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毎日のトップニュース


9月28日(金)

バリエンテ元委員長、ビベス元監査局長の証言を否定

昨日、ヘスカルテラ問題の国会調査委員会に元CNMV(証券マーケット委員会)のピラール・バリエンテ委員長が召喚され、7時間以上にわたって同社の不正疑惑について尋問された。
同氏は、前日の元CNMVの監査局長、ダビス・ビベス氏の証言を真っ向から否定、ヘスカルテラ社への調査介入に反対したという事実はない、と断言した。「誰も同社への調査介入を進言しなかったのか、ビベス元局長が嘘をついているということか」との左派議員からの質問に「調査をしなければならないかどうかを知る者はビベス元局長一人であり、彼が調査介入を求めなかったという点から、"イエス"と言わざるを得ない」と答えた。 2人の証言が全く相反するものであることから、本日にも同調査委員会に出頭する当時のCNMV委員長であったフアン・フェルナンデス氏の証言に注目が集まっている。

宗教の教師の解雇に関する司教の権限を憲法内に限定

スペインにおいては、宗教の教師の契約更新または解雇の権限は司教に委ねられている。しかし、授業時間と給与を従来の半分に減らされた宗教の教師がカトリック教会とカタルーニャ自治政府に対して起こした裁判に勝訴した後、教会側がこの教師の解雇を求めカタルーニャ自治政府がそれを承認したのは基本的人権を侵害する憲法違反、との判決が下された。
バダローナの学校で教鞭を執っていたフランセス・ジョアン・ビゴール・ソレ教員は授業時間と給与を半分に減らすというバルセロナ大司教の決定に対する裁判に勝訴した一年後、失職した。この2つの決定において、カタルーニャ自治政府の教育局は「大司教の提案を履行」したのみであるとしており、今回の判決を下したジョアン・アグスティ・マラガル裁判官は、第2の解雇の決定は報復行為であり憲法に違反するとの判断を下した。去る5月、この決定を受け、カタルーニャ自治政府は半数の授業数と給与という失職以前の条件でビゴール・ソレ教員を元の職場に復職させている。昨日、同教員は元の授業数と給与を求めるための司法手続きを採る考えを明らかにした。

大学法案、国会での審議へ

昨日、大学法案の審議が国会で開始され、PP、カナリア連合を除く各政党から痛烈な批判を受けた。
ピラール・デル・カスティリョ文部省大臣は昨日、国会で大学法案の一般陳述を行い、この法案の目的として「近代的大学」への改変、ヨーロッパの枠組みへの歩みよりを挙げた。しかし9つの改正案が拒否された経緯を持つこの法案に対しては、PP、カナリア連合を除く各政党から痛烈な批判がなされた。批判の焦点の一つは、この春に追加条項として付け加えられた、法案受理の直後に行われることになる学長と教授会の休止の規定であった。CiUのイグナシ・グアルダンス議員はこの規定の撤回を法案受諾の条件の一つとして挙げている。同議員は、また、国立評価査定代行業者がすでにカタルーニャやアンダルシアに存在する代行業者の存在と相容れないこと、法案が持つ不安定な法的枠組み、中央主権的奨学金授与制度等を批判し、この法案を「大学が必要とするものからかけ離れ」ているとした。他の政党の議員(議員総数の約40%)もこの法案に対して「過去(50年代)への郷愁」「エリート主義」「自治州間で行われる競争を尊重していない」「干渉主義」「中央主義」等の批判を浴びせた。

逮捕されたアルジェリア人テロリストが自爆テロを計画していた可能性が強まる

一昨日、スペイン国内でテロリスト集団サラフィストグループGSPCのメンバー6人が逮捕され、押収された資料をもとに捜査が進められているが、メンバーの1人が自爆テロを計画していた可能性があるとラホイ内相から発表された。
これは、個人日記によって判明したものであるが、日記にはヨーロッパ内のメンバーとの接触や移動の記録などもあり、さらなる逮捕者が出る可能性も指摘されている。
コティーノ警察庁長官は、これら逮捕者がスペイン国内で犯罪行為をおこなっていないことを認め、武装集団に所属しているという理由により拘束されていると説明、また、国内で具体的なテロの準備が進んでいたという証拠はないと話している。


9月27日(木)

スペイン国内5ヶ所でビン・ラデン氏に関係するアルジェリア人を逮捕

昨日、スペインの警察当局は、米国で起きた同時多発テロの首謀者とみなされているビン・ラデン氏の関係者と見られるアルジェリア人テロリスト6人をアルメリア、バレンシア、ウエルバ、ナバーラ、ムルシアの5ヶ所で逮捕した。
この6人はアルジェリアに本拠を持つ布教と闘争のため団体サラフィスト・グループGSPC(先日、米国において資産凍結された団体の1つ)に所属、クレジットカードや航空券の偽造、"革命税"と称する資金集めをし、本国の組織へ資金の供給、また、活動員たちのヨーロッパ内での移動を助ける役割を果たしていたとみられている。
GSPCはアルジェリアにおける同様のテロ組織、武装イスラムグループGIAの流れをくみ、スペインで97年に同組織が摘発された時点で分裂し、個別の活動を営んでいた。逮捕者はすべて、スペイン国内に合法的に滞在していたが、国家警察によって2年以上前からマークされていた。また、今月13日にベルギー、オランダで、ヨーロッパにおける米国関連施設へのテロを準備していたと目される、自動小銃や爆発物製造のための化学物質所持によって逮捕されたチュニジア人とフランス人とも関連性をもつといわれる。

ヘスカルテラ問題、ビベス元CNMV監査局長が調査委員会で証言

ヘスカルテラ社に関する不正事件調査のための国会調査委員会にて、昨日、ダビス・ビベス元CNMV(証券マーケット委員会)監査局長が証言、1999年時点での同社への調査介入の状況について説明した。
元局長は1999年4月に4ヶ月にわたる調査によってヘスカルテラ社の不正を発見、その報告書を持ってCNMVの役員会にて、同社への調査介入を進言した。その時点では同社の会計には45億の欠損が認められ、不正がはっきりしていたことが判明していたという。しかしながら、役員会では当時の役員5人のうち3人が調査介入に反対し、それに従うしかなかったと述べた。この3人とはピラール・バリエンテ、ルイス・ラマージョPP議員、元ロドリゴ・ラト第二副首相兼経済省大臣事務所所長であったホセ・マリア・ロルダンで、当時のCNMV委員長フアン・フェルナンデスの調査賛成意見をおさえるまでになったという。さらには、それ以降、内部及び外部からの圧力によりヘスカルテラ社への調査を続行することが不可能となり、その職を辞すに至ったと語った。

コロンビア人同士の麻薬に絡む報復殺人急増、マドリードでは今年だけで16人が死亡

一昨日の夜にマドリードのアスカオ地区でコロンビア人が銃で撃たれ殺害された事件の捜査を進める警察当局では、麻薬に絡むコロンビア人の対立組織による報復闘争が激化していることを憂慮している。
今年に入ってからだけで、マドリードにて16人が殺害されており、いずれも麻薬の売買を原因とする争い、報復措置であるとみられている。
一昨日の事件では、コロンビア人経営の"ロクトリオ"と呼ばれる集合電話ボックスからでてきたところを襲撃されている。近所の人の話では、1年ほど前に開設されたこのボックスには大型車がのりつけられ数分で去っていくという奇妙な光景が日常的に繰り返されていたといい、麻薬の流通ルートのひとつとなっていたと考えられている。
警察では、コロンビア人の多く住む地域の取締りを特別に強化する方針をたてており、さらには移民局との協力により不法滞在者の国外退去処分を厳しく行っていくことなど、麻薬組織をこれ以上拡大させないよう努めていく。しかしながら、これから、さらに麻薬に関わる殺人事件や銃撃戦、報復事件などが増えていくであろうとの見通しを語っている。


9月26日(水)

ヒメネス−レイナ氏、ヘスカルテラ問題調査委員会で答弁

昨日、議会によって設置されたヘスカルテラ問題の特別調査委員会にエンリケ・ヒメネス−レイナ元経済省事務次官が召喚され、5時間にわたって答弁を行った。
同氏は委員会の追及に対して、ヘスカルテラ社への便宜、利益供与などの事実を一切否定したが、供述の中で食い違いが生じ、結局のところ、ヘスカルテラ社との関係を認めざるを得ない状況に追い込まれた。
調査委員からの質問には、「一度たりとも、ヘスカルテラ社及びその他の企業に有利となるように介入したり、とりなしたりしたことはない」と断言するも、査察の入っていた同社の状況について、当時のCNMV委員長ピラール・バリエンテに「姉の件はどうなっている?」とたずねたこと、その後、疑惑となっている昼食会のおぜん立てをしたことをも認めた。
しかし、職務上知りうる税務関係の情報を当時社長であった姉のピラール・レイナ−ヒメネスに流したかどうかについては否定、自分の姉が会計実務にうとく、説明したところで理解できないことが明らかであったとの理由を挙げた。さらに姉のしたことについて、家名に泥をぬるような行為だと批判的な発言をした。

同性同士の結婚を認める民法の条文改訂、国会で否決される

昨日、国会にて同性同士の結婚が可能となるよう、民法の条文改訂を要望する左派5党からの提案(昨日のトップニュース参照)は野党PP及びカタルーニャ連合(CIU)の反対によって、否決された。
PPでは、同性同士の結婚について法制化することの必要性は認められない、との反対理由を挙げた。また、CIUでは、夫婦として認める以前に、カタルーニャ地方において3年前に着手したパートナーに関する法律の制定を先に行うべきである、との理由を示している。
条文改訂の提案を行っていた政党及びゲイ・レズビアンの団体では、社会の現実から目をそらし、事実を隠すことはできない、早かれ遅かれ現実に直面することになるだろう、とコメント。また、PSOEは、PPの新世代の中では同性同士の結婚に承認決議を出していることを挙げ、若い層のPP議員に意見の整合性を求めた。
IUでは、スペインはアイルランド、イタリア、ギリシャと並んで、カトリック教会の庇護のもと、ヨーロッパの中でも同性の結婚に関する理解と法整備が立ち遅れた国であると、批判している。

ロシオ・バンニコフ殺人事件の被告に懲役15年

先週、陪審によって有罪判決がおりた、ロシオ・バニンコフ事件の被告ドローレス・バスケスに対して、懲役15年1日の懲役刑が決定した。また、裁判所では被害者の家族に対して、1800万ペセタの補償金を支払うよう命じた。
この事件では確たる証拠が存在しないにもかかわらず、陪審員によって謀殺という1段階重い刑についての容疑で有罪とされ、懲役年数と補償額ついては裁判官の判断が待たれていた。
原告は補償金を6千万、検察では5千万を要求していたが、死亡当時19歳であったロシオさんには養わなければならない家族がいなかったとして、司法の判断基準に沿った判決が下された。
被告はアンダルシア高等裁判所に即時、控訴する予定にしている。


9月25日(火)

ヒメネス−レイナ元経済省事務次官を容疑者として召喚

ヘスカルテラ社に絡む詐欺・横領事件の解明に力を注いでいる全国管区裁判所のテレサ・パラシオス裁判官は、同事件へ直接関与しているという容疑をもって、同社社長のピラール・ヒメネス−レイナ(刑務所に収監中)の弟で元経済省事務次官及び税務局長であったエンリケ・ヒメネス−レイナを召喚した。公式発表とはなっていないが、召喚日は今週木曜日と目されている。
警察が開示したピラール・ヒメネス−レイナの個人日記帳はCNMV(証券マーケット委員会)のピラール・バリエンテ委員長の辞任のひきがねとなり、エンリケ・ヒメネス−レイナが在職中に同社と深く関わっていたことをもさし示し同人の立場をさらに悪化させている。
また、バリエンテ元CNMV委員長が辞任する直前に、ロドリゴ・ラト第二副首相及び経済省大臣へ提出した資料によると、ヘスカルテラ社の大口顧客であったバジャドリード司教区が投資していた10億ペセタを引き上げる際、同社ではその金額をプールしていなかったため、警察互助会の投資を流用し、同会へ多大なる被害を与えたとしている。

株式市場の反動、スペインでは5.15%高騰

米国の同時多発テロの影響で低迷していた株式市場が久しぶりに反発、スペインのマーケットは1999年1月以来の高騰を記録した。
昨日の株式市場では航空関連のガメサ社が21.79%の上昇を記録したのに続き、鉄鋼のアセラリア社が16.92%、繊維業界のインディテックスが12.29%高を示した。
BBVAやBSCHなどの銀行でも10%以上、観光業界ではソルメリアグループ、NHグループなどが回復の兆しを見せ、市場を支えた。

国会で同性同士の結婚に対応するよう民法の条文改訂を討議

本日国会にて、民法44条、66条、67条の条文に関して、男女間の結婚、義務、権利などについての規定を同性間のそれにも対応するよう改訂するかどうかについて討議される。
これら3つの条文にはいずれも、男性と女性、もしくは夫と妻という表現で記載されているため、「全ての者」、もしくは「いかなる者」、「配偶者」などの表現に改めることによって、同性同士やいろいろな形の結婚や家族に対応できるようにと、IUやPSOEなどが主導となって提案しているもの。
自治州レベルでは、ゲイやレズビアンなど同性間の結婚の権利を事実婚として認められてきているが、依然として異性間の結婚に比べ法律的な制限があり差別はなくなっていない、と左派では説明している。
野党PPでは、この提案に関して全く乗り気ではなく改訂に反対票を投じることを明らかにしている。
レズビアン、ゲイ国家連盟では、国会で討議されることは画期的なことと評価、アンケートの調査結果や、7月に20万人もの人々がPPの反対に抗議の意を表したデモに参加したことを挙げ、社会的な認知もされているとコメントしている。


9月24日(月)

ETAのロジスティック部隊の幹部、フランスで逮捕される

昨日、フランスの南東部ダックスでETAのロジスティック部隊の幹部及び4人のメンバーがフランス警察に逮捕された。
逮捕された幹部のアシエル・オイアルツァバルはこれからのテロ活動のために必要とされる爆発物の強奪を計画していたとされ、成功していれば3トンのダイナマイトがETAの手にわたっていたとみられる。
ETAは今年3月にフランス、グルノーブルの火薬倉庫から1600キロのダイナマイトを強奪しており、そのうちの500キロをすでにテロ活動で使用しており、コマンド・バルセロナやコマンド・ブルンツァが一斉検挙された際に500キロほどを押収されているため、残っているダイナマイトは500キロあまりとなっていた。時間の経過とともに爆発物自体の劣化もあり、ETAでは早急な爆発物の供給が必要であったとみられる。
アシエル・オイアルツァバルは、ETAの若年層組織においてカレ・ボロッカ(街頭での破壊行為)を下地にETAのメンバーとなり、昨年同組織の幹部が相次いで逮捕されたあと、新世代の幹部としてこのロジスティック部隊を統括していた。また、同時に逮捕されたメンバーは複数の殺人事件やコスメ・デルクロ氏誘拐事件の首謀者であったことが判明している。

マドリード地方政府、2つの老人ホームを衛生管理が劣悪との理由で閉鎖

マドリード地方政府は、マドリード郊外にある2つの老人ホームを閉鎖した。
同じ経営者によるこの2つの施設では48人の老人が居住していたが、社会福祉事務局、衛生局の査察では、施設の管理状況が劣悪であるという判断がなされている。国家警察の外国人管理局も絡んでの捜査では、各施設に3人ずつ働いていた従業員のうち2人は、スペインでの労働許可書を所持しないエクアドル人であったことや、法律で定められている医療補助者を欠いていること、さらには薬品や医療用品を保管する場所の衛生状況の悪さが指摘されている。
この2つの施設は現在までに経営管理に関して重大な不正があると4回にわたって摘発されていた。
社会福祉事務局の事務官は、これらの施設の法規違反はたびたび報告されており、問題改善の姿勢がみられないことから最近では監視を強化しているところであったと話している。また、老人らの家族は施設に毎月13万から15万ペセタを支払っていたというが会計が不透明なため実際の料金は明らかになっていない。


9月21日(金)

ラト副首相、"今のところ"辞任の意向はないと表明

ヘスカルテラ問題に絡んで、CNMVのバリエンテ委員長が辞任したことを受け、ラト第2副首相兼経済大臣の進退問題が取り沙汰されてきているが、昨日、同副首相は「"今のところ"辞任するつもりはない」と断言、バリエンテ氏をCNMV委員長に任命したことに関しても責任はないとする態度をとった。ただし、議会が求めるのであれば、辞任する覚悟であることも明らかにしている。
一方、議会が設置した「ヘスカルテラ調査委員会」の最初の召喚者として呼ばれたハイメ・ガルシア・モレイ氏は、ヘスカルテラ社のオーナー、アントニオ・カマチョ(現在刑務所に収監中)と2000年10月までCNMVの副委員長を務めていたルイス・ラマジョとの親密な関係を証言、ラマジョがヘスカルテラ社をドイツの銀行に売却するよう労をとった、ということについても明らかにした。また、自らの地位について、ヘスカルテラ・ホールディング社の社長という肩書きを持ち、月々150万ペセタの給与をもらっていたが、実際は名目だけの社長職で社内事情については何もわかっていなかった、と説明し、カマチョの婚約者の父親という理由だけで、その職にいたとも話した。

イベリア航空、アメリカのテロ事件を受けた調整策を検討

今月11日に起こったアメリカでのテロ事件を受け世界的に航空業界が深刻な影響下にある中、イベリア航空はまだ具体的な対策を発表していない数少ない航空会社の一つとなっている。しかしながら、イベリアは、昨日すでに来週の役員会議に向けて新たな調整策を検討していることを公にした。
来週の役員会では、需要の低下とパイロットのストライキ問題の中で今年7月に提示された削減案が承認されると同時に、来年に向けたエアバス導入の部分的な延期または撤回が了承され、42万5千時間の総航空時間の縮小も検討される予定である。
昨日ブリュッセルで開かれた航空機関委員会に参加したハビエル・デ・イララ同航空会社社長は、航空業界がテロ事件以降被っている否定的な影響に憂慮の念を示し、未だに国からの援助を要請していないものの、内閣との接触をとっていることを明らかにした。このようなイベリアの憂慮すべき状況は、株価の4.6%低下、25%を越える損失となって現れており、ムーディーズはイベリアに対する評価を「安定」から「否定的」へとランク下げした。
一方、失業問題を解決するため、経営者側と労働団体側が調停委員会を作る目的で去る7月19日から設けられていた2ヶ月の期間が昨日期限切れとなった。昨日現在において、委員会(経営者側と労働団体側から選ばれた各2名と第三者1名)を構成する第三者の選出に関して経営側と労働者側との同意はまだ得られていない。仲裁にあたっていた経済社会評議会(CES)のフェデリコ・デュラン議長は、早急にこの第三者を選ばねばならず、経営者側と労働者側の意見が一致した場合、同議長がこの第三者となる可能性がある。

社会保険庁、3万7千人のインターン生雇用法の草案を提示

社会保険庁は、総従業員13万6千人の27%を占める3万7千人のインターン生を正規雇用するための雇用法の草案を提示した。これは、公衆衛生機関が自治州へ管轄を移行する2002年第1四半期を目前にした立法化の最後の試みであり、社会保険庁の職員代表フアン・マリア・ゴルド氏は、雇用の安定に際しては臨時雇用者のこれまでの勤続年数に応じた支払い(総額61億8千万ペセタ)がなされることになるだろう、としている。
社会保険庁のジョセップ・マリア・ボネット局長は昨日、この草案が10月前半に国会に提出されることを認めると同時に、早急に審議が「望ましい」とコメントした。しかしながら衛生運営がマドリッドを始めとする各自治州の管轄下に移動する以前にこの審議が終了することは絶望的であり、同氏によると、立法化が進む間「法的な傘(代価措置)」が採られることになる。
この正規雇用への手続きは、インターン生の誰にでも門戸が開かれ、第1選考の採用試験と、ポストの空き状況に従ってそれぞれの病院が行う面接を含めた第2選考から成っている。当初の対象であるインターン生のみならず、臨時雇用の医師(社会保険庁に属する医療機関の医師1万7千人の内6千人)が正規雇用のためこの手続きに加わることが見込まれており、また正規雇用されている医師も、ポストの移動のため、インターン生と同様にこの手続きを行う可能性があり、この立法化問題をより複雑にしている。自治州への管轄の移動後にはポストの移動がより難しくなることは必死であり、1998年には正規雇用を求めるインターン生と空きを狙う現職医師との間に生まれたポストの争奪により、正規雇用の立法化が挫折した経緯がある。

第49回サン・セバスティアン映画祭開幕

昨日、バスク州ギプスコア県のサン・セバスティアンにおいて、第49回サン・セバスティアン映画祭が開幕した。
今回は先週起きた米国同時多発テロを受け、ジュリー・アンドリュースやウォーレン・ビーティーなど米国からの招待客がそろって欠席、華のない開幕となった。
今年の公式コンペティションへの出品は16作品で、そのうちの10作品についてはヨーロッパ製作のものとなっている。


9月20日(木)

CNMV委員長、ヘスカルテラ問題に絡み、ついに辞任

昨日、証券マーケット委員会(CNMV)のピラール・バリエンテ委員長が、社会問題化しているヘスカルテラ社の金融スキャンダルに絡み、ついに辞任を表明した。次々と発覚するヘスカルテラ社の不正とCNMVの同社に対する便宜供与の事実は、委員長として留まることを許されない状況にまで発展した。
辞任にあたって、同委員長は「自分に誇りある職を与えてくれたCNMVがこのような耐え難い状況に追い込まれている中、自己犠牲をもって職を辞すことが私の務めであると考える。CNMVのような機関にとってこの決断が最良のものであると信じている。」と述べ、「委員長に任命されて以来その責任をはたすためにその都度最適と思われる決定、行動をとってきたと確信している。」と続けた。
委員長辞任の最終的な承認は明日の閣僚会議にて諮られる。 一方、ヘスカルテラ社のピラール・ヒメネス−レイナ社長に対して、全国管区裁判所のパラシオス裁判官は、刑務所への収監を言い渡した。同裁判長は、同人にヘスカルテラ社による詐欺、横領といった組織犯罪に参加し、正常に投資が行われないことを知りながら新たな顧客獲得を見過ごし被害者を増やしたことについての責任を認めた。

「バンニコフ事件」について、陪審は被告を有罪と裁定

1999年にアンダルシアのミハスで起きた、ロシオ・バニンコフ殺害事件に関する裁判で、昨日ドローレス・バスケス被告に殺人罪の陪審判決が下った。
この事件は、被害者が行方不明になってから1ヶ月後に遺体となって発見され、犯人を特定する手がかりが発見されていなかった。しかしながら、動機の点から、以前ロシオの母親と恋愛関係にあったバスケス被告が犯人として逮捕され、2週間前から裁判が始まっていた。
被告は一貫して犯行を否認、決定的な証拠も存在しないことから、無罪となる可能性が高かった。しかしながら、陪審の下した判決は、より重大な罪状となる謀殺について有罪となった。また、この裁定に付随し、政府に対し被告の減刑もしくは刑の免除となる恩赦をおこなうことのないよう求めるくだりが含められている。この裁定により、裁判官は被告の懲役年数及び被害者の家族に対する補償金額を言い渡すことになる。
被告側は即時アンダルシア司法高等裁判所への控訴を申し立てる予定としている。


9月19日(水)

検察、ヘスカルテラ社社長の身柄拘束を裁判所に申請

ヘスカルテラ問題について全国管区裁判所において社長であるピラール・ヒメネス−レイナへの尋問が続いている中、汚職対策検察局のロペス・サンス検事補は、詐欺及び横領容疑にて同社長の身柄を拘束することを裁判所へ申請した。
現在審理の焦点となっている同社長が覚え書きとして使用していた1999年と2000年の日記帳の内容について、つじつまのあわない釈明や内容の否定をするなど、苦しい立場に追い込まれている。
検察側の要求に対して、パラシオス裁判官は今日の夕方に決定を下すこととしている。 同人は、証券マーケット委員会(CNMV)のピラール・バリエンテ委員長との面識を否定しているにもかかわらず、同委員長の父親の葬式に参列したり、同委員長からの電話があったことなどを日記に記している。
この件に関して同委員長は、CNMVがヘスカルテラ社への調査介入した後に、日記が修正、偽造されたものである可能性を指摘、1999年の春の段階ではCMNVへ入ったばかりであり、監査業務には関わっていなかった、とコメントしている。

「コレオ」グループ、日刊紙ABCの発行元を吸収合併

昨日、バスクの「コレオ」グループが、日刊紙ABCの発行元である「プレンサ・エスパニョーラ」を吸収合併することを発表。両社の合併により通信出版事業における巨大企業が誕生することとなる。
新たな社名に関しては数日後に発表になる予定であるが、本社はマドリードにおき、会計上の本部はビスカヤにおかれることとなる。
新会社では「コレオ」グループが78.95%の株式をもち、「プレンサ・エスパニョーラ」が残りを引き受ける。そして、"ABC"や"El Diario Vasco"などを筆頭に18にのぼる全国紙、地方紙を発行し、オーディオヴィジュアルやデジタルの分野、ニューテクノロジー関連のグループ企業を抱えることとなる。

スペインのイスラム社会は穏健派と原理主義派に2分化

米国での同時多発テロの余波を受け、スペイン国内でもイスラム社会へのいわれのない中傷やいやがらせが報告されてきているが、と同時に国内第2位の信者を持つイスラム教への関心も高まっている。
スペイン国内には穏健派や原理主義派などと区別しない場合、信者は50万人を超えるといわれる。その数は最近の移民急増を背景に増加の一途をたどっている。しかし、イスラム教の中でも主にスペイン人から構成される穏健派のイスラム教徒から、原理主義の台頭により、両派の二極分化、強いてはスペイン人と外国人という色分けがすすんでいると不満が噴出してきている。
3万人ほどといわれる穏健派では、原理主義的な過激勢力の拡大の原因がスペイン政府の無策によるものと糾弾する。イスラム教徒が公立学校でのイスラム教教育やモスク建設のための援助を求めないことをいいことに助成金を割り当てることをせず、その資金をサウジアラビアなどに頼ったことを見過ごしていたために、過激分子が増加してしまったのだと説明する。
マドリードにあるスペイン最大のモスクはサウジアラビアの援助によって建設されたものであるが、それを穏健派が文化活動などに使用することを許されていないという。また、原理主義派が勢力を伸ばすことにより、女性に対する身体的懲罰を薦める教義がまかり通るようになるという。穏健派では、招かざる教師によりイスラム教育を施されることになるのを許すわけにはいかないとしている。


9月18日(火)

ヘスカルテラ問題に新事実、同社社長の個人日記によってCNMV会長の関与が明白に

2000人ともいわれる被害者を出し、180億ペセタが行方不明となっているヘスカルテラ社に絡む金融スキャンダルで、全国管区裁判所にて同社のピラール・ヒメネス−レイナ社長が尋問されているが、その中で、同氏の覚え書きとなっていた1999年の個人的日記が取り上げられそれについての証言を求められた。
同氏の日記は先月、警察の同社への家宅捜査によって押収されたもので、調査後に検察及び裁判所に提出された。これによると証券業者を監督する立場であるCNMV(証券マーケット委員会)の現ピラール・バリエンテ会長がヘスカルテラ社への調査に関して便宜を図り、指示を与えていたことが明白となる記述があり、さらには社長の弟であり、当時経済省次官であったエンリケ・ヒメネス−レイナがヘスカルテラ社の不正調査に積極的だった監査局長や当時のCNMVの会長が不在のときを狙い、介入されないよう仕向けたという事実も記されている。
ピラール・ヒメネス−レイナ社長はその日記が自分のものであること、自らが書きこんでいたことを認めている。
この件に関し、CNMVでは同委員長がヘスカルテラ社社長と最初に会見したのは2000年10月であると日記の記述とは相反する回答を提出している。

テロの犠牲者に関する法律の修正について政府とPSOEは基本線で合意に達する

与党PPと野党第1党であるPSOEは左翼連合(IU)から提出されていた"テロの犠牲者に関する法律"の修正に関し、基本的な線での合意が成立した。しかしながら、各党と交渉する時間を確保するためにPPでは本日国会における採決の際に棄権する可能性が高まっている。
この修正案の主な点は、テロによって犠牲となった人々に対して勲章を授ける際に、その人物が生前に個人、職業を問わず現法及び憲法、国際協定の人権項目に触れるような反民主主義的行為をなした場合はその資格を失すると制限を設けることである。これはフランコ体制時に拷問を繰り返し、後にETAによって暗殺されたメリトン・マンサナス警察署長に勲章を授与されたことが発端となり、このようなケースは避けるべきとして修正案に盛り込まれることとなった。

マドリードでコロンビア人3人が射殺され、1人脳死状態、麻薬に関する報復措置か?

昨日マドリードのバジェカス地区のマンションで、発砲事件が起きた。
マンションの住人が、銃が発砲したような音と人があわてて階段を降りていった音をききつけ警察に通報した。国家警察が駆けつけたときにはすでに女性2人は死亡しており、病院へ運ばれる途中にもう1人も死亡し、残る男性も脳死状態となっているという。近所の人の話では、この家には人の出入りが多く、麻薬の取引をしているのではないかとの疑いもあったという。また、女性たちはお金に困っている様子もなく、近所づきあいは全くなかったともいわれている。
警察はマンション内にあったコロンピアのパスポートから少なくとも2人の被害者の身元を特定したが、明らかにはしていない。犯行の動機は麻薬の取引による争い、報復措置によるものではないかとみて捜査を進めている。また、先月16日にウセラ地区でコロンビア人夫婦が射殺された事件、29日にフエンカラル地区でコロンビア人が殺害された事件との関連性もあわせて調査されている。この事件がつながるようなこととなれば、マドリードに麻薬取引の大規模なシンジケートの存在が確認されることにもなる、といわれている。


9月17日(月)

フェリペ皇太子、ロタの海軍基地で米国テロの追悼式をとりおこなう

昨日、カディスにあるロタ海軍基地にて、先日起きた米国の同時多発テロの犠牲者追悼式がフェリペ皇太子によってとりおこなわれた。
追悼式にはトリージョ防衛大臣も随行、米西双方の大佐と共に基地に居住するアメリカ軍及びその家族約3000人も出席した。式自体は静かに進行、公式な式辞はなかったが、式終了後に、皇太子は参列していた米国民の列に歩みより、個人的にお言葉をかけてまわった。
一方、依然としてロタ基地とともに厳戒体制をしいているセビージャのモロン基地でも、基地への出入りが厳重に監視されており、民間人従業員は一時的に自宅待機状態となっていたが、今週から職場復帰することとなった。
また、トリージョ防衛大臣は、米国がテロの報復措置としての軍事行動をとることになった場合、スペインの軍事基地を無条件で使用を許可することが理にかなっているであろう、と述べた。スペインとしてはNATOの一員としてどのような役割を果たすことになるのか検討する必要があることを付け加えた。

ハエンでタバコの集配倉庫に泥棒、犯人グループ警察と銃撃戦

昨日朝6時前、アンダルシアのハエン県アンドゥハルにあるロヒスタ社の倉庫に6人組の武装した集団が押し入り、警備員を襲い武器を奪い取り、集配前のタバコのダンボール箱30個を強奪しようとした。
倉庫の警報装置によって地元警察に緊急事態発生の一報が入り、パトロール中の国家警察官2人が現場に急行、犯人グループは発砲して応酬してきたという。治安警察隊の応援がかけつけてからは銃撃戦となり、結果的に何も取らずに犯人グループが逃走した。
それから数時間後、アンダルシアの放送局取材班が街道沿いの野原に背中に銃弾を受けた男性の死体を発見、犯人グループの1人であると推定されているが、身元は不明。残る5人は逃亡中。
このグループはタバコを盗むことが目的のように見えるが、その一方で同社がユーロ導入に向けて多額のユーロを社内にプールしていたこともあり、それらを狙っていたとも考えられている。

中央政府、国家の年金プランを地方公務員にも適用するよう地方自治体に働きかけ

中央政府では、年金システムの抜本的改革を目指し、各地方自治体に政府の示す中央統括案を受け入れるよう働きかけている。
先週金曜日に、行政省政務次官及び公共基金事務局の局長が17の自治州と会談、上記のシステム改革を告げたが、PPの治める自治州以外では拒否の姿勢を打ち出しており、このようなおしつけの改革を実行する前にきちんとした交渉をすべきであると非難している。
政府は本日にも労働団体を前に新しい給与モデルの説明に入ることにしているが、提案のポイントは、私的年金のための基金を創設し、当初は給与全体の0.5%、70億ペセタをあてることという点と、予算システムや経済状況に沿った報酬の分配という2点にある。
また、公務員の2002年の賃上げについては、年頭に中央政府の設定したインフレ率に相当する2%アップを考えていることを伝える予定。


9月14日(金)

貿易センタービル・テロ事件で9名のスペイン人が行方不明

去る11日にニューヨークで起こった同時多発テロ事件において、9名のスペイン人が行方不明となっている可能性が出ている。この9名のうち、2名は旅行者、7名はニューヨーク在住者。データは依然として非常に少なく、怪我人の総数が2000人に及ぶ中、病院名の混同やラテン系の苗字だけからでは国籍を判別できないことから、怪我人の身元に関する情報の入手は困難を極めている。ニューヨークのスペイン総領事館では事件発生後、閉館することなく対応に追われており、この3日間でパスポート等の証明書や宿泊施設または金銭上の問題を抱えた約200名が領事館を訪れた。領事館側はこれまでに約4000ドルを貸与すると同時に、宿泊施設の斡旋を行っている。

フアン・カルロス国王、反テロリズムへ向けた国際協力を要請

フアン・カルロス国王は昨日、2001年度司法機関の開会式の席で、アメリカでのテロ事件に対する言及を行った。その中で、国王は「盲目的で破壊的なテロリズム」に対する非難と「疑いの余地無く嫌悪すべき」一連のテロ事件に対するスペイン国民と王室の悲嘆の意を表した。典礼への国王の関与が司法年度の開始の宣言に限られている中で行われたこのテロリズムに対する言及は、ETAによるカルメン・タグレ検事テロ事件への言及についで2度目のことであった。
また、新しい司法年度の開始に際し旧2000年度における犯罪統計が発表された。「明らかに血にまみれた」1年と表された2000年度においては、ETAによるテロ事件が70件発生し(死亡者23名、怪我人103名)、近年において最も高い数値を記録している。また、家庭内における暴力事件は前年度に比べ35%上昇した。しかし検事局側ではこの数値は、家庭内暴力の実数の上昇によってではなく、告発されない潜在的事件の数値の低下によってもたらされているとしている。一方、2000年度においては殺人事件と性犯罪の減少(各々12.9%、5.7%)が顕著であった。また昨年度において提訴された350万に及ぶ犯罪事件の内、約60%が主犯者の未特定により、また約15%が犯罪要件を構成しなかったため不起訴となっている。

年間インフレ率は下降するも、8月期の消費者物価指数0.2%上昇

昨日国家統計局(INE)から、8月期の消費者物価指数、インフレ率などの詳細が発表された。
中央政府では年間のインフレ率を2%におさえることを目指しているが、先月までの段階ですでに2.5%となっている。12ヶ月間を通しての数値は前月より0.2%下がり、3.7%となった。
インフレに歯止めがかかった要因としては燃料の値下がりが大きく、ユーロが持ちこたえていることなどが挙げられる。
一方、サービス業界では大幅な上昇が記録されている。1ヶ月間だけでホテルなどの宿泊施設が17.6%も値上がりし、それに伴い、業界全体の数値が0.7%押し上げられている。 生鮮食料品では鶏肉や羊肉、魚の値上がりに比べ、ジャガイモが大幅な値下がりをしたため、全体的な値上がり傾向は押さえられている。
これらの統計結果に対して様々な見解が出されている。経済省ラト大臣はインフレが下降気味であることを肯定的にとらえているが、期待したほどではなかったとコメントしている。PSOEのセビージャ経済担当官は消費者物価指数の高さは依然としてスペインが深刻なインフレ問題を抱えていることを示しており、基本的な傾向は何もかわっていない、と反論。UGTやCCOOなどの労働団体も、データを注意深く分析すれば、インフレに歯止めがかかっているとはいえないと否定的な態度を示している。


9月13日(木)

アスナル首相、正義追求のためには必要な協力は惜しまないと米国に伝える

アスナル首相は、一昨日に起こった米国での同時多発テロ事件に関して、スペインは米国の友好国、同盟国として、正義を追求するためにはいかなる協力も惜しまないとブッシュ大統領に伝えた。
アスナル首相は、「今、われわれは自由を愛する国において、このような野蛮な行為の人質となることのないよう、米国民とともに一丸となって対峙していく。自由を享受する全ての国の人々はこのような蛮行を犯すものたちを野放しにしないための努力を惜しまず、国外で起こったことは自分とは関係ないことだと考えるようであってはならない。国際協力によって犯罪者を追い詰めていくことこそテロリズムをつぶす唯一の方法である。テロを擁護するような体制や団体を存在できないようにすべきなのだ。」と声明を発表。
また、現在EUで進められている、ヨーロッパ内における保安、自由、司法に関する協力の場を設ける作業を早急に進めていくようヨーロッパ閣議に働きかけていることも明らかにした。
また、防衛省トリージョ大臣はもし米国が必要であれば、ロタとモロン・デ・ラ・フロンテラの基地を提供する用意があることを明らかにしたが、その場合にも報復措置が正当かつ相応のものであり、同盟国へ事前に情報が知らされている必要があると条件付けた。

世界保健機構、アルコールによる若年層の死亡を減らすために値段の引き上げを提案

世界保健機構(WHO)のヨーロッパ地方議会がマドリードにおいて開かれているが、昨日、若年層のアルコールによる死亡を減らすためには、その値段を引き上げ、簡単に購入できないようにする必要があるとした。
ヨーロッパにおける15歳から29歳までの男性の死亡原因の4分の1がアルコールであり、年間5万5千人が犠牲になっていると推定される。ヨーロッパ各国の医療費の9%がアルコールを原因とする疾病に使われているともいう。
ヨーロッパではアルコール摂取が多いといわれているが、38ヶ国の1人あたりの平均摂取量は7.3リットルにのぼり、WHOが定める死に関わる危険量2リットルを大幅に上回り、その中でもスペインは10.1リットルと上位に位置する。
WHOではアルコールは簡単かつ安価で手に入れることができる世界で最もたくさん消費されている"麻薬"であるとする。最近は、若者たちがアルコールを楽しく過ごすためのドラッグとして消費し、飲みすぎるという危険な風潮が出てきていると警鐘を鳴らす。さらにアルコール業界が若者受けするような新たな製品を市場に送りだし、スポーツイベントや芸術活動の後援をし、この傾向を助長していると苛立ちを隠せないでいる。


9月12日(水)

米国でのテロ攻撃の影響、スペインでも

昨日米国で起きた例を見ないほどの大規模なテロ事件は、スペインにおいてもその影響がでてきている。バルト諸国訪問中であったアスナル首相は予定をキャンセルして帰国、早速スペイン政府としてとるべき策を練るため会合を開いた。
この会合に先立ち、内務省ではラホイ内相が首相代行としてピケ外相、トリージョ防衛大臣、カバニージャス広報大臣などをまじえ、これから起こりうる可能性のある非常事態に向けて警備体制の強化、役割分担を明確にするなど確認作業に入っていた。
治安警察隊、及び国家警察ではテロの速報が入るとただちにマドリードの在スペイン米国大使館、イスラエル大使館、PLO事務局、パレスティナ総代理局を監視下におき、厳戒体制をしいた。
また、国内空港及び飛行区域統括局では勧業省の指示に従い、予防の意味を含め非常事態宣言を発令し、国際線ターミナルの警備、パスポートコントロールを強化した。また、米国への便、米国を経由して中南米へ飛ぶ便を全てキャンセル、すでに飛び立ってしまっていた旅客機はスペイン内の空港へひき返すかカナダ、メキシコなどの空港に進路を変更した。

スペイン司教議会、教師連盟に反論

一昨日、司教会が宗教教師に一定の寄付金を強要していると宗教教師連盟(FEPER)に告発された件に関し、スペイン司教議会(CEE)は、FEPERが証拠として公表した書類の信憑性を否定、寄付金の納入と教師としての配属に何の関連性もないことを主張した。
司教教育委員会を統率するグラナダのアントニオ・カニサレス大司教はFEPERの主張には根拠が乏しいと反論、FEPERのいうところの"強いられた慣行"は宗教教育や行事のための費用をまかなわなければならない司教会のために資金を集める意味合いで宗教教師が同意の上で行っているものであると説明、団結、連帯の精神を説くキリストの教えにのっとった自発的なものと付け加えた。さらには、FEPERは全国に1万3千人いる宗教教師のうちの100人にも満たない会員で組織されている連盟であると攻撃した。
この件に関して、PSOEでは見過ごすことのできない事態、とし、国会にピラール・デル・カスティージョ教育大臣を召喚することを求めた。また、中央政府が教育制度の中で憲法に反する態度をとることにどのような措置を講じるのかを明らかにするよう要求している。


9月11日(火)

ラホイ内相、逮捕されたETAのコマンド部隊が計画していたテロ内容を明らかに

先月24日から続けざまに逮捕されたETAの"コマンド・バルセロナ"が計画していたテロ計画が解明されつつあるが、昨日、ラホイ内相はその内容を明らかにした。
逮捕された21人のメンバーのうち"コマンド・バルセロナ"の精鋭部隊で組織した"コマンド・ゴルベア"に所属した3人が所有していた資料には2148の標的がリストアップされていたという。その中でも23の標的については具体化されており、6つの公共施設及び報道機関の建物そしてPPに所属する政治家が挙げられていた。
さらには、来年上半期にEU議長国となるスペインでは、EU各国首脳会談が3月に開催されることとなっており、ETAは恐怖とパニックを引き起こすことを狙って、会談の数日前に開催地のバルセロナにおいて車爆弾テロを仕掛ける予定にしていたとみられる。
また、最近バルセロナの市内で建物を不法に占拠し過激な行動をとる"オクパ"と呼ばれる団体から逮捕者が出ているが、これらはETAのメンバーを匿ったり、情報提供をするなどETAと密接に繋がっていることも判明している。

宗教教師に対して、教会が給与の一部を寄付としてさしだすよう強要

宗教科目の教師がプライベートな生活を問題とされ司教会の権限で解雇されたことがひきがねとなって、宗教界と宗教教師との関係についての事実が発覚している。これは昨日、国家宗教教師連盟(FEPER)の会長によって、宗教教師として各学校へ配属してもらうには、教会が求める寄付を納入する必要がある、ということが明らかにされたもの。 公立小中学校にある宗教の科目を担当する教師は当該行政当局との契約をなし、給与も当局より支払われる。しかしながら、宗教という科目の性質上、各市や地域の司教会が配属の権限を握っている。
ルイス・グリディFEPER会長は、いくつかの資料を示し、司教会が一定の金額を寄付として強要しているのが明らかであり、その額を納めなければ次期配属に影響がでるような一種の"革命税"であると訴える。
マドリード自治県のヘタフェやカナリアス諸島のテネリフェでは給与の0.6%を納めることという通達が出され、納入しないと督促状がくるという。ラス・パルマスでは小学校教諭は5千ペセタ、中学校教諭は8千ペセタと決められた額が通達されている。先日、離婚経験者と結婚したという理由により解雇された教諭の勤務していたアルメリアでは給与の1%を要求されていたという。
この件に関してヘタフェ司教区の教育担当は"寄付"は"自由意志"によるもので、寄付がなかったからといって仕返しをするなどということは考えたこともない、と話している。

バクスター社、患者の死亡原因は使用した水にあるとほのめかす

マドリード、バレンシアの病院で立て続けに血液透析患者が死亡したことに関する調査が進められているが、透析器を製造するバクスター社では、原因と見られている透析器の分析調査を行った結果、完璧に機能することを確認した、と発表した。3回にわたる慎重な検査によって問題が発見されなかったことから、透析の際に使用された水が原因となっている可能性も考えられると指摘している。
しかしながら、自治州衛生局が行った分析調査では、透析の際に使用された水、その他液体にはなんら異常はみられなかったとの解答がでている。
一方、厚生省のビジャロボス大臣は、「スペインでは毎年、血液透析による死亡者は2800人に上り、死亡率は14%、65歳以上になれば、65%となることから、なんら不自然なことではない。」と問題視していない。


9月10日(月)

エブロ川灌漑計画反対の抗議デモ、ついにブリュッセルへ

中央政府の推し進める国家灌漑計画(PHN)に反対するエブロ川流域の住民の抗議デモは、昨日ついにEUのお膝元であるブリュッセルに到達した。先月10日にエブロ川デルタを出発した「Marcha Azul(青の行進)」と名づけられた抗議のデモ行進はフランス、ドイツ、オランダなど総計1500キロの行程をこなし、最終日ブリュッセルにおいては、ヨーロッパ委員会がPHNへの融資を行わないよう求めて、街を3時間にわたって練り歩いた。
1万5千人を要したデモ集団は、左翼連合(IU)のジャマサレス・リーダーやヨーロッパ議会左派のメンディルセ議員、ベジョッチ元内務大臣なども加わり、「ヨーロッパよ、エブロ川を救うためにわれわれに援助を!」「灌漑水路には1ユーロたりとも出すな!」といったスローガンを掲げた。
抗議団体はEUに対して、PHNは明らかにEUの法規を侵害しており、環境保護をないがしろにするもの、と訴え、"エブロ流域の村に洪水を起こさせ、渓谷を破壊するような計画"に資金を提供しないよう求めている。また、「Marcha Azul」の代表は本日にもEUの環境担当と話し合いを持つ予定としている。
この件に関しスペインのピケ外相は、PHNを推進する政府の姿勢もEUからの援助を受ける予定にも何らかわりはないと断言。

ジローナで家庭内暴力の結果、夫が妻を刺殺

昨日未明、カタルーニャ州ジローナ県のカステジョ・デンプリエス旧市街にあるマンションの1室で別居中であった夫婦の夫が妻を刺し殺すという事件が起きた。
31歳のモロッコ人男性と10年連れ添った34歳の妻は、殺害される以前に3回、警察に虐待されていると訴えており、夫には妻に近づくことを禁止する裁判所命令が下されていた。
事件は夫婦の7歳になる息子、妻の母親、継父が寝ている間に行われたといい、近所の人が悲鳴をきいて警察に通報した。付近住民の話では、この夫婦はよく口論をしていたという。
犯人である夫は事件後、フィゲラス方面に逃亡したが、地方警察官によって発見逮捕された。

カタルーニャで、性転換者の正式な結婚を認める

カタルーニャ、バルセロナ県イグアラダ市では性転換をして女性となったアンヘラ・フェルナンデスさんと男性のアンヘル・ロメロさんの結婚を正式に認め、同市市長が仲を取り持ち、結婚式が行われた。
この結婚は今年4月3日にイグアラダ裁判所によって最終的な結婚許可の裁定がくだり、それに基づいて行われた。性転換者の結婚が認められたのはこれで2件目となった。
28歳のアンヘラさんは男として生まれながら、子供の頃から自分の性に違和感を持ち問題を抱えていた。15歳の頃から医療処置を受け始め、19歳の時に性転換の手術を行い、女性となった。1993年には女性とは認めるものの結婚に対しては制限を与えるという判決を手にし、それ以降、個人で裁判所と闘ってきた。
22歳のアンヘルさんは5年前、彼女に一目ぼれし、一緒に住むようになった。知り合ったときにすでにアンヘラさんが女性であったことから、男性であったということを信じられなかったという。2人はこれから養子をとる予定にしていると話している。


9月7日(金)

株の下落、スペイン市場1998年の水準に

今月始まった第4四半期の株式市場は、株の下落傾向が支配的となり、投資家の間に先行きに関する不安感が広まっている。世界経済悪化に対する懸念は、通信技術が抱える問題を受け、電話通信関連会社の株価に反映された。
昨日、ドイツにおいて携帯通信UMTS技術を開発するための経費を配分するというKPNとの同意が発表された後、電話通信会社側からの介入にも関わらず、テレフォニカ(5.74%)、フィンランドのソネラ(14.11%)等の大幅な株価の下落を記録した。これによってテレコムはヨーロッパ市場における年間最安値を記録し、ヨーロッパ市場を敏感に反映するスペイン市場全体に大きな影響を与えた。マドリッド株式市場は2.46%、Ibex35は2.62%の下げ幅を記録し、各々年間12.45%、13.23%の損失となり、3年前のレベルに後退した。さらに昨年3月に新科学技術を中心とした「新経済」の活況の中、史上最高を記録したスペイン市場はその38%を失い、科学技術分野を扱うために同年4月に創設された「新市場(Nuevo Mercado))では76.1%の後退となった。
またBSCH、BBVA等の銀行株も、テレフォニカが広くシェアを持つラテンアメリカにおける収益の減少を受け、下げ値を記録した。

国会にてヘスカルテラ問題の調査委員会発足を承認

昨日、現在社会問題となっているヘスカルテラ社に絡む金融スキャンダルに関して、国会にて同問題の調査委員会を発足させることが承認された。この調査委員会はPP5名、PSOE4名、CIU、IU各2名、PNV、CC、GP各1名から構成され、調査期間を2ヶ月−場合によっては延長も可−と定めた。
野党各党では、この調査委員会において中央政府PPの中でヘスカルテラ社の詐欺事件に絡んでいる人物の責任の所在を明らかにするとの目的で見解が一致している一方、中央政府PPではこの問題に関わるPSOE議員の特定が可能になるとの見方をしている。
PPでは、調査委員会発足の採決に至るまでの討論の間、広報官であるマルティネス・プハルテ議員が、確たる証拠を挙げることなく、また名前を明らかにすることもせず、PSOE幹部が問題に関与しているという疑惑を投げつけた。元アンダルシア州地方政府広報官を務め、現在はRTVE(スペイン国営放送)の役員に名を連ねるホセ・ネバド氏に対し、"裁判官から口座を凍結された会社の盟友"であると糾弾、また、PSOEのある議員がヘスカルテラ社に金をつぎ込み、査察が入る前に投資を引きあげた、と強調した。
この発言に対し、ネバド氏は、PPが自分の名前を利用して大がかりなまやかしをしようとしたとコメント、ヘスカルテラ社とは一切の関係がないと断言した。
PSOEのアントニオ・クエバス広報官は、このような大がかりな詐欺がどのように行われたのか、チェック機能が働かなかったのはどこの機関なのかを解明することが必要であると念押しした。

マドリッド知事、フランコ政権下の元政治囚に対する賠償金額改正を発表

アルベルト・ルイス・ガリャルドン・マドリッド知事は、昨日、地方政府がこれまでフランコ政権下の元政治囚に対して充てていた賠償金1億円を、元囚人の数に関する誤りによって引き起こされた「確かに屈辱的」な金額と認めた。2年前にIUの主導のもと始められたこれまでの賠償金請求においては、2093名が申請を行いその内1171名がフランコ政権下の元政治囚として認定された。その結果、賠償金支給額は13万5千ペセタ(135.272ペセタ)を上限とし、身体拘束一年に対し3万3千ペセタ余りという、極端に低い金額に設定されていた。今回の改正により賠償金額は10億円に改められ、元政治囚に対し、フランコ独裁政治下において自由を奪われた期間に応じて支給される。
また同マドリッド知事は、新たに元政治囚の賠償請求の申請を受け付けることを発表し、これにより書類上条件に当てはまっていたものの賠償の対象外となった122件や、この賠償制度を知らなかったために手続きを行っていなかった元政治囚に対する受け入れの門戸が開かれることとなった。同氏は、この申請受付による賠償金受給者の増加により、新たな受給額は地方政府による現在の受給額の10倍とはならないことを指摘した。地方政府は1年の身体拘束に対し約30万ペセタを見積もっている。
元政治囚代表は賠償金額改正の発言を「的を射た決断」と評価しつつも、従来の金額が「認知というよりも軽蔑」を示す金額であったとして、彼らの異議申し立てが経済的な問題に留まらない点を強調した。


9月6日(木)

ヘスカルテラ社問題、証券取引業へ格上げ時の不正が発覚

ヘスカルテラ社による大規模な詐欺事件は官僚、政治家を巻き込んだ社会問題と化しているが、さらに新たな事実が発覚している。
今年の1月31日に証券マーケット委員会(CNMV)から同社宛て、証券取引会社への格上げ却下及び格上げのための条件を記した通知を送っていたにもかかわらず、その12日後には2月6日付けで証券取り扱い業務可能な証券会社への格上げが許可されたという通知が送達されていたというもの。これら2通の通知はCNMVの証券取引事業局長フアン・カルロス・バサジョテ氏から送られており、許可通知には前回課した条件について何も触れていない。
バサジョテ局長は、今年2月に現在刑務所に収監中のヘスカルテラ社社長アントニオ・カマチョとCNMVのピラール・パリエンテ委員長、その当時の経済省事務次官エンリケ・ヒメネス・レイナ(その後辞任)等と共に疑惑の会食をもった元CNMV事務局長アントニオ・アロンソ・ウレバのいとこにあたる。
CNMVが課した条件とはヘスカルテラ社の母体である「ヘスカルテラ・ホールディング有限会社」にONCE(スペイン視覚障害者協会)財団が25%の資本参加をすること、カマチョ社長の辞任(監督局の査察を拒否した理由による)によって空席となっている社長のかわりとなる役員会を創設する、ヘスカルテラ・ホールディング社を株式会社とする、というもの。しかし、これらの条件はひとつもクリアされておらず、現在でもその状態が続いていることが判明している。
このような書面が存在するにもかかわらず、CNMVバリエンテ委員長は、これらの条件を満たすことが必要不可欠ではなく、ONCE財団が10%の資本を引き受けることでヘスカルテラ社の支払い能力は証明されるとの考えたことを明らかにした。

ミサへの出席不足を理由に宗教教師、解雇される

先日、アルメリアで公立小学校の宗教科目の教師が離婚経験者と結婚したという理由により解雇されたことが公になったが、マラガでも毎日曜日のミサや宗教行事を時々欠席し、仕事が終わってから教師仲間と飲みにいくことがあるとの理由で解雇された宗教教師がいる。
マラガ県の小学校で13年間宗教科目を教えていたモンダ市の市議でもあるフランシスカ・ウルバノさんは6月に、「"クリスチャンとしての良き見本を示す生活"を営んでいないため来期(今年9月からの学年)は宗教教師として雇用する予定はない」との通知をマラガ司教会から受け取った。フランシスカさんは時々ミサを欠席していたことは認めており、2児の母親であるがゆえに出席できないこともある、と説明。しかし、カトリック教徒としての義務は全うしていると付け加えている。
この通知を受け取ってから、彼女は司教会の教育責任者や司教などに決定を撤回し、来期(来年の9月)には復職できるよう働きかけている。
また、同じマラガ県内でフランシスカさん以外でも教会での結婚ではなく民法に基づく結婚をした宗教教師が解雇されている例が報告されている。


9月5日(水)

スペイン政府、不法移民流入を取り締まる責任はモロッコにありとモハメッド6世に反駁

スペインの南部海岸沿いから密入国を試みる外国人が激増している現状を憂い、8月にスペイン政府がその送り出し元となっているモロッコ政府に有効な取り締まり対策を求めたことに対して、昨日モロッコのモハメッド6世国王がフランス紙「ル・フィガロ」で、この問題がモロッコ側にあるのではなくスペインマフィアが暗躍し、人を動かしているスペイン側にある、とインタビューにこたえた。
この発言を受け、スペイン政府は即座に外務省を通し、モロッコの行う取り締まりの甘さを指摘、スペインマフィアが横行しているというのならばそれをスペインへ伝えてくれるよう要求した。また、野党第1党であるPSOEも政府見解に同調、モロッコの移民対策が穴だらけであることは明白と論じた。
その後、在スペインモロッコ大使はマドリードにて記者会見を開き、モロッコ政府が講じる麻薬の密輸組織や不法出国者への対策についてデータをあげて説明し、効果的な取り締まりを行っていると国王とは異なる見解を発表した。

治安警察、ETAの関係者を6人逮捕

8月の下旬から相次いでETAのコマンド部隊、関係者が逮捕されているが、昨日もアラバ県ビトリアで5人、ビスカヤ県レケティオで1人が、テロリスト集団ETAへの所属もしくは協力の容疑で逮捕された。内務省では、これら6人がETAの中の"グループY"の構成員であるとみている。
これらの逮捕は先月24日に逮捕された"コマンド・バルセロナ"のメンバー3人の証言により明らかとなった事実に基づき行われた。また、先日逮捕されたメンバーの個人的友人で協力者でもあるラモン・アセドのビトリアにある自宅からはPPの政治家や軍人についての詳細な情報が押収されていた。
今回逮捕されたメンバーの自宅からも大量の情報が発見されているが、それ以外に二重底になったポータブル冷蔵庫も押収された。捜査員たちは、ETAがこの冷蔵庫に爆発物を詰め導火線をつないで爆弾として使用しようとしていたものと確信している。

弁護士殺害未遂事件の裁判始まる

1999年6月にマドリードの郊外にある高級住宅街の一画で起きた弁護士ロドリゲス・メネンデス氏殺害未遂事件についての裁判がマドリード管区裁判所で始まった。
この事件は同弁護士の元妻ラウラ・フェルナンデス容疑者が友人のナチョ・ロチャに自分の夫の殺害を依頼し、結果的に未遂に終わったものである。
昨日の第1回公判で、ナチョは"5千万とカルティエの時計、性交渉1回の条件で実行を引き受けた"という供述を翻し、ラウラからは殺害の依頼を受けていなかったと証言した。犯行の数週間前にラウラと知り合ったばかりであったナチョは、同弁護士から虐待されていると頼ってきたラウラのかわりに同弁護士と話しをつけようとして犯行現場に出向いただけであったと説明。話し合うだけの目的にもかかわらず、ピストルを所持し、それによって同弁護士に発砲した理由は、ラウラから同弁護士にはピストルを携帯している護衛の人間がいると聞いていたからである、と答え、さらには、護衛官がピストルを抜いたので自分も取り出したところ暴発したと証言した。
ラウラ・フェルナンデス容疑者は殺人教唆の容疑で12年を求刑されているが、その容疑に関しては否認している。
犯行当時、ラウラとロドリゲス弁護士は新婚1年にも達しておらず、29歳のラウラに対し20歳以上も年上で3回目の結婚であった同弁護士は、現在でも彼女のことを大変愛していると話している。


9月4日(火)

ONCE首脳部、同財団のヘスカルテラ社への投資事実を関知していなかったことを強調

ONCE(スペイン視覚障害者協会)の首脳部は、ONCE財団がヘスカルテラ社に10億ペセタの投資をしていた事実を、証券マーケット委員会(CNMV)の査察が入った6月15日まで関知していなかったことを公表した。
ONCEのアロジョ会長は昨日の記者会見で、問題発覚以前は財団の投資先が国債であったと信じていたと話し、ヘスカルテラ社とは無関係であることを強調した。さらに、先日辞任に追い込まれた財団のピチェル元会長とONCEのデ・ロレンソ元副会長からヘスカルテラ社への投資及びピチェル会長のヘスカルテラ社への理事就任について何の報告もなかったとしている。
アロジョ会長は両人に対してことの経緯を正したところ、デ・ロレンソ元副会長は、報告する必要性を認めなかった、と答え、他にも報告していない投資があることを明らかにしたという。同会長はこれらの事実に関し、大きな過ちを犯したのは事実だが、両人が私服を肥やしていたとは思えないとコメントしている。

宗教教師、離婚経験者と結婚したことで職を奪われる

アルメリアの公立小学校の宗教教師であるレスレクシオン・ガレラさんは離婚歴のあるるドイツ人と結婚したことが理由で解雇された。
この件は、6月の学期末にアルメリアの司教会から解雇の可能性を告げる通知がきていたものだが、公式な解雇通知は到着しなかった。昨日が始業の日であったため、勤務先の小学校へ出向いたが、教師のリストに彼女の名はなく、宗教科目には他の教師が任命されていた。
ガレラさんは教師仲間や父兄会、文化人、政治家、労働団体などの後押しで司教会とアンダルシア教育委員会の決定に無効を申し立てているが、カトリックの倫理を教える者はその教えと私人としての生活が相いれるものでなくてはならない、とし司教会では彼女が離婚経験者と結婚をしたことがその資格にあてはまらないと判断し、決定を撤回する意思をみせていない。
彼女とその夫は、「プライバシーの侵害」であるとし、憲法裁判所へ提訴することを考えていると話している。

ロシオ・バニンコフ殺害事件の裁判始まる

1999年にアンダルシアで起きた「ロシオ・バニンコフ殺害事件」の犯人であるドローレス・バスケスに対する公判が昨日開始された。
裁判は当時18歳であったロシオさんが行方不明となり3週間後にマルベージャで刺殺死体となって発見され、その後、ロシオさんの母親が親しくしていた女性である容疑者が逮捕された事件に関するもの。
この裁判では、一貫して犯行を否認する容疑者と明白な物証、犯行の目撃者が存在しない中で開始されたもので、本日にもドローレス容疑者の陳述が行われる。
昨日は、検察が殺害動機を被害者に対する憎悪であるとし、事件以前10年以上にわたって同居していたロシオさんの母親との関係修復をロシオさんに邪魔をされたこと、関係が終了した時点でそれまで住んでいた一軒家を容疑者が自分のものにしたとロシオさんにののしられたこと、が犯行のひきがねとなったと主張した。


9月3日(月)

血液透析後の死亡者15日間で12人、透析器が原因か?

バレンシアの医院で腎臓病患者が血液透析を受けた後に連続して6人が死亡した件について調査が進んでいるが、マドリード、バルセロナの病院でも同様の患者死亡例があり、その数は12人にのぼっていることが判明している。
マドリードのプリンセサ病院では8月14日、15日とバクスター社製透析器のA−18フィルターを使用して血液透析を行った患者が2人死亡、17日にも2人が死亡したため同社宛てに、死亡例の報告及びその原因究明を求める要望書を提出。同社からは数日後に"死亡した患者は血液透析を受ける以前より病状が進んでおり、それが原因で死亡したと考えられる"こと、"機器にはいかなる異常も認められない"との回答がよせられた。
しかし、その後同じ機器を使用したバレンシアで6人、バルセロナで2人の死亡が確認されている。プリンセサ病院ではバレンシアの死亡事案が公となった時点でこの事態を社会保険庁に報告した。バルセロナの病院では死亡した患者は83歳の男性と47、8歳の女性であることを公表、両人とも肝炎や心臓に問題があるなど腎臓以外の病気も抱えていたといい透析器と患者の死亡に因果関係は認められていない、と話している。バクスター社ではこの事態を受けて、予防措置としてA−18フィルターを自主回収措置に踏み切った。
スペイン厚生省は、バクスター社からは、同省から緊急事態について正されるまで一切の報告がなかったことを明らかにしている。また、隣国フランスでも、死亡例は報告されていないもののバクスター社に対してスペインで使用されたものと同じ機種の回収を要求している。

夏の休暇中の交通事故死数、昨年同時期より10%減少

交通局の発表によると、7月8月中の交通事故死者数は昨年の同時期より10.4%減少した。昨年は927人の死亡者が記録されたが、今年は97人減り830人となった。
昨日は夏の休暇最終日と週末が重なり、道路の混雑状況が予想されていたが、休暇の時期をずらす人が多くなったせいか、大都市へ入る幹線道路でも大きな渋滞も起きることはなかった。唯一、国道5号線でマドリードのアルコルコン付近で2キロの渋滞が記録された。
週末の交通事故は26件にのぼり、死者は32人、15人が重傷、8人が軽傷を負った。



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