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5月30日(金)

防衛大臣、現時点での辞任は否定

自身が“政治家としてのキャリア最大のピンチ”と認めているトリジョ防衛大臣の進退問題に注目が集まっているが、大臣は昨日、「今、辞任することは簡単だが、私の義務は、すべてのできごとを調査、解明し、調査が終了した時点で責任の所在をはっきりさせることだと思う。」とし、少なくともそれまでの辞任はないと述べた。大臣は墜落したウクライナ機の整備状態は万全だったと改めて強調、チャーター機契約に関する防衛省の姿勢は変わらないとし、引き続きアフガニスタンへのスペイン軍の兵士輸送にはソビエト機アントノフ124とイリュ−ジン76を使用すると述べた。
犠牲者の家族たちからは最大野党PSOE(社労党)へ、防衛大臣からの事態説明を求めるよう要請する手 紙が届けられており、またSepla(スペイン航空会社パイロット組合)は、東ヨーロッパの飛行機の事故率の高さと乗組員の訓練不足を指摘し、イベリア航空とスパンエアーの2500人のパイロットは“我々の軍隊に安全な飛行機がチャーターされるまで”非番のパイロットが無料で平和維持活動に従事しているスペイン軍兵士の輸送を受け持つことを防衛省に申し出ている。

厚生大臣、タバコの値上げと消費の減少の関連を疑問視

“世界ノースモーキングデー”の明日の開催を控え、昨日行われた記者会見で、アナ・パストール厚生大臣はたばこの値上げが消費の減少につながることに疑問を呈した。大臣は「値上げが消費に与えるインパクトの大きさはいまだ十分に証明されていない。逆の結果を示している調査もあり、今後我々はスペインのタバコの値段の調査を行った上で、消費を減らすために何をすればいいかを検討していきたい。」と話したが、彼女の発言が終わるや否や、同席していたWHO(世界保健機構)のハイク・ニコゴシアン氏は「タバコの値上げが消費を減らす最良策であることに疑問の余地はない。10%の値上げが5%の消費減少を招くというデータがすでに出ている。」と反駁した。各国のインフレ率を考慮すると、スペインはEU諸国内で最もタバコの安い国で、1970年代から同じ値段であることになる。記者会見に同席したその他4人の専門家もニコゴシアン氏の意見に賛成しているが、スペイン政府は水曜日に経済省広報官がいかなる増税も行わないという政府の政策に反するため、タバコの増税は現時点ではありえないときっぱり否定したばかり。
スペインでは年間5.5万人がタバコが原因で亡くなっており、また18〜64歳の喫煙率は37.8%、15〜16歳では40.1%という。マドリッドでは今日地下鉄モンクロア、ソル、ヌエボス・ミニステリオス、アベニーダ・デ・アメリカと空港で500キロの飴とガムを用意し、タバコと引き換える“Haz tu vida mas dulce”(あなたの人生をもっと甘く)キャンペーンが行われる。

スペインリーグ、開幕ストの可能性

8月31日の2003/04シーズン開幕まであと3ヶ月となった今、このシーズン開幕に暗雲が立ち込めている。昨日、サッカー・プロリーグの臨時総会が開かれ、テレビ・ラジオ放送権の売上に関し、全員が満足する合意に達しない場合は公式試合の開始を行わないことが決定された。総会には1部リーグの8チーム(マジョルカ、セウタ、ラシング、オサスナ、バジャドリッド、レクレアティボ、ラジョ・バジェカノ、アラベス)と2部リーグの22チーム、弱小30チームによる“G−30”が出席、ムルシアは反対、バジャドリッドが棄権したものの、残り28チームの票により全体の3分の2が賛成したことになり決定は承認された。“G−12”と呼ばれる1部リーグの強豪12チームは総会を欠席している。放送権契約は6月30日で切れるが、すでに来シーズンの放送権契約が済んでいるのはレアル・マドリッド、バルセロナ、アトレティコ・マドリッドだけ。
リーグ会長のペドロ・トマス氏は「リーグ内での分裂は心配していない。問題は、支払能力、競争能力のあるリーグを保証する放送権契約がないことだ。今後、会長として両グループが合意に達するよう話し合いと説得に努めたい。」と話した。


5月29日(木)

航空機事故犠牲者の葬儀行われる

昨日、トルコから航空機墜落事故の犠牲者62人の遺体が到着、マドリッドにあるトレホン・デ・アルドス基地で、国王夫妻、皇太子、首相、防衛、内務、外務大臣も出席のもと合同葬儀が行われた。スペイン国旗の掛けられた62の棺は7列に並べられ、まず政府からの出席者が到着、彼らは遺族から数メートル離れた場所で国王夫妻と皇太子の到着を待ったが、その間遺族へは暖かい眼差しも弔意の言葉も向けられることがなかった。午後6時ごろ国王夫妻と皇太子が到着、居並ぶ遺族を抱擁し、慰めの言葉を掛け始め、トリジョ防衛大臣も同じように抱擁を始めようとしたところ、抑えられていた遺族の怒りが爆発、大臣に対し、激しい非難の言葉が次々と浴びせられた。
今回の葬儀では軍からの遺族に対する配慮にも欠けており、たとえば、棺の並ぶ後方には棺を搬送した3台の最新鋭飛行機がまるで陳列されているかのようにとまっていた。遺族の1人の女性は「死人を運ぶのに使えるのなら、なぜ最初からあの飛行機で私達の家族を生きたまま連れ戻してくれなかったの?」と泣きながら叫んだ。トリジョ防衛大臣の頭にあったのは葬儀を政府、王室メンバーの出席する厳粛なものにすることで、このため遺族はスペイン各地からマドリッドでの昨日の葬儀に出席、今日はそれぞれの出身地で2度目の葬儀を行わなければならず、なぜ所属基地だったサラゴサ、またはブルゴスに直接遺体を送ってくれなかったのかとの声もあがった。
遺族の一部からは「犠牲者に敬意を表して叫ぶのはやめよう」という声もあがったが遺族たちからの怒りの叫びは収まらなかった。国王夫妻が遺族の抱擁を終え、ミサが始められたとき、喪服に身を包んだソフィア王妃が静かに泣きはじめ、政府の代表者たちの冷たい態度とは正反対の遺族への思いやりをみせたことにより、ようやく、遺族たちは静かになった。
葬儀の最後には、犠牲となった空軍兵41人、陸軍兵20人、治安警備隊員1人を国王が叙勲し、1つ1つの棺に功労勲章を掛け、直立不動の姿勢を取っていき、遺族から拍手がわきおこった。主要野党党首も出席した葬儀の最後には、空軍飛行機が空に国家記章を描き、“La muerte no es el final”が演奏された。棺を乗せた62台の霊柩車は今日、埋葬が行われるそれぞれの出身地へむけて出発した。

Telefonica、子会社Terra株公開買い付けを発表

誕生時のブームが去り、インターネット業界各社は、完全独立するための確固とした収入先をいまだに保持できていない。スペインの主要インターネット接続会社であるTerra(テラ)も同様であった。テラの株式が上場してから3年半も経過しないうちに、筆頭株主のテレフォニカは子会社テラ救済のため、株式100%獲得に向け、1株5.25ユーロで公開買い付けを発表した。テラ株が上場したときの株価は11.81ユーロで、この5.25ユーロという価格はその半分にも満たないが、この6ヶ月平均株価よりは15%高い価格となっている。昨日は、この公開買い付けのニュースでテラ株が1株5.45ユーロまで上がっている。これまでにテラ株が記録した最高値は2000年2月20日の139.75ユーロだった。
テレフォニカのセサル・アリエルタ社長は、フアン・ビジャロンガ社長時代に行われた拡張路線を変更し、元々のテレフォニカの業務に集中する路線を取っており、すでに38.5%を所有するテラ株を100%保有することによって、上場をとりやめる意向。これにより同社の支出が削減でき、2003−2006年の間に2.69億ユーロの営業純利益が見込まれるという。


5月28日(水)

墜落事故スペイン人犠牲者の遺体、帰国へ

月曜日の飛行機墜落事故で命を落とした62人の遺体を乗せた軍用機3機が今朝、黒海ほとりにあるトルコのトラブゾンを出発した。62人の合同葬儀が今日の午後、マドリッドのトレホン・デ・アルドス基地で行われ、国王夫妻、皇太子、アスナル首相、フェデリコ-トリジョ防衛大臣、アセベス内務大臣等民間、軍部から多数の出席が予定されている。
墜落した飛行機のブラックボックス2個はすでに火曜日、調査チームによって墜落現場近くで回収されている。今後ブラックボックスの調査を進めることによって、なぜ着陸の準備を進めていた飛行機が濃い霧の中、突然進路を変更し、山に激突したのかの原因が究明されることが期待されている。

PSE、PPとの包括的合意は拒否

PSE(バスク社会党)が最多得票政党であるものの、過半数を獲得していない市町村行政に関し、PP(国民党)はそのすべての市町村を対象としてPSEとの連立合意に向けての話し合いを提案したものの、PSEはこれを却下、パチ・ロペス代表は、PSEは各市町村ごとに連立合意の話し合いをする構えであること、またPNV−EA(バスク民族党−バスク連盟)との連立に関しては、彼らがバスク自治領化案の支持をやめない限りありえないことを発表した。ロペス代表は、各市町村ごとに連立合意の話し合いをした上で、いくつかの市町村でPSEが最多得票政党でありながらも過半数を持たない議会になることもやむをえないとしている。
一方PPバスク支部代表のハイメ・マジョール・オレハ氏は、PSEから、ビトリア市長にPPのアルフォンソ・アロンソ氏を推すかわりに現在はPPのラモン・ラバネラ氏が議長を務めているアラバ県議会をPSEのハビエル・ロホ氏に譲るよう交渉を持ちかけられたことを明らかにした上で、PPが求めているのはまず包括的な合意で、各市町村についての個々の交渉はその後であるとし、PSEからの要求は受け入れられないとした。PSEの最終的決定は、木曜日に行われるPSE委員会を経た後、6月13日のPSOE連邦委員会で下される見込み。

ルーマニアのバス会社に乗客リスト提出を義務付け

スペイン内務省は、ルーマニア政府との間で密入国取締りに関するいくつかの条項で協力協定合意に達したと昨日発表した。この中には、『ルーマニアからスペインへのバス運行を行っている会社は、スペイン国境到着前に、すべての乗客の氏名と身分証明番号を報告しなければならない』という内容が含まれている。スペインとルーマニアを定期運行しているバス会社は現在およそ60社あり、2002年からすでに何らかの違反により91の制裁が下されている。シェンゲン協約により、例外的状況をのぞいて国境に常設検問所を置くことができないため、スペインはこれまで移動検問所を北部国境に置いて密入国の監視にあたっているが、2002年から今年の5月12日までの間にすでに28,829人のルーマニア人が強制送還させられている。(現在スペインに合法的に居住しているルーマニア人は33,705人)。この合意ではほかに、密入国の手引きをしているマフィア取締りのためのスペインとルーマニアの警察で共同作戦を取ることも決められた。
さらに、この協力協定では新しい措置として、"自発的帰国援助”プランが盛り込まれたが、これは、スペインにやってきたものの、仕事がみつからない、または生活に困っているが祖国に帰る資金のないルーマニア人に対し、帰国の片道チケットと帰国までの住居と生活費を援助するというもの。


5月27日(火)

防衛大臣、軍用機墜落現場入り

昨日午前3時半頃(現地時間)、トルコのトラブゾン基地近郊で飛行機が墜落、4ヶ月の平和維持活動を終え、スペインのサラゴサ空軍基地に向かうために乗っていたスペイン人兵士62人とウクライナ人乗組員12人全員が死亡した事故により、トリジョ−フィゲロア防衛大臣は昨日のうちに軍医グループとともに現場入りし、身元確認と遺体のスペイン送還を急がせているが、遺体がスペインに到着するのは明日以降になる模様。
犠牲となった62人のうち21人は空軍所属、40人が陸軍所属で1人は治安警備隊員だった。燃料補給のために霧の立ち込める悪天候の中2度着陸を試みた後、飛行機は地面に激突、現場付近では50キロの範囲にわたって機体の破片と遺体が散らばっているという。
この飛行機の所有会社はレバノン人が社長を務めるウクラニアの会社で、整備状態が悪く、乗組員も十分な訓練を積んでいなかった疑いがもたれているが、トリジョ−フィゲロア防衛大臣はこの飛行機の契約はNATOの正式機関であるNAMSAを通して行われたもので、オランダ、ドイツも使用しているとし、自身への非難の回避に努めている。
スペイン軍が海外平和維持活動に参加し始めて15年になるが、これまで傷病兵20人ほどが主に旧ユーゴスラビアでの任務で出ているだけで、アフガニスタンに派遣された4部隊でも死者は出ていなかった。世界各国で今回の事故への追悼の意が表されており、ブリュッセルのNATO本部ではスペイン国旗の半旗が掲げられているほか、防衛省はスペイン軍隊週間にあたっている今週予定されていたほとんどすべての行事を中止した。

シマンカス氏、IUとの連立政権擁立交渉を開始

マドリッド州知事PP候補のエスペランサ・アギレ女史が絶対過半数を獲得するためには3万票以上の得票がさらに必要で、現在開封終了が待たれている郵送による投票数が10,500票前後と見られているため、PSOE(社労党)所属ラファエル・シマンカス氏はIU(統一左翼)との連立政権擁立に向けて、IU所属候補ファウスト・フェルナンデス氏との交渉を開始した。
シマンカス氏がマドリッド州知事となれば、PSOEは今回の地方選における最多得票政党だけでなく、政権を握る6州(アンダルシア、カスティジャ・ラ・マンチャ、エクストレマドゥラ、アストゥリアス、アラゴン、マドリッド)の合計人口も1800万人と、8州(カンタブリア、ラ・リオハ、バレンシア、ムルシア、カスティジャ・イ・レオン、ガリシア、バレアレス、ナバラ)で政権を握るPP(合計人口1300万人)を超える最多の政党となる。


5月26日(月)

トルコで軍用機墜落、スペイン人兵62人が死亡

スペイン陸軍が発表したところによると、トルコで軍用機が墜落、スペイン兵62人を含む乗員乗客74人全員の死亡が濃厚という。乗っていたのはカストリジョ・デル・バル陸軍基地(ブルゴス県)とサラゴサ空軍基地所属の軍人で、アフガニスタンで4ヶ月の任務を終え、スペインに戻る途中だった。
事故が起きたのはスペイン現地時間午前3時30分頃。トルコの黒海沿岸の町トラブゾンにある空港に機体調整のため着陸しようとしていたが、霧のため着陸が難航、三度目の試みを行っているときに墜落した模様で、事故現場周辺には機体の破片と遺体も四方に飛び散っているという。警察はこれまでに25人の遺体を回収したと発表している。

地方選挙の結果

昨日スペインで地方選挙が行われた。投票率は67.38%で、4年前の総選挙と比べて3.39%多かった。どこの政党も大勝することなく、勢力分布図にも大きな変化は見られなかったが、以下の結果が出ている。

PSOE、全体得票数でPPを上回る
1995年の地方選挙以来で最大野党PSOEが得票率で与党PP(国民党)を上回った。しかし、両党の得票数は開票率99.9%の時点でそれぞれ7,969,180票、7,767,391票とわずか20万票ほどの差で、得票率は34.72%、33.84%と拮抗した数字。

各自治州政権の様子
ジャウメ・マタス元環境大臣を知事候補に立てPPが取り戻しを図っていたバレアレス州政府はフォルメンテーラ連合との連立によりPPが政権奪回。アラゴン州政府はPSOEが議席を4増やしたのに対し、PPは6議席を失ったが、政権を維持するためにPSOEはChunta Aragonesista(アラゴン主義連合)または PAR(アラゴン党)と連立を組まねばならない。
ガリシア(PP政権)、アンダルシア(PSOE政権)、カタルニャ(CiU−カタルニャ連合政権)、パイス・バスコ(PNV−バスク民族党とEA−バスク連盟、IU−統一左翼の三党連立政権)州では州政府選挙は行われていないが、昨日の選挙の結果、PP政権を持つのは7州、PSOE政権6州、CC(カナリアス同盟)、CiU、PNV−EA−IU政権がそれぞれ1州となっており、UPN(ナバラ民族同盟)が過半数を獲得できなかったナバラ州はPSOEがIU、PNV-EA、CDN(ナバラ民主主義団体)と手を組み多数党連立政権誕生の可能性もあり、事態は混沌としている。

PP候補、マドリッド市長選大勝
アスナル首相の後継者とも評される元マドリッド州知事のアルベルト・ルイス・ガジャルドン氏(PP)が対立候補のトリニダ・ヒメネス女史(PSOE)を破って過半数(得票率51.3%)当選。これによりアスナル首相の妻アナ・ボテジャ女史が社会保証担当議員として政界入りする。しかし、元文部大臣で元上院議長でもあるエスペランサ・アギレ女史を候補に立てたマドリッド州知事選では苦戦。過半数獲得はならず(46.65%)、IUとの話し合い次第で、PSOE(40.03%)とIU(7.67%)の連立政権がラファエル・シマンカス氏を知事に立てる可能性がある。

その他の市長選の結果
政府の推進するPHN(国家水路計画)への反対が投票に反映された形となったサラゴサ市で、PP所属現職ホセ・アタレス市長が敗北。しかし、1999年の選挙で敗北したグラナダ市、ブルゴス市でPP市長が復活、PPはカディス、マラガ、バレンシア、ムルシア、マドリッドで過半数を維持した。一方のPSOEはグアダラハラとビゴを奪回、セビジャ、バルセロナ、ア・コルニャを維持したが、バルセロナ市での得票数は落ちており、政権維持にはIC(カタルニャ主導党)、ERC(カタルニャ左翼連合)との連立が必要。市長を維持するジロナ、ジェイダでもPSOEは得票数を落としている。
プレステージ事故の影響は、ガリシア州の県都で唯一市長を擁していたオウレンセをPPが維持したものの、ルーゴとサンティアゴ・デ・コンポステラでは第一政党の座から落ちた。

バタスナ党不在の影響
投票率が70%近かったバスク州では、バタスナ党が違法団体とされ選挙に参加しなかったことにより、票の一部はPNVに流れたと見られる。バスク州自治領化案を州議会に9月に持ち込もうとしているイバレチェ知事所属のPNVはすでに2001年の選挙でバスク州における史上最多得票数を獲得していたが、今回の選挙ではEAとの連立で50万票近い票を獲得、民主民族主義政党としては1979年以来最良の結果となった。しかしながら、州都ビトリアのあるアラバ県では苦選、州議会では最強政治勢力であるものの、PPとPSE(バスク社会党)の連立による過半数に政権をとられており、またビトリア市選挙でもわずか1400票差でPPに敗れている。
バタスナ党不在により恩恵を受けたのはPSE(バスク社会党)もまた然りで、バスク州における第2政党に返り咲いた、一方、PPの得票は伸び悩み、1999年の選挙とほぼ同様の得票結果となっている。
ビルバオとベルガラ(ギプスコア県)でAuBのチラシを配布した3人が逮捕された以外は、投票箱の破壊、PP、PSE候補者への嫌がらせも起こらなかった昨日の投票日、バタスナ党支持者たちはかねてから予定していた通り無効票を投票、この票数は12万票以上となった。

週末のスポーツの結果

バイク:フランスGPで125CCでダニ・ペドロサ選手、250CCでトニ・エリアス選手、モトGPでセテ・ジベルナウ選手と、3クラス全てでスペイン人が優勝という快挙が成し遂げられた。
ゴルフ:スペインのイグナシオ・ガリド選手がボルボPGA選手権で南アフリカのトレバー・イメルマン選手をプレイオフで下して優勝、賞金583,330ユーロを手にした。マドリッド出身のガリド選手のタイトル獲得は1997年ドイツ・オープン以来2度目。
自転車:イタリアで行われているジロ2003は昨日、第15ステージタイムトライアルが行われアイトール・ゴンサレス選手が優勝、総合成績では15位につけている。
テニス:フェリシアーノ・ロペス選手が全仏オープン1回戦でアルゼンチンのマリアノ・サバレタ選手に敗北。


5月23日(金)

PNV、最高裁命令を遂行しない構え

EA(バスク連盟)、IU(統一左翼)と連合政権を組みバスク州政府を構成しているPNV(バスク民族党)は、最高裁によるバタスナ党の後継者SA(愛国社会主義同盟)の即時解散命令を“受け入れられない”とコメント、党首のハビエル・アルサジュス氏は最高裁の決定は権力の濫用で、議会の不可侵性を傷つけるものであるとし、PNVはSAの解散に反対すると発表、司法機関に挑戦的な態度を示した上、バスク州議会の議長を務めるフアン・マリア・アトゥチャ氏(PNV所属)は最高裁命令遂行の前に辞任すると発表した。
バスク州政府の三党は、最高裁命令遂行のためには州議会法の改正が必要であるとしており、州議会で無記名投票による審議が行われる予定。改正が承認されるためには、75議員中45議員の票(3分の2)の賛成票が必要で、すでにPNVは反対票を投じると表明しているため、この審議では改正が承認されない見通し。一方、PP(国民党)とPSE(バスク社会主義党)は、ただちに最高裁命令を遂行するよう要求している。

地方選挙投票日まで2日−主要三政党の動き

PP(国民党):アスナル首相は昨日セビジャを訪問、6000人の聴衆を前にPSOE(社労党)のサパテロ党首、IU(統一左翼)のジャマサレス代表とも将来へのプロジェクトを持たないと非難。「何の計画性も持たない彼らはこの先何もしないだろうし、我々は彼らに勝つだろう。」と自党の勝利への確信を露にした。首相はPPが政権を握ってからスペインが発展し、この7年間で400万人分の雇用を創出したことを改めて強調、PSOEは政権を握っていたときに「社会保険を破産寸前に持っていった」政党で、諸野党は現状を悪化させるだけであるとし、特に女性、若者、年金受給者たちに向け、このことを投票するときによく考えるようにと語りかけた。
首相はまたテロリズムと戦い続けることの重要性を説き、テロの犠牲者たち、特にセビジャでETAによるテロの犠牲となった3人について言及し、テロの犠牲者たちを忘れないことは道徳的、政治的にテロと戦い続けるエネルギーとなると述べた。
移民問題に関しては、首相は密入国の手引きをするマフィアを厳しく取り締まることを約束、首相のこの言葉にPP候補者としてヒネスから立候補するチャドルで頭を被った候補者が叫び声をあげて応えた。

PSOE(社労党):最大野党であるPSOEのサパテロ書記長はバルセロナを訪問。2万人の聴衆に対し、前日アスナル首相が発表した住宅の値段を下げる、大家族、身障者の優遇といったPPの提案は出すのが遅すぎる上、実行の信憑性にかける”と定義、このプランはPPへの得票を増やすための役には立たないと酷評した。カタルニャ人の聴衆を前にしたサパテロ書記長は自党を「我々は色々な旗とこれからも共存していく」とし、様々な民族が共存する“多様性のスペイン”を目指すことを強調、すべての自治州が等しく社会保障を受けられる国を社会主義政党として作る所存であると話した。

IU(統一左翼):IUはこれまでも若い世代と反フランコ闘争世代が得票の大部分を担ってきているが、ジャマサレス代表は、今回の選挙で重要な決め手となるのはこれらの世代であるとの見方を示している。反戦デモを支えたこれらの世代に対し代表は「市中ではすでにPPに対しての勝利を収めている彼らが、投票でもPPを負かすときがきた」と訪問先のマラガで1000人の聴衆に語りかけた。アスナル首相の発表した住居購入促進プランを耳にしたジャマサレス氏は「この7年間投機家たちの利益のために動くだけだった政府が今さら“偽りの宣伝と公的詐欺”である予算の後ろ盾もないプランを発表するとは、信憑性に欠けるだけでなく恥知らずもいいところだ」と政府を非難し、聴衆から拍手が沸き起こる中「政府が立てた唯一の公的住宅はフェリペ王子の住居だけだ」と締めくくった。

選挙運動最終日の今日、PPはピスタレグレ闘牛場、PSOEはパルケ・フアン・カルロスT公会堂、IUはパルケ・デ・ラス・ビスティジャスとそれぞれマドリッドで集会を行う予定。

アルジェリアの地震により、メノルカ島の港に被害

水曜日夜、アルジェリアで起きた地震により地中海が高波に襲われ、メノルカ島で70艘の船が沈没、80艘が深刻な被害を受けていることが昨日明らかにされた。被害が集中しているのは、マオン、エス・カステル、カラ・ガルデナの港で、このほか桟橋も被害を受けている上、行方不明になっている小型船がさらにあると見られているが、持ち主の多くが島外に居住しているため正確な被害状況には時間がかかる見込み。
マジョルカ島のパルマ・デ・マジョルカに設置されているスペイン海洋学センターのデータによると、水曜日の午後7時36分、アルジェリアの地震による地中海の海面に最初の変化が見られたという。地震の衝撃により波の高さが普段の約5倍の1メートルになる状態が5時間ほど続いたといい、メノルカ島では沈没した船からの燃料漏出による深刻な環境被害が心配されている。

投票日2日前、PP候補者夫に殺害される

テルエル県プエブラ・デ・イハールの自宅で今日の午前2時、パトリシア・マウレル・コンテさん(29歳)が遺体で見つかった。犯人は夫ハビエル・サルバドール・カルボ容疑者(34歳)で、ライフルで妻を撃った後警察に自首、その場で逮捕されたという。原因を痴情のもつれとみられる。彼らの間には子供が3人おり、いずれも10歳未満。
コンテさんは人口1000人少しのこの村で、投票日をあさってに控えた地方選にPPから立候補していた。PP所属アラゴン州知事候補者グスタボ・アルカルデ氏は急遽記者会見を開き、選挙運動最終日の今日予定されている行事の中でお祭り色の強いものは犠牲者への弔意を表して中止することを発表、またすべての暴力に対する厳しい非難を表明した。


5月22日(木)

Sozialistas Abertzaleakは解散を−最高裁満場一致で判決

最高裁判所の16判事は昨日、満場一致でバスク州議会におけるSozialistas Abertzaleak(SA−愛国社会主義同盟−元バタスナ党)の即時解散命令を下すことを決定した。最高裁は「バタスナ党とSAの構成員は全く同じである」とし、バタスナ党からの政党と議員グル−プは異なるものであるとする異議申し立てを却下した。
バスク州議会におけるバタスナ党議員グループの解散は一度、バスク州政府を構成するPNV(バスク民族党)、EA(バスク連盟)、IU(統一左翼)の3党が拒否しているが、最高裁判所からの命を受けた今、バスク州政府はSAの即時解散には州議会法の改正が必要だとしており、最高裁判所に改正が行われるまでの判決遂行命令延期要請の可能性を探っている。州政府はバスク州議会会議を招集し、改正法案を審議にかける予定。最高裁判所は「いかなるときも地方自治体の権限は国家の権限を上回ることはなく、憲法118条に明記されているようにあらゆる裁判所の判決は遂行することが義務づけられている」とし、バスク州政府に判決の即時遂行を求めているのに対し、バスク州政府からは「議会法の改正を強要する今回の判決は地方自治権を侵害するものである」「最高裁はまたしてもPP(国民党)のしもべとして振舞っている。選挙運動締め切り48時間前、アスナル首相のビトリア訪問6時間前に判決が出されるよう最高裁が判決を急いだのは明白だ。」などといった批判が噴出している。

北朝鮮大使館、マドリッド開設へ

外交関係者筋の話によると、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が近いうちに大使館をマドリッド開設することに関し、すでに“口頭で”許可が与えられているという。公式発表はまだだが、スペイン政府の決定には今後変更はないという。これでスペインは、ポーランド、ドイツ、スウェーデン、イタリア、イギリスに次いで北朝鮮大使館のあるヨーロッパで6番目の国となる。しかし、これら五カ国がピョンヤンに自国の大使館を設置しているのと異なり、スペイン政府はピョンヤンへのスペイン大使館開設の予定を今のところ持っていない。
外交関係が樹立した2001年2月7日以来、スペインの北朝鮮問題は北京のスペイン大使館で処理されており、北朝鮮政府からの大使館開設の申請は、北朝鮮がロンドンに大使館を設置した後の4月、北京のスペイン大使館を通じて行われたが、このときはアメリカ、韓国、中国の三国会談が行われる時期であったため、三国間の関係に影響を与えることを懸念して、北朝鮮への返答は見遅れられた。その後、先週の火曜日ローマの北朝鮮大使館から要請があり、3人のスペイン政府高官が北朝鮮を訪問している。ある外交関係者は北朝鮮により在マドリッド大使館開設の要請は、「スペインが国際社会において担う役割が日ごとに重要になっている、スペインとアメリカの結びつきが強くなっていっていると見なされているしるしである。」と話している。

スペイン人2人目のエベレスト2度登頂成功

今日の午前8時20分(スペイン時間)、スペイン人登山家のセルジ・ミンゴテさんが世界最高峰エベレスト(8,848m)の2度目の登頂に成功し、2人目のスペイン人2度登頂達成者となった。
ミンゴテさんがライブ放送でTV3に語ったところによると、最良とは言えない気象条件の中で、7,950m地点にある第四キャンプで数時間休息した後、ミンゴテさんは酸素ボンベを使いながらシェルパと午後7時から登頂を開始、今回の登頂成功となったという。
32歳のミンゴテさんはバルセロナ出身で、8,000m以上の登山成功はこれで4度目。最初に成功したのは1998年でネパールと中国にまたがるチョー・オユー山(8,201m)だった。彼のエベレスト初登頂成功は2001年春で北壁からの挑戦によるものだった。1980年にマルティン・サバレタさんがスペイン人として初の登頂に成功して以来エベレスト登頂に成功しているスペイン人は53人で、そのうち2度の登頂に成功しているのは、フアニート・オリサバルさんとミンゴテさんだけ。

アトレティコのヒル会長辞任

「文句を言われるのにはもううんざりだ。私は辞任する。もし私がチームの問題だとしたら、賢明な投資家諸君よ、今が投資のチャンスだ。」16年間の君臨を経て、アトレティコ・マドリッドのヘスス・ヒル会長が昨日辞任を表明した。息子のミゲル・アンヘル・ヒル・マルティン氏と副会長のエンリケ・セレソ氏は残留。ヒル会長は、現在は自身の政党“El Gil"選挙運動のため、マルベージャに滞在中で、地方選挙投票日翌日の26日月曜日、マドリッドに上京し、正式に辞任する。


5月21日(水)

投票所への“No a la Guerra”ポスター掲示禁止

バレンシア支部からの諮問を受けたJEC(中央選挙管理委員会)は、満場一致で、“No a la Guerra”が間接的に政治的メッセージを含んでいるとし、地方選挙投票日の来週の日曜日にこのスローガンを書いたポスター、プラカードを投票所とその周辺に設置することを禁止する命令を下した。また選挙に立ち会ういかなる政党の代表者もこのメッセージの書かれたシールを衣服につけることができなくなった。
この決定は諸野党から猛烈な批判を浴びており、PSOE(社労党)はJECに対し、この決定は表現の自由を制限するものだと書簡を送り、IUもこのメッセージは特定政党への投票を求めてはいないと主張しているほか、IU/EB(Izquierda Unida Ezker Batua de Navarra−ナバラ統一左翼)のハビエル・マドラソ氏は、この政党の代表者たちが選挙当日バスク語で書かれた“No a la Guerra”のシールをつけることをすでに表明している。一方、PPとCiU(カタルニャ連合)はこの決定に合意している。

コカイン250キロを押収

月曜日の深夜、アメリカ船籍のヨットをGEO(特別作戦グループ)がヘリコプターを使ってがアストゥリアス州リバデセジャ、ジャネス村沖で急襲、船からほぼ純粋なコカインが250キロ(推定価格およそ1200万ユーロ)押収された。中央管区裁判所の命により行われたこの作戦では様々な国籍の14人が逮捕されたが、彼らはスペイン警察が昨年8月から監視下においていたベネズエラを拠点とする麻薬密売組織に属しているものと見られる。警察関係者の話では、このヨットはリバデセジャとジャネス村の間で着岸し、麻薬の荷下ろしをしようとしていたところで、麻薬はアストゥリアス州とカンタブリア州でさばかれる予定だったと見られている。ほぼ同時にアストゥリアス州とカンタブリア州、マドリッド州で行われた別の作戦で、これ以外にも同じ組織に属していると見られる12人(スペイン人4人、コロンビア人6人、ポルトガル人1人、ベネズエラ人1人)が逮捕された。

混乱のセビジャ

今夜行われるUEFAカップ決勝戦を控え、会場となるセビジャにはオポルト、セルティック両チームのファンが詰め掛け、セビジャは混乱状態となっている。ここ数日暑い日が続いているセビジャのグアダルキビール川で泳いだオポルトファンの17歳の少年が溺死したほか、昨日午後の時点ではセビジャ警察留置所にスコットランド人1人が仲間を刃物で刺した罪で拘留されており、またサンチェス・ピスフアン駅近くの宿泊していたホテルの部屋をめちゃくちゃにしたとして逮捕されたスコットランド人は昨日釈放されている。
すでに6万人近いサッカーファンがスコットランドから到着しており、これにより、ビールの消費量が急増、あるアイリッシュ・バーでは一日のビールの売上が5000リットルを記録したという。警察は国家警察官1000人、治安警備隊員300人を動員して、市の中心の両端に位置する両チームファンが多く宿泊するホテル近くの警備にあたっているが、ビールに誘われたスコットランド人たちが多く出没しているのは、飲み明かしている町の中心地。カテドラル周辺は“小スコットランド”と化している。
オポルトファンは3万人程度がやってくると見られているが、大半は試合当日の今日ポルトガルから到着するため、セルティックファンに比べるとセビジャに及ぼしている影響は限りなく小さいものとなっている。今までのところ、両チームファンによる乱闘は報告されていない。試合は今日の午後8時45分から2チャンネルで放送される。


5月20日(火)

首相、外国人法改正を示唆

昨日、ホセ・マリア・アスナル首相は金曜日の閣僚会議で外国人法改正案が承認される見通しであることを発表した。今回の改正の目的は最高裁の決定により取り消された外国人改正法案11条項を合法化すること。不法滞在者の監視を厳しくし、国外退去を容易に行えるよう改正する一方で、スペインで合法的に働く許可を発行するための手続きは簡略化する方針。自国で労働ビザを取得してスペインに入国する外国人は、スペインでの滞在許可の申請が不要となる。
PP(国民党)政権はこの3年の間に3人の異なった内務大臣のもと、3度の外国人法改正を行っているが、常に改正の目的はスペインでの移民の滞在合法化を難しくし、密入国の幇助への刑罰を厳しくすることで、特に飛行機を利用した密入国の監視の強化に力が入れられてきた。今回の改正で、政府は呼び寄せ第二親等への滞在許可を廃止する意向で、これによって、例えばスペインに合法的に居住している外国人と結婚した娘を持つ母親にこれまでは与えられていた滞在許可が今後は発行されなくなる。また、最高裁が違法と判断した、ボートで密入国した移民を40日間収容所に拘留することも、この改正で合法とする意向。

DNA鑑定により市民戦争行方不明者の身元確認

2000年10月28日にレオン県プリアランサ・デル・ビエルソ村の側溝で見つかった遺体の身元確認を行っていたグラナダ大学は、昨日DNA鑑定により、これがエミリオ・シルバ・ファバさんのものであることが確定したことを発表した。シルバ・ファバさんは、この3年間で100体以上の市民戦争中の行方不明者の遺体を掘り起こしているARMH(歴史的記憶を取り戻すための考古学者およびボランティア協会)創設者の祖父で、死亡時は44歳、マヌエル・アサニャ氏率いる左翼共和党員だった。
複雑で費用もかかるDNA鑑定は、グラナダ大学のホセ・アントニオ・ロレンテ教授の協力により実現した。ミトコンドリアがDNA情報を伝達するのは母方の血統のみによるため、アルゼンチンから親戚の女性が訪西し、遺骨の形や、歯が1本なかったことからすでに家族はこの遺体がエミリオ・シルバさんのものであると確信していたものの、この鑑定法によりシルバさんの身元は揺るぎないものとなった。妻のモデスタ・サンティンさんは5年前に亡くなっているが子供6人は全員健在で、父親のシルバさんを母親と同じ墓地に埋葬するという。ARMH創立者で新聞記者でもある孫のエミリオ・シルバさんは「我々家族としての務めが終わっただけで、同様の手続きを待っている家族のためにこれからも作業は続ける」と語った。
ARMHはこれまでに40ヶ所で捜索を行い、106体の遺体を掘り起こしているが、6ヶ月前に国会で決定されたはずの行政からの援助は無く、資金は行方不明者を持つ家族でまかなわれているという。市民戦争中に銃殺され、埋められたと見られる共和党員の捜索を担当する行政機関もなく、遺体の発掘は当該市町村長の意思に任されている状態をシルバさんは嘆く。スペイン各地にはいまだに市民戦争中行方不明者3万人ほどの遺体が埋まったままだと推定されている。

サッカー選手組合、チームの給料未払いを糾弾

昨日、サッカー選手組合(AFE)はリーグが今季だけでも選手に対し、去年の2倍以上の4500万ユーロ以上の未払い給与があることを明らかにした。AFEによると、1部、2部リーグの80%が選手に対し未払い給与を抱えているという。
リーグ全体の負債額は16.25億ユーロとなっており、組合は支払い期限を7月31日とした上で、現在交渉中の来シーズンのテレビ放映権契約を未払い給与支払い保証に充てるよう要求、要求が通らない場合はストライキも計画しているという。


5月19日(月)

モロッコのテロ、スペイン人3人目の犠牲者の身元確認

ナバラ出身のトラック運転手、ドミンゴ・マテオスさんの身元が昨日確認され、これで金曜の夜に起こったカサブランカでの連続自爆テロによるスペイン人の犠牲者は3人となった。スペイン人負傷者のうち、ジョアン・アリエさんはバルセロナに搬送されたが、重体。すでに身元の判明していた2人の犠牲者、タラゴナ出身の企業家マヌエル・アビアックさんとアルメリア出身のフランシスコ・アバッドさんの昨日の葬儀ミサにはカサブランカに住むスペイン人およそ2000人から150人ほどの参列があった。
昨日モロッコのモハメッド・ブズバア法務大臣はこのテロの首謀者をアル・カエダに近いモロッコの組織ラ・ビア・フスタ(正義の道)であると発表している。またムスタファ・サヘル内務大臣は、自爆した犯人と見られる容疑者14人のうち1人は逮捕、残り13人の遺体のうちの6人の身元確認が終了したことを発表、容疑者すべてが20歳前後のモロッコ人であることを明らかにしている。

強制送還を避けるため漂白剤を飲んだ密入国者、重傷

先週の土曜日、カナリアス諸島のランサローテ島の空港でメリジャ行きの強制送還の飛行機を待っていたモロッコ人の30歳女性がトイレにあった漂白剤1瓶を飲んで病院に運ばれ、重傷。強制送還されることに絶望して自殺を図ったものと見られている。彼女は現在も入院中だが回復に向かっているという。この事件により、強制送還の飛行機は延期となり、彼女の2人の息子を含む17人のモロッコ人は警察に拘留されている。

カード偽造の39人刑務所入り

バルセロナとレウス(タラゴナ県)で窃盗とカード偽造により先週逮捕されたルーマニア人49人のうち39人が刑務所入り、のこり10人のうち7人はただちに本国に強制送還された。彼らは偽造したクレジットカードをスペインとルーマニアの闇市場で売る組織に属していた。逮捕者の大半は前科があったが、武装集団ではなかった。バルセロナで5ヶ所、レウスで5ヶ所、その他地域にあった10ヶ所とあわせて15ヶ所のアジトが見つかっており、ここから何百枚もの偽造クレジットカード、偽造パスポートなどが発見されており、偽造したカードを売るほか闇市場で、偽造カードで買い物した商品も売っていた。

週末のスポーツの結果

F−1:世界選手権第6戦がオーストリアで行われたが、スペインのフェルナンド・アロンソ選手(ルノー・チーム)はエンジンの故障により47周目でリタイア。リタイアした時点では8番目を走っていた。優勝したのはミハエル・シューマッハ−選手(フェラーリ・チーム)。
陸上:ロシアで行われたヨーロッパ・カップでスペインのパキジョ・フェルナンデス選手が男子20キロ競歩で優勝。女子20キロ競歩ではマリア・バスコ選手がスペイン新記録を出して銅メダルを獲得した。
テニス:男子世界選手権でアメリカが2−1でスペインを下した。スペインはシングルスでカルロス・モヤ選手がジェームス・ブレイク選手を破ったものの、アレックス・コレチャ選手がトッド・マーティン選手に敗れた上、ダブルスでもアメリカが勝ったため、スペインはこの後オーストラリアとの敗者復活戦に臨むこととなった。
柔道:ドイツのデュッセルドルフで行われたヨーロッパ選手権で、女子100キロ超級でアイタミ・ルアノ選手、78キロ級でラケル・プリエト選手が銀メダルを獲得。前日までのメダル(金2、銀1)と合わせてスペインチームの獲得メダル数は5つとなり、メダル獲得数ではロシア(6)についで2位となった。


5月16日(金)

最高検察庁長官カルデナル氏、バスク自治州政府に対し、AuBが呼びかけるストの阻止を要請

今日朝、最高検察庁長官ヘスス・カルデナル氏はバスク自治州政府の内務局長ハビエル・バルサ氏に書簡を送り、 「バスク自治州政府に属する司法命令遂行義務を遂行し、明日サン・セバスティアンで左翼民族主義政治団体AuBが 召集しているストを阻止する様」要請した。カルデナル長官は書簡の中で「最高裁判所そしてその後憲法裁判所が、 AuBをはじめとする左翼民族主義政党の候補を違法・無効とする判決を下したのは、それら政党が実質的には 旧バタスナ党の継続であり、バタスナ党はテロ集団ETAの異名胴体であると判断したからである。 そしてもしこのストが強行された場合、またストで何らかの事故が生じた場合は、スト決行という行為を肯定したか あるいは阻止する努力をしなかったかという過程に関係無く、その阻止を遂行する責務の属する公的機関である バスク自治州政府がその司法命令遂行義務を怠ったと見なされ、国家検察庁はバスク政府に対して法的措置を 取る事になるであろう」と述べている。

政府(民衆党)、選挙戦真っ只中で「大家族保護法案」を提出!

今日で地方選挙の選挙運動開始から1週間、まさに中盤を迎えている。そんな中今日金曜日首相官邸で行われた閣僚会議で 政府は「大家族保護法案」を国会提出する事を決定した。この新法案の内容は早速今日午後マドリッドのカラバンチェル地区 (マドリッド市内で相対的に所得水準が低く失業率の高い地区)で行われたアスナル首相の選挙演説の中で華々しく公表された。 新法案によって新たに恩恵を受けるのは:子供が3人以上の家族、子供が3人未満でも身体的又は精神的障害を持った子供の いる家族、三つ子や四つ子のいる家族、又同じ父母の子でない子供が3人以上(再婚者の夫と妻の連れ子が合計3名以上)の家族。 この改正によって「大家族」の範疇に入る家庭の数は66,000から128,000に増え、現在の2倍近い家族が利益を得られる様に なるとアスナル首相は演説した。今後この法案は国会下院で審議される事になるが、この法案が可決された場合、 「大家族保護法」の恩恵は「合法的にスペインに居住する外国人の家族」にもスペイン人と同じ様に適用される事になる。

バルセロナとタラゴナで空き巣専門のプロ泥棒集団49名が逮捕される

スペイン国家警察とモッソス・デス・クアドゥラ(カタルーニャ自治州警察)が協力して展開した作戦で、バルセロナ県と タラゴナ県を中心に空き巣を専門に行っている犯罪組織に属するとみられる泥棒49名が逮捕された。 SERラジオに拠ると、逮捕者数はさらに増えて60名に上るとのこと。逮捕者のほとんどはルーマニア国籍を持つ。 同組織はまた、クレジットカードの偽造も行っており、偽造カードで多くの商品を買いまくっていた。

BBVA銀行、今年度は住宅ローンが給料の50%を超えるだろうと警告

住居購入が今年は更に難しくなる、なぜならスペイン大手銀行BBVAが行った調査に拠ると、公定歩合の引き続く低下にも かかわらず住宅ローンが給料に占める平均割合は2002年度の48%から上昇し2003年度は50%に及ぶと見られている。 同銀行エコノミストらは、2002年度に記録した17%という史上最高の住宅物件価格上昇率が、今年は若干減速して 10%止まりになると見ている。一方建設関係者は今年の住宅物件価格上昇率は14%と予測し、政府の 住宅価格値上がり予測6.5%の2倍を上回っている。ちなみに政府の物価上昇率予測は2%だったが、この数字は もう意味を失っている。 近年の住宅価格の異常な高騰(過去5年間で80%以上上昇)は凄まじく、住宅ローン利子が これ以下に下げられない最低値が適用されているという好材料も焼け石に水の状態。 金融関係筋が住宅ローン融資の際目安とする、ローン返済額が給料合計に占める割合は33%という事だが、 今年はローン返済者平均でこの数字が50%に達するとみられ、BBVA銀行は警鐘を発している。


5月15日(木)

本日は聖イシドロの祝日のため、今日のトップニュースはお休みさせて頂きます。


5月14日(水)

UE(ヨーロッパ連合)裁判所、スペイン政府の制定した“ゴールデン・シェアー”制度に違法の判決

スペイン政府はEndesa(電力), Repsol(ガス・石油), Telefonica(電話・通信), Argentaria(銀行), Altadis(タバコ)など、 かつて国営であったが現在では既に民営化された主要企業の株“ゴールデン・シェアー”を所有することによって、 それらの企業の経営方針に介入する権限を有していたが、昨日UE(ヨーロッパ連合)裁判所がくだした判決によってこの特権が 無効となった。EU裁判所は、スペイン政府が有するこの特権が、EU憲章で保証する「資本の自由流通」という基本概念に 反すると判断した。1995年社会党政権の時代に制定されたこの“ゴールデン・シェアー”法によって、スペイン政府は これら各分野基幹企業の株の売買や経営方針に大きな変化がある度に介入して来た。 1998年以来EU政府とスペイン政府の間で この“ゴールデン・シェアー”に関する論争が続いていたが、今回の判決によりスペイン政府は大きな打撃を受ける事になる。 判決は「これらの元国営企業の株を政府が所有すること自体は違法ではないが、その影響力を行使する方法は、 所有株の割合に応じ、客観的判断に基き、公明な方法で、EUの基本憲章に照らし合わせて行われなければならない」としている。 類似判決例が過去にフランス、ポルトガル、英国、ベルギーの政府に対して下された事があり、スペイン政府もそれら前例に 倣って3ヶ月以内に現在の“ゴールデン・シェアー”法をEU憲章に適合する形に改正しなければならない。

5月25日の地方選挙に向けて選挙戦続行中!

スペインにおいても各政党が知名度のある候補者を獲得しようと奔走した成果が、陸上界のヒーロー達の名前に見える。 1992年バルセロナ・オリンピックの1500mで金メダルを獲得したフェルミン・カッチョ氏はハエン県Andujarの町議に PSOE(社会党)から、1999年世界陸上のマラソンで優勝したアベル・アントン氏はソリア市議にPP(民衆党)からそれぞれ 立候補している。この他にも砲丸投げ世界チャンピオンのマヌエル・マリティネス氏がレオン市議に、 女子5000m走ヨーロッパチャンピオンのマルタ・ドミンゲス女子がパレンシア市議に、50Km競歩の世界チャンピオンの ヘスス・アンヘル・ガルシア・ブラガド氏がレリダ市議に、3人ともPP(民衆党)から立候補している。

昨日13日、かつてはブレアー英首相の右腕として外務大臣の職にあったロビン・クック氏が、サパテロ書記長の応援の為 マドリッドの社会党本部に駆けつけた。今から2ヶ月前英国政府の対イラク政策に納得できないとブレアー首相に辞表を提出して その政府を離れたクック氏は、応援演説の中で、対イラク政策における政治理念がサパテロ書記長と一致している点を強調。 クック氏はブレアー政府を辞職後はPSE(ヨーロッパ社会党)の書記長を務めている。

AuBを始めとする違法化された旧バタスナ党関連の左翼民族系政治団体からの241の立候補に対し、最高裁が無効判決を下し、 控訴した先の憲法裁判所も内251の控訴を却下するなど、バスク州とナバラ州は最初から波乱含みの選挙戦となっている。 選挙管理委員会は当初これら241候補が含まれる投票用紙を用意したが、裁判所の判決後にこれらの候補のリストを削除した新たな 投票用紙に差し替えている。しかしAuBを始めとする立候補者リストを無効とされた諸政党は、無効となった最初の投票用紙を 有権者に配ると発表し、「スペイン政府の司法権に兆戦する」姿勢を見せている。また同発表が行われたバスク・ギプスコア県の パサイア村では無効判決を受けたAuB党所属の候補者4名がハンガー・ストを決行している。 違法化されたバタスナ党の党首オテギ氏はバスク・アラバ県のジョディオ村において12日月曜にAuBの言う「無効となった投票用紙」を 民衆の前に提示して選挙演説を行った行為に対し、選挙法違反でバスク州高等裁判所に訴えられたが、さらに昨日ナバラ州の エステジャ市で再度同投票用紙を民衆に提示し物議を醸している。オテギ氏は「この投票用紙は違法だ。でも我々バスク人にとって それは意味の無い事。なぜなら我々バスク人は2世紀に渡って違法のレッテルを貼られ続けてきた。その違法性はスペイン国の 法の元での違法であり、バスク国では違法性を持たない。」と挑発した。バスクとナバラの選挙管理委員会は万一この 「無効な投票用紙」によって投票がなされた場合、その票は無効票となると決定している。前回1999年の選挙でバタスナ党の 前身EHに投票したと同じ数の有権者がこの「無効な投票用紙」によって投票し、その票が無効票となったとすると、 その分の議席がそれ以外の政党にその得票率の割合に応じて配分される形となり、いくつかの市町村で民族政党VS全国政党 (社会党や民衆党)の力関係が逆転するケースも出てくると見られる。

核融合エネルギー開発国際協力プロジェクト基地候補にスペインも!

石油、原子力などに変わる未来のエネルギーとして期待されている核融合エネルギーを世界で協力して開発していくプロジェクトの 実験基地の候補選択が進められているなか、カナダのクラリントン、日本のロカショのほかEU(ヨーロッパ連合)から一つ候補地を 出すべく話し合いがもたれている。EU委員会としてはEU選択候補をフランスのカダラシュ一本に絞って他の2候補地と対決したい意見が 大勢を占める中、昨日スペイン政府科学技術相ピケ氏はEU首相レベル会議の席上で、EUはスペインのバンデジョスもフランスの カダラシュと同様EUからの実験基地の候補として提出するべきであり、バンデジョスを含めた4候補地の中から最終決定が 行われるべきであると強く主張した。このスペイン代表の強気の後ろには、イラク危機以来親米路線を推し進めてきたスペインに 対する米国の後押しと、国連安保理で真っ向から米国に反対したフランスに対する米国の制裁、という明暗が見え隠れしている。


5月12日(月)

ETAその姿勢を変え、イバレチェ州知事の「自治領案への人民投票」を支持

ETA(バスク独立を標榜するテロ組織)は、昨年12月4日に発表した声明の中では、レンダカリ(バスク州知事)と 州政府与党PNV(バスク民族党)がやろうとしている事は「戦いを続ける為の新たな基本憲章の模索」でしかないとして、 イバレチェ・バスク州知事の推進する「バスク自治領化案」に真っ向から反対をしていたが、昨日このイバレチェ案に対する 評価を大きく変更した。昨日バスク語新聞“Gara”の紙面でETAは「バスク国の人民投票を基に推進しようとするいかなる案も それは喜ぶべきものであり、避けてとおるべきものではない。」と発表した。又同紙上でETAは同組織の総評議会を開いた事、 そしてその結果がまもなく発表されるはずである事も宣言した。 今年2月8日に社会党員であり病気で休職中の警官を暗殺して以来、主だったテロ活動を実行できないだけでなく、スペインおよび フランスにおいてETA幹部やメンバーが相次いで逮捕されている他、その政治的母体であるバタスナ党に対し最高裁判所によって 違法判決が下されるなど、ETAが苦境に追い込まれている感のある状況の中、ETAの活動母体の存在するバスク州では市町村議選が、 ナバラ州では州議会選と市町村議選が5月25日に予定され、先週末から選挙戦が開始されている。 ETAはまた、「PP(民衆党)やPSOE(社会党)など全国政党だけでなく、PNV(バスク民族党)やEA(バスク連盟)など 民族主義政党までもが、左翼民族主義を違法化し抹消する事によって、来る地方選挙において利を得ようとしている、 スペイン政府がかってに違法と決め付けて無効にした左翼民族主義の候補者にバスク人民が投票してくれる事を期待している、 われらの祖国バスク建設するためにそれらの票は大変貴重だものである。」などと付け加えている。 暗殺・破壊という「テロ行為」しか信じない姿勢を示してきたETAが、「国民投票」や「民主的選挙での投票」を支持する声明を 出したと言う事は注目に値すると言える様だ。

地方選挙戦線、全開!

先週金曜の午前零時から開始された5月25日の地方選挙までの選挙戦は、この週末まさに全開。各市町村、自治州で演説集会や 様々なアトラクションが催された。街中の目抜き通りの街灯には候補者のポスターが取り付けられ、街頭には巨大なポスターが貼られ、 テレビの地方局では各政党の候補者による討論番組が組まれ、各社新聞も選挙関連記事を満載して分厚くなっている。 一方で、先の最高裁判決そして先週金曜の憲法裁判所判決によって225の立候補が無効とされた事によって、ナバラ州の9つの 町村では唯一の立候補者が無効化されたため、選挙自体が6月まで見送りとなっている。これらの町村は総じて、ETAの政治母体である バタスナ党が町政・村政を牛耳っている人口数百の小さな町村である。人口の半数以上がバタスナ党を支持しているこれらの町村では、 緊迫した空気の中、あえて生命の危険を冒してまで立候補しようとする候補者がいないという状況。

スペインとモロッコ、今年度末までに両国関係の完全正常化をはかる事で合意

昨日ペイン外務省政務次官のラモン・ヒル・カサレス氏と、モロッコ政府外務省派遣官タイエブ・ファシ・フィリ氏は、 今年度末までに両国首脳レベルでの会談を実現する為に、2001年10月以降両国間に生じた様々な問題を解決して両国間関係を 完全修復するべく各分野の事務官レベルが作業を行う為の一連の会議予定計画で合意に達した事を発表した。 アスナル政権誕生以降冷却し始め、昨年7月にペレヒル島へのスペイン軍介入でその緊張の頂点に達したスペイン・モロッコ関係だったが、 昨年11月ガリシア沖重油流出事故の際、漁場を失ったガリシアの漁船に対しモロッコ海域内の漁場での操業を許可するという モロッコの友好的姿勢により、12月には両国外相がマドリッドにて会談し両国間の亀裂を修復していく基本合意に達していた。 その後移民問題、経済問題、漁業海域問題など分野ごとに担当事務官レベルの会合が数回持たれて来た。今回の会談はその中でも 最高レベルの政務次官の会議であったが、中心となったテーマは両国間で長年懸案のサハラ問題であった。 モロッコ側のタイエブ・ファシ・フィリ氏は「スペインは、サハラ問題に国連が派遣したジェームズ・ベーカー大使が今月19日に 国連安全保障理事会に提出する決議案に基いて、その政策を打ち出す事だろう」と述べたのに対し、スペイン政府側はコメントを 避けている。

犯罪は週末の夜に起こる・・・

治安警備隊の統計によると、スペインで起こる犯罪の内71%はスペイン人によるもので、残りの29%が外国人によるという。 また外国人犯罪者は、「もともと外国における常習犯罪者がスペインに仕事をしに来た」ケースと「スペインに不法滞在していて 軽犯罪を犯しても強制出国させられる事も裁判を受ける事も無いという法の狭間に漂う」ケースとに分かれる。 今年1月から3月までに逮捕された外国人犯罪者は5118人で、その内54%は不法滞在者だった。軽犯罪を犯してもすぐに釈放され、 かといって合法的居住権を得る術も無く、とにかく食べて行かねばならないという状況の外国人が毎年数千人も存在しているという 現実から見ればこの数字は当然だと、治安警備隊のベテランは説明している。残りの46%は「母国」でプロの犯罪者がスペインへ 仕事をしに出張して来たケースであり、英国、ドイツ、フランスからの「出張者」が多いという事である。 外国人犯罪者全体を国籍別ランキングでみると、1位モロッコ、2位ルーマニア、3位エクアドル、4位英国となっているが、都市部を 管轄とする国家警察の統計の場合になると、そのランキングの2位はコロンビアに入れ替わる。又治安警備隊の統計によると、 外国人による犯罪は週末の夜(23h00〜06h00)に多発しており、特に日曜の夜が最も多く発生しているという。

週末のスポーツ

F.C.Barcelonaバスケットチーム、ヨーロッパリーグ優勝。 6度目の正直。今まで5回とも涙をのんできたバルセロナは今回6回目にして、昨日パラウ・サン・ジョルディで行われた試合で イタリアのベネットンを76対65で破り、チーム史上初のヨーロッパリーグ優勝を果たした。同チームは既にスペイン国王杯に 優勝しており、国内リーグACB優勝も確実と見られ今年は3冠制覇必至と見られる。

現GPランキング3位のフェルナンド・アロンソ選手マドリッドを快走。 1週間前のF1グランプリでシューマッハに次いで2位でゴール、現F1ランキング3位のルノーチームのパイロット、フェルナンド・ アロンソ選手は、昨日マドリッド市内のカスティジャーナ大通りに作られた架設サーキットを時速200キロで10万のファンが見守る中を 走りぬけた。今までF1GPにおいてスペイン人パイロットの活躍はあまり見られずこのスポーツ自体もスペインではあまり人気が なかったが、この21歳のアストゥリアス出身パイロットの出現で俄かにF1GPが注目を集めている。


5月9日(金)

憲法裁判所、旧バタスナ党関連の241の立候補の内225を無効とする判決を下す

先週土曜日5月3日に最高裁判所は旧バタスナ党関連241の立候補を無効とする判決を下したが、 AuBを始めとするこれら急進派民族主義政党はこの判決を不服として、憲法裁判所に上告していた。 5月9日(金)午前零時の選挙運動開始のタイムリミットを前に、異例のスピードでこの上告を審議していた憲法裁判所の6名の 裁判官は15時間の集中審議の末、5月9日午前2時、241候補の内16件の上告のみを認め、それ以外の225件に関しては最高裁の 下した「政党法に照らし合わせ、これらの候補は旧バタスナ党と事実上なんら変わりの無い状況での立候補の為、その立候補を無効とする」 主旨の判決を有効と認め、上告を却下した。 上告を認められた16件の候補は、最高裁の「立候補無効」判決を覆した事で、今日金曜から開始された選挙運動を開始できる事となった。 この16件の中には、ETAが殺戮行動を行う度にその行為を激しく非難してきたMaeztukoAukera党所属候補と、かつてバタスナ党に属していたがその行動指針の違いから袖を分かちPatxi Zabaletaを党首とするAralar党所属候補が含まれる。 無効の判決を受けたAuB党幹部は、金曜零時のタイムリミットを越えて下されたこの判決の有効性を追求していく姿勢を見せている。 判決が零時から2時間遅れたのは、審議を行った憲法裁判所の6名の裁判官の内3名は、いくつかの候補がその上告手続きを完了 したのが水曜日にずれ込んでいた為、審議のタイムリミットは2日後つまり金曜日24時と考えるべきであるという姿勢をとっていた事に拠るらしい。憲法裁判所長ヒメネス・デ・プラガ氏は、選挙運動開始の障害にならない為に金曜零時までに審議を終わらせる様主張した為、2時間のずれ込みは在ったものの午前2時に判決を下すに至った。

地方選挙戦、今日マドリッドとバスク地方でその口火を切る

5月9日(金)午前零時から、スペイン全国の8000の市町村と、アンダルシア・カタルーニャ・ガリシア・バスクを除く13の自治州での地方選挙の選挙戦が開始された。5月25日(日)の投票日まで行われる選挙戦は、アスナル首相にとっては首相として最後の、社会党書記長ザパテロ氏とUI(統一右翼)書記長ジャマサレス氏にとっては主要野党の党首として最初の選挙戦となる。市町村選挙には3450万人、自治州選挙には1860万人の人が投票権を有している。 民衆党と社会党の2大政党はバスクとマドリッドでそれぞれの選挙戦の口火を切った。アスナル首相が外遊中の為、バスク地方のおける民衆党基盤であるビトリア市では民衆党書記長のハビエル・アレナス氏が第一声を挙げた。一方社会党書記長サパテロ氏も同じビトリア市内にて催された夕食会で選挙戦前哨戦の気勢を挙げた。激しい選挙戦が予想されるもう一つの点はマドリッドとなる。マドリッド市長には民衆党からは現マドリッド州知事アルベルト・ガジャルドン氏が、社会党からはトリニダ・ヒメネス女子が立候補。州知事を2期勤めその行動力で知名度の高いガジャルドン氏だが、同党候補リスト第3番目にアスナル首相婦人アナ・ボテリャ女子が入っている(民衆党が勝った場合同女史はマドリッド市福祉担当官を任ぜられる)という事実が若い世代の支持を集められるかは微妙なところ。マドリッド州知事には民衆党から元文化教育大臣で前下院議長のエスペランサ・アギレ女子が、社会党からはラファエル・シマンカス氏が立候補している。ザパテロ書記長を筆頭として世代交代を果たし若い世代が前面に出てきている社会党だが、マドリッド市長選もマドリッド州知事選も候補者の知名度の低さは否めない。社会党としてはIUの支援を取り付け野党連帯の作戦を打ち出して、与党民衆党に勝ちたいところ。プレステージ号遭難後の対応、イラク危機を始めとするスペイン外交路線の変更などアスナル政府の政策に不満を唱える声が聞かれたが、5月25日の選挙でスペイン国民の世論が反映される形となる。

検察庁憲章改正法案、国会下院で可決される

昨日国会下院にて、新しい検察庁基本憲章法案が可決された。これにより最高検察庁長官直々に特別延長指示が出た場合以外は全ての検察庁における捜査期間が6ヶ月に制限される事になる。また検察長官の任期は一律5年間に短縮される。社会党とIU(統一右翼)の主要野党はこの憲章改正によって、各検察庁における捜査の自治権が制限され、政府が任命する最高検察庁長官の権限が増大される事によって、政府の「興味」が反映される検察庁の体質になってしまうとして反対したが、民衆党、CiU(カタルーニャ連合)、PNV(バスク民族党)、CC(カナリア同盟)の賛成投票によって可決された。この新しい憲章の発効により、現在各検察庁長官にありその任期が既に5年を過ぎている場合は即その長官職の任期が終わる事になる。汚職対策検察庁長官ヒメネス・ビジャレホ氏とマドリッド検察庁長官フェルナンデス・ベルメホ氏がこのケースに該当するが、野党側は「汚職問題など目の上のたんこぶであるこれら検察庁長官を排除する為の政府の手段である」と非難している。また汚職対策検察などで現職の政治家などを対象として捜査を行っている場合も最高検察庁長官からの指示が無い限り、捜査は6ヶ月で打ち切られる事になる点も野党側の論点であった。

政府、社会党に外国人法改定を打診

政府外国人管理局長イグナシオ・ゴンサレス氏は、外国人法改正に向けて政府は各政治政党の合意を取り付ける為の話し合いを始めたと発表した。現アスナル政権発足後3年間に既に3回の外国人法改正が行われたが、あらたな改正案作るための根回しとなる模様。 2001年に移民救援団体や人権保護団体など30を超えるNGO団体が、政府が移民政策のために制定した規則が外国人法に違約する不当なものであるとして、政府を相手取って最高裁に訴えていた。今年3月20日に最高裁は「外国人法という法律に定められている基本条項を、政府制定の規定によって厳しくする事は認められない」という判決を下し、政府が取ろうとしていた対移民政策を真っ向から否定した形となっていた。 手痛い一撃となったこの判決以降、今回新たな外国人法改正を試みる政府としては、ますは野党第一党の社会党に接触している様だが、社会党としてはこの交渉に際し「改正点を明確にする事と、選挙戦のためにこの外国人法改正を使用しない事」を条件に挙げている。

マイクロソフト社、LINUX牽制の為スペインに2500万ユーロを寄付

マイクロソフト社はスペインの低所得地域の学校に2500万ユーロ相当のソフトウェアを寄贈する事を決定した。これは、スペインで普及し始めているオープン・コード・プログラムのLINUXに対抗・牽制する為。エクストゥレマドクーラ州の学校教育の場において既にLINUXが使用されており、アラゴン州とアンダルシア州もLINUXの使用を既に決めている。ピケ科学技術大臣は「学校教育の場においてどういうタイプのプログラムソフトを使用するかは技術的な問題であり、政治的問題ではない。これは政府が関与する領域ではない。」との立場をとっている。 マイクロソフト社とRed.es(スペイン社会におけるIT普及を担当している機関)間の合意が成り、ピケ科学技術大臣とスペイン訪問中のマイクロソフト社社長スティーブ・バルマー氏との間で昨日、GDPがUE平均の75%を下回るスペインの自治州の学校に2500万ユーロ相当のソフトウェアを寄贈するという契約が交わされた。 この他にも同社は500万ユーロを導入して、小・中学校教育および大学そして職業訓練課程などスペインの教育システム全般に直接的、積極的にプロモーションを開始していく意向を示した。


5月8日(木)

ブッシュ大統領からアスナル首相へ“恩賞”、バタスナ党をアメリカ国防省のテロ組織リストに加える

アメリカは国防省のテロ組織リストの中に、去る3月17日スペインの最高裁判所が違法組織という判決を下したバスクの 急進的民族政党であるバタスナ党の名を加えた事を正式発表した。 バスク独立を標榜するテロ集団ETAはHB(エリ・バタスナ)党、EH(エウスカル・エリタロク)党、バタスナ党、など次々と 名を変えてはその隠れ蓑として来たという考えの上にたったコリン・パウエル国務長官は、このバタスナ党の テロ組織リストへの参入を既に4月30日に関係各省に通達していたらしいが、5月1日に同国務長官がマドリッドを訪れ スペインのアナ・パラシオ外相と会談した際にはこの件には言及しなかった。 アスナル首相の訪問を待って正式発表とし、プッシュ大統領から同首相への“恩賞”授与という意味合いを持たせた模様。 昨晩大統領官邸でプッシュ大統領とアスナル首相の会談が持たれた際、アスナル首相はこのアメリカ政府のとった措置の 重要性を称え、プッシュ大統領は「スペイン国民はテロの恐怖から開放され自由に生きる権利を持っている」と訴えた。 アスナル首相は、このアメリカの措置はイラク危機以来アメリカと“良好な関係”を保って来た政策の最初の成果であり、 これで政府の政策に反対した一部のスペイン国民も政府が時には決断を下したり努力をしたり世界を奔走したりする価値が あるという事を判ってくれるだろう、と記者会見で述べた。 バタスナ党がリストに加えられた事によって、同党関係者はアメリカ合衆国へ入国できなくなり、同党がアメリカ国内の 金融機関に資金を所有する場合は全て凍結され、アメリカ国民がどんな形であれ同党を援助する事が禁じられる事になる。 ブッシュ大統領とアスナル首相は会談後の共同声明の中で、今後米・英・スペインは、国連において対イラク経済制裁撤回を 要請する決議案を3国共同で提出する予定であると発表した。

バスク州議会、旧バタスナ党議員グループの解散を延期

昨日バスク州議会は旧バタスナ党(3月17日最高裁の判決で違法とされた)の議員によるグループSA(Sozialista Abertzaleak) の解散に関する審議をとりあえず見送る決定をした。この決定以前に、同議会議長アトゥチャ氏は最高裁判所の要求に応じて、 同SAグループに属する7名の議員の名前などを最高裁に提出していた。これによってバスク議会は最高裁からの返答を待つ事と なった。 最高裁判所からの申請により、旧バタスナ党議員グループの解散を拒否していたバスク州議会は、同グループ解散の可能性を 検討し始めている。現バスク州政府を構成しているPNV(バスク民族党)、EA(バスク連盟)、IU(統一左翼)の3党と PSE(バスク社会党)は、SAグループを解散させる為には、既にこのSAグループを解散させたナバラ州議会やビトリア市議会が 行った様に、バスク州議会自体の規定を改正する必要があるという点で合意した。一方で州政府与党3党の合意の下、 アトゥチャ議長は「自治州議会の議員に関する問題はあくまでも同議会に帰属する問題であり、司法権に属する一裁判所 である最高裁が自治州議員の進退を決定するという事は、自治権への侵害であると同時に、司法権と立法権の分立を 基本条項とする憲法に反する」という書面を提出した。

“スピード裁判法”発効後15日間で1000件の事件を解決

昨日国会においてミチャビジャ法務大臣は、4月28日に“スピード裁判法”が発効してからこの15日間に970件の 事件の裁判が行われた事を報告すると共に、これは政府および各自治州がこの新しい裁判制度が有効に機能する為に必要な 方策を投じてきた賜物であると述べた。 同法相の発言は、国会において社会党のロペス・アギラル氏が「現状の刑法は激増している軽犯罪に取り組む為の充分な 手段を有しているのか?」という質問に対して行われたもの。ミチャビジャ法相の発言を受けロペス・アギラル氏は 「治安の悪さは、政令を乱発したり手前味噌の宣伝を行う事では解決できない。有罪者を収容する刑務所が不足し、 社会更生プログラムも無く、社会脱落者に対するプログラムも無く、裁判所の数も警察官の数も不足している今のスペインは、 欧州連合の中において年間犯罪増加率のトップにある。」と述べた。これに対し法相はさらに「かつて軽犯罪を犯した者は 警察署の一方の扉から入り何の咎も受けない内にもう一方の扉から出て行った。少なくともスピード裁判法の発効によって 24時間又は15日以内に判決が下される事により、DVを始めとする被害者の法的権利を迅速に確実に守る事が出来るように なった。」と応酬。さらには「犯人を前に警察が何も手を下す事が出来ないというまさに“ざる”現行刑法を裁可したのは かつての社会党政権である。今こそ社会党はこの“ざる”法である現行刑法と刑事訴訟法を改正する絶好の機会である」と これらの法律改正案に反対している社会党ら野党を揶揄した。

昨年度に21,751人がスペイン国籍を取得

2002年にスペイン国籍を取得した外国人は史上最高の21,751人に達した。この数字は2001年度の16,663人から30%増、 1984年度の4,467人の5倍となる。スペイン国籍を取得するという事は外国人法による多くの規制や煩雑な手続きから開放され、 全ての選挙の選挙権を得るという事である。現行外国人法によると、スペインに合法的に滞在し税金を納めている外国人でも、 欧州連合加盟国の国籍を持つ場合は在住市町村選挙のみの投票権があるが、それ以外の国々の国籍を持つ場合は一切選挙投票権 がない。 21,751人の内中南米から13,875人、アフリカから4,325人、アジアから1,995人、ヨーロッパから1,551人(ロシア、ルーマニア が目立つ)、オセアニアからはわずか5人、という内訳になっている。 国籍取得者が中南米の国々から多いのには理由がある。歴史的にスペインと関わりの深い中南米の国々とフィリピン、 アンドーラ、ポルトガル、赤道ギニアの国籍を持つ外国人は2年以上続けて合法的にスペインに滞在すると自動的にスペイン 国籍を申請できる。これ以外の国籍の外国人がスペイン国籍を申請するには最低10年以上続けて合法的にスペイン在住した事を 証明する必要がある。一番早くスペイン国籍を取得できるのはやはりスペイン人との婚姻によるもの。1年以上合法的に滞在し さらに婚姻後1年以上経てばスペイン国籍を申請できる。2002年10月以降はスペイン人移民の子孫は1年以上スペインに合法的に 滞在したらスペイン国籍を申請できるようになった。

バスク州議会、同性愛者に“養子を取る権利”を認める

昨日バスク州議会は「バスク州における内縁関係の者に関する法案」を可決した。その中で最も論議を呼び、他の自治州で 既に適用されている同様の法制に比べて斬新な点は、同性愛者に対して“養子を取る権利”を認めている点である。 議会での同法案審議中に唯一この法案に反対したのはPP(民衆党)だったが、非公表投票が行われた結果PP党内からも棄権が 出たと見られている。 ナバラ自治州では既に「同性愛者に対して“養子を取る権利”を認めた内縁関係の者に関する法案」が可決された例があるが、 法令のこの部分を「養子縁組に関する問題は国会上院のみに帰属するテーマであり、地方自治州が関与する権利はない」 として、PP(民衆党)はナバラ州政府を相手取って憲法裁判所に控訴している。 今回バスク州議会においてもPPは同じ議論でこの法案の可決に真っ向から反対していた。


5月7日(水)

へスカルテラ事件、専門家の捜査最終報告書提出

昨日、へスカルテラ事件の捜査に関わっている大蔵省専門家捜査チームがテレサ・パラシオス判事に最終報告書を提出した。証券会社へスカルテラ社は銀行の協力を得て、株式の売買を1日2回同時に行い取引では損得の出ない株操作を行った上で、高値と安値の差を特定の顧客への損害または収入として計上させていた。最終報告書では、42人の名義人が1800万ユーロの損害を負担させ、同額が利益として特定の15人の顧客(うち6人は宗教法人)に払われていたことが明らかになっている。捜査チームは2001年7月から捜査を開始、へスカルテラ社本社から押収した35台のパソコンのデータを調べていた。
1800人以上が被害にあったこの詐欺事件は、詐欺金額の大きさだけでなく、へスカルテラ社元社長の兄弟であるエンリケ・ヒメネス・レイナ大蔵省事務官(当時)、ピラール・バリエンテ国家証券取引委員会委員長(当時)の辞任という政界の波紋への大きさでも話題となった。首謀者の1人でヘスカルテラ社オーナーのアントニオ・カマチョ被告は法律で定められた仮釈放期限まで数日を残す身となっている。

アスナル首相、国連安保理にテロ組織リスト作成を提案

アメリカを訪問中のスペインのアスナル首相は昨日まずコフィ・アナン事務総長と30分にわたって会談、後の安保理理事会で行う彼の提案について先にアナン事務総長に説明した後、イラクの戦後処理問題についても語り、スペインはアメリカと同じ姿勢で臨むことを伝えた。
スペインは、9月11日の貿易センタービルテロ後に創設されたCTC(国連テロ対策委員会)の議長国を務めており、アスナル首相はアメリカ、EUが作製したリストの規模を超えた国際的テロ組織リストの作成、テロの犠牲者支援組織の創立を含めた7つの提案を行った。この提案承認には理事国15ヶ国による安保理決議が必要。

4月1日現在のプレステージ事故処理費用3.28億ユーロ

昨日、政府第一副首相のマリアノ・ラホイ氏が発表したところによると、ガリシア沖に沈んだ石油タンカープレステージの事後処理にかかった費用は4月1日現在で3.28億ユーロだという。うち1.71億ユーロを政府が負担、残り1.57億ユーロは地方自治体負担で最も被害の大きいガリシア州の負担額は1.05億ユーロとなっているという。
しかし、この金額は今後も増大する。最終処理”と呼ばれるプレステージの石油タンクからの石油を抜き取る作業がまだ残っているからである。これに先立って、沈没タンカーの亀裂を塞ぐ作業を行ったフランスの潜水艦ノーティルが今月末再び沈没地点に潜水、補強作業を行うという。
またラホイ副首相は今日からロンドンでFIDAC(石油汚染のための国際補償基金)との補償金交渉が行われることも明らかにしたほか、来週の月曜日には政府予算事務官のルイス・マルティネス・リコ氏がブリュッセルに飛び、EUからのさらなる援助金獲得を交渉すること、アメリカの船舶検査会社American Bureau of Shipingとイギリスの保険会社 The London P&Lと事故責任追求の話し合いをスペイン政府がすでに開始していることも明らかにしている。
ラホイ副首相によると石油汚染被害を受けた浜辺のうちすでに98%がきれいになっており、残りの2%は“わずかに虹色に光る石油が確認される程度”であるという。しかし207ヶ所の浜辺では岩場の清掃がいまだ完了しておらず、この終了は6月頃の見通しであるとされている。


5月6日(火)

バタスナ党をテロリストとして認めるようブッシュ大統領に働きかけ

3月17日、最高裁によって非合法組織と認められたバタスナ党へのスペイン政府のプレッシャーは世界規模に広げられる見通し。アメリカを訪問するアスナル首相は明日、ブッシュ大統領と会談、アメリカ国務省のテロ組織リストにバタスナ党を含めるよう働きかける見通し。スペイン政府は最高裁からの判決が出た時点ですでにアメリカ政府に公式要請を行っている。バタスナ党はアメリカでの活動は現在の所行っていないが、スペイン政府は左翼民族主義団体に対し、あらゆる海外進出の手立てを妨害する構え。アルカエダも載っているこのリストにバタスナ党が載せられると、アメリカ国内にバタスナ党が資金を持っている場合はその凍結が直ちに行われ、またメンバーのアメリカ入国が不可能になる。

プレステージの石油、フランス大西洋岸に漂着

先週金曜日の夜からフランスの大西洋岸、ブルターニュ地方の浜辺にプレステージから流出したものと見られる“ガジェタス”(固まった石油の形、大きさがビスケットに似ていることから)が漂着している。プレステージ沈没地点に近いスペインのフィニステレから同名のフランスのフィニステールまでは直線距離にして1000キロ、ブルターニュ地方では週末の好天を利用して浜辺を訪れた海水浴客数人が石油に汚れた足で水から上がった。沖ではさらに石油の漂着しているのが確認されている。
フランス警察が浜辺から採取した最初のサンプルからこの“ガジェタス”の構成成分が今年初めにフランス南西部の海岸で見つかったプレステージからの流出石油と同じであることがまず確認され、その後フランス軍研究所の検査により、間違いなくこの石油がプレステージのものであることが証明された。石油の漂着があったのはカンペールの南、Combrit、Loctudy、Plomeur、Penmarch、Ile-Tudy、Traffiagatの浜辺で、南風に流されてここまで流れ着いたものと見られているが、フランス関係者はこれは海底のプレステージの石油タンクからの新たな大規模な流出を示すものではないと見ている。
プレステージの石油が再びフランス海岸を襲ったことにより、棚上げになっているフランス、スペイン間での事故補償金問題が再燃しそうである。自国の南西部海岸で1.4万トンの石油を回収、作業に費やした金額を4200万ユーロと見積もっているフランス政府に対し、スペイン政府は事故による損額額を10億ユーロと見積もり。その一方でFIPOL(石油汚染被害国際基金)が用意できるのは1.715億ユーロしかないと発表しているためである。ビアリッツを始めとするフランス南西部の浜は3月から開放されており、4月9日から海水浴が解禁になった。アルカションでは名物の牡蠣が安全で浜辺もきれいになっていることを宣伝するための祭りを土曜日に開催したばかり。250万人の観光客が見込まれている夏のシーズン到来を前に関係者の心配は続く。

故障により地下鉄10号線3時間不通(マドリッド)

先週の水曜日に12時間不通になったばかりの地下鉄10号線が昨日また故障により3時間以上にわたってクスコ駅-プラサ・デ・カスティジャ駅間が不通となった。
地下鉄10号線クスコ駅で線路が30センチほど欠けているのが見つかったのは昨日の午前11時頃、原因は特定されていないが、線路のつなぎ目の修理を行ったときにこの部分が欠けたのではないかと見られているが、地下鉄関係者は2つの故障の関連の可能性を否定している。10号線は地下鉄の中でも最も新しい車輌が使われている路線。

Max賞、初の公共テレビ中継不在授賞式

1998年に創設され、以来舞台芸術関係者に対して贈られているMax賞の授賞式が昨日ガリシア州のビーゴで行われ、予想通り“Paris 1940”のジョセップ・マリア・フロタッツ氏が最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚色賞の3部門制覇に輝いたほか、アルフォンソ・サストレ氏の長年の功労に対し、名誉賞が贈られた。また最優秀舞踏家賞を男性は“Poeta en Nueva York”のラファエル・アマルゴ氏、女性は“Aiguardent”のマルタ・カラスコさんが受賞した。
授賞式開催にあたっては、芸術関係者たちのプレステージ事故、イラク攻撃に対する度重なる非難に応える形で、州知事マヌエル・フラガ氏(PP-国民党)が「我々を侮辱させるために金は出せん」と述べ、ガリシア州がサンティアゴ・デ・コンポステーラでの授賞式開催協力を拒否していたが、ビーゴ市長ロイス・ペレス・カストリジョ氏(BNG-ガリシア民族連合)が協力を申し出たため、ビーゴで開催されることが決定。必要予算115万ユーロのうち36万ユーロを市が負担して授賞式が行われたが、去年はTVE2で放映された授賞式に公共放送局の姿はなく、授賞式の模様はロカリアTVで放送され、演劇関係者はこれを「公共放送局による反民主主義の検閲」と呼んだ。


5月5日(月)

ローマ法王、スペインを訪問

土曜日にスペインに到着したローマ法王ヨハネ・パウロ2世の今回のスペイン訪問は5回目。メインイベントである5人のスペイン人福者の列聖式が昨日、マドリッドのコロン広場で行われ、マドリッド州政府の発表では100万人が参加したという。
もうすぐ83歳の誕生日を迎えるカロル・ヨセフ・ウォジュティーラ、ヨハネ・パウロ2世は午前10時に特別ステージが設けられ野外大教会と化したコロン広場に到着、時折疲れを見せながらも2時間にわたる式を持ちこたえた。金色の祭服に身を包んだ法王が壇上に上がるときにはすでにその他の出席者はすでに着席しており、一段下に設けられた席には国王夫妻、アスナル首相、上下院議長、最高裁判所長官、憲法裁判所長官が夫婦で着席、またその反対側にはおよそ130人の枢機卿、司教が座を占めたほか、スペイン王家の一族、ベルギーのファビオラ王妃(マドリッド出身)、マドリッド市長、自治州知事8人、PSOE(社労党)書記長等も出席した。
5人のスペイン人福者の列聖にあたっては、列聖省長官であるホセ・サライバ・マルティンス枢機卿が5人の生涯について読み上げた後、ローマ法王が5人を聖人に列するための決り文句を唱えた。列聖式終了後、法王はPSOEのサパテロ書記長と数分間会見。イラク攻撃にあくまでも反対したことに感謝の意を表した。午後には国王夫妻も出席して、法王使節庁でスペインカトリック教会の高官との食事会が開かれ、ローマ行きのイベリア航空特別機がバラハス空港を出発したのは午後7時であった。
今回の訪問では法王は特に、スペインのカトリックとしてのルーツを忘れないようにと集まった信者に語りかけられ、EUが25カ国に拡大してもラテンアメリカ諸国にキリスト教を伝えた祖先のように、伝道者としての役目をこれからも果たしていくよう述べられた。

最高裁の判決によりナバラ州10市町村で選挙延期

最高裁が、AuBをバタスナ党から派生したグループと見なし、5月25日の地方選へ候補者を立てることを禁じたため、AuB候補者が唯一の立候補者であったナバラ州の10市町村では候補者不在となり、6ヶ月以内に新たに選挙が告知されることになった。PNV(バスク民族党)とEA(バスク連盟)によるバスクの民族主義連合と与党PP(国民党)がAuBの候補者無効を予測して多くの市町村で代替候補者擁立に奔走したため、241人の立候補が無効となったものの、実際に選挙が延期になるのはナバラ州の10市町村にとどまった。
今回の最高裁の判決により左翼民族主義候補者が選挙から姿を消すことになった地方選だが、AuBのスポークスマンは投票日には自分たちで投票用紙を用意すると発表しており、これに対し政府は規定の投票用紙以外での投票は無効であること、また違法投票用紙の配布は選挙法違反として犯罪と見なされる旨を通達している。
今回の最高裁の判決に関し、ミチャビラ法務大臣は「初めてETAが行政にメンバーを入り込ませるために投票箱を利用できず、我々の税金も利用できないときが来た。」とし、最高裁の判決をETAから地方行政内での権力を取り除く為に重要な一歩であると評価、テロリスト組織撲滅のためには必要な措置であるが、措置はいまだ不十分であると述べた。

サンティアゴでNunca Maisのデモ

プレステージ事故からほぼ半年経った昨日、サンティアゴ・デ・コンポステーラで市民運動団体Nunca Mais主導のもとデモが行われ、雨にも関わらず4.5万人(警察発表)が参加した。デモには作家のマヌエル・リバス氏、スソ・デ・トロ氏、今年のゴヤ賞最優秀助演男優賞俳優のルイス・トサール氏、漁業組合関係者、労働組合関係者も参加したが、地方選挙を前にしたPSOE(社労党)ガリシア支部長エミリオ・ペレス・トウリーニョ氏の姿はなかった。
Nunca Maisはボランティアの労働力提供を拒否したPP地方議員たちを非難、またプレステージに残った石油を取り出すために選ばれた手段が夏の終わりまで行うことができず、失敗した場合には他の方法での挑戦が冬直前まで行えないものであることを批判した。昨日のデモの召集理由をNunca Maisは「プレステージ事故の“流行”は終わったが、流出した石油はいまだにガリシアの沿岸と海底にあり、我々が今も問題を抱えていることを忘れられないため」としている。

週末のスポーツの結果

F-1:バルセロナで行われたスペイングランプリでスペインのフェルナンド・アロンソ選手(ルノー・チーム)が第2位でゴール。1位となったミハエル・シューマッハー選手(フェラーリ・チーム)も「このマシン(この日に使い始めたニューマシン)で走っていたら、フェルナンドが1位だっただろう。」とライバルの技量を高く認める発言。スペインで行われたレースとあって、会場はスペイン人選手の活躍と21歳の若いドライバーの将来への期待に大いに沸き、フェルナンド・アロンソ選手の出身地アストゥリアスからはおよそ3000人のサポーターが詰め掛け、会場にはアストゥリアスとルノーの青い旗が舞った。


5月1日(木)、5月2日(金)

1日はメーデー、2日はマドリッド自治州の祝日の為、トップニュースはお休みです。




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