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今スペインでどんな映画がはやってるのか、
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★スペイン映画界注目の俳優さんたちをこちらで紹介してます。★
インデックス 2006年の作品
* (2006/01/25)
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監督:Miguel Albaladejo
出演: Borja Nabas, Fernando Tejero, Mariola Fuentes, Alex Casanovas, Mar Regueras, Jose Luis Garcia Perez |
ただ単に私の好みの問題だと思うが、最近、あまり、これだ!! といえる映画が少ない。アメリカ映画にしてもにしろ、
俳優が素人ばかりなのだ。その傾向は、スペイン映画にも言えると思う。
すべてが“Light”で、小奇麗な映画が多い。
映像技術も進歩し、俳優は、そんなに仕事をしなくてもいいのだ。
素人っぽいほうが却って、使う方にも好都合な訳だ。
でも、まだまだスペインには、一筋縄ではいかない俳優達が
うじゃうじゃしている。町で会ったりしたら、握手をもらう代わりに、ウワ〜!出た〜!と言って逃げ出したくなるような人達だ。
そういう彼らの作品を探していきたいと思う。
私は、好きな映画は、DVDを買って、大切にしまい、飽きるまで繰り返し見るが、
最近それをしたのは、“Dia de Futbol” ぐらいか?あの、スペイン映画特有の、何も邪心(?)の無い世界を見ていると
不思議に気分が落ち着くのである。 去年の11月にはあのカマロンの伝記映画(タイトル:カマロン)を見に行ったが、あまりにも退屈で、途中で席を立ちたくなった。 伝記映画というのは、その有名人の意外な部分、知られざるエピソード、それまでその人に持っていたイメージが崩れるところが 面白いのだが、映画“カマロン”には、そういう部分がまったく無かったのだ。ジプシーの世界が舞台だったこともあるが (彼らが何をしようと驚けないところがある。)、一番の理由は、にカマロンの未亡人、ラ チスピータが、密接に映画の製作に かかわった事だと思う。それで、あまり冒険ができなかったと、私はにらんでいる。でも、主人公の若手俳優の二人 (Oscar Jadenada,Veronica Sanchez)は、初々しく、魅力的だ。この映画は、今年のゴヤの候補にもなっているらしいが、 今度、カマロン映画を作るのだったら、チスピータを無視し、ジプシー達が怒り出すくらい画期的な作品を期待している。 では、本題の“Volando Voy"について話したい。この映画も伝記映画だ。誰の伝記かというと、元レノールF1チャンピオン、 現在、有名メーカーのテストパイロット、スペイン市民警察の運転技術講師、モータースポーツ評論家として活躍している フアン カルロス デルガドという人物のものだ。彼は、なんと、70年代、゛El Pera” と呼ばれ、マドリッドのベットタウン、 ヘタフェを中心に世間を騒がせた、少年窃盗団のリーダーだったのである。スペインでは、警察に追われる立場から、彼らに 教える側に立った彼のサクセスストーリーは有名だし、手がつけられない少年犯罪者だった彼を覚えているスペイン人はたくさんいる。 2003年には、゛Yo fui El Pera"という自伝も出している。それに、この映画は、その時代の様子がそのまま表現されて おり、観ると、そのころのスペインを懐かしく思い出せる日本人もたくさんいると思う。 “El Pera"こと フアン カルロスは9歳の少年。貧しいながらも一見、何不自由ない家庭に育っているように見えるのに、 何処で覚えたのか、抜群の運転センスをもっており、近所の不良仲間と、犯罪三昧の日々を送る。車に乗って逃亡して捕まったことは 無かったと言うから驚きだ。子供の彼が運転をしながら、猛スピードで通り過ぎると、運転席には、誰もいないように見えるので、 人々は、首を傾げたという。警察署に何度も彼を迎えに行きながら、何とか立ち直って欲しいと願っている彼の両親の思いもむなしく、 連れ戻しても、連れ戻しても、学校をサボり、家を抜け出し、また、仲間と一緒に車を操り、窃盗、強盗を繰り返す。送り込まれた 少年院を脱走し、殺人未遂を起こし、再び捕まり、絶望しかけている両親のところに戻ったとき、彼は満11歳だった。その時、彼の 連行歴は、150回目に達していた。そして、今後の対策を話し合う席で、係官は、彼にとって、人生の起点となる、ある決定を下す。 それは、マドリッド郊外にある、教育者ティオ アルベルトが設立した子供達だけで構成されている、少年達の村へ彼を入村させる ことだった。 フアン カルロス役のボルハ ナバスは9ヶ月かけて、マドリッド南部の小中学校を中心に探し回り、約6000人の中から選ばれた。 スペインには、何処でもいるような、えらそうなガキだ。しかし、なかなかセクシーなところがあり、たくさんの少年達の中から 選ばれただけのことはある。周囲の期待を裏切らずに堂々と演技している。それから、彼の不良仲間の少年達もなかなかの面構えで ある。この国は、こういう人材には事欠かないらしい。彼の両親役は、フェルナンド テヘロと、実力派女優のマリオラ フエンテス。 息子の非行の前に、成す術も無く、地獄のような日々を送る彼らが垣間見せる息子に対する愛情には、時々ほろりとさせられる。 映画には、スペイン人にとって、特別な意味を持つ、クリスマスの日のシーンが繰り返し出てくるが、彼らにとって、その日は試練の 日でしかなかったことがよくわる。 この映画の監督、まだ40歳の若いミゲル アルバラレホは、とても丁寧な仕事をするので、割と好きな監督なのだが、この映画にも 彼の欠点が相変わらず健在だ。丁寧すぎて、ワンシーン、ワンシーンの連携が悪くなり、全体的なまとまりが欠け初め、中だるみを 起こすのだ。その上、無駄なせりふも多く、フアン カルロスの恋人(?)役のマル レゲラスなどは明らかにミスキャストというか、 あまり、意味の無い人物となっている。映画を見ている115分がとても長く感じる。その上、彼は、この映画を作るのに、 フアン カルロス本人に取材したので、エピソードに事欠かないこともあり、本当は、8時間ぐらいの作品を撮りたかったと、 恐ろしいことを言っている。 それにもかかわらず、彼の作品を支持するのは、彼の“普通の人々” に対する愛情に清潔感と好感を覚えるからだ。そして、 ごく普通の風景を撮っているはずなのに、どこか、非現実的な空気が漂う。説得というものを回避している。彼は決して、流行の 監督にはならないだろうし、なれないだろう。しかし、彼の作品は、みる価値があるし、保護されていくべき監督だと思う。彼が マノリート ガフォタスを最初に映画化した監督だといえば、彼のスタイルがどういうものか、よくおわかりいただけると思う。 もしかしたら、単調で退屈になったかもしれないこの映画を救っているのは、古都トレドでのカーチェイスのシーンだ。トレドの 町を訪れたことのある方なら、よくわかると思うが、あの町特有の細い道を警察に追われながら、猛スピードで突っ走る。かなりの 迫力で、映画に思わぬアクションを与えている。
スペインでも、犯罪が年々年少化しており、少年法の改正がうんぬん言われている。そのうち、イギリスのように、10歳でも、
刑務所に放り込まれてしまうようになるのだろう。日本でも、少年犯罪が多くなってきているらしいが、最近の子供達の犯罪は、
非人間的すぎて、ただの非行や犯罪というには、奥が深すぎるように思う。普通の子が突然、人を殺す時代である。この映画には、
現代の理解されない子供達へのメッセージという意味もあったらしいが、私は、もうすでに、古きよき時代の話のような気がして、
現代の教育問題に何かしら影響を与える種類の映画ではないように思う。そんな勘違いも、この監督らしい。
BY Aya(1月25日) |
監督:Agustin Dias Yanes
出演: Viggo Mortensen, Elena Anaya, Unax Udarte, Javier Camara, Antonio Dechent, Blanca Portillo, Eduardo Noriega, Juan Echanove, Arianda Gil.... |
舞台は17世紀のスペイン。ディエゴ アラトゥリステという 帝国の勇敢な兵士で
ありながら生活のために時々暗殺も引き受けながら生きている男の物語だ。彼は
フランデスでの戦いに臨み、死んでいく親友から、息子を頼むと遺言される。よ
うやく帰ったマドリッドで彼が見たものは、王(フェリペ4世)の無関心、その寵
臣、オリバーレス公爵による無鉄砲な政策の為に瀕死の状態に陥った母国であっ
た、、、。 この時代は、ケベド(アラトゥリステの親友として登場)、ロペ デ ベガ、ベラス ケスが活躍し、宗教裁判が猛威を振るった時代でもある。 その中で、アラトゥリステは、もう一人、イタリア人の同業者、グアルテリオ マ ラテスタ(Enrico lo Verso) と共にある夜、マドリッドの町に入ってくるという 二人の謎の人物を殺すことを依頼される。アラトゥリステは、寸でのところで、 任務を果たすことをためう。そのため、仕事を邪魔されたマラテスタの恨みを買 い、彼は、アラトゥリステの生涯の敵となる。そして、この、アラトゥリステに 命を助けられた二人の人物の素性が明らかになるとき、アラトゥリステは、スペ インの没落を予感させる強大な陰謀を発見し、運命から逃れられない自分に気付 く、、、。 そんな彼を取り巻くのは、長く面倒をみている内に、息子のような存在になって しまった親友の忘れ形見、インディゴ(Unax Udarte),愛人関係にある夫持ちの舞 台女優マリア デ カストロ(Arianda Gil)、それと、共に戦って来た戦友達だ。 原作は、アルトゥーロ ペレス レヴェルテ の人気冒険小説、”El capitan Alatriste"。 漫画にも切手にもなっている、往年の人気キャラクターだ。そして、映画のほ うは、一万を超える衣装、エキストラ、2400万ユーロの制作費(それも、100%ス ペイン資本!!)を使い、アラトゥリステ役に指輪物語のヒーロー、ビーゴ モルテ ンセンをひっぱりだしたスペイン映画史上初のハリウッド並超大作である。 監督のアグスティン ディアスという人は、脚本家として始めて、ゴヤも持ってい ながら、成り行きで監督になってしまったような人で、本当は英文学者か翻訳家 になりたかったらしい。そして、そんな彼の学者肌を感じさせられる作品になっ ている。と、言うのは、その文化的影響を否定するわけじゃないけれど、17世紀 のスペインなんて、暗くて複雑な時代(El Siglo de Oro などと気取って呼ばれ てはいるが、、、。)を好き好んで映画にしようなどと普通の人は思わないだろ うし、特殊な美的感覚を持つ、まじめな研究者の彼だからこそ作れた映画だと思 うからだ。その証拠に、彼も今まで作ったどの映画より自分を監督していると感 じていたそうだ。(笑) まあ、時代が時代なので、あまり、痛快活劇を期待しない方が良い。その上、主 役があの大まじめのビーゴ モルテンセンだ。彼が撮影のために在西していたのは 約一年前だが、毎日、ロケ隊や役者仲間に気を使い、プレゼントをあげて、カデ ィスでは地元のサッカークラブのマフラーを巻き、おかまの専属運転手相手に毎 晩夕食を取るという、ハリウッドスターにしてはかなり品行方正な毎日を送って いたようだ。そして、みんなに、何ていい人なのだろうという印象を残していっ た。 そして、彼のアラトゥリステはというと、あまりに美しすぎる男に仕上がってい る。彼が織り成す数々の完璧な視覚効果は目の保養になる。最初は気になる彼の アルゼンチン訛り(ビーゴは年少時代、9年間、アルゼンチンで過ごした。)のス ペイン語も最後のほうには、現実性がない分、心地よくなってくる。そして、脇 役のわれらがスペイン個性派俳優陣、フアン エチャノベ(ケベド)、ハビエル カ マラ(何と!オリバーレス公爵!) らが地に足のついた演技で一時の息抜きにな っている。ただ、エドゥアルド ノリエガ(グアダルメディーナ公爵)だけが、名 門公爵という肩書きが身に余っている感じだった。 時々、わからなくなってしまう話の筋も、5巻もある原作を一本にまとめたのだか ら仕方がないというところか。そして、物語は、登場人物の精神的成長の気配も 無しに平面に淡々と進んでいく。ビーゴなどは、アラトゥリステの時代に今のア メリカを見、人物にイラク帰りの兵士を重ねていたと、インタビューで語ってい た。私は、ちょっと、”ランボー”の一作目を連想してしまった。(監督が聞いた ら怒るだろうなあ、、。)せめて、戦闘シーンを”トロイヤ”並に派手にしたら いいのにと思ったが、監督は、あの時代の戦いを忠実に表現したつもりらしい。 やはり、面白い映画にするにはちょっと難しい時代である。 この映画は、女優陣もがんばってはいるが、ちょっと存在感に欠ける。アドゥリ アナ ヒルは、その、よく言えば個性的、悪く言えばちょっとブス気味な容姿がこ ういう古典的な作品には合わない。もうちょっと、古風な美人のほうが良かった かも。インディゴの相手役のエレナ アナジャはちょっと無表情すぎ。普段の元気 が無い。演技も説得力に欠ける。ヌードもあるのでちょっと緊張していたか?それ と、ちょっとびっくりなのは異端審問の実権を握る悪僧役の女優。さてこの人は 誰でしょう?私は最後まで気付きませんでした。
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監督:Antonio Hernandez
出演: Sergio Peris-Mencheta, Lluis Homar,Maria Valverde, Paz Vega, Angela Molina, Sergio Muniz, Eloy Azorin, Roberto Alvarez.... |
今年は、まさに、スペイン映画界の当たり年である。映画のできはともかく、お 金をかけた大作品が目白押し、宣伝もとても派手だ。そして、前回の"Alatriste" がTele5製作だったの対し、この"Los Borgia" はAntena3製作、、、。かげには、 スペインの2大テレビ局の競争があった事がわかる。やはり、スペインでも日本 と同じように、一番お金を持っている企業ははテレビ局ということか。まあ、私 達、下々のものにとっては、面白いエンターテイメントにありつけるということ で、どんどん競争してもらいたい。 題名を見ただけでわくわくしている人がいるかと思うが、日本人の大好きな、イ タリア、ローマで悪名をとどろかせたボルジア家の話である。ご存知の通り、彼 らは、スペイン、バレンシアの出身(Borgia とは、スペインの苗字Borjaをイタ リア風に変えたもの。)で、スペイン人は内心誇りに思っているだろうなあと思っ ていたら、やっぱりそうだった。彼らの悪事は、アレクサンドル デュマの小説や ヴィクトル ユーゴの戯曲によって有名になり、ほとんど伝説化している。歴史上 最悪のローマ法王、アレッサンドロ6世、美貌で淫乱なその息子達、、、彼らに ついての説明はほとんど必要ないだろう。 そして、彼らを題材に使った映画が作られたのもこれが初めてではない。190 0年代初期にドイツのリヒャルド オズワルドが、そして1952年にフランスの クリスティアン ジャック、1959年にイタリア人のセルジオ グリエコがそれ ぞれ映画にしている。これらの映画では、伝説どうり、ルクレチアは前代未聞の 淫乱娘、チュ−ザレは残酷な好色男に描かれているらしく、妖しく美しい雰囲気 があったようだ。いつか見てみたい気がする。さて、この2006年版ボルジア 家はどうだろう。現代世界においてチュ−ザレのあまりにも有名な残酷はどれだ け残酷と感じられるだろうか? 超有名で、そのエピソードも知れ渡っている人物 の役というのはとても難しく、私たちの固定観念を壊すほどの新鮮な衝撃が必要 なのだが、残念ながら、この映画には無い。 彼らについての知識がある人などは、、細かいところ、例えば、ルクレチアの髪 の毛が肖像画にあるような、金髪じゃないとか、チュ−ザレは別の場所(スペイ ン、ナバラ県 ビアナ、お墓もある。)で死んだとか、本当は、刺された傷の出血 多量が原因で死んだとか、くだらないことが気になってしまうかもしれない。そ れほど、この映画のストーリーに没頭するのは難しい。セットはすばらしいし、 衣装などは、”Alatriste"以上のものだ。みんな一生懸命働いているのだが、肝 心の役者の演技が前に出て来ないで内に篭もってしまっている。後でとやかく言 われるだろうとわかっていながら、チュ−ザレの死に様を変えたのもそれなりの 理由があるだろうに、その理由が私たちに伝わってこない。 公開の3ヶ月も前から、Amtena3ではこの映画の宣伝を盛んにしていて、Sergio Peris-Mancheta がしょっちゅう出てきて、この映画の見所をしゃべっていたが、その中のひとつ に、”新しいルクレチア ボルジアをこの映画で発見してください。”というのが あった。ルクレチア役は”Titanic”の Kate Winslet 似の Maria Valverdeであ る。私は最初、Paz Vegaがルクレチアを演じるのかと思った。監督が探していた 、ルクレチアのイメージには、とってはちょっと老け過ぎていたのだろうか。彼 女だったら、魅力も十分だし、上手く演じたと思うのだが、、、。Maria Valverde は、なかなか美人ではあるが、妖しい雰囲気どころか、ただのニーニャにしか見 えない。他の俳優と同じく、カリスマに欠けるのだ。 Sergioが言っていた、新しいルクレチアとは、淫乱じゃない、父や兄の欲望を満 たすための道具にされる可哀想なるクレチアということだったらしいが、あまり かわいそうに見えないんだからしょうがない。それに、ルクレチアが通説になっ ているほど悪女では無く、自分の与えられた人生に翻弄された女性だったという のは、別にさほど新しい見解でもない。日本でも30年も前に渋沢龍彦が書いて いる。彼らのしたことでさえ、あの時代では普通に近かったというののが今では 一般的な考えだ。 これは、大変残念なことである。素材としては申し分ないのに、この映画は、何 にも新しいネタを私達に提供してくれない。誰の失敗かなど言える知識は私には 無いけれど、あんなすばらしいセットを作ることができたのだから、もうちょっ と現代劇風な、感情ゲームを繰り広げて欲しかった。監督が、あの、超駄作の”El gran marciano ”の監督だと言うことを思い出さずにいられない。Antena3 も無駄にお金 を使ったものだ。
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