スペインニュース・コムがお届する
毎日のトップニュース


7月31日(月)

ETAの激しさを増すテロ行為に各地で反集会

昨日は、各地で反ETA集会が行なわれた。
一番新しい犠牲者は、土曜日午前中にギプスコアのトロサで銃によって殺害されたフアン・マリア・ハウレギ氏。彼はPSOEのフェリペ・ゴンサレス氏が首相だった時代にバスク州の長官を務めており、ラサ−サバラ事件の鍵を握る人物とされ以前からETAの標的となっていた。バスク州の長官を退いた後はチリのサンティアゴで政治とは関係ない職についていた。今回は夏のバケーションで故郷に帰り家族と過ごしていた。
ハウレギ氏の葬儀にはアスナル首相を始めとして、イバレチェバスク州首長、サパテロPSOE幹事長などが出席、その後、反ETA集会参加した。
アスナル首相は“このような行為をするよう指図した者、実際に行った者たちは自分の身を心配する種ができたのだ。早いうちに代償を支払うこととなるだろう”とETAへの挑戦状を突きつけるかたちのコメントを発した。また、サパテロ幹事長はバスク内の状況が悪化していることに関し、イバレチェ首長の責任は大きいとし、PNVには教義に縛られ出口のない暗いトンネルからぬけでる必要がある、と述べている。

カナリアスのラ・パルマ島の山火事、被害は3000ヘクタールか?

土曜日の夜に始まったカナリアス諸島にあるラ・パルマ島のガラフィアの山火事は日曜日の夜になっても消えず、複雑な地形と強風のため消火活動がなかなか進んでいない。
火事の起こった地域は古い建造物や住人のいない家屋が散見されるだけでほとんどは植物に覆われている。
近くにはタブリエンテ・カルデラ公園があるが、この付近や集落には火は及ばないと見られている。しかし、風向きが変わったために山の頂上の方に向かい火が広がっており、予断を許さない状況となっている。
この山火事の被害は計算できる状態ではないが3つの市町村に渡っており、一説によると3000ヘクタールを超えているといわれる。

アレックス・コレッチャ、とどまるところを知らず

昨日、オーストリアのキツビュールで行なわれていたプロテニス連盟の大会でアレックス・コレッチャが優勝した。決勝相手となったのは同じスペイン人のエミリオ・アルバレス。6−3、6−1とコレッチャが2セットを先取し、3セット目となったところでアルバレスが肩と背中の痛みのため棄権、コレッチャの勝利となった。賞金総額は70万ドル。
アレックス・コレッチャは先日もスペインチームのキャプテンとしてデビスカップの準決勝でアメリカチームを下し、33年ぶりの決勝進出を決めている。今年の12月にはオーストラリアと戦う予定となっている。


7月28日(金)

バスク社会、テロ行為への不安感増す〜アンケート調査より

バスク州立大学の政治行政課の行ったバスク州に住む成人1400人を対象にしたアンケート調査では、主要な心配事の1位が失業問題にあることは半年前の調査と変わらないが、第2位にテロ行為、街中での暴力行為を挙げる人の割合が大幅に増えている。
調査項目の中の政治活動に積極的に参加することに恐怖を感じる人は全体の70%にも及んでおり、人前で政治に関する意見を自由に述べられるという人は31%に過ぎない。これが民族主義を支持する人達の間では44%まで言論の自由がある、とされるが、非民族主義支持者では20%にまで下がる。 また、元来自分の土地から離れることを嫌う民族性を持ちながら、現在と同じ生活条件を与えられるならバスクを離れることもいとわない、とする人々が15%もいる。特に25歳以下になるとその割合は倍に増える。
ETA停戦期間中の中央政府のETA政策に関して71%が政府の対応に問題があったと考えている。一方でバスク地方政府の対応はどうかというと、前回調査の時よりも否定的な割合が倍以上に増えており、3人に1人が現政権に落第点をつけている。

テレフォニカ、これから先2年間で電話料金の大幅値下げ

政府経済問題審議委員会で、これから先2年間のテレフォニカの新料金体系が承認された。これにより、テレフォニカは中央政府に8月1日までの間に新たな業務、サービス、料金などを明確に記載された総合カタログを提出しなければいけなくなった。
今回の新たなプランでは、市内、市外、国際通話料金の基本サービスを2001年に9%、2002年に8%の値下げ、電話の契約料金の16.5%の値下げ、固定電話から携帯電話への電話料金の15%の値下げが含まれている。その反面、2年間で4回に分けて月々の基本通話料金が100ペセタずつ値上げすることが認められている。
その他には現在テレフォニカの独占市場である市内通話に関しては値上げが認められず、市外通話、国際通話に関しては新たな通信会社の参入による自由競争を阻害しない為に50%以上の値下げを禁止されている。
テレフォニカがこの新料金体系に変更を加える場合には適用30日前までに政府へ通告しなければならない。

スペイン最大の遊園地がベニドルムに開園

昨日、フェリペ皇太子を招いてアリカンテのベニドルムで新しい遊園地“テラ・ミティカ”の開園式が行なわれた。
この遊園地の表面積は100万uに及びスペイン最大で、来園者を古代文明の世界へと誘う。ギリシャ、ローマ、イベリアなど地中海文明の文化や神話、伝説などをテーマとしたアトラクション、ショーなどが満載されている。15のレストラン、21のショップなども併設され、今後リゾート施設としてホテルの建設なども考えられている。
この遊園地の建設期間は29ヶ月で総工費は700億ペセタ、5年目より収益が黒字転換するものと計算されており、それ以降より配当収入が出てくる予定。経営はこの遊園地建設のために設立された企業であるが、バレンシア自治体も株式を所有しているため、公的資金の導入に世間から厳しい批判がなされていた。
開園日は3月から10月までは毎日、それ以外の時期は週末、連休など定められた日となる。
開園式に出席したフェリペ皇太子は60mを時速80キロで落下するフリーフォール“アベ・フェニックス”を試され、満足した様子がうかがわれた。
一般への開園は来週月曜日となる。


7月27日(木)

労働団体、制限つき2001年の予算案に拒絶の姿勢を示す

昨日、労働団体CCOO及びUGTの幹部とアスナル首相との総選挙時から先送りとなっていたトップ会談が実現した。
2001年には赤字ゼロを目指すアスナル首相と失業者対策や社会事業にかける経費の充実を求める労働団体では来年度予算に対する考え方の相違が浮き彫りとなっている。CCOOのメンデス書記は政府の赤字ゼロ政策は労働者の生活向上のためのプランとはあいいれないものとはなし、2001年の予算案には拒絶の姿勢を示している。
さらに、労働団体では公的機関の労働者たちの賃金の値上げ、臨時雇用を減らすための対策を政府に求めている。
一方、年金問題に関しては基本的な同意がなり、寡婦手当て、退職者年金の上昇率を予想インフレ率以上に設定することとしている。

女性は男性に比べ社会的保護が少ない、〜CESの報告書より

経済社会委員会(CES)の提出した“女性の社会的保護に関する報告”では社会進出の進んだ女性達の社会的保護が男性に比べ少なく、間接的な差別が今だ存在する、ということを明らかにしている。 報告書ではEU諸国における男性の労働者数は1980年から横ばい状態であることに比較し、女性は大きな伸びを見せている。スペインでは女性人口の28.8%が家事労働以外の職についており、このうちの60%に当たる人々が家事労働をもこなす。家事労働だけに従事する女性は全体の31%で、男性となるとたったの0.4%にしかすぎない。
労働団体UGT及びこの報告書では家事労働以外の職を持たない人たちは社会保険の恩恵を充分に受けることができないとする。また、女性はある時期出産などで一時的に職を離れる必要性がでてきた場合にその分の経歴が過小評価され、給料、しいては保険料、のちのちの年金額にに影響が出る。このようなこともスペインでの出生率の低下の一因となっているものと考えられている。
さらに明らかに女性差別と見られるものに、妊娠中の女性が失業した場合に、雇用保険を受け取る権利があっても、妊娠中は支払われず出産後までまたなければならない、という条項がある。

スペインバレーボールのナショナルチーム、シドニーオリンピックの出場権獲得

現在、アテネで行なわれているバレーボールのプレオリンピック大会で、昨日男子バレーボールチームがギリシャに勝ち、シドニーオリンピックへの出場権を獲得した。
バレーボールチームのオリンピック出場は92年のバルセロナオリンピックに開催国の権利として出場した以外初めてのこと。
先の日本で行なわれた世界選手権で活躍したもののオリンピック出場権獲得までにはいたらなかったスペインチームも今大会では、中国、チュニジア、ギリシャと全てのチームに勝利し、レベルの向上が明らかになっている。チームを引っ張るラファ・パスクアルは世界でも有数の選手で今大会でも最優秀選手に選ばれている。ほとんどの選手はイタリアやフランスなどの世界的レベルの高いクラブチームに所属、ナショナルチームの活躍を支える。
スペインの団体競技はホッケー、水球、ハンドボールなどがオリンピックでは好成績をあげており、バレーボールもその仲間入りを目指す。


7月26日(水)

ビジャロンガ退陣、テレフォニカの新社長はアリエルタに

本日夕方にもテレフォニカのビジャロンガ社長が辞任、テレフォニカ役員会よりアリエルタ新社長が任命される予定となっている。
1996年にアスナル首相に抜擢されるかたちでテレフォニカの社長に就任したビジャロンガ社長も昨年10月頃からテレフォニカ役員への“ストックオプション賞与”問題にからみ、アスナル首相との関係に亀裂が生じ始めた。総計720億ペセタに上るこの“賞与”に対する批判が、総選挙を目前に控えたアスナル首相にも向けられるに至り、ストックオプションの権利を放棄するよう同社長に説得を試みるも失敗。両者の関係は修復不可能な状態へと発展。
今回の辞任はこの“ストックオプション賞与”問題に関する調査が証券マーケット委員会によって再度開始されたことを背景に、5月にオランダKPNとの合併問題が役員会の反対にあい不成功におわっていることに起因しているもよう。
この辞任によってビジャロンガ社長はこれから先受け取るはずであった3年分の給与、行使できるはずであった権利に伴う収入を補償金として計50億ペセタを受け取ることとなる見こみ。
新社長に任命される予定のアリエルタ氏は現在アルタディス社(元タバカレラ社)社長。

サパテロ幹事長、アスナル首相と初の会談へ

先週末、選出されたばかりのロドリゲス・サパテロPSOE新幹事長は本日、アスナル首相と初の会談を持つ。
この会談における論点はテロ問題と移民問題に絞られるもよう。同幹事長はアスナル首相に、長期にわたりアフリア・エネア協定に参加してきた民主主義政党の結束を再構成する必要があると訴えるとみられる。また、テロリストに対し共通の戦術を持って対峙してきた時代に戻り、PNV(バスク国民党)をリサーラ協定から脱退させ、民主主義政党寄りに引き戻すよう努力を求めていく。
移民問題に関しては、司法審議委員会が政府の外国人法改正草案を批判した報告書を武器に、話合いを進めていくこととなる。同幹事長は、移民問題は政治に携わるもの全ての一致した目的となるべきもので、これを飛び道具として利用するようなことは卑劣な行為といわざるをえない、と述べている。

ブルゴスでバスの事故、48人が負傷

本日未明、ブルゴス県レルマの国道1号線でブルゴス方面に向かっているバスが事故を起こし、乗客48人が負傷した。このうち2人は重傷だが、命には別状はないものとみられている。
このバスはアリカンテのトーレビエハとビルバオを結んでいる定期便で新車同様だったという。 事故はバスが側道から本線に入ろうとしたが道路から飛び出し、横転したものとみられているが事故の詳しい原因は今のところ不明。

不法移民合法化手続き、すでに9万人あまりに滞在許可

3月21日から始まっている不法滞在外国人に対する合法化手続きの申請閉めきりまであと5日を残すのみとなったが、現在、申請者は20万人を突破している。このうちの10万人あまりはすでに判断が下され、約9万人が滞在許可書を手にしている。
また、この合法化手続きに関する問い合わせは45万件に達している。


7月25日(火)

1ヶ月間で2度のETAのテロ被害、ビスカヤのゲチョにて

昨日午後8時ごろ、ビスカヤ、ゲチョ市のネグリ地区で車爆弾が爆発した。先月24日に続き2度目となるこの地でのETAのテロ行為は死亡者こそ出さなかったものの、物的損害が広範囲に及んでいる。 爆発の起こる数分前に日刊紙「GARA」に爆発物の場所を教え、15分後に爆発するという匿名の電話が入っていた。
今回の標的とされたのはPPの上院議員、ピラール・アレスティ氏の自宅とみられているが、アレスティ氏はマドリードで行なわれたPPの執行部の会議に出席し自宅に戻った直後に爆発が起こった。同氏は1980年に“革命税”の支払いを拒否してETAに殺害されたエンリケ・デ・アレスティ氏の姪にあたる。アレスティ氏はETAの攻撃に、これれからもバスクの中で自由のために戦っていく、というコメントを発している。
事件の起きた地区はビスカヤの中でも財界人などの住む高級住宅地で、駆けつけたPNVに所属するゲッチョの市長や地方議員に対し住民からは罵声が飛ばされていた。

司法審議委員会中央政府に対し、外国人法の改正は政府の専横を招くと非難

先週、中央政府が司法審議委員会(CGPJ)に外国人法の改正草案についての意見を求める報告書を依頼したが、明日にもその報告書が提出される運びとなっている。
この報告書では今年2月11日に施行されたばかりの移民法によって規定されている、民法においてはスペイン人及び外国人は同等の権利を有する、という第3条を支持、改正草案にあるスペイン人と同等の権利という項目を削除しようとすることに異議を唱える。これは、人間の尊厳を保証するためには必要不可欠な条件であるとする憲法裁判所の判断を支えとする。また、この新しい外国人法が施行されてまだ半年しか経過しておらず、それによる充分な過程が見届けられていない、などとしている。
さらには、外国人を最大に擁護する現行法が1985年時の制限つきの法律に逆行するものであると強く批判している。外国人の権利を大幅に制限し、法的救済への道をとざすことは政府の独断と専横を招くものであると考えている。

スペイン、ユネスコにアタプエルカを世界遺産に指定するよう求める

ブルゴスにあるアタプエルカ山脈では現在までに3つの遺跡、さらには新たに2つの遺跡の発見がなされ、古生物学的にも考古学的にも注目を集めている。
今年に入ってからでも遺跡の一つ、シマ・デ・ロス・ウエソスでは30万年前のものと思われる300あまりの人骨が掘り出され、エレファンテでは100万年以上前に武器として用いられた可能性のある石器も発見されている。
新たな2つの遺跡は4000年前の銅の時代以前のものとみられており、ネアンデルタール人からクロマニヨン人の時代のものが発見される可能性が大きいと推定されている。
このような状況からもスペインではアタプエルカ山脈全体の遺跡、環境、生物学的、地学的な資源の保存の為にユネスコに対し、同地を世界遺産に指定するよう求めている。
ユネスコでは9月にスペインから出される観光運営及び同地の整備計画をもとに11月に判断を下す予定としている。


7月24日(月)

PSOE新幹事長決定、執行部の若返りをはかる

先週土曜日、第35回PSOE定例会議において新幹事長選挙が行なわれ、カスティージャ・イ・レオンのホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ氏が最高得票で選出された。同氏は39歳で、1986年に下院最年少として議員生活を出発、地元レオンPSOEの幹事長を勤め上げてきた。
幹事長就任後初の演説では“ゆるやかなる転換”を目指し、改革に充分な時間を与えてくれるよう求めている。
昨日には早速、サパテロ氏をトップとする25人からなる執行委員会のメンバーが選出され、代議員の90%の支持を得ることとなった。前執行委員会のメンバーとは大幅に顔ぶれが変わり、平均年齢42.8歳と若返りを図っている。党首にはアンダルシア州長官で、アルムニア前幹事長辞任後の暫定委員会をしきったマヌエル・チャベス氏が任命されている。
ゲーラ派からはエクストレマドゥーラのロドリゲス・イパーラ長官を副幹事長へ、また、その他3人の執行委員会入りを求められていたが、副幹事長席を設けないこと、3人を受け入れる考えはないという幹事長の意見により、退けられた。

腫瘍学者、ガン対策における国家計画の創設を求める

スペイン国内では1年間にガンと診断される患者は17万人ほどおり、そのうちの8万人が死亡している。
ガン患者が診断を受ける時点では既にガンかもしれないという疑いを抱いていることが多く、診断結果は往々にして“急を要する”状態となっている。
マドリードにあるラ・パス病院の腫瘍学局のマヌエル・ゴンサレス医局長は、ガン患者が最初の症状を感じてから治療にあたるまでの期間に時間がかかりすぎており、医療現場での意思の疎通、協力体制が取れていないことに警鐘を鳴らしている。実際に治療に当たるまでの時間は平均して2ヶ月から5ヶ月かかっており、時間との戦いが勝負のガン治療にとっては命取りになりかねない。
スペイン産婦人科連盟、腫瘍学連盟、放射線協会なども同様の懸念を示しており、必要かつ効果的な対処法を求める意味で、ガン対策国家計画の創設を求めている。
この対策の中には、放射線治療を求める患者には現在3ヶ月待ち状態の治療を1ヶ月以内に始めることなどを盛りこんでいる。

経済省、イベリアの株式公開時にゴールデンシェアの権利を認めない方針をとる

イベリア航空の株式54%を持つ国家産業参画連盟(SEPI)は今年の10月に同社株式を公開することを決定しているが、今月5日にヨーロッパ委員会がルクセンブルク裁判所へ提訴したことで、公開時のゴールデンシェアの権利を認めない方針に方向転換している。
当初、考えられていたイベリア航空の民営化手続きが1年近く遅れた理由には、株式史上の調整、産業間の交渉の長期化、国営航空の今後の権限の分配などに時間がかかったためである。
株式公開時の値段については最低と最高が発表されるが、最終的には10月の終り、もしくは11月の初旬に株式市場の相場を見て決定される。


7月21日(金)

PSOEの第35回定例議会本日開催

本日よりPSOEの第35回定例議会が3日間にわたり開催される。
先の総選挙の大敗によりホアキン・アルムニア前幹事長が退陣、4ヶ月の間空席となっていた幹事長席が今回の議会で埋まることとなる。
立候補者4人のうち2人が幹事長選挙の方法について暫定委員会が承認した1回の投票で一番多く獲得した候補が幹事長となることに反対し、決選投票をする選挙方法へ変更するよう代議員に訴えることが1日目の目玉となるもよう。

PNV、EHとの協定を次々破棄

バスク州の市町村内の穏健派バスク民族主義政党であるPNVと急進派であり、ETA擁護政党でもあるEHの連合政権をとる地で、PNVがEHとの協定を破棄する市町村がビスカヤ県以外でもでてきた。
最近のETAによる頻発するテロ行為を否定しない態度をとるEHとは一線を画したいとする姿勢に変化してきているのは確実である。
昨日、ギプスコア県のバエサインのジョン・ハウレギ市長がこの協定破棄のトップをきり、これにギプスコア県内11の市町村が続いた。ハウレギ市長は市町村議会の会長を務め、民族主義政党3つ(PNV、EA、EH)をまとめ新たな枠組みを構築して行く方向を見せていたばかりであった。
PNVではEHとの協定破棄理由を、“EHとの共同作業よりも生きる権利が優先される”としているが、同じ連合を構成するEAでは、市政は政党の戦略に左右されるものであってはいけない、とし、EHとの協定をそのまま維持することを確認している。
今日からアラバ県でもPNVはEHとの協定破棄を始める予定である。

カタルーニャ政府、商店の営業時間規制撤廃案に関して憲法裁判所に提訴

カタルーニャ自治政府は、先日中央政府及び国会によって承認された商業の営業時間撤廃案に関して、憲法裁判所に提訴することを決定した、と昨日発表した。
自治政府の経済省議員は20年にわたって中小商店の存続を擁護してきた法律を守らなくてはならない、としこの提訴についてはカタルーニャ自治体の諮問委員会も支持していると語っている。
商業組合、労働団体、PPを除く政治団体では諮問委員会の後ろ盾を得たことに満足の意を表している。
これに対し、中央政府ではラト副首相が営業時間の自由化によって24000人の新たな雇用が見こまれ、そのうち15000人は中小商店での雇用となることを示している。また、大蔵省大臣、科学技術省大臣も、さらなる自由、経費の削減、中小商店に見合った税制は今後の雇用の鍵となる、と発言している。


7月20日(木)

アンダルシアPSOE副長官命拾い、ETAの車爆弾不発

昨日、マラガにてアンダルシアPSOEのホセ・アセンホ副長官の車に爆弾が仕掛けられていたが不発に終わるという事件がおきた。
この日午前中、アセンホ氏はマラガ空港へ向かうため自宅前駐車場に止めてあった自家用車に家族と共に乗りこんだ。発進直後に爆竹がなったような音と煙が見えたため、家族を家に返し、同僚経由で警察に連絡、車輛下部からはダイナマイト1.5キロが発見された。
幸運にも起爆装置がうまく作動しなかったため大爆発には至らず、テロの犠牲者となることを免れた。 同副長官は、アンダルシア州ナンバー2で明日からマドリードで始まるPSOE定例議会のアンダルシア州スポークスマンをも務める。
マラガでは先週金曜日にPPの議員がETAの銃弾に倒れているが、立て続けに起きたマラガでのテロ行為に内務省ではアンダルシアにETAのコマンド部隊が存在することを確信している。
一方、警察当局では先のPP議員殺害の容疑者をゴルカ・パラシオスと特定している。同容疑者は“コマンド・ララノ”に属し、1996年夏にアンダルシア地方一帯で起きた連続テロ事件、96、97年のビスカヤ地方での爆破事件に参加していたとされる。

ヨーロッパ委員会、スペイン政府に海上交通の権利契約期間の縮小を命じる

現在、スペイン本土と島を結ぶ海上交通はトランスメディテラネオ社が一手にひきうけているが、政府とかわした10年の契約について、ヨーロッパ委員会が介入、3年半へと縮小するよう命じている。 この契約は1997年12月の末に行なわれたスペイン内外からの企業の入札競争の末に同社に落着き、1998年1月にかわされている。
この入札に関し、ヨーロッパ委員会はノルウェーのフレード・オルセン社より、政府とトランスメディテラネオ社の癒着疑惑の訴えを受けた。委員会では入札の行なわれた期間が13日と短くクリスマス休暇と重なっており入札競争の時期に適当ではないと判断、実際には入札競争が適切に行なわれたとは考えにくいとする。そのため現在の契約を2001年7月までと限定、スペイン政府は新たに自由競争を保証する形での一般入札競争を行うよう指導している。
また、委員会では政府が同社に対して収益の上がらない路線へ補助金を出していることも違法であるとの見解を示しているが、現在までに受けた補助金の返還を強制することはしないこととする。

最高裁、“奴隷契約”は無効、不法滞在者の労働の権利を認める判決

最高裁刑事第2法廷で昨日、地方管区グアダラハラ裁判所での判決を破棄し、不法滞在者にも労働の権利があることを示し、アルジェリア人に“奴隷契約”を結ばせた企業家2人に懲役刑を言い渡した。
この事案は、1995年に当時24歳だった不法滞在アルジェリア人がグアダラハラ・シグエンサにある建設会社へ就職を希望したところ、合法滞在手続きをしてやる、という理由で“奴隷契約”書にサインをさせられた。契約書にはローマ法にもとり、食事の用意をする以外に鞭打ちや男色を提供すること、生死の権限をも差し出すことが書かれている。
この青年は不法滞在で警察に訴えられることを恐れ、また合法化手続きをしてもらえなくなることを心配し、言うがままになっていたという。しかし、96年に合法化を拒否されていたことを知り、この家を飛び出した。スペイン人権協会はグアダラハラ裁判所にこの事件を捜査するよう訴えた。
グアダラハラ裁判所では、不法滞在者には労働の権利はないため労働者の権利を守る法律は適用できないとしていた。


7月19日(水)

司法審議委員会、刑事事件の予審審問を裁判官から検察官へ委譲することを提案

昨日司法審議委員会(CGPJ)は、内閣及び議会に対して刑事事件の予審審問を裁判官から検察官への委譲を提案したことを明らかにした。これは現在CGPJで討議されている120項目に及ぶ司法改革の一つである。
この委譲により刑事手続きの予審に関する責任は最高検察庁に帰属することとなる。同時にCGPJでは基本的人権を擁護するために不服申立てをすることのできる裁判官の任命をこの提案に含めている。 さらに、もう1点重要な改正提案では警察本部の主たる役割は犯罪捜査を担い、最高検察庁の補助することにあるとする。犯罪捜査中の拘禁は重犯罪における犯人の逃走の危険、証拠隠滅などに限られることとし、その決定は裁判官によると定める。

PSOEの2人の女性幹事長候補、選挙方法に異議を唱える

PSOEの新幹事長選挙を控えマヌエル・チャベス氏率いる暫定委員会において、幹事長選挙方法として1度の選挙で一番得票の多かった候補を幹事長とする、と承認されているが、この選挙方法に2人の女性候補、ロサ・ディエス氏とマティルデ・フェルナンデス氏が異議を唱えている。
ディエス氏は“得票率50%を切るような幹事長はPP政府へのプレゼントだ”と批判、予備選挙の後の本選挙での決定を支持することを今週金曜日から始まる定例議会で訴えて行くとしている。
両女史ともこの提案を受け入れさせる為には、この2回選挙の提案が議会に出席する998人の議員全体の20%の支持を獲得する必要があることを理解しており、それを手に入れることは難しいことではないと踏んでいる。

絞殺されたドメスティック・バイオレンスの犠牲者の家族、警察を職務怠慢で訴える

先週末、ドメスティック・バイオレンスの犠牲者となったキューバ人女性の家族が、警察への被害の訴えをしていたにもかかわらず、何の対応もしなかったために殺害された、と警察を非難している。 この事件は61歳のイタリア人が33歳のキューバ人の恋人とその娘に対し殴る蹴る、脅す、ののしるなどの行為を繰り返していたため、2年前から何度も警察に訴えていた。今年だけでも7回、警察に足を運んでいる。
先週金曜日、被害者の女性の連絡がとだえたため家族が警察に介入してくれるよう求めたが即座に応じず、月曜日になって自宅に踏み込んだ時には既に絞殺された後であった。犯人は自殺を図ったが、果たせず、腎不全のため病院に入院中。
被害者の家族は警察を“犯罪追及の義務を怠った”として裁判に持ち込むことを検討している。
この事件以外にも今週に入ってから、バレンシアのビナロスで、昨夜はマドリードでドメスティック・バイオレンスの被害者となった女性が死亡している。


7月18日(火)

中央政府、新外国人法改正草案を司法審議委員会へ提出

昨日、中央政府は閣僚会議で承認された新外国人法改正草案を司法審議委員会(CGPJ)へ提出し、改正点が基本的人権にどのように関ってくるかを検討した報告書を作成するよう求めた。これは、内閣の司法諮問委員会がアスナル首相に進言したもので、移民局のフェルナンデス・ミランダ氏は草案を提出する必要性はないと考えていた、と語っている。
中央政府では、CGPJによって検討された草案を再度閣僚会議にかけ承認されなければならないこととなったが、9月の第2週の国家予算討議が始まる前の、なるべく早い時期に国会提出を実現する意向であることを確認している。
この改正草案には、NGOや労働団体、野党などが基本的人権を侵害し、憲法違反にあたる可能性の項目が含まれると強く反発している。

各地で反ETA集会行なわれる、マラガでは30万人

先週5日の間に3件のETAのテロが行なわれたことに対し、スペイン全国で反ETA集会が催された。
PPの地方議員がETAの銃弾に倒れたマラガでは、マラガ史上初めてともいえる大きな抗議集会となり、約30万人が集まった。この抗議集会ではマラガ市長、故マルティン・カルペナ議員の未亡人、兄弟を先頭に静かなデモとなった。市長が暴力行為の拒絶、非民主主義との戦い、平和と正義を求める抗議文を読み上げた後、1時間を経過しても市民が市庁舎広場から離れず静かな抗議行動が続いていたため、市長自ら解散を求めることとなった。
マドリードでは大規模な集会を明日8時にプエルタ・デル・ソルにて行う予定としている。
一方、バスク国民党(PNV)のアルサジュス党首は中央政府に対して、最近のETAのテロ活動の活発化は、PP中央政府がETA対策に失敗したことを物語ると非難している。

18歳の少年2人、モロッコ人をバットで殴殺

7月11日の夜、バルセロナ近郊のサン・アンドレウ・デ・ラ・バルカにある空き地で2人のスペイン人少年とモロッコ人のグループが対立、言い争いとなった。その場ではおさまったとみられたが、少年2人は野球のバットと棒を持ってとって返し、モロッコ人グループの1人、40歳の男性を激しく殴打した。モロッコ人男性は病院に運び込まれたが、昏睡状態のまま5日後に死亡した。
警察では少年の1人を自宅で逮捕、もう1人は自首してきたが、詳しい動機については不明。2人とも前科はなかったが、警察署から裁判所へ連行される際に抗議に集まってきたモロッコ人の集団に対し、腕を斜め上に挙げてナチスを賞賛するような行動をとったことから、ナチス関連の極右翼グループやスキンヘッドの集団に所属していなかったかどうか、また、人種差別が動機になっていなかったかを調査している。
事件のおこった同市ではモロッコ人の居住者が200人あまりいるが、人種差別の芽が発生していたこともなく、他のバルセロナ郊外の町で起こっているような地元住民と外国人との争いも聞こえてきていなかった。最近では農業や製造業に従事する人手が不足し、それらの仕事を求めて多くの外国人が不法に住みつきゲットーを構成するパターンが多い。
犠牲となった男性は10年以上も前からこの地で合法的に働いていた。


7月17日(月)

ETAのテロ行為、激しさを増す

ETAのテロ行為が再開されてから今年に入りすでに9件を数えているが、ここ5日でたて続けに3件の事件が起こっている。7月12日の早朝にマドリード市内で車爆弾の爆破、15日夜マラガにてマラガ地方議員を射殺、16日昼ソリア郊外にある治安警察隊の官舎横で車爆弾の爆破、と被害がバスク地方以外に広がっている。
マラガでのテロはマラガのPP地方議員が家族とともに家を出た直後に頭部に銃弾を浴び死亡したものだが、家族や周囲の人達は彼がETAから脅迫されていた事実はないと話している。また、与党PPの議員とはいえ地域に根ざした活動をしており、ETAのアンダルシアコマンドの暗殺リストに載っていたとされることに驚きを隠せない。
ソリアのアグレダで起きた爆破について治安警察隊ではカスティージャ・イ・レオン地方にある官舎272のうちの1つだが、11家族35人しか住んでいない小さなもので現在までETAの標的となることなど考えたこともなく監視カメラさえ設置していなかったという。この爆破で治安警察隊員の妻が軽いけがを負っている。
内務省では、ETAが停戦期間中に内部の組織の立てなおしを図り、新たな戦闘部隊を構成した可能性を示唆している。また、今年に入ってからのテロ行為は週末に起されていることが多く、普段は普通の生活をしている警察に把握されていない実行部隊がいることも指摘されている。停戦中にコマンド部隊の幹部が次々と逮捕されているにもかかわらずテロ行為が活発化していることは、この仮定を裏付けるものと考えられる。
バスク地方以外のあまり政治的影響のない地域でのテロ行為はETAが全国の政治家、新聞記者に対する脅迫を意味し、経済的な活動−資金集め−を容易にすることが目的と言われている。

ジブラルタル海峡でフェリー衝突、5人死亡18人けが

昨日、ジブラルタル海峡でアルヘシラスとタンジェを結ぶフェリーどうしが衝突し、5人が死亡、18人が怪我を負うという事故がおこった。
この事故はアルヘシラスの南約1.5マイルの地点で朝6時25分に発生した。290人、98車輛をのせたタンジェ行きの“セウタ号”と26人、23車輛をのせたアルヘシラス行きの“タンジェ号”が衝突、死亡者とけが人は全て“セウタ号”にのっており、スペイン人カップル1組を除き全てモロッコ人であったもよう。
海上を統括する管制塔では事故が起こる数分前には両船とも衝突が起こるような航路はとっておらず、直前にどちらかの船が航路を変えたものと見ている。この突然の航路変更がどのような理由によるものか不明であるが、事故当時海上は深い霧に覆われており、強風が吹いていたことから天候による事故の可能性もあるとして詳しい捜査に入っている。


7月14日(金)

消費者物価指数、半年で1.8%上昇

昨日、国家統計局より消費者物価指数(IPC)が発表になった。
5月と比較して、IPCは0.3%上昇、今年に入ってからの半年間のトータルでは1.8%となった。昨年同月からの上昇率は3.4%、1996年10月期に記録した3.5%に次ぐ。
政府経済省の見通しでは年間インフレ率が2%程度と踏んでいたが、現在の段階で1.8%ということは見通しの修正を余儀なくされる。8月4日に行なわれる閣僚会議にて修正された数値が発表されることになる予定だが2.5%程度を考えているもよう。
大手銀行や専門家は年末には3%程度になるという予測をたてているが、経済省では既にインフレが頂点に達しており下降傾向にあるとみている。
インフレの原因は生鮮食料品、ガソリン、交通費の値上がりが主なものとなっている。
EU諸国でもインフレが加速しており、これにより、新たな公定歩合の上昇につながる可能性があると見られている。

マジョール内相、ETAの爆破目的は警察官殺害にあり、と発言

水曜日の早朝にマドリードの中心地でETAによるテロで車爆弾が爆発した事件について政府、警察とも捜査を進めている。
内務省のマジョール・オレハ大臣はラジオ番組で、“ETAの目的は爆破装置の解除をしようとする警官を殺害することであった”という彼なりの推論を繰り返し述べ、その意図はマドリードの社会を不安に陥れ、リサーラ協定を締結している、バスクのPNVやEA、EHなどの政党をコントロールすることにあるのだと話している。さらにはマドリードにETAのコマンド部隊があることも確実視しており、市内に部隊の拠点があることは間違いないと見ている。
事件の捜査官も車の置いてあった位置などから車爆弾が罠であったことを確信している。近くにあったデパートの防犯カメラに映っていた犯人と消防署にかかってきた予告電話の声の分析をすすめており、犯人の確定に全力を挙げている。
これから夏のバケーションシーズンとなることから警備のための警察官を少なくとも60人は増やすことを決めている。

最高裁、ドメスティック・バイオレンスは負傷の度に関係なく重犯罪であると判決

最高裁刑事第2法廷にて昨日、ドメスティック・バイオレンスは負傷の軽重に関らず、重犯罪である、とする判決が言い渡された。
この事犯は被告が、当時一緒に住んでいた女性の娘に性的関係を強要、抵抗にあうと殴る蹴るの暴行を働き、さらに女性にも同様の行為を繰り返し、ウエスカ地方管区裁判所より5年9ヶ月の懲役の判決を受けていたもの。被告側はこの判決に対し、被告の行為には常習性がなく、過失によるもの、と上告していたがそれをのける判決となった。
最高裁はドメスティック・バイオレンスを通常の暴力行為とは区別し、人の尊厳と人間性の自由な形成を阻害するものと位置づけ、社会問題として解決されるべきもの、これらの犯罪の予防措置を講じること、被害者を救済するためのプログラムが必要となると判断している。


7月13日(木)

ヨーロッパ委員会、各国の独占電信電話局にローカル通話の競争促進のため圧力をかける

ヨーロッパ委員会は各国にある旧独占電信電話局15局に対し、その権力を乱用し、他の企業を排除している疑いがあるとして、さらなる報告書の提出を求めている。この15曲の中にはスペインのテレフォニカも含まれている。委員会ではローカル通話に参入しようとする新たな企業が既存の電話網を使用するために不当な使用料を求められているのではないかと疑っているが、それに対し、独占企業群は2ヶ月に渡って料金の正当性を訴えてきている。
委員会ではローカル通話料金が下がることでEU諸国でのインターネットの普及率の上昇がみこまれると考えている。
一方、テレフォニカがオランダのTV番組制作会社エンデモルを買収することが委員会で認められた。委員会では番組制作市場の構造の大きな変化があるとは考えていない。

彫刻家チジダ、一つの集落を博物館に

サン・セバスティアン出身の彫刻家エドゥアルド・チジダは生涯をかけたプライベートコレクション、記録文書、図書館をエルナニで9月より公開することを発表した。
チジダは1983年に今世紀初頭の建築物が散在するサバラガ集落を購入、建物の内部だけをリフォームし、木の梁がむきだしになるようにし、30あまりの彫刻作品が展示される。建物外部にも“バレンシアガに敬意を表して”と題した作品をはじめとして鋼鉄や御影石などのオブジェが20ほど置かれている。
20へクタールの土地に囲まれたこの集落を芸術作品を集めた博物館としてよりもチジダの創りあげた彫刻の空間として公開するというのが彼のコンセプトになっており、このプロジェクトは1998年春に公開の予定であったのが、数々の遅れをみせ、ついに9月26日に人々の目に触れることとなる。

バルセロナのエル・ラバル地区で自警団結成、警察のパトロールも増える

バルセロナのエル・ラバル地区ではマグレブ諸国から流入してきた未成年の移民達による犯罪被害を少しでも減らす為に自警団を結成、夜になるとパトロールを始めている。
この地区にはバルセロナのカタルーニャ広場や、レアル広場などを追い出された住む場所のない少年達がたまり、ひったくりや強盗などの首謀者となり日に日に治安が悪くなっている。警察の緩慢な動きに業を煮やした住民達が4日前より自分たちでパトロールを始めたことで、この地区の議員の間ではこのような行動が過激な方向に動いていくのではないかという心配が出ている。
この自警団のなかにはこの地区に数年住んでいる外国人も含まれており、ここで犯罪の芽をつんでおかなければ、エル・エヒドで起きたような外国人排斥運動につながり全ての外国人が槍玉にあがってしまう、と話し、行動を共にしている。
住民のこの行動に警察も重い腰を上げ今までになかったほどのパトロールを強化している。


7月12日(水)

車爆弾が爆発、8人が軽傷

今朝6時30分、マドリードの中心地で車爆弾が爆発した。
それより20分ほど前にETAと名乗る人物から30分後に車を爆破させる、車の撤去を試みた場合はその時点で爆発が起きる、と場所を指定した爆破予告電話が入っていた。
駆けつけた警官隊が車を発見した直後、予告より早く爆発が起きた。爆弾の仕掛けられた車のナンバープレートは偽造されており、車自体は2月にカラバンチェル地区で盗まれた物であった。この爆発で、警察官、通行人、浮浪者など8人が軽傷を負って病院で手当てを受けている。
警察の初動捜査では、車には15キロのダイナマイトが積んであったとみられ、爆発物の詳細な分析は今後の調査で判明することとなる。
内務省マジョール・オレハ大臣はモスクワ訪問中であったが、このニュースを知らされ、早速帰国の途についている。

全国90%の薬局がストライキ

昨日スペイン全国にある薬局のうち90%、17500の薬局が中央政府の公衆衛生の薬剤経費に関する措置に抗議して、ストライキに参加した。(7月7日のトップニュース参照)
42県にある薬局では終日休業、9県では2時間から4時間の時限休業を行ったが、3500の薬局は救急の場合に備えて営業していたため、消費者からの苦情はあがっていない。
アンダルシア地方グラナダのPPの議員が経営している薬局もこのストライキに参加している。
薬剤師会では、薬局の休業措置は薬局の利益を削るという政府からの一方的な押し付けから発生しているものであり、経済的要求に屈することはないとする。さらには、処方箋による薬剤売上利益の一部を国家に還付する法令を無効とするよう要求している。
この抗議の方法に対し、厚生省では大げさかつ不適当であると評し、法令は他のヨーロッパ諸国と歩調を合わせるもので、政府の姿勢を変えさせることはできない、と述べている。

マドリードの外国人住民登録数1年間で61%増

マドリード市の外国人住民登録者数は1999年に比べ約8万8千人多い14万人あまりとなったことがマドリード市長より発表された。これは年間で61%登録者数が増えた計算となる。
この登録者数の増加はマドリード市に外国人が大量に流入してきたということを意味するわけではない。以前には合法滞在者のみ住民登録が可能だったものが、現在は合法不法を問わず、家賃やガス、電気の自分名義の領収書を提示すれば居住地区に住民登録することが可能となり、住民登録がスペイン滞在に有利であるということが外国人に浸透してきている結果とみられる。
現在の外国人法では不法に滞在していても住民登録があれば社会保険での無料医療制度が適用される。さらに、現在行なわれている不法滞在外国人の合法化手続きにおいては、申請手続きに必要な要件に1999年6月1日以前より滞在している者という項目があり、住民登録でそれを証明できる、ということが拍車をかけているものと説明される。
また、マドリードの労働省や公共行政省では2年前から住民登録を促進するキャンペーンをはっており、その成果があらわれてきたものとみられる。


7月11日(火)

アスナル首相、CESIDに移民の不法輸送マフィアの調査を依頼

最近爆発的に増えている密入国を試みる移民対策として、アスナル首相は国家諜報機関CESIDに密入国を請け負うマフィアの調査を依頼した。昨年度までは多くのヨーロッパ諸国がこの種の問題の捜査を行っているのに対し、スペインではCESIDの年間捜査項目に入っていなかった。しかしながら、首相自らこの件をCESIDに依頼したことで、今年度の最優先捜査項目に挙げられることとなった。
CESIDではテロリズム、マネーロンダリング等の捜査と同様に、密入国者の生産に暗躍するマフィアの組織、性格、他国とのつながりなどを追及、解明することを第1の目的とし、直接犯罪者を追跡することはない。捜査において明らかになった事項は内務省への報告義務をもつ。
また、政府ではこの移民流入の動向についても把握する必要があると考えており、特に数年前にアルバニア人がイタリアに大挙して押し寄せてきたような事態が起こりそうな場合に備え、各国情報機関との繋がりを緊密化することが先決と考えている。

マドリードの助成金私立学校の20%がマイノリティーのための特別枠を無視

マドリード自治体では9月から始まる2000年−2001年のコースから公立学校、助成金を受けている私立学校にマイノリティーのための特別枠をもうけるよう義務付けた。1学級25人のうち2人を学業に遅れが見られる移民、恵まれない社会階層に属する生徒、肉体的もしくは精神的に問題のある生徒に優先するというものである。
しかしながら、教育委員会では助成金を受けている167の私立学校のうち32校は特別枠を設けていないことを認めている。この措置は今年度からいきなり導入されたため、兄弟が同じ学校にいるなどの理由で以前より入学を許可されていた生徒などもおり、なかなか2人分の特別枠を残すことが難しいため罰則を課す事はしないとしている。また、特別枠を設けなかった学校には10月以降に特別枠に当てはまる入学希望者が出た場合、1クラス25人のところ27人に増やし受け入れるよう指導して行く。 今年度入学予定の生徒は公立が約27000人、助成金を受けている私立に約14000人、さらにはスペイン以外で生まれた就学児童が約7000人ほどいると見られている。
マドリードの自治体では特別枠の児童受け入れ1人あたり年間18万ペセタの補助金を出しており、また、コースによっては年間500万〜700万ペセタの特別補助金が出されている。

ツール・ド・フランス10日目、思いがけないスペイン人の勝利

昨日の自転車競技、ツール・ド・フランスの10日目、ピレネー山脈越えを制したのはスペインでも無名に近いケルメチームのハビエル・オチョアだった。
ハビエルはマリ・ブランク峠で集団から抜け出し、191キロ付近ではアームストロングに10分26秒の差をつけるほどの快走をみせた。
この日のピレネー越えは寒さと雨と霧につつまれ、全行程205キロのうち80キロを単独での走行は非常にきついものがあった。最終的には優勝最有力候補のアームストロングの追い上げで42秒差まで縮まったが、6時間9分32秒のタイムでこの日の勝利を物にした。
ミゲル・インドゥライン以来の快挙を成し遂げた25歳のハビエルはビスカヤ生まれでケルメチームに4年間所属し、ツールに参加するのは2度目である。
今までの総合1位はアメリカ人、アームストロングで、総時間39時間24分30秒。


7月10日(月)

カタルーニャ自治政府、移民受け入れ割当ての決定権の一部委譲を求める

カタルーニャ自治政府のジョルディ・プジョール知事は政府移民局長フェルナンデス・ミランダ宛てに、移民受け入れの年間割当ての決定権に関し自治体政府への一部委譲を認めてくれるよう要求書を提出している。
労働許可書発行の権限は全て中央政府が握っているが、最初の労働許可書には働くことのできる場所、職種が限定されている。地方自治体では、中央政府よりもどの職種にどの程度の人が必要かを把握しているため、労働許可発行手続きに参加することで効果的な割当てができると考えている。 さらにカナリアス自治体で望むような人種や国籍によってあらかじめ割当てを決めるということは差別につながるため、法律に含めてはならないとする。
この要求書に対して、中央政府は労働許可書の発行権限は憲法149条に定められているとおり唯一国家に帰属するとしてはっきりと拒否の姿勢を示している。

社会保険庁、診断ミスで死亡した患者の家族と和解、2千万ペセタの賠償金支払い

昨日、ラジオ局“カデナSER”にて社会保険庁がカンタブリアのラレド病院での診断ミスを認め、死亡した患者の家族に2千万ペセタの損害賠償の支払いを決めたことを明らかにした。
カンタブリア保険庁の調査書によると1998年から翌年にかけて47歳になる女性が背中と腰の痛みを訴えて病院へ何度も足を運んでいたが、初期の診断で膣の悪性腫瘍であることを発見できず、慢性の腰痛とされた。さらに痛みがとれない理由を精神的なものと判断され神経科にまわされた。
結局、この患者が死亡する5ヶ月前になって貧血を起こすほどの不正出血があって初めて膣に悪性腫瘍があることを発見した。調査書には以前にこの患者が子宮の摘出手術をしており、その後腰痛に悩まされていたにもかかわらず、大した検査もせず、行った検査では患者の過度の肥満により満足な結果が出ていなかった、とある。
社会保険庁では、最初の段階で適切な処置を施していたらどのような結果になっていたか現在では知る由もないが、患者には正確な治療を受け、病気を治癒する全ての手をつくしてもらう権利を持つ、と認めている。


7月7日(金)

サマーキャンプに行く途中のバスにトラック激突、27人死亡

昨日午後、国道122号線のソリア近郊ゴルマジョ付近を走っていたバスに反対車線を走ってきたトラックが激突、27人が死亡するという大惨事が起こった。バスはバルセロナの2つの中学校の生徒をのせアランダ・デ・ドゥエロへサマーキャンプに行く途中であった。
激突のショックでバス、トラックともガードレールを乗り越え6m下の土手に転がり落ちた。事故の起こった場所はトラックの走っていた方向が上り坂となっており、ちょうど登坂車線が始まるところで見通しの大変良いところであった。事故の原因は両方の運転手が死亡してしまったため現在のところ、不明である。トラックの運転手は毎週2回ほどはこのルートを通っており、道路事情には明るかったとみられている。15分前までいきつけのレストランで昼食をとっていたことが判明しており、ここでほんの少しアルコールを入れたようだが、決して酔っぱらう量ではなかったという。今日司法解剖に回され、酔っぱらっての居眠り運転だったのか、心臓麻痺などの突発的な病気によるものだったのかを調べることとなる。

利益カットを検討する厚生省に抗議し、薬局がストライキを計画

昨今の公衆衛生にかかる経費が増大していることに対する措置として厚生省が打ち出している薬局の利益分を一部分カットするという方針に対し、スペイン全国の薬剤師会が抗議の意を強くしている。全国52のうちの32の薬剤師会では来週の火曜日一斉に2時間の時限ストライキを行う方向でいることを発表した。マドリード、バルセロナ、バレンシア、セビージャでは24時間ストライキを決行することを明らかにしている。
先日、経済省において薬局の利益の上限と薬品の配布の限定を定められ、今までは値段に関係なく27.9%の利益を得ていたものが、利益の上限が2万ペセタの27.9%の5580ペセタとなるため、それ以上の高い薬剤を売り上げても利益が頭打ちということになってしまう。
薬剤師会ではこの利益カットによる減収が計400億ペセタに達するとみており、厚相がこの措置によって影響を受けるのは売上高4200万ペセタを超える薬局で全体の40%に当たるに過ぎない、とした発言に納得できない状態である。

パンプローナの“牛追い祭”始まる

スペインの3大祭のひとつと言われるパンプローナのサン・フェルミン“牛追い祭”が昨日始まった。 午後12時ぴったりに恒例の打ち上げ花火“チュピナソ”があがり、1週間の祭の開始の合図となる。 人々は白の上下と赤いネッカチーフを首にまき、毎日朝8時に始まる“エンシエロ”にこぞって参加する。“エンシエロ”とはいわずとしれた闘牛の闘牛場への囲い込みである。
今日1日目は8時に合図とともに一斉に闘牛が道に放たれ、500メートルあまりを闘牛場まで去勢牛を先頭に、さらにその前を人々が走り、かかった時間はわずか2分50秒であった。途中の曲がり角で次々と牛達が足を滑らせ、転んでいたが、参加者達には大きな怪我をした人はいなかったもよう。
一方、この祭を楽しむ人々のなかで、27歳になる男性が急性アルコール中毒で病院に運ばれ、脳死状態となっている。


7月6日(木)

旅行会社を隠れ蓑にマネーロンダリング、10ヶ月で230億ペセタ

今週に入ってここ数年ではスペイン最大のマネーロンダリングの組織を摘発したことが発表となった。 セウタを本拠地とするこの組織は同地で“マリオファミリー”として知られ、旅行会社2つとセウタのバザールを使い、昨年8月からこの仕事を始めていた。
この組織では麻薬の密売人が外貨のブラックマネーをバザールに持ちこみ、バザールではこれを旅行会社の銀行口座に振込み、旅行会社ではペセタに換金したものを密売人に戻していた。手数料として10〜20%をとっていたとみられ、10ヶ月間で230億ペセタの資金洗浄を行い、少なくとも23億ペセタをもうけていたことがわかっている。
隠れ蓑に使っていた旅行会社の年間の資金のうごきが1億ペセタ程度であったのが、急に毎日1億ペセタの入出金がみとめられていたため、当局の疑いを招く結果となった。今年1月から内偵を始め、今週この組織の関係者11人が逮捕され証拠品が押収されている。

バラハス空港で足止めを食っているキューバ人亡命希望者、ハンストに入る

数日前よりマドリードバラハス空港に到着後亡命を希望したキューバ人29人が空港内に留め置かれているが、このうちの14人がハンストに入ることを決めた。さらには彼等の警護を担当する警察官から強制送還してやる、などの不当な脅迫を受けたことを訴えている。
内務省ではこれら亡命希望者よりの訴えに対し、警察官の言動を否定、亡命を認めず強制送還するかどうかのの決定権は全国管区裁判所にあると話している。
内務省のコメントとは反対にキューバ人亡命者達に近い筋の話によれば、スペイン政府はキューバ政府からの圧力を受け、亡命手続きに対する判断の方針を転換させてきているという。
亡命希望者は祖国で政治犯として刑務所に入れられていたものや、官憲から危険思想を抱いているとして追及を受けている人などがおり、強制送還された場合には祖国に対する裏切りとして10年以上の刑に服すことになる。そのため、亡命を認めてもらうためにはいかなる方法をもとることを決意していると話す。
スペイン-キューバ財団では人道的理由に基づき、スペイン政府が政治的亡命を認めることを確信していると述べている。

ガリシア高等裁判所、ガリシア衛生局に妊娠中に腹膜炎で死亡した女性への賠償を命じる

ガリシア高等裁判所は妊娠中に腹膜炎で死亡した女性に関する医療過誤訴訟で、ガリシア衛生局にこの女性の家族に2100万ペセタの賠償金支払いを命ずる判決を下した。
1992年に当時28歳で妊娠中であった女性が、吐き気と激しい胃痛のため病院で診察を受けたが、1回目は特別な処置をしてもらえず、数日後症状がひどくなったため再度検査のために入院。産婦人科の検査では特別な異常が見られなかったため消化器系の専門的検査を受けることを申請した。
入院後数日して陣痛の気配が見られたため帝王切開での出産を始めたところ手術中に腸穿孔がみとめられ腹膜炎をおこしていることも発見された。感染がすでに広範囲にわたっていたため患者は死亡、胎児も20日後に死亡した。
死亡した患者の家族は2年後に、7500万ペセタの賠償を求め提訴。高等裁判所では初診時の医者の対応に間違いはなかったがその後消化器系検査のための設備が不足していることを理由に患者の健康状態を維持するための措置を取らなかったことを指摘、衛生局に賠償金支払いを命じた。裁判所では行政組織が複雑な為に患者への対応が悪くなることはあってはならないことと判断している。


7月5日(水)

6月の失業率、9%をわる

労働省が昨日発表した今年6月期の総失業者数は約150万人となり、5月期より3万千人ほど減り、失業率は8.97%を記録、ここ20年ではじめて9%をわった。
男女別にみると男性が5.85%、女性が13.6%と、女性の失業率が相変わらず高く男性の倍以上となっている。人数では男性失業者が約23000人減、女性が約7600人減となっている。
職業別では製造業、建設業、農業、サービス業が減少を記録、6月期の契約数は120万弱が承認されている。そのうちの約97000件が期限を決めない本採用であり、件数の高さは評価されるものである。
一方昨日EUでもEU全体の失業率を発表し、EU平均は9.2%とされているが、スペインを例に取ると能動人口アンケート調査では、スペインの失業率が14.5%と記録されている。

中央政府、新外国人法の改正草案の修正を検討

中央政府は、今週の金曜日に閣僚会議にて承認される予定である新外国人法の改正草案に対して各方面から違憲ではないかとの疑問が提出されていた項目について、修正を行う考えがあることを明らかにしている。
政府が手をつける可能性を示しているのは組合の結成、集会、ストライキの権利を不法滞在者には認めないという項目である。根本的な人権を無視するような法律は違憲であるとの強い批判が野党や人権擁護団体、労働団体などから出ていた。
今回の改正草案では合法滞在者と不法滞在者との色分けをはっきりさせ、不法滞在者の権利を削ることが大きな点である。
PP政府はこの改正は選挙公約の一つであることを強調し、新外国人法を改正して行くことは密入国を斡旋しているマフィアに対抗するのに効果があることと説明をしている。

心臓病手術待ち患者の死亡責任、厚生省にあり

全国管区裁判所は心臓病患者が手術の順番待ちの間に死亡したことに対する責任問題の訴訟について、厚生省に患者の家族へ賠償金2100万の支払いを命じる判決を下した。
1995年に死亡した患者は大動脈欠損により8日間入院した後、他の病院で再検査を受けた。心臓外科医からは緊急ではないが手術が必要であることを伝えられ、通常の生活を続けながら手術の順番を待つということとなった。その2ヶ月後、この患者は死亡、その7日後に手術決定の通知を受け取った。 弁護士でもある死亡した患者の息子は病院側の落ち度がなかったことを確認、順番待ちのリストに入れられたことが原因で死亡したのだと全国管区裁判所に訴えを起した。
全国管区裁判所では2つの病院の診断ミスはなかったと認めた上で、@順番待ちリストが不合理で必要な処置を講じられていないもしくは待機期間が長すぎる、A待機期間に患者の健康状態が悪化し手術の効果を減らしてしまう、B患者の病気の軽重の分類に間違いがあった、場合には賠償金支払いの要件に当てはまるとした。
この患者にはAに当てはまることと判断され、上記の判決となった。厚生省には最高裁判所への上告が認められる。


7月4日(火)

バスク地方警察の労働団体、街中の暴力行為の活発化に対処する為の増員を求める

バスク地方警察“エルチャインチャ”の労働団体CCOO、UGT、ErNEでは、これから夏に向かい街中で暴力行為が活発化する様相に“エルチャインチャ”内部は深刻な危機感を抱いている、という意見で一致している。
現在ETAの暗殺リストに挙げられている市民に対する警護には390人の警官が配置されているが、実際には全てに手が回らず後手後手となっているのが現状である。CCOOでは警官は街中で破壊されたものを公正証書におこす公証人の役をしているに過ぎないと語る。
また、警察官の5分の1はどこで何をしているのかが不明であることが指摘され、不必要な講習会に時間を割くのではなく街中での勤務に重点を置くことが求められている。
さらにETAの停戦撤回宣言後も体制が変わっていないうえ攻撃に対する予防策が徹底されていないことが確認されている。何か事件が起こった時には他の勤務についている警官隊をまわしてくるために結局は対応が遅れてしまうこととなる。
労働団体では人員不足と組織化のまずさが騒動収拾、市民警護の大きな障害になっていると結論付けている。

禁煙治療者に金銭的援助をするのはナバーラ公衆衛生局のみ

禁煙の推奨キャンペーンをはることはあっても、禁煙希望者に金銭的な援助をする自治体は一つをおいてスペインには存在しない。この唯一公的に援助が約束されている自治体はナバーラ地方自治体である。1995年から禁煙のためのニコチン貼布剤にかかる費用の3分の1を行政当局では援助してきた。1999年には400人の患者がこの制度の恩恵を受け、地方税務局では1人につき1万ペセタ程度の 出費をしている。行政当局では1ヶ月間禁煙を達成した医師の証明書をつけて領収書を提出することを求めてきた。
この制度を浸透させるため地方政府は公的援助を最高2万ペセタまで引き上げることを検討、ニコチン貼布剤を処方箋薬のカテゴリーに位置付けることを計画し、通常の薬局で他の処方箋薬を買うのと同様に患者が40%負担ですむようにしたものである。
この禁煙プログラムを行うのはナバーラには35の診療所、グループ療法を行う場所が10ヶ所設けられている。

密入国の費用を支払わなかったという理由でモッロコ人誘拐される

毎日のように密入国者の逮捕が報道されている中、密入国者がその費用を支払わなかったと言う理由で24日間誘拐されていたという事件が発覚した。
この誘拐されていた37歳のモロッコ人男性は、スペインへの密入国を斡旋するマフィアと接触、30万ペセタを要求された。持ち合わせがなかったため、スペインへの入国が成功したあかつきにはモロッコに残った家族へ請求すると警告された。
この男性はスペイン密入国を達成した直後に同胞9人に身柄を拘束され、アルメリアに連れて行かれ家族が全額を支払うまで釈放しないと脅迫、殴る蹴るの暴行を24日間受けつづけた。
彼のいとこが誘拐されたことを警察に通報したことで捜索が開始され、犯人グループを逮捕、農家のバスルームに監禁されていたところを保護された。
治安警察隊では押収した書類を調査し、密入国斡旋網の解明に全力をつくす。 5月にも密入国費用14万の回収をめぐって同様の事件が起きている。


7月3日(月)

所得税減税、国民全体に4000億ペセタの収入増をもたらす

スペイン銀行が提出した1999年の報告書から、国民全体で前年に比べ4倍の4000億ペセタの収入増がみられたことが明らかになった。
表向きは所得税減税による収入増ということになるが、好景気をうたわれ経済が活発化する中インフレ率も上昇しており、一概に国民の懐が潤っているとは言いがたい。
税制の変更により、前年度よりも還付金が減少、もしくは税金の追加支払いをせまられる場合も出てきており、子供のいない独身者、住宅購入者にしわ寄せがきている。収入の上昇率よりインフレの上昇率が倍以上のカーブを描いており、実質的な収入増にはつながっていない。にもかかわらず消費は加速傾向にあり、前年度よりも上昇している。
就業率、給料の上昇率は前年度よりも減少、銀行の預金利率も低いままの状態をたもっている。不動産の価格上昇にもかかわらず購入意欲は高く、住宅ローンが20%も増えているため、結果的には国民全体の負の財産が大きくなっていることとなる。これにより、国民の預金高はここ10年で一番低く国内総生産の1.5%まで落ち込んでいる。

イルンで覆面集団が祭を妨害

バスク地方のイルンで、祭が行なわれていた土曜日の夜、覆面をし組織化した若者の集団がゴミのコンテナを町の中心の広場に移動させ火をつけて暴動を起した。住人の通報によりかけつけた地方警察に応戦したが、逃走を余儀なくされ、逃亡途中には彼らの行動を注意した住人2人に火炎瓶を投げつけ、やけどを負わせるということもしている。
結局、1人も逮捕者は出ておらず、警察の捜索では逃走した方向のドゥンボア水路から火炎瓶20個入りの箱が発見されるにとどまった。
祭が最高潮に達したときに起されたこの暴動は住民を憤慨させ、また恐怖のどん底へと突き落とし、祭が中止となってしまった。
これから始まるバスク地方の夏祭りのトップをきったイルンでこのような集団での破壊行動が起きたことで、この地方の夏祭りの主役が彼らに取って代わられるおそれが出てきている。

マドリードの囚人の3分の1は未決囚

1999年12月末現在でマドリード自治体にある7つの刑務所には5978人の囚人が収容されている。マドリードの検察庁の記録ではそのうちの3分の1は未決囚であることが判明している。
検察庁では前年度の囚人が7393人であったのに比べ、全体の人数が20%程度減少していることで未決囚の割合が高くなったと説明しているが、裁判が迅速に行なわれていないと懸念をを示している。
囚人たちの生活環境については、まだまだ不満・苦情はあるが全体的に良くなっているとする。主な苦情は許可を求めるものに対する判断、罰則規定、刑罰の軽重、仮出所の許可などとなっているが、裁判所に判断を求める場合もあるため常に囚人たちの希望に添えるとは限らないという。
1999年には刑務所の監督官が39回の立入り調査をおこなっておりそれにより、かなり改善されてきていることが見て取れると高く評価されている。



QUEDA TOTALMENTE PROHIBIDO LA REPRODUCCIÓN, LA REPUBLICACIÓN, O COPIAR CUALQUIER CONTENIDO DE NUESTRAS PÁGINAS.
全て内容おいて無断で使用・転載・複製することを禁じます

メールコンタクトはspnews@spainnews.comまで