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9月30日(月)

治安警備隊、3人のETAメンバーを逮捕

治安警備隊はこの週末にビスカヤとギプスコアでテロを計画していたと見られる3人のETAメンバーを逮捕し、ダイナマイト30キロ、塩素系爆薬30キロ、対戦車手榴弾、バスク州警察の記章、爆薬の材料、銃弾、ピストル等を押収した。13軒で家宅捜査が行われた今回の作戦では、車両に貼り付けるための爆弾を作成するのに使われる水銀のアンプルも6本見つかっている。
今回の警察の捜査では、まずサン・セバスティアンでオイアネ・バケダノ・マイアガライ容疑者(26歳)が、彼女に接近した警官に発砲しようとして逮捕され、彼女の逮捕により、その後の2人のETAメンバーが逮捕された。この二人のうちのアイセティ・フェルナンデス・サバラ容疑者は爆発物担当と見られている。アンヘル・アセベス務大臣は「彼らが先日のレイツァでのテロ(治安警備隊員1人が犠牲)に関与していたという可能性は大いにある」と述べている。治安警備隊は引き続き、このグループに属していたと見られる4人目の容疑者を探している。
今回の逮捕を受けて、ETAはPP(国民党)とPSOE(社労党)の事務所と公共活動をテロの対象にするという内容の文書をバスク公共ラジオ放送局のエウスカディ・イラティア、新聞社ガラ、エウスカルドゥノン・エグンカリアに送りつけた。PPは今週の金曜、土曜にビルバオで地方集会の開催を予定している。PSOEは現在、ビスカヤ県に48、ギプスコア県に21、アラバ県に12の計81の集会所をバスク州内にもっており、これらの集会所はこの数年間にペンキをかけられる、脅迫文を壁に書かれるなど以外にも何度も爆発・可燃物を投げつけられている。
PNV(バスク民族党)のハビエル・アルサジュス党首は、昨日行われたPNVの集会で、PNV党員にETAからの脅迫を受けているPP、PSOE議員への支援、団結を呼びかけたが、ホセ・マリア・アスナル首相に対しては、バスクの住民間に紛争しかもたらさない戦略を採ったことを非難した。アルサジュス党首の演説は、現在のアスナル政権批判に焦点が置かれ、「フランコは武力を使ったが、アスナルは法律(政党法に言及)を使う。」と述べ、アスナル政権がフランコ将軍と同じ道をたどろうとしているとアスナル政権を糾弾した。 PP、PSOE両党の幹部は、昨日バスク州政府のフアン・ホセ・イバレチェ知事に、ただちにバスク州をスペインの自治領にしようとする知事の提案を撤回し、自由を守り、テロと戦うことに専念するよう要求した。

昨日のブエルタ・エスパニャ(最終日・第21ステージ)

ワーナーブラザース・パークからサンティアゴ・ベルナベウ・スタジアムまで個人タイムトライアルが行われた昨日の最終日、総合成績2位につけていたアイトール・ゴンサレスが平均時速50KMという驚異的なスピードで、1分8秒差で1位だったロベルト・エラス選手に2分14秒の差をつけて優勝、スペイン自転車界に新たなスターが誕生した。ゴンサレス選手は得意のタイムトライアルで実力を十分に発揮、優勝に必要であった1分を大幅に上回る3分22秒というリードをエラス選手から奪い、表彰台にあがった。一方のエラス選手は、予想されていた結果とはいえ、目前にしていたブエルタ優勝を逃し、表彰台での表情も冴えなかった。総合成績3位にはヨセバ・ベロキ選手が入っている。

週末のその他のスポーツの結果

ゴルフ:2年に1度行われるライダーカップ(アメリカ選抜対ヨーロッパ選抜)が昨年の9月11日のテロのため、今年に延期となり、イギリスのサットンコールドフィールドにあるザ・ベルフリーで金曜日から3日間にわたって行われた。結果は15.5ポイント対12.5ポイントで、3ポイントの差をつけてS.トーランス(ヨーロッパチームキャプテン)率いるヨーロッパチームがカップを奪回した。
テニス:香港トーナメントで、スペインのフアン・カルロス・フェレロ選手が同じくスペインのカルロス・モヤ選手を6−3、1−6、7−6で破って優勝、賞金40万ドルを獲得。9月30日現在のATPランキングで4位となった。ベストテンには他にカルロス・モヤ選手(6位)、アルベルト・コスタ選手(7位)も入っている。女子テニスのバリ・トーナメントでは、コンチータ・マルティネス選手がロシアのスベトラナ・クスネトソバ選手に3−6、7−6、7−5で敗れ、準優勝となった。
自転車:デンマークのコペンハーゲンで行われたトラック競技世界選手権で、スペインが獲得したメダルは、ホセ・アントニオ・ビジャヌエバ選手が競輪部門で獲得した銀1つだけであった。最もメダル獲得数が多かったのはオーストラリアで、13(うち金4)。
バレーボール:アルゼンチンのマル・デ・プラタで始まった男子世界選手権で、スペインはユーゴスラビアとの初戦に3-1で敗れた。


9月27日(金)

検事局、バタスナ党議員を提訴

サン・セバスティアン検事局は、昨日バタスナ党の9町会議員からなるサルビディア町に対する提訴状を、トロサの裁判所に緊急提出した。これはサルビディア町が、今月23日にビルバオで誤爆死したETAメンバーでこの町出身のオデイ・ガララガを、水曜日に名誉町民に任命したことによるもので、検事局は、サルビディア町が刑法第578条にあるテロリズムの称賛という罪を犯していると考えている。さらに、この町がガララガの埋葬、葬儀に公的資金を使っていることから、検事局は公金横領の罪にもあたるとみている。活動停止になっているバタスナ党は、バスク地方で44の自治体を支配下においており、そのうちの28自治体(ギプスコア21、ビスカヤ7)で議会で過半数を占めており、ナバラ州では19自治体の市長がバタスナ党員。
また、検事局は水曜日に反治安警備隊のプラカードを出したサン・セバスティアンのバタスナ党議員5人に対しても提訴状を提出した。この議員たちは、サン・セバスティアンの市議会で“治安警備隊は、18人のサン・セバスティアン市民を逮捕し、拷問している”等の内容のプラカードを掲げ、社労党のオドン・エロルサ市長によって退室を命じられた5人で、サン・セバスティアン検事局のルイス・ナバハス検事は、これは侮辱罪にあたるとし、5人を提訴した。
一方、バスク州政府内務局は、ギプスコア県レンテリアで昨夜と今日予定されていた、月曜日に死亡したもう一人のテロリストでこの町出身のエゴイツ・グルチャガを称える集会の開催を禁止した。州政府は禁止の理由を、集会がテロリズムの称賛という犯罪に発展する恐れがあるためと説明している。さらに、バスク州のPP(国民党)は昨日内務局に、ガルソン判事の判決に従い、ビトリアのバタスナ党市会議員ホセ・エンリケ・ベルト氏が10月4日に予定している集会の開催を禁止するよう要請した。ビトリアで行われる予定のこの集会は、PPのアルフォンソ・アロンソ市長による“政治的検閲”を告発するための沈黙集会であるという。
ビルバオでは、市議会の開始前に、バタスナ党の4議員が議場から追い出された。この4人は、ビルバオのイニャキ・アスクナ市長(PNV−バスク民族党)が3度命じたにもかかわらず、“ファシズム、出て行け!"と書かれたTシャツを脱ぐことを拒否したため、自治体の規定に従って市長が彼らの議場からの追放を命じ、市警察官が2人組になってこれらの議員を1人ずつ議場から連れ出した。彼らのうちの1人、ダビ・アロンソ議員は、議場を後にする際に拳を高く掲げ、バスク語で「この借りは返してもらうぞ!」「おまえ達が、ファシストでテロリストだ!」と叫んだ。

アンダルシアの人権擁護委員、警察を告発

アンダルシアの人権擁護委員のホセ・チャミソ氏は昨日アルメリアで、“何人か”の治安警備隊員と“特に”エル・エヒドとカンポエルモソ(ニハル)の地方警察官によるモロッコ人とエクアドル人に対する迫害を告発し、ここ数ヶ月の間に22人の外国人が受けた扱いによって、“以前と同じ出来事(2000年2月にエル・エヒドで起こった移民の暴動)”が起こるかもしれないと警告した。
ホセ・チャミソ氏の告発によると、「何人かの地方警察官と国家警察官が、自分達の勝手な判断で仕事をしている」、「22人が正当な法的手続きを踏まない警察官による迫害を受けている」といい、ここ3、4ヶ月間に起こっている“おかしなケース”として、警察官による農園訪問を挙げる。警官が農園を訪問し、合法的書類を持たない者はすべて警察に移され、追放手続きが開始される上、何人かの逮捕された移民は弁護士の立ち会いも許されなかったという。「もしかしたら、私の得た情報が間違っていて誰かが訂正するかもしれない。だが、沈黙の中、共犯者になることはできない」とチャミソ氏は述べた。
モロッコ移民労働者スペイン協会の会長、ハナフィ・ハムザ氏は警察による移民への迫害が、不法移民だけでなく、合法移民に対しても行われていると保証する。「市民の安全を守るためという大義名分の元に、警察は、まじめに働いている移民までも迫害している。」とハムザ氏は説明した。合法移民を迫害するのに最も使われている手口は運転免許証の提示を求めることに始まる。「多くの移民は、自国の運転免許証をスペインのものに書き換えることが法律で不可能なため、スペインの運転免許証を持っていない。しかし、仕事先が町から離れたところにあるため、車を使わざるを得ない。よって、無免許運転という問題が日常化してきており、警察はそれを利用し、移民を逮捕、迫害している。」と会長は話した。
水曜日の午後には、25人の移民がニハルにあるサン・イシドロで治安警備隊と市警察により逮捕されている。この25人はすべて成人男子で、マリ、セネガル、ガーナ、シエラ・レオネ、モロッコ出身。サン・イシドロの広場に集まっていたところ、合法的書類を持っている者が1人もいなかったため、全員警察署に連行され、現在強制送還手続きが行われていると政府は発表している。

ロナウディーニャ、スペインでデビュー戦

レアル・マドリッドの選手であるロナウド夫人、通称“ロナウディーニャ”、ミレーネ・ドミンゲスさん(22歳)が、昨日マドリッドのヘタフェで行われたアトレティコ・マドリッドとの親善試合で、ラジョ・バジェカーノの選手としてデビューした。スペインの女子サッカーリーグはアマチュアリーグであるため、外国人選手のプレーを認めておらず、年俸4万ユーロと言われる彼女は、ラジョの選手としては親善試合だけに出場し、イタリアリーグでの活動を続ける。

昨日のブエルタ・エスパニャ(第18ステージ)

サラマンカ−ラ・コバティジャ、193.7KMの競技はサンティ・ブランコ選手(バネストチーム)が制した。チームメイトで、ブエルタ開催中はルームメイトでもあるフアン・アントニオ・フレチャ選手は途中のトルナバカスまでブランコ選手を引っ張り、その後はエラス選手の攻撃からブランコ選手を守った。「自分がレースに勝ったみたいな気分です。」と、ブランコ選手、ロベルト・エラス選手(USポスタルチーム)に続いて3位でゴールしたフレチャ選手は感激のあまり、ゴールの瞬間わっと泣き崩れた。エラス選手は総合優勝を争うアイトール・ゴンサレス選手に対し、予定より少ないわずか37秒のリードしか稼げなかった。現在2人の差は1分12秒。今日のレースはべハル−アビラ間177.8KMで行われる。これが最後の山岳コースで、その後レースの場はマドリッドに移される。


9月26日(木)

来年度国家予算案、国会に提出

昨日、国際通貨基金(IMF)がスペイン経済の成長率予想を下方修正、一昨日には欧州委員会がヨーロッパ経済の不振からユーロゾーンにおける国の負債ゼロ達成目標年を2年ずらしたにもかかわらず、スペイン政府は来年度国家予算案を修正しなかった。昨日国会に提出されたこの来年度国家予算案では、スペインの2003年度の経済成長率を3%と予想、新たに28万人の雇用を創出し、国の収入と負債が均衡を取ることが予想されている。
クリストバル・モントロ大蔵大臣は、昨日、IMFがスペイン経済成長率を下方修正したことを重要視せず、IMFの予想する年間成長率2.7%で、国の負債ゼロを目標どおり達成できるとの保証さえした。昨年も、9月11日に起こったアメリカのテロの影響を全世界が受ける中、2度予算案を修正(成長率の予想を2.9%から2.2%に下方修正)したものの、スペイン政府は今年同様楽観的な見通しを立てている。
国家の収入も支出も4%の増加が見込まれており、国債額は社会保険の余剰額36億ユーロで補填され、PIB(国内総生産)の0.5%になる見通し。この余剰額の一部(12.02億ユーロ)は、年金の積立金に回される。
30億ユーロの準備金を使って来年に予定されている個人所得税の減税と雇用の創出により各家庭での消費額が増加すること、公共事業への投資額12.9%増が予想されていることが昨日提出された来年度予算案の経済成長率算出の基礎となっている。大蔵省が提出したこの予算案には重大なインフレ問題も他のヨーロッパ諸国経済との大きな差も影響を及ぼしていないように見える。これまでと同じように、この予算案には予想される物価の上昇が反映されていない。ヨーロッパ中央銀行の予想するユーロゾーンの物価の上昇率は2%で、これにともなって年金受給額も公務員の給与額も上昇するだろう。
モントロ大蔵大臣は、欧州委員会がユーロゾーンにおける国の負債ゼロ達成目標年を2004年から2006年に変更したことを批判、直接名指しはしなかったものの、欧州委員会通貨委員のスペインのペドロ・ソルベスへの失望を表明し、「スペインとしては、国の負債ゼロ達成目標年の延期は、欧州委員会の提案としてではなく、欧州議会とEcofin(EU経済・財務相会議)で議題として取り上げてほしかった。」と述べている。国の負債ゼロを達成するのが困難なフランス、ドイツ、イタリア、ポルトガルに対し、「スペインは与えられた課題をきちんとこなす模範生だ」とコメントし、さらに経済大臣のロドリゴ・ラト氏も「欧州委員会は重大な間違いを犯した」と述べている。一方、、野党PSOE(社労党)は目標年がずらされたことを、スペイン経済がさらに成長を加速し、他のヨーロッパ諸国の経済レベルに追いつくいいチャンスだと見ている。

テロの犠牲者を悼んで各地で黙祷

昨日、スペイン各地でテロの犠牲となった治安警備隊のフアン・カルロス・ベイロさんの死を悼んで、スペイン各地で黙祷が捧げられたが、テロの現場となったナバラ県レイツァでは住民3000人のうち、ETA反対集会に参加したのはわずか50人だった。(この町役場はバタスナ党が過半数を占めている。)ホセ・マリア・アスナル首相と社労党のホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ書記長は、出身地アストゥリアスのサマ・デ・ラングレオで行われたベイロさんの葬儀に参列した。

ヨーロッパ一商店での盗難が多いのはイギリス

ヨーロッパで初めて、小売業調査センター(イギリス)が行った調査によって、2001年にEU加盟15ヶ国で商店が盗難にあった被害金額が238億ユーロ、(EU人口一人あたり年間80ユーロの被害)に上ることが判明した。これを犯人の種類別に見ると、客が45.7%、従業員が28.5%、卸売り業者が8.2%となっている。国別に見てみると、売上高の1.75%が被害にあっているイギリスがトップ、最も被害の少ないのはスイス(0.87%)であった。一方、被害額が急増したのはデンマークで前年比9.1%増。イギリスに続くのは、ギリシャ(1.73%)、フランス(1.59%)、ノルウェー(1.56%)で、スペインはそれに続く第5位(1.53%)となっており、前年に比べると被害額は3.5%増えている。
スペインで被害が多い業種は、化粧品店、ドラッグストア、食品販売店。最も盗みを働きやすい店員の特徴として、臨時雇いで18歳から30歳というデータが出ている。また、万引きする客の特徴としては、プロまたは再犯者、30歳以下で、彼らは金曜、土曜、祝日の前日に盗む傾向が強いという。
スペインでは、300.5ユーロ以下の窃盗は過失として処分され、刑務所行きになることはない。しかし、犯罪の増加対策にともなった刑法改正により、再犯の場合は犯罪として扱うことが検討されている。

昨日のブエルタ・エスパニャ(第17ステージ)

ベナベンテ−サラマンカ間145KMで行われた昨日の競技では、イタリアのアンジェロ・フルラン選手(Alessioチーム)が1位でゴール、2位にドイツのエリック・ザベル選手(Telekomチーム)、3位にイタリアのアレッサンドロ・ペタッキ選手(Fassaチーム)が入った。総合優勝を争う選手は全員同タイムでゴールしたため、順位は変わらず。
今日は、サラマンカ−ラ・コバティジャ(べハル)間193.7KMで競技が行われる。スタートしてから100KMは平地だがそこからコースは山岳地に入る。ゴールのラ・コバティジャは標高2010Mにあるスキー場。最後の9.5KMは上り坂で、傾斜の平均は8%。総合優勝を目指す山岳のスペシャリスト、現在1位のロベルト・エラス選手(USポスタルチーム)が地元べハルでどれだけの差を2位のアイトール・ゴンサレス選手(Kelmeチーム)につけられるかが注目されている。


9月25日(火)

ETAのテロにより、治安警備隊員一人が死亡

昨日、ETAが仕掛けた爆弾によりナバラ県レイツァで1人の治安警備隊伍長が死亡、4人が怪我を負った。ETAはレイツァとベラサテギ(ギプスコア県)を結ぶ国道沿いの坂道にあるコンクリートの壁に“G.C. jo ta bertan hil、Gora ETA(治安警備隊はその場で死ね、ETA万歳)”という看板を立てかけており、その看板に15キロの爆薬を詰めた爆弾が仕掛けられていた。付近をパトロール中であった治安警備隊がその看板を発見、彼らが看板を撤去しようとしていた午後12時50分頃、リモコンにより爆弾が爆発、一番近くにいたフアン・カルロス・ベイロ・モンテス伍長、32歳は救急車で病院に運ばれる途中息を引き取り、そのそばにいたミゲル・デ・ロス・レジェス・モラタ軍曹(35歳)も重傷を負った。この軍曹は以前にも、サン・セバスティアンでテロに遭っている。残り3人は軽傷。
一方、月曜日の夜にビルバオで爆弾が誤って爆発したために死亡した2人の推定ETAメンバーのうちの1人の身元が昨日判明した。この男性は少なくとも9件のテロに関与したとみられるグルンツァ部隊に所属していたオデイ・ガララガ・イラストルサ容疑者で、ガララガ容疑者は昨年8月23日に、バスク州警察がサルディビア(ギプスコア県)の自宅を訪れたときに逃亡しており、この村では25キロの爆薬を積んだ車両爆弾を準備していた工場がみつかっている。助手席に乗っていたもう一人の男性の身元は依然として不明。

エル・サロブラルのスラム街からの“出エジプト”(マドリッド)

200人近いルーマニア人、少なくとも70家族が昨日、マドリッドのビジャベルデにあるスラム街エル・サロブラルを後にした。彼らは数ヶ月前から泥とゴミに囲まれてここに住んでおり、マドリッド市のソーシャル・サービスが彼らを、バルデミンゴメスのゴミ捨て場近くにある水道、電気、スペイン語の授業つきのキャンプ場に移送した。ここに住んでいる子供たちは今日から学校に通うことになる。
昨日の午前8時ごろ、地方警察と市役所のソーシャルサービスがマドリッドの市バスに使われているバスを使って、ルーマニア人たちを新しい住みか、カニャダ・デ・ロス・カンテロスに移した。「ここは寒いから、別の場所に越したい。」とルーマニア人たちは毛布とビニール袋に数少ない荷物を集め、出発の準備をしながら口々に言った。合計で200人近いルーマニア人がこのスラム街を後にし、現在もそこに残っている100人も別の場所への移動を待っている。
女性、子供、老人たちはあっちに行ったりこっちに行ったり、おもちゃ、食べ物、衣服、植物などを集めて周り、地方警察官たちは、彼らを移送するバスがもうすぐ出ると何度も繰り返さなければならなかった。「私たちがどんな生活を送ってたか見てよ。泥まみれで、寒いし、汚いし。」とルシアはこぼした。彼女の足元にはじゅうたんとおぼしきものが、泥を吸い取らせるために敷かれていた。37歳にして、ルシアにはすでに孫がいる。息子のアドリアンは17歳で、その妻モニカは15歳だが2人目の子供を妊娠中。彼らのベッドには足が一つしかなく、のこり三方はレンガで支えられていた。周りには食べ残しが散らばり、悪臭が漂い、ベッドのマットレスには泥が染み込んでいた。
彼らのバラック小屋から数メートルの場所には、今月7日に起こり、4ヶ月の乳児が死亡した火災の灰がまだ残っていた。電気も暖房もないこのような場所で火事が起こるのは珍しいことではない。彼らは焚き火を起こし、ろうそくを灯し、ゴミに囲まれて生活しているのだから。
清掃局員たちがこのスラム街を掃除したところ、10万キロのゴミが出た。この場所はもともと国鉄と勧業省が持ち主で、近所の住民達が1980年代にここで農園を始めた。そこに1995年から2000年の間に、他のスラム街を追い出された人々が集まってきて、現在にいたっている。
70家族のうち44家族はバルデミンゴメス(バジェカス)へ、8家族はカサ・デ・カンポにある市役所の収容所へ、残り18家族は自分達でなんとかすると言って、それぞれエル・サロブラルを後にした。ところが、この18家族はその後、午後6時ごろサン・クリストバル・デ・ロス・アンヘレスにあるデエサ・ボヤル公園に居座ろうとし、住民の通報により警察が出動し、彼らを立ち退かせた。住民達は、彼らが戻ってこないように後退で、公園の見張りをするという。
バジェカスの新しい住処は、マドリッド自治区、市役所、社会問題省が運営している東ヨーロッパからのジプシー用の場所で、60室があり、2家族にひとつ、お風呂と台所もついている。ここでは、アルコールを摂取することも、夜の12時以降外出することもできないし、自分の妻に暴力をふるうことも許されない。これらの規則を守らない場合はここから追い出されることになる。ここには最長1年9ヶ月滞在することができ、その間、スペイン語の授業が行われ、職業訓練が行われる。

昨日のブエルタ・エスパニャ(第16ステージ)

アビレス−レオン間の154KMを制したのは、コロンビア人のサンティアゴ・ボテロ選手(Kelmeチーム)。今年のツール・ド・フランス4位の彼はこのブエルタで全く冴えず、彼の不振を周囲は不思議がっていた。ブエルタのこれまでのどのステージでも彼の本領が発揮されたことはなかったが、そのボテロ選手が昨日1位でゴール、2日前のレースでアイトール・ゴンサレス選手が監督の指示を聞かなかったことから不協和音が鳴り響くKelmeチームにとっては嬉しい知らせとなった。
昨日はレースがスタートしてすぐ、12人の選手が抜け出し、パハレス峠に着いた時にはそれが8選手となっていた。峠を降りるときに8人が5人になり、その5人、ボテロ、アイトール・オサ(バネストチーム)、ホセ・イバン・グティエレス(Kelmeチーム)、ダビ・プラサ(コーストチーム)、ルイス・ペレス(コーストチーム)選手の中で最後まで勝利が争われた。今日は、ベナベンテ−サラマンカ間145.6KMで競技が行われる。平坦なこのコースでは、スプリンター選手の活躍が予想されている。


9月24日(火)

ETAメンバーと見られる二人がビルバオで誤爆死

昨日の午後23時40分頃、ビルバオ市の郊外にある新興住宅地バスルト地区で爆弾の爆発によって死亡した2人は、車(グレーのフォード・モンデオでレンタカーであることが判明)に爆弾を仕掛けようとして誤って爆弾が爆発したETAのテロリストであるとバスク警察は推理している。
ガルソン判事が8月26日にバタスナ党活動停止命令を出してから、これまでにテロリストグループETAは裁判所、バスク警察署に対し計3回のテロを企てているが、いずれもバスク警察が未然に阻止している。4回目の今回は、爆弾の準備をしていたテロリスト2人が死亡する形で終わった。爆発の規模が大きかっため、死亡した2人(推定)の遺骸は周囲100メートルにわたって散らばり、バスク警察による死亡者の身元照会は難航している。助手席の遺体の方が損傷が激しいことから警察は、助手席の人物が爆薬を取り扱っている最中に爆発が誤って起こったと見ている。爆発後の車の残骸の中からは、バスク警察によりピストル、リモコン爆破装置、偽造ナンバープレートが発見された。
今年に入っての、ETAのテロは24回で、3人が犠牲となっている。一方、昨日の2人を含めると1969年以来、爆弾の取り扱いまたは移送中に死亡したETAのテロリストの数は32人。

モロッコ政府、スペインのさらなる領空侵犯を非難

モロッコ政府は、昨日、スペインが新たにモロッコの領域を侵犯したとして抗議し、昨日、マドリッドで行われるはずであった両国外相会談を突然キャンセルした理由をさらに正当化した。モロッコのモハメッド・ベナイサ外務大臣は、昨日2通目の通達書を出し、スペインの軍用機がペレヒル島とアフリカ大陸にあるウエ・エル・メルサ地区上空を飛んだことを非難した。
ベナイサ大臣はこの通達で「モロッコ政府は、両国が真摯な対話の場を設けようとしている時に、軍用機で度々モロッコの領空を侵犯するスペインの態度に懸念を示す」「このような非友好的で一方的なスペインの対応では、望まれている対話の場を設けることは難しい」等のコメントをしている。
しかし、スペインのアナ・パラシオ外務大臣は、昨日ペレヒル島の上空を飛んだのは軍用機ではなく、スペインの民間放送テレビ局テレシンコの飛行機で、ペレヒル島の上空からの映像を撮影するためだったと述べている。

スペイン政府、不法移民対策緊急プランを発表

モロッコとサハラ周辺地域からの移民の流入はとどまるところを知らない。たった72時間で治安警備隊はカナリアス諸島に上陸しようとしていた不法入国者を491人逮捕している。カナリア諸島各地の移民収容所がどこもすし詰め状態となっている今、状況を少しでも改善するため政府は緊急対策プランを発表。その中に10日間で1000人のモロッコ人を送還するというものがある。
逮捕後、カナリア諸島に拘留されているモロッコ人は、まず飛行機で80〜90人のグループにわけてアルメリアへ移送され、そこからメリジャ行きのフェリーに乗せられ、メリジャのベニ・エンザル国境検問所でモロッコに引き渡される。最初のグループを乗せた飛行機は、今日ランサローテ島から出発する予定。
この手続きを迅速に行うためラス・パルマス島では移民の送還問題係の数を増やした。さらに、フエルテベントゥラ島には、40人の警官と18人の治安警備隊員が送り込まれている。
タリファ(カディス県)でも、日曜日から昨日にかけて治安警備隊が77人のマグレブ地域住民(うち女性2人)を逮捕、一方、ハティバ(バレンシア)では昨日、トラックに7人のマグレブ地域住民(うち未成年1人)を載せていたイタリア人男性1人が逮捕、セウタでは車のトランクに2人の不法入国者を隠してジブラルタル海峡を渡ろうとしていた夫婦が逮捕されている。

昨日のブエルタ・エスパニャ(休息日)

昨日は選手の休息日のため、競技は行われていない。今日は、第16ステージ、アビレス−レオン間154.7KMで競技が行われる。木曜日にも得意の山岳コースを控えているロベルト・エラス選手がさらに2位との差を開くことができるかどうかの期待がかかっているが、今日のコース中盤にある標高1370メートルのパラレス峠は過去にも大逆転の舞台となった場所で、まだまだ競技の結末はわからない。


9月23日(月)

モロッコ、スペインとの外務大臣会談を直前キャンセル

モロッコ政府は今日マドリッドで予定されていた両国外務大臣会談を突然キャンセルした。今回の会談は、7月のモロッコ憲兵隊によるペレヒル島占拠とその後のスペイン軍特殊部隊による同島奪回の後、両国外務大臣間で開催が決められていたもので、会談キャンセルの理由についてモロッコのモハメド・ベナイサ外務大臣は、スペイン軍のへリコプターが昨日の午後、ペレヒル島に着陸したことへ抗議するためであると述べている。モロッコ政府はこの件を「モロッコ領空、領土を再び侵犯したスペインの行為を許容することはできない」と述べ、ベナイサ大臣からの通達書には「7月に両国間で達していた合意に背く嘆かわしい出来事である」と付け加えられている。
しかし、スペイン政府側は、別の訓練で上空を飛んでいたスペイン軍のヘリコプターがモロッコ・パトロール隊のボートがペレヒル島に近づいているのを発見、セウタ基地からの命によりこのヘリコプターがペレヒル島上空を巡回したことは認めたが、上空を飛んだのは5分ほどで、ヘリコプターがペレヒル島に着陸した事実はないと強調している。モロッコ側のボートはその後モロッコ領内の海岸方面へ去り、ヘリコプターもセウタの基地に戻ったという。
スペインのアナ・パラシオ外務大臣が、モロッコのモハメド・ベナイサ外務大臣から会談をキャンセルするとの電話を受けたのは昨日の夜遅くであった。すぐに、外務省のラモン・ヒル・カサレス書記官がモロッコに電話し、ヨーロッパ問題担当書記官のタイエブ・ファッシ・フィーリ氏に事態の説明を行ったが、モロッコ側はこの説明を受け入れなかった。

スペイン、亡命申請の90%を却下

昨年の45%に対し、今年に入って6ヶ月間にスペイン内務省が受理した亡命申請は10%。スペインで亡命申請をする人の数が急速に減っている。これは、スペインの外国人法とヨーロッパでの難民受け入れに関する規定が厳しくなったためである。2001年には87カ国から9290人が、スペイン国境(主にバラハス空港)またはスペイン領土内で亡命申請をした一方、今年の1月から6月までの間に申請をしたのは3748人。昨年同時期は約5000人の申請があったという。
申請数が激減したのは3月からで、理由の一つとして考えられるのが、以前はハバナからモスクワに向かう飛行機のトランジット中にマドリッドで亡命を求めるのが常套手段であったキューバ人に対して通過ビザが要求されるようになったこと。そして、多くの人々がゲリラから狙われているとし、身の危険を感じて亡命を申請するコロンビア人に対して、入国ビザが要求されるようになったことである。「スペインに入国することは日毎に難しくなっており、しかも1951年のジュネーブ協定の規定を適応させられるように自分が迫害を受けていることを証明するのは簡単ではないのです。」と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のカリン・デ・グルヒル氏は述べている。
内務省の内部広報である亡命統計報によると、今年6ヶ月間で亡命を申請した3748人のうち申請が受理されたのはわずか243人だという。このうち101人はジュネーブ協定の規定に従って、34人は1994年亡命・難民法第17条2項の規定により、残りの45人は一般的に“その他の保護”と呼ばれる理由で亡命を認められている。申請の90%を却下していることに対し、社労党議員でスペイン難民救済委員会の委員長デリア・ブランコ氏はスペイン内務省を非難しているが、それに対し内務省は「受理されなかった申請者はジュネーブ協定どころか、スペインの法律も遵守していなかった。昨年は、申請されたうちの11.7%を受理、うち3.6%が人道的理由からで、このデータは、EU諸国平均と同程度である。」と反論。しかし、6月のデータを見てみると、当時内務大臣だったマリアノ・ラホイ氏は、429件(311件が6月分、残りはそれ以前の申請)の申請のうち17件にしか受理のサインをしていない。つまり、申請されたうちの受け入れたのは3.96%ということである。

シベーレス広場の女神像、左腕を失う(マドリッド)

土曜日の夜、シベーレス広場でバスを待っていた目撃者の話では、まず2台の車から9人の酔っ払った若者達が降りてきたという。若者達は広場の真ん中にある噴水に入り込み、パンツ1枚になり水遊びを始め、その後、2人の若者が噴水の中央にある女神像に上り始めた。うち1人が女神像の隣にあるライオン像にまたがり、もう一人は女神像の頭まで上ろうとした。その時体重をかけられた女神像の左腕(マドリッド市の鍵を持つ)が壊れた。この目撃者によると、これに驚いた若者達は慌てて像から降り、6キロある女神の左腕を車に乗せ、パンツ1枚のまま、車で逃げ去ったという。
サッカーチーム、レアル・マドリッドが優勝すると選手とファンが集まることで有名なシベーレス広場の女神像の左腕が壊れたのは1931、1994年に続いてこれで3度目。市役所の見積もりでは、左腕をもがれたシベーレス広場の像の修復には3万ユーロかかるといい、市役所修復課のシグフリード・エラエス氏は犯人逮捕のため、市民の協力を求めている。

昨日のブエルタ・エスパニャ(第15ステージ)

ヒホン−ラングリル峠(標高1560M)間176.7Kmで行われた昨日のレースは、ロベルト・エラス選手(USポスタルチーム)が制し、総合成績でもトップに立った。誰もが恐れた山岳レースで、山のスペシャリスト、エラス選手は傾斜23.6%の坂をものともせず、土砂降りの中を軽快に上っていった。カーブが多い上、路面は雨で濡れており転倒者が続出。イギリス人デービッド・ミラー選手(COFIDISチーム)は2度の転倒から立ち上がったが、結局ゴール直前で棄権、コロンビアのビクトル・ウーゴ・ペニャ選手も棄権した。土砂降りの中、各選手が寒さに震えるレースとなった。
エラス選手に続いて1分35秒後にヨセバ・ベロキ選手(ONCEチーム)がゴール、その6秒後の3位はイタリアのフランチェスコ・カサグランデ選手(FASSAチーム)。前日まで総合成績1位のオスカル・セビジャ選手はトップから2分50秒遅れの11位でゴールし、総合成績3位に後退、2位につけていたアイトール・ゴンサレス選手は2分16秒遅れの5位でゴールし、トップと35秒差で総合成績2位の座を維持している。今日は選手の休息日のため、競技はなし。明日は、アビレス−レオン間154.7KMで競技が行われる。

週末のスポーツの結果

モータースポーツ:現在トップで優勝候補のフィンランドのマーカス・グロンホルム選手(プジョーチーム)との差は31ポイント。残りはわずか3レースであることから、金曜日、サン・レモ・ラリーで棄権したカルロス・サインス選手(フォードチーム)の今期優勝は絶望となった。
ラグビー:バジャドリッドで行われた世界選手権予選で、スペインは3−50でイタリアに大敗した。
バスケットボール:中国で行われた女子世界選手権で金曜日、ユーゴスラビアに81−67で勝利し準々決勝にコマを進めたスペインは、今日アメリカと対戦する。
バイク:モトGPクラスは、2位宇川 徹選手の転倒により、ブラジルGPを制したイタリアのバレンティーノ・ロッシ選手が270ポイントで総合優勝を飾った。 順調なレース運びを見せていたカルロス・チェカ選手は濡れた路面のため転倒。250CCクラスでは、フォンシ・ニエト選手が転倒、総合成績1位(228ポイント)のマルコ・メランドリ選手との差は45ポイント。このレースで最も成績が良かったスペイン人選手はトニ・エリアス選手で5位。125CCクラスでは、日本の東雅雄選手が優勝。スペインのパブロ・ニエト選手が5位、ホルヘ・ロレンソ選手が7位に入った。


9月20日(金)

全国管区裁判所、バスク州議会を非難

バルタサル・ガルソン判事を除く6人のうち5人の全国管区裁判所判事は昨日、バスク州議会に声明書にサインした。この声明書は、今月6日のガルソン判事の裁定(バタスナ党のバスク州議会内での活動停止)を守らないバスク州議会に対する危惧が示されている。一方のバスク州議会は、州政府を構成している連立3党、PNV(バスク民族党)、EA(バスク連合)、IU(統一左翼)の賛成票によって、ガルソン判事はバスク州議会に対してそのような命令を下す権限はなく、従って裁定は無効であると決議した。さらに、バスク州政府は、ガルソン判事が権限を越えた行為を行っているとして提訴することも検討している。
中央管区裁判所の5人の判事は、バスク州議会がガルソン判事の判決を実行しないことは、すなわち国の法律を踏みにじることであるとし、ガルソン判事支持をアピールしている。

日曜日にギプスコアで新たなデモ予定

バタスナ党議員で弁護士のジョネ・ゴイリツェライア女史はモンドラゴン(ギプスコア県)でのデモ開催を市役所に申請している。この申請は、ガルソン判事がバタスナ党の活動停止命令を出して4日後に行われたもので、モンドラゴンでの政権を握っているのはバタスナ党である。申請は、ETA収監者援助団体Askatasun Taupadak(自由の鼓動)の名において行われており、バスク州政府が開催を許可しない場合は、通知書が送られることになっている。PP(国民党)は、「バタスナ党とデモ召集者のつながりは明らかで、ETAを支持するあらゆる活動は阻止されなければならない」と、バスク州政府内務局長のハビエル・バルサ氏に開催を許可しないよう申し渡している。

アレハンドロ・サンスさん、ラテン・グラミー賞3部門獲得

昨日、ロサンジェルスで発表されたラテン・グラミー賞で、スペインのアレハンドロ・サンスさんが、ノミネートされていた3部門(最優秀曲、最優秀レコーディング賞 "Y solo se me ocurre amarte"、最優秀アルバム賞"MTVアンプラグド")すべてを獲得、昨年(4部門受賞)に続いて2年連続の受賞となった。最多5部門にノミネートされていたコロンビアのカルロス・ビベスさんは2部門(最優秀トロピカルアルバム、最優秀トロピカル曲)の獲得に終わったが、フアネスが"A Dios Le Pido" で最優秀ロック音楽賞、シャキーラさんが"Suerte"で最優秀ビデオ賞、キケ・サンタンデールさんが最優秀プロデューサー賞を獲得、コロンビア人ミュージシャンの活躍が示された年となった。
また、キューバのセリア・クルスさんが最優秀サルサアルバム賞、メキシコのアレハンドラ・グスマンさんが最優秀ソロ・ロックアルバム賞、チリのラ・レイが最優秀グループ賞を獲得している。 スペイン人の受賞はサンスさんだけでなく、ロサリオさんが"Muchas Flores"で最優秀女性ポップアルバム賞、ミゲル・ボセさんが"Sereno"で最優秀男性ポップアルバム賞を受賞し、エル・チョコラテさんが最優秀フラメンコ曲賞を受賞した。

昨日のブエルタ・エスパニャ(第12ステージ)

スプリンターがスパートをかけ、集団から抜け出そうとする駆け引きの続いた第12ステージ、選手のスピードは時速54キロにも達した。ブルゴスのゴールに近づいたとき、集団は18人の選手で構成されており、ドイツのエリック・ザベル選手(Telkomチーム)の後ろにぴったりとくっついていたイタリアのアレッサンドロ・ペタッキ選手(FASSA BORTOLO チーム)が最後の瞬間にザベル選手をかわして1位でゴールした。総合成績順位は1位オスカル・セビジャ選手、1秒差の2位アイトール・ゴンサレス選手、1.42秒差の3位ロベルト・エラス選手で変わらず。
今日はブルゴス−サンタンデール間178KM、明日はサンタンデール−ヒホン間190.2KM、あさってはヒホン−ラングリル峠間176KMで競技が行われる。日曜日のコースには第1級の高さの峠が2つと第2級の高さの峠が1つあり、選手が勝負を賭けることが予想されており、この週末はブエルタ・エスパニャ2002の勝負所となるだろう。


9月19日(木)

スペイン、国連安全保障理事会入りほぼ確定

天変地異か予測不可能の災害が起こらない限り、スペインが9月27日に国連安全保障理事会のメンバーに選ばれることは間違いないだろう。空席1つは、他のどの国とも競合していない上、必要投票数獲得はすでに書面で約束されていることから、来年の1月から2年間にわたってスペインが安全保障理事会のメンバーとなることはほぼ確実と見られている。
これが実現すれば、スペインが安保理事会するのは4度目になる。9月27日の選挙で、西ヨーロッパとその他の国々グループ(WUOG)に対して与えられた2つの空席に立候補しているのはドイツとスペインだけで、空席はこの2国によって埋められるであろう。安全保障理事会は、5つの常任理事国(アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリス)と15の理事国(アフリカ3、アジア2、中南米2、西ヨーロッパ2、東ヨーロッパ1)で構成されており、27日には中南米代表、アジア代表、アフリカ代表もそれぞれ1カ国ずつ選ばれる。
今回の安全保障理事会入りは、アスナル首相が1996年からキャンペーンを展開、諸外国訪問の際にスペインへの投票を頼み、2カ国以上の候補国が出ないよう他の国を説得してきた成果であるとスペインのイノセンシオ・アリアス国連大使は述べている。最終的にドイツとスペインが理事国入りすることが決まったのは4月。西ヨーロッパ以外に、オーストラリア、カナダ、イスラエルなども含まれるWUOGがスペインとドイツを理事国に押すことで決定し、他の国が立候補する道は遮断された。
理事国入りするためには、国連に現在加盟している191カ国の内3分の1以上、つまり少なくとも126票を獲得しなければならない。しかし、スペインは書面により、すでに必要得票数以上の国の約束を得ている。スペインが理事国入りできない状況になるとすれば、かなりの数の加盟国が棄権する場合しかない。 アナ・パラシオ外務大臣は、スペインが理事国入りすることについて、例えば、西サハラ問題に関して国連安保理との意見の相違から、モロッコとの間で緊張が高まるなど、スペインと周辺諸国の国々との関係が複雑になるかもしれないと考えている。
アリアス国連大使は通常の任期の5年を迎えるため、現在は後任の選考中。EUから中近東に派遣され、国際政治の舞台での経験豊富なミゲル・アンヘル・モラティノス氏、外務省事務総長のハビエル・ガリゲス氏等の名が候補として上がっている。

イベリア航空の乗客、預けた荷物を受け取れず

イベリア航空のエアバスの荷物室のメンテナンスの問題により、ここ数日間何百人もの乗客が自分の預けた荷物を積んでいない飛行機に乗っている。この夏の休暇シーズン真っ最中にバルセロナのプラット空港に4000個のスーツケースが残されたのと同じことが、ここ数日間で起こっている。責任は従業員の間で転嫁され、誰もこの責任をとるものはなく、絶望した乗客は自分で行方不明になっている荷物を探すという苦難を背負わされている。被害にあっているのはすべてバルセロナ発着の飛行機で、運がよければ3〜5日でスーツケースは戻ってくる。ジョセップ・ルイス・ラハラさんのスーツケースは、マドリッドへの行きで1つ、バルセロナへの帰りで1つなくなった。ロンドンから恋人と休暇を過ごしに日曜日にバルセロナにやってきたジェイムズ・ムーディさんのスーツケースがみつかったのは昨日。
スペインの空港を経営、管理している公営の会社AENAはあらゆる責任を認めず、荷物の配送は配送サービス会社の仕事で彼らの関知するところではないと述べている。イベリア航空は「エアバスの荷物室のメンテナンス作業が適切ではなかったために起こった一時的な問題」であると説明している。荷物室のメンテナンスについてはパイロットの労働組合であるSeplaが問題にしたため、民間航空連盟で調査、それによりここ数日の間に17機の飛行機が荷物を積まずに離陸するよう命じられたものであるが、イベリア航空は「事態は収拾に向かっており、数日以内には通常の状態に戻るであろう」と述べ、昨日、エアバス319と321の製造会社の助言に基づき、荷物室のすべての内部パネルの取り替えをすることを約束した。イベリア航空は、プラット空港に残されたスーツケースのうち同社のものは200だけで、それ以外は他者のものだと言い添えた。
しかしながら、配送会社の職員達は今回の事態を「会社との労働規定の交渉材料にしようとしたパイロットの責任だ」とパイロットの労組を非難しており、一方の労組側は「荷物を積むか積まないかはパイロットの決めることではない」と反論している。
昨日、怒った乗客たちがスーツケースを保管している部屋と、空港内紛失物取り扱い窓口に押しかけた。自分のスーツケースを見つけた人もいたが、大半の人のスーツケースの行方について知る者は誰もいない。

昨日のブエルタ・エスパニャ(第11ステージ)

マドリッド、サン・マルティン・デ・バルデイグレシアス出身、26歳のパブロ・ラストラス選手(Banestoチーム)はこの4年間で9度の怪我、4度の手術、5度の骨折を経験している。昨年は第七脊椎骨折後、車椅子から奇跡のカムバックを果たした。そのラストラス選手が昨日の第11ステージ(アルコベンダス−コジャド・ビジャルバ間166.1KM)で、第9ステージに続いて2度目、しかも地元での嬉しい勝利を飾った。レースは、雨、霧、風そして太陽という厳しい気候条件の中行われたが、順位に目立った変化はなく、Kelmeチームのオスカル・セビジャ選手とアイトール・ゴンサレス選手が引き続き1秒差で総合成績1位と2位を占めている。今日のレースは、セゴビア−ブルゴス間、210.5KMで行われる。


9月18日(水)

バスク州政府、ガルソン判事に挑戦状

PNV(バスク民族党)、EA(バスク連合)、IU(統一左翼)が連立で政権を握るバスク州政府は、昨日、バルタサル・ガルソン判事を背任の罪で最高裁判所へ提訴することを決定した。さらに、バスク州議会では、PNV、EA、IUの票により、ガルソン判事が命じているにもかかわらず、州議会内でのバタスナ党の活動は停止しないことが議決された。
バスク州政府が提訴の対象にしたのは、8月26日から9月6日の間に出された、独立主義政党と関連をもつ人々がデモの招集をするのは違法であることを判事が明らかにしようとしている3つの判決で、フアン・ホセ・イバレチェ知事は、「ガルソン判事の判決は、不公正で、バスク州政府の持つ権限を無視した、集会と表現の自由という基本的な権利を剥奪するものである」と述べた。バスク州政府広報官のジョス・ジョン・イマズ氏によると、バスク州政府が問題にするのは、バタスナ党の活動停止命令判決ではなく、その後、ガルソン判事が先週の土曜日のビルバオでのデモの前にバスク州政府内務局に送った通達についてであるという。イマズ氏は「ガルソン判事のデモを禁止せよという通達内容は、無根拠で現行法に反するものである。私の判断では、このように基本的権利である表現と集会の自由を奪うことは、明らかにヨーロッパ人権協約に違反している。」と述べた。
昨日、週に1度開かれるバスク州政府執行部の会議で読み上げられた弁論書には「ガルソン判事の通達が法律違反であることは明らかで、合法的処分の道を外れ、民主主義社会における基礎ともいえる権利の擁護の最低限の保証すら守れていない。これらの基本的権利は開かれた社会に不可欠のものである。」と書かれている。イマズ氏によると、ガルソン判事の通達は軌道をそれ、バタスナ党に何の関係もない人々、団体にまで影響を及ぼし、これにより、バスク社会に明らかな混乱が生じ、バタスナ党の活動に賛成でない人々にも反ガルソン判事、反バタスナ党違法化の傾向が広まったという。
昨日、ムルシアのアギラスに滞在していたガルソン判事はこの件についてコメントしなかった。あるバスク州最高裁判所関係者は、現在の状況を「非常にデリケート」と述べた上で、「混乱したままの今の状態を続けるより、最高裁判所がこの事態について法的に明らかにする方が良いと思う。」と述べている。また、PP(国民党)、PSOE(社労党)両党は、昨日バスク州政府の態度に不快感を示し、「バスク州政府執行部は、国の法律の基礎を壊そうとしている」とバスク州政府を非難した。

コロンブスの遺体をDNA判定

コロンブスの遺体をめぐるミステリーが新しい局面を迎えそうである。昨日、セビジャのサンティ・ポンセにあるラ・カルトゥハ−ピックマン陶器工場で彼の末弟ディエゴの遺体が掘り起こされた。激しい雨の降る中、調査員グループがディエゴ・コロンの遺体が入っているとされているトタンのへこんだ箱を掘り出したのは、彼のDNAを調べて彼の出自を明らかにするためと、セビジャとドミニカ共和国、どちらのカテドラルにあるのが本当のコロンブスの遺体かを判定するためである。
1515年にセビジャ県カルトゥハのサンタ・マリア・デ・ラス・クエバス修道院サンタ・アナ礼拝堂に埋葬されたはずのディエゴ・コロンの遺体が陶器工場にあるのはなぜか?それは、1841年、イギリス人実業家チャールズ・ピックマンが陶器工場を作るためこの修道院を買い取ったためである。しかし、その礼拝堂地下にあったコロン家の墓地は1930年まで発見されなかった。コロンブスの末裔で歴史家のアヌンシアダ・コロンさんによると、この墓地に埋葬されたのはバジャドリッドから移されたコロンブスとその息子ディエゴ、コロンブスの末弟ディエゴの3人だけだったという。しかし、コロンブスと息子の遺体は1544年にドミニカ共和国のサント・ドミンゴに移されたため、1950年にこの墓を開けたときには、骨は弟ディエゴの1体分しかなかった。1961年、墓地は司法解剖のため再び掘り起こされ、その後この管理はラ・カルトゥハ−ピックマン陶器工場に任された。25年前に現在の場所に移転したこの工場は地下の1室にこの骨を保管していたが、3年前に庭に埋めることを決め、そのトタンの箱が掘り起こされ、いわしの缶詰のように昨日開けられた。
弟ディエゴのDNA鑑定の結果は、セビジャのカテドラルの遺体と、コロンブスの息子エルナンド(セビジャの教会に埋葬)の遺体のDNAと比較され、これにより、コロンブスとディエゴの両親が同じなのか、それとも異母兄弟または異父兄弟なのかが明らかにされる。さらにサント・ドミンゴの遺体との比較も検討されており、セビジャとドミニカ共和国、どちらのカテドラルに本物のコロンブスの遺体があるのかも解明される予定である。アヌンシアダ・コロンさんが「1795年にスペイン人がサント・ドミンゴからキューバに逃げた時、彼らは間違うことなくコロンブス提督の遺体を持ち出しました」とし、セビジャにあるのが本物の遺体であると確信している一方、セビジャにあるドミニカ共和国領事館のフランシスカ・エスピネル領事は、本当のコロンブスの墓は自分の国にあるものであると信じて疑っていない。

昨日のブエルタ・エスパニャ(移動日)

昨日はアンダルシアからマドリッドに選手が移動するため競技は行われなかった。現在の総合成績は1位、オスカル・セビジャ選手(Kelmeチーム)、1秒差の2位が同じチームのアイトール・ゴンサレス選手、3位が1分42秒差でロベルト・アラス選手(USポスタルチーム)、4位、5位が2分4秒差でイバン・マジョ選手(Eyskaltelチーム)、ヨセバ・ベロキ選手(ONCEチーム)で、全員がスペイン人。今日は、アルコベンダス−コジャド・ビジャルバ間(166.1KM)の山岳地で競技が行われる。


9月17日(火)

ボルドーでETAの司令官を逮捕

スペイン警察とフランス警察の共同作戦により、昨日アイノア・ムヒカ・ゴニ、フアン・アントニオ・オララ・グリディの2人のETAメンバーが逮捕された。スペイン内務省によると、マドリッド、ドノスティの両部隊に属していたこの2人は、最近はフランスから標的を選び、テロの実行命令を出していたという。実生活で恋人同士であった2人の容疑者は昨日午後8時ごろ、ボルドー郊外タレンセのスーパーで逮捕された。これは、フランス警察が不審者を発見して以来3ヶ月にわたって行っていた捜査の成果である。
2人の逮捕に直接関わったのはフランスの国家対テロリスト部隊で、武装していた2容疑者のほか、今のところ身元が明らかにされていない1人のフランス人女性も逮捕している。2容疑者の自宅からは、テロリストグループETAに関する様々な書類が押収された。
オララ容疑者は現在35歳で、EUが探しているテロリストのリストにも名前が載っており、全国管区裁判所で裁判中のいくつもの事件に関与していると見られている。一方のアイノア・ムヒカ容疑者、32歳は1996年から97年の間に、マドリッド部隊の一員として様々なテロリスト活動に参加していたと見られている。
今回の逮捕は、今年に入ってフランス南部で始められた別の捜査の途中に、テロリストグループのために偽造書類を使ってアパートを借りている一組のフランス人カップルが見つかったことに端を発する。以来スペイン警察による捜査も始まり、約3ヶ月前にそのアパートが特定され、それからアパートに出入りする人々の監視が始まった。昨日は午後6時ごろ、ムヒカ容疑者がアパートに入るのが確認され、その後彼女は男性とアパートを出て、車で近くのスーパーに向かった。彼女に同行している男性が特定できないまま、警察は逮捕作戦を開始、2人が買い物をしている間に、同行者がオララ容疑者であることを確認、買い物を終えた2人が車に向かう途中の駐車場で両容疑者を逮捕した。どちらの容疑者もピストルを所持していたため、スペインに送還される前に2人はフランスで裁判にかけられる。これは、スペインに送還されるのを遅らせるためにETAのメンバーがよく使う手口である。2人の逮捕と平行して警察は、自宅の監視もしばらく続けた。偶然、このアパートに寄ったメンバーがつかまる可能性に賭けたのである。そこで、身分がまだ明らかにされていないフランス人女性1人が逮捕された。この女性は、アパートを偽造書類で借りていたカップルの1人であるという。
2人の容疑者の逮捕は、2001年2月22日にハビエル・ガルシア・ガステル“チャポテ”容疑者が逮捕されて以来の、警察にとって重要なETAメンバーの逮捕となった。内務省は今回逮捕された2人がチャポテ容疑者の逮捕以来ETAの指揮をとっており、彼らがマドリッド、ドノスティ部隊に属していた間に少なくとも9件の暗殺事件に関与したと見ている。

アンダルシアで大雨による被害

昨日セビジャで1平方メートルあたり50リットル、ウエルバで43リットル、カディスで21リットル、コルドバで16リットルの大雨が降った。どの場所でも雨が降っていたのは4時間足らず。カディス県のコニルでは、午前7時半頃国道340号線を渡ろうとしていた歩行者1人が大雨により視界が悪くなっていたため車にはねられ死亡している。
この3時間後にはセビジャのカルデナル・イルンダイン通りにある壁が豪雨で、通りを歩いていた夫婦の上に崩れ落ちた。女性は腓骨と脛骨を骨折、男性はくるぶしを捻挫した。警察はマドリッド、ガリシア、ラ・リオハ、アラゴン、エクストレマドゥラ、カスティジャ・ラ・マンチャ、アンダルシア、カナリアスの各州に大雨強風警報を出した。
午前7時から11時にかけて降ったこの大雨はセビジャ市内の通りを水浸しにし、マルケス・ルカ・デ・テナ通りの地下道では妊婦とその15ヶ月の子供が乗っていたタクシー1台を含む車2台が閉じ込められた。セビジャ、ウエルバ、カディス、コルドバの各県では家屋、地下室、倉庫が浸水、道路が遮断され、停電が起こった地域もあった。セビジャ県のオスナ、ペドレラ間では4時間にわたって鉄道が運行を停止した。

ユーロ硬貨による金属アレルギー多発

今年1月、ユーロ導入により、新硬貨への金属アレルギーが報告され始めた。アレルギーの原因は世界中で硬貨に使用されているニッケル。不思議なのは、ペセタ硬貨やその他のヨーロッパ硬貨のニッケル含有量の方がユーロ硬貨より多いにもかかわらず、旧硬貨でアレルギーの出なかった人にユーロ硬貨でのアレルギーが出たことである。
ユーロ導入の9ヵ月後、これに対して説明がなされることとなった。スイスの科学者3人がこのアレルギーの謎の解明について科学雑誌「ネイチャー」に発表したところによると、問題は1ユーロと2ユーロの2色構成(1ユーロ硬貨は中央が銀色でその周りが金色。2ユーロはその反対)。含有量の違うニッケルの組み合わせが金属の腐食現象を引き起こし、それによりユーロ硬貨からのニッケル放射量が、EUの定めている人体とニッケルとの接触限界量の320倍にもなるという。ニッケルは、硬貨の鋳造コストを下げるために使われており、2色使いになっているのは偽造防止のため。ニッケルアレルギーを持つ人が長時間ユーロ硬貨を触ると、腕輪、ネックレス、ピアスなどをつけることによって出るのと同じアレルギー症状、かゆみ、時には湿疹が出る。
欧州委員会は2色のニッケル含有量が違うことは認めたが、どちらも接触限界量は超えておらず、また皮膚アレルギーも認められていないと反論している。しかし、ある委員は、接触限界量の設定は1997年のデータで行われていること、さらに調査が宝石商のように常に金属を扱う職業対象であっても硬貨に対しては行われてないことを指摘しており、新たな研究が必要なのではと委員会に疑問を投げかけている。 一方のスイスの3科学者は、7人のニッケルアレルギー保持者に対して彼らの手に1ユーロと2ユーロの硬貨を粘着テープで貼るという実験を行っている。貼り付けてから48時間後と72時間後の結果を見たところ、全員にかゆみや水疱などのアレルギー症状があらわれた。もちろん硬貨を2日も3日も手に貼り付けるというのは極端な例だが、ニッケルアレルギーを持ち、レジで働く人にとっては重大な問題である。そういった人に、皮膚科医は手袋をして働くことを勧めている。
この科学者たちの実験によると、1ユーロと2ユーロ硬貨から放出されるニッケルの量は、純ニッケルから放出される量より多かったという。1ユーロ硬貨の外縁(金色の部分)は、銅に亜鉛20%、ニッケル5%が混ぜられた合金で、中央(銀色の部分)は銅に25%のニッケルが混ぜられている。(2ユーロ硬貨はその逆。)ニッケルはペセタ硬貨にも使われており、10、50、200ペセタ硬貨に25%のニッケルが入っていた。
彼らはさらに何時間にもわたって1、2ユーロ硬貨を人工的に作った汗と同じ成分の液体と塩水の中に沈め、電気化学反応の実験も行っている。「電流が腐食を進行させるというのは周知の事実で、すなわちさらにニッケルの放出を促すということです」と彼らは説明した。彼らは電流の強さを調べ、2種類の合金が接触している部分で最も腐食が進んでいることを確認したという。

昨日のブエルタ・エスパニャ(第10ステージ)

コルドバで行われた36.5KMのタイムトライアルを制したのは、第8ステージ、1位のアイトール・ゴンサレス選手(Kelmeチーム)。タイムは45分32秒で、2位に同じチームで現在総合成績1位のオスカル・セビジャ選手が40秒差で入った。セビジャ選手は総合成績1位の座を、2位ゴンサレス選手と1秒の差でかろうじて守っている。今日は選手の移動日で、明日からはレースの舞台がマドリッドに移され、アルコベンダス−コジャド・ビジャルバ間166.1KMで競技が行われる。


9月16日(月)

土曜日のテロへの対応をめぐってバスク州政府内で対立

土曜日にビルバオで行われた急進民族主義デモにバスク州警察が介入したことによって、昨日バスク州政府内の亀裂が明らかになった。州政府広報官のヨス・ジョン・イマズ氏がバスク州警察はデモ阻止の裁判所命令を持っており、介入したのは、デモ隊が警察に石を投げ始めてからで、警察の行動は「道理ある、公正な行動であった」と擁護する一方、EA(バスク連合)の広報官ラファエル・ラレイナ氏は先週のサン・セバスティアンのデモに警察が介入しなかったことを支持、今回バスク州警察が介入したことを嘆き、両者の意見の食い違いはバタスナ党違法化以来、バスク州政府内での共通見解がいまだにないことを示した。
土曜日のこのデモには約200人の警官が介入、千人以上からなるデモ隊の行進を阻止した。デモ隊と警官隊の衝突は1時間以上続いた。イマズ氏は、バスク社会に対立の種を蒔いたとして、バタスナ党と政府与党PP(国民党)を非難している。

サパテロ氏、さらなる地方自治体への補助金を要請

PSOE(社労党)のホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ書記長は、来年1月1日から施行される新しい地方自治財政法が、移民を多く受け入れている地方自治体への補助金の増額を盛り込むことを要請している。現在、より援助を必要としている移民に先に社会保障援助が回されるため、スペイン人にまで援助が回らず、ここ数年の移民の大量流入によるツケはスペイン人が払っている形になっている。
この要請はサパテロ氏のカナリアス諸島滞在最後の日に行われたものであるが、以前から書記長は、社労党の市長たちから移民の大量流入により多くの市町村で起こっている問題についての報告を受けていた。今回サパテロ氏は要請の中で、人口の8%から12%が移民である地方自治体への援助金額を特に増やすべきだと述べている。
この新しい地方自治財政法についてはすでに審議が始まっているが、このサパテロ氏の要請はまだ議題に上っていない。この地方自治財政法では中央政府が地方法人税の廃止も検討しており、各市町村長はさらに財政が逼迫することを危惧している。
サパテロ氏が昨日訪れたカナリア諸島のフエルテベントゥラ島は絶え間ない移民の流入に悩まされており、2つの移民収容センターは常に超満員の状態。この週末には、カディス、グラナダ、フエルテベントゥラ島の海岸であわせて289人がボートで不法入国を企て、治安警備隊に逮捕されている。

離婚、別居が急増(マドリッド)

今年の1月から7月までの間に首都で離婚または別居した夫婦の登録数が急増、昨年同時期と比べて20%増となっている。結婚解消の主な原因は浮気、家庭内暴力、性格の不一致など。この離婚の急増によって、家庭裁判所判事の仕事は今までの2倍に増えているという。
今年の1月から7月の間に離婚した5447組の夫婦のうち、3251組は双方の合意に基づいて離婚、2196組は裁判所が介入した形での離婚。協議離婚する方が、支出が少なくてすむとある判事は指摘する。双方の合意により離婚が申請された場合は、判事、検事、精神科医の監修のもと、夫婦が自分達と子供の今後について決定できる上、弁護士が1人で済むからだ。現在、離婚を申請するには2年間の別居事実がなければならない。
マドリッド家庭裁判所の精神科医の1人は、「例えば子供の教育方針などの理由で離婚する夫婦は少なく、圧倒的多数の離婚原因は、浮気または精神的、肉体的抑圧となっています」と話す。この精神科医によると、離婚が多いのは若い夫婦で、彼らに多く見られる傾向としては、離婚後しばらくして再び同じ相手と結婚、次は最初よりも短い期間で再び離婚するというものだという。14、15歳の子供のいる夫婦には離婚が少ないとこの精神科医は語っている。
もう1人の精神科医は、離婚急増の理由を新しい民事裁判法の導入であるとみている。民事裁判法が改正されたことにより、離婚の裁判手続きが以前より早く、安く済むようになったと言われており、この精神科医は「自分の顧客が早く離婚手続きを済ませらるように新法令導入を待った、または審議中であった離婚申請を一度取り下げて1月以降に新たに申請し直したケースが多いのではないか」とみている。
この離婚増加の傾向はまだまだ続くと見られており、ある司法関係者は「夏が終わると離婚、別居が増える傾向が毎年見られているので、今年1年間での離婚数は1万件を超えるかもしれない」と語る。昨年1年間で家庭裁判所判事が受領した離婚・別居申請は7518件。そのうちの62%は支出が少なくて済む協議離婚を選んだと言う。
一方、マドリッド市民登録によると、首都マドリッドでは年間平均13000組が結婚しており、80%はカトリック教会で結婚、残りは判事、市長など立会いのもとで結婚している。2000年にはマドリッドで10246組が教会で結婚、2070組が判事立会い、1108組が市長立会いで結婚している。

昨日のブエルタ・エスパニャ(第9ステージ)

コルドバで行われた今年のブエルタ・エスパニャ最短コース130.2KMのレースでは、最後の数キロメートルで自殺行為にも見える驚異的なスピードで坂を下ったスペインのパブロ・ラストラス選手(Banestoチーム)が単独1位でゴール。総合成績トップは依然としてオスカル・セビジャ選手(Kelmeチーム)。世界チャンピオンのオスカル・フレイレ選手(Mapeiチーム)は膝の故障により、ツール・ド・フランスに続き競技途中で棄権となった。また、リカルド・バルデス選手(Jazztelチーム)が落車により腰骨を骨折して棄権、フランシスコ・マンセボ選手(Banestoチーム)が“精神的理由”により棄権している。今日のレースは、コルドバで行われる36.5KMの個人タイムトライアル。

週末のスポーツの結果

テニス:ブダペスト・オープンで、スペインのダビ・フェレル選手(20歳)が6−3、6−2でアルゼンチンのダビ・アカスソ選手を破り、ツアー初優勝。賞金48000ユーロを手にした。
バスケットボール:中国で行われている女子世界選手権、初戦でオーストラリアに53−85で敗れたスペインは、昨日日本に100−63で快勝した。今日は、アルゼンチンと対戦。
自転車競技:金曜日の第7ステージ(ハエン−マラガ、196.8KM)は、イタリアのマリオ・チッポリーノ選手(Acqua e Saponeチーム)が今年のブエルタ3度目の勝利。しかし、チッポリーノ選手は翌日の第8ステージ(マラガ−ウブリケ、173.6KM)で棄権、合計12人が棄権したこの日のレースを制したのは、アイトール・ゴンサレス選手(Kelmeチーム)で、総合成績トップはオスカル・セビジャ選手で変わらず。


9月13日(金)

政府、新しい犯罪対策プログラムを発表

昨日、マリアノ・ラホイ第一副首相、ホセ・マリア・ミチャビラ法務大臣、アンヘル・アセベス内務大臣が新しい犯罪対策プログラムを発表した。このプログラムは刑法、犯罪者告訴法、少年法、外国人法の法改正と、警察、治安警備隊といった犯罪対策機関の改革という二本柱で構成されている。政府は2004年から2007年にかけて2万人の警察官、治安警備隊員を増やし、判事、検事の数も150人増やすという。また刑の執行を最大限にするため刑法も改正される。これにより、5年以上の懲役を受けた者は、懲役の半分以上服役した後でないと仮釈放は受けられなくなり、20年以上の懲役を受ける重犯罪者やテロリストの場合は、懲役をまっとうするまで釈放されなくなる。このプランの実行のためには、2004年末までに6億ユーロが必要。
この犯罪対策プログラムは、2年連続で犯罪率が上がったこと、PP(国民党)が政権を握った1996年以来6000人の警官が減らされたこと、犯罪の増加により刑務所が飽和状態になっていることにより打ち出されたもので、ドメスティック・バイオレンス対策、不法入国者対策、全スペインの商店の安全保護対策、地中海岸観光地の安全対策も盛り込まれている。刑法を改正することにより、裁判手続きを迅速化−軽犯罪の場合は15日以内−し、6年以内の懲役を受けた移民は強制送還される。
政府が始めに着手するのは、逮捕から裁判までの期間を短くするための犯罪者告訴法改正で、これはすでに上院で手続きが始まっており、ミチャビラ法務大臣は、「4月には施行されるだろう」と話した。この改正により、犯罪に対しては15日以内、過失に対しては48時間以内に裁判がはじめられることになる。さらにスペインを去る外国人被害者のために、裁判が始まる前の犠牲者の証言も証拠としての効力を持つように法が改正される。

8月の消費者物価指数発表

昨日のINE(国立統計局)の発表した8月のIPC(消費者物価指数)は、7月からの物価が0.3%上昇していることを示しており、これによってスペインのインフレ率は0.2%上がり、3.6%となった。(生鮮食品、エネルギー費など値動きの激しいものを除いた場合のインフレ率は3.8%と変化なし。)今年度用に政府が目標に掲げたインフレ率は2%、現在の数値は目標に程遠い。現在のスペインのインフレ率がEU平均より1.6ポイント高いことについてアスナル首相は「この差でしばらくの間はインフレ率が保たれるだろう」とコメントした。経済書記官のルイス・デ・ギンドス氏はインフレ率の上昇の原因を、昨年同時期には1.6%値下がりしたエネルギー費が今年8月には0.3%上がったためだとみている。
個別に見ると最も値上がりしたのはホテル(9.9%)、パッケージ旅行(6.5%)、羊肉(6.1%)で、逆に値下がりが大きかったのはジャガイモ(−4.5%)、履物(−1.6%)、エビ・カニ類(−1.3%)となっている。全体的に見ると、レジャー、文化、交通機関、宿泊施設、飲食物が値上がりの原因になっており、7月から値段を下げたのは衣料(0.7%)だけであった。
ルイス・デ・ギンドス氏は2002年の残り4ヶ月間でインフレ率が下がることを期待している。「需要が一段落したサービス部門と非エネルギー関連産業機械がインフレを下げることに寄与することを我々は期待している。ユーロの値上がりも好材料だ。」とギンドス氏は話した。しかし、現在の政治状況から石油の値が高騰することを危惧するギンド氏はインフレ率が下がるのを簡単だとは考えていない。
地域別に見ると、最もインフレ率が上がったのはマドリッド、ムルシア、バスク地方、ラ・リオハ地方(0.4%)で、ナバラ地方とバレアレス地方では0.1%下がっている。
各労働組合、野党とも8月のIPCの数値に対して批判的で、UGT(労働者総同盟)のカンディド・メンデス書記長とCEOE(スペイン経営者連合会)のホセ・マリア・フィダルゴ書記長はこぞって政府に対策を取るよう求めている。

昨日のブエルタ・エスパニャ(第6ステージ)

2年前にチームをUSポスタルに変えてからオスカル・エラス選手は常にツール・ド・フランス4連覇のルイス・アームストロング選手の影に隠れた存在だった。そのエラス選手が昨日のレース、グラナダ−シエラ・デ・ラ・パンデラ(ハエン)153.1KMを制覇した。ゴール近くになってイタリアのジルベルト・シモーニ選手(Saecoチーム)がスパートをかけ、ベロキ、カセロ、ガルデアノ、マンセボ選手は脱落、しかし勝利を収めたのはエラス選手でシモーニ選手は2位。3位にオスカル・セビジャ選手(Kelmeチーム)が入り、総合成績1位の座をサラバイティア選手から奪った。今日のレースは、ハエン−マラガ間196.8KMで行われる。


9月12日(木)

バスク州警察、車両爆弾を解除

バスク州警察は昨日午後、ビスカヤで25キロのダイナマイトを積んだ車両爆弾を解除した。この車は、ビスカヤ県シエルベナ町の町はずれの国道沿いに駐車されており、積まれていた爆弾はリモコンで操作できるようになっていた。仕掛けたのは8月31日にビルバオで30キロの爆薬を積んだ車両爆弾を仕掛けたのと同じ、ETAのビスカヤ隊であると見られている。
昨日午前10時半頃、バスクの地方紙ガラにシエルベナ峠とシエルベナ町ラ・クエスタ地区の間に爆弾を積んだ車を駐車したという電話がETAの名前で入り、電話の人物は「爆弾はまもなく爆発するだろう」と予告した。新聞社はただちに警察に連絡、警察はビルバオから20キロ離れた住民1200人のシエルベナ町に急行し道路を遮断、周囲を立ち入り禁止にし、上空にヘリコプターを飛ばした。
爆弾を積んだ白のルノー・エクスプレスは町役場から500メートルほどの国道639号線に止められていた。この国道は、ビスカヤ県でも最も人出の多いアレナ・ビーチへ向かう道路で、隣接するビルバオ港へ向かうトラック運転手もよく利用する道路である。警察は前後2台の車を移動、ただちに解除作業を開始した。爆弾探知犬を連れた警察は、まずロボットを使って車のトランクを開け、中から爆薬の入った鍋を取り出し、爆弾解除作業は午後2時頃終了した。
内務省関係者によると、この車は8月29日にビスカヤ県バキオで盗まれたもので、偽造ナンバープレートがつけられており、積まれていた爆弾はいつでもリモコンで爆発させられる状態であったという。この車両爆弾の標的や、故障もしていない車がなぜこの場所に止められたのか等ついて、内務省は仮説を述べることを避けている。

ムルシアで警察の一斉取り締まり、44人の不法滞在移民を逮捕

火曜日の夜から昨日の深夜にかけてムルシアのバスターミナルと4つの地区で国家警察と地方警察の警官60人が参加して一斉取り締りが行われ、44人の不法滞在移民と4人のスペイン人が外国人法違反等の容疑で逮捕された。逮捕された移民の大半はアルジェリアまたはモロッコ出身者で、エクアドル、ウクライナ、セネガル出身者も含まれている。44人のうち20人はスペインの裁判所で係争中、24人は合法的滞在書類の不所持で、ただちに強制送還手続きが開始された。
警察が今回の取り締まりに踏み切ったのは、犯罪の増加について住民の苦情が相次いだためで、今回は特に軽犯罪を対象に絞って取り締りが行われた。取り締りが行われた地域では2週間前から警察によるパトロールが強化されており、これまでに少なくとも10人が合法的滞在書類の不所持で逮捕されている。昨日の捜査には40人の国家警察官、20人の地方警察官が参加し、馬と覆面パトカーにより地域を巡回した。逮捕者は全員ムルシアの警察署に移送され、緊急送還が必要な者に対してはすでに手続きが完了、1週間以内に自国に送還されることになっている。
最高裁判所検事局によると、今年に入ってムルシアで外国人法違反により強制送還を受けた不法滞在移民の数は289人。うち、85人は裁判所で係争中または懲役6年以下の判決を受けている身分で、大半はモロッコ人またはアルジェリア人であったという。

マドリッドの幼稚園と小学校で新学期始まる

今日からほぼ46万人の子供がマドリッドで幼稚園と小学校に通い始める。46万人のうち、幼稚園に通う3歳から6歳児は昨年比0.3%(4500人)増、6歳から12歳児は1.6%(6000人)増となっている。CCOO(労働者委員会)のデータによると、うち5%(2.3万人強)は移民の子供たちで大半は中南米または北アフリカ出身者だという。
文部省のデータによると、2000−2001年度は、外国人生徒の70%が公立の学校に通っており、今年も同様の傾向が予想されている。労働組合と野党は、補助金の対象を私立学校に絞っている与党PP(国民党)の教育政策が、移民の子供を公立の学校に集中させる現象を起こしていると数年前から与党を非難している。補助金を受けている私立学校数は昨年比30%増だが、私立学校関係者は「30%増というのはたいした数字ではありません。我々は未だに必要なものを生徒に与えられていないと感じており、まだまだ援助は必要です」 と述べている。

昨日のブエルタ・エスパニャ(第5ステージ)

エル・エヒド−シエラ・ネバダ間(198km)で行われた全行程の中で2番目に長い第5ステージ、一番でゴールしたのはイタリア人、グイド・トレンティン選手(Cofidisチーム)であった。優勝候補の選手の中で唯一頭角を現したのがオスカル・セビジャ選手(Kelmeチーム)で、残り6キロの地点でスパートを開始、標高2500メートル近くまで上る坂道で優勝候補選手の中にセビジャ選手を追いかけられる選手はなく、セビジャ選手はライバルたちに1分近い差をつけて第7位でゴールした。総合優勝では、ベロキ選手にかわって同じONCEチームのベテラン、ミケル・サラバイティア選手が1位に。1994年以来の夢であった黄色いシャツに袖を通した。今日の競技は、グラナダ−シエラ・デ・ラ・パンデラ間153.1kmで行われる。


9月11日(水)

バスク州議会、バタスナ党の活動停止を延期

バスク州議会は、昨日、少なくとも現在司法部に依頼している報告書が届くまでは、議会内でのバタスナ党の活動停止は延期することを決定した。ガルソン判事の判決文によると、“公職についているバタスナ党所属者が個人として受ける給料にはこの判決は影響を及ぼさない”が、“バタスナ党が団体として受けている補助金、事務所の提供には活動停止が適用される”とあり、判事は、「バタスナ党の活動を停止する方法については、バスク州議会に任せる形がとられているが、判決に従うかどうかの決定権は州議会に与えられていない。」と新たにバスク州議会に通知を出した。PP(国民党)とPSE(バスク社会党)は、州議会は遅滞なく判決に従うべきだと述べている。
バスク州議会議長のフアン・マリア・アトゥチャ氏は今回の議会の決定を「活動停止を実行に移すためにはいかなるミスも許されないため」であると弁明、来週司法報告書を受け取って、判事にいくつかの事項についてさらに説明を求め、すべてを完全に明らかにしたいと述べた。
一方、バスク州政府内務省広報官は、内務省はバスク州政府が開催を認めないデモ、集会に関しては公式発表を行うと述べたため、公式発表が行われていない、今週の土曜日午後5時半にビルバオで開催が予定されている集会は開催が容認されていることになる。この集会はバスク地方の文化、教育関係者が中心となって計画したもので、バタスナ党のアルナルド・オテギ氏も参加を表明しており、集会は表現の自由、集会の自由、デモの自由といった基本的自由を奪う現状への抗議を目的としている。

統治権をめぐるスペインとイギリスの合意反対集会(ジブラルタル)

ジブラルタルの日が祝われた昨日、カセマテス広場にラ・ロカの住人のほぼ3分の1にあたる9000人が集まり、ジブラルタルの共同統治に関するスペインとイギリス政府の会談に異議を唱えた。広場はジブラルタルの旗の色である赤と白で埋まり、物乞いは赤と白に塗った籠を持ち、飼い犬までが赤と白のマントを着せられていた。
ペテル・カルアナ第一大臣は「我々住民の意思に反して交渉をする権利は彼らにはない。ジブラルタルの将来を決められるのは住民だけだ」と舞台から群衆に語りかけた。イギリス政府が3万人以上の住民の支持がなければ実行には移さないと言明しているものの、スペインとイギリスの政府は、1年以上も前からジブラルタルの統治権を共有することで話し合いを進めている。
この共同統治に関してカルアナ氏は“危険で、適用不可能で間違った選択”であると述べており、11月7日に住民投票を行うことを決めている。昨日は、カルアナ氏は公の場でスペインを批判しなかったが、代わりに集会に参加した9人のイギリス人議員がそれを行った。うち4人は労働党議員であるが、群衆がトニー・ブレア首相、ジャック・ストロー外務大臣の名前にブーイングを浴びせたとき、彼らが顔色を変えることはなかった。
アナ・パラシオ外務大臣はイギリスのストロー外務大臣とまだ会談を行っていないが、カルアナ氏の決めた住民投票を“違法”であるとし、一方のストロー外務大臣は“エキセントリック”だとコメントしているものの、昨日の集会に関しては「ジブラルタルの住民は自分達の祝日を好きなように祝う権利がある」と述べるに留めた。

コンプルテンセ大学の学生300人が徹夜

今日から始まる歴史学部の授業登録で希望する選択科目を履修できるようにと、少なくとも300人の学生がコンプルテンセ大学で昨日徹夜をした。大学によると、徹夜で並んだ生徒達は今日番号札を受け取り、その順で履修を行うという。これまでの履修受付は、抽選で選ばれたアルファベットの苗字の学生から順に行われており、学生は大学側に今後も番号札制度で履修を受け付けてくれるよう要請した。

昨日のブエルタ・エスパニャ(第4ステージ)

アギラス・ロケタス・デル・マル間(149.5KM)を3時間33分32秒のタイムで走り1位に輝いたのは、前日と同じマリオ・チッポリーノ選手(Acqua e Saponeチーム)で、「コースにロータリーがあるなら、絶対にチッポリーノが勝つだろう」とオスカル・フレイレ選手が予告していた通りの結果となった。この日のコースには5つのロータリーがあり、時速60KMの自転車が集団で通るには地雷原。危険を予想してあらかじめロータリーの出口にはクッションがしかれた。「雨が降っていたらどうなったことか」と選手の1人は語ったが、幸い転倒が起こったのは第一ロータリーだけであった。2位でゴールしたのはアレッサンドロ・ペタッキ選手(Fasso Bチーム)、3位はゲリット・グロムサー選手(Saecoチーム)だった。ベロキ選手は総合1位の順位をキープしている。今日は、エル・エヒド−シエラ・ネバダ間198KMで競技が行われる。


9月10日(火)

イバレチェ知事、バスク州警察の処置を弁明

PP(国民党)とPSOE(社労党)から、日曜日のサン・セバスティアンでのデモを許容したことに関して非難を受けているバスク州政府の知事フアン・ホセ・イバレチェ氏は、昨日「私はlehendakari(バスク州知事)として、バスク人同志が我々の町で争うようなことはさせられないし、今後もそれを避けるために最善を尽くすであろう」と、厳格な面持ちで言い切った。
しかし行政大臣ハビエル・アレナス氏は、「いかなる理由においても、法律を遵守しない行為に対する消極姿勢を正当化するとはできない」と述べ、すべての民主主義政府は法律を遵守し、司法機関の決定を尊重する義務があることを強調した。また、ホセ・マリア・ミチャビラ法務大臣は、中央政府バスク地方駐在部からバスク州政府に公式に釈明を求めていること、場合によっては駐在部または検察庁からバスク州政府を提訴するかもしれないことを明らかにしている。
一方、PSOEのヘスス・カルデラ・国会広報官は、今回のバスク州政府のとった消極的な姿勢を“大きな過ち”と定義、PSOEバスク州議会広報官のロドルフォ・アレス氏も「バスク州政府の行った釈明は説得力に欠けており、組織的に法律を破っている者に対し、バスク州政府が法律を遵守させる気があるのかどうか住民に疑問を抱かせるであろう。」と述べている。
バスク州政府が「賢明な政治家なら、レガッタ競技の観客でごった返す街中でデモを阻止するための発砲を許可するような真似はしないだろう」と述べたのに対し、アレス氏は「デモは突然行われたのではないのだから、前もって対策をとれたはずだ」と反論している。PPもPSOEも、バスク州政府内務局長官のハビエル・バルサ氏がバスク議会に出頭し、デモを止めなかった理由を説明することを求めているが、イバレチェ知事は「バルサ氏の決定は責任感と分別のあるものだった」と彼を全面的に擁護している。「あの場でバスク州警察が介入していれば警察との対立は大きくなるばかりで、それこそがバスク州警察もバスク州警察も望まないことである。」と述べた後、イバレチェ氏は「バスク社会内での対立こそがETAの求めていることであり、PPとPSOEもそれを望んでいるのだろうか?」と問いかけた。
今回のデモを召集した人々はバスク州警察によって身分が明らかにされており、バスク州政府内務省は市民安全法を破ったとして彼らに最高3万ユーロの罰金が科す可能性があるという。
今週土曜日にはビルバオで「進めバスク」というスローガンを掲げたデモが予定されており、バタスナ党のアルナルド・オテギ氏も“バスクの民衆の民主主義的権利を守るため”参加を表明、サン・セバスティアンと同じ事態になることが危惧されている。

マドリッドのガソリンスタンド、夜間閉店を検討

マドリッドのガソリンスタンドが危機に瀕している。マドリッドガソリンスタンド経営者連合の広報係アントニオ・オニエバ氏によると、マドリッドにある約550のガソリンスタンドでは、8月だけで1200万ユーロの損失が出ているという。
これは、7月29日にマドリッドで施行された“薬物依存およびその他の錯乱を引き起こす物質中毒予防法”(通称ボテジョン禁止法)でガソリンスタンドでのアルコール飲料販売が禁止されたためと、保健衛生と環境保全のために使うとして8月1日からガソリン1リットルにつき1セントかけらようになったマドリッド自治区だけの新しい税金、通称“センティモ・サニタリオ(保健衛生のための1セント)”の影響を受けたためだと見られている。オニエバ氏は、「ガソリンスタンド業界を襲ったこの2つの新しい規則により、大半のガソリンスタンドは夜間閉店を余儀なくされるでしょう。」と述べている。ガソリンスタンドの夜間営業はショップでの売上によって収益をあげていた状態で、ボテジョン禁止法以来売上は25%落ち込んだ。「ガソリンスタンドショップでの主要商品がアルコール飲料であったと言っているのではありません。アルコール飲料を買うついでに、ポテトチップス、ビスケット、インスタント食品などを買う人が多く、これらの商品がまさにガソリンスタンドでの主要商品なのです。」と、オニエバ氏は説明した。ボテジョン禁止法の影響は大きく、かつてサンドウィッチを食べるためにビールを買おうと立ち寄っていた大型観光バスも、マドリッドのガソリンスタンドに停車することがなくなり、ピクニックに向かう家族連れも以前のように、ジュースや氷、ワインを買いには来なくなったという。
“センティモ・サニタリオ”の影響も深刻で、税金の導入とともにガソリンが値上がりしたため、顧客の8〜10%を占める長距離トラックの運転手の8割が、マドリッドでの給油をやめたというデータもある。ある輸送会社によると、マドリッドで給油する代わりにセゴビアまたはアビラで給油するとトラック1台あたり、年間900ユーロの節約になるという。

昨日のブエルタ・エスパニャ(第3ステージ)

サン・ビセンテ・デル・ラスペイをスタート、134.2KMの行程を経てムルシアに最初にゴールしたのは、イタリア人マリオ・チッポリーノ選手(Acqua e Saponeチーム)。35歳にしてブエルタ・ア・エスパニャ出場4回目で初勝利を飾った。ゴール近くでは、チッポリーノ、ペタッキ、ザベル、フレイレという有力選手間での競り合いになり、4人はこの順でゴールしている。総合成績ではヨセバ・ベロキ選手が依然としてトップで、昨日はテニスのフアン・カルロス・フェレロ選手からトロフィーを受け取った。今日は、アギラス、ロケタス・デル・マル間の平地で149.5KMのレースが行われる。


9月9日(月)

サン・セバスティアンでETA収監者支持デモ

バスク州最高裁判所が先週の木曜日、デモ召集者の訴えを退け、親バタスナ党、親ETAのデモを禁止していたにもかかわらず、昨日サン・セバスティアンに2千人ほどの人々が集まり、収監されているETAメンバー支持のデモを行った。レガッタ競技開催と重なった昨日、周囲は観客でごった返しており、デモ隊との衝突を避けるため、バスク州警察は、主催者の身分照会をするにとどめ、デモに介入、中止させることはなかった。
デモが始まったのは、午後1時半。毎年ラ・コンチャ湾で開かれ、何千人もの観客が訪れるレガッタ競技が終わって15分も経たない時であった。デモ隊が行進した通りは人が入り乱れ、シャツの色でかろうじてデモ参加者とレガッタの観客が見分けられるような状態であった。デモに集まった人々の中には、バタスナ党のヨセバ・アルバレス氏、ヨセバ・ペルマシュ氏、バタスナ党所属サン・セバスティアン市議会議員5人のうちの2人ホセチョ・イバセタ氏、マイデル・アルスティサ氏、収監中ETAメンバーの弁護士チェマ・マタンサス氏の姿も見られた。
予定通りの時刻に始まったデモでは、“Euskal Herria necesita libertad (バスクに自由を)”というスローガンが掲げられ、垂れ幕の後ろに2千人が続き、親ETA、“唯一の道”である戦闘支持の叫びを上げ、スタートから150メートル先に待ち受けていた500人ほどの警官隊に、「Zuek ere, txakurrak zarete(おまえ達も犬だ)!」と罵りの叫びを浴びせ掛けた。
その後警官隊の隊長が垂れ幕を持った人々に近づき、身分を明らかにするよう求めたところ、チェマ・マタンサス氏とサビオ・フアリスティ氏が代表者としてデモの内容と計画について話し、スローガンは収監中のETAメンバーの支持にとどめるよう努めると約束したため、警官隊はETA支持や反バスク州警察の叫びに発展した場合は、介入するという警告を出した上で、デモ隊を通したという。デモが開催されている間は終始上空をヘリコプターが飛んでいた。
デモ隊は午後2時ごろ、出発点に戻り、そこでフアリスティ氏がバスク社会の大半が望むように、ETAメンバーのバスク州外刑務所への分散収監を終わらせることを要求、デモはEusko Gudariak(バスクの兵士)の歌を全員で歌い、「バスクの自由を勝ち取ろう!」という叫びで終了した。
バスク州政府内務局は、デモが終了した後、禁止されているデモを召集したマタンサス氏とフアリスティ氏に対し、法的処置をとると発表している。

アスナル首相、来年の地方選挙戦略を発表

「法を手にスペインの通りから軽犯罪者をなくそう」というフレーズは拍手で迎えられ、昨日ホセ・マリア・アスナル首相はPP(国民党)の来年5月の地方選挙戦略の概略を発表、“さらなる安全と減税”をスローガンに掲げ、PP各県知事候補の集会は閉会した。
犯罪数が増加を続ける一方で、PPが政権を握ってから7000人近くもの国家警察官の数を減らしたことから、治安悪化に対する市民の不安感の増大は常に政敵PSOE(社労党)からの非難の的となっている。2001年には前年比で10.53%犯罪率が伸びており、今年に入って最初の5ヶ月でこの割合はさらに5.2%増えている。これに対しアスナル首相は、“何日ではなく何時間”という速さで裁判を行えるようにした政府の犯罪対策を強調、それでも犯罪が増加している理由について「スペインの繁栄のため、いままでにない数の人々がスペインにやって来ており、人口がいまだかつてなかった多さになっているためである」と申し開きをした。さらにアスナル首相は、火曜日にエドゥアルド・サプラナ社会問題・労働大臣がドメスティック・バイオレンス対策プランを発表することを明らかにし、減税プランについては、2000年選挙での公約であった90%の商店主に対する法人税廃止を、地方財政プロジェクトの中で実行に移すことを発表している。
またアスナル首相は、最近のアンケートで支持率を伸ばしている政敵のPSOEに対しては攻撃的な内容の批判を繰り返し、PSOEの6人に対し、PPが13人の県知事を擁していることを強調した。

週末のスポーツの結果

バスケットボール:インディアナポリスで開かれていた世界選手権5〜8位決定戦でスペインはアメリカに81対75で勝利、第5位の座を勝ち取った。スペインに敗れたアメリカは第6位。決勝戦はユーゴスラビア対アルゼンチンの戦いとなり、延長戦の末、ユーゴスラビアが84−77でアルゼンチンの52年ぶり世界選手権優勝の夢を打ちくだいた。
バイク:ポルトガルGPがエストリルで行われ、悪天候で転倒選手続出の中、13周目で自身も転倒したスペインのフォンシ・ニエト選手が奇跡的な巻き返しで250CCクラス優勝。125CCクラスではパブロ・ニエト選手が4位入賞。
ゴルフ:スペインのセルヒオ・ガルシア選手がコリア・オープンでアジアトーナメント初優勝を飾った。ガルシア選手は男子世界トップ10ゴルファーの第5位に入っている。
自転車競技:土曜日に2002年度ブエルタ・エスパニャがバレンシアをスタート。団体タイムトライアルの初日はONCE-Eroskiチームの勝利、バレンシア・スタート、アルコイ・ゴールの2日目(144.7KM)の昨日は、イタリア人ダニロ・デ・ルカ(Saeco)選手が1位でゴールした。第2ステージ終了現在、総合成績は1位がスペインのヨセバ・ベロキ選手(ONCE-Eroski)選手、2位、同じくスペインのイゴル・ゴンサレス・デ・ガルデアノ選手(ONCE-Eroski)、3位、ポルトガルのホセ・アセベド選手(ONCE-Eroski)となっている。


9月6日(金)

アスナル首相の娘、結婚

スペイン政府首相の娘、アナ・アスナル・ボテジャさん(20歳)と元欧州議会議員アレハンドロ・アガ氏(31歳)の結婚式が昨日、サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルで行われた。式にはスペイン国王夫妻、トニー・ブレア・イギリス首相、シルビオ・ベルルスコーニ・イタリア首相、J・M・ドゥラオ・バロソ・ポルトガル首相、フランシスコ・フロレス・エル・サルバドル大統領、PP(国民党)の現・旧大臣の全員、アントニオ・カマチョ・元サッカースペイン代表監督、歌手のフリオ・イグレシアス氏等1100人が出席し、彼らを見ようと約3000人がエル・エスコリアル修道院の前につめかけた。マドリッドのアントニオ・マリア・ロウコ・バレラ大司教によって執り行われた式の後、招待客はエル・エスコリアル近郊の農家に場所を移し、そこで祝宴が開かれた。
200台以上の公用車が修道院前に止まり、厳重な警備が敷かれた今回の結婚式はまさにアスナル氏の現在の権力を表す国の結婚式と言えるもので、集まった報道陣も400人を超えた。報道陣に対しては、PPの広報部が情報を提供、花嫁の衣装、花嫁の母の衣装などについて説明した。その後の祝宴に出された料理に関しても発表が行われ、それによると一皿目にスズキと車エビのサラダ、二皿目にフランボワーズ風味のうずらの煮込み、デザートにキャラメルがけアーモンドのミルフィーユ・マスカルポーネのクリーム添えが出されたといい、ワインは白はルエダ、赤はリベラ・デル・ドゥエロが供された。
最初に到着したのは、元スペイン首相アドルフォ・スアレス氏で、その後父親のアスナル首相に付き添われて花嫁が約1時間後に到着するまで、集まった群衆は招待された著名人が着くたびに歓声を上げた。

PNV、EA、政党法を憲法裁判所に提訴することを検討

PNV(バスク民族党)とEA(バスク連盟)は、昨日バスク州議会で、議会が緊急に政党法を憲法裁判所に提訴することを提案した。
5月にバスク州議会では、憲法に定められているイデオロギーの自由、表現の自由、集会の自由等を政党法が侵害しているとしてバタスナ党違法化に反対することで合意しており、この合意では当時審議中であった政党法の審議停止または審議中止を要請していた。この合意を踏まえて、PNV、EA両党は、政党法第9条(一政党を違法化できる根拠について列挙)、第10、11条のいくつかの項目が、憲法に違反しているとしてバスク州議会に提訴を提案しているが、これについてPP(国民党)はPNVとEAがバタスナ党支持者の票取り込みを目的にして行っている気の触れた行動であると厳しい意見を述べている。
バスク州議会の第三勢力であるIU(統一左翼)は今のところこの計画に参加しておらず、バタスナ党議員の投票により提訴が決定されることのないよう、提訴をするかどうかはバスク州議会ではなくバスク州政府執行部で決定するべきだとの意見を述べているが、バスク州政府は、1993年以来のバスク州の問題を憲法裁判所に持ち込まないという姿勢を崩したくない模様。
一方、昨日EAが発表した明日のゲルニカでの反バタスナ党違法化集会召集に関して、イドイア・ゼナルザベイティア・バスク州政府副知事は「集会の召集は合法的です。」と述べ、バスク州政府が集会に参加するかどうかに関しては言及しないまま、「それ以上言うことはありません」と言い切った。IU(統一左翼)は、集会の内容をEAのメンバーと幹部向けのものであると判断、この集会には参加しない。EAが行政権を握るベルメオでの市役所主催の集会に関しては、この集会がETAの収監者支持のためであるため、PNVは参加を見合わせた。

スペイン人は映画にお金を使う

ある調査機関の発表によると、スペイン人は音楽により映画にお金を使うことを好むという。2001年度のCD売上は、オペラシオン・トリウンフォの助けがあったものの海賊版CDのせいで大幅に落ち込んでいる。
2001年にスペイン人が映画を見に行った回数は平均3.4回で、これはアイスランド、アイルランドに次いでヨーロッパ第3位。
映画の入場料では、平均3.99ユーロとポルトガル(3.49ユーロ)に次いで第2位の安さで、最も高いのはスイスの8.85ユーロ。 ビデオの購入とレンタルへの出費額では、ヨーロッパ第5位の4.14億ユーロだが、第1位のイギリス、26.02億ユーロには遠く及ばない。しかしながら、国内のビデオ販売数は昨年比で19%成長している。
一方CD購入に使う一人当たりの金額は、わずか15.4ユーロで、それより少ない国はポルトガル、イタリア、ギリシアだけだった。一番多いのはノルウェーの48ユーロ。

スペイン、メダル獲得ならず

昨日行われたバスケットボール世界選手権準々決勝で、スペインはドイツに62−70で敗退、準決勝進出を逃した。前日、優勝候補のアメリカに勝っているアルゼンチンはブラジルに78−67で勝利、準決勝でドイツと対戦する。準々決勝残り2試合は、ニュージーランドがプエルト・リコを65−63で下す番狂わせがあり、アメリカもユーゴスラビアに78−81で敗れている。


9月5日(木)

不法滞在者、強制送還は難航

イグナシオ・ゴンサレス外務・移民担当委員は昨日、フエルテベントゥラ島を訪問、「政府は可能な限りすべての不法移民を自国へ送還する」と宣言した。しかし、現状では不法滞在者の自国送還は難航しており、2001年には約22000人に送還命令が出されたものの、実際に送還された人数はわずか3000人となっており、残り19000人は、合法的滞在許可証なし、送還命令状持ちという仕事を見つけるのには厳しい条件の中、わずかな希望にすがってスペイン各地に残っている。
スペイン政府内務大臣は昨日、今年に入ってすでにスペインに不法入国しようとした43000人に対し送還命令を出していると報告、大臣によるとスペインで最も不法入国しようとする者が多い場所はカナリア諸島で、今年の1月1日から9月2日までで、5154人が逮捕されているという。
後を絶たない移民の流入で、カナリア諸島にある一時的収容センターの状態はいくつもの人権擁護団体に非難されるほど悪化している。政府は“人道的処置”として、カナリア諸島の移民をイベリア半島の収容センターに移送する政策をとっているが、ゴンサレス氏は昨日政府は当面この政策を続けると述べた。今年の7月には25日間で383人の不法入国者がカナリア諸島からイベリア半島内にある5つの収容センターに送られたが、ゴンサレス氏も認めるとおり、移民たちは移送後数日のうち、場合によっては数時間のうちに拘留期間40日をまっとうして釈放されている。
PSOE(社労党)のコンスエロ・ルミ社会問題担当官は昨日このPPの移民移送政策に関して、不法移民を“ツアー”に連れ出しているだけだとコメント、「新しい外国人法で移民問題は解決できると言っていたはずなのに、政府は我々をだましたのか、それとも計算違いだったのか。」と政府の無策ぶりを非難した。
一方政府は、フエルテベントゥラ島の旧空港ターミナル収容所の拡張を検討中。現在は1500平方メートルの元到着ロビーに635人が詰め込まれているが、使用されていない元出発ロビーにも移民を収容することを考えている。

EA、バタスナ党違法化反対集会を召集

EA(バスク連合)は、今週の土曜日にビスカヤ県ゲルニカで“バスクの自由を守るために”というスローガンのもと集会を召集、中央管区裁判所のガルソン判事に挑む構えでいる。バタスナ党とはまったく連絡はとっていないが、EAの執行部ではETAと中央政府を“表現の自由を制限する”点において同列に並べており、バスク州政府を統轄している残り2政党のPNV(バスク民族党)とIU(統一左翼)もこの集会への参加を検討している。
ガルソン判事の判決では、バタスナ党違法化反対の集会は個人、団体のどちらの名においても禁止されているが、昨日、EA執行部のラファエル・ラレイナ氏は「集会はバスク違法化への抗議だけに限るものではない」と述べている。

失業率低下ストップ

今年の3月から5ヶ月間連続して下がっていた失業者数が8月に入って増加した。2月には9,75%だった失業率はその後下がりつづけ、7月には8.54%を記録していたが、8月になって失業率は8.55%とわずかながら上昇した。政府は時期的な理由と状態回復の兆しが見えていないことから失業者数はこの後もしばらくは増加すると見ている。昨年同時期と比べると、常用雇用は8.24%の落ち込みで、この12ヶ月で失業者した人の数は92,995人となっている。
8月に始まった失業者増加は、現在スペインの経済が停滞していることを示している。といのも、好景気の年には失業者数の増加は新卒者により就職先の需要が増える9月から見られるからである。7月から3553人の失業者が増えたことにより、INEM(国立職業安定局)に登録されている失業者の数は1,552,002人、失業率は8.55%となったことが、昨日の労働省の発表で明らかになった。
最も失業者が増えたのは建設業10,349人(6.42%)と工業8,658人(3.51%)。女性失業者の数は前月比12,483人減(1.34%減)だが、現在の登録女性失業者数は918,588人で、女性の失業率は12.63%と依然として高い。労働力人口に限ってデータを見ると、失業者数は16,036人、2.6%の増加でトータルの失業者数は633,414人、5.76%の失業率となっている。25歳以下の若者の失業は8月に598人(0.25%)減少しており、現在の25歳以下の失業率は10.46%。失業者の大幅な増加が見られたのはバレンシア州(4,352人)、バスク州(1,684人)、マドリッド自治区(1,367人)、ムルシア州(885人)、バレアレス州(767人)で、逆に失業者が減少したのはアンダルシア州(2,198人)、カナリアス州(1,812人)、カスティジャ・イ・レオン州(1,188人)であった。
EU諸国と比較してみると、スペインは引き続き失業率の高い国で、最も低いルクセンブルグは2.4%、オランダは2.8%となっている。昨日Eurostat(ヨーロッパ統計局)が発表したデータによると、スペインの7月の失業率は11.3%(EPA-労働力人口アンケートによる)となっており、ユーロ導入諸国内の7月の失業率8.3%より3ポイント高い。6月から7月にかけてのユーロ導入諸国全体での失業率には変化がほとんどなく、EU諸国全体の失業率は7.7%となっている。オーストリア4.1%、デンマーク4.3%、ポルトガル、アイルランド4.5%、スウェーデン4.9%、ベルギー6.9%、ドイツ8.3%、フランス8.9%、フィンランド9.3%とこれらの国の失業率はスペインより低い。
新規雇用に関しては引き続き厳しい状況が続いており、今年8月に職業安定所に登録された雇用数は前年同月比4.01%減の1,019,106件、常用雇用は前年同月比8.24%の減少。新規雇用全体では、7.73%、78,792人が無期限雇用となっている。今年に入って8ヶ月間の新規雇用数はトータルで9,306,834人(昨年比1.55%増)で、その中の無期限雇用者数は849,372人、前年同時期と比べて0.21%の伸びとなった。
ロドリゴ・ラト経済相は、昨日この数字に関して「現在のスペインの景気は、ヨーロッパ諸国やOCDE(経済協力開発機構)諸国より大きな雇用拡大の可能性を示している」とコメント、失業率8.5%というのは“歴史的”な数字だと現状を肯定的に見ている。

スペイン、ブラジルに勝利

アメリカのインディアナポリスで行われているバスケットボール世界選手権で、スペインはブラジルに84−67で勝利、前日にプエルト・リコに65−73で敗れているが、準々決勝進出を決めた。6日の準々決勝でスペインはドイツと対戦するが、これに勝てば1982年にコロンビアのカリで行われた世界選手権の記録(第4位)を塗り替えることになる。


9月4日(水)

政府と検察庁、最高裁判所にバタスナ党違法化を要請

政府にバタスナ党違法化を決意させたサンタ・ポラのテロ(死者2人)から1ヶ月、昨日政府と検察庁は、6月に承認された政党法を適用し、バタスナ党を違法化するよう最高裁判所に要請した。ヘスス・カルデナル検察官は73ページに及ぶ検察庁の要請書を持って午前11時すぎに最高裁判所に到着、「この要請がバタスナ党という名のナチズムからバスク解放を勝ち取るだろう」と述べた。その数時間後、ホセ・マリア・ミチャビラ法務大臣は法務省で、検察庁より30分ほど前に提出された政府の要請書の内容についてマスコミに説明した。政府は1万ページにわたる要請書の中で、特に194人のバタスナ党メンバーが過去にETA関連の犯罪で刑を受けていることに言及し、バタスナ党とETAのつながりを強調しているという。最高裁判所裁判官への礼儀と敬意から、裁判官より前にマスコミが内容を知ることがないよう、検察局側も政府側も要請書のコピーをマスコミに渡さなかった。
検察官の話したところによると、検察庁の要請書はバタスナ党のこれまでの活動について触れている短い前文と、政党法第9条第2項、第9条第3項に違反しているとする12の嫌疑について述べた15項目からなっているという。さらにその要請書に加えて、バタスナ党とETAのつながりを示す証拠書類を収めた箱が数個と、アルナルド・オテギ氏がバタスナ党事務所閉鎖を実行に移したらどうなるか覚悟するようにとバスク州警察に脅しのメッセージを送っているビデオ、バスク州とナバラ州のバタスナ党が行政権を握る34の市町村役場前にETAメンバーの写真が貼られ、彼らを支持、賞賛するメッセージが添えられている写真も提出された。検察局は30人ほどの証人の召喚を予定しているが、その中には、アルフォンソ・アロンソ・ビトリア市長(国民党)、ギプスコア県ラサルテのアナ・ウルチェギア町長(社労党)やバスクで働きETAに脅迫されている文化、大学関係者が含まれている。
ガルソン判事の決定によりバタスナ党は現在活動が停止されているため、党への召喚状は事務所ではなく、バタスナ党のジョネ・ゴイリツェライア顧問弁護士の事務所と、現在バタスナ党の公式連絡先となっているフランスのバイヨンヌ事務所に届けられるが、全国管区裁判所検察局はすでにバタスナ党フランス事務所の閉鎖要請手続きを始めている。バタスナ党が召喚に応じない場合は、法律に定められている通り、被告欠席のままで裁判が進められることになる。

PNVとIU、ガルソン判事を批判

バスク州政府を構成している3つの政党のうちの2つ、PNV(バスク民族党)とIU(統一左翼)は昨日、ガルソン判事が親バタスナ党デモの召集を個人の名においても禁止したことに非難の声を上げた。PNVの広報官ヨセバ・エヒバル氏にしてみれば、このガルソン判事の決定は“大きなお世話”で、氏は判事が法の名のもとに行き過ぎた行為を行っていると批判した。
エヒバル氏は、バスク公営ラジオ放送エウスカディ・イラティアで、バスク社会の表現の自由は守られるべきであると発言、民衆は常に自らの意見を表現することを必要としているのだから彼の政党がなんらかのデモを召集するようになるかもしれないと述べた。さらにエヒバル氏は、PNVが1375人の公職にある民族主義者の署名を集めて政党法反対の書類を国会に提出したことを発表した。
一方、IUのハビエル・マドラソ・バスク州議員は昨日行われた記者会見で、月曜日の判事の通知は、左翼の汗、血、涙、取り締まり、刑務所入りの末勝ち取った“意見を表明する基本的権利”を損なうものだと述べている。
バスク州政府は、今後デモの開催許可要請があった場合は詳細に調査をし、判事の決定に違反しないかどうかを見極めると述べている。

夏の交通事故死者数2年連続で減少

2002年の7、8月の交通事故死者数は2年連続で減少した。この2ヶ月間に交通事故で亡くなった人の数が昨年は862人だったのに対し、今年は817人。
交通総合局(DGT)のデータによると、夏の交通事故死者数は減少の傾向にあるといい、実際2000年から2001年にかけては7%(前年比65人減)、2001年から2002年にかけては5.2%(前年比45人減)と死亡者は少なくなっている。交通事故全体の数も減少しており、2001年には707件だった死亡事故数が今年は678件に減った。
「交通事故の数が減ったのには色々な理由が挙げられるが、その中の一つに車の買い替えがある。」とバレンシア大のルイス・モントロ教授は述べた。「最近の車は以前より安全対策がしっかりしているため、事故が減り、事故による結果も軽いものになっている」というのがこの教授の見方である。
しかし、交通事故数と死者数が減っている一方、負傷者の数は増えている。2001年には前年同時期比138人減(564人から462人に減少)となった重傷者の数はその後再び増加し、今年の夏は昨年夏に比べて26人増の452人、軽傷者の数は80人増の484人となっている。


9月3日(火)

バスク州政府、ガルソン判事の命により、親バタスナ党デモを禁止

8月26日に中央管区裁判所のガルソン判事が出したバタスナ党への3年間の活動停止命令判決の中に、“直接的、または間接的にバタスナ党またはその幹部、メンバーによって召集されるデモは違法である”とあり、活動が停止されているバタスナ党を支持する内容のデモは、主催者が政党ではなく個人であっても違法であるという通知が昨日バスク州政府内務局にガルソン判事から届けられ、バスク州政府はすでに与えていた2つの親バタスナ党デモに対する開催許可を取り消すと発表した。
バスク州政府は、個人の名において9月7日にビルバオ、その翌日にサン・セバスティアンで召集される親バタスナ党、反活動停止命令デモ開催許可をすでに与えていた。しかし、昨日バスク州政府は、日曜日にサン・セバスティアンで行われたデモのような騒動を再び起こしうるとして、その開催許可を取り消すと発表した。バスク州政府は、開催許可取り消しの理由をあくまでも治安維持のためとし、ガルソン判事の通知によるものではないとしている。
ビルバオでのデモは“ファシズム・ストップ、進め、バスク”、サン・セバスティアンでのデモは“バスクに自由を”というスローガンのもとに開催されることになっていたが、これらのスローガンは、日曜日にサン・セバスティアンで開催された、親ETA、反バスク州警察の叫びに終始し、警察との衝突にまで発展したデモと同じもので、主催者は個人になっていたものの、バタスナ党とのつながりは明らかであった。

ロナウド、メディカルチェックをパス

「彼の膝は思っていたほど悪くなかった」と、昨日レアル・マドリッドのチームドクターはロナウド選手を診断した後コメントした。この後、サンティアゴ・ベルナベウスタジアムでロナウド選手の入団が正式に発表され、背番号11の白いユニフォームを着た選手は、集まったカメラマン達の前でポーズをとった。
ロナウド選手の両膝蓋骨靭帯は今後数年高いレベルでサッカーをできる状態にあるというのが、3時間にわたったメディカルチェックから出た結果であったが、その後の入団発表記者会見の間も、彼の膝の状態はレアル・マドリッドの幹部たちの疑惑の的で、エミリオ・ブイトラゲニョ氏は、ロナウドの専属トレーナー、ニルトン・ペトロネ氏に何度も「彼の右ひざは大丈夫なのか?」と尋ねていた。
もし彼が普通のサッカー選手だったら、診断結果を見てチームドクターは契約交渉を再検討するように忠告したかもしれない。レントゲン写真で見るロナウド選手の右膝は、6年間にわたる負傷と手術の跡をはっきり見せていた。しかし、レアル・マドリッドが手にしようとしていたのは世界一有名で、肉体的にも技術的に天賦の才を備えた選手、そして全世界に通用する広告塔である。さらに、チームドクター、アルフォンソ・デル・コラル氏を安心させたのは、抜け目ないフロレンティノ・ペレス会長が移籍契約の内容に盛り込ませた“ロナウド選手が右ひざを怪我した場合は、彼がマドリッドでプレーした期間に応じてインテルがレアル・マドリッドに移籍金を払い戻す”という条項であった。
他の選手と同様の働きをするためには、ロナウド選手は毎日特別な治療を受けなければならないが、そうすれば他の選手と同じ試合数を問題なくこなせるだろうとデル・コラル医師は述べている。「怪我の可能性は常にあるが、個人的な意見を言えば、腱鞘炎や筋肉疲労を起こす方の確立が高いと思う。」と医師は言い添えた。ロナウド選手が移籍問題をめぐって7月、8月とストレスの多い時期を過ごしたことを考慮し、デル・コラル医師は、新しい場所、チームに慣れるために3〜4週間の調整期間があるといいのではないかと話した。

マドリッドの外国人旅行客数減少

政府の発表によると、スペイン旅行業界は危機にあるという。外国人旅行客全体の数は維持されているものの、ホテルの利用者数が目に見えて減っている。マドリッドでの外国人旅行者数の落ち込みは深刻で、昨年同時期と比べて、今年に入って7ヶ月間の外国人旅行者数は13%も少ない。今年に入ってスペインに旅行に来たドイツ人の数は昨年同時期と比べて10%減。常にドイツ人でにぎわっていたバレアレス、カナリア諸島は多大な影響を受けている。
昨日政府が発表したデータによると、外国人のスペイン入国者数は昨年比0.1%増で維持されていおり、観光ハイシーズンの7月に限って見てみると増加率は0.8%。最も多かったのはイギリス人(今年7ヶ月間で7.8百万人)で、フランス人が7月に初めて第2位に入っており、この増加は1月から7月の陸路からのフランス人入国者の増加15.4%という数字に現れている。昨年9月11日以来、スペイン入国のための手段としての飛行機の利用は減って(4.2%の減少)いるものの、今年1月から7月の間にスペインを訪れた外国人旅行者の70.4%は空路、25%が陸路から入国している。
陸路からスペインに入国する外国人が増えたことにより、カタルニャ州が大きな恩恵を受けているのに対しマドリッドの状況は芳しくなく、ホテルを半額で提供するなど2年連続で州政府が行った外国人観光客召致キャンペーンも効果がなく、7月の外国人訪問者は前年比8.2%、今年7ヶ月間で12.9%減っている。
7月にホテルに宿泊した人の数は昨年比8%減で、42%の外国人旅行者(昨年比16%増)はホテル以外の宿泊施設(貸家、ホームステイ、友人の家、キャンプ場)などを利用しているという。また、国立統計局(INE)によると、1月から7月までの滞在期間も平均3.65日と縮小の傾向を見せているという。
7月に外国人旅行者が最も訪れたのは1,812,695人を受け入れたカタルニャ州で、前年より15.8%の増加。それに続くのはバレアレス諸島、カナリア諸島、アンダルシア州であるが、これらの自治州はそれぞれ19.8%、4%、4.1%と前年より旅行者が減っている。その次につけているバレンシア州は前年比1%の増加で、陸路からの訪問者減少を空路利用者増加が救った形となった。


9月2日(月)

ロナウド選手、レアル・マドリッドへ移籍

スペインのサッカーチーム、レアル・マドリッドはチャンピオンズ・リーグの選手登録締め切り1時間前にイタリアのチーム、インテル・ミラノと、チームのスター、ロナウド選手の移籍合意に達した。移籍条件の内容は、3500万ユーロの移籍金を5年間でマドリッドがインテルに支払い、さらに、インテルはムニティス、フラビオ、ラウル・ブラボ、オスカル・ミニャンブレス選手のうちの1人を譲り受けるが、インテルがそれらの選手を必要ないと判断した場合は、マドリッドが12月にさらに1000万ユーロを支払うこととなっている。この契約の中にはさらに、フロレンティノ・ペレス会長がかねてから要求していた、ロナウド選手の膝の保証についての条項も盛り込まれており、それによると、この4年間で3度の膝の靭帯の手術を受けているロナウド選手がまた膝を負傷した場合には、インテルはロナウド選手の契約の残っている期間分だけの彼の給料をレアル・マドリッドに払うことになっている。
ロナウド選手は、昨日の午後3時頃、マドリッド近くのトレホン・デ・アルドス空軍基地に自家用ジェット機で到着、その後治安警備隊のバイク2台の護衛を受けてマドリッド郊外のあるレストランで、ホルヘ・バルダノ専務と会談、移籍は今日にも正式発表される。
「世界一のチームでプレーしたかった」と語るロナウド選手は、彼の移籍によりスポーツメーカーナイキから得るインテルの契約金(レアル・マドリッドはアディダスと契約)が減るのを償うため、2百万ユーロをインテルに支払い、今後4年間の報酬はラウル、ジダン、フィゴ選手の年俸(推定年間1千万ユーロ)を超えないように、インテル時代より2百万ユーロ減という条件でプレーする。
ロナウド選手本人が20日間の調整期間を希望しているため、彼がレアル・マドリッドの選手としてデビューを飾るのは今月末になりそうである。

スペイン人の80%はバタスナ党違法化を支持

ラジオ局カデナ・セルの調査によると、75%のスペイン人は、バタスナ党は違法化されるべきだと考えているという。しかし、バスク地方では51%の人は、違法化に反対している。
スペイン人の80%は、政府の方針を支持、バタスナ党がテロリスト集団ETAとのつながりを持っていると考えているが、バスク地方でこの意見に賛同しているのは50%。全国管区裁判所のバルタサル・ガルソン判事のバタスナ党活動一時停止命令判決についても、80%のスペイン人が指示しているのに対し、バスク地方では63%が反対。
バスク地方以外のスペインの地域ではバタスナ党を違法化することはETA撲滅に効果的であると考えられているが、バスク地方では事態はさらに悪化すると一般的に考えられている。しかし、バタスナ党を違法化することによりETAのテロが増加するという点に関しては両者の意見は一致している。

サン・セバスティアンでバタスナ党支持のデモ

昨日、サン・セバスティアンでバタスナ党支持のデモに集まった人々はバスク語で"ストップ、ファシズム、進め、バスク”と書かれたプラカードを掲げ、口々に親ETA、反バスク州警察、反PNV(バスク民族党)、反バルタサル・ガルソン判事のスローガンを唱えた。1千人を超す人々が集まった今回のデモにはバタスナ党の州議員3人も参加していた。
法律の定める条件をすべて満たしていたためバスク州政府から許可の出ていた今回のデモには、バタスナ党活動停止命令に反対し、“バスクが置かれている深刻な現在の状況”に抗議する目的で人々が集まる大規模なものとなり、参加者たちは、親ETA、親バタスナ党、反バスク州警察、反ガルソン判事、反すべての民主主義政党の叫びをあげた。デモの間中聞かれたのは、バスク語での“バスク人は決して許さないだろう”、“闘いこそが唯一の道だ”などというフレーズで、バスク独立、収監中のETAメンバーへの支持のメッセージも聞かれた。また、バスク州警察に対し“バスク人に対して行ったことへの借りは返してもらう”全国管区裁判所判事に対し、“ガルソン、ファシスト、テロリスト”と叫んでいたほか、PNVに対して“裏切り者””スペイン支持者”、PP(国民党)、PSOE(社労党)に対しては“ファシスト”“テロリスト”という叫びも聞かれた。デモが終わりかけたころ、数人のバスク州警官がバンから降り、親ETA、反バスク州警察の叫びをやめるよう要求したところ、参加者達はさらに反バスク州警察の声を上げた。
デモ中は特に目立った事故は起こらなかったが、デモの終わりにバタスナ党のサン・セバスティアン市役所広報官ホセチョ・イバセタ氏が再びバタスナ党事務所の閉鎖を実行したバスク州警察を非難し、その数分後、フードをかぶった数名がレアル・ソシエダ対アスレティック・ビルバオの試合を観戦するために人が集まり始めていた旧市街でゴミのコンテナに火をつけ、バスク州警察は1人の男性を逮捕したが、その後男性は釈放されている。

コルテ・イングレス、収益昨年比11.2%増

スペインの小売業最大手、エル・コルテ・イングレス・グループが昨年度、4.81億ユーロの売上(前年比11.2%増)を記録している。売上高は10.1%増の118億ユーロ。グループの主要部門であるデパート(エル・コルテ・イングレス)、スーパー(イペルコル)、旅行、情報産業部門での収益増加は10%を超えている。イシドロ・アルバレス社長は株主総会で、多角経営と店舗数拡大の戦略をこのまま続けると発表した。グループは2001年度、スペインとポルトガルで6915人の新規雇用を創出している。
景気の停滞にかかわらず、新店舗の開店と郊外型大型ショッピングセンターの開設を進めるエル・コルテ・イングレス・グループは売上高においても収益においても、2001年度も成長を続けている。しかしながら、2000年度は19.1%、1999年度は23.7%であった収益増加率は、2001年度は11.2%と減速が見られる。
2月28日閉めの最終決算では、グループの代表格エル・コルテ・イングレス・デパートを筆頭に、すべての関連企業が営業成績を前年より良くしている。エル・コルテ・イングレス・デパートは売上高8.3%増の81.6億ユーロ、収益は11%増で3.08億ユーロ。続いてイペルコル・スーパーが売上高27.3億ユーロ(前年比13.2%増)、純利益1.3億ユーロ(前年比15.2%増)となっている。その他、旅行業、保険業、建設業、出版業、ポルトガルのショッピングセンター等の子会社でも決算結果は良好に出ている。
投資額11億ユーロは主に店舗の購入、建築、改築に充てられており、昨年度はポルトガルに初の海外出店を果たしたほか、テネリフェ店、カディス店オープン等グループは拡張路線をとっており、これにより、スペインで4921人、ポルトガルで1994人の新たな雇用を創出している。さらに、旧マークス&スペンサーの9店舗を買い取り、スフェラ・ホベンブランドの若者向け服店に、フランスのスーパーチェーン、カルフールの5店舗を買い取り、イペルコル・スーパーに改装している。
株主総会でアルバレス社長は、今後もグループがこの拡張路線をとり、新店舗を開いていくとともに電気製品の販売に力を入れると述べ、リナレス(ハエン県)、アルヘシラス(カディス県)での9店舗オープンと、アビレス店(アストゥリアス県)、サン・フアン・デ・アスナルファラチェ店(セビジャ県)の改装を発表した。

週末のスポーツの結果

サッカー:スペイン・リーグ開幕。9試合が行われ、1部昇格のレクレアティボ・デ・ウエルバ、ラシング・デ・サンタンデールは初戦を勝利で飾れず、アトレティコ・マドリッドも引き分けに終わった。
バスケットボール:インディアナポリスで開かれている世界選手権で、強豪ユーゴスラビアに71−69で勝ったスペインチームは、アンゴラにも88−55で快勝、第2次予選進出を果たした。第2次予選ではトルコ、プエルト・リコ、ブラジルと対戦する。
カヌー:セビジャで行われた世界選手権で、スペインは7つのメダル(金3、銀1、銅3)を獲得。




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