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9月30日(火)

ポーランド大統領来西

アレクサンデル・クワシニエフスキ・ポーランド大統領が昨日スペインに到着、国王フアン・カルロス1世主催の晩餐会が王宮で開かれた。大統領は日曜日のエル・パイス紙で「2004年にポーランドがEUに加盟すれば、スペインと補助金をめぐって争うことになるだろう。」と述べていたのに対し国王は、補助金をめぐって争うのではなく協力していくことを提案した。
スペインとポーランドは、ヨーロッパ内の中−大型国として、またアメリカへの忠実な支援国という点で似ている上、人口もほぼ同じであることから3年前のニース条約により、欧州委員会で27投票権、欧州議会で50議席を持つことが決められている。今週の土曜日からローマで始まるEU政府間協議(IGC)ではEU憲法案が審議され、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアの大国に有利に働くとし、ポーランドはスペインと共に反対に回る予定で、さらにローマカトリックを信仰する両国は、共に憲法にカトリックに関する記述を載せるよう働きかけるが、ポーランドは現在のところスペインが享受しているEUからの補助金を受給したい考え。今日は両国首脳会談が開かれ、共同展開しているイラク派兵問題を中心に話し合われる予定。

乳児購入のスペイン人夫婦、チリで逮捕

昨日、チリの首都サンティアゴの国際空港で、48歳と43歳のスペイン国籍の盲人の夫婦が1千万チリペソ(約15000米ドル)で乳児を購入していた罪で逮捕された。警察の発表によると、生後2ヶ月の男児を購入したこの2人の逮捕により、違法乳幼児売買網の存在が明らかになったという。2人は容疑を認めており、現在サンティアゴに拘留されている。

タバコの“ライト”表示禁止

“タバコはすべて有害であるにもかかわらず、ある種のタバコは他のタバコほど有害ではないと、消費者を混乱させる”とし、タバコ会社が製品に“ライト”の表示を行うことを禁止する法令が今日から施行される。これを受けて、タバコ会社では消費者が区別できるようにと、ライトタバコの箱を違う色(ほとんどの会社は青)にするなどの措置を取ったが、ラッキー・ストライク、ダンヒルといったタバコを製造しているブリティッシュ・アメリカン・タバコ社は、“ライト”という名称を“シルバー”または“ホワイト”に変更すると政府に挑戦状を突きつけた。厚生省は現在これに対し、法的措置を取れるかどうか調査中だという。
アナ・パストール厚生大臣は、「法が施行されれば、これを守らない会社に対しては相応の法的措置を取る」と昨日発表したが、タバコ会社企業家協会では「ニコチンの少ないタバコ、低タールのタバコの製造を禁止している法律はなく、消費者が同じ製品の中でニコチン量の違うタバコを区別するためには、色を変えるしかない。我々は消費者のニーズに応えているだけで、何らの違法行為は行っていない」と反発している。

メトロポリタン美術館でエル・グレコ展

10月7日からニューヨークのメトロポリタン美術館で、秋季特別展示として、エル・グレコ展が開かれる。この展示には世界中の美術館が協力し、アメリカで過去20年間に行われた中で最大の展覧会となるが、これにはプラド美術館、スペイン国宝も重要な役割を果たしている。展示作品はクレタ島での見習い時代のイコン2作品に始まり、1614年に彼が自分の墓を飾るために描いた『Adoracion de los pastores(羊飼いの礼拝)』までが展示され、展示80点はエル・グレコ(1541〜1614)の生涯の中でも特に、末期の作品に重点を置いた展示となる。


9月29日(月)

ローマ法王、スペイン人2人を含む31人の枢機卿を任命

昨日、新たに31人の枢機卿の任命がローマ法王により行われた。この31名の中には、セビジャ大司教のフリアン・エランス氏、オプス・デイのメンバーで、法王庁高官でもあるカルロス・アミーゴ氏に2人のスペイン人が含まれている。また、ローマ法王は枢機卿会議を10月21日に開くことも発表し、ここで新しい枢機卿が正式叙階される。
ローマ法王は来月16日に在位25周年を迎え、これにより史上3番目に在位機関の長い法王となるが、その一方、深刻な健康問題を抱えている。新しい枢機卿任命は来年2月か3月が有力と見られていたが、これが前倒しになったことで、法王庁が法王の健康状態を懸念していることがはっきりした。
現在ローマカトリック教枢機卿の数は164人だが、ヨハネ・パウロ2世が亡くなった後、次期法王を選出する際に投票できる年齢の上限80歳に達していない枢機卿は現在109人。法王は以前から枢機卿若返りの意図を明らかにしており、その意図が最年少の51歳のハンガリー人大司教を筆頭にはっきり見える指名となった。、今回の指名により投票権を持つ枢機卿の数は伝統的に守られてきた上限の120人を一時的に超えることになるが、2004年に80歳になる枢機卿がいるため、結果的には上限は守られることになる。
今回新たに2人が指名されたことにより、スペイン出身の枢機卿は9人となり、イタリア(40人)、アメリカ(14人)に続いて3番目に枢機卿の多い国となる。

サン・セバスティアン映画祭各賞発表

サン・セバスティアンで開かれていた第51回サン・セバスティアン映画祭の各賞が土曜日に発表された。最優秀作品賞にあたる“コンチャ・デ・オロ(金の貝賞)”を受賞したのは、ドイツの“Schussangst(Gun shy)”。最優秀俳優、女優賞にはスペイン映画“Te doy mis ojos”のルイス・トサールさんとライア・マルルさん。また最優秀監督賞には韓国のBong Joon-Ho監督(“Memories of murder”)が選ばれ、審査員特別賞はトム・マッカーシー監督の“The Station Agent”に決まった。

局番906は明日から806、803、807へ

明日、火曜日から現在906または903で始まっている電話番号が803、806、807に変更になり、10月と11月の間は、906番にかけると無料のテープ案内が流される。803番は成人専用番号、806番はタロット、ゲームなどの娯楽・エンターテイメント専用番号、807番は企業活動専用番号となる。

週末のスポーツの結果

ブエルタ2003:最終日の昨日はマドリッド145.8キロで競技が行われ、イタリアのアレッサンドロ・ペタッキ選手(ファッサ・バルトロチーム)が勝利。プロ7シーズン目、29歳のペタッキ選手が現在最高のスプリンター選手である実力を見せつけた。
新人のイシドロ・ノサル選手(ONCEチーム)が優勝するかに思われた今年のブエルタだったが、金曜日と土曜日の山岳コースでノサル選手の疲労が噴出。ベテランのロベルト・エラス選手(USポスタルチーム)が3分の差を詰めて、土曜日に優勝を決めている。エラス選手のブエルタ優勝は2000年に続いて2度目。
バスケットボール:昨日、ヨーロッパ女子選手権の3位、4位決定戦が行われ、スペインはポーランドに87−81で逆転勝ち。銅メダルを手にしただけでなく、アテネ五輪への出場権を手にした。スペイン女子チームがオリンピックに出場するのは92年のバルセロナ五輪以来で、このときは開催国として出場しただけだった。
F−1:アメリカのインディアナポリスで行われたアメリカGP優勝者はミハエル・シューマッハ選手。総合成績で僅差にあるバリケッロ選手とラルフ・シューマッハ選手がリタイアするチャンスに恵まれたものの、スペインのフェルナンド・アロンソ選手(ルノー・チーム)もまた、エンジンの故障により46周目でリタイアした。アロンソ選手の現在の総合成績は6位。


9月26日(金)

ブランコさん誘拐殺人事件の裁判開始。ムニョア被告出廷

元HB党所属エイバル市(ギプスコア県)市会議員で、テロリスト組織ETAへの所属と、ナンバープレートの偽造によりすでに懲役10年の刑を宣告されているイボン・ムニョア被告が昨日中央管区裁判所に出廷、ミゲル・アンヘル・ブランコさん誘拐・殺害事件に関し証言を行った。
この事件は1997年7月10日、ビスカヤ県エルムアでPP所属市会議員のミゲル・アンヘル・ブランコさん(当時29歳)がETAにより誘拐され、その2日後ギプスコア県ラサルテで殺されたもので、3人の実行犯のうちハビエル・ガルシア・ガステル“チャポテ”被告、イランチュ・ガラステギ“アマイア”被告はフランスの刑務所に収監中、ホセ・ルイス・ガレスタ“オケル”被告は1999年3月19日に死亡している。
昨日、ムニョア被告は法廷で、ドノスティ部隊に属するこの3人をブランコさん誘拐の前に自宅に匿っていたこと、自家用車を貸し与えたこと、ブランコさんを連れ込むために両親所有のアパートを貸したことを認めた。PP所属議員が標的であることは知っていたが、具体的に誰が狙われていたかは知らなかったと述べている。検察局はムニョア被告がブランコさん誘拐殺害に協力したとし、懲役24年と3ヶ月を求刑した。

イバレチェ知事、改正案発表

バスク州知事、フアン・ホセ・イバレチェ氏は今日、州議会通常政治会議でバスク州憲章改正案を発表し、この案が承認され、議会での審議にかけられることに強い自信を示した。知事は、この案は“民主主義にのっとるもの”であり、承認への法的問題は一切なく、法律的だけでなく、社会的、政治的にもバスク州の住民からの変化への要求に応えるものであると述べた。
また、今日の発言では、この提案はスペイン政府との関係決裂を目的としたものではなく、あくまでも共存を目指しており、“憲法と憲章で保証されているバスク人の歴史的権利に基き市民が 要求している新しい政治形態”を構築するためのものであると述べた。知事はこの提案が通れば暴力とETAの完全追放を行うことが可能になり、“ポストETA”の新しい時代が始まるだろうとコメント、PPが進めている政党法の制定、バタスナ党違法化では紛争を解決できないと、中央政府の方針を批判した。

カタナ殺人犯脱走、4時間後に逮捕

2000年4月1日、ムルシア市の自宅で両親とダウン症の9歳の妹を日本刀で殺害し逮捕され、当時16歳だったため少年刑務所での12年間の拘留が宣告されたホセ・ラバダン被告が昨日脱走し、4時間後に逮捕された。
昨日は刑務所の遠足で、被告は他の6人の少年と共にエルチェの市立公園を訪れており、見張りが3人ついていたにも関わらず、彼らの隙を見て午前11時15分頃脱走した。通報を受け、近くにいた警官が追跡したが、被告は走って逃走。エルチェ市内を流れるビナロポ川を渡った後、被告は姿を消した。
その後、被告は逃亡資金を得ようと近くの民家を訪れ住人に施しを求めたが拒絶され、住民に危害を加えることなく立ち去っている。午後2時頃からは付近に殺人犯逃走のニュースが流れており、この住人のほかにも数人から被告を見かけたとの通報があり、午後3時20分、ラバダン被告はエルチェの中心地から4キロの国道沿いで発見、逮捕された。逮捕の際、被告は何の抵抗も見せなかったという。


9月25日(木)

マドリッド−ジェイダ間のAVE運行ダイヤ発表

ジェイダからバルセロナまでAVEが開通する日についてはいまだに勧業省がはっきり発表できないでいるが、少なくともマドリッドとジェイダを結ぶ区間については、10月11日に開通することがはっきりした。昨日、RENFEのミゲル・コルシーニ社長は、“きっちり時間どおり”にAVEが運行されることを約束することは避けたが、この区間最初の電車はジェイダとマドリッドを10月11日土曜日朝の7時に出発する予定であると発表した。
当面はこの区間をアルストーム社のAVE車両2台とタルゴ社のAltaria車両12台を使って、マドリッド−ジェイダ間は上りと下り各4本づつ、サラゴサ−バルセロナ間は上り−下り2本づつ運行の予定で、切符は明日から発売予定。また、前からタルゴ特急でのこの区間を予約購入していた乗客の切符は、無料でAVEの切符に変更される。

キング容疑者、インターポールから危険人物としてスペイン警察に警告

昨日アセベス内務大臣が明らかにしたところによると、1998年9月、イギリス警察はインターポールを通してスペイン警察に、ロシオ・バニンコフ、ソニア・カラバンテスさん殺人を自供したキング容疑者が“女性にとって極めて危険な人物”であると警告していたという。この情報を受けて、スペイン警察はキング容疑者がミハスに住んでいることを突き止めたが、“普通の生活”を送っており、またイギリス警察当局から、逮捕、身柄の引渡し要求などがなかったため、何の措置もとらなかったという。ロシオ・バニンコフさん殺人事件の調査に当っていたマラガの治安警備隊は、この情報を与えられておらず、現場に落ちていたタバコRoyal Crownであったことから、何人ものイギリス人が事情聴取を受けたにもかかわらず、キング容疑者が容疑者リストに載ったことはなかったという。スペイン治安警備隊と国家警察局は、逮捕者の指紋以外の情報の共有は行っていない。
キング容疑者の名前が公になって以来、これまでに5人の女性が容疑者から強姦されたと警察に申し出ており、うち2人はこれまで届けでていなかったため、これから事情聴取が行われ、残り3人はすでに届けを出しているため、彼女達の供述とキング容疑者のアリバイを比較し、容疑者が犯人かどうか調べていくという。

低年齢化する密入国者

昨日の午前3時半頃、カディス県タリファ、パロマ岬の南3.1マイルの地点で70人のマグレブ人を乗せたボートが発見された。70人のうち1人が女性、21人が未成年だった。乗っていたほぼ全員が低体温症により赤十字社から手当を受け、その後70人はアルへシラス警察に移送された。今後ここで成人に対してはそれぞれの国への送還手続きが行われ、未成年者は受け入れセンター収容手続きが行われる。


9月24日(水)

欧州議会、プレステージ事故調査委員会設置を決定

昨日ストラスブルグで開かれた欧州議会で、プレステージ事故の原因とその影響について調査する委員会の設置が315対183で承認された。昨年12月からヨーロッパ左翼政党は6回にわたり調査委員会設置を提案してきていたが、設置承認には失敗。昨日の会議では、かねてよりスペイン政府の事後処理方法に不満を持っていたフランスの右翼政党が棄権、委員会の設置を期限つきにすることによりリベラル派政党も賛成に票を投じたことから、設置が決定されることとなった。
また、欧州委員会は昨日、プレステージ号から流出した石油の清掃費用として860万ユーロを供出した。EUはこれまでにプレステージ号対策費用としておよそ4億ユーロを出しているが、スペイン政府の見積もる必要額10億ユーロにはほど遠い状態で、昨日の会議ではさらなる経済的・物質的援助を求める報告書が336対171で承認された。この報告書では、スペイン当局の対応は透明性に欠けていたこと、またプレステージ号を海岸から遠ざけたことが被害を大きくしたことも述べられている。

ニューヨークでアスナル−ブッシュ会談

アスナル首相は昨日、ブッシュ大統領と会談、“アメリカ合衆国と世界平和維持のためにも”ブッシュ大統領の再選を望むと述べた。首相は、両国が良好な関係にあることを強調、両首脳はスペイン、アメリカ両国の“自由、安定、繁栄”のために働いていると述べた。
一方のブッシュ大統領は「会談では終始イラク問題について話した。我々の目的は正しく、我々の考えは同じである。我々は共通のビジョンを持っており、その見解が正しいことを確信している。私は彼の友人であることを誇りに思う。」と述べている。
その後アスナル首相は国連通常総会に出席、イラクに多国籍軍を派遣し、国連とイラク新政権が共同で民間機構により国の統治を進めることを提案した。イラク統治機関には改編が必要であるとの点については、アナン事務総長と共通の見解を示した首相だが、安全保証理事会の理事国を増やすことが必ずしも働きを改善するとは限らないと述べた。
また首相はテロと大量破壊兵器に対し、すべての国家が一丸となって立ち向かうことの重要性を改めて強調、テロ組織の総合リスト作成し、テロ組織と資金提供源のつながりを断ち切ることが必要だと述べた。

ショーン・ペンさんにドノスティア賞

サン・セバスティアンで開かれている第51回サン・セバスティアン映画フェスティバルで、昨日アメリカの俳優ショーン・ペンさんにプレミオ・ドノスティアが授与された。この賞を受ける最も若い俳優となった42歳のペンさんは、画家で映画監督で、ペンさんの友人でもあるジュリアン・シュナベール氏からトロフィーを受け取り、この機会を利用してブッシュ政権を批判した。ペンさんの最新出演作はメキシコのアレハンドロ・ゴンサレス監督の『21グラム』。


9月23日(火)

バスケス被告の訴訟手続き停止申請へ

先週の木曜日に逮捕されたトニー・アレクサンダー・キング(本名アンソニー・ブロムウィッチ)容疑者の自供により、ロシオ・バニンコフさん(当時19歳)殺害の容疑で2000年10月に逮捕され、2001年9月懲役15年、慰謝料1800万ペセタの刑を言い渡されたドローレス・バスケス被告(51歳)に対し、マラガ検察局と原告は訴訟手続き停止申請を行う模様。バスケス被告の弁護士もまた訴訟手続き停止を申請するが、弁護士側が無期停止を求める意向であるのに対し、検察側では一時停止を申請する意向。
バスケス被告は17ヶ月間の服役後、2002年2月に3万ユーロの保釈金支払いにより仮釈放となり、現在は毎週1度、フエンヒローラ裁判所に出頭している。バスケス被告の弁護士は、金額は未定であるが国を相手取り、賠償請求を求めると発表した。
一方のキング容疑者にはいまだに弁護士がついていない。在マラガ領事が月曜まで休暇中のため、イギリス領事館はまだ、容疑者と連絡を取っていない。キング容疑者に支払能力がない場合は、スペインの公選弁護人がつくことになるという。

ニューヨークのテロ国際講演会でスペイン人2人が講演

国連の後援で、ノルウェー政府とノーベル平和賞受賞者エリ・ヴィーゼル氏が主催したテロ国際講演会が昨日ニューヨークで開かれ、アンドアイン村の警官だった兄ジョセバ・パガサウルトゥンドゥア氏を今年2月8日に暗殺されたマイテ・パガサウルトゥンドゥアさん(市民団体“Basta Ya”所属)、2000年10月9日アンダルシア最高裁判所判事の父が殺されたルイス・ポルテロ氏(テロ犠牲者の会会長)、インドネシアの1年前のテロで負傷した21歳の青年と9-11テロの救出作業に携わった消防士の4人が講演を行った。
マイテ・パガサウルトゥンドゥアさんは、パイス・バスコの人々が日々味わっている恐怖について語った上で、市民が団結して、テロリストたちにつけいる隙を与えないことにより、この恐怖を克服することができると説いた。また、ポルテロ氏は聴衆に向かい、ETAの成り立ちについて説明、「ETAは、度々諸外国で間違ってとらえられているようなイデオロギーに基づいた分離主義者の団体ではない。ETAはパイス・バスコに居座る殺人集団で、残念ながら、いまだに様々な政治的、経済的団体が支援している。」と話した。
この講演会ではアスナル首相も講演、“悪の根源についての講演”というテーマが掲げられていたにも関わらず、首相は「テロの原因よりも重要視すべきはテロの影響」と、アナン事務総長の姿勢と反対の見解を示し、「社会的、民族的、宗教的、その他いかなる種類においても、テロリストによって宣言される動機は行いの汚さを崇高な理由に変えるためだけもものである。国家の名においてにせよ、神の名においてにせよ、彼らは愛国主義者でも理想主義者でもなく、一殺人者に過ぎない。」と述べた。

プエルタ・デル・ソル、一般車進入禁止時間帯拡大(マドリッド)

ヨーロッパ・ノー・マイカー・デーの昨日、プエルタ・デル・ソルの一般者進入禁止時間帯の拡大が発表された。現在の禁止時間帯午前11時から午後9時が、今日からは平日午前9時から午後10時、土曜は11時から14時になる。この時間帯にプエルタ・デル・ソルに乗り入れることができるのは、公共交通機関(タクシー、バス)、救急車、住民とオートバイだけとなる。
さらに、オエステ公園を横切ってマドリッド中心地に入る主要道路であるカモンイス通りとルペルト・チャピ通りの通行禁止規則も近々発表されるという。マドリッド市役所はすでにカサ・デ・カンポを横切るロダホス通りの通行可能時間帯を午前7時半から10時半、午後14時半から17時半に定めている。これらの道路は売春婦の主要出没場所として知られているが、市役所はあくまでもこの措置は環境保護が目的であるとしている。
昨日はヨーロッパ・ノー・マイカー・デーだったにも関わらず、マドリッド市民の関心は低く、マドリッド市中心地で6%、主要幹線道路では1%交通量が減ったに過ぎなかった。


9月22日(月)

マラガの殺人犯、強姦3件も自供

木曜日に逮捕されたイギリス国籍のトニー・アレクサンダー・キング容疑者はすでに、今年8月のソニア・カラバンテスさん(当時17歳)と1999年11月のロシア・バニンコフさん(当時19歳)の2人の殺害を認めているが、今朝イギリスの新聞には、キング容疑者の本当の名前はトニー・ブロムウィッチで、1986年19歳のときにロンドン北部で5人の女性の首を電気コードで失神するまで締め、強姦した罪で逮捕され10年間の懲役を言い渡され、1991年に釈放された後、武装強盗で再び逮捕、1996年に釈放され、1年後偽名でスペイン入りしたことを載せている。容疑者は結婚していたチリ人女性との間に7歳の女児をもうけている。
昨日、マラガ県アラウリン・デ・ラ・トレ刑務所に収監される数時間前に、ブロムウィッチ容疑者は現在捜査中のコスタ・デル・ソルでの3件の強姦事件の犯人であることも自供した。判事の前での供述で、ブロムウィッチ容疑者はロシオ・バニンコフさん殺害の様子について詳細に語り、供述の中には警察しか知らない情報も含まれていた。しかし、どのように死体を処理したのかについては、供述があいまいで、警察では他にブロムウィッチ容疑者を手伝った者がいると見ている。

アスナル首相、ブレア首相とロンドンで会談

ロンドン北部チェッカーズにあるイギリス首相の別邸を週末、アスナル首相夫妻が訪問。両首脳は2時間にわたって話し合いを行ったが、アスナル首相は、土曜日にベルリンでフランス、ドイツ、イギリスの3カ国首脳によりまとめられたEU憲法改正案への拒絶を示し、両首脳から会談後、内容についての発表が行われることはなかった。
3カ国首脳会談でまとめられた改正案とは、3年前のニース条約での決定を変更し、欧州委員会内での投票権数を人口により割り当てるというもので、スペイン首相はこれに対する拒絶をはっきりとイギリス首相に示した。この提案については10月4日からローマで開催される政府会議で話し合われるが、この提案が通れば、EUの大国4国(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア)による決定事項をスペインが阻止する力が大幅に弱められる。
今回の会合は、国連安全保障理事会の理事国でありながら唯一ベルリンでの会合に招待されなかったヨーロッパの首脳への埋め合わせ的性格の強いものであるが、イラク問題に関しては、ブレア、アスナル両首相とも両国の対応が似通ったものであることを確認している。アスナル首相は国連での決議案採択を目指し、明日、国連本部で発言。その後、ブッシュ大統領との会談が予定されている。

スペイン、2年連続でデビス・カップ決勝進出

マラガで行われたデビス・カップ準決勝、スペイン対アルゼンチンの試合は、現在世界ランキング1位のフアン・カルロス・フェレロ選手がアルゼンチンのアグスティン・カレリ選手に6-4、7-5、6-1で敗れる波乱があった。キャリア最良の試合でカレリ選手は対戦成績を2-2のタイに戻し、スペインの決勝進出は予想したほど簡単ではなくなった。
最終試合は、カルロス・モヤ選手(スペイン)対ガストン・ガウディオ選手(アルゼンチン)。この試合をモヤ選手が6-1、6-4、6-2で勝ち、対戦成績3-2でスペインの決勝進出が決まった。
決勝でのスペインの対戦相手はスイスに勝ったオーストラリアで、スペインの2年連続優勝を賭けた試合は11月28日から30日にオーストラリアのメルボルンで行われる。

週末のスポーツの結果

ブエルタ2003:バルデペニャス-シエラ・デ・ラ・パンデラ間172キロでレースが行われた第15ステージの勝者はアレハンドロ・バルベルデ選手(ケルメ・チーム)。総合成績1位は引続きイシドロ・ノサル選手(ONCEチーム)で2位のイゴール・ゴンサレス・ガルデアーノ選手(ONCEチーム)との差は3分3秒。今日は休息日で、明日はハエン-シエラ・ネバダ間162キロでレースが行われる。
バスケットボール:ヨーロッパ世界選手権女子の試合で、スペインチームはハンガリーに71-59で快勝。スペインチームは3連勝により、グループBの首位に立った。


9月19日(金)

2女性殺人容疑者としてイギリス国籍の男を逮捕

昨日午前11時半、マラガ県アラウリン・エル・グランデで、イギリス人トニー・アレクサンダー・キング容疑者(38歳)がソニア・カラバンテスさん(当時17歳)、ロシオ・ワニンコフさん(当時19歳)殺害の有力な容疑者として逮捕された。キング容疑者はすでに警察に対し、カラバンテスサン殺人の犯人であると自供している。アラウリン・エル・グランデはカラバンテスさんが殺されたコインから7キロの場所。
容疑者の別れた恋人で彼と娘を1人もうけている女性が、キング容疑者がワニンコフさん殺害現場で見つかったのと同じタバコ、ロイヤル・クラウンを吸っていること、治安警備隊で行方を追っている白いマツダ車を所有していること、彼がコインの祭りに行ったこと、カラバンテスさん失踪の日、彼の衣服に血痕、顔に引掻き傷があるのを見たことを1週間前に通報。また、カラバンテスさん失踪現場で車のヘッドライトの破片が見つかっているが、キング容疑者の車のヘッドライトも壊れていた。容疑者はイギリス、スペインで暴行、窃盗の前科がある。
警察はワニンコフ事件とその容疑者として逮捕されたドローレス・バスケス容疑者とキング容疑者の関係の捜査を開始した。関係者筋から漏れた情報によると、キング容疑者とワニンコフさんは、バスケス容疑者経営のホテルで同じ時期に働いていた可能性があるという。警察はまた、キング容疑者と2000年の夏からグラナダ県モトリルで行方不明になっているマリア・テレサ・フェルナンデスさん(当時18歳)事件との関係も追及している。

マドリッド−ジェイダ間でAVE、10月11日開通

2002年末には開通している予定であったマドリッド−ジェイダを結ぶAVEの開通が10月11日となることが昨日発表された。最高時速350キロでの運転が予定されていたにもかかわらず、安全システムのに不安が残っているため、当面は最高時速200キロで運転される。
現在3時間かかっているマドリッド−サラゴサ間の所要時間は1時間45分、マドリッド−ジェイダ間4時間45分は2時間40分に短縮され、運賃はそれぞれ43ユーロ、54ユーロ。時刻表は来週発表になる予定だが、マドリッド−セビジャ間のAVEが開通当初は1日6本の運行で現在は19本になっているように、マドリッド−ジェイダ間でも当面は上り、下りがそれぞれ3〜4本の運行で開始し、次第に運行本数が増やされる予定。
勧業省ではジェイダ−バルセロナ間の開通は2004年以内と発表しているが、工事はまだ終了しておらず、一部区間は入札もまだ行われていない。

さらに5人のアルカエダメンバー逮捕

マドリッド、グラナダ、アリカンテで昨日、アルカエダ・スペイン支部に属すると見られる5人が逮捕された。うち4人はシリア出身(1人はスペイン国籍取得者)で、グループの資金調達に関与していたと見られ、残り1人のモロッコ人はアフガニスタン戦争にも参加したテロリストだという。5人は先日逮捕されたカタールテレビ局リポーター、タイセール・アロウニー容疑者とのつながりがあると見られているほか、シリア出身で現在はスペイン国籍を取得しているモハメッド・ガレブ・カラジェ、ガソウブ・アル・アブラシュ・アル・ガリョウン容疑者とのつながりも疑われている。
この2人はマドリッドに不動産会社を所有しており、アメリカ、サウジアラビア、ベルギー、中国、トルコ、ヨルダン、パレスティナの急進イスラム主義活動家に資金援助をしていた疑いがもたれている。シリア人4人はアルカエダに属するとし、昨日バルタサール・ガルソン判事により起訴された36人に含まれている。


9月18日(木)

憲法制定25周年記念式典開催名誉委員会会議にイバレチェ知事出席

昨日、マドリッドの王宮で国王夫妻主催による憲法制定25周年記念式典開催名誉委員会会議が開かれ、各自治州知事、政府関係者が出席した。この式典には憲法記念日式典にこれまで出席したことのないバスク州知事フアン・ホセ・イバレチェ知事も出席、2年ぶりにアスナル首相と直接顔を合わせた。2人が話したのはわずか1分ほどで、両者とも記者からの質問に対し、会話の内容を明らかにすることは避けた。
バスク州民族主義政権は、他自治州との多方面相互協力関係ではなく、中央政府とだけの双方向協力関係をとる政策は進めているため、これまでの州知事は国会の自治州討論にも会議にも出席していない。昨日のイバレチェ知事の出席は関係者を驚かせたが、バスク州政府関係者は知事出席の理由を、「知事が推進する自治領化政策がスペインとの関係破棄へ向かうものではなく、共存と尊重の元になりたっているという姿勢の表明である」と述べている。

ガルソン判事、ビン・ラデンとアル・カエダのメンバーを起訴

中央管区裁判所のバルタサール・ガルソン判事は、昨日、テロリスト組織アル・カエダに属し、また大部分の人間は2001年9月11日ニューヨークで起きたテロに関与したとし、36人を起訴した。この36人の中には、ガルソン判事が国際追跡逮捕命令を出したアル・カエダのリーダー、オサマ・ビン・ラデン被告、スペインのテロ組織の最高責任者イマッド・エディン・バラカット、別名“アブ・ダダ”被告、アル・カエダに協力した罪で先週グラナダで逮捕されたカタールのテレビ局アル・ヤジラのりポーター、タイセール・アロウニー被告が含まれている。
またガルソン判事は710ページにわたる書類で、2001年11月13日にスペインで逮捕された、アル・カエダに所属すると見られる11人の収監継続も命じた。判事によると、この書類には、電話の通話記録、書類など9月11日のテロに彼らが関与していたという証拠が収められているという。

ワニンコフ事件裁判、証拠不十分のため延期

先月14日のソニア・カラバンテスさん殺人事件でみつかった証拠により、4年前にロシオ・ワニンコフさんを殺害した罪に問われているドローレス・バスケス被告に対する裁判のやり直しが10月14日に予定されていたが、裁判官側は裁判を行うための証拠が不十分であるとし、昨日、裁判の延期を決定した。検察側の要求どおり裁判はフエンヒローラ裁判所第6法廷に差し戻しとなり、捜査が続けられる。
ワニンコフ事件の新しい証拠とは、8月14日に殺害されたカラバンテスさんの指の爪の間から見つかった皮膚片と血液のDNAが、ワニンコフさん殺害現場に落ちていたタバコの吸い口の唾液のDNAと一致したことで、ワニンコフ事件の裁判は、カラバンテス事件の警察の捜査結果を待って再開される。推測による混乱を避けるため、カラバンテス事件の証拠分析の結果は明らかにされていない。


9月17日(水)

司法改編合意、決裂の危機

スペイン最大野党PSOE(社労党)のサパテロ書記長は、2001年6月に与党PP(国民党)との間で締結した司法改編の合意について見直すための会合招集を要求すると昨日、発表した。サパテロ書記長は中央政府が司法システム改良に費やした金額が、2年前に約束した金額のわずか3分の1以下にしか満たないこと、またPPが国家検察局を通してマドリッド州汚職疑惑調査を妨害したことなどを批判。これに対しミチャビラ法務大臣は社労党が要求している緊急会議の招集の用意があると述べている。

バタスナ党支持デモ開催に関与した3人を逮捕

昨日未明、国家警察は8月10日サン・セバスティアンでのバタスナ党支持デモ開催に関与したとし、バルタサル・ガルソン中央管区裁判所判事の逮捕命令のもと、フアン・ホセ・ペトリコレナ、イニゴ・バルダ・カロンへ、アイノア・イニゴ・エギスラインの3容疑者を逮捕した。
このデモでは、最高裁判所によりテロ組織ETAとのつながりが確認され、非合法組織と定義され活動を停止されているバタスナ党を称賛した上、スペイン国旗が焼かれた。警察は3人が“バタスナ党と関係のない一個人であるかのようにデモ開催許可を求めた上で、組織的に裁判所の非合法化命令を嘲笑し、国旗を侮辱した”としているが、バタスナ党幹部であるぺルナンド・バレナ氏は8月10日のデモがバスク州最高裁判所により開催を認められた合法的なものであったことを強調、このデモと同じスローガン“アパルトヘイト・ノー、民族自決を”を掲げた今月20日のビルバオでのデモへの市民の参加を呼びかけた。
逮捕者の1人、ぺトリコレナ容疑者はテロ活動参加の罪で逮捕され、刑務所に入っていたことがある。昨日は、逮捕者の家宅捜査とともに、3件のエリコ・タベルナ(バル)も捜査され、デモ招集の計画書と見られる書類、携帯電話などが押収された。

アストゥリアス海岸に巨大イカの死骸漂着

アストゥリアスの海岸に今週2匹の巨大イカの死骸(うち1匹は全長12メートル)が漂着し、科学者チームが死因の究明を始めた。科学者の1人によると、死因は「自然死ではないし、プレステージ号から流出した石油でもない」という。
この地域には約1年前にももう少し小さなイカ3匹の死骸が漂着しており、生物学者たちは巨大イカの謎の死は地球の温暖化が原因でありうると考えている。ジュール・ベルヌの小説『海底二万マイル』にも登場、ノーチラス号のネモ船長を攻撃している巨大イカは世界最大の無脊椎動物で、水深2000メートル付近に生息している。アストゥリアス地方沖は、世界有数の巨大イカの生息地で、昨年探索チームも出されたが、このときは発見に至らなかった。

バレンシアで地震

昨日の午後1時2分、バレンシアでマグニチュード4.3の地震が発生した。特に揺れが激しかったのは市の中心で、サン・ホセ・デ・ラ・モンターニャ教会の200キロの石像が高さ50メートルの地点から落下した。震源地はバレンシア市の東35キロの地中海海底で、バレンシア市以外にもカステジョン、ガンディア、アルコイなど県内各地で揺れが観測された。
バレンシア市内でこのような地震が観測されるのは35年ぶり。前回の地震は1968年12月9日に起こったもので、震度はマグニチュード4.5だった。


9月16日(火)

警官襲撃後死亡したETAメンバーの身元判明

日曜日の夜、アラバ県エレラ峠で偽の交通事故通報で警官をおびき出し、銃撃した後、昨日の午前8時過ぎ、現場近くで死体となって発見された襲撃犯の1人の身元が判明した。この男はETAメンバーのアルカイツ・オタズア容疑者(24歳)で死因は、警察の応戦で鼠蹊部に受けた銃弾による失血死。
アラバ県ラグアルディア署勤務の2人のバスク州警察警官のうち、顔面左側に3発の銃弾を受けた警官は引き続き重体。もう1人は、左腕と腹部と背中に銃弾を受けたが、防弾チョッキを着用していたため助かった。
死体発見後、無傷で逃亡したもう1人の犯人と見られるアシエル・マルドネス・エステバン容疑者(23歳)発見のための現場付近の捜索活動はさらに強化されている。バスク州警察は昨日、ビルバオ市内にあるオタズア容疑者とマルドネス容疑者の自宅をそれぞれ家宅捜査し、マルドネス容疑者宅から猟銃3丁を押収、また犯人の家族が所有するラ・リオハ州エントレナにある住居も捜査し、テロの計画書を押収した。この計画書によると、テロに関与していたのは3人と見られ、警察ではこの人物が襲撃に使用したと考えられビルバオナンバーのフォード・モンデオの捜索も平行して行っている。
1982年のバスク州警察創立以来、ETAメンバーに殺害された警官の数は13人。ETAが停戦を破った1999年以来死亡しているメンバーは8人だが、1998年バスク州警察との衝突により死亡した1人を除く7人はすべてテロ用爆発物取り扱い中の事故死。

製鉄工場放射能事故で、一時操業停止

昨日正午頃、バスク州ビスヤカ県にあるスペイン有数の製鉄会社ACBの工場でトラックから放射能が検出された。見つかったのはセシウム137で、工場側は従業員、周辺住民、環境、ACB社の製品には放射能汚染の問題はないとしている。
ACB社には4つの放射能探知システムがあるが、昨日はこのうちの1つが、工場を出るトラックから放射能を探知した。このトラックはただちに隔離され、その後の調査により、煙の浄化棟から高い放射能が検出されており、放射能の発生源は溶鉱炉で溶かされたと見られている。
CSN(核安全委員会)のほか、ACB社が契約する2つの放射能事故対策会社からも係が派遣され、今日から同社の工場機械の検査が行われる。機械から放射能が検出されなかった場合はただちに操業が再開されるが、そうでなければ数日間かかる放射能除去処理が行われることになる。

家庭内暴力被害者保護命令要請、1ヶ月で1390件

判事が家庭内暴力被害者保護命令を決定するようになった8月2日から9月7日までの37日間で、この保護命令の要請件数が1390件に達していることが昨日発表された。
要請されたうちの77%にあたる1074件が認められ、316件は却下されているが、要請件数および判決内容は自治州によって大きく異なっている。最も要請が多かったのはアンダルシア州の237件で却下件数も14%と最も少なかった。その他要請が多かったのはカタルニャ州(231件)、マドリッド州(198件)、バレンシア州(108件)、カナリアス州(97件)。アストゥリアス州とナバラ州はそれぞれ要請10件と最も少ない自治州の1つとなっているが、却下件数は50%。
保護命令要請に対しては、刑法に則った措置(加害者の被害者への接近禁止など)と民法に則った措置(被害者の子供の保護など)が取られ、判決は当番判事によって72時間以内に出される。
また、明日には国会で刑法改正案承認が予定されており、これまでは大部分が過失扱いであった家庭内暴力の扱いが犯罪となる。8月2日から9月7日までの37日間で夫、恋人、または元夫、元恋人の手により命を奪われた被害者の数は5人。今年に入って少なくとも50人の女性が亡くなっている。


9月15日(月)

バスク州警察官2人を銃撃、負傷させたETAメンバーの1人死体で発見

昨日、ETAが行った警官をおびき寄せるための偽の交通事故通報により、バスク州警察官2人が銃撃され、負傷した事件で、現場近くで今朝、犯人のうちの1人と見られる男が死体で発見された。
銃撃された警官の1人はビトリア市のサンティアゴ病院に運ばれ、手術を受けた。顔面左の頬、眼窩に3発の銃弾を受けており、左眼球が損傷、クモ膜下出血のため、人工呼吸器につながれ、集中治療室で手当を受けているが重体。もう1人の警官はビトリア市チャゴリチュ病院に入院、左前腕尺骨損傷で要安静だが、命に別状はないという。
2人の警官は昨日、15分前に受けた交通事故の電話通報により、午後10時半過ぎにアラバ県ラグラン村のエレラ峠に向かったが、事故の形跡は全くなかった。しかし、10メートルほど先の展望台に止められた車内に不審な動きを発見、この車両に近づいたところ、銃身を切り詰めた猟銃で銃撃された。警官2人は負傷したものの、応戦、犯人は徒歩で逃げたが、少なくとも1人は警官の銃弾により負傷したと見られており、警察では見つかった死体はこの男のものであるとの見方を強めている。
銃撃戦現場には、不審車の持ち主が木に縛られていた。後に彼らが証言したところによると、彼らはピストルで脅され車を奪われたという。

村祭り中に役場のバルコニー倒壊、3人死亡負傷者多数

人口320人のサラゴサ州トレジャス村で、サント・クリストの祭りの真っ只中の昨夜1時45分、役場のバルコニーが倒壊、34歳の女性、39歳の女性と16歳の少年の3人が圧死、2人が重傷、その他20人ほどが軽傷を負った。
目撃者の話では、バルコニーのコンクリートが扉が開くように折れ、その後落下したという。例年は祭りの期間中にバルコニーにいる人数は40人以上だが、昨夜の事故当時には10人ほどしかいなかった。役場は90年代に改築したところで、警察では倒壊の原因を調べている。

バルセロナの白ゴリラ、余命わずか

昨日、バルセロナ市役所は、市役所関係者は市民が町のマスコットであるコピートに別れを告げる時間を与えるべきだと考え、バルセロナ動物園の人気者の白いゴリラ“コピート・デ・ニエベ(雪玉)”が皮膚がんにかかっており、回復の見込みがないことを発表した。白内障手術を受けたばかりのコピートのガンは、右ワキにみつかっているが、今のところコピートに苦しんでいる様子はない。獣医チームでは抗生物質、抗がん剤、鎮痛剤、抗うつ剤を投与しているが、コピートに余計な苦しみを与えないため、手術は行われない。余命は数週間または数ヶ月と見られている。現在議論となっている、コピートの死後、剥製にして保管する案をバルセロナ動物園園長は否定、皮膚とDNAの標本採取、保管にとどめるという。
コピートが捕獲されたのは、現在の赤道ギニアとなっている場所で、バルセロナ動物園にやって来たのは今から37年前の1966年11月。当時、2、3歳であったと推定されている。コピートの年齢は人間に例えると80歳程度で、もし捕獲されていなかったとすれば、白変種で目立つため、ここまで長生きするのは不可能であった。これまでに3匹のメスとの交配で22匹の子供を残している。

週末のスポーツの結果

バスケットボール:男子ヨーロッパ選手権決勝でリトアニアと対戦したスペインは、93-84で破れ、銀メダルに終わった。ディフェンス力、シュート率、速攻など、すべてにおいてリトアニアが強さを見せつけた試合で、スペインはいつものように、1999年ジュニア選手権優勝チームの核であったパウ・ガソル、フアン・カルロス・ナバロ両選手の力量頼みのチームであった。しかし、チームは若いが経験を着実に積んでおり、ガードのラウル・ロペス選手が怪我から復帰すれば、アテネ五輪ではよい結果が期待できるという希望を残した試合だった。
ブエルタ・エスパーニャ:昨日、ビエリャ-ポルト・デンバリラ間175キロで行われた第9ステージではアレハンドロ・バルベルデ選手(ケルメ・チーム)が1位でゴール、しかし総合成績1位は依然としてイシドロ・ノサル選手(ONCEチーム)。今日はアンドラ-サバデル間194キロでレースが行われるが、コースのほとんどが下りとなるこの区間では、スプリンターの活躍が予想されている。
F−1:前回のハンガリーGPで優勝したフェルナンド・アロンソ選手(ルノー・チーム)は8位に終わったが、2000年マレーシアGP以降、テスト・ドライバーとなり、レースから遠ざかっていたマルク・ジェネ選手(ウィリアムズ・チーム)が3年ぶりに復帰したレースで5位に入賞した。
カヌー競技:アメリカのゲインズビルで行われた 第33回ICF世界フラットウォーター選手権大会最終日の昨日、カルロス・ペレス選手がK-1500m競技で銀メダルを獲得。スペインのメダル獲得数は銀が5つ、銅が2つ。
柔道:昨日閉幕した世界選手権(開催地大阪)で、スペインは女子78キロ級エステル・サン・ミゲルの銅メダル1つ獲得に終わった。


9月12日(金)

政府と野党社労党、外国人法改正案で合意に達する

昨日政府と野党社労党は外国人法改正案の協議で、長い紆余曲折の末、遂に合意に達した。
社労党は政府の主張する基本的な改正案に大元で合意する一方、政府側は社労党の主張する修正案の24の修正個所を受け入れるという、 双方が歩み寄った形の合意となった。
政府が受け入れた社労党の修正案で最も注目される項目のひとつは「スペインで職探しの為に3ヶ月滞在できる」というビザの導入。 今回この国会の特別審議委員会から提出された外国人法改正法案が、遅くとも今月末か10月当初に国会で決議され、 来年1月早々から発効する様に、というのが政府と社労党の意向。今回の委員会審議の結果は、与党民衆党PP、社労党PSOE、 カナリア同盟CCが賛成票を投じ採択されたが、カタルーニャ民族政党CiUは「改正案内容には基本的に合意するが、 地方政府に委譲される権限が不十分である点は賛成できないので、国会審議においては白紙投票となるだろう」と述べ、 バスク民族党PNVや統一左翼IUなどは反対の姿勢を示している。
今回の改正案の最重要点は、スペインへの入国およびスペイン国内での就労を許可する唯一の書類を「ビザ」に統一する事によって、 移民による労働力流入をスペイン国内の労働力需要の現実に合わせて制限する、そしてスペインへの移民の入国を的確に把握し、 国外退去・本国強制送還などの手続きにかかる時間を短縮する事と言える。

ガルソン判事、アル・ジャゼィーラ記者を拘置所へ収監

昨日、全国管区裁判所判事のバルタサール・ガルソン判事は、テロ組織アル・カエダに所属する疑いで捜査中のカタールのテレビ放送局 アル・ジャゼィーラの記者Tayseer Alouny氏を拘置所に収監する事を発表した。
Alouny記者は、AbuDhadahを首班とするアル・カエダテロ組織のスペイン部隊に属し、テレビ局記者という立場を利用してアル・カエダの 資金調達やテロリストのリクルートを担当していた疑いでガルソン判事の捜査を受けていた。奇しくも米国同時多発テロからちょうど2年目の 昨日下した判決の中で、ガルソン判事は、Alouny氏は今までのアル・カエダの殺人や誘拐には直接関っていないし、 2年前の同時多発テロ事件にも直接関与はしていないが、彼の属するアル・カエダスのペイン部隊は、アフガニスタンに従来から存在する ベースだけでなる、今まで不活性だった他地域の部隊への資金とテロ要員の供給という重要な任務を担っていると考えられる、 だからこそ早急にその構成員の活動を阻止する必要がある、としている。
先にスペイン検察当局が示唆した様に、Alouny氏はスペイン人であるにも関らず、アル・ジャゼィーラ記者としてアラブ諸国を自由に 行き来しており、それら諸国の多くはスペインと犯罪者引渡し協定を結んでいない。Alouny容疑者がこれらアラブ諸国に逃亡を図る 可能性は非常に高く、一旦これらの国に逃げ込んだらスペイン国の司法権の下に取り戻す事は不可能であるという状況を鑑みて、 今回の拘置所収監という判断が下されたとしている。

レプソル社と労働者側は、安全対策強化に関して合意に達する

8月半ばにプエルト・ジャノにあるレプソル社の石油精製工場で起こった死者8名を出した爆発事故の後、 会社側と労働者側との間で安全対策に関する交渉がもたれていた。レプソル社側は、事故の背景には安全対策の不足があった事は 認めないという姿勢は一貫して崩していないが、交渉の結果昨日、今後の安全対策教強化に関しては、労働者側との合意に達した。
レプソル側は、毒ガス探知機30機の即時購入と、下請け会社との契約書の中にその従業員が安全に就業する為に必要とされる装備 全てを詳細に記述する義務付けとを約束した。また合意の中には、火災予防対策として、工場内で発生する規模の火災に対応できる キャパシティーのある消化放水機7基と最新設備を搭載した消化用特殊車両9台の即時購入も約束されている。
労使間の交渉後に行われた会見の中で工場側のスポークスマンは「今回の合意は、既に以前から予定されていた安全強化対策の 為の資金投入の時期を早めただけである」としている一方、8月の爆発事項以来大手労働組合の労働総同盟(UGT)や 労働者委員会(CCOO)と連携して交渉に当たってきたレプソル下請け会社労働者側代表は、「会社側は我々の要求をほぼ全面的に 受け入れてくれた。我々が今後しなくては成らない事は合意された約束が実現されるかを監視する事だ。」と満足の意を示している。

コルーニャ裁判所判事、プレステージ災害事件の裁判において、海運局長の起訴を決定

コルーニャ地方裁判所の予審判事らは昨日、石油タンカープレステージ号災害発生に関る刑事責任上の容疑で、 コルーニャ海運局局長のホセ・ルイス・ロペス・ソルス氏を起訴する事を決定した。
当初コルクビオン第一裁判所においてロペス・ソルス氏を起訴する決定を下したが、これを不服としてロペス・ソルス氏の 弁護団がコルーニャ地方裁判所に控訴していた。 これに対し昨日コルーニャ地方裁判所は同氏の弁護団側の控訴を棄却し、同氏を起訴し予審を行う事を決定した。
一方ロペス・ソルス海運局長と並んでコルクビオン裁判所が起訴していた中央政府ガリシア担当官アルセニオ・フェルナンデス・デ・メサ氏とコルーニャ港責任者アンヘル・デ・レアル氏の2名に関しては現時点では起訴する必要はないと、コルーニャ地方裁判所判事らは判断した。
民間人から成るフォーラム“Nunca Mais(二度と繰り返すな!)”は、コルクビオン裁判所に、前述の3名(コルーニャ海運局長、ガリシア地方担当官、コルーニャ港責任者)を「プレステージ号遭難の際、遭難したタンカーをコルーニャ港内に非難させる事を拒否し、 外洋へ曳航させる様に命令する事によって、甚大な環境汚染を引き起こす原因を作った」かどで訴えていた。


9月10日(水)

バスク州政府、スペイン政府をUE人権裁判所に告訴

バスク自治州政府は、スペイン政府をフランスのストラスブールにあるヨーロッパ人権裁判所に告訴する事を表明した。告訴理由は、スペイン政府が施行した「政党法」の内容、及び政党法自体が憲法に違反しているとしてスペイン憲法裁判所に控訴した際それを棄却する判決を下した裁判官の中にヒメネス・プラガ裁判長が入っていたという事実が、基本的人権を保護するヨーロッパ憲章の条項に違反するとしている。
テロ組織ETAと左翼民族主義政党であるバタスナ党が表裏一体のものである点は、全国管区裁判所の捜査結果やその裁判の 判決例などからも実証されて来ている。一方政治立法の角度からも昨年来大きな動きがあった。
2002年6月に国会において、与党民衆党(PP),野党の社労党(PSOE),カタルーニャ民族政党CiU, カナリア同盟(CC)、アンダルシア党(PA) などが賛成票を投じ圧倒的多数をもって、「新政党法」が決議された。
そしてこの法律が発効するとすぐ、2,002年月26日には、国会においてこれもPP, PSOE, CC, PAの賛成を得た圧倒的多数で、 この新法に則ってバタスナ党を「違法」と認める事を決議し、最高裁にその審議を要請した。
これに対し、保守系バスク民族党(PNV)、中道派のバスク連盟(EA)、統一左翼(IU)の3党からなる連立政権のバスク自治州政府は当初から、 ]この「新政党法」は、憲法に定められている基本的人権の一つである「集会の自由」を侵すものとして反対を表明してきた。
バタスナ党違法化の最高裁での審議が決議された後、2,002年9月、バスク州政府はこの法令が違憲であるとして憲法裁判所に控訴した。 この憲法裁判所の裁判長であるヒメネス・プラガ氏が「バタスナ党は違法化するべき」と公の場で述べていた事に対し、バスク自治州政府は、 この「新政党法」の違憲性の裁判においてこのヒメネス・プラガ裁判長を忌避する申請をし、同裁判所内の裁判官のうち5名は ヒメネス・プラガ氏が辞退すべきとの意見を述べたにもかかわらず、最終的に憲法裁判所はヒメネス・プラガ裁判長の決定票によって、 バスク州政府の控訴を棄却する判決を2003年3月12日に下した。その後2003年3月17日に最高裁がバタスナ党を違法とする判決を下した。 その後この判決を受けてバタスナ党員議員の議員権の剥奪、バタスナ党に対する政治政党補助金給付差し止めなどの命令が下された。 それに対しバスク自治州議会はバタスナ党議員の議員権剥奪を行うにはバスク自治憲章を変更が必要という理由をもってこれを阻止し、 またバスク自治州政府はバタスナ政党への政治資金給付を再開し、スペインの司法権に対し反対の意を表明しつづけてきた。
今回バスク州政府は、「集会の自由」と「公平な裁判官による公平な裁判を受ける権利」を侵されたという理由でスペイン政府をUE 人権裁判所に告訴したが、専門家によると「公平な裁判官・・・」の方はバスク州政府が原告になる司法的根拠があるが、 「集会の自由」の方は実際に自分達の集会の自由を侵された当事者(この場合バタスナ党)は原告として告訴を行う事ができるが、 第3者であるバスク州政府が原告としてスペイン政府を訴えるのは司法的に難しい見られている。

ボノ氏、国防省の軍用地の競売に対し、土地強制収用で阻止

スペイン国防省は先に、大幅に軍事力を増強し、陸海空の最新兵器を発注し、国内生産により経済の活性化も図ると発表していたが、 全国各地にある軍用地を競売にかけて売却して得る収益をその資金源とする意向を示している。 これに対し、早速社労党(PSOE)が政権にある自治体や市町村から反対の声が挙がっている。
カスティーリャ・マンチャ州のボノ知事は、国防省が売却を予定している土地のひとつであるグアダラハラ市街地にある 25ヘクタールの軍用地に関して、競売を阻止する意向を表明した。
同州の法令によると、国有地の売却は、その土地が、政府によって値段を規定された住宅の建設および社会福祉目的の施設の 建設の為に利用される場合にのみ認められる、としている。
ボノ氏は、このグアダラハラの国防省所有地が、これらカスティーリャ・マンチャ州が認める目的以外で売却される場合には、 その土地を同州が強制収用するという形で阻止するとしている。同州のスポークスマンは、「各省庁や公共企業が所有する 国有地を営利目的で競売にかければ、財力のある者が高い値をつけて落札し、そこ建設する住宅は地元住民の手の届かない 高額なもにになって行く。住居の値段の異常な高騰を止めるというのは現政府の懸案の一つであるはずなのに、 それに逆行するような政策は阻止されなければならない」と述べている。

公衆電話からのメッセージ・Eメール・ファックス送信サービス開始

スペイン全国に設置されている9万台の公衆電話から、携帯へのメッセージ送信、Eメール送信、ファックス送信ができるようになった。 今年7月にスペインの電話通信会社テレフォニカは、スペイン全土の公道に設置されている6万台と、空港・駅・美術官などの 屋内に設置されている3万台の公衆電話機にこれらのサービスに必要なソフトウェアーを搭載し、8月からサービスを開始したと発表した。
携帯へメッセージを送るには、まず受話器を挙げ、アスタリスク(*)に続いて0と1を押した後、スクリーンに表示される指示に従えよいと言う。 このメッセージ送信のコストはテレフォンカードだと0.18ユーロ、現金だと0.2ユーロ。Eメール送信やファックス送信のコストは0.15ユーロ。 メッセージは最大143文字まで可能。現行システムでは、これらメッセージの送信のみ可能で、受信はできない。 またメッセージ送信は携帯からの場合と同様に一人への送信も同時に多数への送信も可能。従来どおりこれら公衆電話には テレフォンカードと現金(コイン)の両方が使用できる。テェフォニカでは今後メディアを通した宣伝を開始して利用者拡大を図っている意向。


9月9日(火)

今日は、11月9日の振替休日のため、トップニュースはお休みです。


9月8日(月)

政府と野党社会党は外国人法改正案を審議

1996年に保守党の民衆党が政権を取ってからの7年半の間に、政府政令によって行われた2度の特別合法化措置政策などの結果、 合法的にスペインに滞在する外国人の数は539,000人から1,572,000に増加した。その間に政府は何度か移民法・外国人法などの 改正を行って来たが、第2期アスナル内閣が行おうとした再度の外国人法改正案は3年来、野党の激しい反対に遭って来た。
特に社会党は大幅な修正案を提案し続けて来たが、結局は国会における民衆党の絶対過半数の力で法案は通過したが、 その後社会党がこの現行外国人法にいくつか基本的人権などを侵す点があるとして政府を最高裁に告訴し、最高裁は審議の結果 社会党の訴えを認め、政府に外国人法の再検討を要請する判決を今年の3月に下していた。
この判決以前は、政府は野党からの修正案をシステム的に常に拒絶してきたが、今回は全ての野党政党が参加する特別審議委員会を設け、 その内容を審査して来た。
今日8日で国会内における修正案提出が締め切られ、11日(木)に委員会の審議の結果が発表される。この4日間に政府代表である 外国人管理政務次官イグナシオ・ゴンサレス氏と社会党の社会問題担当コンスエロ・ルミ女史が修正案の最終調整を行う予定だが、 今回の改正案で下記の数点が注目されている。
不法移民の逮捕:スペインに不法入国をはかろうとして逮捕された場合、内務省の指定する特別収容所に拘束された後に 本国送還されるが、その期間の上限を40日から14日に変更する。
家族特例の扱い方:合法的にスペインに居住している外国人の配偶者には「家族」として自動的に居住許可証が発行されるが、 親や兄弟などの親族に対しては家族単位としての居住許可証は発行されなくなる(改正案以前は発行されていた)。これに対し社会党は、 全く不可能とせず、事情によって親などの親族の同居が絶対的に必要なケースには特例を認められる様にする修正案を提出している。
手続きの簡素化:スペイン入国前に本国のスペイン大使館から労働ビザの発給を受けていて、スペイン国内で合法的な 労働契約を所持している外国人は、従来の様に入国後労働許可証付き居住許可証を申請する必要なく、本国で入手した労働ビザの 所持だけで充分とする。
空路での入国者コントロール:ビザを保持しないで観光目的でスペインに入国する外国人は入国時に出国の際の利用航空便を チェックされ、その外国人が予定の出国便を利用しなかった場合、該当航空会社はその旅客の名前を政府当局に連絡する事が 義務付けられる。航空会社がこの義務を怠った場合は最高60,000ユーロの罰金が科される。 来年3月の総選挙に向けて国会は1月にも解散される予定の為、この外国人法修正案は今年12月31日までに国会を通過する必要がある。 アンダルシアやカナリア諸島などへ小船に乗り命がけで辿り着こうとするアフリカ大陸からの不法入国者が最近更に増加している。 逮捕者数は昨年同期と比べ30%増加、この夏の期間に不法入国の途中で命を落とした犠牲者は30名にのぼっている。このような中、 国会の特別委員会で熱い審議が行われる。

スペイン北部海岸のリゾート観光地、プレステージ災害後の今夏大幅に減収

25年ぶりと言われる好天と、リゾートホテル側の値段据え置きと、6百万ユーロをかけた宣伝キャンペーンの甲斐も無く、 プレステージ災害による「黒い波」の洗礼を受けたスペイン北部海岸リゾート関係産業の今年7月の業績は前年比で大幅な減収となった。 国立統計局(INE)の発表によると、ガリシア州のホテル宿泊率は前年比7.45%減。ガリシア州ホテル経営者連盟はこの減収は、 プレステージ災害がもたらした環境汚染だけでなく、ユーロの高騰や2004年のXacobeo年の接近などにも原因があると指摘している。

スペインの社会保障支出この10年間でGDP対比24%から19.2%に減少

バルセロナのPompeu Fabra大学が発表した研究「スペインの社会保障、UEからの隔絶」に因ると、スペインの社会保障制度は 劣化傾向をたどり、UEヨーロッパ連合内の水準との格差が拡大しており、現在UE15ヶ国内で下から2番目となっている(最下位はアイルランド)。 1993年にスペインの社会保障水準はUE水準(GDP対比)28.8%に最も近い24%だったが、2000年にはUE水準27.3%に対しスペインは 20.1%となり、2001年2002年と更に下降し現在は対GDP19.2%となっている。1996年保守系の民衆党が政権について以来アスナル首相は 第1期内閣でも第2期内閣でも常に「Deficit Cero負債ゼロ予算」を前面に打ち出し、絶対に国家予算の支出が収入を超えないという 方針を取って来たが、そのつけが医療制度・障害者年金・老齢年金・生活保護・失業保険など社会保障の貧困化という形で現れていると、 同大学の社会政治学教授のナバロ氏は分析する。
スペイン政府は、「Deficit Cero」を達成しUE内でもその水準を越える順調な経済成長を果たしていると豪語しているが、その影には もともとEU先進国のレベルよりずっと低い位置にあるスペイン社会保障制度の更なる劣悪化という犠牲を強いている。2002年度の UE先進国各国の対GDP社会保障支出は、3位ドイツ29.5%、2位フランス29,7%、1位スウェーデン32,3%となっている。UE内先進国の ドイツやフランスなども1993年来の経済危機で予算引き締め政策を取っているが、いずれも社会保障支出の削減は行っていない。


9月5日(木)

ビスカヤ・コマンド部隊のETA4名逮捕される

警察当局は、今日未明エルチャンチャ(バスク自治州警察)はETAのビスカヤ・コマンド部隊に属すと見られる 5名のテロリスト(男性4名、女性1名)を逮捕したと発表した。昨夜からビスカヤ県全域で一斉捜査作戦を展開していた
自治州警察はサントゥルセで2名、アモレビタで1名、ポルトゥガレテで1名、ベランゴで1名をほぼ同時に逮捕。 さらに各町でテロ活動拠点に隠してあった爆薬・手榴弾・起爆装置など等を押収した。押収物の中にはmotobomba (オートバイに爆弾を仕掛けたもの)や bicibomba(自転車に爆弾を仕掛けたもの)も発見された。
自治州警察筋によると、今夏ETAのビスカヤ・コマンド部隊はその組織を再編成しバスク地方各地でテロ活動を繰り広げてきた :6月14日にビルバオ市内に車両爆弾を仕掛け(不発に終わった)、その5日後6月19日にはイルレタ町のイベルドゥロラ (電気配給会社)の施設を爆破。6月23日にはゲッチョ町のホテルに15キロの爆薬を仕掛けて大きな被害を与え、 7月1日には自治州警察の爆発物処理班殺害目的の車両爆弾を仕掛け、7月6日にはベルディア町のバス会社を爆破。 さらには7月27日にサンタンデール空港に仕掛けられた車両爆弾もこのビスカヤ・コマンド部隊によるものと見られている。 今日中にもバスク州政府内務担当官のハビエル・バルサ氏によって今回の一掃作戦の詳細が発表される予定だが、 ラジオ局SERは、今回の幹部5名の逮捕によってビスカヤ・コマンド部隊は実質的に壊滅されたと報じている。

サパテロ氏、ラホイ氏に「スペイン民主政治の正常化」の為の2者会談を呼びかける

今日午前、モンクロア首相官邸において昨日発表された新しいアスナル内閣の面々が最初の定例閣僚会議を開いている 一方で、社会党総書記長のサパテロ氏は与党民衆党の次期首相候補に選ばれ実質同党ナンバーワンの座についたラホイ氏に 対して「アスナル氏の時代になおざりにされてしまったスペインの民主政治」を正常化する為に、一刻も早く社会党・民衆党の 両党主による2者会談を持つ事を呼びかけた。サパテロ氏はさらにはこの2者会談の呼びかけに答える事がラホイ氏にとって 「お仕着せ後継者」から脱皮して独自の方向性を示す為の絶好のチャンスであると述べた。
一方、サパテロ総書記長はアスナル首相とブッシュ米大統領に対して、現行の英米主導によるイラク侵略武力の下では イラク復興は望めないとし、一刻も早い国連主導の多国籍軍の派遣を要請した。サパテロ氏によれば、この多国籍軍には イラク侵略に反対した国々やアラブ諸国も参加しなければならないとしている。
さらにサパテロ氏はアスナル首相に対して国会にてイラク情勢の説明を行う事を再度要請した。社会党を始め全野党が 数回に渡って首相の国会喚問を要請しているが、常に与党民衆党の全体多数の反対に遭い未だに実現に至っていない。

市民保護局はスペインの7つの自治州に対して大雨警戒発令

市民保護当局は、アラゴン、バレアレス、カタルーニャ、バレンシア、ムルシア、ナバラ、リオハの7つの自治州に対して 早急に雹を伴った集中豪雨に対して警戒態勢を引くように呼びかけている。雨は1時間1平米30リットルの降水量に及ぶ事が 予想される。
また今日早朝にはアリカンテ地方各地で竜巻が発生している。Efe通信によると、今朝8時頃デニア沖の海上で突然 海水を巻き上げた竜巻が発生し、約5分間海岸線20kmを移動、その後陸に移動した後徐々に勢力を失って消失した。
デニア市の市街地を襲った竜巻は、カフェテラスなどの日よけテントや簡易いすを巻き上げたり樹木をなぎ倒したりしたが、 軽傷者が1名出ただけで、犠牲者は出ていない。


9月4日(木)

アスナル氏、ラト氏とアレナス氏に新内閣のポストで褒賞

火曜日のPP民衆党全国幹部総会で504人中503票の賛成・1票の白紙という結果でラホイ氏が アスナル氏の正式な後継者に認された。
今まで第一副首相・内閣府大臣・政府スポークスマンの3役を務めていたラホイ氏は総書記長として 次期総選挙に向けて全力投球する為内閣から抜け、また今まで科学技術相だったジュセップ・ピケ氏も 11月のカタルーニャ自治州選挙に民衆党からの知事候補として出馬する為内閣を抜ける。 この状況を受け、昨日アスナル首相は新しい内閣の組閣を発表した。
ラホイ氏の対抗馬であったラト氏(今まで第2副首相兼経済相)を第一副首相兼経済相に昇格し、 ラホイ氏に党総書記長のポストを譲ったアレナス氏を第二副首相兼内閣府大臣のポストにつけた。 又科学技術相にはホアン・コスタ氏が任命されたが、コスタ氏は96年にラト氏が経済相に就任して以来ずっと経済相の下で 財務政務次官や商業政務次官を歴任してきたラト氏の右腕と言える存在である為、いわばラト氏への気遣いからの人事と言える。
この様に、今回の内閣組閣はアスナル氏継承者選出に関った幹部の論功行賞の意味合いが大きい。 又政府スポークスマンには今まで労働大臣を務めたサプラナ氏が兼任し、今回新しく編成して再度誕生した総務省大臣には 今までカタルーニャ地方の中央政府派遣官だったフリア・ガルシア・バルデカサス女史が就く事になった。
後継者三候補のあと一人だったマヨール・オレハ氏の入閣無しで、現行のままバスク自治州の民衆党代表の位置に留まった。 これは9月26日にイバレチェ州知事の提唱する「自治領化案」が州議会で審議されるという 大きな局面を、バスク州議員・バスク民衆党代表として立ち向かう為としている。

DNA鑑定によるとコインの少女殺害犯人は男性!

マラガ県コイン町の17歳の少女ソニアさんの殺害事件で、遺体および殺人現場にあったものから 今までに科学捜査斑が絞り出せたのは、一人の男性のDNAだけであると発表された。
捜査当局はソニアさんの殺人には複数の人間が関っているとの見方をしているが、 少なくともその中で何らかの手がかりを残しているのは今の所一人だけという事だ。
ソニアさんの手の爪から採取された犯人の皮膚・遺体を埋めた場所にあったタバコの 吸い口の唾液、ソニアさんを拉致した車の運転席の血痕、これらの3つから検出されたDNAは 同一男性のものであり、さらにはそれが1999年11月にミハスで同じように拉致されて殺された ロシオ・ワニンコフさん殺人現場から発見されたタバコ(RoyalCrowという銘柄)の吸い口の 唾液から検出されたDNAとも同一人のものである事が発表された。
この捜査の展開を受けて、検察当局はさらに2000年8月18日にグラナダ県モトリル町で 町の祭りからの帰宅中に行方不明になったままの少女マリア・テレサ・フェルナンデスさん (当時18歳)の捜査で検出したもの全てを再度調べ、ソニアさん殺害事件およびロシオさん 殺害事件との関連性を探っていく方針を示した。モトリルは地理的にはコインやミハスから さほど遠くない地中海岸線の町であり、マリア・テレサさんもソニアさんと同様スイスで 生まれ育ち近年スペインに戻って暮らしていた。
アセベス内務大臣は「この3件の殺人・行方不明事件を関連付ける捜査は今のところ まだ仮説であり、いたずらに連続殺人事件と考えるべきではない」とあくまでも慎重な態度で 臨んでいる。
ロシオさん殺害事件の唯一の容疑者であるドローレス・バスケスさんのやり直し陪臣裁判が 来月10月14日に予定されているが、バスケスさんの弁護側はDNA鑑定が法的に立証され次第 この裁判の中止を申請する予定だ。 一方検察側はこのDNA鑑定を持ってしてもバスケスさんに対する嫌疑が100%晴れる訳では 無いとし、この裁判中止を申請するか否かは来週検討する予定。

スペイン人のアルコールとタバコの消費は数年来の減少傾向を破って増加

「タバコを吸い・アルコールを飲み・運動をしない。」 2001年に行われたスペイン人の 健康に関する調査結果の一部がパストール厚生大臣から発表されたが、それによると 数年来続いてきたスペイン人の「健康志向」が後退した事が明らかになった。
2001年2月から11月にかけてスペイン全土の21,000人の成人と5280人の子供達を ランダムに抽出して行われたこの健康に関する調査結果は2年後の今になっても 未だ公式発表されていないが、その一部を昨日パストール大臣が前倒しで発表した。
タバコに関しては、87年以降ずっと喫煙者は減少傾向をたどっていたが97年の 35.7%(人口に対して)で底を衝いて以降2001年には37.2%と一挙に上昇。 喫煙に因る死亡者は年間55000人という現状を鑑みて政府が大々的な反タバコ キャンペーンを展開しているにも関らずタバコの消費は増加している事が 明らかになった。 年代別に見ると25歳〜54歳が最も多く、人口の50%が喫煙者。 また16歳〜24歳の若年層では人口の37%が喫煙者となっている。
アルコールに関しては、更に悪く、87年からの減少傾向が97年の62.5%を底に 上昇し2001年には68.5%にまで増加した。パストール大臣はアルコール消費と 交通事故・家庭内暴力・家庭内および職場の事故・幼児虐待・家庭放棄などの 社会問題が密接な関係があることを指摘。統計によると16歳以上の全人口の8%が アルコール依存症に陥る可能性のあるボーダーライン上のアルコール消費者であり また同人口の2%が常に飲み過ぎ(その人の限度を越えて飲酒している)の状態にあるという。
また子供達の肥満の増加も注目すべき点であり、調査の結果24%の子供達が朝食を摂らず、 63%が毎日お菓子を食べ、30%が甘味飲料を摂っている事が明らかになった。 成人においても肥満は増加傾向にあり、人口の12.8%は肥満、36%は体重過多という 結果が出ている。 また全体の50%が運動をせず、一日のほとんど座った姿勢で過ごしている。 この傾向は高齢の女性および若い女性で特に多くなっている。


9月2日(火)

アスナル氏、民衆党内における全ての権限をラホイ氏に委譲する事を表明

昨日開かれたPP民衆党の全国執行委員会で、党幹部は全員一致で、アスナル党首が推薦した マリアノ・ラホイ氏を次期首相候補および同党総書記長にする事を承認・決定した。
絶対的権力をもつアスナル氏に絶対服従の形を取り続けてきた民衆党幹部は、予想通り 111人全員一致という形でアスナル党首の指名したラホイ氏を無条件で受け入れた。 今日火曜日に全国幹部総会でラホイ氏の承認決議が予定されているが、ラホイ氏本人の希望により、 563人の幹部は匿名で投票する形となる。
執行委員会の投票後行われた演説の中でアスナル党首は、「私は第一線を退くが、中途半端な形はとらない。 退く時には一切を、全ての権限を後継者に委譲する。全国幹部総会でラホイ氏が承認されたなら、 次期総選挙の民衆党からの首相候補はラホイ氏であると同時に、党の総書記長としてラホイ氏が名実共に 党の代表となる為に、党首として持っている私の権限を全てラホイ氏に委譲する。」と表明した。 今後ラホイ氏は内閣からはずれ民衆党の総書記長のポストに就いて次期総選挙戦に万全体制で望む。
一方アスナル氏は2004年の総選挙後に首相の座を退いた後も、民衆党内での党首としての任期は2005年1月の 次期党大会まで続く。PP民衆党の組織図では実質的な最高決定権を持っているのは党首(Presidente)であり、 総書記長(Secretaria General)は補佐的ポスト。この状況を考慮して「党内2頭政治は不必要な緊張を もたらすだけで無意味。避けるべきである」として、アスナル氏は、ラホイ氏選出後は、実質的な党首の 権限は全てラホイ氏に委譲し自らは名目上のみの党首となる」意向を示した事になる。 奇しくもこれは社会党の組織図・名称と同じ事となる。社会党の場合、党の最高決定権を持つ実質上の代表は 総書記長(Secretaria General:現在はロドリゲス・ザパテロ氏)であり、党首(Presidente:現在はマヌエル・ チャベス氏)はあくまでも名目上のまとめ役となっている。
アスナル氏の演説に続き、ラホイ氏と候補の座を争ったロドリゴ・ラト氏とマヨール・オレハ氏、現総書記長で ラホイ氏にそのポストを譲る形となるハビエル・アレナス氏、その他の党幹部が次々と演説したが、いずれも 「ラホイ氏がいかに後継者として適任か」「ラホイ氏を推薦したアスナル氏がいかに賢明か」を力説し、 民衆党の「一枚岩ぶり」を披露した。一方、野党からは「民衆党がこの後継者選出方法を民主的と呼ぶのなら、 ローマ法王選出の方がまだ民主的と言えるだろう」などと揶揄の声が聞こえる。

コインの少女殺人事件、DNA鑑定により予想外の展開

去る8月14日にマラガ県のコイン町で殺されたソニア・カラバンテスさん(17歳)事件を捜査していた 警察当局は驚くべき展開を迎えた。ソニアさんの遺体や事件現場の遺留品などを調べていた治安警備隊の 科学捜査斑の発表によると、ソニアさんの手の爪から検出された皮膚片とソニアさんの遺体が発見された 場所に落ちていたタバコの吸い口に付着していた唾液から検出されたDNAと、4年前1999年11月2日に ミハス町在住のロシオ・ワニンコフさん(当時19歳)が死体で発見された現場に落ちていたタバコの吸い口に 付着していた唾液から検出されたDNAが、同一人物のものであると見られる。
4年前のロシオ・ワニンコフさん殺人事件の捜査に関っていた治安警備隊員の多くが、今回のソニアさんの 事件捜査にも参加しているが、それら捜査員からもこの2事件の類似性が指摘されている。
ソニアさんとロシオさんの容姿の類似。ロシオさんはミハスから近くの街のお祭りに行く途中、ソニアさんは コイン町のお祭りから家へ帰る途中で行方不明になっていること。二人とも誰かに拉致され車で連れ去られた後に 残虐的な形で殺されて死体を埋められていること。ミハスとコインは16kmしか離れていないこと等など。
4年前のロシオ・ワニンコフさん殺人事件の際、ロシオさんを幼少から可愛がって家族ぐるみでつきあっていた ロシオさんのお母さんの友人でもある女性ドローレス・バスケスさんが唯一の容疑者として挙がり、 陪審制裁判の結果有罪の判決が出された。 しかしアンダルシア高等裁判所は、状況証拠だけに基き 物的証拠に欠ける、又本人も無実を主張しているなどの理由から、この陪審制裁判の判決を無効と決定し、 裁判やり直しを命じており、その2度目の裁判が来月に予定されていた。
ドローレスさんは2年間を拘置所で 過ごし現在は自宅に引き篭もって生活をしていたが、今回のDNA鑑定発表により彼女の弁護側も大きな 展開を迎えると言えよう。

16,000トンの重油はどこへいったのか?

昨年11月ガリシア沖で座礁・沈没した石油タンカー・プレステージ号の脅威は続いている事が確証された。
タンカー沈没後9ヶ月を経てようやくスペイン政府は、スペイン・フランス・ポルトガル(流出石油による被害を 受けている当事国3国)の技術者を一堂に集めての会議を昨日モンクロアの首相官邸にて行った。 その結果、先週から取りざたされていた新たな流出石油の脅威が裏打ちされた形となった。
4000メートルの深海に沈んでいるプレステージの船体に残る石油を取り除くプロジエクトに 関っている会社レプソルの社長と政府スポークスマンのラホイ氏は先週、海底のプレステージ船体に 残留している石油の量は、プロジェクト斑の捜査の結果13,800トンである事が明らかになったと発表した。 これはプレーステージ沈没当初からスペイン政府が随時発表してきて流出石油量から算出して来て、 船内残存量は37,500トンであると発表して来た数字と大きく食い違っていた。
このなぞを解くため、スペイン政府はその重い腰を挙げて3カ国の技術者を招いて「プレステージ石油」の 行方の分析を試みた。その分析結果によると:沈没時の石油積戴量は77,000トン。海上から回収した 石油汚染物(海水と混じって変性)は計52,000トンでここから推定される石油量は最低で23,000トン。 陸上で回収した石油汚染物(土砂と混じって変性)は計100,000トンでここから推定される石油量は最低で 19,500トン。蒸発や変性によって消失した石油の量は4,725トンと推定される。海底にある船体を捜査した結果 船内残留石油量は13,800トン。そして単純な引き算をして行くと、15,975トンの石油は行方不明という事に なる。数日前に、政府が指名したプレステージ対策委員長であるマルティン・ビジャ氏は「もともと プレステージに積まれていた石油の総量が少なかったのだろう。」という仮説を述べたが、昨日 モンクロアに会した3カ国の技術者たちはこの仮説には触れず、「このなぞを解くための正確な数字や 情報を持っていない。」と述べたに留まった。この夏北スペイン沿岸の海岸で海水浴をした人々は、 ガジェタ(クッキー大)やら小さな点々やらのチャパポテ(石油漂流物)を目にしたりあるいは実際に体に 付着したりしている。16,000トンとは大きな数字であり、まだまだプレスージの脅威は続いていると言えよう。

サマーシーズンの交通事故死亡者数、前年比4%増加

7月8月の夏のバケーションシーズンが終わり、スペイン全土が日常生活に戻った9月だが、交通管理局から この夏2ヶ月間の交通事故による死亡者数が発表された。事故件数は710件、重傷者は478名、軽傷者は498名、 死者は851人に登り前年同時期に比べ4%増加した。これは2001年(前年比7%減少)、 2002年(前年比5.2%減少)と2年間続いた交通事故による死亡者減少傾向から一変して増加した事になる。 バケーション先から自宅へと帰る車が殺到した8月30日(土)と31日(日)の2日間だけで交通事故34件で 死者40人を出している。
ヨーロッパドライバー連盟会長の説明によると、この死亡事故の増加は、車の数の増加や車での移動範囲の 拡大に対して、道路インフラの整備が追いついていない現状に因るところが大きいとの事。 過去の統計を見ても当局が道路インフラの整備に投資を増やすと死亡事故が減少し、投資を減らすと 事故が増加する事は明らかであるとしている。


9月1日(月)

アスナル首相、後継者にマリアノ・ラホイ氏を内定

バケーションと地元カスティーリャ・イ・レオン地方の遊説から戻り、先週金曜日に首相官邸に戻ったアスナル首相は 「首相後継者の発表時期の前倒し」というサプライズを持って現れた。
本来10月に発表予定をしていたアスナル首相の後継者指名だが、来年度総選挙にむけての準備を早める為、 週明けの今日月曜に内定案を発表し民衆党幹部111名からなる執行委員会の評議にかけた後、 明日火曜日に同党のスペイン全国の幹部563名からなる全国幹部総会での承認を 受ける予定となっていた。しかし本来今日月曜に指名者発表の予定だったが、昨日日曜日の新聞・テレビなどメディには 既に「アスナル氏、後継者としてマリアノ・ラホイ氏を指名」と発表されていた。
ガリシア地方出身で現在48歳のラホイ氏は、96年民衆党政権誕生以来常にアスナル内閣にあり、公務省、教育科学省、 内務省と、異なる分野の大臣を務めてきた。第2期アスナル政権において2001年以降は第一副首相、首相府大臣、 政府スポークスマンの3役を兼任しアスナル首相の女房役を努めてきた。
この週末にはラホイ氏とアスナル首相がトレド郊外にある首相の別荘に詰めて今後の内閣人事と民衆党幹部人事とを 検討していた様だが、その内容は、今日開かれる民衆党執行委員会と明日火曜に開催される同党全国幹部総会の結果 正式にラホイ氏が次期総選挙の首相候補に任命された後に発表される事になる。
1996年の総選挙で、4期続いた社会党フェリペ・ゴンサレス政権を破って、保守党内閣を誕生させたアスナル首相は、 当初から2期以上は首相を努めることは絶対しないと公約しており、2000年の総選挙の際に絶対多数で圧勝して 第2期アスナル内閣が誕生した時から、「アスナル首相の後継者は誰?」という事は党内外で常に問われてきた。
党内で民主的に候補者を挙げて選出する形ではなく、独裁的権力を持つアスナル氏(内閣の首相であると同時に 民衆党党首)が、自ら子飼いにしてきた候補者の中から「この人!」と指名し、常に1枚岩で党首に絶対的服従を してきた体質の民衆党幹部がその指名者を承認するという形で行われる次期首相候補者決定は異例の形であり 野党政党からは批判や揶揄の声が聞こえる。
2004年3月の総選挙後アスナル首相は現役を退いた後も2005年1月までは民衆党党首の地位にいる事となるが、 民衆党2頭体制とはどのような形になるのだろうか。 9月26日にはイバレチェ州知事の提唱する「自治領化案」(違憲合憲をめぐって司法・行政分野において紛争を 巻き起こしてきた)がバスク自治州議会で審議される。10月26日にはマドリッド自治州のやり直し選挙(この夏の 3ヶ月間の司法・行政・経済分野での紛争にピリオドを打つ事ができるか?)が行われる。 11月にはカタルーニャ自治州の選挙が行われる。この様に来年3月の総選挙以前にも政治的に重要なイベントが山積と なっている。

スペイン政府、ガルソン判事が要求していたアルゼンチン軍部独裁政権39名幹部の引渡しを取り止め

1976年から83年までの間、アルゼンチン軍部独裁政権によってスペイン人に対して行われた拷問・大量虐殺などを 捜査しているスペイン全国管区裁判所のバルタサール・ガルソン判事は、当時の幹部軍人45人がスペインの法廷に 出廷できる様に、アルゼンチンに対してその身柄引渡しを要求していた。これを受けてアルゼンチン側の司法筋も 45人の内39名の身柄を拘束し、スペイン政府からアルゼンチン政府に対する「正式な身柄引渡し請求」が行われるのを 待っている状況だったが、その拘留期間40日の期限が切れる9月2日を直前にして、スペイン政府はこの引渡し請求を 行わない旨を決めた。
 8月29日(金)午前中に行われた政府の定例閣僚会議でこの取り止めが決議され、会議後政府スポークスマンの ラホイ氏によって発表された。ラホイ氏によると、この取り止めの理由を「これら元軍人が自国アルゼンチンの法廷で 裁かれる可能性が生まれた現在、スペインの法廷に出廷する必要はないと考えられる」とした。
アルゼンチン軍部独裁政権下で行われた数千の人々に対する誘拐・拷問・殺人などの罪を裁判で問われていた多数の 元軍人達は、保守政権下の1987年に国会を通過した法律Ley de Punto Final (軍事政権下に上からの命令に従って 軍人が行った行為に関しては、その行為を行った軍人はその責任や罪を問われないで、一切を帳消しにされるという 法律)によって、それらの裁判は全てストップしていた。今春アルゼンチンに誕生したキルシュナー政権下、 この法律Ley de Punto Finalを破棄する事が先週下院にて決議された。これによって独裁政権下で行われた行為が 不問に付されていた元軍人らが新たに自国アルゼンチンの法廷で裁かれる可能性が出てきた。 ラホイ氏はスペイン政府の「引渡し請求取り止め」は、アルゼンチン国内のこの状況変化に基くとしているが、 この法律Ley de Punto Finalが本当に破棄されるには未だアルゼンチン最高裁の承認が必要であり、余談を許さない 状況の様だ。
スペイン政府の「引渡し請求取り止め」を受けて、当のガルソン判事はアルゼンチン司法当局のカニコバ判事に対して、 「スペイン政府は引渡し請求を取り止めた訳ではなく、アルゼンチン国内の状況をみて一時的に中止しているだけである」 として、アルゼンチン司法当局が拘束している39名の身柄を自由にしない様に要請したが、カニコバ判事は 「スペイン政府が引き渡し請求を取り止めた事は驚くべき事だが、スペイン政府がアルゼンチン政府に引渡し請求を しない以上、拘束されている39名の身柄は拘束期限が切れたら自由にせざるを得ない」と答えた。

41市町村の住民台帳記録によると、この夏の死亡者数は前年比1092人増

CANICULA(7月23日〜からの大暑)の時期にヨーロッパ全土を襲った熱波の影響が具体的な数字となって出始めている。
フランス(人口約6千万人):政府が先週末発表したところによると、7月23日〜8月半ばまでの期間の死亡者数は 過去3年平均の数より11,400人増。当初救急センターの医療関係者からの告発で熱波による死者は3000人と言われ、 その後5000人に変わり、後に葬儀社を通して統計をとった所11,000を越える死亡者数の増加が明らかになった。
ポルトガル(人口約1千万人):政府が8月21日発表したところによると、7月末から8月12日までの死亡者数は 前年比1300人増。
イギリス(人口約6千万人):政府が8月26日発表したところによると、8月8日〜15日の1週間の死亡者数は前年比907人増。
一方スペイン政府は直接的・間接的原因がこの夏の熱波に起因する死亡者数は数百人であるとの見解で、「責任当局に 依頼して具体的な数字を出す様要請中」と発表しているが、全国紙エル・パイスが独自で行った調査によると、 4000万人のスペイン人口の18.2%にあたる760万人の住民を抱える41の市町村に同紙の記者が足を運んで住民台帳記録で 今年8月1日から15日までの死亡者数を調べた所、2002年度死亡者数3208人、2003年度死亡者数4300人で、1,092人増で ある事が判明した。
地域差などを考慮しなければならず単純に計算する事はできないが、この数字を基にすればスペイン全国での この夏の熱波による死亡者数は、政府発表の数百人レベルではなく、数千人レベルになるのではないかと推測されている。 具体的な数字を早急に出さず、「スペインは他のヨーロッパの国々に比べてもともと暑さに慣れているので、熱波による 犠牲者数が比較的少ない」としている政府の態度に対して批判の声が挙がっている。




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