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9月29日(金)

2001年度国家予算 国会に提出される

昨日、大蔵省クリストバル・モントロ大臣によって2001年度国家予算が国会に提出された。
来年度予算は予想される3.6%の経済成長と2%のインフレを念頭におきつつ収支にバランスをとり、民主主義政権始まって以来の公的赤字ゼロを目指す。
国家、地方予算プラス社会保険にかかる支出は2000年度より5.4%多い34兆4700億ペセタと見積もられ、収入は34兆5000億ペセタと計算されている。
インフレが2%と予測されていることに関し、今年度も2%とされていたにもかかわらずすでに3.6%を超えており、ガソリンの料金の高騰、公定歩合の上昇、ユーロ安という負の要素をどう処理していくかということが焦点となってくる。
モントロ大臣は賃上げの凍結が雇用の増大に不可欠な条件となってきているとし、それの穴埋めとして社会整備を充実させ、減税及び年金の2%上昇を組み入れている。

病院の救急医療で感染か?フィゲレスの病院でC型肝炎の患者が5人発生

昨日、カタルーニャのフィゲレス市長、コマルカル病院の院長が記者会見に臨み、同病院でC型肝炎の患者が5人発生していること、同病院の院内感染である可能性があることを発表した。
同病院では8月の初め頃からC型肝炎の患者が出始めたことに気付き、患者全員が6月4日の同時間帯に救急医療を施されていたことが確認された。同時間帯に同様の医療を受けた他の患者についても感染の可能性があるため検査を進めているが、36人については陰性の分析結果がでており、残る7人の患者については結果待ちとなっている。
感染経路についてはまだ判明していないが、どの患者も輸血を受けていないことから医療処置のミスもしくは医療器具の消毒不足によるものではないかとみられている。

無抵抗の老夫婦、強盗に殺害される

昨日午前中、バルセロナのサン・ボイ・デ・ジョブレガットで86歳と88歳の老夫婦が自宅で殺害されているのを通いの家政婦によって発見された。
殺害犯人は何件もの強盗の前科をもっており、3週間前に同市に引っ越してきたばかりであった25歳の男。この犯人は殺害された夫婦の隣に住む夫婦の娘の住む住居に老夫婦の家を通って盗みに入ろうと計画、留守だと勘違いしたところに夫婦がいたことから凶行に走ったものとみられている。
犯行後、付近をうろついていた犯人を不審に思った近所の人が警察に通報、パトロール中の警官により身柄を拘束され、所持していたリュックから宝石類や被害者の所有していたものが発見されたため警察署に連行された。
取調べを受けている最中に上述の家政婦が被害者宅を訪れ2人の遺体を発見、凶行が発覚した。
被害者2人とも老齢であったこと、特に夫の方は病気のためにほとんど動くことのできない状態であったことからほとんど抵抗らしい抵抗もせずに包丁で何ヶ所も刺され命を奪われた。

女子競歩20キロでスペイン人女性で陸上史上初のメダル

昨日、オーストラリアのシドニー五輪女子競歩20キロメートルでマリア・バスコ選手が陸上史上初の女性メダリストとなった。スペインでは96年のアトランタ五輪マラソンでロシオ・リオス選手が5位に入ったのが最高で今までにメダルを獲得した選手はいなかった。マリア・バスコ選手はバルセロナに住む24歳で夫のハイメ・バロソ氏ももとは競歩の選手だった。
同選手は最初は先頭集団についていたが途中からは第2集団に入っていた。15キロ地点で先頭を行くイタリア人ペローネ選手が、その後19キロ地点で中国人リュウ・ホンギュウ選手が失格となりバスコ選手は4位の位置につけていた。ロードからスタジアムに入る坂の途中でトップのオーストラリア人ジェーン・サビーユ選手が3枚目の警告を受け失格となった時点でメダルを手中にした。メダルを意識していなかったバスコ選手は伴走するスペインの報道車から3位にいることを告げられても、趣味の悪い冗談だと思い気分を害したと後になって話している。嬉しいという気持ちがまだ湧いてこない、まだ雲の上にいるようだ、競歩は地味で苦しい、そしてお金にならないスポーツであって、自分の子供にはさせたくないともインタビューでは語っていた。


9月28日(木)

農業団体、燃料高騰対応策に関し政府と合意達成

昨夜行なわれた会談で、政府と農業団体のUPAとASAJAは燃料高騰対応策に関してようやく合意に達することができた。
合意の内容は、政府がUPAとASAJAのニ団体に対し500億ペセタの助成金与え、また、所得税申請の際にディーゼルオイルの請求書の総額から35%の金額を差し引くというものである。昨日達した合意には、農業団体が要求していた燃料にかけられている特別税の廃止は含まれてはいなかったものの、UPA、ASAJA両団体の代表者は、「満足すべき内容である」とした。他の農業団体であるCOAGは、政府が1リットルに付き40ペセタの業務用ディーゼルオイルの販売許可の承認を拒否した為に、昨夜の会談には出席しなかった。
一方、同じく燃料高騰対応策を政府に求めていた漁業組合は昨日、政府側からの提案を拒否した。漁業組合に対して政府が申し出ていたのは、70億ペセタの助成金と社会保証の負担金を一時引き下げるというものであった。しかし、漁業組合は、「この内容では、我々が受けている燃料高騰による損害を補うことはできない」とし、不服の意を表した。
また、バルセロナ港では、今日も漁業組合が港を閉鎖している。バルセロナ港にはカタルーニャ地方に供給する燃料のうちの80%を蓄えている燃料タンクがあり、現在、カタルーニャ地方の燃料の配給はストップしているに等しい。今日で3日目になる港の閉鎖により、バルセロナのガソリンスタンドにはあと2日分の燃料のストックが残されているのみとなっている。

エスパルサ、テコンドーで銀メダルを獲得

シドニーで開催されている夏期オリンピック大会で、ガブリエル・エスパルサ選手がテコンドーにて銀メダルを獲得した。
エスパルサ選手は一回戦でモロッコの選手と対戦した際に左足の頚骨を負傷し、のちの試合では左足を使うことができなかった。頚骨負傷のハンディを抱えながらもエスパルサ選手は順調に勝ち進み、決勝戦ではヨーロッパ選手権のチャンピオンであるギリシャのムルトソス選手と対戦した。
決勝戦前半は、エスパルサ、ムルトソスの両選手とも得点を獲得することができなかった。試合後半に最初に得点を獲得したのはエスパルサ選手であったが、すぐにムルトソス選手に1点を返されてしまった。のち、試合はムルトソス選手優勢の形で運ばれ、ついに、エスパルサ選手はヨーロッパチャンピオンを破ることはできなかった。
試合終了後、エスパルサ選手は、「まだ試合が終ったという実感がないが、落着いて振り返った時には、今回の試合はとても大変な試合だったということに気付くであろう。まだ先のことはわからないが、ぜひ4年後も狙いたい」とコメントを残した。

マドリッド知事、テレマドリッドを売却することを発表

昨日、アルベルト・ルイス・ガジャルドンマドリッド県知事はマドリッド放送(テレマドリッド)を競売にかける方針であることを発表した。
同知事は、「(テレマドリッドを売却することは)マドリッド市民の要望に基づくものである」としており、500億ペセタから1000億ペセタと予想される競売による収入は、教育や社会事業などに充当する方針であることを公にした。また、テレマドリッド売却後も、総放送時間の40%は公共サービス情報に割り当てることと、従業員に現在の職を補償することを約束した。
しかし、テレマドリッドを競売にかけるには、放送に関する現在の法の一部を改正しなければならない。この法改正は以前から提案されてはいたが、いまだ議会で承認はされていない。また、PSOE、IUなどの野党や労働組合のUGT、CCOOがテレマドリッドの売却に反対していることなどから、テレマドリッドを競売にかけるには幾つもの難題を乗り越えなければならない。


9月27日(水)

テロ対策法の改正案、司法審議会に承認の見通し

テロリズム対策法の改正が、今日司法審議会に承認される見通しとなった。
今回の改正にあたりさまざまな討論が行なわれたが、最も議論を呼んだのは少年法についての改正であり、政府が少年法について提案した改正案の大部分に対し司法審議会は、「賛成しかねる」とした。
司法審議会が承認を渋った主なものは、法廷で裁判にかけることの出来る年齢の下限についての改正であり、司法審議会は下限を16歳とした。また、司法審議会は、テロリズムなどの犯行の年少化を受け、行った犯罪と少年犯罪者が受ける刑罰のバランスを考えることが必要であるとし、今までの最長拘留期間である5年をさらに5年延長し、少年犯罪者の最長拘留期間を10年とすることを要求した。さらに、少年犯罪者を法廷で裁く際には、居住地近隣の裁判所で裁判を行う必要性があるともした。
一方、犯罪の犠牲者やその家族のプライバシーを犯すことを犯罪の一部と見なすことや、テロ犯罪の主犯者に対し、公の職務に就く権利剥奪を合法化することなどについては反論は起きなかった。

出産の高齢化が男児誕生を減少

ここ数年、スペインでは男児の誕生が減少してきている。1981年には1,000人の新生児のうち522人が男児であり、478人が女児であった。しかし、1999年には1,000人のうち男児は515人となっている。急激な減少とはなっていないが、この現象は他の先進国にも見られるものである。
先進国のみに生物学的な変化が現れると、しばしば食品添加物や生活環境の変化などが原因と見なされてきた。今回も例外ではなく、80年代から多くのヨーロッパやアメリカの研究グループは男児誕生率の低下を食品添加物、農薬、人工ホルモン、汚染などが原因であると見てきた。
しかし、先日発表した農業・食品国立研究所の研究によると、スペインの男児誕生率の低下は、出産の高齢化にも原因があることがわかった。スペインにおける男児の誕生は、1945年から1980年にかけて増加し、1981年を境に減少し続けている。この統計をスペインの結婚年齢の統計と照らし合わせると、1980年まではスペインでは結婚平均年齢は若年化を続けており、1981年からは結婚平均年齢は高齢化し続けていることから、男児出生率のデータと一致している。双方の統計数値の移行が一致していることにより、出産の高齢化と男児誕生率の低下には何らかの因果関係があると思われる。

コレッチャ、コスタ組、テニス男子ダブルスで銅メダル

夏期オリンピックシドニー大会で、アレックス・コレッチャ、アルベルト・コスタ組がテニス男子ダブルスにて、南アフリカ共和国のダビッド・アダムス、ジョン・ラフィヌ・ド・ジャガー組と対戦し銅メダルを獲得した。
火曜日の夜、試合は1時間25分続いたのちに雨の為一時中断されたが今日再開され、コレッチャ、コスタ組は試合中断によるリズムの崩れも無く、危なげない試合を進め勝利を手にした。
対戦した南アフリカのアダムス、ド・ジャガー組は世界ランク15位以内にランクされる強豪ペアであり、一方のコレッチャ・コスタ組はほとんどペアを組んだことがなかった。数回のみしかペアを組んだことのない2人は第1セットこそ息の乱れを見せるなどしたが、徐々にお互いのペースをつかみ、南アフリカの強豪ペアを破った。
今回獲得したメダルにより、スペインが獲得したメダルは6個となった。


9月26日(火)

PSOE、来年度の移民関連予算について中央政府と話合い

新外国人法の全面改訂要求を提出予定であったPSOEは中央政府との政治協定により50項目の部分改訂におさえる方向に方針を転換した。
PSOEでは協定の主要項目となる移民関連事項につき、中央政府が考える来年度予算よりも300億ペセタ多い額が必要と見ており、250億ペセタは各市町村の役所に振り分けられるものと提案している。さらに、先日終了した不法滞在外国人の特別合法化手続きで不許可となった5万人あまりの移民の早期合法化を要求する予定としている。不許可とされた移民の多くは必要書類の不足が原因となっているが、アルメリアのエル・エヒドで起きた移民排斥運動で住居を燃やされた人々は証明書類をも同時に焼かれてしまっている、として特別な配慮を求めている。
さらに南米、北アフリカ諸国などと移民に関する協定締結を進めること、各地方自治体、市町村に移民受け入れの割当てに対する決定権を委譲、国境での密入国、マフィアによる入国斡旋の取締り強化といった点を提案事項に含めている。

就業場所に監視カメラを置くことは合法、との判決

1997年に労働行政地方事務局がヒホンにあるメタリカス・ルイス社に対し、就業場所に監視カメラを設置することは労働者の権利侵害にあたりプライバシーと尊厳を損なうものとして100万ペセタの罰金を課したことに対して同社が不服の申立てしていた事案に関し、アストゥリアス高等司法裁判所では罰金支払い命令を無効とする判決を下した。
判決では監視カメラの設置は法律で定められている安全対策と労働災害予防の基準を満たすためであり、労働者のプライバシーを侵害するものでも尊厳の冒涜にあたるものでもない、としている。さらには就業場所と異なる場所に監視カメラが隠されて設置されていたという証拠は1つも存在していない、と会社側の言い分を全面的に認めている。

イベリアの株式上場に暗雲

スペインイベリア航空の株式上場計画がこの時期に来て頓挫する様相が見えてきている。シャビエル・デ・イララ社長がつい3週間ほど前に今年11月に上場される予定だと話したばかりであったが、イベリア航空と予約センターアマデウスとを分けることを決定したことで、その財務運営が複雑化し早期上場が実現不可能という状態に陥ったもよう。
この決定を下したSEPIに対し、労働団体では不満の意を漏らしており、企業のみならず労働者にも悪い影響が出ると心配している。
イベリアの売出し計画は1999年2月に始まり、英国航空、アメリカン・エアラインズなどの資本参加、昨年12月にはスペイン国内にあるカハ・マドリード、BBVA、エル・コルテ・イングレスなどの大手企業が参加し、最終段階に54%の株式が公開される予定となっていた。


9月25日(月)

PNV、イバレチェバスク州首長への不信任案を提出したPSOEを強く非難

昨日がバスク国民党PNVの“政党の日”にあたり、10万人あまりの支持者が参加した集会はビトリアで盛大に催された。
この集会でイバレチェ・バスク州首長は先週金曜日にPSOEからバスク議会に提出された不信任案に触れ、真向から対決していくことを確認している。PSOEの不信任案提出には本日にもPPが同道することを決めており、バスク議会の早期解散、選挙前倒しを求めていくことで意見の一致を見ている。
首長は演説の中で、バスクPSOEが今まで良好な関係を築いてきたPNVと袂を分かち、PPの“支部”となりさがった、と強く非難、また、PNVにバスク問題の責任を押し付けてくるその他の政党はいったい今までにどんな解決策を提示してきたのか、と逆に問うかたちとなった。
PSOEのロドリゲス・サパテロ幹事長はこの首長の攻撃に対し、平和と政治に線引きをする時期がやってきたのだ、というコメントを発表している。 PPでは、不信任案提出に関して、同案可決するために議会の過半数の支持を得ることが不可能に近いことを認めながらも、倫理と民主主義という観点から避けられない選択であることとの判断を下している。

7つの自治体で同性愛カップルの認知を法制化

スペイン国内でも自治体レベルで同性愛カップルの様々な権利を認める方向での法制化が進んでいる。法制化を公表したのはカスティージャ・ラ・マンチャ、バレアレス、アストゥリアス、カナリアス、バスク州、アンダルシア、バレンシア自治州の7つ。国家レベルでは1997年に議会で討論が拒否されてから、なかなか具体化されていないのが現状である。また、法的に保護されてはいないが、自治体や200に及ぶ市町村に同性愛カップルを登録するリストが存在することが確認されている。
すでに独自の法律を持つナバーラ、アラゴン、カタルーニャでは認められる権利が異なっているが、男女間の婚姻で認められる権利を全て認められているわけではない。例えば、相続、年金の権利、国籍の付与は認められていない。しかし同性愛カップルの一方がテロの犠牲者となった場合の補償金の受け取りの可能性については検討されている。唯一、養子を迎えることができる自治体がナバーラであるが、この場合も地方条例としてさだめたのではなく、未成年に関する法律を変更したにすぎない。
実際には、法制化されていなくても公的な機関や大企業では同性愛のカップルを通常の夫婦と同等に位置付け、結婚休暇などを与えているところもある。
スペインはヨーロッパの中ではイタリアと並んで同性愛カップルに関する法の整備が遅れている国であり、オランダや北欧では婚姻関係にある男女と同性愛カップルは同等の権利が認められている。


9月22日(金)

ETAのテロ、バルセロナで市議会議員を殺害

昨日朝7時40分頃、バルセロナのサン・アドリア・デ・ベソスにて同市議会議員のホセ・ルイス・ルイス・カサド氏(42歳)がETAによって殺害された。
同氏は出勤するために自宅を出てガレージに向かう途中、2人の男とすれちがった際にに背後からこめかみ付近を撃たれ、崩れ落ちたところをさらにもう一発撃ち込まれ絶命した。犯人は待機していた車に乗り込み逃亡、1キロほど離れた空き地でその車に火を放ち証拠隠滅を図った。目撃証言によって実行犯が男2人、逃亡を助けた運転手は女で、男のうちの1人はETAのメンバーであるゴルカ・パラシオスと酷似していることが判明している。
逃亡経路や逃亡車輛に火を放った場所などからみて犯人が相当付近の地理に詳しいと考えられ、刷新された“コマンド・バルセロナ”による犯行もしくはそれに近い協力者がいたものとみている。また、先月ウエスカで爆発物を載せた車を置き去りにした人物が今回の事件に関与しているのではないかという可能性も指摘されている。
被害者となったルイス・カサド氏は93年にPPの党員となり、95年より同市の議員を務めていたが、バルセロナのベッドタウンにあたる同市の地域整備に力を注ぎ、地域住民と市との橋渡し役となっていた。
カタルーニャでは94年以来ETAのテロによる死者は出ていなかった。カタルーニャ州ジョルディ・プジョール知事は、何年も前からカタルーニャでもこのような悲劇が起こるであろうと考えていたこと、誰も暴力の対象の外にいることはできないのだ、とコメント。しかし、すべての過程には終りがあるのだから希望を失なわず、皆で暴力を否定していくことを求めた。

エクストレマドゥーラ州政府、児童の不登校に対する父兄への訴訟取り下げ

昨日、エクストレマドゥーラ州の15町村に住む4000人の生徒の父兄約400人が州政府に対し、各町村に新たな施設の設置を求めて州議会前で座り込みの抗議行動を起した。
これは各町村に学校がないために生徒が近隣の市町村にある学校に通わなければならないことへの抗議で、現在父兄は子供達を学校に通わせないという行動に出ている。
エクストレマドゥーラ州のロドリゲス・イバーラ知事はこの父兄の行動に対し、親としての義務違反を理由にエクストレマドゥーラ高等裁判所に提訴した。しかしながら、PSOE州政府に最も近しいといわれる同裁判所の検察局長に、犯罪にあたるとは思われないとの判断を下され、提訴を取り下げている。提訴取り下げに関し、同知事は「提訴を取り下げたのではなく、州内でこのようなことが起きていると説明した書面を撤回しただけである」とする。
マドリードで唯1人未成年保護のために奔走する弁護士、ハビエル・ウラ氏は父兄が行政に圧力をかけるために子供達に不登校を強要することは子供達の権利を侵害している、と話し、検察が介入すべき問題であると述べている。

第48回サン・セバスティアン映画祭開幕

昨日、第48回サン・セバスティアン映画祭が始まった。
今年の開幕作品はビルバオ出身のアレックス・デ・ラ・イグレシアの「La Comunidad」で、30日までの間に15作品がコンクールに出品され、18万人の観客動員を見込んでいる。
恒例の開幕カクテルパーティーは昨日ETAによって殺害されたバルセロナのホセ・ルイス・ルイス・カサド氏の喪に服すということで中止されることが宣言され、大きな拍手を持って受け入れられた。 開幕式では昨年度の最優秀映画賞が「マグノリア」に贈られたことが発表された。
映画祭の審査委員長はイギリス人スティーブン・フリアーズ、スペインからは女優のアンヘラ・モリーナが参加している。


9月21日(木)

政府、農業団体に対し改善策を提案

昨日、政府は農業団体と再び会談を持ち、燃料価格高騰の対応策として農業団体に対し徴税システムの改善などの案を提示した。
農業団体との会談に臨んだ農林、大蔵の両大臣は、所得税と付加価値税のシステムを改善することを提案し、さらに、300億ペセタの貸付の権利を農業団体に与えることを申し出た。この提案によって、農業団体はディーゼルオイルを今までの35%安で購入することが出来ることになる。しかしながら、農業団体が政府に求めていた最大の要求であったディーゼルオイルにかけられている特別税の減税は承認されなった。
今回、政府側からなされた提案の最大の目的は、燃料価格高騰に苦しむ農業団体の税負担を軽減することと各団体からの抗議運動を終結させることであり、クリストバル・モントロ大蔵大臣とミゲル・アリアス・カニェテ農林大臣は、「(目的を達成する為に)今回の提案が我々の出来る最大の努力である」とコメントしている。一方、農業団体側は今回の会談を、政府からの提案を十分検討することと抗議運動を起さないように努力することを明言するのみで終了させた。
また、同じく燃料価格高騰に対し抗議運動を起している漁業組合は昨日もパルマ・デ・マジョルカの漁港を5時間封鎖した。

ジョアン・ジャネラス、自転車競技で金メダルを獲得

シドニーで開催されている夏期オリンピック大会でスペイン人自転車競技選手がスペインに2個目の金メダルをもたらした。
金メダルを獲得したのはジョアン・ジャネラス選手で、自転車競技のトラックレースを制した。ジョアン・ジャネラス選手はレース前半、集団の後方からレースの進行状況を観察していたが、レース進行ペースが遅かったためレース中盤にペースを速めるために勝負を賭けた。のちは自分のペースでレースを運び、レース後半はロシア人選手と韓国人選手と競ったが、そのまま逃げ切り金メダルを手にした。
ジャネラス選手は4年前のアトランタ大会では、同競技で6位という不本意な結果で終ってしまった。その前回の屈辱をバネに練習を重ねた結果が、今大会での金メダル獲得につながった。

アルツハイマー病が原因の死亡件数、スペインでは7%増加

近年、アルツハイマー病患者の数は増加しており、21世紀には最も一般的な疾患の1つとなることが予想されている。
先日発表されたカルロス3世保健研究所の研究によると、スペインでは1989年からアルツハイマー病が原因で死亡する患者が女性では6,7%、男性では4,3%増加しており、約40万件の死亡例が出ている。
アルツハイマー病は老人性痴呆症の主な原因となっており、その症状は記憶力、方向感覚の退化や話の内容が支離滅裂になるなどである。さらに症状が進行すると、車の運転や家電、電話の操作などにも影響が出るようになり、末期には食事の時間や起床の時間を忘れ、日常の生活を営むことが難しくなってくる。様々な研究の結果、アルツハイマー病を起こす因子は少なくとも5個は解明されたが、今現在は治療法が開発されていない。よって、現在は薬物投与により症状の進行を遅らせることしか出来ない状態である。
世界的にアルツハイマー病は第3の死因となっている。現在スペインでアルツハイマー病にかかっている患者の8%が在宅ケアの必要性があるが、実際には1,8%しか在宅ケアの援助を受けられていない。このような状況に対し、医療関係者は政府に十分な対策を取るように要求している。
現在スペインでは約700万人が65才を超えており、150万人が80歳を超えている。


9月20日(水)

PP、婚姻していないカップルに対する法制定の提案を却下

昨日開かれた議会にて、PSOE、IU、CiU、ICの各党から提案された、籍を入れずに同棲しているカップルに対し、婚姻している夫妻と同等の権利を与えるという法の制定をPPは大多数の一致で却下した。
PPのスポークスマンであるロサ・エスタラス氏は、今回PPが提案を却下した理由について、「現行の憲法では男女間での婚姻しか認めておらず、偽の革新主義に巻き込まれるべきではない。」とコメントした。これに対し、クリスティーナ・アルベルディPSOE代表は、「保守主義者達は以前離婚に反対したように、今回も法の制定に反対している。PPがいかに頑なな態度を取ろうと、将来には法の制定は行われるであろう」と反論した。
今回の法の制定で最も議論されているのは同性愛カップルの承認についてであり、PPはこの論点に対し、「同性愛が子供達に対し害を与えるかどうかという研究がまだ十分に進んでいない」と承認に対し否定的な態度を取った。一方、ICのスポークスマンであるジョアン・サウラ氏とマリサ・カストロIU代表は、「男性が男性を愛することを否定すべき理由は1つも無いし、女性が女性を愛することも否定されるべきではない。また、子供達にとって最も大切なことは家族の愛情の中で育つことである」とPPの方針を批判した。

34都市にてディーゼルオイルの値上げ対応策を求めるデモが行なわれる

昨日、マドリッド、セビージャ、バジャドリッド、サラゴサなどを始めとする34都市において、ディーゼルオイルの価格高騰に対し政府が何らかの対応策を取ることを求めた農業団体や漁業団体による大規模なデモが行なわれた。
農業団体は大量のトラクターを持ち出し、石油精製所などの石油タンク付近を囲い交通を遮断するなどして、政府に早急な対応を訴えた。また、農業団体は今日か明日には政府と会談を持つことを要求しており、その会談の中でいくつか出されている燃料価格高騰対応策を検討する予定となっている。
一方、漁業団体はマラガ、アルメリア、ウエルバ、バルバテ、カディスの漁港にて幾千もの漁船を用いバリケード作り、政府に燃料価格高騰の対応策を求めた。また、カステジョンの漁業団体もバリケードを作り、石油業者BPの石油輸送船の出港を阻止した。
また、燃料消費者協会は今日もデモを行う予定となっている。

スペインのナンバープレートには地域を識別するマークは表示しないと可決

スペインは、乗用車のヨーロッパ仕様のナンバープレートに、地域や州などを識別するマークを表示しない方向を取ることになった。
CiU、PSOE、PNV、IU、CCなどの野党は、地域を識別できるように自治体名の頭文字3文字をナンバープレートに表示させることを要求していたが、PPはこれを拒否し、議論の結果PPの方針を採用することになった。よって、スペインのナンバープレートは星で輪を描いたヨーロッパのシンボルと国名の頭文字のE、登録ナンバーのみとなる。野党側はこのPPの強引な決定に対し、「議会を軽視している」と批判している。
一方、国名の頭文字であるEを表示させることに付いては満場一致で可決された。


9月19日(火)

バスク地方警察の労働組合、バスク州内務局長バルサ氏の指示を“恥ずべきこと”と糾弾

先週金曜日にETAを支持するグループのデモと平和を求める市民集団とがサン・セバスティアン市中で衝突し、バスク地方警察エルチャインチャが市民集団を排除しようとした事件につき、エルチャインチャの大部分が所属する労働団体ERNEは、命令を下したバスク州内務局長ハビエル・バルサ氏に対し、エルチャインチャにこのような行動させたことは“恥ずべきこと”であると糾弾している。さらにバスク議会でこの事件についての調査を開始するよう求めていく。
また、ユーロ議会議員で1984年にETAによって社会党議員であった夫を殺害されたバルバラ・デュークホプ氏も、市民集団の中にいた息子がエルチャインチャに暴行を加えられたとし、バルサ氏を傷害と監督不行届きで提訴している。
この事件により微妙な立場に立たされたバルサ氏は、急進派グループが前もってデモの届出をしていたことで法的には問題無いと説明、届出の無かった市民グループの行動も倫理的な理由から理解できるものとし、心情的には後者に属すること明らかにしているが、市民には法規制の範囲内での抗議行動をするよう求めている。

モロッコ国王モハメッド6世、スペインへ初の公式訪問

昨年のモロッコ国王ハッサン2世逝去後即位したモハメッド6世国王は昨日からスペインへ即位後初めての公式訪問でマドリードに滞在している。
初日である昨日はスペインとモロッコの関係について、特定の地名を指す事は避けたが、今年2月にアルメリアのエル・エヒドで起こったモロッコ人排斥運動や他の地方でも頻繁に見られるモロッコ人蔑視に関して嘆かわしい出来事であると発言、しかしスペイン王室との親密な関係はこれらの問題を解決してくれると期待をこめて話した。
また、王宮で催された宮中晩餐会では、まだまだ両国の関係は緊密なものではなく度々取り上げられる様々な問題、意見の相違は不信感を抱かせる、とコメント。
スペインのモロッコ人社会に向かってはセビージャとアルメリアに新たに領事館を開設すること、ブルゴスとバレンシアに出張所を設けること発表している。

シドニーオリンピック、スペインにメダル2個

昨日、シドニーオリンピックに参加しているスペイン人選手2人が待望のメダルを獲得した。
今大会初のメダル獲得者となったのは女子水泳背泳ぎ100メートルで3位のニーナ・ジバネフスカヤ選手。次の200メートルでは金メダルを狙う。ジバネフスカヤ選手はバルセロナ、アトランタ五輪にはロシアの選手として参加、その後スペイン人と結婚し、スペイン国籍を取得した。試合後のインタビューでは「スペインの国民がスペインに帰化したロシア人がメダルを手にしたというのではなく“スペイン人”がメダルを獲得したのだ、と思ってほしい。」とコメント。
スペインに初の金メダルをもたらしたのは女子柔道57キロ級のイサベル・フェルナンデス選手。3回戦では日本人の日下部基栄を準決勝ではオーストラリアのペクリを微妙な判定で下した。決勝では昨年の世界選手権で破れたキューバのドゥリウリス・ゴンサレスと対決、両者とも“指導”を何度かとられ、大技がでることなく試合を終えたが、優勢であったフェルナンデス選手が勝利、雪辱を果たした。


9月18日(月)

ETAの武装部隊15人がフランスで逮捕される

先週金曜日にフランス警察がスペインの治安警察隊の協力を得てETAの武装部隊の一斉検挙を行い、現在までに15人の逮捕者が出ている。このうち7人は部隊の中でも最重要幹部にあたり、スペイン内務省ではETAに大打撃を与えたものと確信している。
スペイン国境に近いビダールでETAのナンバー1と言われているイニャキ・デ・レンテリアを逮捕後、家宅捜査により押収された書類によりサールに爆発物製造工場があることをつきとめ、爆発物取り扱いのエキスパートである“アインスタイン”を逮捕。ソニャク・エ・キャンブロンではダイナマイトを隠してある地下壕が発見され、サン・ポール・レ・ダクスでは昨年9月にプルヴァンで盗まれたダイナマイトの一部が押収された。
また、偽造身分証明書などをつくる作業場がバヨーナにあることもつきとめられた。偽造書類を作る部隊のトップであり、18人の殺害、2件の誘拐にかかわり、ウルグアイに逃亡を図っていたロサリオ・デルガドも逮捕されている。
1998年から昨年にかけてETAが停戦していた間に南アメリカ諸国に潜伏していたETAのコマンド部隊がぞくぞくとスペインにもどってきていることが確認されている。

政府、燃料の値上がりに抗議する団体との交渉開始

昨今の燃料の高騰に抗議の声が日に日に大きくなっている中、本日より中央政府は値上がりの影響下にある各団体との交渉を開始する。
まずは農業団体、そして運送業界との話合いとなるが、現在までのところ両セクターの要求は少なくとも一定の期間はディーゼルオイルの特別税の4.9ペセタ値下げを要求、中央政府側は税制を調整する方向に持っていきたい意向。
燃料消費者団体では2つの団体の交渉が暗礁に乗り上げた場合にはフランスやイギリスで行ったような強硬手段に出ることを匂わせており、バレンシアでは金曜日に大規模な抗議運動を起すことが計画されている。

ロベルト・エラス、「ブエルタ・エスパーニャ」を制す

21日間にわたり行なわれた自転車レース「ブエルタ・エスパーニャ」は、昨日ケルメチームのスペイン人ロベルト・エラスが総合優勝して幕を閉じた。
今年26歳、1メートル72センチ、60キロの決して恵まれているとはいえない体型のエラス選手は5年前よりケルメチームに所属、少しずつ力を蓄えてきた。この優勝でさらに力を伸ばしたい同選手は世界のトップであるアームストロング選手のいるUS POSTALチームへの移籍を考えている。レベルの高い選手と競うことでレベルアップを目指すエラス選手とアームストロングの後継者を早めに決めておきたいUS POSTALチームの利害は一致しているが、ケルメチームとの契約をあと2年残している。この優勝によりケルメチームはエラス選手に1億ペセタのボーナスを支払うことになるが、他チームに移籍することとなれば、その移籍金2億5千万ペセタがころがりこむこととなるのでスポンサーとしても悩むこととなりそうである。


9月15日(金)

サン・セバスティアンでまたもやテロ、殺害未遂に終る

昨日夜8時40分頃、ギプスコア県サン・セバスティアンでETAのメンバーと見られる人物にデウスト大学教授ホセ・ラモン・レカルデ氏(68歳)が襲撃された。
同氏が自宅前で車から下りたところへ1人の女性が近づき、発砲後逃走した。被害者は顔に弾丸を受けたが、自らの足で自宅に入り助けを求め、その後救急車で病院に収容された。弾丸は左頬から口腔内を通り、首筋で留まっているが、幸いなことに急所を外れていたことから一命をとりとめている。
同氏は60年代にバスク語の教育機関の設立に携わり、政党を結成しフランコ政権によって逮捕・拷問を受け刑務所に入っていた経験も持つ。80年代後半から90年代にかけてはバスク政府の教育・大学・研究部門の顧問を引きうけ、PSOE政権時代のスポークスマンを務めていた。94年には政界から引退し、大学で教鞭をとっていた。
バスク議会スポークスマン、ジョン・イマス氏はレカルデ氏が過去にはフランコ主義と戦い、現在でもバスク語の擁護に貢献してきたその功績を称え、今こそ平和の為に一致団結して行くことが必要なのだとコメント。
このテロ行為は2日前に政府内務省が行ったETAの下部組織であるEKINやその他メンバーの一斉検挙に対する報復措置ではないかとみられている。

ガソリン税の値下げ拒否の中央政府に対し、バルセロナとメリダで抗議行動

昨今の燃料の値上がりで、直接影響を受ける業種では中央政府に対し、有効な措置を考えるよう求めてきたが、何の対策もとられないままでいることに業を煮やした各業種では本日バルセロナ、メリダで抗議行動を起こす予定としている。
運送業、タクシー業、農業、漁業などの組合では燃料の急騰に、燃料税の利率を下げることを要求しているが、政府は拒否の姿勢を崩していない。ミゲル・アリアス・カニェテ農業大臣は農家が支払わなければならない付加価値税を操作することで燃料値上げ分を穴埋めできるような措置をとる予定であると発表しているが、農業団体ではそれだけでは充分ではない、と反論している。
経済省では減税することはないとしながらも関連業界との話合いを進めていくとする。 話合いが停滞する中、スペイン運送業団体では来月10月2、3、4日に全国的なストライキを召集することを決定、政府への圧力をかけている。


9月14日(木)

スペイン政府とドイツ政府、戦車賃貸契約更新で意見割れ

スペイン陸軍は、この2ヶ月間のうちにスペイン政府とドイツ政府との間で契約更新の合意に達する事ができなければ、11月に賃貸契約期限が切れる108台の戦車"レオパルド"をドイツに返還しなければならない。
現在の契約は1995年に交わされたものであり、1台に付き年間85万ペセタでスペイン陸軍に戦車を賃貸するという内容となっている。
今回の契約更新を複雑なものにさせているのは、軍事公営企業であるサンタ・バルバラ社を民営化するために競売に出す、という国家工業団体の決定である。この競売に名乗りを挙げたのはアメリカのジェネラル・ダイナミックス社とドイツのレインメタル社、カスル・マフィ社であるが、ジェネラル・ダイナミックス社が先のドイツの2企業と技術契約を交わすのではないかという予想を基に、国家工業団体は現在、サンタ・バルバラ社をジェネラル・ダイナミックス社に売却する方針を取っている。
これらのことを受けてドイツ政府は、「サンタ・バルバラ社はドイツの財団に売却するものと考えていた」との反応を示している。さらにドイツ政府は、次期契約更新時には賃貸料を値上げする事をスペイン政府に予告しており、双政府間での合意達成は未だ複雑なものとなっている。

イベリア、15日から30日までの間12本の国内便を欠航

イベリア航空は今月15日から30日の間、12本の国内通常便を欠航することを発表した。
今回の欠航はエアー・ヨーロッパのストライキの影響によるものであり、欠航便が出るのは、マドリッド・バレンシア間、マドリッド・グラナダ間、マドリッド・サンティアゴ・デ・コンポステーラ間、マドリッド・ビルバオ間、マドリッド・マラガ間、マドリッドとバルセロナをつなぐプエンテ・アエレオの各路線の予定。うち、マドリッド・バルセロナ間を就航するプエンテ・アエレオは、通常運行本数の50%が欠航便となる見込みである。
イベリアは欠航便が出ることに対し、通常使用する旅客機よりも大型のものを使用したり特別便のフライトを組むなど利用客に不都合のないように対応する、とコメントしている。

1600年制作のエル・グレコの作品をプラド美術館に展示

昨日、フェルナンド・チェカプラド美術館館長は、1600年に制作されたエル・グレコの祭壇画を展示することを公表した。
展示される予定の祭壇画は、6枚のシリーズの絵画から成り立っているものであり、1593年にその完成を見ることなくして他界したマリア・デ・アラゴン夫人により制作依頼された作品である。今回修復、展示される祭壇画を構成している6枚の絵画のうち5枚は既にプラド美術館が所蔵していた物であり、今まではエル・グレコの部屋に展示されていた。残る1枚は国立ルーマニア美術館の所蔵作品であり、今回修復の為にプラド美術館に貸し出された。今回の祭壇画修復は、1600年に作品が完成した当時の状態を復元する事を試みたものである。
このエル・グレコの作品はプラド美術館1階の27番展示室に展示される予定となっている。


9月13日(水)

19人のETAの支持者、逮捕される

今日未明、ビルバオ、ギプスコア、ビトリア、マドリッドにてETAの犯罪に加担したと見られる容疑者19人を逮捕した。
今回の検挙は、全国管区裁判所判事であるバルタサル・ガルソン氏の発令によるものであり、この最大の目的は、ETAとETAを支援する組織であるEKINとの関係を崩すことであった。EKINは昨年9月に過激なETAの支持者によって組織されたものであり、停戦中に再構成されたETAの組織の中で中心的な役割を果たしていると見られている。
今回逮捕された19人の中には、元ナバーラの国会議員であったハイメ・イリバレン、ハライのスポークスマンであったアナ・リサラルデ、ETAを支持する政党のHBの顧問弁護士であるホセ・ハビエル・マタンサなどの顔ぶれもあった。
現在警察は今回逮捕した19人が、何時、何に対してテロを行うかなどのETAの活動方針を決定するのに加担していたのではないかと調査を進めている。
今回の検挙に当たり、約300人の警察官が出動した。

マラガで行方不明の女性、遺体で発見される

日曜日からマラガのアロラ市で行方不明となっていたアナ・エレナ・ロレンテさん(20)の遺体が、昨日午前11半時頃発見された。
殺害されたアナ・エレナさんは、日曜日に友人達と村祭に参加したのち、同日午前7時少し前から行方不明となっていた。アナ・エレナさんの遺体が発見された場所は、同市を流れるグアダロルセ川の川辺であり、そこは天然のさとうきびが生い茂っていて地元の若者達が川泳ぎをしたり、猟師達や牧畜農家達がしばしば訪れている場所であった。
発見されたアナ・エレナさんの遺体は行方不明となった当時のままの衣服を身につけていたが、被害者が所持していた携帯電話が入ったかばんは無くなっており、のちの捜索で、かばんはグアダロルセ川から発見された。
詳しい死因はまだ判明していないが、致命傷となったのは頚部の切り傷と強打であると見られている。また、殺害されたのちに遺体を移動させた痕跡はなかった。
アナ・エレナさんの遺体が発見された場所は、地元住民でもあまり知られてないくらいの場所であり、犯人は付近をよく知っているものではないかと見られている。

逮捕された不法移民、既に昨年の2倍以上に

今年8月の時点で、スペイン入国を試み逮捕された不法移民の数は、既に昨年の2倍以上となった。
今年度のスペイン不法入国者増加の傾向は1月には既に見られ始めており、昨年1月に逮捕された不法移民は132人であったのに対し、今年1月は569人が逮捕された。その数値が急激に増加したのは5月であり、1,263人の不法移民が逮捕され、6月にも1,195人、不法移民合法化手続きが行なわれた7月には1,774人もの不法移民が逮捕された。8月には既に不法移民合法化手続きが終了したこともあり、逮捕された不法移民は807人と減少した。しかし、今年は既に計7,833人もの不法移民が逮捕されており、昨年度逮捕された3,569人と比較して2倍以上の不法移民逮捕者が出ていることになる。
また、昨日もカディスのタリファとランサロテのアレシフェで51人の不法移民が逮捕された。


9月12日(火)

PP及びPSOE、バスク州首長に最後通牒をつきつける

バスク州議会において急進派民族主義政党EHの議員14人が議席を放棄したことにより、穏健派のPNV政権が危うい状態に陥っている。PNVはEAとEHとの連立により州議会で政権を維持していた為、EAとPNVだけでは過半数に達しず、野党の支持を得られない今、議会解散かもしくは首長辞任かという選択を迫られている。
イバレチェ首長が議会にて各党に対し今まで通りの信頼を求めているが、野党のPP及びPSOEは首長に議会の早期解散、選挙の前倒しを要求することを決定している。今月22日までに首長が議会の解散を命じない場合は野党からイバレチェ首長への不信任案を提出しており、PPでは、民主主義の原則として政府が過半数を維持できない場合には市民の意見に耳を傾け、決定権を預けなければならないのだ、とコメントしている。

国王夫妻、ポルトガル公式訪問

昨日からスペイン国王夫妻が4日間の予定でポルトガルを公式訪問している。昨日の午前中はポルトガルのサンパイオ首相夫妻に迎えられ、先週金曜日に国王夫妻の3番目の孫が誕生したことの祝福とお祝いを贈られた。夜には晩餐会が開かれ、その席でサンパイオ首相は、民主主義という規範の中で両国の共通した関心事を守る為に明確かつ毅然とした態度で対処しなければならない、昨今スペインで起きている民主主義の根底を揺るがすような犯罪行為に対する怒りの声を抑えることはできない、とのコメントを読み上げ、テロ行為根絶の為の協力を惜しまないことを約束した。
国王は本日午前中にポルトガル議会を訪問、午後にはエストリルに向かい、幼少の頃よりの友人達と懐かしい時を過ごす予定にされている。

アビラの山火事で消火隊の1人が煙にまかれて死亡

先週金曜日夜に人口1300人のペドロ・ベルナルド村(アビラ県)で発生した山火事は土曜日に一旦は鎮火の方向に向かっていたが昨日になり火の手が激しくなっている。消防隊は夜を徹しての消火活動を行っていたが、隊員のひとりが活動中に煙に巻かれて死亡している。
この火事により既に1700ヘクタールの松林が燃えてしまったが、近隣の市町村への被害も予想された為、100人以上の住民が避難することになったが、中にはその地を離れることを拒否する人達もでてきているもよう。
一方、治安警察隊は地方道501号線で行っていた検問により、この山火事の原因となっている放火犯を逮捕したことを発表した。犯人は以前にも放火により逮捕された前歴を持っており、逮捕後に自白をしているということである。


9月11日(月)

ETA、今度はディスコを爆破

昨日午前中、ギプスコア県イツィアルにあるディスコ「チチャロ」が爆破され、屋根が吹っ飛ぶなどし大きな被害を出した。近隣には人家がなかったこと、日曜の午前中ということで中には人がいなかったため人的被害を出さずに済んだ。また、この施設の維持・保全の係である夫婦が爆弾を仕掛けた人物に連れ去られ、数キロ離れた山林の木に縛り付けられているのを狩猟に来た人が発見し、保護されている。爆発の数分前にETAを名乗る人物から赤十字に爆破予告の電話が入っていた。
このディスコのオーナーは先月ETAによって殺害されたギプスコア経営者団体会長ホセ・マリア・コルタ氏の弟のナルシソ・コルタ氏。コルタ家では殺害事件後にHBに対し、なぜホセ・マリアが殺害されなければならなかったのか説明するようにと何度も求めていた。しかし、これに関する公式な釈明はなされておらず、この爆破が要求に対する答えであり、同家をだまらせることを意図したものであるとみられる。PNVではまるでマフィアの報復のようである、とコメントを出している。

アスペストが原因による死亡者は年間500人

厚生省が発表したデータによるとスペイン国内におけるアスベストが原因による死亡者は500人に上るとされる。肺がんや胸膜がんでこれから30年の間にEU全体で50万人が死亡する可能性があるという研究結果が出ている。
この発表に対して、CCOO、UGT等の労働団体では1998年のフランスやドイツ、イギリスで2000人から4000人の死亡者が確認されていることからスペインでも1000人は下らないであろうと指摘している。国内での消費量はここ15年で10万トンから3万トンと減少しているが、直接アスベストの危険にさらされている労働者が6万人ほどいる。
EUでは昨年にアスベスト禁止の指針を承認するに至ったが、スペイン、ポルトガル、ギリシャに関しては5年間の猶予期間を与えるということで、2005年までこの法令の発効の先延ばしを認められている。この移行期間中にアスベストを代替物へ切りかえること、この職業に従事している労働者の雇用を確保することに力を入れていく。

極右の犯行か?バルセロナで北アフリカ系の青年殺害される

昨日、バルセロナ路上で北アフリカ出身の27歳の青年がいきなり銃で頭部を撃たれ、病院に運ばれたが死亡した。
事件はこの青年が友人と歩いていたところ、スキンヘッドのグループの1人に話しをかわすかかわさないかのうちにいきなり発砲されたという。たまたま、友人は数メートル離れていたところにいたため、被害者との会話がどんな内容であったか不明だが、口論にまで発展していたことはないという。
目撃証言では犯人グループがスキンヘッドの格好をしていたことから極右グループであると見られている。警察でもその線での捜査を進めているが、みかけにだまされていることも考えられるため、外国人排斥を叫ぶグループの犯行である可能性も捨てていない。


9月8日(金)

HB、EHの議員をバスク議会から引き上げることを正式発表予定

バスク民族主義急進派であり、ETAを擁護するグループであるHBはHB内の議会政党であるEHの議員14人をバスク議会から引き上げることを、本日正式発表する予定としている。
HBではバスク穏健派政党であるPNVとEAからテロ行為を犯罪として認め、ETAと距離を置くように強要されたこと、リサーラ同盟が形骸化したこと、ビトリアや他の市町村でEHとの連立を解除したことなどを理由としており、議会自体がスペイン国家に依存し、バスク国家として機能していないなどとする。
このEH議員14人が議会から撤退することで、EHとの連立によって政権を取っていた27議席保有のPNVは過半数割れすることとなり、PP、PSEなどの野党32議席に対して絶対的に不利な状況に追いこまれる。但し、不信任案の提出には絶対過半数38票が必要となるため、PNVにとって最悪の事態は免れるが議会運営で主導権を握ることは非常に難しいものとなる。

ビスカヤで貨物列車正面衝突、4人死亡

昨日8時40分頃、ビスカヤ県カランサでスペイン狭軌鉄道FEVEの貨物列車が正面衝突し、両方の列車に乗っていた機関士2人と補助機関士2人が死亡した。
この鉄道はサンタンデールとビルバオを結ぶ路線で1日に貨物列車が8本と乗客を乗せた列車が6本走る。事故の起こった地域は単線で、サンタンデール行きの列車がカランサ駅で待機し、ビルバオ行きの列車が通過してから発車というタイムスケージュールをとっていた。しかし、ビルバオ行きが通過する前にもかかわらず、許可なくサンタンデール行きが出発してしまい、大惨事が発生してした。早まった出発に関する原因は未だ不明であるが、駅のシステムもしくは信号がうまく働いていなかったという可能性も指摘されている。両方の列車に乗っていた機関士も15年以上勤続のベテランであるとのこと。
衝突した一方のサンタンデール行きの列車の機関車2台が12メートルしたのカランサ川に落下し、もう1台も途中の木にひっかかった状態で炎上、救出作業が困難を極めた。また、積んであったディーゼル油が川に流出、川を汚染することが懸念されている。
事故の起こった場所は勾配がきつくカーブのため見通しが悪く、貨物列車は時速30キロと遅い速度で走っていたにもかかわらず、直前まで気付かなかったものと思われる。

ミハスの女性殺害事件、遺体発見より10ヶ月で容疑者逮捕

昨年10月、19歳の女性が恋人の家から自宅に戻る途中に行方不明になり、11月になってから遺体が発見されたアンダルシア、ミハスの事件で、昨日容疑者が逮捕された。
逮捕されたのは殺害された女性、ロシオ・バニコフさんの母親の親友の女性で、母親が夫と離婚したのちに子供3人とともに一緒に住んでいた人物。
地域住民や被害者の親戚は、容疑者は被害者を小さい頃から自分の子供同然に育てていたことを知っており、驚愕をかくせないでいる。被害者が行方不明になった当時、住民の組織する捜索隊にも積極的に参加しており、殺害の動機がなんであったのかは不明。
遺体が発見されたときには、暴行の形跡があったが、バラバラにされ、酸で焼かれていた為身元の確認作業に時間がかかった。当初、この事件にかかわった人物は男性2人、女性1人と言われていた。


9月7日(木)

ユーロの為替レート、過去最低を記録

1999年1月に導入されてから価値低迷が続いているヨーロッパ単一通貨のユーロは、昨日過去最低の為替レートを記録した。
昨日の取引では一時、1ユーロ、0,8690ドルにまで貨幣価値が下がったが、のちに回復し、1ユーロ、0,8818ドルで取引を終えた。ユーロが導入された昨年1月の時点での取引額と比較すると、昨日の取引終了の時点でユーロはその誕生から25,5%の価値を失ったことになる。
このようなユーロの状態に対し、ウィム・ディッセンベルグヨーロッパ中央銀行会長は、「EU各国の政府はインフレを抑えるために対策を打たなければならない。また、ヨーロッパ中央銀行はこのようなユーロの状態を注意深く観察しつづけて行く必要がある」との見解を発表した。一方、同銀行のスポークスマンはユーロの現在の状態についてコメントをすることを控えた。
このようなユーロの状態について経済学者は、国際原油価格の高騰がユーロ低迷の原因の1つと見ている。昨日もまた国際原油価格は値を上げ、過去10年間において最高値の1バーレル34ドルとなった。

PNVの市会議員の乗用車と自宅が放火される

昨日未明、ギプスコアのレガスピアにてPNVの市会議員であるホセ・ルイス・サバレタ氏の乗用車と自宅が放火された。
まず、昨日の午前3時15分頃、サバレタ氏自宅近くに駐車してあった氏の乗用車が火炎瓶によって放火され、引き続き同氏の自宅玄関にも爆発物が投げ込まれた。幸いにして自宅に投げ込まれた爆発物は建物内部にまで被害を拡大させることはなかったが、サバレタ氏自宅玄関の大部分は焼失した。
今回の犯行を行ったのは、ギプスコアで暴動を起していた地元グループの1つであり、このグループは社会党員を脅迫しつづけ、先月の10日にPNVの本部に放火したグループであった。
のちほど犯行を行ったグループのメンバーから地元のラジオ局にかかってきた電話によると、今回の犯行の実際の標的は、PNVの市会議員であるホセ・ルイス・サバレタ氏ではなく、バスク地方警察"エルチャインチャ"の隊員である同氏の息子であったことがわかった。

携帯電話の電波塔と人体の距離は7メートル以上理想

カルロス3世保健研究所と厚生省が発表した報告書によると、携帯電話の電波塔と人体との距離は少なくとも7メートルあることが望ましいということがわかった。
GSMシステムの携帯電話の電波塔は、スペインにおいては1995年から設置され始め、ここ数年のうちにその数は爆発的な勢いで増え、現在、約22,000の携帯電話の電波塔がスペイン各地に設置されている。都市部に設置されている電波塔も少なくなく、これらの電波塔の大多数は高層ビルのテラスや屋上に設置されている。現在設置されている22,000の電波塔のうち約9,000本はテレフォニカの所有となっており、約6,500本がアイルテルとアメナの所有となっているが、この3社ともカルロス3世保健研究所が推奨する設置基準を満たしてはいない。テレフォニカのスポークスマンによると、「3メートルという最低安全距離は確保して設置している」としているが、電波塔から放射される電磁波は電離されておらず、人体への影響が懸念されている。
スペインではまだ電磁波による人体への影響の研究は進んでいないが、この部門の研究が進んでいるイギリスでは、「電磁波による人体への影響は皆無ではない」として、住宅街や学校の付近などに電波塔を設置することを禁止する方向に向かっている。また、ノルウェーでは、学校などの教育施設から500メートル以内は電波塔を設置しないよう勧告している。


9月6日(水)

燃料消費者協会、レプソルに対し不買運動を行うことを表明

農業、貨物輸送業、漁業、建設請負業、タクシー業、一般消費者の各協会からなる燃料消費者協会は、昨日、相次ぐ燃料の値上げに対し反対運動を行うことを表明した。
反対運動は来る15日にエクストレマドゥーラ地方から開始され、のち、全国各地でも反対運動を行う予定となっている。今回予定されいる反対運動の主なものとして、燃料消費者協会は市民に対し、今月一杯レプソルYPFのガソリンスタンドでの燃料不買運動を呼びかけている。小規模農業・畜産業組合事務総長であるフェルナンド・モラレダ氏は、「不買運動は来月には他の燃料販売業者にも及ぶ可能性があり、政府が燃料価格の高騰を解消する為に何らかの措置を取らなければ、不買運動は取り消さない」とコメントした。
しかしながら燃料消費者協会は、農政において大きな権力を握るASAJAや、輸送業団体のコネトランス、消費者・利用者組合の協力を得ておらず、反対運動の影響力を最大のものとすることが難しい状態に置かれている。このような状況を前に、燃料消費者協会は、未だ協力を得られていない3団体に対し、再三なる協力要請をしている。
政府に対する燃料消費者協会の最大の要求は、燃料にかけられている税金を直ちにEU標準税率まで引き下げることであり、この要求に対しミゲル・アリアス・カニェテ農政大臣は、昨日、「特別に農業ディーゼルオイルの税金引き下げを行う可能性もある」との見解を発表した。

灌漑路建設計画草案を正式に提出

昨日、ハウメ・マタス環境省代表は生活用水が不足する地域に水源豊富な地域から灌漑路を引くという国家計画草案を国家水道審議会に正式に提出した。
昨日提出された草案は、提案されていた4つの候補のうち、灌漑路の建設経費や川の水量などから最も実現可能な計画を選出したものであり、その内容は、エブロ川下流から年間1,000立方ヘクトメートルの生活用水をカタルーニャ、バレンシア、ムルシア、アルメリアに供給するというものである。
パスクアル・フェルナンド国家水道・海岸計画事務総長は、計画草案を提出した直後、今回の灌漑路建設計画に最も反発の強かった地域のアラゴン自治州に向かい、今日アラゴン自治州の代表者達と会見し、計画に対する理解を求める予定となっている。
しかし、環境省が発表する年間必要生活用水は3,000立方ヘクトメートルから4,000立方ヘクトメートルであり、今回の計画ではその数値の3分の1も満たすことができない。
今回提出された草案によると、総529キロメートルという大規模な灌漑路建設が予定されている。


9月5日(火)

PPとPNVの話合い、平行線をたどる

昨日、2年ぶりに政府内務省とバスク国民党PNVの代表がマドリードにてテロリスト対策についての会合を持った。先週PPとPSOEのあいだで取り交わされた同意にそっての話合いであったが、両者の姿勢に大きな変化はなく、歩みよりは見られずに終了した。マジョール・オレハ内務省大臣が再三にわたりETAを擁護するHBの参加するリサーラ協定からの脱退を求めても、HBと距離をおくことを拒否。しかしながら、PNV代表のアナサガスティ議会スポークスマンはテロ撲滅に関しては意見を同じくし、ETAは殺人以外のイデオロギーを持たないと説明している。また、テロの撲滅の鍵を握るのは社会の動きにささえられた警察であるとする内務省と、暴力を警察だけでは解決できないとするPNVとの意見の相違は大きい。
さらにPSOEが政権をとっていた時代には定期的な話合いの機会を持っていたがアスナル首相に代わってからはそれがなくなってしまったことを取り上げ、アナサガスティ氏はPPにもイバレチェバスク州首長の召集する会合に出席することを求め、バスクではPPなしにもまたPNVなしにも成り立たないのだと強調している。

水の供給地に水の売上の10%を還元することを検討

生活用水が不足する地域に豊富な水源を持つ地域から灌漑路を引いてくるという環境省が推進している国家計画において、水の供給地である地方に水の売上の10%が代償として支払われることが検討されており、本日にも正式発表される。
水の供給源となる予定のエブロ川流域のカタルーニャ、ラ・リオハ、カスティージャ・イ・レオン、バスク州、カンタブリアでは年間50億ペセタ程度の収入となることが予想され、供給を受ける側のカタルーニャ、バレンシア、ムルシア、アンダルシアでは平均して1立方メートルにつき平均50ペセタ程度を支払うことに落着きそうである。但し、水源からの距離が地方によって異なる為、おのずと料金設定に違いが発生する。
水にかかる経費ではヨーロッパ委員会からの援助などをも含め、利用者が負担することとなる。経費の半分は50年間利率4%での投資に対する償還、また、水を供給する為の給水施設にかかる燃料費、10%の供給地への還元費用などとなっている。

中央政府、携帯電話市場の競争を促進するために認可枠を広げることを決定

今年4月に行なわれた携帯電話市場への参入のための競争入札でテレフォニカ、アイルテル、アメナ社に続き、Xフェラ社が4番目の椅子を獲得したことに関し、携帯電話市場が広がっていないこと、競争原理があまり働いていないことなど批判が相次いでいたが、中央政府はこの度、さらなる競争を促進する為に携帯電話のライセンス枠を広げることを決定した。
携帯電話のライセンスをおろすことでドイツでは8兆4千億ペセタ、イギリスでは6兆5千億ペセタの歳入を得たにもかかわらず、スペインでは860億ペセタしか収入がなかったことで、野党からの風当たりも強かった。科学技術省のビルレス大臣は11月からこの新たな認可計画に関する検討をはじめるとしたが、どのようなタイプの企業か、何社くらいに認可を与えるかは明らかにしていない。


9月4日(月)

コカイン密輸容疑で船舶を拿捕するもいまだ証拠品発見されず

先週木曜日にカナリアス諸島沖で先月16日にベネズエラを出航した船舶“プレビレッジ”がコカイン密輸容疑でスペイン麻薬当局に拿捕された件に関し、全国管区裁判所バルタサール・ガルソン判事は逮捕されていた20人のうちフィリピン人乗組員18人を72時間の拘留期間が経過したものの証拠品が発見されていないことから釈放することを命じた。パナマ人船長、メキシコ人水夫長はいまだに拘留されたままの状態でいる。
“プレビレッジ”はベネズエラのオルダス港を出港後、カベージョ港に立ち寄り、正規の積荷である5000トンの鋼鉄と100トンのアスファルトを積み込み、イタリアへ向けて出発している。その出港と時期を同じくして国際麻薬取締局が大規模な麻薬組織を摘発、この組織に関連する人物が“プレビレッジ”の事実上の所有者であったことなどから、同船には5キロのコカインが隠されているという情報を得て、今回の拘束に至ったもの。
80人に及ぶ警察官の捜索にもかかわらず未だにコカインは発見されていないが、当局では船が非常に大きいことと隠匿の仕方が巧妙であることから全ての捜索が終了するのにあと数日を要すると発表している。

7月1ヶ月間の公的薬剤経費、1000億ペセタを超す

スペイン社会保険システムの公衆衛生の大きな問題となっているのが公的薬剤経費であるが、7月1ヶ月間で1000億ペセタを超えたことが公表された。昨年同期と比べると14.42%増大しており、1000億という大台を超えたのは初めてのこと。1月から7月までのトータルの数字を見てみると昨年同期より8.71%の伸びに留まっている。医師の出した5千万の処方箋の平均金額は2000ペセタに近く昨年度より5.26%高くなっている。
地域別に見るとカナリアスが29.49%、ナバーラ地方が22.47%と大幅に増大しているのに比べ、バスク地方4.88%、アンダルシア8.59%と落着きを見せている。
EUでは加盟諸国に薬剤経費は年間上昇率5.5%程度におさえることが理想的だとしているが、スペインでは10.14%、ポルトガルやギリシャでは13%と数値は理想を上回る。反対にドイツやデンマークでは5.5%を保っている。
中央政府ではここ数年様々な対策を施してきたが、どれも成功には至っておらず、今年度の“プラン2000”では年間上昇率を8%と想定し、8月から実施された高額薬剤の利益の上限を定める方策と12月より導入される薬剤の値下げによって、6%にまで下げることをもくろむ。

ホモセクシュアルであると自ら告白した軍隊中尉を野党が支持

数日前に49歳になる軍隊の司法局に勤務する中尉が自らホモセクシュアルであると公表したことで各方面に波紋を及ぼしてきているが、野党各党はこの中尉を全面的に支持することを明らかにしている。 スペインの軍隊では性的嗜好による差別を禁止しているが、ホモセクシュアルであることレスビアンであることを公表する人は今までに誰一人としていなかった。この中尉は今まで自分の意にそむいてきたことがとても苦しかったと述べており、明らかにすることで法的には保護されていてもこの件とは全く別の理由によって制裁が下ることをも懸念している。
カタルーニャ連合のカンプサーノ議員は軍隊にも他の分野と同様に“ゲイ”がいるのだということを市民が受け入れ、異常なことではないのだというプロセスをつくるきっかけとなるだろう、とする。また、PSOEの議会スポークスマンであるマルサル氏は人がカトリックであるかプロテスタントであるか、レアル・マドリーのファンであるかバルサのファンであるかというのと同様で法的に保護されているのだ、と擁護する。IUでもこの中尉の決断を勇気ある行動であるとたたえ、根本的な人権の保護を軍隊にも浸透させる助けとなるとする。
この件に関し、国防省では何のコメントもだしていない。


9月1日(金)

中央政府とPSOE、テロリスト対策における基本的同意をなす

昨日、中央政府内務省とPSOEがテロリスト対策に関して会談をもち、基本的な線での合意に至った。中央政府からは内務省マジョール・オレハ大臣、国家保安局モレネス氏等、PSOEからは議会スポークスマンカルデラ氏、バスク州書記長ニコラス・レドンド氏等が出席、4時間に渡る話合いの結果、民主主義勢力が一枚岩となって事に当たるよう4つの基本項目を確認。
この会談のスポークスマン役となったカルデラ氏より、政治的な道具としての暴力を拒絶、政党間の溝を廃し国家全体の問題としてテロ行為の処置を講ずる、憲法・条例の枠を尊重、警察当局・裁判官の活動を全面援助、という基本合意が発表され、さらには“この基本項目を受け入れない者は民主主義としてのまとまりの枠に加わることはできない”と付け加えられた。
この民主主義としての団結にバスク民族主義穏健派政党であるPNVやEAにも参加を要請する予定ではいるが、マジョール・オレハ大臣は両党の参加の可能性に懐疑的であるとする。中央政府では来週月曜日にPNVとの会談を持ち、同党にドラスティックな方向転換を求めていく構えでいる。

PRISAグループ、昨年同時期に比べ40.7%の収益増

「エル・パイス」紙、「カデナセール」、「カデナ40」等のラジオ局、サンティジャーナ出版などを抱えるPRISAグループでは今年の上半期の純利益が83億9300万ペセタとなり、昨年の同時期に比べ40.7%の増収となったことが発表された。
総売上約875億ペセタは昨年度より86%増、この大躍進の要因は414億ペセタに上る広告収入によるものである。また、「エル・パイス」紙の販売部数は1日平均44万7千部を数え14.9%の収入増、さらに、ラジオ局で15.6%、サンティジャーナ出版で16.4%の収入増が見られ、「エル・ディア・デ・バジャドリー」紙も新たに発刊されている。
同グループは今年6月28日に株式市場に20.8ユーロで上場、昨日の相場では28.19ユーロまで跳ね上がっている。
フアン・ルイス・セブリアン取締役はこの結果についてグループ企業の専門家による経営がうまく波にのったこと、広告市場が好転したことが追い風となった、とする。同企業グループの次なる目的は“国際化”であるとし、海外特にアメリカ大陸への進出を視野に置いている。

アルタミラ洞窟の再現、博物館として来年にも一般公開

2年先まで見学の予約が一杯というカンタブリアにある旧石器時代のアルタミラの洞窟壁画が再現され、博物館として公開されることが公表された。
4年の歳月と30億ペセタの費用をかけて専門家によって再現された洞窟壁画はほぼ完成の運びとなり、今年10月から実験的に大学教員や旧石器時代の研究チームなどの見学を受け入れ、一般公開は来年に入ってからということになりそうである。
博物館は13万uの土地に3000uの建物をようし、エジプトの「王家の谷」を彷彿とさせる。
再現される洞窟壁画は単なるコピーではなく、描かれた1万4千年前の温度状況で色をつけ岩の形のひとつひとつまで細部にわたり本物と同様に作られている。



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