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10月31日(水)

中央政府、ヘスカルテラ問題特別調査委員会を無理やり打切りとすることを決定

昨日、中央政府は野党からの反対にもかかわらず、ヘスカルテラ社に関する国会特別調査委員会の打切り宣言を行い、採決の結果賛成多数により承認された。2ヶ月にわたって行われ、50人の証言をとったこの委員会の最終日は来週水曜日に設定され、各グループ独自の結論を提出することとなった。
中央政府ではラト経済大臣、モントーロ大蔵大臣が調査委員会に召喚され野党から厳しく追及されてきたが、同社との癒着に関しての明白な証拠が示されなかったことを機会に、これ以上調査を進めることは得策ではないとの見方から一気に打切りという策に出たもよう。
PSOEではこの決定に対して、さらなる調査は証券マーケット委員会(CNMV)に及んだスキャンダルが税務局やスペイン銀行にまで飛び火し、不正が発覚する可能性があり、それを嫌った政府がくさいものにふたをしたと批判している。

スペインとモロッコの関係悪化、両国の首脳会談延期

先週末に突然在西モロッコ大使を本国へ召還したことに関して、依然としてモロッコ政府から満足な説明を受けていないスペインでは、昨日在モロッコスペイン副大使がモロッコ外務省をたずね公式回答を要請した。しかしながら、同省ヨーロッパ局では明らかな理由を提示しなかっただけでなく、12月のラマダン明けに予定されていた両国首脳会談の延期を一方的に通告してきた。
これにより、両国では新たに会談の日程を設定する必要が出てきたが、スペインでは来年からEUの議長国となり、首相及び大臣自らがEUの会議に出席することとなり過密日程が予想されている。そのため、会談の日程を調整するのが大変難しくなってきている。 さらに、モロッコ政府では明日からモハメッド6世が西サハラへの初訪問を予定しているが、それに随行する報道関係者からスペイン記者を排除し、その地での取材活動をしていたスペイン人記者を追い出すといった強攻策をとっている。

ヘストーラ・プロ・アムニスティアのメンバー13人、ETAへの所属容疑で逮捕

本日午前2時過ぎ、コティーノ警察庁長官及びガルソン全国管区裁判所判事が中心となり、国家情報局の捜査に基づき、国家警察官200人を投入し、ヘストーラ・プロ・アムニスティアのメンバー13人を逮捕した。
この団体は刑務所に収監されているETAのメンバー及びその家族を支援し、全国の刑務所に散らばっているメンバーをバスク州にある刑務所に収監するよう要求しており、ETAというテロ集団の一画をなすものとみなされている。逮捕された13人は同団体の幹部でほとんどがバタスナ党(急進的民族主義政党)に所属していた。逮捕理由はテロ集団(ETA)への所属容疑。
この一斉捜査、逮捕は4つの州で同時に行われ、様々な書類、情報、コンピューターが押収されている。

スペイン人の消費項目のトップは住宅

昨日、国立消費研究所が発表したスペイン人の年間の消費分布によると、住宅にかかる消費がトップとなっている。1958年には消費の半分以上を占めてトップに君臨していた食料品にかかる経費が1998年から住宅及びその関連経費へととって代わられた。
現在、住宅及び光熱費にかかる割合は26.9%となっており、食料品は19.2%と落ち込んでいる。80年代から90年代にかけて少しずつ食料品や衣料品にかかる経費が少なくなってきているのに比して、外食や教育、文化、電化製品や健康のためにかける費用が増大してきていることがはっきりしている。
貯蓄項目に関しては1970年に比べ1994年は収入に対する割合が減少しており、地域別に見るとナバーラ、リオハ、テルエルが国平均よりも高いことが判明している。


10月30日(火)

ヘスカルテラ問題の議会調査委員会にラト大臣が召喚される

昨日、ヘスカルテラ問題解明のための議会特別調査委員会にラト経済省大臣兼第2副首相が召喚され、PSOEのロペス・アギラール議員の糾弾をかわし、ヘスカルテラ社との癒着疑惑を払拭した。
ロペス議員はラト大臣の個人企業ムインモ社が、年間取引額1億3千万程度しかなく5億4500万ペセタの負債を抱えているにもかかわらず、ヘスカルテラ社唯一の取引銀行HSBC(Hong Kong Shanghai Bank Corporation)から5億2500万ペセタの3年融資を受けていたことに対して疑問を投げかけた。ラト大臣は、個人及び自社への特別利率での融資を受けたという事実は絶対にない、と同銀行及びヘスカルテラ社との特別な関係を否定。
また、同首相は政治的にはエンリケ・ヒメネス大蔵省次官とビラール・バリエンテCNMV委員長が辞任したことで責任は果たしている、と結論付けた。

エアヨーロッパ、10%の人員削減、9ルートの廃止

米国同時多発テロ後、航空業界を襲っている深刻な経営危機問題はスペインの航空各社にも及んでいるが、イベリア航空に続きエアヨーロッパ社でも人員削減及び地方ルートの廃止、レンタル航空機の返却を決定した。
エアヨーロッパ社を筆頭とするグループ企業での人員削減総数は450人に上ると見られ、パイロット、スチュワーデスなどの乗務員、地上職員、整備関係全てが対象となる。また、マドリード発着の6ルートを始めとする9ルートが本日より即時廃止される。この措置に対して民間航空取締り局では、オペレーション停止の際には2ヶ月の猶予を要するという規定に基づき、即時廃止に対する罰則の適用対象になるかどうかの検討に入る。
さらに、子会社のエア・ヨーロッパ・エクスプレス社はブリティッシュ・エアスペース社からレンタル中のターボプロペラ機17機を返却、これにより同社のパイロット197人が職を失うこととなるという。

ユーロ導入を前にブラックマネーによる不動産投資が活発化

2002年のユーロ通貨導入を前に、ブラックマネーによる投資が活発化しているが、BBVA調査サービスによると、96億ユーロと推定される投資のうちの3分の2が不動産へ流れているという。
今年は90万件の不動産売買が見込まれているが、それも来年になれば実情にそった67万5千件程度に落ち着くであろうとされる。スペイン経済の落ち込みとは関係のない"ユーロ効果"による不動産業界の活況は平均して14%の値上がりを示しており、全国平均の1u当たりの値段は171430ペセタとなっている。
来年度の見通しでは、市場に出回る物件が本年度比25%減の37万5千軒、また、家族当たりの収入の伸び悩み、株式、投資市場の低迷などもあいまって、住宅購入需要が下降線を描くことは間違いないものとされる。
スペイン人の平均的な家庭での住宅購入金額の上限は1400万ペセタ程度とされるが、市場に出回る不動産の平均価格との開きが大きくなってきていることも指摘されている。しかし、今年から来年にかけて住宅ローンの利率が下がり、上限金額が上がることで住宅購入に拍車がかかるということも考えられるという。


10月29日(月)

在西モロッコ大使に突然の無期限本国召還命令

先週末、在西モロッコ大使が突然の本国召還命令を受け、昨夜マドリードを後にした。
アブデサラム・バラカ大使のモロッコ帰還は無期限のものであるといい、この事実を報道機関から知らされたスペイン外務省及びピケ外相は状況確認に追われている。
モロッコ側ははっきりとした理由を示していないが、バラカ大使は「ここ数ヶ月間に生じた全ての事柄の積み重ねであり、移民、麻薬の密輸問題に関してモロッコが不当に悪者とされた。われわれの関係を見直し、はっきりとさせる時期が来たと考える」とコメントしている。
両国の関係は今夏より、EUの漁業問題、移民問題に絡んで双方が責任の所在を押し付け合い、攻撃するなど緊張が高まっていたが、今月初めにピケ外相、18日にナダル外務次官がラバトを訪れたことで両国の関係改善がなされたものと考えられていた。

アスナル首相、イバレチェ・バスク州首長の狂信性を糾弾

昨日、アスナル首相はカスティージャ・ラ・マンチでのPP集会において、バスク地方及びPNVの要求とテロリズムに関しての見解を表明した。
同首相は、テロリズムは話し合いの余地はなく、国家として撲滅すべきものである、とし、ETAはヨーロッパでも最後に残された最も狂信的で残虐かつおろかな集団であると述べた。さらに、バスク地方の自決権を求めるイバレチェ首長及び与党PNVアルサジュス党首に対し、狂信的なまでの憲法、自治法の否定はバスク州民をがけっぷちに立たせているに等しい、と批判。
さらに、北アイルランドの和平と同様の方式をバスクにも取り入れるべきだとの意見に関し、バスクと北アイルランドは比較にならない、と断言。もともと、バスク地方は全てを手にしており、北アイルランドは何も持っていない状態であったと説明。英国政府はIRAが武器を捨てるまでは自治権を取り上げ、特別な大臣を北アイルランドにおいていることを忘れてはならない、と強調した。

マラソンのアベル・アントン、マルティン・フィス、プロ生活から引退

昨日マドリードで行われた「ミレニアム・マラソン」はこれまでマラソン界のトップに君臨していたアベル・アントンとマルティン・フィスのプロ引退レースとなった。
両者とも入賞を目指し、トップ集団につけていたが、アントンは23キロ地点でフィスは30キロ地点で遅れ始め、結局、アントンが17位、フィスが11位で終わった。優勝はイタリア人のステファノ・バルディーニでタイムは2時間9分59秒。
アントンは、途中、足がつり、ストレッチをしなければならないほどの状態となったが完走、今までのレースを振り返り、「99年のセビージャでの優勝レースが一番思い出深い。」コメント。
フィスは「今までのレースの中で一番きつかった。これからは一般人としてマラソンを楽しむよ。」と話し、家族や応援してくれた人達へ感謝の意をあらわした。


10月26日(金)

イバレチェ首長、バスク自決権を認める新たな自治法制定に向けて特別審議会の創設

昨日、バスク地方議会においてイバレチェ首長は現在の自治法であるゲルニカ協定を改正し、バスクの自決権を認める新たな協定の制定を求め、特別審議会の創設を提案、36票の賛成票を得、承認された。
同首長は、現在の自治法がすでに合意点からそれ、同意できない要素となってきているため、現在の自治をより深く掘り下げ、憲法及び現自治法を廃止する方向で新たな協定を望むと説明。バスクはスペイン国家に従属する一地域ではない、と言明、複数国家の一つとして同等の権利を要求するとした。
これに対し、野党PP及びPSEからは厳しい反論が出された。PPのマジョール・オレハ氏は、そのような考え方は早急に捨てるようにとすすめるとともに、国家に怒りまくっている地方の代議士にしかみえないと攻撃。PSEのレドンド氏も自決権獲得が平和をもたらす、というのは詭弁であると断言し、バスクの取る道は自決権をもつことではなく自治を追及していくものであり、独立を求めるのではなくスペイン及びヨーロッパの中での連邦主義を主張することである、と訴えた。

70万人の生徒が修了認定試験導入に反対してストライキ

昨日、政府主導の教育改革案に反対して、全国の公立高等学校(普通高校、職業訓練校、専門学校など)の3分の1にあたる70万人の生徒たちが一斉にストライキを行った。それと並行して、学生連盟主導によって全国4万人の生徒たちが抗議のデモを行った。
マドリードでは4000人(警察発表)、バルセロナでは3500人、バレンシアでは6000人の生徒がデモに参加、PP中央政府が導入しようとしている、高校の修了認定試験を義務付け、全国一斉選抜試験を廃止、大学独自の入学試験の実施に反対の意思表明をした。特に、高校生の中では修了認定試験への反発が強い。
デモは警察の厳重な警戒の元におこなわれ、穏やかな抗議行動となったが、マドリードではこの機会に便乗しようとしたアナーキストたちが卵や石などを投げつけ混乱を引き起こし、6人が逮捕されている。

コロンビア人、エクアドル人を対象とした犯罪警戒策が差別にあたると批判続出

コロンビア人同士の殺人事件や強盗事件などの犯罪が増加していることを受けて、警察当局では「ルデコ作戦」と称する、コロンビア人、エクアドル人を対象とした特別警戒策の実施を各署に通達したことに対して、人権擁護団体、NGO、野党などから人種差別にあたるという批判が続出している。
この作戦はスペイン国内に居住している15万7千人といわれる両国出身者全てを対象としており、犯罪歴の有無にかかわらず、身元の確認や個人情報を収集、両国の大使館にも協力を求め、居住労働許可証の発行や国外退去処分命令を下す際の参考にもできるような資料を作成すると言うもの。
すべての批判は、特定の国籍を持つものを対象としたこの措置は人種差別、外国人排斥につながり、基本的人権を踏みにじり、民主主義をないがしろにするもの、と言う点で一致している。人権擁護団体では警察及び内務省に、この作戦の即時撤回を申し入れるとともに、法的手段に訴えることも考えていると話す。
一方、警察当局ではこのような作戦実施に至った経緯について、コロンビア、エクアドルの警察当局との会合により、コロンビア人による凶悪犯罪の増加やエクアドル人による身分証明書偽造が激増している現状をみて、この2カ国を対象としたと説明。また、この内部指示書は外国人法にのっとったものであり、特定の国民を犯罪者扱いするわけではない、と付け加えた。 


10月25日(木)

PSOE、公的機関人事刷新リスト問題に関して態度を軟化

今月初めに公的3機関の人事刷新についてPP、PSOE間で基本的合意が成立した後に、ラト大臣のPSOE攻撃が原因となって合意が棚上げとなっていた件に関し、PPのアレナス幹事長がとりなし、ラト大臣が折れるかたちで両党の関係をおさめ、PSOEの態度を軟化させるに至った。
問題の発端となっていた国家エネルギー委員会の委員長にハイメ・ゴンサレス氏を任命することにつき、ラト大臣の「PSOEの脅迫によるもの」という前言を撤回し、「この職にふさわしい能力を持つ人物」という理由による決定であることを、アレナス幹事長が国会にてはっきりさせこの問題にけりをつけた。
サパテロ幹事長はPPの判断を非常に満足のできるものであるとし、人事刷新問題についての交渉が真剣かつ真摯なものであることを言いつづけてきたが、PPからもそれをうかがうことができた、とコメント。また、PSOEのカルデラ議会スポークスマンはラト大臣が失言を認め、国会に謝罪を申し入れたことを評価したが、ラト大臣は公式の場には現れず、同大臣の尻拭いはすべて党が代わりに行った。

雇用側と労組の労働協約締結に向けて急発進

昨日、雇用者連合CEOE及び労働団体CCOO、UGTトップが緊急会議を開き、中央政府経済省、労働省大臣を前に17年ぶりの労働協約締結に向けての話し合いを進めていくことを明らかにし、政府には一方的に労働改革案を導入することのないよう、要求した。
両者は2002年発効を念頭におき交渉に入るとし、雇用の安定、給与体系の向上をめざす大規模な協約の青写真を11月頃までには作成したいという意向をもつ。これにより、中央政府は閣僚会議で話し合われていた政府主導の労働協約の導入を一旦棚上げとすることを約束させられたかたちとなった。

健康に及ぼす影響を考え携帯電話のアンテナ設置に規制

携帯電話の普及に伴い、そのアンテナも急速に増加している現状で、各地の住民からアンテナの設置後から急に体調が思わしくなくなった、とか学校の周囲にアンテナが多すぎることが問題であるなどとの苦情が多く寄せられてきている。このような状況の中で、科学技術省では先月28日に住民の健康を保護するための政令を発令、アンテナ新設や移動に関する規制について定めた。
実際にはアンテナの発する電波が人々の健康にどのような影響を及ぼすか、どの程度の電波までは許容されるかなどについて具体的な数値は不明だが、1999年にEUで定められた同種の法律を踏まえるかたちで制限を設けている。常時人々が集まる場所へのアンテナの新設には電波の量に規制を設け毎日の点検を義務付ける。すでに設置されており、規制を超えるものについては9ヶ月の期間をもって、基準に合わせるよう指導していく。
テレコミュニケーション技術者団体の提出した調査書には、現在のところ上限レベルに達しているところはないと確認されており、この法令の施行により安全性が保証されたことになる、と説明している。
この規制を徹底し、アンテナが害を及ぼさないことを知らしめることは、住民の無用な不安と拒否反応を取り除くことができると説明する。


10月24日(水)

2002年度予算案に関する根本的修正を求める野党の提案、否決される

現在国会にて討議されている2002年度予算案に関し、野党各党から提出されている根本的な修正案が昨日、否決された。
国会討論ではクリストバル・モントーロ大蔵大臣とPSOEの財務担当次官ジョルディ・セビージャ氏が現在の経済危機に関しての異なる見解を繰り広げた。モントーロ蔵相は、赤字ゼロ政策を追及していく姿勢を崩すことなく、バランスの取れた予算計画によって不透明な経済状況をのりきることが必要であると主張。企業における投資の優遇措置など税制の手直しをすることで経済成長を促進、雇用の維持創設を可能にすると説明。
それに対し、セビージャ氏は消費を掘り起こし、経済を活性化させるような政策をとる必要があるとし、政府の提唱する2003年度からの減税措置の前倒しをも視野に入れ、それが不可能な場合は少なくとも所得税率の改訂に手をつけるよう要求。

ヨーロッパ委員会サンタナ・モーターへの地方公的資金導入を承認

昨日、ヨーロッパ委員会ではスペインのハエンにある「サンタナ・モーター社」へのアンダルシア州政府の資金援助は合法であるとの結論を下した。
1999年に、同社の立て直しのために導入されていた州政府の公的資金について検討していたEUでは同社の収益の見通しが良好なことは資金導入を正当化する十分な要素になると判断。しかしながら、州政府が予定していた1000万ユーロの導入のうち868万ユーロのみを認めることとし、今後もこの援助が独占禁止法にふれることがないかどうかを見守っていくことを確認した。
同社は前オーナーの時代からスズキのライセンスを持つ自動車の製造、組み立て、販売業務を担っており、経営危機に陥った後、アンダルシア州勧業公社(IFA)の子会社となり、州政府の後ろ盾を得た。
同社労組では合法と承認されたことを評価しながらも、援助に制限が加えられたことに不満を漏らしている。

中央政府、来年度の外国人労働者受け入れ枠ゼロを検討

中央政府内務省では、2002年度の新たな外国人労働者の受け入れをゼロとすることを見当し始めている。
毎年、内務省では決まった数の居住労働許可証を外国人労働者に付与してきたが、今年行った20万人以上を対象とした大規模な特別合法化手続きが遅々として進んでおらず、雇用する側が労働者を必要としていないため、来年度は定数枠をゼロとして次年度に見送る可能性もありうると説明する。
大手労働団体CCOOやUGTでも現実に沿った外国人労働者受け入れを行うべきであるとの考えをもち、特別合法化手続きを促進、すべて解決してから、実際に必要とされる労働者数を把握する必要があるだろう、と話す。
雇用者団体でもおおむね同様の意見をもっているが、業種によっては今回合法化された外国人労働者ではまかなえない職もあるだろうとの見方から、定数枠ゼロと決めてしまうのではなく、可能性を残しておく方がよいのではないか、とコメントしている。


10月23日(火)

巨大銀行、経済の冷え込みに経営計画変更を余儀なくさせられる

スペインの巨大銀行、サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行(SCH)とビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)の2行は、9月11日の米国同時多発テロ以降急速に冷え込んだ経済によって年初にたてていた収益予想計画が狂い、経営計画の変更を余儀なくさせられている状態となっている。
SCHでは「DOS計画」と題した2002−2003年までの中期計画においては株式による20%の増収を見こみ、2003年には42億ユーロの収益をあげる予定となっていた。また、BBVAでも「CREA計画」と呼ばれる2002年までの方針では利益追求のみならず、経費節減や資本の充実などを図っており、24%以上の収益率を獲得する予定でいた。両行ともテロ以前の経営が順調であったため年間を通しての収益率が大幅にダウンするほどではないと楽観視しているものの、長期展望にたった南米諸国への展開などについては足踏み状態とならざるを得ない状況である。
最終四半期における世界及びスペインの経済の行方いかんによって20%と見こんだ収益率を割る可能性も出てきており、来年度に至っては10%台となるだろうと分析されている。

郵便局で炭疽菌対策のためのマスクと手袋を用意

米国で発生している炭疽菌が原因とみられる郵便局員の死亡が報告されていることに関し、スペインの郵便局でも局員の安全確保のために早急な予防措置を講じ、その対策を各局に通知している。その一つとしてマスク及び手袋を用意し、有事の際に使用できることを労組へ伝えている。
郵便局労働団体であるUGTでは、郵便局のすすめる予防措置は現段階では適切なものである、と評価、戦争当時国である米国と同盟国であるスペインでは自ずと対策も違ってくることを指摘、過剰なまでの警戒によって公共サービスを麻痺させてしまうことはできない、とコメントしている。
また、郵便局では、郵便物の取り扱いに関して、中身が柔らかく一方に傾いているもの、炭疽菌、戦争、米国などの書きこみがしてあるものに注意し、郵便物が破損し内容物が白い粉である場合などは即座にビニール袋などに入れ人の近づかない場所に保管、手を洗ったりシャワーを浴びたりすること、などと指示を与えている。

ドメスティック・バイオレンスの訴えが7%増加

昨日、上院下院で構成する家庭内暴力、虐待撲滅を目指す対策委員会において、フアン・コティーノ警察庁長官とサンティアゴ・ロペス治安警察隊長官が出席、最近の傾向及びデータを報告した。
コティーノ長官は今年1月から9月までの家庭内暴力による死亡者は55人、1999年度より20人ほど減少している、と述べた。この数値については配偶者間や恋人間などでの虐待のみならず、家庭内での全ての暴力被害を網羅しているため、内務省の公式記録(死亡者34人)よりも大幅に上回っている。
また被害届の提出数は軽微なものについては20%増加、殺人などにつながるような重度のものについては12.7%減少し、全体では8月までで16194件となっていることが内務省より発表された。
コティーノ長官は、この手の問題はプライベートなものと考えられ表面に出てきにくい傾向をもつが、訴えが増加したことは、虐待、暴力が家庭内だけの問題ではないと認識されてきているという証拠であろう、と肯定的に受けとめ、虐待撲滅のキャンペーンが功を奏しているとコメントした。
また、ロペス長官も治安警察隊の管轄地域での訴えが増加しているとし、コティーノ長官と同様の意見を述べた。さらには、この問題が警察だけの力で解決できるものではなく、様々な分野からの強力も欠かせないと付け加えた。


10月22日(月)

ガリシア地方選挙、PPが絶対過半数獲得、フラガ知事4期目

昨日行われたガリシア地方選挙は、ガリシア州4県全てをPPがおさえ絶対過半数を獲得した。
6万票あまりの海外移住者票の集計結果は今週水曜日に発表となる予定になっているが、州内の投票率64.2%、開票率100%では75席のうち国民党PPが41席、民族主義政党BNGが17席、社会党PSdeGが17席という結果となった。PPは前回97年よりも議席数を1席減らしたが、圧倒的な強さは相変わらずで、78歳の高齢や後継者不在の心配をよそにマヌエル・フラガ前知事が4期目の当選を果たした。
フラガ知事は「ガリシアはまた1歩前進した、世界情勢の悪化にばかりふりまわされているわけではない」と勝利宣言、PPのアレナス幹事長はフラガ政権の継続に祝福を送るとともに、過激な民族主義が後退したことを評価した。
前回選挙より議席数を1席減らしたBNGのベイラス党首は、「第1の目的を果たすことができなかった」と話し、フラガ氏に対して「トリックを使うようなペテン師の勝利を祝福することはできない」とあくまでも批判的な態度を押し通した。
社会党PSdeGはPP及びBNGが減らした2議席分を前回より増やし、支持を増やした。トウリーニョ代表はこの結果に満足の意を表し、「新たな期待が広がり、われわれこそが真の改革をなしていく者である」とコメント。

マドリードで平和を求め、戦争反対を叫ぶ抗議運動

昨日マドリードの中心、シベーレス広場からソル広場までIUや労働団体UGT、CCOO、人権団体やNGO等が中心となって、米国へのテロ事件及びアフガンへの米国侵攻反対を掲げ、2万5千人が抗議の行進をした。
デモ隊は、即時爆撃中止、軍隊の撤退を求め、"戦争反対"、"平和を"などのプラカードを持ち、行進終了時に、女優であるピラール・バルデムが「ビン・ラデンに関係する団体に属する多くの者はアフガンへのソ連侵攻時に米国の諜報機関がソ連への対抗策として支援、教育してきた者たちである。」とし、「アスナル首相が国際的立場を持って人権や自由をないがしろにすることを正当化することを許せるものではない。」と声明を発表した。

ポンペウ・ファブラ大学、隣接するゲイのディスコ閉鎖を求めて提訴

バルセロナにあるポンペウ・ファブラ大学(UPF)では国鉄フランサ駅の敷地を共有しているゲイが集まるディスコの閉鎖を求めて今一度提訴した。
同大学とディスコは6年前から同じ敷地内にあり、大学という教育の場と遊興の場が隣接することは好ましくないと大学側からすでに裁判に持ち込まれており最高裁まで達している。今年5月には高等裁判所が、市役所の与えたディスコのライセンスが一時的なものであり、恒久的なものでないという理由から閉鎖命令が下されたが、ディスコの所有企業が上訴、最終的な閉鎖にまでいたっていない。
UPFでは、ディスコではアルコールとドラッグが蔓延しており学生の教育に悪影響を与えることは明らかであると理由付け、予防措置としてのディスコの閉鎖を求めている。さらには、"このディスコに集まる人々がホモセクシュアルや女装趣味の傾向のあることは、社会規範のモデルとして人格形成期の青少年に見せることは好ましいことではない"とまで指摘している。
しかし、大学の顧問弁護士からは、ホモセクシュアルなどの性的嗜好を問題にしているというよりは、警察、付近住民にも認められているようにドラッグの使用が問題となっている、と補足されている。
ディスコの所有者は、同大学の新学長との話し合いを求めており、公式なコメントは控えている。


10月19日(金)

カスティージャ・ラ・マンチャ州知事、選挙リストは男女同数とする法改正を提案

カスティージャ・ラ・マンチャ州のホセ・ボノ州知事は、昨日州議会で討論されている同州のこれからのあり方について、60の具体的政策を発表した。
その中でも、同知事が強力に推し進めようとする策として、地方政府における選挙候補者リストを男女同数に義務付けるという案があげられている。同知事は、「男女同数を保証しないような候補リストは受けつけられないような法を制定すべきである」と述べ、州法改正だけではなく、国の選管法をも同様に改訂されるよう来週にも議会へ具申する予定としている。
PSOEが政権をとる同州では、昨年、スペインの州で唯一ドメスティックバイオレンス予防としてそれにより有罪となった加害者名を公表することも可とする画期的な法を承認し、実質的な男女同権を推進することに積極的に取り組んできている。
また、育児休暇を申請した男性には15万ペセタの助成金を支給、若年層の住宅購入の際に販売額の22%までを援助するなどの提案を行っている。

国勢調査来週から開始、居住許可を持たない外国人も対象に

国家統計局(INE)によって10年に1度行われている国勢調査が来週から始まる。今回の調査は移民団体などの協力も得て、合法不法を問わず国内に居住している外国人をも調査対象とし、正確な人口動静を把握、福祉計画やインフラ整備のための基礎データとして役立てる目的をもつ。また、全国に600あるといわれる保護施設などにも調査員を派遣する。
さらに今回の調査では新たな家族形態に関しての項目も増やされ、直接的な質問はないものの事実婚や同性のカップルがどの程度存在するのかについても調査分析が行われることになった。もちろんこれら全ての個人情報は法律によって公開することが禁じられているため、データが流出することはない、とINEでは強調している。
今回の調査にあたる人員は45000人、費用は270億ペセタとなっている。


10月18日(木)

コマンド・ドノスティのメンバー逮捕される

昨日未明、国家警察によってETAの"コマンド・ドノスティ"のメンバー及び協力者7人がビスカヤ県及びギプスコア県の3つの市で逮捕された。
逮捕されたメンバーは今年に入ってからマラガやマドリードの空港を始めとして4つの爆弾テロを実行、複数のテロ殺人を行ったという疑いがもたれている。メンバーのうちルイス・マリニェラレナとロベルト・レブレロは直接の活動家であり、前者はそれ以前"コマンド・イルレン"に所属、昨年ビトリアでフェルナンド・ブエサ氏とその護衛官を殺害した主犯と、後者は多数の銀行支店の焼討ちを計画実行した首謀者と考えられている。
この一斉検挙に伴うメンバーの家宅捜査によって、4丁のピストルやサブライフル、64キロのダイナマイト、発火装置、時限装置に改造された携帯電話などが発見され、さらには、アスコイティア市の市議(急進派民族主義政党バタスナ所属で今回逮捕)宅のガレージから爆発物を設置し偽造ナンバープレートがつけられたすぐにも爆弾テロとして使用できるようになっていた盗難車が見つかっている。
ラホイ内相はバタスナの市議が逮捕されたことにつき、「ETAとそれを支持するものは全て同じである」とし、「バタスナは、人を殺し人々の生活や自由を脅かす政治家や支援者を抱えている」と、合法団体であってもテロリスト集団リストに含めようとするアスナル首相の考えを支えるコメントを発した。

厚生省、バイオチップ研究への研究予算を再び削減

マリアノ・バルバシッド所長率いる国立腫瘍学研究センター(CNIO)では政府の肝いりで最新のバイオ医学の研究を進めているが、それに必要とされる研究予算が昨年に引き続き大幅に削減される危機にみまわれている。
CNIOでは各腫瘍の遺伝情報を正確に分析し、有効な治療方法を確立するのに役立つバイオチップの製造、使用を進めている。米国では1回に使う3つのバイオチップが約50万ペセタと高額であるのに対し、CNIOでは6万ペセタほどで製造可能であり、さらにはそのコストを10分の1程度まで落とすことも視野に入っている。
この研究を早急に進めていくためには、35億9200万ペセタの予算が必要であるとバルバシッド所長は訴えていたが、厚生省ではCNIOへの予算割当てを24億ペセタとし、その削減部分の穴埋めに関しては何も策を講じていない。厚生省では昨年度に続き、製薬会社から研究費用補助の目的での寄付を得ることで不足分を補うことを考えているが、昨年度も寄付金の一部しかCNIOへ回さなかったこともあり、12億ペセタすべてをカバーすることは不可能であるだろうという見方が強い。
CNIOではこれから3年間で多数のガン患者のサンプルを分析し、公的医療機関での治験なども行い、徐々に公共医療の一部として組み込まれるようになる予定となっている。


10月17日(水)

アスナル首相、テロ集団のリストに合法団体までも含める可能性を示唆

昨日、アスナル首相はEUのテロ対策を念頭に置いた上で、スペイン国内にある合法団体に関してもテロ集団リストに含める可能性があることを示唆した。
同首相は、テロリストを匿い、支援し、資金を供与していると考えられる全ての団体をリストに含めることもありうる、とマドリードを訪問中のメキシコ大統領を伴っての共同記者会見上で明らかにしたもの。アスナル首相はEUが、リストを作成する際にテロリスト集団だけでなくそれを支持する団体をも含めるとした決定に追随するものである、と説明。
この政府見解に関し、経済省、内務省では合法団体に対する資産凍結などを法的見地からみて可能であるかどうかを検討し始めている。EUでは資金源を断つことがテロ対策の有効手段であるとして、各国におけるリストにあがっているテロ集団の銀行データの交換や凍結措置を徹底していく方針をたてている。
国内最大のテロ集団であるETAを支援する団体は限りなく違法に近いETAの若年組織であるSEGIやETAを法的に支援する"ヘストーラス・プロ・アムニスティア"から、合法的政党として議員を輩出し、公的な助成金を受けているバタスナ(急進的民族主義政党HBが改称)までさまざまであるため、即座に答えの出る問題ではない。バスク議会のイマス広報官は、「民主主義において、口座差し押さえなどの措置をとることができるのは政府ではなく司法である」と首相の考えにはっきりと反対を唱え、PSOEではテロ対策協定に承認されるものでなければならないという考えを明らかにし、同首相には"慎重な"検討を望むとした。

諜報活動の許可を与える専門の裁判官を設置することを検討

国家諜報機関CESIDがその管轄と名称を変更したことに伴い、今後の諜報活動に関する規定を取り決めるための草案が司法審議会(CGPJ)より今月24日に国会へ提出される。
この草案には、国家情報センター(CNI)が諜報活動を行う際には最高裁の専任裁判官による許可を得ること、そのためには専任裁判官をCGPJが任命することが記されている。
諜報員が電話の盗聴やその装置の設置、電子通信の傍受などを必要とする場合にCNIの長官名により文書にて裁判官へ申請しなければならない。申請書にはその目的、理由、対象となる人物など詳細に記入する必要がある。裁判官は72時間以内に申請に対する許可不許可を決定しなければならず、緊急の場合には24時間以内という時間制限が設けられる。
諜報活動の期間に関しては電話の傍受は3ヶ月以内(延長可)とされ、屋内への侵入は24時間と規定される。
専任裁判官は最高裁の裁判長と同様に、3年以上の経験を要し、5年間の任期をもってCGPJより任命される。


10月16日(火)

ヨーロッパのトラック運転手、労働条件改善を求めて国境を封鎖

昨日、ヨーロッパ輸送労働者連盟(ELF)が中心となり、EU各国で働く大型トラック運転手たちが労働条件改善を求めて国境を封鎖するという抗議行動に出た。これは本日、ルクセンブルグで行われるEU各国の運輸大臣を集めての会議を見すえてのもの。
連盟では、条件改善の第1に荷の輸送にかける時間を長くすることを求めており、道路の整備や休憩所を増やすことを具体的に提案している。フランスの労働団体ではトラック運転手の過酷な労働条件、労働時間によって昨年の死亡者は前年比10%増の120人にものぼっていると訴え、1997年から何の改善もされていない、と不満を述べている。
スペインのトラック運転手の週当たり労働時間は、実質的な運転時間と荷の上げ下ろし時間が40時間、強制待機時間20時間、計60時間と定められているが、労働団体CCOOではそれを総計48時間まで減らすことを要求している。
トラック運転手の国境封鎖による影響はそれほど大きくなかったが、イルン−エンダイヤの西仏国境で4キロの渋滞、ジローナのジョンケラでも同じく4キロの渋滞が記録された。

厚生省、バクスター社製の血液透析フィルターの回収を命ずる

先週末に、クロアチアにおいてバクスター社製の透析機器を使用した血液透析患者21人が死亡したという事実が発覚したことで、スペイン厚生省では同社製の死亡原因の可能性となりうる同じ製品番号のフィルターの撤収命令を下した。
スペインでは8月に血液透析患者が相次いで10人死亡したことで血液透析機器自体に問題があったのではないかと調査をすすめていたが、1週間前に機器の異常は認められないという結果がでたばかりであった。
バクスター社ではこの事実に対して、機器の異常はないと確信してはいるものの一般常識に照らし合わせ、予防措置として自主回収にあたる、と発表、ヨーロッパ内の全ての製薬会社及び病院に対して調査が終了するまで同製品の使用を控えるよう求めている。同社の責任者はスペインで使用されたフィルターとクロアチアで使用されたものとは同じものではないとし、スペインから回収された製品がクロアチアにまわされたというような事実は一切ない、と断言した。
クロアチア厚生省では早速同じ問題を抱えるスペイン厚生省へのコンタクトをとってきており、両国での協力のもと、同社に対する責任問題を追及していくことで同意している。

マドリード教育問題、公立校、助成校移民枠の公平な振り分けを目指す

昨日、マドリードの議会教育委員会において教育局の新局長であるカルロス・マジョール議員が移民の子供達の就学問題に関する傾向及び新プログラムを発表した。
マドリード県内で年々増えつづける外国人の16歳以下の子供達は昨年度末には38000人が就学、今年度末には53000人に達する勢いだという。毎週170人から200人の新たな就学年齢の子供達が入学を希望しているが、年度途中の編入はその大部分を公立校へ依存しているという。
マジョール局長は、外国人子弟を公平に振り分けるよう新しい規定を制定する必要性を説き、現在助成校(私立であるが、公的基金より助成を受けている学校)では全体の28%の外国人を受け入れているが、その割合を多くすべきであるとする。
現在の法では年度始めの登録期間には外国人のための特別枠が設けてあるが、その期間を過ぎると特例は消滅、その代わりに編入生のために定員の10%超までは受け入れを可能とすると定められている。しかしながら、その編入生の受け入れを認めるかどうかの決定権は学校側にあるため、助成校では編入を断るケースがほとんどであるという。
野党各党では、生徒の選択権を学校に与えているこの規定がある限り根本的な問題の解決にはならないとし、規定撤廃を求めている。


10月15日(月)

サパテロPSOE幹事長、PPとの協定に署名せず、の態度を貫く

昨日、来週に控えたガリシア地方選挙に出馬するトウリーニョ氏への応援演説のためビゴに赴いたサパテロPSOE幹事長は、PPと交わした公的機関の人員刷新に関する協定には署名しない、と再度確認した。
これは2日後に控えた刷新案の承認について、一旦はPSOEとPPで合意が成立していたものをPPロドリゴ・ラト第2副首相兼経済省大臣のPSOE攻撃によってPSOEの態度が硬化、白紙状態に戻っていたもの。サパテロ幹事長は、ラト大臣が発言を撤回することを要求しつつ、「PSOEをゆすり屋とみているようないかなる者とも協定に署名することはない」と断言。「アスナル首相がラト大臣にまるめこまれるのならそれはそれでよい。私はそんなことはないから。」と付け加えた。

囚人を病院へ護送していた地方警察官2人、背後から撃たれ重態

昨日カタルーニャ州ジェイダで、負傷した囚人を護送していた地方警察官2人が病院を出た直後、背後から何者かに撃たれ重態となる事件が起きた。
この日、ポネント刑務所に収監されているマヌエル・ブリト囚人が自ら階段を転げ落ち負傷、救急病院へ治療を受けにいくこととなった。2人の警官に付き添われ、治療を終え車に乗り込む直前に、あらかじめ打ち合わせてあったと思われる、患者を装った共犯者が発砲し、ブリト囚人とともに警官の所持する銃を奪い、盗難車で逃走した。襲撃当時、囚人は手錠をかけられていなかった。
ブリト囚人は2件の殺人によって懲役30年の判決を受けており、重要危険人物とされていた。
今回の犯行は事前に周到に計画されていたとみられており、警察の緊急配備をすり抜け逃亡に成功、共犯者の身元も特定されていない。盗難車は後に発見されており、犯人はレンタカーを借りるために国鉄駅付近にいたという目撃情報が入っている。
警察では囚人の護送時のシステムについて早急に見なおすことを余儀なくされているが、全ての安全を保証することは不可能であるとしている。

爆弾テロに対する警察官の安全性についてコティノ警察長官へ批判が高まる

先週金曜日から土曜日にかけての夜、マドリードでETAによる爆弾テロ事件が起きたことに関して、国家警察と地方警察の労働組合から警察官の安全性確保が全くなされていないとコティノ警察庁長官へ批判が続出している。
このテロ事件は、金曜日の午前中にETAからテロ予告があり、車爆弾の駐車してある通りを指定されたにもかかわらず警察当局はその車を特定することができず非常線を解除、誤報であったと結論づけ、その12時間後、その通りからレッカー車によって撤去した放置自動車が別の場所で爆発した、というもの。レッカー作業を担当する地方警察では同日、その通りで爆弾テロ予告があったことを国家警察より知らされていなかったとし、もし事前に連絡があれば、不法駐車車両に不審を抱いたはずでレッカーすることはなかったと説明する。
テロ予告後の捜査においては、爆弾探知専門警察犬によっても爆弾の場所の特定ができなかったため、警察当局では爆弾の臭いを遮断するための何かで覆われていた可能性を捨てておらず、さらにETAが爆弾を積んだ車両の車種、色、ナンバーなどを明らかにしなかったことなどからみて、捜査中の警察官を標的に選択していたことは間違いないとしている。ただ、なぜ、爆発が12時間後であったのかという疑問については、時限装置の時間設定を誤ったのではないかと推定されている。


10月12日(金)

今日は「柱の聖母マリアの祝日にあたるため、トップニュースは月曜日までお休みさせて頂きます」


10月11日(木)

サン・セバスティアン市議会、PSEとPPの連立協定破棄のおそれ

バスク州ギプスコア県のサン・セバスティアン市はバスク社会党PSEと国民党PPが連立で政権をとっているという珍しいケースであるが、その連立政権が今まさに崩れようとしている。
昨日、市議会では税制に関する条例及び来年度市予算の草案を採択する予定であったものの、PPがPSEの示す両案に棄権及び反対の投票を行ったため、草案そのものが否決され、両党の関係に亀裂が入ってしまった。
PSEのオドン・エロルサ市長は両党の関係悪化の要因について、PP市議が執拗なまでに行く手を阻むような行動に出てきたことに端を発した、とし、PPではエロルサ市長が一方的に両党の協定を破棄してきた、と主張している。同市長は両党が協定を破棄したという事実はない、と話しており、24時間以内に事態を収拾することを目指し、PPへ考えを改めるよう求めた。
両党は1999年の10月に協定を結んだ時点ですでに意見の食い違いは表面化しており、市の政策、議会運営にあたって真っ向から対立し、お互いに相手を非難、攻撃していた。
エロルサ市長は予算案の承認を条件とし、PPの翻意を待つとするが、それができない場合は、改めて別の党との連立を模索することとなる、と説明している。

8人の実業家を乗せたエアタクシーが行方不明に

昨日午前中、バルセロナからアルジェリアのオランへ飛び立ったエアタクシーが地中海のコルンブレテス島上空で消息をたち、行方不明となっている。
このエアタクシーはアメリカ人実業家8人を乗せ、10時10分にバルセロナのプラッツ空港を飛び立ったが、10時41分にバレンシアのマニセス空港の管制塔に悪天候によるルートの変更及び同空港への着陸許可を求めてコンタクトをとってきた。しかし、その1分後にはレーダーからエアタクシーの存在が消え、それ以降行方が知れていない。
12時ごろにはエアタクシーが海上に墜落したものとみなし、空軍及び航空レスキューサービス、バレンシア、マジョルカの海上救助隊などが捜索に入ったが、以前として何の痕跡も見つかっていない状態である。
エアタクシーが墜落したとみられる原因はおりからの強風と大雨によるもので、テロの可能性はないとカタルーニャ警察当局では判断している。

地方政府主導の麻薬実験プロジェクト参加のヘロイン中毒者に月給の支払い

アンダルシア州政府は、「アンダルシア麻薬処方実験プロジェクト(PEPSA)」と題した麻薬中毒に関する研究を進める方向に動いている。すでに同プロジェクトはアンダルシア州議会での承認も受けており、来年3月実験開始に向け、医事局へ実験許可の申請を提出した。
このプロジェクトはカディスとグラナダの2病院の協力も得、240人のヘロイン中毒者に治験者として参加してもらい、謝礼として国で定めている最低賃金額の75%程度(46000ペセタから76000ペセタ程度)を支払う予定としている。
治験者となる要件は非常に厳しく、18歳以上で2年以上にわたりヘロインを常用し、少なくともメタドン治療に失敗した経験を持つことが必要となる。
治験者はラ・リネア市とグラナダ市の診療所に120人ずつ集められ、さらに2つのグループに分けられる。一方には1日につき2回分のヘロインと1回分のメタドンを与え、もう一方には1日1回分のメタドンを与え、9ヶ月間の摂取で両グループにどのような差が出るかを見る。
このプロジェクトにかかる予算は1億5千万ペセタでそのうちの900万ペセタはヘロインの購入費用に当てられる。


10月10日(水)

アスナル首相、防衛大臣及び陸海空軍参謀長と会談、米国のアフガン攻撃支援の具体策を検討

昨日、アスナル首相はモンクロア公邸において、防衛省トリージョ大臣及び、陸海空軍の参謀長と会談、米国のアフガン攻撃支援についての具体策を検討した。
陸軍では特別任務遂行部隊や山岳部隊の小隊派遣が可能であるとし、空軍では移動、燃料補給のための軍機を送る用意があることを示した。海軍ではNATOの一団としてすでに東地中海の警戒のための戦艦を送り出しているが、それ以外には後方支援もしくは護衛のための船団に限定するとしている。
これらの軍隊派遣により特別な経費がかかってくるため臨時予算の拠出が必要となってくる。
また、この会談では、ここ10年にわたってユーゴ紛争解決のためにバルカン半島に2000人のスペイン兵を送ってきたが、米国が米兵のかわりとしてスペイン兵を派遣することを要請してくる可能性も指摘されたが、スペインとしてはそのつもりがないことを確認し、NATO内で討議されるべきものと結論づけた。
この件に関し、野党であるPSOEでは、議会での承認が必要であると主張、IUでは議会に何の許可も求めず、米国に軍隊派遣を申し出ていると批判している。

バクスター社の血液透析装置はシロ

昨日、8月中に血液透析患者10人が死亡した原因はバクスター社の血液透析装置ではない、との結果が報告された。
これはヨーロッパ内で40から60%のシェアを持つドイツの衛生機器の品質を検査保証するTUVプロダクトサービス社の行った精密な検査の結果から出された結論である。
バクスター社製の同じロットの透析機器を利用した患者、バレンシア4人、マドリード6人が立て続けに死亡したため、スペイン厚生省及びバレンシア州では透析機器が原因となっている可能性を指摘していた。
TUVの医療班の責任者は、全ての面、特に、血液との適合性に関する厳しい検査を行ったが、死亡した患者に使われた機器と同じロットの透析機器の異常はなんら見当たらず、完璧な状態であり、透析機器と患者の死因には因果関係はない、とコメントしている。
この結果に対し、バクスター社のスペイン支社長は他の可能性についての言及を避けたが、バクスターヨーロッパ腎臓科の医部長は、死亡の原因は水や溶液、針やチュープなど様々な可能性が考えられると話しており、特に他の国での死亡例では水が原因となっていることが多いとする。透析に使用する水は公共の上水道のものであり、品質は毎日変化するにもかかわらず、検査は月1度程度ということが多いため、死亡する原因となりやすい、と説明している。


10月9日(火)

中央政府、2002年経済赤字ゼロを断念

昨日から始まっている2002年の予算委員会において、当初政府がたてていた赤字ゼロの見通しを修正し、断念せざるを得ない状況となっていることがスペイン銀行のカルアナ総裁と経済省のフォルダゴ政務次官より発表された。
年初には3.6%の成長率が記録されたが、7月の段階ではそれが3%に修正され、それでもなお赤字ゼロを達成できると楽観視されてきた。しかしながら、3%を切ることとなれば、赤字へと転換することが確実となり、来年度は国内総生産の0.5%程度の赤字が計上されることとなるだろうという方向に変化してきた。この赤字分については社会保険料の黒字分で穴埋めすることが可能と考えられている。
カルアナ総裁は経済の状況が上向かず、予想していた成長のリズムがつかめないのなら数字に固執する必要はない、とし、現在の不均衡な状態は構造的なものではなく状況的なものであるとコメントしている。また、フォルダゴ政務次官は赤字と投資を選択しなければならないならば、投資を維持する方を選ぶと話した。

税務局、ヘスカルテラ社への監査開始後2週間で突然打切り

税務局では1998年3月の現在問題となっているヘスカルテラ社への監査時に、監査開始後2週間を過ぎた時点でいきなり打切りとした事実が発覚した。これは汚職対策検察局の求めによりテレサ・パラシオス予審判事が重視した税務局の提出書類から発見されたもので、その当時監査にあたっていた監査官の決定ではなく、どこからかの圧力によって打ち切られたとの疑いが強まっている。
この打ち切りを指示した人物、理由を特定することは時期尚早といわれるが、実際に税務局がヘスカルテラ社への監査を行ったのはこの金融スキャンダルが発覚した後のことであることが明らかになっている。
税務局では1998年4月当時、ヘスカルテラ社が証券マーケット委員会(CNMV)の許可を得て、大きな資金を動かし始めていた頃で、前年度の取り扱い金額、約31億ペセタの倍以上である84億ペセタあまりの顧客からの投資金を集めていたことをつかんでいた。


10月8日(月)

アスナル首相、米国のタリバン攻撃に関して、全面支援を表明

アスナル首相は、昨日開始された米国のタリバン攻撃に関して、スペインでは米国へ全面的に支援することを表明した。
昨夜6時頃に米国のチェニー副大統領より攻撃開始の連絡を受けた中央政府では、即刻フアン・カルロス国王へ報告、10時にはアスナル首相から国民へTV放送を通じてスペインの国としての姿勢を明確化した声明が発表された。
アスナル首相は米国のタリバン攻撃が"テロリストによる攻撃に対する回答であり、国際的支援を受けた正当防衛の実行にほかならない"と位置付け、全面的な協力、連帯を強調。また、スペインは直接軍事行動に参加はせず、NATOの一員として後方支援を行うとしたが、必要とあれば、物的のみならず人的な協力、軍艦の派遣の用意があることも示唆した。と同時に、これらの攻撃はアフガン国民に対するものではなくテロリストの基地及びテロリストを支持するものを壊滅させることであることを繰り返し、スペイン国民には平静さを失わずに国を信頼して欲しい旨のコメントを発し、すでに必要な予防措置はとられていると説明した。
PSOEのサパテロ幹事長は、米国のタリバン攻撃を、"正当防衛"の行使であるとし、スペイン政府には、これから出てくるであろう多数の難民に対する支援を率先して行うよう求めた。また、IUでは「いかなる軍事行動も合法化されはおらず、国際法の範疇を超える」と主張、「テロリズムに軍事行動で答えれば罪もない新たな犠牲者を増やすだけである」と、非戦論者の団体などに対し、戦争反対の抗議行動を起こすよう呼びかけている。

ETA首脳部の1人とされる人物、フランスで逮捕される

昨日午後、フランス国内で、ETAの首脳部の1人とされるビセンテ・ゴイコエチェア、通称"ウィリー"が逮捕された、とフランス警察当局から発表された。逮捕の詳細については捜査が続行しているため明らかにされていない。
"ウィリー"は、ETAのテロ行為にかかわったとして、1990年にスペイン国内で逮捕されているが証拠不充分で釈放され、それ以降1995年まではいかなる足跡をも残していなかった。しかし、同年、ウィリーが文書偽造のスペシャリスト及び、ETAの首脳部の1人として浮上、ETAのトップ、ミケル・アルビスの右腕として98年にバスク民族主義政党とリサーラ協定を締結するのに一役買った人物とみなされていた。

ローラーホッケーの世界大会で、スペイン代表優勝

アルゼンチンで行われていたローラーホッケー世界大会の最終日、スペイン代表チームはアルゼンチン代表を破り優勝した。
スペイン代表は先制したものの、アルゼンチンに追いつかれ、同点で終了した。ペナルティー合戦となったが、アルゼンチンは5人が全てはずし、スペインはカルロス・ティバウのみが得点。結局、1−0で勝利。
スペイン代表は1999年にアルゼンチン代表にトップの座を奪われており、昨日の優勝でそれをとりかえしたかたちとなった。


10月5日(金)

PSOE、ラト大臣の謝罪があるまでPPとの公的機関の人員配置についての合意を棚上げ

月曜日に、PP、PSOE間で公的3機関の人員刷新についての合意が成立したばかりであるが、水曜日の国会にてロドリゴ・ラト副首相及び経済省大臣がPSOEのサパテロ幹事長を非難する発言を行ったことによって、PSOEがこの合意を棚上げとする意向を伝えてきている。
これは、ラト大臣が国会にて、合意に至るまでの話し合いで、PSOEの会計監査裁判所への推薦メンバーが政治家に偏るのをおさえる条件として、国家エネルギー委員会の理事としてサパテロ幹事長の"友人"、ハイメ・ゴンサレスを任命させられることになったと発言、PSOEのやり口は恐喝であると攻撃したもの。
ラト大臣は合意に至る前の週にもサパテロ幹事長への攻撃を仕掛けており、PP側が謝罪をいれることで問題化せずにおさまったという経緯がある。また、PSOEからのヘスカルテラ社問題についての執拗なまでの責任問題追及に対する逆襲ともいえる行動、発言はPPにとっても不都合であるといえる。
PSOEではラト大臣の公式謝罪もしくは、政府による解任のどちらかを求めているが、PPはそれを拒否し、ラト大臣の行った発言に重要性はなく、国会での討論でよく見られる攻撃にほかならない、としている。

ガリシア地方選挙戦、始まる

昨日、今月21日に行われるガリシア地方選挙の選挙運動が始まった。
長期にわたる前哨戦の末、すでに勝利を手中におさめたかに見えるPPのマヌエル・フラガ現州知事に対抗するのがガリシア民族主義政党であるBNGのホセ・マヌエル・ベイラス氏、及び、ガリシア社会党(PSdeG)エミリオ・ペレス・トウリーニョ氏である。
ガリシアにおいては78歳になるフランコ独裁時代の大臣、フラガ現知事がすでに3期12年に渡り政権を押さえており、今回も事前アンケートによってもその地位は揺るぎないものと推定されている。250万人の有権者のうち100万人ともいわれる人々がどの候補者に投票するかを決めかね、フラガ氏による長期政権に飽きてきているとはいえ、同氏の絶対過半数を覆すまでにはいかないであろうとされる。また、BNGとPSdeGが連合を組みPPへ対抗してくる可能性も残されてはいるが対抗馬として強力な敵とはなりえないとPP陣営では楽観視している。
BNGでは、フラガ氏が高齢でありながら後継者選びが進んでいないという点をついてきており、フラガ氏が政権をとっても1年ほどで終わりを告げ、お家騒動が始まる、という攻撃をしかけてきている。

妊娠を理由に期間限定契約社員の契約打切りは差別に相当するという判決

昨日、ルクセンブルグのEU司法裁判所にて、妊娠を理由とする契約社員の契約打切りはEUで定められている男女間の機会待遇の均等をうたう法律に反するという判決が下された。
これは、カディス県のロス・バリオス市役所に契約社員として雇用されていた女性が、2回の契約更新後、3回目の契約途中に契約の更新をしない旨の通知を受けたことに対し、妊娠したことを理由にした差別的解雇であると提訴していたもの。
判決では契約の期間にかかわらず、妊娠中の女性を解雇することは禁止されているとしているが、契約期間満了時に契約の更新をしないことは解雇にはあたらないとした。しかし、契約を更新しない理由が妊娠にあると認められた場合、直接的な性差別による解雇とみなされるとした。


10月4日(木)

ヘスス・ヒル裁判資料盗難容疑の裁判所員、飛び降り自殺

昨日夜8時過ぎ、マルベージャの裁判所職員が自宅マンションの屋上から飛び降り自殺した。
自殺した男性(43歳)はマルベージャ裁判所内で、7月、8月に起きたアトレティコ・マドリードの会長でありマルベージャ市長でもあるヘスス・ヒル氏に関する裁判資料盗難事件に関わった容疑で昨日の午後逮捕されていた。事故当時、自宅の家宅捜査が行われている最中で、現場に立ち会っていた容疑者が警備の警官の隙をついて屋上までかけあがり、そのまま飛び降りたという。即死だった。
裁判資料盗難事件では、5万ページにも及ぶ資料が保管庫から盗まれ、さらにはコンピューター上の記録が消去されていた。コンピューターの記録消去に関しては侵入経路や日時などが判明したため、何人かの容疑者が絞られてきていた。
自殺した男性は、データが消去されたとされる時間帯に消去されたコンピューターを使用していたこと、ヘスス・ヒル氏に関係の深い人物との交友関係を持っていたことなどから最有力容疑者とされていた。

拒食症と過食症の死亡率は4%

昨日国会にて、厚生省ビジャロボス大臣より、スペインにおける拒食症及び過食症が原因による死亡率が4%であることが報告された。
これはスペインの11の病院が参加しているEUの研究結果によるもので、PSOEの衛生担当マティルデ・バレンティン議員の質問に答えたものである。
これらの病気は90%以上が14歳から18歳までの女性に発症しているが、年々その年齢の低下がめだってきている。また、若年男子にも広がりはじめ、最近では患者の10%にあたるようになってきているという。
左派議員からは、国家の医療システムの中でこれらの病気に対する対応が遅れているとの批判が出ているが、ビジャロボス厚相は、ここ4年間、各自治州と毎年15億ペセタの医療予算を組むことに同意してきており、2002年には各県に専門施設を設置することを予定している、と説明した。

イベリア航空、経営危機回避のための雇用削減は最終手段であることを認める

昨日イベリア航空のイララ社長は、全世界的に経営危機が叫ばれてきている航空業界において、イベリア航空も例外ではなく、経営悪化の前には雇用問題に手をつけざるを得なくなる可能性について示唆。
人員削減に関しては10%前後を考えているが、労働組合との話し合いによって双方の利益が合致する点を探すとする。ただし、人員削減は最後の手段となるが、全ての職種が対象となると説明する。
但し、世界的な展望からして保証することは不可能としながら、今年の経常利益はプラスとなる可能性が高いこともコメントしている。


10月3日(水)

失業者増大、上昇率は昨年同時期の倍以上に

昨日、労働省から、9月期の失業者総数が労働力人口の8.81%にあたる148万8551人であることが発表された。
スペイン経済の停滞も手伝い、前月よりも2万9544人増えており、ここ数年9月期の増加が1万人台であったことを考えれば倍以上となっている。業種別では、建設業を除き全て悪化の傾向が見えており、サービス業における失業者が多くなっている。
また、失業者の増加は女性に集中しており、男性だけをみると失業者数は減少している。通年でみると女性の失業者数は90万8570人と失業率13.39%で、男性の5.73%と比較し、非常に高い数値であることがみてとれる。これは、女性がアルバイトやパートといった短期の雇用形態で働いている場合が多いために、人員整理の対象になりやすいことの裏付けとなっている。さらに、25歳以下の層も同様の形態での雇用が多いために、簡単に失業しやすい状況となっている。
この9月期の状況に関して雇用局のチョサス次官は、9月に米国で起きた同時多発テロがスペイン経済にも影を落としていることは否定できない、としており、経済の先行きの不透明さが反映されているとコメントしている。

アルゼンチン航空の経営権、マルサングループへ

昨日スペインの工業省国家産業公社(SEPI)は、経営が破綻していたアルゼンチン航空の経営権をマルサングループのエア・コメット社へ移譲することを決定した。SEPIでは、同航空会社へ10年間にわたり18億ドルの投資を続けてきたがそれを回収することができず、同公社のお荷物となってきていたのを、これによって清算することができる。
アルゼンチン航空の経営権獲得にはマルサングループ以外にもアルゼンチンの2企業、米国の1企業が名乗りをあげていたが、最終的にマルサングループの管理運営方法を最良のものと判断、同グループへの移譲を承認した。
マルサングループでは経営権を無償で獲得したが、現在同航空が抱える12億ドルの負債の50%を引き受けなければならない。さらに、9ヶ月以内に少なくとも5千万ドルの増資、7千人近い従業員の2年間雇用維持を約束している。
同グループは3年間で現在、国内線30%、国際線10%まで落ち込んでいる運行を以前の状態に回復させ、4年以内に航空機を50台まで増やすことを計画、安定した経営を目指し、2年目からは収益がでることをもくろむ。
SEPIの判断に対して、同航空の従業員はこぞって反対を唱え、国営であった企業の利益を守らないアルゼンチン政府の姿勢に失望した、と抗議行動に出ている。

アルサジュスPNV党首、CGPJからの代表排除を理由に国会への登庁を考え直す可能性を示唆

一昨日、PP及びPSOEの合意によって公的機関の要職へ人員配置が行われたばかりであるが、そのうちの司法審議委員会(CGPJ)のメンバーからPNVの代表が排されたことに対し、アルサジュスPNV党首は厳しく非難、上院、下院へのPNV議員の登庁を考えざるを得ない、と発言。
同党首は、フランコ独裁後の民主主義移行時期のモンクロア協定締結時にもPNVが排除されたことをもちだし、PPによる"絶対主義"であると批判、「われわれを徐々に排除していくような国家にいる理由が見出せない」とした。
一方、PNVの議会スポークスマン、アナサガスティ氏は、合意に対して強い批判を持つものの、PNV議員が国会を放棄するようなことはない、と断言。


10月2日(火)

公的機関の要職刷新についてPPとPSOEは合意に達する

3ヶ月にわたってPPとPSOEの間で交渉されてきた公的機関における人員の配置について、昨日両党は合意に達した。
要職の刷新が検討されていたのは司法審議委員会(CGPJ)の20人、会計監査裁判所の12人、憲法裁判所の4人。CGPJの12人を除く、3機関の要職には両党からの推薦を受けた人物が配置されることとなるが、現在までCGPJに席を置いていた穏健派バスク民族主義政党PNVの代表が排除され、同様にカタルーニャ連合(CIU)の代表が憲法裁判所のメンバーから外れた。PP主導の決定に対して、PNVでは不満の矛先をPPだけでなくPSOEにも向け、"恥ずべき判断"と評している。
両党の交渉が難航していた原因となっていた会計監査裁判所の人員配置については、ハビエル・アレナスPP幹事長、ロドリゲス・サパテロPSOE幹事長のトップ会談によって調整、一応の解決をみた。
これら36人の推薦者は今月23日の上院、下院にて承認されるかどうかの採決が行われる。

スペインの航空会社、危機をのりきるために航空運賃アップ

スペインの主要航空会社3社は、米国同時多発テロの影響を受けて噴出した経営危機に対応するために、航空運賃のアップを敢行する。先週の土曜日に国内75%のシェアを持つイベリア航空が先手を打って発表したもので、エア・ヨーロッパ社やスパンエアー社もこれに追随することを決定。
イベリア航空では国内、国際線を問わず、一律8ユーロを値上げ、明日から実施。エア・ヨーロッパ社は7.8ユーロ、スパンエアー社は6ユーロを今月5日から値上げする。 これら3社は、米国でのテロによって保険料が値上げとなったこと、保安面の強化にかかる出費が増えたことを値上げの理由としている。
スペイン消費者ユニオンでは、航空料金の一斉値上げに、「依然、航空会社の損失がどれほどとなるか不明なのにもかかわらず、値上げに踏み切るのは性急かつ不適当である。さらに、乗客への安全対策が行われていないうちからその費用を上乗せするのは法外である。」と批判。
スペインの3社だけでなくヨーロッパの航空会社ではKLMやルフトハンザなども同様の値上げを昨日から開始している。

レティーロ公園、夜間閉鎖へ

昨夜からマドリードにあるレティーロ公園の夜間閉鎖措置が始まった。
レティーロ公園の夜間閉鎖に関しては以前より市議会によって何度も検討されてきたが、今回、市役所環境局が付近住民へ行ったアンケート調査でも70.9%が賛成意見を表明したため、この措置に踏み切った。市役所では、夜間に園内におけるベンチへの放火や建造物破壊など酔っ払いによる蛮行を防ぐ目的で行うとしている。
初日の昨夜は市役所から委託された警備会社の職員が閉園の1時間まえよりメガホンにて閉園を知らせてまわり、11時から18ヶ所ある入り口の門を南京錠で閉め始めた。そのうちの1ヵ所はレティーロ公園内にあるフロリダ・パーク劇場への出入りのために開けておかれる。
閉園時間は夏が23時から6時、冬が22時から6時で、11月から4月末までが冬時間となる。


10月1日(月)

イバレチェ氏、バスク自決権について人民に問うことも辞せず、と中央政府に挑戦状

昨日、バスク国民党(PNV)の日に際し、バスク州首長イバレチェ氏はビトリアにおいて、バスクの自治権について語った。
何万人もの支持者を前に、「アスナル首相がバスク自治権に関する討議を拒否し、ETAが人殺しをしつづけるのならば、バスク人民に下駄を預けるしかない」と自決権獲得への断固たる意思表明をした。バスク人民の意志を尊重するためには全ての法的、政治的、民主的手段を講じていくことを述べ、1歩もあとにはひかない、と断言した。
また、アルサジュスPNV党首も中央政府批判を繰り返し、PNVが自決権を放棄することは決してないとし、バスクの主権を妨げるものがあるとすれば、それはETAに他ならないと熱弁を振るった。
これらの声明を受け、PP及びPSEからは厳しい批判がよせられている。
バスクPPのイトゥルガイス支部長はイバレチェ首長及びアルサジュス党首の声明を"田舎者の発言"と形容し、「バスクがEUに属しているのはスペインがEUの一員だからであり、スペインから独立するようなことがあれば、バスクはEUからはずれることになることを気付いていない。」とコメント、さらには「憲法、自治法をみれば、独立や自決への可能性は全くないことを理解すべきである。」と締めくくった。
PSEではイバレチェ首長に対し、「ついに本性をあらわした、同首長は討議する意志などなく、自分の要求をバスク社会におしつけようとしているだけだ。」と非難した。

ビトリアの裁判所前で、自動車爆弾爆発

本日朝6時ごろ、バスク州ビトリアの裁判所前で自動車爆弾テロがあり、裁判所の建物に大きな被害を及ぼした。幸いなこと負傷者は1人で、かすり傷程度ですんでいる。
爆発の起こる25分前に匿名でこの爆弾テロの予告電話が道路救護協会及びラジオ・ビトリアに入ったが、爆発予告時間が6時と6時半と別々であったため、警察、消防では時間差テロの可能性を考え、一つ目の爆発が起こったあとも消防活動に入れない状態であった。
爆発した自動車には40キロのダイナマイトが積まれており、この爆破によって裁判所建物に与えた損害は2億ペセタと見積もられている。また、付近に駐車中の車両10台やマンションの窓ガラスが割れるなど大きな物的損害がでている。
事故当時裁判所建物では10人から12人程度の職員が働いていた。

アンヘル・カセロ、"ブエルタ・エスパーニャ"で逆転勝利

21日間にわたる自動車レース"ブエルタ・エスパーニャ"は昨日最終日、マドリードでのロードレースで決着がついた。前日、総合トップのオスカル・セビージャに25秒差とせまり、逆転優勝を期待されていたロードレースのスペシャリスト、アンヘル・カセロは予想通り、セビージャに49秒の差をつけ逆転、レースを制した。
セビージャはレースの途中でハンドルの支柱の故障というアクシデントにみまわれ、その時点から集中力が欠けはじめ、ベテランのカセロに屈してしまった。
カセロは前日に、「優勝でなければ意味がない。僕に2位はない。」とコメントしていたが、その強気が勝利を呼び込んだかたちとなった。



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