スペインニュース・コムがお届する
毎日のトップニュース


5月31日(金)

バスクの三司教はバタスナ党の非合法化に懸念を表明

バスク自治州のビルバオ、サン・セバスチアン及びビトリア3つのカトリック教区の司教がこのたび「平和を築く」というタイトルの司教教書を共同執筆し、昨日署名を行った。八ページ10章にわたるこの教書の中で、三司教は、「平和とテロリズムは決して共存できるものではない」とテロリズム根絶を謳っているものの、現在バタスナ党非合法化に向けて進められている政党法改革の動きを牽制し、「バスク州内ではすでに市民の安全な社会生活が脅かされている。バタスナ党の非合法化により、さらにテロリストとの対立が深まってしまうのではないか。この懸念はバスクの多くの市民の間にもあり、テロリズムに対抗する全ての措置が正しいものとも限らない。」と中央政府の考えに反対の意思を表明した。さらに民族主義とテロリズムははっきり区別されるべきものであるという考えも示唆した。
また教書ではこれらの問題に関して政党間の対話を求め、さらに人道的な理由から服役中のETAメンバーをバスク自治州内に移送することを要求するとした。
この司教らの書面公表に対して、与党PP、社会党PSOEともに驚きを隠せない様子である。バスクPPのカルロス・イトゥルガイス代表は「バスクの司教らはテロの被害者よりも殺人犯の立場に立ってしまっているようだ。常軌を逸した言動であり、エウスカディ(バスク)において教会は普遍的なものではなく、また司教らも神を主としない、アルサルス(PNVバスク国民党党首)の代弁者なのだ」とバスクの教会が民族主義的な政党寄りであることに対して強く非難した。

麻薬販売をめぐって2人が射殺

ロス・ガジェゴス組のボスとその娘婿が、麻薬販売のためのバラック小屋を売ることを拒否したことからロス・エストレメーニョス組のメンバーが彼らを射殺するという事件が、昨夜遅く、ラス・ミンブレラス(ラティナ区)で起きた。今回の殺人により、この地区での今年の殺人の被害者は26人となった。
現在、1000人近くが居住するラス・ミンブレラスにロス・エストレメーニョス組がやって来たのは数ヶ月前。「以来、環境は悪くなり、彼らは私たちに迷惑をかけるだけだ。」と住人の1人は言う。彼らは自分たちのバラック小屋の数を増やし、警察によるとそのうちの一つを麻薬の小売に使おうとしていた。
住人の中で最もメンバーの多いロス・ガジェゴス組を率いるカルロス・エステロ氏は、ここにいくつものバラックを持っており、ロス・エストレメーニョス組はそのうちの一つを買うため彼を訪ねた。しかし、彼らの目的を知っていたエステロ氏は自分の地区が麻薬の“スーパーマーケット”になることを許さず、バラックを売ることを拒否した。
それから2時間後、ロス・エストレメーニョス組のメンバー(目撃者数人の話では6,7人)が復讐のためにボスの小屋を再訪。夕食中のロス・ガジェゴス組に一言も発することなく、銃弾の雨を浴びせかけた。43歳のカルロス・エステロ・スアレス氏とその娘婿ハイメ・バルル氏、22歳は応戦する間もなく殺された。
蜂の巣にされた二人の被害者に対し、殺人者たちはさらに近付いてピストルでとどめをさした。銃撃の音を聞きつけて駆けつけたロス・ガジェゴス組のほかのメンバーたちがロス・エストレメーニョス組に発砲、25歳のセレドニオ・ヒメネス・シルバが数発の銃弾を浴びたが、大事には至らなかった。ヒメネスの弟アンヘル19歳が逮捕され、警察はさらに4人のメンバーを探している。

セクハラで告訴されたポンフェラーダ市長に有罪判決( レオン )

昨年3月にレオン県ポンフェラーダ市の元市議会議員ネベンカ・フェルナンデスさん(26)が、在職中にセクシャルハラスメント(性的嫌がらせ)を受けたとして同市の市長であり、カスティージャ・イ・レオン州議会議員(PP)でもあるイスマエル・アルバレス被告(49)を相手取って裁判を起こしていた事件で、昨日、カスティージャ・イ・レオン上級裁判所で被告に対して有罪の判決が下された。判決は9ヶ月間の罰金刑(一日あたり24ユーロ、合計6.480ユーロの支払い)と原告に対する12.000ユーロの損害賠償の支払いを命じた。アルバレス被告は自身は潔白であると主張し、最高裁に控訴する意思を明らかにした。またポンフェラーダ市の市長の職と州議会議員の職をいずれも辞する考え。
ネベンカさんは市議に当選した1999年秋ごろから、妻に先立たれた直後のアルバレス被告と5ヶ月の間恋愛関係にあったことは認めている。その後ネベンカさんの方から別れを告げ、原告は鬱状態に陥り休職していた。そして2001年3月26日に正式な市議辞職とアルバレス市長への告訴を行った。裁判は今年の4月から開始されており、2週間で40人が証人席に座った。
法廷は「被告は職場での立場を利用して、以前は恋愛関係にあった原告を脅迫、敵意、屈辱への恐怖に陥れた。」として、刑法184条のセクシャルハラスメントの罪(9〜18ヶ月の罰金刑)に当たるという判決を下した。

衛生省は禁煙治療に対し公的に資金援助することを提案

「たばこは人を殺す」衛生省は明確なメッセージを掲げた。スペインでのニコチン中毒に対する戦いはなかなか進歩しないのが現状である。1987年には16歳以上の国民の38.1%がたばこを吸っていたというデータがあるが、昨年の数字を見ても34.4%と大幅に減少したとは言えない。このような状況に対して、衛生省は喫煙予防計画を打ち立てる用意ができ、7月にも審議を始めたい構え。
この計画の概要は、以下のとおりである。
計画の目標:2007年には喫煙者の数を人口の30%にまで引き下げる。また喫煙を始める年齢を平均14歳まで遅らせる。
治療に対する公的資金援助:喫煙者の80%はたばこをやめたいと思っているが、現在ではナバーラ州だけがニコチン中毒治療への公的資金援助を行っているという状況である。衛生省ではすでに予算案を立てているが、これから各自治州との交渉が必要。
禁煙区域の拡大:現行の法律ではたばこを吸わない人の健康が、喫煙する権利よりも優先されるべきである」としており、公共施設、衛生施設、学校などの教育施設、公共交通機関においては喫煙が禁止されている。これに加えて、新計画では「労働環境に煙のない空間を作る」ことを提案し、UEに対してたばこを「労働環境における発ガン性物質」であると認知されるよう働きかける。
購入年齢の引き上げ:たばこを購入できる年齢を現在の16歳以上から18歳以上に引き上げる。またたばこのばら売りを禁止し、若者が自動販売機でたばこを購入する際のコントロールを強化し、「段階的な自販機の撤廃」も検討する。
広告禁止:世界保健機構(OMS−WHO))は本日を「世界禁煙デー」と定めている。今年のキャンペーンの主題はスポーツの世界でたばこ販売企業がスポンサーとなることを禁止するというもの。スペインの衛生省ではそれに加えて、「直接的および間接的な広告、たばこ販売企業によるプロモーションやスポンサー契約の禁止」を提案。UEではすでに、書面以外での上記の行動を自粛するよう奨励している。
価格:衛生省はたばこの価格を消費者物価指数(IPC)の計算からはずすことを提案。OMSによると、たばこの価格が10%上昇すると、喫煙者の数が4%減少するという計算を公表している。


5月30日(木)

バスク州の労働金庫取締役をETAへの資金援助の疑いで逮捕

警察当局は昨日、ギプスコア県モンドラゴンで、労働金庫「カハ・ラボラル・ポプラール」の内部監査局長イグナシオ・マジャライ・コルタサール容疑者を、ETAへの資金援助にからんだ疑いで逮捕した。この逮捕は全国管区裁判所のガルソン判事により今年4月から実施されている、「エリコ・タベルナス(ETAの政治母体バタスナ党の社会的集会所でETA/KAS/EKINなどのテロ組織の資金集めに利用されている)」一斉取締り計画の一環として行われたものである。
内務省筋によると、マジャライ容疑者は労働金庫の内部監査局長という立場を悪用し、ETAとの関連が疑われる顧客の口座照会などを裁判所や警察から求められた際、その顧客らに警告し、口座の取り消しや第三者の口座への移し変えなどをして当局のコントロールから逃れることができるよう、手助けをしていた疑いが持たれている。また同容疑者自身もエリコ・タベルナ「イサル・ゴーリ・クルトゥール・アルカルテア」の経営者でもあり、職場で知りえた情報などを流していたと見られる。
昨日はまたカハ・ラボラル・ポプラールの本社事務所(モンドラゴン)や容疑者の経営するエリコ・タベルナ、株式会社アスカルデ(ビスカヤ)および容疑者の自宅の合計4件の家宅捜索が行われた。

スペインとポルトガルの国営TVチャンネルは欧州で最も多くコマーシャルを放映

広告監視機構が欧州各国の国営チャンネルで放映されるコマーシャルの量について調査を行った結果によると、スペインとポルトガルが、最も放送全体に対するコマーシャルの割合の高い国であることがわかった。コマーシャルというカテゴリーには、自局の宣伝や番組予告、テレフォンショッピングも含まれる。
1位はポルトガルで、国営2局あわせた放映量に対して平均20.08%が広告放送で、特に「RTP1」局では全体の約4分の一(23.52%)がコマーシャルで占められているという。2位がスペイン。国営チャンネル「TVE−1」と「La2」の2局平均は14.2%。続いてデンマーク(8.2%)、フランス(7.02%)、イタリア(5.79%)、ドイツ(3.50%)というランキングであった。
これらの広告の放映時間帯については今回の調査では明らかにならなかったが、たとえばドイツでは一般コマーシャルは夜の8時以降に多く、ポルトガルにおいてはテレフォンショッピングの放映時間帯は主に夜中である。
また民間放送局に占める広告放送の割合が最も高かったのは、ドイツ、続いてポルトガル、ノルウェー、スペイン、デンマーク、イタリアという結果で、全体的に国営チャンネルに比べて数字が大きくなっているといえる。スペイン国内の民間放送局の中では、アンテナ3が26.2%でトップ、2位はテレ5(25.4%)とやはり約4分の一をコマーシャルが占めている。大方の番組が有料となっており、視聴者の数が限られているカナル・プルスでは6.6%と低い数字。
この結果に関して、広告業界では「過剰なコマーシャル放映により、広告の効果が薄れるのではないか」と懸念を表した。

交通事故死の子供4人に3人は防げたはずの事故が原因

「スペインでは1週間に平均10人の子供が、交通事故により死亡あるいは怪我で重傷を負っている。これらの事故の多くはチャイルドシートなどの安全装置に関する法律が現行よりも厳しければ防げたはずの事故である。」これは自動車運転に関する事業や啓蒙活動などを行うRACC(Real Automoil Club de Catalunya) がヨーロッパで行った調査結果をもとにして発表された「子供の安全に関する報告書」が示した見解である。報告書のデータによると、スペインでは交通事故による死亡率が、欧州平均より5ポイント高く、ワースト組に入る。2000年だけで592人の12歳以下の子供が国内の道路で交通事故により死亡している。スペインのほかには、ポルトガル、ギリシャ、フランス、ルクセンブルグの各国でさらに子供の交通事故死が多いという結果となった。
基本的な問題は、チャイルドシートなど安全装置の使用法にあるという。子供が3歳以下の場合は全般的に正しい使われ方をしているが、それ以上の年齢になると大方の親は車内で子供を自由に座らせてていることが多い。これにより危険が増大するというわけだ。報告書では、交通事故で死亡した子供の4人に3人、すなわち90%はこのような安全装置の正しい利用により防げたはずとしている。
スペインの法律では、このテーマに関しては明確な規定がなされていないのが現状。とくに法整備が明確におこなわれていない国ほど、子供の交通事故死が多いといえる。UEでは12歳以下の子供にはチャイルドシートの利用を義務付けることを検討している。

全仏オープンで波乱、大御所アランチャ・サンチェスが一回戦敗退( パリ )

フランスのローラン・ギャロスで開催中のテニスの全仏オープンは第一回戦の各試合がおこなわれているが、昨日スペイン女子テニス界の大御所アランチャ・サンチェス・ビカリオ選手(30)が、同じくスペイン人のマルタ・モレーロ選手(19歳、世界ランキング68位)に敗れるという波乱があった。試合はわずか50分強で、結果は6−0、6−1。サンチェス選手はこの大会16年連続出場、89、94、98年の3度優勝を経験しており、一回戦敗退したのも、昨日のようなあっけない試合内容で負けたのもこれが初めてという。同選手はこの辛い結果を目の当たりにして、記者会見の席で「負けたことはとてもくやしい。かなりのミスをしてしまった。逆にマルタは落ち着いてプレーしていた。ただ今回の結果も完全な引退を考えるほど悲観的なものでもないと思う。これからしばらく休養して先のことなどを考えていくつもり。ウィンブルドンに出場するかどうかはまだ決めていない」と語った。
また昨日の試合で、二回戦に勝ち進んだのはアレックス・コレッチャ、ダビッド・サンチェス、モンタニェス、クリスティーナ・トレンス、コンチータ・マルティネスの各選手ら。しかしながら有望株のフアン・カルロス・フェレーロ選手が練習中に足首を捻挫し病院で治療を受けた。二回戦出場は難しい状況という。 


5月29日(水)

スペイン経済の減速傾向変わらず

2002年第一四半期の国内総生産(PIB)が国立会計局によりまとめられ、今朝INE(国立統計局)を通じて発表された。それによると、前四半期比(昨年の第四四半期)の成長率は2%に留まり、2000年第一四半期に始まったスペインの経済成長の減速傾向が今も続いているということが明らかになった。これは国内需要2.1ポイントと、2.9ポイントだった前四半期に比べて「顕著な」減少傾向にあること、そして対外需要も0.6ポイントから0.1ポイントと、国内総生産の成長を妨げる要素が見られたことによるというのがINEの見解であった。

アスナル首相と法務大臣は、オテギ氏に対する最高裁の判断を批判

ETA称賛発言で検察庁から告発されたバタスナ党党首のアルナルド・オテギ氏に対し、最高裁が「テロリズム称賛行為はテロ行為とは区別されるべきで、またそれが国外で行われた場合には告発はできない」という刑法の解釈により無処罰の決定を下したことについて、ホセ・マリア・アスナル首相と法務大臣のアンヘル・アセベス氏は昨日、公式に決定を疑問視する態度を表明した。まずアセベス大臣は、「この決定を下した3人の最高裁判事は刑法をもう一度手にとり、読み直して欲しい。そうすれば、テロリズムを称揚し、正当化する者はすでにテロ行為を行っているのと同じことである、という規定がはっきりと見えてくるのではないか。」と述べた。またイタリアでNATO−ロシア会議に出席中のアスナル首相は会見で、「テロ称賛は“テロ行為”そのものに当たると法律には書いてあるのに、司法判断によって“思想犯罪”と認識されてしまうという状況を、テロの被害を受けている人々になんと説明したらいいのだろう?」と批判を込めた疑問を投げかけた。しかし逆にバスク自治州政府とPNV(バスク国民党)はこの最高裁の決定に満足との声明を発表した。

欧州委員会がスペイン漁船1800艘の解体を提案

昨日欧州委員会は、漁獲高を30%から60%減らすという漁業委員フランツ・フィシュラー氏の提案を採用した。この決定は農業大臣審議会の承認を得ると、来年1月1日に施行され、EU内で8600艘の漁船の解体(EU全体の8.5%)、スペインでは1800艘の漁船の解体が見込まれる。主要漁業国のひとつであるスペインにとって大きな痛手となるこの提案に唯一反対票を投じたのは経済大臣ペドロ・ソルベスで、ポルトガル、フランス、ギリシャは保留、20カ国中16カ国の賛成票により委員会で承認された。
委員長のロマノ・プロディ氏が「この改革案は漁業の生き残りに必要なもので、ヨーロッパ共通の利益のためである」と述べる一方フィシュラー委員は、スペインとポルトガルの漁船が2003年から北海への立ち入り許可を手にすることを強調した。
現在コマを握るのは、6月11日にルクセンブルグで正式にこの提案について報告を受けるヨーロッパの漁業大臣たちだが、欧州委員会の提案がここで棚上げにされるのはよくあることで、さらに、スペイン、フランス、ポルトガル、ギリシャ、イタリアの“漁業の友”5カ国で、提案の施行を阻止するための必要最小限の票を確保する。
今回の提案の内容は次の通り。
急激な削減
委員会は漁獲高削減のほか、漁船の最新化、第3世界諸国への漁船の輸出への補助を禁止し、この補助金を漁船解体奨励金の20%に充てる。新しく漁船を建造した場合は、経済的支援なしに同等の漁船を撤収しなければならない。全ての国は漁獲予定高と水産資源高の均衡を保証することが要求され、タラ、メルルーサなどの絶滅の危機に瀕している魚に対しては特別な措置が取られる。8600艘の漁船の解体(スペインでは1800艘)、4年間にわたって年間7000人の人員削減が要求されるが、スペインでは乗組員6万8千人をはじめとして、40万人以上が漁業に従事している。
より効果的なコントロール
委員会は漁船の活動を監視し、処罰するための最新テクノロジーを使ったEU共同システムの構築を提案している。
不法漁業
委員会は各国委員に対し、水産資源への脅威となっている不法漁業の取り締まり強化を求めている。
不信、何人かの委員に対する厳しい批判、叱責、自国の利益を守ろうとすることへの非難、警告、往復する書簡、故意の情報漏洩…これらが今回欧州委員会で行われた厳しい議論の要約である。漁業部門は初めて再編について深刻に向き合わなければならない。

政府は「話し合いを可能にするため」失業者保護令の法案化に向けた国会審議を決定

先週金曜日、緊急閣僚会議で承認され27日に発効した「失業者保護改革令」に関して政府は野党や各労働組合から“デクレタソ(とんでもない政令)”と痛烈な批判を浴びている。これを踏まえて、政府は野党に反対意見を述べたり、交渉したりする機会を設けることを目的として、この政令を法案化する審議を国会で開始すると発表した。しかしながら、政府は法案化にあたり大きな内容の修正は認めない方針を明らかにした。
これにより「失業者保護令」の法案化は、6月13日の国会にて、おそらく与党国民党(PP)とカナリア連合(CC)の投票によって可決され承認されるものと見られている。審議にあたり、PSOE(社会党)とIU(左翼連合)は、修正案ではなく、改革そのものを撤回するように政府に求めていく方針。またCiU(カタルーニャ連合)はいくつかの修正案が受け入れられた場合には賛成票を投じる意向を示唆した。しかしながら、可決後に義務付けられている上院通過などのプロセスにより、最終的な決定は10月以降まで持ち越されるだろうというのが、大方の政党の一致した見解である。

スペインで初めてカトリック司祭が養父に( セゴビア )

このたび国内で初めてカトリック司祭を養父とする養子縁組が成立した。ベラルーシ出身のアレクセイ君(8)の養父となったのは、セゴビア県エル・エスピナールのバレンティン・ブラボ・フェルナンデス司祭(48)。司祭に養子縁組を決意させたのは、2000年旧ソ連のチェルノブイリ原発事故で被害にあった子供達50人が司牧活動の一環としてエル・エスピナールの各家庭に受け入れられたことに始まる。ブラボ司祭はアレクセイ君と出逢った時のことを「とても難しい子供でした。家族もなく、孤児院と転々としており、人とのふれあいというものを全く知らなかったのです」と回顧している。
ブラボ司祭は養子縁組を願い出ることに対して疑問を感じることはなかったという。「今はアロサ(アレクセイ君の愛称)もよくしゃべるようになったし、心の傷もだいぶ癒えたようだ。たくさんの愛情を必要としていたのです。彼は私が司祭だということもわかっていますが、父親と思ってくれており、幸せに暮らしていると思います」と語った。アレクセイ君は現在地元の学校に通っており、級友ともよく遊び、自分をスペイン人であると感じているようだ。
カトリック司祭が養子縁組を行うことに関して、教会法ではとくに禁止されていない。セゴビア教区のルイス・グティエレス司教もふたりを見守っていく方針。また公的書類もすべて規定どおり揃っているという。


5月28日(火)

最高裁はオテギ氏のETA称賛発言について「テロリズムではない」と判断

今年3月30日、バスク祖国記念日にあたるこの日にバタスナ党(ETAの政治母体)のアルナルド・オテギ党首はフランスはサン・フアン・デ・ルスのハイ・アライ競技場で集会を開き、その最後に「ゴーラ エウスカディ タ アスカタスーナ!(ETA万歳!)」と叫び、ETA称揚のメッセージを送った。この行為に対し検察庁が告訴していた事件で最高裁は、オテギ氏の行為がテロリズム自体に相当するのではなく、テロ称賛の罪に値するものであるとの判断を示した。
この決定にいたるプロセスとして、最高裁は司法権基本法23.4b)を適用し、「スペイン人または外国人がスペイン国外において“テロリズム犯罪”に指定される可能性のある行為を行った事実に関してはスペインの司法権の管轄にて処理されるべきである」と理解したものの、問題は刑法578条にある「テロリズム称揚罪」というのは、テロリズム自体には当たらないと判断したことである。最高裁はこれについてテロリズム称賛は「思想的犯罪である」として、テロ行為自体とは区別されるべきであるとの見解を示した。
そして最終的には「基本的に刑法578条の範疇に入ると思われるが、これはその行為がスペイン国内で行われた場合であって、国外での行為に関してはその限りではない。なぜならそれはテロ行為ではないからである。」との判断により、オテギ氏がフランス国内で行った3月のETA称揚発言に対する告発は不可能であるとされた。
政府与党と社会党は、この司法判断に対して「尊重する」としたものの、反対する気持ちを隠し切れないようだ。社会党PSOEのサパテロ党首は「最高裁の判断を受け入はするものの、感慨がない」、また与党PPのアレナス幹事長は「適切な判断であり、バタスナ党非合法化の障害にはならないだろう」と述べるに留まった。

刑務所飽和状態で、独房に3人収容も

スペイン国内にあるいくつもの刑務所が、現在飽和状態になっているという。刑務所制度局のアンヘル・ジュステ局長は、カタルーニャを除く所轄地域にある多くの刑務所で、規定の「業務遂行の限界」を超えた人数の囚人が服役しているという。ここでいう「限界」とは、一つの刑務所においてその半数の独房が2人の囚人に当てられているという状態のこと。
現時点で特にこの限界を大きく超えているのは、アリカンテ、ムルシア、アレシフェ、ラス・パルマス、マドリッドの五ヶ所で、特にアリカンテとムルシアの2刑務所では、ここ数ヶ月で囚人の数が激増している。ムルシア刑務所では定員450人のところ、現在服役しているのは726人で、わずか7平米の独房17室に3人の囚人を収容しているという。アリカンテでも、先週日曜日の段階で336室に1000人が収容されている。この他に、バレンシアのピカセント刑務所でも、1524人の定員の限界をはるかに超えた2500人が入居という状態で、ある職員は「囚人同士、また囚人と職員の関係が日々悪化の一途をたどっている。一人当たりの監視員の数が減ったことにより、囚人らも危険を感じてさらに攻撃的になってしまっているようだ。」と話しており、同じような状態にある他の刑務所の職員らも、囚人たちによる抗議運動により日毎に職務遂行が困難な状態になってきているという。
またこれから夏になって、2人以上で占められている独房内の温度は35〜40度にまで達すると見られていることから、状況の悪化が懸念される。刑務所制度局は現在のところ、ビジェナ(アリカンテ)に新しい服役施設をオープンすることで、少しでも現状緩和になることを望んでいる。

ワールドカップ優勝で選手一人につき48万ユーロの賞金

昨日、サッカーのナショナルチームのイエロ主将、カマチョ監督とスペイン・サッカー連盟との間で驚くべき契約が交わされた。それはワールドカップでの結果によって与えられる賞金についてである。まず8強に残った場合には、選手一人につき6万ユーロが支払われる。そして準決勝に進出すれば倍の12万ユーロ、決勝進出でさらに12万ユーロ追加、そして横浜での決勝戦で勝利し、W杯を手にすればさらに18万ユーロ支払われるというもの。もし優勝すれば合計48万ユーロが各選手に贈られる。この賞金はヘレスでの合宿中に怪我をして出場できなくなったにもかかわらず韓国まで一緒に来ているキーパーのカニサーレス選手も他の代表選手と同様に扱われる。また監督に関しては選手の2倍の報酬とのこと。この契約は数ヶ月前から交渉が行われており、W杯開幕直前の昨日、キャンプ地の韓国ウルサンで調印が行われた。
またスペイン国内では、FCバルセロナのアベラルド・フェルナンデス選手(32)とキャプテンのセルジ・バルジュアン選手(30)がそれぞれチームに涙の別れを告げた。両選手ともクラブ側からは契約の1年更新を打診されたものの、来期から監督に復帰するオランダ人のルイス・ファン・ハール氏に必要とされていないと認識し、自らチームを去ることを決意したとのこと。アベラルド選手はアストゥリアス出身で1994年スポルティング・デ・ヒホンから移籍、ファンからは“ピトゥ”の愛称で親しまれていた。13年間の選手生活のうちの8年をバルセロナで過ごした。250試合に出場、リーグ優勝、国王杯優勝をそれぞれ2度づつ経験した。またセルジ選手はカタルーニャ出身で、バルサBに所属していたが1993−94年シーズンに当時の名監督クライフ氏によって活躍の機会を与えられ、共にバルサの黄金時代を築いた。15年間バルサに在籍し、一部リーグでは9年間左サイドとしてプレーした。9つのタイトルに貢献し、キャプテンとなった。


5月27日(月)

失業者保護に関する改革令が今日発効

ホセ・マリア・アスナル首相の下、政府主導で進められてきた失業者保護に関する政令改革が先週金曜日、緊急閣僚会議で承認され、本日発効する。この新しい政令の施行にはさらに国会での承認される必要がある。この政令改革に長い間反対しつづけてきた各労働組合は依然として6月20日にゼネストを召集する意向を撤回していない。これに対してアスナル首相は「ゼネストはわが国と与党国民党(PP)に投票した有権者ら利益を損なうものである」と強く非難した。
当初政府はこの政令の発効を来年1月ごろに予定していたが、今回の閣僚会議における緊急決議に関してアパリシオ労働大臣は、「雇用と労働市場に対して有害で不確実な状況を回避しなければならなかった。雇用状況の改善に役に立たない議論を続けていても仕方がない」と弁明した。各労組および左翼政党はアスナル首相に対して今回の緊急決議を「独裁的決定」と評し、またIU(統一左翼)のガスパル・ジャマサレス書記長は昨日、マドリッド郊外のレガネスにおいてゼネストを擁護するキャンペーンを行い、「首相は失業者の権利やストライキに参加するというような民主主義的権利を否定することにより、絶対多数を占めたPPに対する全ての票を、我々の権利と対置させようとしている。」と抗議の姿勢を明らかにした。

メリジャで不法入国しようとした少年が窒息死、アンダルシア、カナリア諸島沿岸には111人が漂着

いくつもの川がモロッコからメリジャ(モロッコに隣接するスペインの飛び地)を通って海へと流れこんでいるが、雨のほとんど降らないこの地では普段、川には水がない。
これらの水のない川がモロッコからの不法入国者の国境越えの主要な場所の一つとなっており、彼らは油圧式ジャッキを使って押し広げた鉄棒の間を抜けて国境を越える。そこから昨日の悲劇が起こった。少年4人のグループが、ファラナ検問所にある川の水門から国境を越えようとした。最初の少年は無事、鉄格子をすり抜けたが、2番目の少年は抜けられなかった。救助を求める叫び声を聞いて、近くにいた国境警備の警察が現場に急行。警官を見て、仲間の2人はモロッコ側へ、1人はメリジャ側へと逃げた。
少年を助け出そうとする一方で、警察は救急車に連絡。しかし、警官たちの努力の甲斐もなく、救急車到着時、すでに少年は窒息死していた。
メリジャでは180人のモロッコ人未成年者を保護しているが、未成年者による窃盗の増加により、メリジャ市が「衣食住、医療の面では保護するが、滞在を合法化する書類は与えない」と発表して以来、不法入国は激減している。
一方、アンダルシアとカナリア諸島にモロッコから漂着した不法入国者の数は昨日だけで111人。カナリアス自治州は最高1500人までの不法入国者は保護するが、それ以上はスペイン本土へ送還することで内務省と合意しているが、アンダルシア自治州のマヌエル・チャベス氏は、当地がすでに充分な数の不法移民を保護している事を示唆、中央政府とカナリアス自治州の取り決めを“思慮のないもの”と評し、カナリア諸島からの移民受け入れの可能性を否定、カスティリャ・ラ・マンチャ州社会福祉委員も「移民法を他政党の意見を受け入れずに作成した政府は、今その尻拭いをしなければならない」と受け入れをきっぱりと拒否している。
カナリア諸島からの移民受け入れに関して中央政府と合意している自治州はなく、今のところ中央政府またはカナリアス自治州から受け入れ要請を受けた自治州もないことから、基本的人権擁護委員会(議員で構成されている行政機関と職員の監督機関)は、ラス・パルマスの市長が200人の不法移民のマドリッド行きの飛行機代を市で負担したのと同様の、中央政府、カナリアス自治州間での“秘密裏”の送還が行われることを懸念している。

マタス大臣は環境保護のための組織作りを約束

この週末スペインのマジョルカ島で、UEの環境問題の担当者らによる非公式会議が開かれた。この会議にあたりスペインのジャウメ・マタ環境大臣は、「議長国である我々が主張していることのひとつは、汚染の当事者がその代償を支払うべきである、というものである。環境を汚した者はその代償を支払い、もとの状態に戻す義務がある。」と述べた。また6月にセビージャで開催される欧州理事会に向けて、具体的な計画の提案、実行により、UE内における議長国としてのリーダーシップを発揮したい構えをみせた。
各国の閣僚らによる分科会では、ヨーロッパ国土の地盤沈下、環境汚染、オゾン層の破壊などを探知し、それらに関する情報を提供する組織の発足に向けての取り組みを決議した。また開催地となったパルマ・デ・マジョルカ市内ではこれまでで最大規模の7千〜1万人が集結し、国立灌漑計画に反対する抗議活動を行った。

ユーロビジョン歌謡祭、“ロサ”の勝利ならずも視聴率では新記録

土曜日の夜に国営チャンネルで生放送されたヨーロッパの音楽祭「ユーロビジョン」では、国内でたいへんな期待をかけられていたロサ・ロペスさんと番組オペラシオン・トゥリウンフォのメンバーは結局昨年よりもひとつ順位を落とし7位という結果に終わったが、スペイン国内で視聴者数12.755.000人、80.4%という記録的な視聴率を打ち立てたことがわかった。これによりテレビでの民間放送開始以来の最高視聴率記録を塗り替えた(スポーツ中継を除く)。これまで視聴率1位だったのは、ドラマ「ファルマシア・デ・グアルディア」の最終回。なお、2002年ユーロビジョン優勝はラトビアのマリー・Nさんが歌った“I Wanna”だった。

週末のスポーツ関連のニュース

テニス:全仏オープンがフランスのローラン・ギャロスで明日開幕。スペイン勢男子ではカルロス・モヤ、J.C.フェレーロ、アレックス・コレッチャ、アルベルト・コスタ、女子はアランチャ・サンチェス・V、コンチータ・マルティネスら総勢28選手が出場。
W杯:韓国ウルサンでキャンプ中のスペイン代表チームは昨日は一日オフ。代表監督として初めてW杯に出場するカマチョ氏は、記者会見で予定されている戦術などを発表した。韓国ヒュンダイとの親善試合で1−0で勝利したが物足りない試合内容で、いまだ調整は完璧ではないとの見方が強い。
バスケット:スペインリーグACBプレーオフ準々決勝が行われ、FCバルセロナ、タウ・セラミカ(ビトリア)、ウニカハ・マラガ、、アデコ・エストゥディアンテス(マドリッド)の4チームがセミファイナル進出。


5月24日(金)

ナバラ大学で車両爆弾テロ

昨夜、パンプローナのナバラ大学中央棟駐車場で車両爆弾が爆発、警官、守衛とその義母の3人が軽い怪我を負った。
爆発の30分前、20時33分にETAの名による匿名の予告電話がまず、バスク道路安全協会、続いてサン・セバスティアンのガラ新聞編集局に入った。この予告電話はあらかじめテープに録音されていたものとみられ、フランス語訛りの男が爆弾が仕掛けられている車の色、車種、駐車されている場所と爆発時刻を知らせたため、10分後には通報を受けた警察がその車両を発見し、ただちに生徒、職員を避難させた。駐車場所は往来の多いところで、学期末試験を控えた生徒たちが図書館や教室から出てくる時間であったが、「記録的な速さで避難がすんだため、悲劇が避けられた。」と関係者は語った。
最初の予告電話からちょうど30分後の21時3分、車両が爆発。最も被害を受けたのは中央棟内にあった守衛の家で、守衛とその義母、警官1人が軽い怪我を負った。推定20キロの爆薬を積んでいた車両の破片は500メートルの範囲にわたって飛び散った。
この爆発は建物裏側に多大な被害を及ぼし、また近くに駐車されていた車両も被害を受けた。大学によると被害額は約250.000ユーロ。警察は、防犯カメラのビデオテープの検証を始めた。
昨日のテロは、オプス・デイ(1928年創立、カトリック教会の中の組織)の大学であるナバラ大学に対するETAの5番目のテロで、ナバラでは昨年9月28日のラクンツァでのディスコ爆破以来のテロ。

港に停泊していた帆船で火災、1人死亡住民90人が避難(バルセロナ)

バルセロナ市警備隊からの情報によると、昨日の深夜1:40ごろバルセロナ港に停泊中の帆船「ラモ号」から火災が発生し1人が煙に巻かれて死亡、もうひとりが怪我をした模様。死亡したのは28歳になるオーストラリア人の女性で、けが人のほうは身元や怪我の程度などはまだわかっていない。2人ともこの帆船の乗組員で、火災発生当時船内にいたものと思われる。火災で発生した煙が周辺一帯に広がり、バルセロナ港に隣接する建物の住民約90人は近くのバルセロネタ・スイミングクラブや親戚の家などに緊急避難した。本日午前8:30現在も周辺に立ちこめた煙により、避難住民らは自宅に帰ることが出来ないでいる。
消火には19台の消防車が出動し、火災発生から7時間経った08:30現在も作業が続けられているが、この帆船が燃焼速度の遅い素材でできていることから、完全に鎮火するまでにはさらに時間がかかりそうだ。現場周辺にはバルセロナ市の公共施設や事務所などがいくつかあり、そこで働く人達も建物への立ち入りが出来なくなっている。
バルセロナ港筋によると、帆船はカリブ諸島のアンティグア・バーブーダ船籍。火災の原因などもこれから明らかになっていくと見られる。

“インターネットの父”にアストゥリアス皇太子賞

2002年度のプリンシペ・デ・アストゥリアス賞の科学技術研究部門で、昨日ティム・バーナーズ−リー博士(1955年英国生まれ)、ラリー・ロバーツ博士(37年米国生まれ)、ヴィントン・セルフ博士(43年米国生まれ)とロバート・カーン博士(38年米国生まれ)の4名が選ばれた。4人の博士らは“インターネットの父”と呼ばれる。バーナーズ−リー博士は1989年にネット上で世界のどこからでも共通の情報公開や利用を可能にしたワールド・ワイド・ウェッブ(WWW)を作り上げ、ロバーツ博士はその後“ネット”の基本となるアイデアを生み出した。セルフ、カーン両博士はインターネットでの共通プロトコールである“TCP/IP”を実用化した。
審査委員会は「インターネットが我々の時代における最も重要な技術進歩のひとるであることは言うまでもない。4名の受賞者は以前は考えられなかった科学的・社会的発展の可能性を提供し、現在も世界を変えつづけている画期的なシステムをデザインし実用化した。」と評価した。この賞の選考にあたっては、アルゼンチン、ブラジル、カメルーン、カナダ、アメリカなどから51名の候補者のなかから審査が行われた。

スペインの“ロサ”の活躍いかに、いよいよ明日ユーロビジョン歌謡祭

明日25日(土)、年に1度のヨーロッパの歌謡祭「ユーロビジョン」が、バルト三国のエストニア共和国の首都タリンで開催される。今年は24カ国が参加して、全参加国からの電話投票により順位が決定する。
スペインの代表は、一般公募でスターを夢見る若者が合宿生活をしながらしのぎを削り、社会現象にまでなったテレビ番組「オペラシオン・トゥリウンフォ」で優勝したロサ・ロペスさん。同番組で労苦を共にした5人の仲間をコーラスや踊りのバックに従え“Europe's living a celebration”を歌う。この歌謡祭の放送はTVE(スペイン国営放送)で行われるが、約1300万人が中継を見ると予想され、視聴率は最高72%まで達するのではないかといわれている。
開催前の予想投票では、一番人気はスウェーデンの3人組Afro−Dite、続いて開催国エストニア、ドイツ、英国、マルタ、デンマーク。スペインのロサさんは今のところ6番手であった。スペイン国内では彼女をはじめとする「オペラシオン・トゥリウンフォ」出身歌手のCDが長い間音楽チャートの上位を独占しているなど、たいへんな人気であるが、明日の大一番では自国民には投票できないことになっている。果たして他国からの評価はどのような結果になるかが楽しみである。
第一回目のユーロビジョン歌謡祭は1956年に7カ国が参加して開催された。74年にはスイスのアバ、88年には当時スイス代表として参加したセリーヌ・ディオンさんが優勝している。スペイン勢では68年にマシエルさん(“La-la-la”)、69年のサロメさん(“Vivo Cantando”)はともに優勝、90年にはアスカル・モレノ(5位)や翌年はセルヒオ・ダルマさん(4位)らも出場している。なお昨年のスペイン代表ダビッド・シベラさんは“Dile Que La Quiero”という曲で6位になった。


5月23日(木)

教会ろう城のパレスチナ人過激派13名のEU受け入れ始まる

4月上旬から1ヶ月以上にわたりヨルダン川西岸のベツレヘム聖誕教会に民間人やキリスト教僧侶らと共にパレスチナ人過激派が立てこもっていた問題で、イスラエルとパレスチナ自治政府との間で合意が成立した。その結果、教会内にろう城していた123人のうち、80人以上の民間人やキリスト教修道士らは解放、またパレスチナ人過激派のうち26名が自治政府監視下に置かれ、残りの13名は自治区外追放の処分を受けた。イスラエルがテロの最重要容疑者とするこれらの13人はキプロスが一時的な滞在先として名乗りをあげ、その後欧州諸国が分散して受け入れることで準備がすすめられていた。
最終的には13人のうちスペインとイタリアが3人ずつ、ギリシャ、アイルランドが2人ずつ、ベルギーとポルトガルがそれぞれ1人ずつ受け入れることになった。最後の一人は今のところキプロスに残る。昨夜はその内の7人を乗せた飛行機がマドリッドのバラハス空港に到着した。誰がどの国に受け入れられるかは安全保障の観点から公表されていないが、現時点で得られた情報を総合すると、スペインに受け入れられることになるのは、イブラヒム・ムサ・アバヤットさん、アジズ・ジュブランさん、アーマッド・ハマムラさんの3人となるという。アバヤットさんはイスラエル秘密部隊の大佐を殺害した容疑がかけられている。マドリッドに到着後、1人はベルギーに向けて昨日のうちに出発し、本日2人がアイルランド、1人がポルトガルに向かう予定。またキプロスに残されたベツレヘム地区のパレスチナ秘密部隊員アブダラー・ダウドさんの受け入れ先については候補国の間でもっとも難しい問題となっている。

ラ・マンチャ地方で家庭内暴力の加害者リストを公表

カスティージャ−ラ・マンチャ自治政府は昨日、「家庭内暴力(DV−ドメスティックバイオレンス)防止と被害者の女性を保護する法律」に関する報告書の中で、被害者の許可を得られた18人の被告に関する判決リストを公表した。報告書には、この法律が施行された2001年5月から12月にかけて裁決が下った41件の家庭内暴力裁判のうち18件について被告の氏名や判決内容を公表したが、その他の裁判については14件は被害者女性による公表拒否、6件は被害者行方不明、残る3件については被害者が未成年だったためやはり公表を控えた。また被害者や担当弁護士および判事の名前などは明らかにされていない
判決内容をみてみると、公表されたリストの中には1人も殺人罪の判決を受けた者はおらず、懲役刑に処せられたのはたったひとり、シャンパンの空ビンで妻を殴って手首の腱切断および顔面に大きな傷を負わせた罪でグアダラハラ地方管区裁判所で懲役5年の実刑判決を受けた男性だけだった。これ以外の判決は全て罰金や被害者に近づくことを禁止するなどとなっている。
今年に入ってからは同自治州内で14件の家庭内暴力事件で裁定が下りているが、このうちの11件に関しては被害者女性が次回の報告書の中で被告氏名の公表を希望しているという。この「DV防止と被害者の女性を保護する法律」に基づいて今年はカスティージャ−ラ・マンチャで夫やパートナーからの暴力に苦しんでいる女性たちを助けるための予算が400万ユーロと前年よりも多く割り当てられている。
2000年10月に法案が提出され、被告のリスト公表に当たってたいへんな論議を呼んだが、カスティージャ−ラ・マンチャ自治州のホセ・ボノ知事は「暴力を拒否する社会的環境をつくらなれればならないと考えた」と公表の必要性を強調した。
同自治州内で家庭内暴力で起訴された件数は昨年25%増、救急病院や保護施設に駆け込む女性の平均年齢は35歳。また家庭で暴力を受け始めてから平均3年で離婚・別離を決心しているが、他の自治州の女性に関しては平均9〜10年であるのに比べてかなり短い。被害者女性のうち26%は移民で、60%の女性には職がない、というデータが公にされた。州の福祉担当議員マニャス氏は、地方政府の意図はドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力)を根絶するためのあらゆる措置を「人道的・経済的に強化する」ことにある、また「家族に対して暴力をふるう者に対してはよく考えるように、また被害者の女性たちにとってはこのリスト公表が少しでも助けになればよい」と述べた。

大学生の数が2.14%減少、依然人気は経済学部と法学部

国立統計局(INE)が行った大学教育に関する調査によると、今年度スペインの大学で勉強している学生の数は1.508.116人で、2001年度に比べて2.14%減少したことがわかった。そのうちの88%にあたる1.385.899人が国公立大学、122.217人が私立大学に在籍している。
専攻分野別の学生数をみると、学士号課程では経済・経営学部が141.062人でトップ、続いて法学部(138.349人)、心理学部(56.212人)。逆に学生数が最も少ないのは、宗教学(7人)、海洋無線工学(29人)と教会法(87人)。また専門資格課程および技術課程で最も人気があるのは初等教育(92.261人)と工業技術エンジニア(63.542人)、学生が少ないのは教会学(65人)、情報処理(109人)、神学(688人)。
自治州別に学生数が多いのが、アンダルシアの258.617人、2位はマドリッド(242.419人)、続いてカタルーニャ(189.440人)という結果がでた。
また科学技術省のアンナ・ビルレス大臣は昨日、来年度から新しい給費研究生規定を設けることを公にした。その内容は、卒業後奨学金を受けて研究を続ける学生に対して、社会保険や健康保険の給付(失業時の公的扶助を除く)を行うというもの。また同大臣はこれらの給費研究生として社会保険に加入した期間が将来の年金給付の際に組み入れられるようにする、という点を強調した。さらに現在あるすべての奨学金に対する見直しも行われる予定。

スペインでの国際養子縁組が急増

社会保障省のコンセプシオン・ダンカウサ担当委員は昨日、「協力機関を通じた国際養子縁組に関する手続きマニュアル」の発表会見の中で、2001年にスペインで行われた国際養子縁組は、国内からの養子縁組に比べて約4倍となったことを公にした。この5年間でスペインに養子に来た外国人の子供の数は264%も増加した反面、スペイン人の子供の方は年間約900人という数字の域を出ないという。
養子となってスペインにやってきた子供たちの出身国は、1997年にはラテンアメリカが最も多かった。しかし手続きにかかる時間が短いなどの理由により、東欧諸国からの養子縁組が加速し、2001年には主にルーマニアやウクライナから合計1.569組が成立した。アフリカからは、5年前には一組もなかったが昨年は31人がマダガスカル、モザンビーク、モロッコを中心にスペインの養父母に引き取られた。また特筆すべきは中国からの養子縁組が2001年には27%増と急増していることである。続いてはロシア連邦からの19%増。
毎年世界中で2万人の子供達が外国人の養父母に引き取られており、中でもアメリカが国際養子縁組と65%を占めるのに対し、スペインの占める割合は17%である。
以下は国際養子縁組手続きに関するQ&A。
国際養子縁組を希望しているのですが、まず何をしたらいいのでしょう?
最も一般的な方法は、協力機関で手続きに関する情報を得ることです。
どのくらい時間がかかるのでしょう?
一組の養子縁組には1年から1年半くらいかかります。
お金はいくらくらいかかるのですか?
これらの協力機関を通した場合、養子の出身国にもよりますが、1件につき6000〜12000ユーロ(100万〜200万ペセタ)くらい。時には子供を迎えに行く旅費のほかにも諸経費が上乗せされることもあります。
法的な規制はありますか?
子供の秘密売買を防止し、適切な養父母、養子の選定を勧める1993年のハーグ協定に準じます。


5月22日(水)

政府と労働組合の交渉再び決裂、J−20ゼネストいまだ回避ならず

「不毛だ。」と労組UGTのカンディド・メンデス書記長は、昨日のアパリシオ労働大臣との話し合いをこう評した。現在政府が提唱している失業者保護をめぐる制度改革に反対する労組との交渉が5月13日には約20分たらずで決裂しているが、昨日も双方の歩みよりがないまま約1時間でお開きとなった。アパリシオ労働大臣は会議終了後、UGT、CCOO各労組の代表らに対して「労組側からの具体的な法案の提出もなく、対話の意思が見られないことを非常に遺憾に思う」と非難した。また政府案では失業者保護対策にかける予算が削減されるということはないと説明した。
これに対して労組側は、依然として改革自体を白紙に戻すよう求め続けている。そしてその要求が受け入れられない場合には6月20日にゼネラル・ストライキを召集するという考えは変わっていないと強調した。

EU諸国の中で共働きが最も少ない国スペイン

昨日、EUの統計機関エウロスタットの統計結果が発表され、スウェーデン、デンマーク、フィンランドを除くEU12カ国で10組に6組の夫婦が共働きであるのに対し、スペインでは結婚または事実婚の60%近くで、夫婦のいずれか1人しか働いていないことがわかった。2000年度の調査結果では、スペインでは子供のいない夫婦の42.2%(EU平均は60.7%)、子供のいる夫婦で43.7%(同59%)が共働きであったことから、スペインでは子供がいる、いないは共働きに関係ないことが明らかにされている。
この数字はスペインがEU諸国の中で共働きが最も少ない国であることを示しているものの、共働きしている子供のいない夫婦が30.2%、子供のいる夫婦は31.9%であった1992年度の調査結果と比べると、8年間での共働き夫婦の増加率はEUで最も高い国の一つとなっており、この増加は主に、女性の雇用が増えたことによる。
エウロスタットによると、1992年の統計開始以来、共働き夫婦の数は増加の一途をたどっている。子供の有無が共働きに影響を与えるかどうかは国によって異なった結果が出ているが、いずれの国でも、女性の教育程度が高い夫婦ほど共働きが多い。
全般的に共働きの夫婦は両方が終日労働に就いているが、例外もあり、特に子供のいる家庭では夫婦のいずれかがパート勤務をしていることが多く、その場合、パート勤務に就いているのはほとんどが女性であることもエウロスタットの結果に表われている。オランダでは、共働き夫婦の53%で女性がパート勤務、男性が終日労働をしており、イギリスの40%、ドイツの32.9%がこれにつづく。
2000年の結果によると、子供のいる夫婦の共働きが最も多いのはポルトガル(73.5%)で、次がベルギーの72.7%、イギリスの70.2%で、少ない国は、スペインの次がアイルランド(44.5%)、イタリア(46.4%)である。
子供のいない共働き夫婦の多いのはイギリス(73.1%)、オランダ(71%)、ドイツ(69.9%)で、少ないのはスペイン、ギリシャ(48.6%)、アイルランド(54.7%)となっている。

  大規模フィエスタでエクスタシーの過剰使用により若者1人死亡(バルセロナ)

死亡したのはアンドラ出身のジョセップ・B.さん(19)で、先週土曜日にバルセロナのパラウ・サン・ジョルディでのFM局Flaix主催「Megaaplec Dance」という大規模フィエスタに参加していた。このフィエスタの開催は今回で4度目、事件のおきた週の初めから「パラウ・サン・ジョルディを世界最大のディスコにしてしまおう」というキャッチフレーズで参加者を募っていた。そして金曜日の午後5時に始まり、翌日の夜中まで、約2万人の若者たちが集まった。
ジョセップさんは地元のアンドラから主催者がチャーターしたバスに乗って他の24人の若者らとともに、約300kmの距離にある会場に足を運んだ。バルセロナ市役所の発表によると、ジョセップさんは会場内で気分が悪くなり、自分で救急車を呼んだという。しかし救急車が到着したときにはすでに重症で、すぐに病院に運ばれたが、移送中に死亡した。ジョセップさんの死因はまだはっきりしていないものの、近年テクノ・フィエスタなどにおける過度の使用が蔓延している麻薬「エクスタシー」との関係がまず疑われる。今回のフィエスタの主催者FlaixFMは昨日、「このところ麻薬に関連する事件が多いだけに人々が過敏になっていることは承知しているが、現行の開催規定を大幅に上回る厳しい警戒・救急体制が敷かれるようになってきている」と放送の中でコメントした。会場となったパラウ・サン・ジョルディは、92年のオリンピックのために建設され市で運営されている。この度のフィエスタ開催にあたり、トイレや会場入り口付近など麻薬売買が比較的頻繁に行われる場所で非常に厳しい警備が実施された。
今年は3月にもマラガで行われたテクノ・フィエスタで2人の若者がエクスタシー使用により死亡している。このフィエスタに関しては警察当局も多量のドラッグ摂取があったと認めている。
また昨日は各地で警察により、エクスタシーに代表される合成麻薬の一斉取締りが行われ、ラ・ジュンケラ(ジローナ)、バラハス、マラガでオランダから密輸された麻薬類30万錠を押収した。これにより大規模な密輸の国際組織との関連の疑いで5人が、またイラン出身でデザイナー・ドラッグの不法持込および流通を指示していた男が逮捕された。この男はあるスペイン人の男性(前科なし)を通じてオランダからのデザイナー・ドラッグ密輸とその後のスペイン各地への流通を管理していた模様。またバラハス空港ではマドリッド出身の若者2人が錠剤5万錠を手荷物の中に隠し、アメリカ行きの便に搭乗しようとしていたところを逮捕された。

サアグン市にヨーロッパ最大のサンティアゴ巡礼路財団の本部設立(レオン)

レオン県のサアグンという町に、来週月曜日からサンティアゴ巡礼路財団の本部が発足する。この財団はヤコブ巡礼に関する文化的、芸術的、社会的および経済的発展を目指し設立された組織である。現在同財団では3つの具体的計画が進められている。1)ヤコブ巡礼路解釈学の中心地として巡礼のマリア聖堂を修復、2)旧ベネディクト会修道院に研究・資料センターを設ける、3)巡礼者に対する援助計画の発展。サンティアゴ巡礼に関しては、現在すでにたくさんの組織が存在しているが、これらはみな地域的、専門的に機能しているのみである。今回の財団本部ではさらにグローバルな視点から活動を進めていく考え。サアグンにある旧ベネディクト会修道院には、将来世界中で行われた巡礼に関する研究資料(博士論文、出版物、雑誌記事など)が集められることになる。また巡礼のマリア聖堂の修復後は、巡礼に関するあらゆる情報(行程、状況、歴史、モニュメントなど)が得られるようになるという。


5月21日(火)

ベツレヘムのパレスチナ過激派12人のUE内分割受け入れが行われる

イスラエル軍の包囲下39日間にわたりベツレヘムの聖誕教会に立てこもり、その後国外追放となったパレスチナ人過激派ら13人は、5月10日にキプロス島に移送され、その後の行き先などをめぐってUE内で話し合いが行われていたが、このほど決着し本日ブリュッセルにて公式発表される。ピケ外相の話によると、13人のうちスペインとイタリアが3人ずつ、ギリシャ、アイルランドが2人ずつ、ベルギーとポルトガルがそれぞれ1人ずつ受け入れることになるとのこと。最後の一人はキプロスに残る。今日にもスペイン軍のヘルクレス機がキプロスに飛び、アテネ、ローマを経由してマドリッドに戻ってくる予定。 スペインが受け入れる3人については到着後、UE閣僚会議で決定される定款に従って赤十字および警察当局の手で身柄が守られることになる。マリアノ・ラホイ内務大臣は、「彼らに対しては国際的な捜査および逮捕命令は出されていないため、身柄保護に関して警察や司法が決めるわけではない。そのため適切な方策をみつけるのがかえって難しい。」と語った。

アスナル首相と英国ブレア首相のジブラルタル交渉は前進せず

スペインのホセ・マリア・アスナル首相は昨日ロンドンで英国のトニー・ブレア首相との会談に臨んだ。現在イギリス領となっているスペイン南部のジブラルタル半島の帰属問題に関する交渉の進展が期待されたが、結局「これからも建設的、楽観的な空気の中で話し合いを続けていく」との共同声明を発表したに留まった。
両国の意見が分かれているのは、ジブラルタル半島にある英国海軍基地と半島住民による自決、また共同統治に関する協定もこの交渉の障害となっている。英国は恒久的な共同統治を臨んでいる反面、スペイン側では最終的には半島のスペインへの完全な復帰を求めている。また住民による自決に関しては、ユトレヒト条約では英国王室がジブラルタルを放棄した場合、自決なしに自動的にスペイン領となることが決められたにも拘わらず、英国は住民に対して自決を約束したことが問題となっている。
ジブラルタル半島は1704年に王位継承戦争のなかで、フェリペ5世から英国王室に譲渡された。その後1713年ユトレヒト講和条約によりジブラルタルの町とその城、港、城塞が永久に英国のものになったが管轄権だけはスペインにあると決められた。1815年に黄熱病が流行したため、英国はスペインの許可を受けて半島北部の「中立非武装地帯」(スペインの国土)に衛生施設を建設した。しかし疫病が去ったあともイギリスは立ち退きを拒否、1908年には英国による国境ラインの北上、アルヘシラス湾の埋め立てによる空港拡張など、徐々に中立地帯の侵害が進んだため、スペイン側は現在のジブラルタル領はユトレヒト条約で決められた領土範囲とは違うとして、帰属問題の交渉を求めつづけてきた。1961年に両国の間でようやく交渉が始まったがその後中断し、昨年の11月に再開された。

高速道路建設会社2社の大規模な統合が公表される

先日の有料デジタル番組2社の統合につづき、現在競争の激しい建設業界でも昨日Acesa(アセサ)とAurea(アウレア)という高速道路建設での大手2社が統合を発表した。これにより新会社はアウトストラーデ(伊)、ASF(仏)に続きヨーロッパで第3位の高速道路建設会社となる。アセサは信用金庫の最大手ラ・カイシャ・グループ、アウレアは建設会社のドラガードス・グループの傘下にある。証券マーケット委員会(CNMV)によると、これら2つの親会社の取締役会で統合が正式に承認されるのを待たなけらばならないが、新会社の株の21%はラ・カイシャ、12.2%はドラガードスが所有する見通し。スペインの高速道路建設は現在活況を呈しており、2001年には13億ユーロもの金額が動いた。

市民が親ETAメンバーを追跡し、逮捕に協力(ビスカヤ)

ビスカヤ県ベランゴに住む匿名の住民が、先週土曜日の午前10時ごろ、親ETAメンバーと見られる覆面姿の2人が町の郵便局に押し入り、客や係員に外に出るよう命じたあと、局内に火をつけた現場を車の中から目撃し、その場から逃走した犯人らを追跡した。犯人らは途中車の入れない橋を渡り、一度は見失ったが住民は迂回して再び彼らを見つけさらに後を追った。2人はその後覆面を脱ぎ捨て二輪車に乗り、森に分け入った。住民は林道で出会った警察官に報告し、市民警察は直ちに周辺を包囲、その1時間後に放火犯人を逮捕するに至った。
逮捕されたのはオルカツ・ガラステギ容疑者(19)とマルティン・エチェガライ(19)容疑者の2人。ガラサテギ容疑者には2人の兄弟がおり、1人はイランツ・ガラサテギ容疑者でETA構成員、1999年にフランス国内で逮捕され、現在は97年のエルムア市議ミゲル・アンヘル・ブランコ氏殺害容疑で起訴されている。もう1人はレスリ容疑者で、今月ETAの「マドリッド部隊」のひとりとしてやはりフランス国内で逮捕されている。エチェガライ容疑者はゲッチョーの出身。この2人の逮捕に大きく貢献した住民は証人として警察当局から保護されることが決定した。また逮捕された2人は、ポランコ裁判官に対して容疑を否定したが、同裁判官から目撃者がいたことを告げられると一瞬青ざめたという。

サッカーのスペイン代表チーム、今朝韓国に到着

一行は昨日午後、特別直行便でセビリアを出発し、13時間のフライトを経て韓国プサン空港に到着した。W杯のスペインチームの第一試合は6月2日のスロベニア戦。選手らと長旅を共にした代表チームのアントニオ・カマチョ監督は、「我々には経験が不足してはいるが、勝つつもりでこのW杯に臨んでいる」と記者団に対して語った。


5月20日(月)

地下鉄8番線延長、バラハス空港までさらに至便(マドリッド)

明日21日、アスナル首相とマドリッド州ガリャルドン知事を迎えて地下鉄8番線のマル・デ・クリスタルとヌエボス・ミニステリオス間の開通式が執り行われる。延長されたのは、マル・デ・クリスタル−コロンビア−ヌエボス・ミニステリオスの5,4km区間。
しかしなんといっても今回のインフラ整備の目玉は地下鉄路線の中心からバラハス空港まで直行できるようになったことである。ヌエボス・ミニステリオスは明日より6、8、10番線の各地下鉄路線に加えて数本の国鉄(セルカニアス)が乗り入れ、タクシーや自家用車180台分の駐車場完備、さらにはAENAの運営による36の空港チェックイン窓口を備えた一大複合施設として生まれ変わる。
このチェックイン窓口ではバラハス空港から搭乗する旅客に対し、荷物の預かりや搭乗券発行などすべての搭乗手続きを行い、旅客はその後地下鉄に乗りおよそ15分で空港に到着して直接搭乗口へと進むことができるようになる。また広いホールと動く歩道などにより、複雑な路線の乗り入れによる混雑を解消できる仕組みになっている。新たに設置されたのは、エスカレーター36台、動く歩道(傾斜式も含む)12本、エレベーター16台、地上からの入り口が9ヶ所など、総額23億6千8百万ユーロ(394億ペセタ)を投入してようやく完成に至った。さらに最新のテクノロジーを備えた車両8000シリーズも採用された。この車両は世界で唯一火災探知機を装備していることが大きな特徴で、最高時速110キロでの走行が可能。また旅客がチェックイン時に預けた荷物の運送は完全密閉式のワゴンで行われる。

UE−ラテンアメリカサミットに対する反対デモが行われる(マドリッド)

40カ国以上の政府首脳が集まったUE−南米カリブ首脳会議が昨日閉幕した。それに伴い昨日は反グローバリゼーションを掲げた大規模なデモがマドリッド市内で行われた。このデモはFST(大西洋横断社会フォーラム)の呼びかけで70余りの団体が参加して行われ、主催者側の発表では10万人(警察発表では7千人)が集まってコロンビアの国内問題の解決、キューバに対する制裁解除、パレスチナ擁護などが謳われた。参加した左翼政党IUのガスパル・ジャマサレス書記長は「サミットはラテンアメリカの貧困にとってなんの解決にもならない。今回このサミットにはチャべス氏やカルドソ氏らが現実問題を突きつけたが、反グローバリゼーション運動はもっと南米市民にわかりやすい提案をしている」と語った。農業組合COAGは「毎年ヨーロッパでは30万人の農民が廃業に追い込まれている。UEの農業政策は貧しい国々の市場に余剰品を発生させている」と抗議した。デモ行進は昼の12時にアトーチャ広場を出発し、プラド通りからグランビアへ進んで午後2時30分にスペイン広場に到着した。そこでFSTの代表者らが「ニューリベラル政治を倒すためには今日我々がしたようなデモしかない。」またコロンビア政府に対しては、「テロリズム推進」、「国際組織や多国籍企業、対外債務などが我々の社会に貧困を押し付けている。」と厳しく非難する声明を発表した。

アスナル首相はジブラルタルの英国との共同統治協定に関する大詰め交渉に臨む

スペインのホセ・マリア・アスナル首相は今日、英国のブレア首相と会談し、ジブラルタルの将来について進めてきた交渉に最終決着をつけるためにロンドンに向けて出発した。アスナル首相は本日イギリス到着後、オックスフォード大学の聖アントニーカレッジで「これからのヨーロッパを築く」というタイトルで講演を行い、その後夕食会が持たれる。
今日のイギリス訪問に先立って、両首相は先週金曜日にUE−南米サミットの席で短い会話を交わすことができたようだ。しかしロンドンで行われる予定の昼食会では2人の間でジブラルタルに関する幅広い意見交換が行われるものと期待されている。ヨーロッパ最後の植民地といわれるジブラルタルについては、昨年の11月に西英間の合意に向けた話し合いが始まったが、この長く続いた係争は、欧州連合、NATOの同盟国である両国の関係にとってすでに重荷となっているのは明らかで、数項目の協議と調印を残すのみという最終段階に達している合意交渉をまとめることができるかが今回両首脳の手腕にかかっている。今回の会談で話し合われるのは、主に1)ジブラルタル領の帰属定款、2)英国軍基地の将来、3)住民の合意に対する有効性の認識能力、の3項目。

週末のスポーツ関連のニュース

サッカー:二部リーグのラシング・デ・サンタンデールとレクレアティーボ・デ・ウエルバが一部リーグ昇格決定。ハエンとエストゥラマドゥーラはセグンダBに降格決定。
ハンドボール:国王杯決勝でアデマール・レオンがシウダー・レアルを31−28で破り優勝。長い間FCバルセロナの独壇場だったスペイン・ハンドボール界において、この3年間でアソバル杯(1999)、リーグ戦(2001)、そして今年の国王杯優勝と3回の「奇跡」を演じた。
二輪ロードレース世界選手権(ル・マン):250ccクラスでフォンシ・ニエト選手が優勝。世界ランキングでも現在トップ。125ccクラスではペドロサ選手が3位。
サッカー・ナショナルチーム:バレンシアのゴールキーパー、カニサーレス選手がW杯に向けた最終キャンプ中に割れたオーデコロン瓶の破片で右足親指の腱を切り怪我。これによりワールドカップには出場できなくなった。2番手のカシージャス選手(R.マドリッド)に白羽の矢が。代表チームは本日韓国ウルサンに向けて出発する。


5月17日(金)

ETA「マドリッド部隊」メンバー逮捕後の捜査続く

14日の火曜日にマドリッド郊外のバジェカ地区で2人のETAメンバーが逮捕され、家宅捜索や取り調べなどが進んでいる。同地区のピアモンテ通りのアパートからは、PP、PSOEの議員、官報に掲載された最新の国家警察官の昇進名簿、ジャーナリスト、裁判官、実業家など約1400名に及ぶ名前の記載された標的リストが押収された。そのうちの30人に関しては、住所や車のナンバーなど詳しい個人データが書かれていた。同様にUE−南米カリブ首脳会議前に2人の警察官を襲撃・殺害するための手順書も見つかった。台所にかけてあったカレンダーの書き込みなどから、マドリッド部隊のメンバーらは今年2月ごろからこのアパートに潜伏していたものと見られている。標的リストにある人物に関して、雑誌や新聞などで最新情報を得ていた模様。
また現在逃走中のもうひとりのマドリッド部隊構成員バルビーノ・サエス・オラーラ容疑者が借りていたアパートがやはりバジェカ地区に存在するものとみて、さらに捜査が続けられている。
15日水曜日にフランス南東部、リヨン市の近くで別のETAメンバーが逮捕されている。イスマエル・ベラサテギ・エスクデロ容疑者(32)、昨年12月18日の仏常駐部隊「ベオルブル」の壊滅作戦の際に逃走したメンバーで、水曜日に“Ziriak”と呼ばれるETAが車のドアを破壊するのに使う爆破装置を用い、1台のルノー19を盗もうとしていたところを現行犯逮捕されたもの。逮捕時ベラサテギ容疑者はピストルと「ウナイ」という名前の偽造IDを所持していたという。この人物は昨年マラガ空港、ゲッチョー地区(ビスカヤ)、ガンディア(バレンシア)、サロウ(タラゴナ)、マドリッド・バラハス空港に車両爆弾を仕掛け、また昨年5月6日にサラゴサでマヌエル・ヒメネス・アバッド、アラゴン州PP代表殺害に加わったと見られている。逮捕時にはもうひとりのメンバーが一緒にいたが、第三者が運転していた別の車両でその場から逃走した。
逃走中のメンバーの捜索、および「マドリッド部隊」の機能や行動などこれからさらに捜査が進んでいくと思われる。

5階建ての住居が一部倒壊し2人死亡、2人が怪我(バレンシア)

死亡したのはアンドレス・バリエンテさん(40)とロレス・ブリサさん(17)。現場はバレンシア市内にあるアルマッセラ地区。ロレスさんは近所の知り合い宅でお茶を飲んだ後、この建物地上階にある洋服店に母のローラさん、妹のロシオさんとともに入った。店員のペピカさんが店の玄関を掃除するために外に出た時、突然天井が崩壊し店内は瓦礫と厚い埃に覆われた。消防、警察、救急や近所の人などの手で、瓦礫の下に首まで埋まっていたロシオさんが救助された。母親は足に怪我をした程度だった。しかし3階の住人でベッドに寝たまま崩れた床と共に落下したアンドレスさんと、店内にいたロレスさんは20トンもの瓦礫の下敷きになって亡くなった。
市役所の建築家ホアキン・トランさんは、この建物は築40年で湿気により建物の構造が弱くなっていたのではないかと見ている。住民らの話では、この建物は6年前にもバルコニーが崩壊、また3年前には4階住宅の風呂場の床が崩れて階下まで被害があったという。設計・建築は民間の会社が行っており、これから技術的な報告がなされる見通しである。

レアル・マドリッド凱旋帰国、市内各地でパレードや祝賀会が行われる

サッカーの欧州チャンピオンズリーグで見事優勝したレアル・マドリッドが、昨日試合が行われた英国グラスゴーからスペインに凱旋帰国した。バラハス空港に到着した飛行機の操縦席の窓にはレアルのチーム旗が下がり、機内から優勝カップを頭上に掲げたキャプテンのイエロ選手を筆頭に続々と選手、関係者らがタラップに姿をあらわした。クラブ創立100周年を迎えた年に欧州杯を手に入れたことで、祝賀ムードは大変な盛り上がりを見せた。到着後2階建てバスにのって市内をパレード、沿道はチームの100周年記念シャツを着たファンや選手らを一目見ようと集まった市民で溢れた。バスはプエルタ・デル・ソルに到着し、選手らはマドリッド州政府の庁舎のバルコニーから、集まった5000人の市民に優勝の報告をした。その後市役所を経て、アルムデナ大聖堂でロウコ大司教から祝福を受け、マリア像なマントにキスをしたり、神父らにサインを求められたりしていた。その後シベレス広場では数千人の観衆がお祝いに駆けつける中、ラウル選手を始め各選手らがが噴水の中心にある女神像にのぼり、最後に一行はようやく8万5千人の待つサンティアゴ・ベルナベウ・スタジアムに入場し、花火が次々と打ち上げられ盛大に祝勝会が催された。

内務省はカナリア諸島の移民過剰の際に半島へ移送することを承諾

政府の外国人・移民担当エンリケ・フェルナンデス−ミランダ氏は昨日、カナリアス自治州に対し、カナリア諸島においてアフリカからの不法移民が1500人を超えた場合に半島へ移送することを約束した。昨日の時点ではすでに合計1100人の不法移民が各島に収容されている。現在も収容施設の改装や建設が行われており、最終的には1500人まで収容できるようになるという。会談終了後カナリアス自治州の社会問題担当議員マルシアル・モラレス氏は「移送の方法や場所などに関して合意に至ったが、現時点では公表できない」と語った。

マドリッド市内で、作業中の事故相次ぐ

昨日の午前8時30分ごろ、マドリッドの国道M−45を瓦礫を積んだトラックが走行中に、車道を外れて横転した。運転手のミゲル・ロペス・ゴメスさん(44)は首の骨を折って即死した。モロッコ人の庭師、ドリース・アル・ムサウィさん(46)は午前10時20分ごろ、マドリッドの市街地ポスエロ・デ・アラルコンにある交差点で、石膏の根付を施した木を運搬しようとした際に、幹を支えていたロープが手元からすり抜け、倒れてきた木に頭部を押しつぶされて即死した。また、サンティアゴ・ベルナベウ・スタジアムで工事をしていた38歳になる工事作業員の男性が、5階に相当する高さから落下して重体となっている。


5月16日(木)

サミット直前のマドリッドで車両爆破を企てていたETAメンバー逮捕

火曜日にマドリッドの郊外バジェカ地区で道路に駐車中の車両を爆破しようとしていたと見られるETAメンバーのうち2人が逮捕され、もう1人はその場から逃走したという事件があった。逮捕されたのはインマノール・ミネル・ビジャヌエバ容疑者とミケル・ギジェルモ・サン・アルヒミロ容疑者。一時は壊滅したと見られていたETAの「マドリッド部隊」が依然として機能していることが明らかになった。逮捕後の家宅捜索などで、バジェカ地区中心地のピアモンテ通りにあるアパートの一室および車内から合計225kgに及ぶダイナマイト、水銀の入ったガラス容器、時限発火装置、リモコン一式、携帯電話に内蔵された爆破装置などが押収された。明日から始まるUE−南米首脳会議を前に警察当局による警備体制が敷かれていた最中の出来事であった。マドリッド州政府のアンスアテギ代表は「今回彼らは人々を恐怖に陥れようとしたのではなく、首脳会議開催の枠組みの中で確実に殺人を狙っていたのではないか」と語った。また昨日はギプスコア県で「ドノスティ部隊」構成員と見られる6人とフランス国内でも1人が逮捕されている。

「歓喜の歌」R.マドリッド、9度目のヨーロッパ杯

サッカーの欧州チャンピオンズリーグ決勝戦は、昨日英国のグラスゴー、ハンデン・パークで行われた。決勝に進出したのは、CL史上最多の8回の優勝経験をもつスペインのレアル・マドリッドと決勝戦初出場のドイツ、バイエルン・レバークーゼン。
両者ともに互角の戦いぶりを見せ一旦は1−1の同点となったものの、前半終了間際にロベルト・カルロスのパスを受けたジダンが鮮やかなボレーシュートを決め、2−1とリードした。後半バイエルンも奮闘したが、64分にルシオとぶつかり足の甲に怪我をしたキーパー、セサルに代わって登場したカシージャスがいくつものシュートを見事に阻止するなど、堅い守りで逃げ切った。
試合終了直後、レアル・マドリッドの選手や関係者らは歓喜に沸いた。最初に優勝カップを手にしたキャプテンのイエロは、吠えるように大きく口を開けて頭上に高々と差し上げた。今季セサルに押されて出番が少なく、辛い時期を過ごしていたカシージャスはこの大一番でスターとなり、普段はひとつしかないゴールキーパーの席だが、昨日はこの二人に対して同様に歓喜の声が降り注がれた。カシージャスは泣きじゃくりながら、セサルの元に駆け寄って喜びを分かち合った。ラウルは大きなスペインの国旗で観客席に向けて、闘牛士ばりの見事なムレータさばきを披露した。最優秀選手に選ばれたジダンは「幸せです」と控えめながらもようやく欧州杯を手にした喜びを、ロベルト・カルロスは「決勝戦が緊迫した試合だったので、かえって喜びが大きい」とそれぞれインタビューに答えた。
マドリッド市内は前日からこの決勝戦の話題で持ちきり、試合中もレアルのゴールが入るたびに通りで車のクラクションが鳴ったり、花火が上がったりした。スペインからは大勢のファンクラブ会員らがグラスゴーに駆けつけたが、空港でオーバーブッキングなどにより目的の飛行機に乗れなかった人達が52人いた。

レアルの優勝決定直後から、マドリッド中心部のシベレス広場には約30万人のファンらが駆けつけ、たいへんなお祭り騒ぎとなった。女神像のある噴水周辺には二重にバリケードが敷かれ、モニュメントに傷がつかないように守られていたが、午後11時45分ごろから過激派ファンらがガラス瓶、缶、石などをむやみに投げつけ始めた。中にはかなり年少のグループもいたという。警察官や機動隊が制止しようとしたが興奮状態は過激さを増すばかりで、午前0時30分ごろには火のついた打ち上げ花火を水平に放り投げたり、交通標識をへし折るなどの行為が見られた。出動した国家警察の装甲車の後部にも打ち上げ花火が当たり、2ヶ所に穴が開いた。広場に繰り出していた人々は近くの地下鉄の出口に避難するなどしたが、機動隊と「ウルトラ・スール」を始めとする過激派サポーターグループの衝突はなおも続いた。これによりCNN+の報道カメラマンが投石により歯が折れるなど、35人が軽い怪我をし、同広場に設置されていた救急テントで治療を受けた。

第二回欧州連合−ラテンアメリカ・カリブ諸国首脳サミットあす開幕

UE15カ国とラテンアメリカ・カリブ諸国の首脳が集まるサミットを明日に控え、会場となるマドリッド市内では警備体制の強化が進んでいる。このサミットの第一回目は1999年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた。1990年から2000年までの間にヨーロッパからメルコスール(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)を始めとするラテンアメリカへの輸出額は約3.2倍に増え、輸入の方も約1.8倍増と貿易は日増しに盛んになっている。ラテンアメリカ・カリブ諸国からの輸入品のうち、20%は農産物が占める。UEはこれらの地域への投資額が最も多く(2000年は380億ユーロ)、ラテンアメリカに対する援助では世界の60%を占める。
欧州委員会は今回の主な議題を11項目に分けている。1)国際司法における協力体制の強化、2)人権擁護、3)女性の社会進出、4)自然災害対策、5)麻薬や武器密輸対策、6)商業的流通の拡大、7)教育・研究における協力、8)経済及び投資システムの確立、9)情報社会の発展、など。会議には40カ国以上の政府代表が集まり日曜日まで開かれる予定。


5月15日(水)はサン・イシドロの祝日のためトップニュースはお休みです。


5月14日(火)

政府と労働組合の話し合い難航、ゼネストの可能性消えず

政府が提唱している失業者保護制度の改革をめぐる政府・労使代表間の話し合いが暗礁に乗り上げた。昨日労働組合CCOOとUGTは、政府の雇用担当フアン・チョサス氏との話し合いの場に臨んだが、改革案の取り下げを要求する労組側と、それを拒否する政府との間で全く折り合いがつかず、会合はわずか20分で切り上げられた。労組側は、このまま政府が取り下げ要求に応じない場合は、6月20日に予定されているゼネスト敢行も必至との考えを明らかにした。しかし政府は労組側が一切の代替案を提示しなかったことを非難し、依然として交渉を続けていく方針を明らかにした。UGTのアントニオ・フェレール書記長は、チョサス氏との昨日の会合を「失望的なものだった」と語った。ゼネストに突入するかどうかは、今月23日に行われるUGTとCCOO両労組の幹部による会合で決められる。総括雇用法の法案は、現在各自治州の労働委員会の手で検討が進められており、カルロス・アパリシオ労働大臣は、労組側が交渉の打ち切ったとしても「システムの近代化においては障害とはならない」との見解を示した。
政府案の主な項目は、1)職場に近い(50KM以下または往復で3時間以内)ところにふさわしい住居が得られる場合には、それをその人に適した仕事とみなす。2)適切とみなされた仕事や研修のあっせんを3回拒否した場合には、公的扶助の対象外とする。3)農村雇用計画(PER)の廃止。4)解雇が不当なものであるかの裁定中に支払っていた退職一時金の廃止(不当解雇の決定が下った時に初めて支給される)。
また 労働組合側の主な要求事項は、1)保護されるべき失業者の枠を拡大する。2)45歳以上や扶養家族のいる失業者などに対する援助の拡大。3)労働契約の種類別に公的扶助の拡大。4)大家族やひとりで多くの扶養家族を養わなければならない労働者への配慮、などである。

抗生物質の処方減少、しかし依然UE内では2位

スペインでは痛みを抑えるためなどに用いる抗生物質の飲みすぎが問題となっているが、このほどスペイン医薬品局が発表した調査結果によると、1996年以降国内での抗生物質の使用は全般的に減少していることが明らかになった。これまでスペインは欧州連合(UE)内で最も使用率の高い国のひとつであることが懸念されていたため、今回の結果は好ましいものであると言える。これらの調査結果を雑誌「メディシーナ・クリニカ」に掲載した研究者らは「これは公共機関などが、、病原菌の繁殖力を抑えるために抗生物質を正しく利用ようという教育的キャンペーンを張った効果」と説明している。
この調査は国立健康計画が1985年から2000年の間に発行した抗生物質の処方箋をもとに行われたが、この期間に国内のすべての自治州において発行数は減少している。しかしながら、実際に利用されることが多い自己投薬(処方箋なし)や私製の処方箋による抗生物質の服用などは調査対象に含まれていない。
市場に流通する抗生物質の種類は、1985年には104種類、2000年には85種と全体的に減少している。この16年間で42種は流通を停止し、新たに23種類が認可された。もっとも頻繁に利用されているのはペニシリンで、上記の期間中に使用された抗生物質の約半数にあたるが、やはり段階的に減少してきている。服用が最も多かったのは1995年で、人口1000人あたりの一日の服用量(DHD)は23,1、逆に最も少なかったのは2000年でDHD20,4である。この16年間の平均DHDは21,6。
自治州別にみると1985年には、抗生物質の服用量が最も多かったのはエストラマドゥーラ(27,5)、ムルシア(27)およびカスティージャ・ラ・マンチャ(26,7)で、反対に最も少なかったのはセウタとメリージャ(それぞれ9,5と9,8)、カナリアス(15,3)、ガリシア(15,9)。そして2000年を見てみると、依然としてムルシア(26,2)とエストラマドゥーラ(26,2)およびラ・マンチャ(24,3)とベスト3を占めており、服用量の少ないのはやはりセウタとメリージャ(11,7と15,4)、そしてバレアレス(15,9)、マドリッド(16,4)。研究者らは「スペインでは老齢人口の割合や処方箋に関する習慣の違いなどから、各自治州によってDHDに大きな差がある」ことを指摘している
欧州連合15カ国の中では、国によって最高で約3,5倍の差が見られる。1997年の英国医療統計では、DHD値が高いのはフランスの36,5とスペインの32,2。これに対してオランダでは8,9、デンマークでは11と非常に低い数字となっている。全体の傾向としては、EU南部(フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー、ルクセンブルク、イタリア、ギリシャ)で比較的抗生物質の服用が頻繁に行われており、逆に北部(フィンランド、アイルランド、英国、オーストリア、ドイツ、スウェーデン、デンマークとオランダ)では少ないといえる。しかしこの傾向は疫学的な理由というよりも、文化・習慣的な違いが反映されていると見られている。

いよいよチャンピオンズリーグ決勝戦、R.マドリッドはグラスゴーに到着

サッカーの欧州チャンピオンズリーグの決勝戦レアル・マドリッド対バイエルン・レバークーゼン(ドイツ)の試合が明日、グラスゴー(スコットランド)で行われる。ビセンテ・デル・ボスケ監督率いるR.マドリッド選手団は、昨日夕方グラスゴーの空港に到着した。空港にはレアルのユニフォームを着たスコットランドの少年達やたくさんの熱狂的ファンがつめかけ、選手らは警察の誘導により空港の側面出口より外に出た。一行は郊外の緑に囲まれたホテル、グレドッチ・ハウスに宿泊し、大一番に向けて集中力を高めている。試合は明日15日のスペイン時間の20:45から。


5月13日(月)

教育資質法案の検討はじまる

先週金曜日、大学以外の教育システム改革を基本とする「教育資質法」の最終法案が閣僚会議にかけられ、現在国および各自治州の教育審議会で検討が進められている。この法案の骨子は以下の通り。
幼児教育課程:就学前課程(0〜3歳)と幼児教育課程(3〜6歳)のふたつに分ける。後者は無償で、外国語の一教科が含まれる。
小学校:6歳から12歳までの生徒を2年ごとの3課程に分ける。自動的に進級するシステムに変更はないが、留年は一度だけ認められる。
新教科:歴史的、文化的観点から宗教現象を学ぶ「宗教の代替科目」の設置。この科目は進級には影響しない。
分野別教育:中等義務教育(ESO)の3年次(生徒の年齢15歳)に進路別に2つの分野にわけて授業を行う。ひとつは「技術」もうひとつは「科学−人文」。さらに4年次には「技術」「科学」「人文」の3分野に分かれる。進路の決定は生徒と家族によって行われ、変更も可能。
留年制度:ESO(12〜16歳)では3科目またはそれ以上の科目に落第すると、留年することになる。留年は学年ごとに一度だけ認められる。
高校(バチジェラート):この課程(16〜18歳)では2回の留年が認められ、進路別に「芸術」「科学・技術」「人文・社会科学」の3つのコースに分けられる。
卒業試験(レバリダ):高校卒業の資格を得るためには、卒業試験(仮称PGB)に合格しなければならない。大学に進学するのに必要な試験で、これには4回まで挑戦することができる。

このうち、生徒たちの間で最も論議を呼んでいるのが「卒業試験」である。すでに大学進学の際に受験しなければならなかった「セレクティビダー(共通試験)」が廃止されたものの、この法案が通過すれば、高校の卒業試験と各大学で行う選考試験のふたつを受験しなければならなくなるからだ。また保護者らは、進路別教育により成績の悪い生徒の可能性を狭めてしまうのではないかと不安を抱いている。野党や労働組合は、この法案が落ちこぼれ対策にとって逆効果であり、また卒業試験は大学進学を希望する生徒にとって障害となるものと指摘した。

ワールドカップの出場選手リスト発表される

スペイン時間の今日午後3時、サッカーのスペイン・ナショナルチーム監督ホセ・アントニオ・カマチョ氏より、日韓で共同開催されるサッカーの2002年ワールドカップに出場する代表選手のリストが以下の通り公表された。(カッコ内は年齢と所属クラブ)
GK:カニサーレス(32、バレンシア)、カシージャス(20、R.マドリッド)、リカルド(30、バジャドリード)
DF:C.トーレス(25、バレンシア)、プジョール(24、バルセロナ)、イエロ(34、R.マドリッド)、ナダル(35、マジョルカ)、フアンフラン(25、セルタ)、ロメロ(26、デポルティーボ)
MF:メンディエタ(27、ラツィオ)、アルベルダ(24、バレンシア)、バラハ(26、バレンシア)、エルゲラ(27、R.マドリッド)、セルヒオ(25、デポルティーボ)、デ・ペドロ(28、R.ソシエダー)、バレロン(26、デポルティーボ)、ホアキン(20、ベティス)、L.エンリケ(32、バルセロナ)、シャビ(22、バルセロナ)
FW:ラウル(24、R.マドリッド)、トリスタン(26、デポルティーボ)、モリエンテス(26、R.マドリッド)、ルケ(26、マジョルカ)

選抜された代表チーム選手は、15日からモンテカスティージョ(ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ)で合宿を行う。レアル・マドリッドの選手については、当日チャンピオンズリーグの決勝戦があるため、試合後に合流する。その後5月20日にはセビージャのサン・パブロ空港より、大会期間中のキャンプ地となる韓国ウルサンに向けて出発する。第一次予選の対戦相手はスロベニア、パラグアイ、南アフリカ。

ジブラルタル海峡で92人の不法移民を逮捕

市民警察は昨日、ジブラルタル海峡周辺でスペイン国内に不法入国しようとしていた92人を逮捕した。この取締りは2回にわけて行われ、まずアルヘシラスからタリファ(カディス)の海岸付近に上陸しようとしていた59人を逮捕した。彼らはサハラ以南およびマグレブ地域の住民で、中には妊娠中の数人を含めた22人の女性がいたという。この逮捕から数時間後、タリファの海岸で16人の女性と幼児1人を含む33人のサハラ以南地域からの移民らが当局に身柄を拘束された。またカナリア諸島では、この週末に162人の不法移民が逮捕、セウタでは少年保護施設を逃げ出した40人のモロッコ人少年のうち13人がこの2日間で警察により発見、保護された。
マリアノ・ラホイ内務大臣は、昨日エル・パイス紙に掲載されたインタビューのなかで、「時として移民の過剰流入が差別を生み、その差別により犯罪が引き起こされることがあると言えるのではないか。移民は制限なく受け入れられるのではなく、法律で定められたメカニズムを通じて行われるべきである。これによって、移民としてスペインにやってくる人々や、彼らの同化のために努力するスペイン社会にとって有益となることが多い」と述べた。

この週末、マドリッド州内で24時間に4件の死亡事件

たった24時間の間に4件の死亡事件がおきた先週末のマドリッドでは、市民生活の安全確保に関する新たな議論を生み出すことになりそうだ。
フエンラブラダでバルを経営していたセラフィンさん(53)は昨日の明け方、胃部に8発の銃弾をうけて職場で死亡しているのを、タバコを買いにきた客によって発見された。警察当局は、現場のバルでは金銭が取られた形跡がないことから、殺人の動機は盗みではないとして、捜査を進めている。セラフィンさんはこの週末、マドリッド州内でたった24時間のうちに連続発生した4件の死亡事件の最後の被害者であった。この事件以前には、52歳の男性と26歳と23歳になる2人の息子が彼らを追いかけてきた何者かにプラガ橋の下で銃で撃たれ、父親と兄が死亡した。弟は重傷である。またアルコルコンでは大規模な乱闘の最中に、36歳になる男性が野球のバットのようなもので殴られ死亡した。5月4日にバジェカスで夫婦と赤ちゃんが殺害後に焼却されたとみられる事件も含めて、マドリッド州内では今月に入ってからわずか12日間で7人、年初からのトータルでは22人が暴力事件の被害にあって死亡したことになる。
これを受けてマドリッド州知事のルイス・ガリャルドン氏は昨日、「このところの市民の安全な生活を脅かす犯罪の手口はある程度決まっているため、問題は数ではなく、犯罪内容に対する知的解決法を見出していくことが必要」と述べた。この発言に対して社会党PSOEは、知事の安全政策の乏しさを言語道断と非難し、マドリッド州の組織的犯罪対策計画のさらなる充実を求めた。


5月10日(金)

ビア・ディヒタルとの統合発表で、ソヘカブレの株価急騰

昨日のスペインの株式市場IBEX35では、国内最大手の有料テレビ局ソヘカブレとビア・ディヒタルの統合発表を好感した買いが大きく進んで、ソヘカブレ株が一時16,25%、最終的には15,15%(3,42ユーロ)の高騰を記録し、昨日一番の上げ幅を記録した。終値は26,00ユーロ。さらにこれを受けてソヘカブレを所有するPRISAの株価も7,25%の値上がりを記録した。午後2時の閉会前に証券マーケット委員会(CNMV)から取引停止の介入があるまで、活況が続いた。ビア・ディヒタルの親会社であるテレフォニカの株は一時3%の値上がりを示したが、結局0,27%の伸びに留まった。この統合によりソヘカブレの23%の増資が行われることになっているが、もし仮に現在のビア・ディヒタルの株主(テレフォニカ、テレビサ、RTL、メディア・パーク、ディレクTVおよび独立局など)すべてがこの増資に加わるとすれば、PRISA、仏カナル・プルス、テレフォニカ系列のアドミラ、それぞれの持ち株比率は予定されていた23%から最低16,38%にまで落ち込むことが予想される。
ソヘカブレとビア・ディヒタルの統合は、4年前テレフォニカのビジャロンガ社長時代にも、50%という持ち株比率で一度行われようとしていた。CNMVは昨日、新会社の資本の77%は旧ソヘカブレ、残りの23%は旧ビア・ディヒタルに属するという見解を示した。株式交換は新たに発行されるソヘカブレの約2890万株を全ビア・ディヒタル株主に分配することで行われる。新会社の社長はテレフォニカが選任、PRISAと仏カナル・プルス・グループはからは取締役が選出される。

サッカーの急進的サポーターの取り締まり計画本格化

ここ数週間の間に、リーグ終盤を迎えたサッカーの試合会場やその周辺などで、急進的なサポーターら(ウルトラス)の暴力行為や危険行為が頻発している。このような行為の予防および取り締まりの方策を探るために、昨日内務省のマリアノ・ラホイ大臣とスポーツ上級委員会(CSD)のゴメス・アングロ委員長、サッカー連盟のビジャール会長、プロ・サッカーリーグ会長のトマス氏らが集まり会合を開いた。終了後の会見でラホイ内務大臣は、ウルトラスの行動に制限を設け、暴力を根絶するための対策を協議する委員会の設置を発表した。この委員会はスポーツ関係の組織の代表者や有識者らによって構成され、7月31日をメドに対策案を決定し提出する予定。
委員会で協議されるのは、以下の7点。
1.新しい暴力行為に関する類型定義
2.罰則の段階の見直し
3.テロリズム称賛や外国人排斥、人種差別などのシンボルを掲げたプラカード等の違反行為定義の見直し
4.スポーツ開催における安全対策
5.スタジアムおよび周辺の警備強化
6.効果的管理組織(UCO)を機能させる
7.罰則を受けているサポーターに対して、スポーツ施設への立ち入りを禁止し、試合が行われる間、警察署などに出頭させることができるようにする
このうち最後の項目については、すでにイギリスで実施されているとラホイ大臣から説明があり、警察や裁判所への出頭命令を下せるのは裁判官に限られているとの理由から、スペインでも法的措置を検討したい考え。しかしながら、5月1日のレアル・マドリッド対バルセロナの試合でサンティアゴ・ベルナベウスタジアム周辺で破壊行為などを行い逮捕された9人は全員がすでに釈放されていることから、取締りの対象となるサポーターらのうち、刑務所に収監されるのは最終的にわずか10〜11%であろうとの悲観的予測を示唆した。
またUCOの機能について、カニージャス地区管轄の警察に所属する組織で、主にサッカーの1部および2部リーグの全試合の防犯ビデオを保管・管理するというものであると語った。UCOは3年前にアスナル首相によって創設されていたが、これまで予算不足によりその機能を果たしとことはなかった。この点についてラホイ大臣は、スペイン・サッカーリーグが機能維持のための予算300万ユーロを支出しなかったことが原因をリーグを非難した。しかしリーグ側では、この金額は両リーグの各スタジアムの周辺施設や防犯カメラの設置のために支出した1億8千万ユーロに含まれていたと反論した。次回の会合では、各クラブに対し経済的な援助を求める方針。今のところ、政府が年間約1200万ユーロの支出を行っている。


5月9日(木)

スペイン人の食生活調査―地中海式の健康的な食事を心がける人増える

このほど行われた国民の食生活に関する調査で、スペイン人は全体的な食事の量は増えているものの、脂肪や糖分を控えてフルーツや野菜、魚などを中心とした昔ながらの「地中海式ダイエット」と呼ばれる健康的な食生活に留意している人が増えていることがわかった。また少々値段は張っても、原産地呼称(D.O.)に認定されていたり、品質が保証されている商品を購入する傾向にあるようだ。
昨日農業省のミゲル・アリアス・カニャテ大臣から発表された食料品消費パネルによると、昨年1年間で国内で食料品や飲料購入に充てられた金額のトータルは約614億4千万ユーロ(10兆2千億ペセタ)で、2000年の合計に比べて8,3%増加した。これに対し、実際に消費した量は1,5%の伸びに留まっている。国民一人当たりの計算では1.114,85ユーロ(185.495ペセタ)で前年比9%増。ホテルやレストランでは5%増となっている。
各項目についての調査結果は以下の通りである。

2000年よりも多く消費した食料・飲料品は?
オリーブオイル(35%増)、野菜類(14%)、魚類(9%)、調理済み製品(8%)、原産地呼称ワイン(7,3%)、菓子パン・ケーキ類(5%)、フルーツ類(3,5%)、肉類(1,3%)
消費が少なくなったものは?
テーブルワイン(−10,6%)、牛乳(−2,3%)、乳製品(−1%)
一人当たり最もお金をかけた製品は?
肉類(24,5%)、魚類(13,9%)、生鮮果物類(7,9%)、パン(7,8%)、乳製品(7,1%)
お金をかけなかったのは?
ワイン(1,9%)、加工した青果類(1,9%)、卵(1,4%)
大きく値上がりした食品は?
じゃがいも(15,7%増)、牛乳(13,9%)、果物(12,5%)、調理済み製品(11%)、豆類(10,2%)、菓子パン・ケーキ類(9,1%)、肉類(8,3%)、魚類(2%)
逆に安くなったのは?
オリーブオイル(−11,1%)、テーブルワイン(−2,5%)、砂糖(−2,3%)、原産地呼称ワイン(−0,5%)、コーヒー・紅茶類(−0,4%)
家庭での食料・飲料品に最もお金をかけるのは?
ナバーラ人、カタルーニャ人、アストゥリア人、リオハ人
お金をかけないのは?
エストゥラマドゥーラ人、ラ・マンチャ人、ムルシア人
肉類を一番多く食べる地方は?
カスティージャ・イ・レオン地方、アラゴン地方、リオハ地方、ナバーラ地方、アストゥリアス地方
肉類の消費が少ない地方は?
カナリア諸島、ムルシア、アンダルシア、カンタブリア、バレアレス諸島およびマドリッド
魚類を一番多く食べる地方は?
アストゥリアス地方、リオハ地方、カスティージャ・イ・レオン地方、ナバーラ地方
魚類の消費が少ない地方は?
カナリア諸島、バレアレス諸島、エストゥラマドゥーラ、バレンシア、カスティージャ−ラ・マンチャ、アンダルシア

また2001年にスペイン人一人当たり、98リットルの牛乳、28kgの乳製品を摂取しており、これは前年に比べてやや少ない量となっている。同じく2000年と比べて昨年は肉類(一人当たり54kg)と魚類(27kg)やフルーツ類(88kg)、野菜類(53kg)は若干食べる量が増えていることがわかった。パンの消費は一人当たり51kgと前年と変わらなかったが、加工されたものを食べる傾向が強くなってきている。また油脂は15kg、調理済み製品は7kgとやはり前年並み。昨年のスペイン人家庭では2000年より7キロ多い、一人当たり1年間に646キログラムの食料・飲料品がお腹に収まったことになる。

有料デジタル・チャンネルの国内最大手2社が統合を発表

昨夜統合交渉が成立したのはPRISAグループ傘下で、カナル・プルスやカナル・サテリテ・ディヒタルを所有する「ソヘカブレ」とテレフォニカ・グループの「ビア・ディヒタル」。両社とも現在スペイン国内最大手の有料デジタル・テレビ番組配信会社である。交渉はテレフォニカの系列会社「アドミラ」社を通じて行われた。統合はソヘカブレ社が、ビア・ディヒタル社の株式を引き継ぎ、23%の増資をするという形で行われる。現在のビア・ディヒタル社は48,6%の株式を親会社のテレフォニカが所有している。新会社の持ち株比率は、テレフォニカ、仏カナル・プルス社、PRISAグループがそれぞれ23%ずつ所有と決められた。この統合交渉は昨夜遅く、PRISAグループのヘスス・デ・ポランコ社長とテレフォニカのセサル・アリエルタ社長の間で調印が交わされ成立した。ドイツのキルヒ・グループの破綻、国内では地上波デジタル局「キエロTV」の清算申請など有料チャンネル会社やコンテンツ企業の経営合理化が進む中でこの統合が行われたとの公式見解がその後発表された。
新会社は250万人の加入者を抱え、昨年の合計収益は13億ユーロを超えて国内最大の有料デジタル局となる。公式声明によると新会社の経営指揮をとるテレフォニカのアリエルタ社長は「この統合はスペインのオーディオビジュアル市場の発展にとって有意義なものであると同時に、家庭へのデジタルシステムの導入に拍車をかけることになり、消費者にとってもこの分野の産業にとっても有益である」と語ったとのこと。
昨日のスペイン株式市場ではソヘカブレの株価が急騰し、2月中旬につけた最高値(28,90ユーロ)こそ更新しなかったものの、結局昨日の終値より6,01%高い22,58ユーロで取引を終了した。

プリンシペ・デ・アストゥリアス賞の文学部門でアーサー・ミラー氏が受賞

毎年科学、文化、人文科学などの分野で世界的に活躍した人に贈られているプリンシペ・デ・アストゥリアス賞今年で22回目を迎える。このほど文学部門で米国の劇作家アーサー・ミラー氏(85)が選ばれた。ミラー氏は1915年ニューヨーク生まれ。1949年に発表した「サラリーマンの死」でピューリッツァー賞を受賞するなど20世紀最も優れた劇作家のひとりとされる。この賞の候補者にはアルゼンチン、ブラジル、エジプト、ポルトガルなどから27人の名前が挙がっていた。
今年はこれまでに、ミラー氏の文学部門を始め、「報道・人文科学」「科学技術研究」「社会科学」「芸術」「国際協力」の各分野の受賞者が決定しており、「平和」と「スポーツ」部門に関しては9月に受賞者が決まる予定。1981年に創設されたこの賞の受賞者には賞金5万ユーロとジョアン・ミロ製作・寄贈の彫刻、メダルなどが贈られる。授与式は今年の秋ににオビエドで行われ、フェリペ皇太子から直接賞が手渡される。


5月8日(水)

教育文化大臣は「教育資質法案」に宗教とその代替課目の設置を盛り込むことを提案

現在教育・文化大臣ピラール・デル・カスティーリョ氏が中心となって進められている「教育資質法案」に関して、昨日マドリッドで同大臣と各自治州の教育担当の議員らで構成される教育部会が開かれた。これに先立って昨日午前、デル・カスティーリョ大臣はこの法案を通じて、与党国民党(PP)が政権についてからずっと教会側から求められてきた初等教育過程での宗教の課目の強化を実施したいという意向を示した。教育文化省では「世俗的あるいは文化的な見地から」宗教の代替科目として「宗教的行為および憲法、民主主義の価値」を学ぶ授業を設けるという案を提示した。この代替科目が実施されることになるのは小学校(6歳〜12歳)および中等教育前半(12歳〜14歳)。中学の上級と高校(バチジェラート)では同じ科目が「倫理」の授業のなかで行われる。現行では「宗教」は高校で自由選択科目となっており、進級や大学進学、奨学金の申請の際には加味されない。しかし現在の法案では、各学年で3科目に落第した生徒は次の学年に進級できないという項目があり、この科目を進級の際の判断基準に含めるかどうかや、高校卒業時に大学進学のために提出する平均点にこれらの点数も加えるかどうかなど、教育部会のなかでも大臣からはっきりとした骨子は提出されなかった。野党社会党はこの案に対して「全く同意の余地なし」とし、「価値観教育は、宗教を選択しない生徒だけでなく、全ての生徒に対して行われるべき」と発表した。また各自治州の教育担当議員からは、今週末にも国会に提出されるといわれているこの法案の中でも直接各自治州の教育現場に大きな影響を与える部分の決議が自治州抜きで進められているとの反発の声があがった。

地中海沿岸地方で大荒れのお天気 ―カステリョンで雪も

昨日地中海のバレアレス諸島を襲った暴風雨により、首都パルマの海難救助隊が出動し、航海中に荒波に見舞われた3隻の船の乗員12名を救助した。
しかしこの暴風雨の被害を最も受けたのはバレンシア地方だったようだ。緊急連絡センターは昨日、同地方のカステリョン市で降雪を記録したことから「緊急レベル1」の発令をした。さらにガンディア、デニア、サグントの各港は閉鎖され、20以上の道路で交通に障害がでた。
またアリカンテのペゴ市では、月曜夜に降った豪雨により2軒の家屋が倒壊した。バルセロナの空港では滑走路が1本しか使用できなくなるなど、地中海沿岸地方全域で様々な被害がでた模様。

どしゃぶりの雨のなか日本代表とレアル・マドリッドの親善試合行われる

スペイン時間の昨夜21:30、マドリッドにはめずらしく土砂降りの雨が降りしきる中、ワールドカップを前にヨーロッパ遠征中のサッカーの日本代表とレアル・マドリッドの親善試合が開催された。レアルのほうは、主力選手が何人も欠場する中ロベルト・カルロスやフィーゴが前半途中まで出場した。前半27分にはコンゴのゴールでレアルが先制し、後半も降り続いた雨でピッチはぬかるみ、非常にプレーしにくい状態になってしまい結局1−0のまま試合が終了した。
今回の親善試合は、麻薬撲滅キャンペーンの一環として行われ、日本代表の試合の前には往年のレアル選手と他の国々のベテラン勢との親善マッチも行われ、現スペイン代表チーム監督のカマチョ氏がゴールを決めたり、ブトラゲーニョ元選手らも普段は見せることのない選手姿で観客を沸かせた。またこの試合の休憩時間には有名人や芸能人で構成される2チームによるミニマッチがあり、BBVA事件やETA関連で八面六臂の活躍で知られる全国管区裁判所のバルタサール・ガルソン判事やジャーナリストのルイス・デル・オルモ氏が共にゴールキーパーとして玄人はだしのプレーを見せた。


5月7日(火)

バルセロナの病院で凍結卵子を使った妊娠、国内で初めて4件の成功例

セフェル生殖研究所(バルセロナ)の発生学者らが、凍結保存されていた卵子を使って昨年12月から合計4人の女性の妊娠に成功していたことがこのほど明らかになった。これらの4つのケースは、いずれもとパートナーの男性の精子と凍結を解除されたドナー卵子を体外受精させ、その後胚を子宮に移植するというもの。4人のうち一人は双生児を身ごもり、羊水穿刺の結果、胎児に特に異常はみられなかったという。同研究所のシモン・マリナ所長によると、今回の4件の妊娠を成功させるために、合計7回の胚移植が行われた。
スペインでは、1988年に施行された「補助生殖法」により補助生殖のために精子や胚を凍結保存することは認めているが、卵子の凍結に関しては有効性が示されるまでは禁止とされている。マリナ所長は、この法律は「補助生殖のための凍結卵子使用の実用性を証明する手立てすら制限してしまっている」が、同時に「近年イタリア、英国など各国で同様の成功例が立て続けに発表されていることから、すでにこの技術の実用性が立証されており、この法的障害も乗り越えられたといえる」と語った。さらにマリナ教授は衛生省の諮問機関である補助生殖委員会とカタルーニャ自治政府の補助生殖技術諮問委員会が、凍結卵子の使用について「賛成の意思を表明した」ことも明らかにした。
しかしながら、すべての研究者たちが同じ意見を持っているわけではない。たとえばバルセロナ病院婦人科長で補助生殖委員会のメンバーであるジョアン・バンレル教授は昨日、同委員会の見解はマリナ教授の考えとは必ずしも一致するものではなく、また今回の凍結卵子の使用に関して罰則を課す必要はないと政府に助言したことについても「まだ公式には発表されていない」とした。そしてバンレル教授はセフェル研究所で行われた4件の妊娠例が法律に触れるものかどうかという点に関しては言及を避けた上で、これから広く議論されていくだろうと示唆した。またバルセロナ、デセウス大学付属研究所の生殖医学部長ペレ・ノラスク・バリ教授は、自身はこの技術の開発・実施に賛成しているものの、現行の法律は凍結卵子の使用を明らかに禁止しており、「現時点では成功率はまだ低く、実施は常に合法的かつ実験的にのみ行われるべきである。」と話した。
マリナ教授は、この技術により不妊に悩むカップルにとって子供を持つ道を開かれると期待をよせる。また現在は補助生殖施設などで体外受精をした胚を凍らせて保存しているが、卵子のまま凍結して必要な時に解凍、受精できるようにすれば、すでに受精している凍結胚の処分に関して発生する倫理的な問題もクリアーされることになるとの見解を示した。
凍結卵子の使用は、癌などの病気で放射線治療や化学療法に頼らなければならない女性が、不妊になる前に卵子を取り出して凍結保存し、治療後に子宮に戻して妊娠を可能にしたり、閉経後に子供を持ちたいと考える女性にとってもきわめて有効な手段となる。

市民警察はETAのメンバーと見られる4人を逮捕( ビスカヤ )

今日未明バスク地方のビスカヤ県の2箇所で、ETAの合法組織のメンバーと見られる4人が、市民警察の手によって逮捕された。記者会見したマリアノ・ラホイ内務大臣によると、4人は他のテロリストらがフランスからスペインに入国しようとしていたのを国境で手助けしていた疑い。さらにETA周辺の組織との関連についても取り調べが進んでいくと見られる。4人のうち3人は、海岸沿いのレケテイコで、残る一人はビルバオ旧市街で逮捕された模様。ビルバオでは逮捕されたアリツ・サバレタ・ジャウレギ容疑者の自宅からダンボール箱や袋に入った証拠書類などが押収された。

内務省はサッカースタジアムの警備強化を指示

このところスペイン国内でもサッカーの試合における暴力や危険行為などがたいへんな問題となっており、政府内にも警鐘を鳴らす動きが出てきた。最も目先の方策としては、内務省が今度の日曜日のスペインリーグの試合が行われる各スタジアムで警備に当たる警官の数を増やすよう指示した。そして今週木曜日にはマリアノ・ラホイ内務大臣が各クラブの代表者やスポーツ上級委員会のメンバーらと会合を持ち、「ウルトラ」と呼ばれる急進的サポーターの過激な行動に終止符を打つための方策を練ることにしている。サッカーの盛んなヨーロッパの中でも、スペインでのサポーターらの行動に関しては模範的とされてきただけに、この2週間の間に起きた様々な事件により、スペインサッカーの体質が危ぶまれている。
また木曜日には1部および2部リーグのスタジアムの警備担当責任者が暴力行為防止委員会に出席し、これまでに起きた事件が映っているビデオ映像などを見て、当事者が確認された場合には、その後複雑な手続きなどを経ずに罰則を課することができるように協議していく予定。


5月6日(月)

与党は政府とガルソン判事の「バタスナ党非合法化計画」の両立を求める

昨日ビルバオで、バタスナ党(ETAの政治母体)の呼びかけで、党の非合法化に反対するデモがおよそ2万人を招集して行われたが、この問題に関しては現在のところ、政府与党(PP)が野党第一党の社会党(PSOE)と「憲法に基づく民主主義」を掲げて新政党法の法案作りに着手していると同時に、全国管区裁判所のガルソン予審判事主導のもと、ETAをめぐる様々な組織やメンバーの摘発が続けられている。しかしPP幹部は昨日、これらの2つの路線はしっかりと両立していかなければならないとしたものの、ガルソン判事による刑事法上の手続きが、新政党法による非合法化手続きよりも「複雑で遅れがちになる」可能性があると指摘した。
「ETA大企業」と称されるほど、現在のETA周辺にはテロ活動組織のほか、少年組織、政治母体、資金調達など様々な組織や団体、企業などが複雑に絡み合っている。これまでに非合法化されたのは、2001年のEKIN(バスク解放運動の中心組織)、HAIKA(少年組織)GESTORAS PRO AMUNISTIA(囚人や逮捕者擁護団体)。アンヘル・アセベス法務大臣は、昨日エル・パイス紙に対して「現行の政党法でも、これから国会で調整がなされていく新政党法においても、刑事法上と立憲民主主義上の二つの側面から政党の非合法化手続きを進めていくことが可能」また「これら2つの路線は並行かつ同時に進められなければならない」と述べた。

「飲酒予防法」の草案が各省庁に提出される

今年の2月に、マリアノ・ラホイ内務大臣が提案した、若者の飲酒を規制する法律の基本構想がこのほど各省庁に配られ、意見を聞くことになった。この法案は「飲酒予防法」(通称Ley Seca=乾燥法)と呼ばれ、近年社会問題となっている「ボテジョン」(広場や公道などで若者が集まって飲酒すること)を完全に封じ込めるのが目的。草案は「公共の場所、道路および交通機関において、市民の往来や平穏に生活する権利を侵害する恐れのある場合」にアルコール類の販売や消費を禁止するもので、まず消費者に対しては次のような懲罰の仕組みになっている。
1.上記の場所においての飲酒に関して、18歳以上には100〜600ユーロの罰金、、18歳未満には4〜24回の各週末に「共同体の利益となるような」社会労働奉仕の懲罰および保護者への連絡
2.1ヶ月から半年の運転免許停止、酒類を販売する娯楽施設やスポーツ施設への入場禁止(1ヶ月〜半年)など
3.酒類を購入できる年齢を現行の16歳以上から18歳以上に引き上げる
そして販売業者などに対しては、
1.「購入者の年齢を知る手立てがない場合」に身分証明書の提示を求めることを義務付ける
2.未成年者に酒類を販売した業者には、購入者が14歳未満だった場合は「非常に重大」として35.000〜135.000ユーロ、またそれ以上の年齢の場合には、3.000〜35.000ユーロの罰金が科せられる。
3.巨大スーパーなどで、酒類専門の販売区画を設ける
4.広告の制限
などである。これから各省庁との意見交換などを経て、最終的にまとめられた法案が国会に提出されることになる。

バレンシアC.F.、31年ぶりに優勝

サッカーのスペインリーグは、残すところあと1節となったが、週末に行われた試合でバレンシアがマラガを2−0で破り、31年ぶり5回目の優勝を飾った。ラファ・ベニテス監督率いるバレンシアは、残り2節で1勝すれば優勝という中、その一試合目で勝ち星を得た。試合が行われたマラガのスタジアム「ラ・ロサレダ」には約5000人がバレンシアから応援に駆けつけ、優勝が決まった午後9時49分、数々のチーム旗が振られ、ファンらは泣き叫んだり、携帯電話で盛り上がりを伝えたりしていた。今日午後1時から、監督、選手らがバレンシア市内をパレードする。

オートバイのヘレスGPでフォンシ・ニエト選手が優勝(250cc)

二輪のロードレース世界選手権シリーズ(WGP)今季第3戦がヘレス・デ・ラ・フロンテーラで開催された。スペイン勢では125ccでダニエル・ペドロサ選手(ホンダ)が4位、250ccでフォンシ・ニエト選手(アプリリア)が優勝した。マドリッド出身で23歳になるフォンシ・ゴンサレス・ニエト選手は、やはりバイクのレーサーだったアンヘル・ニエトさんの甥にあたる。この決勝の前日には、健康上の理由から引退を表明していたアレックス・クリビーレ選手(32)が10万人の観衆とヘレスのサーキットに涙の別れを告げた。決勝前にはニエト選手がクリビーレさんと対面し、「アレックス、あなたの残した素晴らしい成績の半分にでも届けばうれしいです」と尊敬の念をこめて労い、また旧500ccクラスで唯一のスペイン人チャンピオンは「君ならできるさ」と、涙を拭いながら、次の世代を担うべき期待の星に対して励ましの言葉をかけた。


5月3日(金)

ETA、ヨーロッパ・チャンピオンリーグ準決勝直前に車両爆弾を爆破。

レアル・マドリッドのホームグラウンドであるサンチアゴ・ベルナベウ球場でヨーロッパ・チャンピオンリーグ準決勝が宿敵FCバルセロナを迎えて5月1日の午後9時から予定されていた。スペインのトップ2の間での欧州チャンピオンリーグ準決勝であり、試合開始前からベルナベウ球場付近には各チームのファンが詰めかけ、700人の警察官を動員した警戒体制が敷かれていた。そんな中、16h30頃親ETAバスク紙のGaraに「ベルナベウ球場の反対側ヨーロッパタワービル1階のカハ・マドリッド(銀行)前に仕掛けた車両爆弾が17h00に爆発する」と予告電話が入った。また同じ頃マドリッド県の救急救命電話112番にも同じ内容の電話通告が入り、警察は早速付近一帯に緊急避難命令を出した。予告時間の5分前16h55に20キロのダイナマイトを搭載した盗難車が爆発した。、付近一帯に駐車されていた10台余りの車両が破壊され、ヨーロッパタワービルの1〜4階のテナントオフィスが破壊され、ガラスの破片が雨のように降り、警官や消防隊員を含む17名が怪我を負ったが、死亡者や重傷者は出なかった。 今回の爆破は予告時間の5分前に爆破が起こっている事から、ETAの標的は警察であり、スペイン国民の注目が集まっている場所で700名の警官を配備して警戒に当たっていた警察当局を翻弄する目的であったようだ。 30分後には市内南のエンバハドーレス通りで第2の車両が爆発。1.5キロのダイナマイトを搭載していたこの盗難車は、ベルナベウ球場で爆破を遂行したETAメンバーが逃走用に使用後捨てて爆破したものと見られる。この第2の爆破による被害者は無かった。
去る4月22日に、今回のベルナベウ球場にも近いマドリッド市内に位置する大手石油会社レプソルYPF本部前で、ETAによる車両爆弾爆破があったばかりだった。 昨年11月に主要メンバーが逮捕され、ETA「マドリッド・コマンド部隊」は壊滅したと思われていたが、10日間に2件の車両爆弾爆破が相次いだ事、そして使用されていた盗難車が今年2月に盗まれた車であった事などから、ETAはマドリッド常駐コマンドを再組織したと内務省は認めている。
なおレアル・マドリッドとFCバルセロナは1−1の引き分けだったが、その前のバルセロナのホームグラウンド戦との合計結果により、欧州チャンピオンリーグへはレアル・マドリッドが進出し、5月15日にバイエル・レバークーゼンと決勝戦を行う事になった。

カスティーリャ・レオン高等検察官、最高検察庁の態度に不満を表明

前ポンフェラダ市議ネヴェンカ・フェルナンデスさんが、セクシャル・ハラスメントと傷害そして不当解職を受けたとして、ポンフェラダ市長イスマエル・アルバレス氏(PP国民党)を告訴し、その裁判がカスティーリャ・レオン高等裁判所で係争中である。去る4月30日日にネヴェンカさんが「証人」として尋問された際、尋問にあたった高等検察官ガルシア・アンコス氏の尋問内容およびその仕方が物議を醸している。法廷において尋問中に裁判長がガルシア・アンコス氏に「彼女は被告ではなく証人である」と注意する場面もあるほどその尋問は過酷な物であったと、司法関係者だけでなく様々な社会団体からも批判が挙がっていたが、昨日検察庁諮問機関のマルティネス・ソト長官がガルシア・アンコス氏の尋問態度に対する調査を開始する旨を表明した。これに対し、当のガルシア・アンコス検察官は「私はただ真実を追究しているだけ。検事総長に対し逆に私が抗議する。私よりも客観的な態度をもつ検察官を探そうとしても不可能だ。」と述べている。5月1日の新聞・テレビのメディアはこの4月30日の尋問の様子を大きく報道し、「セクシャル・ハラスメント」の裁判が原告にとっていかに辛いものであるか、多いに考えさせられる機会となっている。

マドリッド市及びその近郊都市において、毎日82台の車が盗まれ60件の強盗が発生。

マドリッド県の人口の90%を占める都市部の治安を統括している国家警察機構の発表によると、これらマドリッド都市部では2001年度は平均1日当たり82台の車が盗まれ、60件の強盗事件が発生していた事が明らかになった。前年比でこの種の犯罪率が11.6%上昇したことになる。マドリッド県の全人口520万のうち450万は都市部に集中しており国家警察の管轄にあるが、33万7千件を超える犯罪が発生し、その内解決を見たものは5万8千件に留まり、前年比の犯罪発生率は10%以上の上昇をみせている。マドリッド州議会の社会党議員代表(野党)は「マドリッド住民は治安の低下を日常生活の中で実感している。生活の安全を求めても当局は沈黙を守っているだけだ」と述べている。また左翼連合議員代表(野党)は「一般市民の不安感が募る一方、警察官の間でも現実に対所しきれない無力感が広がりつつある。これには警察官の数を増やして現場機動力を向上したり、警察官の給与を上げて士気を高揚する必要がある。」と述べている。


5月1日(水)はメーデー、2日(木)はマドリッド州の祝日にあたり、トップニュースはお休みです。




QUEDA TOTALMENTE PROHIBIDO LA REPRODUCCIÓN, LA REPUBLICACIÓN, O COPIAR CUALQUIER CONTENIDO DE NUESTRAS PÁGINAS.
全て内容おいて無断で使用・転載・複製することを禁じます

メールコンタクトはspnews@inicia.esまで