闘牛には、色々な場面があります。PASEILLO:闘牛士達の行進 SALIDA DE TOROS:闘牛の出現 TERCIO DE VARAS:槍方の場 TERCIO DE BANDERILLAS:銛打ちの場 TERCIO DE MULETA Y LA ESTOCADA: ムレタと剣の場 と続くわけですが、TERCIOをSUERTEという場合もあります。各場面場面、どんな観方 どんな楽しみ方をしたら良いか考えてみましょう。
まず、闘牛場(PLAZA DE TOROS)に入って、自分がどこの席-日向席(SOL)、日陰席(SOMABRA)、 日向日陰席(SOL Y SOMBRA)-にいるか確認します。その後、主催者席(PRESIDENTE)、牛舎(TORIL)、 闘牛士達の門(PUERTA DE CUADRILLAS)、楽隊(MUSICA)を探してください。開始時間までは、自分の 闘牛場内での位置の確認と、できれば出場闘牛士・牧場のミニ知識でも仕入れられれば最高です。 マドリードの闘牛場では、出場闘牛士・闘牛牧場のプロフィール・パンフレットを配布していますので 少なくともそれらをもらっておくことです。
午後5時。開始トランペットが場内に鳴り響きます。まずは露払い騎士(ALGUACILILLOS)の出場後、 闘牛士チームの行進(PASEILLO)です。この場面では、闘牛士の"光の衣装"(VESTIDO DE LUCES)の 美しさと、光(SOL)と影(SOMBRA)に分割された砂場(ARENA)を御覧下さい。闘牛場の砂場が真二つに 分割された時間、それが午後5時(A LAS CINCO DE LA TARDE)だったのです。よって、午後5時は、 スペインでは"死(MUERTE)"を意味しました。最近は太陽時間より早い時間を使っているために、 この開始時間はずれています。
さて、闘牛が開始されます。闘牛の出現(SALIDA DE TORO)です。この場面では闘牛の動きに注意 して、良い牛か駄目な牛かの判断をして下さい。闘牛の反射神経・潜在能力を助手等(SUBALTERNOS) が引き出します。かつ、闘牛士(TORERO)のカポテ技が披露される場面です。カポテ(CAPOTE)による ベロニカ技が判断の基準になります。TORO(闘牛)がTOREROのカポテに突進する時の、TOREROの両足は砂場に 釘を刺したように動かないか、動いてしまうか。カポテの広がりの大きさと位置、TOREROの両手は どの位置にあるのか、(低い位置がペスト)を見ることが重要です。TOROが左から突進してくる時の TOREROの左足、右からの場合は右足を良く見てください。当然、足は動かしてはいけないのです。
次は、槍方の場(TERCIO DE VARAS)です。この場面あたりから、闘牛が嫌われてしまう要素を含んだ "血"のシーンになってしまいますが、血を見る前に別なシーンを見て下さい。TOREROがTOROを 槍方(PICADOR)の乗っている馬に、カポテを使いながら誘導していきます。その誘導の華麗さ、 そして、TOROが槍方の馬に向かって突進していく姿、TOROが攻撃能力を秘めているかどうか、槍方が TOROの能力を減ずるために、槍(VARA)を刺す正規のポイントに、槍を刺しているかどうかを見逃さ ないようにして下さい。槍方と闘牛との間隔は離れていれば離れているほど、突進攻撃してくる 闘牛の姿は美しいものですが、その分だけ槍方に危険が伴います。
銛打ちの場面(TERCIO DE BANDERILLAS)ですが、助手達が、試合進行上義務的にただ打つだけという 場面が多くなって、この場面のつや消しをしています。闘牛士の中には自分で銛打ちをする人達も います。この場合には当然闘牛士は見せ場を作ることになります。技としてはTOROに向かって左へ、 あるいは右へ抜けて銛を打つ、あるいは正面で待って、フェイントをかけ銛を打つものが主流です。 この技では、銛を打つときのTOREROの位置がTORO のどこにあるのかを見てください。TOROが通り 過ぎてから、その横で銛を打っているか、TOROの真正面、両角の間に入って銛を打っているか、を 見てください。TOROの真正面に入り、タイミングを取って、背筋を伸ばし、両手を高く上げ、TOROの 背に銛を打ち込むのが一番良いとされていますが、タイミングを間違えるとTOROの角にかけられる 難しい技です。
TOREROによるムレタ技の場面です。赤いムレタを持てるのはTORERO-MATADORだけです。闘牛の 真髄は「ムレタを使ってTOROの行きたくない所に行かせ、その中でTOREROの感性を表現する行程」 です。ムレタ技は左右手を使った技が多くありますが、要はTOROが突進してきたときに、闘牛士の 足が動くが動かないかが、重要です。闘牛士の足を見るのはカポテ技と同じです。ムレタはアイロンを かけたようにピシーとして、TOROを誘導できるか...。観客から「OLE」の声がかかったときは、良い 演技をしていると思ってください。ムレタの演技が終わると、TOROに美しい死を与える厳粛な時間が やってきますが、この死の瞬間があったからこそ、スペインの闘牛は廃れずに何百年と続いてきた のです。MATADORはTOROを動かしながら殺しに入る位置を決めます。この時のTOROの前足の位置に 注意してください。剣は前足を背に持っていった少々後、45度の角度で大動脈・大静脈を切り 刺します。自分が刺されるか、相手が刺されるかの真実の瞬間(LA HORA DE LA VERDAD)になります。 闘牛はARTE(芸術)です。各TOREROの技の表現の違いのSENTIMIENTO(感性)がわかってくると闘牛の世界 から抜けられなくなります。
駄目な牛
良い牛
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