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6月30日(金)

自由化政策に関する5つの法令、下院通過

昨日下院にて、商店の営業時間の自由化などをはじめとする5つの自由化政策に関する法令が承認された。
5つの政策全てに賛成票を投じたのはPP及びカナリアス連合のみで、商店の営業時間、書籍の価格の自由化にはその他の政党が強く反対していた。
PSOEは唯一、インターネット関連の通話料の割引、市内通話に関して一社独占ではなく消費者が電話会社を選択できるようにするといった通信事業の自由化法令を支持した。
政府は5つのうち税制と土地政策に関してはこれからのプロジェクトとするという意味も含め討議のための修正案を受け入れることを認めているが、その他に関しては全てその可能性を排除している。

今年前期の不動産の値上がりは6.5%

昨日、2000年前期の新築不動産の価格についての動向が不動産鑑定協会から発表された。
この報告によれば、建築面積1uあたりの全国平均は210、300ペセタとなり、1年前より22、000ペセタの値上がりみられる。値上がり率は6.5%となり勧業省の当初の予想である5%を上回っている。
しかし、鑑定協会の会長の話しでは、住宅の値上がり傾向には歯止めがかかっており、5月6月には値下がり気味であることがうかがえるという。スペイン銀行が各銀行、信用金庫に対し、個人への貸付にブレーキをかけるよう指導しているということも遠因とみられる。
スペイン全国で一番住宅の値段の高い場所はサン・セバスティアンで、バルセロナ、マドリード、ビトリアが続く。マドリードに関して言えば、住宅開発がマドリード近郊へと広がっているためその分安い値段で住宅の供給がかない平均価格を下げる要因にもなっている。マドリード市内の一番高い地区になると1uあたりの値段はマドリード平均の2倍以上の675、000ペセタにまで上がっている。 半年間の値上がり率はビトリアでは14.8%、サン・セバスティアンで12.6%、ブルゴスで11.8%、セビージャで10.3%を記録している。

歴史論争、終りを知らず

ここ数日、歴史アカデミーが発表した各地方の歴史教育についての報告書が地方政府や歴史家、中学、高校に波紋を及ぼし批判が高まっている中、再度歴史アカデミーから報告書の意図についての説明があった。
特に敏感に反応したバスク語教育の学校に対し、学校全てを批判したわけではなく極端な民族主義教育に警鐘を鳴らしたものとしている。そして、教育機関そのものではなく使用している教科書についての分析を発表したことを強調している。
この論争に対し、アジアを訪問中のアスナル首相は、この報告書へのコメントは避けたが、スペイン全体の歴史を勉強することと地方の歴史を勉強することは相反するものではない、教育者は常識をもって歴史教育にあたってもらいたいと話し、司法の場に訴えるといった発言に驚きを隠せずにいた。
前教育相で現在は上院議長であるアギーレ氏は自らの経験を話し、この報告書には一理あることを述べている。さらにどの場所に住んでいても全てのスペイン人の子供達は最低限共通の知識を与えられる権利があるとコメントした。


6月29日(木)

地方政府、歴史アカデミーの報告書に反発

一昨日発表された歴史アカデミーの報告書で地方での歴史教育が民族主義に走っている傾向があること、それにより人種差別の概念を根付かせる恐れがあることなどと指摘されたことに関して、地方政府が敏感に反応している。
バスク政府ではこの報告書について全く見当違いであり、とうてい受け入れられるものではないとし、さらにはバスク社会全体に対する攻撃であると批判、法的手段に訴えることも検討中であることを明らかにした。現代史の教授でもあるバスク大学の学長はバスクでの歴史教育を擁護し、歴史アカデミーも政治家と同様固定概念に流されているのではないか、と疑問を呈している。
カタルーニャ自治体のプジョール知事は、何十年かの間、スペインの民族主義を教育しカタルーニャ、バスク、ガリシアの歴史が黙殺されている時期にはアカデミーのお偉方は何も言わなかったと批判、この報告書を作った人は地方国家のことが嫌いであるにちがいないと述べている。
ガリシアでも同じような批判が上がっているが、地方政府としての正式コメントは出されていない。 これらの批判に対し、デル・カスティージョ教育相はこの報告書でスペインの歴史教育の欠点が発見されたことを示し、冷静に議論をすることを求めた。

売春と女性売買に関する国際シンポジウム、閉幕

マドリードで行なわれていた“売春と女性売買に関する国際シンポジウム”が昨日閉幕した。
ヨーロッパの中では売春を合法化しているオランダとそれと対極に位置するスエーデンの両国をモデルにし、合法化についての話合いが行なわれた。参加した専門家は売春と奴隷制度は同列に位置するものとみなし、合法化については否定的な意見が大半を占めた。
開催地であるスペインでは売春に従事する人が30万人程度いると推定されているが、1995年に改正された刑法を再度改正し、ドメスティック・バイオレンスに関する法と同様に管理売春、人身売買については厳しく処分することを視野にいれている。
マドリード自治体では売春を職業とみなすことは人権擁護にもとるものとの意見は大半の参加者の同意を得ている。
合法化に賛成を唱える団体では彼らの意見が会議に反映されていないことを指摘し、全てが管理売春であり、人身売買に関っているわけではないこと、そのような状況で働いている場合には法の適用を強力にするべきだと述べている。また、制度上のことばかりが論議され、このシンポジウムでは現場にいる女性の声を取り上げていないとも話している。

エスパレゲラでガス爆発、3人死亡

バルセロナのエスパレゲラで昨日未明、プロパンガスが原因と見られる爆発が起こり、2つの建物が倒壊、3人が死亡、8人が重軽傷を負った。
爆発当時、建物内には12人が寝ており瓦礫の中から救出されている。爆発の余波を受けた隣の家の住人も生き埋め状態となっていたが、打撲だけで住んでおり、命に別状はない。
倒壊した建物の地上階には調理済の惣菜の店が入っており、消防隊では、この店にあった少なくとも6本のプロパンガスが1度に爆発したものとみている。建物自体は築200年以上だが、構造上の問題はなかったという。
事故の起こった場所の前には教区の集会所があり、毎日100人以上の子供達が通っているためもし事故が日中に起こっていたら、大惨事となるところであった。
エスパレゲラは先日、集中豪雨で橋が落ちた死亡者が出る事件があったばかりである。


6月28日(水)

5つの信用金庫、アンダルシア地方議会に反旗を翻す

昨年12月にアンダルシア州地方議会で承認された法律ににそって、アンダルシアの信用金庫が定款の改訂を行う期限が明日29日にせまっているが、6つの信用金庫のうちの5つはそれに従わないことを明らかにしている。
チャベス州知事はこれらの信用金庫が法律に従わない場合の措置として、地方議会がそれらの役員を解任することも法的には可能であるとしているが、期限を延長し、話合いを持って円満に解決したい意向に傾いている。
州知事はアンダルシアの信用金庫を一つに合併し、ラ・カイシャ、カハ・マドリードに続く国内第3位の信用金庫にしたいとする計画を持つ。しかしながら野党からの反発、連合を組んでいるPAからも反対を受けており、PSOEの経済・大蔵評議員への風当たりもつよくなっているのが現状である。

歴史アカデミー、歴史教育の地方偏向を批判

昨日、歴史アカデミーでは「中等教育での歴史の教科書及び授業についての報告」を発表した。
この報告の中で、中学校、高校での歴史の教育にスペイン主義と民族主義という政治的対立が反映されていることを指摘、憂慮すべきことであるとアカデミーのアネス会長は話す。
たとえば、バスク州の多くの中学校で使用されている教科書には16世紀から18世紀までのスペインの歴史に“スペイン”という言葉が1度も出てきていないこと、ガリシアのいくつかの中学校で使用されている教科書にはスペイン全体の第2共和制、市民戦争、フランコ政権に関する記述が22行しかないが市民戦争から現在までのガリシア地方に関する歴史には22ページもさいていることを挙げている。また、このような偏った記述のある教科書は大手よりも小さな出版社に多く見られることも指摘されている。
アカデミーではこのような教育現場に対する独自の意見と心配を明らかにするだけで、何をどのようにしなければならないか、ということには関与しないと語り、教育省が歴史教育に関してもっと配慮してくれることを望むと付け加えた。

ドメスティック・バイオレンスの訴え、マドリードで1日に20件

昨年マドリードの検察庁に開設されたドメスティック・バイオレンス(DV)対策部に1999年1年間で記録された加害者は2600人にのぼっている。
毎日20件ほどの訴えがあり、そのうちの40%が新たにDV加害者リストに記載されるされるものである。被害者の大半は女性で身体的、精神的虐待を受け、男性からの訴えは全体の4%にとどまり、ほとんどは精神的な虐待であるという。
加害者のアルコール中毒が原因で虐待を受けている被害者は訴えを取り下げ、一緒に住みつづける傾向がみられるが、これは経済的に自立することができない、子供がいるといったことが理由として挙げられる。
同対策部では訴えが3回重なった時点で常習犯とみなし、過失としてではなく犯罪として法的措置をとることとしている。多くの夫は、自由の身になったら妻を殺してやると脅迫してくることに対しては、刑務所との連携プレーをとり、加害者が出所許可を申し出た場合にはすぐに検察庁への連絡がなされるようにし、出所後は警察が引き継ぐかたちをとることになっている。


6月27日(火)

フランスの管制塔のストライキ、スペインの航空事情を混乱させる

昨日早朝から始まったフランスの管制塔のストライキは、隣国であるスペインに大きな影響を及ぼしている。ヨーロッパ行きの飛行機の54%、3時間半の遅延を記録している。
スペインではこのストライキの影響を少しでも回避する為、あらかじめスペインからヨーロッパ各地へのルートを変更、フランス上空を避けてイギリスやアルジェリア上空を飛行する手はずを整えていた。 しかし、アルジェリアの航空システムでは全ての飛行機をコントロールすることができず、便数を減らすことを求められたのに加え、午後5時から7時までの間ロンドンのコンピューターセンターが故障したためさらに混乱が増してしまった。
フランス当局が最低限のサービスを行うとしていたため、バラハス空港ではフランス各地とをつなぐ26便をキャンセルするだけですまそうと計画していたが、その後それでも足りずさらに17便のキャンセルを追加した。エアーフランスでも19便のうち16便をキャンセルしている。マジョルカの空港ではドイツへの便に大幅な乱れが出ている。

1999年の出生率、わずかながら上昇

昨日国家統計局が発表したデータによるとスペインの出生率がわずかながら上昇したことが明らかになった。ここ3年ほどは登録された新生児の数が減少しており、妊娠可能年齢の女性に対し子供の数が1.2人をきっていた。今回1999年は16000人程新生児の数が増えており、1.2人ちょうどを記録することとなった。とはいえ、世界でも有数の低出生率の国であるスペインはEU平均が1.45人であるのに比べかなり低いことにはかわりはない。
半年前に発表された国家統計局のアンケート調査による報告で1.07人であったことに関しては7700人を対象に聞き取り調査によって統計を出したもので、今回のように実登録者数から割り出した数値ではないことを説明し、統計調査に否定的な傾向が反映されていたものと考えられている。

モロッコ人の少年たち、密入国後トラックに隠れて200キロもの旅

毎日のように北アフリカ、中央アフリカからの密入国者が発見され、保護されているが、日曜日にも先日ワゴン車に詰め込まれた37人の密入国者が発見された地点から程遠くない場所でモロッコ人の少年達が保護された。
フランスナンバーの大型トラックが給油のために立ち寄ったガソリンスタンドで、トラックから逃走した子供達を見咎めたガソリンスタンドの責任者が治安警察隊に通報、トラックを追跡したところ工具箱に潜む3人の少年が発見された。また、数時間後には逃亡を図った少年達も保護された。
モロッコ人運転手のはなしではタンジェールの港ではどんなの方法をとってでも外国に出たいと願う人達がすきをみてトラックに隠れようとするという。今回も知らないうちに少年達がトラックの下方にもぐり込んでいたにちがいないと証言している。
6人の少年のうち、年齢判別検査により3人が14歳、2人が17歳と推定されたため、未成年のための保護施設に収容され、家族調査の結果を待つことになる。残る1人は成年と判断されたため、警察に収容され強制送還の措置がとられることとなる。


6月26日(月)

ゲッチョで車爆弾炸裂、物理的被害にとどまる

昨日夜半、ビルバオから12キロ離れたゲッチョ市のラス・アレナス地区で車爆弾が炸裂した。この爆発による被害は物理的なものに集中、人的被害は爆破時にガラスの破片で軽い怪我を負った程度にとどまっている。
爆発が起こる17分前に日刊紙「GARA」と道路救護協会に通り名を示した爆破予告電話が入っており、“寡頭政治に反対する”と語っていたという。
ラス・アレナス地区は多くの企業経営者や財界人が住んでいる一軒家が立ち並ぶ地区で、爆破に使用した偽造フランスナンバーのメルセデス・ベンツも住民に駐車してあっても不審に思われないという理由によるものとみられている。
内務省では、爆発物が50kgと大量だったにもかかわらず、ETAが誰かを殺害する目的を持っていたとは見ておらず、経済界に圧力をかけ、その家族を脅迫することにより資金調達を容易にすることを狙っているものと考えている。また、政治的な側面からは、脅迫を受けている企業家たちがPP政府の態度を変えさせるという可能性も含んでいる。

PSOE幹事長選挙、サパテロ氏も立候補

7月に行なわれるPSOEの新幹事長選挙に“ヌエバ・ビア”のリーダー、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ氏が名乗りを挙げた。これで幹事長席を争うのは4人となった。
サパテロ氏は地元レオンにて「謙虚かつ断固として、PSOEを新しい時代に導くために全身全霊を打ち込む」と立候補の表明を行った。
他の候補3人は過去との決別をはっきりさせ、フェリペ・ゴンサレス元幹事長とは一線を画しているのに対して、同氏は元幹事長の時代に敬意を表し、スペイン社会主義の“源”であると話す。
一方、7月21日から23日に行なわれる幹事長選とその後の政策を決定するための全国の代議員998人の選出が終了。各地の代議員はどの候補者に投票するか明らかにしていないが、マドリード地区だけは例外で、全体の62%がゲーラ派のマティルデ・フェルナンデスを支持するという結果が出ている。

マドリードの16以上の井戸から規制以上の砒素検出される

マドリードにある16以上の井戸から世界保健機構で定められている規定以上の量の砒素が検出されていたことが判明した。
マドリード自治体では毎年定期的に水質検査を行っており、その検査によって1998年に偶然初めて発見された。当時の規制は1リットル50rで、現在は10mgまでに制限されており、世界保健機構ではこの制限を超えた水を毎日2リットル以上飲む人の1万人に6人がガンにかかるおそれがあるという。
この発見があってから、マドリードの自治体に登録されている353の井戸の検査をし始め、上記のような結果が出た。自治体の公衆衛生局ではこの井戸から水を引いている地域に対し、飲料用に使用しないようにとの警告を発している。
水質学の専門家はこの砒素は自然に発生されたもので工場廃水による人工的なものの可能性を排除し、水には溶けないため無害であると話している。さらには水の量によって変わるものなので春と秋ではおのずと砒素の含有量がかわってくるので秋の検査をまってから結論を出したいとしている。
この水質汚染の影響を受ける地域はイサベル2世貯水池からの供給を受けられない地域の人口の0.1%程度とみられている。


6月23日(金)

アスナル、イバレチェ会談、意見の一致を見ず

昨日、マドリードでアスナル首相とイバレチェバスク州首長が2時間に渡ってバスク州の抱える問題に関して会談したが、両者の意見は平行線をたどり、大きな溝を残す結果となった。
今会談はイバレチェ首長がかたくなな態度を崩さずイデオロギーの違いをまざまざとみせつけたため、昨年12月の会談の際よりもさらに緊張感がたかまっていた。
アスナル首相は再三にわたり、リサラ協定から脱退し、テロリズムと戦っていくことを求めたが、はっきりとした拒絶を示され、さらには民族主義者とスペイン人とを対立させようとあおり、バスク政府を誹謗中傷している、と非難された。
後に政府広報を通し、アスナル首相はバスク社会の唯一の現実問題は根本的な権利と自由を拒否することにあり、と語っている。

商店の営業時間自由化案に反対して、60万の商店が臨時休業か?

本日にも中央政府は商店の営業時間自由化の法案を承認する予定にしているが、この案に反対する60万中小の商店が労働団体CCOOやUGTの支持を受けて臨時休業措置を取り、政府に圧力をかけていく考えであることを明らかにした。スペイン商業連合の会長はPP中央政府は選挙運動中に商店の営業時間自由化はないと中小商店をだましたと説明する。
また、各地方自治体では地方政府の主導権を握る政党によってもこの案を支持するかどうかの意見が分かれている。カタルーニャ、バスク、アストゥリアス、アンダルシア、バレアレスは政府案に反対の意を示し、ナバーラ、バレンシア、カンタブリアは導入へ向けてのカレンダーを明らかにするよう求めている。
スペインショッピングセンター協会に属する22000の小規模商店では休日に遊興の施設が開店しているのに商店が休業しているのは意味がないと政府案支持の姿勢を打ち出している。

スペインで初、ナバーラでホモセクシュアルのカップルに養子を認めることを決定

昨日、ナバーラの議会でホモセクシュアルのカップルにも養子を認める地方特別法が議会で承認された。スペインの民法では男女のカップルにのみ、養子をとることを認めている。 議会では与党のUPNが反対票を投じたが、野党の賛成票が過半数を占めたため、承認されることとなった。
賛成の意を示したCDNのスポークスマンでもあり法律家でもあるフアン・クルス氏は、民法と地方法が相反する場合、憲法裁判所は地方特別法を優先してきていると説明している。
この法律はナバーラ官報発行から1ヶ月後に施行されることとなっており、ナバーラ自治体のみに限定される。自治体は養子縁組の権利のほかに納税や相続などについても男女間のカップルと同様の権利を保証している。


6月22日(木)

内務省、密入国者の基本的な権利を無視した可能性を指摘される

今週初めに37人の北アフリカからの密入国者がすし詰め状態でワゴン車に乗せられていたところを発見され、その日のうちに強制送還された件につき(昨日のトップニュース参照)、内務省が新外国人法の規定を無視している可能性があると指摘されている。
同法では、不法に入国しようとした外国人を強制送還する場合は取調べ調書は必要なし、と規定されており、この規定に基づき内務省では即時強制送還の措置をとった。しかし、と同時に、この規定は国境で入国を拒否された者にのみ適用されることとなっている。発見された場所がミハスという厳密には国境とはいえない場所であること、37人のうちの何人かはすでに先週末からスペイン国内に“滞在”していると推定されることでこの条項の適用外になると考えられている。
さらには、入国を拒否された者、強制退去を申渡された者は弁護士をつけてもらう権利を持つが今回の場合はそれをも拒否されている。マフィアによる移民の不法輸送網の摘発に協力した者はスペインに滞在することを許されるという権利に関しても、取調べがなければ供述する事もできず、権利を剥奪されたも同然である。
法律家や移民擁護団体などは、内務省は法律違反を犯している、と強く批判している。

厚相、年金生活者も収入に応じて薬代を支払うシステムを検討していることを発表

年々増えつづける国の薬代の負担は公衆衛生予算全体の25%以上を占めている。この経費を少しでも押さえるために、ビジャロボス厚相は年金生活者からも薬代を徴収するシステムを検討していることを公表した。
現在のシステムでは年金生活者は処方された薬を無料で手に入れることができ、労働可能年齢の人々は40%負担となっている。また、高血圧や糖尿病などの慢性の病気にかかっている場合は10%負担でよいことになっている。
厚相は“26万ペセタの年金をもらっている人が薬代がかからず、子供を3人も4人も抱え8万ペセタの収入しかない人に40%の負担をさせるのは公平だとは思えない。”と発言。
この発表に対し、各方面から公共衛生は無料であることが基本であり、収入の少ない人や失業中の人の負担を軽くするのならばよいが、年金生活者から徴収することには反対であるとの声が上がっている。

ジプシー部落襲撃事件鎮圧に消極的な警察

日曜日にアリカンテのアルモラディにあるラ・クルス・デ・ガリンド地区で起こったジプシー部落放火事件の鎮圧、捜査に消極的な態度をとっている警察に批判が集中している。
この事件はジプシーの住居が集中し、麻薬売買の温床にもなっている同地区で先週土曜日にアルモラディの若者が同地区の住人に刺殺されたことが発端となり、葬儀のあった日の夜に800人あまりが棒やナイフや斧などを手にしこの地区に集合、ガソリンをまいて火をつけた。
その後、この集落の横に住むモロッコ人住居をも襲い、3人が負傷、車6台が燃やされた。
この事件が起こった際に地元警察と治安警察隊のパトロールがいたにもかかわらず、逮捕者は1人もでていない。
襲撃された住人は、消防隊の到着が遅れたうえ、警察は鎮圧する様子も見せず傍観し、するがままにさせていた、と語り、モロッコ人たちも、するがままにさせて後で訴えれば良いと取り合ってくれなかったと不満を隠しきれない。
警察では襲撃していたグループが消防隊が活動することを妨害した、と説明している。治安警察隊では昨夜も同種の集まりが計画されていたの知り、その為の機動隊を派遣したと語っている。


6月21日(水)

ワゴン車にすし詰め状態で発見された密入国者37人は4日間ほとんど飲まず食わず

一昨日夜半、マラガのミハス付近の高速道路でパトロール中の治安警察隊が明らかに重量オーバーのワゴン車が走っているのを見咎め、不審尋問をした結果、ワゴン車の後部にすし詰めになっていた外国人を発見した。6uほどのスペースに37人が立った状態で詰め込まれて外側から鍵がかけられていた。これら37人のうち33人がモロッコ人、4人がアルジェリア人であることが後に判明、全員身分証明書は携帯していなかった。
治安警察隊が密入国者を発見した時にはワゴン車に詰め込まれてからすでに4日間ほど経過していたと見られ、飲まず食わずの状態で放置されていたらしい。彼らの中にはジブラルタル海峡を渡ってきたばかりと思われる濡れた状態の者もいた。
彼らの行き先は何人かが持っていた電話番号の書いたメモからムルシア地方であるとみられている。警察当局ではモロッコマフィアとムルシア地方との間に何らかの繋がりがあるとみて捜査を開始している。
保護された37人のうちの未成年1人(年齢検査で推定)を除いて、即刻強制送還となり、モロッコ行きのフェリーに乗せられている。未成年の少年はスペイン国内の収容所に一旦保護され、家族の調査が行なわれ、その結果によって自国へ帰されるかスペインに留まるかの決定がなされる。

マドリードの新空港の開港予定は2015年と発表される

昨日、勧業省アルバレス−カスコス大臣はマドリードの新空港をカンポ・レアルに建設、2015年をめどに開港する予定にしていることを発表した。新空港が開港した折には現在のバラハス空港は閉鎖することになる。カンポ・レアルは現バラハス空港から15キロの場所に位置する。
バラハス空港は現段階で離発着の許可要請が1時間あたりに74便、多い時には90便にものぼり飽和状態にある。2本の新滑走路の建設が進められているが、それができたとしても15年後にはそれもまた同様になることを想定、3年前にカンポ・レアルの空港用地を購入していた。
新空港は8本の滑走路で1億人の乗客に対応できるような施設となり、建設期間は12年程度と想定されている。
バラハス空港と新空港を同時に利用するという案は、両空港が近すぎるため飛行機の操縦に支障をきたすと専門家からの指摘があり、却下されている。

スーパーマーケットの営業時間拡大は6万5千人の職を奪う

現在中央政府が画策している商店の営業時間拡大、日曜祝日の営業日増に対して、小売業界から大きな反発が起こっている。
スペインでは大規模スーパー3社が国内売上の31%を占めており、法改正が行なわれて日曜祭日の営業許可日が8日から20日に増えることはこれら3社にのみ有利となり、その他の中小のスーパー、商店には損失となると小売業界では訴えている。さらに6万5千人の職を奪うことにもなる、とこの件についての報告書は例を挙げて説明している。マドリード自治体では他の自治体と異なり、日祭日の営業日が8日のところを12日となっているが、1996年から1999年にかけてこの措置によって18000あまりの中小商店が閉鎖に追い込まれ、55000人が職を失っている。
また、大手3社に勤務する人々はこの業種に携わる人の7%にしか過ぎず、さらに3社のうちの2社がフランス資本であることも批判に追い討ちをかけている。
昨日行なわれたスペイン主婦連合では、日曜祝日に商店が閉まることに関して損害を受けるのは全体の10%にとどまり、大半の人は日曜日に店を開けて欲しいという要求をしていない、と語っている。


6月20日(火)

検察庁汚職対策局、ガソリン価格統一疑惑の調査を開始

検察庁汚職対策局は、ガソリン価格を統一する協定が大手石油会社3社の間で交わされていたのではないかという疑惑について調査を開始することを決定した。
1998年10月に燃料価格の上限を撤廃してから30%程度値上がりしている。今年5月だけでも8%の上昇を記録しており、無鉛ガソリンがリッター139.9ペセタ、ディーゼルが113.9ペセタ、スーパーが149.9ペセタとなっている。
同局ではこの疑惑を解明するため、大手3社に価格に関する書類の提出を求め、さらに企業間競争促進局へも同様の要求を行っている。
大手3社のうちの1社、レプソル(市場占有率45%)は疑惑への調査に関して、そのような協定があったことを否定、調査には協力すると述べるにとどまり、詳しいコメントは控えた。他の2社セプサ(25%)、BP(10%)も検察庁の調査が協定がなかったことを明らかにするのに役立つ、との見解を発表している。
汚職対策局がこれら3社に対し、正式に告訴することとなった場合は、管轄が全国管区裁判所へ移行することとなる。

憲法裁判所、イタリアマフィアの引渡しを再度拒絶

憲法裁判所は今年3月30日の判決を踏襲するかたちで、6月12日にイタリアから引渡しを求められていた犯人2人を引渡すことを拒絶している。
この判決が出る2日前の6月10日にナポリで行われたスペインとイタリアの首脳会議において、アスナル首相がスペイン国内逃亡しているイタリア人マフィアの引渡しに好意的な結論を示したばかりであった。
憲法裁判所ではイタリアでの裁判の際にスペイン同様の判決が下されることをイタリア政府が保証する場合に限り引渡しがなされるものと述べているが、今までの判例を見る限りではイタリアにおける問題の解決がなされる可能性が薄く、同国では法律改正を拒否していることが現状である。

厚生省、国家腫瘍学研究所の来年度予算を10億削減することを画策

世界でも有数の腫瘍学の権威バルバシ氏が所長を務める国家腫瘍学研究所(CNIO)の来年度の国家予算が削減される可能性が出てきている。
厚生省では今年の予算を23億ペセタとっており、来年は新しくできる研究所、さらにはスタッフを拡充するために予算を32億ペセタ程度とる予定にしていた。しかし、CNIOの研究は時代遅れであるという厚相の側近の意見もあり、今年の予算23億程度におさえる方向に向かっている。
このような意見とは反対に現在同研究所が手掛けているのはアメリカが先端を走る新テクノロジーのバイオチップスの実用化で、安価に公立病院へ導入できる準備をしている。
この厚生省の意向に対し、バルバシ氏は23億ペセタの予算では研究所施設が完成しても基本的な研究者チームを雇い入れることができないと批判し、このままの状態では研究所の所長職を辞任することもあると述べている。


6月19日(月)

PSOE幹事長代行委員会、幹事長選の選挙方法についての規定を決定すべく会議をはじめる

来月7月21から23日に行なわれるPSOEの定例議会での新幹事長選挙の方法を決定する為に本日より代行委員会では話合いを始める予定にしている。
幹事長候補4人のうちの1人ロサ・ディエス女史が主張するような予備選を行った後、本選を行うといった選挙方法は今のところあまり有力ではないようだ。この方法をとると、予備選で得票の多かった候補が本選では他の少数派の団結により2番目の候補に負けてしまう可能性がでてしまい、大きな不満が出てしまう。さらに少数派が選出の際に貸しを作ることで、新幹事長の将来を握ってしまうという弊害も考えられる。このような考え方から、選挙は1回限りということに落着くことになりそうである。
代行委員会代表のチャベス氏は各地方の幹部達の不満がくすぶることのないように全国997人の代議員選出後、来る25日よりに全国をまわり、彼らとの対話をもつことを予定している。

中央政府、GALによって被害を受けたETAのメンバーに損害賠償を支払うことを拒否

1999年10月に承認された“被害者救済法”では1968年1月1日から1999年12月までの間にテロ行為によって肉体的、精神的被害を受けたすべての人に対し賠償金を支払うことを認めている。この法律では1980年代にETAとGALの“汚い戦争”時の被害も含むとしている。
しかし、中央政府では1997年の法律を持ち出し、テロ活動の責任があるとみなされる人達には賠償金支払い義務はないとしている。但し、テロ行為の責任は本人個人に帰するものであるので、死亡したテロリストの家族は損害賠償金を受け取る権利を有することを認めている。
この被害者救済法が適用される人々は5千人程度と推定されており、政府では440億ペセタの予算を組んでいる。賠償金を受けるための申請期日は今週金曜日までで、現在のところ約2000件の申請があり、すでに1000件は調査が終了し、1370人、190億ペセタの支払いが決定している。

宝くじ“プリミティーバ”、大当たりはまたもやバルセロナ

土曜日に抽選のあった宝くじの“プリミティーバ”の大当たりはバルセロナ近郊の人口1000人ほどの村サンタ・スサンナから出た。今回は以前からの持ち越し金が10億600万ペセタたまっており、さらに先週の払い戻し金額4億4千万ペセタが加算され、14億4600万ペセタに達していた。
今の所、当たり数字6つを購入していた人が、個人であるのか複数人であるのか、地元の人か他の地域の人か何一つわかっておらず、抽選の数時間前にこの地域のショッピングセンターにある宝くじ売場で売られたことしか判明していない。
当たり金額は最近何年かの当たり金額の中の上位に位置し、1994年にバルセロナ近郊カレージャで約23億ペセタ、昨年7月にタラゴナとトレドで16億ペセタずつ、昨年11月にバルセロナのビジャ・オリンピカ地区で約15億ペセタの当たりが出たのに続く。


6月16日(金)

改訂新外国人法ののメドは来年1月

水曜日に中央政府が施行されたばかりの新外国人法の再改訂を提案したことに対し、各方面からの批判が高まっている。政府としてはたとえ、他の政党の同意がない場合でも強行する構えを見せており、来年1月には施行させたいとしている。
この再改訂草案に関し、労働団体UGTは後ろ向きの改革であると強く反発、労働者搾取を助長させるものと評価、PSOEの幹部マヌエル・チャベス氏は民主主義の国のものとは思えないと語り、外国人の基本的な権利を取り上げていると付け加えている。さらに、PPの内部でも元PPスポークスマンのホルダノ氏がこの改革草案の一部は違憲にあたる可能性があることを示唆している。

勧業省、マドリード・バレンシア間を85分でつなぐルートを選択

マドリード・バレンシアをつなぐAVEの建設計画が進んでいる中、各自治体の思惑が複雑にからみあいその建設ルートが決定されるのに時間を要していたが、昨日、勧業省のアルバレス・カスコス大臣が新たな案を提示するに至った。今までは各自治体がそれぞれの首都を通るようなルートを主張し、6つの案が提出されていたが、そのどれをも選択せずマドリード・バレンシア間を85分でつなぐルートを考案した。
マドリードでの発着駅は当初、チャマルティン駅と考えられていたが北部ルートを採ると環境問題にひっかかる場所が出てくるためアトーチャ駅となった。
この新ルートはクエンカまでが45分、その後、バレンシアへ行くルートとアルバセテへ行く支線とにわかれ、アルバセテからはさらにアリカンテとムルシアに向かう線にわかれる。
アルバレス・カスコス大臣は昨日の国会で、なるべく早い時期に建設計画の手続きを終らせ、今年中には着工したい意向であることを述べた。

経済省、商店の営業時間規制を緩和することを計画

現在、スペインの商業に関する法律では商店が日曜祝日に店を開けることができる日数が年間8日と決められている。例外的にマドリード自治体では12日、バスク州では規制なし(実際には日曜祝日は閉店している)となっている。
中央政府はこの規制を緩和し、現在の2倍の年間16日程度に、週の営業時間72時間のところを90時間に増やすことを考えている。さらに中小の商店には営業時間数の規制を撤廃することをも視野に入れている。
しかし、この計画が発表となった直後から反対の声が挙がっており、特に中小商店組合では営業時間の完全自由化を行うことは中小の商店の生死にかかわる問題だと語る。さらにスーパーマーケット協会でもスーパーの99%が現行法の改正に反対であることを明らかにしている。
現行法は1996年に議会で承認され、2001年1月1日の段階で改正する余地を残して施行されている。
商業・観光省の政務次官はこの法律に関ってくる全ての分野の人達の同意がない限りは改正を進めていくことはしないつもりであることを確認している。


6月15日(木)

内務省、新外国人法の再改訂の草案を作成

昨日、内務省は昨年12月に国会を通過、今年2月より施行された新外国人法の再改訂をすべく改訂草案を作成、各政党に配布した。政府では6月30日の閣僚会議で議会への提出を承認する予定にしている。
この改訂草案では不法滞在者を48時間以内に国外追放、国外追放が決定した場合には72時間以内、この期間内に国外追放されなかった場合に収容されるセンターにも40日以内しか滞在できないといった現法より厳しい措置がとられることとなる。
さらには永久居住許可を申請できる人はスペイン国内での滞在期間が2年以上ということであったが、他のヨーロッパ諸国の大半が5年から10年とされていることに合わせる意味もあり、5年に引き上げられる。国境にて入国を拒否された人間に対する法律家の援助サービスも廃止される。
この新しい改訂案にはPSOE、IUともども拒否の構えをみせているが、CIUは政府との話合いに応じている。

中央政府、2年以内に4つの教育法改革を約束

昨日、議会にて教育省カスティージョ大臣が2年以内に現行の4つの教育法を改革していくことを発表した。12月までには国会に新たな計画が提出される予定。
改革の大筋は、幼児教育(3歳から6歳)無料へと漸次移行、6歳までにある程度の読み書きができるような方策を導入、小学校では6歳から8歳のうちに外国語教育を開始、情報処理関係の知識をつける、インターネットに親しむ、などとなっている。中学校以上では全スペインで数学、国語などの基幹となる課目を重視し、選択性にするのをやめる、進級制度を改革し、勉強に不向きな生徒たちには職業訓練などの方向に進ませるなど選択肢を増やす、歴史、哲学、ラテン語やギリシャ語などの古典言語などを強化するとしている。ただし、これらの改革にかける予算は具体的には算出されておらず、教育相は詳細を語ることを避けた。

裁判所、大学でのカタルーニャ語使用推進の規則化に待ったをかける

昨日、バルセロナの行政訴訟法廷で、バルセロナ・ポンペウ・ファブラ大学(UPF)が大学内での言語使用をカタルーニャ語にするとした規則取り消しを求めた訴訟で、仮停止処分の裁定を下した。
この訴訟を起していたのは民主主義のための教職者協会で、先日もタラゴナ・ロビラ・イ・ビルジリ大学(URV)で同様の規則に反対し、勝訴したばかりである。
URVでは大学内ではカタルーニャ語使用に限定するとした規則を大学の教授会で一方的に決定していたが、今回のUPFでは規則化については自治体政府に決定を委任しており、その後、3月8日に正式に導入されていた。
判決では、カタルーニャ語に限定することは大学での公式言語がカタルーニャ語となることを意味し、スペイン標準語もスペインとカタルーニャの公式言語であるということと対立、全ての公式言語は同等であること、表現の自由を守らなくてはならないことを述べている。
この判決に対し、UPFではカタルーニャ司法高等裁判所へ控訴することを考えており、判決へのコメントは出していない。 


6月14日(水)

フアン・カルロス国王、プーティン大統領に人権の擁護を促す

昨日からスペインに公式訪問をしているロシアのプーティン大統領はアスナル首相と2時間にわたり会談、その後宮中晩餐会に出席した。
晩餐会の席でフアン・カルロス国王は“ロシアはヨーロッパ文化、文明の重要な部分を担う国であり、この国なしには現代ヨーロッパを語れない”とロシアを評し、“ヨーロッパにおいては人権を尊重し、自由を享受できなくてはならない”と語った。
この日、プーティン大統領はプラド美術館を見学中、ロシアの反大統領勢力の筆頭でロシアのメディアグループの会長グシンスキー氏が詐欺の容疑で逮捕されたことを知らされた。この件について同大統領は検察庁が独自の捜査のもとに行ったことであり、事前に知らされてはいなかったと話している。 アスナル首相との会談ではチェチェンとの戦争、コーカサスへの侵入の正当性を説明し、両者の意見は平行線をたどるのみであった。
また、ロシアへの投資に関する企業説明会の席ではロシアへの投資が危険性をはらんだものではないことを強調し、企業側の経験に基づくさまざまな不安を払拭することに重きをおいた。
さらに、スペイン製タルゴ列車のロシア導入にゴーサインを出し、ロシア政府とタルゴとの50%ずつの合弁会社を設立、8台のタルゴを購入し150億ペセタを支払うことが決定している。

厚相、心臓手術順番待ちリストを減らすための対策が発効したことを確認

最近社会問題化している心臓外科手術の順番待ちの期間が長期化していることに対する特別対策が昨日発効したことを厚生省のビジャロボス大臣が確認した。
この特別対策は9月30日まで続き、手術までの待機期間が2ヶ月までにおさえられるようにすることが主な目的となっている。この期間に589件の臨時手術を行う予定でおり、417件は公立病院で、残りは助成金のでている私立病院で実施される。
この特別対策にかかる予算は人件費1億8千万、器材、物資に2億9千万、私立病院への助成金2億5千万程度と見積もっている。
この臨時手術を行う13病院は毎月10件ほど手術が増えるだけなので毎日、午後の手術を行う必要がなくなる。この実施期間は夏のバケーションシーズンと重なり、それほど大がかりな変更はできないが、10月以降は活動の活発化が期待できるとしている。
実際に昨日から、このプランにそって手術が行なわれたかどうかの確認は今のところとれていない。

崩れ落ちた橋の原因究明すすむ

カタルーニャのエスパレゲラ市のジョブレガッ川にかかる国道2号線の橋が集中豪雨のために崩れ落ちた事故の原因追及が進む中、この橋を設計した当時、この橋が耐えうる24時間の降雨量を1u当たり100リットルと設定していたことが判明した。この事故が起こった先週末は1u250リットルの降雨量があり、通常20〜25センチの水深の川が5.2メートルにまで増えていたことも明らかになっている。
専門家によるとこの降雨量の設定は充分ではなく、先週末のような集中豪雨でなくても9月から11月にかけてのカタルーニャ地方の降雨量がこのリミットを超える可能性があるという。 勧業省から派遣されてきている専門調査官達は原因として2つのことが考えられるとする。一つは“地震現象”と呼ばれるもので、大水によって土砂が流され、橋げたを圧迫し破壊したという説、もう一つは大水が橋の土台となっている部分の土を流してしまい、土台を支えるものを失って倒れたという説である。
カタルーニャ自治体ではこの集中豪雨によって出た被害総額は110億ペセタにのぼると計算している。


6月13日(火)

勧業省、国道2号線の崩れ落ちた橋について原因追及へ

週末にカタルーニャ州を襲った集中豪雨によって国道2号線、エスパレゲラ市にある橋が崩れ落ちた件について(昨日のトップニュース参照)、勧業省は原因の究明を開始した。
この橋は10年前に新しく建設されたもので、すぐ横には建設されてから100年、補修をしてから40年経つ古い橋が何事もなく現存している。このことからも、今回崩れた新しい橋が建設時にこのような事態に備えた設計がされていなかったのではないかという疑問が噴出している。
エスパレゲラ市長や市民によると、建設を指揮した当時の公共土木事業省にこの橋の設計が河の氾濫に耐えられるものではないと指摘したものの、設計には何の変更も加えられず建設が敢行されたという。 カタルーニャ議会ではERCの議員からこの事件について誰が責任を負うのかをはっきりさせるよう求められている。これに対し、自治体のジョルディ・プジョール長官は、今は責任問題をうんぬんする時ではない、責任問題が発生した時はおのずとその責任をとるものが出てくると答えている。
一方、行方不明中であった治安警察レスキュー隊の隊員の遺体が昨日午後発見された。これで犠牲者は5名となった。
大きな被害を受けたモンセラット修道院は昨日から復旧作業を始めているが、24日まで閉鎖され訪れることはできない。

抗生物質の間違った服用で殺人バクテリアが増えている

世界保健機構(WHO)の調査報告によると近年、先進国における抗生物質の間違った服用と発展途上国における抗生物質不足により今までにない強力なバクテリア、殺人バクテリアが増えてきていることが判明している。
先進国では呼吸器系感染症の70%はすでに通常の抗生物質が、病院内感染症の60%は複数の抗生物質が効かない状態となっており、専門家の間ではペニシリン発見当時以前の状態に戻ってしまう危険があることを警告している。
発展途上国では、抗生物質の絶対量の不足により、必要とされる量、期間より少ない量と期間服用するため弱いバクテリアしか死なず、現在あるバクテリアより強力なものが発生することが避けられないという。
スペインはその他EU諸国と比較して明らかに良くない状況を作り出している。医者の処方箋なしに薬局で買えるため勝手に服用してしまう、効果がないにもかかわらず、医者がちょっとした風邪などにも処方してしまうなど抗生物質の国内消費は非常に高い。年間の抗生物質消費にかかる経費は公共衛生の予算の8.8%を占め、実に900億ペセタに達している。また、スペインで発生した新たな殺人バクテリアが短期間で南米や東南アジアなどに広がっていることも確認されている。


6月12日(月)

アルサジュス党首、辞任の意思がないことをはっきりさせる

PNVアルサジュス党首は昨日ビルバオのマティコで行なわれた集会で、進退が取りざたされていることをとりあげ、辞任を促していたバスクPPのイトゥルガイス氏の期待に添えないことを明らかにしている。また、党首批判をするグループを“党の贅肉、必要のない脂肪”と評し、各地の市役所HBとの協定破棄が続出しているものの、ETAとの対話を続けて行く意向を示した。
一方、HBはPNV一派の暴力を否定しない限り関係を維持することは不可能との意見に、政治の舞台から民衆主導の社会へのプロセスを阻害するものと批判、PNVに対し、関係破棄をするかわりに協定を拡大していくよう公式に申し入れをした。
しかし、PNVビスカヤ、EAはHBとの協定を見なおすことを繰り返し主張しており、HBとの関係破棄に慎重論を唱えるPNVギプスコアの姿勢とは溝が深まっている。

カタルーニャの豪雨の被害、死者4人、行方不明1人

土曜日にカタルーニャ地方を襲った集中豪雨は現在までに死者4人行方不明者1人を数えている。
土曜日午前中、バルセロナのエスパレゲラからアブレラに至る国道2号線の橋がジョブレガッ川に崩れ落ち、走行中の自動車が橋とともに流された。この自動車にのっていた20歳と24歳の兄弟を救出する為バルセロナ治安警察隊の特別水中レスキュー隊の2人が出動。しかし、この2人も濁流に飲みこまれ、行方不明となった。
地方交通局派遣のヘリコプターの空からの捜査によって、昨日午後2人の兄弟、レスキュー隊の1人の遺体を収容、もう残る一人は行方不明のまま発見されていない。
崩れ落ちた橋はジェイダからバルセロナに抜ける主要道にあり、1日35000台の走行量がある。10年前に建てられたばかりのこの橋の再建には5ヶ月、10億ペセタの費用がかかるとみられており、建設時に何らかの瑕疵があったのではないかとの声があがっている。
また、サン・ビセンス・カステジェでは大水でおぼれて83歳の老女が死亡している。
モンセラットの修道院も大きな被害を出し、土曜日の午前中は修道院へ向かう道が不通となった。

麻薬常習囚人の一時的な出所許可の際に、麻薬をコントロールする貼布剤を試験的に使用

マドリードのアランフエスにある刑務所で、今日から麻薬購入のために窃盗、強盗を働いた囚人の一時的出所許可の際に、仮出所中に麻薬を服用しなかったかどうかを調べる為の貼布剤を囚人に貼ることを試験的に実施する。このシステムはスペインで初の試みとなる。
この貼布剤は約2500ペセタで囚人が1日刑務所にいる経費よりは安く上がるという。もし、囚人が麻薬(ヘロイン、コカイン等)を服用するとその貼布剤が汗に含まれる麻薬の成分に反応する為、刑務所に戻ってきたときに麻薬の服用がばれる仕組みになっている。そうすると、それ以降の仮出所許可が停止され、刑期がのびることとなる。当局ではこのシステムが麻薬に逆戻りしてしまう抑止効果となることを期待している。
このシステム導入を決定した裁判官は全ての囚人に強制的に貼るものではなく、自分から申し出た囚人に適用することとしている。また、使用については囚人への説明また、その家族の協力も欠かせないことを指摘、使用することに同意した囚人は出所の日に裁判所に赴き、この貼布剤を貼ってもらうことになるという。


6月9日(金)

PNV、7月に臨時総会を開催、これからの党の方針を決定

ここ数日、PNV内部での党の方針に対する意見の相違が顕著になってきている中、7月に臨時の総会を開き、党のこれからの方針を検討して行くことを決定した。
EHとの関係を全て破棄しようとする一派の鼻息が荒くなる一方で、今までの方針をそのまま踏襲する方向を示しているPNVスポークスマンのエヒバル氏は、噂されているPNVのアルサジュス党首の辞任や党の方針変更をないことを明らかにしている。
また、徐々に非民族主義政党と協力し、バスク主権主義者たちと距離を置くことを考えているグループでは、PSOEとの関係を修復し対話を求めて行く気配をみせていたが、それに対し、バスクPSOEではPNVの人気回復のために利用されるつもりはないことをはっきりさせている。

GRAPOが活動再開、人材派遣会社に爆弾を仕掛ける

昨日、バルセロナでテロ組織のGRAPOが仕掛けたと思われる爆発物が4箇所で発見された。これら全ての爆発物は異なった人材派遣会社を標的としており、2ヶ所で小爆発をおこし、もう2ヶ所では爆発前に発見され爆弾処理班によって撤去された。
爆発した爆弾はそれぞれ郵便受けと玄関側にある植木鉢におかれており、発見された爆弾は玄関とシャッターの間、通気孔に隠されていた。
警察では、水曜日にバレンシアで発見された爆弾との関係を調べており、捜査を進める中で数日のうちに同様の行動が起される可能性も指摘している。
先月初めに、ビゴで現金輸送車が襲撃された事件の犯人グループがGRAPOのメンバーであるとの犯行声明が数日前に出されたこと、GRAPOの標的が常にバルセロナであったことなどから同組織が活動を本格的に再開したとみられている。
労働団体CCOO、UGTではこの犯行に対し、暴力を利用することに何の正当性もみられないと強く非難した。

未成年保護局、移民の子供達に対する公的支援をもとめる

未成年保護局の弁護士、ハビエル・ウラ氏は1999年度の同局が手掛けた852件の手続きについての記録を1000ページに渡ってまとめた。
ウラ弁護士は移民の子供達が抱えているさまざまな問題を解決し、社会に溶け込めむための対策を提示した。犯罪組織に足を踏み入れそうな状況にある子供達を把握するための社会組織の創設、スペイン社会に同化することができるようなプログラムの実現、責任感を育て、仕事の探し方やそのための準備段階の為の見習いのためのコースを設ける、といったもの。さらに、教育や医療に関してははスペイン人と同様の権利を有するということをいま一度はっきりさせている。
また、刑務所に収容されている母親の子供達に対する社会的な援助、身体的な虐待、性的虐待を受けてきた子供達、親から育てることを放棄されてしまった子供達への物的、精神的なケアなども求めている。


6月8日(木)

PNV内の政権交替、準備がすすむ

PNV内では急進的民族主義政党HB(EH)とETAとの対話によってバスクの問題を解決しようとする一派と、HBとは手を切り他の政党との連帯を強める方向に方針転換をしようとする一派の意見の相違が顕著になってきているが、アルサジュス党首の辞任の可能性が高くなりつつある。
急進的民族主義者寄りのアルサジュス党首、PNVスポークスマン、エヒバル氏に対する批判はますます高まっており、PNV執行部での話合いにおいて今すぐとはいかないまでもここ数ヶ月以内に任期半ばでアルサジュス党首に引退を促す用意をしていることが確認された。時期的には党の日である9月の最終日曜日もしくは8月24日のアルサジュス党首の68回目の誕生日というのが現在のところ有力である。
PNV執行部ではEHとの関係を破棄し、PSE−PSOEに歩みよりを図り、党の再編成をしていく方針でいる。

燃料の高騰に抗議のデモ

昨日、マドリードの中心で農家、自営トラック運転手、タクシー運転手などの団体が集まり燃料の高騰を押さえるよう、抗議のデモを行った。
デモでは、燃料にかかる税金(付加価値税、特別税)の即時値下げ、業界の自由化を求めている。
抗議団体代表者の訪問を受けた経済省の政務次官は団体の求めに対し、税金に手をつけることはないときっぱり拒否したが、ガソリン市場の自由化のための計画には着手していると話した。
一方、政府第2副首相、経済省大臣のラト氏は輸送団体の抗議をうけとめたものの、政府としては国際的な問題である原油価格の高騰を解決することは不可能と話した。また、ガソリンスタンドを増設することで競争力を増し、ガソリンの流通を活発化させることも検討していることを示唆。
マドリード自治体では今日、明日も旅客輸送の団体がストライキを行う予定にしている。

助成金を受けている学校が生徒数増加に伴い、1クラスの人数を増やすことを求める

マドリード自治体にある公的補助金を受けている私立の小学校には入学希望の小学生が増えている為、全ての希望者を入学させることができない学校が出てきている。 法律では1クラスの人数は25人と決められており、これを超す人数の希望者がいた場合は、家がその学校から近い、兄弟がその学校に在籍している、親の収入が低いといった基準で判断し入学許可者を決める。そうすると、入学許可を得られなかった生徒たちは全く別の地域の、家から遠い公立小学校に行くか、私立の小学校に行くしかなくなる。さらに社会的に恵まれていない家庭の子達、移民の子達の特別枠を確保している為にますます狭き門となってきているのが現状である。
このような状況に反対して、父兄たちが25人という人数枠を撤廃し、1クラスの人数を多くするよう求めている。
実際私立の幼稚園に通っており、その後この補助金のでる私立小学校に入学を希望しながら許可のでない子供達は400人近くに上るもよう。


6月7日(水)

PNV幹部の大半がHBとの関係を絶つことに賛成している

ETAのテロ行為がとどまることを知らないこの現状で、PNVの幹部数人がHB(EH)との関係を絶つべきとの発言をしたのに続き(昨日のトップニュース参照)、PNV幹部の大半がその意見に傾いていることが公表された。
EHやETAとの対話に力を入れていた一部の幹部の中には最後の試みをするとして、8月まで猶予を与えてくれるよう求めているが、幹部の大半は急進派民族主義者たちの善意を信じられなくなっており、現段階では一縷の望みも持てないとの結論に達している。
さらに、バスク州首長のイバレチェ氏までもが、暴力や殺人が存在するうちはどんな分野においてもEHと仕事をすることは不可能である、と認め、リサーラ協定はこれら暴力のために無効の状態になっていると付け加えた。また、沈黙を保っているアルサジュス党首についてもイバレチェ氏と同意見であることを明らかにしており、対話と交渉を基にした新しい時代を築いていかなければならないと述べた。

CESIDの改革を国防省大臣が発表

先月末にアスナル首相が国家諜報機関(CESID)を改革する旨の提案を行っていたが(5月29日のトップニュース参照)、この件につき国防省トリージョ大臣が議会にてCESIDに関する法律を改訂し、次期長官は民間人から選出されることを確認した。
この改革の目的は、CESID所属の責任の所在の明確化、議会と司法から離れ政府の管轄下に入る、この機関の最終的な所属の決定、(国防省の管轄下から内閣直属に変更するかどうかの決定)の3つに絞られることとなる。
また、徴兵制度の廃止時期について政府の見通しでは来年末とされていたものを半年早め、来年の半期までとすることを確約した。
さらに先日行なわれたシークレットサービスのセミナーに現CESID長官のカルデロン氏がPNVを召集せず、国家にとっては他の政党にくらべ存在意義が少ないとした発言を批判、そのようなことをすべきではなかったと述べた。

インターネットを利用して事務手続きをするスペイン人は全体の1.5%

アンダーソン・コンサルティングが行った20ヶ国を対象に行った調査でスペイン人がどの程度インターネットを活用しているかについてのデータが発表された。
行政機関でのインターネット浸透度はアメリカをトップにシンガポール、オーストラリア、カナダと続き、スペインは第10位、ドイツやオランダよりも上位に位置する。この予期しない嬉しいデータは税金関係の手続きと社会保険システムがインターネット対応となっていることが大きな要因となっている。
個人的に様々な情報を手に入れる場合にインターネットを利用している人は全体の27.8%、企業では37.5%となっている。手続き関係に利用している人は個人では1.5%、企業では8.1%とアメリカの7%、14.3%には遠く及ばない。
行政機関がインターネットを利用したばあい、人間が窓口で対応するより、10から40倍の経費削減となるが、個人的には少しの時間の節約と気楽にできるといったメリットしかないといった結果も出ている。


6月6日(火)

PNVの内部からもHBとの関係を破棄すべきとの声があがる

日曜日にドゥランゴでETAによってPPの市会議員が殺害された事件を機に、PNV内部からもETA容認の姿勢をとるHB(EH)との全ての関係を早期に破棄すべきとの声があがっている。
このような動きの先頭にたつのが、PNVビスカヤ、PNVギプスコアの責任者ジョス・ベルガラ氏とロマン・スドゥペ氏で、さらには前バスク州首長アルダンサ氏が続く。前首長はリサーラ協定が問題の解決を政治的民主的な方法に求めているにもかかわらずテロ行為は依然続いており、その精神と矛盾するとし、殺すことが政治的な手段を尊重するというのなら、神にここに来て見てもらうがよい、と発言している。
これらの発言を受けて、PNVでもバスクの約20の市役所で署名されたEHとの協定を見なおすかどうか決める。PNV党首のアルサジュス氏は今回の事件の喪が明ける3日後に党のこれからの態度を発表する予定にしている。
一方、このテロ行為に抗議するという意味で各地でデモが行なわれたが、事件の起きたドゥランゴのデモには政府の閣僚らも参加、アスナル首相はバスク州首長イパレチェ氏と並んで列の先頭を歩いた。

15歳の少年、母親を包丁で惨殺

昨日午前中、バレンシアのモンカダで15歳になる少年が実の母親を包丁で刺殺するという事件が起こった。
この日父親と兄2人が出かけた後、少年は台所から包丁を持ち出し、母親の背後から襲った。少年は凶行後、血まみれのまま外に出かけ、パトロール中の警官に直接“母親を殺した”と自白。少年を伴って現場に急行した警察官は14ヶ所の刺し傷を受けていた母親の死亡を確認した。
少年は1ヶ月前に自殺未遂を起し、数週間前からは学校に出席しなくなっており、精神科の治療を受けている最中であった。精神的な問題を抱えて家族との関係も悪化してきていたといい、特に一緒に過ごす時間の長い母親とは他の家族以上に緊迫した状況を作り出していたようだ。
対応した警察官や少年の通っていた中学校の教師たちは少年が不安定な状態であったことに気付いておらず、人を傷つけるようなことがあるとは考えてもいなかったようだ。
この事件を含めてここ2ヶ月で、未成年(スペインは18歳未満)の犯行による被害者は5人を数えている。

中央政府、カナリアスの不法移民を他の自治体に移送することを検討

中央政府はカナリアスに密入国を試みる不法移民達の処遇について、他の自治体に移送することを検討し始めている。今年に入ってからの同島への密入国者は昨年度の同時期に比べて判明しているだけで1000人以上も多く、現在のカナリアスで抱える最重要問題である。
カナリアスの知事ラモン・ロドリゲス氏はアスナル首相との会談を終えた後、カナリアスの現状は不法移民であふれており、彼らにそれ相応の態度で対応することが不可能になってきており、すでに、フエルテベントゥーラやランサロテにも彼らを移送して分散化を図ってきているがそれも限界に達しているとコメントしている。
政府スポークスマン、ピオ・カバニージャスは会談後の記者会見で上記の移送案は各自治体との対話が不可欠であることも認めている。
また、アスナル首相はこの密入国取り締まりのための警備隊の拡充、取り締まりのために手薄になってきている島内の安全を確保するためにもさらなる人材の補充を約束している。


6月5日(月)

PPの市議会議員、ETAの凶弾に倒れる

昨年末に停戦撤回宣言を出してからテロ活動を活発化させてきているETAがまたもや新たな犠牲者を出した。
昨日の昼過ぎ、バスク州ビスカヤのドゥランゴでPPの市議会議員ヘスス・マリア・ペドロサ・ウルキサ氏(57歳)が自宅近所で背後から頭を銃で撃ち抜かれ死亡した。同氏は午前中にミニバスケットの試合を見に行き自宅に戻る途中を狙われたものとみられている。
目撃者の話では犯人は若い男で同氏殺害後、仲間の待つ逃走用の車まで歩いて行ったという。
殺害されたペドロサ氏は同市の他のPP議員とともに以前よりETAからの脅迫を受けており、ETAの暗殺リストの上位に位置していた。1998年のETAの停戦宣言以前はSPをつけていたこともあったが、生きること、死ぬことも自然のままにまかせたいとの彼自身の意思によりSPははずされていた。数週間後には長女の結婚式を控えて忙しくしているところであった。

ゲーラ派、労働団体幹部をPSOEの執行委員会に招聘することを提案

アルフォンソ・ゲーラ率いるPSOEのゲーラ派では、来月に行なわれる幹事長選にマティルデ・フェルナンデス女史をたてているが、もし、同女史がPSOEトップの地位を手にした場合は執行委員会の2つの席をUGT、CCOO2つの労働団体幹部に差し出すという提案をした。
この提案に対してUGT、CCOOともども労働団体としての独立性を保つ為に一線を画したいとの意向により、それを受けるつもりはないことを明らかにしている。
また、ゲーラ氏は現在のPSOEの指針は全体の意見を反映したものではないことを指摘し、ゲーラ派のものは“プログラム2000”と題した、1982年の総選挙で政権を得たときのものを踏襲した計画を元にしている。フェルナンデス女史は労働団体や社会の動きとの協調路線をとり、あらたな発展をおし進めていく方針であることを述べている。

サンタンデールの2つの病院で患者の検死の押し付け合い、結局実現せず

5月の末に狂牛病として知られるクロイツフェルト・ヤコブ病に感染していたと考えられるサンタンデールに住む女性が死亡した際、患者の家族が医師の奨めもあり検死を求めたところ、トーレラベガのシエラジャナ病院では検死を拒否、25キロ離れたサンタンデール・バルデシージャ病院に許可を得る前に運んでしまった。しかし、この病院の医師達は検死をすることを拒否、この患者の遺骸は宙に浮いてしまうこととなった。
バルデシージャ病院では数ヶ月前から、社会保険庁に公共衛生と処置にあたる医師達の健康に多大な危険を及ぼすような検死の場合用の特別な設備を求めていたが、まだ設置されていないという。 しかし、この病院の解剖病理学者たちは解剖を拒否した理由を病気感染を恐れてのものではなく純粋に手続き上の問題と話す。
結局、この患者は検死をされることなく、サンタンデールへの往復の旅をさせられた後、埋葬されることとなってしまった。この家族はこの対応に対して裁判に訴えることを考えている。


6月2日(金)

カタルーニャ自治州、中央政府に外国人労働者への労働許可書発行の簡素化を求める

カタルーニャ自治州では特定の業種(建築業、鉄鋼業、飲食業、情報産業)での労働人口が不足しており、それを補う為には外国人労働者を導入する必要性があることを政府に訴えている。
ジョルディ・プジョール長官は現在、外国人に労働許可証を発行する手続きに平均して8ヶ月もの時間がかかっていることを指摘、人手不足は経済成長に歯止めをかけることになっていると話す。
企業組合やカタルーニャ労働組合も自治州の意見に同調しており、迅速な手続きを要求している。さらに、労働者の自国で労働契約を結び、スペイン国内での官僚主義的な手続きを簡素化することまでも提案している。
この人手不足はカタルーニャ州だけにとどまっておらず、アラゴンの各県やソリアなどにも広がっている。失業率もこの6年間で24%から15%にまで減少、人手不足が叫ばれている県では10%をきっており、EU各国の平均失業率と同程度になってきている。その反面、アンダルシアやエストゥレマドゥーラなどは25%の高失業率を示している。にもかかわらず、農業に従事する人手は不足、外国人に頼らざるをえない偏った状況を作り出している。
昨年度の外国人への労働許可割当て人数は約3万人でとうてい必要人数においついていない。

イベリア航空、原油価格の上昇を理由に航空運賃値上げを検討

今年に入ってからの原油価格の大幅な上昇に伴い、イベリア航空では航空運賃の値上げを検討し始めている。同社ではこの度重なる値上げで今年の経費は昨年度の収益315億ペセタの80%にあたる250億ペセタになると推定、原油価格の上昇がこのまま続けば夏のバケーションシーズン真っ只中に値上げの時期がぶつかることを避けられないとする。
同社の燃料に関する予算はある程度の量を固定の値段で仕入れることで成り立っている。今年は全体の50%を1バーレル17ドル、20%を24ドル、残り30%を市場価格での調達となる。市場価格を1バーレル27ドルとの見通しをたてていたが、現在は28.5ドルを超えているためその差は大きなの影響を及ぼしている。
一方、イベリア航空では4年間の経営方針を発表しており、今年の10月には最終段階、第4期の株式公開売出しを予定しており、時期を見て株式市場への参入を考える。
また、27000人いる従業員の若返りをはかるため1000人の自主退職を募る予定にしている。

ビジャロボス厚相、手術待ち患者リスト問題について語る

国会で、現在大きな社会問題となっている心臓手術待ち患者リストについての対策をアスナル首相自ら回答したのに続き、今まで沈黙を保っていたビジャロボス厚相がラジオの対談番組でその問題について 語った。
首相が公表した対策は6月13日から導入されること、必要なだけの人材を補充することを約束、公的医療にかかる経費が膨張することに関して、ラト副首相が否定的な判断を下しているがそれを認める発言をしている。
国家医師会や労働団体UGTでは、首相の一方的な対策発表に対し、中央政府からあらかじめ何の連絡 もなかった、と驚きと不満を隠せず、このような厳しいプランをたてるには専門家の協力なしには立ち行かない、と話している。また、医療助手の労働団体では新たに午後も手術が行なわれるならば、それなりの適切な人材の確保が先であるとする。


6月1日(木)

アスナル首相、国会で手術の順番待ちリスト問題の対策を発表

最近10日程の間に社会問題となってしまった心臓手術の順番待ちリスト問題について、昨日アスナル首相は国会でこの問題に関しての対策を発表した。
社会保健事務所に所属する64の病院のうち5つの病院で午前中の執刀の数を増やす、8つの病院で手術の時間帯を午後までのばす、手術後の患者のためのベッド数を増やす、医療チームの増員をはかる、患者を同じ公的システムをとる病院に送る、公立の病院が満員の場合には政府補助金を受けている私立の病院で手術を行う、という措置がとられる。
と同時にアスナル首相は彼が政権を取った96年から2000年までの間に順番待ち患者は20%、6ヶ月以上待機している人は96%も減少していると証言。平均待機日数は210日から61日となるなど事態は改善されてきていることを強調している。
ビジャロボス厚相に対して、具体的な病院名やいつからこの措置が開始されるのかといった質問がされたが、“1度首相が話したら私は何も話すことはない”と答えている。

スーパーマーケットの駐車場で恋人を斧で殺害

昨日、マドリードの郊外にあるスーパーマーケットの駐車場で43歳の男が自分の恋人を斧で殺害する事件が起こった。
この日この男と被害者、被害者の8歳になる娘の3人でショッピングをし、昼食を取っていた時に口論が始まった。皿をひっくり返したり、その皿で被害者を殴るなどした後、3人は駐車場へと向かい、男は車においてあった刃渡り10センチの斧で女性を何度も殴りつけた。被害者は頭蓋骨を割られ、脳みそがでるほどの状態で病院に運ばれたが、死亡した。被害者の娘も母をかばおうとしたため、左手の指に斧を受け、薬指がなくなってしまった。
犯人の男はスーパーマーケットの警備員に取り押さえられ警察に引き渡された。この男はは陸軍を経、王室警護隊の副将校となり、順調な出世の道を歩んでいたが、昨年から身体的、精神的に不調になり、不可解な行動をとることや感情が安定していないこと、鬱の症状が見られることなどから武器の所有許可を取り上げられた。今年4月になってから職務につくことは不可能であるとの診断が下されていた。
被害者は若くして結婚後、8歳になる娘をもうけたがその後離婚、昨年からこの犯人と同棲するようになった。
近所の人の話によると、口論が絶えず、男がこの被害者の洋服を家の外に出すなどして、出て行かせようとしたことがなんどもあったが、女性は絶対に出て行くことはなかったという。

30年以上にわたって小部屋に閉じ込められていた男性を保護

ガリシア、コルーニャの小さな村でレンガで作られた2uほどの小部屋に30年以上にもわたって閉じ込められていた精神に障害のある72歳になる男性が保護された。
この男性を閉じ込めていたのは92歳の実の母で、この部屋には3つの鍵がつけてあり、窓もなく、床にはわらが敷いてあり、トイレにもいかせていなかった。
この母親によると、息子が18歳になるまでは普通の青年だったが近くの炭坑で働き始めたころからだんだんおかしくなって行ったという。また、病院に入院したことがあったが、対応が悪かったため家に連れ帰り自分で面倒を見ることにしたと話している。
12軒しかない村の人達は少し前まではたまに母親がこの男性を玄関に出している姿を見ることがあったが、1度外に出したところ逃げ出し山まで探しに行かなければならないことがあってからは見ていない、と話している。
独身のまま息子を産み育ててきたこの母親は息子と一身同体だったといい、治安警察隊にこの男性が保護された後、息子がいなければ私は死ぬ、と悲しんでいるという。



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