安警察隊の自然保護機関の行った立入り検査によると2500件のうち2000件の法規違反があったことが認められた。この検査は牧場、屠殺場、飼料生産工場、焼却場、製品輸送業者等を対象に狂牛病予防及び根絶を目指すための法規が遵守されているかどうかについて12月19日から1月15日まで行われたもの。最終的な結果は来週に発表される予定となっている。
検査を行った治安警察隊では2000件の法規違反の中でも特に悪質な12件については規律違反だけでなく"犯罪行為"であるとし告訴している。さらに"公衆の健康を害する犯罪"により少なくとも7人の逮捕者が出ている。
2000件の内訳としては一つの企業が法規違反を重ねている場合が多く、牛の証明書不備、禁止飼料の所有、不正埋葬、死骸の体液のたれ流しなどがあげられている。



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