5月31日現在

停戦以来、ETAメンバ−100人以上が釈放に

9月16日のテロ集団ETAの停戦宣言以来、現在までに同組織のメンバ−で
テロ活動により逮捕されている者のうち、83人が全国管区裁判所
の判断により仮釈放、23人が「政治的判断」により釈放されていることが
わかった。ここ10年、テロ犯罪による服役者数は500人を常に上回って
いたが、先週の金曜時点では449人となっている。

公の発表は今までなかったが、全国管区裁判所は水面下で平和交渉に向けて
動いていたといえる。


5月31日現在

73%の便が遅れて出発−マドリッド、バラハス空港

昨日、マドリッド、バラハス空港では全体の73%の便が15分以上
の遅れを記録した。各社平均では、イベリア航空が38分の遅れ、
エア−・ヨ−ロッパが65分、スパンエア−が13分。

バルセロナ、プラット空港では昨日27便(出発13便、到着14便)
がキャンセルとなった。キャンセルとなった便の多くはプエンテ・アエレオ
(マドリッド−バルセロナ間のシャトル便)であった。プラット空港出発便
の遅れの平均は34分となった。
またパルマ・デ・マジョルカの空港では平均70分の遅れを記録した。

昨日、商工会議所のフェルナンデス・ノルニエジャ所長はイベリア航空のパイロット
労組の態度を「脅し」である、と批判。空の便の混乱がスペイン観光業界にあたえる
深刻な影響をふまえ、「1600人のパイロットの集団に、スペイン経済にダメ−ジを
与えながら、スペイン社会全体を脅す権利はない。」と述べ、早急に政府が何らかの
対策をとるべきだと主張した。


5月31日現在

スペイン、社会保障のための支出はEUの平均以下

EU15カ国における社会保障の為の国家支出の平均は
GDPの28.4%。最も高いのはスエ−デンの35.6%、
デンマ−クが34.3%、オランダが32.1%と続くが、
スペインは平均以下の22.7%。

また年金の支給額も、EU平均を100とすると、イタリアの135.6、
フランスの117.2、ドイツの109.5などに対し、スペインは
わずか62となっている。


5月28日現在

憲法裁判所、HBメンバ−への最高裁の判決に反対

23人のHB(バスク民族党)のメンバ−は1997年11月に
テロリスト集団ETA(バスク自由と祖国)に協力した罪で
7年の実刑判決を受けていた。この判決を不服とし、HBメンバ−は
憲法裁判所へ訴えをだしていた。

昨日憲法裁判所はこの判決の取り消しを決定。判事12人のうち
7人が取り消しを支持。これにより、23人の被告へは新たな判決が
だされることになり、釈放となることはまちがいないだろう。

HBがETAのビデオを選挙キャンペ−ンに利用したことが
問われていたのだが、憲法裁判所はビデオの使用は「テロ集団への協力」
にあたらないとした。


5月28日現在

イベリア、夏にストはなし

イベリア航空パイロット労働組合は、昨日、社会的混乱を
避けるため、夏の間ストは行わないと発表した。
そのかわりに、労組側の要求を再度会社に提出し検討を求めた。

一方、会社側はスト不決行は評価するものの、労組提出案は「前回
会社は否定したものとまったく同じ」と再検討の余地が無い事を示唆している。

イベリア航空は今年四半期において40億ペセタの赤字となった。昨年同期は
11億の赤字であり、260%以上の損失増となっている。


5月28日現在

テロ犠牲者賠償法案

PSOE(社会主義労働者党)は昨日、政府の提案している
テロ犠牲者賠償新法に対抗する別案を発表した。

政府は2ヶ月前にすでに草案を作成しているものの、賠償金の
テ−ブル作成が思うように進まず、いまだこの新法案は国会を
通過していない。PNV(バスク国民党)、CIU(カタル−ニャ
連合)は政府案に同意しかねており、さらにPSOEが独自案を提出
したことから、この新法は6月13日の選挙が終わるまでは進展が
みられないようだ。


5月27日現在

盗聴で軍関係者実刑

CESID(国家防衛情報機構)のヘッドであったマングラノ陸軍中将と、
同じくCESIDの幹部であったペロテ元陸軍中佐は、電話を不法に盗聴
していた罪で6ヶ月の実刑、8年の職務停止を言い渡された。
その他5人のスパイ活動を行っていたCESID職員にも4ヶ月の実刑、
6年の職務停止の判決が下された。

これは、1995年に問題化し、PSOE(社会主義労働者党)政権時代
最大級のスキャンダルとなり、当時の副首相と防衛大臣の辞任を引き起こした。

彼らはマングラノ中将の指示のもと数年間にわたり、国王をはじめ、
企業経営者、新聞記者等の電話での会話を不法に盗聴、録音していた。


5月27日現在

トラス・キオ事件続報

カタル−ニャ大蔵省とトラス、キオの両企業グル−プによる贈収賄、
脱税などの汚職疑惑、「トラス・キオ事件」。
この事件に対し、全国管区裁判所は主要関係者の事務所などの
家宅捜索を行った。

捜索が行われたのは、元大蔵省幹部のウゲット氏、アギラ−ル氏、
およびトラス・グル−プの顧問弁護士フォルチ氏の事務所と自宅。
昨日午後、トラス・キオ事件の担当、パラシオス全国管区裁判所判事
自らフォルチ氏の事務所の捜索に立会い、トラックいっぱいの書類を
押収した。


5月27日現在

亜麻加工業界不正補助金疑惑、調査開始へ

亜麻(加工されリンネルになる)加工業者へEUの補助金
が不正に交付されたという疑惑がもちあがっているが、この件に
関する調査委員会の発足が今日にも国会で決定される。

スペイン国内には12社しか亜麻加工企業はないが、ここ数ヶ月で
そのうちの4社の在庫が原因不明の出火で燃えていることが
明らかになっている。そのうち2社は同疑惑の責任をとり辞任した
農林省幹部の2人と密接なつながりがあったとされる。


5月26日現在

アスナル首相NATOを全面的に指示

昨日、アスナル首相はNATOの本部を訪れソラナ理事長と
会談、NATOの政策を全面的に支持することを確約した。

ここのところ、NATO加盟国の首相たちがいれかわりに本部を
訪れソラナ理事と話し合いをもっているが、大半の意見は攻撃を
やめ、外交手段による解決の方向へ持っていくべきだ、というものだった。
しかし、アスナル首相は現在のユ−ゴ攻撃の政策を支持、さらにこれから先
もNATOの決断にしたがって最大の協力をして行きたいと述べた。
「これから先も・・・」という部分は、地上戦に突入しても協力を続けることを
示唆しているとうけとられた。


5月26日現在

繊維加工業界不正補助金疑惑

亜麻加工業者がEUからの補助金を不正に受け取っていたとの
疑惑で、既に2人の農林省幹部が辞職し、一昨日は不正を告発した
業者の在庫の亜麻およそ600トンが燃やされるという事件まで起きている
(昨日の記事参照)。この事件に関する調査委員会は6月13日の
ヨ−ロッパ議会選挙後にしか開始されないようだ。

この一連の疑惑で弁明を求められるのは当時の農林大臣ロジョラ・デ・パラシオ
女史。このたびヨ−ロッパ議会選挙でPP(国民党)の候補者リストのトップに
たつため農林大臣を辞任している。PPとしては選挙まではパラシオ氏を疑惑
から遠ざけたい。従って、PSOE(社会主義労働者党)をはじめとする
各野党は即座に調査開始を求めているが、PPはそれを選挙後に引き伸ばす模様。


5月26日現在

サッカ−欧州チャンピオンズリ−グ、今日決勝戦

本日バルセロナのカンプ・ノウ・スタジアムで欧州チャンピオンズリ−グ
の決勝戦が行われる。優勝をあらそうのはイングランドのマンチェスタ−・
ユナイテッドとドイツのバイエルン・ミュンヘン。20:15キックオフ
(スペイン時間)。

カンプ・ノウは先日リ−グ優勝をきめたバルセロナ・FCのホ−ム。
同チ−ムは今年100周年を迎えることもありぜひヨ−ロッパの王者の座を
ホ−ムで勝ち取りたかっところだが、決勝進出は果たせなかった。

バルセロナでは混乱に備えて警官を増員して警備に当たる。
入場券を持っていないフ−リガンたちが、イギリス、ドイツからおよそ
1万人以上訪れると見こまれている。


5月25日現在

600トンの亜麻が燃やされる−エクストレマドゥ−ラ

昨日、バダホスの繊維加工業、リノ・テクスティル・エクストレマドゥ−ラ社
の在庫の亜麻(リンネルなどの繊維に加工される)、およそ600トンが
原因不明の出火により焼失した。

同社は、亜麻加工業界におけるEUからの補助金の不正授受の事実を
協会に訴えていた。この不正補助金疑惑ではすでに責任をとり2人の農林省
幹部が辞職している。


5月25日現在

マドリッド市長と不動産会社

マドリッド市長のアルバレス・デル・マンサノ氏(PP、国民党)が
不動産会社「インコダ」の株主であり(全体の5%を所有)、
同社がマドリッド周辺での不動産投資を中心に活動していることから
野党から疑惑を追求する声があげられている。

同社の資産は25億ペセタにのぼり、マドリッド市周辺(マドリッド州内)
のマハダオンダ、ポスエロなどに不動産を所有している。野党は、市長が
何らかの行政的に有利な計らいを同社にしているのではないかと主張
同社が不動投資をしているのは自らが統治する市の周辺であり、かつ
それらの地域の政府はPPである。いわゆる「市長のテリトリ−」で投資が
なされているからだ。

市長は「我々はなんら違法なことはしていない。インコダは公共事業に1度も
かかわったことはないし、市や公共団体と契約したこともない。」と
潔白を主張している。


5月25日現在

国境警備強化、教会が批判

一昨日、政府はスペイン南部エストレチョ地域で、海を渡ってくる
不法入国者取り締まり強化のため、最新のレ−ダ−や赤外線装置、
ヘリコプタ−などを導入する計画を発表した(下の記事参照)。

しかし、これをスペイン・カトリック教会は批判。「スペイン政府は
モラルを失っている。これはスペインが他民族にたいして閉鎖的な国だ
という印象を与えるだけだ。」と述べている。人権団体等も、同様の
趣旨で政府を批判している。


5月24日現在

不法移民流入阻止のため250億ペセタ投資

スペイン南部、特にエストレチョ地帯にて不法移民コントロ−ル
のため政府は200億から250億ペセタを計画的に投入することを決定した。
おもに、監視カメラやレ−ダ−、赤外線装置の設置、ヘリコプタ−や
パトロ−ルカ−の購入などにあてられる。
今年はまず、18億から20億ペセタの投資が予定されている。

この、不法移民流入阻止計画は市民警察によって実行され、中心本部を
アルヘシラスにおく。レ−ダ−等のシステムの刷新により、いかだや小船
などで海を渡ってくる不法入国者の取り締まりを強化する。


5月24日現在

ペドロ・アルモドバル、カンヌ最優秀監督賞受賞

スペインよりカンヌ映画祭へペドロ・アルモドバル監督の
「Todo sobre mi madre(私の母についてのすべて)」
が出品されていたが、アルモドバル監督は同作品により、最優秀監督賞を
受賞した。

受賞後の会見で彼は少し「がっかり」したことを隠さずコメントしている。
というのは、下馬評では、最高の賞である「パルムド−ル賞」受賞の可能性が
高いとされていたからである。「私は賞をとるために映画を作っているわけでは
ない。しかし、10日ぐらい前からパルムド−ル賞は確実だと多くの人に言われ、
おろかにも信じてしまった・・」と語った。

しかし、スタンディング・オ−ベイションで迎えられた授賞式が彼の落胆を
ぬぐいさったようだ。俳優バル・キルマ−から賞を渡されたアルモドバル監督は
家族や出演女優たちに感謝を述べるとともに、「スペインの民主主義とスペインの
観衆に心から感謝する。スペインに民主主義があるおかげで私は今日映画がとれる。
そしてスペインの観衆が私を応援してくれるので映画を取りつづけていける。」
と述べた。


5月24日現在

PPの発言にPNV抗議

6月13日の地方選挙、ヨ−ロッパ議会選挙を前に選挙戦は
加熱しているが、PNV(バスク国民党)はPP(国民党)の
ヨ−ロッパ議会候補者リストトップのデ・パラシオ元農林大臣が
「PNVは殺人者を候補者リストに載せている」と発言したとして
抗議している。

デ・パラシオ元大臣の発言は、正確には、「PNVは、1年前までは
テロ活動をしていた人間を候補者リストに載せている政党と協力している。
そんな政党に投票するべきではない。」というもの。すなわち、
PNVが同盟を結んでいるEHがテロ集団ETAのメンバ−を候補者リスト
に載せていることを指している。


5月21日現在

自動車業界へ600億ペセタの投資

昨日、セアット(SEAT)、ルノ−、日産の3社が2003年までに
スペインで600億ペセタにのぼる投資を計画していることを発表した。
スペインでは自動車販売台数がここのところ目覚しい伸びをみせている。
今年の1〜4月で452.000台を記録しており、これは前年同期
と比べると21.6%増。

フォルクスワ−ゲン・グル−プであるスペインの会社、セアットは2003年
までに350億を投資。現在ブリュッセルのフォルクスワ−ゲン工場で生産している
モデルを自国で生産するようになる。

フランスのルノ−は164億ペセタの投資を計画。バジャドリッド、セビ−ジャ、
パレンシアの工場の改装にあてる。すでにルノ−はここ数年で150億ペセタの投資を
同工場におこなっている。社長のシュエイツァ−氏は「現在スペインはルノ−の
最も大切な生産基盤となっている。」と語っている。
ルノ−は今月末にも日産の株式の35%を購入し筆頭株主になる予定。
シュエイツァ−社長はバルセロナの日産工場での80億の投資計画も
同時に明らかにした。


5月21日現在

エリツィン大統領会談すっぽかしの理由は・・・

今週火曜にモスクワで予定されていたアスナル首相とエリツィン大統領
の会談は、エリツィン大統領の病気を理由に突然キャンセルされた。
しかし、その翌日には大統領は普通に職務を行っていたことから、
スペイン側としては、納得がいかない状況となってきている。

マトゥテス外務大臣は昨日、ラジオ番組にて、エリツィン大統領が
会談をすっぽかしたのは、NATOの理事であるソラナ氏がスペイン人
だからだ、と述べた。


5月21日現在

イベリア航空とパイロット労組の紛争続く

夏のバケ−ション・シ−ズンが近づくなか、イベリア航空と同社
パイロット労働組合の間の交渉はまったく進む様子がない。

会社側が最後に提示した条件を労組は拒否。会社側に条件変更を
求めていたがイベリアは変更の意思なしとし、交渉は決裂している。
労組は交渉を産業大臣の手に委ねたいとしているが、ピケ産業大臣
は「イベリアはできるかぎりの条件を提示している。私が間に入る
ことはない。」と、イベリアよりの姿勢を明らかにしており、仲介役を
ひきうける様子はない。


5月20日現在

アスナル首相帰国、エリツィン大統領は健康?

ロシアを公式訪問中のアスナル首相との会談を病気を
理由に突然中止したエリツィン大統領、その翌日である
昨日は平常どおり職務をおこなっている。

火曜に予定されていた両首脳の会談は予定時間の1時間前に
エリツィン大統領の気管支炎を理由にキャンセルされ、電話
での対話に変更されたと、首相に同行していたピケ産業大臣
は発表している。しかし、クレムリン側は大統領の健康状態は
平常通りだとこれを否定するようなコメントをだしていた。
実際、昨日大統領は普通通りに出勤し職務を行っている。

昨日帰国したアスナル首相は「彼の病気は気管支炎ではなく
“ロシア皇帝病”、困難な時に病気を理由に公式の場をさけるんだ。」
と皮肉っぽくコメントしている。また、ピケ大臣によると、両者は
電話での会話で立場の違いはあれユ−ゴ紛争解決にむけ努力して行くという
前向きな合意に達したとなっていたが、首相はエリツィン大統領から
「ユ−ゴへの爆撃に対する謝罪をしにモスクワに来たのか」といわれた
ことを認めており、ピケ大臣のバ−ジョンとはちがった雰囲気だったようだ。

野党PSOE(社会主義労働者党)はこの会談のすっぽかしともいえる
中止はスペインの国際的な地位の低下を物語っている、と政府与党を批判
している。


5月20日現在

停戦の目的はPNV−ETAの内部文書

バスク地方のテロ集団ETA(バスク自由と祖国)の2月に出された
内部向けの文書によると、さる9月に発表された停戦表明の最大の
目的は、PNV(バスク国民党)を味方につけることだったことが
明らかになった。またその文書では同時に、バスクが完全な自治権を
得るまでは武力の永久放棄はしないとしていた。

停戦表明はリサラ同盟(PNV、EA、HB等のバスク民族主義政党の同盟)
結成のためETAとPNVの秘密交渉により実現したと一般的にはされてきたが
文書の中でETAは、停戦の決断はPNVとの交渉や、リサラ同盟の結果ではなく
彼らが独自に決断したと断言している。一説では、97年夏のミゲル・アンヘルさん
暗殺事件(バスクの若者がETAによって誘拐され、予告通り殺害された事件)以降
特に反テロ、反ETAの世論が高まっており、テロ活動の効果にETA自身が
疑問を持ち始め、まずETAがテロの一時放棄を決定、そしてそれをより効果的に
するためにPNVが同盟をうちあげたとされているが、この説を裏付ける
かたちとなる。


5月20日現在

失業者数202、600人減少

今年の第1四半期の国勢調査によると、失業者数は202、600人減少、
失業率は16.97%と前四半期比1.2%低下となった。
失業率が17%を下回るのは1991年以来のこと。

しかし、この大幅な失業者数減は統計方式の変化によるところが大きい
と思われる。今回よりEUの基準が適用されたため、「就労者」として
カウントされる範囲が広がっている。


5月19日現在

PNV、EH、同盟にサイン

バスク州政府の与党であるPNV(バスク国民党)は、EH
(バスク民族党)との同盟合意を、テロ集団ETAサイドにいる
EHが完全に暴力を否定するまで見送っていたが、昨日やっと
合意に至った。

EHは「民主主義的な方法で」政治活動を行い、街頭での
破壊活動や暴力的デモなどがなくなるよう努めて行くと確約。

PNVは、すでに同盟を結んでいるEAとEHとともにバスク議会
で絶対多数を維持することになる。


5月19日現在

エリツィン大統領、アスナル首相との会談をキャンセル

アスナル首相はロシアを公式訪問中であるが、この訪問の
最大の目的であったエリツィン大統領との会談が大統領の
病気を理由に突然キャンセルされた。

午前11時に予定されていた会談の中止がアスナル首相に
知らされたのは1時間前の午前10時。エリツィン大統領は
気管支炎のため会談ができる状態ではないとの理由。
直接会談は急きょ電話会談へと変更された。
首相に同行しているピケ産業大臣によると、電話での会談は
45分にわたり、非常に有意義なものであったという。おもに
コソボ問題について話し合われ、お互いに意見は違うが、それぞれの
立場から問題解決に努めることを確約。また、突然の会談の中止を
自らわびた。会話の間、たびたびエリツィン大統領は咳をしていた
とのこと。

しかし、ピケ大臣のコメントの後にだされたクレムリンのスポ−クスマン
のコメントは驚くべきものだった。「エリツィン大統領の健康状態には
何の問題もない。アスナル首相との会談はもともと予定にないものだった。」
と述べた。エリツィン大統領の健康問題は国際的に大きな懸念となるため、
それを打ち消したかったものと思われる。


5月19日現在

トラス・キオ事件新展開

カタル−ニャを舞台にした贈収賄、脱税疑惑「トラス・キオ事件」。
企業グル−プ、トラスとキオが、カタル−ニャの大蔵省幹部や政治家
へ金銭を贈与していた疑惑は、さらにウゲット、アギア−ル元大蔵幹部
の隠し口座発覚などから、広範囲に広がってきている。
ウゲット、アギア−ル両氏にからんでは、交友関係のあったボレル氏が
PSOEの首相候補を辞任するにまで至った。

ここであらたにカタル−ニャ地方議員のジャンマ・カンプ氏の関与が
浮かび上がってきた。カンプ氏のスイスの銀行口座にキオ・グル−プより
およそ1億6千万ペセタの入金があった事実が発覚した。

これに関して、カンプ氏は昨日、全国管区裁判所で、この入金は
ベネズエラ人の顧客から彼への入金をカンプ氏の口座で一旦うけてくれ
と頼まれただけで、自分はキオ・グル−プとは一切係りがない、
と証言した。


5月18日現在

フェリペ・ゴンサレス元首相、再出馬の可能性否定

PSOE(社会主義労働者党)が次期首相候補に擁立していた
ボレル氏突然の辞退の後、はやくもゴンサレス元首相に
再登板を望む声があがっていた。
しかし、昨日ゴンンサレス氏はその可能性をきっぱりと
否定した。

新たな首相候補の決定は、6月13日の選挙以降に行われる。
党内予備選挙や党大会などは持たれず、幹部会が候補者を
決定し、党委員会が決定するもよう。


5月18日現在

女闘牛士、クリスティ−ナ・サンチェス引退表明

題一線で活躍していた女性闘牛士、クリスティ−ナ・サンチェスさん
(27歳)が突然、引退の意向を表明した。「全く”職業的な”理由
から」とだけコメントし詳しい事情は語られていない。2、3日中に
記者会見が開かれる予定。

クリスティ−ナさんはマドリッド出身。子供のころから闘牛士を夢見て、
美容師、事務員などとして働きながら準備をしていた。1995年
ノビジェ−ロ(子牛の闘牛)でデビュ−、翌年、クロ・ロメロが後見人となり
正闘牛に昇格。典型的男性社会の闘牛界で、誰もなし得なかったことを
次々と実現していった。

「ここのところ、闘牛にたいする情熱を失っていたようだ」と彼女の
代理人は語る。「常に差別との戦いであった。観客やスポンサ−を納得させる
ことはできた。しかし最後まで彼女を受け入れたがらなかったのは彼女の
同僚、つまり他の闘牛士たち。名前はださないが、彼女との共演を絶対に
受け入れない男性闘牛士がたくさんいたことは事実だ。」

彼女が沈黙を守っている以上、詳しい事情を知るのは記者会見を
待つしかない。


5月18日現在

ウゲット・アギラ−ル事件続報

元大蔵省幹部ウゲット、アギア−ル両氏の脱税、収賄、株不正取引
等の疑惑は、とうとう、両氏と交友関係をもっていたPSOEの
ボレル氏に首相候補を辞任させるまでにおいこんだ。
さらに、検察は昨日、当時監査局長であったウゲット氏が、
トラス・グル−プ(両氏への贈賄の疑惑がある企業グル−プ)の関連会社
への監査の中止命令を出していたことを明らかに%A靴拭

1993年、監査局員らの要請にもかかわらず、ウゲット氏はトラス関連会社
への監査にGOサインをださなかった。1994年、ウゲット氏が監査局を
去った後、やっと同社の監査が開始でき、多くの会計上の不正が発覚。
全国管区裁判所に持ちこまれる事件となった。


5月17日現在

ボレル首相候補辞任の余波

PSOE(社会主義労働者党)の擁する首相候補ボレル氏が
金曜にその地位を突然おりることを表明した。
原因はウゲット・アギラ−ル氏の疑惑に絡んで。このコ−ナ−でも
数回取り上げたが、ウゲット、アギラ−ルの元大蔵省幹部が5億ペセタ
あまりのお金を申告せずにスイスの銀行口座に隠し持っていたことが
発覚し、収賄、株インサイダ−取引等の疑惑があがっている。
両氏が大蔵幹部だっとき、PSOE政権においてボレル氏は大蔵担当
責任者であり、公私ともに両氏と深い交流関係があったとされている。
ボレル氏は一切両氏の疑惑とは関係ないことを主張しながらも、
混乱を招く前に辞任を表明した。

突然の首相候補の辞任に、PSOE内部の動揺はかくせない。
昨日、トレドで行われた地方選挙を前にしたPSOEの集会では、
暗黙のうちにボレル氏の話題には触れないとする雰囲気が漂っていた。
それを破ったのはフェリペ・ゴンザレス元首相。
演説の冒頭で「ボレルは心からの友であり、仲間だ。彼の決断には
同意できないが、私はいつでも彼の味方だ。」と切りだし、会場は
拍手でつつまれた。

新たな首相候補の決定は6月13日の選挙後になるもよう。
はやくも、一部ではフェリペ・ゴンサレス氏再登板を要望する声が
上がっている。


5月17日現在

イベリア航空とパイロット労組の交渉、再度決裂

またしても、イベリア航空パイロット労働組合は、会社側の
譲歩案をしりぞけた。これは、会社側からの”最後”の歩みより
とみられていただけに、両者の交渉の先行きの見とおしはまったく
たたない状態。

パイロット労組は会社側の提案を退けると同時に、会社とではなく
ピケ産業大臣との交渉を要請した。首相とともに公式訪問のため
モスクワを訪れていたピケ大臣は「両者のあいだに仲介役が入ることはない。
イベリア航空は出来るだけの提案をしている。」とパイロット労組との
交渉には応じるつもりはないとしている。

パイロット労組はこれ以上の混乱を防ぐ為、あらたにストを行う予定は
ないとしている。


5月17日現在

およそ50人による乱闘さわぎ

昨日未明、マドリッドのミゲル・フレタ通りで、50人もを巻きこむ
乱闘がおき、5台の救急車がかけつけるさわぎとなった。8人が負傷、
うち1人が重傷。

事件が発生したのは「オクパ(OKUPA)」(使用されていない建物
に住みついている若者達)の若者たちがすむ建物。そこでコンサ−トが
おこなわれていた。コンサ−ト入場者と付近を通行していた車の運転手
とのあいだに諍いがあり、運転手は一旦その場から立ち去った後、
仲間とともにコンサ−ト会場にバット、ナイフなどをもって乱入した。

負傷者のうち4人がオクパの青年で、残りは攻撃した側の若者。
加害者と見られる若者達のなかには、公務執行妨害、暴行、窃盗などの
前科をもつ者が3名いた。

近所の人々によると、オクパの青年たちの占拠している建物にはいろいろと
人の出入りがあったり、夜遅くまで人が集まっていたりはしたようだが、
必ず彼らは翌朝までに周辺を清掃し、空き瓶一つ落ちていることはなく
昨日の騒ぎがおきるまではけっして周辺住民の迷惑になることはなかった
という。


5月14日現在

アリアス・サルガ勧業大臣解任要求、再び国会で否決

勧業大臣は8票差で再び命拾い。前回は、空港混乱の
責任を追及されて解任要求がだされたが、今回は、自身が
筆頭株主である会社の存在を議会に報告していなかったことが問題となった。
国会議員は、議員以外の活動をすべて報告する義務がある。

大臣はフェルロアンと言う有限会社の株75%を所有し、同社の唯一の
経営者となっている。大臣は、家族の資産管理のための、全く限られた
活動の会社であると説明している。

野党PSOE(社会主義労働者党)は、この決議に全く納得がいかない。
「空港混乱の原因は勧業大臣にあり、彼にその解決能力がないのは明らかだ。
政府は彼の解任を決断するべきだ。」とし、同時に「勧業省はテレフォニカ
のための弁護士集団になり下がっている。」と批判。これは昨日同国会で
勧業大臣の解任要求が否決される一方で、勧業省が提案していた
「国境なきテレビ局法案」が通ったことからきている。これにより、
1株主が所有できる民法のテレビ、ラジオ局の株の上限が全体の25%から
49%へ引き上げられる。懸案となっていた、テレフォニカのオンダ・セロ
(ラジオ局)株買取が可能となった。また、テレフォニカのアンテナ・トレス
(テレビ局)への資本参加増化も可能となる。


5月14日現在

バスク州知事、EHとの同盟に慎重

昨日、PNV(バスク国民党)のイバレチェ州知事は、
EH(元HB、バスク民族党)との同盟に慎重な姿勢を示した。
テロ活動を否定しないEHが本当に民主主義的、平和的路線に
変換できるのか、確認できてから同盟にサインしたいとのこと。


5月14日現在

カヤル−ニャ大蔵支局汚職疑惑続報

検察は、元大蔵省幹部、ウゲット、アギア−ル両氏に
過去に行った株式投資の証明を3日以内に提出するよう要求した。

両氏は、5億ペセタ近い金額を、所得として申告せずにスイスの
銀行口座に隠し持っていたことが発覚している。それに対し、
収賄、株インサイダ−取引などの疑惑がもちあがっている。

先日、裁判で1千万ペセタを元本にわずか2年の間にその金額を
株式投資によって得たと証言した。裁判所はその過去の証券取引の
事実を証明する書類の提出を求めた。


5月13日現在

クレジットカ−ド手数料上限3.5%へ

お客がクレジットカ−ドで買い物した場合、小売店が銀行にはらう
手数料の上限は現行の5.1%から3.5%へさげられることが
業者間で決定された。その後、さらに段階的に下げられ、2002年
6月には2.75%になる予定。

既に小売店側から、カ−ド手数料の水準が不当に高いという訴えが
公正取引裁判所に出されていた。今回の引き下げで、手数料はイギリスと
同レベルになるが、イギリスの市場が42兆ペセタなのに対し、スペイン市場は
4.2兆と銀行側にいとっては、市場規模にみあわない低い手数料水準となる。
しかし、小売店側との関係改善のため、銀行はこの引き下げに同意した。


5月13日現在

ユ−ゴ攻撃への議会承認の必要性、うやむやに

アスナル首相は、再びはっきりとした回答を避けた。
昨日国会にて、ユ−ゴ紛争にて地上戦に突入しスペインから
兵を送るようになった場合、事前に国会の承認を得るのかという質問が
IU(左翼連合)の議員からなされた。
アスナル首相は「地上戦突入などの重要な事態の変化の場合、政府は
直ちに国会に出頭する。」と5月3日と同じ答えを繰り返したのみで、
はたして国会に出頭するのは、重要事態発生の前なのか後なのか
明らかにしないまま。

そうしている間に、昨日あらたに234人のコソボ避難民がバレンシアへ
到着。さらにアビラ、バルセロナで避難民をうけいれる予定。


5月13日現在

イベリアとパイロット労組の交渉決裂

イベリア航空と同社パイロット労働組合は、3月末の
イ−スタ−連休から、交渉を行っていたが、昨日とうとう
合意に至らぬまま交渉は決裂した。

1994年に、同社の経営状態改善の為、社員の給与削減が決定されたが、
組合側はその削減の撤廃を要求していた。イベリア側はこれを一時的な
ものとして受け入れる用意はあったが、固定給として組み込むことは
否定。一時的な物であれば60億ペセタ程度の負担ですむが、固定給に
組み入れるとなると3年間で200億ペセタの経費増となる。
「それをまかなうためには、会社を抵当に入れて融資を頼まなければいけない。
やっと黒字に転換したところでそんなことはしたくない。」とイベリア側。

「私たちだって、会社の資産を減らしたくはない。でも、常に
従業員の犠牲の上にある経営姿勢は改善すべきだ。」と、組合側は述べ
「会社側へ圧力をかける行動を考える」とあらたなストの可能性を示唆した。

一方、この交渉決裂の数時間前にアスナル首相は国会で、アリアス・サルガ勧業大臣
およびピケ産業大臣の解任の可能性を否定した。ここのところ各方面から空港問題の
責任をとり両大臣は辞任すべきだとの要請がだされている。


5月12日現在

ETAの停戦、恒久化か

政府関係者およびバスクの議会関係者らの情報によると、ETA(バスク
地方のテロ集団)は現在の一時的な停戦を恒久的なものにする方向で
内部で話し合いをもっている、とのこと。

6月13日の地方選挙がおわってもETAは停戦を維持するのであろうか?
というのがだれもが抱いている疑問だが、すべては選挙結果次第、すなわち
EH(バスク人民連合)がいくつ議席を獲得するか、PVN(バスク国民党)が
EHとの同盟を維持し続けるのか、によるというのが大半のみかたである。

しかし、ここでETAは停戦の恒久化を、民族主義政党支援のため選挙前に発表する
との情報が関係者から流れてきている。最終的決定はまだなされていないとのこと。


5月12日現在

アンダルシア州議会、勧業大臣辞任要求

昨日、アンダルシア州議会で、アスナル首相にアリアス・アサルガ
勧業大臣の即座の辞任を要求する決議が可決された。理由はもちろん
一連の空の便の混乱の責任。

アンダルシア州議会のインフラおよび運輸委員会から辞任提案は出された。
一連の空路の混乱は、アンダルシア経済の基盤である観光業に深刻な
影響をあたえているとしている。

これをうけ、アリアス・サルガ勧業大臣は、「アンダルシアは
そんなことを決議する前に自分の州の道路を整備したらどうだ。」
と述べ、辞任の意思はまったくないようだ。


5月12日現在

マドリッド、ディスコ従業員射殺事件続報

月曜未明に、マドリッドの中心にあるディスコ「アムネスティ」の
従業員が射殺された事件。警備員と客の単なる諍いではなく、
麻薬密売組織のからんだものであることが昨日報道された。

ディスコの経営者を脅し、警備員として雇うことを強要するイラン系の
集団の存在を3ヶ月ほど前からディスコ経営者協会は訴えていた。
集団はディスコ内への仲間の出入りを自由にし、麻薬を売るのが目的。

警察の発表によると、「アムネスティ」の経営者は、事件のあった日、
この集団がディスコに脅し目的でやってくることをあらかじめ知っており、
そのため、8人の警備員に拳銃をもたせ待機させていた。午前1時半ごろ
集団が武器を持って現れ、警備員らと諍いとなる。警備員のひとりが
集団に向けて発砲、ひとりの脚に銃弾があたる。その後、
イラン人たちは警備員に向けて発砲し、彼が死亡するに至った。
その他怪我人は4人。ディスコの入り口近辺には13個の銃弾のあとが
のこされていた。現在のところ、警察はイラン国籍の男性2人と女性1人を
逮捕、彼らとその集団の住居を捜索し武器を押収している。


5月12日現在

大蔵元幹部汚職疑惑続報

カタル−ニャ州大蔵支局の元幹部、アギア−ル、ウゲット両氏が
収賄、株インサイダ−取引、脱税等の疑いで調べをうけているが、
昨日、全国管区裁判所で両氏は、申告せずにスイスの口座に隠し持っていた
およそ5億ペセタのお金は、株の投資によって得たものであったと証言した。

その株投資の内容が驚くべきもの。
投資の元手となった額は1千万ペセタであった。
それが1985年から1987年にわたるわずか2年間で4億ペセタあまり
の収益をもたらしたという。2年間で4000%の収益率を確保したことになる。
両氏は、当時この収入を公表すれば世間に過大な反響を及ぼすと考え、スイスの
口座に隠し持つことにしたと証言している。

この事件は、PSOE(社会主義労働者党)の首相候補、ボレル氏の立場にも
重大な影響を及ぼす。ボレル氏はアギア−ル、ウゲット両氏が大蔵幹部であったあとき
政府の大蔵担当責任者であった。両氏とは仕事上の関係も含め深い交流関係があったとされる。
PSOEは首相候補としてボレル氏を擁立することに変更はなく、同候補をあくまでも
支持していくと発表している。


5月11日現在

勧業省、3度空路の変更

勧業省の直轄であるAENA(スペイン空港)は、この6ヶ月
で3度目となるマドリッド、バラハス空港における離着陸時の
ル−トの変更を行う。6月17日より実施。これは騒音を減少
させるため。

パイロット労働組合は度重なる変更に対し、更に空路の混乱を
引き起こすと抗議。乗務員、管制官などが変更に慣れるまでには
それなりの期間が必要だが、それを空港側は全く考慮しておらず、
更なる発着の遅れを引き起こすことになると批判している。


5月11日現在

イラン系麻薬マフィアの反抗−ディスコ従業員射殺事件

マドリッドの中心にあるディスコ「アムネスティ」において
昨日未明発砲事件が起き、29歳の従業員が死亡した。
当初は従業員と客との諍いが原因かと思われていたが
イラン系の麻薬密売集団の組織的犯行であるらしいことが
明らかになった。

マドリッドのディスコ経営者協会は、この集団は3ヶ月ほど前から、
ディスコ経営者たちを脅し、警備員などとして雇うよう強要していたと訴えている。
彼らの目的は、仲間をディスコ内に自由に出入りさせ、中で麻薬を販売すること
である。要求に応じなければ嫌がらせにあい、応じて彼らを雇えば、店は麻薬密売の場に
されてしまうわけだ。
ディスコ経営者達は「まるで20年代のシカゴのマフィアのようだ」と心中を語っている。


5月10日現在

500ccバイク、ヘレス・グランプリでクリビレ優勝

アレックス・クリビレ選手(ホンダ)が3年連続、
500ccバイクの世界大会であるヘレス・グランプリで優勝をかざった。
クリビジャは500ccの世界ランキング1位となる。

クリビレ選手はバルセロナのサバ出身。29歳。
彼にとってはこれが9度目の世界大会制覇。
2位のケニ−・ロバ−ツ(Suzuki)に1ポイント差で世界ランキングの
トップにたつことになった。


5月10日現在

6月13日にむけ、選挙戦開幕

スペインの地方議会とヨ−ロッパ議会の選挙まで残すところおよそ
1ヶ月となった。PP(国民党)のアスナル首相とPSOE(社会主義
労働者党)のボレル首相候補はそれぞれ、お互いの激しい批判から
選挙戦の幕をきった。

ヨ−ロッパ議会選挙の候補者リストトップのロヨラ・デ・パラシオス前農相
とともに集会に登場したアスナル首相は、先週木曜日にEUの
「21世紀予算」の批准に反対したPSOEの態度を激しく批判。
パラシオス前農相も「スペイン国民の利益に反する行為。破壊行為に
等しい」と同調。

一方、PSOEのボレル首相候補も、同党の集会において3年間のPP政権
をふりかえり、「スペインは国際的に重要性を失い、議会は尊重されず
民主主義は危うい物になっている。」「PP政権の3年間は後ろ向きへの、
不平等への3年間だった。」と述べた。


5月10日現在

大蔵省、不正疑惑のある監査の再調査を検察へ依頼

大蔵は過去に行われた3つの法人に対する大蔵監査に対して、
不正がなかったかの調査を汚職調査検察に依頼した。

3社の監査はいずれもウゲット氏がひきいるチ−ムによって
おこなわれている。ウゲット氏はもと大蔵省幹部で、汚職疑惑
株のインサイダ−取引疑惑などで、同じく大蔵省関係者の
アギア−ル氏とともに取調べをうけている。2人が468億ペセタ
にのぼる金額をスイスの銀行口座に隠し持っていたことはすでに
つきとめられている。


5月7日現在

ETA今までに政府とは一切交渉なし

ETA〈バスク地方のテロ集団)はリサラ同盟(バスクの
民族主義政党の連合)あてに、11月以来政府との交渉の機会を
持っていないことを明らかにした。9月の停戦宣言以降、2度政府との
接触を試みたが、政府側から書面による回答がなにも得られなかった
という。この発表は、水面下で政府との交渉を進めているのではないか
という噂を否定するためにだしたとしている。

ETAの発表によると、政府と2度メッセ−ジの交換を行い、2度文書を渡している。
しかし政府側からは1度も文書による回答が得られなかった。接触はいずれの場合も
ETA側からはじめたものであるという。

一方政府もETAとの2度の接触を認めている。接触においては、政府側の人間が
口頭でメッセ−ジを伝え、文書はなかったことも認めている。
11月末にアスナル首相がETAとの平和交渉にいつでも応じる用意があると公に
発表した後、政府はETAと接触をもつが、政府側発表によると、アスナル首相が
任命した政府側の代表者にETAがその時点では興味を示さなかったという。
その後、12月にETAから声名がだされた。その内容は、「ETAはいつでも
政府との直接の交渉に応じる用意がある。」というポジティブな部分と、「バスクの領土
と未来について選ぶ権利を我々に認める」ように要求する、政府にとってはネガティブな
部分があった。この声名以降、接触は途絶えている。


5月7日現在

飲酒運転取締り新規制、今日より実施

飲酒運転の取り締まり基準が今日より強化される。
以前は、血液中のアルコ−ル量が0.8グラム/リットルが上限
であったが、それが0.5グラムに引き下げられる。また、排出した息の
中のアルコ−ル量の上限は0.25グラム/リットルとなる。
運転を職業にしている人、免許をとって間もない人は血液中で0.3グラム、
息で0.15グラムが上限となる。違反者には10万ペセタの罰金が課せられる。

以前の基準では、平均的な身長体重の成人男子は、缶ビ−ル2本、
グラスワイン2.5杯を飲んでもひっかからなかったが、新基準では
缶ビ−ルで1本、グラスワインで1.5杯程度が限度となる。


5月7日現在

空港はあいかわらずの状態

空港関連のニュ−スは、日に日に訳のわからないものと
なってきているが、昨日またひと騒動。マドリッド・バラハス空港の
荷物チェックインのシステムが8時間にわたってストップした。

システムの故障は午前3時から11時半におよんだ。荷物チェックインの
システムは全航空会社のコンピュ−タ−と空港のコンピュ−タ−が空港の
コンピュ−タ−・サ−バ−を共有している。そのサ−バ−がストップしてしまった
ため、システムが一切使えない状態となった。そのためその間のチェックインは
すべて手作業で行われた。


5月6日現在

ユ−ゴ攻撃に国会の承認必要なし−副首相

一昨日、ユ−ゴスラビア攻撃に関して、新たに兵を送ったり
地上戦に突入したりする前に、国会の承認を得るよう、PSOE
(社会主義労働者党)、カナリアス連盟、IU(左翼連合)から
要請がだされた。これに対し、アルバレス・カスコス副首相は
「新たに国会の承認を得る必要はない。なぜなら国会はすでに
1982年にスペインのNATO加盟を承認しているからだ。」
と回答した。

NATOに加盟し、活動することを国会が承認している以上、その
活動内容はいちいち国会の承認を得ずとも政府が決定できる、としている。
アスナル首相が一昨日に述べたように、状況の説明は首相自ら必要に応じて
国会で行うとした。

これをうけIUは、国会の承認なしに政府が地上戦突入を決定するようであれば、
憲法裁判所へ訴えるつもりだと述べている。


5月6日現在

イベリア航空のキャンセル便を他の航空会社へ

ユ−ロコントロ−ル(ヨ−ロッパの空路を統括する組織)は
昨日、イベリア航空が削減すると発表したおよそ16000便の
就航権を他社にまわすと発表した。

イベリア航空が便削減を決定したのは、現在も続いている空の便の
混乱を解消する為。しかし他社がその分便を増やしてしまうのなら、
なんの解決にもならない。イベリアはこの削減によっておよそ
100億ペセタの減収が予想されるが、100億ペセタがこれでは
本当にむだになってしまう。

そもそもイベリアがこの決断に至ったのは、勧業大臣が就航権確保
を約束したから。すなわち、混乱が収まるまで一時的に便を削減するが
そのあとはイベリアに就航権をもどす、という話だった。
しかしユ−ロコントロ−ルは「就航権をどの会社に与えるかを決める権利は
ユ−ロコントロ−ルが持っている。ユ−ロッパの空路に関して決定を下せるのは
我々のみだ。」とし、スペイン勧業大臣とは真っ向から対立する形となっている。

一昨日、マドリッド−ヘレス間の便の削減がイベリアより発表されたが、早速
エア−・ヨ−ロッパが同区間の便の就航にのりだすもよう。


5月6日現在

4月の失業率10.47%、1980年以来最低

好調な成長を続けているスペイン経済の影響は失業率にも
現れてきている。4月の失業者数は170万8千人、率にして
10.47%、1980年10以来の低い数字となった。

ここのところ順調に失業者の数は減少しているが、減少のスピ−ドは
遅くなっている。


5月5日現在

サファリ・パ−クで虎に襲われ観光客死亡

アリカンテのサファリ・パ−クでドイツ人2人が虎に襲われ
死亡する事件が起きた。死亡したのは、77歳の男性と同世代
と思われる女性。男性の身元は確認できたが、女性の身元は
未だわかっていない。

パ−ク内では安全上、車から降りること、車の窓を開けることなどを
禁じている。この注意はドイツ語も含む3カ国語で表示されている。
それにもかかわらず、この2人は虎の写真を取るため車から降りたところを
襲われてしまった。警備員が駆けつけたときには、死体は車から100M
あまり離れたところにあった。虎は被害者の首をねらっており、
女性の頭部は体から切り離された状態となっていた。


5月5日現在

ヨ−ロッパ株式市場設立、マドリッドの会合にて決定

昨日、ヨ−ロッパの8ヶ所の証券取引所代表がマドリッドで
会合を開いた。そこで、2、3年後をめどに共同で
「ヨ−ロッパ証券取引所」を設立する合意に達した。

各国の市場での重要な数銘柄のみが取引される予定だが、
実現すれば、時価総額がおよそニュ−ヨ−ク市場の60%、
東京市場を上まわる、世界第2位の市場が誕生することになる


5月5日現在

アスナル首相ユ−ゴスラビア攻撃への国会決議を避ける

昨日、アスナル首相は国会でユ−ゴ戦争に関する説明を行った。
これは、あくまでも状況説明の域をでるものでなく、討論、決議
などは一切行われなかった。
スペイン政府は今後1200人の避難民をうけいれ、14億ペセタを
コソボ復旧のために援助する。

野党代表のボレル氏、および、カナリアス連盟のマウリシオ氏は、
今後、NATOのユ−ゴ攻撃へのスペインの参加の比重が増すような場合、
また、地上戦へ突入するような場合、事前に国会の承認を得てから決断する
よう要求した。首相は「大きな状況の変化があった場合、かならず説明のため、
また皆の意見をきくため、国会を開く」「戦争に関する重要な決断をしなければ
ならないときは、国会の決議を求める」とした。しかし、地上戦突入が「重要な決断」
にあたるのか、また国会に現れるのは「大きな状況の変化」の前か、それとも
後になって事後報告をするだけということなのか、など肝心な部分はあいまいに
されたままで、首相は具体的な確約を避けたとみられる。


5月4日現在

ETAの兵器倉庫フランスで発見

バスクのテロ組織ETAの秘密兵器倉庫が昨日フランス・バスク地方
シボ−ルで発見された。スペインとの国境から10KMあまりのところである。

昨日この倉庫で火薬に引火したと思われる発火が生じたため、消防、警察が
かけつけたところ200あまりの銃器、弾薬、火薬、爆薬等が発見される
結果となった。1982年からETAはこの場所を使用していた。
直ちに持ち主である女性とその兄弟が逮捕されたが発火の最中にもうひとりの
関与者とおもわれる人物が逃走している。


5月4日現在

ドニャ−ナ公園の野鳥に重度の環境汚染

科学調査最高審議会(CSIC)は、グアディマ−ル川流域の
環境汚染超の結果を発表。

多くの野鳥が生息し、観光個所としても有名な
500ヘクタ−ルにわたる自然公園、ドニャ−ナ公園。ここでの重金属による
汚染はひどく、生息するガンの22%が鉛などの重金属を危険なレベルまで
体内に摂取してしまっているという。こうのとり、鷺などあわせて25万羽の
野鳥が生息しているが、そのうち2万7千羽が重金属汚の影響を受けてしまっている。

CSI直ちに別の場所に野鳥が移り住める湿地を造ることを提言しているが、
いまのところ、環境庁は具体策をだしていない。


5月4日現在

イベリア航空、ヘレス−マドリッド間のフライトを大幅削減

イベリア航空はヘレス・デ・ラ・フロンテラ(カディス)とマドリッド間の
直行便を今週の土曜日から75%削減することを発表。これに対し、
ヘレスのパチェコ市長はイベリア航空を訴えるもよう。

馬の見本市(フェリア・デ・カバ−ジョ)をはじめ、これからは数々の
お祭り、催し物が予定されている観光ハイシ−ズン。この時期に首都マドリッド
からの直行便を削られるのはヘレスの観光業にとっては大きな打撃となる。
さっそくヘレスの市役所はこの直行便削減における観光業界の経済的損害の
報告書作成を地方観光調査局に以来。市長はイベリアを訴える用意が
あるという。


5月3日現在

空港情報

もう日常の出来事化してしまった空の便の混乱だが、昨日はマドリッド、
バラハス空港でおよそ50%の便が15分以上の遅れを記録、平均して
24分の遅れとなった。イベリア航空の便のみでは率はあがり、60%が
平均33分の遅れとなっている。バルセロナ、プラット空港分もあわせると
キャンセルは23便にのぼった。

世界観光協会の理事、フランシスコ・フランジアリ氏は、スペイン政府に
問題解決のための「長期的な計画」の提出を求めた。日々混乱を解決していく
のではなく、根本的に、インフラなどを長期的に見なおす計画を求めている。
世界観光協会にとってもこの一連のスペインの航空便混乱は大打撃だとしている。

一方、スペイン商工会議所理事のホセ・マリア・フェルナンデス氏は空港関連の業務
の民営化を提案している。「観光業界にとって一番大切なのはイメ−ジ。スペインのイメ−ジは
今、空港の混乱に代表されるようになっている、今、夏を前にみんながバカンス
の行き先を考えているところ。このままでは、みんな行き先を他の国へ替えてしまう。」
と、一連の混乱のためにスペイン観光界がうける打撃は計り知れないものだと主張している。


5月3日現在

スペイン赤十字、コソボ難民に対する政府の無策を批判

スペイン赤十字の幹部、エストレ−ジャ・ロドリゲス氏は昨日、コソボからの
避難民に対する救援計画が国によってなにもなされていないと現状を報告。
「今政府は、毎日違うところから必要なお金を引っ張り出してきている状態。
長期的な視野に基づいた計画を国会にはやく通して欲しい。」と要求した。

赤十字は、マドリッドのシウダッド・エスコラルにおいて、コソボ難民の避難所を
運営している。避難民達に医者、セラピストなどの治療をうけさせるとともに、
在留許可、労働許可証等の取得を行っている。


5月3日現在

法律審議会、現在の刑法の問題点をまとめる

法律審議会(CGPJ)は、3年前から施行されている新刑法の問題点を
まとめる報告書を作成した。

報告によると、問題点として刑務所における、社会奉仕活動、囚人教育のセンタ−、
仮釈放にむけての分析をすすめる専門家などの決定的不足を挙げ、現在の刑務所での服役は、
他の選択肢が非常に少なく厳しいものになっているとしている。
服役者たちが、週末を各自の家で過ごせるケ−スを増やすようにすることなどを提案している。