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12月31日(水)

大晦日につき、スペインニュースはお休みです。


12月30日(火)

マラガル知事、前知事財政監査を決定

パスクアル・マラガル氏が新知事として就任したカタルニャ州政府は昨日、ジョルディ・プジョール前知事政権から引き継いだ州政府の財政状態を把握するため、州政府すべての部局の会計監査を行うことを決定した。監査の結果が出るのは6ヵ月後で、夏前の新政府の予算案発表に合わせる予定。
昨日はまた、カタルニャ州警察モッソス・デスクアドラに国家警察、治安警備隊、市警察出身者用の採用基準を新たに設けることも決定された。これは、州警察官を増員するのが目的で、昨日は2004年に1328人の州警察官新規採用(前年の2倍)を行うことも決定されている。
その他、仕事を持つ両親の増加に合わせて、学年の終了を7月半ばに伸ばし、開始を9月初旬に早める可能性も検討に入った。延長期間分については課外授業の形を取るという。

バスク州議会、来年度予算案承認ならず

バスク州議会で行われた予算案審議は昨日、37対36で2004年度予算案を却下した。これは、現在は違法政党と認定されているバタスナ党の元メンバーが構成するSA(愛国社会主義同盟)が、PP(国民党)、PSE(バスク社会党)と共に反対票を投じたため。
SAは、部門ごとに審議を行えば、EA(バスク連盟)の管轄する教育局、司法局、環境局の予算については棄権すると宣言したが、州議会議長ホセ・マリア・アトゥチャ氏はこれを拒否、「予算案は全体で承認されなければならない」とした上、PNV(バスク民族党)、IU(統一左翼)と3党連立州政権を硬性しているEAも「政府の経済政策は3党が一丸となって行うものであり、つまりその政策はPNVの責任であると同時に、IU、EAの責任のもとに実行されるものである。SAによるこのような支持はETAへの拒絶をはっきりと表明した後になされるべきだ。」とSAの申し出を拒否した。このため、SAは態度を一転させ、すでに反対投票を表明していたPP、PSEと共に反対に投票し、バスク州政府の予算案は却下された。
昨日の審議では、与党3党がSAの票に頼らざるを得ない現在のバスク州議会が如実に表れる結果となった。来年度予算案が却下されたため、昨日の審議では2003年度予算の延長が決定されている。

99人目の殺人犠牲者(マドリッド)

昨日の午後7時半頃、防犯装置の警報が鳴ったため、マドリッド州コジャド・メディアノの民家に治安警備隊が出動したところ、この民家の居間の床にエバ・ルケ・ペイナードさん28歳が倒れているのが見つかった。エバさんは腹部、胸部とうなじに合計4発の銃弾を浴びており、床は血の海となっていた。エバさんの父親のラモン・ルケ・ゴメスさん59歳もソファで死亡しており、ラモンさんは額と頚部に2発の銃弾を浴びていた。
ラモンさんは建設会社を経営、エバさんは失業中だった。警察では強盗の可能性が高いと見て捜査を進めている。コジャド・メディアノはマドリッド州内でも犯罪率の低い地域だが、この2人の死亡により、マドリッド州内での今年の殺人事件の犠牲者は99人となった。


12月29日(月)

イラン地震救援にスペイン軍用機出発

金曜日、イラク南東部の都市バムで起こった地震の救援のため、すでにスペインからはアンダルシアの5人の消防隊員が救助犬と共に自費でイランに到着し、昨日から救援活動を開始しているが、昨日はマドリッドのトレホン・デ・アルドス基地からバムに近いケルマン空港に向け、テント病院施設を積んだ軍用機が飛び立った。このテント病院は38平方メートルで発電機を備えており、同行しているスペイン人チームによって組み立てられた後、イランのNGO人の手に運営が任されることになっている。この飛行機には、NGO団体Medicos del Mundoの医師、赤十字社メンバー、救急隊員も乗っており、現地に到着後救援活動を開始するほか、今日は赤十字社の、1日15万リットルの水を飲料用に変える装置を積んだ第2便が出発する予定。
昨日、モルテサ・アルビリ在スペイン・イラン大使はスペイン政府とNGO団体からの援助に感謝の意を表したが、生存者のいる見込みが低い今は、もはやさらなる救援隊の派遣は必要ではないとし、物資による救援を要請した。これを受けてロドリゴ・ラト経済大臣は、スペイン政府が被災地域に対し、2000万ドルの支援金を送る用意があると発表したが、この支援金については、1月9日の閣僚会議で承認される見通し。

チュッパチャップス社創業者エンリク・ベルナ氏死去

棒つきキャンデー、チュッパチャップスを開発したエンリク・ベルナ氏が昨日、バルセロナで死去した。享年80歳。
ベルナ氏とお菓子のつきあいの始まりは、両親の菓子屋の手伝いをしていた少年時代に遡る。1950年代にアストゥリアス州ビジャマジョールにある工場を立て直すために会社から派遣された後、ベルナ氏はこの工場を買い取るに至り、ここから企業家としてのキャリアが始まった。現在、チュッパチャップス社業務上の本社はカタルニャ州にあるが、今でもチュッパチャップ社の登記上の本店がアストゥリアス州に置かれているのは、会社の原点を忘れないため。
飴を食べている子供が手を汚しているのを見て、キャンデーに棒をつけることをベルナ氏が思いついたのは1958年。ベルナ氏はこれを特許申請し、現在チュッパチャップス社はフランス、ロシア、中国、メキシコに工場を持ち、世界150カ国で販売、売上5億ユーロ、従業員2000人の会社となった。ガウディ建築の代表作の1つであるカサ・バトジョはチュッパチャップス社の所有。現在は、エンリク氏の息子シャビエル氏が現在チュッパチャップス社の社長を務めているが、経営は家族の手を離れている。ベルナ氏の葬儀は今日の正午バルセロナで行われる予定。

10日間の交通事故死者数113人

クリスマス特別警戒キャンペーンが開始された19日(金)午後3時から昨日の午後8時までに発生した死亡交通事故件数は94件、113人が命を落とし、47人が重傷、29人が軽傷を負った。この週末は特にスペイン北部で雪の悪天候となり、アストゥリアス、カンタブリア、ラ・リオハ、パイス・バスコ、ナバラ、アラゴン、カタルニャ、カスティジャ・イ・レオン、バレアレスには注意報が出され、昨日の午後は38ヶ所でチェーンの装着が義務づけられ、ブルゴス、カンタブリア、レオンの9ヶ所の峠が雪のため通行止めとなった。


12月26日(金)

マドリッドテロ、未然に防止

スペイン国家警察は、24日(水曜日)朝、サン・セバスティアン駅駐車場でETAメンバー、ガリコイツ・アルアルテ・サンタクルス容疑者を逮捕した。容疑者は25キロの爆薬、導火線、時限装置、ピストル、かつらなどを入れたリュックのほか、マドリッド行きの切符を所持していた。
尋問の結果、もう1人計画に加わっている人間がいることが判明。警察は、ゴルカ・ロラン・ラフォウルカデ容疑者を、ギプスコア県エルナニで午前11時半頃逮捕した。ロラン容疑者が、イルン8時15分発マドリッド15時12分着の列車に爆弾を仕掛けたと供述したため、警察はただちにこの列車の停車命令を出し、列車は11時30分ブルゴス駅で停車。190人の乗客はバスでマドリッドに移動させられ、捜索の結果、車内から同日午後3時55分にセットされた時限爆弾の入ったリュックがみつかった。ロラン容疑者は爆弾設置後、トローサ駅で下車、自宅のあるギプスコア県エルナニに戻っていた。
この2人の供述により、火曜日午後9時20分、サラゴサから30キロ離れたルセニとカバニャスの間で線路わきで爆発した爆弾(爆発は小さく、人的、物的被害共になし)の設置犯人もロラン容疑者とアルアルテ容疑者であることがわかった。警察では、この爆弾はマドリッドで列車内に仕掛けられた爆弾が爆発した後爆発する予定だったが、時限装置がうまく働かなかったため、前日に爆発したとみている。2人が、テルエル県サンペール・デ・カランダの線路にも爆弾を設置したと供述したため、昨日の午後、付近で捜査活動が行われたが爆弾はみつからず、濃霧のため、捜索は午後9時中断された。今日もひきつづきこの爆弾の捜索が行われる予定となっている。

国王からのクリスマス・メッセージ

クリスマス前夜、国営テレビ、ラジオで国王からのクリスマス・メッセージが今年も放送された。憲法制定25周年にあたる今年、国王のメッセージは、憲法の重要性について述べ、その尊重を国民に求めていく内容を中心に、この憲法に基づいてスペインが多様性に富んだ国家としてさらに発展を遂げていくことを望む内容となった。
また、国王は去年に引き続き、今年も移民問題について言及され、新しい住処としてスペインを選び、スペインの発展に貢献していく移民に対し、スペイン国民が連帯と責任を持って接するよう求められた。麻薬問題、家庭内暴力問題にも触れられた後、国王は、テロの犠牲者の家族に対して特別な言葉を寄せられ、イラクでのテロで犠牲となったスペイン情報局員たちの国家への献身を称えられた。
メッセージの最後に国王は、長男であるフェリペ皇太子の婚約について触れられ、国民から寄せられたたくさんの祝辞に感謝の言葉を述べられた後、今後もスペイン王室が引き続いて、スペイン国家と国民のために働いていくことを約束された。

バルセロナで寒中水泳大会

昨日、バルセロナ港で第94回ナダル杯水泳大会が行われた。この寒中水泳大会は、ほぼ1世紀の歴史を誇るスペイン最初の公式水泳大会で、男性の部、女性の部、年少者、障害者の部、一般参加の部の4部門の競技に今年は史上最高の350人が参加、200Mを泳いだ。
男性の部はカタルニャ・スイミング・クラブのダニ・セラ氏が2分5.34秒の記録で14年ぶり2度目の優勝、女性の部は2分18.2秒でサバデル・スイミング・クラブのエステル・ヌニェスさんが3年連続で優勝している。


12月25日(木)

主の降誕の祭日のため、スペインニュースはお休みです。


12月24日(水)

2004年度国会予算審議終了

昨日、国会では与党PP(国民党)とCC(カナリアス同盟)の賛成票182票対その他野党の反対票145票で、来年度予算が承認された。PP政権では常に予算案を支持してきたCiU(カタルニャ連合)も反対票を投じた今年度最後の国会審議では、PPの孤立がますます浮きだった結果をもって終了した。
先週の水曜日の審議で最後の答弁を行ったアスナル首相は欠席、最大野党PSOE(社労党)のサパテロ書記長も昨日の審議を欠席した中、諸野党代表者は、この4年間、PPとアスナル政権が国会で過半数を握っているのを利用し、野党と対話と交渉を行わなかったことを非難。最も厳しい発言を行ったのはCiUのジョセップ・ルイス、サンチェス・リブレ氏で、「CiUとの関係をここまで悪化させて、もし来年3月の総選挙で連立を組む必要が生じた場合、PPはどうするつもりなのか?」と問い掛けた。前カタルニャ州政府でPPと連立政権を組んでいたCiUは、PPが政権を握っているこの8年間、予算案に反対票を投じたことはなく予算案第1回審議では棄権票を投じていたが、その後PPの態度に変化が見られなかったため、昨日は反対投票に踏み切っている。

スペイン、モロッコ未成年密入国者を送還

現在、スペインには、密入国した、または保護者のいないモロッコ人未成年者がおよそ3000人、自治州の保護施設で暮らしているが、12月8、9日に行われたモロッコとの政府会談で合意したとおり、今日からスペイン政府はこのモロッコ人未成年者の送還を開始する。モロッコ政府はこれらの未成年者の親族を探し、みつからない場合は保護施設に入所させることを約束している。しかし、NGO団体からは、モロッコ国内で親族がみつかる前に送還をするのは危険で、親族が見つからなかった場合にモロッコ政府は受け入れた未成年者に必要な保護を与えることができないとし、子供の人権侵害であると抗議の声があがっている。

“El Bulli 1994-1997”出版

いまや世界的に有名となったフェラン・アドリア氏のレストランEl Bulliのカタログとも言える“El Bulli 1994-1997”が、スペイン語版はRBA社から、カタルニャ語版はAra Llibres社から出版された。昨年すでに出版された“El Bulli 1998-2002”と同様、スペインでの定価は120ユーロで、すべてのレシピを載せたCD-ROMつき。この本では、エル・ブジが独自のスタイルを確立した重要な時期がテーマとなっており、写真は前巻同様ジャウメ・ギラメット氏が担当している。
前巻の“El Bulli 1998-2002”フランス語、英語版はすでに発売されており、ドイツ語版は来年1月、日本語版も来年中に出版の予定。翻訳を担当したのは、Cillero&de Motta社で、英語版はアメリカ版とイギリス版の2バージョン作られている。
フリ・ソレール氏のエル・ブジでフェラン・アドリア氏が働き始めたのが1983年、2年後にはアルベルト・アドリア氏も加わり、今回の出版は3人がチームとして働き始めて20周年となるのを記念したもので、来年には“El Bulli 1983-1993”が出版される予定。


12月23日(火)

クリスマスジャンボ、一等当選番号は42473

昨日、毎年恒例のクリスマスジャンボ宝くじ抽選会が開かれた。今年の一等当選番号は42473で、ジェイダ県の販売所で売られたもの。一等が当たったのは、ア・コルーニャ、アルバセテ、バレアレス、ギプスコア、ジェイダ、マラガ、バレンシアの7箇所。
地域別で最も獲得賞金金額が高かったのは、2等と4等が当ったアリカンテ県サンタ・ポラで、1.776億ユーロ、その次は1等の当ったア・コルーニャ県リアンショで1.2億ユーロとなっている。
2等の当選番号は24635で、マドリッドのトレホン・デ・アルドス、シウダ・レアル県プエルト・ジャノ、アリカンテ県サンタ・ポラで販売されたものだった。

カセレスのサルモネラ菌中毒、1週間報告されず

カセレス県ハランディ−ジャ・デ・ラ・ベラの老人ホームで、サルモネラ菌中毒により4人の高齢者が亡くなり、4人が引続き入院、うち2人は重体となっているが、この食中毒に関し、エクストレマドゥラ州政府に老人ホームが、食中毒の発生があったと報告したのが中毒発生3日後、中毒がサルモネラ菌によるものだったと報告したのが1週間後であったことが判明した。
食中毒の原因となったのは12月9日の夕食。入居者77人に出された夕食のうち、スープとデザートに使われていた生クリームがサルモネラ菌感染していた。翌10日、食中毒最初の症状が現れ始め、11日には28人が食中毒の症状を訴えた。非営利目的で運営されているこの老人ホームが保健所に連絡したのが12日、翌日には最初の死者が出ている。
この老人ホームは10月、エクストレマドゥラ州による立ち入り検査の際、入居者の数に見合った看護人がいないとして注意を受けていた。州政府は老人ホームが食中毒発生直後に報告をしなかったことを糾弾している。

OT3、最終回視聴率ガタ落ち

2002年2月1日、TVE(スペイン国営放送)が放映したOT(オペラシオン・トリウンフォ−スペイン版スター誕生)最終回には1300万人がテレビに釘付けとなっていた。素人を養成学校に入れ、毎週視聴者の投票により参加者をふるいにかけ、優勝者はスペイン代表としてユーロビジョン(ヨーロッパ各国代表が歌を競う)に出場するというこの番組が初めてテレビに登場したときは視聴率43.7%を誇り、社会現象ともなった。しかし、3度目のシリーズOT3の視聴率は23.7%にがた落ち、2日前の日曜には優勝者が決められたが、この日、この番組を見ていたのは400万人に満たなかった。
視聴率が落ちた原因は、新しいもの好きの若年層視聴者(13歳から24歳)離れ。この年代のOT1視聴率が52%だったのに対し、OT3は21.8%、65歳以上の年齢層の視聴率は37.3%から30.3%とそれほど大きく変わっていない。この番組をプロデュースしているGestmusic社とTVEの契約更新交渉は今のところ棚上げ。OT4を製作するかどうかは、来年5月にイスタンブールで開かれるユーロビジョン前の交渉にかかっている。


12月22日(月)

改正外国人法今日から施行

現政権3度目の改正が行われた外国人法が今日から施行される。PSOEから提出された修正案24のうち20を受け入れた改正で、スペインに仕事を探しに来る外国人のための3ヶ月ビザの発行、ドメスティックバイオレンス被害者は裁判所から保護命令が出たときから、夫または妻から独立した居住許可書を獲得できる可能性などが盛り込まれたものの、これまでの外国人法がさらに厳しくなった内容であることに変わりはなく、NGO団体から抗議の声があがっている。今日から施行となる改正外国人法の中で、基本的人権を尊重していないとして、特にNGOから非難されているのは次の内容。
警察の住民登録チェック:“各市町村の住民登録は2年ごとに見直し”“警察は市町村の住民登録を自由に閲覧できる”−この項目は地方自治の独立性を侵害する上、データ保護法も侵害しているという抗議のほか、現在は不法滞在者でも無料で医療が受けられる健康カードを作成するために住民登録を行っているが、これにより不法滞在者が住民登録を行わなくなり、彼らの基本的権利が奪われるとNGO団体は警鐘を鳴らしている。
運輸会社への罰:陸海空いずれの経路を使う運輸会社もシェンゲン加盟国以外を出発する場合は、スペインが経由地または最終目的地であれば、当局にすべての乗客の氏名、生年月日、国籍、パスポートナンバーを報告しなければならない。また、往復切符を所持しているものの復路の切符を使用しなかった乗客についても各運輸会社はスペイン当局への報告が義務づけられ、報告を怠った場合は乗客1人につき最高6000ユーロの罰金と、スペイン入国を拒否された乗客の復路の運賃負担が義務づけられる。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)では、「本来政府が行うべき亡命申請内容の検証責任が運輸会社に押し付けられることになり、高額な罰金を前に運輸会社が身分証明が不透明だと見なした乗客を拒否する可能性が高くなり、亡命というシステムが働かなくなる。」と述べ、憲法裁判所への提訴を検討しているほか、アムネスティ・インターナショナルも、運輸会社への罰金により国連人権委員会で制定されている“すべての人々の持つ自国を出る権利”が侵されると抗議している。

アスナル首相のイラク訪問に野党猛烈批判

土曜日、イラクのディワニヤにある他国籍軍プルス・ウルトラの基地を訪問したアスナル首相に対し、野党から猛烈な批判の声が上がっている。感謝祭にブッシュ大統領が行った秘密訪問を完全に真似したクリスマス前の今回のイラク訪問に関し、カスティジャ・ラ・マンチャ州知事ホセ・ボノ氏は、“貧乏くさい演出”と述べ、首相の唯一の目的は票稼ぎだと糾弾、諸野党は改めて今回の戦争が国連に承認されていないものであることを強調、一刻も早いスペイン兵の帰還を要求した。

IU代表にジャマサレス氏再選

昨日、IU(統一左翼)第7回総会が開かれ、代表選挙が行われた結果、得票率76.5%で現職のガスパール・ジャマサレス氏が再選された。その他候補者の国会議員ルイス・カルロス・レホン氏は13.8%、セビジャ県マリナレダ市長フアン・マヌエル・サンチェス・ゴルディジョ氏は9.6%の得票率に終わった。
2000年選挙の際には、席から立ちあがらず不快感を露にしていたPCE(スペイン共産党)のフランシスコ・フルートス書記長も、今回の選挙では再選されたジャマサレス氏を抱擁、祝福し、IUの内部不和の時代は終わりを告げた。昨日は、3月に行われる総選挙のIU候補者を決める選挙も行われ、唯一の立候補者であったジャマサレス氏が92%、637票の賛成票(無効票20、白紙投票36)によりIU候補として承認された。

サバデル銀行、アトランティコ銀行を吸収合併

Banco Sabadell(サバデル銀行)のジョセップ・オリウ頭取は、昨日、1株あたり71.79ユーロで、Banco Atlantico(アトランティコ銀行)の92.8%を購入すると発表し、午後にはCNMV(国立証券取引委員会)に対し、公開買付の告示を出した。
買取が決まった92.8%の内訳はABCグループのArab Bankingが68.5%、BBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)が24.3%。以前から戦略上の理由によりアトランティコ銀行の株を売却したがっていたBBVAはこれにより1.9億ユーロの純利益を得ることになるが、この利益は来年度会計に計上される。
サバデル銀行は当初提示していた10億ユーロより5億ユーロ高い15億ユーロの出資となったが、この買収により資本金額の大きさではSCH(サンタンデール・セントラル・イスパノ銀行)、BBVA、Banco Popular(ポプラル銀行)に続く第4位の銀行となった。


12月19日(金)

諸野党、国会で投票を拒否

昨日国会で、不認可の国民投票、または違法化されている政党に公共資金からの援助金授与を行った場合は、3〜5年の懲役刑により罰すると刑法を改正する案についての審議が行われ、アスナル首相、カスコス勧業相と2人の議員が欠席したにもかかわらず、承認必要最低票176票を上回る179の賛成票が与党PPによって投じられ、刑法改正案は承認された。
昨日の審議にはPSOE(社労党)のサパテロ書記長ほか数人の野党議員も欠席したが、投票終了後、原稿掲示板に現れた数字は賛成179、欠席170。これは、諸野党が投票に反対し、投票を行わないという、フランコ死後始った現行民主主義体制始って以来の出来事が起きたため。PSOE、IU(統一左翼)、CiU(カタルニャ連合)、PNV(バスク民族党)のほか、アスナル政権では常にPPを支持してきたCC(カナリアス連盟)も、賛成、反対、または棄権という3つの選択肢を選ぶことを拒否した。
改正案が上院から提出されたものであったため、下院での答弁はなく、各政党代表が自党の姿勢を表明するだけとなった昨日の国会審議では、諸野党は押しなべて、刑法改正という重要なテーマを与党が短期間で決定したことに強い危惧を示した。投票に際し、諸野党議員は「手を上げろ強盗だ!」と、与党の強引な姿勢への抗議を議場の自席で両手を上げるジェスチャーで示した。自党の賛成票により改正案が承認されたとき、PP議員の間からは拍手が上がったが、野党勢力はブーイング、様々な野次が飛んだ。

PNV、新党首投票、接戦でイマス氏勝利

昨日、PNVの新党首を決定する投票が行われ、候補者であったジョス・ジョン・イマス氏対ジョセバ・エヒバル氏の戦いは、ビスカヤ、ナバラ、フランス・パイス・バスコで勝利を収めたイマス氏がギプスコア・アラバで勝利したエヒバル氏をわずかな差で破る結果となった。
イマス氏がPNVの中でも穏健派に属するのに対し、エヒバル氏は強固な民族主義を貫いており、現党首のアルサジュス氏は公にエヒバル氏支持を表明、現パイス・バスコ州政府広報官であるイマス氏は公職にとどまるべきだと述べていた。
イマス氏は1月17、18日に開かれるPNV総会で正式に新党首として任命され、31日には8人の党執行部メンバーが選ばれる予定。
ジョス・ジョン・イマス・サン・ミゲル氏は1963年9月ギプスコア県スマラガ生まれ。化学の博士号所有者で、バスク語、スペイン語のほか、フランス語、英語にも堪能。1991年から95年までスマラガ市議、1994年から99年までEU議員を務め、その後バスク州政府で広報官の職のほか、工業、商業、観光局長などを歴任している。
一方のジョセバ・エヒバル氏はこの11月に44歳になったばかり。法律を勉強していたが大学は中退。1986年にはすでにPNVギプスコア支部長を務め、アルサジュス氏のお気に入りとして若い頃から要職についてきた。1990年からバスク州議員で、今年の5月からギプスコア県のリサルツァ村長を務めている。

アラゴン州、同性愛カップルの養子縁組を承認

IU(統一左翼)からの提案を受け、昨日アラゴン州は安定した関係を持続している同性愛カップルの養子縁組を承認することを決定した。PSOE(社労党)、CHA(アラゴン主義団体)、IUは賛成、PSOEと連立州政権を組んでいるPAR(アラゴン党)は棄権、PP(国民党)は反対票を投じた。
IUのアドルフォ・バレナ氏はこの提案の理由を、憲法で保障されている平等を守るためで、同性愛カップルへの社会的偏見を終わらせるためと説明、養子縁組に反対しているPPは、その根拠を子供の権利に求め、「生物学的見地から言って、子供が父親2人、または母親2人を持つことはできない。」と述べた。PARは棄権の理由を「同性愛カップルの養子縁組の結果に対する十分なデータがないため。」と説明している。
同性愛カップルの養子縁組の権利を承認するのは、ナバラ州、パイス・バスコ州に続いてアラゴン州が3つめの自治州となるが、前述2州ではPPが憲法裁判所に提訴したため、この改正法の実施はまだ行われていない。PPはアラゴン州でも同様の手続きを取るとすでに表明している。


12月18日(木)

アスナル首相、最後の国会答弁

昨日、ホセ・マリア・アスナル首相は、首相として最後の国会答弁を行った。首相は諸野党、特にPSOE(社労党)を激しく非難したが、諸野党もまた首相を批判、特に外交政策に非難が集中した。
PSOE、IU(統一左翼)、CiU(カタルニャ連合)とも、アスナル首相の親米外交政策によりスペインがヨーロッパから孤立したことを批判、PSOEのサパテロ書記長は、「ITER(水素から無尽蔵のエネルギーを取り出す核融合発電の実現に向けた国際熱核融合実験炉)建設地としてスペインが立候補した際に、共にイラク攻撃を支持した、イギリス、アメリカのいずれの国もスペインのために指一本動かさなかった。」とアスナル首相の外交政策が誤った方向に進んでいると痛烈な皮肉を放った。
昨日の議題は、先週土曜日に開催されたものの、閣僚理事会の議決方式で意見が分かれEU憲法制定交渉が決裂したEU首脳会議。スペインは、ポーランドとともに、フランス、ドイツが提案し、人口が国力を決めることになる二重多数決方式(過半数の国が支持し、なおかつ人口の合計が全体の6割以上に達する国々の賛成という条件を同時に満たす方式)に反対し、2000年制定のニース条約方式(各国に持ち票を配分する特定多数決方式)に固執したため、内容の95%では合意に達しているEU憲法制定の今回の交渉は決裂した。これに関し、CiUのトリアス・スポークスマンは、「ニース条約はすでに死んでいる。」とフランス・ドイツの提案を支持する意向を表明、PSOEのサパテロ書記長もまた「今後のヨーロッパの発展のためには、ニース条約は役に立たない」との見解を示した。

小児ポルノ写真、インターネット公開で28人逮捕

警察は昨日までに、スペイン国内の24都市で、小児強姦映像をインターネットを公開していた28人を逮捕した。逮捕されたのは、バレンシア州7人、バレアレス州2人、カタルニャ州3人、アンダルシア州5人、マドリッド州5人、アラゴン州2人、アストゥリアス、ガリシア、ムルシア、ナバラ各州がそれぞれ1人警察では特別チームを編成して、5月から“トロイ作戦”を決行、プロバイダーの協力を得て、スペイン語のチャット、小児強姦映像のインターネットを介した交換を監視していた。
警察がこれまでに捜査したパソコンは30台で、ここから5000枚以上の違法映像が見つかっている。映像の大半は、中央、南アメリカ、またはアジアの5歳から6歳の子供で、これらの国では貧しさから両親合意のもとに子供たちがポルノ映像撮影に使われている。押収された映像の内容があまりにひどいため、公選弁護士の1人は、被告の弁護を拒否したという。1995年改正刑法によると、逮捕された28人には1年から3年の懲役刑(2004年10月からは新刑法適用によりさらに刑が重くなる)が科される。

プラド美術館でゴヤの3作品を新たに公開

昨日、プラド美術館は、フランシスコ・デ・ゴヤの未公開の宗教画3点を公開した。この3点はのうち、油彩の“Sagrada Familia”、“Tobias y el angel”は350万ユーロ、“San Juan Bautista nino en el desierto”は420万ユーロの値がついており、すでに同美術館が所有する6点とともに、ゴヤの宗教画を知るためには不可欠の作品。


12月17日(水)

カタルニャ州議会、マラガル氏を知事として選出

昨日、カタルニャ州議会は、PSC(カタルニャ社会党)、ERC(カタルニャ左翼共和党)、ICV(カタルニャ緑の党)の賛成74票、CiU(カタルニャ連合)、PP(国民党)の反対61票により、PSCのパスクアル・マラガル氏をカタルニャ州知事として選出することを決定した。今日にもベナシュ議長(ERC)がこの合意書を国王に提出、国王が就任を承認する署名を行い、就任式が土曜日に行われる予定。
23年間君臨したCiUのプジョール氏の後任となったマラガル氏は、知事就任決定後、カタルニャのすべての人々のための知事となることを約束、州政権を握っていたCiUのこれまでの功績を称えた。マラガル氏は前任のプジョール氏と異なり、カタルニャ自治政令改正のために共に歩もうと、保守派であるPPへも歩み寄りの姿勢を見せたが、PPカタルニャ支部代表のジョセップ・ピケ氏はマラガル氏がERCへ権力を与えすぎていると批判、市民の誤解を招かないためにもPSOEかERCを選ぶよう迫ったほか、いまや最大野党勢力の代表となったCiUのアルトゥール・マス氏もERCの権限増大に警鐘を鳴らし、新政権の公約である自治政令改正と財源調達システムの確立に好戦的な姿勢を露にした。

チャベス知事、アンダルシア自治政令改正原案を州議会に提出

マヌエル・チャベス・アンダルシア州知事は昨日、自治州としての権限と財収源の拡大を目的とした自治政令改正原案をアンダルシア州議会に提出した。
この改正原案でチャベス知事は、国税も取り扱うかについては触れていないもののアンダルシア州管轄の税務署を設立することを提案、また国立公園、港、空港、水利組合を州の管轄にし、選挙法を改正、アンダルシア州管轄の議題が扱われるときは、EUの閣僚委員会に参加することも提案している。チャベス知事は原案提出にあたって内容が「完全に憲法にのっとったものである。」と強調した。

16年前に盗難のインキュナプラ発見

1987年にカンタブリア州ビジャカリエドの邸宅から盗まれた1486年印刷のインキュナプラ(活版発明から16世紀ごろまでの印本)『Introducciones Latinae』(アントニオ・ネブリハ著)が昨日、バルセロナで発見された。
これは治安警備隊がバルセロナで展開していた“グーテンベルグ作戦”の成果で、治安警備隊が15世紀のインキュナプラの掲載された古本のカタログを入手したところから始められた。治安警備隊の専門家は、国立図書館の専門家の助けを借りてこの本が1987年に盗まれたものであることを突き止め、捜査を開始、この本の売主は盗品であることを知らなかったといい、現在盗難の犯人探しが続けられているが、インキュナプラ自体はすでに司法関係者の手に渡っており、この後、持ち主に返還される。
1942年アントニオ・ネブリハによって、スペイン語初の文法書が書かれたが、専門家たちは、盗まれたインキュナプラが、スペイン語の最初の文法書のモデルと考えられている。このインキュナプラはカトリック両王の1人、イサベル1世に献呈されたものだった。


12月16日(火)

野党、アトゥチャ議長辞任を要求

昨日、フアン・マリア・アトゥチャ議長はバスク州議会審議からPSE(バスク社会党)のロドルフォ・アレス・スポークスマンを退場させた。
これは、運輸法案の修正案をPPとPSEがそれぞれ提出、この承認投票を別々に行うことを議長が発表したため、両党がこれに反発し、アレス氏はイバレチェ知事が投票に間に合うための時間稼ぎを行っていると議長を批判、議長は3度にわたり静粛にするよう求めた後、アレス氏を退場させた。これに抗議するため、PSE、PPの議員はすべてアレス氏に続いて議場を退出、その後PPはアトゥチャ氏の辞任を書面で要求した。
PP、PSEはアトゥチャ氏が議長としての職務に求められる中立性と法律の遵守を遂行できていないとしており、アトゥチャ氏をバスク州政府の利益のために動いていると批判、アトゥチャ氏の個人的事情(最高裁からのバタスナ党メンバーの所属する議員グループ解散命令不履行により、検察庁から提訴され、現在裁判中。)が、アトゥチャ氏の議長としての職務遂行を困難にしていると述べ、辞任を要求している。

サッカー男子代表、U-20決勝進出

ドゥバイで開かれている男子サッカーU-20世界選手権の準決勝が行われた昨日、スペイン代表チームはコロンビア代表と対戦。終始多彩なパスでコロンビアがリードしたものの、ゴールが決まらないまま進んだ試合は、終了5分前にコロンビアのアンチコ選手がハンドの反則を犯し、スペインはペナルティゴールにより1-0で決勝に進出した。準決勝もう1試合、ブラジル対アルゼンチンはブラジルが1-0で勝ち、決勝戦はスペイン対ブラジルで金曜日に行われる。
スペインが決勝に進出するのはこれで3回目。1999年ナイジェリア大会で日本代表に勝利し優勝しているが、ブラジルには1985年モスクワ大会決勝で破れている。

アギレ知事、地下鉄拡張計画発表(マドリッド)

エスペンランサ・アギレ州知事は昨日、州知事在任の3年半でトータル72.7キロにわたって地下鉄拡張工事を行うことを発表した。この72.7キロのうち、42.1キロはメトロ(地下鉄)、残り30.6キロはメトロ・リヘロ(地上線)で、総工費は37億ユーロ。この資金調達については、EUからの助成金などの可能性を検討中であるという。この拡張により、サンチナロ、ラス・タブラス、モンテカルメロといった新しい地域のほか、前任のガジャルドン知事時代には住民からの強い要請にもかかわらず地下鉄建設が後回しにされてきたビジャベルデ、ラ・エリパ、アラメダ・デ・オスナ、ピナル・デル・レイにも地下鉄が開通することになる。また、メトロ・リヘロはナバルカルネロ、ボアディジャ・デル・モンテ、ポスエロ・デ・アラルコンの3つの郊外都市とマドリッド市を結ぶことになる。
来年8月の工事開始を見込んで、すでに政府広報、マドリッド政府広報にはこの工事の入札が告知されているが、知事の見解では工事の開始は10月にずれこみそうだという。


12月15日(月)

カタルニャ新政権連立3党、合意に署名

昨日、カタルニャ連立政権を構成する3党、PSC(カタルニャ社会党)、ERC(カタルニャ左翼共和党)、ICV(カタルニャ緑の党)は、カタルニャ連立政権樹立のための合意に署名した。バルセロナ伯爵邸で開かれたセレモニーには政財界、文化人ら250人が招待され、23年間続いたCiU政権の終わりとカタルニャの新しい時代の始まりの証人となった。
新政権は、自治政と民主政の向上、経済発展、社会福祉の充実を目標に掲げた。具体的には、2005年春を目指してカタルニャ法令の見直しを進めること、パイス・バスコに似た財源確保システムの確立、社会福祉の支出をヨーロッパ平均水準まで上げること、週35時間労働の推進などが表明されており、州知事に就任するパスクアル・マラガル氏は自党の特別総会での演説で、カタルニャを社会主義者、または左翼主義者のカタルニャではなくみんなのカタルニャにしていく意向であると新政権の意向を示した。今日と明日、カタルニャ州議会ではマラガル氏の州知事としての立候補演説が行われ、その後議会が氏を知事として承認する予定。

フセイン元大統領逮捕後、首相が演説

イラクでのフセイン元大統領の逮捕に関し、昨日の朝首相官邸で首相がマスコミ対象に演説を行った。「今日はわれわれすべてにとってよい日となった。」と演説を始めたアスナル首相は、「国連に歯向かった独裁者は地に落ちた。サダム・フセインはこの30年間の何百万もの人々の死の直接責任者であり、拷問、暗殺、戦争の責任者である。サダムはイラク国民にとっても、世界にとっても脅威であった。」とし、「これまでの犯罪のつけを払うときがやってきた。」と述べたが、演説の中では大量破壊兵器についての言及は一切行われなかった。
PSOE(社労党)のサパテロ書記長は、「これを機にイラク国民の手に自治が渡り、共存と安全確保への道が開かれることを望む。」とコメントした一方、IU(統一左翼)のジャマサレス代表は、「フセイン元大統領の逮捕はイラク政治の現状に特に影響を与えるものではない。現状を変えるには、駐屯をイラク国民による自治に戻すしかない。」と述べた。

カナリアス諸島で密入国者143人を逮捕

先週末、カナリアス諸島のフエルテベントゥラ島とランサローテ島でボート5隻、143人の密入国者が逮捕された。うち122人はサハラ砂漠周辺地域住民、18人がモロッコ人、3人がインド人と見られている。このほか、フエルテベントゥラ島のアンティグアの海岸で昨日の午前11時、警官が腐敗の進んだ男性の死体を発見。これは、先週の嵐の日に、同島沖23マイルで海上保安庁が救助している間に海に落ちた15人のアフリカ人のうちの1人であると見られている。


12月12日(金)

造船所ストで15人負傷(セビジャ)

昨日、全国の公立造船所で午前7時から2時間にわたってストが行われた。2時間にわたるストは平和裏に終わるかのように見えたものの、最後に労働者側がデモを行うことを決定、無許可のデモ行進は発煙筒とゴム弾で武装した警官隊の介入を受けた。
これが労働者側を刺激し、彼らが石やネジを警官隊に投げ始めたため、警察も応戦、この結果ストに参加していた男性1人が目にゴム弾を受け救急車で病院に運ばれたほか、もう1人も打撲によりギブスをつける治療を病院で受けた。また、その他13人も煙の吸引や軽い怪我によりその場で手当を受けている。
セビジャの造船所では現在アルジェリアから受注したフェリー2隻を建造しているが、この建造第一段階が終了する数ヶ月以内に下請会社のほとんどの従業員は失職するため、労組側ではこの大量の失業者を防ぐための新たな契約を求め、数ヶ月前から交渉を続けている。

11月のIPCは0.3%の上昇

INE(国立統計局)の発表によると、11月のIPC(消費者物価指数)は0.3%上昇し、今年に入っての年間インフレ率は2.4%、昨年11月からの12ヶ月間のインフレ率は2.8%の上昇となった。
1997年に制定された年金法により、社会保険庁は、今年の年金上昇率2%と実際のIPC上昇率の差である0.8%分の支払いを行わなければならない。
INEの発表によると、生鮮食品と燃料費を除いたインフレ率は11月に0.4%上昇し、この12ヶ月間での上昇は2.6%となったという。11月に最も値上がりしたものは、衣料品と履物で3.3%の上昇、続いて住宅が0.3%の上昇を見せている。

チャンピオンズリーグ決勝トーナメント抽選会

今日行われた抽選の結果、2月24、25日、3月9日、10日に行われるチャンピオンズリーグ16強の対戦は以下の通りに決まった。

シュツットガルト(ドイツ)対 チェルシー(イギリス)
オ・ポルト(ポルトガル)対 マンチェスター・ユナイテッド(イギリス)
レアル・ソシエダ(スペイン)対 オリンピック・リヨン(フランス)
セルタ(スペイン)対 アーセナル(イギリス)
バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)対 レアル・マドリッド(スペイン)
スパルタ(チェコ)対 ACミラン(イタリア)
デポルイティボ(スペイン)対 ユベントス(イタリア)
ロコモティフ(ロシア)対 モナコ(フランス)

レアル・マドリッド、セルタ、デポルティボとも厳しい対戦相手となったスペイン勢、安堵の笑みを漏らしたのは、オリンピック・リヨンと対戦することになったレアル・ソシエダのみ。レアル・マドリッド以外のスペイン勢は1試合目をホームで、2試合目をアウェイで戦うことになる。


12月11日(木)

スペイン情報局員テロに関与の41人を逮捕

昨日、スペインのアスナル首相は、11月29日に7人のスペイン情報局員が殺されたテロに関与したと見られる者をアメリカ軍が逮捕したことを国会で発表した。その後、トリジョ防衛大臣が逮捕されたのはアブ・アブドゥラと呼ばれるグループに所属している41人で、昨日の明け方イラク南部ラティフィヤで逮捕されたことを明らかにした。41人の中には、実行犯のほか、計画者、計画責任者などが含まれているという。
この逮捕はアメリカ、イギリス、スペインの情報局の協力とイラク市民の協力によるもので、41人の逮捕にあたっては1人の負傷者も出ていないという。また、10月9日にバグダッドで射殺されたCNI(国家情報局)の局員、ホセ・アントニオ・ベルナル氏殺害の犯人5人も12月3日、イラク警察により逮捕されているという。

連休中の交通事故死者、55%は30歳未満

憲法記念日の連休(12月5日〜8日)に交通事故で亡くなった76人のうち54.8%は30歳未満で、事故原因の大半は運転者の不注意とスピードの出しすぎだったことが調査の結果わかった。死者のうち34.8%はシートベルトを着用しておらず、28%はシートベルトをしていたかどうかが不明、シートベルト着用が確認された死者は全体の38.1%だった。調査を行ったDGT(交通総合局)では、事故の原因が悪天候にあったとは考えていない。昨年同時期と比べ死者数は13人(20%)増加、また35人が重傷を負っている。今年の連休中もっとも死亡事故が発生した“魔の時間”は午後2時から8時で、55件の死亡事故のうちの23県がこの時間に起きている。

2003年度セルバンテス賞発表

ビクトル・ガルシア・デ・ラ・コンチャ、ホセ・ヒメネス・ロサノ、ロサ・モンテロ、エンリケ・クラウセ、アントニオ・ムニョス・モリナ、グレゴリオ・サルバドール、アルトゥロ・ペレス-レベルテ、ホルヘ・エドワルズ、アルフレド・マトゥス、フェルナンド・サンチェス・ドラゴ、ビクトリーノ・ポロ各氏の11名からなる審査委員会は昨日、2003年度のセルバンテス賞の受賞者にチリの詩人ゴンサロ・ロハス氏を選んだ。ロハス氏と共に最終選考に残ったのはスペインの小説家フアン・マルセ氏だったが、6対5の僅差で受賞者はロハス氏となった。スペイン語最大の文学賞であるセルバンテス賞の授賞式はスペイン国王夫妻出席のもと、来年4月23日、アルカラ大学大講堂で行われる。
ゴンサロ・ロハス氏は1917年12月20日、チリのレブ生まれ。現在はチリ南部のチジャン在住で、サンティアゴ・デ・チレ、カラカス、ユタ大学などで教鞭を取ったこともあり、受賞の知らせを電話で受け取り、「びっくりしたが、とてもうれしい。」とコメントした。多作ではないため、これまでに出版された作品は20冊に満たないが、現在およそ200ページにおよぶ新作“Del amor loco”の出版が準備されている。


12月10日(水)

フランス警察、ETA幹部3人を逮捕

フランス警察は昨日、ETAメンバーの4人、ゴルカ・パラシオス・アルダイ、イニゴ・バジェホ・フランコ、フアン・ルイス・ルベナック、ホセ・ミゲル・アルメンドス・エルビティを逮捕した。パラシオス容疑者はETAの実行部隊ナンバーワン、バジェホ容疑者はその補佐、ルベナック容疑者はテロリスト養成の責任者と見られており、木曜日にイボン・フェルナンデス・デ・イラディ“ススペル”容疑者が逮捕された際に押収された書類の中から見つかった賃貸契約書に記載されていた住所で、昨日午前6時半、逮捕された。4人が逮捕された家屋の室内にはたくさんの折畳式ベッドと寝袋があったことから、この場所でテロリストの訓練が行われていたと見られる。ススペル容疑者の逮捕により、ETAが少なくとも4件のテロをクリスマスに準備していたことが判明している。この家屋からは、現金、ピストル、サブマシンガン、テロリスト養成マニュアル、内部機密書類、将来の標的に関するデータ書類などが押収された。
スペイン内務省では、パラシオス容疑者とルベナック容疑者がETAが政府との停戦を破った2000年1月21日のマドリッドでのテロ(1人死亡)を含む、少なくとも9件のテロの実行犯であったと見ている。モロッコに滞在中のアセベス内務大臣は記者会見でフランス警察、スペイン警察の働きぶりを称えたが、1992年以来6回にわたって幹部の逮捕により執行部を解体されているETAがその都度、新たなリーダーに取って代わられてきた点に言及し、油断はできないと述べたが、短期間に多数の幹部が逮捕されたことにより、引退したメンバーを連れてこない限りは、ETAの執行部再建には時間がかかるとの見解を示した。

スペイン-モロッコ政府会談終わる

スペイン-モロッコ政府会談の最終日、アスナル首相はモロッコ国王モハメッド6世に謁見した。この席にはモロッコの内務大臣、外務大臣も国王により同席を許されたが、ドリス・ジェットゥ首相は招待されなかった。シラク・フランス大統領、パウエル・アメリカ国務長官もモロッコ政府を刺激しないように直接的な言及を避けたジャーナリストのアリ・ルンラベット氏(国王侮辱の罪により3年の懲役を宣告)問題について、アスナル首相は個人的に“関心”を持っていることをはっきり国王に表明、謁見がわずか50分で終了した。
謁見に招待されなかったジェットゥ首相は、その後の記者会見にも姿を現さなかった。1年前からスペインとの関係修復に力を注いで来たモロッコ首相の記者会見欠席の理由はモロッコの内政問題によるものと言われている。アリ・ルンラベット氏の今後の処遇に対し、6月にパリで示した見解がモロッコの政界の気に食わなかったとされ、月曜日にアスナル首相を“モロッコの招かれざる客”と表した親国王派の新聞“Aujourd'hui Le Maroc”紙には、ジェットゥ首相への批判記事が掲載された。スペイン政府関係者は、モロッコとの修復された関係が新首相の誕生により再び悪化することを危惧している。
今回の政府会談により両国の関係は“非常に良好な時期”を迎えたとアスナル首相は記者会見で述べたが、調印が予定されていた5つの協定のうち、2つは最終的に調印が見送られた。調印が見送られた協定の一つは、スペイン内務省としては一番関心のあった、スペイン国内におよそ4500人いるとされるスペインに近親者を持たないモロッコ人未成年者の送還協定で、調印は来年初頭に持ち越されたが、アセベス内務務大臣はこれについて懸念は示さず、「モロッコ送還後、未成年者が家族になじめない場合の受け入れ施設をモロッコが用意してからの送還となるため。」と調印が見送られた理由を説明した。
またもう一つの協定は、スペイン内務省によるスペイン在住モロッコ人の運転免許認可協定で、この協定が結ばれなかったため、スペイン在住モロッコ人はスペインでの運転免許取得を希望する際には、運転免許交付試験を受けなければならない状態が続く。
調印された3つの協定はいずれも経済協力に関するもので、スペインは3.9億ユーロの借款・融資を行うが、アスナル首相は経済、財政分野での協定でスペインが世界各国と結んだ中で最も重要な協定であることを強調した。

カタルニャ左翼連立政権成立

昨日、PSC(カタルニャ社会党)、ERC(カタルニャ左翼共和党)、ICV(カタルニャ緑の党)の3党は、それぞれカタルニャ州政府で左翼の連立政権が成立したことを発表した。ERCのジョセップ・ルイス・カロ党首は彼の目的は、カタルニャが民族主義と非民族主義に分断されるのを避けることであると述べ、「カタルニャはアイルランドでもケベックでもエウスカディでもない」とコメントし、「23年間にわたる保守的カタルニャ主義から左翼的カタルニャ主義の時代へと移行するときがきた」と付け加えた。
昨日は、PSCとERCの間で自治州財源獲得モデルについての細部の調整について話し合いも行われた。労働組合の見積もりによると、CiU政権の終わりにより、州政府で勤務していた1000人以上が職を失うことになるという。


12月9日(火)

スペイン-モロッコ政府会談

昨日、1999年以来行われていなかったスペイン-モロッコ政府会談がモロッコのマラケッシュで行われた。現地時間午後5時(スペイン時間午後6時)、総勢80名からなるスペイン外交団が飛行機でモロッコに到着。この80人の中には、外務、経済、内務、法務、勧業、農業、教育、労働の8人の大臣と外務、商業、移民問題担当の3人の書記官が含まれている。
両国の関係はこの2年間緊張状態にあったが、昨日の夜の演説で、アスナル首相はモロッコがスペインが協力してテロリスト問題、移民問題に立ち向かっていくことを表明した点を高く評価した。しかし、アルジェリア、ポリサリオ戦線を交えた話し合いを必要とする旧スペイン植民地西サハラ問題については、深く追求することを避けた。
アスナル首相は今日、国王モハメッド6世と会談、また両国間ではスペインに密入国したモロッコ人未成年者の送還条約の調印と総額3.9億ユーロのスペインからモロッコへの経済投資プランの調印が予定されている。

カタルニャ州、左翼連立政権擁立へ

11月16日のカタルニャ州選挙後、州政府連立政権擁立を目指して、ERC(カタルニャ左翼共和党)とCiU(カタルニャ同盟)、ERCとPSC(カタルニャ社会党)の話し合いが続けられていたが、今朝、ERCのジョアン・プイグセルコス副書記長は、カタルニャ・ラジオで、ERCはPSC、ICV-EUIA(カタルニャ緑の党とカタルニャ統一左翼の連合)と連立政権を擁立し、知事にはPSCのパスクアル・マラガル氏、conseller en cap(議員代表)にはERCのカローロビラ氏が就任すると発表した。
CiUではなく、PSCと連立政権を組む理由について、プイグセルコス氏は新しいカタルニャ州政府は新しい政治憲章の採択と新しい財政モデルの構築を目指すこと、23年間カタルニャ州政権を握ってきたCiUとの連立では変革の目的が達成されないことを説明した。午後にもERC、PSC、ICVの間で連立政権合意が署名されるという。

チャバ・ヒメネス選手の葬儀に2000人が参列

土曜日の夜、マドリッドの病院で心臓発作のため32歳で亡くなった元自転車競技選手のホセ・マリア・ヒメネス“エル・チャバ”選手の葬儀と埋葬が昨日、出身地のエル・バラコ(アビラ県)で行われ、自転車競技界、ジャーナリストのほか、自転車競技ファンも多数つめかけ、2000人以上がチャバ選手に最後の別れを告げた。
ヒメネス選手は1989年にアマチュア選手としてバネストチーム入り、1992年からはプロ選手として活動を開始し、1997年にはツール・ド・フランス8位、98年のブエルタ・ア・エスパーニャでは4つのステージ優勝のほか、総合成績3位、山岳ポイント賞も獲得した。スペイン自転車競技の歴史に名を残す、カリスマ的山岳スペシャリストの1人だったが、2年前に鬱により引退していた。


12月8日(月)

無原罪の聖マリアの祭日のため、スペインニュースはお休みです。


12月5日(金)

フランス警察、脱獄したSusper容疑者を逮捕

昨日、アンヘル・アセベス内務大臣は、昨年12月22日に警察の留置場から脱獄したETAメンバーのイボン・フェルナンデス・イラディ、通称“ススペル”容疑者をフランス警察が逮捕したと発表した。
ススペル容疑者が逮捕されたのは、昨日の午後6時半、フランス南部のモンドマルサンにあるアパートで、ススペル容疑者と一緒にいた武装していた男女2人も警察に抵抗することなく逮捕されたという。2人の身元は公表されていないが、男はフェルナンデス・アバッド・ウルキホ容疑者、女はフランス人のガラシ・アルダナ容疑者であると見られる。逮捕に際し、武器、偽造書類、ETAの内部文書などが押収された。
ETAの新メンバー勧誘、教育係と見られているススペル容疑者は、昨年12月19日にフランスのバイヨンヌで逮捕されたが、パリへの送還を待つ間に留置場から脱獄に成功していた。ススペル容疑者の逮捕の際、押収された書類によりこれまでにETA新加入メンバーと見られる70人が逮捕されている。

カタルニャ州議会議長にERCのベナシュ氏選出

今日、午前10時半からカタルニャ州議会議長選挙が行われた結果、ERC(カタルニャ左翼共和党)、CiU(カタルニャ連合)、PSC(カタルニャ社会党)の賛成票111対PP(国民党)、ICV(カタルニャ緑の党)の白紙票24により、ERCのエルネスト・ベナシュ氏が議長に選出された。第一1副議長にはイジニ・クロタス氏(PSC)、第二副議長にはラモン・カンプ氏(CiU)が選ばれた。州議会議長職をERC選出議員が占めるのは、1980年のエリベルト・バレラ氏以来。
民族主義連立政権か、左翼連立政権か、州政府擁立へのERCとCiU、ERCとPSC間での交渉が続いているが、今後10日の間に新議長は各党代表者と会談し、州議会に推薦する州政府知事候補者を決定することになる。

三連休を前に交通特別警戒体制

明日の憲法記念日、月曜日の無原罪の聖母マリアの祭日からなる三連休中に全国の高速道路は1200万人の利用が予想されており、明日の午後3時から月曜日の午後12時までDGT(交通総合局)により特別警戒体制が敷かれる。この連休は雨、雪が予想されているため、運転者にさらなる注意が呼びかけられている。
この特別警戒体制には治安警備隊の交通部局が参加、18台のヘリコプターがマドリッド、バレンシア、サラゴサ、セビジャ、マラガとラ・コルニャの基地に待機し、期間中は交通渋滞の原因となりうる工事も一時休止となる。


12月4日(木)

アトゥチャ議長、バスク州最高裁判所に出頭

バスク州最高裁判所の召喚命令により、バスク州議会からフアン・マリア・アトゥチャ議長(PNV-バスク民族党)、ゴルカ・クノール第一副議長(EA-バスク連盟)、コンチ・ビルバオ第二書記(IU-統一左翼)の3人が昨日、出頭した。3人は、州議会内の元バタスナ党(違法政治団体)メンバーが構成する議員グループ“Sozialistas Abertzaleak(愛国社会主義同盟)”解散命令の執行を拒否しており、最高裁判所命令不服従の罪で、検察庁から提訴されているが、3人は、不服従ではなく、地方議会自治権を守っているに過ぎないという論旨を変えなかった。
3人の証言は12時間にも及んだ。アトゥチャ議長は午前10時に出頭、裁判所前には多数のアトゥチャ議長支持者が集まり、およそ5時間後に議長が裁判所を出たときは、PNVの党員を中心とするおよそ500人が裁判所前に集まっており、“独立を!”の叫びがあがったのち、この日3度目の“Eusko Gudariak”(バスク兵士を称える歌)が歌われた。

野党の反対を押し切って、上院、与党の過半数により刑法改正案を承認

昨日、上院司法委員会は与党PP(国民党)の過半数票により、刑法改正案を承認した。この改正案は、イバレチェ・バスク州知事が国会の許可なしにバスク州自治領化案、“イバレチェ・プラン”を住民投票にかけた場合は、イバレチェ知事の行為は犯罪とみなされ、刑法による処罰の対象となるというもの。
諸野党は「刑法の改正という重要事項は、両議会での審議、司法権統轄委員会、閣僚委員会などの諮問機関からの正式発表などの手順を踏んでから行うべきである」と反発、PSOE(社労党)は、改正案の承認が最終的に決定される今月10日の上院での審議で、改正案撤収を求めるという。

作家、ドゥルセ・チャコンさん死亡

昨日、マドリッドの自宅で作家のドゥルセ・チャコンさんがガンのため亡くなった。享年49歳。1954年バダホス県サフラに、詩人で元市長のアントニオ・チャコン氏の娘として生まれたドゥルセ・チャコンさんは、1992年詩集“Querran ponerle nombre”で文壇デビュー。“Contra el desprestigio de la altura”で1995年にイルン市賞を受賞した翌年、“Algun amor que no mate”で小説デビュー、この作品はのち、2002年に脚本化された。最新作は昨年発表した“La voz dormida”で、市民戦争敗者の痛みを綴ったこの作品は、今年、マドリッド書店組合から“今年の本”に選ばれた。この賞を受賞した6月には、元気で今後の計画も多数立てていたが、その後脾臓にガンがみつかり、このガンが肝臓にも転移。50歳にならない作家の死に、文壇は大きなショックを受けた。彼女の埋葬は明日行われる予定。


12月3日(水)

イラク情勢をめぐる国会討論

この8ヶ月で初めて、アスナル首相が国会でイラク情勢についての報告を行った。これは、先週土曜日、スペインの情報局員7人がイラクで殺害されたことにより野党勢力から首相への国会報告要請が強まったためであるが、7人の葬儀から3時間しか経っていないうちに国会討論が召集されたことに対し強い批判も上がっていた。
国会でアスナル首相は、「イラクから撤退することはテロリストたちの勝利を意味する」、「撤退すればテロリストが勢力を増すことになる」とあくまでもスペイン軍のイラクへの駐屯を継続していく方向であること言明、今回のスペイン情報局員への襲撃は、自由解放勢力や抵抗勢力といったグループによるものではなく、テロリストによるものであったと確信していると述べた。
これに対し、CiU(カタルニャ連合)は、外国軍派遣が内戦発展を防ぐ最後の砦となりうるとの考えから、スペインを含めた国際軍の派遣については容認の姿勢を示し、与党PP(国民党)と国会で連立政権を組んでいるCC(カナリアス連合)は、「国連内でイラク平和維持について各国一丸となった国際的方向が定められず、イラク国民にただちに自治権が戻される見とおしが立たなければ、スペイン軍を撤退させる可能性について審議すべきである」とあいまいな立場の発言、IU(統一左翼)、PNV(バスク民族党)は、ただちにスペイン軍をイラクから撤退させるよう要求した。
最大野党勢力のPSOE(社労党)は、国会の承認なしにアスナル首相が派兵を決定したのは間違いであったと首相を糾弾しながらも、イラクの現状が以前より悪化していることを考えるとここでイラク国民を見捨てることはできないため、首相の独断で派遣されたスペイン軍ではあるが、責任を全うするためには駐屯は継続すべきであるとの見方を示し、これまでの一貫した政府糾弾の姿勢を弱めた。PSOEのサパテロ書記長は、スペインとしての対イラク外交政策への合意に向けての話し合いに応じる用意があるといくつかの条件を述べたが、アスナル首相はPSOE政権下のイラクとは情勢が違うとし、PSOEの提案は現実味に欠けるとして、この提案受け入れを拒否している。

7人の情報局員の合同葬

先週の土曜日、バグダッドの南部で待ち伏せ攻撃を受け亡くなった7人のスペイン情報局員の合同葬が昨日正午、CNI(国家情報局)本部で行われた。葬儀には、国王夫妻、首相夫妻、両議会議長、政府閣僚、軍関係者などが多数参列、主要野党も、混合政党(招待されなかったと後に欠席の理由を説明)とバスク民族党以外からは参列者があった。
国王夫妻はミサの前に犠牲者の家族と対面、1人1人に言葉をかけられ、抱擁、キスが交わされた。国王夫妻の目には涙が浮かんでいたという。7人の棺はスペイン国旗で包まれ、国王がそれぞれの棺に勲章を留めた。
7人の遺体はこの日、防衛省中央病院からCNI本部に運ばれ、合同葬儀の後、それぞれの家族が決めた埋葬場所に移送された。

遭難の登山家女性、無事救助

月曜日の午後、マドリッドのラ・ペドリサで遭難した31歳のニュージーランド人女性が昨日の朝、無事発見、救助された。この女性は月曜日の午後6時20分、道に迷ったと112番通報。消防隊と赤十字社から捜索隊が出された。女性はコジャド・カブロンを過ぎてから道に迷ったと述べたため、その周辺地域を中心に捜索、夜になって消防隊員12人、赤十字ボランティア8人、治安警備隊員6人、森林警備隊員5人が捜索を続けたが、午前1時、女性の携帯電話のバッテリーが切れた。
夜が明けてから捜索活動にはヘリコプター1台も加わり、上空からこの女性が岩にのぼり手を振っているのが発見された。夜間、マイナス5度の気温を手袋なしで松の木の下で過ごした女性は、両足が軽い低体温症にかかって、疲労はしているものの、健康状態は良好だという。


12月2日(火)

市民戦争とフランコ主義犠牲者追悼集会−PPのみ欠席

昨日、国会議事堂で市民戦争とフランコの独裁政権中に粛清された共和主義者たちへの表敬集会が行われ、“Perdonar si, olvidar, no(許しはするが、忘れはしない)”をスローガンに掲げ 元政治犯、政治亡命者、粛清された犠牲者の家族らおよそ350人が出席した。
集会に出席した与党PP(国民党)をのぞく野党からの代表者が発言した後、粛清の事実が忘れられないよう各団体の代表者30人が自由のために闘った自分たちのエピソードについて語ったが、戦中、戦後の粛清により犠牲になった家族、友人への言及におよんだとき発言者の多くは涙を抑えることができなかった。
集会の始まりには、イラクで土曜日に亡くなったスペイン人7人を悼んで1分間の黙祷が捧げられ、参加者たちからは“No a la guerra(戦争反対)”の叫びがあがったほか、亡命者への年金受給、いまだ埋められたままになっている射殺された共和主義者たちの遺体発掘への資金援助への政府の前向きな対応が求められた。

さらに150人の兵士、イラクへ

昨日、バジャドリッド県にあるビジャヌブラ基地からおよそ150人のスペイン人兵士がイラクに向けて出発した。彼らは4ヶ月の物資供給、衛生管理、技術提供の任務に派遣される兵士だが、7人のスペイン人が犠牲となった土曜日のテロの落とす影は濃く、クウェート行きの飛行機に乗り込む兵士と見送る家族のは不安と心配の表情を隠せなかった。クウェート到着後、兵士たちは陸路、スペイン軍が駐屯するイラクのディワニヤに向かう。月曜日には同基地からさらに50人の兵士が派遣される予定。

マス氏、イバレチェ氏と会談

カタルニャ知事候補としてCiU(カタルニャ連合)から立候補したアルトゥール・マス氏が昨日、ビトリアを訪問。イバレチェ・バスク州知事と1時間にわたって会談した。マス氏は、カタルニャ州知事に就任した暁に、バスク州政府と中央政府の“仲介者”となることを申し出、またPP(国民党)が、国会の承認なしに住民投票を行った場合は懲役刑により罰するよう刑法改正を提案している点について、マス氏は“狂気の沙汰”と批判した。マス氏はイバレチェ・プランについての支持についての特別な言及は行わなかったものの、今月13日に市民団体“Basta Ya”が開催するイバレチェ・プラン反対デモに社会党が参加を予定している点については“嘆かわしい”と批判した。
一方、ERC(カタルニャ左翼共和党)のカロ・ロビラ氏とCiUのジョルディ・プジョール氏は昨日、朝食と共にし、“将来のカタルニャ政権”について話しあったほか、ERCとPSC(カタルニャ社会党)は午後会談を持ち、連立政権への合意に向けて話し合いを行った。


12月1日(月)

首相、スペイン軍イラク駐屯継続を改めて確認

土曜日のスペイン人情報局員襲撃から24時間後、アスナル首相はスペイン軍がイラクから撤退しないことを改めて表明した。質問なし、6分間にわたる演説で、首相は派兵の理由を個人の自由を脅かす“国際的テロリズム”との闘いのためとし、「ここで撤退するのは最悪の選択」であると語った。
首相の演説から6時間後、マドリッドのトレホン・デ・アルドス基地に唯一の生存者であるホセ・マヌエル・サンチェス・リエラさんと7人の遺体が、フェデリコ・トリジョ-フィゲロア防衛大臣、CNI(国家情報局)のホルヘ・デスカジャール局長に付き添われ、イラクから到着、雨の降る中、ロドリゴ・ラト第一副首相、ハビエル・アレナス第二副首相出席のもと、基地空港滑走路で追悼式が行われた。
スペイン人情報局員7人が死亡した今回の事件は、土曜日午後4時過ぎバグダッド南部で起きた。任務を完了し、バグダッドから戻る途中の情報局員8人は2台の四輪駆動車に便乗していたが、目撃者の話では、1台目が白い乗用車を追い越したとき、この乗用車に乗っていた5人がいきなり機関銃で発砲。このとき運転手が負傷したとみられ、コントロールを失った車は、道路を外れぬかるみに突っ込んだ。乗用車はわき道からこの場所に接近、車を降りた5人は四輪駆動車に機関銃掃射、さらに手榴弾を数個投げつけたため、車は炎上。この車に乗っていた4人は全員死亡した。
それから後続の四輪駆動車が現場に到着、仲間を助けようと止まったところ、この車も機関銃で銃撃され、車が炎上し始めたため、乗っていた4人のうち3人は道路の反対側に逃げ応戦したが、2人は銃撃戦の末、死亡した。生き残った一人は通りがかったイラク人民間人の車で逃げて助かったという。
死亡したうちの1人が絶命する前に衛星電話でマドリッドの情報局本部に助けを求めていたため、スペイン軍の駐屯しているディワニヤ基地からヘリコプター3台が出動したが、現場に到着したのは襲撃の3時間後だった。
銃撃の継続時間については、あっという間だったと言う者から30分以上にわたったと言う者まで目撃者によって証言が異なっているが、イラク警察が到着するまでに1時間かかったという点では証言が一致している。警察よりも先にたまたまイギリスのテレビ局スカイニュースが現場を通りがかり、現場の凄惨な有り様を記録している。今回のテロで7人の情報局員が死亡し、スペイン情報局には派兵地区の専門家がいない重大な事態となった。

6議員、パブロ・イバール被告を訪問

現在、レイフォード・フロリダ州立刑務所に死刑囚として収監されているスペイン人パブロ・イバール被告を今日、6人の国会議員が駐マイアミスペイン領事の付き添いで訪問する。6人は、明日タラハッシーで行われるフロリダ州立最高裁判所での上告裁判にも出席する予定。
31歳のイバール被告は、感謝祭を祝うため刑務所を訪問した家族から議員団の訪問を聞き、感動して涙を流して喜んだという。被告はマイアミ北部のミラマルで1994年に3人を殺害した罪で逮捕、3年前に死刑を宣告された。被告は一貫して無罪を主張、ブロワード郡検事局が被告の指紋もDNAも証拠として提出できなかったにもかかわらず、ナイトクラブのオーナーとダンサー2人を殺した犯人として有罪の判決を受けた。検事局が証拠として提出したのは映りの悪い防犯ビデオの映像で、ビデオに映っている犯人のうちの1人がパブロ・イバール被告だと主張している。
明日の上告裁判で被告の弁護人を務めるのは、2001年死刑宣告を受けていたが逆転無罪となったスペイン人ホアキン・ホセ・マルティネスさんと同じ弁護士ピーター・レイベン氏。レイベン氏は与えられた30分の中で、第2次裁判が充分な弁護なしに行われた不当なものであるため、新たに裁判をやりなおす必要があるとの主張を認めさせなければならない。

ヨーロッパ選手権組み合わせ抽選会行われる

来年の6月12日から7月4日までポルトガルで開催されるサッカーのヨーロッパ選手権組み合わせ抽選会が行われた。スペインはAグループで、ポルトガル、ギリシャ、ロシアと対戦する。スペイン対ポルトガルの他にもBグループでフランス対イギリス、Cグループでスウェーデン対デンマーク、Dグループでドイツ対オランダと隣国対決が4グループに現れる組み合わせとなった。予選リーグを勝ちぬいた15チームと開催国ポルトガルを合わせた16カ国は以下のグループで対戦する。
グループA:ポルトガル、ギリシャ、スペイン、ロシア
グループB:フランス、イギリス、スイス、クロアチア
グループC:スウェーデン、ブルガリア、デンマーク、イタリア
グループD:チェコ、ラトビア、ドイツ、オランダ
スペインの試合は、6月12日に対ロシア戦がポルトガル南部のファロ、16日に対ギリシャ戦が北部のオ・ポルト、20日に対ポルトガル戦が首都リスボンで行われる。当初は北部のギマランイスが集中キャンプ地の有力候補だったが、ファロ、リスボンでの試合を考慮し、すでにスペインサッカー協会により調査ずみの別の候補地4、5箇所を対象に来週新たにキャンプ地の検討が行われる予定。

週末のスポーツの結果

テニス:男子テニスの国別対抗戦、デビスカップの決勝戦、スペイン対オーストラリアは、土曜日のダブルスの対戦で、アレックス・コレチャ、フェリシアーノ・ロペス組がトッド・ウッドブリッジ、ウェイン・アーサーズ組に3-6、1-6、3-6で破れ、最後のチャンスをかけて行われた昨日のシングルス、フェレロ選手対フィリポウシス選手の対戦もフェレロ選手が5-7、3-6、6-1、6-2、0-6で3時間12分の試合の結果破れたため、第5試合のモヤ選手対ヒューイット選手は行われず、対戦成績3-1で、オーストラリアが4年ぶり、28度目の優勝を決めた。
NBA:土曜日に行われた対クリーブランド・キャバリアーズ戦で、パウ・ガソル選手が2シーズンと2ヶ月目にして自己最多得点37点をマークした。この日のガソル選手の成績は48分出場で、37ポイント、11リバウンド、1アシスト、5ブロック。2度のオーバータイムの末、選手の所属するメンフィス・グリズリーズが122対115で勝利している。




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