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5月31日(木)

Cesidが防衛省を離れ、総理府直属に

国家諜報機関であるCesidは機関自体を国防省に残し、長官を総理府直属とする公算が高まった。現長官であるハビエル・カルデロンの後継者をアスナル首相自ら任命することになる予定。
この組織変更によって、国家警察、治安警察隊、軍部との連携を図り諜報活動の円滑化をすすめる。新長官は治安警察隊や国家警察の長官と同等の階級に位置付けられる予定。
1977年に創設されたCesidの長官に初の民間人の登用が噂されているが、高級官僚や政治家の間で適任者を探っているといわれる。

バリオヌエボ、ベラの刑務所収監時間はたった10時間

「マレイ事件」にかかわったとして有罪判決を下されていた元内相ホセ・バリオヌエボ、元国務長官ラファエル・ベラを始めとする関係者9人は、最高裁によって恩赦適用以外の期間について刑務所への再収監が言い渡されたため、昨日、各人はそれぞれ対応する刑務所へ出頭し、収監された。しかし、そのうちの5人は刑務所内での安全性、身辺警護の問題が発生するなどの理由により、刑務所での滞在時間がたったの10時間で開放されることとなった。
当初は刑務所内で夜を過ごし、週末は自宅へ戻ることができる開放処遇が適用される予定であった。ところが、昨日になって各人が収監される刑務所の責任者が臨時委員会を開き、これら囚人の現状、社会復帰度を検討し、さらには、囚人への安全性を保証するための特別警護が必要であるという結論に達したことから、上記のような処分となったもの。そのかわり週に2回刑務所への出頭が義務付けられた。
この判断に関し、アスナル首相は「民主主義の見地からして、元大臣が刑務所を出たり入ったりするのを見なくてすむのはよいことであろう」と好意的なコメントを寄せている。

ウエルバで不法移民と警官隊が衝突

昨日アンダルシアのウエルバで県議会の建物に進入しようとした約100人の不法移民と警官隊が衝突、移民の1人が軽いけがをおった。
ウエルバには今年の3月21日から、"不法滞在外国人への特別合法化手続きを行う"というデマに惑わされ1500人という大量の外国人が押し寄せており、そのうちの100人が合法滞在許可を求め県議会の建物内にたてこもろうとしたため、警官隊によって阻まれたもの。建物の入り口は全て閉鎖されたものの、半数の50人が侵入に成功、ハンガーストライキを開始している。午後になってやはり約100人の不法移民たちが付近の教会にたてこもり、月曜日に県立図書館でたてこもりを始めた40人を含め、3ヶ所、200人が合法滞在許可を手に入れようとハンストを決行している。
県議会では、強制的にたてこもっている移民たちを排除することはしない、といっているが、県には移民を合法化する権限はないと話す。
政府では、不法移民の合法化の要件である、就職口が決まっていること、1月23日以前にウエルバへきたことを証明できること、前科のないこと、という基準を崩していない。


5月30日(水)

イバレチェ氏とマジョール・オレハ氏との会談成る

昨日、ついにバスク自治州暫定首長であるイバレチェ氏とPPのマジョール・オレハ氏の会談が実現した。15ヶ月ぶりの歩みよりは先週金曜日に予定されていたが、ETAのテロ事件の影響で延期されていたもの。
マジョール氏は、前議会において与党PNVに対して真っ向から批判的な立場を貫いていたPPの方針を転換させ、イバレチェ氏への信頼を表明。最重要事項であるテロリズム対策においての協力をおしまないことを伝え、PNVが与党としてイニシアチブをとることを要求。その限りにおいては野党が存在することはないであろうことを語った。しかしながら、マジョール氏は100日という期限を切り、それ以上の期間延長はないことを断言した。また、テロに対して民主主義者が一致団結するには州議会が最良の場であるとも述べた。
一方、PNVスポークスマンのイマス氏はPPの態度軟化を評価しつつも、さらなる協力が必要であると話した。

スペイン国内の住宅価格、4年間で46.6%の値上がり

勧業省が公表したデータによるとスペインの平均住宅価格がここ1年で16%、最近4年間では46.6%値上がりしているという。この状況に危機感を抱いていた中央政府では1年前に不動産業界の自由化政策に関する計画案を国会に提出しているが、進捗状況は思わしくない。
住宅価格の30〜60%が土地の値段といわれているが、昨今の土地不足は土地代の値上がりを引き起こし、それに伴い住宅価格も押し上げられという状態となっている。政府は昨年6月に国土法の一部修正を行い、宅地化の可否権限を当該地の市役所のみならず、宅地開発希望者へも広げることとし、法令を計画案として広く議会内の承認を得ようとした。しかしながら、実際にはなんの検討もされておらず、与党PP及び野党第1党であるPSOEの間でその責任のなすりあいをしているのが現状である。さらには政府に対し、土地問題は金銭的な問題が絡んでくるため別の次元での関心が膨らみ、現実問題として議会内で話し合いをする気はないのであろう、と批判する政党も出てきている。
住宅供給の現状では、低所得者向けの公的住宅建設プランも後退の一途をたどっており、前年度よりも建設戸数が34%減少している。これは勧業省が目指していた8万戸の半数にも達していない。

合衆国でのスペイン人死刑囚の再審、検察側は終身刑を求刑か?

米国フロリダ州で1995年に死刑判決を受けたスペイン人、ホアキン・ホセ・マルティネス死刑囚は一貫して無罪を主張してきた。先週、検察が提示していた最重要証拠物件のビデオテープが証拠能力を欠くとの裁判所の判断により証拠物件から退けられたことで、同囚に対する再審の行方がかわってきた。
検察側では同囚が妻に犯罪を自白したとされるこのビデオテープを証拠として使用できなくなったことで第一級計画殺人罪による死刑から終身刑へと求刑を変更する可能性が出てきた。
同囚やその家族、支援者は死刑が免れるであろうことに一息ついてはいるが、終身刑として有罪判決が下される可能性が高いことに関して、予断は許さないという。同囚は刑を軽減するために犯罪を認める司法取引に関しては一切拒否しており、罪の軽減を求めているわけではなく、正義を求めている、とコメントしている。


5月29日(火)

中央政府とPSOE、司法改革協定に合意

昨日中央政府と野党第一党であるPSOEとの間で司法改革協定の合意が成立、アセベス法相及びロペス・アギラルPSOE議員によって発表された。この司法改革には司法審議委員会(CGPJ)の委員選出方法の変更も含まれている。
新システムの骨子は23項目から成っており、特に裁判の迅速化を図るために柔軟かつ適切な措置をとることが強調されている。現在までは午前中のみであった裁判事務手続き時間を午後まで拡大、事務処理、情報伝達方法を新式のものに替えていくなどの対策が盛り込まれている。
この改革にかかる総経費は2500億ペセタと見積もられ、2期にわたって徐々に改革を行う予定となっている。
PSOEではこの協定署名に関して、国民の側にたっての改革に意義を認め、合意に達したと話し、IU、PNV、BNG以外の政党からも評価された結果となった。

キャンプ中の小学生、渓谷に落下して死亡

昨日、バダロナの小学生が校外活動のキャンプ中、河渡りのアドベンチャー・スポーツの最中に3メートル下の渓谷に落下、2人が遺体となって発見されるという悲劇が起こった。
土曜日からのキャンプには38人の小学生が参加、事故が起きたのは午後4時ごろで子供6人と指導員2人が渓谷に張ってある綱をわたっていた。しかし、渡り終わる前に綱が切れてしまい全員が深さ7メートルの河に落下してしまった。綱の切れた原因は不明であるが、綱にかかった負荷が高すぎ、耐えられなくなったのではないかと見られている。
指導員2人と子供4人はレスキュー隊に救助されたが、死亡した2人は落下した際にパニックを起こし、水を飲んで溺死したのではないかと推定されている。

セウタの少年保護施設、衛生面に問題あり

公共衛生局の調査によってセウタにある少年不法移民を収容する保護施設の衛生状況が劣悪であることが明らかになった。この施設は15年間使用されていなかった軍所有の一軒家を自治体の社会福祉局が1年半前に借り受けたもので、収容人数は30人程度が限度。しかしながら、常時80人から90人の子供達が居住しているといい、窓ガラスが割れたままであったり、下水が壊れたままで、汚水がバスルームに広がった状態になっていたり、換気の悪い寝室で床に直接マットレスをひいて寝るなど、とても満足な衛生状況とは言えない。
この収容施設の少年達の大半は北モロッコから密入国してきた不法移民であり、少年達の間での争いも絶えない。
このような状況に関して人権擁護団体が今年3月に国家検察庁に報告書を送り、問題解決を要請しているが、自治体では新たな収容施設を建設することで解決できるとする。しかしながら、地元住民の間では収容施設近辺の治安が極端に悪化してきているとして、新たな施設の建設への反対運動を展開している。

EU内の値段比較、スペインは生鮮食料品が安く、電気製品が高い

ヨーロッパ委員会が行った各国の製品の値段調査によると、物価の高いといわれる国や付加価値税の高い国が必ずしも全ての製品が他国より高い値段であるとは限らない、という。委員会では各国の値段の相違は時により商品やサービスの円滑な流通が妨げられることに起因するとみる。
今回の調査の目的は、ヨーロッパ内における市場がひとつのマーケットとして機能することを妨げる要因を排除するにはどうすべきかという点について分析することであった。 スペインでは生鮮食料品についてはEU平均よりも安価であり、トマト、オレンジなどについては平均の半額程度の値段を示している。反対にポータブルCDプレーヤーやDVDデッキなどは平均価格よりかなり高額であるという結果が出ている。


5月28日(月)

バスク自治政府内務局長、辞任の意向をもらす

バスク自治政府内務局のハビエル・バルサ局長が側近に辞任の意向をもらしていることが明らかになった。このことはまさにこれから地方議会のてこ入れを考えるイバレチェ氏にとって大きな打撃となることは間違いない。
同局長は法務を専門分野とし20年以上にわたりバスク地方行政に携わってきており、バスク自治の法的側面からの擁護、自治政府の発展に寄与してきた。前イバレチェ政権ではETA対策、テロリズム打倒に力をそそぐも、ETAのテロ休戦時に徹底したテロ組織撲滅、市中での破壊行為に対する有効な手立てを講じなかったなどとして、野党、中央政府、ひいては身内でもある警察からも批判が強まっていた。このような立場から、同局長はこの職にかかる重圧からの開放以外にイバレチェ新政権がさらの状態で新たな時代を築くことができるようにと配慮を示した模様。
イバレチェ氏にとっては、バルサ局長の後継者選びが当面の難題となりそうである。 一方PNV首脳部では、今回の地方選挙によってもともと急進的民族主義を標榜、テロをもいとわないEHを支持する市町村の勢力地図が塗り替えられ、PNVが台頭したことが、ETAのテロを激化させるのではないかと心配している。

ガリシア地方選を前に各党南米詣で

今年の10月に予定されているガリシアの地方選挙を前に、各党では有権者の支持獲得を目指して、精力的に動き始めている。
ガリシアはスペインの地方の中でも外国への移民を送り出す地として有名であるが、今回の選挙においても在外選挙権を持つ人々が30万人と推定される。これは全有権者の15%にあたるため、おろそかにできない数字である。PP、BNG、ガリシアPSOEでは票集めのために南米各地を回る予定を立てている。
州知事候補の1人であるPPのマヌエル・フラガ氏は78歳という高齢にもかかわらず、4回目の知事当選を目指す。すでに昨年10月にはアルゼンチン、今年4月にはメキシコを訪問、積極的な選挙活動を繰り広げ、8月にはベネズエラへも訪問計画をたてている。
PPでは昨年末から今年にかけての深刻な狂牛病問題や漁業問題などがフラガ政権に影響を及ぼしかねない状況を憂慮し地方選前倒しを断念したという経緯があるが、現在のところ最悪の状況は去ったとみており、絶対多数獲得は疑いのないところであろうと楽観的な見方を示している。

EU委員会、スペインのたばこ農家への補助金撤廃を検討

ヨーロッパ委員会では、スペインのタバコ農家に対する補助金120億ペセタを減額もしくは撤廃する方向で検討に入っている。ここ数年間、常にささやかれてきたことであったが、今回は現実となりそうな状況である。
EU全体でのたばこの生産高はイタリア、ギリシャ、スペインの3国で85%を占めており、スペインはそのうちの12%、42000トンを生産する。スペイン国内ではエクストレマドゥーラでの栽培が全国の80%以上を占めており、タバコ農家が7000軒、間接的にタバコ産業に従事する人々は15000人に達する。関係各市ではタバコ産業に対する大打撃を防ぐためにも、国としての擁護を求める要望書をアスナル首相に提出、与党PPでもそれに同調、EU委員会へ積極的に働きかけていく方針でいる。また、小規模農家連合でも同産業に関連する業界全てが結集して立ちあがるよう求めている。


5月25日(金)

頻発化するETAのテロ、当局のテロ対策後手にまわる

昨日も、15日の新聞記者殺害未遂事件に続き、地元日刊紙「El Diario Vasco」のファイナンシャル・ディレクターがETAに射殺されるといった痛ましい事件が起きているが、捜査当局では最近のテロリストたちの身元、コマンド部隊の動きの把握が日々困難になってきている。
バスク地方警察や治安警察隊によって今年になってからいくつかのコマンド部隊が摘発されてはいるが、その生き残りや警察に知られていないメンバーによって新たな移動部隊が編成されていることが確実視されている。ETAの休戦中に行った組織の改編により、以前のようなはっきりと地域ごとに編成された部隊ではなく、各メンバーが自由に動き回って行動を起こしていることが、最近の犯行から推定される。
また、標的となる人物の情報収集をするメンバーは一旦情報をフランスに潜伏する部隊に送り、それを実行部隊に配分、各部隊がさらなる情報収集をした後犯行に及ぶという流れが、逮捕者の証言や押収された書類などから判明している。
さらに当局の頭を悩ましているのが、過激な若者達のETAへの編入である。実際、これらの若者は市中での破壊行為を繰り返しETAの下部組織と言われるアイカに所属、そこからETAのメンバーへと昇格していくため、新人テロリストの把握が困難を極めているのが現状である。

スペイン国内のストリートチルドレンは1000人以上

スペイン国内には1000人以上のストリートチルドレンがいるといわれる。その大部分がモロッコから不法に入国してきた子供達である。実際にこれらの子供達がどのような状況におかれているかについて研究されたものが近々発表されることになっている。
スペイン国内ではマドリード、バルセロナなどの大都市やアルメリアといった移民の多く住む都市、セウタやメリージャなどアフリカ大陸にある町が彼らの生息場所となっている。彼らは未成年であるという理由から親元が判明しなければ強制送還されることがないというスペインの外国人法に守られているため本国に帰ることなくスペインの地に住みついてしまう。 
保護施設に収容されてもすぐにそこから逃げ出し、同じ状況にある子供達や目上の同国人などと群れ、そのうちに犯罪に手を染めるようになる。かっぱらいやドラッグの売人、売春などを強要されることが多い。
このような状況に対して未成年者移民を保護する団体などでは、本国送還されなかった子供達には合法滞在許可書を付与するべきであると関係各局に働きかけており、また、当局もそれに沿った解決に向けて検討を続けている。


5月24日(木)

CISのアンケート調査が再び野党の攻撃の的に

社会調査センター(CIS)が行った次期カタルーニャ州地方選挙の投票の行方についてのアンケート調査に関して、昨日、国会ではアスナル首相及び与党PPに対し、野党各党が一斉に公費の無駄づかい、PPの情報操作などと批判している。先日もバスク地方選に関するアンケート調査の結果発表が期限を過ぎたことについて責任追及されたばかりである。
このアンケート調査には2年半も先である2003年秋とされるカタルーニャ地方選挙でどの党を支持するか、次期州首長にだれを推すかといった項目が含まれている。中でも現首長であるプジョール氏は今期限りでの引退を表明しているにもかかわらず首長候補として名前があがっていたり、州政府に属さないPPの現ピケ外相の名前までもがリストに含まれていたりと説明に窮する点が指摘されている。野党からは、PPの党としての利益を追求するためにCISをその手先として利用した、と強く非難されている。
この調査結果では現在州政府与党であるCIUにカタルーニャ社会党PSCが肩を並べるほどの躍進を見せており、パスクアル・マラガル氏の支持率もプジョール氏と同様に高率を保っている。カタルーニャにおける一番の問題は失業と移民問題である、ということも明らかにされている。
このアンケート調査はカタルーニャ4州に在住の18歳以上の2778人を対象に3月3日から26日までに行ったもの。

レドンドPSOEバスク幹事長、議会与党との対立の時代に幕

昨日バスク州暫定首長イバレチェ氏はレドンドPSOEバスク幹事長を招き、2時間に渡って話し合いを行った。
この席でレドンド氏は、前議会までの与党PNV及びイバレチェ氏との対立の時代に幕をひき、前向きで新たな関係を構築していく考えを持っていることを明らかにした。PSOEは "建設的かつ柔軟" な野党としてすべての人々にとって自由、平等である社会をめざし、民族主義政党及び他政党と将来にわたって協力していく姿勢を示した。そして、党として、自らの考えと異なることをしろ、と求める事はしないとはなし、民族主義達の彼ら自身の政策を尊重する旨のコメントを発した。
さらにはETA撲滅のために民主主義が一致団結し、イバレチェ氏がEHとの協力関係を破棄したことは朗報であると高く評価した。

「Diario Vasco」の幹部、ETAに射殺される

今朝8時半ごろ、サン・セバスティアンのマティア病院前の駐車場で日刊紙「Diario Vasco」のファイナンシャル・ディレクターがETAによって射殺された。殺害されたのはサンティアゴ・オレアガ氏、54歳で、出勤する前に肩のけがのリハビリのために同病院へ立ち寄るのがここ1ヶ月の日課となっていた。
犯人は一人で、車から降りた同氏へ7発の銃弾を撃ち込み、そのまま歩いて立ち去った。その1時間後に現場から数キロ離れた場所で逃亡の際に使用されたと見られる乗用車が爆破されている。
一方、昨日ビスカヤ県のレイオアでバスク州立大学に勤務する警備会社社員の自家用車運転席の下からタッパに入ったダイナマイトが発見されている。この社員は大学での勤務が終わったあと駐車場においてあった自家用車で自宅にもどり、車から降りる際にそのタッパをみつけたという。幸いにも起爆装置が作動しなかったため大事故にはいたらなかったが、人一人を殺傷するに十分な威力を持つものであったという。


5月23日(水)

イバレチェ氏とEHの会談決裂、EHの支持を受け付けず

昨日行われたバスク州暫定首長イバレチェ氏とEHのオテギ氏及びモルシージョ氏との会談で、当初予想された通り両者の話し合いは平行線をたどり、イバレチェ氏によってEHとの関係は断ち切られた。
イバレチェ氏は選挙時の方針を踏襲する形で、テロ、暴力を否定しないEHとはバスク平和を話すことができないという判断を固持したもの。
PNVのアルサジュス党首も、ETAが人殺しを続ける限り、EHとの協力体制はないとイバレチェ氏の判断を支持、さらには、前議会ではEHがPNVとの協力体制を自ら放棄するといったイバレチェ氏に対してした仕打ちを忘れることはない、と付け加えた。 しかし、PNVの盟友であるEAのエラッツィ党首は「たとえ、EHが暴力を否定しても話し合いは続けられるべきである」との意見を出し、イバレチェ氏の判断を承服しかねる旨のコメントを出している。
一方、PNVに締め出された形となったEHでは、バスク民族主義者達を排除したままで暴力を解決する図など想像できない、と語り、この決断によって"過去の勢い"が戻ってきたとしてもその責任をとるのはPNVとEAである、と警告した。

ETAのコマンド・マドリードのメンバー身元判明

1999年の年末にETAが休戦協定撤回を通告してからマドリード市内におけるETAのテロ行為は7つにも及ぶ。その実行犯ともいえる"コマンド・マドリード"のメンバー3人の身元が判明したことが内務省から発表された。これはマドリード市内で起きたいくつかの車爆破テロの目撃証言をもとに捜査を続けた結果であるが、テロ対策局では100%確実とは言えないまでもかなり信憑性は高いとする。
身元が判明したメンバーはアルベルト・レイ、ラウル・アンヘル・フエンテス、イニャキ・イスンディア。レイは5月11日の車爆破現場に車を残し、その場から立ち去った人物として目撃されており、イスンディアも同様に現場にいたとの証言がある。レイは数年前にETAに協力したという罪状で逮捕されたことがあるが、その後地方管区裁判所から釈放されている。イスンディアはビスカヤ県のオルトゥエジャ市議を務めたことのある人物であるが、1993年に地方警察官に暴行をはたらいたかどで1年半の懲役刑をうけている。
昨年にマドリードの中心地で爆破テロを起こした主犯がラウル・アンヘル・フエンテスであるとされ、この人物はコマンド部隊の古株で1995年にやはり懲役刑を受けながら仮釈放となり、その間フランスに逃亡、ETAの休戦時にマドリードに潜入していたものとみられている。
テロ対策局ではこの3人以外にもコマンド部隊を形成する人物、情報収集にあたる協力者がいるものとみて捜査を続行している。

アルサジュス党首の発言が国王に対する不敬罪にあたるかを検察庁が検討

何かと問題発言が多いPNVの党首であるアルサジュス氏がメキシコの雑誌のインタビューにて、スペインのフアン・カルロス国王のことを"ばか"呼ばわりした件について、国家検察庁のカルデナル長官はこの発言が不敬罪にあたるかどうかを検討する可能性があることを発表した。
この発言は、国王がセルバンテス賞の授賞式の際に"スペイン語の使用が強制されたことはなかった"と話されたことに対して、この文章を政府が書いたものと踏まえた上で「でも、"ばか"だ。たとえまわりのものがこの文章を書いたとしてもばかげた発言をしないためには事前に読んで欲しいものだ」としたもの。
アルサジュス党首は、「どうして国王を"ばか"と呼ぼうか。いったい何について?」と発言自体を否定、アナサガスティPNV議会スポークスマンも「検察庁にはもっと別の取り組まねばならない仕事を抱えているだろう」と批判した。


5月22日(火)

オテギEHスポークスマン、EH抜きでバスクの平和はありえない、と警告

本日にもイバレチェ暫定バスク州首長と会見を予定しているEHのスポークスマン、アルナルド・オテギ氏は、昨日会見に先立ち、「EH抜きにバスクの平和はありえない」とイバレチェ氏に警告、さらに「イバレチェ氏はバスク州民から選挙で手渡された扉の"鍵"を、EHを締め出し社会主義者たちに開かれるために利用している」と攻撃した。
イバレチェ氏は地方選時より、EHがテロ集団であるETAと袂を分かつことを明らかにしない限り、平和に関する対話のテーブルにつくことはないと言明しており、その方針は現在までもかわっていない。オテギ氏はそのようなPNV及びイバレチェ氏の態度を過去への回顧と批判、しかしながら、バスク主権主義を推し進めるための政治的同盟を提案すると話している。
それに対し、イバレチェ氏はオテギ氏に自らの思想を捨てよとは言わないが、暴力を容認する態度を改めない限りはEHとのいかなる協力も考えられないことをはっきりと言い渡す予定にしている。

バルセロナ自治政府、禁煙に成功した人にその薬剤費用を還元

昨日、バルセロナ自治州政府の衛生局は、喫煙者が禁煙することに成功した場合にそれにかかった薬剤費用を還元するという試験的プログラムの導入を発表した。まずは自治州内にある3つの地域を対象とし、結果によっては来年にも州内全域に広げていく予定としている。
現在、タバコをやめるための薬、ニコチンばんそうこうやガムなどには公的負担が全くない。今回の試験的プログラムでは、プログラム参加者が禁煙に成功したというお墨付きがもらえれば、最高5万ペセタを限度に費用の還元が認められる。参加資格は16年以上の慢性的喫煙者で、プログラムに登録後6ヶ月の期間を経て化学的なメディカルチェックに合格することが必要となる。
衛生局では当該地域の喫煙者22000人のうち、4000人がこのプログラムに参加し、1000人が成功するであろうとの見方をしている。このプログラムにかける予算は7500万ペセタで自治政府とカタルーニャ薬剤師協会が負担する。
カタルーニャでは毎年タバコの害による死亡者が8000〜9000人にのぼっており、医療費は800億ペセタともいわれる。自治州ではこのプログラムの大きなキャンペーンをはり、喫煙者へ訴えていきたいとコメントしている。

バスクTVのヘリコプター墜落、3人死亡、1人重態

昨日夕方、バスク公共放送ETBのドキュメンタリー番組撮影中に、撮影班の乗っていたヘリコプターが墜落、3人が死亡し、1人が重態となる事故が起こった。
この事故はビスカヤ県マルキナにある石切り場を低空で撮影している最中に地上30メートルに張ってあった石を切るための鋼鉄の綱にヘリコプターが引っかかりそのまま石切り場へと墜落したもの。事故現場である石切り場で働いていた人々によると、ヘリコプターは地上15メートルほどのところを飛行しており、石を切る際にあがる粉塵で視界が悪くなって綱が見えなくなっていたのではないかという。死亡した3人はヘリコプターの操縦士、カメラマン、番組のディレクター。
幸いなことに墜落現場で働いていた人達はその場から逃げることができたため大惨事になることを免れた。


5月21日(月)

アルサジュスPNV党首、後継者をイバレチェ氏に指名

昨日、アルサジュスPNV党首はバスク州暫定首長であるイバレチェ氏を次期PNV党首として指名し、自らの退陣が次回の党改選時であることを明らかにした。アルサジュス党首は先のバスク地方選で60万の支持を受けた現在、円滑な政権交代に最適な時期であるとの判断を下した。
アルサジュス党首は25年にわたりPNVに君臨、党内外でのカリスマ性が強調されているが、年齢から考えて引退の時期の見極めも重要な課題となっていた。2004年の次期党改選時までの数年間で徐々に政権交代を行うことで党内の軋轢を減らすことができると考えてこの発表を行ったもよう。
アルサジュス党首は「身をひく順番が私にも回ってきた。すでに政治の第一線から退く過程にいる。党内の刷新を図るにあたり社会のリーダーであるイバレチェ氏のような人物に党をまかせることが重要なことである」とコメント。
一方、PP及びPSOEではアルサジュス党首の政界引退発表を疑問視しており、PPビスカヤ支部長は「改革の意志がなければ、どんなに首のすげ替えをおこなっても、なにも変わらない」と話している。

M&Sの従業員、マドリードでデモ行動

英国の大手スーパーマーケットであるマークス&スペンサーのヨーロッパ撤退発表から2ヶ月、フランスやベルギーでは早くから従業員の権利を求めて行動を起こしていたが、スペインでは昨日初めて、撤退に反対したデモを行った。労働団体CCOOやUGTなどの主導によりスペイン国内9店舗、786人の従業員のうち500人がマドリードに終結英国大使館からセラーノ通りの支店までを労働者の雇用と権利を訴えねり歩いた。
CCOOの書記長は「利益の出ている企業が突然の営業停止と何千人もの従業員の一斉解雇をする権利はない。ヨーロッパの政府はこの種の行動を避けるための措置を考えるべきだ。」と話す。
スペインでは本国のM&Sとの話し合いにより最大限の補償金支払いに合意しているが、従業員側では店舗を他企業に売却したときにその企業での雇用を保証してくれるよう要求を出している。

マドリードにおけるエイズ死亡者数、減少

マドリードはスペインのみならず、ヨーロッパにおいてもエイズの罹患率の高いことで有名である。1980年代の初頭、マドリードで14000人といわれていたエイズ患者のうち現在までに8880人が死亡している。
マドリードの衛生局によると、最近になってこのエイズによる死亡者数、新たにエイズと診断された患者数が減少しているという。1996年には年間の死亡者数が1500人であったのが昨年は410人、エイズと診断された患者が1700人から435人となっている。
人数自体は減少しているものの、罹患する患者の属する集合体に変化はなく、相変わらず、注射器を他人と使いまわす麻薬常習者、予防措置をとらないホモセクシュアルの男性に多くの患者が発生しているという。
新たにエイズと診断された人のうちの80.5%が男性、73%が25歳から39歳、68.6%が静脈注射をするタイプの麻薬常習者という結果も出ている。


5月18日(金)

アスナル首相、平和を求める対話の席に"自決権の余地はない"と言明

昨日、アスナル首相はバスク州の政局の安定化を目指すための対話の席に民族主義政党の掲げる"自決権"の余地はないと言明した。スペインには侵害することのできない憲法という規定が存在する、というのがその理由であるとする。PNVのアルサジュス党首が"アイルランド方式"による対話を求めたことに対しては、北アイルランドとバスクでは歴史的な土壌が異なると話す。
また、対話をするということはある種の枠組みにそって話し合いをすることであり、その枠組みを取り払うことを強制するものではないであろう、とし、バスク政府の先行きを見守っていきたいと続けた。特にイバレチェ首長がEHから流れてきた急進的民族主義者たちの8万票にどう対応するのか、EHとは話し合うことはない、と選挙前に公言したことを守れるのかどうかを確かめる必要があることを強調した。
さらに、アスナル首相はバスク州政府が税務問題を話し合うEUの閣僚会議にバスク独自の代表者を送りたいという意向を拒絶。ラホイ副首相も、EUは国家の集合体であって各国の州知事が全て出席できるものではない、それはドイツであろうとイタリアであろうとスペインであろうと同じだ、と説明した。

カスティージャ・イ・ラ・マンチャ、家庭内暴力の加害者の名を公表する法案を可決

カスティージャ・イ・ラ・マンチャ州議会は昨日、賛成多数で虐待予防及び虐待被害女性保護法を承認した。この法案では、家庭内暴力の刑事責任が問われ、確定判決が出た加害者の氏名を公表する、というもの。公表に関しては、被害者やその家族、特には未成年者のプライバシーを犯す危険性があるため、常に被害者の同意のもとに行われるという条件がつく。
この法案承認に至るまでには、個人情報保護法を侵害しないよう議会の社会行政委員会が法案修正を行い、虐待者のリストや記録カードなどは作成されないという条項が盛り込まれた。司法審議委員会(CGPJ)でも記録カードの作成が個人情報保護法や憲法に違反するという判断を示しており、CGPJが毎年発行する判例集からも氏名の部分に関しては削除していると説明。
行政省でも、この法が個人情報保護法に抵触すると考えており、検討書を作成後法務省の判断を仰ぎ、最終的には憲法裁判所へ訴えるかどうかの決定権を持つ閣僚会議に判断をゆだねる。
州議会では、法案承認と同時に家庭内暴力、虐待の被害女性たちを支援するプログラムも採択された。女性達が一時的に避難する事のできる保護施設を人口25000人以上の市町村に建設、緊急専用電話を設置、公共住宅への優先的入居など。さらには女性たちの経済的独立を助けるため、これらの女性を雇用した場合に企業へ補助金を与えることで、就職の機会を増やすことを目ざす。


5月17日(木)

最高裁による"マレイ事件"の判決、バリオヌエボ、ベラ両名再び刑務所へ

昨日最高裁は、元中央政府内相ホセ・バリオヌエボと元国家保安委員長ラファエル・ベラに"マレイ事件"に関して、先日憲法裁判所が下した裁定に従い、残りの刑を服さなければならないとし、両名の刑務所収監を命じた。1998年3月に閣僚会議にて刑期の3分の2を免除する恩赦が認められたが、その残っている刑期についての免除は憲法裁判所に却下されていた。バリオヌエボは1104日、ベラは956日を残しており、その他の被疑者9人もそれぞれ502日から852日の間で刑期を果たさなくてはならない。しかしながら、囚人の持つ刑務規定を新たに適用することとなるため、刑期の3分の2を終了した時点で仮釈放措置がとられることになる。さらに第3級処遇をうけることとなるため、月曜日から木曜日まで刑務所で夜を過ごせばよく、それ以外は自由の身を満喫できる。
両名の刑務所への収監は今週末もしくは来週の始めとされる。

少年愛好者2人に66年と17年の懲役

昨日、バルセロナ地方管区裁判所は少年達にわいせつな行為を働き、ポルノ映像などを撮影していたラバル地区の青少年センター指導員シャビエル・タマリトとコンピューター技師のジャウメ・リにそれぞれ66年と17年の懲役を言い渡した。
タマリトは1983年よりセンターの指導員として少年、少女達に接してきており、その地位を利用し子供達の信頼を得た後、わいせつ行為に及んでいた。同人は以前にも同様の罪状での前科を持ち、その仮釈放中に再度子供達への強制わいせつ罪で訴えられていた。
裁判所では被害者となった子供たちからの証言をとり、信頼にたえうると判断、また専門家や自治州精神科医の意見も証拠として採用された。
一方、自分の子供を金銭と引き換えにタマリトに貸したとされる両親に対しては "疑わしきは被告人の有利に"という原則を重視し、証拠不充分で無罪判決を言い渡した。

国際陸路運送連合会がスペイン、モロッコ内務省に移民の不法出国取締まり強化を求める

国際陸路運送連合会(IRU)はスペイン、モロッコ両国の内務省に対し、トラックやバスに隠れてスペインへの不法入国を試みる移民達の取締り強化を求める文書を提出した。
実際にはスペインのアルヘシラスへ向かうフェリーの発着所であるモロッコのタンジェの港では何の取締まりもなされておらず、不法出国し放題の状況にある。トラックやバスが乗船待ちをしている間に床下や機械室などにもぐりこみ、そのままスペインの地へとたどりつく。
IRUでは現在のモロッコの当局に落ち度がある、とは言わないがこのような問題の解決に努力をしてほしい、と考えている。
スペイン政府自体も先月モロッコの外相に国境での不法出国や麻薬の取締まりを強化して欲しい旨の要望を提出しているが、モロッコでは反対に漁業協定が決裂してからスペインの治安警察隊のトラックに対する取調べが厳しくなったと不満を漏らしている。


5月16日(水)

イバレチェ氏、バスクでの平和を求める席からEHを排除すること発表

バスク地方選挙で勝利をおさめたPNV−EA連合のイバレチェ暫定バスク首長は議会での組閣を控え、各政党との話し合いに入る予定にしているが、バスクの平和を求めるための対話の席にEHを含めないことを明らかにした。イバレチェ氏はイマス・スポークスマンを通して、将来に向けて政党間の接点を大きくとり、間口を広げておきたい意向であるが、EHに関しては、EHがETAとは一線を画し、暴力を否定する立場に方向転換しない限り、同席することはない、と強調。このテーブルにつくには人々の生活、民主主義に対して"最低限の倫理観"を持つ政党であることが必要であると述べている。
また、新たな時代を築くには民族主義者、非民族主義者にかかわらず、欺瞞のない、開かれた政党同士の協力が必要になってくる、と示唆。これまで1年半にわたって断絶していたPPとの関係に関しても、PPが歩み寄りの姿勢を見せていることに満足の意を示し、中央政権、アスナル首相には今まで以上に扉を広く開けて待っていることを確認し、「今まではアスナル首相の方からわれわれ全ての提案を蹴ってきた」ということを付け足すことも忘れなかった。

小包が爆発し、新聞記者負傷

昨日、ギプスコア県サラウス市の新聞記者宅で送られてきた小包が爆発、記者本人が重傷を負った。被害にあったのは"Cambio16"の記者やTV局"Canal Sur"のバスク特派員を務め、"Gesto Por La Paz"団体のメンバーでもあるゴルカ・ランダブル氏。同氏は以前より急進的な民族主義活動家の標的となっており、家屋に石や火炎びんを投げつけられたり、脅迫状を送りつけられるなどの被害を受けていた。最近になって、ETAのコマンド部隊の記録に同氏の名前がでてきたことから、警察による警護がついていた。前々日に送付された郵便物の中に問題の小包があり、護衛官が詳細に調べることをすすめたが、定期的に送られてきていた刊行物だったため格別の注意を払うことをしなかった。
同氏は昨日になってから郵便物に目を通し、小包も開封、その直後爆発が起こった。同氏は右手親指切断、眼内出血を含む顔面及び腹部への負傷を負ったが、命に別状はない。 バスク警察では早速爆発物の分析をはじめており、内務省ではそれほど威力の高くない火薬か何かであろうという見方をしている。

中央政府、37人の不法滞在ナイジェリア人を強制送還

昨日未明、内務省は予定を早めて不法滞在中のナイジェリア人37人を特別チャーター機で本国に送還した。この措置は本国送還に反対するNGOの介入を防ぐために夜間に行ったものとみられる。
しかし、今月3日より移民達が収容されていたマラガのカプチーノス拘留センターに警察官達が到着したときに、センターの入り口付近には40名ほどのNGOのメンバーが本国送還反対を表明し、約30人の警官隊の進入を阻もうと待機していた。その際に小競り合いとなりNGOのメンバー4人が負傷し、本日にも告訴する構えを見せている。 この警察の介入に関して、中央政府マラガ副担当官はこれらのメンバーが警察のワゴン車を阻止しようとして路上にコンテナを置いたり、暴行を働くなどの行動をとったためやむをえなくしたもの、と説明している。
アンダルシア保護の会では、移民保護の権利に抵触するものとして法的措置をとることを発表、またPSOEは国会にてラホイ内相に直接説明をするよう求めている。


5月14日(月)

PNV−EA連合、バスク地方選に勝利

昨日行われた、バスク地方選挙において穏健派民族主義政党の連合であるPNV−EAが前回98年のときより大躍進、勝利をものにした。
PNV−EAは全議席数75のうち33議席を制し、絶対過半数に5議席不足するものの、非民族主義政党PPの19議席及びPSOEの13議席の総計を上回る。バスク州の3県アラバ、ビスカヤ、ギプスコアでの分布を見ると全体的に議席の獲得を伸ばしており、元来、PPのお膝元であるアラバ県でもPPと獲得議席を同じくし、9議席となっている。また、急進的民族主義政党であるEHが根強い支持を受けているギプスコア県でもPNVは前回より6議席、ビスカヤ県でも3議席を増やし両県とも12議席ずつ獲得している。
投票率も79.9%と前回より10%増え過去最高となり有権者数181万人の関心の高さがうかがわれる。投票率の上昇に伴い、各政党では得票率も増やしているが、唯一EHへの投票者が減少、前回は14議席を持ち、全体の17.9%の得票率を獲得していたのが今回は半分の7議席、10.1%となってしまった。この減少した分の票はそのままPNVへと流れた形となり、結局は民族主義政党としての獲得議席数に大きな変化はなかった。
この結果にPNVイバレチェ首長は早速ビトリアにて勝利宣言を発すると共にこれからの抱負を語った。
まずは、バスク州民の10人に8人が投票権を行使したことへの感謝の意を示し、バスク社会がはっきりと、テロ行為に反対との意思表示をしたことを評価。そして、新たな時代を築くために"遺恨や報復"など考えず全ての政党に対話を求めていくことを明らかにした。また、次期立法議会は罵倒や対立のない、対話と理解と平和によるものでなければならない、とした。

金融機関の手数料収入11%アップ

銀行や信用金庫などの金融機関では、以前には無料で行っていた様々なオペレーションに関して手数料を徴収するようになり、それによって手数料収入が1年間で11%増加し、2000年度には1兆2千億ペセタに達していることが明らかになった。
これは最近になって各金融機関が当座預金の口座維持料やカード類の家族会員の年間手数料の引き上げ、また、同じ銀行の支店間での銀行送金手数料などを徴収することになったことによる。さらには自社系列のATMから現金を引き出す場合にも手数料を取るようにかわってきている銀行もある。
2000年度に発行されたクレジット・カード、デビート・カードは4700万枚で前年度比10%増。それに伴いカードでの支払いも21.4%増えているという。 手数料収入の中では株式の売買手数料が占める割合も増えてきており、スペイン人の家庭に株式売買が浸透してきていることがみてとれる。2000年度にはマドリードの株式市場が低迷していたにもかかわらず、35.5%増の手数料収入が見られ97年時から見ると80%増となっている。


5月11日(金)

エアーヨーロッパ社長、カジノ経営のライセンス不許可に不服を示し、PPを訴える

航空会社エアーヨーロッパや旅行会社アルコン・ビアヘなどを含むヨーロッパでも大手のグループ企業グロバリアのフアン・ホセ・イダルゴ社長は、サラマンカにおけるカジノ経営のライセンスを付与されなかったということに不服を示し、カスティージャ・イ・レオン州議会及びサラマンカ市役所を訴えた。
グロバリア・グループはカタルーニャの企業のシルサと組んでサラマンカ市にカジノ場を開くためのライセンスを申請したが、ア・コルーニャに本部を置くコマールグループが経営ライセンスを取得し、グロバリア・グループには許可がおりなかった。同社長によればサラマンカ市長が経営ライセンスの付与を約束したとのことであるが、州議会与党のPPが手をまわして許可を阻止したという。さらに、コマールグループの地元サラマンカの新聞社、PPの党員達との利害関係を指摘、また、コマールグループがカジノ建設予定地としているところは旧製粉工場で小学校から100メートルと離れていない地にあり、法に抵触する可能性があると州議会の決定に異議申立てをすることにしている。
グロバリアグループはサラマンカ空港の99%、バジャドリ空港の75%の経営を握っており、州の決定いかんによってはバジャドリ−バルセロナ間の就航停止、州内の企業を他の地に移すことなどもにおわしている。現在アルコン・ビアヘだけでも州内年間1500億ペセタの売上を計上しており、全面撤退した場合に州の税収に大きな打撃となるだけでなく、500人が失業の憂き目にあうことになる。

マドリードで何千もの人々がシンテルの社員を支援してデモ

昨日の午後マドリードで、滞納している給料の支払いと、行政府と労働組合、会社の経営陣との間の交渉による解決を求めて、警察の情報によると7000人、組織者らによると20000人というシンテルの社員を支援する人々がデモを行った。このデモはシベーレス広場とプエルタ・デル・ソル間を練り歩き、カンディド・メンデスUGT事務局長、マヌエル・フェルナンデス"リト"MCA−UGT事務局長、CC.OO.のイグナシオ・フェルナンデス・トクソ鉱業・冶金連合事務局長、CIGAの責任者マヌエル・メラ氏、左翼連合のコーディネーター・ガスパール・ジャマサーレス氏、マルセリーノ・カマチョ元労働組合リーダーも人々に加わった。
さらに昨日の午後、政府は、"話し合って解決策を探すため"シンテルの経営陣と社員の間に来週の水曜日にむけて集会を召集した。この集会は科学テクノロジーの本部で開かれ、ファン・カルロス・アパリシオ労働大臣が仲介の労を取る予定である。
シンテルの委員会アドルフォ・ヒメネスは、"遅れて"到着したが、"積極的な"イニシアチブを評した。しかしながら、1996年までこの会社の親会社であり、ヒメネスによると"この難局の主な責任者"であるテレフォニカが、この場に居合わせるべきであると加えた。
シンテルは1996年までテレフォニカの子会社であり、かなり不透明な取引でキューバンアメリカンの事業者ホルヘ・マス・カノサに売却され、そのころから経営の悪化が深刻化した。去る2月にカルロス・ヒラがこの会社を2ユーロで購入し、政府やテレフォニカと経済的な解決法を話し合う試みをもったが、何の進展もなかった。

カステジョンでタンクローリー炎上、鉄道の架線に大きな被害、復旧に1週間か?

昨夜遅く、カステジョンの国道225号線のトンネルでタンクローリーが炎上、トンネルの上部を走るRENFE(スペイン国鉄)の架線にまで延焼した。
このタンクローリーは18トンの液化石油ガスを、タラゴナのサラウからカステジョンのレプソル・ブタノ工業団地まで運ぶ途中であった。このトンネルは高さ3.35メートル以上の車輛の通行は禁止となっていたが、運転手は通過できると思いトンネルに進入した。しかし、実際はタンクローリーの高さが制限よりも10センチ高かったためにトンネルの天井に激突して炎上したもよう。
この事故で付近住民200人が避難することとなったが、負傷者はでなかった。国鉄の線路の被害は甚大で復旧には1週間ほどかかるとみられており、その間、バスによる振替輸送が行われる。


5月10日(木)

バスク地方選、投票の行方を探る調査表の信憑性に黄信号

総理府省に属する社会調査センター(CIS)が行ったバスク地方選の投票の行方を探る調査表が期限内に提出されなかったことに関して、中央政府では技術上の問題と説明したが、野党から調査表の改ざんが行われたのではないか、との攻撃を受けている。
1日遅れで公表された調査表では各党の予想獲得議席数が民族主義派(PNV−EA、EH)と立憲派(PP、PSOE)とが拮抗している。しかしながら、一部には立憲派の予想獲得数が意外にも少なかったために中央政府が各政党に結果を通知する以前に数字の操作を行ったという話もでてきている。また、中央政府が遅れの原因としたCISの技術上の問題という点に関しても、CISの3分の2の調査員からそのような事実はないと明らかにされていることから、発表された調査結果の信憑性が疑われている。
PSOEからも民主主義のルールを破るものである、と糾弾されている。

シンテル、3通目の解雇通知、倒産申請間近

1996年までテレフォニカの子会社であり、その後キューバとアメリカの合弁会社に売却されたシンテルは深刻な経営危機に陥り、最後に残った従業員960人に対する解雇を労働省に申請した。すでに1回目には796人、2回目には405人の従業員の解雇を申請しており、1通目に関しては労働省が認めている状態にある。
解雇された従業員は昨年7月から給与の支払いがされておらず、労働省のあるカステジャーナ大通り沿いにバラックを建て、政府とテレフォニカの間で話し合いを持ち何らかの解決策を提示するよう立てこもりの抗議運動を展開している。
裁判所は、シンテルは200億ペセタの負債を抱え支払能力がなくなっていることを認め、給与支払いをしなくていい旨の裁定を下している。
これにより、企業もしくは債権者により同社の倒産が申し立てられることが可能になる。

事後避妊薬の導入に際しての論争がまきおこる

明日金曜日から導入される"翌日のピル"と呼ばれる事後避妊薬に関して、各方面からさまざまな意見が出されている。
カトリック司教会では「これは中絶薬であり、受精することを避けるという時点からして殺人に値する」とこの避妊薬の商品化に反対し、「命は神から授かったものでどんな犠牲を払ってでもまもっていかなければならないもの」と説く。アンダルシアの司教は、州内での無料処方を発表したアンダルシア議会に対し、「人間としての概念をもてあそぶもの」と批判、「生命に対するテロ行為である」と付け加えた。
世界保健機構(WHO)の、子宮壁に受精卵が着床した時点をもって妊娠とする、という規定からすると、この避妊薬は受精及び着床を回避するためのものであるため中絶薬というには語弊がある。そして、この薬は一旦着床してしまった受精卵には効果を及ぼさないため、妊娠中絶効果はない。
一方、厚生省ビジャロボス大臣は「この避妊薬は社会保険でカバーされることは無い」と繰り返し述べ、「国家の薬剤経費が高騰している今、公的負担はできず、負担しなければならない薬剤は他にもある」とする。
アンダルシアではすでに7000箱の注文を出しており、1400万ペセタをアンダルシア衛生局で負担することになる。この無料措置に関してはアストゥリアスやエクストレマドゥーラなどの社会党が政権を握る地方での支持をとりつけており、社会保険庁の管轄下にないナバーラ、カタルーニャでは薬局にて実費購入となることを決定している。


5月9日(水)

ガリシア州議会、人工的延命措置医療に患者の意思を尊重することを法制化

昨日ガリシア州議会は、カタルーニャ自治州に続き、人工的延命措置医療を行うかどうかの決定権を患者に与えることを法制化した。
この法には患者が希望する治療方法を受ける権利や自分の疾病の進行状態を知る、もしくは知らされない権利も含まれており、議会では大きな進歩であると評価している。
事前の意思確認は患者が末期症状に入り自らの意思を表明できなくなったときにどのような処置を施してもらいたいかを書面にて残し公証人もしくは3人以上の成人の面前で署名されなければならない。
社会党のシャビエル・カサーレス議員はこの案に賛成票を投じたPPへ感謝の意を示し、ガリシア人が自分の意思を持って無用な人工的延命措置を拒否し、植物人間化することを避けることができると話す。
"消極的安楽死"権ともいえる権利が法制化されたことで、医療現場では現在の医療状況を患者に説明する義務が発生する。しかしながら、患者自身がその説明を拒否した場合はその限りでは無い。

事後避妊薬、今週末より市場に出回る

一般的に"翌日のピル"と呼ばれる事後避妊薬が公立救急病院や初期医療施設において今週末より処方されることとなる。この避妊薬は若年層の望まない妊娠を避けるための緊急医薬として厚生省の認可を得ており、医師の処方箋がなくては購入できない。販売価格は3191ペセタで、2畳入り。厚生省ではあくまでも緊急用であり、避妊薬として常用する性格の薬ではないことを明確に定義している
この避妊薬には公的薬剤負担がないため、個人の全額負担となるが、利用希望者の大半は若年層となるため個人で買える金額ではない、との心配も出ている。
これに対しアンダルシア州では公立の病院、診療所で希望する全ての女性に無料で処方する予定にしている。マドリードでも今までは自治体衛生局の助成を受けている青年計画センターで、同様のケースを扱ってきたが、無料で通常のピルを普段より多く服用する方法を用いて対応してきた。センターの婦人科医はこれからもワクチンの摂取と同様に無料で今まで通りつづけていけるよう衛生局との話し合いを望んでいる。

タクシー運転手のタクシー業法違反を調査

消費者・利用者団体(OCU)ではスペイン全国10ヶ所でタクシー運転手のタクシー業法違反調査を実施、各場所で長距離、中距離、短距離で利用した場合、業法がどの程度遵守されているかを報告書にまとめた。
この調査では長距離で一番値段が高いのはマドリード、短距離では最低料金が決まっているビルバオ、マラガであることが判明。違反の質では運転手のみなりの悪さといった軽度のものから乗客が指示した通りの道を行かないという重度のもの、ひいてはタクシーメーターを操作する、正当な理由無く乗客を下ろす、不当な追加料金を請求するといった超重度のものまである。全くの違反がなかった例は180のうちの2例に過ぎず、惨憺たる結果が出ている。
マドリードのタクシーに限って言えば、軽度の違反を犯しているのは55%に上っており、バラハス空港の国際線ターミナルで客待ちをするタクシーが一番悪質でることも報告されている。
マドリードプロフェッショナルタクシー連盟の会長は、実際に大部分のタクシーは規定を大幅にはずれることなく業務を遂行しているが、空港からのタクシー運転手は法規違反をしていることは明白で、法的に制裁を加えることが可能なものも多く、この業界のイメージダウンにつながる、と話している。
マドリード市役所では、悪質なタクシー運転手の身元をつかんでいるが、制裁を加えることはタクシー連盟がしぶったために棚上げとしていると説明、その理由として、空港での調査を行うことで悪質なタクシー運転手達が他の仲間に暴力を振るったり脅迫したりということが起こったためとしている。


5月8日(火)

不法滞在エクアドル人の自発的本国帰還政策、中途で終了

批判の多かった移民局による不法滞在エクアドル人の自発的本国帰還政策は3000人が利用した時点で終了となったことが昨日マリアノ・ラホイ内相より発表された。
この政策は増えすぎてしまったスペイン国内に不法滞在するエクアドル人を合法滞在化するため、中央政府が往復の旅費を負担し、本国で正式にビザを取得させ合法的にスペインでの居住労働を許可しようと意図していた中央政府の苦肉の策であった。この政策に申し込みビザを取得しスペインに戻ってきたエクアドル人は現在までに1500人、今月中に800人がそれに加わる。残る700人に関しては、"戻ってくることを望まなかった人々"であるとラホイ内相は説明している。
このプランにのれなかった21000人のエクアドル人に関しては、スペインに滞在しながら合法化手続きの結果を待つこととなる。書類審査の順番に関してエクアドル人を優先するかどうかについては言及されていない。
さらにラホイ内相は、2年か3年をめどに、現在105万人いる合法滞在移民が2倍の200万人ほどに増えるであろうことを示唆した。しかし、現状では審査業務がなかなか進まないことが指摘されており、それに関しては"特別な配慮"をもって手続きを進めるとし、審査の迅速さをめざすため事務手続きの簡素化と移民事務局の改善に力をいれていくと話した。

タイアレス号、ついにジブラルタル港を離れる

昨日午前9時、英国の原子力潜水艦"タイアレス号"がついにジブラルタル港を離れた。 昨年5月19日に同号の原子炉冷却装置の故障により寄港して以来353日ぶりのこと。環境汚染の元凶となると地元住民からの抗議もあり、同港での修繕に反対する声が大きかったが、英国政府に押し切られる形で行われた。
今回の件を振り返り、英国原子力船隊のピーター・ウィルキンソン指令官は「今後、ジブラルタル港での原子力潜水艦の修理を行なわれることはないであろうが、どこで何がおこるかはわからないのだから絶対とはいえない。」と話し、ジブラルタル領ピーター・カルアナ総督も「ジブラルタル住民の同意なしに英国が修繕を強行することができないよう法令化することを考えている」と強調した。
一方、スペインのピケ外相も英国クック外相より英国政府として「ジブラルタル港を原子力潜水艦の修繕に利用することはないし、"タイアレス号"で使用した修繕設備も撤去する予定になっている。」との確答を得ていることを明らかにした。

教育相の発言、波紋を呼ぶ

ピラール・デル・カスティージョ教育相が新聞紙上のインタビューで、セルバンテス賞の授与式での国王の発言についての見解を述べたことが各自治州の政党、議員たちから大きな批判を浴びている。
デル・カスティージョ教育相はフアン・カルロス国王の「われわれの言語は使用を強制されたものではない。誰にも標準スペイン語使用を義務付けてはいない」との言葉を擁護する形で、「それは言葉尻だけをとらえたもので、スペイン語は10世紀にもわたって4億の人が使用してきた言語である」と答えた。さらには、フランコ独裁政権当時スペインで標準スペイン語以外の言語の使用を禁じていたことについて、「禁止されていた時期、どの程度のものかを関連付けなくてはいけない。フランコ時代にカタルーニャ語の使用を禁止されてはいたが、話されていた。この言語が生き残ってきたのがその証拠である。」と標準スペイン語以外の言語の迫害を否定した。
CIUでは「歴史的現実を由々しく歪曲している」とし、カタルーニャ州教育局では「ドイツナチスのホローコストで生き残った人がいたから大量虐殺は行われなかった、というのと同じだ」と糾弾、ERCでは同相の辞任を求めた。
また、バスク州イバレチェ首長は1936年から1964年の政令のリストを出し、その当時のバスク語使用禁止に関する例を示した。


5月7日(月)

PPのアラゴン州支部長、ETAの銃弾に倒れる

昨日午後6時15分ごろ、アラゴン州サラゴサの路上でPPのアラゴン州支部長マヌエル・ヒメネス・アバッ氏(52歳)が背後から頭部と腹部に銃弾を受け即死した。同氏は17歳の息子とサラゴサ対ヌマンシアのサッカーの試合を見ようとロマレダ・スタジアムへ行く途中であった。
目撃者の話によると、犯人は長髪でキャップをかぶった若い男で、逃亡の際にじゃまになった通行人にピストルを向けながら走り去ったという。内務省では犯人は移動コマンド部隊に所属し、逃亡を助ける別の人間もいたとみており、さらには昨年7月のコマンド・アラゴン一斉摘発の際にうまく逃げのびたネレア・ガラインサルが一枚かんでいる可能性も捨ててはいない。また、テロ対策局ではサラゴサ県内に新たなコマンド部隊の形成がなされてきているのではないか、と推定している。
マヌエル・ヒメネス氏は弁護士であるとともに長期にわたって政界に身をおき、1999年の地方選で当選、その後2000年の総選挙で上院議員に選出され、今年1月よりPPアラゴン州支部長を務めていた。
PPの内規では重要なポストにつく者には全て警護の人間をつけるということになっていたが、同氏にはついておらず、それに対して「"(エブロ川の)灌漑計画"のことで今は頭がいっぱいだ」と10日ほど前にバスク州支部長であるイトゥルガイス氏に語ったという。
この事件を悼み、アラゴン州政府では3日間喪に服すことを決めた。また、1週間後に地方選挙を控えたバスク州では急進派民族主義政党EHを除く全ての政党が選挙運動を一時停止した。

バスク首長候補であるPPのマジョール・オレハ氏は「ETAは好きなときに殺人を犯す。なぜなら選挙や民主主義をなんともおもっていないからだ。」と話し、自由と民主主義のために多くの票が集まり、この暴挙への答えとなるよう、有権者へ訴えた。
PSOEの首長候補レドンド氏も心情的に今までにないほどPPと結束していることを表明、ETAに打ち勝つために民主主義全体が一丸となって立ち向かっていくことを求めた。
PNVのイバレチェ氏はバスク州民に向かい、「民主主義を守るために結束してETAに立ち向かおう」と呼びかけ、ETAに関して人間としての尊厳を持たない、ただ人を殺すことしか知らないようなグループであり、われわれバスク社会を敬うことをせず、民主主義を脅かし、打ち砕き、息の根を止めようとしている、と論じた。

マドリードに住む16万人の子供が貧困にあえいでいる

未成年擁護団体が作成した報告書によるとマドリードに住む16万人の子供達が貧困にあえいでいるという。これは全体の14%にあたる数字である。
未成年専門弁護士であるハビエル・ウラ氏は現在子供達が抱えている問題を浮き彫りにする目的をもって昨年5月にこの調査を実施したと説明する。
同弁護士は「根本的な問題を解決しなければ子供達はいつまでたっても貧困から抜け出せない。貧困は貧困を呼び、連鎖する。」と話しており、これらの子供達の3分の1にあたる5万5千人が完全な文盲の親を持っていることなどを例に挙げている。
マドリードは月当たり、1人あたりの平均収入(家族の総収入を人数でわったもの)が10万ペセタであり、スペイン全体でみても一番高い。この数値が半分になると貧困であると規定されるが、その4分の1、すなわち2万5千ペセタに満たない収入を持つ子供達が5万人もいることが判明している。
2万人がひもじい思いをするか栄養失調状態であり、社会保険をもたない者が1万5千人、学齢期(6〜16歳)の5600人が就学しておらず、9300人が満足な教育を受けていない、というデータも出ている。
一方、これらの子供達の親も実情に気づいてはいるものの、この状態から脱することは難しい、と感じている。貧困は失業と社会的不公平から来るものであると考えており、解決には社会的な援助が必要であるとする。
また、バラックなどに住む人々に地元の集合住宅を与えたとしても、社会に溶け込む後押しや雇用が無い限り、その場所でも孤立してしまうことになる、との心配も出ている。


5月4日(金)

前バルサ会長ヌニェス氏所有の建設会社及び自宅が贈収賄の疑いで家宅捜査される

昨日、昨年までFCバルセロナの会長であり、建設不動産業の"ヌニェス&ナバーロ"グループを所有するジョゼップ・ジュイス・ヌニェス氏の会社及び自宅に治安警察隊による家宅捜査が入った。これは、同社を担当していたカタルーニャ税務局の調査員たちへ不動産購入に際して特別な便宜を図ったという疑惑により、バルセロナ裁判所が命を下したもの。
1994年時に不動産部門の担当責任者であったマヌエル・アベジャ税務調査官は同社に対する調査で会計上の不備は見当たらないとし、2080万ペセタの還付を認めた。この調査の最終段階にさしかかった時期に同調査官は"ヌニェス&ナバーロ"社が売り出した高級マンション2戸を8140万ペセタで購入した。実際にこのマンションの評価額は1億5千万とされていた上、ローンを組んだ書類にはヌニェス氏の息子の推薦ということが書かれているという。同担当官の月々のローン返済額60万ペセタは当時の給与50万ペセタを上回っていたが、税務上は相続財産でまかなっていたということになっていた。
さらに、それ以前の調査官も同社の高級物件を安価に購入しており、同社の税務会計を問題なしとして終わらせていた。

治験のためのヘロイン使用を許可

スペインで初めてヘロインを治験に使用することが可能になる。
厚生省や地方自治体の代表者、専門家などで構成された"ヘロイン委員会"と称された研究会によって昨日承認されたヘロインの医療行為への使用は各自治体主導で行われることとなる。
現在、ヘロインが麻薬中毒患者の医療において確かな効果をあげるかどうか不明な部分が多い。このため、今までに他の治療法において効果をあげることのできなかった麻薬中毒者に治験者となってもらい、成果をみる。医療用として使用されるヘロインは特別に許可を受けた研究所で製造されたものとなる。
ヘロイン治験に興味を示す州はガリシア、カンタブリア、バスク、カタルーニャ、マドリード、アンダルシアなどで、その中でも具体的な計画が進められているのはカタルーニャとアンダルシアである。アンダルシアでは150人の治験者を用意し、1年間の期間を持って患者の症状を観察する。さらに、治験者をヘロイン使用グループとメタドナ使用グループの2つに分け、おのおのの推移を見る義務を負う。
この治験を実施する場合には監督庁であるスペイン医薬局の許可を受ける必要があり、申請から許可までの期間が90日以内となっている。
この政府決定に麻薬依存者を支える会や協会は満足の意を示しており、さらにはNGOの持つ社会や家庭、精神科の協力などをとり入れるプログラムなども含めることを求めている。


5月3日(木)

イバレチェ氏、EHとの連立の可能性をきっぱり否定

昨日、PNV−EA連立候補、イバレチェ氏が急進的民族主義政党であるEHとの連立について、"直接、間接"を問わず、その可能性がないことをはっきりと示した。同氏は「暴力はどんな場合にも乗り越えられることのできない壁である」と理由付け、EH及びETAが考えているとみられる再度の休戦、民族主義政党同士の連立に関してきっぱりと拒絶の態度を明らかにした。また、「平和的、民主的な方法によって自らの意見を支えることのできないような者と共に国を治めることは今までもこれからもない」と強調。
この主張は、PNVがEHとは別の政党の支持を受けられないような場合は議会の掌握が困難になる可能性をはらんでいることをも示している。

シリア大統領、スペインを公式訪問

昨日、シリア大統領夫妻はスペインへ公式訪問、昨晩はフラン・カルロス国王、ソフィア王妃とサルスエラ宮で夕食を共にした。昨年6月にその地位を継承してからはじめてのアラビア諸国以外への公式訪問である。伝統的にフランスとの関係が強いシリアがはじめての訪問先にスペインを選んだということはシリアの外交筋が中東和平における新たな役割をスペインに求めてきていることが見うけられる。
本日はアスナル首相との昼食、会談を控え、その後はスペイン国王夫妻と共に"ウマイヤ朝の絢爛"と題された展覧会の開会式出席のためコルドバに向かう。

社会保険庁所属の病院の薬剤購入代金に不審な点が発覚、会計監査裁判所に指摘される

会計監査裁判所は社会保険庁に所属する10の病院の1998年における薬剤購入費の分析に関しての報告書を発表した。
この報告書によると、いくつかの病院では同じ薬剤を購入するにあたり、その購入代金が大幅に違うことが指摘されている。ある病院では1ケース637ペセタで、他の病院では1302ペセタで購入という例がいくつかあげられているのである。比較対象になった病院では薬剤購入の量や同じ製薬工場からの他の薬剤の購入量などがほぼ同じであり、高額で購入したもうひとつの病院では安価で購入した病院よりも購入量が絶対的に上回るといった奇妙な事実も添えられている。
さらには、同じ効用を持つ薬剤の場合、より安価なものを選択する必要性があるにもかかわらず、その措置をとっていない、ということも判明している。
この現状に関して、会計監査裁判所では法に抵触するものではないが、憂慮すべき問題であると結論付けている。社会保険庁では、この結果報告を受け、薬剤の一括購入の道を探るという可能性もあるとしている。


5月2日(水)

本日はマドリード自治体の祝日のためお休みです。


5月1日(火)

本日は「メーデー」の祝日ためお休みです。



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