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11月29日(金)

強い西風に煽られ巨大な石油溜りがフィニステレ沖33マイルまで接近

ガリシア沿岸一帯体の気象条件の悪化がプレステージから漏出した巨大な石油溜りの動き を活発にしている。折からの西風によって数千トンに及ぶの漏出石油溜りが海岸線に向 かって押されており、この24時間内に22マイル(40キロ)も陸地に近づき、現在 フィニステーレの海岸線から33マイルの位置にある。気象庁が発表した今後の予報は 「ガリシア北部海岸線一帯には強い西風が吹く模様」であり、まさに新たなる黒い波に 洗われる脅威にさらされている地方にとって悲観的なものである。 ガリシア西部海岸線一帯の気象予報も同様「4〜6メートルの波浪と海から陸に向かう 西風が少なくとも今日から明日にかけて2日間は続くだろう」という暗澹としたものだ。 悪天候の為、海上も荒れ模様で漏出石油の吸引回収にあたっている船の作業を阻んでいる。 南西から北西とくるくる方向を変える強風と高さ2〜4メートルに及ぶ波浪はこれらの作業 船の稼動可能な基準を超えており今日明日の石油回収作業は大幅に遅れる模様。 現在までにプレステージから漏出した石油の回収作業に動員された船舶はスペイン船14隻、 外国船7隻で、今後も数日以内にノルウェー、デンマーク、イタリア、フランスなどから更に 6隻が加わる予定。一方陸地での石油回収作業も進んでおり、今までにタンカーから流出した 石油廃棄物2100トンを回収・撤去した。800人に及ぶ人々が、被害を受けた沿岸の8ヶ所 に及ぶ地域の海岸線清掃作業に従事している。

プレステージの船体が折れて沈没したのはポルトガル海軍からの命令を受けた直後

フランスの新聞フランスプレスは今日発売のドイツの週刊誌Sternからの引用として、 「プレステージに亀裂が生じ石油流出が始まった後、海岸線から遠ざけるべくこのタ ンカーを外洋へ向けて牽引していたオランダの牽引船団は、ポルトガル海軍の軍艦に より航行方向を急激に変換するする様命令された。牽引船団の船長らの談話によると この急激な方向転換により亀裂の入ったプレステージの胴体はまさに垂直に波に洗わ れる状態になった。」と報道している。

オロットの薬剤師誘拐事件の首謀者と見られる容疑者2名は自白を「脅迫」によるものだと主張。

昨日オロットの薬剤師マリア・アンヘレス・フェリゥさんの誘拐事件裁判公判2日目、事件の首謀者と見られている容疑者2名の証言が行われた。一人は当時オロットで勤務していた警察官アントニオ・ギラド氏で、検察はフェリウさんを拉致・誘拐したかどで懲役22年を求刑している。もう1人は自宅の地下を掘って作った小さな狭い穴倉にフェリウさんを長期間にわたり監禁したかどで起訴されているラモン・ウジャストレ氏。両人とも最初の自白を撤回、一連の誘拐事件には関わっていない旨を表明し、自分達が偽りの自白をしたのは警察捜査官らの強制・脅迫によるものだと証言した。 1999年3月に逮捕された時点で、両人は誘拐計画実行の首謀者である事を白状し、その後後悔の念にかられフェリウさんに謝罪までしていたが、ここで一挙に態度を変え、全ては当時捜査・取調を担当した治安警備隊の自白強要によるものとしている。 警察官という立場にあったギラド氏に対し検察は多数の容疑者の中で一番思い懲役22年を求刑しているが、当のギラド氏は1992年11月20日の事件当夜は市営体育館で少年サッカーのコーチをした後自宅へ戻ったと主張している。検察側の質問には一切答えず「自白は警察取り調べの自白強要によるもの」という結論に導こうとする彼の弁護人の質問にのみ返答した。当初の自白の中でギラド氏は事件当夜彼やはり警察官のホセ・サンブラノ氏とホセルイス・パス氏を従えてフェリウさん宅の駐車場に進入しライフルで彼女を脅して拉致したと供述している。 長い期間拉致・監禁され肉体的・精神的苦痛にさいなまれたフェリウさんは、全ての決着をつける 為この裁判の公判を待ち望んでいたと同時に、あの忌まわしい記憶を呼び起こす事の苦痛をも感じ ていると表明した。この裁判は、地元の警察官や隣人らという多数の容疑者を内包してまだ始まった ばかりだ。

マドリッドで逮捕された違法移民斡旋組織の首謀者は福音教会の牧師

昨日アルカラ・デ・エナレスで逮捕された違法移民斡旋組織の首謀者は42歳の福音教会牧師 アンディー氏であると警察当局は発表した。その他に9名が現行犯で逮捕された。この組織はナイジ ェリアにおいて若い女性を「スペインでいい仕事を斡旋する、労働許可証も取得できる」と騙 して4万ドル相当の斡旋料を取ってスペインへ連れて来て労働させ、不法移民という立場および 宗教がらみで呪術などを駆使して逃亡や警察への通報をしない様強要していたと見られる。 共犯者には外国人女性も加わっており、組織の表の顔は「神の甲冑」という名の前述のアンディー氏 が司祭を勤める福音教会とグルポ・リモットという名の架空の清掃会社だった。 今回の組織の逮捕・壊滅は被害者の1人の女性が警察に告発した事によってできた。調べによる と被害者らは体罰なども受けていた模様。


11月28日(木)

ガリシア州政府、新たな石油溜まりの漂着を警告

プレステージが沈没した際に流れ出した1.1万トンの石油の流れを追っているガリシア州政府の科学者たちは、昨日フィニステレ岬に新たな石油溜まりが流れ出す重大な危険性について警告を発した。この石油溜まりは今、海岸から約83キロ地点を漂流しており、風向きと潮の流れから科学者が分析するところによると、「この石油溜まりが今週末頃フィニステレ岬に漂着するのが最も現実的な予測」であるという。
ガリシア州政府海洋センターの海洋学者と気象学者は毎日何時間もコンピューターに張り付いて、2台の飛行機(フランス1台、ポルトガル1台)と2台のヘリコプター(スペイン政府1台、ガリシア州政府1台)が収集するデータをもとに、フランス、ポルトガルの科学者とも協力して事態の予測を試みている。今後の風向きを予測することはほぼ不可能に近いながらも、彼らはこの最大の石油溜まり(表面積はカナリアス諸島のテネリフェ島を凌ぐ)がガリシアの海岸に流れ着くことを確信している。石油溜まりの動くスピードは天候によってまちまちで、天気の良い間はほとんど動かなかったが、天気は昨日から再び悪化している。天気の悪かった先週は石油溜まりはおよそ1日20キロのスピードで動いていた。「多分、今週末かその数日後にはフィニステレ岬に漂着するだろう。」と海洋学者のホセ・マヌエル・カバナス氏は述べた。
すでに汚染されている地域に再び石油が漂着することは、ガリシア州政府にとっては“不幸中の幸い”だが、風向き、潮の流れに左右される石油の流れは予測が難しく、フィニステレ岬到着後もさらに北上を続ける可能性もある。だからといって石油が南下する可能性もなくなったわけではなく、ガリシア州政府が最も心配するのは、この石油がリアス・バイシャスの湾内に流れ込み、石油の回収が難しい水の凪いだ場所で、世界でも有数の海産物の宝庫が壊滅させられてしまうことである。この時期の風向きから判断すると石油が南下する可能性は低いながらも、州政府はリアス・バイシャス地域の漁業関係者に最悪の事態に備えるよう連絡した。
プレステージから最後に流出した1.1万トンの石油のうち、オランダとフランスの回収船によりこの2日間で約2千トンが吸引されたが、昨日は天気が悪く、回収船を出すことはできなかった。
中央政府第一副首相のマリアノ・ラホイ氏は、昨日ア・コルニャで石油溜まりについて、かなり楽観的な分析結果を発表した。それによると、この石油溜まりは100×60メートルの2つの核を持ち、その周りに数百の小さなまとまりがあるというが、ガリシア州政府のヘリコプターパイロット、ハビエル・オラビデ氏が上空から見たものはこの発表とは異なっている。「4日前に上空から汚染海域を見たときは、長さが40マイル、幅が15マイルほどあり、所々に石油の濃く集まっている場所があった。その周りには石油溜まりから流れ出した石油が線上に出ており、シマウマの模様のようだった。」と彼は語っている。
ラホイ副首相と州政府の科学者達は今のところ、海底のプレステージから石油が漏れている形跡は見られないとしているが、その一方、フランスの環境大臣は昨日自国の国会で、沈没したプレステージから石油が漏れ出ていると発表している。

スペイン経済成長鈍化を示す統計結果発表

スペイン経済の原動力が1年前から勢いを失っており、現在は1993年の不況からの回復期を下回る成長率となっていることが、昨日INE(国立統計局)の発表したデータで明らかになった。これによると、本年度第三期の経済成長は前年同時期比1.8%の伸びで、本年度通算成長平均率は1.9%と政府が目標に掲げている2.2%には程遠い状態となっている。
この1.8%という数字は、数日前に発表されたスペイン銀行発表のデータと一致しているが、専門家たちの分析ではこれを下回る数字が予測されていたこともあり、PSOE(社労党)はこの数字が政府からの圧力を受け、両機関が改ざんしたものだと批判している。
最大の懸念は家庭内消費の伸び悩みで、前年同期と比べて1.5%の成長ではあるが、第二期よりは0.2%下がっている。データには、雇用促進の鈍化、失業の増加、給料が上がらないにも係わらず物価は上昇していること、株価の下落が反映され、消費者が将来への不安から貯蓄に走る傾向が示されている。
来年度はおよそ11%の所得減税が予定されている上、BCE(ヨーロッパ中央銀行)が数日中に少なくとも0.5ポイントの公定歩合の引き下げをすることが確実視されており、これにより融資を受けている人々の負担が少しは軽くなることになる。企業に対してはすでに現行税法がゆったりしたものになっているため、特に措置がとられる予定はない。
政府経済担当官のルイス・デ・ギンド氏によると、企業の投資が鈍っているのは偏に信用の問題からで、昨日発表のデータでは回復の兆しが見えており、財テク商品の値下がりが前期を下回ったため投資は1.5%の成長を見せたという。建築業は依然として好調に成長を続けており、成長率は4.8%。しかしながら、建築業と農業での雇用が減ったことが影響して雇用成長率は1.4%と前期よりわずか0.1%の成長と鈍った。今年度は20.4万人が就職しており、前年よりは約10万人少ないものの、これは政府の年間予測を3万人上回っている。

スペインの生徒の学習程度、発展諸国内で最下位争い

スペインの15才以下の生徒の45%が、基本的数学知識を使う能力がなく、16%は基本的な読書の宿題をこなすことができない−これが、ユニセフの発表した“発展国における教育程度の差”という報告書で明らかになった結果である。この報告書はOECD(経済協力開発機構)に加盟している24ヶ国を対象に、読解能力、科学、数学知識の学習などのデータに基づいて教育の効率性について調べられたもので、24カ国のうち優秀な結果が出たのは、韓国、日本、フィンランドで、逆に結果の良くなかった国々はスペイン、イタリア、ギリシャ、ポルトガル。
この調査によって、学習程度の高さで1位の韓国と最下位のギリシャの生徒一人あたりへの教育費の支出額が同じであることから、国が生徒一人当たりに使う教育費の額と学習の成果には直接的な関係がないことが明らかになった。報告書によると、結果に大きく作用するのは両親の職業、学歴と経済状況であるという。
学校による教育程度の差が少ない国としてはフィンランド、スペイン、ポルトガル、カナダの名が挙がっており、その反対はベルギー、ニュージーランド、ドイツ、アメリカとなっている。
この報告書の中のその他のデータとしては、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、ドイツで特に移民の子供への教育が不十分であることが指摘されている。


11月27日(水)

スペインとフランス、安全設備不備のタンカーの領海航行を禁止することで合意

スペイン政府とフランス政府は国連条約第56条の海運法に基づいて、今日から海上保安の独自の政策を適用することで合意した。建造後15年以上経ち船体が一重で、運搬しているものが燃料、コールタールといった危険物であり、十分な安全設備の保証のできないすべての船は、フランス、スペイン両国の海岸から200海里以上離れた場所に追放される。これが、昨日マラガで開かれたスペイン−フランスサミットでホセ・マリア・アスナルスペイン首相とジャック・シラクフランス大統領が達した合意の内容。
国家がこういった安全対策措置を取ることは国連条約により認められているが、これまでは航行の自由の尊重という見地から適用が見送られていた。アスナル首相は、フランスとスペインが来月12日にコペンハーゲンで行われる欧州理事会で今回両国が合意したこの安全対策措置を他のEU諸国も適用するよう提案することを明らかにしている。欧州連合は石油タンカー“エリカ”の事故後、2015年までにEU諸国の領海を一重船体の船が航行することを禁止することを決定しているが、フランス、スペイン両国はこれを2013年に早めるよう働きかけるという。アスナル首相は先週の木曜日、EU諸国首脳に書簡を送りいくつかの安全対策案の適用を提案しているが、フランスとスペインはこの点についても欧州理事会で適用を共に推進することで合意している。この提案とは一重船体船の航行禁止以外に、1.すでに決議されている安全対策案の早期適用、2.この種の災害対策基金を欧州連合で設ける、3.海上交通のコントロール強化、4.ジブラルタルのように安全規定適用を無視する場所を無くす、5.事故防止のためにEU諸国が協力して国際海運事務局に働きかけるというものである。
またプレステージから石油が初めて流出した日にアランフェスで狩をしていたことから野党が辞任を要求しているにもかかわらず、ガリシア州政府のマヌエル・フラガ知事はこの意志のないことを昨日表明した。狩にはガリシア州の公共工事局長、環境局長も同行していたという。

マドリッドの商店、営業可能日曜日数が19から26へ

ブラスケス経済局長が1ヶ月前に予告していた通り、マドリッドの商店の営業可能日曜日の数が増やされることになった。昨日経営者と労組は、現在の営業可能日曜日数19を26に増やすという法令案のコピーを受け取った。これに対し中小規模商店主は怒り、また労組も何らかの行動に出る可能性を否定していない。
ルイス・ブラスケス氏のこの法令によると、毎月最初と最後の日曜日と12月すべての日曜日に商店を開けることができるようになる。マドリッド市はこれにより、新たに雇用を創出し、停滞している経済成長を活発化させることを狙っている。
しかし、このプランでは2001年に経済局が始めた8月の営業日曜日数から日数を減少させており、来年は商店が営業するのは今年の4日曜日から2日曜日に変更となる。これについて労働組合は、「8月中の日曜日に商店を営業させることによって、夏のマドリッドを活性化させようというブラスケス氏の試みは失敗だった。」と定義、約5万人と見積もられる中小規模商店主は、市役所が大規模国際企業の利益のために動いていると考えている。
マドリッド市長ルイス・ガジャルドン氏は商店主の同意なしに営業日カレンダーを変更することはないと保証しているが、経済局は12月10日にこの法令案を実行に移したい考え。

スペイン王家、ベアトリス・デ・ボルボンさんの葬儀に出席

スペイン国王夫妻とフェリペ王子、クリスティナ王女は先週の金曜日、ローマで93歳で亡くなったベアトリス・デ・ボルボン・イ・バッテンベルグさん(アルフォンソ13世の娘、つまり現スペイン国王の伯母にあたる)の葬儀に昨日参列した。葬儀はローマのサンティアゴ・イ・モンセラ教会で行われ、ミサは教皇庁財政会議議長エドゥアルド・マルティネス・ソマロ枢機卿によって行われ、その他2人のスペイン人枢機卿と5人のスペイン人司祭が立ち会った。
ブルボン家からは60人が出席、その中にはソリア公爵夫妻である国王の妹のマルガリタ・デ・ボルボンさんとその夫カルロス・スリタ氏のほか、ルクセンブルグ大公家からシャルロット元女大公、イタリアのサボヤ家やオルレアン家からの出席者もあり、彼らはフランコの孫で故アルフォンソ・デ・ボルボン氏(現国王の伯父)の元妻であるカルメン・マルティネス・ボルデューさん、故人の孫であるアレッサンドロ・レッキオ氏(スペインでタレントとして活動)らと共にスペインの国家教会の座席に着いた。
座席の最前列は故人の子供、サンドラ、マルコ、オリンピア・トルロニアさんが座り、そのやや後ろの列に孫たちが座ったほか、後方の席にはイタリアとスペインの記者たちが並んだ。イタリアに暮らしながらも常にスペインを思った故人をしのび、ミサはスペイン国歌で締めくくられた。教会内は、祭壇はもとより、2人のスペイン人枢機卿でボルジア家出身のカリスト3世とアレハンドロ6世が眠り、1980年にエル・エスコリアルに移されるまでアルフォンソ13世の遺体が安置されていた礼拝堂もがたくさんの花輪で飾られた。
ミサの後、故人の棺はスペイン国旗で覆われ数人の男性の肩に担がれ、ローマのベラノ墓地にある夫のトルロニア家の霊廟に運ばれ、安置された。


11月26日(火)

ETAの犠牲者へ表敬勲章

ETAの起こしたテロによって犠牲となった216人の家族が昨日、上院に集まり、グラン・クルス・デ・レコノシミエント・シビル勲章を受け取った。授与式には欧州委員会のロマノ・プロディ委員長も出席。「スペイン社会が暴力による打撃を受けるときは常に、ヨーロッパ全体が痛みを共に感じている。」とコメントした。式典にはその他、ホセ・マリア・アスナル首相、上院下院議長、主要政党党首らも参加した。
「社会の沈黙を破るため」とアスナル首相が述べ、PSOE(社労党)のホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ書記長が「犠牲者の家族の方々が我々の(対テロへの)献身と努力を感じるため」と述べた今回の表敬について、テロ犠牲者の会副会長(会長はアドルフォ・スアレス元首相)アナ・ビダル・アバルカさんは「長い間忘れられていたのが報われました。」と述べた。以前はテロの犠牲者とその家族は思い出されることもなく、バスク地方の一部地域ではETAによって暗殺された人々の家族であるということは、名誉を傷つけることでもあった。ビダル・アバルカさんはまたこれまでの道のりは長く辛いものだったことを強調した上で、今回の表敬はスペイン社会の良心によるものであることも認め、次世代にはテロの傷跡を引く継ぐことはできないし、すべきでもないと述べた。
一方、プロディ委員長はEUのスペインの対テロ活動支持を表明し、EUがテロの脅威に屈することはないと改めて述べた。彼のスピーチはバスク出身のブラス・オテロ氏の詩の引用で締めくくられ、委員長は「対話と民主主義により我々はテロに打ち勝つことができる」とコメントし、またフアン・ホセ・ルカス上院議長は「今回の表敬は、自由のために命を落とした人々に我々が負っている借りのほんの一部を返すものに過ぎない。」と述べた。
式典に出席し、普段は議員達の座る国会の座席を占めた犠牲者の家族は大半が女性であった。これまで犠牲となった人々の職業は軍人、裁判官、エンジニア、治安警備隊員、政治家等多岐にわたる。ETAが停戦を破って最初にテロの犠牲者となったペドロ・マルティン・ブランコ氏の妻、最も新しいETAの犠牲者で9月29日ナバラ県レイチャで犠牲となったフアン・カルロス・ベイロ氏の妻を始め、犠牲者の会の代表者であるアナ・ビダル・ブランコさんとクリスティナ・クエスタさん(1980年軍人の夫が暗殺され、1982年にはテレフォニカの支店長だった父親が暗殺された)らも勲章を受け取った。
式典にはその他、アンヘル・アセベス内務大臣、上院の2人の副議長、人権擁護委員エンリケ・ムヒカ氏、ハビエル・アレナス行政大臣、アナ・パストール厚生大臣のほか、PNV(バスク民族党)、IU(統一左翼)の国会広報官も出席した。

プレステージの石油、アストゥリアス海岸に漂着

プレステージから流出した石油は昨日、アストゥリアス地方の西端にあるタピア・デ・カサリエゴの北61キロまで漂着した。ルアルカの漁師たちによると、この石油溜まりは直径500Mほどのあまり濃くない石油のかたまりだという。
それ以外にも悪いニュースは続く。日に日に、プレステージからの公式発表流出石油量が専門家たちの指摘した量−総積載量のほぼ4分の1にあたる2万トン−に近づいている。先週の金曜日、中央政府第一副首相のマリアノ・ラホイ氏が発表した流出石油量は1.1万トンで、このうち5千トンは最初に船体に亀裂が入ったとき、6千トンは沖で船体が二つに割れたときに流出したとされていたが、自州の専門家とフランス、ポルトガルの関連機関に依頼して作成させた報告書に基づき、昨日ガリシア州政府は議会でこの量をさらに悲観的な数字に修正発表した。この報告書によると、プレステージの船体が2つに割れ、沈没した時に流れ出た石油の量は当初の発表の6000トンではなく1.1万トンであったという。この巨大な石油溜まりは現在フィニステレ沖東海上150キロにあり、もしこの石油溜まりがガリシア海岸に漂着するとなれば、最悪の事態はまだ起こっていないということになる。この石油溜まりの一番濃い部分はチョコレートムースのようだと目撃者は語っている。
風向きが頻繁に変わるため、今後、この石油溜まりがどこに向かうのか予測は難しいところだが、州政府漁業局が昨日、議会でスペイン、ポルトガル、フランスによる5つの異なった予想を発表し、これまででおそらく最悪となる第3の黒い波がガリシア海岸に打ち寄せる可能性を否定しなかった。第1の波はプレステージが浸水した際に吐き出した6千トンのほとんどが2日後の16日土曜日に流れ着いたもので、第2の波は量こそ前回より少なかったものの、1週間前から執拗にア・コルニャに漂着を続けている石油で、これはタンカーが沈没前にガリシア沖を引きずりまわされた際に流出したもの。
漁業局の発表した5つの可能性のうち、漁業局長ロペス・ベイガ氏としては最も楽観的な予想を信じたい。この予想は、今後72時間以内に石油溜まりが北上し、ガリシアを後にしてフランスの海岸へ向かうというもので、最も悲観的なのはポルトガルのある公的機関の出した予想で、リアス・バイシャスに石油が流れ着く可能性を示唆している。専門家の間で最も信憑性が高いとされているのは、すでに汚染された地域へ再び石油が流れ着くという予想。
ベイガ氏はまた、ポルトガルが以前から指摘していたように、プレステージが沈没している地点に1週間前からわずかながら石油が見られることも認めたが、ポルトガルの専門家が指摘しているようにこれが沈んでいるプレステージから漏れている石油であることは認めなかった。
昨日は好天に恵まれたため、フランスとオランダの石油回収船の作業もはかどった。この2艘の船は日曜日に900トンを回収している。また、昨日はドイツからも回収船が到着、イギリスからの船2艘もスペインに向かっている。

ウエルバとカディスの海岸で50羽の鳥の死骸発見

アンダルシア州政府環境局は昨日、カディスとウエルバの海岸で少なくとも50羽の渡り鳥(かつお鳥、オオハシウミガラス、鵜)が胃にたまった石油により死んでいるのが見つかったことを発表した。州政府はこれらの鳥の胃からみつかった石油がプレステージのものであると確認するには至っていないが、死骸が見つかった鳥は北ヨーロッパから飛来する種で、ガリシアはその飛来経路にあたる。
50羽の死骸以外に、胃に石油が溜まっているものの生存している5羽も見つかっており、アンダルシア州政府は直ちに獣医による鳥の救出チームを結成、電話ラインも開設し、市民の協力を求めている。専門家によると、これらの鳥の死因は、石油の付着により羽が重くなったための疲労によるものと、飲み込んだ石油による中毒作用によるものであるという。


11月25日(月)

ガリシア州政府、漁業禁止区域をカンタブリア海にまで拡大

石油タンカー“プレステージ”から流出した石油の一部がエスタカ・デ・バレス岬を超え、カンタブリア海にまで進出したことから、昨日ガリシア州政府は、漁業禁止区域を500キロメートルにまで拡大することを決定した。一方、中央政府ガリシア出張部は石油がリアス・バイシャスとポルトガルに流れ着く可能性は日ごとに薄れているとしている。ポルトガルの水路学協会は、通信装置のついたブイを被害地域に設置、衛星通信により石油の流れを追っているが、彼らによると沈没したプレステージの石油タンクからは少量ながらもいまだに石油が漏れているという。フランスは自国の海岸450キロまで石油が迫っているため、警戒体制に入った。天気の回復により、フィニステレ沖150キロの地点でオランダ、フランス、スペインの船が原油の吸引作業を開始することが可能となり、昨日までに海岸では1245トンの石油が回収された。
今回のプレステージ事故では、ガリシア州知事、マヌエル・フラガ氏の対応の遅さが非難の的となっている。フラガ氏はプレステージから最初に原油漏れがあった先週の16、17日にトレド県で狩をしていたことは否定したが、娘と友人に会うためマドリッドにプライベート旅行をしていたことは認めている。
ガリシア州政府が決定した漁業禁止地域の拡大により、リベイラからフェロルの北にあるセデイラまでの500キロメートルの地域にわたって囲い網漁業と沿岸での海産物捕獲が禁止されることになる。この決定は昨日、最初の石油溜まりがカンタブリア海に到達したことから取られらたもので、茶色で直径1〜4Mの円形の濃い石油溜まりの20個ほどが一団となって、昨日の夜明け頃、大西洋とカンタブリア海の境界として知られるエスタカ・デ・バレス岬を越えたという。
漁業組合は、全長約450キロメートルだった沿岸漁業禁止区域が500キロメートルに延長することを今日発表する予定。

政府の新灌漑プランに抗議のデモ(バレンシア)

昨日の午前中、バレンシアの通りを何千人もの人々がデモ行進した。これは、政府の国家灌漑プラン(PHN)に反対する団体の召集によるもので、環境団体、左翼政治団体、労働組合等主にバレンシア、アラゴン、カタルニャの47団体が参加、主催者側の発表では参加者数は約10万人、一方、政府は6千から8千人と発表している。
この灌漑プランでは得をするのは企業と開発業者だけであると人々は批判、エブロ川を守る会のメンバーはこのプランに関して政府との対話を求めている。デモ隊の先頭には、IU(統一左翼)のガスパル・ジャマサレス氏を始めとする左翼政党の政治家が環境団体の代表者たちと垂れ幕を持って並んだが、PSOE(社労党)執行部からの参加者の姿は見られなかった。
今回のデモがバレンシアで行われたのは、現在ここで湿地に関するラムサール条約世界会議が行われているためで、土曜日にはバレンシアの企業家たちが灌漑プランの即時実行を求め、左翼政治家の演説をブーイングでかき消すほどの抗議が行われたものの、昨日のデモはその盛り上がりを消し去るに十分な規模であった。

セクハラ中尉に新たなセクハラ疑惑

職業軍人のドローレス・キニョアさんに衣服を脱ぐよう強要したとして、5ヶ月の軍刑務所入りが求刑されているイバン・モリアノ中尉が、別の女性陸軍兵へのセクハラ容疑によって現在司法措置が取られている段階であることが明らかになった。
中尉は先週の金曜日、防衛省の命によりボスニアから帰国し、現在、マドリッドの陸軍第一裁判所の判決を待っており、今日にも裁判所に出頭し、故意に部下に権力を濫用した罪で5ヶ月の刑務所入りが言い渡され、アルカラ・デ・エナレスの軍刑務所に収監される見通し。
しかし、モリアノ中尉が女性兵へのセクハラで告発されているのはこれだけではない。現在裁判所ではもう1件の告発が審議されている。キニョアさんにセクハラが行われたと見られているのは、マドリッドにある歩兵部隊駐屯所で、もう1件は海兵隊駐屯所にあるスポーツ施設で行われたと見られている。告発によると、中尉はある女性兵にプールで泳ぐよう命じ、その後、彼女の水着を脱がせようとしたという。この事件は中尉の上官に報告され内部調査が行われたものの、特に処罰が科されることなく、その後、権力の濫用という容疑で刑法適用が申請されたが、いまだ判決は出されていない。さらに、今週中にもドローレス・キニョアさんは、強姦と強制の罪で中尉を告発するという。キニョアさんは、中尉に脅されていたため裁判中、強姦について証言することができなかったと述べている。
キニョアさんが最初にこの事件を告発したのは、9月16日ルゴの防衛省支部にあてた書簡だが、この事件と現在彼女が肉体的精神的に軍務につける状態ではないため休職中であることとは関係がないことはキニョアさんにより公式に発表されている。キニョアさんがこうした過程で告発するしかなかったのは、現在、軍には上官に対し一個人が訴訟を起こすことはできないという規定があるためである。この規定は、2001年の5月10日に憲法裁判所総会で“軍隊内の規律を守るために必要であるという憲法に基づいた根拠がない”という決定が下されているが、軍内で上官を個人的に告発できるようになるために規定が改訂されるには最高裁の決定を待たなければならない。

週末のスポーツの結果:

体操:ハンガリーのデブレツェンで行われた世界選手権で、マジョルカ島出身、17歳になったばかりのエレナ・ゴメス選手が女子床競技で金メダルの快挙。146センチで体重は36キロという小柄なゴメス選手がスペイン女子で初の体操世界選手権メダリストとなった。
空手:マドリッドで行われた世界選手権で、イバン・レアル選手が75キロ以下級で金メダルを獲得。オスカル・バスケス選手は、組手70キロ級で銅メダル。
水泳:ニーナ・ジバネフスカヤ選手がニューヨークで行われたワールドカップ、100M背泳ぎで銅メダル獲得。
テニス:バルセロナで行われたスペイン国内選手権“マスターズ”で、地元出身のアレックス・コレチャ選手を7-5、6-4で破って新人のダビ・フェレル選手が優勝。
ラグビー:2003年オーストラリアで開かれる世界選手権出場枠をめぐってスペインは敗者復活戦に挑み、ロシアに22-38で勝利したが、第一回戦でロシアに3-36で敗れていたため、世界選手権出場はならず、せっかくの勝利も無駄となった。
ゴルフ:タイガー・ウッズ、デビッド・デュバル、ジャスティン・ローズ、トーマス・ビョルン等世界に名だたる選手が集まった「ダンロップ・フェニックス・トーナメント」が宮崎県で開催。スペインのセルヒオ・ガルシア選手は横尾要選手に2打差で惜しくも2位となり、1999年大会のリベンジはならなかった。


11月22日(金)

プレステージからの石油流出量、専門家が公式発表より多く見積もる

プレステージの石油流出問題対策のため、ア・コルーニャにある対策本部の専門家チームは、このタンカーから流出した石油が公式発表を上回る2万トン強であると見て危惧している。さらに関係者たちが数日前から得ている情報によると、このタンカーが積んでいた石油は硫黄の含有率が2.58%で、このきわめて高い硫黄の含有率(ヨーロッパで使われている石油は1%を下回る)も不安を増大させている。このため石油撤去作業にあたっている人々には、マスクと手袋を着用するよう注意が呼びかけられている。
昨日は特にコルクビオン湾で石油溜まりの2度目の漂着に備えて漁業関係者たちが奮闘した。ア・コルニャとフェロルからは別の巨大な黒い石油の塊が見え、このところ続いている強風により数日以内に海岸に漂着する恐れがある。
昨日勧業省が発表したところによると、事故から8日たちそれまで数々の申し出があったにもかかわらず、ようやくスペインは他国からの援助を受け入れるという。スペインにない石油吸引装置のついた船5艘がドイツ(2艘)、イギリス(2艘)、フランス(1艘)から到着する予定。現場ではすでに3台の同種の船が作業しており、数日後には新たにこの5艘が加わるが、これらの船は波の高さが2メートル以下でないと操業できず、今は季節風の影響で波の高さは2メートルを上回っているため、到着後も天気の回復を待たねばならない可能性もある。
一方、海岸での石油作業は依然として統制が取れておらず、中央政府ガリシア駐在部でさえ、どの海岸がすでに海兵隊によってきれいにされたかを把握していなかった。彼らは、海兵隊が作業している海岸のリストを製作したが、のちに、このリストのデータは正確でないことが判明。石油の流入を食い止めるための柵の到着も遅く、コルクビオンでは水曜日の午後10時ごろから石油溜まりが湾に流れ込み始めたが、防御柵が届いたのが木曜日の午後3時。しかも、柵は漁師達が暗くなるまでかかって自らで設置しなければならなかった。また、船体に亀裂が入ってから、完全に沈没するまでの7日間にプレステージから流れ出た石油の量に関して政府が発表している公式データと専門家の計算に大きな開きがあることも、住民たちの政府への不信感を煽っている。

試験飛行中の軍用機が墜落(トレド)

ヨーロッパの軍事開発プログラムの中で最も重要な飛行機であるユーロファイター(またの名をティフォン)が昨日、トレド県アルタミラの山に激突、乗っていた2人はパラシュートで脱出して無事だったが、飛行機は完全に破壊された。飛行機は、2つのエンジンが同時に停止し高度15000メートルから地上に墜落した。約7200万ユーロというこの飛行機代よりもさらに高くつくのはこのエンジン停止の原因調査。今回の事故により、この飛行機が実用化されるのはさらに先となる。
墜落したのは、DA-6スペイン型とも呼ばれる飛行機で、1994年に初飛行を行ったドイツ型機DA−1以来ティフォンモデルとして7台の飛行機が建造されており、7台の飛行時間は合計およそ4000時間。これまで事故の起こったことはなかった。ティフォンモデルは、アメリカのF−22のような爆撃機に対抗するための機種で、開発プログラムには英、独、伊、西の4カ国が参加しており、400億ユーロを投資して、622台の飛行機を建造する予定となっている。
事故が起きたのは昨日の12時45分ごろ。ヨーロッパの航空防会社のマドリッド子会社EADS-CASAの工場があるマドリッドのヘタフェ基地を試験飛行のため出発。操縦士が、速度を超音速(時速マッハ1)に加速しようとしたところ2つのエンジンEJ2000が同時に停止した。操縦士は再びエンジンをかけようと試みたが成功せず、パラシュートで脱出せざるをえなかった。
試験飛行だったため、彼らの飛行の全行程は試験飛行センターから監視されていた。専門家の意見によると、事故当時飛行機が飛んでいた高度4.5万フィート(1.5万メートル)でエンジンが止まることはたいした驚きではないが、2つのエンジンが同時に止まることは考えられにくいという。さらに、エンジンをかけなおせなかったということも大きな問題と見られている。
今のところ、最も起こりうる原因として、専門家たちは操縦装置のコンピューターの故障が原因であると考えている。すでにこの飛行機は生産が始められているにもかかわらず、今回の事故により新たな見直しが必要となるため、実用化までにさらに深刻な遅れが予想されている。事故以前からこの飛行機の実用化は遅れており、最初の予定では今年の秋にスペイン空軍に納入される予定が来年の3月に延期されたばかりだった。
墜落した飛行機の残骸は5時間半にわたる治安警備隊の捜査により、トレド県とカセレス県のほぼ境界、プエルト・サン・ビセンテとプエルト・レイの間の山中で発見された。空軍関係者によると、飛行機が破損した以外には人的、物的被害はなかったという。一方、EADS-CASA社は事故に関してはほぼ沈黙を守り、具体的な地名を挙げることなく事故現場がマドリッドの南126キロであることしか発表していない。


11月21日(木)

ガリシアの流出石油撤去作業、難航

ガリシア地方の海岸部では引き続き、一昨日沈没した石油タンカー“プレステージ”から流出した石油の撤去作業が行われているが、海上の石油を回収するための船が足りない。海岸では人々がバケツとシャベルで流れ着いた石油を撤去している。また役場では石油の漂着を防ぐための柵への請求のすべてには対処できないでいる。大西洋上にはいまだに数千トンの石油が漂流しており、対策チームは1週間前からガリシア地方のコスタ・ダ・モルテが被害を受けているプレステージから流出した石油への対策を取るための手段が不足していることを認めている。
リアス・バイシャスでは住民の間で危機感が募り、すでにいくつかの村では石油の漂着を食い止めようと漁師たちが自ら対策を講じようとしている。昨夜は政府からさらに長さ8キロメートル、幅4キロメートルが“短期間のうちに”カマリニャスとムロスの間に到達する恐れがあるとの発表があった。
その数時間前にはジャウメ・マタス環境大臣が現地を視察後、被害を受けているのは沿岸およそ295キロメートルにわたり、90の海岸が汚染され、そのうち40はほぼ壊滅状態で、被害総額は4200万ユーロ、海岸がこの汚染から回復するまでには6ヶ月かかるであろうと発表している。
これまでの何十件もの海難事故、そして1992年のタンカー“エーゲ海”による石油流出事故の記憶が消える前に、またしても起きた今回の事故により、環境危機に対する対応力の不備がまたしても露呈した。
フィニステレの南250キロの地点にプレステージが沈没する直前に流出した約6000トンの石油は、昨日南西の強い風と雨に吹かれて北上。誰もこの石油の最終目的地がどこかを言い当てることはできないし、もし、昨夜と同じ方角に風が吹きつづければこの石油溜まりが再びガリシアの海岸を襲う可能性も排除することができないという状況の中、汚染対策船を持たないスペイン行政は、この石油の漂着を食い止める能力のなさをさらけ出している。
スペインにはこういった状況に対応するための専門船が一艘もない。唯一牽引船“プンタ・マジョール”が、水上から石油を吸い上げる設備を備えているのみで、現在ガリシアでは、フランスの汚染対策船“Ailette”とオランダの“Rinj Delt”の2艘の外国船が海岸に近い石油溜まりを撤去する作業に集中してあたっている。コスタ・ダ・モルテの海岸の一部が無防備になるため、最後に流出した6000トンの石油を撤去作業するのにこの2艘のいずれかを向かわせることは不可能で、ガリシア州政府漁業担当議員のエンリケ・ロペス・ベイガ氏は「世界的にこの種の船は不足している。」と説明、しかし、間もなく他の国からも救援の手が差し伸べられることを確信していると述べた。しかしながら、ドイツ政府はすでに汚染対策船を出すことを申し出たにもかかわらず、いまだにスペインからの回答がないと昨日指摘している。
現在のところ約6万トンの石油を積んだまま沈没したプレステージから石油が海面に流出した形跡は認められていない。専門家たちは、このまま石油が海底で凝固するという意見とかなりの量が海面に流出するという意見に分かれている。潜水艦がないため沈没地点は、飛行機1台と牽引船1台により監視されている。
ロペス・ベイガ氏はこの2日間、自分たちの湾まで石油がたどり着くのではないかと心配するリアス・バイシャスの漁師、漁業関係者を落ち着かせるのに奔走している。パニックが特に顕著なのはアロウサ湾で、ロペス・ベイガ氏が石油漂着の恐れは少ないと説いている努力にも係わらず、人々は、コスタ・ダ・モルテと同じような状況に陥ることを恐れている。アロウサ湾はほぼ内海といっていいぐらい海が穏やかでムール貝の養殖で有名、またアルメハス(アサリに似た貝)、ベルベレチョ(トリ貝の一種)の世界で最も重要な生息地の一つでもある。現在被害が集中しているガリシア地方北部海岸は波が荒いため、石油による被害が分散されているが、もし海の穏やかなアロウサ湾に石油が流れ着けばその被害は計り知れないものとなる。
アロウサでは、ビゴと同じように漁師、漁業関係者たちが石油が流れ込むのを防ぐための柵を要請し、設置はボランティアで自分達が行うとまで申し出ているが、まだ要求は通っておらず、しびれを切らした彼らの中には船を湾の入り口に停泊させ、湾に蓋をするという全く効果のない提案をする者もいた。
「今のところ我々に提供されたものは、聖人に祈るためのろうそくだけだよ。」とアロウサ湾の北側にあるカボ・デ・クルスのムール貝養殖者協会会長のアグスティン・ポセ氏は皮肉をこめて述べた。防御策を提供していない理由について、ガリシア政府と中央政府ガリシア駐在部はこの柵が効果を発揮するのは、唯一汚染が目に見えて、今後の漂流経路の予測ができる場合のみであるためと説明しているが、漁師達はこの言葉を信じていない。
信用していないのは、漁師だけでなく、ビゴの市長であるロイス・カストリジョ氏も「提供しないのは、持っていないからだ。今すぐ購入するか借りるかすべきだ。」と糾弾している。中央政府によると石油が漂着した地域では18000メートルにわたって柵が設置されており、新たにスペイン各地と外国からも柵を取り寄せているという。
今回の事故後、ガリシア州政府知事のマヌエル・フラガ氏が姿を見せないことが非難の的となっていたが、フラガ氏は今日にも被害地域を訪れる予定。

新しいパーキングメーター導入により、毎日3400件の罰金(マドリッド)

11月2日からマドリッド市役所の導入した新しいパーキングメーターにより毎日3400件の罰金が課されている上、レッカー車も毎日100台前後の車を撤去している。違反の主なものはバス専用レーンの無視、駐車可能時間帯の無視など。「監視を強化することによって、導入初日には、ドライバーの50%しか守っていなかったこれらのルールが現在では90%近く守られている。」とは、マドリッド市のシグフリド・エラエス交通担当官は昨日話した。
この新しいパーキングメーターの導入がもたらした新しい効果としてもう一つあげられるのが、毎日およそ10万人のドライバーが車でマドリッドの中心地に向かうことを止めているという。「我々の入手しているデータはとても肯定的な結果を示しているが、この良好な結果を維持するためには引き続き監視とレッカー車による撤去を続けなければならない。」とエラエス氏は述べている。
しかし、パーキングメーター設置地域への自家用車乗り入れが減ったことは肯定的でない結果ももたらしており、地下鉄は1日70万人、バスは1.3万人の利用客に増えているという。


11月20日(水)

プレステージ、6万トンの石油を積んだまま沈没

昨日の午後4時18分から、石油タンカープレステージはガリシア沖133海里(250キロメートル)の海の底に眠っている。午前8時には船体が二つに折れた。続いて午前11時45分に後ろ半分が沈み、その4時間半後、大西洋は前半分も飲み込んだ。ア・コルニャ県のコスタ・ダ・モルテを喪の色に染めたプレステージが2つに折れたとき、すでに船体には幅70メートルの亀裂が出来ていて、残っていたのは右舷甲板部分だけであった。このタンカーが沈没したのはフィニステレ岬から133海里離れており、これまでで最も海岸から離れた場所までこのタンカーを運べたのは、事故の事後処理を担当しているオランダの会社が雇った中国の牽引船の働きによる。
7日前に沈没しかけた時、7.7万トンの石油を積載していたこのタンカーには、まだ公式発表はないものの現在もおよそ6万トンの石油が残っていると見られているが、専門家たちはこの石油は海底で凝固するものと確信している。「プレステージの沈没は、今回の事故から起こる一連の出来事の中で最も害の少ない出来事だ。」と科学調査高等委員会の石油化学の専門家、アントニオ・コルテス氏は語った。専門家たちは沈没した場所の水温が2.6度と低いこと、水深3600Mの海底では水圧も低いことからこの石油は凝固し、海底の一部のように石化するであろうと見ている。地域の環境には悪影響を与えるが、少なくともこれほどの深さまでは到達しない魚たちの漁には影響が出ないと思われる。
しかし、ガリシア地方の漁師の悪夢はまだ終わったわけではない。なぜなら、プレステージが沈没する最後の瞬間にこのタンカーから再び石油が流出したからで、その量は3千から6千トン強と見積もられている。さらに、沿岸にはいまだに長さ278キロメートル、幅28キロメートルの石油溜まりが横たわっており、今日はガリシア地方では南西の強い風が吹くと予報されていることから、この石油溜まりが沿岸に流れ着く可能性も危惧されている。コスタ・ダ・モルテでは海軍も協力して、引き続き石油に汚染された海との格闘が続いており、警報は海産物の宝庫で有名なリアス・バイシャスのあるガリシア地方南部全域にも発令されている。今のところ、アロウサ湾は石油流入の被害を免れている上、月曜日、石油が流れ込んだノイア湾もフランス政府の送り込んだ汚染対策船の懸命な活動により、昨日の時点で状況はかなり良くなっている。しかし、ノイア湾沖には現在も小規模の石油溜まりが漂流しているため、予断を許さない状況となっている。

4000年前のヘタフェの住人をめぐる騒動

先月、マドリッド郊外のヘタフェ地区にあるペラレス・デル・リオで見つかった4000年前の人骨を巡って住民と行政機関がもめている。この人骨は4000年前から胎児の姿勢で地表から1メートルのところに埋められていたのが、ガスの配管を埋める工事によって掘り出された。しかし、この地域は、高速道路M−50と、セビジャ行きのAVEとバルセロナ行きのAVEを結ぶ新しい線路を建設する用地にあたり、住民達は“考古学的に豊かな地域”を守ろうと立ち上がった。
「今のところ、完全な人骨が見つかったのは1体だけだが、その他にも先史時代の家屋51戸と、陶器、部分的な人骨が多く発見されている。」とペラレス町内会のハビエル・コレドール氏は語る。住人の抗議には地区のイネス・サンチェス議員(IU−統一左翼)も参加、彼女は「建築業者とPP(国民党)の政治家の経済的利益が優先で、計り知れない価値のある歴史的遺産の保存がなおざりにされている」と述べている。
町内会は昨日、抗議活動の最初の一歩として、新聞記者たちと会見。「AVEとM-50の工事が行われている場所には遺跡はないと関係者は言っているが、ガス会社が深さ1メートル、幅1メートル掘っただけで、遺物が現れた。彼らの言うことは信用できない。」とコレドール氏は意見を述べた。IUはこの件を政治フォーラムに持ち込む意向で、サンチェス議員は、マドリッド自治州遺産担当長官フアン・ホセ・エチェベリア氏が議会に出頭し、ペラレス・デル・リオで起きている事態の説明を行うことを求めている。一方の、マドリッド自治州政府では、「住民の“好戦的”な態度に驚いている」とし、遺跡保護サービスのベレン・マルティネス係長は「遺跡のある場所は的確に把握されており、細心の注意をもって作業は進められている。遺跡は全く損傷を受けていない。」と保証した。
考古学的遺品があると予測される地域で工事を行う場合は、建築会社は考古学者を雇うことが義務づけられている。歴史家は。遺跡総合局に発見されたすべての遺品について報告する義務がある。その後この発見内容の重要度に基づき、その場所に再び土をかけて将来の発掘を待つか、緊急に発掘作業が開始されるか、それとも工事計画が変更されるかが決められる。
遺産担当局は、この地域で遺物が今後も発見されると見られる地域はすでに建設されているサン・マルティン・デ・ラ・ベガと結ぶ道路沿いのわずかな部分だけであるとして、工事の続行にゴーサインを出している。しかし、町内会では「確かに今は瓦礫しか見つからない場所もあるが、いずれにせよ州政府はこの道路建設の際にも遺跡があるかどうかの調査を行わなかった。」と反論している。
こうした州政府と住民の論争をよそに、ペラレス・デル・リオ最初の住人はきちんと保管され、アルカラ・デ・エナレスのマドリッド州考古学博物館で休んでいる。

世界で23番目に地価の高いマドリッドのプレシアドス通り

マドリッドのセントロ地区にあるプレシアドス通りは、1平方メートルあたりの年間賃料が平均1476ユーロで、世界で最も高い賃料の一つであることが、コンサルタント会社Cushman&Wakefield Healey&Baker社の調べでわかった。
最も高いのはニューヨークの東57番街と五番街で、1平方メートルあたりの平均賃料は年間7629ユーロ。それに続くのがパリのシャンゼリゼ通り、香港のコーズウェイ・ベイ、ロンドンのオックスフォード・ストリートとなっている。
スペインで2番目に高いのはセラノ通りで、2001年から2002年にかけて14%の値上がりを見せており、1平方メートルあたりの年間賃料は1464ユーロとプレシアドス通りに迫る勢い。次に高いのはバルセロナのPortal de l'Angel(1440ユーロ)とパセオ・デ・グラシア。


11月19日(火)

17歳の少年が人質20人をとって学校に立てこもり

昨日の午後3時半すぎ、バルセロナのロスピタレッ・デ・ジョブレガッにあるコレヒオ・カサル・デルス・アンジェルに元生徒(17歳)が侵入、教室の一つで、女教師を包丁で脅して、20人の生徒を人質に立てこもりを始めた。犯人は150万ユーロを要求、立てこもり事件の専門家である警察官がこの説得にあたり、2時間後に16人の生徒が解放された。説得はさらに続けられ、その2時間後、残り全員が解放された。犯人の若者は数年前にこの学校を退学しており、家族の経済的問題を解決したかったと動機について語っている。
この学校は、バルセロナとのほぼ境にあるキリスト教系の学校で、生徒の中には、ロスピタレッの市会議員の子供もいる。犯人が学校を訪れたのは就学時間中の午後3時半過ぎ。元生徒だったことから、難なく学校に入った犯人は3階の教室の一つに入った。そこで、包丁を取り出し、教師を退室させ、約20人の生徒を人質に取り立てこもりを始めた。事件を知って他の教室にいた教師、生徒は全員学校から逃げ出した。警察が来るまでは、犯人の担任であった教師が説得にあたった。
警察の到着後は、人質交渉の専門家である警官、カルロス・ルビオ氏が、犯人の元担任教師であった現在の校長に犯人の性格についての描写を求め、教室のドアを挟んで犯人と対話を開始。教室内は緊張した状態であったものの、人質の生徒に危害が加えられることはなかった。犯人は生徒を解放するのと引き換えに150万ユーロの支払いを要求、しかしルビオ氏がこれを交渉により100万ペセタ(6千ユーロ)に減らすことに成功、さらに説得は続けられた。犯人は15歳でこの学校を退学、現在は無職で、家族が経済的に困難な状況にあるという。
立てこもりが始まって数分後には、学校の周囲に救急車とパトカー数台が待機、機動隊も突入または最悪の事態に備えて待機していた。午後5時半、ルビオ氏は20人の生徒のうち16人を解放させることに成功、教室に残された4人の中には犯人の妹も含まれており、これが事態が暴力的な方向に向かうことを防ぐカギとなった。解放された16人は犯人の身元を確認、その後別の教室で精神科医の診断を受けた。時間の経過に伴って犯人は空腹を訴え、ルビオ氏に犯人と人質4人のためにピザと飲み物を用意するよう要求、警察はこれを事件解決のチャンスと見て、午後7時10分、武道の達人の警官がピザの配達員に扮して教室に入り、犯人は一瞬にして取り押さえられた。犯人は手首に軽い怪我を負ったのみ。その後すぐに特殊部隊が教室に突入、生徒を救出した。
逮捕された犯人は、学校の一室に拘留され、その間、図書館を使って父兄とマスコミに向けて緊急記者会見が開かれた後、午後9時半、犯人はパトカーで移送された。事件現場に駆けつけた人々の中には、カタルニャ州議会議長のアルトゥール・マス氏、カルメ-ラウラ・ヒルの姿もあり、マス氏は「すばらしい手際だった。」と警察の仕事を賞賛した。

広がるガリシアの石油汚染

石油タンカープレステージからの石油流出量は総積載量7.7万トンのうちの少なくとも4千トンに達した。黒い石油溜まりは昨日からノイア湾に流れ着き、さらにアロウサ湾にも近づいており、これにより、海での仕事に従事する少なくとも1000人が経済的被害を受けている。ガリシア州政府は、昨日、石油の流出により仕事のできない漁師に対する経済援助を決定しているが、被害は日に日に拡大。現在の公式発表では、流出した石油は長さ130キロ、幅9キロで、面積は1300平方キロメートルに及び、この面積の大きさから、石油の流出量は現在公式発表されている3000から4000トンよりさらに多いのではないかと危惧されている。ガリシア州政府は、現在フィニステレ岬からフェロル市近くのプリオリニョまでの沿岸での魚、海産物漁を禁止している。
昨日は、第一副首相マリアノ・ラホイ氏が議長を務め、11の省庁の副長官が集まってプレステージ事故への緊急対策プランについての会議が開かれた。この会議の中で取り上げられた対策案の中の、被害者への特別融資案は、金曜にも閣僚会議で可決される見通し。この種類の融資は、1992年12月3日にア・コルニャ沖で発生した石油タンカー“エーゲ海”による石油流出事故の際にも行われ、この時は、直接的被害を受けた3000人を対象に125億ペセタが融資され、のち返済が免除されている。
一方ガリシア州政府が決定した最初の経済援助は、1000人以上の被害漁業従事者が漁に出られない間、毎日30ユーロずつ受け取るというもの。船主に対しては、まず21ユーロ、さらに持ち船のトン数に応じて1トンごとに4.75ユーロの援助金が毎日支払われる。被害地域で操業している船の大きさは、2.5トン程度のものが主流であるが、中には15トンのものもあり、また囲い網漁業の船では大きさは5〜40トンとなっている。
この石油流出の原因となったタンカープレステージは現在、ガリシア海岸から100マイル以上の国際海域にすでに引き出されており、この地域はポルトガル海軍の管轄にあたることからスペイン海軍では、プレステージの今後についての責任はすでに手を離れたとしているが、ポルトガル海軍に対する支援は行われるという。

治安警備隊、軍用トラックから760キロの大麻を押収

昨日、メリジャの治安警備隊は、アルメリア行きの船に乗り込もうとしていた軍用トラックから760キロの大麻を発見、押収した。このトラックはメリジャの第8連隊のもので、アルメリアでの演習に参加する予定だった。大麻は背嚢に入れられ糧食の包みの間に隠されていたが、麻薬犬による検査で発見された。軍と治安警備隊では、発見された密輸大麻の量の多さから複数の人間が関わっているみて捜査を始めた。
モロッコは世界有数の大麻の生産地で、メリジャが日常的にその密輸基地となっていることから、この港から出る船に乗船する車両は民間、軍用を問わずすべて麻薬犬による検査が行われる。昨日は、午後6時半頃、すでに1度そのトラックに対し吠えていた麻薬犬が2度目に同じトラックの横を通って再び吠え、麻薬があることを示すしぐさをしたため治安警備隊員がトラック内を捜索、十個以上のカーキ色の袋から軍用食料品に混じってビニール袋に入った大麻カプセルが発見された。このカーキ色の袋はあまりに重く、治安警備隊員は2人一組になって一つずつ袋をトラックから降ろさねばならないほどであった。ただちに誰がどのようにしてこの大麻をトラックに積み込んだのかという捜査が始められた。軍関係者によると、このトラックが港に駐車されてから大麻が発見されるまで48時間が経っていたという。
現在の捜査は、誰がトラックに近づくことができたか、大麻発見前に運転手をしていたのは誰だったかを中心に進められているが、今のところ逮捕者は出ていない。メリジャ第4裁判所がこの事件を担当、治安警備隊により捜査が進められるが、それと並行して軍内でも内部捜査が行うことをフェデリコ・トリジョ−フィゲロア防衛大臣が命じている。これまでにも、メリジャで軍関係者が少量の麻薬を所持していたため逮捕されたケースはいくつかあったが、これほど大量の大麻が見つかったのは初めてで、関係者は事態を重く見て事件の究明と犯人逮捕を急いでいる。


11月18日(月)

石油タンカー、プレステージから再び石油流出

水曜日にア・コルニャ県のコスタ・ダ・モルテ沖で難破した77000トンの石油を積載したタンカー、プレステージから昨日また新たに石油が漏出。フィニステレ沖72.5マイルで長さ5.5キロ、幅1.8キロにわたって海面が石油で覆われた。タンカーは引き続き2艘の牽引船につながれている。この数日間で石油流出の被害を受けた地域は沿岸200キロで、この地域では漁業が深刻な被害を受けている。最初の見積もりでは、1日あたりの被害額は700万ユーロと見られ、今日は閣僚被害対策委員会が設置され、被害を受けているおよそ1000の家族への補助金支給が決定される見通し。プレステージの船長は昨日、救助チームが対策を取るのを遅らせ、環境を破壊した罪で刑務所に収監され、判事は保釈金300万ユーロを言い渡した。
この石油の流出により、ア・コルニャ市役所は警報を発令。普段は海からの水でまかなわれている水族館も、現在は水の交換を見合わせている。被害地域は沿岸200キロというものの、当局の話では実際に被害が深刻な地域は35キロ程度だという。コスタ・ダ・モルテの南、コルベド岬沖6マイルの場所には長さ200メートルにわたる石油が濃く海面を被っている上、20マイル沖にはもう一つの石油溜まりが出来ており、その向こうにプレステージが見える。
しかし、ガリシア州政府、漁業担当議員のエンリケ・ロペス・ベイガ氏は事態を楽観的に見ようとしている。「流れ出すべき石油はすでに全部流れ出した。」と彼は、被害地域を訪ねた後述べた。ロペス・ベイガ氏によると、最も被害を受けているのはぺルセベス(えぼし貝)漁船であると発表したが、今のところ貝が全滅したかどうかは確認できていない。州政府の見積もりでは被害額は1日あたり700万ユーロ、直接的被害を受けるのは1000人ほどになり、それ以外に計算できない観光客に海産物を売っている市場、商店などの間接的被害があるという。「ここには産業なんてありゃしない。我々には海があるだけだ。」と漁師の一人は語った。
昨日コスタ・ダ・モルテは奇妙な日曜日を過ごした。いつもの日曜日なら人気のない魚市場も、解決策を練る人々、または単に情報交換をする人々などでごった返した。「真っ黒、ひたすら真っ黒だよ。」とコルメのある住人はぺルセベスの生息する岩を見た感想をこう語った。海はまだ石油の臭いが漂い、フィニステレからア・コルニャ湾の入り口であるカイオンまで黒く染まっている。岸に近づくにつれ、石油は固まってよどみ始め、ムシアのカメジェ岩から船の聖母の御堂までの岸では海がねばねばした状態になっている。ラシェでは石油が入り江に入り込み、村の中心にある浜辺まで侵食している。
ガリシア州政府は、被害者への援助金、漁師への給与、船主たちへの定額援助金を事態が収拾するまでの間支給することを今日にも決議する。中央政府でも閣僚対策委員会が開かれ、第一副首相であり、ガリシア出身者であるマリアノ・ラホイ大臣が委員長を務める。
しかしながら、これらの援助は漁業関係者を安心させるのに十分ではない。彼らは、以前に起きた同様のタンカー沈没事故を思い出し、援助金受給までに時間がかかったこと、また被害による後遺症が長期にわたって続くことを懸念している。ラシェの町長は「物的被害のほかにも心理的作用による間接的被害を忘れるわけにはいかない。今後、誰がこの地域の海産物を買おうと思うかね?」と述べた。

国王夫妻、メキシコを訪問

昨日は、ビセンテ・フォックス・メキシコ大統領のサン・クリストバル(グアナフアト県)にある農場で、非公式の昼食会が行われ、その後スペイン国王夫妻は、近くにありコロニアル様式で重要なレタブロが現在修復中のサン・アグスティン修道院を訪問。これが、夫妻のメキシコ訪問初日の行事で、今日は首都で公式に歓迎セレモニーが行われることになっている。今回の訪問は、メキシコとスペインが国交を回復してから今年で25年になることから行われている。
市民戦争中、スペインからの亡命者は両国に消すことのできない歴史を刻んだ。このスペイン市民戦争後の空白期間を経て、両国は1976年1月に大使の交換を復活させた。1978年、初めてのメキシコ訪問で国王は、マヌエル・アサニャ・元スペイン共和政府首相の未亡人マヌエラ・リバス・チェリフさんに挨拶。これは、2つのスペインの和解として受け止められた。
以降国王夫妻はメキシコを4回訪問しているが、ビセンテ・フォックス氏が71年におよぶメキシコのPRI(制度的革命党)政権を破って当選して以来では、初の訪問。スペインとメキシコの近年の関係は良好で、スペイン各社のメキシコへの投資も進んでおり、スペインはアメリカに次いで2番目のメキシコ投資国となっている。
2000年7月の大統領選挙以来、スペイン政府首相ホセ・マリア・アスナル首相は3度メキシコを訪問。フォックス大統領も3度スペインを訪問している。最近の訪問では、対テロ協力に関して合意がさらに進んでいるが、メキシコの法制度の問題により、スペインから要請されている数人のETAメンバー引渡しはまだ行われていない。
スペイン時間未明に首都に到着する国王夫妻は明日、オルテガ・イ・ガセットの弟子で1938年にメキシコに亡命し、1969年に亡くなるまでこの地で教育に身を捧げたホセ・ガオス氏の名をとったコレヒオ・デ・メヒコ内の講義室のオープニングセレモニーに出席し、また新しいスペイン文化センターと、メキシコ言語アカデミーのオープニングセレモニーにも出席する。

週末のスポーツの結果

テニス:上海マスターズ決勝で、スペインのフアン・カルロス・フェレロ選手は3時間52分にわたる試合の末、現在世界ランク1位のオーストラリアのレイトン・ヒューイット選手に7-5、7-5、2-6、2-6、6-4で敗れ、優勝を逃した。今年は全仏決勝でもアルベルト・コスタ選手に敗れ優勝を逃しているものの、今回の試合はさらに良いコンディションで望んだ上、勝利をほぼ手中にした後の敗退であったため、フェレロ選手の落胆は大きく、「キャリアの中で最も無念な負け。」と選手はコメントした。
ラリー:イギリスラリーで優勝したのは、10年間のキャリアの中での最高成績が2位という、すばるチームのノルウェー人ぺター・ソルバーグ選手。2位には最高成績が5位だったフォードチームのエストニア人マルコ・マーチン選手が入り、スペインのカルロス・サインス選手は3位に終わり、総合成績3位で今シーズンを終了した。


11月15日(金)

ガリシア沖の石油タンカーから石油が流出

一昨日の暴風雨により船体に水が入り込み、ガリシア沖で沈没する危険のある石油タンカープレステージ(7.7万トンの石油を積載)に関し、欧州委員会はイギリスに事態の説明を求めている。これは、このタンカーの目的地がジブラルタルだったためで、タンカーが航行安全基準を守っていなかったとするスペイン当局の公式非難を受けて行われたもの。このタンカーはギリシャの船会社に所属するが船籍はバハマ。1999年には、ロッテルダム港とニューヨーク港で必要安全基準を満たしていないとして罰せられている。
スペインのヨーロッパ問題担当国家委員、ラモン・デ・ミゲル氏は昨日、欧州委員会に公式に非難を提出、ジブラルタルではEUで義務づけられている安全管理が行われていないことを批判、欧州委員会は事態を重く見て昨日、イギリス政府に書簡でこのタンカーと積荷についての説明を求め、場合によっては懲罰の可能性もあるとした。欧州委員会の調べでは、プレステージが何度も燃料補給のためジブラルタルに寄港したものの、1度も当地で安全チェックを受けたことがないことがわかっている。1995年から、港の安全管理のためたとえ数分間であっても寄港する船の25%に対し安全チェックを行うことがEUでは義務づけられており、欧州委員会は「この義務は、EU諸国であろうと、EUの免税天国であろうと守られなければならない。」と述べている。欧州委員会のジル・ガンテレ運搬・燃料担当広報官は「我々はジブラルタルでどういう安全管理方式が運営されているのか、建造から26年も経っており、真っ先に安全基準をチェックすべき古い船がなぜチェックの対象にならなかったのかを明らかにしたい」と述べた。委員会は来年の7月からEUで適用され、まさにこういった安全対策に不備のある古い船をチェックの対象に選ぶという新しい安全管理基準をイギリスとジブラルタルは尊重する倫理的義務があるとしている。ガンテレ広報官によると、この安全基準は7月以前に適用する可能性も大いにあり、その目的はヨーロッパからプレステージのような船をなくすことだという。「プレステージのようなタンカーはヨーロッパだけでなく、地球上から消えるべきだ。」と広報官は語った。
一方、フランシスコ・アルバレス-カスコス勧業大臣はすでにスペイン政府が船会社のあるギリシャと石油を積んだ国リトアニアに対する法的措置をとったことを昨日明らかにした。また、カスコス大臣は政府が、プレステージに国際海域での航行を許可したアメリカの安全規定協会とイギリス政府に責任を問えるかどうかを調査中であることも話した。

スペインのインフレ率、4%に

10月の物価は前月比1ポイントの上昇、インフレ率は政府の目標の2倍の4%に達した。昨日国立統計局(INE)が発表したIPC(消費者物価指数)のデータは衝撃的であった。衣服、履物、いくつかの生鮮食品、燃料費が一気に高騰、経済大臣で第二副首相でもあるロドリゴ・ラト氏はこのデータについて「非常に不満」であるとコメントした。経済省は、物価の高騰の原因は、商品の供給網にあるとし、数ヶ月前に開店時間、大型ショッピングセンターの開店許可に対する地方自治体の規定が物価が定まるのにどのように影響を及ぼすかについての調査報告を自治権裁判所に依頼しており、間もなく提出される報告書により、今後対策が練られる。
10月のインフレ率は前月に比べ1ポイント、年初に比べて4%の上昇を見せた。このデータは、需要が弱っている現在のスペイン経済の上に大きな衝撃となって落ちた。経済省は競争力と経済成長、雇用成長を守るためには、給与体系の見直しが不可欠であるとしている。昨日発表されたデータによると、スペインの物価は1年半前以来最高値を記録、ユーロ圏諸国とのインフレ率の差も1.8ポイントと過去最大となった。
10月に最も値上がりしたのは、衣料品、履物(1ヶ月で平均10%の値上がり)、大学授業料(5.3%)、果物、卵、牛肉(いずれも0.7%)。7月から3ヶ月間下がり続けていた値動きの激しい生鮮食品、燃料費を除いたインフレ率は前月から0.2%上昇して3.7%。また燃料費は10月になって急上昇し、年間上昇率が1.3%から5.2%となった。サービス部門は4ヶ月連続で安定傾向にあり、年間上昇率4.7%、パック旅行は7.3%から11.3%へ上昇、一方宿泊施設は5.9%から4.9%に下がっている。また電話代の上昇はこの12ヶ月間で2.9%、9月からは0.1%の上昇となった。
スペインの経済成長率が景気後退末期の1993年と同じ2%であるのに対し、インフレ率はその2倍で成長。昨日、国家経済担当官ルイス・デ・ギンドス氏は今年末に3.5%前後でインフレ率は収まるという自身の予想を繰り返すことはなく、単に「インフレ率の天井は4%だ。」と述べたに過ぎなかった。
一方、経済省は、来年春にはスペインのインフレ率は3%以下に落ち着くと見ており、欧州委員会の予想は2.9%、スペインの主だった経済専門家の予想は平均3.1%となっている。

ラウル選手、出身地を訪問

サッカーチーム、レアル・マドリッドのラウル・ゴンサレス選手が昨日、サッカーのオリンポス山から泥道と壁にひび割れのできた家の立ち並ぶサン・クリストバル・デ・ロス・アンヘレス(ビジャベルデ地区)に降り立った。この地区はラウル選手が育った場所で、国民的選手になるまで飽きることなく彼がボールを蹴った場所でもある。
ラウル選手は、マドド市長と数人の市会議員と共に、選手の名をとった競技場のラウル選手の名前が刻まれたプレートの除幕式に出席した。選手は「前から競技場が必要だった自分の出身地区に自分の名前がつけられたことを名誉に思います。」とコメントした。
雨模様の一日にもかかわらず、ラウル選手を一目見ようと、レインコートに身を包んだ子供たち、お年よりが選手を待ち受けたが、その中にはホセ・マリア・アルバレス・デル・マンサノ市長とニエベス・サエス・デ・アダナ地区担当議員に、地区の建て直しを要求する人々もいた。サン・クリストバル地区の住居はどれも古く、倒壊の危険により家を立ち退かなければならなかった住民もいるほど。市役所では、建物の改築のための援助を予定しているが、そのためにはアパートの自治会全体で改築をすすめなければならない。昨日、競技場の入り口に集まった人々の中からは「ラウル!ラウル!」という叫びに混じり、「市長、新しいアパートを!」という叫び声も聞かれた。


11月14日(木)

嵐により3人死亡、ガリシア地方沖では石油流出の被害も

昨日、スペインの9の自治州を襲った嵐により、3人の女性(ア・コルニャ2人、ビスカヤ1人)が死亡した。これは、強風のため自宅の上に大型クレーンが倒れてきたため。
最初の事故はビスカヤ県サントゥルチで正午頃起きた。クレーンの倒壊により、30代の妊婦1人が死亡、また、午後になってガリシア地方のア・コルニャでも同様の事故が起き、テレビを見ていた70代の女性2人が5階から道路に投げ出され、死亡した。
サントゥルチでは、建設作業用の8トン以上の重さのある大型クレーンがアパートの上に倒れ、6階にいた妊娠4ヶ月の女性が命を失い、その夫が脛骨と腓骨を骨折した。また事故当時、クレーンの修理をしていた男性も軽い怪我を負った。死亡した女性はクレーンの鉄骨と屋根に挟まれて亡くなっており、遺体は警察犬により発見され午後7時過ぎ、消防隊員が運び出した。事故当時の風の強さは時速120キロにも及び、この風が、クレーンをコンクリートの土台からもぎ取った形となった。このような事故を防ぐため、労災事故防止規定では嵐の到達が見込まれる場合はクレーンの倒壊を避けるためにブレーキを解除し、クレーンが回るようにしておくことが推奨されていたが、このクレーンはブレーキが故障しており、エンジニアが修理を始めたところだったが、事故の防止には間に合わなかった。
ア・コルニャでは午後3時過ぎ、70代の女性2人が同じくクレーンの倒壊により死亡。クレーンの巻き上げ機部分はレアル通り1番地に倒れたが、セメントブロックでできた先端部分は3番地に落ち、裏庭に面した出窓を破壊、2人の老女が通りに投げ出された。「ブロックが落ちた部分が破壊されているだけで、それ以外にはこの建物には何の被害も見られなかった。2人は昼食後、テレビを見ていたに違いない。イスが一つ残っていてテレビがつけっぱなしになっていたから。」と関係者は語った。消防隊員がこの2人以外の遺体が瓦礫の中にないかどうかを確認できるまで、4時間を要した。事故の起きたレアル通りはア・コルニャのショッピングゾーンにあり普段は人でごった返しているが、昨日は悪天候だったため通行人も少なく、被害が拡大するのは免れた。
この嵐に対する警報は引き続き10の自治州−ガリシア、アストゥリアス、カンタブリア、ナバラ、パイス・バスコ、カスティジャ・イ・レオン、エクストレマドゥラ、マドリッド、カスティジャ・ラ・マンチャ、アンダルシア−で出ており、特にガリシア州での被害が大きい。この嵐により、ガリシア地方フィニステレ岬沖西50キロの地点では、石油7.7万トンを積んだタンカーが沈没の危機に瀕している。船長と2人の乗組員は石油流出を防ぐ作業に協力するため船に残ったがその他の乗組員24人はヘリコプターに救助され無事。通常ジブラルタルとリトアニアを往復しているこのタンカーは1976年に建設されたもので、船体は一重(現在、石油タンカーの船体は二重にすることが義務づけられている)。救出された乗組員の話では、何かが船体に衝突し、そこから水が入り始めたという。石油が流出した際の環境被害を最小限に食い止めるため、タンカーをできるだけ陸に近づける作業が現在も行われている。

ジョス・テルネラ氏最高裁により国際捜索命令

ホセ・アントニオ・ウルティコエチャ・バスク議会議員、通称ジョス・テルネラ容疑者は昨日、2度目の要請にもかかわらず、最高裁判所に出頭しなかった。テルネラ容疑者は11人が犠牲となったETAによる1987年のサラゴサ治安警備隊宿舎テロへの関与についての事情聴取のため出頭が求められている。彼は当時、テログループETAの執行部に属していた。最高裁判所のホセ・ラモン・ソリアノ裁判官は数時間以内にも国際捜索・逮捕(検察側が裁判法第504条−正当な理由なく出頭しなかった場合は、一時的に刑務所に収監できる-の適用を求めているため)命令を発行すると見られている。
テルネラ容疑者は、昨日警察に厳重に警備された最高裁判所に姿を現すことなく、また弁護士を通じた発言もなかった。午前10時の出頭時刻に最高裁に赴いたのは、この件の担当検事エドゥアルド・トレス・ドゥルセ氏とテロの犠牲者協会(AVT)のペドロ・リニャン、アンパロ・デ・フアン両弁護士だけで、裁判官はその朝国家治安局から届いたテルネラ容疑者を捕まえられなかった旨の通知書の内容を彼らに伝えた。
検事、弁護士らは共に、裁判官に犯罪裁判法第504条を適用し、テルネラ容疑者を逮捕し、一時的に保釈金なしで容疑者を収監する命令を出すよう要請した。テルネラ容疑者は正当な理由なしに、2度の出頭命令を無視し、サラゴサで11人(うち5人は子供)が犠牲となったテロを命じた人物であるとの疑いがもたれている。テルネラ容疑者の弁護士であるジョネ・ゴイリセライア、ケパ・ランダ両氏は出頭時刻が過ぎてから、ビルバオで他の裁判があったため最高裁に出向けなかったとソリアノ裁判官に連絡した。

HSBC銀行元頭取、裁判所でへスカルテラ事件について証言

昨日、全国管区裁判所のテレサ・パラシオス裁判官に元HSBC Investmentのサルバドル・パストール元総支配人が証言した内容によると、この銀行が証券会社へスカルテラ社との取引で得た手数料収入はおよそ1億から2億ペセタ(60万から120万ユーロ)であることが明らかになった。
パストール被告は、昨日、証言台でHSBC銀行の“無名”口座の存在を知っていたことを認めた。しかし、1995年まではバスク地方の数人の投資家からバスク地方に支店のない銀行に口座を作り資金を預けたいとの要請を受け、彼自身が12の隠し口座を開設したことを弁護人が明らかにしたが、それ以降の138口座(数ヶ月前まで同銀行に存在)については関与していないという。
被告は証言の中でへスカルテラ社のオーナー、アントニオ・カマチョ氏がオフィスにHSBC銀行に直接つながった端末から投資を行っていたことを明らかにしている。当初、カマチョ氏は、この端末からすべての操作を行っていたが、後には監視がさらに難しい電話での取引注文も行うようになったという。
また被告は、へスカルテラ社の取引の全体的な流れは把握していたが、利息収入の日計会計処理は彼の部下であったヘスス・パントハ氏に任せていたと述べ、当時の副頭取ハイメ・ガロバルト氏から、へスカルテラ社の取引になんら不法なところはないとの報告も受けていたと供述した。利息収入額の大きさからパストール被告は、社内報告書の提出を求めたが、ガロバルト氏に説得されたという。被告は、取引の損失がほとんどいつも同一人物に向けられていたことを知っていたことは認めたが、裁判官に同じ人間がいつも損失を被ることを不自然だとは思わなかったのかと聞かれたときは、その点については考えなかったと供述している。
また被告は1998年、ヘスカルテル社に対する国立証券取引委員会(CNMV)の捜査をくらますため、ルクセンブルグに新しく投資会社を設立する書類にサインしたことも認めた。昨日はおよそ8時間にわたって証言が行われ、裁判官と検事による質問が行われたが、被告の電話による会話の録音についてはまだ尋ねられていない。彼の担当弁護士のミゲル・バホ氏が来週はマラガでの裁判を控えているため、次回の審問は15日以内に行われることとなった。


11月13日(水)

アランチャ・サンチェスさん、プロ生活に終止符

かつては世界ランキング1位にも輝いたことのあるテニス選手、アランチャ・サンチェス・ビカリオさん(30歳)が引退を発表した。兄のエミリオサンがセルヒオ・カサル氏と運営するテニスクラブで行われた記者会見では涙も見せたサンチェス選手だが、17年の選手生活を振り返って満足のいくものだったとコメントした。グランドスラムタイトル4つ、オリンピックメダル4つ、フェデレーション・カップ5つという成績を残したサンチェス選手は、歴史上最良の女性スポーツ選手だったと言える。
サンチェス選手にとって、テニスは人生のすべてであった。テニス一家に生まれたサンチェス選手は、4歳ですでにラケットを握り、兄弟(マリサ、エミリオ、ハビエル)相手に練習を積んだ。15歳でプロの世界に入ったサンチェス選手は、今、31歳の誕生日まで1ヶ月と5日を残すのみ。
女性のスポーツが発展していなかった国において、彼女は世界一になることを成し遂げ、獲得したタイトルはグランドスラム・シングルス・タイトル4つ(全仏3つ、全米1つ)、ダブルス6つ、混合ダブルス4つ。彼女が17年のキャリアで獲得したタイトルはシングルスが合計29でダブルスは67、生涯獲得賞金額は1700万ユーロ。その他、4つのオリンピックメダル(銀2、銅2)とフェデレーションカップ優勝5回という輝かしい成績を残した。それ以外にも数々の賞を受賞しているサンチェス選手は特に価値あるものとして、プリンシペ・デ・アストゥリアス賞の受賞をあげた。
「私にとって決断するのは簡単なことではありませんでしたが、その時がやってきました。」とサンチェス選手が声明文を読み上げるのには、4分とかからなかった。彼女は、選手生活を振り返って、大きな怪我に見舞われることもなく、常に家族、コーチ、スポンサーの援助があり幸せだったと述べた。「引退の理由は個人的なものです。」とサンチェス選手は、グラン・カナリアで先日行われ、彼女の最後の試合となったフェデレーションカップ決勝での出来事(観客に野次を飛ばされ、コートで泣いた)は理由ではないと否定した。
「これまで私の人生はテニス一色でした。そろそろ自分自身のことを考えるのもいいと思います。」と述べたサンチェス選手に対し、今後の予定が尋ねられたが、サンチェス選手は「今からは、コートの外で幸せになり、社会に有益な一市民として過ごしたいと思っています。これからの人生は私にとって今までと全く違ったものになるでしょう。」と答えた。すでに、スペインテニス協会会長アグスティ・プジョル氏はサンチェス選手にフェデレーションカップのチームコーチ就任を打診しているが、サンチェス選手はプジョル会長の申し出に対し感謝の意を表明したものの、その件に関して決断するのは時期尚早であると述べた。
選手は今日から休暇を取り、行き先は明らかにされていないが旅行に出る予定。11月21日から24日にかけてバルセロナのパラウ・サン・ジョルディで開催されるマスターズの試合の出場を怪我のため取り消したサンチェス選手だが、今後、テニス仲間とファンに別れを告げるための場が設けられることが期待されている。

ビゴの手製爆弾事件、容疑者3人を逮捕

3人のスペイン人が、昨日午後、ビゴ(ポンテベドラ県)その異なった場所でそれぞれ逮捕された。これは、先週の火曜日(5日)に2人が死亡、2人が負傷したビゴでの2件の手製爆弾爆発事件の首謀者であるとの容疑のためで、関係者筋によると、3人とも組織犯罪グループに属してはいないが、前科があるという。逮捕後、3人はビゴの警察署で事情聴取を受け、警察が各人の家宅を捜査した。
今のところ、この3人の間のつながりや犠牲者との関係は明らかにされていない。中央政府ガリシア担当官のアルセニオ・フェルナンデスデ・メサ氏は、今週中に爆破事件に関する何らかの結論が出るだろうと述べ、そのためには市民の協力が重要であると訴えた。
捜査は引き続いて行われているため、警察は今後さらなる逮捕者が出る可能性を否定しておらず、3人の逮捕者と関係のあるビゴ市内の数ヶ所をさらに捜査する予定であることを明らかにしている。

警備強化対策最初の月の逮捕件数は2000件(マドリッド)

マドリッドのセントロ、プエンテ・デ・バジェカス、ウセラ、ビジャベルデ、テトゥアン地区で行われた集中プラン(300人の警官によるパトロール)により、最初の1ヶ月での逮捕件数は2000件、身元照会は2万件で、210の刃物が押収された。
これは、マドリッド市の中でも犯罪率が高いこれらの地域で10月7日から犯罪減少のために政府が行ったプロジェクトで、携わった警官によると、これらの地域では犯罪減少の効果があったという。
しかしながらFSM(マドリッド社会主義者連盟)の書記長で、マドリッド州知事の社会党候補であるラファエル・シマンカス氏は、「ずいぶん前から政府は、犯罪に関するデータを必要に応じて水増ししたり縮小したりしているため、彼らの発表するデータは信憑性が薄い」とコメント、「唯一確かなのは犯罪率が上昇し続けていることで、マドリッドでは日ごとに犯罪が増え、治安の悪化への市民の不安は過去最大となっている。逮捕率を増やすのは結構だが、問題の根本的解決“予防”に政府は努めるべきだ。」とシマンカス氏は述べている。


11月12日(火)

へスカルテラ社、宗教法人に利益供与

警察は1年以上にわたるへスカルテラ事件の捜査の結果、証券会社へスカルテラ社社長アントニオ・カマチョ氏がスペインのHSBC銀行の協力により、株の同時売買システム(売買を同時に行うため、いかなる損得も発生しない)を構築、その日の最高値で株を買い、最安値で買ったと見せかけ、作り出した架空の損害を架空の名義人クエンカのテオドロ・ボニジャ神父を始めとする数人の架空の名義人顧客に押し付け、利益を特定の顧客に与えていたと断定した。特定の顧客の中には、バジャドリッドの大司教も含まれ、この方法により大司教は1998年に92.7万ユーロを稼いだと見られている。1999年4月、国立証券取引委員会が大司教のへスカルテラ社との取引内容に興味を示したため、大司教はただちに証券会社から投資資本約660万ユーロを引き上げた。警察によるとその他に7つの宗教法人が利益供与を受けていたという。
「サルバドール・パストール・リポル氏を代表とするスペインのHSBC銀行役員はへスカルテラ社の1800人の顧客の資本9300万ユーロが消えた不法取引を認知し、手助けし、その後隠蔽した。これは、自分の銀行へのコミッション収入獲得のためと、HSBC銀行役員に関係ある人々の利益のためであった。」これが、警察がテレサ・パラシオス判事に提出した報告書の結びである。この報告書により1997年1月からHSBC銀行が手助けしていた、アントニオ・カマチョ氏の考え出した株投資詐欺の仕組みが明らかになった。
へスカルテラ社は、推定25.9億ユーロが動いたとされる93%の取引を、“4倍取引”と呼ばれる取法により日々行っていた。この取引は、1日のうちに4件の取引を行うもので、まず同時に同じ株数で同じ額面の株の同時売買を行い、同じ日の別の時間にまた同様の売買を行うというもの。同時に株を売買するためには、株売買の仲介者(HSBC銀行)の協力を要するが、株は同時に売買されることから、いかなる損得も発生せず、銀行を通して取引が行われるため、手数料の収入を見込んだ銀行がこれに協力した。この手数料による収入はHSBC銀行とヘスカルテラ社で分配していた。警察の報告書によると、へスカルテラ社は、架空の利益を作り出すため、架空の損害を被った顧客を持つ必要があり、そのために、税務上の理由から株取引で損害を出した証明が必要だった顧客と、実際には資金を投資せず、名前だけが存在した顧客を用意したという。
大口の利益を受け取っていたのはバジャドリッドの大司教だけではない。ある役員の父親は7日間で64,849ユーロ(ある顧客の同日の損害額に一致)を稼いでいるが、数日後45,000ユーロをカマチョ氏の経営する会社の一つ、フィスコンサルティング社に送金している。

判事、へスカルテラ事件の営業係に刑務所行きを命じる

テレサ・パラシオス判事は、ビセンテ・ゴンサレス・モタ検事の要求通り、保釈金なしでアニバル・サルドン容疑者を詐欺の容疑で刑務所に収監することを命じた。サルドン容疑者は財テクコンサルタント会社AGPのオーナーで、およそ200人の顧客にヘスカルテラ社に投資させ、この顧客の投資総額は30億ペセタ(約1800万ユーロ)にのぼった。
サルドン容疑者は8時間以上にわたって続いた裁判でかけられた容疑のほとんど全てを否定、しかしほとんど何についても釈明することはできなかった。パラシオス判事とゴンサレス・モタ検事がAGPのパソコンの1台で発見されたへスカルテラ社に投資したAGPの顧客リストと見られる表(顧客に見せた偽の受取利息と本当の受取利息が明記)について尋問したときも、サルドン容疑者はこの表が“仮想投資”の“シミュレーション”で、へスカルテラ社のオーナー、アントニオ・カマチョ氏にAGPがもうかる顧客であることを信用させるために作り上げたものであると主張した。
これまでの調べにより、AGPがヘスカルテラ社から25%〜34%の投資利息を受け取り、顧客に対しては3%から4.5%の受取利息があるように見せかけ、差額はサルドン容疑者の懐に入っていた疑いがもたれているが、これについてもサルドン容疑者は全面的に否定。容疑者はまた、へスカルテラ社から受け取った総額約3千万ペセタ(18万ユーロ)のサルドン容疑者宛記名小切手の理由についても釈明できなかった。さらにサルドン容疑者は2000年8月免税天国ガンジー島、2001年1月イギリスでの預金の動きについても尋問されたが、何も知らないと述べたにすぎなかった。しかしながら、資金洗浄・通貨違反予防委員会(Sepblanc)は、この両方の日付でサルドン容疑者が信託を動かしたとみられる通知書を受け取っている。
これらの尋問の結果、100万ユーロの保釈金つきという意見もあったものの、最終的に検事は逃亡の危険があるとし、保釈金なしでサルドン容疑者の収監を要求、判事が要求どおりの判決を下し、サルドン容疑者はアルカラ−メコ刑務所に収監された。

“Los lunes al sol”、アカデミー賞候補に

フェルナンド・レオン・デ・アラノア監督の作品で今年のサンセバスティアン国際映画祭でコンチャ・デ・オロ(金の貝)賞を受賞した『Los lunes al sol(月曜日にひなたぼっこ)』を、スペインの代表としてアカデミー外国映画賞に出品することを映画協会が決定した。
『Los lunes al sol』の他に最終選考に残ったのは、ペドロ・アルモドバル監督の『Hable con ella(彼女と話してごらん)』、ホセ・ルイス・ガルシ監督の『Historia de un beso(あるキスの物語)』。両監督とも過去に『Todo sobre mi madre(オール・アバウト・マイ・マザー)』(1999年アルモドバル監督)、『Volver a empezar(今ひとたび)』(1982年ガルシ監督)ですでに外国映画賞を受賞している。
『Los lunes al sol』が最終的にアカデミー外国映画賞のノミネート作品となるかどうかはこの後、ハリウッド映画協会で決定される。


11月11日(月)

欧州委員会、スペインの不安定な雇用状況を批判

今週にも欧州委員会が発表することになっている雇用年間報告書で、経済成長に鈍化が見られるにも係わらず、スペインが2001年度にヨーロッパ平均の2倍のリズムで雇用を創出していることが明らかになった。しかし、雇用の内容を分析してみると全体の31.5%が一時雇用(ヨーロッパ平均は13.2%)で、欧州委員会はこの状況を“懸念すべきもの”と見ている。
31.5%というこの数字は2位のポルトガルの20.3%からも大きく離れるデータとなっている。この3人に1人の雇用が一時雇用という状態は、5年前の1997年(33.6%)からほとんど変わっていない。一方、パートタイム労働はヨーロッパ平均18.9%に対し8.4%と,最も少ない国の一つとなっている。このことから、欧州委員会は、スペインが雇用体型を一時雇用からパートタイム雇用に切り替える努力をする必要があると考えている。
スペインは、ヨーロッパ平均(1.2%)を大きく上回る2.5%の増加率で2001年度雇用を創出し、労働力率はすでにイタリア(54.8%)、ギリシャ(55.4%)を凌ぐ56.3%となっている。失業率は依然としてEU圏内で最も高い10.6%であるが、5年前の17%という数字からは順調に改善を見せており、ここでもイタリア、ギリシャが最下位に転落しそうな兆しを見せている。
順調に成長しているかに見えるスペイン労働市場のアキレス腱はその不安定さ。高い一時雇用率に加え、これまでにない低い数字であるとはいえ女性の失業率はいまだにヨーロッパ平均の2倍であり、また地域による格差も大きい。地域格差を小さくするのが、今年のEUのプロジェクトで、報告書ではスペイン政府がこの格差を少なくするための手段をあまり講じていないことが指摘されており、さらなる努力が求められている。

グラナダで山火事、一人死亡

グラナダの海岸近くにあるボディハルで土曜の朝起きた山火事により2728ヘクタールが焼失、男性1人が命を落とした。この男性(28歳)は父親を救出に向かう途中、車の中で焼死した。地方警察は、この火事の容疑者として、許可なしで焚き火をしていた近くに住む農夫を逮捕した。
2728ヘクタールを焼失した火事が消し止められたのは発生から36時間後の昨日午後。すでに、容疑者は逮捕され司法手続きが始まっていた。消火作業にはおよそ100人の消防士、6台の飛行機、2台のヘリコプターと数台の消防車が出動。被害が広範囲にわたったため、グラナダ、モトリル、アルムニェカルから消防隊が出動した。
出火したのは土曜日の午前10時ごろ、ヘテ村にあるラス・チョレラスと呼ばれる場所で、原因は近くの民家で行われていた枯葉と枯れ枝を焼くための焚き火。ここから火は、最終的にヘテ、オティバル、レンテヒ、モルビサル、イトラボ、サロブレニャの6村にわたって広がった。グラナダにあるアンダルシア州政府のマリアノ・グティエレス・テロン・中央政府派遣委員の話では、今日、各村の村長と会談し、被害を見積もるという。
今回の火事での最も悲劇的な出来事は、土曜日の夜のモルビサル村のホセ・ミゲル・べハルさんの死亡。べハルさんは、火事が自分の父親の住む家に近づいているのを知って、四輪駆動車で救出に向かった。しかし、車が森の中で転倒、車は火に取り囲まれ、彼はその中で焼死し、妊娠中の夫人は、夫の訃報を聞き、精神的ショックにより病院に運ばれた。父親は炎の中逃げ延び無事。
グラナダ県ではここ数年起こった大規模な火事は、逆説的に年間で特に寒く雨の多い11月に発生している。
一方、土曜日にマラガで起こった山火事はその日の午後23時30分頃消し止められたが、今のところ被害の規模は明らかになっていない。バレンシア州では土曜日から昨日にかけて3件の山火事が発生。そのうち最も規模の大きかった火事は、午後2時ごろ消し止められたが、ベルニア山脈の約100ヘクタールが焼失した。

ナバラでM3.2の地震

昨日の明け方、ナバラ県のティエバス村とベリアイン村でマグニチュード3.2の地震とマグニチュード2の2つの余震があったが、物的・人的被害のいずれも報告されていない。
地震が起きたのは明け方の4時27分。震源地はティエバス村の南東で、20キロほど離れたパンプローナでも揺れが感じられた。1時間15分後の午前5時43分にはマグニチュード2.7の最初の余震が少し北のベリアイン村で起こり、その後午前8時38分、再び余震が起きた。この時の震源はティエバス村の北西。この地震による揺れはレスカイル、オタノ両村でも感知された。
最初の地震が起こってから、住民の何人かにより緊急センター、SOS−ナバラに、地震の被害についてたずねる電話があったという。
国立地質協会は昨日、今後さらに余震の起こる可能性は否定しなかったものの、「たとえ起こったとしても、余震の規模はたいしたものにはならないのが普通である。」とコメントした。この地域には今年、マグニチュード4.6の地震も観測されている。

週末のスポーツの結果

トライアスロン:昨日、メキシコのカンクンで行われた世界選手権で、スペインとヨーロッパのチャンピオンでもある、現在世界ランキング6位のイバン・ラニャ選手が優勝した。


11月8日(金)

バラハス空港で火事、イベリア空港の900便に影響

昨日の午前10時、イベリア航空の情報コントロールセンターで火事が発生、少なくとも43便がキャンセル、世界中のイベリア航空のフライトで大幅な遅延が出た。コンピューターのダウンにより、イベリア航空ではコンピュータによる発券、予約、チェックインのいずれも行うことができず、従業員は手書きで預かり荷物のチェックイン作業を進めた。これにより1時間以上の遅れが出た便はおよそ900便、10万人が影響を受けた。
昨日は一日中、イベリア航空の前に長蛇の列ができ、並んできた乗客の大半は、自分の便が遅れて出るのか、どの便がキャンセルになったのかも知らなかった。バラハス空港発でキャンセルになった便の行き先は、パリ、ビルバオ、リスボン、アムステルダム、バルセロナ、ア・コルニャ、フランクフルト、メリジャ、チューリッヒ、ジュネーブ、カイロ、バレンシア、マラガ、アストゥリアス、サンティアゴ・デ・コンポステラ、パルマ・デ・マジョルカ。
出火元は、センターの電気供給パネルで、消防車が火事を消し止めるのにかかった時間は4時間。このセンターには窓がなく、厳重なガードが施されている電気供給パネルの出火は酸素不足のため炎は出ず、煙が出るばかりだったと、消防士の一人は語った。この出火により、パネルの一つが機能しなくなり、電気コードが10メートルにわたって燃えたため、もう1つの電気供給元も使うことができなくなった。
イベリア航空によると、この火事による故障はすでに修繕されたといい、今日から業務が通常どおりに行われることが期待されている。
この火事により、イベリア航空のコンピューターだけでなく、スペインの航空券予約コンピューターシステム、サビア-アマデウスも機能しなくなった。このシステムはスペインの旅行会社の大半が使用しているもので、会社によると、昨日は航空券の発券も予約もできなかったという。アマデウスは世界で最も使用されている予約システムで、スペインではイベリア航空が66%株を保有するサビア社が運営している。
今年に入ってイベリア航空のフライトが情報システムの故障により影響を受けるのは3度目。情報会社の関係者によると、こういった故障によるトラブルは、すでに銀行が行っているように、イベリア航空が代替システムセンターを設置すれば回避できるという。

ジブラルタルの住民、共同統治に“NO”

昨日行われたジブラルタルの住民投票の結果、住民の99%が、ジブラルタルをスペインとイギリスで共同統治することに反対の票を投じた。イギリス政府もスペイン政府も公認していないこの住民投票は、ジブラルタル市長が行ったもので、住民の88%が参加した。
アナ・パラシオ外務大臣が“意味のない”住民投票だと述べたのに対し、ジブラルタル市長、ぺテル・カルアナ氏は昨日この住民投票の結果がジブラルタルの将来のために重要であることを改めて強調、「ジブラルタルの住民には、自ら自分達の将来を自由に決める権利がある」と投票の後、述べた。
18,177人が投票、そのうち17,900人(98.97%)はイギリスとスペインが将来ジブラルタルを共同で統治する可能性をきっぱりと拒絶した。投票は午後10時で締め切られ、4時間半後の午前2時半にすべての開票が終了、18,177票のうち、有効票は18,087票、無効票89のうち、72票は白紙だった。

カディスでセクハラにより2人目の聖職者逮捕

慈善団体“オブレロ・デ・ラ・クルス”に属し、同団体が運営しているメディナ・シドニア(カディス県)にある老人ホーム“エル・サンティシモ”の現所長であるギジェルモ・アマド・モレホン容疑者が、逮捕され、従業員に対するセクハラによる調べを受けている。
治安警備隊の話によると、アマド・モレホン氏は、先日マドリッドで逮捕された同じ宗教団体のホセ・エレラ容疑者と同様、治安警備隊に供述、裁判所により執行猶予つきで釈放されているというが、老人ホームの副所長で、エレラ容疑者の妹であるインマクラダ・エレラさんによるとアマド容疑者は治安警備隊への供述を拒否、判事の前で供述することを要求したため、数日中にチクラナの第二裁判所へ出頭するという。
今回の2件の逮捕は、この慈善団体の従業員2人−アンヘル・サンチェスさん(31歳)とアントニオ・ロセンドさん(23歳)−が、セクハラを受けたと告発したことによる。2人は数年にわたってアマド・モレホン容疑者と、エルマノ・ぺぺとして知られるエレラ容疑者から体を触られるというセクハラを受けていたという。ロセンドさんは、彼がまだ未成年だったとき、何度も嫌がったにもかかわらず、2人の容疑者から性的交渉を強いられたと告発している。
老人ホーム“エル・サンティシモ”は、100人ほどの老人が入居しており、ボランティアの数人は、ベネズエラのコロ司教区により認知されているが、カディスとセウタの司教区からは認知されていない慈善団体である“オブレロス・デ・ラ・クルス”によって保護された孤児。カディス司教区のギジェルモ・ドミンゲス助任司祭は、この慈善団体はカディス司教区が認めない団体で、すでに団体からはカトリックの称号を剥奪されていること、この団体の会員はいかなる宗教団体にも属さないことを強調した。
一方、アンダルシア州政府は、行き届いたサービスと老人へのすばらしいケアを提供していることが立ち入り検査で報告されているこの老人ホームの許可は取り上げないと述べている。


11月7日(木)

今日、ジブラルタルで住民投票

ジブラルタルのぺテル・カルアナ市長が今日、スペインとイギリスによる共同統治を認めるかどうかという内容で住民投票を行う。しかし、この住民投票開催はイギリス政府もスペイン政府も認めておらず、スペインのアナ・パラシオ外務大臣は、スペインとイギリス間でもまだ実際に達していない合意に対する“バーチャル”な住民投票だと定義している。上院で行われた記者会見でパラシオ外相は、この投票の後もスペインとイギリス両国間で、両国の利益を反映し、ジブラルタルだけでなくヨーロッパにとっても有益となる“バーチャル”ではなく“リアル”な合意に達するための話し合いを続けていくと宣言した。
今回の住民投票に投票権を持つのはおよそ2万人で、午前8時から午後10時まで、12の投票会場が開かれる。さらに、4つの移動投票箱が病院、自宅療養中で投票の意思表示をした病人宅と刑務所をまわって「イギリスとスペインの共同統治を認めるか?」について“はい”か“いいえ”の2つの選択肢から選ぶことになっている。
この住民投票は、13日前にイギリスの国会でジャック・ストロー外相が行った「イギリスは、住民の意見を聞いた上で、スペインとジブラルタルを共同統治する用意がある」と述べた発言への返答としてカルアナ市長が7月25日に開催を発表したもので、スペイン政府からもイギリス政府からも公認されていない。この住民投票の結果がイギリスとスペインの今後の話し合いをややこしくするという意見もあるなか、住民の反応は1967年に住民投票が行われたときよりも冷静で、この時には12,757人が投票したうち、わずか44人がスペインへの帰属を願い、12,182人がイギリスとの現状維持を支持、531人が棄権している。

スペイン経済の成長率鈍化

スペイン銀行は、今年第三期のスペイン経済の成長率は1.8%と1993年最終期以来最も低い伸び率となったことを発表した。この伸び率は今年前半期より0.2%低く、目標年間成長率2.2%の達成には遠い。
10月の経済白書で、スペイン銀行は、政府が立てた目標年間成長率に到達できる可能性を否定している。第一期、第ニ期には2%だった成長率が第三期に入って1.8%にダウン、これはこの8年半の中で最も低い数字である。第二期と違って、第三期は、家庭の消費と建設においてそれぞれ1.7%と4.5%という安定した成長を続けているが、財テクへの投資の減少が成長率の鈍化の原因を担っていると見られている。また雇用の増加(1.4%の増加だが、増加のスピードは鈍っている)により、家庭の消費減少を食い止められたこともスペイン銀行によりわかった。金融商品以外からの収入(住宅の高騰によるもの)の増加と融資への低い利息率もまた家庭の消費減少を食い止める要因となっている。住宅の値上がりが激しいながらも、住宅購入のための融資は16.6%と順調に伸びている。
こういった金融商品以外からの収入が増えたことにより、株への投資は大きな影響を受けている。スペイン銀行によると、金融商品以外から多くの収入を得られるようになったため、国際的な傾向と逆行して、スペインでは消費者の金融市場への信用が落ち、これが金融危機を深刻にしているという。
しかし、家庭の消費を支える柱の一つは今、揺らいでいる。スペイン経済が経済成長率2%以下でも新たな雇用を創出できているように見えている点について、スペイン銀行は警鐘を鳴らす。「9月の時点での労働力人口へのアンケートと社会保険への新規加入のデータによると、雇用の成長にも鈍化の傾向がすでに見られ、今年度末頃には雇用は縮小していることが予想されている。」と白書には報告されている。
スペイン経済が抱えるもう一つの問題は、インフレ。スペイン銀行は生活費の高騰が家庭消費の伸び悩みを招いていると見ている。現在のスペインの昇給システムは物価の上昇を昇給に十分に反映しておらず、このままではユーロ導入諸国とのインフレ率の差をいつまでも解消できない可能性があるとし、スペイン銀行は今年度末のインフレ率は最終的に2%を越えると予想している。

PP、市民戦争犠牲者の発掘調査費の予算計上を却下

2003年度予算に、市民戦争中に銃殺された共和主義者の埋められている塹壕の発掘調査用の予算100万ユーロを計上するというPSOE(社労党)の提案はPPの票により却下された。予算計上の道が閉ざされた今、政府に塹壕の発掘調査を行わせるためには2つの道しか残っていない。PSOEは、憲法委員会での与党PP(国民党)との議論を提案しているが、開催の日時はまだ決定されていない。もし、ここでも決着がつかない場合は国連の決定に訴え出ることになる。すでに、ARMH(歴史的記憶を取り戻すための協会)は国連にスペイン政府への圧力を要請している。スペイン政府は1992年12月18日にスペインの行方不明者に関しての国連の合意書に調印している。
スペイン各地に残る塹壕にはおよそ3万人が埋まっているとみられているが、これまでにすでに掘り起こされたいくつかの壕では、市民戦争中に銃殺された共和主義者の遺品、遺骨が見つかっている。塹壕の多くは住民たちの記憶により場所が特定されているが、人々は発掘の結果を恐れ、実際にその場所を掘り起こす勇気を出すにいたった人々は今のところ多くない。もう一方のグループであった民族主義者またはフランコ支持者の埋められていた壕は、フランコ将軍が権力の座についてすぐに、発掘が行われている。PSOEは“社会の大部分が求めていることに対する政府の関心の薄さ”を非難している。

BBVA頭取、本店移動の可能性打ち消さず

スペインの主要銀行であるBBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)のフランシスコ・ゴンサレス頭取は、昨日メキシコでの会議に先立って行われた記者会見で、「イバレチェ知事がこのままバスク州自治領化案を推し進めたらどうしますか?」という質問に対し、「我々の銀行はスペインで生まれ、バスク州に強く根ざしている銀行です。我々は常に法律に従い、ここで我々にとっての法律とは、スペイン憲法とバスク地方令です。これ以上、この件に関して言い足すことはありません。」と答えた。また関係者筋も「言葉は少なかったが、言わんとすることがはっきり伝わる内容である。」と述べている。
ゴンサレス頭取はBBVAが常にETAのテロと秘密口座と闘っていく姿勢であることを改めて表明、「怪しい口座を発見した場合はすぐに当局に知らせます。」と述べた。また、ジャージー島の秘密口座問題に言及し、間違った情報によりBBVAが被った根拠のない非難であり、BBVAは常に透明な銀行であったと語った。
現在BBVAはメキシコへの投資に力を入れており、中南米投資の半分がメキシコに向けられている。人口が多い(約1億人)こと、若い世代が多いことがBBVAの戦略のカギとなっている。ヨーロッパ100%、チリ60%に対しこの国では銀行化が進んでいるのは約30%。融資額はGDP(国内総生産)の5%で、ちなみにスペインでは50%に達している。BBVAの子会社BancomerBBVAは昨日、今後数ヶ月で現在の51.5%から54%に持ち株数を上げることを発表、これは市場価格にして1.65億ユーロの投資となる。BancomerからだけでBBVAは9月までに3.41億ユーロを稼いでおり、これはその他の中南米のすべての銀行の2.23倍の額である。Bancomerの収入はBBVAの収入の15〜20%を占めており、ゴンサレス頭取はメキシコがカギだと説いた。「我々は今後もメキシコにさらなる時間と資金を投資していきます。我々にとって大事な2つの地域、スペイン国内とメキシコに対しては投資のリミットはありません。投資に見合った利益が得られる限りは。」と頭取は述べた。
しかしながら、メキシコには労働分野、課税分野、エネルギー分野をより自由で効率よいものに改良するという成し遂げるべき課題が残っている。BBVAは数々の危機にもかかわらず、今のところ中南米からの撤退は考えていない。アルゼンチンの経済危機に関しても「解決しなければならないいくつかの政治的問題が残ってはいるものの、アルゼンチンにおける最悪の事態はすでに終わりました。また、その他の中南米諸国では特に大きな問題は起きていません。」と頭取は述べている。


11月6日(水)

ポンテベドラで爆弾が爆発、4人が死傷

30センチの筒に火薬を詰め、黒いビニール袋に入れられていた手製の爆弾により、昨日レドンデラ(ポンテベドラ)で夫婦1組が死亡、同様の爆弾によりビゴで父と息子が重傷を負った。どちらも自宅前で爆発は起こっており、1件目の爆発が起こって1.5時間後に2件目の爆発が起こった。この2軒の家は3キロしか離れていない。内務省はいまだ動機の解明にいたっていない。
ルイス・フェレイラ・ペレス(43歳)氏はビゴのシティバンクの支配人で、昨日の午前8時頃、息子オスカル君(12歳)と共に自宅を出た。オスカル君が玄関の前に不審な黒いゴミ袋があるのを見つけこれを取りに行き、ガレージまで持っていったところで仕掛けられていた爆弾が爆発し、この爆発により、オスカル君は内臓破裂と左眼角膜に裂傷を負い、フェレイラ氏は左脛骨を負傷した。
午前9時15分、ビゴにあるぺスカノバの生産部長であるビセンテ・レモス・アヤ氏(51歳)が妻のロサ・ヒルさん(53歳)と妻の両親宅に向かおうと自宅を出た。車のエンジンをかけたとき、レモス氏は鉄柵に黒いゴミ袋がかかっているのをみつけ、車を降りて取りに行ったが、爆弾が爆発、2人の命を奪った。
警察当局は、手口からテロリストの犯行ではないとほぼ断定、2件の爆薬は同一人物によって仕掛けられたと確信している。しかし、被害者の間に今のところつながりはみつからず、近所の人、友人、仕事仲間から恨みを買っていた様子も見られないという。当初、警察は麻薬密売とそのマネーロンダリングに係わるのではないかと見ていたが、現在のところ麻薬密売と被害者の結びつきを示す手がかりもみつかっていない。

病人運搬サービス会社が無期限スト(マドリッド)

昨日、マドリッドでCCOO(労働者委員会)、UGT(労働者総同盟)の召集により民間の病人運搬サービス会社の従業員800人がマドリッド自治区でストを行い、彼らが衛生局が規定している最低限労働も守らなかったため、マドリッド各地では数千人が影響を受けた。病人は病院へ向かうのにタクシーを使うか、家族に車で送ってもらわなければならず、特に人工透析や化学療法を受けている患者にとっては辛い状況となった。衛生局は昨日、数少ないストへの不参加従業員に警察の警護をつけた。
ストに参加した民間の病人運搬サービス会社14社の保有する救急車は総計500台。うち12社は432台の救急車を保有し、今年の5月から衛生局と契約し病人の移送を行っており、残りの救急車はサニタス、アシサなどの民間保険会社と契約している。昨日のストにより影響を受けた数千人のうち、約3000人が衛生局の患者であった。Samur(マドリッド市所属)、Sercam、Summa(マドリッド自治区所属)、赤十字社(マドリッド市の依頼で臨時に運搬を担当)の救急車だけでは彼らの運搬をまかなえず、人工透析、化学療法、放射線治療を受ける患者は病院へ行くためにタクシーまたは家族の車を使わねばらなかった。労組と経営者側は今日、就労規則についての話し合いの場をもつことになっているが、話し合いに決着がつくまでこのストは無期限で続けられる。

CDショップ、アラスカのアルバム販売拒否を撤回

昨日、ニューアルバム“Hombres”をリリースしたアーティストのアラスカさんは、国立CD販売店協会(Anedi)が彼女のCDすべてを店内から撤去すると聞いて驚いたという。これは、アラスカさんのスペインの海賊版CDに対する意見への抗議表明のためであったが、昨日、ラジオ番組“La Ventana”での公開討論に出演したAnediのマノロ・アマット氏は、この討論の後、アラスカさんの声明文を受け、販売拒否の撤回を発表、実際にボイコットが行われたのは数時間であった。
Anediには、スペインでCDを販売する大手チェーン店の大半(Gong Discos、 Madrid Rock、TiendasTipo、Discos Castello、Marirochk、JoyMIi等)が所属しており、協会はアラスカさんの一連の発言では、海賊版CDの横行により被害を被っているのはアーティストだけだと理解されるとし、「一番の被害者はCD販売店だということを無視している。」と抗議の声を上げた。
これに対しアラスカさんは声明文を発表、この中で協会の決定に驚いていると述べ、「CDの値段が高すぎることは誰もがわかっていることです。値段を下げることは可能で、そうしてもみんな(アーティスト、所属事務所、レコード会社、販売店)まだ収入を得ることはできます。CDの売上が落ちたというレコード会社は戦略の見直しをし、新人発掘にも力を入れ、すでに成功しているアーティストにも投資し、その場限りのヒット曲ばかりに頼らないべきです。」と説いた。また、「私の国でこのようなことが起こるとは思っていませんでした。CD販売の拒否はセックスピストルズのCD販売を拒否した店があったようなケースは外国でしか起こりえないと思っていました。しかも、今回の販売拒否は、私のアルバムの内容に関係するのではなく、私の発言によるものだとは。今回のような脅しを受けるとしても、私は今までの芸能生活を通じて常に自分の倫理観に基づいて発言してきましたし、これからもそうするでしょう。私の意見に同意できない人がいても構いません。しかし、それに対して検閲、ボイコット、脅しが行われることには納得できません。」とも語っている。


11月5日(火)

カタルニャ州政府、組織改編

昨日、ジェネラリタ(カタルニャ州政府)のジョルディ・プジョール知事がこの3年間で6度目の組織改編を行った。これは、アルトゥール・マス議長が来年の地方選挙でカタルニャ州政府知事のCiU(カタルニャ同盟)からの候補者として立つことをさらに確実にするためのもので、任期中7つめとなる州政府内閣では15あった局が統合により13に減らされた。
2週間前にマス議長が講演で披露した組閣計画にこれでまた一歩近づくこととなった。マス議長は昨日の改編により、自身がカタルニャ州政府内にもつ力の大きさを知らしめた。この講演でマス議長が発表したように、今後カタルニャ州政府は3本の軸−生産性の高い経済、市民の安全、家庭を基本とした福祉−を中心として運営されていくことになる。これを受けて労働局と内務局を一つに統合した組織が編成され、アントニ・フェルナンデス・テイシド氏が局長につくこととなった。市民の安全を守るためには、法務局と内務局を統合した組織があたり、この長となるヌリア・デ・ジスペル局長は民主主義政党リーダーのジョセップ・アントニ・ドゥラン・ジェイダ氏が最も信頼する人物の一人で、彼女は外交社会問題委員会の委員長も担当する。社会福祉局はイレネ・リガウ局長、現在内務局長のシャビエル・ポメス氏は厚生局長に就任、ジョセップ・マリア・ペレグリ氏が行政局長に就任し、州政府内のカタルニャ同盟用ポストを埋めた。
局長としての評価が低く、対抗勢力からの攻撃の的となっていた4人、ジュイス・フランコ労働局長、アントニ・スビラ産業局長、エドゥアルド・リウス厚生局長、ジョセップ・デルフィ・グアルディア法務局長はポストを解任された。フランコ氏は激増する労災事故に歯止めをかけられないことで非難の的となっていた。ジョルディ・プジョル氏の親戚にあたり、1989年から州政府の局長を務めていた最古参のスビラ氏は労働力のさらに安い国々へ移転するため多くの会社がカタルニャを捨てていくのを食い止められなかった(例:セアット社)ため解任、リウス氏の任期中には常に病院では順番待ちの長いリストが途切れることがなかったし、グアルディア氏の任期中には囚人の脱走が多発していた。
ジョルディ・プジョ−ル氏は、昨日、今回の改編が選挙戦準備の性格を備え、マス氏の支持を固めるものであることを隠さなかった。その一方で、氏は今回の組織編成は2年前にCDC(カタルニャ集中民主党)とUDC(統一民主党)の同盟から始まったCiUの改革の一端であるとし、また彼の役目が徐々に表面的なものになってきていることを認めた。マス氏、プジョール氏とともに今回の改編を担ったUDCのジョセップ・アントニ・ドゥラン・ジェイダ氏も「我々は、我々の知事候補が地方選挙で勝てるために必要なことすべてを行っている。マス氏が将来を見据えたプランを立てられる環境を整えることを必要としていたのは明らかであった。」と述べている。
プジョール氏は今回の改編を“非日常的”で“将来のためのプロジェクト”と定義、非難の的になっていた局長を解任したというのは誤りであると述べた。「一番非難の的となっているのは私だが、今のところまだ私は解任されていない。」とプジョール知事は皮肉に答えた。マス氏の新しいスタイルは新州政府にのみ影響を及ぼしているのではない。マス氏はカタルニャ州議会にも、今回の改編について説明するための出席を申請しており、プジョール氏はこれまで自主的に一度もこのようなことはしたことがなかった。

治安警備隊、同性愛カップルの宿舎同居を認める

治安警備隊のサンティアゴ・ロペス・バルディビエルソ長官は、昨日公式文書により、ただちに治安警備隊の規則を“宿舎の使用を同性愛者、異性愛者に関係なく、すべての安定した関係を持つカップルに認める”よう改正することを発表し、これは各社会団体、政党から喝采で迎えられた。
ロペス・バルディビエルソ長官は一存で規則の改正をできる権限を持っている。ビラフランカ(マジョルカ)の同性愛者の治安警備隊員が恋人との宿舎での同居を求めたため起きた今回の論争に決着がつけられるのは憲法裁判所になる見通しが強かった中、長官は昨日この決定を下した。
改正が発表されたからといはいえ、このビラフランカの治安警備隊員が恋人と実際に宿舎に住めるようになるかはまだわからない。彼自身、公式に申請書をいまだに提出していず、今後、その申請書を審査し、申請に必要な条件を満たしているか、また宿舎に空きがあるか、彼より宿舎に住む必要性のある申請者がいないかどうかを調べた結果、最終的に彼が宿舎に住めるかどうかが決まる。彼の代理人によると、申請書は今日にも提出される予定で、精神的理由により先週の金曜日から休職しているこの治安警備隊員は、彼の恋人が宿舎から30キロ離れたジュクマホールに住んでいるため、2人が関係を保つのが困難になっていると述べていた。
いずれにせよ、今回の決定は社会全般に満足を持って迎えられている。「社会全般に今後、この現象を広めていかなければならない」「やっと、同性愛カップルの権利が認められ始めた。」「治安警備隊は、人類の問題への回答例を即座に出した。」などの意見が各政党から聞かれたほか、同性愛者支持団体も、今回の対応の速さに満足を示した。しかしながら、国立ゲイ・レスビアン協会(FELG)は、議論が起こればその時対応するという継ぎあて式対応しかとっておらず、組織が正面から問題に立ち向かっていないことを指摘。「今、しなければならないのは、すべての国民に完全な平等性を与え、ゲイとレスビアンにも結婚と養子の権利を認めることです。」と同協会のベアトリス・ヒメノさんは述べている。


11月4日(月)

PSOEの人気躍進

10月28日から29日にかけてエル・パイス紙の依頼でOpina協会が電話によるアンケートを行い、今度の総選挙でPSOE(社労党)に投票すると答えた人が、PP(国民党)に投票すると答えた人と同じ41%との結果が出た。これによると、PSOEは今度の総選挙で前回より7%得票数を増やし、PPは4%失うことになる。しかし、PPが支持率を下げている理由の一つにはアスナル首相の後継者がまだ発表されていないことが考えられているため、状況は予断を許さない。
IU(統一左翼)は9月の調査時4.5%からわずかに支持率を上げ5.2%、CiU(カタルニャ同盟)、PNV(バスク民族党)も支持率をわずかながら上げ、それぞれ4%、1.7%との結果となっている。
Opina協会の分析によるとPSOEは過去の支持者を取り戻すことに成功、また若者とPPの支持者の間にもPSOE支持が広まっていると言う。各政党リーダーへの評価では、及第点を獲得したのは、9月の調査時から0.28ポイント上げたPSOEのロドリゲス・サパテロ書記長(5.56点)だけ。アスナル首相への評価は、9月の5.14点から4.99点へと下がっている。
スペインでの国民の考え方は9月の時点より、若干悲観的になっていることもこの調査から明らかになった。これによると、現行政府の行政への評価は4.85点で9月の5.03点より低くなっている上、与党PP自体への評価も及第点には届かない4.91点となっているが、一方のPSOEは5.38点とかろうじて合格ラインを維持している。
また、このアンケートによると、国民の懸念は引き続き、失業(58%)、テロ(47.3%)、移民(23.1%)、犯罪(14.5%)となっている。

諸聖人の日の連休で35人が交通事故死

木曜日の午後3時から昨日午後8時までに届けがあった交通事故による死者の数は35人、41人が負傷したことが交通総合局の発表により明らかになった。41人の負傷者のうち22人は重傷、19人は軽傷。届け出があった死亡事故数は4日間で30件。昨日は、連休の休暇帰りの車の渋滞が特にマドリッド、バルセロナへ向かう各地の高速道路で見られた。

同性愛者の治安警備隊員、鬱症状により休職

恋人と宿舎に住むことを希望していたビラフランカ(マジョルカ)の同性愛者の治安警備隊員が、先週金曜日から鬱状態により休職している。彼の希望が公になったことにより国中から注目が集まり、心理的プレッシャーを受けたためだという。この治安警備隊員は今日か明日にも正式に司令部に同居の申請を出すという。
この治安警備隊員の身元は明らかにされていないが、4人の弁護士と治安警備隊総合協会の助言を受けており、弁護士たちが総合規則第54条を詳細に研究した結果、この治安警備隊員は同居の権利があるという。このカップルは数年に渡り安定した関係を続けているカップルで、バレアレス州にも事実上カップルであると登録されている。
この弁護士団が詳細に事態を検証した結果、この申請に関して決定権を持つのは中隊長で、治安警備隊員が直接申請書を渡すことになっており、総合規則では異性愛者の同居しか認められていないとして隊長がこの申請を却下した場合は、治安警備隊バレアレス部隊のクリストバル・サンタンドレウ大佐に提訴するという。さらに大佐も却下した場合は、この治安警備隊員と弁護団はバレアレス州最高裁判所に訴え出る用意があるといい、弁護団は裁判所の判決では勝訴する可能性が高いと見ているが、もしここでも勝訴できない場合は最終的に憲法裁判所に提訴するという。
これまでにも治安警備隊内では、同性愛者の隊員から恋人との同居について何件もの問い合わせがあったものの、上層部に訴え出るという手段に踏み切った隊員はこの隊員が初めて。治安警備隊総合協会は、この申請があるということは、同性愛者受け入れに対する社会的需要があることを示しており、治安警備隊も変革するべきだとしているが、治安警備隊内では、上層部は総合規則では異性愛者カップルの同居しか認められていないとして、申請を却下するであろうとの見通しが強い。
憲法裁判所はいかなる人間も性嗜好により差別を受けることは許されないとしている上、ゲイとレスビアンの団体であるコレガス協会もこの治安警備隊員への全面的支持を表明している。またこの協会は、治安警備隊総合協会と共に、治安警備隊員とその家族が宿舎以外の場所に住めるよう政府が経済的援助を行うPSOEの案を支持している。両協会とも治安警備隊員の給料が低いため、彼らが常に人の出入りを監視しているプライバシーのない宿舎に住むことを余儀なくされている現状を厳しく非難している。

週末のスポーツの結果

バイク:バレンシア・グランプリ、125CCでダニエル・ペドロサ選手が優勝、3位でパブロ・ニエト選手がゴールしたほか、250CCではフォンシ・ニエト選手が8周目で転倒、トニ・エリアス選手はエンジントラブルによりリタイアし、イタリアのマルコ・メランドリ選手がまたしても優勝を飾ったが、スペインのエミリオ・アルサモラ選手が3位と健闘、スペイン勢の活躍が目立った大会となった。
テニス:フェデレーション・カップ女子決勝、スペインはスロバキアに通算成績3−1で敗れた。コンチ−タ・マルティネス選手が3時間18分にわたる試合の末、6−7、7−5、6−4でスロバキアのダニエラ・ハンチュコバ選手に敗れ、チーム成績が2−1となった後、ジャネット・フサロバ選手とアランチャ・サンチェス選手のシングルスの試合が行われた。右太ももの負傷をおして出場したサンチェス選手に過去の輝きはなく、またこの試合中サンチェス選手に観客から野次が飛び、これによりサンチェス選手が泣いたため、試合が数分にわたって中断されるというハプニングがあった。この精神的動揺の影響もあり彼女は試合時間1時間1分で6ー0、6−1で敗れ去り、スペインの敗北が決定的となった。サンチェス選手がコートで涙を見せたのは、1989年に全仏オープンで優勝してグランドスラム初優勝を飾った時以来。
ラリー:オーストラリア・ラリー、フィンランドのマーカス・グロンホルム選手が優勝。スペインのカルロス・サインス選手は4位。総合成績でも現在4位となっている。


11月1日(金)

今日は諸聖人の日の祝日のため、ニュースはお休みです。




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