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1月31日(木)

CiU(カタルーニャ民族主義政党)党首プジョル氏、政府与党からさらに遠ざかる。

かつてPP国民党と政治協定を結んでいたCiUの党首プジョル氏は、このところアスナル氏からの中央政府入閣の誘いを断るなど、国民党との不協和音を目だたせていた。 この度、先に可決された「予算安定法」(通称"赤字ゼロ"法。各地方自治州に対してその年間予算収支で赤字を出すことを禁止する法律)に関して、この法律は憲法に規定されている地方自治州の自治政治権限を侵すものであるとして憲法裁判所に訴える旨を表明し、さらにアスナル氏との距離が広がった事を示唆する形となった。 さらに、プジョル氏は、昨日ビルバオにおけるPNV(穏健派バスク民族主義政党)とCiUとの共同声明で、先の国民党大会でアスナル氏が提言した全国の市町村レベルの政治権限拡大に関する政治協定は、市町村レベルへの移譲という形によって自治州の政治権限を縮小しようとするものであり、全国レベルの非民族主義政党である国民党と社会党が連帯して、その協定から民族主義政党であるPNVやCiUを追い出そうとするものであると批判した。

バルセロナのガス漏れ爆発で死者2名、行方不明1名

昨日15h45ころバルセロナのオルタ地区で起こったガス漏れによる爆発で、死者2名、怪我人5名、行方不明1名の犠牲者が出ている。 この爆発は築30年の住宅郡一画の1階にある住居でのガス漏れによって引き起こされてと見られているが、爆発によって16世帯が入る4階建てのビルがほとんど全壊した。救助活動の中で、崩壊した瓦礫の中から救出され病院に収容された人もいるが、現在までのところ、死者2名行方不明1名が報告されている。

バレンシアで、さらに7台の車が放火される。

ここ最近バレンシア市内では夜間路上に駐車されている車が放火され全焼するという事件が多発しているが、昨夜また7台の車が放火された。これで今週になって16台、今月30台、ここ1年間合計60台の車が放火された事になる。警察当局は「この車の放火事件の急激な増加は、他の都市には見られないバレンシア市だけでおこっている現象で、憂慮すべき事である。犯人割り出し努力にもかかわらず今の所まだめどはついていないが、4−5人で構成される複数グループの犯行ではないかと見られている」と発表している。住民は、ここ2年ほど前から増えているこの種の事件に対処するべく、夜間警戒態勢の強化などをバレンシア州や警察当局へ申請しているが、野党社会党などは警戒にあたる警察官の数の不足やバレンシア市当局の現状認識不足などを批判している。車の放火事件だけでなく、ここ数年バレンシア市の犯罪率増加は目覚しく、マドリッドやバルセロナの大都市のそれに迫っている。

ワーナーブラザーズのテーマパーク、2ヶ月後にマドリッド近郊にオープン予定。

マドリッド郊外のサン・マルティン・デ・ラ・ベガに三億八千万ユーロを投入してタイム・ワーナー社が建設中のテーマパークが3月末に完成の見こみとなった。 150ヘクタールのスペースの中には、遊園地を始めHollywood Boulevard, Super Heroes World, Warner Brothers Studio, Cartonn Village, Old West Territory、駐車場などが建設されている。このテーマパークの営業により1600にのぼる雇用が創出され、人口一万一千ほどのサン・マルティン・デ・ラ・ベガの地域開発に大きく貢献すると期待されている。タイム・ワーナー社のノウハウをスペインに適用する初のケースなので、パーク内の表示は、トイレの表示と一部案内以外は、全て英文で表示されるとの事。スペイン各地からやってくる老若男女がDonde esta "Cartoon Village?"とかQuiero ir a "Old Territory"と言って(スペイン語なまりの英語を連発して)、果たして問題なくコミュニケートできるかは、まずは「試金石」といった所かと見られている。


1月30日(水)

社会党、司法協定の存続の為に、司法審議委員会における多党性確立を要求。

去る1月23日に司法審議委員会が選出した4名の最高裁判事全てが保守派の推す候補から選出された事実に対し、PSOE社会党内部から批判が起こっている。司法審議委員会の理事のうち60%は政府与党PP国民党から推薦されたメンバーで占められている現状と、その審議会によって先週選出された最高裁判事4名が全て保守系候補で占められ、革新系の候補が一人も任命されなかったという事実には、審議会内部の多党性を比例代表するという民主的理論が反映されていないとして、社会党は次回のPPとの司法協定を検討する定例委員会で、PPおよび政府に対して「司法協定の尊重と司法権の最高権威である司法審議委員会内の多党性の確立」の確約を要求する意向である。
一方政府のアセベス司法相は、「司法権の最高権威である司法審議委員会の採決に対して政府は一切関与していない。三権分立の原則に反して、政府や政党が司法審議委員会の評決に干渉するべきでない。」と"正論"でかわしている。

カトリック教会権威はバジャドリ司教を擁護

全国管区裁判所で審議されているヘスカルテラ事件(金融スキャンダル)の捜査の一環として、担当のパラシオス判事は、バリャドリ司教に対して2001年度の資金運用内容の提出を命じていた。また検察側の捜査によって明らかになった、同司教区の1996年から1998年までの3年間の教会管財人の記録とヘスカルテラへの実際の投資額との間に大きな食い違いがある点の説明も、パラシオス判事は司教側に求めていた。バリャドリ司教はこれらの要求を拒否すると同時に、1979年にスペイン国家とバチカン法王庁の間で締結された"カトリック教会と国家協定"に則って裁判所側を訴えるという態度に出ていた。その後裁判所側がこの「控訴」を全面拒否した所、司教は態度を一変して、現在は「裁判所が必要とする全ての書類を提出し、事件解決のために裁判所が必要とする捜査に全面協力する」という姿勢を表明している。この状況の中、昨日開かれたスペイン教会常任委員会定例会議の中でロウコ枢機卿は、今回のヘスカルテラ事捜査の件はあくまでも "一司教区の出来事" としながらも、「1979年にスペイン国家とローマ法王庁の間で締結された協定の第1条は、スペイン教会はその所有する書類に関するスペイン国家からの干渉を拒否するという権利を、保障している。従って、いずれかの教会がスペインの司法側に書類提出を要求された際は、それを拒否する権利がある。」とコメントした。

暴行された末海へ捨てられたパチェコ氏の直接死因は水死!

先週土曜日の夜、バルセロナ港の"水上"歓楽街Mare Magnumのディスコ"Caipirinha"へ入ろうとして拒否され、抵抗したところディスコのガードマン4人に暴行された末海に放り出されたエクアドール人ウィルソン・パチェーコ氏の死体が、翌日日曜にバルセロナ港で発見された事件を捜査中の警察当局は、司法解剖の結果直接の死因は水死であることを発表した。また4人のガードマンがパチェコ氏に暴行を加えている模様は全てこの施設に設置されていた監視カメラに映っており、そのビデオを押収したと発表。この検死結果によってガードマンへの起訴罪状は「殺人と死体遺棄」ではなく「傷害と救助義務放棄」だけとなった。このディスコは以前にもカードマンによる同様の傷害や殺人未遂によって訴えられており、特に南米などからの外国人移民の入店拒否と暴行などが多発しており、店自体の閉鎖を各種団体から申請されていた。


1月29日(火)

PSOE住民直接選挙による市町村長選出を提案。

先の第14回PP党全国大会で党首アスナル氏によって提示された市町村など地方政府の政治権限拡大案に対して、PSOE社会党は政府与党とこの件に関し 交渉する意思のある事を表明。地方政府改革に関する社会党の提案は住民による市長村長の直接選挙、マドリッドやバルセロナのような大都市で、IT関連やエネルギー・サービス関連企業を対象とした新しい直接税の導入、国家予算や地方自治体予算からへの市町村補助枠創出などを組み込んでいる模様。

エスコンブレラの化学肥料工場ガス流出の杜撰な貯蔵システムに起因する?

週末土曜日からムルシア州カルタヘナ近郊のエスコンブレラの工業団地にある化学肥料工場フェルティベリアの貯蔵庫から大量のガスが流出。市や州当局は緊急体制を敷き、ガスの鎮火に務めると同時に付近住民に外出を控えるなどの注意を呼びかけていた。近郊の住人は目、喉、皮膚への痛みや不快感を訴え14名が病院で手当てを受けた。ガスの主成分は塩化アンモニアで人体に有毒ではないが結膜などの粘膜、鼻や喉、そして長時間触れると皮膚にも炎症を起こす。工場側の科学者を含む専門家は、貯蔵庫内にあった硫化アンモニア、塩化カリウム、塩化アンモニアなどが空気中の酸素と自然に化学反応を起こして"燃焼"し、この種のガスが発生する事は考えられないとし、この現象に戸惑っている一方、ムルシア州知事をはじめ当局筋は工場側の杜撰な貯蔵システムに原因があるのではと示唆している。いずれにしても現段階では原因は不明。

マドリッド市は美容整形手術中に患者が死亡したエステティックサロンを強制閉鎖。

先週金曜日、マドリッドのエステティックサロンIcemaで"メソセラピー"施術を受けていた38歳の女性は、突然痙攣を起こした。この手術を担当していた医師と看護婦は救急車を呼んだが、救急隊が到着したときにはこの女性は既に心不全で死亡しており、施すすべはなかった。警察の調べによると、このエステサロンIcemaは営業に必要な2種類のライセンス(マドリッド州保険機構認定とマドリッド市の認可)のいずれも持っていない状態で、全くの違法営業を行っていた。
"メソセラピー"は太さ4ミリほどの針を数本組み合わせ、注射で薬品を皮膚(真皮内)に注入するエステでよく使用される方法。この治療は麻酔を使用しないため、整形外科医など専門医の資格がなくても医学部をでてエステの講習を受ければ誰でも行う事ができるという現況を、スペイン整形美容外科医師会会長のラモン・ビラ氏は多いに憂慮している。


1月28日(月)

イバーラ氏VS大地主

エストゥレマドゥーラ州知事イバーラ氏は、雇用を創出しない大規模農園にはEUからの援助金を給付しない政策方針を表明。2001年にエストゥレマドゥーラ地方に給付されたEUからの農業振興補助金の40%はこの地方の耕作地の4%を所有する地主によって占められた。これら農場主の大半は農業以外の経済活動を他の地方で行っている銀行家、建設業者、貴族などで、かつての大土地所有者が税制上所有地を細切れに登記し、国の優遇税制やEUの農業補助政策の恩恵を不当に受けているとし、イバーラ州知事はこの度、エストゥレマドゥーラ州議会に特別委員会を設置し早速実態調査を開始させた。EUは数年前から"Modulation"と呼ばれる査定システムによって補助金給付対象を選出するように推奨し、フランス、ポルトガル、イギリスなどで既にこのシステムが導入されているが、スペイン政府は1999年9月に下院でこのシステムの導入が認可されたにもかかわらず、未だにシステム導入が据え置きのままになっていた。この現状に痺れをきらせたイバーラ州知事が一石を投じたもので、既得権の上に安住してきたかつての大土地所有者・貴族などの反発は必至と見られている。

フランスのポー郊外でETAの秘密基地見つかる

フランス警察は昨日スペイン国境近くのポー近郊でETAの重要な秘密基地であったと見られる家屋を発見し、1150キロにのぼる火薬類、武器、弾薬、盗難車、盗難バイクその他の爆弾や車爆弾を作る為に用いられていたと見られる材料を押収した。ここはETAが最近行った様々な爆弾テロの「武器」製造基地として使用されていた模様。2000年3月にフランスのグルノーブルで盗まれた1600キロの火薬の一部も押収された火薬の中に見られ、最近ETAが送りつけている小包爆弾の製造に使用されていたと見られる。

アスナル氏の後継者議論正式に始まる

日曜日に幕を閉じた第14回PP全国党大会で3000人の党代表者を前に、アスナル党首は三度目の首相候補出馬は無い旨を再度正式に表明。これによって2004年度の総選挙にはアスナル氏以外の首相候補を擁立して臨む事が確定した。その候補が誰になるのかは特定されていないが、第一線には、現経済大臣ラト氏、前内務大臣マジョール・オレハ氏、現内務大臣ラホイ氏の名前が並び、それとは別にアレナス現党書記長、現法務大臣アセベス氏の名前も最近急浮上している。

「新たなるテロ」計画ビデオ見つかる

昨年9月11日の米国同時テロ勃発の6日前にマドリッドで消息を絶ったアル・カイーダ所属のテロリスト、ラムジビンアルシブ氏の映るビデオがこの度米国警察当局の手によってアフガニスタンで発見された。9月11日テロの自爆パイロットの1人として計画に名を連ねていたラムジ氏は、今回発見されたビデオの中で新たなるテロを予告している模様。このビデオはアル・カイーダのテロ驚異が存続していることを証明するものとして、米国警察当局はスペイン国内にあるのアル・カイーダテロ組織から押収した証拠物件の調査を続けている。


1月25日(金)

PP、女性と失業者に有利な税制改革を提案

本日午後より中央政府与党PPの第14回全国党大会が始まる。
PPでは、これからの税制改革の目玉に、女性と失業者に有利な措置を挙げている。PPが政権を取って以来、スペインの出生率が最低になり、失業率が上昇した事で、税制面からのてこ入れを考える。中央政府では、夏前にも改革草案を国会に提出し、来年の1月1日を目途に施行に移したい意向。
出生率に関しては女性の就業状況や経済的な負担もあり、低下の一途をたどっているが、今回の改革では出産した女性、及び3歳未満の子供を持つ女性に臨時給与の支払いや税金支払い時の控除額を高く設定するなどの措置を打ち出している。これは母親が働くために子供を保育園に通わせたり、ベビーシッターを雇ったりと大きな出費が認められる時期であることを考慮に入れた施策となっている。
また、失業者対策では再就職を促進するために、失業手当受領期間が満了する以前に就職した場合でも失業手当の一部を受け取り続ける事ができるとする。これは、再就職先がみつかっても給与より失業手当の額が高いと就職を拒否するケースが多く、失業期間が長期にわたるのを避けるために考えられたものである。

アセベス法相、CGPJの最高裁判事選出に対するPSOE批判をかわす

水曜日に司法審議委員会(CGPJ)が選出した最高裁判事4名が全て保守派からの候補者であったことを受け、CGPJの革新派をおすPSOE、IUなどから、先日司法改革のために与党PPとPSOEの間で締結された司法協定に反すると抗議している件につき、「民主主義にのっとった選出がCGPJの存続を危機にさらすことは全くもって誤りであり不当である」とアセベス法相が反論している。
PSOEのカルデラ広報官が、早急に司法協定の継続に関して臨時委員会を開く事を要求している事に対して、予定通り2月に開催する事はかわりなく、協定の存続や法曹界から提出されている課刑システム改変、裁判の迅速化の法制化などについての草案を協議するとしている。

国家警察のヘリコプター墜落、3名死亡

本日午前11時過ぎ、国家警察のヘリコプターがマドリード近郊のヘタフェ市付近の空き地に墜落、乗っていた警察官3人が死亡した。
この日、定期点検のためにセビージャの基地を飛び立ったヘリコプターはマドリードのクアトロ・ビエントス基地に向かっていた。基地から100メートルほど離れた所に墜落した事故機は深い霧につつまれ、視界不良であったために操縦を誤った可能性があるといわれている。
ヘリコプターを操縦していたのは国家警察ヘリコプター部隊の創設者である最も経験豊かなパイロットであり、乗っていた2名も、ヘリコプターの教習官と技術者であった。 ヘリコプター事故は今週に入って2度目。


1月24日(木)

初の女性最高裁判事が任命されるもCGPJの保守派、革新派の対立が際立つ

昨日、司法審議委員会(CGPJ)は最高裁判所の新判事4名を任命したが、この任命方法につき、革新派から司法協定を犯すものであると糾弾されている。
今回の任命では初の女性判事が誕生すると話題に上っていたが、CGPJ内では保守派と革新派がそれぞれ判事候補を挙げており、保守、革新の割合に応じて任命されると考えられていた。ところが、PP及びCIUが後ろ盾となっているCGPJの保守派委員は数の上でPSOEやIUなどが擁護する革新派委員を上回っているため、4人の新判事全てを保守派候補から選出してしまった。
先日CGPJの機構改革の際には、司法の近代化、独立性を保つことを理念に挙げ、司法協定によって政権の御用委員会とならないことをめざしていただけに、革新派からは双方の対話もなく一方的に政府の意向を反映した任命であると厳しい批判が出ている。

ETAのメンバー、またフランスで逮捕される

昨日フランスのタルタ地区の路上で、パトロール中のフランス警察がETAのメンバー1人を逮捕した。 午前9時半過ぎ、路上に駐車中の自動車の中と外で話しをしていた2人に不審を抱いたフランス警察が身元確認をしようとしたところ、外にいた1人がピストルを抜き、警察官と向き合うかたちとなった。そのすきに自動車は逃げ去り、結局ピストルを所持していた男だけが逮捕された。
男は偽造身分証明書を提示したが、スペインの内務省に送られた指紋と写真照合によってETAのメンバーのアルベルト・レイ・ドメルク(31歳)であることが判明した。レイは青年時代に初めて逮捕され、その後ETAのメンバーとの接触、爆発物製造などによって再度逮捕され服役。出所後は1997年にETAの正式メンバーとなり、"コマンド・ドノスティ"に所属、1999年の休戦時期に"コマンド・マドリード"にはいり、休戦終了直後の軍人殺害テロに参加したとされる。また、マドリードにおいて2000年に起きた爆弾テロに関係しているとも推測されている。

アトーチャ弁護士殺害事件より25年

1977年の1月24日に起きたマドリード、アトーチャ通りの弁護士殺害事件は今年で25年となる。長い期間にわたって人々の記憶に刻まれてきたこの凶悪な犯罪をふりかえり、今年は様々な行事が企画されている。
事件は、フランコ独裁時代から民主主義へと推移していく移行時期に起きたもので、フランコを信奉する極右青年3人組がそれまで認められていなかった社会主義、共産主義に深く関係を持つ労働専門弁護士事務所に押し入り、5人の弁護士を射殺、4人に重傷を追わせた、という悲惨なものであった。結局、実行犯3人は逮捕されたものの、1人は判決が下る前に週末の外出許可を利用して逃亡それ以来行方不明となっており、、1人は服役中に法律を学び、刑が軽減され92年に出所、残る1人は刑期の途中でパラグアイへ移住、その後麻薬の密売によってボリビアの刑務所に収監されている。
その当時の社会党党首であったサンティアゴ・カリージョは、決して忘れてはいけない事件である、と語る。一切の変革を拒否し、自由、民主主義を否定したフランコ支持者たちと相対してきた左派、労働組合の歴史こそが現在の民主主義を確立しているものである、とし、この事件がきっかけとなって、民主主義が加速したとコメントしている。


1月23日(水)

政府機密費横領事件に関する判決下る−元閣僚2人は無罪

昨日、マドリード地方管区裁判所にて、7年間の審理を終え、政府機密費横領事件に関する判決が言い渡された。当時の閣僚や警察長官や公安関係者などが絡んだ公金の使いこみ事件において、バリオヌエボ及びコルクエラ元内務大臣に無罪、ラファエル・ベラ元国家公安局政務次官に懲役7年、ロドリゲス・コロラド元警察庁長官に懲役6年、サンクリストバル元国家公安局長に懲役4年、アルバレス元テロ対策局長に懲役11ヶ月、イニャキ・ロペス元ビスカヤ県知事に懲役10ヶ月を申し渡した。
判決では、元内相2人を無罪とした理由につき、公金を使用して私服を肥やしたことに対する認識があり、それを認めていたかどうかという点で、その疑い、可能性はあるが、確証はないとしている。そのため、両人が公金を横領したと断定する事はできず、無罪を宣告する事となった。
この判決により、有罪を宣告された5被告は横領したとされる金銭の総額400万ユーロの返還が課される。

CGPJ、バスク地方に赴任する裁判官の特別な保護策を承認

昨日、司法審議委員会(CGPJ)の臨時会議において、バスク地方に赴任している裁判官たちの安全を守るために、特別な保護措置を講じることを決定した。これは、現在、テロの脅威によって司法の遂行に大きな障害が生じているためで、昨年11月にホセ・マリア・リドン裁判官がETAに殺害されて以来、裁判官の勤務時間や休暇に融通をきかせること、、厳重な警備体制にある別宅を用意することなどの措置が挙げられている。
バスク地方では、テロリズムの脅威により、バスク以外の土地に転勤を申し出る裁判官があとをたたず、10人の欠員のうち2人しか補充できていないのが現状である。
CGPJではバスク州政府に対しても裁判官を守るための対策を早急にたてるよう要請している。


1月22日(火)

麻薬密輸犯を釈放した3裁判官、審理から外れることを決定

全国管区裁判所第4法廷の裁判官3人は、現在係争中である大規模麻薬密輸事件"テンプル・オペレーション"の裁判から退く事を決め、他の裁判官の手に委ねる事とした。
カルロス・セソン、フアン・ホセ・ロペス・オルテガ、カルロス・オジェロの3裁判官は、同事件の主犯格であるカルロス・"エル・ネグロ"の保釈を認め、その後同被告が逃亡した件について、職務違反容疑で最高裁に起訴されている。これら3裁判官は、起訴が受理された時点では裁判の延期及び弁護人からの忌避を拒否し、審理を継続する事を明らかにしていた。しかし、18日になり、麻薬対策検察局が担当裁判官忌避の申し立てをすることを3人に告げ、自ら辞任することを促したがそれを拒否、そのため、正式にその申し立てがなされ、当該審理からの担当を外れることを余儀なくされた。と同時に司法審議委員会常任理事会でもこれら3人に対する職務停止手続きの審査を開始した。
裁判は1ヶ月の期間をもって新たな裁判官のもとで再開される予定となっている。

マルシジャック氏、ガンにより逝去

昨日午後4時ごろ、長年わずらっていたガンによりスペイン演劇界の重鎮アドルフォ・マルシジャック氏が自宅にて逝去した。73歳だった。
バルセロナ生まれの同氏は俳優としてだけでなく、監督、作家など幅広く活躍し、演劇に向ける情熱は計り知れないものであった。映画出演、舞台での活躍だけでなく、60年、70年代にはテレビ放送の草分け的存在として人気を博した。その後、国立演劇センターの設立に奔走し、国立舞台・音楽芸術研究所の校長、古典演劇ナショナル・カンパニーの監督などを歴任した。
弔問のための祭壇はテアトロ・デ・ラ・コメディア(コメディー劇場)に設置され、アルムデナ教会で火葬される。生前の意志によりその遺灰は地中海にまかれることになる。

軍のヘリコプター墜落、3人死亡

昨日午後9時15分頃、陸軍のヘリコプターがマドリードのソト・デル・レアルの基地近くで墜落、乗っていた3人が死亡するという事故が起きた。
事故はヘリコプター2機が演習、偵察などを終えて基地に変える途中に起き、モーターの故障によるものではないかと見られている。同基地の大佐は、事故機が全ての検査をクリアしていたと伝えている。
墜落現場は火につつまれており、機体はばらばらとなって半径100メートルにわたって散らばっていた。
乗員2人は黒焦げ状態で死亡、もう1人も機体にはさまれた状態で遺体となって発見された。
本格的な事故原因の追求は省庁間で創設される事故調査委員会によってなされることとなる。


1月19日(月)

ムルシアの2幼児殺害犯は実の母親

先週土曜日未明、ムルシアで母親の目の前で4歳と6歳の幼児が家に押し入った賊に絞殺されたという事件が起きたが、その後の警察の調べで実際は母親の手による犯行である事が判明、昨日治安警察に身柄拘束され、逮捕に至った。
犯行当時、トラック運転手であった父親は不在、14歳の長男は別室で寝ており、母親であるフランシスカ・ゴンサレス(33歳)は、自衛のために持っていた目潰しスプレーを強盗に奪われ、それによって目が見えない状態にあったと証言していた。しかし、病院での検査ではフランシスカがスプレーをかけられた痕跡がなかったこと、事件直後に警察に通報したとされているにもかかわらず、現場に駆けつけた赤十字のボランティアの所見では幼児の遺体の状態からして死亡直後でなかったこと、フランシスカの手に犯行に使ったとみられるコードの痕が見られたことなど、証言と事実に矛盾が見られたため、警察で追及したところ犯行を自白した。
犯行の動機については不明な部分が残るが、犯行前に麻薬とアルコールを摂取し、意識が朦朧としていたと証言しているという。

レドンド氏、PSE幹事長選挙に立候補することを断念

バスク社会党(PSE)の新幹事長を3月の臨時総会にて選出することとなっているが、前幹事長のレドンド氏は再立候補することを断念した。
昨年末に幹事長を辞職して以来、同幹事長のそれからの動向に注目が集まっていたが、再立候補の可能性を示唆した頃から、アスナル首相との非公式会談という内部事情が漏らされるという事態に発展、同氏に対する批判が高まっていた。PSE内部の分裂があからさまになってきたところで、レドンド氏は再度の立候補を断念、そのように仕向けたPSEそのものを糾弾している。
この立候補断念の報を受けて、アスナル首相は、「中央政府首相と会食をもったことで党の要人を締め出すなど非常識きわまりない」と発言。これにサパテロPSOE幹事長が反応し、バスク社会党内部の論争に口を挟まないでほしい、と返した。

新道路交通法、本日より施行

本日0時をもって新しい道路交通法が施行された。新法では違反項目が増えており、それに対する罰則、罰金も厳しくなっている。
新しい違反項目には、運転中の携帯電話使用禁止が含まれており、違反した場合には91ユーロまでの罰金が課される事となる。違反の程度は軽微なもの、重度なもの、超重度なものの3段階に分かれており、超重度違反を犯すと最長3ヶ月の免許停止処分が下され、2年間の間に3回超重度違反を犯すと免許取り消し処分となり、再度自動車教習場に通い免許を取りなおさなければならなくなる。
超重度違反となる行為は、制限速度の150%以上の速度で走行、アルコール検査を拒否、アルコールや麻薬を摂取しての運転、逆走、公道での許可を受けない競走など。
また、バイクの2人乗りに関して、12歳以下の子供は荷台に載せてはいけない、但し、7歳以上で親や、保護者、あらかじめ許可を受けた者が運転する場合にはその限りではない、との項目が新設されている。


1月18日(金)

ノーベル賞作家カミロ・ホセ・セラ氏、85歳で逝去

昨日朝7時、ノーベル賞作家のカミロ・ホセ・セラ氏が心肺不全でマドリードの病院にて死亡した。85歳だった。以前よりペースメーカーをつけるなど心肺機能が弱っていたが、月曜日になって衰弱が激しくなったため入院した。水曜日の夜に妻のマリナ・カスターニョさんに「マリナ、愛してるよ。」「ビバ、イリア・フラビア(彼の生まれ故郷)。」と語りかけたのが最後の言葉となった。
昨日は、国王夫妻、政界人、作家仲間など数多くの人々が弔問にかけつけ、夜に入ってから、同氏のなきがらが生まれ故郷であるガリシアのイリア・フラビアへ移送され、生前に希望していた同氏が愛したオリーブの木の下に埋葬されることとなった。イリア・フラビアの町では3日間喪に服すことを発表した。
カミロ・ホセ・セラ氏は数々の著作を発表し、1989年にはノーベル文学賞を、1996年にはセルバンテス賞を受賞、スペイン文学界に君臨していた。42歳という若さでレアル・アカデミーに入り、歯に衣を着せぬ辛らつな発言でも名をはせた。

ETA、報道関係者自宅に小包爆弾を送りつける

昨日、ETAが報道関係者3人の自宅に小包爆弾を送りつけた事が判明したが、いずれも警察の爆弾処理班によって処分され事無きを得た。
夕方6時半頃、スペイン国営ラジオ局(RNE)ビルバオ支局長のサンティアゴ・シルバ氏宅にメッセンジャーサービスを利用して送られてきた小包に不審を抱いた家族が同氏に連絡、バスク地方警察へ通報した。小包には150〜200グラムの爆弾が入っており、包みを開いた時点で爆発するようセットされていた。
メッセンジャーサービスが同じ人物からこの小包以外に2つの小包を別々の場所へ配達するようを請け負っていた事が判明したため、警察が追跡。1つはアンテナ3(TV放送局)バスク支社代表、マリサ・ゲレーロ氏宛てで、自宅に手付かずのままおいてあり、もう1つはコレオグループ副会長のエンリケ・イバーラ氏宛てであったが、配送途中のワゴン車内で発見された。イバーラ氏の父は以前にETAによって殺害されている。
警察ではメッセンジャーサービスを訪れた犯人が女性であった事をつきとめており、モンタージュ写真を作成し、身元の判明に全力を挙げる。

憲法裁判所、バレアレスの環境税導入を認める

昨年4月に、バレアレス自治州が観光客から"エコ税"と呼ばれる環境税を徴収することを地方議会で承認したが、中央政府がその導入の延期をを求めて提訴していた事案につき、憲法裁判所その申し立てを一旦却下、環境税の導入を認める判断を下した。しかし、これは最終的な判決ではない。
環境税はバレアレス諸島を訪れる観光客がホテルやアパートメントホテルに宿泊する際に徴収するものとされ、その宿泊施設のカテゴリーによって1泊につき0.25ユーロから5ユーロ支払うというもの。バレアレス地方政府では年間6千万ユーロの税収を見込んでいる。この税金は観光地や自然環境の保護、整備に使われることとなっており、地方政府では3月の導入を目指し、観光産業との話し合いを含めて具体的な徴収方法などを詰めていく予定としている。


1月17日(木)

生活の豊かさの1位はジローナ県、最下位はルゴ県

ラ・カイシャ財団の後援によってマドリード自治大学のローレンス・R・クライン研究所が調査分析にあたった「2001年スペイン社会年鑑」が昨日、発表された。
この年鑑では各県別、各自治州別に12の項目それぞれを点数化し、その総合点によって生活の豊かさ、快適さを測っている。12の項目では収入、雇用、文化・娯楽、住居、教育の5項目の比重を大きくし、健康、気候、労働条件の3項目を軽く、治安・環境、医療サービス、市民の共存・社会参入、経済・商業施設へのアクセスの4項目を中間においた。
結果をみると、スペイン全国50県のうち一番生活が豊かだとされるのがカタルーニャ州のジローナ県で収入や教育レベルが高く、健康についてのみ全国平均以下であった。ジローナに続くのがバレアレス、バルセロナ、マドリード、ナバーラで、おおむね収入や教育、雇用、医療サービスの程度が高いことが判明している。反対に、最下位と位置付けられたのがガリシア州のルゴ県で収入や教育レベル、住居面などの評価が低くなっている。州別の評価をみると、トップがバレアレスでカタルーニャ、マドリード、ナバーラ、カンタブリアと続いている。
この調査と並行して全国3153市町村の人口動態も調査された。全国平均でみると新生児の割合は1000人に9.1人で、平均を超す州はムルシア、アンダルシア、カナリアスなどで、アストゥリアス、ガリシア、カスティージャ・イ・レオンは平均よりかなり下回る。5万人以上の市町村をみると、メリージャが18.4人、バルセロナ県のサン・クガット・デル・バジェスが14.4人、アルメリア県のエル・エヒドが13.6人と高い数値を示している。
65歳以上の人口の比率が高い州は、カスティージャ・イ・レオン、アラゴンでそれぞれ、21.9%、21.4%と全国平均16.8%を上回る。5万人以上の市町村を対象に絞るとバルセロナ市が22%と高く、引退者が好んで住む街であるアリカンテのトーレビエハやバルセロナ県のマンレサなどがそれぞれ21.6%、21.5%となっている。

アンダルシア高裁、セビージャ市役所に"ボテジョン"対策を命ずる

昨日アンダルシア高等裁判所はセビージャ市役所に対して、"ボテジョン"と呼ばれる若者たちの飲酒、それに伴う蛮行をおさえるための対策を取る事を命ずる判決を下した。
"ボテジョン"とは一般的に若者達がアルコール類を持ちより、大音響の音楽をかけて公園や道路、広場など公共の場所で飲み会を開くことを指す。この行動は週末になると夜から明け方まで続けられ、近隣住民にとっては安眠を阻害される迷惑極まりない行為である。
セビージャのエル・アレナル地区では97年当時、この"ボテジョン"によってもたらされる数多くの被害に対して地区の住民団体が市役所へ再三に渡って必要な措置を取ってくれるよう申し入れていたが全く無視され続けたために提訴していた。今回の判決では、市役所側の具体的な被害状況を明らかにするようにとの申し立てを却下し、市役所がこの問題に何の対策もたてず傍観しているとする住民側の申し立てを認め、市役所に公共の場所でのアルコール摂取及び受忍限度を超えた音響の取締りをするよう申し渡した。判決では、住民の蒙る苦痛を認めてはいるものの、若者たちの行動が社会現象であることも否めず、しつけを怠ってきた父兄や教育者、社会にもこのような現象を助長して責任があるとした。そして、若者達が集う事、アルコールを摂取する事などを警察権力をもって取り締まる事はできないと説明した。


1月16日(水)

レドンド前PSE幹事長、アスナル首相との会談を暴露され、PSOE内部より反感を買う

昨日突然、バスク社会党(PSE)前幹事長であるニコラス・レドンド・テレーロス氏が昨年7月のアスナル首相との非公式会談を暴露され、窮地に立たされている。
昨年末、PSE幹事長を辞任したものの、次期PSE幹事長選に再び出馬を考えるレドンド氏はバスク内だけでなく、PSOE全体から支持をとりつけなければならない状況にあるが、PSOE幹部に報告されていなかった会談の存在は、それを困難にするものである。レドンド氏は、PSOE幹部から、右より(PP)に偏向し、アスナル首相と何らかの協定を結んだのではないか、との批判を受けているが、会談内容がバスクの民主主義が欠如している嘆かわしい状況を中心としたもので、党の内部状況には触れていないことを明らかにしている。また、この会談に関してはロドリゲス・サパテロPSOE幹事長も知っていることであることを付け加えている。サパテロ幹事長も、会談の存在を知っており、大した問題ではないとのコメントを発している。
しかし、この会談にはレドンド・テレーロス氏の父であるレドンド・ウルビエタ氏、市民擁護団体のエンリケ・ムヒカ氏も同道しており、それも非難の的となっている。

意識不明の青年を放置、死亡させた地下鉄の警備員に対する裁判始まる

1998年4月にマドリードの地下鉄で半意識不明状態に陥っていた19才の青年を、地下鉄の警備員が屋外に放置し、その後死亡させるに至った事件の第1回公判がマドリード管区裁判所行われた。
昨日は、検察側の冒頭陳述が行われ、警備員のとった行動は"非人間的、かつ嘆かわしいもの"と表現、救助義務を怠ったとして、警備長に3606ユーロ、警備員2人にそれぞれ2163ユーロの罰金を求め、さらには被害者の家族に36060ユーロの補償金支払いを要求した。
この事件は98年4月6日夜にヨーロッパ代議員の息子であったハビエル・エチェベリア(19歳)さんが地下鉄の駅構内で気分が悪くなり、階段にすわりこみ半分意識を失っていた状態であったにもかかわらず、警備員2人が警備長の指示で屋外に運び放置し、3時間後に別の警備員によって救急車が呼ばれ病院に運ばれたが死亡したというもの。警備長はこの青年が麻薬中毒者であろうと判断していたが、実際は、拒食症をわずらっており、ショック状態にあった。
警備長の弁護人は、同人の過失致死容疑を否定、青年を放置したという誤りがあったかかもしれないが、病気の状態を把握せずに退院させた青年の主治医の判断や救急病院の医師の処置にも問題があった可能性がある、とする。


1月15日(火)

小型貨物航空機が山に激突、乗員3人が死亡

昨日早朝、マドリードを飛び立った小型貨物航空機がビルバオから30キロほど離れたサルディバル山中で山腹に激突、大破し、乗っていた操縦士、副操縦士、整備士が即死した。
スペインの空港・航行管理をするAENAでは同機がビルバオのソンディカ空港管制塔に着陸許可を求める連絡をしてきた後に消息を絶ったと発表。連絡を受けた時点で何の異常も確認されておらず、適正高度及び航路での航行が認められていたという。事故当時はまだ夜が明けておらず、深い霧につつまれて視界不良であったことが事故原因となった可能性が高いとされるが、正確なところは不明。同機を所有するイベルトランス社では事故機が全ての規定をクリアしており異常はなかったはず、と話しており、さらに操縦士及び副操縦士は飛行時間も長く経験も豊富であったと伝えられている。
事故現場は山中深く、アクセスが困難である上天候状態が悪かったため、捜索活動に時間がかかり、午後になってからブラックボックスを発見、分析結果を待つこととなる。

麻薬密輸犯を保釈し公職違反に問われている裁判官、裁判延期を拒否

昨日、大規模な麻薬密輸事件"テンプル・オペレーション"に関する裁判を開始するに至り、弁護側からの裁判延期及び担当裁判官の変更が要求されたが、却下され、予定通り裁判を続行する事が申し渡された。
この事件に絡んで、密輸グループの幹部を担当裁判官3人が500万ペセタの保釈金にて釈放したことが最高検察から公職違反に問われており、最高裁が訴訟手続開始の判断を下すとこれら3人の担当裁判官は職務を離れる事を余儀なくされ、裁判は初めからやり直すこととなってしまう。
この事件の被告は37人にも及び、中には2年半以上も刑務所に収監され裁判を待っている者もいる。新たな裁判官の指名、証拠調べは裁判を無用に長引かせることにつながり、被告の裁判を受ける権利を侵害することになりかねない。検察側も裁判延期に反対の意見を表明、法曹界でもこの判断を当然であると受け取っている。

科学技術省、学校や病院から100メートル以内のアンテナから発する電波を制限

バジャドリーの公立小学校から続けざまに小児ガン、白血病の患者が出た原因は近隣に林立する電話のアンテナではないか、と問題化されたことに続き、先日、ロンダ、コルドバ、セビージャでも同様の事案が報告されてきている。アンテナ問題が発展してきた事を受け、科学技術省では、先週土曜日に、幼稚園、学校、病院、老人ホーム、公園などから100メートル以内に設置されている普通電話、携帯電話のアンテナから発する電波容量の制限を官報にて発表した。
この制限は昨年9月に発令された電磁波からの保護に関する法令を発展させたものである。ビルレス科学技術大臣は、この制限を法令化するつもりはないことをはっきりさせ、依然として昨年9月の法令で定めた電波の制限量が身体に害を及ぼす危険性はない、と説明、単なる"予防"としての措置であるとしている。


1月14日(月)

新大学法の施行により、早急な大学総長、教授会の改変が求められる

学生、大学関係者から大規模な抗議運動が展開されたにもかかわらず、中央政府の肝いりで昨日から施行された新大学法(LOU)によって、各公立大学では新法にそった教授会、大学総長の選出を行わなければならない状況に追いこまれている。
すでに8大学では総長の任期切れが迫っており、新しい選出方法によって選挙をとりおこなわなければならない。また、公立大学48校では教授、学生、大学職員の代表からなる委員会のメンバーの再選出を7月までに行う事が義務付けられている。
この改革に対して、野党や大学側から与党PPが後押しする人物を大学に送りこもうと画策している悪法であると批判、学生では新たな抗議行動を計画、大学は現在のところ新法にしたがうとしている。

ビルバオの繁華街でETAの車爆弾爆発

先週土曜日の午後1時45分頃、ビルバオ中心のデパートや商店が軒を連ねる繁華街でETAがしかけた車爆弾が爆発した。
1時15分頃に「GARA」新聞社にETAを名乗る者から、時間と場所を指定した爆発予告の電話が入ったため、地方警察、救急部隊などが現場に急行、緊急配備をしき、人々を避難させた。予告時刻より15分遅く起きた爆発によって付近の建物、ガラスなどが破壊されたが、幸いなことに死亡者はなく、軽傷者が数人出た程度にとどまった。
バルサ地方政府内務局長は、ETAが使用したとみられるダイナマイトは15キロから20キロほどであると推測され、車は盗難車であったことを発表、爆発から1時間ほどして、この自動車の所有者が近隣の道路脇に手足を縛られて放置されているところを発見された。
バルサ内務局長は、ETAが国内の主要大手銀行の支店を破壊するという目的で爆破を正当化しているようであるが、実際は大きな惨劇を引き起こす事を狙った事に他ならない、バスク国民に向けてのテロ行為である、とコメントしている。また、最近の警察の取締りによってETAの各部隊が多数検挙されているが、まだバスク内には、コマンド・ビスカヤとコマンド・ギプスコアの2部隊がいつでも行動できる状態で待機していることを示唆した。

EU15カ国での移民受入れトップはスペイン

EU15カ国の人口増減についてのデータによると、ここ1年間に150万人増加し総計3億7940万人に達したという。そのうちの70%は移民によるもので、受入れ国のトップはスペインであると報告されている。
スペインでは2001年1月1日から2002年の1月1日までで30万人の人口増加がみられ、そのうち25万人が外国人であることが確認されている。この数値から、スペインがヨーロッパの外国人受入れの24%を占めている事が判明、イタリア、ドイツの17%、英国の15%をおさえてトップにたっている。
人口1000人あたりの受入れ数はルクセンブルグが9人で一番比率が高く、スペインが6.2人でそれに続く。反対に、フランス、ベルギーは1人、1.8人と非常に少ない。
移民を多く送り出している国はリトアニア、ラトビア、ポーランド、チェコなどで、最近の傾向ではキプロス、スロベニアなどが増加傾向を見せている。


1月11日(金)

最高検察庁、麻薬密売犯を保釈逃亡させた事件を起訴

最高検察庁は、先日、麻薬密売犯人の保釈を認め、後に逃亡された事案につき、釈放の決定を下した全国管区裁判所第4法廷の裁判官3人を故意による職務違反の容疑で起訴した。
裁判を前にした麻薬密売犯人カルロス・エル・ネグロを500万ペセタという保釈金によって精神疾患を理由に釈放したことが裁判官の単なる過失ではなく故意によるものである、と判断した事由は保釈金が積まれる前日にすでに被疑者が収監されている刑務所に釈放のファックスをうっていたことがあげられる。さらには、500万ペセタが被疑者にとって取るに足りない金額である事は予測されたことであり、精神疾患が釈放理由となるならば、刑務所の精神病院へ収容すべきであったのにそれを怠ったと補足している。
また、起訴にあたり、これら3人の裁判官を職務からはずすことをも求めており、起訴が受理された段階で最高裁判所は司法審議委員会へ報告、業務停止の措置をとることとなる。

環境省、海岸の自然環境及び景観を守るための整備に本腰

環境省では、スペインの海岸沿いの自然環境及び景観を守るため、初めて本格的整備に着手した。
昨年は、マジョルカ島の100軒あまりの屋台、カディスのサンルカルのバラック44軒を撤去するなど、小規模での整備は始めていたが、今年はカディス、ウエルバを中心に海岸線の不法な建築物を取り壊し、撤去していく計画が具体化している。
その手始めとして、昨日は1970年代にドイツ人オーナーが建築したまま一度も使用される事なく裁判にかかっていたタリファの海岸に位置する9階建て建築面積45000uのホテルが取り壊された。この建物は最高裁によって取り壊し命令が下されていたものだが、オーナーの企業が倒産したためそのままの状態になっていたもの。環境省では爆発物を利用して、建物を倒壊させ、その瓦礫を処分するのに370万ユーロという高額の経費がかかったが、その跡地はメリアチェーンが高級リゾート地として開発することが決まっており、その分は十分回収可能と踏んでいる。

レドンド元PSE幹事長、返り咲きを狙うもサパテロPSOE幹事長の支持をとりつけられず

昨年末、突然幹事長職を辞任したバスク社会党(PSE)のレドンド氏であるが、次期PSE幹事長選への再出馬をも視野に入れ、昨日、PSOEのサパテロ幹事長及びPSOE党首のチャベスと会談した。
レドンド氏は「このままバスクに穴をあけたままにしてはおけない。恐怖が蔓延するバスクの自由をまもるために身を投じる心構えだ」とサパテロ幹事長へ告げ、PSEの幹事長選へ再出馬する可能性を示唆した。レドンド氏に対する支持が地元では高いものの、サパテロ幹事長は同氏をバスク社会党のトップとして適任者であるとは考えておらず、今回は同氏への支持を表明していない。
レドンド氏は、再立候補するかどうかの決定は保留しており、地元バスクで態度を決すると話した。


1月10日(木)

カスコス氏、アスナル首相の再選を目指し、党規約修正を提案

10日後に開幕を控えたPPの第14回党大会を前に、突然カスコス元PP幹事長から党規約の修正案が提出された。
アスナル首相自ら、首相の任期を2期8年と定め2004年までと公言、後継者選びは2003年秋と断言しているにもかかわらず、カスコス氏はアスナル首相の再度の擁立を画策している。昨年もこの件を持ち出し首相から拒絶されているが、党全般の利を説きアスナル首相の再選を主張する。そのために党規約を修正することを要請、首相任期は2期8年が上限、とするのではなく、任期2年目で解決を見た場合、任期を10年もしくは3期とする、と具体案を提出した。
カスコス氏は、アスナル首相が3期目に立候補しないことは誤りである、とする姿勢に整合性を持たせるためにこの修正案を提出したとコメントしている。

ガリシア、フラガ知事とベイラスBNG党首、12年ぶりの和解

ガリシア州知事であるPPのマヌエル・フラガ氏とBNGのマヌエル・ベイラス党首が、12年にわたる両党の断絶状態に終止符を打ち、和解に至った。
先の地方選でフラガ氏が勝利をおさめた後、ベイラス党首のフラガ氏に対する罵詈雑言がその極に達していたが、フラガ氏もそれに応酬、和解などは望めないほどの状態が続いていた。
しかし、昨日、両党首は昼食を一緒にとることにより、お互いに歩み寄りをみせ、"友好関係"をとりもどしたことを宣言、対話を続けていく事を確認した。

スペインの人口増は移民流入が要因

国家統計センターのまとめたデータによると、最近3年間の人口増加は著しく、2001年1月1日現在、約4100万人の住民登録があるという。1998年の調査では約3980万人であったことから、3年間で約120万人が増加、ここ30年間で一番の伸びを記録している。
人口動態は自然動態、社会動態の2つのファクターからなるが、今回の調査では出生者から死亡者を引いた自然増加は5万人あまりにとどまっており、ほとんどは転入者から転出者を引いた社会増加に依存する。
1997年より外国人の増加が目立つようになってはいたが、1999年より不法滞在であっても住民登録をすることによって社会医療を受けられるようになったため、外国人登録者が増加、人口動静の把握も容易になってきた。また、2000年に続き2001年も不法移民特別合法化措置をとり32万人以上がその申請を提出したことで、さらに外国人の増加が見こまれる。


1月9日(水)

アスナル首相、アルゼンチンに対し信頼に足る政策をとるよう求める

昨日、アスナル首相は欧州議長国としてプロディ欧州委員会会長とともに、経済危機に陥っているアルゼンチンに対して、 "信頼に足る"政策を施すよう求めた。
議長国の首長として初の記者会見において、アルゼンチンの現状に憂慮していることを述べ、スペインだけでなくヨーロッパ全体がアルゼンチンの早急な経済の回復を望んでおり、そのためにはアルゼンチン国家、社会、国際社会が納得するような施策をとることが不可欠であり、話し合いによって同意を得る事が重要である、と強調した。これは、アルゼンチンに進出しているスペイン企業が同大統領の断行した施策に反意を示しており、交渉がうまく進んでいない事をさしている。スペイン企業の中にはアルゼンチンからの撤退、従業員の大量解雇、投資の中止をちらつかせるところもでてきている。
一方、在アルゼンチンスペイン大使館では、連日、スペインへの労働ビザやパスポートを求める人々であふれかえっている。スペインやイタリアでは19世紀後半から20世紀にかけてアルゼンチンへ多くの移民を送り出した経緯からその子孫に対してはスペイン、イタリアの国籍を取得する事を認めているため、自国に見切りをつけた国民が押し寄せる結果を招いている。しかし、この手続きが完了するには数年を要するともいわれる。

検察、政治に関わったことを原因とする宗教教師解雇を支持

昨日、マラガの裁判所にて司教会の判断によって宗教教師を解雇した件についての審議があり、検察は司教会の判断に差別があったことを認めながらも原告の主張を退ける決定を下した。
この事案は昨年6月まで宗教教師であったフランシスカ・ウルバノさんが宗教教師を指名する権利を持つ司教会から契約の更新を拒否、解雇されたことに関し、正当な理由をもたない解雇であるとその決定に異議申立てをしていたもの。司教会ではフランシスカさんが教会の宗教行事に参加せず同僚達と飲みに出かける態度はカトリック信仰の手本とならない、という理由から契約を更新しなかったと主張。しかし、実際にはフランシスカさんが左翼連合(IU)の市議となったことが解雇の原因であることは明白と検察では認めている。IUではカトリックが禁止する離婚、堕胎の権利を擁護する方針をもつため、そのような党に所属する事はカトリックの教義と相容れないこととなる。
検察では、教会の判断が差別的であることを認めながらも、1979年にスペイン国家と教皇庁の交わした同意書によって保証されている、教会が理由を明示することなく宗教教師を自由に指名する権利があるため、好むと好まざるとにかかわらず、その権利を尊重する必要がある、という判断を下した。


1月8日(火)

アルゼンチンの経済危機がスペイン企業の株式へ波及

深刻な経済危機にみまわれているアルゼンチンに進出しているスペイン企業は、昨日の株式市場で大きな打撃を受け、全体で100億ユーロ以上の下落が記録された。
10年来1USドル=1ペソの固定相場を保ってきた同国であるが、昨日より1USドル=1.4ペソとペソ切り下げ措置を断行したため、その影響を受ける事となってしまった。特にレプソルYPFは同社の収益の約15%にあたる7.85%の下落を記録した。また、サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行で4.37%、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行で3.25%、テレフォニカとそのグループ企業も4.44%、3.47%と軒並み値を下げた。
一方、アルゼンチン政府は外国企業のトップと緊急会談を開始しており、スペインの企業はすでにホルヘ・レメス経済大臣とドルからペソへと移行する電話、水道、電気、料金などの新料金体系の交渉に入っている。

CIU、アルトゥール・マス氏を次期カタルーニャ州知事候補とすることを決定

ジョルディ・プジョール及びアントニオ・デュラン・ジェイダ両氏が率いるカタルーニャ連合(CIU)では2003年10月に行われる次期地方選挙の際の州知事候補をアルトゥール・マス氏とすることを決定した。
20年以上にわたって知事の座を保ってきたCIUのプジョール氏であるが、99年に行われた前回の地方選では社会党のパスクアル・マガラル党首に票数で水をあけられ、長期に渡るCIU政権が揺らいできた事を実感。後継者選びと党のたてなおしを早急に図る必要性にせまられてきた。
2党による連合性をとるCIUはデュラン氏を後継者とする可能性をもはらんでいたが、結局1年前にマス氏がカタルーニャ地方政府代表の座についた時点で後継者となる最右翼につけ、最終的に両党の合意により、同氏が次期州知事候補と決定した。 プジョール知事は、有権者に対して将来への保証と信頼を与えるよう務めてきた、と説明。党自体の存続の強化と全ての人々から受け入れられる州政府トップを指名するという目的を果たしたといえる。


1月7日(月)

1月6日、エル・ニーニョの祝日の振替休日に当たるため、トップニュースはお休みさせて頂きます。


1月4日(金)

CGPJ、麻薬密輸犯を釈放、逃亡させた裁判官の調査報告書を検察庁に送る事を決定

昨日、司法審議委員会(CGPJ)の常任委員会は、先日全国管区裁判所第4法廷の裁判官3人が裁判を前にした麻薬密輸犯を保釈し、逃亡させてしまった事案を国家検察庁及びCGPJの懲罰委員会へ送る事を満場一致で決定、これら裁判官のとった行動が犯罪構成要件に該当するかどうかを検討するよう要請した。
この事案は、先月22日に裁判を23日後に控えた麻薬密輸犯カルロス・エル・ネグロをこれら裁判官が保釈金500万ペセタで釈放、その直後に逃亡されたもので、判断を下す材料となった同被告の医療報告書の信憑性や裁判官の判断の的確性が問われている。医療報告書には同被告が精神的疾患を持っており、刑務所に収監しておく事が病気の回復を遅らせることにつながると記されているため、結果的に被告を逃亡させる原因を作ったとして刑務所でも内部調査を行っていくことを決定している。

電話のアンテナと児童の白血病発症の因果関係を専門家が調査する事に決定〜バジャドリー

昨年末、バジャドリーのガルシア・キンタナ公立小学校で4人目の白血病児童が出た事で、小学校への立ち入りを禁止する措置が州政府から下された(12月27日のニュース参照)が、付近の建物に林立する電話のアンテナと発症についての因果関係について専門的医療チームが調査分析する事が決定した。この調査を請け負うのはカルロス3世研究センターと国立ガンセンターの専門家および腫瘍学、血液学、小児科などの専門医で構成する医療チーム。
すでに、通信分野の技術者協会では、これらの因果関係はない、と報告書を提出しており、アンテナが発する電波量は中央政府が定めたものをうわまわっておらず、ヨーロッパ基準もクリアしているとする。
また、生物物理学者の見地からも両者の関係は否定されており、白血病が発症するまでの期間は長期にわたると説明され、アンテナのたてられた2000年11月の翌月に第1例が出ているのは早すぎる、とされる。
一方、450人あまりの児童が在籍するこの小学校の父兄らは同市が別の場所に学校を移し、8日から開校させようとしていることに反対し、学校から家具、備品などを持ち出されないよう交替で見張りを立てている状態である。父兄会では、このような問題は裁判に持ち込まれ、解決するまでに長期の時間を要するため、学校を移動させることは、結局学校自体の存続が危ぶまれることとなる、と話している。

交通死亡事故件数が前年度より減少

道路交通局から提出されたデータによると、昨年度は前年度に比べ、交通事故件数が減少、それに伴い死亡事故も減少している。減少率はそれぞれ、4.5%、3.9%で、州別に見るとカタルーニャが11%と一番その率が高い。
カタルーニャでは昨年度、州内の事故多発地帯の整備や、アルコール検査、速度違反のコントロールに力を注いできたことで、このような結果につながったとも言われるが、さらには今月21日から発効する新道路交通法の罰則が厳しくなるとの国会での討議も運転手への警告になったのではないかとみられている。


1月3日(木)

バスク政府、経済合意書更新問題に絡んで大蔵省への支払い金額を大幅に減ずる事を宣言

中央政府とバスク地方政府との間でもめている経済合意書の更新問題について、昨日、イバレチェ・バスク州首長は中央政府が求めている割当金114億7900万ユーロのうち90億7500万ユーロの支払いしかしないと宣言した。
この経済合意書の更新に関しては昨年末で期限切れとなる以前に両政府で話し合いが持たれていたが、大蔵省に支払わなければならない地方の割当金の額で合意が成立しなかっただけでなく、バスク州が独立した代表をEU議会へ参加させることをも条件としていたため、交渉は決裂。中央政府は一方的に合意書の延長を決め、国会にて法令として承認してしまった。バスク政府としては、この経済合意書が双方の意志で調印されたものであり、片方が一方的に延長することはできない性格のものであるため受け入れる事はできないとしている。また、モントーロ蔵相が考える、バスク州の3県の県議会と個別に交渉するという案に関しては、バスクの税務機構は唯一のものであるから意味をなさない、と機先を制している。
モントーロ蔵相はこのバスク側の態度を、内容の伴わない愚かで無謀かつ無責任な姿勢であると批判し、法律は守られるためにあるとした上で、バスクは割当金を支払う事になるだろうとコメントした。

ユーロでの買い物は全体の14%

1月1日が祝日であった関係上、昨日2日が実質的なユーロ流通開始日となったスペインで、ユーロを使用しての買い物の金額は全体の14%に達したとスペイン商業連盟より発表された。
2日の間に、予想されている最終的な流通額の20%が銀行窓口やATMから市場にでまわっているが、依然として小売店ではおつりとなるユーロが不足していることも報告されている。スペイン銀行によれば、各銀行支店には十分な量のユーロが行き渡っており、問題はないはずということだが、実際にはユーロがつきてしまった銀行もあり、中小商店の中にはおつりを用意できないと嘆くところもでてきている。
市民の中にはペセタの小額の買い物に高額紙幣を出し、おつりとしてユーロをもらうことを狙う人々も多々見受けられるという。
ユーロ導入以前には、流通開始と冬のバーゲンが重なり市民の消費が増え、無用な混乱を避けるためにカードでの支払いが増える事が予想されていたが、4〜5%程度しか伸びていないと同連盟では話している。

犯罪件数の増加は移民に起因すると内務省が発表

内務省と警察機構の報告書によると、2001年上半期の犯罪件数は9.35%増加し、特にすり、車盗、車上狙いが増えている。反対に性犯罪、引ったくり、傷害は10%あまりも減っているという。
殺人事件は332件で前年末と同様であるが、2001年は外国人同士の報復による事件が非常に多いことが特徴である。特に麻薬の密売に絡んでコロンビア人マフィアによる同国人を射殺する事件が続いた事はスペイン国民に衝撃を与え、テロや失業問題とならんで非常に憂慮すべき問題となったことがうかがえる。
犯罪件数が増加するのに比し、検挙率が下降気味であるのはここ4年間で警察官の数が3000人も減少したことも影響していると言われる。 また、服役囚が4万人あまりいるが、新たに設置された刑務所が2ヶ所あるにもかかわらず収容率は106%に達しており、その4分の1にあたる1万人が外国人である。スペイン人の服役囚の数は98年から横ばい状態であるのに対し、外国人の服役囚は2513人も増加しているという。


1月2日(水)

ユーロ通貨流通開始、銀行に長蛇の列

昨日1月1日よりヨーロッパ12カ国で流通開始となったユーロ通貨であるが、祝日にあたる初日に国内900余りの銀行支店は3時間だけ換金のための窓口を開いた。各支店では開店前から大勢の人が列をなし、マドリードのスペイン銀行では順番待ちの時間が2時間にも及んだ。
スペイン銀行によれば、窓口での換金だけで約7500万ユーロ、キャシュディスペンサーからの引き出しを含めるとその金額は1億6500万ユーロから3億ユーロ程度にはねあがるという。
一般にユーロが出まわり始めたとはいうもののペセタでの支払いをする人が大半をしめており、「支払いはペセタでもおつりはユーロで」という原則があるため、おつりの計算に手間取るところも多々見うけられた。特にマドリードの地下鉄ではシステムの導入が遅れたために職員が電卓を使って手計算をすることとなった。国鉄アトーチャ駅の長距離窓口ではユーロしか受けつけなかったために、乗客からの苦情が相次ぎ、午後からはペセタでの切符購入も可能とした。

サラマンカ、ヨーロッパ文化首都として開幕

カスティージャ・イ・レオン州にあるサラマンカ市は2002年のヨーロッパ新文化首都として幕を開けた。歴史と伝統のあるこの市では1年間にわたり芸術、演劇、コンサート、各種の文化コースなど約700の行事が企画されている。
「サラマンカ2002」と題されたこの企画の総合企画者であるエンリケ・カベロ氏は、これら行事が専門家だけでなく広く一般大衆や子供達にも受け入れられる性格をもつ、と話しており、これら内容の濃いプログラムを消化していくことによりサラマンカが文化の都としてさらに映えあるものとなるであろうとコメントしている。
また、この1年間でインフラの整備もすすめられ、4月には芸術センター、7月には舞台芸術センターが開かれることとなる。これらの整備にかけられる予算は120億ペセタで、行事の企画運営には44億ペセタが計上されている。市と様々な後援企業によって行事にかかる経費は折半される。
行事の中の目玉となるのは29日から始まるロダンの傑作を集めた展覧会で、マジョール広場に設置される作品もある。

高速道路の通行料13%値上げ

昨日1月1日より全国の有料高速道路の通行料が13%値上げされた。これは通行料にかかる付加価値税がスペイン政府の適用しようとしていた7%ではなくヨーロッパ裁判所から命じられた16%としなければならなくなったための措置である。
ただし、カタルーニャ地方政府の所有する209キロメートルの有料道路に関しては3.47%の値上げにとどめており、9%分の付加価値税に関しては地方政府が負担するとプジョール州知事は決定を下している。


1月1日(火)

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