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2月28日(木) アディオス、ペセタ! 今日の夜12時をもって、スペインの通貨ペセタが、19、20、21世紀と3世紀に渡る計133年の歴史を閉じる。1868年に誕生して以来、2度の市民戦争をかいくぐり、独裁政権の時代を生き、そして民主化をたどったスペインと共に生きてきた通貨ペセタは、2月28日をもって流通通貨の地位を完全にユーロに明け渡す。1999年から銀行取引などでユーロ表示が始まり、2001年7月から全ての価格のペセタとユーロの併記が義務付けられ、そして2002年1月1日から実際にユーロが流通し始めた。多くの危惧をもろともせず、あっという間にユーロはスペイン国民の生活に浸透し、2ヶ月間の移行期間に日常の買い物などほぼ全てユーロで行われるようになった。しかし一般市民の価格に対する感覚の基本はやはりペセタであり、頭の中でペセタに換算することなくユーロを感覚で理解するまでには未だ時間がかかりそうだ。 明日から流通通貨でなくなるペセタだが、6月30日までは市中銀行でユーロへの換金が可能。それ以降はスペイン銀行においては永久にユーロへの換金を受けつける。 ピケ外相、ゴンザレス元首相とユスフィモロッコ首相に謝罪声明。 アスナル政府外交の中で対モロッコ政策は常に難しい課題であった。特に現国王モハメッド6世が即位し新しい閣僚を登用して以降は、漁業問題、移民問題などいくつものテーマでその見解の相違を顕著にし、モロッコ政府が在スペインモロッコ大使を本国へ呼び戻す事態にまで発展していた。そんな中、エル・ムンド紙が発表した「ゴンザレス元首相(野党)のモロッコ国王および首相と会見」が内外に物議を醸していた。 昨日モロッコ政府は「存在しない会談の存在を、メディアを使って示唆するとは、ようやく進みはじめたラバトとマドリッドの関係修復を阻もうとする意思が感じられる」と正式に不快感を表明した。これに対しピケ外相は急遽声明を発表して、ユスフィモロッコ首相とゴンザレス元首相に正式謝罪した。しかし同声明の中で、今回の誤報の元となった在モロッコスペイン大使に関しては、「大使は職務義務を遂行したのであるが、今回の誤報は情報伝達経緯での誤解・勘違いに起因すると思われる。」とし、社会党などが求めるスペイン大使の更迭は否定している。 民放テレビ・ラジオ局などメディアはスペイン国営放送局にCMスポット削減を提言 民放のテレビ・ラジオ局および新聞などメディア各社で作る商業テレビ連盟(UTECA)は、昨日その総会で、スペイン国営テレビ(TVE)はCMスポットの量を現在の半分に減らすべきであると提言した。現在国営テレビ1チャンネルは、法律で定める上限(1時間に12分)一杯にCMを流している。「民放テレビ局各社において、昨年米国同時テロ以降顕著にCMスポンサー獲得が困難になっている状況のなか、TVEは"国営"という後ろ盾を利用して、民放の提供できない廉価な広告料を提供するなどし、そのCMスポンサー獲得政策は日ごとアグレッシブになっている」とし、UTECAはこのままでは民放の存続が危ぶまれると警告している。UTECAは、TVE1チャンネルは1時間に6分、TVE2チャンネルは1時間3分にそのCMスポット枠を縮小し、民放と一線を画した国営テレビらしい内容で運営する事を提言した。 スペイン国営放送は15億ユーロの予算のうち国家予算からの助成金は5%のみ、受信料などもなく、その運営の大半をCM広告料に頼っている。UTECAはまた、「国営放送」の政治上・経営上の定義が明確でないという事実も指摘し、このテーマを国会で討議する事も提言した。
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2月27日(水) ETA支持政党への助成金支払いを否定する法律の違憲性が憲法裁判所で審議される 先週与野党間で持たれたテロ対策協定総会において、バタスナ党(テロ集団ETAの政治的母体)を非合法化する政策が検討されるなど、最近ETAをその政治的分野から攻める方策が論じられている。そんな中、昨日全国管区裁判所は、「国家から支給される政党助成金のバタスナ党へ給付を拒否する法律」は憲法に違反する疑いがあるとして、この法律の違憲性を憲法裁判所で審議する事を決定した。 この法律は先に与党国民党と野党第1党社会党の協力により国会で立法化していた。しかしバタスナ党に対する助成金(1982年からの分を合計すると20万ユーロにのぼる)の支払いもまた最高裁の判決で合法とされていた。 今回の決定をした全国管区裁判所第1法廷のエドアルド・カルボ判事は「国会を通過した法案に違憲性の疑いがあるからには憲法裁判所で審議されなければならない。又、憲法裁判所の審議の結果が出るまでは、バタスナ党への助成金支払い義務は持続する。」と説明している。 最高裁、全国管区裁判所の判決を覆し、公務員給与遅延分支払い義務を取り消す。 第1期アスナル政府はその経済政策中の行政コスト削減の一環として、1997年に国家公務員の給与を凍結した。これに対しCCOOなど労働組合側が政府を相手に訴訟を起こし、物価上昇率に見合う給与値上げを要求していた。昨年2001年に全国管区裁判所は、労組側の訴えを受け入れ、政府に対し1997年から給与差額分の支払いを命ずる判決を下した。政府側はこれを不服とし最高裁に控訴し、係争が続いていたが、このたび最高裁は、政府側の訴えを全面的に受け入れ「公務員給与の凍結は労働問題であり、ひいては立法府に属するものである。したがってこの問題は立法府である国会で審議されるべきである」という判決を下した。これによって1年前の全国管区裁判所の判決は無効となり、30億ユーロにのぼる政府の公務員給与遅延分支払い義務が取り消された事になる。 労組側は憲法裁判所へ上告する意向である。 フェリペ・ゴンザレス元首相とモロッコ首相との幻の会見?
エル・ムンド紙は、スペイン外交筋から入手したとして、フェリペ・ゴンザレス元首相は24日(日)にユスフィモロッコ首相とモロッコ国王モハメッド6世と会見した事をその紙上で発表した。
その後25日月曜、「ゴンザレス元首相とモロッコ国王の会見は存在しなかったが、ユスフィ首相との会談は実在した」旨の、モロッコのスペイン大使館から政府スポークスマンに届いた詳細情報もエル・ムンド紙に掲載された。フェリペ・ゴンザレス氏はこのモロッコ国王およびモロッコ首相との会見は全くの「事実無根」と表明したが、政府外務大臣ピケ氏は昨日午前中に「政府が入手している外交筋からのデータによれば、ゴンザレス元首相とモロッコ首相の会談は持たれていたはず」と説明していた。ところが昨日モロッコ政府が正式に、「ユスフィ首相とゴンザレス元首相の会談は存在していない」と発表したところ、ピケ氏の発言の数時間後に、政府スポークスマンが正式に「モロッコ政府が存在しないと言っているのなら会談は存在しなかったもの」という見解を発表するに至った。
野党社会党は今回のこの「騒ぎ」の責任をとるため、在モロッコスペイン大使の更迭と、ピケ外相と政府スポークスマン・カバニーリャ氏の国会での説明を求めている。
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2月26日(火) 検察は、現職環境大臣を選挙法違反の被疑者としての法廷に喚問する事を申請 1999年の地方選挙の際、当時バレアレス州政府与党の国民党が、公金を利用して、バレアレス州の住民票を所有して南米に在留している有権者に対して、不法な選挙運動を行ったとして、PSOE社会党、IU左翼連合などが国民党を訴え、現在バレアレス高等裁判所で係争中だった。昨日、バレアレス高等検察局のデ・ビセンテ・トゥトール検事は、当時バレアレス州知事だった現環境大臣のジャウメ・マタ氏を被疑者として法廷へ喚問する為に、この裁判をバレアレス高等裁判所レベルから最高裁判所レベルに引き上げ移行する事を正式に申請した。いままで何度か検察側が国民党アスナル政府の現職大臣を被疑者として法廷に喚問しようとしたケースがあったが、検事総長カルデナル氏の判断によりどれも喚問に至っていない。今回の環境大臣マタ氏のケースは、検事総長が検察側に対して現職大臣を被疑者として喚問する事を容認した初めてのケースといえる。マタ氏は「この係争は全く事実無根であり、現バレアレス州知事で社会党所属のアンティッチ氏が、公金を使って国民党とマタ氏を中傷しようとするものである」と応酬している。 検察側は、麻薬密輸団幹部カルロス・エル・ネグロを釈放し(逃亡させてしまった)3判事を起訴 昨年クリスマス前に、公判を目前に控え拘置されていた麻薬密輸団幹部カルロス・エル・ネグロを、弁護側からの申請で精神科医アンヘル・エブレロ氏が作成した精神鑑定書をもとに、釈放した全国管区裁判所の判事3名は、その判断が間違っていたとして検察側から起訴された。 この問題を担当している最高裁検察局は、この3判事に対する「背任行為又は業務上過失」のかどでの起訴を、最高裁予審判事フリアン・サンチェス・メルガール氏に申請した。このカルロス・エル・ネグロの釈放の決めてとなった精神鑑定書を作成したエブレロ医師に対しても同検察側は「収賄と公文書偽造」で起訴する用意がある模様。 サロウで発見された女児死体の司法解剖結果出る
先週木曜日にタラゴナ県サロウのアパートで発見された女児の死体は、同サロウ市で2001年3月頃から行方不明になっているタマラ・ナバスちゃん9歳の可能性があるとして司法解剖とDNA検証が行われていた。死体の腐敗が進んでいたため難航した司法解剖の結果が昨日明らかにされたが、それによると「8から12ヶ月前に死亡した10歳前後の女児の死体」と言う事で、行方不明のタマラちゃんのものである可能性が高くなった。決定的な決めてとなる、現在マドリッドの毒物学研究所にて行われているDNA検証の結果は今しばらく待たねばならず、タマラちゃんの家族にとっては辛い待ち時間となっている。 スペイン全土、明暗を分ける貧富の差 このほどスペイン最大の銀行BBVAの財団が行った1955年から1998年までのスペインの県別経済状況推移の調査によると、ほぼ半世紀にわたる富めるスペインと貧しいスペインの格差是正の政策にも関わらず、その二つのスペインの格差は今も厳然と存在している事が明らかになった。スペイン北東部を占める地方(カタルーニャ、アラゴン、リオハ、ナバラ、バスク、バレアレス)とマドリッド県では全体の所得が高く住民間の所得も均一化されている一方、それ以外の地域特にスペイン南西部を占める地方の所得は低迷を続けている。かつて高所得圏にあったカンタブリア地方とアストゥリアス地方は工業危機(各種鉱山の閉鎖、鉄鋼業産業の凋落など)以後、低所得圏の仲間入りをしている。
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2月25日(月) ミューレッグ選手、ドーピングで金メダルを剥奪される スペインに帰化したドイツ生まれのヨハン・ミューレッグ選手はソルトレイク冬季五輪で3個の金メダルをスペインにもたらし、スペイン中が「ホアニート」を賞賛していた。3個目の金メダルを獲得した23日(土)の50lm耐久レースの48時間前に突如行われたアンチ・ドーピングテストの結果が昨日発表された。尿中から「ダルベポエティン」と呼ばれる、赤血球数を増加させて持久力を増す物質が検出された。この「ダルベポエティン」自身はIOCの禁止するドーピング成分リストの中には入っていないが、リストにある「エリトロポジェティン」と同じ生理的機能を持つため、ミューレッグ選手はドーピングをしていたと判断された。IOCは、23日(土)の50kmレースで獲得した同選手の金メダルを剥奪しただけでなく、今後五輪競技から同選手を追放する事を発表した。 1月の消費者物価指数0.1%低下?ホンとかウソか?!
先週金曜日、国家統計局(INE)によって、消費者物価指数(IPC)の2001年12月から2002年1月の推移は0.1%減と発表されたが、この数字が物議を醸している。 この数字の発表を受けて経済相ラト氏は「懸念されていた便乗値上げなどの弊害もなく、ユーロ導入による物価上昇がなかった事が証明された数字だ。」と満足を表明している。一方野党、消費者団体、経済専門家などからは、「政府は正に2002年1月からIPC算出方法を変えたので、前年度12月と今年1月のIPCを単純に比較する事は意味が無いし"危険"である」との批判が殺到。一般消費者は今年1月からのユーロ導入により、ペセタとの換算を通して新通貨の感覚を体得しようとしているが、まだまだ混乱期にある為、一方で「肌で感じている」各種料金の値上がり:ユーロ換金の際の四捨五入による値上り、ガソリンやブタンガスの税金の値上り、公共交通料金の大幅な値上り、郵便料金の値上り、電話基本料金の値上りなどを、慣れていないユーロの数字上では実感できていない状況にある。この様な混乱期である1月に政府はIPC算出方法の変更を行った。変更点のいくつかを挙げると:かつてはバーゲンなどの価格引き下げをその算出に加えていなかったが、1月分の統計からバーゲンの価格を統計に加える、又従来全ての品目の価格を同等に取り上げていたが1月分から消費の多い品目の価格に比重を増し消費の少ない品目の比重を軽減する、など。 バタスナ党系のバスク地方市長村長ら、ETAが停戦しなければ次期地方選挙出馬を拒否する旨表明 1999年9月のETAによる停戦宣言の1ヶ月後に行われたバスク地方の市町村選挙において18%の票を得たバタスナ党(当時EH党)を中心とする急進派民族政党連合だったが、その後ETAの停戦破棄とそれに続くETAのテロ行為の急進化・無差別化が、同連合内部に不満、紛糾、混迷引き起こしていた。この状況の中、歴史的にも常にバタスナ系政党が政治的主導権を取ってきた、ETAのシンパの多いトロサ、アンドアイン、エルナニ、オイアルスンなどの市町村長らは、ETAが今すぐ停戦しない限り、来年度に予定されている地方選挙にはバタスナ党から一切出馬しない意思を表明した。これら市長村長らが求めるているのは、前回のような選挙戦略のためのETAの「一時的停戦」によって政党やひいては有権者が翻弄される事の無い様、ETAの真の停戦であり、その信憑性を明白にする為には、少なくとも次期地方選の1年前には停戦が実施されなくてはならないとして、テロ集団の即時停戦を呼びかけている。
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2月21日(木) 社会党書記長ザパテロ氏、アスナル政府に史上最高の犯罪率の責任を追及
昨日、社会党は、犯罪率がスペイン史上最高に達し市民の安全が脅かされている現状の責任をアスナル政府に追及した。ザパテロ書記長は、第1期アスナル内閣成立前の1996年4月から2001年末までに犯罪数は170万件から204万件へと19.9%増加しているという具体的数字をあげて、これはアスナル内閣の政策に責任があるとし、市民生活の安全確保の為の具体案を発表した。その具体案の中には、犯罪取り締まりにあたる中央政府管轄の警察機構(国家警察と治安警備隊)の人員が国民党政権になってから6000人以上削減された事が犯罪率上昇の一因となっているとし、これら警察官を一万二千ほど増員する案と、これら国家警察官や治安警備隊員の給与が自治州警察(バスク州警察エルチャイナやカタルーニャ州警察モッソ・デスクアドゥラ)や地方警察(マドリッド市警察など)に比べてかなり低いという現状を是正する案などが盛り込まれている。 中央政府とバスク州政府、経済協調政策で合意にたどり着く 昨日政府財務大臣モントロ氏は、5時間半に及ぶバスク州政府代表との交渉会議の末ついに両政府は経済協調政策において合意に達したと発表した。昨年12月、中央政府は、EUヨーロッパ連合の首脳評議会へのバスク自治州政府の参加を盛り込んだバスク州政府の経済協調政策案を絶対受け入れられないとして、両政府間での交渉が決裂していた。今年度1月から施行されるべき経済政策の基盤が据え置きのままという現状を、スペインおよびバスク財界は多いに憂慮していた。交渉決裂の原因となったバスク州政府のEUへの参入という事項をバスク政府側が排除した事によって交渉は再開され、昨日財務相とバスク州副知事の話し合いが持たれるに至った。自治州警察の運営費の問題と燃料税の自治州政府への移行の2点で交渉が難航したが、5時間半にわたる会議の末、両政府は最終的合意に達した。 バスク州の若者ら、ETAの暴力を告発するデモを行う 20日火曜日に社会党員の青年エドゥアルド・マディナ氏が、ETAの仕掛けた爆弾によって左足切断の大怪我を負った事件に対し、昨日バスク地方の若者らを中心に、ETAの留まる所を知らない無差別暴力行為を告発するデモが、ビルバオ、サン・セバスティアンなどを中心に行われた。このデモ行進にはバタスナ党(急進的民族系政党でETAの政治機構)以外の全ての政党が参加した。バスク大学レイオアキャンパスで、この反ETAのデモと同時にバタスナ系の親ETAのデモ行為が行われ、両者間で小競合いが生じたが、大事には至らなかった。 マドリッド市民に「節水」呼びかけ
マドリッド市の上水道を管理している「カナル・イサベル・セグンダCanal Isabel II」公社は、昨日マドリッド市民に「節水」の心がけを呼びかけた。それによると、「現在同公社が管理している上水道用の貯水ダムの貯水量はその容量の51%程度であり、いますぐに懸念しなければならない状況ではないが、このまま雨が降らない状況が続けば夏には水不足に苦しむ可能性もある。マドリッド市民の水の消費量は昨年3.6%も増加したが、昨年は非常に降雨量が多かったため問題は無かった。今年は雨の少ない年になると予想されるため市民が今から節水を心がける必要がある。」との事。
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2月20日(水) ETA、社会党員の一青年を標的として車を爆破 昨日テロ集団ETAは、社会党員の青年エドアルド・マディナさん25才の運転する車に爆弾を仕掛けて暗殺を図ろうとした。朝8時頃ビルバオの自宅を出て勤務先へ車で向かい、10kmほど走行してビスカヤ県のセスタオを通過中、ETAが前夜仕掛けたとみられる500gのダイナマイトが爆発した。マディナさんは、一命は取りとめたものの左足切断の大怪我を負った。この爆発はまさに大型ガソリンスタンドを通過直前に起こったが、1歩間違えばガソリンに引火し大爆発を招き、大惨事になる可能性もあった。 今までETAのテロ行為の標的は、非民族系政党(主に国民党と社会党)の党員の内、何らかの公職に着いているかあるいは党組織内の要職にある人達に限られていたが、今回の犠牲者マディナさんはそのどちらでもなく一切護衛などは付いていなかった。この爆発の数時間後に国民党と社会党間で開催されたテロ対策協定総会で、バスク州内の両党に属する市町村議の安全を確保するための具体案が合意採択された。このように両党が様々な法律を改正してETAの暴力に対抗しようとする一方で、ETAの標的は無差別に広がっていき留まる所を知らない。 検察評議会投票の結果、検事総長カルデナル氏はバルガス検察官の訴え聴取を受け入れた 昨年最高裁で審議されていた「エルクロス事件」を担当していたバルトロメ・バルガス検事は、その公判の中で、かつてエルクロス社の幹部であった現外務大臣ジョセップ・ピケ氏を被疑者として法廷に喚問しようとした。検事総長カルデナル氏は、バルガス氏のピケ氏に対する喚問が適当でないと判断し、バルガス検察官がその主張を曲げなかった為、バルガス氏を強制的にこの「エルクロス事件」から外し、結局ピケ外相は法廷に現れる事はなかった。この件でアスナル首相の司法界に対する圧力が目に余ると世論を騒がせた。この一連の検察官交替劇に関し、当のバルガス氏は自分の言い分を検察評議会で正式に述べたい旨を申請していたが、検事総長はその必要はないとしていた。しかし同評議会での投票は10対2(検察長官本人と最高裁検察次官ルソン氏のみ)の圧倒的多数で、バルガス氏の召還を支持した。カルデナル検察長官はその意に反して、検察評議会で昨日バルガス氏の発言を聞かねばならない事になった。その発言の中でバルガス検事は「最高裁のいずれの検事もりっぱにこの事件の検察を務めてくれる事は明らかであり、自分がこの事件の担当から外された事に意義はない。しかし納得できないのはそのやり方だ。一方的に強制的に突然解任されるというやり方は私だけでなく、全ての検察官に対して採用されるべき方法ではない。」と発言。評議会メンバーからも「今後同様のケースが発生し、現職大臣の喚問が必要な場合は最高裁の検察官による審議をするべき」との意見が出ているが、検事総長は今後現職大臣に関連する事件は全て最高裁検察次官ルソン氏を担当させる方針を打ち出しているのでその「必要」はなさそうだ。 ガリシア州知事フラガ氏、社会党と共に中央政府に反抗 政府与党国民党(PP)の大御所であり、かつてPPの前身AP(民衆連合)の生みの親であったマヌエル・フラガ氏は、ガリシア州知事に3期目再選されてから後、最近、アスナル首相との距離を大きくしている。昨日ガリシア州議会において国民党議員らは、社会党から提出されていた提案に賛成票を投じた。その提案とは、EUヨーロッパ連合内における地方政府の参加を認めさせる事と、現行憲法を一部改正して下院(Senado)を地方代表制議会に変革する事という2点からなる。先のバスク州政府の経済協調策でのEU参入希望を拒否し、中央政府の権限拡大の方針を打ち出しているアスナル内閣政府としては、古くから国民党支持者が多く大御所フラガ氏が知事を務めるまさに親藩とも言えガリシア州で、この提案が採択された事は、大きな痛手と言えそうだ。
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2月19日(火) 社会党、国民党に対抗してテロ対策具体案を表明 本日予定されている国民党と社会党間のテロ対策協定総会に提示予定の具体案を、国民党が報道機関に事前に漏らした事に対抗して、社会党書記長ロドリゲス・サパテロ氏は昨日、社会党側の具体案を表明した。その案とは、バスク地方の、選挙によって選出された非民族系政党に属する市町村議会の議員らが受けている、テロ集団ETAからの直接的・間接的な暴力や精神的・肉体的威嚇行為を、現行刑法を改正する事によって、実刑に処する事ができるようにしようというもの。 一方、政府与党側が先に打ち出したテロ対策具体案は「民主的目的のために組織される政党だけをを認める」ように政党法の改正を必要とするものあるが、これを受けてバスク民族系政党PNVが与党のバスク州政府は、「政党の合法性・違憲性を決めるのは一政党である国民党ではなく、司法界であるべき。又このような重要なテーマをメディアを通じて他の政党に知らしめるという態度には疑問を感じる」と批判している。 行き先を間違えちゃった英国ロイヤルネイビー
カーニバルのお祭り騒ぎも終わり、二日酔いの頭をかかえて家路に着こうとしていたラ・リネアの住人は自分の目を疑った。迷彩服に身を包んで最新武器を装備した海軍歩兵がぞろぞろとサン・フェリペ岬に上陸していた。まさかカーニバルの仮装大会の続き?とは思えないので、住民らは警察に通報し、やってきた警察官達は、その「侵入者」が英国海軍45連隊に属する空母HMSIllustriusから下りて来たエリート達と知り、仰天。岬の反対側ジブラルタル領域の海岸で漁をしていたジブラルタル漁民が大声でこの海軍エリート達に「そこは英領じゃなくて、スペイン領だよ〜」と知らせた所、彼らは回れ右をして先に下船した空母に戻って行ったとか。 農業相の綿栽培制限策に反対して綿栽培農家1000名が抗議行動 EU内の農作物栽培割当を反映して、政府はスペイン国内の綿栽培農家に対し、その作付け面積を制限する政策を打ち出していた。毎年総面積の1/3を他の作物栽培に当て、3年目に再び綿栽培を復活するというもの。これに対し農家側の労組各組合は、道路を分断したり、空港へのアクセスを妨害したり、新幹線AVEの線路に侵入したりと、様々な抗議行動を繰り広げていが、先週政府代表と労組側代表が仮合意に達していた。それによると、いくつかある農家側労組全部の意見がまとまる事を前提条件として、この栽培制限政策を適用する農家の所有面積の下限を、5ヘクタールから10ヘクタール.に繰り上げるという代案を提示していた。ところが大土地所有農家で作る労組アサハ(Asaja)の反対によりこの代案は無効となった。農家側はさらに政府への抗議行動続け、昨日1000人ほどがセビリーリャのAVE新幹線ホームへなだれ込み、それを制止しようとした警察ともみ合った末、21人の怪我人を出す騒ぎとなった。
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2月18日(月) 政府はその「教育資質法案」の中に移民統合対策を盛り込む事を表明。
ここ数日様々な世論を喚起しているモロッコからの移民のファティマちゃん13歳。家族と共に数ヶ月前スペインに移民し、マドリッド州のエル・エスコリアルに在住の彼女は、公立学校に空席が無いためカトリック系の半公立の学校への入学が決っていた。モロッコの習慣でヒアブと呼ばれるスカーフで頭を覆って生活している彼女に対し、学校側は他の生徒と同様に制服を着てスカーフを取り去って登校するように勧告した。彼女も彼女の父親もこれを受け入れられないとして、学校へは行きたいがヒアブを取り去って登校はできないという状況が注目されていた。中央政府の教育大臣カスティーリョ氏が「郷に入っては郷に従え、入学する学校の規則に従って登校するべき」と、このカトリック系学校側の態度を援護する一方で、マドリッド州政府は「政教分離の民主国家においては、各個人の文化・習慣や信仰の違いによって教育を受ける権利が犯せれてはならない。スカーフ一つのせいで教育を受ける権利を剥奪する事はできない」として、とりあえずファティマちゃんを、スカーフをしたままで登校できる公立の学校へ編入させる事にした。 政府は、テロ対策協定総会にバタスナ党排除のための法的手段を提出予定。 政府与党国民党と野党第1党社会党は、バスク独立を目的とするテロ集団ETAに対するテロ対策協定を結んでいる。明日予定されているテロ対策協定総会の中で政府は、ETAの政治部門であるバタスナ党を排除する為の法的手段を具体的に発表・提出する予定としている。政治政党法改正(政党樹立の目的を民主的かつ個人の権利と個人の自由を尊重するために)、総選挙基本法と政党運営基本法改正(一個人や一組織を標的とした暴力や憎悪を肯定するような宣言を禁止するてめに)、テロ活動融資予防対策法案、多国間共同でテロ組織を捜査摘発できる為の法案、テロ犠牲者の補償、非民族系政党の選出議員の安全確保、などの具体案を実現する為には4法律と2基本法を改訂する必要がある。 マドリッド市側の警察組織改革案は警察官労組と真っ向から対立 マドリッド市役所治安担当官の自宅の郵便受けでクリスマスイブに爆竹が爆発したり、市警察高官の家に炭疽菌をよそおった小包が届けられたり、マドリッド市警察の内部がここ最近おだやかでない。先にマドリッド市役所は、地区別に警察機能を分散して住民に密着した警察を目指すと共に、組織改革によって警察官の残業時間を短縮するなどマドリッド警察始まって以来の大組織改革案を打ち出した。これに対し警察官の労組側は、「現状を理解していない机上の空論。現場の意見を一切取り入れていない」などと真っ向から反対し、抗議行動を起こしている。今後も市役所側の歩み寄りが見られなければ、さらに抗議行動を広げていくとの意向。犯罪率増加に苦しむ大都市マドリッドだが、その警察の内紛は当分続きそうな様相を呈している。
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2月14日(木) ボティン氏、絶対的勢力を確立しSCH銀行上層部を一新。 BBVAに次ぐスペイン第2の銀行SCHの社長エミリオ・ボティン氏は、臨時取締役会の後、これまでボティン氏に次ぎナンバー2の勢力を持っていた専務取締役アンヘル・コルコステギ氏の退任を発表すると共に、SCHの幹部組織改革を発表した。カンタブリアの名士ボティン家がコントロールしてきたサンタンデール銀行(Banco Santander)とセントラル・イスパノ銀行(BCH)が4年前合併して出来たのがSCH。この合併に最も尽力したのが今回退任したコルコステギ氏だった。銀行エンジニアと呼ばれるほどその銀行家としての資質を買われ、ボティン氏が2大銀行合併に踏み切る際の立役者でもあった。しかし合併後もそれぞれの銀行出身の取締役幹部の派閥闘争が続き、99年2月ボティン氏の長女アナ・パトリシア氏が旧BCH側幹部の圧力で退陣に追い込まれ。その後旧Santander側は勢力を巻き返し2001年8月にはBCH派ナンバー1でSCHで社長職をボティン氏と共有していたアムサテギ氏が退任を余儀なくされた。そして今回BCH残党の頂点にいたコルコステギ氏の退任でSCHはボティン氏およびその同族関係者でしめられる事になった。また傘下にあるバネスト銀行はアナ・パトリシア氏が社長に、バンキンテール銀行はボティン氏の弟ハイメ氏が社長に就任し、スペインの5大銀行の内3行がボティン家によって牛耳られる事になった。 セビーリャ大学で13人の学生と1弁護士逮捕される。
先週金曜日にセビーリャ大学の学長室を襲撃したかどで、同大学の学生13名と革新系労働組合CGTの弁護士が昨日警察に逮捕された。この一連の騒動の発端は、セビーリャ市役所前に学生らによって設置されていたLOU(大学基本法)に反対するキャンペーン施設を警察が武力で強制撤去しようとした事に対する学生側の抗議行動から始まった。当時セビーリャ大学の学長室で、大学運営機関が、多くの反対運動の末に今年1月から施行されたLOU(大学基本法)の適用に関して話しあっていたところへ、40名ほどの学生が警備員などの制止を振り切って乱入した。この際、大学内の由緒ある18世紀に作られた扉などを破損した。警備モニターに記録された映像をもとに学生を逮捕するというやり方に対して、学生側やCGTなどから批判があがっている。 政府は麻薬・アルコール消費を防ぐための必須科目の導入を検討。 若者による麻薬やアルコール消費とその弊害を取り締まる国家機関の発表によると、政府は現行の教育基本法に規定されているカリキュラムでは「麻薬やアルコールの消費を防いだり、正しい性教育など、若者の健康と健やかな成長をはかる」事は不充分であると考えており、この目的のために新たに必須科目を導入する事を検討している。
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2月13日(水) 政府、公道での飲酒を禁止 公道や広場などで若者が週末に集まって飲酒歓談する現象ボテジョン"Betellon"が最近取り沙汰されている。特にマドリッド中心地では住民からの苦情が殺到し、それに対しマドリッド市は市警察に加えて国家警察まで動員して、ボテジョンの行われる主な広場への若者の侵入を武力で禁止するという強攻策に出ていた。先に発表された麻薬類取締国家機関の調査によると、14歳から18歳の若者の内78%が飲酒経験を持ち、42%が飲酒によって酩酊した事があり、22%は毎週泥酔しているとの回答が得られている。 この様な状況の中、政府は公道での飲酒を禁止する法案を発表した。現在、公道での飲酒規制は各自治州の法令に委ねられているが、この法案では国家レベルで公道での飲酒を完全に禁止する方針。またこの法案は、未成年への酒類の販売に対する刑罰を重くする事や、禁酒法を犯した未成年に対する刑罰に「教育刑」制度を採用する事を盛り込んでいる。飲酒運転をした若者には、飲酒運転による交通事故で前身・半身不随になった人を収容する施設での労働を、泥酔して公共施設を破損した若者には公道清掃の労働をさせるなど、未成年の飲酒を大幅に軽減する事に成功した米国で採用されている「教育刑」制度を参考にする意向。 マドリッド州南部の地下鉄"メトロスールMetrosur"線、2003年4月開通予定 マドリッドの地下鉄は州知事ガジャルドン氏の肝いりで近年目覚しい発展をとげている。地下鉄プロジェクトの目玉とも言える"メトロスール(Metrosur)"線の建設が着々と進んでいる。マドリッド南部のベッドダウン5都市:モストレス、フエンラブラダ、ヘタフェ、レガネス、アルコルコンを繋ぐ全長40.5kmの環状ラインの内、35kmは既に完成済みで、来年4月開通を目指している。マドリッド州南部に位置するこれら5都市の90万近い住民は、現在マドリッド市への通勤通学の為にバス、鉄道、地下鉄を乗り継がなければならない。このメトロスール線が完成すると、通勤・通学時間が大幅に縮小される事になる。またこれら都市間の移動も、現在は一旦マドリッドへ出てその後別の都市へ行かねばならない場合がほとんどだが、このラインが完成すれば、一都市から別の都市への横の移動の為の時間も驚異的に短縮される。26億ユーロ(四千三百億ペセタ)を投入して建設するこのメトロスール線の完成で90万近い人々の貴重な時間が節約される事になる。 イランで墜落した飛行機の乗客117名の内4名はスペイン人でファゴール社社員 昨日イランの首都テヘランからジョラマバードへ飛行中だったイラン航空機が着陸直前に山岳地帯で山肌に激突し、乗客乗員117名が全員死亡した。原因は未だ究明されていないが、深い霧で視界が非常に悪い状況の中、何度もジョラマバード空港に着陸を試みていた最中の事故と見られている。117名中の4名のスペイン人は、全員がバスク地方のモンドラゴン、マルキナ、サン・セバスティアンなどに工場を持つ会社ファゴール社の社員で、イラン側取引先との契約提携のためイラン国内を移動中だった。幹部4名を一挙になくし大きな打撃を受けたフォゴール社は、会社全体を休業とし喪に服している。 昨年7月ロシアのイルクーツク付近で墜落し、143名の犠牲者をだした飛行機事故は記憶に新しいが、今回のイラン航空機も同じ機種、ロシア製"ツポレフ154"だった。 ロシア製の530機の"ツポレフ154"が現在も稼動中だが、その就航から現在までに28機が事故によって失われている。
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2月12日(火) 1996年以来初めて失業率上昇、13%に近付く。 INE(国立統計局)が行った2001年最終四半期の労働人口調査によると、1996年以来初めて失業率が上昇した。1996年3月総選挙でPSOEをおさえてPP国民党が勝利し政権に着いた時、第1四半期の失業率は22.91%という高い数字だった。その後失業率の数字は97、98、99年そして2000年と下がり続け、雇用創出数の推移と共に、アスナル政権の経済政策を評価する材料の一つとなっていた。しかし失業率減少のカープは昨年半ばあたりから減速し横這い状態となり、12.77%という昨年第3四半期の数字で底をつき、第4四半期では12.96%という数字で6年ぶりに上昇するに至った。雇用創出の数字も99年70万を最高とし、2000年60万、2001年には25万と下降しており、スペイン経済の減速を表わしている。 断る権利と暴力? 先月末、バルセロナのマレ・マグヌム水上歓楽街のディスコに入ろうとしていたエクアドール人パチェコ氏が、入店を拒否され、ガードマンとの争いの末、暴行され水中に投げ込まれて死亡した事件以来、ディスコやパブなどの「客を選ぶ権利」の行使の仕方と、ガードマンがどこまで暴力をふるっていいのかというテーマが物議を醸していた。そんな中、カナリア諸島のランサロテ島南部の歓楽街プンタ・リモネラにあるディスコ・アルモニアにおいて類似した事件が起こった。付近在住のモロッコ人青年2人が入店しようとしたが、コロンビア人のガードマン2人に拒否され、それに反発したところ争いとなり、そこにコロンビア人の客2名が加わり、結果的にはモロッコ人青年の一人が死亡、もう一人が重傷を負った。警察は4名のコロンビア人を逮捕し事情聴取をしている。ランサロテ島を始めカナリア諸島は、ここ数年アフリカからの移民が急増しており、この事件の背景には、店側の「客を選ぶ権利」に加えて、コロンビア人とモロッコ人という民族間の派閥争いという要素も見え隠れしている。 「オペラション・トリウンフォ」の最終選出者3名決まる! 10月22日から3ヶ月半の間、一般から公募された16名の「スター」を夢見る若者と、それを指導する教授陣が、「タレント養成アカデミー」で寝食を共にして合宿し、最終選考で3名を選ぶまでの課程を、テレビカメラを通して視聴者が共有する番組「オペラション・トリウンフォ」。この最終選考が昨日放映され、3名が選出された。1位はグラナダ出身のロサさん20歳、2位はアルメリア出身のビスバルさん22歳、3位はカンタブリア出身のブスタマンテさん19歳と決まった。この番組の選考は全て視聴者からの携帯電話からの通話、および携帯メッセージの投票によって決まるので、最終選考に残った若者達の出身地では村ぐるみ街ぐるみでの応援運動が起こっていたケースもあった。この番組は、民間TV局のアンテナ・トレスやテレ・シンコでその企画を断られたバルセロナの一プロダクションのアイデアを、国営テレビのLa2(国営第2放送)チャンネルが採用し放送したところ、驚異的な反響を得て短期間に大ブレークし、ほとんどスペイン全国を巻き込んだ社会現象と化していた。その視聴者数は2月4日放送分で1千万人という記録を樹立したが、これはサッカーのヨーロッパチャンピオンリーグ決勝戦並みの数字でありその凄さがわかる。 テレフォニカ社傘下のプロダクションが製作しているだけに、番組への投票は全て906から始まる受けつけ番号(通話料金が非常に高い)へ、携帯電話から通話又はメッセージで行われる形式。この番組の中で生徒たちが歌っている曲は、タイアップしたレコード会社からリリースされ、提携契約店限定で販売され、軒並みヒットチャート上位を占めている。このようにテレビ、電話、音楽業界などなど多岐多種の業界に多くの恩恵をもたらしているこのお化け番組だが、なんといっても一番の功労は、最近民放におされ気味だった国営テレビを国民が身近に感じるようになった事と、若者が国営テレビを見る様になった事と言えるようだ。
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2月11日(月) 生徒一人当たりに注ぎ込む国の教育費において、スペインはEU内でほぼ最下位。 ちょうど1週間前、教育省が突如発表した「教育資質法(Ley de Calidad)案」はスペイン内外で世論を騒がせている。政府のこの法案は、落ちこぼれ、校内暴力、しつけの欠落、等など諸問題を抱える現在の中等・高等教育の質を改善するためには、レバリダ(卒業試験)導入や自動進級制廃止によって生徒が勉強せざるを得ない環境を作るのが先決という考えに基づいている。一方で、教育界の専門家の調べによると、生徒一人当たりにスペイン政府が注ぎ込む教育費はEU15カ国の中でアイルランド、ギリシャに次いで最下位から3番目。GDPに占める教育費の割合も1993年の4.9%から2001年の4.5%へと次第に減少しており、1996年にユネスコが調査・発表した世界教育状況で示した「GDPに占める教育費は最低6%が理想」という数字から年々遠ざかっている。 政府は予算面での充実無しで、締め付けだけで「教育の質」を改善しようとしている、と野党や教育界から批判があがっている。学生側もこの法案に対する反対運動を計画しており、まず手始めに3月7日の24時間ストを予定している。 39の偽名を使い、187回の逮捕で「新記録」樹立。 2001年度の犯罪発生率は前年度比で10.52%増加した。警察長官ホアン・コティノ氏は、この状況は「不法移民の増加」に拠るもとの分析している。内務省、与党国民党やCiU(カタルーニャ民族主義政党)などの共通した見解は、これら犯罪率の急増は、一部の不法移民の常習犯による軽犯罪多発と治安維持組織である国家および各都市の警察官数の減少という2点に起因するというもの。昨年不法移民の犯罪常習者ブラックリスト上位85名が3,561回逮捕されている。その中でもAifa M.L.と名乗る不法滞在者は39の偽名を使って187回の軽犯罪を重ね、不法移民常習犯の中でも「新記録」を樹立した。住所不定で身分を証明する書類も持たない不法移民が、すり、引ったくり、空き巣などの軽犯罪を犯して逮捕されても、判事は拘置せず書類送検だけ行い釈放し、後日のその裁判に召還するという場合が多い。犯罪者は釈放されると又すぐ別の犯罪を繰り返すという悪循環。この現状が、警察側に「無力感」を、犯罪者に「不法移民ゆえの免罪という感覚」を、そして一般市民に「不安感」を喚起していると分析するコティノ警察長官は、検察と司法警察に対して、「この種の不法移民犯罪者に対するもっと厳しい態度」を要求している。 ANELA277人の「女性労働者」枠を労働省に申請。 マフィアによる女性不法移民斡旋と売春強制労働にからむ犯罪がここ数年増加している。売春が労働の一つの業種として法制上きちんと規定されていない現状が、このような犯罪を増長させているとも言える。このような状況の中、この業種の店主で組織される協会(ANELA)は労働省に対して、来年度この業種の「女性労働者」として外国からの移民277人に対する労働許可を正式に申請した。ANELAは、合法的にきちんと労働枠を認める事がマフィアなどの暗躍や犯罪からこれら売春に従事する女性労働者を守る事になるとしている。
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2月7日(木) ガソリンスタンド、他店の料金表示義務の遂行日迫る。 各ガソリンスタンドが自店の取り扱いガソリンの料金表示に加えて、近隣2ヶ所の他店の取り扱い銘柄/種類/料金を、その店頭に表示する義務を負う、という政令が8ヶ月の実施移行期間ををもって政府勧業省から公布されていた。まもなくその期間が切れ、すべてのガソリンスタンドは近隣2ヶ所のライバル店と連絡を取り合い、お互いに料金が変わる度に店頭表示を変えなければならなくなる。サービスステーション協会側は, 「現行又は将来の料金設定に影響を与える可能性のある同業競争者間での情報交換は,違法である」というEUヨーロッパ連合が規定する自由競争擁護規約に矛盾するものであるとして、政府にこの政令施行の中止を申し入れている。 1月の失業率5%上昇。 今年1月にINEM(職業安定所)に登録された失業者数は,76,884名で前月比4.88%の増加となった。これによって現在の失業者数は1,651,728名で、労働人口の9.68%となった。この失業率は,PP国民党が政権についた1996年以来の最高値となった。国民党政府はその経済政策が評価され、2000年の総選挙の際絶対的優勢で2期目の政権についていたが、この所6ヶ月連続失業率が上昇しており、スペイン経済の減速は否めない。 司法総評議会、カルロス「エル・ネグロ」を釈放した3裁判官の停職処分を決定。 昨日のこの欄で記述した評議会の通常議会は、裁判官3名全員を「オペラション・テンプレ」事件の裁判からはずし停職処分にする事を決定した。従ってこの大型裁判は別の裁判官が任命されゼロからの再開となる。評議会内は12対9でこの採決となったが、反対9票をいれた少数派は「最高裁において、この3裁判官に対して最高検察庁が起こした背任行為の告訴状は受理したが、起訴するかどうかはまだ決定されていない。少なくとも起訴が決定するまで評議会の採決も保留すべきである」としている。 ノーベル文学賞作家セラ氏、一人息子への遺産はミロの絵画1点。 先日逝去したノーベル文学賞作家カミロ・ホセ・セラ氏は、その遺言書で「前妻ロサリオ・コンデさんとの間に生まれた一人息子カミロ・ホセ・セラ・コンデ氏への遺産は、セラ氏とロサリオさんが一緒に寄贈したミロの絵画1点をもって十分とする。」としていた事がわかった。セラ・コンデ氏は法律上セラ氏の財産の3分の1を相続する権利を有しているが、セラ氏は遺言で現夫人マリナ・カスターニョさんを相続人として指名した事によって、今後このスペインを代表する作家の著作権を含む膨大な遺産の相続権をめぐって、まさに「小説のような」係争が予想される。
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2月6日(水) 司法府総評議会、本日「エル・ネグロ」を逃亡させた3裁判官の進退を決定 麻薬密輸組織の主犯格のカルロス「エル・ネグロ」を公判間近に仮釈放し、その間に逃走されるという事件が昨年末に起こった。この釈放を決定した全国管区裁判所の3人の裁判官の裁定が合法なものであったかどうかの審査を司法府総評議会内の懲罰委員会が進める一方、最高検察庁から最高裁にこの裁判官達の背任訴状が提出され、同裁判所に同裁判官が喚問、事情聴取されている最中であった。本日、司法府総評議会通常審議会でこの3人の裁判官がこの「エル・ネグロ」を含む37人の被告を裁く大型裁判「オペラション・テンプル」の担当を続けるかどうかを決定する。評議会の大勢はこの3人の裁判官をこの事件担当から退ける方向にあると見られるが、一部では最高裁の判決を待ってから評議会の決定を下す方が賢明との意見もある。いずれにしても、この3裁判官が停職処分で担当をはずされると、この事件のこれまでの審理は一切無効となり、新たに任命される裁判官によってゼロから再開される事になる。1999年7月の逮捕から既に2年半が過ぎており多数の被告が拘置所で公判開始を待っている状況もあり、今日の裁定が注目されている。 ガルソン判事、「ハライ」、「ヘストーラ」の代用組織の不法性を裁定。
セギ(Segi)とアスカタスナ(Askatasuna)を調査していた全国管区裁判所のガルソン予審判事は、この両組織が、ETAとの関わりによる不法性を摘発されたそれぞれの前身組織であるハライ(Jarrai)、ヘストーラ・プロアムネスティア(GestoraProamnistia)と同様、ETAに深く関わりテロリズムを幇助する違法組織であるとの判決を下した。セギはETA青年部隊でテロリズム養成機関。ヘストーラはETA指導部の司令をスペイン内外の刑務所に服役中のETAメンバーに伝達すると同時に彼らがテロ集団から脱退するのを妨げる為の機関。名前はかわってもそれぞれの持つ任務はその前身組織であったハライ、ヘストーラと全く同じであり、不法であると説明。 「パサレラ・ガウディ」、独自のバルセロナ・ファッション守るため「パサレラ・シベレス」との統合を拒否 スペインのファション界の中心はどこかというテーマで「パサレラ・シベレス」に代表されるマドリッドと「パサレラ・ガウディ」で長い歴史を持つバルセロナの業界が火花を散らしている。EU内においてスペインモード界の中心をマドリッドとし、そのファンション祭典の2大巨頭「シべレス」と「ガウディ」を統合し、その力をさらに大きくしようとする動きがある。これに対し、古くからアパレル産業を興し独自のファッションを創造してきたカタルーニャモード界は、「ファッションとは国単位で生まれるものではなく、その地域から発生するものであり、バルセロナは国際シーンにおいても通用するだけのデザイン、生地、縫製など各種産業における十分な伝統と実績を所有している」とマドリッドとの統合に反対している。そんな中、昨日、政府商業省政務次官フアン・コスタ氏が前触れもなく突然「パサレラ・ガウディ」の会場に現れ記者会見を始めたことに対して、「パサレラ・ガウディはバルセロナ見本市とカタルーニャ自治州とバルセロナ市が出資・組織している祭典であり、資金面だけでなく中央政府からは一切の援助はない。その中央政府高官がわれわれ主催者側に何の連絡もなく訪れ、我が物顔に記者会見を開くとは失礼だ。」と主催者代表のパコ・フラケ氏はコメントしている。
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2月5日(火) 政府、教育改革法案に「卒業試験」を再導入。
昨日教育省政務次官イサベル・コウソ氏によって政府の教育改革法案が発表された。多くの物議をかもし、全国規模の反対運動を推し切り、実力行使で国会を通過させ、去る1月1日から「大学基本法」を発効させた政府は、次いでこの度は初等・高等教育制度の改革を図るためこの法案を提出した。主要改革点は3点:1)日本の高校に当たるバチジェラト(Bachillerato)課程を修了するためにはをレバリダ(Revalida)と呼ばれる「卒業試験」を受け一定の点数に達しなければならない。この資格を取得しないと大学進学は不可能。この卒業試験制度は1970年まで存在したがその後の教育改正で撤廃されていた。2)高等教育課程(ESO)の自動的進級を廃止し各学年に最終試験を導入しこれに合格しなければ留年させる。ESO課程の自動進級は、近年行われた大規模教育法改革の中で導入されていたものだが、これを再び撤廃する形となる。3)ESOの最終課程(生徒の年齢14歳)の時点で将来の希望によってその進路教育課程を選択させる。バチジェラトを経て大学進学か、職業専門(FP)課程へ進むか、ESO終了後就職するかの選択肢から選ぶ事となる。 ウエルバ司教、ゲイ司祭を聖職から追放。
先週金曜日に自らがゲイである事をゲイ雑誌「ゼロ」、カデナ・セール(ラジオ)やCNN+(テレビ)に発表し注目を浴びているウエルバ県のバルベルデ・デ・カミノ司教区のホセ・マンテロ祭司に対し、昨日ウエルバ司教は、「マンテロ司祭本人と連絡がとれない状態であり、直接話し会う事が何より先決であるが、彼の行った行為に対し今後カトリック教会の聖職から退いてもらう事は明白。」との声明を発表。 児童虐待が急増、1000人に一人の子供が虐待を受けている。 去る日曜日にベニドルムで8歳と11歳の我が子二人を殺害した後自らも投身自殺をはかった43歳の父親は、前もってこれを計画していた事が、残されていた手紙によって判明した。このマリアノ・アロジョ氏43歳は窃盗などで前科のある凶暴性のある男性で、前妻ホセフィナさんが離婚調停の手続きを始めた頃から彼女を非難・攻撃していた。アロジョ氏は離婚後養育費を支払っておらず二人の子供達に会うことができない状態だったが、この週末初めて子供達と過ごす事が認められていた。残された手紙によると、彼は子供達と再会できるこの週末に「犯行と自殺」を決行する事を事前に計画していた模様。自分から離れていった妻と子供達に対する恨みからこの犯行に及んだと見られる。日本でも最近急増している児童虐待だが、スペインでもここ数年急増しており、1998年には虐待による死亡は3名だったが2001年には18名の死亡者が出ている。毎年1000人に一人の児童が虐待の被害を受けている。
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2月4日(月) マドリッド州、ヘタッフェ市内バーで2少年、ガードマンに刺される? マドリッド州南部に位置するへタッフェ市で、バーのガードマンとの論争の末、二人の少年が刃物により刺される。事件は日曜日の3時15分頃、少年グループを店より追い出し、それに対する抗議がエスカレートし、数に敵わないガードマン側は応援を呼んだ事が更に拍車をかけた模様。その間少年側は警察に通報するが、一人は6ヶ所の傷を負い重傷、他の一人は軽傷らしく既に退院、又加害者は逃走と言う結果。警察広報によると、容疑者は絞られているようだが、現在未逮捕のとのこと。 ゴヤ賞授賞式 昨ニ月ニ日、スペイン版アカデミー賞の受賞式が行われた。 映画 'Los otros'が、8部門でゴヤ(アメリカで言うところのオスカー)獲得。監督である、アレハンドロ アメナバル氏自身も最優秀監督賞と最優秀脚本賞の栄冠に輝く。氏の前々作'Tesis'でも7部門で受賞しているので、弱冠29歳にしてスペイン映画界の大御所??とも呼ばれる地位に。この'Los otros'の特殊な点は、スペイン製作ではあるが、英語で話しが展開されるところであろう。 バスク自治政府、EUへの直接参加を模索 昨年末の中央政府の拒否によって凍結状態にあったバスク−スペイン中央政府間の経済協定ヘ、バスク州知事合意ヘの道を示唆。バスク自治体のEUへの直接参加を加えて交渉してきた同経済協定ではあったのだが、自治政府側には、今回完全にEU問題を切り離して同意する準備がある模様。しかし、条件として各州政府のEUヘの直接参加についての討論を中央政府が認める事を要求。これまで、中央政府はこの参加については、否定的姿勢をまもっているのだが、政府与党の最近の党会議において、ガリシア地区代表が、直接自治体に関係のある案件には自治体の参加を主張する場面も。
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