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7月31日(火)

アスナル首相とイバレチェ・バスク州首長久々の会談

昨日、イバレチェ・バスク州首長はマドリードにてアスナル首相と13ヶ月ぶりに会談、バスクの将来、テロ問題について話し合った。
同首長はこの席で、地方政府はテロ対策を主眼に置くことを約束、基本的には中央政府との協力という点で合意を見たが、アスナル首相からはラホイ内相とバルサ地方政府内務担当との話し合いが延期されたことをとがめられることとなった。
バスク州の自決独立問題に関しては、イバレチェ首長の提唱する中央政府と地方政府による副首相、副首長級レベルでの人員からなる委員会の設置は真っ向から拒否された。アスナル首相は、自決権を持つバスクの将来について語る前にETAの撲滅が先である、と答えている。しかし、同首長は、この議題をバスク地方議会に持ちこむ予定としており、10月をめどとしたい意向を伝えている。

カルデナル検事総長、オテギ氏をテロ賞賛行為容疑で提訴するよう検察に要請

昨日、カルデナル検事総長は、バスク地方高等裁判所検察局にEHのスポークスマンであるオテギ議員をテロリズム賞賛行為容疑にて提訴するよう要請した。
オテギ議員は、先日トーレビエハにて爆弾を製作中に操作ミスによって爆死したETAのメンバー、オライア・カストレサナの葬儀、埋葬時に読み上げた声明文で、"バスクの自決のための長期にわたる闘いの最中に倒れた戦士たち"と称してETAのメンバーを賞賛、それによる死を称えた。
検察では、この声明が、「公の場で、刑法571条から577条にわたって規定されるテロ行為、またはその行為者を賞賛、正当化すること、テロの被害者を誹謗中傷することは懲役1年もしくは2年の刑に処する」とする刑法578条に該当するのではないかとみている。

青少年の意識調査、女性への蔑視意識がまだ残る

女性研究所の助成を受けてマドリード・コンプルテンセ大学の心理学専門家8人からなるチームは、1998年から2000年にかけて14歳から18歳までの男女480人を対象に男女間における平等の観念や暴力などについてのアンケート、聞き取り調査を行った。同チームは4年間にわたり、青少年の未来への展望や行動形態、信念、知識などについて研究をすすめている。
この調査の中で特筆すべき事項は、職場における男女同等の地位にいながら女性の給与が低いことは男性のほうが仕事の能率が高いからである、また、女性は家事労働がこなせた上でのみ、家庭以外で職を持つべきであると、考える男子がそれぞれ23%、20%といたことである。さらに、夫から暴力をふるわれている女性には夫を暴力に走らせるようなことをしたのだ、と信じている男子が12%いるということである。
この年代の男子が女性に求めるものの第1は41.1%の男子が容姿端麗であることを挙げており、快活さ、インテリジェンスがそれに続く。女子が男子に求めるものは半数近くが快活さを挙げ、誠実さ、インテリジェンスが第2位、第3位に位置する。


7月30日(月)

中央政府、社会保険の管轄をバスク自治政府に移譲することを拒否

2002年1月1日をもって期限の切れる中央政府とバスク自治政府の取り交わした経済協定更新の話し合いにおいて、中央政府は、地方政府が求めている社会保険の管轄権の移譲を認めるつもりはないことを明らかにしている。
バスクの自決権獲得に向けて本腰を入れ始めたイバレチェ・バスク州首長は本日にもアスナル首相に、37条項に関する管轄権の包括移譲を求める予定にしているが、その中でも社会保険の運営を州に移管することが最大の要求となっている。しかしながら、行政省では、社会保険への加入、保険料の徴収などの管理運営は国家が独占的に有する権利であるため管轄権の移譲は認められないとし、さらに、社会保険は全てのスペイン人に平等に保証されているもので、地方政府にその運営を任せることは年金政策の破壊につながり、富裕な地方にのみ利をもたらすことになると説明している。
また、この件に関して野党第1党のPSOEも社会保険が持つ会計の一本化制度を崩すものであるとし、反対の意見を表明しており、管轄権移譲に関する何らかの代替政策があるはずと話している。

バジャドリードでジプシーの家族同士の喧嘩で2人が死亡

昨日バジャドリードで対立するジプシーの家族同士の喧嘩が原因で2人が射殺されるという事件が発生した。
昨夕6時ごろ、自宅で小パーティーを開いていたテイシェイラ一家の元にフェレルエラ一家の兄弟"ターザン"と"ボーイ"が乗りこみ、言い争いがはじまった。それが発展した結果、両名はテイシェイラ一家に射殺された、というのが概要であるが、詳細については関係者が口をつぐんでいるためわかっていない。
この喧嘩は、テイシェイラ一家のボスが娘と"ボーイ"の息子が付き合うことを禁じたことが発端となっているといわれる。テイシェイラ一家では"ボーイ"の息子が娘に売春を強要していたといい、さらに麻薬の販売をめぐってのいさかいもあったともささやかれている。
事件後、警察ではテイシェイラ一家の60uのマンションを家宅捜査した結果、五丁の猟銃、3本のピストル、短刀などを押収、男7人、女2人を逮捕、男の子1人を未成年保護施設へ収容、乳幼児4人とその母親は修道院付属施設へ保護された。

バラハス空港で足止めを食っていたエクアドル人85人、強制退去措置に

先週金曜日にサント・ドミンゴからマドリードバラハス空港に到着したエクアドル人85人がスペイン入国のための必要書類を所持していなかったとして空港に足止めとなり、調査の結果国外退去を申し渡され、本国に送還された。
この措置を受けて、スペイン・エクアドル協会では内務省に対し、スペインに到着したエクアドル人はスペインの要求する、パスポート、往復航空券、滞在先のホテルの証明、滞在に必要な金銭全てを所持していたにもかかわらず、このような扱いを受けるのは不当である、と訴えた。
スペインで家族を待ちうけていたエクアドル人も家族との連絡を一切絶たれ、状況説明さえなかったと不満をあらわにしている。
内務省では、エクアドル人たちに対する尋問の際には弁護士をつきそわせたこと、当番裁判官がNGOからの提出された"人身保護令"を却下したことを明らかにしている。


7月27日(金)

ETA、マラガ飛行場に車爆弾仕掛ける

昨日早朝7時5分に、マラガ飛行場の駐車場に仕掛けられたと事前通告があったETAによる車爆弾は、1時間後の8時5分に警察の爆発物処理班によって時限装置が取り外され、事無きを得た。
ETAは7時5分、サン・セバスティアンの道路援助協会とサン・セバスティアン消防隊に対し、マラガ飛行場の駐車場に仕掛けた車爆弾が8時に爆発するとの電話による事前通告を行った。通報を受けた両者は直ちにバスク地方警察とマラガ飛行場と連絡をとり、10分後には駐車場の車の撤退と主要ターミナルの人員の避難が開始された。車の車種とナンバーが通報されていたため、到着ターミナルの正面に駐車されていた当該車の特定は速やかに行われた。このマラガ飛行場の駐車場は、地下1階地上3階の独立した建物で、飛行場のターミナルに隣接し4500台が収容可能、この朝はほぼ満車状態だった。トランクに積まれた50キロから60キロの爆弾は、5月にフランスで盗まれたもので、警察関係者によると駐車場全体に被害を及ぼすだけの威力があった。ターミナルの人員避難が開始された7時15分から爆弾が完全に処理された14時30分までのほぼ7時間の間、空港に繋がる道路が遮断され、空港は混乱状態にあった。

カルデナル検事総長の不法滞在外国人犯罪者の国外追放通達に革新系裁判官、検察官より批判

一昨日、国家総検事局カルデナル総長から出された、軽微な犯罪で逮捕された不法滞在外国人の処遇について裁判官に国外追放命令を下すよう求めることを記した各検事局宛て通達に関して、革新系の民主主義を目指す裁判官協会(JPD)、革新検察官連合(UPF)から厳しい批判が出されている。
JPDのカルモナ広報担当は法的にできない措置ではないとした上で、全ての事案に同じ措置を適用することはできないと話す。さらに、ヨーロッパ人権裁判所における、国外追放措置を決定する上では、犯罪の性質や犯人のその国での生活状況などを個別に検討する必要があるとする判決を例にひき、機械的にすべての軽犯罪者を国外追放に処することは基本的人権と「無罪の推定」原則に抵触すると批判している。また、UPFでは刑法89条で裁判官の裁量によって懲役6年以下の犯罪を国外追放に代えることができると規定されているが、この場合、検察がそれを求めるべきものではなく、裁判官が各事案を検討すべき性格である、とコメントしている。
一方、保守系裁判官協会(APM)では、検察は法令の許す範囲内なら何を求めてもかまわないが、法の適用において決定権は裁判官にある、と話している。

外泊許可中の囚人が銀行強盗、警官を射殺

昨日、マドリードのモストレスで銀行強盗が発生、2人組の犯人の1人が駆けつけた国家警察官を射殺するという事件が発生した。
犯人のフェルナンデス・エルビアス(39歳)、カマチョ・チャコン(44歳)は月曜日に服役中のナバルカルネロの刑務所から3日間の外泊許可を取っており、刑務所へ戻るその日に犯行に及んだ。2人が銀行に押し入ったのは午後1時半ごろで、支店内には6人ほどの客がいた。銀行員へ金銭を要求、銀行員が金庫を開けるのに時間を要している間に、警報装置で連絡を受けた国家警察のパトロール官が2人駆けつけ、支店内に入ったところを犯人の一人が発砲、フェルナンド・ロンセロ警察官は4発の銃弾を受け、即死。その直後犯人は逃亡を図ったが、私服警官2人が応援に駆けつけ、銃撃戦になった。2人とも逮捕されたが、1人は腹部を撃ち抜かれ重傷。
フェルナンデス・エルビアスは強盗や銃の所持など複数の罪状で32年の懲役、カマチョ・チャコンは殺人、銃器所持、強盗などの罪状で38年の懲役を受けており、それぞれ刑期の4分の3を終えていたため、外泊許可が認められていた。
両人とも外泊の申請を何度も繰り返していたが、刑務所の許可を与える委員会では、服役囚の行動性格などを鑑み、社会に与える危険性が大きすぎると、そのたびに却下してきた。しかしながら、地方管区裁判所では服役囚の異議申し立てを最終的に認め、許可を出していた。

工事現場での作業中の死亡者は臨時作業員

労働団体(CCOO)の調査によると、今年6ヶ月間に建設現場での作業中に死亡した23名の労働者は全て臨時契約者であり、この数は昨年1年間の30名に早くも近づいている。CCOOの責任者ビクトル・ガルシア氏は「工事における安全性の不足」が事故を引き起こしたとし、作業員は、現在の雇用を継続させるため、このような労働条件の改善を会社に求める事が出来ない、と指摘している。マドリッドの建設現場で働く14万人に及ぶ労働者の90パーセントが臨時契約者であり、同組合によると、この現状は、マドリッドにおける高い労働災害率と深く結びついている、としている。PSOEとIUの代表者は、任期が6年に及ぶルイス・ガリャルドン・マドリッド知事に対する政策批判を行い、マドリッドの労働災害委員会において特別措置を講ずることを提案している。


7月26日(水)

「ラサ−サバラ事件」の最高裁判決、下審より厳しいものに

昨日、最高裁判所にて「ラサ−サバラ事件」の判決が言い渡された。今回の判決は、全国管区裁判所での判決よりも厳しいものとなり、5人の被告人全てに対して、懲役年数が4年加算された。
「ラサ−サバラ事件」裁判は、1983年にETAのメンバーであるとされる2人の青年が殺害、発見された事件の首謀者が治安警察長官や当時のギプスコア県知事であったと争われていたものである。
5人は2件の不当逮捕、2件の殺人、さらにはテロ対策組織"GAL"に属していたという容疑で懲役108年から110年を検察側から求刑されていたが、判決では不当逮捕と殺人についてのみ容疑を認め最高75年の懲役を申し渡し、殺害されたラサ、サバラ両人の相続人に各2500万ペセタの補償金支払いを命じた。
最高裁では、不当逮捕に関し、被告人の1人であるフェリペ・バジョ元治安警察官の証言は信頼に足る証拠であると判断、また、殺人に関しては直接的な証拠は存在しないものの、不当逮捕後の尋問、拘置、治安警察隊の影響下における死、さらには逮捕自体を否定したことが直接の証拠に準ずるとされた。
懲役年数が加算された理由としては、殺害された両人を不当に逮捕した際、公人としての地位を利用したということが挙げられた。
被告弁護人からの補償金が高額過ぎるとの異議申し立ては、「被害者が若いということやETAに所属していたということは被告人の民事責任を軽減する理由とはならない」と却下された。

美容整形失敗は1年間で5000件

昨年1年間のスペイン国内での美容整形件数は25万件に及ぶという。そのうちの2%にあたる5千件が手術の失敗によって何らかの後遺症が残り、最悪の場合は死亡に至ると医師整形医師ユニオンでは推定している。患者擁護協会には昨年1年間で360件の訴えがあり、前年と比較し30%増加しているという。
美容整形に対する苦情や訴えが増えている背景には美容整形を施すサロンやクリニックが増加し、それに伴い無許可での営業や無免許、未経験医師による施術が行われている、ということが指摘されている。
スペインの美容整形外科専門医は5年間、スペシャリストとして病院での研修を義務付けられているが、一般の医師にはその足かせがないため、経験がなくても美容整形を手がけることが可能になってしまう。スペイン美容整形矯正ソサエティでは最近になって一般医が美容整形の分野に進出してきている傾向があると話す。同ソサエティの会長は厚生省や文部省が美容整形の専門性の枠組みを決めこの法の穴を埋める必要があることを説いている。


7月25日(水)

シンテル問題、政府の解決案を労働者側が受け入れるかたちで終結へ

今年の1月からマドリードのカステジャーナ大通りに野営し、テレフォニカ、中央政府に問題解決を求めていたシンテルの労働者達は、先週政府より提案された解決策を受け入れることを決定、問題の終結へ向け一歩を踏み出した。
シンテルは元テレフォニカの子会社で1800人の従業員を抱えていたが、1996年にテレフォニカがキューバの会社に売り渡した頃から経営が悪化、昨年には破産状態となり、11ヶ月にわたって給与未払い状態が続いていた。
シンテルの従業員の大半が所属する労働団体CCOOでは、政府の提案である800人から1000人程度の従業員に対する再就職先の斡旋、早期退職プラン及び自発的退社の具体性を求めている。再就職先の雇用形態、就業場所、待遇などを含め、CCOOの求める条件を政府が確約すべきとし、また、11ヶ月分の未払い給与分については信用保証機関や給与保証基金などに支払いを求めるとする。

ETAのメンバー、ダイナマイトの取り扱いミスで爆死

昨日午後5時半過ぎ、アリカンテのトーレビエハにあるマンションの1室で大きな爆発が起き、居住していた女性が即死、マンションの裏庭にあるプール付近にいた7人が爆発によって降ってきたガラスの破片などで軽いけがを負った。
当初、ブタンガスボンベの爆発と見られたが、爆発物捜査班によってダイナマイトの爆発であったことが確認され、また、部屋からは手つかずのダイナマイト1キロも応酬した。死亡した女性はETAのメンバーのオライア・カストレサナであるとみられ、爆発によってプール付近まで飛ばされていた。
このマンションにはカサトレサナと恋人でやはりETAのメンバーであるアナルツ・オイアルサバルが住んでいたが、爆発直後にオイアルサバルが逃亡していることが判明している。両者は2〜3キロのダイナマイトで爆弾を製造する予定だったと見られ、取り扱いの途中でなんらかのミスを犯し爆発してしまったと推定される。
トーレビエハは地中海沿岸にあり、夏のバケーション時期には観光客であふれ、ETAのメンバーが潜入していても不審を抱かれないような場所である。ETAのコマンド部隊ではホテルや交通の要所などで威力のあまり大きくない爆発をおこし、混乱を招くよう仕向ける計画を立てていたのではないかと治安警察隊ではみている。

8月1日をもってオリーブ残さ油解禁

ベンゾピレン含有問題で市場からの回収を余儀なくされていたオリーブ残さ油であるが、8月1日から解禁されることが、厚生省とオイル抽出業界代表との話し合いによって決定した。
厚生省ではこの問題が発生してからそれまで規定のなかったベンゾピレン及び炭化水素の含有量上限を規定、ベンゾピレンに関しては1000分の2、炭化水素に関しては1000分の5となった。
今回、解禁宣言がだされたものの、残さ油販売するには2つの要件を満たさなければならない。まず第1に、上記の上限値を官報によって発表される必要があり、さらに店頭販売の残さ油のボトルには8月1日以降に容器に詰められたことが明記されたシールを貼らなくてはならない。
残さ油の製造元ではすでにベンゾプレンを上限以下の数値に押さえるよう装置を用意し、回収された油に関してもベンゾピレンを除去し再出荷できるような状態にはいっている。
しかし、品質の保証がなされたとしてもオリーブオイルやひまわり油に鞍替えしてしまった消費者を取り戻すには時間がかかるとみられ、一旦落ちた売上が元に戻るのはむずかしいのではないかと業界では悲観的な見解を出している。


7月24日(火)

中央政府、イバレチェ首長のバスク自決権州民投票案に待ったをかける

昨日、中央政府第1副首相兼内務大臣であるラホイ氏は、バスク自治権に関する州民投票案を推し進めるバスク州イバレチェ首長に対して、この件に関してこれ以上計画をすすめることは好ましくないと発言、中央政府の意向に反するようであれば、何らかの措置をとらざるを得ないと警告した。
ラホイ内相は、イバレチェ氏は政治目的よりも人々の生活、自由を守ることを優先するべきであろうと続けた。また、自決権はわれわれの住む世界には存在せず、植民地時代のなごりであると付け加えた。
PPのアレナス幹事長もこの件につき、「自決権に関する州民投票は憲法で認められているものではなく、民族主義者たちが一方的に憲法の枠をずらそうとしている」とコメント。さらに、「PNVは、憲法、自治法の枠内であるのなら何を提案してもかまわないが、その枠を勝手にこえることは許されない、イバレチェ氏は民族主義者である前に民主主義者であることが重要である」と説いた。
イトゥルガイスPPバスク局長も、イバレチェ氏がバスク州首長として、スペイン国憲法、自治州法に忠誠をつくすと誓ったことをはっきりとさせ、スペイン国憲法と独立はあい入れないものであると強調した。さらに、PNVは独立という政治的目的を果たすためにETAの存在を利用しているとも話した。

BSCHの理事会、通信部門の役員解任

昨日、サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行理事会は情報通信部門及び調査研究部門の役員であるルイス・アブリル氏の解任を決定した。
サンタンデール銀行とセントラル・イスパノ銀行という大規模な銀行の合併により銀行内首脳部の対立が存在していたことは否めないが、現在の2人頭取体制から来年の3月にアムサテギ頭取が退任しボティン頭取体制に移行するのを前に、統括部門の難局を乗り切れなかったアブリル氏が責任をとらされる形となった。両行では先月26日に新銀行のロゴマークへの切り替えの早期導入が発表され、17人の役員で編成される役員会が新たに発足し、2003年まではこの体制で行くことが確認されていた。
アブリル氏の後任はバンクインターの法律顧問を務めておりボティン氏にごく近い人物であるといわれるフアン・マヌエル・センドヤ氏となることが明らかになっている。

エルチェのミゲル・エルナンデス大学、研究のためにヒトのマスター細胞を輸入

エルチェのミゲル・エルナンデス大学のベルナット・ソリア教授は、さまざまな研究に利用、応用するためにスペイン国内では禁止されているヒトの胚から取り出したマスター細胞を外国から輸入したことを明らかにした。
スペインには3万の人間の胚が凍結保存されているが、1997年政府が医療目的にそれを利用することを禁じたためこのマスター細胞を国内で入手することは不可能であった。現在この細胞を研究目的で使用を認められているのは英国及び米国のみで、米国でもブッシュ大統領の意向により全面禁止の方に向かっている。
科学界のみならず政治の世界においても使用の是非をめぐり論争を巻き起こしているが、このマスター細胞が近い将来、医療に大きく影響を与えることは間違いないといわれている。ソリア教授は昨年ラット使った実験でマスター細胞をすい臓からインスリンを発生させるベータ細胞へ転換することに成功した。また、1型糖尿病が治癒したことも確認された。この技術を人間にも適用できるようソリア教授は国内外の団体へ働きかけ、米国の若年糖尿病基金や欧州糖尿病研究基金などから補助金を獲得することに成功した。
スペイン国内では1型糖尿病患者が年間3000人ずつ増えており、患者にとっては大変な朗報となる。ただし治験は3年後からしかはじめられないという。


7月23日(月)

ラホイ内相、不法滞在外国人犯罪者の国外追放措置を前向きに検討

先週金曜日の閣僚会議の後、ラホイ内相がスペイン国内に不法滞在し、犯罪を繰り返し逮捕された外国人に国外追放措置を適用できるよう法務省から検察庁へ要請するよう求めた件に関し、野党各党、NGOなどから反対の声が上がっている。
ラホイ内相は、先月にマドリードで起きたモルダビア人による弁護士一家殺傷事件を例にとり、100回以上の逮捕歴のあるような不法滞在外国人でさえも自由にスペイン国内を闊歩していることへの何らかの措置が必要であると説く。たとえ、国外追放命令が下されても別の犯罪容疑で逮捕され、訴訟手続きに入っている場合は追放命令が執行されることはなく、また、国内の刑務所がいっぱいのため収容されることもない。従って、犯罪を行い逮捕されることでスペイン国内に滞在することが許されるという法の抜け穴を利用する外国人たちが増加していることも指摘する。
法曹界では90年代初頭に国家検察長官から出された、懲役6年以内の犯罪によって逮捕された不法滞在外国人を国外追放することが望ましいという回覧により、各担当判事の判断によって国外退去処分を下すことは法的に可能であると説明している。しかしながら、被疑者は「無罪の推定」原則に守られていること、また被疑者を国外追放処分にした場合、被害者が犯人に対して補償を求める権利を失うことから、解決法としては問題が多いといわれる。
さらには、スペインで犯した犯罪についてはスペイン国内で裁かれなければならないと訴訟法で定められており、外国人の国外追放処分はスペイン国内で刑期を終わらせたあとになされなければならないという外国人法の規定もある。

マドリードでたて続けに喧嘩が原因で殺人事件が発生

マドリードでは昨日だけで、喧嘩が原因による殺傷事件が4件起きている。
1件目は昨日夜中にナイジェリア人同士の喧嘩で一方が胸部を刺され死亡、数時間後にアパートをシェアしていた同国人が逮捕された。
さらに1時間後、40代の身元不明の男性がオエステ公園のそばで殺害された。目撃者の証言では4人ほどの南米人らしきグループが喧嘩をしており、被害者もその中にいたという。身体中打撲の跡がみられ、さらには胸部を刃物で刺されていた。
3件目はマドリード郊外の国鉄駅で21歳のドミニカ人がやはり胸部を刺され病院に運ばれたが死亡、治安警察隊が捜査をすすめている。
また、死亡にまでは至らなかったものの腹部を刺されて重態の男性が病院にかつぎこまれている。
これらの事件によって今年に入ってからマドリードで殺害された人数は47人にのぼり、昨年の34人を大きくうわまわっている。マドリード社会主義連盟ではこのような事態に本日にもマンサノ・マドリード市長に地域保安に関する緊急会議を招集するよう求める予定としている。


7月20日(金)

イベリア航空の紛争、裁定書の発布により一件落着

1ヶ月にも及んだイベリア航空のパイロット組合SEPLAと経営者側の対立は、政府が立てた調停者の発布した裁定書により終結した。
賃上げを要求していたSEPLAによるストライキ、パイロットの大量退職の事態は経営側のイベリア航空全便運行停止措置にまで走らせ、両者の話し合いは泥沼化、政府による強制介入によって中立の調停人が指名された。仲立ちとなった人物は経済社会委員会(CES)の委員長であるフェデリコ・ドゥラン氏で、以前にもイベリア航空とアビアコ航空との紛争を調停した経験を持っていた。
今回の裁定書で定められた項目の有効期間は4年間。イベリア航空及びSEPLAは期間中この裁定書に従うことを強制され、この期間にストライキを行うことは許されない。両サイドの大きな争点となっていた賃上げ率は2001年消費者物価指数プラス0.5%、2002年から3年間は消費者物価指数とし、104条項は撤廃ということとなった。また、最終決定とはなっていないが全体で約10億ペセタの臨時手当を支給も考えられている。104条項は1995年にイベリア航空が経営不振に陥ったときに給与の12%ダウンを取り決めたもの。この時期に失った分の給与の回復に関しては会社の利益に準じ、徐々におこなれわることが盛り込まれている。
また、この裁定が適切かつ滞りなく遂行されるための委員会が設けられることとなり、経営側とSEPLA側から各2人ずつ、中立の立場の人物を1人の5人で編成される。

マラガ近郊で故障車による火事発生、825ヘクタール焼失

去る水曜日23時30分に、マラガ近郊の村落ミハスで発生した火災は、昨日火元から6キロ先の海岸沿いの町フエンヒロラにまで及び、425ヘクタールの松林を焼き、400ヘクタールの農耕地と村落を焼失した。この災害は、国道A−387号線を旅行中の3名の外国人旅行者の故障車のボンネットから飛び散った火花が松林に引火して起こったもので、火災発生の通報により駆けつけた250名による消火活動にも関わらず、風にあおられた火は毎時90キロ速度で広がった。この事態に、ミハスの村長代理ルイス・バスコ氏は、昨日未明、4村落300名の住人の住居からの撤退を指示し、この他に600名の村民が自宅から自主的に避難を行った。この火災の煙により、ミハスにつながる道路とコスタ・デ・ソルの高速道の料金所が一時機能を停止し、国道N-340号線の数時間に及ぶ渋滞を引き起こした。

政府はストライキ回避のため闘牛関係部門に25億ペセタを投入

 昨夜3時間半に及ぶ会議の後、農業省副書記マヌエル・ラメラ氏は、闘牛関係部門と行政側との一致案を発表した。24日のストライキ発表を受けて開かれたこの会議には、農業省、総理府、内務省、経済省等の代表者と、闘牛業界関係者、牧場主、闘牛士の代表者とが集まり、ストライキの回避と闘牛関係部門への25億ペセタの公費の投入が決定された。
同氏の発表によると、この公費は、「(以前は食用として用いられていた)闘牛の償却費と闘牛の開催を保証する」ために充てられる。内訳は、輸送費(66%が政府からの支出)、償却費(100%の補助金)と、闘牛で使われた牛を売ることが出来ないことによる損失(闘牛の開催毎30万から40万ペセタ)を充填することとなる。同氏はこの公費投入を支えるデータとして、闘牛業界において年間総額2900億ペセタが動き、直接には7万6千人、間接には15万人が従事し、5925の市町村が関係することを挙げている。


7月19日(木)

漁業問題、ヨーロッパ委員会からの補助金は310億ペセタ

昨日、ヨーロッパ委員会ではモロッコ海域での操業停止に追い込まれたスペイン、ポルトガルの漁船への補助金を1億9700万ユーロとする決定を下し、そのうちスペインへは1億8640ユーロ(310億ペセタ)を割り当てると発表した。
モロッコ政府との漁業交渉が決裂し操業再開の道が断たれたことから、1999年11月までモロッコ漁場で操業していた小漁船は廃棄されるかもしくは観光用など別の用途での利用のために改造することが必要となった。このための資金として補助金の最大40%が当てられ、28%は他の海域での操業を可能にするために使用される。それ以外は操業停止によって影響を受けた4300人あまりの漁業関係者の再就職や早期退職のための資金として使われる。
補助金の額に関してはスペインの農業漁業省の求めていた3億ユーロとはかなり開きがあるが、ヨーロッパ委員会農業漁業局フランツ・フィシュラー局長は提示した額で十分であると判断した。
国内の関連団体、協会、また労働団体ではこの金額では不十分であると不満の意を示し、アリアス・カニェテ大臣に緊急会談を要求、アンダルシア漁業局長は「ヨーロッパ委員会はモロッコ海域での操業を可能にする協定を締結していた期間850億ペセタの補助金をモロッコに払っていたにもかかわらず、スペインにはその半分以下で済まそうとするその態度を遺憾に思う」とのコメントを出している。

PP、PSOE間で司法界の人員改選に関しての合意に達せず

昨日法務省で行われた司法界における人員の改選に関してのPPおよびPSOE間での話し合いは、両者の意見が対立、平行線をたどり、合意に達することができなかった。 憲法裁判所、会計監査裁判所、司法審議委員会の人員の改選次期が本日に迫っているため、早急に結論を出す必要に迫られているが、場合によっては9月まで話し合いが持ち越される可能性も出てきている。
PPは、会計裁判所、スペイン銀行の理事としてPSOEから推薦されている者が政界人であり、サパテロ幹事長に近い人物であることに難色を示しており、変更を要求している。しかし、PSOEではPPも政界人を理事に推薦していると攻撃、現会計裁判所理事長も元議員であることを指摘し、PPの要求を受け入れることは不可能であるとする。
また、司法審議委員会メンバーの各党推薦人物の割合についても意見が対立しており、PPが20人中11人で過半数を押さえる人数を求めるのに対し、PSOEではPP10人、PSOE7人、IU、CIU、PNV各1人という案を掲げている。

17の大学で学生募集を全国規模に拡大

スペインでは、大学の位置する自治州以外に居住する者が入学を希望する場合、非常に狭き門となっているのが現状である。その打開策として、現在まで大学では各学部に州外からの生徒10名を限度として、募集人数の5%を割り当てることが義務付けられているが、今年の9月からは48の国公立大学でその枠を20%にまで広げることとなった。この措置に伴い、7つの自治州にある17の大学が生徒募集の地元優先を完全撤廃、100%全国に広げることを決定した。この措置によって全国から広く能力の高い生徒が集まることを期待している。
マドリードでは6大学で全ての学部に100%適用、その反対にバスク州、アンダルシア州、カタルーニャ州では100%とした大学は1つもない。大学、学部によってこの措置の導入具合は変わってきている。
これにより、大学入学のための基準点の上昇が予想され、特に人気のある学部では競争が激しくなると見られる。


7月18日(水)

PSV問題、全国管区裁判所はUGTにPSV被害者への支払いを命ずる

1988年に労働組合UGT主導で立ち上げられた住宅供給プロジェクトが数年後に頓挫、1994年に破綻したPSV問題であるが、昨年開始された訴訟の判決が昨日全国管区裁判所刑事法廷にて読み上げられた。
このプロジェクトをつかさどっていたPSVの会長であり、その住宅環境整備をひきうけていたIGS社の社長でもあったカルロス・ソトスには「唯一の収入である出資者から集めた700億ペセタを不動産活動とは全く別の事業につぎこみ短期間でこのプロジェクトを破綻させた」として2年4ヶ月1日の懲役、労働団体UGTにはこのプロジェクトの被害者2万人に合計30億から130億ペセタの賠償金支払いが言い渡された。また、2万人の被害者のうち原告として訴訟に加わっていたのは5960人であるが、それ以外の被害者にも同じように賠償金を受け取る権利があるとした。
UGTではこのプロジェクトが破綻した7年前に住宅建築のために102億ペセタを出資、責任は果たしたと説明、この判決を不服として控訴することを決定している。

アルタミラ博物館一般公開へ

昨日、国王夫妻を招いてアルタミラ洞窟を再現したアルタミラ博物館の開館式が行われた。
1879年に発見された石器時代の遺跡であるカンタブリア県のアルタミラ洞窟は壁画の損傷が激しく1982年より一般公開の人数を年間8500人と制限していた。
このため、文部省、カンタブリア自治政府、サンティジャーナ・デル・マル市などが調査・研究、また、洞窟の保存のため精巧なるコピーをつくることを計画、42億ペセタ、4年の歳月をかけ、洞窟の横に博物館を設立した。この博物館に設置された"新洞窟"は本物と全く同様に描かれた当時の顔料を使用するなど忠実に再現している。
博物館は900uからなり、見物者は博物館入り口から1万3千年前の時代へとトリップ、マドレーヌ期の遺物へと導かれる。年間の入場者数を18万人と見こんでおり、予約券の販売はサンタンデール・セントラル・イスパノ銀行が扱っている。

バルセロナで不法占拠グループと警官隊の衝突、逮捕者17人

昨日バルセロナのグラシア地区で裁判所命令によって、空き家を不法占拠していた家族が追い出されたことに端を発して、“オクパ(OKUPA)”と総称される不法占拠者のグループが警官隊と衝突した。
この追い出しのあった家の前にはバルセロナでも有名な“オクパ”が居住する“ムンターニャの家”と呼ばれる廃屋があるが、そこの住人がこぞって警官隊に抵抗、建物内からありとあらゆる物を投げつけた。さらにはゴミのコンテナを路上で燃やして交通を阻害したり、全裸になって暴れまわったりと騒然とした雰囲気は6時間にも及んだ。その間、警官隊は“ムンターニャの家”へ突入を試みるも、内側から強固なバリケードで外部からの侵入を防ぐようにされていたため、屋上からの侵入をせざるをえなくなった。“オクパ”の抵抗は壮絶を極め、路上に駐車中の車両が破壊されたり炎上したりと大きな被害が出ている。この事件による逮捕者は17人と報告されている。
オクパ連盟では警官隊の建物への侵入は“不法”行為であり、裁判所からの退去命令に基づいてなされたものではない、と非難している。
騒動が終わった昨日夜には100人を超す“オクパ”たちが“ムンターニャの家”に“帰宅”している。


7月17日(火)

アスナル首相、PNVに対してバスク自決権を論じる前にEHと手を切るよう求める

アスナル首相及びバスクPSOEのレドンド書記長は昨日、イバレチェ・バスク州首長とPNV首脳部に対し、急進的民族主義政党EHときっぱり手を切るよう求めた。これは少数派でありながらPNV−EA連合の支持によって政権をとっているバスク州内の各市議会での両党の合意を破棄せよというもの。昨夏、ETAのテロ行為が活発化したことに伴い、15の市町村で合意を破棄してEHを少数派に追いこんだPNV−EA連合であるが、いまだに16の市町村議会でEH政権を許している状態である。
同首相は、イバレチェ首長が求めるバスク自決権に関する論議に対し、まずはテロリスト根絶が最重要課題であることを強調、アスナル首相率いるPPが必要であればバスク自決権を論じる席につくこともありえることを示唆した。また、実際には現在バスク州が今までにないほどの自治権を享受していることも忘れず付け加えた。
これに対し、PNVアルサジュス党首は、たとえETAがこのままテロ行為を続けようとも自決権の討議を先延ばしにすることはないと回答。

闘牛界、24日からストライキを予定

昨日、闘牛界に属する人々500人あまりがマドリードに集まり、会合を持った。闘牛士、牧場主、興行主などは、闘牛後の牛肉の処分問題に関する厚生省の指示に関して行政当局と話し合いを続けていく、という点について全面的に支持することを決定。次回19日の会合の際に必要とされる解決策を行政側が示さない限り24日から全ての闘牛行事をストップするということを明らかにした。
これは、昨年末に発生した狂牛病に関連して、それまで許可されていた闘牛後の牛肉の販売を禁止、すべての牛を焼却処分にしなくてはならない、という厚生省からの通達は、牛肉の販売売上が無くなり、さらには焼却処分費用、焼却場への輸送費用などがかさみ、闘牛界の経済を圧迫してきた。この損害に関し、行政側は焼却処分された牛肉1キロにつき320ペセタの代償を支払ってきた。しかしながら、今月1日にその補助金支払いが打ち切られ、牛肉の販売も全面禁止となったため、少なくとも補助金の支払いを続けるよう求めている。闘牛界では牛肉の販売が認められないことによる損害は20億ペセタにものぼると計算している。

コレステロール低下の薬剤が腎不全を引き起こす可能性ありと厚生省が警告

全てのEU加盟国の薬剤局では、コレステロール低下のための薬剤が他の薬剤と併用されることによって腎不全を引き起こす危険が高くなる、と今月の初めに緊急発表、それを受けてスペインでも厚生省が該当する薬剤に関する情報を公表している。
セリバスタチンと呼ばれる高コレステロール血症治療薬はコレステロール低下のために劇的な効果を表すものの、ある種の抗生物質などを併用すると二次的な症状が発生する可能性があるという。
スペイン国内には20万人と言われるこの薬剤の服用者がいるが、56人が何らかの副作用に苦しんでいることが確認されており、現在までにこの薬剤の服用者が4人死亡していることも報告されている。しかしながら、死亡した人がこの薬剤を服用しなかったとしたら高コレステロール、もしくは心臓疾患などで早期に死亡していた可能性も否めないといわれる。
ヨーロッパ諸国では、セリバスタチンの服用者の中に筋肉痛が発生したということを明らかにしており、これは筋肉組織が破壊されるために起こる痛みであるという。筋肉組織の破壊がすすむとその組織が血中に流れ込み、腎臓に達し機能障害を起こすことになるといわれる。
ただし、服用者が無用な心配をする必要はなく服用量や他の薬剤との併用については医師の指示を仰ぐことを推奨している。


7月16日(月)

密入国に失敗して、6人が死亡

スペイン南部の海を渡って密入国を試みる外国人が後をたたないが、先週末だけでも沿岸部で333人が拿捕され、6人が遺体となって発見された。
昨日、タリファのラ・カレタ海岸近くで発見された4遺体は、治安警察隊の海上パトロールから逃れようとしていた密入国ボートが大波に流され岩に激突、溺死したものとみられている。タリファ赤十字では密入国者の家族の証言から、ボートには少なくともあと3人は乗っていたとみられるとコメントしている。
また、ロス・ランセス海岸に打ち上げられたエアボートの中から2遺体が発見されている。このボートには相当数の人が乗っていたと見られ、ボートがひっくり返ったときに海水と燃料が化学反応を起こしそのガスを吸引した2名が死亡したと推定されている。
拿捕された外国人はアルヘシラスの警察に連行され、負傷したものは手当てを受けているが、大半がモロッコ人のため数日中には本国へ強制送還される予定。

ETAのテロ、同日に2件発生

先週土曜日、前日にバスク地方議会でフアン・ホセ・イバレチェ氏がバスク州首長として再選され首班として新地方政府を組織した当日、ナバーラ及びギプスコアでETAによるテロが発生、2人が死亡した。
午前10時前、ナバーラ県レティサ市の市議で写真家のホセ・ハビエル・ムヒカ氏(58歳)が自宅前に駐車中のワゴン車に乗りこみエンジンをかけたとたんワゴン車が爆発、同氏は即死した。レティサ市は人口3100人で急進派民族主義政党EHの市長により治められており、UPN(ナバーラ民衆連合)所属のムヒカ氏は度重なる脅迫、嫌がらせをうけていた。住民は恐怖心からテロや暴力に対して口をつぐんできたが、この事件を契機にEH議会に立ち向かうことを決意している。UPNのサンス党首は住民に向かって"殺人者はこの町にいることを忘れないで欲しい"と呼びかけた。
一方、午後8時40分頃、レティサから10キロと離れていないギプスコア県のレアブルで地方警察官ミケル・ウリベ氏が殺害された。同氏は友人との会食のため村のグルメクラブへ出向き、車を止めた直後に銃弾を受けた。同氏は病院に運ばれたが手当てのかいなく死亡。殺人者は同氏に向かって28発の銃弾を浴びせ、そのうちの9発が体内から発見されている。ウリベ氏はギプスコア県でも闘争の激しさで有名なエルナニ市やイルン市の警察本部長を歴任、1年半前より地方警察の内務規律を束ねるセクションに勤務していた。自治政府のバルサ内務局長は犯行状況を分析、犯人は殺害に最近ではあまり使われていなかったサブライフルを使用しており、また、被害者に何発も撃ち込んでいることなどから見て、相当訓練されETAによって雇われた暗殺者である可能性もある、とコメントしている。

残さ油問題でオリーブオイルの売上が62%減

先日、残さ油(オリーブオイルの搾りかすに溶剤を加えて摘出した油)の一斉回収通知が出されたことで、全く質の異なるオリーブオイルにまで影響が出ていたが、先週には海外からのオリーブオイルの注文が激減し、その影響を受けて総売上が62%も落ち込んでいる。
外国ではオリーブオイルと残さ油との区別をつけられないところもあり、オリーブオイルの全面的輸入禁止措置をとったところもでてきている。この事態を憂慮した小規模農業ユニオン(UPA)では「残さ油とオリーブオイルの違いを知らない外国の消費者の信用を回復するためキャンペーンを張っていく」とする。この一環として昨日ハエン県議会がマドリードやバルセロナ、マラガの空港で外国人利用者に75000本のオリーブオイルの小瓶とオリーブオイルについて記したパンフレットを配布した。


7月13日(金)

イベリア、航空便の再開

イベリア航空は今朝5時25分、8時間ぶりに航空業務を再開した。この業務中断は、労働組合(SEPLA)に所属する99名のイベリアのパイロットが昨夜大量辞任したためで、イベリア航空社長シャビエル・デ・イララ氏は、空路の安全を確保するため、業務の中断を発表していたものだった。昨夜の時点で、航空便の中断を不適切とみなし業務の再開を求める勧業省からの文書を受けていた同社長は、3時15分頃、イベリアの他のパイロットから寄せられた航空業務の遂行を誓う113通の誓書を受け、業務の再開に踏み切った。今朝未明の同発表によると、辞職を表明していたパイロットとの交渉の中で、イベリアは、パイロット側からの辞職の撤回、または後任者への引き継ぎまで業務を続行するとの文書による誓約を受けたとしている。一連の業務中断と再開の中で、マドリッド・バラハス空港のイベリア航空利用者は、早朝4時においていまだ混乱状況にあり、航空便を確保するために行列を作り、チケットの交換を要求している。

アスナル、バスク自治法の大幅な改定のための委員会招集を求めるバスク首長の提案を拒絶

ホセ・マリア・アスナル首相が率いる内閣は、バスク自治法に関する「より高いレベルでの委員会」の創設を提唱するフアン・ホセ・イバレチェ首長の提案を拒絶した。提案された委員会は、6ヶ月以内に自治法を大幅に改定させその修正の可能性を検討するためのもので、地方議会の執行部によると、38の法的権限の移譲が懸案となっている。行政省へスス・ポサーダ大臣は、首長によって要求されているこれらの法的権限移譲の内のいくつかは、「憲法に沿わない」ため、「大幅な変更なしには同意を見ることは大変に難しい」との見解を述べている。この提案を発表したイバレチェ首長は昨日、PNV、EAと3名のIUーEBの議員の支持によりバスク州の首長に再選されたばかりである。

ムルシアの衛生局と自治府においてレジオネラ菌が検出される

ムルシアの衛生局長フランシスコ・マルケスが昨日発表したところによると、ムルシアの自治府や衛生局など、市内中心部の建物に分散している14の冷却塔においてレジオネラ菌が検出された。同氏によると、レジオネラ菌は検出されているが、このバクテリアが活動状態にあるかは不明であるとしている。レジオネラ菌は、この金曜日に閉鎖されたエル・コルテ・イングレスの冷却塔や同社の他の冷却塔、ムルシア貯蓄銀行の本行等で検出されている。25年前この感染症が発見されて以来、ムルシアでの肺炎患者は史上最高の575名と1名の死亡者に上っている。これらの患者のうち現在の時点では228名からレジオネラ菌の存在が確認されているに過ぎないが、この数値は検査が進む中でさらに上昇する模様である。

 


7月12日(木)

バスク地方議会の首長指名討論会はバスクの平和及び独立政府がテーマに

昨日、バスク地方議会ではPNVイバレチェ氏のバスク州首長指名討論会が行われ、同氏はバスク議会が平和への話し合いの場となるよう提案、全ての人々の生活、安全を保証しテロリズムと戦っていくことを約束した。
イバレチェ氏はETAや市中における破壊行為に対処する措置として情報収集活動の強化、警察官の増員、地方警察と内務省との協力などを掲げている。
また、バスクにおける自決権についても触れ、秋頃までには各政党、中央政府との話し合いを持ちたい意向を明らかにし、自治法の改正の可能性を探っていく方針を示している。
イバレチェ氏の演説に対してPPのマジョール・オレハ氏は、イバレチェ氏は自治政府を治めていくことを許されたのであって、自治法の改正の権利を与えられたのではないことを認識すべきだと反論、ETAのテロと市中での破壊行為を撲滅させることに全力を尽くすことを求めた。
議会での首長指名選挙ではイバレチェ氏が絶対過半数を獲得することができなかったため、イバレチェ氏の再選は本日にもちこされた。

ムルシアのレジオネラ菌の発生源判明

ムルシア政府はムルシア市内で発生したレジオネラ菌の発生源を特定したことを発表した。市内中心にある4つの建物の冷却塔から菌が検知されたが、そのうちの1つは大手デパートのエル・コルテ・イングレスで、その他3つの建物に関しては場所を公表することを控えている。
エル・コルテ・イングレスでは夜を徹しての作業で冷却塔を封印し、顧客には安全性を確保していることをアピールしているが、営業中は冷房が使用できない状態となっていた。
患者の数はさらに増加しており、レジオネラ症の疑いで診察を受けた患者は470人、192人が罹患しているとの診断を受けている。短期間にこれだけの患者が発生したことは過去に例が無く、理由について専門家の間で分析されているが、満足のいく回答は出ていない。


7月11日(水)

ETA、マドリードでまた爆弾テロ、警官1人死亡

昨日午後8時半ごろ、マドリードのアルーチェ地区でETAによる爆弾テロが発生した。この爆発によって現場で警戒にあたっていた国家警察ラティーナ管区所属のルイス・オルティス・デ・ラ・ロサ警察官(33歳)が死亡した。
爆発の起こる30分ほど前に爆弾予告の電話が警察に入ったため、警官隊が現場に急行、付近住民を避難させるなどの緊急配備を行っていたが、その最中に駐車中の自動車が爆発した。爆破現場はちょうど法務省のビルの前で、建物内には清掃員が残っていたが爆発前に全員が避難した。
この爆発によって13人が割れたガラスの破片などで軽いけがを負ったが、物的被害はかなり甚大で付近マンションの低層階の住民は自宅での生活に戻るのに時間がかかるであろうとみられている。
爆発した自動車は今年3月にモラタラス地区で盗まれたもので、30キロの爆発物が搭載されていた。
ラホイ内相は、マドリードでたて続けに起こっているETAのテロ行為に関して、ETAのコマンド部隊がマドリード内で組織され、テロ行為を自由に行うだけの裁量を有しているのではないか、とコメントしている。

検事長会議にてピケ外相を全国管区裁判所において証人喚問することを決定

昨日、検事長会議にて"エルクロス事件"に関連して、その当時役員の地位にあった者全員を全国管区裁判所において証人喚問することをカルデナル検事総長に求め、同総長が同意したことが発表された。
会議では各担当法廷の検事長である13名のうち2名が最後まで"最高裁にて当該事件の容疑者としてピケ外相を喚問すべきである"と主張したが受け入れられなかった。
会議の中で、ピケ外相を容疑者として証言を求めたバルガス検事に対する処分が検討され、更迭の可能性についても示唆されている。しかしながら、汚職対策検事局のビジャレホ検事長からはバルガス検事長擁護の意見が出ている。

農業省、新たな豚ペストの発生を確認、豚の移動を禁ずる

一旦収まったかにみえていたカタルーニャ地方を中心とする豚ペストであるが、昨日、農業省から新たな感染源が確認されたことが明らかにされた。
今回はバレンシアのアルプエンテとクエンカのタラジュエラスの5ヶ所。農業省ではペストの蔓延をおさえるために豚の移動の禁止を通告している。同省では感染している豚の仕入先をいまだ特定してはいない。
この豚ペストの発症によって14000頭あまりを処分しなければならないことになると考えられている。
ロス・セラーノス地方にあるアルプエンテには40の牧場が点在、そのうちの13牧場は今回発症が確認された牧場から半径1キロ以内に集まっている。さらにロス・セラーノス地方には200の牧場があり、この地域の経済基盤となっているため、ペストの蔓延は地域全域の死活問題にかかわる。


7月10日(火)

新バスク自治政府の最重要課題は自由と安全の擁護

昨日、明日に控えたバスク自治政府イバレチェ新首長指名にあたり、イマス自治政府スポークスマンより新政府の最重要課題はバスク州民の自由と安全の擁護にあることが公表された。ここ数週間、市中街頭での破壊行為が激化していることを憂慮し、自治政府内務局では人的物的両面から取締りの強化を図ることを強調している。
また、野党各党に対して、バスクの主権に関する協議を行う可能性について、今からけちをつけるのではなく、首長指名後に議論するよう求めた。イマス・スポークスマンの議論の先走りをおさえる言動とは逆にPNVの党書記官アリストンド氏はエウスカディラジオにて、次期議会でバスク主権問題を取り上げることを認めている。また、PNVの盟友EAの幹事長は明日の首長指名議会では、ゲルニカ条例を越える統治権の新たなひな型を作る必要性を説くとしている。
これらの発言に対し、中央政府副首長兼内相であるラホイ氏は"悪いニュースである"と不快感をあらわにしている。

ムルシアのレジオネラ症、さらに感染者が増える

先週末に発症が確認されたムルシア市内でのレジオネラ症であるが、日に日に感染者が増加している。
人口35万人のムルシア市では昨夕8時の段階で71人がレジオネラ症に罹患していることが確認され、139人がレジオネラ菌が原因とは特定されてはいないが、同症感染の可能性がある肺炎であると診断されている。そのうち166人が入院、6人が集中治療室に収容されている。
患者のほとんどは市内中心のサンタ・マリア・デ・グラシア地区に居住しており、市外の患者も最近市内へ出かけたことのあるため、この地区にある冷却塔からバクテリアが飛んでいったのではないかと推定されている。衛生局の調査にもかかわらず、まだ発生元は確認されていない。
この急激なレジオネラ症の蔓延を受けて、厚生省ビジャロボス大臣は、今月末にもレジオネラ症感染対策の政令を導入すると緊急発表した。この政令に関しては、昨年ビゴやバルセロナでレジオネラ症が蔓延した際に、厚生省と地方政府衛生担当局との対策委員会にて政令の制定が承認され本年初頭には導入が約束されていたにもかかわらず、のびのびになっていたもの。後手後手にまわる政府の対応に各方面からの風当たりが強いが、厚生省広報官は、法規制の管轄に関して、国家と自治体との間で調整を図る必要があったために時間がかかった、と釈明している。

ジダン、125億ペセタの移籍金でレアル・マドリードへ

昨日、レアル・マドリードがフランス人サッカー選手であるジダンの入団発表を行った。
レアル・マドリードはジダン選手獲得のためにイタリアのユベントスへ125億ペセタというサッカー界最高の移籍金を支払った。昨年、ポルトガル人選手フィゴをバルセロナから移籍させるために支払った100億ペセタを上回る。
ジダン選手との契約は4年、年収10億ペセタで、契約違約金は300億ペセタ。背番号は今シーズンまでキャプテンであったサンチス選手のつけていた5番をひきつぐ。
入団発表を受けて、レアル・マドリードのオフィシャルショップにはジダン選手のユニフォームを求めるファンが列をなし、昨日だけで、12000ペセタのユニフォームが200枚以上売れている。


7月9日(月)

ムルシアでレジオネラ症が発生、患者は145人

昨夜、ムルシアの衛生局担当は、ムルシア市内においてレジオネラ症の症状が見られる患者が発生したことを公表した。現在までに145人が罹患していると報告されており、そのうち80人ほどが入院し、2人が集中治療室に収容されているという。患者の87%が男性でほとんどが50歳以上、10%が80歳以上だという。中には肺炎の症状で昨夜入院した患者が死亡しているが、これもレジオネラ菌によるものではないかとみられている。
担当官はレジオネラ菌の発生元が市内の建物の冷却塔ではないかと見て、調査分析をすすめていることを明らかにし、市内の給水システムがレジオネラ菌に汚染されている可能性については否定した。
また、高熱、嘔吐、腹痛、下痢、咳などの症状がある場合には感染の疑いがあるため、そのような場合、即座に病院へ行くことを市民に呼びかけている。
レジオネラ症はここ5年間にスペイン国内で約500人が罹患し、26人が死亡しているが、特にアルコイでは断続的に患者が発生しており、先週も84歳の男性が死亡したばかりで、患者数も多い。

漁業問題、EU委員会からの補助金は19700万ユーロ

EUとモロッコとの漁業交渉が決裂以来、EUの船舶のモロッコ海域での操業が停止状態になっているが、両者の歩み寄りが全く見られないことから、政策の根本的変換を求められている。
1999年11月の時点で操業していた420隻のうち230隻は完全なる漁船の解体もしくは第3国への売却が余儀なくされると考えられ、60から80隻程度にとどめ他の漁場を割り当てるというスペイン政府のもくろみはEU委員会より却下された。この措置に伴い、EU委員会では11600万ペセタの補助金支払いを提示している。
スペイ国内で影響を受ける約3000人の船員は、新たな職種での再就職かもしくは早期退職の選択を迫られることとなり、そのためEU委員会では6300万ユーロの補助金、また、50隻の漁船をモロッコ漁場で別の目的のために利用するために編成しなおす資金として1800万ユーロの拠出も考えている。
スペイン政府の求める30000万ユーロとは大きな隔たりがあるが、これからの交渉次第となる。また、政府ではモロッコ海域での操業禁止が決定的となった今、アルジェリア、チュニジア、モーリタニア、セネガルなどの海域での操業が可能となるよう、各国と話し合いに入っている。

イベリア航空ストライキ、パイロット組合と経営側の話し合い暗礁に乗り上げる

先月から続けられているイベリア航空のパイロット労働団体(SEPLA)と経営側の話し合いは、依然として平行線をたどり、暗礁に乗り上げた状態となっている。明日に予定されているストライキが決行されることは決定的となった。
SEPLAでは経営側へ圧力をかける意味で、エアバス320、ボーイング727や757などの大型機の運行スケジュールを統括する管理職たちがパイロットへの地位へ戻ることを求める要望書を提出した。SEPLAではイベリア航空の企業方針や施策に同意しかねるための措置であり、パイロットである以上、パイロットとしての仕事をする権利があるとする。
経営側は、SEPLAの要求は企業の機能を著しく侵害するものであるとし、これにかかわったパイロットたちに対しての審理を開始するとし、このような要求に及んだ経緯について弁明することを求め、要求に足る釈明ができない場合は解雇処分となる可能性もあるとの声明を出している。


7月6日(金)

スペインの残さ油危機問題にEUから非難される

一昨日、厚生省によって残さ油(オリーブオイルの搾りかすに溶剤を加えて摘出した油)回収通知が出されたことが国内のみならず、国外にまで影響がでていることを受けて、EUではスペイン政府に対して、社会不安を巻き起こし、業界に混乱を招いた責任を追及、発ガン性物質ベンゾピレン含有の商品の特定及び輸出先を明確にするよう求めた。また、スペイン側からの明らかな情報がもたらされない現状では、各国が輸入禁止措置を講じることはやむをえないという態度を示している。スペインが各国に詳細な情報を早急に通知しない限り、ベンゾピレンの含まれていないオリーブオイルにまで影響が出てくるであろうとコメントしている。
一方、ヨーロッパ委員会ではオリーブオイルの輸出禁止措置はとっていないことを外交情報局が明らかにしている。
スペインのラホイ内相はこの問題について、特定の商品に発ガン性物質の含有が認められるのならば、人体への影響を考えてもそれを取り除く措置を講じることが必要である、と批判の強いビジャロボス厚相の突然の処置を支持する発言をしている。
スペイン国内では関連各団体とビジャロボス厚相との会談は同厚相の一方的かつ高圧的な態度によって何の発展もなく決裂に終わっている。各団体では、同厚相に対し、突然かつ内容の伴わない、解決策の講じられていないような措置をとった理由の説明を求めたが回答は得られず、同厚相は厚生省の役割は関連業界の経済的損失よりも国民の健康を保証することである、と説明するにとどまった。

コルドバのメスキータで火災発生

昨日のメスキータでの火災発生のニュースは、コルドバ市長ロサ・アギラールを始め市民に衝撃を与えた。火災は13時20分、メスキータの南側、アル・ハーカム2世が966年ごろに建築したミヒラーブ(メッカに向けた祈祷場所)の近くの古文書室の一つで発生した。
職員の通報と迅速な消火活動により、約半時間後には火は治まり、被害は19世紀の25の古文書に留まった。火災発生当時、古文書室は無人閉室状態にあり、文書が金属製の保管庫に保存されていたことで被害を最小限にくい止めた。火災の原因は不明。消火活動にあたった消防士によると、窓際に置かれていた文書の太陽による自然引火、または隣の製本室で用いられている引火性の液体が古文書の束に染み付いていた可能性が指摘されている。メスキータは後ウマイヤ朝を開いたアブデ・ラーマン1世により785年に建設が始められたモスクで、1984年にはユネスコにより世界文化遺産に指定されている。

総合屋内運動場の再建築案が発表される

マドリード自治県アルベルト・ルイス・ガリャルドン知事は昨日、6月28日の火災によって大きな損傷を受けた総合屋内運動場(パラシオ・デ・デポルテ)の再建計画を発表した。
この計画は、体育館補修可能との技術報告を受け、自治政府閣僚会議での話し合いの後、同大臣の「個人的」権限で公式発表された。総額40億ペセタを投じるこの再建計画によると、修復後の体育館は、従来を3千人上回る1万5千人が収容可能となる予定。再建工事には20ヶ月が見込まれているが、ガリャルドン氏は15ヶ月での工事の終了を唱えている。野党側は、体育館が引き続き公的目的に使用されることに満足の意を表しつつも、体育館の再建に関し重要な話し合いが行われた後、知事の個人的な決定が下されたことを遺憾としている。


7月5日(木)

スペインオイル産業の危機感広がる

昨日、厚生省より残さ油の流通、販売停止措置が発表されたことによって、国内だけでなく輸出に関しても影響が出始めている。ポルトガルでは4万トンのスペイン産残さ油(オリーブオイルの搾りかすに溶剤を加えて摘出した油)が店頭から撤去されたが、フランス、ベルギー、ロシアからは残さ油ではないバージンオリーブオイルの注文もキャンセルが相次いでいるという。
残さ油の関連各社、協会では、ヨーロッパ全体しいてはスペイン国内にも発ガン性物質であるベンゾピレンの含有量の上限規制がないことから、早急な法規制を求めており、それに従って精製段階でのベンゾピレン除去策を講じるとする。また、アスナル首相に対しては、"国家的な問題"の解決のために業界との会談を実現するよう求めている。
一方、アンダルシア、バスク両自治政府では先週厚相と各自治政府の衛生局代表との会合がもたれたときに、この件に関して何の報告もなかった理由について中央政府に説明を求めた。また、PSOEとIUはビジャロボス厚相に社会に危機感を与えるような不用意かつ唐突に発表した理由の説明を要望している。

アルメリアで不法滞在モロッコ人を誘拐監禁していたマフィアを摘発

アルメリア県エル・エヒドで不法滞在モロッコ人を誘拐監禁していた2つの組織が摘発された。
モロッコ人の組織するこれらマフィアは、カディスやタンジェの海岸から密入国に成功した同朋を待ちうけ、バスでアルメリアまで運び、豚小屋や農作業小屋などに監禁、その家族に身代金を要求していた。
1件は今週の日曜日にエル・エヒドのバスターミナルでモロッコ人同士の口論に警察が介入したのがきっかけとなり、捜査が開始され、20〜30歳のモロッコ人男性8人が発見、保護されたもので、全員がモロッコ国内で19万ペセタを支払っていたと証言した。その家族はさらに18万ペセタの支払いを要求されていたという。
また、もう1件は誘拐され、金銭を要求された家族が警察に通報してこの事件が発覚したものだが、40平米ほどの農作業小屋に16人が監禁され、何日も食事を与えられていない状態であった。

セゴビアは400トンのごみの山

セゴビア市では、先月23日以来ごみ回収職員のストライキのため、道路の至るところにごみが山積み状態となっている。
長期間に渡り、この気候の中400トンにも及ぶごみが放置されているため、衛生環境が非常に悪化しているとして昨夜遅く、セゴビア市役所では、緊急事態発生令を出した。昨日、市役所ではスペイン全国にあるごみ回収業者でこの非常事態を救ってくれる企業を探したが結局見つからなかったため、上記のような声明を発表するとともに市民保護のための会議を召集、他の手段を使ってごみを撤去することに合意した。市役所では市民の健康を第一に考える必要があり、ストライキの権利を侵すものではないと説明している。市内に30のコンテナを設置し、ごみを回収、それを警察の警戒のもと輸送するという結論に落ち着いている。
一方、この事態を重く見たカスティージャ・イ・レオン自治政府では市役所の無能ぶりを指摘し、独自にごみ回収にあたる、という決定を発表している。 このような状況の中、ごみ回収業者は賃上げ要求、さらにはストライキ中に従業員の一人が解雇され、6人が職務怠慢のため処罰を受けたことも重なり当分の間ストライキを続行する構えを見せている。


7月4日(水)

精製オリーブオイルに発ガン性物質含有、店頭から撤去される

昨日、厚生省はスペイン国内で生産、販売されている精製オリーブオイルに発ガン性物質ベンゾプレンが含まれているということを公表し、各自治州に流通、販売停止の通知を送付した。この措置に伴い、各小売店ではただちに店頭から全ての精製オリーブオイルを撤去した。
オリーブオイルにはその果実より搾油する純粋なオイルと絞った後の種などすべての絞りかすから精製するオイルとに分かれるが、今回発ガン性物質が発見されたのは後者の精製オイル。精製オリーブオイルは3級品の位置付けがなされ、安価であり、一般的にオリーブオイル、バージンオイルと称されるものとはカテゴリーが異なる。厚生省では13のメーカーの精製オリーブオイルを検査したが、全てから同物質の含有が認められたことを明らかにしている。
今回探知されたペンゾプレンは精製段階で生じたもので、添加物として混入されたものではないと説明されている。ペンゾプレンの人体に与える影響については明確なデータが無いため、スペインでは摂取上限の法的な規制は存在しない。しかし、ヨーロッパ内ではドイツが10億分の1という規制を設けており、チェコがスペインから輸入した精製オリーブオイルをその基準にのっとり分析したところ、上限を大幅に上回っていたため製品を返品、これがきっかけとなり、厚生省、農水省で詳細な調査をはじめることとなった。 スペインでは年間7万トンの精製オリーブオイルを生産しており、オリーブオイル全体の生産量の8%に相当するといい、生産がはじまったのは90年代始め。
生産者協会ではこの件が純粋なオリーブオイル、バージンオリーブオイルなどと混同され、スペインのオイル業界全てに影響を与えることは必至と見ており、不安感を隠せないでいる。

夏に電力不足が起こる地域がある、と電気会社が警告

ここ数日、心配されている電力不足であるが、昨日、電力会社エンデサ社とイベロドローラ社が再度、特定の地域によっては今夏、電力が不足し停電が起きる可能性を指摘している。
両社でスペイン国内の80%の電力を供給しているが、供給の配分が偏ることが原因でレバンテ地方沿岸部やコスタ・ブラバ、テネリフェ、マドリードなどがその影響を受けることになりそうだという。これは電気配線の容量を増やす許認可権を握る市町村がなかなか許可をおろさないために需要の多い地域に電力を回すことができないことが要因になっていると2社は説明する。ただし、以前米国カリフォルニア州で起きた大規模な停電のような事態には至らないとコメントしている。
国内第3位のウニオン・フェノサ社では特にそのような問題が発生することはないとみており、「市役所や自治政府とのあまりよくない関係をもって停電を正当化とするのはいただけない」とコメントしている。
経済省ロドリゴ・ラト大臣は、電力不足による大規模な停電の可能性を排除し、行政に対し、一般社会の利益や環境問題などを考慮しながら、手続きの迅速化をすすめるよう求めた。

イベリア航空パイロットストライキ2日目、大きな混乱に至らず

昨日イベリア航空のパイロットのストライキが決行された。パイロット組合SEPLAが設定している10日間のストライキの2日目であったが、各空港では大きな混乱もなく終わった。通常の76%の運行率で238便がキャンセルとなり、25000人がその影響を受けたが、定刻通りの離発着率は通常よりも高いという結果が報告されている。
乗客は前もってストライキを予想し、他の航空会社へ予約を変更しておいたため、かえってイベリア以外の航空会社のカウンターが混雑するといった弊害も出ている。
本日、経営側とSEPLAは中立の場所にての話し合いを行う予定にしているが、経営側はSEPLAの拒絶を承知しながらも現在まで提示していた中で最も悪い条件で話し合いに臨む。
イベリア航空はこのストライキによる損失は14億ペセタと見積もっており、さらには予約キャンセルが20%を超えていると話している。


7月3日(火)

メキシコ大統領、メキシコ領内のETAメンバーの引渡しを迅速化することを約束

昨日、メキシコを訪問中であるアスナル首相とメキシコのフォックス大統領はETA対策について相互協力を強化していく協定に合意、フォックス大統領はメキシコ領内のETAメンバーのスペイン引渡しを迅速化することを約束した。アスナル首相は、同大統領の「メキシコ領内にいるテロリストに対して常に注意を払い、自国法律の範囲において最大限、最速での手続きをとる」とした言葉に感謝の意を表した。
現在、メキシコにはETAのメンバーが100人ほど潜伏しているといわれるが、そのうちの20人ほどがスペインへの引渡し手続きに入っていると同国の国家保安局より明らかにされている。
両国はテロリスト対策のみならず、組織犯罪、麻薬の密輸、マネーロンダリングなどに対しても双方からの協力が欠かせないため、保安情報関係の人材育成を目的としてメキシコからスペインへ人の派遣を行うことにも同意した。

厚生省、80から96年にかけて英国に居住していた人は献血を遠慮するよう通知

昨日厚生省では各地方自治体に対して、1980年から1996年の間1年以上英国に居住したことのある人は献血を遠慮するよう指導することが好ましい、との通知を送付した。これは、人血が狂牛病の感染源となるという科学的証拠はないものの、狂牛病に対する予防措置の一環として行うことを薦めるもので、決して義務付けるものではない。
厚生省からの要請は4月5日に国家血液医療委員会における勧告に基づいてのものであり、すでにアンダルシアでは指示に従った運用を行っており、各自治体でも即座に対応したいという反応が出ている。
米国、カナダ、フランス、ポルトガルではすでに英国居住歴のある人からの献血を断っており、特に米国では、その対象をヨーロッパ全域に広げている。
厚生省疫病局長補佐は、他国との足並みをそろえる意味での勧告であり、警戒すべきものではない、と説明し、献血量全体に及ぼす影響は0.1%の減少にとどまるであろう、とコメントしている。

司法審議会、殺害された女性のDV被害申し立てに適切な処置を施さなかった裁判官に罰金刑

司法審議会懲罰委員会ではマドリード、アルコベンダスの裁判官であったマリア・デル・カルメン・イグレシアスに、重大なる過失による罰金20万ペセタの支払いを命じた。 重大なる過失があると判断された事案は、1999年にマル・エレーラさん(23歳)が当時仮釈放中だった恋人に殺されそうである、と12回にわたって被害申し立てをし、それに対する手立てを講じるように要請したにもかかわらず、何の措置もとらなかったことで、結局はエレーラさんが殺害されて発見された、というもの。加害者はエレーラさん殺害の前にも自分の元恋人殺害未遂で刑務所に入っており、刑期を4分の3終えた時点で仮釈放となっていた。
イクレシアス裁判官はエレーラさんからの訴えによって仮釈放を決定した裁判官に通知し、仮釈放の撤回措置を要請すべきであったがそれを怠った、とエレーラさんの家族から訴えられていた。
この決定にエレーラ家では"娘の命は20万ペセタよりもずっと価値があるもの"と憤慨し、司法審議会に不服申立てをする予定にしている。


7月2日(月)

バレアレス諸島のバスストライキ、ドイツ、イギリスにまで混乱をまねく

先週末からはじまったバレアレス諸島(マジョルカ、イビサ、メノルカ)でのバスストライキは日曜夜12時をもって終了したが、各島の空港ではあふれる観光客でごった返し、ドイツやイギリスからの空の便は大幅な遅延を記録している。
バスの運転手労働組合が最小限の輸送サービスをするという雇用側との事前の約束を破棄し、一切のサービスを停止したことから、空港に到着する観光客は目的地へ向かう唯一の足をタクシーに頼ることなり一時はタクシー待ちの列が2キロにも及び、空港内で夜を過ごす人も8000人に達した。このような状況から各空港側が着陸許可を制限、その影響を受けて、イギリスのガトウィック、マンチェスター、スコットランドのグラスゴー、ドイツのフランクフルト、デュッセルドルフなどで軒並み出発が遅れ、最高で36時間の遅延が報告されている。パルマ・デ・マジョルカのソン・サン・ジョアン空港では昨日700便の離発着が予定されていたが、500便しか運行されていない。
雇用者側は労働組合に対し、2003年までに18%の賃上げ(平均358000ペセタから420000ペセタ)を提示、両者の同意に至ったため、当面はストライキを回避できたが、労働組合ではさらなる条件を求め、今週末の再度ストライキ決行をもちらつかせ、雇用者に圧力をかけていく可能性も視野に入れている。
今回のストライキによって影響を受けた人は30万人と言われ、観光業界ではバレアレスのイメージ悪化、ツアーのキャンセルなど大きな被害が出ることを心配している。

遺伝子異常による高コレステロール保持者に適切な医療措置を

コレステロール値の高い人の中には、単一の遺伝子異常によって引き起こされているFHと呼ばれる家族性高コレステロール症に当てはまる患者がいる。国民500人に1人が罹患しているといわれるFHは先天的なものでスペインでの潜在的患者数は8万人に達するとされる。FHの患者はコレステロール値が300を超えるのが普通で家族の中で1人が罹患していることが発覚した場合、親兄弟の半分がFH患者であると疑ってかかるべきである。
この病気は患者の半数異常が55歳前に心筋梗塞や狭心症を引き起こしているというデータが出ている。適切な診断とコレステロール低下のための治療を受けることでこの可能性が非常に低くなるにもかかわらず、医師の知識不足、患者の家族に対する踏み込んだ調査の欠如などが原因で、危険にさらされている患者が少なくない、というのが現状である。FHの治療薬はスタチンと呼ばれるもので、1ヶ月の薬価が2万ペセタほどとなり、社会保険の対象となっていないため患者の経済的負担が大きい。
マドリードのヒメネス・ディアス財団病院の内科部長であるペドロ・マタ医師は97年に家族性高コレステロール症財団を設立、現在までに1680人がFHに罹患していることを発見している。同財団では、この病気が一家に集中する率が高いことから患者の家族への医療費負担を軽くするため、社会保険での負担を検討するよう、行政へ働きかけている。



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