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6月29日(金)

今回は自転車爆弾、軍人を狙ったETAのテロ、負傷者20人

昨日朝8時半ごろ、マドリードの住宅街で軍人を狙ったテロが発生した。標的となったのはフスト・オレハ・ペドラサ氏(62歳)で自宅マンションの建物を出た直後、街灯に繋がれていた自転車が爆発した。
同氏は毎朝近所のキオスクで新聞を購入後、送迎車の待つガレージへ歩くという大変分かり易い行動パターンをとっていた。テロリストは同氏が出勤する時間にあわせ、ダイナマイト入りリュックをしばりつけたマウンテンバイクを自宅マンション前の街灯に放置し、遠隔操作によって爆破したと考えられる。
目撃者によると、サイクリングの格好をした男がマウンテンバイクをおいていたといい、さらには爆発直後に走り去った2台のバイクがあったことも判明している。
ペドラサ氏は爆発をまともに受け、全身の50%の火傷を負い重傷であるが、生命の危険はないもよう。その他にも19人の負傷者、付近の住宅、商店が破壊されるなどの被害が出ている。
テロから6時間後、マドリードの高級住宅街でテロリストたちが逃亡の際に使用したと見られる車が炎上、付近住民が消し止めたが、この車のトランクには別の爆発物が搭載されていた。
ラホイ内相は、この事件についてETAの移動部隊による犯行だと推定されるが、マドリード在住のテロ要員がいる可能性も考えられるとコメントしている。

マドリッド唯一の屋内総合運動場が焼失

昨日早朝、マドリッドのサラマンカ地区にある体育館(パラシオ・デ・デポルテ)が溶接用火炎ランプにより引き起こされた火災により全面焼失した。出火の原因は雨漏りの修理のために屋根にアスファルト製の布を置いていた作業員が持っていた溶接用火炎ランプと見られ、この火災によりマドリッド市は40年前に建設された市唯一の屋内総合運動場を失った。
午前8時10分、火災発生に気付いた3名の作業員は市の事務員を通し112番通報し、通報の直後より消防士による消火活動が開始されたが、火の勢いは収まらず、火災は天井の大部分に広がり、午前9時には大音響と共にド−ムが崩れ落ちた。天井で消火の陣頭指揮を執っていた消防士長、アンヘル・ラミレス・ピンタ−ド氏はこれにより4メートルの高さから運動場内に落下し、胸部に外傷、膝に強度の打撲を受けた。この火災によって引き起こされた煙は巨大なきのこ型の雲を形成し、そこから多くの炎が出る模様が見受けられた。40名の職員と139名の消防士を動員した消火活動により、午前10時頃には火の勢いはほぼ収まり、運動場はアルミや鉄板の瓦礫で埋まった。この火災は、前日に設置されていた舞踊「リバー・ダンス」の舞台にも被害を及ぼし、主催者は公演の中止とチケットの買戻しを発表している。
溶接用火炎ランプによる火災は、昨年6月ラス・ロサスで16軒の別荘が焼失した前例がある。

バジャドリードの動物園で飼育係がライオンに襲われて死亡

昨日、バジャドリードのマタポスエロスにあるバルボ動物園のライオンの檻で飼育係の青年が4匹のライオンにえさを与えようとしていたところを襲われ、即死した。
動物園では、ライオンが夜を過ごす予備の部屋と一般に公開される部屋との仕切り扉の鍵をこの飼育係がかけ忘れて、このような悲劇に至ったのではないか、と見ている。襲撃現場は一般公開されている場所ではなく、見学者からは見えないところにあったため目撃者もおらず、事件がどのような状況で起こったかは正確に把握されてはいない。
事件当時、300人の見学者がいたが、念の為にただちに園外へと避難させられることとなった。


6月28日(木)

国会討論、PSOEの検察庁定款改定案却下

国会で行われているスペイン国家の現状に関する討論で、昨日、PSOEから検察庁定款の改定案が提示され採決となったが、反対多数で否決された。
この改定案は、地方、国会議員に対する訴訟手続きに際し、国家検事局が介入しないよう検察庁定款を修正せよ、というもの。これは先のピケ外相が"エクロス事件"に関与しているという検察の見方に反して国家検事局のカルデナル局長が介入したことが要因となっており、適切かつ公正なる司法手続きの遂行を目指すために必要な改革であるとした。さらにはカルデラPSOEスポークスマンがPPに対し、"堕落と政治"が同居していると批判。
また、IUからピケ外相と買収疑惑のあるマタス環境省大臣の辞任を求めた要求に関しての投票が行われたが、これも反対多数で否決された。

警備会社の現金輸送車襲撃される

昨日午前8時ごろアリカンテの路上で警備会社の現金輸送車が襲撃された。
アリカンテのラバサ地区にある警備会社プロセグールの事務所を出発した現金輸送車は事務所から100メートル離れた路上で前後をワゴン車にはさまれ行く手を阻まれた。直後にワゴン車から出てきた覆面の4人組に銃撃され、車の下に爆発物を投げ込まれた。幸いなことに車を吹き飛ばすまでに至らなかったため、運転手がワゴン車の脇をすりぬけて逃げ、事務所までたどりついた。現金輸送車には運転手以外に警備員が2人乗っていたがけがはなく、運んでいた現金も無事だった。
犯人グループは痕跡を消すためにワゴン車を燃やし、別の乗用車で逃亡、その後乗用車も燃やされた状態で発見された。
ここ数ヶ月でバレンシア地方における現金輸送車襲撃事件は3件目で、現金の強奪は未遂に終わっているが、襲撃の手口や行動が相当訓練されたものであるため、警察ではヨーロッパ内に存在する犯罪組織によるものではないかと推定している。また、テログループGRAPOの犯行である可能性も捨てていない。

"同性愛者の日"に際し、カタルーニャ地方議会でゲイ議員が同性愛者の権利を要求

本日は"同性愛者の日"とされ、同性愛者が異性愛者と同等の権利を持てるよう各地で催しが開かれる。それに先立ち、カタルーニャ州議会ではミケル・イセタ議員が民法の改正によって同姓同士での結婚が可能になるよう要望書を提出した。
同議員は前回の地方選挙前に自分が同性愛者であることを明らかにし、今回は同性愛者団体、社会党議員らの支援を受けて上記の提案を行ったもの。この提案に対し、個人レベルでの賛同は多かったが、政党としての方針もあり、PP、CIUなどが反対票を投じ賛成票を上回ったため、先送りという結果になった。CIUでは同性愛者保護に大きな理解を示しているが、法律として承認するには時期尚早であるというコメントを出している。


6月27日(水)

国会討論初日、サパテロPSOE幹事長熱弁をふるう

昨日、国会でのスペイン国家の現状に関する討論にて、与党、野党各党からそれぞれの見解が述べられ、その中でもサパテロPSOE幹事長は45分にわたり、問題となっている各項目について熱弁をふるった。
同幹事長は、政府の移民政策の失敗、技術革新への投資不足、公共サービスの立ち遅れなどについて言及、劣悪な労働環境、男女間の機会均等の不徹底、社会福祉の貧困さ、芸術、文化推進のための予算不足などの点ではヨーロッパ全体から遅れをとっていると、将来に向けての懸念を見せた。さらにはアスナル首相に向けて、上院の改革、テクノロジー関連への予算配分増、家族支援、芸術プログラムの推進という4つの提案を示した。
アスナル首相はサパテロ幹事長の建設的な提案を軽く流し、あくまでもスペイン国家の発展について強調、ヨーロッパ平均以上の経済成長を遂げていることや雇用、社会保険加入者の増加を例に挙げた。そして2003年には税制改革として公約通り減税を実施することを繰り返し述べ、経済活動税の廃止、所得税の引き下げを確約した。

BSCH、支店網を統一、新たな方針で経営危機を乗りきる

昨日、2年半前に合併したBSCH(サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行)の理事会が開かれ、この席で2行の支店網を統一することを決定した。合併したにもかかわらず、依然としてサンタンデール銀行とセントラル・イスパノ銀行(BCH)の支店が独立しているため、銀行の名称をBSCHで統一、2003年までに支店の統廃合を行い現在の5518行(傘下のバネスト銀行も含む)を4000行まで削減する予定。
「プログラム・ドス」と名づけられた新たなプロジェクトは経営内部でくすぶる不協和音を廃し、新たな布陣で経営改革にのぞむ。2003年までに年間20%の利益増を図り、ライバル社であるBBVAの利益を上回る予定となっている。この新プランではこの2年間で1500億ペセタの経費削減を目指し、所有する不動産の売却による利益も見こまれている。さらには、高年齢者の早期退職を促し、人員の刷新を早めることも意図されている。

密入国者激増、1日で300人が拿捕される

昨今の気候の良さも手伝って、アフリカ大陸からスペインへ海を渡って密入国を試みようとする者たちが激増している。
昨日はジブラルタル海峡付近のアンダルシア沿岸では治安警察隊や海上保安局などによって9隻のボート、300人あまりが拿捕された。今年に入ってから最大の逮捕者数であるが、確認されただけでも昨日の夜中海上には20隻のボートが沿岸に接近していたといい、逮捕された人数以上の者たちが密入国に成功したと考えられる。
今年にはいってからの逮捕者数はすでに6000人に達する勢いで、そのうち4000人はジブラルタル海峡付近で発見されている。上陸した密入国者たちの世話をするタリファの赤十字では、最近はマフィアの輸送手段が格段に良くなってきていることがはっきりしていると話す。
マグレブ諸国からの密入国者は収容施設に保護された後、強制送還手続きをとられる。最近では、保護されると早速、家族に生きて上陸したことを報告するために携帯電話を取り出す者たちも多くなっている。


6月26日(火)

ラホイ内相、グローバリゼーション反対デモに対する警察の介入は正当であったとコメント

一昨日日曜日にバルセロナにおいて行われたグローバリゼーション反対デモの終了間際に起きた警察の介入に関して、デモを召集した350の機関から、この介入に行き過ぎがあったのではないかとして調査を開始するよう検察庁へ要望が出されている。
ラホイ内相は、大規模なデモは国際規模で計画されており、シアトルやイエーテボリなどでの衝突を見ても明らかなように十分対策を練り予防措置をとることが必要であったと述べ、警察がデモ隊の中に紛れ込んでいたという批判には、事件が起こる可能性のある場所に潜入させることはどこの国でも行っていることだ、と反論し、警察の介入は正当であったことを強調した。さらには、逮捕された者たちの中には恐喝や、麻薬の売買、不法占拠などの前科を持つ者もおり、押収した荷物の中には火炎瓶なども含まれていたと説明している。
また、中央政府ではこの事件が尾をひきバルセロナとセビージャで行われる予定であるヨーロッパサミットに影響がでないよう、国境封鎖の可能性についても検討している。

ガルソン判事、EKIN幹部を1500万ペセタの保釈金で釈放

昨年9月に逮捕され、マドリードのソト・デル・レアル刑務所に収監されていたEKIN幹部であるシャビエル・アレグリアが逮捕を命じたガルソン判事によって昨日釈放された。保釈金は1500万ペセタで逃亡のおそれがないとの判断から全国管区裁判所によって決定されたもの。
シャビエル・アレグリアはHBの元ギプスコア県レソ市議であり、ETAの政治部門であるといわれるKASが1998年に非合法化されたのに伴い新たに創設されたEKINを率い、また、雑誌EGINが発禁処分となったときにやはり1年ほど刑務所生活をおくっている。
アレグリアとともに逮捕されたナバーラ自治県ベリオサール市議ハイメ・イリバレンはいまだ釈放されてはいない。
ガルソン判事によれば、ETAが表立ったテロ行為に専念するかわり、EKINが社会への脅迫や革命税などと称する恐喝などを担当、一組織の表裏一体をなすものであるとされている。

イベリア航空理事会、経営陣の姿勢を全面支持

イベリア航空のパイロット組合(SEPLA)が賃上げを要求し、経営陣との話し合いが決裂し10日間のストライキを計画している中、イベリア航空理事会(英国航空、カハ・マドリード、BBVAなどの代表からなる)では経営陣の姿勢を全面的に支持する旨のコメントを発表した。理事会では経営陣がSEPLAに提示したオファーは気前が良く理にかなうものでありいかなる企業の経営基準にも合致するものであるとする。経営陣は消費者物価指数プラス0.5%の昇給、さらに利益の還元として1850人のパイロットに対し、10億ペセタを上限に報酬を分配するというオファーを提示していた。
理事会ではパイロットのストライキは経営に大きな打撃を与えることを指摘し、18000人の地上職員と経営陣との間で交わした、消費者物価指数の昇給プラス利益が見込まれた場合に0.5%を上乗せするとした協定を履行できないことになる、と通告。2001年度には地上職員には20億ペセタが分配される見通しとなっていた。
本日、SEPLAと経営陣は再度交渉の席につく。


6月25日(月)

グローバリゼーション反対デモと警官隊が衝突

昨日、バルセロナでグローバリゼーション、世界銀行反対を掲げるデモが召集され、約2万人が集まった。デモ自体は穏やかに行われていたのだが、デモ終了後にカタルーニャ広場に残っていた人々に対して、過激な一団が割り込み、いざこざが起きてしまった。警官隊はこの騒動に介入、催涙スプレーやゴムボールを投げつけるなどして対抗し、22人の逮捕者を出した。この騒動による負傷者は32人。
これに先立ち、デモの最中に、デモ隊の最後尾にいた覆面をした100人あまりのデモとは関係のない者たちがグラシア大通りの商店のウィンドーや銀行、公衆電話ボックスなどを破壊するなどの暴挙に出たが1000人以上の警官隊はこの行為へ介入せず傍観していた。
カタルーニャ社会党のペドレ議員は、「警官が一般人の格好をしてデモ隊にまぎれ、騒ぎを引き起こした」とコメントし、フェラン議員はこの件に関して国会でラホイ内相の説明を求める予定でいることを話した。

次期Cesid長官は在モロッコスペイン大使ホルヘ・デスカジャール氏

国家諜報機関であるCesidのハビエル・カルデロン長官の任期が切れたことに伴い、次期長官をホルヘ・デスカジャール氏に任命することが政府筋より明らかになった。同氏は現在、在モロッコスペイン大使であり、Cesid創設以降、初めて民間からの登用となる。
デスカジャール氏は20年にわたりマグレブ、中近東諸国の大使を歴任、Cesidの中で重きを占める地域に精通している。外交畑一筋で来たため外交政策には傑出したものがあるが、その反面国内テロ問題に関する経験が不足するという心配も指摘される。また、同氏のキャリアは前社会党フェリペ・ゴンサレス政権時にはじまっているため、PPであるアスナル首相との関係が希薄であるともいわれるが、同首相のモロッコ訪問時に良い印象を与えたことで順調に関係が築かれつつあるともいわれる。

市町村の役所は職員に報酬の支給や休暇の付与に甘い

会計監査裁判所が1998年に行った人口2万から5万人の市町村46の労働協約に関する調査報告書によると、18%の市町村の役所がその規定の解釈を緩くし、職員に過大な報酬や休暇を与えている、という。各市町村の職員は一般的公務員と同様の規範によって定められた範囲内で適切な報酬や休暇を与えられなければならない。しかし、現実としては、いろいろな理由を付した報酬の支給、休暇が横行している。例を挙げると週37.5時間の労働時間が定められているにもかかわらず、60%の役所は35時間勤務としており、70%以上の役所が通常の休暇より長い休暇を許可している。経済的には、結婚式、新婚旅行の一部費用負担や医薬品、食費、交通費の支給、中には住居購入のための費用を負担しているところもある。
公務員の規定としては病気や、労働災害、職業病などによって休職した場合は通常の給与の60%から70%の手当てが支給されることとなっているにもかかわらず、88%の市町村では100%支給している。


6月22日(金)

サン・セバスティアンで車爆弾爆発、負傷者はゼロ

昨日早朝、サン・セバスティアンのイガラ地区にあるギプスコアノ銀行の本社前でETAの仕掛けた車爆弾が爆発した。
爆発の起こる45分前に道路救護協会(DYA)と日刊紙「ガラ」に匿名の爆破予告電話が入ったため、警察によって緊急配備が敷かれた。爆発当時、同銀行の職員180人のうち20人が建物内で仕事をはじめていたが、建物裏手から避難、死者、負傷者はでなかった。建物や周囲に駐車してあった自動車などはガラスが割れるなどの被害がでたが、銀行の内部業務には支障が出ないもよう。
ギプスコアノ銀行では今年に入ってからすでに3ヶ所の支店が過激派民族主義者や若者によって破壊行為の対象になっている。昨年は計10件の被害が報告されており、また、副会長には火薬のつまった本が送りつけられている。ムグルサ副会長は「エル・ディアリオ・バスコ」紙の理事、ギプスコア県弁護士会の会長をも兼務している。
銀行の職員は「役所の建物や職員、政治家などはわれわれの払った税金で守られているが、我々自身は企業がテロの標的となっているにもかかわらず、全くの無防備な状態におかれている。いつ被害にあうかわからない」と怒りをあらわにしていた。

弁護士一家殺傷事件、犯人に内部事情を教えた人物がいる?

一昨日マドリードの郊外、ポスエロ・デ・アラルコンで起きた弁護士一家殺傷事件の犯人であるモルダビア人ピエトロ・アルカンに一家の内部事情を話した人物がいる可能性がでてきた。
ピエトロ・アルカンは犯行時以前に9回の逮捕歴をもつが、いずれも単独で犯行に及び、家宅侵入の際には窓、ドアなどをこじ開ける手口を用いていた。しかし、今回の犯行ではそのような形跡が全くなく、侵入経路や何を奪うかをあらかじめ知っていたことがうかがえる。このことから、警察では一家の内部事情に詳しい人物がアルカンに情報を流していたことも考えられる、と一家に出入りする人々の調査にあたっている。
この事件後、なぜ、不法滞在を6年も続け逮捕歴もある人間が自由に犯行を繰り返せたのかということが問われているが、この犯人にも2回国外退去命令が出されている。しかしながら、未決の犯罪事件にかかわっている場合にその退去命令の執行が中断される。アルカンの場合もそれに当てはまり、国外退去になることもなく、また、犯罪が重罪でなかったため刑務所に収監されることもなく、自由の身を享受することが可能であった。このように不法ながら国内に滞在するための法の抜け穴があるため、不法入国してきた外国人は強制送還を免れようと犯罪に走る傾向があるという。
この事件に関して、警察庁長官は「強盗以外の目的があったのかどうかについても調査中である」とし、「おうおうにして、文化や慣習の違いから来るのか東欧からやってきた人間の犯行はスペイン人に比べて相当凶悪であるといえる」とコメントしている。

道交法の改訂案に関してPPとPSOEの合意成立

中央政府では道交法の改訂に関して、PSOEとの話し合いを重ねてきたが、今回両者での合意が成立し、夏以降、国会での承認を得られるよう改訂案の仔細をつめていく予定としている。
今回の改訂案では、違反に関する罰則が厳しくなり、3段階のうち一番重い分類に属する違反の項目が増えたことが大きなポイントである。
たとえば、制限速度の150%を超えての走行(例:制限速度120キロを180キロで走行)、飲酒や麻薬を消費した状態での走行、進行方向と逆に走行、などで3ヶ月間の免許停止、5万〜20万ペセタの罰金で、2年間で3つの違反を犯すと免許剥奪となる。
政府では、違反に対する罰則を厳しくした経緯として、速度違反による交通事故が増加し、このような方法をとるしか道は残されていない旨のコメントを出している。また、減点方式のシステムを採用して、違反を点数化することも提案されているが、今回はこの分野に踏み込んだ検討はなされないとしている。


6月21日(木)

"エルクロス事件"に関連して最高裁検察はピケ外相を召喚することを決定

昨日、最高裁検察局刑事部では、"エルクロス事件"に関するバルガス検事の報告書を検討、この事件が最高裁の管轄であること、予審判事を任命すること、事件の参考人として現外相ジョセップ・ピケ氏を召喚することを承認した。
これは1991年にエルクロス社の子会社であったエルトイル社売却の際に起きた不正に、当時エルクロス社の戦略部長であったピケ外相がどのようにからんでいたかがクローズアップされてきているもの。
検察局では、ピケ外相が、エルクロス社の資産隠匿、エルトイル社売却代金183億ペセタの不法取得に一枚かんでいたという証拠が存在するとみる。さらにはエルトイル社売却手続き時に発生した99億7千万ペセタのコミッションを売却代金とともに財務担当者であったハビエル・デ・ラ・ロサと仲介にあたったルクセンブルグにある企業とで横領したとみられる件についても同外相がかかわっていると考えられている。
野党では早々にピケ外相の辞任を要求、PPでは1999年に党の内務規定に従い、ピケ外相の調査を行ったがその時点ですでにこの事案には関係していないという判断を下したため、野党の要求は受け入れられないとしている。
ピケ外相の最高裁への召喚に関しては来週カルデナル検事総長が全検事を召集して行う総会で決定を下すとするが、最終的な判断は同検事総長の手にゆだねられることとなる。

セビージャの2信用金庫の合併、PSOEに阻止される

大騒動に発展していたアンダルシア州自治政府を巻き込んでのセビージャにあるサン・フェルナンド信用金庫とエル・モンテ信用金庫の合併案に関して、昨日PSOEの圧力もあって、白紙状態に戻ってしまった。
現状の合併計画では自治州の法に抵触するとして自治政府から法にのっとった計画案を求められたにもかかわらず、両信用金庫の会長は合併を急いでいたため、それを無視。自治政府与党であるPSOEは、両会長が長きにわたりPSOEの党員であったことから、両名を党から除名するという制裁に走った。
これに対し、サン・フェルナンド信用金庫では理事総会を開催、賛成多数を持って合併へ持ちこむ構えを見せた。理事会で3分の2の賛成を得て可決する予定であったのだが、PSOEの圧力もあり、3分の1近くが棄権、反対票と会わせると3分の1を超えたため、否決されてしまった。このため、合併は事実上ないものとなり、この計画をおしすすめていた両金庫の会長は辞任をせざるを得ない状況となった。

窃盗歴のあるモルダビア人、弁護士一家を殺傷

昨日未明、マドリードの郊外にある住宅街の一軒家で弁護士一家4人が殺傷されるという事件が起きた。
事件は家に盗みに入った犯人が夫婦の部屋へ侵入、妻のアンヘラさんにむかって発砲、次に彼女をかばった弁護士である夫のアルトゥーロさんを襲撃し、所持していた刃渡り15センチの短刀で首をかききり絶命させ、その後、夫婦の娘2人の部屋へ侵入、17歳の姉の背中を刺し、さらには15歳の妹に性的暴行を働き、姉妹の所持金19000ペセタを奪ったというもの。その時点で警察が突入してきたため、犯人は逃亡、国家警察、地方警察との銃撃戦後一時間半ほどして逮捕された。
犯人は9回の窃盗、強盗による逮捕歴がある23歳のモルダビア人で、いずれの場合も犯罪が軽微であるとの理由により釈放となっていた。
犯行の起きた住宅街ではここ数ヶ月窃盗事件が頻発しており、付近住民が周囲の安全性について不安を抱いているさなかに起きた事件であった。付近の家では一軒一軒の地所が広く、物音が外に聞こえにくいこと、泥棒対策として家の中が見えないような高い鉄柵などを施しているなどの理由から、外からは邸内で何が起こっているのかを把握することは非常に困難である。今回も賊が侵入した物音に気づいたアンヘラさんが警察に通報しているが、最初に警察官が到着した時点では何の物音も聞こえてこなかったという。警察の介入がなかったことでアンヘラさんはさらに2回助けを求める電話を警察にしているが、そのときはすでに夫が死亡、自らも腹部に銃弾を受け重傷を負っていた。
警察では犯行の形跡から単独での犯行とみているが、逃亡を助ける人物が外で待っていた可能性もあるとしている。


6月20日(水)

新少年法の適用が原因で未成年殺人者が釈放される

先月28日、マドリードのアルーチェ地区で少年3人組によってエクアドル人男性が殺害された事件があったが、その犯人2人が先週水曜日、木曜日に逮捕された。しかしながら、犯人たちが16歳、17歳と未成年であったために今年1月に施行された新少年法が適用され、それを遵守したため未成年裁判所では釈放を言い渡す羽目になってしまった。
未成年者が逮捕された場合には専門家、精神科医、ソーシャルワーカーなどのチームが対応、未成年者の品行や家庭環境、社会復帰の可能性などを検討する。新少年法では裁判所での審判や未成年者の施設入所を決定する場合、この専門家チームの報告書の添付を義務付けている。未成年者の拘留期間が72時間までと定められているため、もし、処分に必要であるとされる書類がそろわない場合は"少年の利益"のために、釈放することとなる。この専門家チームは時間外労働をせず、土曜日の午後、日曜日の担当者はいない。
今回のケースは拘留期限が週末と重なったため時間内に報告書を提出することができなという事態に陥り、上記のようなこととなってしまった。
新少年法が施行される以前から、この問題点が指摘されていたが、法務省では解決措置を講じないまま新法導入に踏み切った。解決策として当番制で週末も対応することを要望していたが、そのための予算が不足しているとして、認められていなかった。

カタルーニャの山火事、新たに3件

一昨日カタルーニャのカダケスで起こった大規模な山火事の省消火活動が終了した矢先、さらに3件の山火事が発生した。
一ヶ所はカダケスから数キロ離れたレスカラで、600人の住人が避難し、500ヘクタールの森林が焼き払われた。火事が発生してから数時間後に付近の村で住民の通報により放火犯が逮捕されたが、この犯人と2ヶ所の火事との関連についてカタルーニャ地方警察では裏づけ捜査を急いでいる。
さらに、バルセロナ郊外バダローナとモンジュイックでも同様の火事が発生し、住民に避難勧告が出たが、大火事になる以前に鎮火された。
専門家では冬の間の降雨量が多かったために、樹木が普段よりも大きく育った上に、最近は乾燥していたために火のまわりが速くなって大規模な火災となってしまったのだという見方をしている。


6月19日(火)

イベリア航空パイロットのストライキ回避できず

昨日イベリア航空の経営側とそのパイロットの労働組合SEPLAとの話し合いが決裂、予定していたとおり、本日からストライキが決行される。
経営側は先週金曜日に、SEPLAに対し、3月に行った消極的ストライキに派生して起きた損害の支払いを要求したが、一方のSEPLAは、会社がストライキに参加したパイロット達の機長への昇進を理由もなく却下するという報復行動をとり反労組の立場をとった、として告訴している。
経営者側は、毎年の昇給率を消費者物価指数プラス0.5%、3年目からは収益に応じての報酬を提示しているが、パイロット側では消費者物価指数プラス3%を要求しており、話し合いは平行線をたどっている。
中央政府では当初傍観の姿勢をとっていたが、調停役として介入する可能性も示唆している。
このストライキは観光業界に大きな影響を与えており、夏のバケーションシーズンを控え、旅行業やホテル業では怒りを隠さない。スペイン国内だけでなく外国へ与える損害も大きくなると批判は大きい。

スペイン人移民の子供たち、職業軍人としての採用で里帰り

先日、スペイン防衛省では職業軍人へのなり手が減少していること、今年からミリ(徴兵制度)が廃止されたことで、南米諸国においてひろく職業軍人の採用を行うことを決定したが、この措置に伴い昨日その第1陣がマドリード・バラハス空港に降り立った。
今回はアルゼンチン、ウルグアイ在住でスペイン人移民の子孫である18歳から27歳の72人。この中には女性11人も含まれている。
防衛省では在スペイン大使館を通して、34000人のスペイン人移民の子孫に募集要綱を郵送、2000人が説明会に参加した。採用試験では600人が合格、そのうちの200人あまりがスペイン行きの航空券を購入した。防衛省では月給500ドル、宿泊場所、学業機会の付与などを提供し、2ヶ月を過ぎた時点で正式契約を結ぶこととなる。
採用された青年たちは、本国でどれだけ勉強しても、働いても将来の生活は暗いが新天地では新たな希望が開けるのではないか、と期待している。

カダケスで大規模な山火事、1200ヘクタールを焼く

昨日正午前、カタルーニャ地方ジローナ県のカダケスで大規模な山火事が発生した。火事が発生した地点はカダケスの市内から1.5キロメートルのところであったが、おりからの強風により被害地域は拡大、付近住民250人が避難することとなった。火事は、昨年8月にも大規模な山火事が発生したクレウス自然公園にせまる勢いであった。地方道613号線も火事の影響をうけ閉鎖されたが消防隊による消火活動によりほぼ鎮火したため午後6時ごろ開通。
州政府内務担当官は火事の原因について、車からのたばこのポイ捨てなどの人為的なものである可能性が高いという見方を示している。


6月18日(月)

イベリア航空パイロットのストライキ今日からはじまる

イベリア航空のパイロット組合SEPLAによるストライキは明日から開始予定となっているが、それに先立ちニューヨーク、メキシコ、ブエノスアイレスなどへの長距離線は本日からストライキに入り、計6本がすでに運行キャンセルとなったことが昨日発表された。
SEPLAとイベリア航空ではストライキ回避に向けて本日も早朝から話し合いに入るが両者の言い分には大きな開きがあり早期解決は難しいもよう。
SEPLAでは7月の毎週火曜日、8月の毎週月曜日と31日の計10日をストライキ決行日としているが、最小限のサービスは提供すると約束している。明日のストライキに関しては、政府勧業省の定めた国内便については500キロを超え、振替輸送を行った場合に5時間以上かかる行程に関して50%の運行を保証、他の航空会社が路線を持っていない国内区間に関しては往復を、カナリアス、バレアレス諸島行きは100%の運行を予定している。国際線に関しては運行時間が6時間未満の場合の路線は往復を、それ以上の場合も同様の措置をとるとしている。

トレビーニョにおけるバスク語教育の祭典にイバレチェ氏が出席したことで飛び地問題再燃

昨日行われたバスク州アラバ県のバスク語教育の祭典がカスティージャ・イ・レオン州ブルゴス県の飛び地でも同時に開催され、この祝典に多くのアラバ県民とともにバスク州暫定首長であるイバレチェ氏が出席したことから、この地の所属についての問題が再燃してきている。
トレビーニョはアラバ県内にありながら政治行政の分類ではブルゴス県の所属となっている。しかしながら、居住者は歴史的地理的にもバスクに所属しているという意識が高い。県都であるブルゴスよりもアラバの県都であるビトリアの方が距離的にも格段に近いため多くの人々がビトリアに住民登録をしているという事実もある。
イバレチェ氏はトレビーニョのラ・プエブラ・デ・アルガンソン町に赴き、住民のアラバ県への編入を求める声が高いことを指摘し、トレビーニョの人々の意思を尊重するよう求めた。しかしながら、政治的要求は一切ないことを強調したのち、「トレビーニョの人々は自らがありたいと願うトレビーニョ人であれ。」と演説した。そして、カスティージャ・イ・レオン州政府には、この地で話されてきているバスク語を擁護してくれるよう求めた。
カスティージャ・イ・レオン州政府はイバレチェ氏の言動に対して、政治的過ちを犯した、と厳しく非難するとともに、われわれの州、州民への配慮に欠け、双方の州の関係をこじらせるもの、とコメント。PPやバスクPSOEも同様に同首長の行動を批判した。

豚ペストの感染源は東ヨーロッパか?

カタルーニャ地方で発生した豚ペストはバレンシア地方へも広がり、現在までにカステジョンの牧場を含め計4ヶ所で蔓延していることが明らかになっている。
この豚ペストが最初に発生した場所の特定を急いでいるが、東ヨーロッパ、さらに範囲をせばめるとルーマニアである可能性が出てきた。その理由として、豚ペストが発生した場所は地理的にみてお互いに伝染する可能性がない、子豚を仕入れてきた先がカタルーニャとは全く離れた地域である、などで、さらにはルーマニアから来た馬が感染していたことが判明しているからである。
往々にして東ヨーロッパの場合衛生管理がしっかりしておらず、偽造した証明書がまかり通っており、安価で大量購入する大手流通業者はこの地域から買いつけてくることが多いという。
また、もうひとつの可能性としてはモロッコからポルトガルを経由して輸入されてきた豚が感染源ともいわれる。
小規模農業牧畜連合では政府に対し、この伝染病が全国に蔓延することを防ぐ早急な手立てを求めて動き出している。


6月15日(金)

警察の一斉捜査、ETAのメンバー7人逮捕

昨日未明、ギプスコア、アラバにおける警察の一斉捜査によって、ETAのメンバー7人が逮捕された。これは全国管区裁判所ルイス・ポランコ判事の命により行われたもの。逮捕された7人の中には先日ガルソン判事によって非合法化された「EKIN」のメンバー2人、プロ・アムニスティの弁護士1人が含まれている。
8ヶ所の家宅捜査ではグルノーブルで盗まれた35キロのダイナマイト、発火、時限装置やおびただしい量の書類が発見され、さらにはマドリード、サンタンデール、ログローニョの地図も押収された。地図上には先日起きたログローニョでの車爆弾爆破事件の場所に印がつけてあった。
内務省ではこれらのETA移動部隊のメンバーが、ログローニョで起きたテロ行為に加わっていたと確信しているが、ガンディア、マドリードでの爆破事件については犯行に参加していたかどうかは不明としている。
アスナル首相は私見と断りながらも「ETAに見えるものはETA、裁判官がそれと認める十分な証拠がないとみなしてもETAであることは疑いの余地がない」とコメントした。

カタルーニャ地方で豚ペスト発生、1万頭がすでに処分される

カタルーニャ自治政府はカタルーニャ地方ジェイダ県のソセス牧場から豚ペストが発生したことを公式発表した。数日前から心配されていたことであるが、昨日マドリードのバルデオルモス分析センターによって同牧場の豚2200頭の感染が確認されたことを受けて、明らかにしたもの。
すでに1万頭の豚が処分されており、さらに周辺牧場で感染の可能性がある豚が処分されていく予定。また、感染源から半径3キロ以内の豚、豚の卵子、精子、胚の移動を禁止、10キロ以内を厳重警戒地域として指定している。半径10キロ以内の地域にはアラゴン州も含まれるため同州ではウエスカ県の13牧場の検査を開始した。
自治政府では「この豚ペストは非常に感染力が強いが、人には感染しない」と無駄に人々の心配をあおらないよう強調している。
一方、EUでは今月30日までカタルーニャ地方生産の豚の輸入禁止措置をとることを決定した。
カタルーニャでは1997年にも豚ペストが発生し、100万頭を処分、200億ペセタという多大な損害を受けた経験を持っているため、地方政府では早速、損害を蒙っている関連業界への保障問題に関しての話し合いを始めている。また、その地方の市町村役場、関連団体などに問題の早期解決のため農業省への協力を呼びかけている。

タラゴナの家族、89歳のおばあさんを養子に

カタルーニャ州のタラゴナで89歳の女性が養子になる、という珍しいできごとが報告された。
これは22年間未亡人であったフアナ・アギレラさんが彼女の担当ヘルパーであったマヌエラ・ナバーロさん一家に養子としてひきとられるというもの。フアナさんには子供や近い親戚がおらず、ご主人が亡くなったあと一人暮しを続けていた。マヌエラさんはフアナさんのもとに5年以上隔日で通っており、1時間半のお手伝いをしていたが、最近になって老人ホームへの入居の話しが出ていた。
しかし、マヌエラさんの「心配しなくてもいい、うちにくれば?」の冗談のような一言でフアナさんの行き先がマヌエラさん一家の新築の家に変わってしまった。
マヌエラさんは当初家族の反対があるのでは、と心配したそうだが、ご主人、成人した子供達も賛成、思ったほどの大変な手続きもなく事務処理が運びとても嬉しい、と喜びを隠せない。
フアナさんは頭もしっかりしており、毎日レース編みにいそしみ雑誌などを読んで過ごしているという。


6月14日(木)

5月もインフレ上昇、年間4.2%に

昨日、国家統計局(INE)によって月間、年間のインフレ上昇率が発表された。
5月の月間上昇率は0.4%でフランスの0.7%、ドイツの0.5%に続く。年間では4.2%となり、中央政府の目指す2%にはほど遠い状態となっている。
インフレの原因となっているのは食料品と燃料の値上がりである。中央政府では5月中旬に家庭用と商業用のガス料金の緊急値下げを行ったが、全体からみるとあまり値下げ効果は現れていない。石油価格の高騰はガソリンの料金にも跳ね返っており、4月期と比較すると2.5%、年間で見ると5.9%の値上がりとなっている。生鮮食料品は月間0.6%の値上がりが見られ、昨年の同時期からすると10.6%も上昇していることが明らかになっている。
先日、厚生省ビジャロボス大臣がたばこを消費者物価指数の計算項目から除外するという提案を行ったばかりであるが、INEの計算によれば、たばこの値上がりは上昇率に反映されておらず、除外して計算された数値となんら変わりはなかったという。

スペインの"気前のいい"年金システムは財政破綻を招く?

経済協力推進機構(OCDE)は、スペインの年金システムの現状について調査報告を提出したが、スペインは年金を支給するにあたり大変"気前がいい"ということが判明、近い将来の財政破綻を防ぐためには現在から改革を薦めていく必要があることを説いている。
出生率の低下、平均寿命の延びは年金が国家財政を圧迫することを意味し、気づいた時には手遅れとなっている可能性が高いという。
OCDEでは現システムを以下のように改正していくことを薦めている。年金額の計算基礎数値を退職前8年間の給与から割り出すのではなく15年間とする。100%の年金受給資格を勤続35年から40年とする。現行では退職前給与と年金額が同等であるが、それを80%程度に押さえる。定年退職年齢65歳の引き上げ。さらには、強制私的年金の導入なども提案している。
経済省政務次官は「年金の払い過ぎということはなく、国家の財政状態と社会的希求とが合致した状態にある」とOCDEの報告を否定している。
また、労働団体でも特に私的年金制度の導入はばかげた措置である、と非難している。

若者の10人に4人が年に2回は泥酔状態となったことがある

麻薬に関する国家プランの研究によれば、24歳までの若者の10人に4人までが年に2回以上泥酔状態に陥ったことがある、という。この研究は1999年に2万人を対象に聞き取り調査を行った結果であり、男性の46%、女性の33%が上記のような状態となったことがあると答えている。また、急激なアルコールの摂取により急性アルコール中毒になるのは20歳から35歳までの人々に多い。
全ての年代で見てみると年に何回か泥酔状態になるまで飲酒することがあるという人々は14.7%に達する。しかしながら、毎日アルコールを摂取する人々の数は2年前より格段に減少しており、30万人から11万人となっている。1日のアルコールの摂取量も減少傾向にあり、身体的に悪影響がないとされるビールをグラスに8杯以上摂取する人々の割合が97年には男性12%、女性6%であったが、99年にはそれぞれ6%、3%となっている。
最近の傾向として、15歳から19歳までの女性の飲酒が増加していることが特徴的であり95年には38%であったのに比べ、99年には51%に達していることも報告されている。


6月13日(水)

全国管区裁判所、ペペ・レイの釈放を決定

本日午前中にも全国管区裁判所は1月にバルタサール・ガルソン判事の命により逮捕された、雑誌「アルディ・ベルツァ」の編集長ペペ・レイを釈放する。
ペペ・レイは同誌においてETAにテロの標的とすべき人物を指示したとして逮捕されたが、被告弁護人は被告の健康上の理由から釈放を求める申し立てをしていた。また、被告がETAに協力もしくは所属していたという明白な証拠は存在しないと訴えていた。
全国管区裁判所第4刑事法廷裁判官3人のうち2人は、先日同様の理由により逮捕、拘置されていたプロ・アムニスティの弁護士チェマ・マタンサスと「エキン」の幹部7人を釈放した例をひき、ペペ・レイとETAが直接つながっているということを示す証拠はないとし、釈放を主張、もう1人の裁判官は拘置所収監中に心臓の欠陥により2度の入院生活を送ったことを理由に釈放に賛成した。

ブッシュ米大統領訪西、スペインは合衆国の最も信頼がおける国のひとつであると評価

マドリードに滞在中のブッシュ大統領は昨日、アスナル首相と会食をもち両国の友好関係を確認するに至った。ブッシュ大統領は訪西後、問題となっている国家防衛ミサイル計画についてNATO及びEUと議論を闘わせることになるが、それに先立ちアスナル首相は同計画に対する支持を表明した。同首相は自由、民主主義、人権擁護のために相互に協力し合っていくことを宣言、死刑問題や環境問題など両国の姿勢の違いについては触れなかった。
一方ブッシュ大統領はスペインを合衆国にとって最も信頼がおける国のひとつであると評価し、「スペインというわが国の文化に大きな影響を与えた国に滞在できることを大変光栄に思う」とスペイン語で挨拶した。さらにはスペインのテロリスト問題についてテロ撲滅のために必要な協力を惜しまないと約束した。

父親の育児休暇取得、24%増

スペインにおける父親の育児休暇取得数が今年に入ってから24%増加している。
現在のスペインの法律では父親への産休は認められていないが、母親の産休16週間のうち後10週間に関しては母親の代わりに育児休暇を取得することが可能になっている。2000年に父親の育児休暇取得数は1875件で月平均156件。2001年にはいってからは月平均205人と大きく増えていることが労働・行政省の報告書から明らかになっている。
ヨーロッパ諸国ではオーストリア、フィンランド、ドイツ、デンマーク、ノルウェーなどが男女に同等の産休育休を認めており、お隣のフランスでも父親の産休を導入する過程にある。
スペインの労働団体CCOOやUGTでは、中央政府には父親に独自の産休を与えるという考えは毛頭なく、これ以上政府の財政負担を増やしたくないと考えているのであると批判している。
(スペインでは産休期間中の給与は企業に代わって社会保険によって保証される)


6月12日(火)

木製小型ボートでの密入国者147人検挙、1遺体収容

昨日未明タリファ(カディス)の海岸で、木製小型ボートによる密入国を試みた117人のアフリカ系密入国者が市民警備隊によって検挙され、溺死したマグレブの男性の1遺体が収容された。またフエルテベントゥーラでも2隻の小型ボートで入国を試みた30人の密入国者が検挙されている。東風が凪ぎ船外機付の木製小型ボートでの航海に適した海洋状況になったことから、先週末から昨日にかけてジブラルタル海峡で検挙された密入国者の数は250名にも上っている。


全国管区裁判所の検察、テロ行為の肯定として地方紙ガラを告訴

全国管区裁判所の検察は、地方紙ガラが行ったETA活動家とのインタビューに関し、テロ威嚇罪とテロ行為正当化の疑いで同紙を告訴した。バルタサル・ガルソン判事の指示の元に行われたこの訴えは、同インタビューが掲載された6月7日付けの新聞の回収を求めると同時に、この出版の責任者として同紙の社長メルチェ・アイスプルア女史とバスク語でこのインタビューを掲載したエウスカルデュノン・エグンカリア紙の社長マルチェロ・オタメンディ氏の名を挙げている。


集中治療室の患者の半数が菌類に汚染

1999年から2000年にかけてスペイン全土の73病院1765人を対象に行った、重病入院患者における菌類汚染の伝染病研究(EPCAN)の調査によると、集中治療室で7日以上治療を受けた患者の半数以上が菌類による高度の汚染を受けていることがわかった。問題の菌は尿や気管支の分泌液、消化器官にもっとも頻繁に含まれる細菌類であり、同プロジェクトは菌状腫感染の危険性を指摘しているが、集中治療室の医師の中では「腸内菌の一種であり健常者には問題とはならない」との声も上がっている。


6月11日(月)

30キロの自動車爆弾の爆発、軽傷者2人

昨日午前6時半、スペイン中北部ラ・リオハ県の県都ログローニョでETAによって仕掛けられた自動車爆弾が爆破した。爆破が起こったのはログローニョの旧市街中心部で、昨日は県の記念日にあたっていた。今回のテロ行為に使われた盗難車には25キロから40キロのダイナマイトが装備されていたと推定される。ETAを名乗る4件の爆破予告電話では、爆発物の設置は告げられていたものの、爆発が起きた地点はETAの通報場所より300メートル北西であった。事前に危険地域を包囲していた警察の警備により、人身被害は2人の軽傷者に留まったが、爆発車の半径150メートルでは商店、住居、駐車中の自動車等に被害が出、昨夜の時点ですでに400人が損害の保証を求めている。


反汚職検事局、職務遂行の妨げ、として検察庁を批判

スペインのヒメネス・ビジャレッホ氏率いる反汚職検事局は、EU諸国の反汚職(不正行為)政策を評価するためにスペインを訪問中のヨーロッパ理事会の専門委員会に対し、スペイン検察庁長官、へスス・カルデナル氏の政策を厳しく批判した。反汚職検事局はフェリペ・ゴンサレス前首相の元に組織された司法機関であり、ここ数ヶ月検察庁との対立が深刻化している。検察庁長官へスス・カルデナル氏の非協力的態度に対する批判は、ヒメネス・ビジャレッホ氏により法務省とEU専門機関に伝えられた。ビジャレッホ氏は、すでに先週土曜日マラガにおいて、今日ストラスブルグで開催されるヨーロッパ理事会への自身の参加は、国家拒否権の行使により見送られることを明らかにしていた。これについて、反汚職検事局筋は、同機関のスペイン政府に対する批判が原因であったとの見解を示した。


パートタイマー、労働人口のわずか8パーセント

現人口調査(EPA)の統計によると、今年上3半期のパートタイム従事者は総労働人口の8.14パーセント、119万人にしか満たず、その78パーセントが女性であった。この数値はEU諸国平均の18パーセントを大きく下回り、EU諸国の中で最下位を占めている。この背景としては、生産上の必要性をカバーする方策としてパートタイマーの雇用よりも臨時契約や正社員の労働時間の延長を優先する企業側の方針が挙げられる。1998年末のパートタイム契約の改変により、パートタイムの時間は正社員の労働時間の77パーセント以下と限定され、労働時間の配分の明記が課せられている。


6月8日(金)

在留外国人局、新違法移民特別措置に関する内務省の発言の対応に苦慮

内務省が昨日発表した新違法移民特別措置に関して殺到した問い合わせを受け、マドリッド在留外国人局の責任者は、「当面、2001年2月23日以前に入国した外国人に対する移民特別措置に関する情報や申請書は提供されない」との張り紙を掲示した。この処置は、昨日内務省が発表した新違法移民特別措置の問い合わせに駆けつけた人々に向けて、朝9時在留外国人局が開くと同時に掲示された。進行中の審査への影響や新たな申請方法の問い合わせに関し、在留外国人局側は、「まずこの措置法の閣議における承認が必要」と応対している。


イベリアのパイロット7・8月にストライキを検討

イベリア労働団体筋は、現在行なわれている経営側との賃金交渉において合意に達しない場合、7・8月の毎週月・木または月・金にパイロットによるストライキが行なわれる可能性を示唆した。労働団体側は、国が示す消費物価指数に見合う2001・02年における賃金アップと1995年よりイベリアが実施している賃金に関する合意の撤回を要求している。パイロット労働組合は経営側との「交渉は難航している」と認めつつも、このストライキに関する確言は避けている。


PSOE、研究開発費用が国内総生産の0.8%にも満たないと算出

PSOEの出した計算によると、スペイン国内で、研究、開発の為に充てられた予算が国内総生産の0.8%にも達しておらず、EU諸国の中でも最下位に位置している。昨日、PSOE議員アルフレド・ペレス・ルバルカバ氏は、この数値を例にあげ、絶望の仕草をもって「科学、技術省は、予算を有効利用する事無く、ただ節約に終わった」とコメントした。


6月7日(木)

内務省、1月23日以前に入国した移民に対し滞在を合法化する意向

スペイン国内より追放されるのを防ぐために、全ての衣類を脱ぎ捨てて全裸となり移民収容センターの鉄格子にしがみつくものや、自らの身体に怪我を負わせる事により警察の手を逃れ病院へ運ばれる事を選ぶ移民もいる。 そう言った中で政府は、スペインにすでに住んでいる違法移民に対して、1月23日以前に入国した事が証明出来、また、雇用のオファー、或いは同処置を受けるための人道的な理由が認められるものに限り、滞在許可と労働許可証を与える意向がある事を明らかにした。「今回の違法移民特別措置が終われば、今後もう、同様の措置は行なわれない」とマリアーノ・ラホイ内務大臣は付け加えた。


片親による子供の誘拐に、懲役4年の実刑

片親がその実子を誘拐した場合、最高で懲役4年の実刑もあり得る事、また国際指名手配の対象となる事、これらの事件を未然に防ぐために、子供の住所変更には必ず両親の同意が必要である事、また、パスポートを一時的に回収する事により子供が外国へ出られないようにする事、などを含む法改正が、夏までに行なわれる予定。離婚男性、離婚女性による諸団体は、この改正案を「満足のいくものである」と受け止めている。


サグラダ・ファミリア教会の建築工事、20年以内に終わらせたい

日本人に人気の高い、バルセロナにあるサグラダ・ファミリア教会は、その建築はまだ100年単位で続くだろうと言われ、その脈々と引き継がれる精神に感動を見出した人も多かった。が、今になってその建築は20年以内に終わらせたいと言う意思を、同教会建設委員会、会長のジョアン・ジョルディ・ベルゴス氏は示した。これに対し、建築監督を努めるジョルディ・ボネ氏は、最初の石が置かれてから125周年にあたる2007年3月19日までに、内部の工事を終え、教会としての機能を持たせる事は可能だが20年以内の完工には無理があるとコメントしている。


6月6日(水)

スペイン厚相の消費者物価指数計算時にたばこを除外するという提案がEUに好意的に受け止められる

スペインのビジャロボス厚相が行っていた消費者物価指数計算時(IPC)にたばこの項目を除外するという提案はEU各国の厚相に好意的に受け止められている。特にアイルランドでは、タバコの値上げによってIPCが0.8%も跳ね上がった経験をもつため、この提案に諸手を挙げて賛成している。
3月に示されたEU委員会によるたばこ税値上げの提案は、たばこの値上がり、しいてはIPCの上昇をもたらすため、たばこの値段の安い国では受け入れることに難色を示す。しかし、このたばこ項目を除外することでその問題点を回避することができ、さらにはたばこの値上がりが喫煙者の減少に一役買うのではないかという期待も出てくる。喫煙者の60%が13歳、90%が18歳までに喫煙習慣を持つようになるというデータから、たばこの値段が高ければ喫煙開始年齢を遅らせる効果もあるのではないかと考えられている。
ビジャロボス厚相は、「タバコが常習性を持つ麻薬のようなものであるならば、日々買い物かごにいれている物品のひとつとに数えるべきではない」と説明しているが、経済省のラト大臣はこの提案に一線を画し、この問題に干渉することを避けた。
一方、EU委員会による、たばこの宣伝を公共の場やラジオ、インターネットで流すことを禁止するという提案に各国厚相は賛同の意を示している。

内務省、外国人法の柔軟な運用に方針変更

内務省は、外国人法の規定を緩め柔軟に運用していくよう、方針を変更している。また、PSOE、CIU、IUから提出されていた修正草案を積極的にとり入れていくことを決定している。
草案で取り上げられたのは、外国人の合法滞在化、家族の呼び寄せ条件についてで、現在まで要求されていた証明書類の一部もしくは全てを提出する必要がなくなるというもの。
合法化の基準としては、スペイン国内に3年以上滞在し、スペインの労働市場の重要な担い手となっている外国人、という擁護団体の提案を検討する方向でおり、家族の呼び寄せ条件に"適切な住環境"、"十分な収入"を持つことという項目に具体性を持たせること、などが盛り込まれている。
また、毎年の労働許可付与割り当て枠の決定には自治体や労働団体の意見も念頭に入れる、難民申請者を寛大な措置を講じるなどといった提案もとり入れられた。


6月5日(火)

厚生省、労働事業所内禁煙の法制化年内をめどに

厚生省は本年中に公的私的企業を問わず労働事業所内禁煙の法制化に向け、労働省、行政省、各地方自治体との意見のすりあわせを行っていく予定であることを明らかにした。
1999年から施行されている現行政令では病院、学校、公共窓口、公共交通機関などでは禁煙とされているが、これを全ての事業所に広げ、企業には喫煙者専用の喫煙場所を提供させるという方向に持っていきたいという意向を持つ。しかし、喫煙場所を確保することが大企業にとっては大したことではなくても小規模な企業にとっては容易に解決できる問題ではないため、各企業にその解決法をまかせることができないかどうかを検討していく。
厚生省の方針発表に対して、各関係団体では事前の打診がなかったと厚生省の態度に関して非難が集中しており、喫煙者擁護団体では、このような形での事業所内での禁煙の法制化は成人人口の3分の1が喫煙者であるこの国で重大な差別を引き起こす、と鼻息が荒い。
喫煙天国のスペインにおいて、喫煙者の権利よりも非喫煙者の権利を優先する、という世界の趨勢にあわせた動きが見え始めてきた。

バスク地方政府、ベルガラ市での過激派集団の襲撃はETAによる犯行と断定

バスク地方政府と中央政府内務省では週末に起きたバスク州ギプスコア県ベルガラ市での襲撃事件はETAによるものと断定した。50人にも及ぶ覆面をかぶった若者達の完璧なまでに組織化された行動はETA首脳部によって指導統率されているものと考えて不思議はないという。
90年代初頭にETAに付属する組織として、街頭での破壊行動を繰り返す若者たちの集団が創設されたが、そのうちにその中から警察の手から逃れた者たちがETAのメンバー、幹部への道を進んでいる。実際にこの組織がETAメンバーの養成機関のみならず、ETAのテロ活動の重要な一部を担っていることも明白であることからETAの命令系統に所属するものと見て間違いないところである、と地方政府では判断を下している。
ベルガラ市の事件では2時間に及んだにもかかわらず、1人の逮捕者もなかったことで、地方警察の対応のまずさがあったのではないか、と野党から批判が出ており、内務局長が地方議会でこの件についての説明を求められている。
中央政府ラホイ内相は、地方政府に対し、「今ごろになってETAと街頭での破壊活動をしている集団が同じだと気づくとは嘆かわしいこと、こんなことは何年も前から明らかであったろうに。」と皮肉まじりにコメントを出している。

5月の失業者数減少

国家雇用センター(INEM)に登録された5月期の失業者数は4月期より56984人減少し、1478133人となった。これにより失業率は8.76%で1979年12月以来の低い数値となった。
男女別に見た失業率は、男性が5.72%、女性が13.26%で、両者とも失業率が低下したとはいえ、依然として女性の失業率は高い。
地域別では、カナリアス諸島を除き、どこの州も軒並み失業率が減少、業種別では建設業(4.68%)、サービス業(3.95%)の失業率が低い。
また、雇用契約数は1235272人、そのうちの正社員契約者は142992人で全体の11.58%に達している。正社員契約数は4月期と比べ、37.4%、昨年同期と比べ33.32%の伸びをみせている。


6月4日(月)

50人あまりの過激派によって夏祭り台無し

日曜日の夜中、バスク州のベルガラ市で夏祭りの真っ最中に、突然50人あまりの覆面をした若者達が火炎瓶や爆発物などを持って襲撃、駆けつけた地方警官隊と衝突した。付近の商店のウィンドーや銀行などATMなどを焼き物的被害は大きいが、けが人などは出ていない。
これらの若者達はETAのシンパである過激派グループとみられ、完璧に組織されていたという。警官隊の進入を阻むためにバリケードを燃やし、爆発物を撒き散らすなどの攻撃をしかけ、警官隊もゴムボールなどを投げて応酬したが、結局30分後、過激派集団は全て逃亡、逮捕者は出なかった。
この事態に関して、ベルガラ市では、これらの集団は地元の人間ではなく外から組織されてきたものであるとし、グループが襲撃のポイントや逃亡方向などをよく心得ていたことから地元の人間が情報提供をした可能性は十分あるとコメントしている。
地元住民や商店主は祭りが台無しにされた事以外に、警察のテロ専従班が現場にいながら1人も犯人を逮捕できていないことに怒りを表している。

今年に入っての社会保険新規加入者の4人に1人は外国人

ここ数年、社会保険に加入する外国人の数が急激に伸びている。
現在スペインの社会保険システムに加入している人々の総数は約1550万人、そのうち外国人は約52万5千人を占める。新規加入者の外国人の占める割合が、99年は13.47%、2000年は18.19%、今年の4月末まででは22.87%となっている。人数で見ると、今年は15万6千人まで達するのではないかとみられている。
この外国人加入者が増えたことで全体の加入者も増加しており、これにより社会保険システムが潤い3年続きで黒字となっている。将来に向けての社会保障の運営に大きく貢献していることとなる。
労働団体では、定期的に外国人新規加入者についての情報を公開するよう求めており、数ヶ月後には月ごとのデータを発表できることになるだろう、と社会保険庁では話している。
現在の労働市場では、農業従事者、家政婦、建設工事人の外国人割合が増えており、2年半前には社会保険加入者が400人しかいなかった農業従事者が63000人と激増、家政婦の3人に1人も南米またはフィリピンからの移民でまかなわれている。

ドメク兄弟の愛馬が襲われて死亡

土曜日の夜11時ごろ、トレド県のオカーニャにて、騎馬闘牛用の馬11頭が何者かに襲撃されるという事件が起きた。馬は騎馬闘牛士ドメク兄弟の所有で、数時間前にマドリードのベンタス闘牛場で興行をおわらせたばかりであった。事件は、馬がマドリードからヘレスに向けて専用のトラックで運ばれている途中で、トラックの運転手や関係者が食事をとっているときに狙われており、大きな爆発音が2度した直後に炎上したという。治安警察隊の調べによるとガソリンの痕跡があることから火炎瓶を投げ込まれたのではないかとみられている。
トラックの炎上を見て関係者がすぐさま救出作業を行ったが、馬1頭が焼け死に3頭が重態、残りは命に別状のない程度のやけどを負った。しかしながら、2度と闘牛用には使えないであろう、と関係者は証言している。


6月1日(金)

大蔵省、特別税に関する権限を各自治州に委ねる用意があることを発表

昨日、大蔵省モントロ大臣は新地方財政システムのひとつとしてタバコやアルコール、燃料などにかかっている特別税の徴収権限、税率決定権などを各自治州に移譲する用意があることを明らかにした。
モントロ大臣は、この新システムに関して7月をめどにPSOEとの3つ目の協定合意の実現に向けて詳細を詰めていく予定にしている。10月に国会に提出される予算案にこの新システムを反映させたいという意向を持つ。
すでに同大臣は、各自治州が独自の税務システムを持つことがEUの規範に抵触しないかどうかについて、EU本部にお伺いをたてており、さらには、このシステムが自治州間の不均衡を生まないよう、調整を図る必要性を強調している。現在の財政システムでは中央で徴収した税金を各自治州の経済状態に合わせ配分しているため、一般的に"貧しい"といわれる地域が恩恵を受けていることになる。新システムでは、自治州によって税率の変更が可能になるため、物品の価格も州によって変わってくる可能性がある。大幅な価格差を生まないためにも税率の上限と下限を定めておく必要がある、との要望も自治州より出ている。

スペイン人ジャーナリスト、ETAによって表現の自由を脅かされているとEUに訴える

昨日、ヨーロッパ議会にて国際報道組織である"国境なきジャーナリスト"団体が、スペイン人ジャーナリストがETAによって表現の自由が脅かされている、と訴え、ヨーロッパ全体が自由に報道という業務を遂行できるように何らかの措置をとるよう求めた。そして、各国のメディアにジャーナリストをバスクへ送り、その現状を広く知らしめることが必要であるとコメントした。
先日、自らの弟がETAの標的となった新聞記者アンデル・ランダブルはバスクで活動するジャーナリストは常に命の危険を感じている、と話し、目の前で爆弾テロを経験したカルメン・グルチャガ記者も、この状況は耐え難いとコメントした。この訴えに対して、ヨーロッパ議会のニコル・フォンテン議長はスペイン人ジャーナリストへの連帯の意を表し、表現の自由を擁護することは最優先されるべきものである、と述べた。



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