5月25日(水)
両親と3人で参加した。
前夜からSNJ日西文化協会のメンバーズハウスに滞在していた私達は、早朝、今回の旅をコーディネイトしてくれる
文化アドバイザーと共に、アトーチャ駅に向かった。
駅構内で軽い朝食を取り、8時50分発のTALGOに乗り込む。
AVE以外の列車に乗ったことのなかった私は、ちょっとドキドキ。列車旅の好きな両親は、興奮を隠せない様子だ。
車内はガラガラで、ちょっと驚いたが、それはそれでリラックスできて嬉しい。車窓から流れる風景は、いつのまにか
ラ・マンチャ地方の荒涼たる大地に変わっている。
やがて、どこまでどこまでもオリーブ畑が広がっていく。
この風景は、グラナダに到着するまで、延々と続いていた。
グラナダ到着は、予定よりやや遅れて14時30分頃。
スペイン国鉄のアバウトさは、今も健在らしい。
駅からホテルに向かう。
ホテル・カルメンは4つ星で、グラナダでは老舗のホテルのひとつだろう。
ロビーに
キャッシュ・コーナーがあったので、大喜びしてしまった。
ふだんは、オスタル専門で、星がついてもせいぜい
3星ホテルに泊まるのが常だから・・・。安心してお金を下ろせるのは嬉しい限りだ。
部屋は明るく広々として、ベランダもついていた。
夕暮れ時、シエラネバダの山々を眺めながら、ベランダの椅子に
もたれて、ビールでも飲んだらさぞおいしそうだ。
夕方、ロビーに集合する。他の参加者と初めて顔合わせをした。
参加メンバーは、東京在住の30代カップル、
広島の女性(たぶん、私と同年代!)、札幌の若い女性、それに私達親子3人。
これからフェリア会場に向かうのだが、その前に軽くのどを潤そうということになった。
文化アドバイザーの女性が
連れていってくれたバルは、市庁舎そばの小路の奥にあった。
セミ(?)プロのカンタオールが経営者という。
壁には、カマロンと一緒に写っている写真などが、所狭しと飾られている。
地元のおじちゃん達がカウンターを占領し、お店は大賑わい。
次回、友人とグラナダを訪ねる機会があったら、
ぜひ立ち寄りたいと思った。
のどとおなかを軽く満足させたところで、大通りから、フェリア会場行きのバスに乗る。老若男女が乗り合わせて、
バスは満員状態。
さっと席を立って、両親(2人とも70歳)に席を譲ってくれる若者がいたりして、嬉しい限りだ。
フェリア会場では、どこのカセータもガンガン音楽がかかっていて、一緒にいる参加者達の声を聞こえなくなるほど。
会場をひとまわりして、文化アドバイザーが「雰囲気が良さそう」と選んだカセータに入る。
水玉のカラフルな
フラメンコ衣装に身を包んだ子供達が、舞台の上でセビジャーナスを踊っている。
小学生はなかなか上手いものだが、
ヨチヨチ歩きの幼児になると、ただグルグル回っているだけだったり、かけっこしていたりして、それがまた愛らしい。
アドバイザー女史は、踊る気満々である。
私は、自分の踊りが、さも習いましたって感じなので、最初はしり込み
していたのだが、結局、旅の恥は掻き捨てて、踊りの波に飛び込んだ。
ひとたび、踊り始めれば、もう、サイコーに楽しい!
少しでもフラメンコを習っておいてよかった〜と思う。
おまけに、化粧室で、フラメンコ衣装を身につけたスペイン人女性に、「あなたの踊り、素敵よ」と言われて、
すっかり舞い上がってしまった。
誉め上手のスペイン人の言葉だとはいえ、正直嬉しい。
他のメンバーも、ルンバなどポピュラーな音楽がかかると、楽しそうに踊っていた。
そして、「明日もまた来て、踊ろうね」と語りあいながら、フェリア会場を後にした。
5月26日(木)
今日が、おめあての御聖体祭。
朝食を済ませてロビーに集合し、大聖堂に向かう。アドバイザーから、御聖体がどのようなものか説明を受ける。
どんどん人が集まってきて、やがて大聖堂前は立錐の余地もなくなった。
いつ、パレードが始まるかと、誰もが
期待に満ちた顔をして、今か今かと待っている。すでに押し合いへしあい状態なのだが、それでも、小柄な母が
見やすいようにと、周囲にいるスペイン人達が気遣ってくれて、嬉しくなる。
やがて楽隊に先導されて、僧衣姿の人、
中世の衣装に着飾った人達のパレードが続き、いよいよ御聖体が登場し、お祭りは最高潮に達する。
そばでは、
お祈りの言葉を唱えている人もいたりして、宗教的な行事だということをあらためて感じさせる。
パレードが終わり、我々も一休みしようということになり、近くのバルに入る。ボデガっぽいバルで、ちょっと高級な
感じ。ワインもタパスもとてもおいしい。このお店も、次回のグラナダ訪問時は要チェックだなと思う。
午後は、アルハンブラ宮殿の見学。過去に2度フリーで訪ねたことがある私だが、きちんとした説明を受けながらの
見学はまた格別だ。
流暢な日本語を操るスペイン人の男性が、駄洒落を連発させながら、案内してくれる。両親は、
熱心に聞き入っていた。
夕方、再びロビーに集合して、闘牛場へと向かう。グラナダの闘牛場は、程よい大きさで、とても見やすい。
御聖体祭のお祭り期間中だけあって、有名な闘牛士が続々と登場し、場内は興奮に包まれていた。
両親が多少疲れていたので、私達は1クール見終わった段階でホテルに戻ったのだが、他のメンバーは、闘牛のあと、
サクロモンテのジプシーのフラメンコ・ショーに足を運んだという。
その夜、部屋でTVを見ていたら、昼間の闘牛士がゲスト出演していた。
5月27日(金)
昼食に、モロッコ料理を味わう。昨日、アドバイザーが予約していたお店は、なぜか休み(さすが、スペイン!?)で、
急遽、違うお店に変更されたのだが、こっちのお店の方が、ゴージャスな内装で、しばし王族気分に浸る。味も
かなりイケた。
時間に余裕があるということで、予定外だが、大聖堂そばの王室礼拝堂を見学する。
アドバイザーから、イサベルと
フェルナンドのカトリック両王や、フアナ狂女王の悲しいお話などを聞いて、スペインの歴史にひととき想いを馳せた。
その後、アルバイシン地区のサン・ニコラス広場に向かい、峡谷を隔てて、アルハンブラ宮殿を眺める。
そして、
広場からやや下ったところの、バルというかレストランで、たそがれに染まっていくアルハンブラ宮殿を、存分に
堪能する。そのお店は立派な邸宅を改築したらしく、美しい庭園があり、緑と静寂にあふれ、一晩中でも座って
いたいほどだった。
あたりが薄闇に包まれて、アルハンブラ宮殿がライトアップされた。
まだまだそこに居たい気持ちを振り切って、
夜のアルハンブラ宮殿見学に出かける。
夜のアルハンブラ宮殿は、私も初めてだ。
昼間とまったく違った雰囲気に包まれていて、どこからか、イスラムの
王様や侍女達が現れそうな気がした。エキゾチックなムードは、夜の方がいや増す気がした。
ホテルに戻った私は、両親を残して、他のメンバーと一杯やりに出かけた。
すでに12時近かったが、街にはまだまだ
大勢の人が繰り出している。
「ぜひまた、スペインで会いましょう!」と、私達は再会を誓い合った。
3日間の、何とも濃密で深いグラナダの旅。
何度も訪れたスペインだったが、それとはまた一味も二味も違った、
スペインに触れて、私はますますスペインが好きになった。
翌日、私達親子は、セビリアに移動したのだが、そこではグラナダとまたちょっと違う御聖体祭の行列を見た。
グラナダでのこの体験がなかったら、「何かのお祭りなのかな?」程度で見過ごしていたかもしれない。
今度は、ぜひセマナ・サンタを見てみたい。サンティアゴ・コンポテーラにも足を延ばしてみたい・・・と夢は
どんどん膨らむばかりだ。