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3月30日(金)

GALによる犠牲者の遺族にはすでに補償金支払済み

先日PSOEよりテロ被害者救済法による被害者家族への補償金支払いにつき、被害者がテロ行為に参加していたり、第3者に対する拷問を行ったりしていた場合はその補償対象からはずすべきである、という提案があったことに対し、バスク国民党(PNV)マルガリータ・ウリア議員より、1983年から1987年にかけてGALの手により暗殺されたETAのメンバーの遺族にはすでに補償金が支払われており、その金額は6億ペセタに達することが明らかにされた。
この救済法は1999年10月に発効、2000年4月に補償申請を締めきり、個々のケースについて回答を出してきている。いくつかのケースを除きGALが結成される以前の暗殺行為、テロ行為による死亡にも救済法が適用されている。
また、独裁政権から民主政権への移行期間である70年代に発生した極右グループによるテロ行為による事件の被害者へも補償を認めている。76人の犠牲者を出した1979年のホテルコロナ火災事件は極右勢力の犯行であるという明確な証拠が存在しないながらも遺族には補償金が出ている。
現在までにこの救済法の適用を却下されたケースとしては、1976年ビトリアでおきたデモの最中に警察の発砲により5人が死亡した事件を始めとして、政権移行期におけるデモ行動中の警察の行き過ぎた介入による死亡・負傷事件などが209件挙げられている。

英国大手スーパー"マークス&スペンサー"がヨーロッパから撤退、スペイン国内9店舗年内閉鎖

英国大手スーパマーケットである"マークス&スペンサー(M&S)"が業績不振を理由にヨーロッパからの撤退を発表した。半世紀に渡って国外への店舗展開を進めてきたが、今年いっぱいでフランス、ドイツ、オランダなどの38店舗を閉鎖することとなった。スペイン国内の9店舗も例外無く本部の決定に従うことになる。また、合衆国でのグループ企業2社を売りに出し、カタログ販売も中止にする予定としている。インターネットによる販売は続けるもよう。
M&Sの従業員数は全世界で52000人あまり、ヨーロッパにある店舗の従業員は3350人、英国国内のヨーロッパ関連部署が1040人と、計4390人の雇用が脅かされる事態となっている。スペインでの従業員数は786人、同業種への店舗売却によって引き続きの雇用に希望を託すのみである。
1999年から2000年にかけてスペインでは売上が伸びてはいるが、赤字解消までには至らなかった。

ヨーロッパ映画は"木製の剣"だけでハリウッドに対決

ジャン・ジャック・アノ−は最初の映画、"ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー"(1976年)で外国映画部門の作品賞のオスカーを勝ち取った。それからというものアメリカのように(費用、キャスト、制作の質において)いくつかのヨーロッパ映画を創ってきた。"人類創世"、"薔薇の名前"、"小熊物語"、"愛人ラマン"、"セブン・イヤーズ・イン・チベット"など。「ヨーロッパ映画は対抗するためにアメリカ映画の武器を採用すべきかはっきり答えることはできない」「私の見地としては、"ライフ・イズ・ビューティフル"のように例外があるということを念頭に置いた上で、同等の武器をもって対抗していないのだ。ヨーロッパの制作者はアメリカ映画平均の10%か5%の予算しか持っていない。木製の剣でミサイルを持っている人たちに対してどうやったら戦闘に勝てるんだ。世界中の観客がヨーロッパ映画を観なくなってから20年になる。解決の1つとしてハリウッドに匹敵する手段をもって私たちの話を語ることであろう。今の状態のヨーロッパ映画を保護しようという一般の合意に反対なので、こういうことを言うのはあまりいい気はしないのだけれども。アメリカと同様の視覚的品質を獲得した中国映画のように、ヨーロッパ映画は進化しなければならないと思う。」


3月29日(木)

スペイン人の意識調査結果、3大国内問題はテロ、失業、移民

社会学調査研究センター(CIS)の行ったスペイン人の意識調査研究報告が国会に提出された。今回は2月に2500人を対象に聞き取り調査を行った。
テロ問題、失業問題とならんでスペイン人の3分の1が問題だと考える移民問題。スペインに移民は必要かという問いに60%の人が必要と答えている一方、移民が多すぎると答える人が42%、多すぎはしないがかなり多いと答える人が40%に達している。外国人の労働環境への流入に関しては78.7%があらかじめ労働契約を持つものに限定するべき、と答えている。移民を受入れる場合に特定の国、国籍のものを優先的にすべきかどうかについて、86.7%は全ての外国人が同様に扱われるべきと考え、9.1%の人は優先順位をつけてもよいと考えている。優先順位をつける相手国は南米であるとする人は59.6%、東欧出身者とする人が18.0%で、モロッコ、アルジェリア出身者と答えた人は4.4%にとどまった。
93.7%のスペイン人は自分の子供が移民の子供と同じ教室で授業を受けることをかまわない、と感じているが、アンケートに答えた人の27.5%は自分の子供がマグレブ諸国出身者と結婚することにかなりの抵抗を感じるとする。
この結果についてPPでは、外国人法が国民に受入れられている現れであると満足の意を示しているが、PSOEは中央政府の移民政策が失敗に終っていると評価、早急な国家協定を必要とすると話している。

サン・セパスティアンの元市警官、出所後職場復帰

ETAへ情報を流し、少なくとも2つのテロ行為に協力したという罪で元サン・セバスティアン市警官パッチ・アニョルガが6年の刑務所生活を終え出所、市警に復帰することが決定した。
サン・セバスティアン市役所では、バスク公職法にのっとり、同人の職場復帰を認めざるを得ないこととなったと説明している。この法では一旦刑期を終えれば30日の期限をもって復職願いを提出することができるとされている。同人の復職願いは受理され、欠員のあった交通駐車規制隊へ配属となり、来週月曜日より勤務が再開する。
PPの市助役であるマリア・サン・ヒル女史や同党のハビエル・アレナス幹事長はこの決定を覆す為の何らかの法的措置がないか模索している。さらにバスク州高等裁判所やバスク地方政府内務担当局ハビエル・バルサ局長は、バスク警察法には懲役刑を受けた隊員の懲戒免職を規定しており、これによって同人の職場復帰許可を取り消すことが可能であると指摘している。


3月28日(水)

アスナル首相、ローヌ川からの引水計画を拒否

中央政府が推し進める国家治水灌漑計画案が先の国会にて承認されたが、カタルーニャ連合(CIU)が政府案を支持する見返りとしてフランスのローヌ川から引水することを要求していた件につき、政府としては現計画の代替案は存在しない、とCIU案をきっぱり拒絶した。また、エブロ川からの引水の代償措置として中央政府に4000億ペセタの支払い要求をしていたが、これに関してもアスナル首相は750億ペセタに限り支払うことを約束した。
アスナル首相は「スペインには"乾燥したスペイン"と"湿ったスペイン"の2つしかない。"乾燥したスペイン"の水不足を終らせたいだけなのだ。スペインには全ての人に十分な水があるが、それを全ての人に行き渡らせる必要があるのだ。」とコメント。
ローヌ川からの引水に関しては、フランス政府、また専門家が"問題無し"との好意的な見解を表明していたが、320キロメートルにわたる敷設工事などを考慮にいれると、スペイン政府は総額1500億ペセタの出費を強いられることが明らかになっている。

事実婚の法的保護に関してバレンシアの教会が猛反対

バレンシア自治州では、本日の議会で事実婚カップルへの法的保護を与える法案を賛成多数で可決する予定としている。しかしながら、昨年末から検討されてきたこの法案に対し、バレンシアの大司教、カステジョンの司教、教会や家族を守る会などから大きな批判をあびており、宗教界ではこの法案に反対票を投じるよう運動を繰り広げている。彼らの言い分によれば、この法案は現実の夫婦、家族というものを否定し、本来あるべき夫婦、家族を社会の片隅に追いやるものである、という。
事実婚カップルへの法制定は実際には同性愛カップルを対象にしているもので、各自治州によって法律の整備が異なり、住む地方によって受けられる恩恵に違いが出てくる。1998年にカタルーニャ州が同性愛カップルへ相続の権利を認めたのを先陣に、アラゴン州、ナバーラが続いた。また、法律にはさだめられていずとも、事実婚カップルの登録台帳を作成している自治体市町村も多数ある。国会では与党PPの反対にあい、野党からの同種の提案は却下されている。
バレンシアではこの法案が可決されれば、12ヶ月間の同棲期間を経たカップルは自治州が認めている通常の夫婦と行政上同等の権利を与えられることとなる。しかしながら、養子、税務に関する権利は国家が定める法に従わなければならないので除外されることとなる。

一般投資家へのイベリア航空株の売出し最高価格は1.97ユーロ

来月3日に株式公開されるイベリア航空株の一般投資家向け価格の上限が発表された。今月16日に285ペセタから356ペセタの間という制限が発表されていたが、昨日の決定で1.97ユーロ(327.78ペセタ)となった。
イベリアの株式53.9%を所有する工業省国家産業公社(SEPI)が明らかにしたものだが、コーディネーターであるサンタンデール・セントラル・イスパノ銀行、メリル・リンチの意見もあり、低迷する株式市場での価格設定を高くすることを避けたもよう。
昨年3月に核となる8企業が株式を購入した際には計4540億ペセタの値が計算されていたが、1年の間に30%以上の値下がりもありうることになる。
小口投資家には一般公開の50%218995742株が割り当てられ、最低20万ペセタ最高1千万ペセタまで購入可能となっており、現在までに10万の応募が来ている。また、イベリア航空の職員枠が全体の5%で3万人ほどの職員のうち9000人が応募している。
個人投資家への募集は既に締め切られており、今月30日までは取り消し可能期間が設けられている。


3月27日(火)

EUとモロッコの漁業交渉決裂、スペイン漁業大打撃

昨日、EUとモロッコの間で行なわれていた漁業交渉が最終的に決裂、両者の合意に至らずに終った。モロッコ海域での操業に関する両者の漁業協定が1999年に失効してからというもの、新たな協定締結に消極的なモロッコ政府との交渉は暗礁にのりあげた状態にあった。昨年10月に交渉が再開されてからも両者の要求に開きがあり、進展がみられなかった。最終的にEUは3年契約、年間6500万ユーロを補償するかわり年平均218隻の操業という条件を提示、しかし、モロッコが年間9000万ユーロ、年平均203隻という条件を譲らず、結局は物別れに終ってしまった。
この交渉決裂により、16ヶ月にわたって各港で足止めをくっていた漁業船は、他の漁場での操業を余儀なくされるが、影響を受ける船はほとんどがスペイン船籍でその半分はアンダルシアを本拠地とする小規模船である。モロッコ海域での操業が不可能になったことで遠方へ出航しなければならないが、それに絶え得るだけの大型船でないうえ、30年以上前の旧式船のため結局は操業停止の憂き目にあうことになる。これは漁師5000人、さらには間接的に漁業関係の職場に勤務する12000人の労働者の職を奪うことになりかねない。
スペイン農業漁業省では漁業問題の根本的な改革を求められることとなり、それについての必要経費を5億ユーロと見積もっており、EU委員会でもその費用の負担を考えることとなる。

ポンフェラーダ市議、市長をセクハラで訴える

カスティージャ・イ・レオンのポンフェラーダ市の女性市議が市長をセクハラで訴え、辞任した。
この女性市議は26歳のナベンスカ・フェルナンデス氏。彼女は、49歳になる妻を亡くしたばかりのイスマエル・アルバレス市長と1999年の秋頃から5ヶ月間ほど恋愛関係にあったが、その関係が終った後から市長の様々な形での嫌がらせがはじまったという。
フェルナンデス氏は昨年の9月に、うつ病のため市議会の税務局を休職、ポンフェラーダを離れマドリードで生活しなければならない状態になったと話し、精神病医と心理学者の診断書を添え訴えている。
同氏は、提訴した理由につき、彼女に信頼を寄せてくれていた人たち、ポンフェラーダ市民、このような状況に悩んでいる女性たちのため、そして自分自身のためであると説明、政治的な意味合いは全くないし、これを理由に(彼女や市長の所属する)PPを槍玉に挙げないよう求めた。
この提訴に対し、アルバレス市長は彼女との関係を認めたものの、セクハラに関しては"事実無根"とし、市長の政治家としてのキャリアを打ち砕こうとする悪意をもったもの、彼女の裏には自分を落とし入れようとする人物がついているのではないか、と弁明している。

ア・コルーニャでETAの女性テロリストを逮捕

昨日、ア・コルーニャのバスステーションでETAの移動部隊"コマンド・バスルデ(イノシシ)"の隊長アリシア・サエス・デ・ラ・クエスタを逮捕した。逮捕時には偽身分証明書、多額の金銭を所持していた。
サエス・デ・ラ・クエスタは1996年に現ETAのリーダーと目されるソレダ・イパラギーレが創設した同コマンド部隊に所属、1999年にETAが休戦撤回宣言を出した直後にマドリードでのテロを計画した人物とされている。このテロ計画ではワゴン車2台に計1700キロもの爆発物を搭載し、当時のマジョール・オレハ内相をして"死へのキャラバン隊"と言わしめ、市民を震撼させたものであった。
サエス・デ・ラ・クエスタとは別に同部隊の仲間2人もギプスコア県内で別々に逮捕され、アジトとされる場所の家宅捜査が行なわれている。
数ある女性テロリストの中でも警察の追求が厳しかったサエス・デ・ラ・クエスタの足取りは治安警察隊がここ数週間にわたって逮捕された別の仲間の行動を追っているうちにつかんだもので、逮捕時には警察の監視下にあった。
家宅捜査では様々な書類以外に先日車爆弾が爆発したジローナのロセス周辺やア・コルーニャなどの詳細な地図も発見されており、ロセスの爆破事件の関与が指摘される。また、1996年にガリシア地方で当時のガリシア州知事マヌエル・フラガ暗殺未遂事件でコマンド部隊が逮捕されて以来、ガリシアにはETAの実行部隊が存在せず、サエス・デ・ラ・クエスタは新たな部隊を構築すべくガリシアに潜入していたもよう。


3月26日(月)

バスク地方選、PNV、EHとの連立を断固拒否

5月13日のバスク地方選挙を前に各党が選挙戦線を繰り広げている。
前回はEHとの連立によって議会を押さえていたバスク国民党(PNV)であるが、今回は早々にEAとの連合を発表、EHとの思想とは合い入れないことを明らかにしており、再び両党が手を結ぶ可能性については否定している。
前バスク州首長イバレチェ氏は今選挙でも首長に立候補し、PPのハイメ・マジョール前内相、バスク社会党(PSE)ニコラス・レドンド氏と戦う。昨日行なわれたPNV集会でイバレチェ氏は「ピストルや殺人、爆弾や破壊行動、脅迫行為をもってしては何もすることはできない、そのような行為を容認する政党との合意や共同作業は存在しない」ときっぱりと言いきり、「この暴力的な行為を誰よりも望んでいないのは我々である、今この根を絶やさないと我々の国は破壊されてしまう」と訴えた。また、今までもこれからもPNVが民主主義者であることを強調、しかし、バスク民族主義を維持し、バスク社会の自決権を求めていくことにも触れ、バスク社会がこうありたいと望む事を要求することは誰かを傷つけることになるだろうか、と2000人の聴衆に問うた。

遺伝子組換え食品、消費者の拒絶で、スペイン市場から姿を消すことに

スペイン市場では1998年にEUがトウモロコシと大豆の遺伝子組替え食品を認めたことで、そのコントロールを強化するために食品分析が可能な研究所を2ヶ所用意し、それらの食品の流入に備えていたが、現実には消費者の拒絶感が強く、市場から姿を消して行くこととなった。
EUの規則では、遺伝子組替え食品を原材料に使っている場合それを表示しておけば問題がないこととなっているが、大手メーカーでは伝統的な原材料を使用したクッキーと遺伝子組替え食品を原材料としたものでは前者のほうが売れ行きは良かったという。
このような消費者離れをみたイギリス系スーパーや外国系企業では既にスペイン市場からこれらの製品を撤去している。
国家消費研究所では、消費者に向かって遺伝子組替え食品とは別に変更遺伝子食品があり、これらは科学的に変革をおこなったもので組換え食品とは全く別物であることを強調し、スペインでは40年も前から認められている食品であるということを理解するよう訴えている。


3月23日(金)

CIU、PPの国家治水灌漑計画を支持、野党の修正案却下される

昨日、国会にて中央政府の推進する国家治水灌漑計画に関する議論が繰り広げられ、野党PSOEから提出されていた修正案に関しての決議が行なわれた。
野党各党そろって政府案に反対の意を表明していたが、、最終的にカタルーニャ連合(CIU)が、政府に対してエブロデルタへの投資計画承認及びエブロ川以外の川から引水する可能性を検討する要求案をつきつけ、その引き換えとして政府案を支持。
中央政府はこの要求案をのむことでカナリアス連合以外にもCIUの支持をとりつけ、賛成多数で野党案を却下した。
CIUは政府案を支持したものの敗北感を否めず、野党案反対にまわる流れにおされてしまい、またもやPPに同道してしまったことへのジレンマが見え隠れしている。CIUとしては自治州独自の新しい金融システムを確立する為の話合いをスムースに進めるためには政府への心証をよくしておかなければならなかったという側面も持ち合わせていた。しかしながら、カタルーニャ社会主義党からはカタルーニャ議会での合意を正当な理由なく反故にした、と厳しく非難されている。

コロンビア人のEU内入国にビザを必要とする決定に文化人が反対

先週EU15カ国内相会議にて採択された、EU入国の際にビザを必要とする国のリストにコロンビアが含まれたことに対して、コロンビア人作家のガルシア・マルケス氏を筆頭に187人の文化人が名を連ねアスナル首相宛てにスペイン政府の態度を問う手紙を差し出した。
内相会議ではこのリストに含める国について1年あまり検討を続けてきたがスペインは意見をはさむことをせず、コロンビアをリストからはずすようにという要請もしておらず、決議のときに初めて"棄権"という態度をとった。EUでは麻薬や不法入国者をコントロールするという意味でこれらの問題を抱える国々をこのリストに入れており、コロンビアもそれに含まれることとなった。この取り決めは4月1日に発効する。
ガルシア・マルケス氏は、コロンビア国民は今までスペインとは無関係の国であると考えたことはなく、その我々が入国する為にビザを申請するという行為は屈辱的なこと、スペイン政府がコロンビア人にビザを求める限りはスペインに行くことはない、と記している。

救急隊サムール、2年間で急性アルコール中毒救護の数が2倍に

サムールの勤務はたった2年の間に、急性アルコール中毒の救護の数が2倍になった。1998年には5000件の通報を受け、2000年には10000件を記録し、さらに気がかりなのは件数が増加しつづけている事である。飲酒家は2つのタイプに分けられる。月曜から木曜日に飲む人―30〜40才の主に男性と、金曜から日曜日に飲む人―20才前後でわずかに女性が上回る。1週末にサムールはマドリードの道々で平均140名の泥酔状態の若者に手当てを施している。「大量に摂取し、何でも混ぜる」とサムールの関係者は説明する。
最近は女子も以前より良く飲むようになっていることがデータに示されている。「2、3年前までは女性の酔っ払いは大変珍しかった。今では日常的なものだ」と専門家は語る。女性のアルコールの摂取は、3年前からボテジョン(ウィスキーやコカコーラのボトルを買って、通りや広場で飲むこと)の名で知られる現象の出現に直接結びつく。アルコール摂取についての最近の調査によると、女性のアルコール消費への参入が確認されたことを示している。"女子が男子よりも飲む可能性を持っているという点で、1981−1984年世代に目立って特徴が見られる"。
救護の関係者によると、サムールによって応対された10000件は、酔っ払いが2倍に増えたことを意味するのではなく、住民の間に救急隊に連絡する習慣が植え付けられていることを示している。


3月22日(木)

サパテロ幹事長、中央政府及び地方政府に社会党議員の安全確保を求める

先月22日の社会党市議を狙った車爆弾テロ、昨日のラサルテ市役所助役殺害とETAによる社会党議員への攻撃が相次いだことで、PSOEのサパテロ幹事長はバスク地方の社会党議員の安全を確保する為の警護費用を中央政府及びバスク地方政府が負担するよう要求した。
現在、バスク地方全体で社会党議員は243人であるが、そのうちの30%にしか警護がついていない。バスク地方におけるETAのテロ行為が頻発し、社会党議員が標的となり始めた今、議員全員に警護の必要性が出てきている。しかしながら、バスク地方警察が全ての警護を担当するには人員不足のため不可能であることは明らかで、PPがすでに導入しているように私立の警備会社へ依頼することとなる。サパテロ幹事長は、党には資金がないためこれら警備にかかるコストを負担することができない、とし政党の会計に関する法規制を改正する、もしくは内戦時代に没収された財産の返還を検討するよう求めている。
地方政府内務担当局長ハビエル・バルサ氏は警護の必要性を認めており、中央政府内務省でも、警護を必要とする人々は全て警護をつけることができる、とこの問題解決に向け前向きな姿勢を示している。

同級生殺害事件犯人の少女2人に8年の刑

昨年5月、カディスのサン・フェルナンドで高校の同級生を殺害した少女2人に対する判決が下った。新少年法が適用され、犯行当時未成年であった2人は少年矯正施設へ収容されることが決定、刑期は8年間となる。さらに5年間の保護観察期間が加えられる。
事件は2人の少女が同級生を呼び出し人気のない場所に誘い、ナイフで18ヶ所刺した後、首を落として殺害したという悲惨なものであった。殺害動機は「(人を殺すのは)どのような気持ちになるのか試すため、"有名に"なるため」というものであった。
判決では「少女達の犯行は計画的かつ綿密で正常な判断のもと行なわれた」とされ、被告側弁護人が求めていた5年間の医療施設への収容という意見は退けられた。
この判決に対し、被告側は全国管区裁判所へ控訴する予定にしている。
被害者の両親は、少年法を適用するという見地から考えれば、納得できる判決であるが、そもそも加害者を少年法で裁くこと自体が不当であり、この判決に対する控訴の道も閉ざされ、法律自体が正義を欠いている、と不満の意を表している。

イベリア航空の理由無き遅延に対し25万ペセタの補償金支払い判決

マドリードの第一審裁判所で審理されていたイベリア航空の遅延に対する補償金支払請求事案につき、原告の主張を支持し、25万ペセタの補償金支払判決が出された。
これは昨年10月に、アストゥリアスからパリへ飛ぶ便の出発が遅れ、さらに直行便であったはずの予約便がマドリードでトランジットをしたためパリへの到着が6時間遅れたことに対して、イベリア航空がきちんとした説明をせず、航空券にかかれている免責約款をたてに責任回避をしたことで、度重なる苦痛を味わったとして被害にあった家族が補償金請求をしていたもの。
イベリア航空は、「乗客、その荷物を目的地まで航空券に示された時間とおりに運ぶ為に最大限の努力をするが、それを保証するものではではな」く、、さらには「必要な場合は、事前通告なしに他の航空会社、他の機材を利用することがあり、航空券に示された経由地を削ることもできる。接続に関する保証責任はない」と約款に示されていると主張。
これに対し、同裁判所の判事は「イベリア航空はこの遅延及び、マドリードへの迂回に対し何ら正当な原因を提示しておらず、不可抗力で論じられるものではない」と言明。さらにこの約款が不当かつ一方的であるとし、消費者擁護法に違反するものであるとした。
イベリア航空はこの判決を不服として、マドリード地方管区裁判所へ控訴する予定。


3月21日(水)

ラサルテ市の助役、ETAに殺害される

昨日午後2時40分頃、ギプスコア県のラサルテ市で市助役がETAの銃弾に倒れるという事件が起きた。フロイラン・エレスペ助役(54歳)はいつものように自宅で昼食をとるために市役所を出た後、いきつけのバルに立ち寄りカウンターでワインを飲んでいたところを背後から来た人物に襲われ、頭部に2発の銃弾を受け間もなく死亡した。実行犯は1人であったが、建物の外に逃亡を助ける為の仲間が待機していたものとみられる。
先月22日にギプスコアのオルディシアで社会党のドゥブレウイル市議がETAの標的となったことから、社会党議員たちの中で不安感が広がり、警護の必要性を話し合っていたばかりであった。ギプスコア県の社会党議員にはある一部の市の議員と特別な場合についてのみ警察の護衛がついており、それを他の議員にも広げていく方向で話がまとまりつつあった。しかしながら、エレスペ氏は警護をつけることを拒否したうえ、友人、家族から日常の行動・習慣を変えもっと注意するようにという助言にも耳をかさなかったという。
ラサルテ市は18000人の人口を擁し、1986年に新設された市である。70年代の人口流入に伴い、他のギプスコアとは様相を異にし、急進派政党が牛耳る市に囲まれながら発足当時から絶対多数の社会党政権を維持してきた。エレスペ助役は当時からアナ・ウルチュエギア市長の右腕として欠かせない存在となっていただけに市議会にとっては大変な痛手となってしまった。
緊急市議会により、テロリスムを葬る旨の決議をし市民の前で発表、その際には同席した急進派EH議員への市民からの罵倒が相次ぎ、騒然となった。市長は市民たちの声を押さえ、「彼らにも話をさせなさい。彼らの意見がわれわれとどれだけ違うのか聞いてみようではないか」と提案するも市民の怒りの叫びにかき消されてしまうこととなった。

EU不正対策事務局、"亜麻不正事件"に対する調査報告書をスペイン司法当局に送付

数ヶ月にわたって、EUの不正対策事務局が調査していた、スペイン亜麻産業のEU助成金不正受給事件に関しての報告書が完成しスペイン司法当局へ送付された。 この調査報告書では、スペイン国家がEUの金融財政を積極的に保護せずに不正を野放しにしていた、と結論付けている。また、実際に助成金を受給する生産農家の業績を照合する権利は地方政府にあるため、中央政府だけでなく地方政府に対してもそのコントロールの甘さを指摘している。
この"亜麻不正事件"は亜麻加工業者がEUからの助成金を増やそうと実際の生産高よりも多い数値を申告していた。98‐99年度では、実際の生産高が申告高の35%でしかなかったことも判明している。
不正を行っていたとされるいくつかの業者は農業省や地方政府の首脳などの家族が経営していたこともあり、不正発覚時に当該人物は辞任に追い込まれている。
92‐93年度時にはスペイン国内に亜麻畑は存在していなかったが、翌年度からは急速に耕作面積を広げ不正が発覚した98‐99年度には91400ヘクタールとの記録がある。1ヘクタールあたり約12万ペセタの助成金が支払われることから昨年度には108億ペセタがEUからスペインの亜麻産業へ流れてきていることとなる。
ヨーロッパ委員会では1ヶ月前にスペイン政府に対し、不正に受給した助成金の返還を求める法的手続きに入っており、6週間の期限をもって、スペイン政府の回答を待つということとなっている。


3月20日(火)

国防省、軍人不足解消のため2000人の外国人受入れを検討

国防省では職業軍人の入隊減少に伴い、外国人の受入れを検討し始めている。国防省徴兵局の研究では、外国人導入によりスペイン人の入隊希望者減少をカバーするだけでなく、職業軍人の選抜レベルが上昇するとう利点を説いている。一方では、このシステムを導入することは、兵役制度を廃止し軍隊をプロ化したことが失敗であったということを露呈することにもつながる。さらには軍隊内で外国人に対する人種差別の反応がみられるのではないか、という心配もなされている。
外国人を受入れるにあたっての条件として、言葉、宗教の問題の壁が少ない南米人に限り、スペインでの居住許可を所持していることをあげている。契約期間は3年間とし、最高でも6年間までしか所属することができないとする。この期間にスペイン国籍を取得した場合はその限りではない。また、陸軍、海軍ともに兵卒の地位で昇進はなく、限られた部署にのみ配属される。部隊内での外国人占有率は陸軍で30%まで、海軍では船の乗組員の10%までと制限をつける。
国防省では導入1年目には募集を1000人、翌年からは2000人としたい意向であることをほのめかしている。

週末のテロ事件の犯人は新しいETAのメンバーか?

内務省では週末に起きた2件の車爆弾によるテロ行為の捜査を進めているが、今回の事件の実行犯は新しいETAのメンバーで、警察にまだ知られていない者の手によるものという可能性を指摘している。
実行犯はフランス国内でテロの準備をし、2つのグループに分かれ、別々に国境を越え爆弾を積載した自動車を駐車した後に仲間の車で再びフランスに戻り身の安全を確保してから爆破させたのではないかとみられている。実行犯がスペイン人ではなく外国人である可能性も捨てられてはいない。
このような状況を受けて、スペインではフランス政府に対し、警察を増員しテロ対策を強化することを求めている。先週、スペイン警察庁コティーノ長官とフランスのマリオン長官との話合いが持たれたばかりであるが、今週中にもコティーノ長官がパリを訪れ再び会合を持つことになる。
今回のテロ行為によってロセスにあるホテルの物的な総被害額は5千万ペセタに上るとみられ、付近の100軒あまりのマンションや店舗の被害も各戸20万ペセタから100万ペセタほどに及ぶ模様。

アンゴラでの小型飛行機事故、唯一の生存者はスペイン人

先週土曜日にアンゴラで起きた小型飛行機の事故で、乗客15人のうち唯一の生存者となったのはスペイン人の青年だった。
その日、ルアンダからルバンゴに飛ぶ最終便の飛行機はルバンゴへ近づくにつれて高度を落として行ったのだが、おりからの悪天候で視界が悪かったことに加え、高度を下げすぎたのか乱気流に巻き込まれ、山に激突した。このショックで最後部座席に座っていたフランシスコ・ゴンサレスさんはシートベルトをした椅子ごと操縦席まで飛ばされた。飛行機の同体部分は山肌に突っ込んだかたちで折れ、同乗者とともに200メートル下の谷に落ちて行ってしまった。
フランシスコさんは飛行機に備え付けてあった救急箱から鎮痛剤を探し出し注射、骨折した足には飛行機の折れた破片を添え木にするなどの応急処置をとり、燃えている機体から脱出した、という。
フランシスコさんは1年前からアンゴラにある魚の輸出会社で働いており、スペインとアンゴラを行き来していた。
事故のニュースが流れないまま、救出が遅れたが、日曜日にはナミビアの病院に運ばれ昨日には手術を受け病状は良好であるという。あと2週間もすれば、スペインにもどれることとなる。


3月19日(月)

週末にまたETAのテロ、地方警察官1人死亡

土曜日の夜11時頃、ジローナ県のサンタ・マルガリータ・デ・ロセスでまた、ETAによるテロが起こった。
匿名の電話による爆破予告により付近住民、観光客などを避難させている最中に予告時間より早く車爆弾が爆破、爆破地点より120メートル離れたところで警戒にあたっていた地方警察官が飛んできた車の破片を腹部と脚部に受け、病院に運ばれたが死亡した。
爆発が起こった場所は海岸沿いで目の前に3つ星のホテルがあり宿泊客200人あまりも避難を余儀なくされた。ホテルの前に駐車していたバスが黒焦げ状態になったのを始めとして付近のマンションや店舗のガラスなどが破壊された。
爆破された車には40キロの爆発物が積まれていた模様で、先日フランスのグルノーブルの火薬会社から強奪されたものであるとみられている。
また、バレンシアのガンディアでも同じ時間帯に爆破予告があったが、起爆装置の故障のためすぐに爆発が起こることはなかったが、車に積んである爆発物を取り出すことが不可能であったために、警察のコントロールのもと明け方4時半爆破された。この自動車にはやはりロセスと同じ爆発物が50キロしかけられており、爆破の結果付近に駐車中の車14台、ホテルなどの建物の損壊など大きな物的被害を出した。
爆弾がしかけられた2つの場所は、海沿いのため海水浴客が多く集まり、来月にはシーズンが始まることもあり、時期がずれれば大惨事になりかねない状況であった。
警察のテロ対策局では、ETAの移動部隊がフランスで爆破用の車を盗み爆弾をしかけ、また、フランスに戻って潜伏しているものと見ている。

PSOE、外国人法の違憲性について憲法裁判所への上告を今日正式決定

中央政府に対し外国人法に関する話合いを求めているPSOEでは、話合いに消極的な政府を前に、不法滞在移民の権利行使に制限を与える外国人法の違憲性について憲法裁判所への上告を準備しているが、正式な決定は本日行なわれるPSOE連邦首脳会議によって採択される。
外国人法では不法滞在移民に集会、結社、デモの権利を与えられておらず、この条項を撤廃することを求めて行く。さらに、不法滞在移民たちが無料で弁護サービスを受けられる権利に関しても検討されている。
地方政府でもバレアレス諸島、アラゴン両政府がPSOEに追随するものとみられており、アンダルシア、カスティージャ・イ・ラ・マンチャ、エクストレマドゥーラ、アストゥリアス政府でも同様の措置を求めて上告する可能性が高い。
サパテロPSOE幹事長は、憲法裁判所へ上告したあとのPSOEの態度について、憲法判断には時間がかかるため、今現在いる不法滞在移民たちへの対策について中央政府と話合いを続けていくつもりであることを明らかにしている。


3月16日(金)

ヨーロッパ委員会、加盟国におけるタバコへの課税基準の修正を承認

昨日、ヨーロッパ委員会はEU加盟国におけるタバコへの課税基準を修正することを承認、各国の課税バランスをとることを決定した。この措置を実施するためには加盟国15カ国の蔵相会議にて承認を受ける必要がある。
委員会では加盟国間でタバコ1000本あたりにかかる税金に大きなばらつきがみられるため、この格差を減らすために必要な措置であるとみている。EU内で一番タバコ税が高い国は英国で1箱(20本入り)にかかる税金は平均して701ペセタ、最低の国はスペインで161ペセタとなっている。
委員会の提案が蔵相会議で承認されると、最低基準として1000本あたり70ユーロを課税することとなり、スペインでは1箱あたり72ペセタの増税で233ペセタとなる。スペインで一般的に好まれる国内銘柄の値段が295ペセタから377ペセタ、外国銘柄が385ペセタから485ペセタになると計算される。
スペイン大蔵省ではこの措置に対するはっきりとした態度を表明していないが、各国の徴税バランスをとることには常に賛成の立場をとってきている。しかしながら、この措置を実施するにあたっては慎重かつ段階的な導入が必要であることを強調している。
国内のタバコ産業ではこの措置に真向から反対、タバコの密輸がさかんになるだけであると厳しく批判している。

アスナル首相、PSOEからの移民対策に関する協定の申し出をける

昨日、アスナル首相はPSOEから10日前に提案されていた移民対策に関する協定の申し出をとりあげないことを明らかにした。PSOEでは新しく施行された新移民法についての修正、新法で認められていない不法滞在者による組合、結社に関する法律を新たに制定することなど協定内に含めることを政府に提案していた。アスナル首相は、この件に関して、"直接、間接を問わず"新法の改編を行う意思がないことをはっきりさせ、現行法を適用して行くことを示した。さらに現行法はヨーロッパの中でも一番開かれた外国人法である、と評価し、ヨーロッパ内にこれ以上の法律があるのならそれを提示して欲しい、と言いきる。
この拒絶の態度にPSOEでは、話合いが出来ない場合は当初から予定していたように23日に憲法裁判所へ提訴することを再度確認、この日までには政府が態度を覆し、話合いの席についてくれることを期待するというコメントを発表している。

"未成年を守る会"、少年達へのアルコール販売を禁止するための法律強化を求む〜マドリード

"未成年を守る会"では昨年マドリード地方議会で承認されたアルコール販売に関する法律が十分な効果を上げていないという理由で、さらなる強化を図るよう修正を求めている。この法律は 青少年に対するアルコール販売に関する規定で購入可能年齢を16歳から18歳にに引き上げたもの。
若年層のアルコール摂取量が多くなり、アルコール依存症問題がクローズアップされてきていることから緊急に可能な限りの措置をとることが求められている。
少年法専門のハビエル・ウラ弁護士は新たな措置として、販売者側に購入者の身分証明提示を義務付けること、未成年が成年の署名入りの委任状をもって購入することをも禁じる方向での検討を求めている。
さらにはアルコールがおかれているディスコやクラブなどへの18歳未満の少年達の立入りを禁止、公共の建物、学校、病院、スポーツ施設などでのアルコール飲料の販売を禁止するなどの厳しい措置が必要であると話す。アルコールの消費によって望まない妊娠や交通事故、暴力行為など青少年の未来に影を落とすことがあり、そのようなことから青少年を守って行かなければならないとする。どこにでも見られるアルコールの広告やテレビコマーシャルなども許可すべきものではないとする。


3月15日(木)

ヒル−ロブレス長官、バスク地方についての報告書を作成、安全な暮しが保証されないのはバスク政府の責任

ヨーロッパ人権評議会の長官であるヒル−ロブレ氏は2月にバスク州を訪れ、政治家、一般市民、刑務所に収監中のテロリストの家族、地方警察労働組合などに聞き取り調査を行い報告書をまとめた。
30枚にも及ぶ報告書では、ETAによるテロ、脅迫行為による恐怖から、すべてのバスク州民が自由意思によって基本的人権を行使することに制限を加えられている、とし、これらの人権を擁護できていないのはバスク州地方政府の責任である、と結論付けている。
また、バスク地方警察エルチャインチャの労働団体ERNEの証言として、市中における破壊行為に対する介入が遅いとの批判があるが、積極的な介入をしないようにとの指示があり、それによる警察官の士気が下がるという事実を取り上げている。ERNEが長官に提出した報告書には、内務担当局副局長の直接の命令なしには動くことができず、そのために対応が遅れがちになる、との説明がある。
同長官は子供達への教育にも触れ、教科書の内容を検討する事も必要であり、ときにバスク公共放送が、"スペイン人"を見下すようなプログラムを制作することなども指摘し、民族主義者が非民族主義者を排除するような人種差別的な行動をとっていることをも問題視している。

消費者物価指数再び上昇、消費の冷え込み役にたたず

昨日国家統計局より、2月期の消費者物価指数が発表された。
先月は前月と比較しゼロ成長という喜ばしい結果であったが、今回は消費の冷え込み、燃料の値下げなどにもかかわらず、0.3%の上昇が記録され、通年指数は3.8%となった。
エネルギー関連以外の工業製品、医療サービスの値上がり、ガス、電話料金の上昇が響いており、さらには狂牛病の影響で豚肉、羊肉、鶏肉などの値段が大幅に上がっていることも要因の一つとなっている。専門家達の間ではこの状況が当分の間続くことが予想されており、生鮮食料品部門が平常に戻るのは先になるだろうとの見通しをたてている。
経済省ではこの結果を楽観視できないとしているが、春が終る頃には3%程度に落着いているだろうと予想し、政府の目指す2%に達することは無理ではないとみている。

2月以降フランスから輸入した牛、羊、豚は計35954頭

昨日、農業省は2月1日以降にフランスからスペインへ輸入された牛、羊、豚は合計35954頭であることを確認した。今週、フランス、ノルマンディで動物にかかる伝染病、口蹄疫が確認されたことを受け、これらすべてを検疫にまわすこととなり、現在までにアラゴン地方で行なわれたものからは陽性反応は出ていないという。
農業省では3月27日まではフランスとの国境を封鎖、家畜、食肉、乳製品、動物の卵子、精子、胚など一切の輸入を禁ずる措置をとった。昨日からは国境にて地方警察官、治安警察隊が厳格な検問を行っており、さらには動物を運ぶトラック、自動車のタイヤなどを徹底消毒、飛行機や船、バスで給仕された食事の残りなども廃棄処分とされている。


3月14日(水)

中央政府、国家治水計画案の支持を得るために譲歩

中央政府が推し進めている国家治水計画案がアラゴン地方の住民や野党各党から大きな反対を受けているが、カタルーニャ連合(CIU)の支持をとりつけたい政府は、現在の計画案修正を受入れることを発表した。環境省のジャウメ・マタス大臣から明らかにされた修正案はエブロ川からひいてくる年間の水量を1050ヘクト立法メートルから550ヘクト立法メートルに減らし、エブロ・デルタで利用されている灌漑用水から500ヘクト立法メートルを譲りうける、というもの。このエブロ・デルタで2万5千ヘクタールの水田を耕作する9000軒の米農家ではデルタが海水によって塩水化されるのを防ぐためのインフラ整備と引き換えという条件を課している。
CIUの首脳部では中央政府の譲歩を好意的に見ているが、それでもまだ不充分であると考えており、エブロ川からひいてくる水量をさらに減らし、200ヘクト立法メートルとし、300ヘクト立法メートルはローヌ川から貰い受けることを提案している。マタス環境大臣はその可能性も視野にいれながら、ローヌ川からの引水は国際協約に基づいてなされなければならないため、スペインの国家事業である本計画に含めることはできない、とする。

合衆国、EUからの畜産品を輸入禁止措置、スペインにも影響

イギリスで始まった動物に蔓延する伝染病、口蹄疫がフランスに飛び火し感染が確認され、隣国ドイツやイタリアなどでも感染の可能性が危険視されている現在、合衆国ではEUからの動物、畜産物(食肉、乳製品などすべて)の輸入禁止措置をとった。
スペインでは合衆国に年間120トンほどの生ハム、腸詰ソーセージなどを輸出しているが、それ以外にもチーズなどの乳製品が米国の市場に浸透しており、その金額は昨年1年で約600万ドルに達する。
一方、アルゼンチンのブエノスアイレス地方でも同じ口蹄疫の発症が確認されており、EUでは一時的にアルゼンチンからの生肉輸入禁止措置を講じる予定にしている。

マドリードでの相次ぐ建物崩壊に関して、インスペクションの強化を求む

先週、今週とマドリードで2軒の建物の崩壊事件があったことで、野党各党では市役所に対し、建物のインスペクションの強化を図るよう求めている。
マドリード市内には昨年末までにインスペクションを受けなければならなかった建物が18000軒あったが、実行にうつされたのは全体の5%にしか過ぎない。そのうちの61%の建物については倒壊の危険性があるということで調査が進んでいる。市役所ではインスペクションの期限を今年の6月30日まで延長することを決定したが、インスペクションが終了したのは現在までで4000軒。その残りをあと3ヶ月半の間に済ませなければならない状況に追い込まれている。
PSOEのスポークスマン、マティルデ・フェルナンデス女史は、現市役所の保護地域担当局では1995年以来、歴史的建造物指定を受けた建物87軒の取壊しを認めてきている、とし、PSOEが市議会をとりしきっていた1989年まではそのようなことが1度もなかった、と話す。その理由として、PSOE当時は建物の状態を把握、コントロールしていただけでなく、予防措置を講じていたからであるとする。
PSOE及びIUでは市に対し、建物のインスペクションだけでなく改装工事などの点検作業をする人員を増やすこと、また、建物の修復をする為の資金を持たない所有者たちへの補助も検討してくれるよう要請している。


3月13日(火)

マドリードの旧市街でまたもや建物が崩れる

昨日午後2時前、マドリードの旧市街にある建物の内部が崩れ、2人が死亡するという事故が起こった。この建物は1890年に建設されたものでここ20年ほどは人が住んでおらず、近隣住民からは建物の老朽化による倒壊の危険があると常々訴えられていた。
事故が起こったときには建物の安全を確保するための補強工事の最中で7人の工事人が内部で働いていた。工事は1ヶ月半前から始まっていたが、事故は突然、2階部分の床が最初に抜けるかたちで5階までの床が各階80uにわたり抜け落ちた。原因としては、最近降り続いた雨が詰まった排水溝にたまっていき建物を支えている壁にしみこんで崩れ易くしたのではないか、と考えられている。
この建物はファサードが保護指定を受けていたのだが、建物の所有者は建物自体をワンルームマンションに作り変えることを望んでいたため保護指定のグレードを下げるよう都市管理課へ申請をしていた。工事に関する許可はきちんと下りており、規定通りの工事が進んでいたことが確認されている。
死亡した工事人は22歳と20歳の男性で、前者の父親も同じ場所で仕事をしており生き埋め状態となったが、1時間半後に救出された。また、5階にいた工事人は奇跡的に階下まで落下しなかったため軽傷ですんだ。

アスナル首相、後継者決定問題について"見当外れ"だと退ける

昨日行なわれたPPの全国幹部委員会において、PP内部でくすぶるアスナル首相の後継者候補についての議論に終止符を打つべくアスナル首相自らがはっきりとした態度をみせた。
アスナル首相は1996年より首相の座についているが、その時より「8年でその座から退く」と公言してきている。任期をまだ3年も残しているにもかかわらず、PP幹部の中ではすでに次期首相候補の名前が噂されてきており、アスナル首相としては余計な内部論争の火種を今のうちに消しておく必要ありと考えたものとみられる。
この問題に介入することにはっきりとした拒絶の姿勢を見せた理由として、この問題にかまけていると政府、党、そして市民、ひいては国全体の弱体化に関り、今の時期の話題としてはばかばかしく、見当はずれである、とする。アスナル首相はさらに党に対して、2004年以降も政権を維持しようと思うのであれば、それ以降誰が上に立つかに熱心になるのではなく、今現在どのように国を治めるかということに心血を注いで欲しい、と求めた。

オテギ議員の可罰性についてバスク高等裁判所に判断を仰ぐ

ガルソン判事によって、オテギ議員がバスク地方における若者達の暴力行為、破壊行為を教唆しているという疑いから全国管区検事局に同議員に対する責任追求の可能性についての検討を求めていたことに関して(昨日のトップニュース参照)、同検事局は国家総検事局の承認を得た上で、可罰性についての判断をバスク高等裁判所に委ねた。
ガルソン判事は、同議員が逮捕されたHAIKAのアシエル・タピアを保護、鼓舞、コントロールし、さらにはタピア逮捕に連動した市中での破壊行為の責任は同議員に帰するとする。
ガルソン判事による一連の法的行動に関して、オテギ議員は「全くもってばかばかしい」と応酬、「バスクの平和と主権を求めてやまない若者達を擁護、指導することが犯罪とされるなら、この国で犯罪にあたらない行為を思いつかない」と正当性を強調。
EAやIU、PNVなどからもガルソン判事の行きすぎた行動、法的根拠に欠けるなどの批判が起きており、EHをさらに急進的行動に駆りたてるだけだという見方も出ている。


3月12日(月)

国家治水灌漑計画に反対する大規模デモ、マドリードに20万人集結

昨日マドリードにて、中央政府が推進する国家治水灌漑計画(PHN)に反対する20万人ともいわれる人達がデモ行進をした。集結した人々の大半は直接計画に関ってくるエブロ川の通るアラゴン地方からバスを連ねてきたきたものでこの計画に反対するデモは4回目。このデモにはアラゴン地方政府の主だった人々も加わっており、PSOEもこのデモ行動を支持している。
中央政府が国会へPHNに関する修正法案を提出する期限が明日に迫っているため、エブロ川住民だけでなく、エコロジストや野党各党でも反対運動が強くなっている。PHNではイベリア半島で一番水量が豊富なエブロ川から年間1050ヘクト立法メートルの水を水不足に悩む地中海沿岸の都市にひいてくることを計画している。年間18000ヘクト立法メートルの水を生み出すエブロ川では5200ヘクト立法メートルが余剰水量であるとみられている。
アラゴンのマルセリーノ・イグレシアス首長は、これだけの国民の声を前に政府は知らんぷりを決めこむことはできないであろう、と話す。今日では世界的に天候変化してきており過去の傾向がそのまま現状に適応できるわけではない、と説明、アラゴンは政府との会話を求めているのだ、と主張している。

ガルソン判事、EHオテギ議員の責任追求の可能性を検討

バルタサール・ガルソン判事はバスク急進派民族主義政党EHのスポークスマンであるアルナルド・オテギ議員がETAの下部組織と考えられるHAIKAに指示を与える人物であるとして、責任追求が可能であるかどうかを検察局に検討を求めた。
先日、HAIKAに所属する若者達が一斉検挙された後に、HAIKAのスポークスマンとして声明文を発表したアシエル・タピアが逮捕され、オテギ議員の役割について詳細に供述したことから、市中で起されている破壊活動を教唆していることで責任が問えるものと確信。しかしながら議員特権を持つ同議員の逮捕には検察の決定が必要となるため、この問題に関する報告書を求めたもの。
ガルソン判事は、表向きは別組織であるETAとHAIKAの関連について調査、公にされた出版物や押収した書類によってEKINを通じてETAがHAIKAを使いテロ行為に準ずる破壊活動をさせているとの結論を出している。

農業省、牛乳の不正売却に関して裁判所に提訴

農業省は、"ブラック・ミルク"と名づけられている牛乳の不正売買について、マドリードの牛乳売買仲介業者をマドリード高等裁判所に提訴、高等裁判所検察局はこの事案を不正対策検察局に送った。
EU内では各国に牛乳の生産高の上限を定めており、その上限を超えた場合には1キロにつき60ペセタの罰金が課されることとなっている。
今回の事件では97‐98年度、98‐99年度の牛乳の元売業者、仲介業者、買入れ業者の提出する売買高に相違が見られ、存在しない企業から牛乳を納入しているなどの操作がみられたため、農業省が綿密な調査をすすめていた。
農業省ではEUに8千万キロの"ブラック・ミルク"問題で46億5千万ペセタにのぼる不正があったと報告しており、さらには、他にも疑惑が持たれている企業があることも認めており、調査を開始している。
不正に産出され、売買された牛乳は2級、3級ブランドで市場に出され、安価で販売されている。


3月9日(金)

ETA、バスク地方警察官を車爆弾で殺害

本日0時40分頃、バスク州ギプスコア県のエルナニで車に仕掛けられた爆弾が爆発、バスク地方警察官1人が死亡、もう1人が軽傷を負った。
この事件は、ゴミのコンテナが燃えているという電話を受けたパトロール中の地方警察官2人が現場に急行し、コンテナの側に駐車していた乗用車に不審を抱き近づいたところをETAによって爆破されたもの。殺害された25歳の警察官は両足切断状態で病院に運ばれたが、出血多量でまもなく死亡、軽傷を負った36歳の警察官は今朝、退院している。エルナニでは昨夜中、市中における破壊行為が続けられ、騒乱状態にあったが、これは警察官をひきつけるための罠であったともいえる。
爆弾の仕掛けられた車は昨夜強奪されたもので、運転をしていた男性は猿轡をかまされ、縛られた状態でエルナニ付近の学校で今朝方発見された。
また、この爆破事件にかかわっているとみられる2人の人物を逮捕した、という報告がはいっている。
この事件に対し、バスク州首長イバレチェ氏は会見を行い、「殺人をし続けることでバスク社会の平和、主権主義を手に入れられると考えているのか!ETAやEHのメンバーの中にもこのような狂気のさたを、非人道的行為を、不正な行為に共感できない人がいるであろう、これ以上だまっているのはやめようではないか」と強い口調で声明を読み上げた。
一方、水曜日の夜にフランス、グルノーブルで経営者一家を人質にとり火薬庫からETAのメンバーが1600キロのダイナマイト、2万個の起爆装置、10キロメートルのコードを強奪した事件で、フランス憲兵隊は130キロ離れた地で、元コマンド・バルセロナのメンバーグレゴリオ・ビカリオ・セイティエンを逮捕した。

PP議員のうっかり投票ミスで、PSOEの修正案国会通過

昨日、国会にてPSOEの提出していた交通安全法の修正案の採決が行なわれたが、52人のPP議員、2人の閣僚が採決の際のうっかり投票ミスをしたため、賛成多数で修正案があっさりと通過してしまった。これによりPSOE修正案が閣僚会議にかけられることとなる。
この採決の行なわれる前にPSOEの司法、内務担当スポークスマンであるビクトリーノ・マジョラル議員が、女性蔑視ともとれる発言をしたことにより、国会が騒然となり、その状態で採決に移ったため、ボタンの押し間違いをしてしまったらしい、という言い訳がなされている。54票のうっかり投票のうち30票はPSOE案賛成、24票は棄権投票であった。
マジョラル議員はPPのトルメ議員の発言を真剣味や具体性にかける、と非難し、さらには「修道女の学校のような態度でのぞむべきではない」と発言、ルディ議長に「本日のような国際的女性労働者の日にそのような女性蔑視の発言の意図をはっきりさせてもらいたい」と尋ねられ、前言を撤回した。
議会の後、PPの女性議員たちは記者会見を開き、「PSOEの女性議員たちは女性蔑視、マチスタ(男性優位主義)の発言に苦情を申し立てるわけでもなく、投票の結果のみを喜んでいた」と同性としての批判を投げかけた。

アルグェージェスで倒壊した建物、工事のための市の許可持っておらず

市の都市計画取締役、ルイス・アルマダは昨日、グスタンビデ通りで発生した建物倒壊の起こり得る原因について態度を明らかにした。"判事がこの事件を解明し、責任を追及するであろう"、とアルマダは述べた。この建物下の店舗で工事を行っていた会社は、3月1日までに提出すべきだったこの工事の正確な展望を知るための書類を、チャンベリ管轄局へ提出していなかった。この場所の改築工事を依頼したDPAM会社へなされたチャンベリの市役所出張所による要請には、"活動と設備の許可証のコピーだけでなく、実行される工事の記述不足のため"ファサードの写真を申請されていた。期間内に(去る1日まで)この書類を提出しない場合は、出張所はこの通知内容は却下されたものとみなされていた。提出された書類によると、これは"内部の木製家具の解体工事"となっていた。
都市計画管理の情報には、申請された書類を提出しなかったことで、 問題は許可無しに工事が始められたことであると示されている。19世紀中期に建てられた店舗の工事ということで、これは手続きの上で、 前もって保護地域管理の部署へ提出されていなければならなかった。
一方、 この事故で死亡した男性の身元が昨日確認された。この男性は物乞いをしていた浮浪者でファン・イダルゴ、45歳で、アレニス・デ・マル(バルセロナ)の自宅から1996年に姿を消していた。
瓦礫の下に閉じ込められたまま4時間を過ごした21歳の水道工事人のアンヘル・ゴメス・ガタは入院中である。右足の神経と腎臓の損傷を患っている。


3月8日(木)

マドリードの繁華街で建物が突然倒壊、1人死亡

昨日午後2時過ぎ、マドリードのアルグエージェス地区にある5階建ての建物が突然倒壊した。この建物の付近にはデパートや中小の店が軒を連ね、ショッピング街を形成しているため、事故当時多くの人々が建物の下を歩いていた。
目撃者の話によると、建物の地上階で工事をしていた人達が「建物が崩れる!」と叫びながら飛び出してきた直後に轟音、砂煙とともにあっという間に倒壊したという。
この建物は地上階が工事中で、2階には歯医者やインターネットサロン、3階にはヘアサロンなどが入っており、4階より上は住宅であった。事故が起こった時間帯が2時をまわっていたため大半の人が外に食事に出ており建物内には数人しか残っていなかった。
消防隊、探知犬の捜索によって瓦礫の中から40代の男性の遺体が発見され、倒壊から4時間後に建物内で水道工事をしていた青年が救出された。死亡していた男性は建物の前で物乞いをしていた浮浪者とみられている。九死に一生を得た青年は携帯電話を所有していたおかげで恋人に連絡をとることができ、消防、救急隊員に状況を知らせることができたという。
倒壊した建物は築50年ほどで、建物の状態をはかるインスペクションを受けなければならないことになっていたが、建物自体に目立った亀裂などはなかったという。工事に関しては当局の許可が必要のない"建物の構造に手を加えない小規模工事"ということであり、直接の事故原因とはなりえないはず、といわれているが、近所の人の話では「小規模工事のわりには毎日運び出される瓦礫の量が多かった」という。また、専門家の意見では適正な工事をしなかったことが、かろうじて保っていた建物のバランスを崩し、倒壊へのひきがねとなったとも考えられるという。

イベリア航空パイロットのストライキ中止、株式一般売出しは予定通り

今週火曜日に工業省国家産業公社(SEPI)がイベリア航空パイロット組合(SEPLA)につきつけた最後通牒(昨日のトップニュース参照)が功を奏し、SEPI、イベリア航空、SEPLAの3者の合意が成立、パイロットのストライキが中止され、株式の一般売出しは予定通り4月3日とすることを決定した。
6時間に及ぶ会談の結果、SEPLAは「イベリア航空の民営化を全面的に支持し、現在行っている交渉が民営化の妨げとなってはならない」ことを認めた。しかしながら、SEPLAが提示した要求を断念したわけではなく、これからも交渉を続けて行くことを明らかにしている。
イベリア航空もSEPLAに歩み寄る態度を示しており、早期退職制度における給与支払いの点や消費者物価指数(年間2%)程度の給与値上げを提案している。また、1995年時に取り交わした約款104条の給与減額措置の撤廃は2000年‐2003年管理計画において徐々に行っていく方針を示している。
さらには株式が売出される際、他の職員同様パイロットたちにも25万ペセタの賞与が支払われることになる。

"自発的帰国"者74人、ビザをもってスペインに戻る

中央政府の実施した不法滞在エクアドル人への特別措置を信じ、エクアドルへの自発的帰国の道をとった移民たちの第1陣が、昨日、スペインに戻ってきた。
中央政府が往復の旅費を負担し、エクアドルの首都キトに特別に開設された窓口でのビザ申請を終らせた74人のエクアドル人たちは6ヶ月から1年の期間限定ビザを手にし、マドリードのバラハス空港に到着した。彼らがマドリードを出発した先月19日には働いていた場所からマドリードまで政府手配のバスがあったのだが、今回は自分たちの負担で職場まで戻らなくてはならない。また、これから働き給与をもらうまでの期間に必要な費用がないため、借金をしなくてはならないと不満をこぼす移民たちもいるという。
一方、中央政府移民局ではエクアドル人に対する特別措置を転換する方針であることを発表、特別措置を申請した24544人全員に往復の旅費を負担することはできないことを明らかにした。
この方向転換は政府の経済的負担が大きくなり予算を圧迫してしまうことが明白であることからなされたものである。政府では当初、この措置に応募する人数を5400人程度と踏んでいたのが5倍近くに膨れ上がってしまったこと、旅費だけで31億9千万ペセタの出費となること、これから観光シーズンとなり飛行機の座席の確保が難しくなることなどを懸念している。エンリケ・ミランダ政府移民局代表は解決策としてマドリード・キト間のチャーター便を発注することも選択肢の一つとしてあげている。
さらには、政府の弱腰はPSOEとの移民対策に対する協定を早める要因となる可能性がある。


3月7日(水)

イベリア航空株式の一般売出し延期の可能性

昨日、工業省国家産業公社(SEPI)のペドロ・フェレーラス社長はイベリア航空パイロット労働組合SEPLAに最後通牒をつきつけた。イベリア航空の株式53.9%を所有するSEPIは、先月26日から行っているパイロットのストライキを7日10時までに解除しない場合は株式の売出しは行なわない、というもの。
昨日も遅延率45%、欠航13便を出したイベリア航空は日に日にそのイメージを悪化させており、この状態が続くと40%の株式を所有する7つの企業との株式一般公開に向けての取り決めを見なおさざるを得ない状況に追いこまれる。フェレーラス社長は「今、一般売出しをしないことになれば、次回は3年もしくは4年後となるだろう」と話している。
もし、売出しが延期となった場合、それ相当の処罰がSEPLAに求められることとなり、SEPLAによれば「最悪、パイロットからライセンスをとりあげる」と話合いの席で通達されたという。SEPLAでは"脅迫を撤回してくれた場合に限り"交渉の席につく、と主張しており、現段階では会社側の意見とはあいいれないものがあり、ここ数年間に失ってしまった30%の株式購入の権利を回復することをあきらめないと話している。
他のイベリア航空職員たちが所属する労働団体CCOOでは「SEPLAの判断を尊重するが、それによって発生する結果については彼らのみが責任を負うものである」というコメントを出している。

"ただではすまない"、HAIKAの脅迫

昨日未明、ETAの下部組織と目されるHAIKAのメンバー15人が逮捕された件につき、HAIKAのメンバーがEHの党員や極左翼のメンバーなどとともに、記者会見を行い、声明文を読み上げた。
その中で、「この逮捕劇はスペインとフランス国家によるファシズムという攻撃であり、バスク国家の消滅を図ろうとする目的を持っている。バスク全体、特に若者を抑圧しようとしている」とし、「スペイン国家はガルソン判事や政治家、警察と組んでバスクの独立をつぶそうとしたのだ」と続けた。さらには「このようなことをしたのだから、ただではすまない」と脅迫ともとれる発言が飛び出した。
一方、サン・セバスティアンの町では覆面姿の若者達が市バスや銀行の支店、保険会社の事務所などに可燃液体を投げこみ、燃やすなどの行為によって逮捕に対する抗議の姿勢を見せている。


3月6日(火)

HAIKAの幹部15人を一斉検挙

ETAの下部組織であるHAIKAの幹部15人が、本日未明、エルナニ、パンプローナ、ビルバオ、ビトリアにおいて検挙された。300人の警察官を投入して、上記4ヵ所の同支部を一斉捜査、15人の逮捕者とともにトラック1台分とも言われる関係書類を押収した。この一斉捜査を指揮するためにバルタサール・ガルソン判事とフアン・コティーノ警察庁長官もバスク地方まで足を運んだ。
HAIKAはスペイン側バスクのJARRAIとフランス側バスクのGASTERIAKという2つの若年組織が合体してできたETAの下部組織で、ここからはETAの休戦終了宣言以降に逮捕されたダビ・プラやイゴル・ソラナなど筋金入りの年若きテロリストを輩出している。
コティーノ長官によれば、HAIKAに所属する若者は「最初は石を投げているだけだが、そのうち火炎びんになり、ピストルを持ち、車に爆弾を仕掛けるようになる」という。また、「逮捕された15人のうちの数人は直接ピストルを持つテロリストたちと綿密にコンタクトをとっており、いつテロリストに変身してもおかしくはない」と付け加えている。

イベリア航空パイロットのストライキが影響、26便が欠航

先月26日から行なわれているイベリア航空のパイロットたちの消極的ストライキ(会社規定に忠実に働き、それ以上のことはしない)が影響し、3月に入ってから空の便に乱れが出始め、昨日は26便が欠航、60%以上の便が15分以上の遅延を記録している。
パイロットたちの労働組合SEPLAでは、給与の15%減額を取り決めた約款104条の取り消し、18%の給与値上げ、早期退職制度の整備などを求めているが、会社側との団体交渉は平行線をたどっている。
イベリア航空では欠航、遅延をパイロットたちのストライキが原因であると発表しているが、SEPLAではここ数日続いている悪天候が原因であると反論している。
客室乗務員や地上職員が所属する労働団体CCOOではSEPLAの推進するストライキに批判的な目を向けており、プロとしての職業意識に欠けるものであると非難している。
会社側は労働者側との確執が4月3日に株式の一般売り出しに影響を及ぼし、投資に二の足を踏ませることになることを心配しており、早期の解決が必要とされる。
このストライキによってイベリア航空以外の航空会社にも影響が出ており、大幅な遅延が乗客の怒りをかっている。

大雨、強風警報が8つの州に

先週末から続いている悪天候によって、8つの州に大雨強風警報が出されている。
先週金曜日にセビージャのグアダイラ川に落ちて流されてしまった59歳の男性が依然として行方不明であるのを初めとして、アンダルシアでは川の水があふれ、住民が避難しなければならないという事態も発生している。ハエンでは住民と市役所が、グアダルキビル川治水連盟が川の氾濫予防措置をとらなかったとして、連盟の監督にあたる中央政府を非難、県の小規模農業連合でもこの氾濫についての責任を求め法廷で争う構えを見せている。
ブルゴス、パレンシアでは3つの小学校が一時的に閉鎖されている。サラゴサ、トレドでも川沿いの地域に増水の危険があるとの警報が出されている。
昨日夜には、スペイン国鉄が橋のかかっているカリニョン川の増水により通行の危険が増したため、北部へ行く列車の運行を中止した。マドリードからガリシア、アストゥリアス、カンタブリア、バスク地方への乗客はすべてバスによる代替輸送での移動となる。国鉄によれば、復旧の見通しはたっていないという。


3月5日(月)

バスク地方選を前に、アルサジュスPNV党首の舌戦始まる

バスク地方選挙を控え、バスク国民党(PNV)では既に前哨戦をはじめているが、アルサジュス党首のライバル政党への批判は相変わらず特異性を放っている。
昨日メンダロで行なわれた集会では、PPからは前内務大臣マジョール・オレハ氏が、PSEからはニコラス・レドンド氏が立候補した事に関し、「両党の立候補者はマジョール・オレハただ1人である、レドンドはマジョール・オレハの荷物持ちでしかない」と決めつけた。さらにはEHのETAに対するあいまいな態度を「武器をとることを美しいことであると勘違いしている」と批判、「PPや社会党などと同様我々バスク民族主義を一掃するためにすべての労力を注ぎ込んでいる」と続けた。
PNVの支持者には「メディアが降らせる"雨"から身を守る為に"レインコート"の用意を忘れないように」との指示を出し、「バスク民族主義者は我々であり、彼ら(メディア)ではない、彼らはスペイン人である。彼らにバスク民族主義を語って欲しくない。語るのならば、嘘をついたり、侮辱したり、間違った情報を流したりすることはやめて欲しい」と話した。
また、エヒバルPNVスポークスマンも「PPや社会党は我々が20年かかって築いてきたものを20日で破壊してしまうであろう」と訴えた。

会計監査裁判所、失業者訓練のための公金使用について調査

先週、ガリシアの経営者連合が失業者訓練のための資金を不正に流用していたことを認めたばかりであるが、この公金を使っての失業者訓練が数々の不正の温床になっていることが明らかになっている。
中央政府では助成金を出しているEUからの要請もあり、調査を開始、会計監査裁判所も1993年から95年にかけてのForcem(職業訓練財団)の不正をを綿密に調査し始めている。この調査は1996年から98年までに使われたすべての公金の行方やForcemが契約していた会計事務所にも及ぶ予定。
現在までに判明しているだけで、マドリード、バレンシア、カタルーニャでガリシア同様の不正が発覚している。マドリードでは開講されなかった囚人25人のための職業訓練講座に5千万ペセタが、バレンシアでは1億9100万ペセタの二重請求書に助成金が支払われている。カタルーニャでは"パレロルス事件"として記憶に新しいが政治家を巻き込んでの10億ペセタの不正流用が発覚している。

2月期の失業率、1980年以来最低を記録

国家雇用研究所(INEM)によると、今年2月期の失業者登録は21779人で失業者総計は1598920人となった。この人数は労働人口の9.45%にあたり、1980年以来最低の数値を記録した事となった。
労働省では、1094045件の新たな雇用契約が取り交わされ、そのうち104515件が期限に定めのない社員契約であることを明らかにしている。
ナバーラ、セウタ、メリージャを除くすべての自治州で失業者数が下がっており、特に顕著なのがバレアレス諸島の5.44%である。
失業率の一番低い州はカタルーニャの6.25%、7.12%のアラゴン、7.27%のバレンシアがそれに続く。反対に失業率の高い州は13.96%のアストゥリアス、12.53%のカナリアス、12.52%のエストゥレマドゥーラ。


3月2日(金)

中央政府、閣僚会議にて労基法の改正案を承認することを決定

先日雇用者組合から提出された労基法の改正案について、労働団体と雇用者組合との話合いが平行線をたどり決裂したことで、中央政府は昨日、本日の閣僚会議で一方的に政府改正案を承認する決定を下した、と発表した。
この発表を受け、両者は再び交渉の席につき、政府主導の改正案承認を阻止するべくお互いの合意点を探したが、結局は物別れに終ってしまった。
政府案では解雇時の補償金を引き下げ、臨時雇用契約者の解雇時に今まで存在していなかった補償金給付制度を新設することとなっている。政府としては臨時雇用契約を減らす為に必要な措置であると考えている。
労働省アパリシオ大臣は前もって両者の交渉期限をきっており、これ以上期限を引き伸ばすことはできないとしながら、両者の合意がなされないことは政府にとっても、スペイン社会にとっても望ましくないことである、とコメントしている。

プジョール州首長、バレーラ氏の意見と一線を画す

元カタルーニャ州議会議長であるヘリベール・バレーラ氏が発表した著作の中で、"これ以上移民が増えればカタルーニャが消滅する"という意見が人種差別発言であるとして論争を巻き起こしているが、昨日予定されていたこの著書の発表会が開始2時間前に出版社の判断で中止となった。
この発表会に出席予定であったカタルーニャ州ジョルディ・プジョール首長は数日前に彼自身の妻が同様の問題発言を行ったことで批判の的となっていたが、奇しくも発表会が中止となったことでさらなる批判にさらされる危険から逃れることとなった。
政治的にバレーラ氏の意見を容認することができないプジョール首長は夜になって記者会見を開き自らの意見を発表した。バレーラ氏の考える移民問題にはとうてい同意できるものではないとし、移民政策の目的は、人々が社会にとけこみ、一体化し、共存して行くことであると話した。さらには権利と義務はすべての人が同じようにもっているということを前提に、外から入ってきた人々は元々の住人が持つアイデンティティーを受入れ尊重しなければならないという義務を負うが、受入れる側も同様の義務を負っていることを認識しなければいけない、という趣旨のコメントを発表した。

スペイン政府、現段階で1210人のエクアドル人に往復運賃を保証

内務省は、帰還プログラムに受け入れられた最初のエクアドル人1.210名に、キトに行きマドリードに帰る往復チケットを払うことになった。しかし政府機関に申請した残りの23.347人は、まだいつ始まるのかも分からない"第二段階"に先送りされることになるだろうという。この情報は、去る2月20日にマドリードのエクアドル大使館からへインズ・モエジェル外務大臣へ送られた覚書に出ている。
外国人関係の事務所閉鎖の後に、行政府の"自発的帰還"プログラムに受け入れられたエクアドル人は24.557名に上るという。このデータは政府機関からエル・パイスに出されたもので、セウタとメリージャを含めた全ての自治州のものである。
ムルシア(8.919名)、マドリード(5.790名)が、昨年末エクアドルでスペインによって署名された自発的帰還のプログラムに受け入れられたエクアドル人リストの筆頭にくる。
しかし不法滞在者の数はまだずっと上回るものである。情報を求めるために政府機関に行った人と、最終的にそれを受け入れた人の数の間に不均衡が考えられる。マドリードだけで22.600人が窓口を通り、一時帰国を申請したのは4分の1をわずかに上まるにすぎない、とベゴニャ・アギ−レは伝える。

スペイン、今日キトにビザの事務所を開設

帰国者の書類の法的処置を取るためスペインによって創設されたビザの補助事務所が、予定より2日遅れて今日機能し始める。事務所のドアには応対される予定の最初のエクアドル人65名のリストが貼りだされた。この事務所は、外務省、労働省、内務省のスペイン人役人10名の行政下にあり、移民らを聴聞会に受け入れ、仕事の雇用先とその支払能力の有効性を確かめることを担当する


3月1日(木)

イバレチェバスク州首長、大規模なデモを召集

昨日、イバレチェバスク州首長は今月10日にビルバオにて大規模なデモを召集すると発表した。
3月20日から始まるバスク地方選を前に、再選を狙う同首長は反ETA、反PP及びPSEを掲げ、バスク州民の意識をバスク国民党(PNV)、民族主義へ結集させるのが狙い。同首長の言い分は「野党は対話を拒否し、バスク社会を分裂させようとしている」。
この発表に対し、野党側は早速反発、カルロス・イトゥルガイスバスクPP会長は「イバレチェ首長が世論を操ろうとしていることは嘆かわしく、ゆゆしきことである」とコメント、「イバレチェ氏の言う"対話"とはETAやHB(ETAを否定しない急進派民族政党)、殺人者や殺人者の政治的支持者、イバレチェ氏を首長に推した殺人者ジョス・テルネラのような人物と交渉することである」と批判。また、次期州首長に立候補しているバスク社会党PSEのニコラス・レドンド幹事長は「公金を使用しての選挙運動であり、政治制度への信用をなくすものである」と糾弾している。

ピカソ美術館、所蔵品の充実のために国家、州の援助を求める

昨日、バルセロナ市の文化局担当議員であるフェラン・マスカレル氏は昨年ピカソ美術館が購入した新しい作品3点を公開し、同美術館へ国家や州の資金援助を求めた。
ピカソ美術館は毎年全世界から100万人とも言われる人々が訪れている世界的美術館であるが管理運営はバルセロナ市が行っている。同議員は美術館を充実させて行くためには、国家規模でのプロジェクトの必要性に言及、また、現在までに全くの援助がなかった州政府にも資金を増やす為の何らかの協力を求めている。
ピカソ美術館では新しい展示部屋や改装費用などで現在までに4億6千万ペセタを費やしており、今年4月には最終段階の工事に入る。
今回公開した作品はキュービズム以前の作品で「青の時代」に描かれたデッサン、キュービズムへの移行期につづられた70ページにわたるデッサンや絵画の下絵、スケッチなどの連作、そして、"女性の頭部"と名づけられたブロンズ像。



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