闘牛士が一体いくら稼いでいるか、を知る手掛かりは、毎年闘牛協会から発表される、1試合の
規定料金表があります。これには、各カテゴリーの闘牛場での最低料金が表示されています。
第1級闘牛場での闘牛(CORRIDA)の場合、闘牛士に支払われる最低料金は、日本円に換算して、公式的 には百万位です。試合に出たくて、それ以下で契約してしまう闘牛士もかなりいます。数字は、あく まで公式的には、の域をでません。助手は同じランクの闘牛場では12〜16万円位です。
年間に数試合しかない闘牛士は、職業的には食べていけないことになり、他の仕事をしながら、 契約書の声がかかるのを待つことになります。その内の多くはいつのまにか自然消滅し、闘牛士を やめてしまします。
一方、一握りの幸運と実力に恵まれた有名闘牛士達は、各々、マネージャーを付け興行主と賃金の 交渉をさせることになります。観客を呼べる闘牛士達は当然高く契約できるわけで人気があるほど、 稼ぎ額が多くなります。あくまで売り手・買い手のバランスで、稼げる闘牛士は一シーズンで大金持 になることも可能ですが、いつも死と隣り合わせで、1歩間違えば死、不具者になりかねない危険な 職業でもあります。
1960年代に1世を風靡した闘牛士、EL CORDOBES(エル・コルドベス)は、当時もスペインのOL、1ヶ月 の給料が5000ペセタ(約25000円)の時代、第1級闘牛場で百万ペセタ(約500万円)稼いでいました。現在でも トップクラスの闘牛士は、セビージャ、マドリードの第1級闘牛場の祭時には、数千万ペセタ(数千万円) を1試合で稼いでいます。
見習い闘牛士となると、極端に金額も少なく、試合をしても出費のほうが多いときもあります。 トップクラスの見習闘牛士達は、早く稼げる正闘牛士に昇格進級(アルテルナティバ)したいわけです が、有名闘牛士の一角に食い込んでいくには、よほどの実力と幸運がないと難しいようです。
このように闘牛界は、三角形の頂点にのぼりつめた闘牛士たちだけが名誉とお金を手に入れること ができるわけです。しかし、その頂点を維持することは、のぼりつめているとき以上に努力と幸運 と才能が必要になります。それまでに、文字通り自らの血を砂場に何回も、何回も流していると言う 現実を直視すると、闘牛士という職業は危険な職業という域をもうはるかに越えています。
危険な職業ということもあって、契約金は砂場に出る前に受け取る習慣になっています。
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