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3月31日(水)

11−M関与容疑で5人を国際指名手配

中央管区裁判所のフアン・デル・オルモ判事は、11−Mに関与した疑いのある5人に対し、国際逮捕命令を出したが、5人の氏名については明らかにされていない。
。昨日アセベス内務大臣は、他のテロリスト組織との関連を完全に否定はしないものの、スペイン警察の捜査は11-Mの犯人は、モロッコのGICM(モロッコ・イスラム戦闘員グループ)と関連があると見て進められていることを明らかにした。GICMは1993年にAl Harakt Al Islamia Al Maghribiaという名のもとに作られた組織で、その後改名。メンバーがシャリア(イスラム法)にのっとらないすべての政府を否定し、非常に厳密な方法でのみコーランの解釈を行うことで知られている。この組織は、物資と資金の調達、メンバーの訓練においてアルカイダと接触を持っているとされており、勢力範囲はアルジェリア、モロッコからエジプト、トルコにまで及んでいるというが、ヨーロッパおよびモロッコの警察は同組織のヨーロッパでの活動も確認している。アセベス内相によると、スペイン警察は現在特に、モロッコ、イギリス、ドイツの警察との関連を密に捜査を行っているという。
昨日までに11-M関連容疑で逮捕されているのは23人。うち2人がインド人、2人がスペイン人、4人がシリア人で、残りはモロッコ人(スペイン国籍取得者含む)。

PSOE、LOCE改正を前提に適用を棚上げへ

新政権が発足すれば、ただちに新与党PSOE(社労党)は、現行PP政権が承認したLOCE(教育の質向上法)適用を2年間棚上げし、その間にすべての自治州代表者からなる制定委員会を作り、この法律に代わる新たな教育法制定に取り組むという。PSOEでは、LOCE適用一時停止のための政令を5月末から6月初旬には承認したい意向。
PSOE教育問題担当のカルメ・チャコン女史によると、PPの提案の中でも、英語教育の補強などPSOEも同意している点については改正なく据え置かれるが、LOCEをめぐる争点の中心となっているevalida(卒業試験−この試験に合格しなければ大学進学資格が得られない)は2年間は適用一時停止とし、その間は現行のselectividadを続行するという。
LOCE棚上げの知らせを受け、PSOE政権の各自治州とカナリアス州(カナリアス連合とPPの連立政権)も、来学期からのLOCE適用に向け、今後数週間以内に話し合いを行うことになっていたLOCEの適用一時停止を月曜に決めたカタルニャ州に続くことを決定。バレンシア州、ガリシア州といったPP政権の自治州は「新政権により適用一時停止が正式に決定するまでは、予定通り動く」と述べている。

新政権農相、厚相にエレナ・エスピノサ女史とエレナ・サルガード女史

新政権発足後、国会社会主義者団体スポークスマン就任予定のアルフレド・ペレス・ルバルカバ氏が昨日テレビ局アンテナ3のインタビューで発表したところによると、新政権での農業・水産大臣に元ビゴ港湾局長のエレナ・エスピノサ女史、厚生大臣に、前左翼政権で通信局長を務めたエレナ・サルガード女史が就任する見通しが立ったという。
エレナ・エスピノサ女史は、1960年オレンセ生まれ。サンティアゴ・デ・コンポステラ大学では現ガリシア社会党総書記長のエミリオ・ペレス・トゥリニョ氏に師事、1988年から1996年の政権交代までビゴ港湾局長を務めていた。
一方のエレナ・サルガード女史は、1949年オレンセ生まれ。コンプルテンセ大学で経済学学士の称号を取っている。経済・大蔵省で数々の職を歴任した後、1991から96年まで通信局長を務め、王立劇場の運営を担当するFundacion Teatro Liricoの代表も務めた。


3月30日(火)

11−M容疑者2人収監

11-M捜査担当フアン・デ・オルモ判事は今朝未明、すでに逮捕されている者のうちさらに2人の刑務所収監を命じた。
うち1人はシリア人バセル・ガヨウン容疑者で、テロに遭った列車に乗っていた少なくとも2人が同容疑者を列車内で見たと証言しているが、同容疑者は法廷での陳述の際に、テロが起きた時刻には自宅で寝ており、午前10時半頃同居人から起こされるまでテロについては知らなかったと証言している。しかし、判事は同容疑者の職業が左官であることから、テロ発生時は仕事場に向かっている時間であるとし、彼のの証言を虚偽のものだとみなしている。ガヨウン容疑者は、法廷で逮捕者のうち数人について“顔は知っている”と証言したという。
昨日収監されたもう1人は、モロッコ人のハミッド・アーミダム容疑者で、同容疑者についてはテロの直接的関与の容疑はかかっていないが、今年初旬にマドリッドのモラタ・デ・タフニャにある民家に滞在していた可能性が高く、爆弾製造に関わった疑惑が持たれている。アーミダム容疑者と共にマドリッドのウセラ地区にある自宅で逮捕された兄弟のサイード容疑者は、テロ発生時にモロッコにいたことが確認され、釈放された。
現在のところ逮捕者のうち14人が刑務所に収監されているが、そのうちテロの実行犯の容疑がかかっているのは、シリア人バセル・ガヨウン、モロッコ人ジャマル・ゾウガン、モハメッド・ベッカリ、モハメッド・チャオウイ、アブラハム・ズバク容疑者の5人。また、スペイン人ホセ・マヌエル・スアレス・トラショラス容疑者がテロリストに爆薬を提供した容疑で収監されている。

11−M、190人目の死者

ドセ・デ・オクトゥブレ病院に入院していたマリア・テレサ・トゥダンカ・エルナンデスさん(49歳)が亡くなったため、3月11日にマドリッドで起きたテロの死者数はこれで190人となった。テロ発生後、入院先の病院で亡くなった人の数は14名。グレゴリオ・マラニョン病院に次いで運ばれた患者数の多かった同病院には引き続き19人の負傷者が入院し、治療を受けている。テロ発生から18日後の昨日現在、マドリッドの10ヶ所の病院に収容されている負傷者は100人で、うち13人が非常に深刻な状態、64人が重傷、21人が軽傷で2人は経過観察中。

政府命令によりイラク派遣交替兵の出発遅延

昨日の午後3時、サラゴサ基地からクウェートに向け、160人の交替スペイン兵を乗せた飛行機が離陸するはずであったが、“技術上の問題により”出発が遅らされた。防衛省関係者は、この遅延は、木曜日に現行政権が次期首相就任予定者のPSOE(社労党)のサパテロ書記長に派遣兵交替についての立場を書面で明らかにするよう求めたものの、いまだにその書面を受け取っていなかったためであると説明。
木曜日、PSOEは派遣兵交替は現行政権の決定事項であるとの理由から要求を拒否したが、翌日、新政権で防衛大臣を務める予定のホセ・ボノ氏が、トリジョ・暫定防衛大臣に対し、書面で交替に関しては異存はないと回答していたため、この問題は決着したかのように思われていたが、昨日その問題が再び表出した形となった。
結局、午後5時頃、サパテロ書記長からの書簡がアスナル首相のもとに届いたため、問題は解決。飛行機は午後10時、クウェートに向けて離陸した。この160人は4ヶ月前からイラクのディワニヤで物資供給、メンテナンス、輸送、保健の面で活動を行っている兵士と交替する。交替はこれから4月21日にわたって行われていく予定。

マドリッドの通りから売春婦一掃へ

昨日午前10時から20人の警官がマドリッドのモンテラ通りを巡回、売春婦と手引者、客の取り締まりを開始した。近くのカルメン広場では、NGO団体Apramp(売春女性社会復帰協会)が、転職を希望するスペイン人と合法的居住外国人売春婦には、求人情報提供、違法居住外国人(売春分の大半)に対しては精神面での援助を与え、帰国を希望する場合には帰りの航空券を提供した。
プエルタ・デル・ソルのすぐ近くにあるこの通りでは市役所の発表によると一日およそ70人の女性が売春を行っているといい、今後、市役所、警察、ソーシャルサービスの3つの部門が協力して無期限でマドリッドの通りから売春婦を一掃するよう努める。このプランでは、警察が顧客、売春婦とその手引者の身元を確認、顧客、売春婦に対しては居住許可を持たない場合も強制送還は行わないが、売春の手引は法律による処罰の対象であるため、手引者が外国人である場合は強制送還となる。また、市役所の調査官が付近の宿泊施設を見回り、規則を守っているかをチェックするほか、Aprampが売春で生計を立てている女性たちに別の仕事を紹介する。


3月29日(月)

テロの準備に使われたと見られる民家から大量の指紋

金曜の午後、マドリッドから30キロ、アルカラ・デ・エナレスから40キロの地点にあるモラタ・デ・タフニャにある民家で家宅捜査が行われ、ここで雷管の残り、11-Mに使われたのと酷似した爆薬が見つかった。この民家は、テロの実行犯であるとの疑いの強いジャマル・ゾウガン容疑者や、爆弾を作成したと見られるアブデラヒム・ズバクン・“エル・キミコ(化学者)”容疑者が頻繁に出入りしていた場所で、その後の捜査でこの家から見つかった大量の指紋のいくつかが、ゾウガン容疑者のものと一致、またテロ当日にアルカラ・デ・エナレス駅近くに駐車されていた爆薬の残りと雷管が見つかったライトバンから検出された指紋と一致するものもこの民家から検出されたという。
警察では、この民家からアルカラ・デ・エナレス駅までテロ実行犯と爆薬の輸送に使われたと見られるその他数台の自動車の捜査を進めるとともに、ゾウガン容疑者の自家用車であるメルセデスベンツの指紋も捜査しているが、なぜテロリストたちがテロ当日にライトバンを駅近くに乗り捨てておいたのかは謎のまま。近々数人が国際手配される見通しだが、手配される者の名前については今のところ明らかにされていない。これらの逮捕者はすべてモロッコのイスラム過激派組織と関連があるものと見られる。また、これまで逮捕された者には“ここまで大規模なテロ計画を練るのに必要な頭脳”を備えた者がいないため、テロを計画した者についても捜査が進められている。

マラガで集中豪雨

昨日、マラガから12キロにあるリンコン・デ・ラ・ビクトリア(人口3万人)は集中豪雨に見舞われ、町内を流れる小川の水が道路に溢れ出し、およそ50名が避難、道路の狭い地域では住民の多くが泥や石、駐車車両のせいで家から出られない状態となった。土曜から日曜にかけての一時間の降水量は1平方メートルあたり20リットル、数時間で250リットル以上の雨が降り、セマナ・サンタの長期休暇を前に商品がぎっしり詰まれていた倉庫は大きな被害を受けた。マラガ県では、リンコン・デ・ラ・ビクトリアのほかにも、被害の規模は小さかったもののマルベジャ、アラウリン・デ・ラ・トレでも洪水の被害があった。
スペインの7つの自治州では今日も引き続き雪または雨による警報が発令されている。アラゴン州では標高400m以上、カスティジャ・イ・レオン州では800〜900m以上で雪、またアンダルシア、カスティジャ・ラ・マンチャ(グアダラハラ除く)、バレンシア、ムルシア、カナリアス州でも大雨が予想されており、引き続き注意が必要。

ファルキート、ひき逃げ容疑で逮捕

セビジャ警察は、フラメンコの踊り手フアン・マヌエル・フェルナンデス・モントーヤ・“ファルキート”(21歳)をひき逃げ殺人事件の容疑者として土曜日逮捕した。ファルキート容疑者はセビジャ第15法廷ですでに陳述を終えており、4万ユーロの保釈金を支払い、釈放された。検事局はファルキート容疑者のパスポートを差し押さえている。
容疑者の弁護士の話によると、ひき逃げ後、同容疑者は知り合いの警官に相談、この警官が弟が運転していたと述べるよう勧めたという。しかし、実際には弟“ファルーコ”は車に乗ってすらいず、同乗していたのは友人の“エル・カナステロ”。容疑者は無分別による殺人、人命救助義務怠慢、交通規則違反の罪、また弟を犯人としたため司法機関に対する虚偽の罪で有罪となった。
この事件は昨年9月30日夜10時過ぎ、セビジャ市で35歳の男性が友人と横断歩道を渡っている途中、白のBMWにはねられたもので、車はそのまま逃走、男性は病院に運ばれた数時間後に死亡した。警察は当初、ファルキート被告の15歳の弟を運転者と見て2月25日に逮捕し、少年は未成年検事局に送検され、捜査は終了していたが、後に運転していたのはファルキート容疑者であるとの匿名の密告電話があったという。事故当時容疑者は運転免許を取得しておらず、車を購入したばかりだった。明日のムルシア講演は予定通り行われる。


3月26日(金)

11-M関与容疑でさらに4人を逮捕

スペイン内務省の発表によると、水曜午後から昨日未明にかけて、11−Mに関与した容疑でモロッコ人3人とシリア人1人の計4人がマドリッドとトレドで逮捕されたという。
逮捕されたうち、建設作業員のモロッコ人2人(マドリッド市ラ・コンセプシオン地区在住)は、水曜午後、トレド県ウヘナで仕事中のところを逮捕され、シリア人はマドリッド市内のサン・ブラス地区の自宅で逮捕されており、4人目の逮捕者は2人のモロッコ人と同じアパートの部屋に住んでいるモロッコ人と見られるが、警察から身元の発表は行われていない。警察では、ウヘナで逮捕された2人のうち1人が、3月11日に爆弾をしかけた犯人のうちの1人であるとの疑いを強めている。4人の逮捕に加え、シリア人の自宅、マドリッドのシウダ・リネアル地区にある商店、モロッコ人の自宅で家宅捜査が行われ、書類、カセットテープ、ビデオテープ、スケジュール帳、請求書などのが押収されたという。
テロ発生から昨日までに逮捕された人数はこれで18人にのぼるが、そのうち裁判所で陳述を行い釈放されたのはモロッコ人1人で、11人はすでに刑務所に収監されており、今日2人がフアン・デル・オルモ判事の前で陳述を行う予定。この18人の中で、爆弾を設置し、直接的にテロに関与した疑いが持たれているのは6人。

11−M、救助活動従事者の表敬式(マドリッド)

消防士、警官、救急隊員などテロ発生直後から被害者の救助活動にあたった人々に対する表敬式典が昨日、マドリッドのプエルタ・デル・ソルで行われ、およそ6000人が出席した。式典には、今回のテロで多くの犠牲者を出したアルカラ・デ・エナレス、トレホン・デ・アルドス、コスラダ、サン・フェルナンドの各市の市長も参加し、60団体の代表者に対して“連帯”を象徴したフェルナンド・カパ氏作成の像が贈られた。プエルタ・デル・ソルにあるマドリッド州政府庁舎の壁には昨日からテロの犠牲者と救助にあたった人々の記念プレートが設置されている。
また、昨日はマドリッド州内にある15大学の呼びかけにより、コンプルテンセ大学旧大講堂で、犠牲者追悼のための詩の朗読会が行われたほか、レガネス市(テロによる死亡者5人)主催による追悼ミサがラ・クビエルタ闘牛場で行われ8000人が参列、またコスラダ市(テロによる死亡者21人)で行われたミサには、3000人以上が参列した。

スペイン海軍、性同一障害者の勤務受け入れ

1年半前に性同一障害者であると告白したスペイン海軍のホセ・アントニオ・ゴルド・パントハ伍長に対し、海軍裁判所は泌尿器科、精神科、内分泌科からの報告書に基づいて、同伍長は性同一障害者であるが、性同一障害者であることは、直接的にも間接的にも勤務に支障を与えることはなく、海軍勤務の続行は可能であるとの判決を下した。“身体的に不適合”との判断により、海軍を離れていた同伍長は今後、マリア・デル・マル伍長として海軍に再勤務することになる。
海軍に整備士として9年勤務している伍長の雇用契約は2月で失効しているが、裁判の結果が出るまでは延長されており、今後伍長が再契約を望んだ場合、海軍はこれに応じなければならない。マリア・デル・マル伍長は再契約を望んでおり、「海軍内だけでなく、他の職場でも同じ状況にいる人々の励みになれば」と話した。現在、同伍長は、性転換手術の準備としてホルモン治療を開始しているが、これまでスペインでは前例がないだけに、この費用が海軍の医療保険によりカバーされるのかどうかに今後の注目が集まっている。


3月25日(木)

11−M犠牲者を弔う国葬

3月11日にマドリッドで起きたテロの犠牲者を弔うための国葬が昨日、マドリッドのアルムデナ大聖堂で営まれ、189人の犠牲者の家族およそ500人を始め、スペイン王家、各国首脳、スペイン政府関係者など多数が参列したほか、多くの人々がアルメリア広場、オリエンテ広場、プエルタ・デル・ソルに設けられた特設大画面で、中継された葬儀の模様を見守った。
マドリッドの大司教であるアントニオ・マリア・ロウコ枢機卿より執り行われたミサには、2人の枢機卿とスペインの大司教、司教すべて(30人)も参列、“国葬”という名のもとにカトリック教会で葬儀が行われることに異議を唱えていたプロテスタント、ユダヤ教、正教、イスラム教からも最終的には代表者が参列した。
国王夫妻、フェリペ皇太子と婚約者のレティシアさん、ルゴ公爵夫妻(エレナ王女と夫)、パルマ公爵夫妻(クリスティーナ王女と夫)は正午にカテドラルに到着、各国首脳からのお悔やみを受けた。王家の席は祭壇前、スペイン政府関係者と外国からの出席者はそれぞれ祭壇の右と左に分かれて座ったが、席に向かう途中に、祭壇正面に設けられた犠牲者の家族席に向けて挨拶したのは、王家とパウエル・アメリカ国務長官のみ。アスナル首相が着席する際に、家族席から「私の息子が死んだ責任はあなたにある!」との叫び声が上がる一幕もあった。
聖体拝領が行われ、ロウコ大司教による説教が終わり、参列者が全員起立、予定ではここで葬儀が終了するはずだったが、国王夫妻が家族席に歩み寄り、1人1人に声をかけ始められた。これにフェリペ皇太子と婚約者のレティシアさん、ルゴ公爵夫妻、パルマ公爵夫妻も続き、30分以上かけて家族全員と握手を交わされた。ミサの間も、国王や王妃が涙をぬぐうシーンが何度となく見受けられたが、家族と握手を交わす際にも同じ光景が繰り返された。家族の中からは「彼ら(王室)はここにいるが、他の人間はどこにいるんだ?」との言葉も聞かれたが、起立していた王室メンバー以外の出席者は彼らを見つめるだけで、結局誰一人として家族に歩み寄る者はなかった。

新政権第二副首相兼経済大蔵大臣にソルベス氏

PSOE(社労党)は、新政権での第二副首相兼経済大蔵大臣に、現EU経済金融問題担当委員であるペドロ・ソルベス氏(1942年アリカンテ県ピノソ生まれ)が就任すると公式に発表した。これは、一昨日の会談で、ソルベス氏がサパテロ党首からの申し出を受け入れたため。
2人はすでにこの申し出についての話し合いを行っていたが、このときはソルベス氏がミゲル・セバスティアン氏に決める方向で考え直すようサパテロ氏に勧めていた。しかし結局、セバスティアン氏が大臣ではなくサパテロ氏経済顧問を務めたいと表明したため、フェリペ・ゴンサレス政権で1993年から96年まで経済大蔵大臣を務めたソルベス氏が新政権で再び同職に就くこととなった。ソルベス氏の欧州委員会委員としての任期は今年10月31日までだが、今のところ氏はいつ同職を辞任するかについて明らかにはしていない。

パウエル国務長官、スペイン軍のイラク撤退を避けるための国連との交渉を約束

国葬が行われた昨日、テロの犠牲者を立てて一切の記者会見は行われなかったものの、サパテロ次期首相候補は、各国首脳と会談を行った。シラク・フランス大統領との会談終了が20分長引いた上、自身の飛行機の乗組員の労働条件問題があったため、アメリカのパウエル国務長官の会談は会談を延長することができず、会談は10分で終わった。
この会談でパウエル国務長官はただちに新政権外務大臣との話し合いを始めることを約束、スペインが6月30日の期限終了にともなって撤兵を行わないために、どのようにすれば政治的または軍事的面で国連の指揮を取り付けられるかを模索していきたいと述べた。


3月24日(水)

サパテロ氏、各国首脳と会談

今日の12時半、11-M犠牲者の国葬がマドリッドのアルムデナ大聖堂で行われるが、次期首相候補のサパテロ氏はこの国葬に出席する首脳と国葬の前後に会談を予定している。会談は、午前10時にブレア・イギリス首相、11時にミレル・ポーランド首相、午後1時50分にシラク・フランス大統領、午後2時15分にパウエル・アメリカ国務長官、午後3時にシュレーダー首相、午後5時にサンパイオ・ポルトガル大統領と行われる予定。ポルトガル大使館で行われるサンパイオ大統領との会談以外は、国会議事堂マリアナ・ピネダの間で行われ、サパテロ氏が外務大臣に起用しようと考えている外交官のミゲル・アンヘル・モラティノス氏が同席する。
この席でサパテロ氏は、PSOEに政権が交代することによって生じるスペイン外交政策の変更について各国首脳に説明、イラク派兵問題、EU憲法制定問題でアスナル現首相と衝突していたシラク大統領、シュレーダー首相に対しては、この後スペインが後々まで問題を残すことなくイラクからスムーズに撤兵できるための協力を求め、またEU憲法に関して柔軟な姿勢を示さなければならない。
今回の会談相手の中で、スペインの外交政策変更により最も大きな影響を受けるのはポーランドで、スペインのイラク撤兵だけでなくEU憲法制定に際しても、スペインが7月までの制定に前向きな姿勢を見せることにより、同国はEU内で孤立することになる。
一方、暫定首相のアスナル氏は昨日、首相官邸でブレア首相と夫人同伴で最後の夕食を摂ったほか、今日はポーランド首相、アメリカ国務長官とだけ、会談を予定している。
これらの会談は、国葬への出席者が明らかになった先週木曜日に急遽決定されたもので、国葬にはその他アハーン・アイルランド首相、ベルホフシュタット・ベルギー(EU議長国)首相、シュピドラ・チェコ首相、ナスターセ・ルーマニア首相、ナノ・アルバニア首相、チャンピ・イタリア首相、コックス・欧州議会議長といった各国首脳のほか、王室関係者としては、イギリスのチャールズ皇太子、モロッコのムライ・ラシッド王子、ベルギーのフィリップ皇太子、モナコのアルベ―ル皇太子なども出席を予定しており、国葬の前後、アルムデナ大聖堂周辺は警備のため通行禁止となる。

ラホイ氏、PP執行部編成に着手

昨日PP(国民党)の全国執行部が開かれ、現在PP書記長を務めるマリアノ・ラホイ氏はPP党首として立候補、暫定内務大臣のアンヘル・アセベス氏を自身の後任の同党書記長、暫定政府広報官のエドゥアルド・サプラナ氏を同党下院広報官、現マドリッド市都市計画局長ピオ・ガルシア・エスクデロ氏を同党上院広報官に任命したいと発表した。また、当初の予定を早めて党大会を欧州議会選挙終了後の夏に開催する予定であることも明らかにしている。
ラホイ氏は、PPの現在の目標を6月13日の欧州議会選挙に据えると述べたものの、誰を筆頭候補人とするかについては明らかにしなかった。この選挙運動責任者には、腹心の部下であるフアン・カルロス・べラ氏を任命している。
またラホイ氏は、3月14日に行われた総選挙で自党が敗北したことについて、「マドリッドでのテロがなかったら、我々が文句なしに勝利を収めていたと確信している」と述べたほか、テロ発生後、政府は情報操作を行っていないと強調した。
テロ発生時内務大臣だったアセベス氏(1958年アビラ生まれ)、政府広報官だったサプラナ氏(1956年カルタヘナ生まれ)は共に、今回のテロによりイメージを最も損なった政治家たちにもかかわらず、2人はそれぞれ野党としてのPPを動かす人物として選ばれている。アセベス氏はアスナル暫定首相が最も信頼を置いている人物で、サプラナ氏もラホイ氏と良好な関係を築いていることで知られている。

三民族主義政党が会談

左翼政党PSOE(社労党)が総選挙で勝利を収めたことにより、CiU(カタルニャ連合)、PNV(バスク民族党)、BNG(ガリシア民族党)の民族主義政党三党は昨日、マドリッドに集まり、PPの横暴な時代が終わり、新政権が新たな対話の時代を始める“可能性”への期待を示した。
バルセロナ宣言に署名するこの三政党からは、ジョセップ・アントニ・ドゥラン氏、アルトゥル・ムス氏((CiU)、ジョス・ジョン・イマス氏(PNV)、アンショ・キンタナ氏(BNG)が出席、左翼新政権に対し、“自治政府憲章の改正”、“上院の改編”、“憲法裁判所改編”“国家基本的法制の改編”“法律の見直し”“自治政府としてのEU参加のためのシステム改編”の6つの項目を挙げ、複合国家の新しい形について提案を出した。

9自治州で大雪警報

アストゥリアス、カンタブリア、パイス・バスコ、カスティジャ・イ・レオン、ナバラ、ラ・リオハ、アラゴン、カタルニャ、バレアレスの9自治州では、昨日も雪と強風による警報が維持された。バレアレス州では時速80キロの強風を記録している。


3月23日(火)

11-M関与疑惑でさらに4人逮捕

スペイン警察は、11-M関与の疑いで日曜の午後と夜にさらに4人を逮捕したことを明らかにした。これにより、マドリッド連続テロ関与疑惑での逮捕者数は合計14人となった。
逮捕者の身元については公式には明らかにされていないが、そのうち1人はサラマンカのトパス刑務所に収監中のカリッド・オウレッド・アクチャ容疑者(30歳)で、先週木曜に逮捕されたファリッド・オウラッド・アリ容疑者(33歳)の弟。カリッド・オウレッド容疑者は傷害の罪で懲役4年の実刑判決を受け、2001年から同刑務所に収監されている。11-M担当の中央管区裁判所フアン・デル・オルモ判事の命により、日曜午後カリッド・オウレッド容疑者の監房が捜査され、後、同容疑者は尋問のためマドリッドに移送された。移送先の情報総合警察では、昨日、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、スペインのの対テロ捜査官が会合を開き、テロの捜査結果について、また今後の対策強化について話し合いを行った。
日曜に逮捕されたその他3人は1人がヘタフェ市、2人がマドリッド市ラバピエス地区といずれマドリッドで逮捕されていおり、関係者は、すでに逮捕されている者と“血縁、または友人関係”にある者たちだと述べたが、テロへの関与の度合いについては、明らかにすることを避けた。すでに逮捕されている14人のうち、5人(モロッコ人3人、インド人2人)はすでにマドリッドにあるソト・デル・レアル刑務所に面会禁止で収監中、弁護士との接見をはじめとし一切の面会は禁止、マスコミもシャットアウトされている状態。面会禁止の適用は通常逮捕後5日だが、判事の判断によって延長することも可能。現在、捜査はGICM(モロッコ・イスラム戦闘員グループ)に焦点を絞って行われており、警察では少なくとも同グループが6つのイスラム過激派組織と接触を持っていたと見ている。

逮捕のスペイン人、爆薬入手方法についての情報提供認める

M-11で使用された爆薬Goma2と、雷管を犯人に供給した容疑で木曜日にオビエド県アビレスでスペイン人、ホセ・エミリオ・スアレス・トラショラス容疑者(27歳)が逮捕されたことにより、現在警察は、アストゥリアス州に爆薬密売組織があると見て捜査を進めている。元鉱山従業員のスアレス容疑者は健康上の理由により3年前に鉱山を辞め、現在は自動車販売に従事しているが、過去にGoma2の密売容疑で警察の取り調べを受けている。
警察の調べに対し、同容疑者は、今年2月に4人のモロッコ人にGoma2の入手方法についての情報を提供したと供述しているが、「モロッコの鉱山で使用するためだと思った」と述べており、提供した情報の内容については、彼が勤務していた鉱山では「爆薬は中庭にずさんに放り出されてあるだけで、防犯装置は特にない」と話しただけだという。治安警備隊では、アストゥリアス州ティネオからカンガス・デル・ナルセアにかけての地域にある鉱山で爆薬が盗まれていないかについて捜査を進めている。


3月22日(月)

ソルでイスラム教徒が反テロ集会

昨日、マドリッドのプエルタ・デル・ソルに100人ほどのイスラム教徒が集まり、3月11日のテロを糾弾、マドリッド市民への連帯を示した。参加者が掲げたプラカードには“Somos musulmanes, no terroristas(我々はイスラム教徒だが、テロリストではない)”“No al terrorismo(テロ・ノー)”などと書かれており、参加者の一人は「この集会により、我々はマドリッドの人々と共にいるということと、イスラム教徒にテロの犠牲者を出して、彼らと同様苦しんでいるということをマドリッドの人々に知ってもらいたい。」と述べた。スペイン人との関係に変化が生じたかとう記者からの問いに対し、「暴力的な反応はないが、視線には明らかに変化を感じる」と述べた彼は、大学の講義に出席するためこれまで使用していたリュックサックを書類挟みに変えたという。

11-M、観光業に大きな影響なし

旅行代理店、航空会社、ホテル業界の話によると、3月11日のテロによる大規模なキャンセルは今のところ出ていないという。しかしながら、スペインから近いヨーロッパからの旅行者が計画を変えていないとはいえ、各業界ともスペインから遠い日本やアメリカ(特に国民がテロに敏感)からの旅行者が減るのではないかと危惧している。
マドリッドで連続テロが起きた週の週末、マドリッドのホテルは軒並み通常より空室が多い状況で、予約率が30%程度のホテルもあった。しかし、今のところホテル業界ではこの状況を深刻には捉えておらず、5月22日のフェリペ皇太子の挙式によりマドリッドの状況が通常に戻る助けとなるのではと見ている。また、世界観光機関のフランジャッリ会長も昨日、スペインの観光はビーチ滞在型など1つの形式に絞られたものではなく、バラエティに富んでおり、顧客も固定客が多いことから、今回のテロによるスペイン観光業界へのショックは大きなものにはならないとの見方を示している。
いずれにせよ、各業界とも現在は状況を見極めているところで、今回のテロの影響が明らかになるには1ヶ月はかかると見られている。

サン・ホセの連休、交通事故死者38人

1000万人が移動したサン・ホセの3連休、木曜日の午後3時から日曜日の午後12時までの間に起きた死亡事故件数は36件で、38人が死亡、22人が重傷、23人が軽傷を負った。
この週末が連休となったのは、アラゴン、カスティジャ・ラ・マンチャ、カスティジャ・イ・レオン、バレンシア、エクストレマドゥラ、ガリシア、マドリッド、ムルシア、ナバラ、パイス・バスコの10州。しかし、この週末最も交通事故死者数が多かったのは、アンダルシア州(8人)、カタルニャ州(7人)で、両州とも19日金曜日は祝日ではなかった。
サン・ホセの祝日が飛び石連休となった2002年には5日間で死亡事故42件、死者47人、重傷27人、軽傷16人、今年と同様金曜から3連休だった1999年には、36件の死亡事故で44人が死亡、25人が重傷、13人が軽傷を負っている。

週末のスポーツの結果

F−1:マレーシアGP、エンジンを変え、最後尾からスタートしたフェルナンド・アロンソ選手(ルノーチーム)は、チームの給油計画のミスもあり7位に終わった。現在総合成績では、同選手は5位につけている。
自転車:イタリアで開かれた世界選手権今季第一戦目のミラノ-サンレモ・クラシックで、オスカル・フレイレ選手(ラボバンクチーム)が優勝。権威あるこのレースをスペイン人が制するのは1957、1959年のミゲル・ポブレ選手以来。


3月19日(金)

サン・ホセの祝日のため、今日のスペインニュースはお休みです。


3月18日(木)

スペイン内務省、国内の警備を強化

昨日、政府は“スペインにおけるテロリストからの攻撃の危険は継続している”とし、スペイン国内で、治安警備隊、警察、軍隊を30万人以上動員して特別警備体制を敷くことを発表した。
アセベス内務大臣は、この警備プランは、総選挙前にETAのテロ攻撃を予想してすでに敷かれていたプランを強化するもので、警備プランはすでにイギリスやフランスが取っているものと似た内容になると述べた。このプランの目的は、“人がたくさん集まる場所(駅、港、空港、スポーツ、文化行事開催施設)の新しい警備措置、戦略的設備、インフラ設備の防御、予想されるテロ攻撃に対する情報の即時収集、の3つ。政府は今回の決定が“PSOEとの合意のもと”行われたと発表しているが、PSOE側は、“決定したとの通知があったのみ”と政府を非難した。
また昨日は、アルカイダに関連のあるイスラム過激派組織アブ・ハフス・アル・マスリによる2度目の声明文がロンドンのアラブ語新聞社に送付されている。この中で、同組織は、サパテロ新政権の方向が定まるまでは、スペインでのテロ活動は休止すると述べている。

ボノ氏、保安相就任を承諾

2時間によるサパテロ書記長との会談後、現在カスティジャ・ラ・マンチャ州知事を務めるホセ・ボノ氏は、新政権での保安省(現在の内務省)大臣就任を承諾した。この他の指名ですでにほぼ確実と見られるのは、カルロス3世大学(マドリッド)の経済学教授マリア・ヘスス・サンセグンド女史の教育科学相。同女史は、2ヶ月前からすでにサパテロ氏が結成した顧問団の一員として働いている。
また昨日は、フェリペ・ゴンサレス政権時代に大臣を務めたアルフレド・ペレス・ルバルカバ氏が、上院でのPSOE広報官として就任することを承諾。ルバルカバ氏は、過半数到達に12票足りないPSOEが国会で支持票を獲得していくため、各党との話し合いを進めるという重要な任務を担うことになる。
サパテロ氏はまだ新政権閣僚リストを公表していないが、現政権より1大臣多い16人の閣僚と2人の副首相を抱える見通しが濃厚。その他閣僚入りが予想されている人物としては、マグダレナ・アルバレス女史、ホセ・アントニオ・アロンソ氏(レオン選出議員)、フアン・フェルナンド・ロペス・アギラール氏(政治学教授、PSOE司法問題担当)、ミゲル・セバスティアン氏(サパテロ氏経済顧問)、ミゲル・アンヘル・モラティノス氏(元EU中東和平問題特別代表)などの名前が挙がっている。
サパテロ氏が首相就任の承認を国会で得るよう、すでにPSOEと各党との話し合いが始まっている。現在のところ異議を唱えている政党はないが、支持を確約した政党もない。支持について前向きな姿勢を示しているのはCC(カナリアス同盟)、IU(統一左翼)で、PNV(バスク民族党)、CiU(カタルニャ連合)の2つの民族主義系政党は消極的だという。

サラゴサ、国王杯制す

国王杯の決勝戦レアル・マドリッド対サラゴサが昨日、バルセロナのモンジュイック・オリンピックスタジアムで行われ、延長戦の末、3-2でサラゴサがレアル・マドリッドを破って国王杯優勝を決めた。観客数は5.4万人。
マドリッドでのテロの犠牲者の冥福を祈り1分間の沈黙が捧げられた後、試合は開始。ロナウド、カシジャースを欠くレアル・マドリッドだが試合開始後5分間を除いて前半は試合をコントロール、フィーゴ、グティらがシュートを放つもののゴールは決まらず、その後前半23分、ベッカムが1点目をゴールした。しかしこのゴールの後、レアル・マドリッドの動きが鈍くなる。ロナウドの穴を埋めることが期待されていたラウルは、サラゴサのミリートに完全に封じ込まれ、サラゴサは、サビオとビジャが突破口を開き、ダニが6分後に同点ゴール。さらに、44分にはコーナーキックからもゴールを決め、前半はサラゴサリードの2-1で試合が終了した。
しかし、後半開始早々47分にロベルト・カルロスがフリーキックを決め、試合は振り出しに戻った。さらに67分にカニが2枚目のイエローカードで退場処分となり、選手が1人多いレアル・マドリッドが優位に立ったが、レアル・マドリッドは追加得点を挙げることができず、試合は延長戦に。
延長戦の前半6分でレアル・マドリッドのグティも退場、10人対10人となった試合にピリオドを打ったのは、ダニに代わって途中出場したガレッティ。彼のゴールでサラゴサが3-2でレアル・マドリッドに勝った。レアル・マドリッドは1993年以来国王杯での優勝がない。サラゴサは2001年以来の優勝。


3月17日(水)

アルムデナ大聖堂で合同ミサ

昨日午後8時、マドリッドのアルムデナ大聖堂で、M−11テロの犠牲者合同ミサが行われ4000人が出席した。聖職者80人が並ぶ祭壇の後ろにかけられた大きな白い布の中央には黒い喪章が飾られ、ソフィア王妃、アギレ・マドリッド知事、ガジャルドン・マドリッド市長、ラト副首相も出席するなか、マドリッドのロウコ大司教は犠牲者の家族の心の平安を祈り、テロリストに対しては改心し、犯罪を犯すのをやめるよう呼びかけた。
マドリッド知事と市長の発案で執り行われた昨日のミサだが、定員オーバーで教会の中に入れなかった人々が外でミサを聞きたいと教会の扉を開くよう求めてドアを叩く光景も見られた。犠牲者7人を出したサン・フェルナンド市長は、少なくとも同市の犠牲者の家族に対してはミサの通知が行われていなかったと主催者側を非難、また大司教の説教が、永遠の生命について説くだけで、感情を排した、心の慰めとなるには程遠い内容だったと遺族の多くが感じたという。

11-Mで使用の爆薬、製造元が判明

スペイン警察爆発物処理班の専門家たちは、テロ発生数時間後には、使用された爆薬が最近製造されたものであるとの見方を示していたが、不発弾から見つかった爆薬と、テロ発生日にアルカラ・デ・エナレス(マドリッド州)で発見された盗難車の中からみつかったダイナマイトのかけらを調べた結果、11-Mで使用されたダイナマイトは、今年2月にパラモ・デ・マサ(ブルゴス県)でUEE(スペイン爆発物組合)により製造されたものであるとの結論に達した。
マドリッドでのテロに使用されていた爆薬は、触感が粘土に似ている2ECOという膠質ダイナマイトの一種だったが、この爆薬は注文を受けてからその量だけを生産するシステムになっているため、製造元から買取先をたどるのは易しい。現在、捜査は、この爆薬を注文した鉱山、採石場、工事現場に絞られており、テロに使用された100キロ以上の爆薬がどこから盗まれたものかの究明が急がれている。
爆薬流出の経路と並行して捜査が進められているのが、盗難車から見つかった7つの銅製の雷管についてだが、雷管は通常、1000個単位で箱詰めにされ出荷されているため、こちらは爆薬に比べて盗難が容易だという。現在、捜査班は、マドリッドにある花崗岩の採石場から盗まれた可能性について調べているという。

アルカラ・デ・エナレス市で沈黙のデモ行進

木曜日のテロで40人以上の犠牲者を出したアルカラ・デ・エナレス市で昨日、犠牲者の追悼デモが行われおよそ4.5万人がアルカラ市の道路を埋めた。デモにはゴンサレス・アルカラ市長、コボ・マドリッド市長助役、サパテロ・アルカラ大学学長、エチェバリア・マドリッド州議会副議長なども参加、時折参加者の間から拍手が起こる以外、行進は沈黙のうちに行われた。
行列がセルバンテス広場に到着すると、テレマドリッドのインマクラーダ・ロエチェス・キャスターが声明文を読み上げ、その後、犠牲者の冥福を祈って1分間の黙祷が捧げられた。デモの終わりには、特設舞台から6羽の白鳩が空に放たれ、参加者たちは長い間、拍手を送りつづけた。


3月16日(火)

PSOE、単独で政権維持の意向

日曜日の総選挙で首相候補としての当選が決まったPSOE(社労党)のホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ書記長が、昨日、150人の記者(うちおよそ40人は外国人記者)を前に記者会見を行った。この記者会見でサパテロ氏は、PSOEの土壇場での逆転は3月11日のテロの影響ではなく、“国民が変化を望んだ”結果であると強調、しかしながら、変化を望むに至った原因の一部にはスペインのイラク戦争参加があったことも認めた。昨日の記者会見でのサパテロ氏が主に言及した内容については以下の通り。
11−Mの犠牲者:氏は、改めて3月11日(11-M)のテロの犠牲者への哀悼の意を表した上で、特に“よりよい生活を求めてスペインにやってきたにもかかわらず、命を落とすことになった”外国人死者、負傷者について言及した。
テロ対策:投票前夜と同様、サパテロ氏はすべての政党が集まって共通のテロ対策をただちに練る必要があると説き、その召集を現政権が行うべきだと述べた。
治安当局:氏はスペインの治安当局への信頼と支持を表明。彼の公約には治安警備隊と国家警察間で共通単独の指揮形態をとらせるなど治安当局の組織改変が含まれている。
イラク:国連が治安維持部隊の指揮をとらない場合、スペイン軍は、6月30日を持ってイラクから撤退。
外交政策:現在話し合いが頓挫しているEU憲法の樹立へ向けての各国との対話再開を進めるとともに、スペイン本来の外交政策の軸であるヨーロッパ、中南米、地中海を中心とした政治に戻すほか、モロッコとの良好な関係の維持に努める。
移民:中央政府だけでなく、地方政府、市役所、雇用者、労働組合を含めて話し合いを行い、一部の法改正を含め移民の権利と義務をはっきりさせる。
自由経済:政府の介入のない自由な経済活動を企業に約束。また、優先事項のひとつとしてテクノロジーの発展を挙げている。
新政権誕生までの今後のスケジュールとしては、3月30日に公報での選挙結果報告が行われた後、4月2日に上下院の議長選出され、その後各政党が話し合いにより首相候補者を立てる。この候補者に対し、国会で議論が行われ、その後の投票で候補者が過半数(176票)を集めた場合、国王による首相任命が行われる。過半数が集まらなかった場合は2ヶ月以内に再び就任に関する議論が行われ、この後多数決により就任が決まる。首相に決まった候補者は、国王の前で宣誓を行った後、閣僚の発表を行う。新しい政権が正式に機能し始めるのは、国王による国会演説の後。2000年の総選挙の際は、3月12日に選挙が行われ、5月3日に新政権が誕生している。

テロ関与疑惑でモロッコ人6人の名が浮上

スペイン警察関係者の話では、すでに逮捕されている3人のモロッコ人に加え、さらに3人、合計6人のモロッコ人に対し、M-11テロに関与した疑いがかけられているという。しかし、この3人については名前は公表されていない。逮捕された3人のうち、ジャマル・ゾウガム容疑者については、モロッコ治安当局がすでに昨年5月に起きたカサ・ブランカへの関与をほぼ確信しているという。同容疑者は2001年11月、中央管区裁判所のバルタサール・ガルソン判事の命によりアルカイダとの関連の容疑で1度逮捕されているが、証拠不十分により釈放されている。スペイン警察は、現在、爆発が起こる数分前に車両内で壁にもたれて立っているゾウガム容疑者を目撃したとする2人の証言に基づいて捜査を続けているが、アルカイダのスペイン関連組織リーダー、アブ・ダダとなんらかのつながりがあると見られる2人のモロッコ人と見られる男性2人についても写真により2人の証人が列車内での目撃を証言している。

サン・セバスティアンでアルジェリア人1人逮捕

今朝、バスク州警察はサン・セバスティアンでアルジェリア人1人が逮捕されたことがわかった。関係者の話によると、このアルジェリア人は、今年1月中旬、近所の住民からの通報を受けてパトロール中の警官が麻薬売買の容疑で逮捕したのと同一人物。逮捕時にこの人物が「そのうちお前たちにもわかるだろう。我々はたくさんの人間をマドリッドで殺す。カステジャーナ大通りは死人で埋まるだろう。」などと述べ、この中でアトチャの名前も挙がったという。このとき、バスク州警察はこの発言に注意を払わなかったが、テロ発生後この発言が思い出されたことから、バスク州政府内務局がスペイン内務省、CNI(国家情報局)と国家警察にこの情報を流したところ、治安当局によりこの人物の捜索が始まり、昨日行方がわかったとこから今朝の逮捕となった。現在このアルジェリア人はバスク州警察に拘留中。

ヨーロッパ各地でテロ犠牲者への黙祷

現在EU議長国を務めるアイルランドのアハーン首相の呼びかけに応え、欧州連合に加盟する国々と加盟が決まっている国々では昨日正午にマドリッドでのテロにより亡くなった人々の冥福を祈って3分間の黙祷が捧げられた。各地の昨日の黙祷の様子は以下のとおり。
ベルギー:首都ブリュッセルではプロディ欧州委員会委員長、ヘルホフシュタット首相を始めとし3000人がシューマン広場での黙祷に参加、黙祷は拍手で締めくくられた。
アイルランド:アハーン首相は、在アイルランドのガジェガス・スペイン大使とともにダブリンにある首相官邸で黙祷を捧げたほか、アイルランド各省庁、公共放送でも黙祷が捧げられた。
イギリス:スペイン時間正午(現地時間午前11時)にロンドンにあるスペイン大使館で黙祷が捧げられたが、地下鉄や列車の駅でも黙祷を捧げる人の姿が見られた。
フランス:パリを始めとし各地教会の鐘とサイレンが正午に鳴らされ、3分間の黙祷が始められた。シラク大統領が、パリにあるスペイン大使館で行われた追悼式に出席、花輪を供えた。
ドイツ:ベルリンに在住するスペイン人がスペイン大使館に集まり、大使館員とともに黙祷を捧げた。
イタリア:ローマの地下鉄、各地の空港などで黙祷が捧げられたほか、上下院議員はそれぞれ議場で黙祷、ローマ市内ではベルトリーニ市長主導のもと、デモ行進が行われた。
ギリシャ:アテネとテッサロニキのスペイン大使館で追悼式が行われたほか、3分間の黙祷も捧げられたが、政府の手違いによりスペイン時間正午でなく午後1時(現地時間2時)に行われるというハプニングがあった。
その他、スイス、ブルガリア、ルーマニア、ノルウェー、キプロス、チェコでも3分間の黙祷が捧げられた。


3月15日(月)

サパテロ氏、劇的逆転でラホイ氏を破る

200人が死亡、1400人以上が負傷したマドリッドの列車テロから3日、昨日スペインで総選挙が行われ、前回選挙の69%を8ポイント上回る77%の投票率を記録、最大野党であったPSOE(社労党)が、PP(国民党)を破る大躍進を見せた。主要政党の獲得議席数は、PSOE164、PP148、CiU(カタルニャ連合)10、ERC(カタルニャ左翼共和党)8、PNV(バスク民族党)7、IU(統一左翼)5で、PSOEは2000年の前回選挙から39議席増やしたものの、過半数の175議席には届いておらず、左翼政党、民族主義政党と連立政権を組むか、過半数を持たずに単独政権を維持し、必要があればその都度他政党の支持を求めるのかをこれから選択しなければならない。
今回の選挙では、PSOEは前回選挙より280万票得票数を増やし、PPは70万票を失った。PSOE躍進の影響を最も受けたのはIUで14万票、4議席を失っている。
午後10時にPSOEのホセ・ブランコ氏が勝利宣言を出し、首相就任が決まったサパテロ氏はその1時間後、PSOE本部に集まった支持者たちの前に姿を現した。演説を始めるにいたって、次期首相の口から最初に出た言葉は、木曜日のテロの犠牲となった人々に向けられたものだった。サパテロ氏は聴衆に1分間の黙祷を求め、PSOE本部は沈黙に包まれた。テロの後各国から寄せられた援助に感謝の言葉を捧げた後、サパテロ氏は新政権の優先事項としてテロ撲滅を挙げ、新政権がこれまでとは異なった政権となることを約束、新政権は憲法を尊重することを保証した。サパテロ氏は公約の1つに、国連の承認が得られなければイラクからスペイン軍を撤退させることを挙げている。
昨日は、同時にアンダルシア州選挙も行われ、現職知事でPSOE党首のマヌエル・チャべス氏が5期連続当選を飾るとともに、PSOEが10年ぶりに過半数を取り戻している。

マドリッドでのテロに関与した疑いで5人逮捕

スペイン警察は、先週の木曜日マドリッドで起きたテロの首謀者は、昨年5月16日にモロッコのカサブランカで起きたテロ(43人が死亡)と同一のイスラム過激派グループであるとの結論に達した。これを受けてスペインから捜査チームがモロッコに向かい、同時にモロッコからスペインへも捜査チームが派遣された。
不発に終わった爆弾の時限装置として使用された携帯電話の売買とカード偽造の容疑で土曜日にマドリッドのラバピエス地区で逮捕されたモロッコ人3人とインド人2人のうち、ジャマル・ゾウガム、モハメッド・ベッカリ、モハメッド・カホウイのモロッコ人3人は、傷害、盗品売買、殺人などの罪によりスペイン警察での前科があることがわかっている。インド人2人については名前以外の詳しい情報は明らかにされていないが、テロに使われた携帯電話をモロッコ人3人に売った模様で、この2人がテロにどの程度関与していたかについては、今後の捜査結果が待たれている。
逮捕されたモロッコ人のうち、ジャマル・ゾウガム(30歳)容疑者は、モロッコにあるアルカイダの関連組織の重要メンバーの1人として、スペインだけでなくフランス警察からも知られる存在で、フランス警察からの依頼を受けて2001年8月10日、外務中央情報局はゾウガム容疑者の家宅捜査を行っているが、逮捕するにはいたっていない。また、NYでの貿易センタービルテロ後、中央管区裁判所のバルタサル・ガルソン判事もゾウガム容疑者を捜査していたが、同容疑者がスペインにおけるアルカイダ支部組織のリーダーを始めとし、このイスラム過激派組織スペイン支部メンバー多数の電話番号を所持していたにもかかわらず、ゾウガム容疑者に対しては何らの法的措置も取られなかった。アメリカ政府からの圧力を受け、NYでのテロ後スペインではイスラム過激派40人が逮捕(ヨーロッパ最多)されたが、証拠不十分のため大部分は釈放、このうち現在も刑務所に収監されているのは12人にすぎない。
土曜日にはアルカイダの犯行声明を録画したビデオが見つかっているが、このビデオの信憑性についても政府は慎重な姿勢を崩さず、アセベス内務大臣は「捜査は長く複雑なものとなるだろう」との見方を示している。

スペイン全土で反テロのデモ、1100万人が参加

スペイン政府の公式発表によると、金曜日、スペイン各地で行われたテロ糾弾デモの参加者は1164.2万人だったという。各地の参加者数は、マドリッドでは230万人、バルセロナで150万人、バレンシア100万人、セビジャ70万人、サラゴサ40万人、ビゴ40万人など。
マドリッドでは、デモ行進の先頭にスペイン政界からアスナル首相、PP(国民党)のラホイ書記長、PSOE(社労党)のサパテロ書記長、IU(統一左翼)のジャマサレス代表、王室からフェリペ皇太子、エレナ王女、クリスティナ王女、映画界からはビクトリア・アブリルさん、ペドロ・アルモドバル監督などが立ったほか、プロディ欧州委員会委員長、ベルルスコーニ・イタリア首相、ラファラン・フランス首相も駆けつけた。デモ参加者のため、マドリッド市内では公共交通機関が16〜23時の間無料開放、降りしきる雨にもかかわらず、参加者たちはデモ行進開始予定時刻の1時間前からカステジャーナ大通りを埋めつくした。
150万人が参加と、史上最大の参加者数を記録したバルセロナでのデモ行進は、予想を上回る参加者数のため、当初のデモの終点であったカタルニャ広場に到着することができず、予定を変更してディプタシオン通りで終了。マラガル知事、クロス・バルセロナ市長、カタルニャの政党リーダーたちが行進の先頭に立った。PPからはカタルニャ支部長ジョセップ・ピケ氏とロドリゴ・ラト副首相などが参加したが、テロの首謀者ETA説に固執した政府からの参加者である彼らに対しては、デモ参加者から「うそつき」「人殺し」などの罵声が浴びせられ、彼らはデモ行進を途中で切り上げ護衛つきで公用車まで戻ることを余儀なくされた。テロへの糾弾が大部分を占めたマドリッドでのデモ行進とは異なり、バルセロナでは、PPへの糾弾も執拗に続けられた。

情報操作、TVEに抗議の電話殺到

土曜日、PP本部前で行われた集会を報道せず、予定されていなかった映画を放送したとして、TVEに対し、視聴者から抗議の電話が殺到した。木曜日のテロについての真実を政府に要求して求めて6000人から7000人が集まったこの集会についてはスペイン、外国のチャンネルが生放送で中継したにもかかわらず、TVEは夜9時のニュースで50秒をこのニュースに割いただけだった。他局が集会を中継していた間、TVEでは2000年2月ETAにより殺害されたフェルナンド・ブエサ議員とそのボディガードについてのドキュメンタリー映画を急遽放送。これに対し、フェルナンド・ブエサ財団は日曜日、事前の予告なしに放送が行われたことについて強い憤りを表した声明文を発表している。
このドキュメンタリー映画は、政府が執拗にETA犯人説に固執していながらも、すでにイスラム過激主義の関与の可能性が強める5人の逮捕が知られていたときに放送されたもので、声明文では、「マドリッドで木曜日に起きたテロの犯人がイスラム過激派であることから国民の注意をそらすという目的でこの映画が利用されるのは、テロの犠牲となった2人の名において認めることができない。」と述べられている。
この映画はマドリッド州政府(PP政権)の管理下にあるテレビ局、テレマドリッドで前日金曜日のゴールデンタイムにも放送されていた。


3月12日(金)

11-Mテロの死者198人、負傷者1430人と発表

昨日の朝のマドリッド近郊電車を標的にした4件の同時テロは、合計13の爆弾によるもので、うち5つがアトチャ駅ホームで爆発した車両内、4つがアトチャ駅近くで爆発した車両内、3つがエル・ポソ駅で爆発した車両内、1つがサンタ・エウヘニア駅で爆発した車両内に仕掛けられていた。この13の爆弾のうち、アトチャ駅ホームの2つとエル・ポソ駅の1つは、救助活動にやってくる人々をねらって遅れて爆発するよう仕掛けられていた爆弾だったが、爆発物処理班により解除された。現在のところ、テロにより亡くなった人の数は198人と公式発表されているが、昨夜の時点で負傷者のうち44人が“非常に危険な容態”、27人が“危険な容態”にあり、今後さらに増える可能性は高い。今回のテロは、スペイン史上最悪のテロ事件となったが、また、ロッカービー事件(イギリス・死者270人)に次いでヨーロッパで2番目に犠牲者の数の多いテロ事件ともなった。EUでは昨日3月11日を“ヨーロッパ、テロ反対の日”に定めることを決定している。
10個の爆弾が爆発したのは昨日の午前7時35分から45分の間。テロリストたちはリュックサックやスーパーのビニール袋に8〜12キロの爆薬を詰めてマドリッド市の北東30キロにあるベッドタウン、アルカラ・デ・エナレス駅とマドリッド主要駅の1つであるアトチャ駅を結ぶ路線に仕掛けた。最初の爆発が起こったのは、午前7時39分。アトチャ駅に到着したアルカラ・デ・エナレス発の列車で、6両編成の列車の3両目、4両目と6両目で爆発が起きた。その3分後、最初の爆発から500M離れた場所でアトチャ駅に入ろうとしている6両編成の列車の1,3,4、6両目の4ヶ所で爆発が起こり、同時にマドリッド市内でも低所得者層が多く居住している地域にあり、アトチャ駅から2つ目のエル・ポソ・デル・ティオ・ライムンド駅、4つ目のサンタ・エウヘニア駅に停車中だった電車でも爆発が起こった。
この事故による死者は、国際見本市会場内の第6パビリオンに集められ、ここで法務医80人により、身元確認作業が行われているが、これまでのところ身元が確認されているのは117人という。
今回テロの標的となった路線は、1日21.6万人の利用者がある路線で、、満員のラッシュアワーには1車両あたり100人が乗っている。利用者の大半は労働者または学生。

テロの犯人はETA?アルカイダ?

テロ発生直後から専門家たちの間では、今回のテロはETAのやり方とは違うと見る向きが強かった。このような規模のテロを起こすには、最低1ヶ月の準備期間と12〜30人の人材が必要だが、スペイン内務省では、ETAがマドリッドに確保している人材はこれより少ないと考えていた。さらに、通常なら事前予告があるはずだが、今回はその予告もなかった。
にもかかわらず、スペイン政府は最初からETAの犯行であるとの姿勢を見せていた。午後1時、アンヘル・アセベス内務大臣が記者会見を開いたときも大臣は、「政府はこのテロの後ろにはETAがいると確信している」と発言。イスラム系組織が絡んでいる疑いはないかという記者からの質問に対しては「今回の悲劇の責任を回避する目的で流されているあらゆるデマには我慢ならない。」と述べている。大臣が捜査の対象をETAだけでなく、アルカイダにも広げると発表したのはこの7時間後で、再び記者団の前に姿を現した大臣は、2月28日にマドリッドで盗まれたバンが午後12時頃、アルカラ・デ・エナレスで見つかったこと、そのバンの内部から起爆装置7つとコーランの一部を読み上げたテープが見つかったことを明らかにした。1回目の記者会見では犯行に使われた爆薬は通常ETAが使っているものと一致したとの発表があったものの、2度目の記者会見では使用爆弾の種類については一切触れられなかった。
ETAと並んで今回の犯行の容疑者となっているアルカイダはロンドンに本社のあるアラビア語新聞“Al Quds Al Arabi”社に犯行声明をE-メイルで送付、この中でテロリストグループアルカイダ関連組織と名乗るアブハフス・アルマスリ旅団(トルコのシナゴーグテロ、バグダッドの国連事務所テロの犯行声明を出した組織)は今回の反抗を“死の列車”作戦と呼び「我々は、十字軍同盟の基地のひとつに打撃を与えることに成功した」と述べている。

テロ反対を表明する集会が各地で自発的に発生

昨日のテロを受け、元バタスナ党(現在は政党法により違法政党)メンバーで構成されているSozialistas Abertzaleak(愛国社会主義同盟)を除くすべての政党は、テロに対する糾弾の声明文を発表した。また、すべての政党はテロの後、3日後にせまった総選挙におけるすべての選挙活動終了を決定している。
昨日マドリッド市内の病院は負傷者の受け入れのため、予定されていたすべての外科手術を延期、輸血用血液の不足のため、マドリッド市民に献血を呼びかけたところ、市内6ヶ所での献血に人々が長い行列を作り、正午頃にはその日の必要分は確保された。
今日の午後7時にはスペイン各地でテロリズムへの拒絶を表明するための集会が予定されているが、昨日、テロのニュースを聞いて、スペイン各地では人々が自主的に集まり、テロへの拒絶を表明した。


3月11日(木)

マドリッドで同時テロ

今朝7時35分頃、マドリッド自治州内3箇所いおいてほぼ同時に爆発発生。 いずれも国有鉄道RENFEの運行する列車を狙ったもので、マドリッド市内にある アトーチャ駅からおよそ800メートル離れた線路上、郊外にあるサンタ・エウヘニア駅の傍、及び、同じく郊外にあるエル・ポソ駅において爆弾が爆発。 それぞれ、列車内に置き去りにされていたリュック、またはそれに類似したものに 時限爆弾がしかけられたいた。 爆発の結果、幾つかの車両は大破し、現時点(同日13時)において、政府正式発表によると、死者173人、負傷者711名と報告されているが、この数字はまだ変化するものと見られる。

朝の通勤時間であったため、列車の利用者も多く、多数の被害者を出したこの無差別 テロは、一般にはバスクの独立をかかげるテロリスト組織ETAの犯行として報道 されており、過去のバルセロナにおける惨事を大きく上回るものとなった。

この事件によりマドリッドの交通は一時的に麻痺状態となり、電話回線もパンク間際まで混乱したが、すでに回復されている。

実際にこの犯行が先述のテロ組織によるものかどうかについては、今のところ 確認されていないもよう。


3月10日(水)

危険物運搬中のトラック、衝突事故後爆発、2人死亡

昨日、カステジョン県バラカスの国道234号線で硝酸アンモニウム25トンを積んだトラックと乗用車が衝突、乗用車の運転手が死亡したほか、事故の30分後にこのトラックが爆発したことにより、別のトラックの運転手も死亡、爆発したトラックの運転手を含む5人が負傷した。
トラックが運搬していた硝酸アンモニウムは化学肥料として一般的に使われているもので、爆発の原因は、これがガソリンと混じったためだと見られている。爆発により道路には直径30メートル、深さ5メートルの穴があき、周囲100Mの範囲でガードレールが破壊され、飛び散ったトラックの破片は4キロ先でも確認された。40トントラックは跡形もなく消え去った上、周囲15ヶ所で茂みが燃え、小規模の火事となったが、消防隊によってすぐに消し止められた。
トラックとの衝突時に乗用車の運転手は死亡していたが、事故現場を通りかかった別のトラック運転手に救助され、事故トラックの運転手は軽傷ですんだ。しかし、事故から25分後の12時45分にトラックが爆発した際、飛び散ったトラックの一部が別のトラック運転手を直撃、この運転手は即死し、ほかにも4人が負傷し病院に運ばれている。
この事故により、国道234号線は5時間にわたって通行止めとなり、トラック300台に影響、最大30キロの渋滞となった。

選挙運動ラストスパート

4年ぶりの総選挙まであと5日となった昨日、与党PP(国民党)と最大野党PSOE(社労党)は、投票政党未決者に焦点を絞った選挙運動ラストスパートに入った。
PPから首相候補に立っているマリアノ・ラホイ氏は、昨日はサラゴサで集会。野党と異なり、PPは唯一スペイン人との連立政権しか組まず、これにより安定した政権が保証されると述べ、聴衆に対し「投票する前に考えてください。『政府を運営する用意のできた人材のそろった優秀なチームを持つのは誰か?経済発展を保証できるのは誰か?』と。」と、PPへの投票を呼びかけた。ラホイ氏は、PSOEが政権を失った1996年、スペイン人の懸念第3位に入っていた“汚職”が懸念40項目から姿を消していることを強調した。
これに対し、PSOE首相候補のホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ書記長は、スペイン政府のイラクへの参戦決定は“非合法”だったことを持ち出し反撃、マドリッドのUGT(労働総同盟)本部での集会には、1500人の労組関係者、労働者が集まった。またサパテロ氏は朝のテレビ出演で、選挙が近づくにつれ、各アンケートによるPPとPSOEの予想得票差が縮まっていることに触れ、あと5日で最終的にPSOEがPPを抜くであろうとの見方を示している。

ソフィア王妃芸術センターでソラナ展

今日からマドリッド出身の画家ホセ・グティエレス・ソラナ(1886〜1945)の作品181点を160人の収集家から集めた展覧会が今日からマドリッドのソフィア王妃芸術センターで開催される。
パリに出て現代美術の先駆けとなったピカソと常に正反対の存在として挙げられるソラナはスペインの伝統に固執した画家。98年世代に共鳴、執筆活動でも知られるが、ゴヤの黒い絵やロマン主義画家エウヘニオ・ルーカスの印象が作風には強く現れており、因襲にしばられた貧しいスペインの人々が主人公であった当時のスペインの悲惨さをテーマとしてよく取り上げた。
今回の展示会のためには、2年をかけて絵画94点、版画17点、素描59点、彫刻1点とアトリエにあった本などが集められ、近年価値が再評価されている画家の成熟期1918年から1940年に特に焦点を置いたものの、ソラナの世界を包括的に見られる展示となっている。展覧会は5月24日まで。


3月9日(火)

プラド美術館、所蔵品の中からミケランジェロの作品発見

1930年プラド美術館に寄贈されたものの、これまで鑑定が行われていなかったフェルナンデス・ドゥラン・コレクションの中に、ミケランジェロの素描2点が含まれていることが、イギリスのニコラス・ターナー氏とポール・ジョーニッジ氏により発見された。
ルーブル美術館、ゲティ・センターで絵画修復保存係を務めていたターナー氏とケンブリッジ大学美術史教授であるジョーニッジ氏がプラド美術館広報誌第39号に発表したところによると、今回見つかった2点の素描は、男性の右肩から腕の部分を描いたものと、右肩、胸部と上腕部を描いたもので、ミケランジェロが1537年から1541年にかけてローマのシスティーナ礼拝堂に描いた『最後の審判』の一部と一致しており、この下絵として描かれたと見られている。
今回見つかったこの2点は、今年11月9日から来年2月6日まで開催される“Dibujos italianos del siglo XVI en las colecciones del Museo del Prado(プラド美術館所蔵16世紀のイタリア素描)”展で展示される予定。

ルイス・ポランコ判事停職処分手続き開始

CGPJ(司法権統括理事会)の懲戒委員会は昨日、満場一致で中央管区裁判所のギジェルモ・ルイス・ポランコ判事に対し、職務怠慢と訴訟手続遅延の過失について内部調査を開始することを決定した。
CGPJの調査局では、2月23日にETAメンバーイバイ・アジェンサ容疑者が刑法で規定された2年の仮収監期間終了後釈放されたのは、ルイス・ポランコ判事が収監延長手続きを行わなかったためであると見ている。延長手続きが行われているべき日に、ルイス・ポランコ判事は公式な許可なしにナバラ最高裁判所長官就任式出席のため、パンプローナを訪問していた。
このため、昨日の会議では公式に判事に対する停職手続きを開始することを決定、5日間の調査期間が設けられ、最終的に判事の処遇を決定することとなった。関係者の話では、懲戒委員会を構成している5人の委員全員の意見が一致していることから、この処分が下される可能性は高いという。
一方のルイス・ポランコ判事は、アジェンサ容疑者は数日後別のテロ容疑でガルソン判事の命により再逮捕されており、釈放後逃亡の可能性はほとんどなかったことから、過失はCGPJが見ているほど重大なものではなかったとしており、今回の決定を“正当な理由なきリンチ行為”と定義している。判事は「今回の措置が内務省からの圧力、または選挙運動がらみによるものだとは考えたくない」としながらも、もしそうであった場合には、テロ撲滅への功績により彼が警察と治安警備隊から受けている2つの勲章を返上する意向であると述べた。

テレフォニカ、携帯電話市場4番目の規模の会社に

昨日、テレフォニカ・モビレス社は、アメリカの携帯電話会社ベルサウス社がラテンアメリカで展開している子会社を58.5億ドルで買収した。これにより、同社はアルゼンチン、チリ、ペルー、ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ウルグアイ、グアテマラ、ニカラグア、パナマの南米10ヶ国で1050万人の新たな顧客を獲得することとなり、中南米ほぼ全域で企業活動を行う、同地域ナンバーワン携帯電話会社となった。
同社がチャイナ・モバイル社、チャイナ・ユニコム社ア(いずれも中国)、ボダフォン社(イギリス)に続いて世界第四番目の大きさの携帯電話会社となった今回の買収は、セサル・アリエルタ氏が社長に就任した2000年以来、最も高額の取引。


3月8日(月)

アンテナ3の特派員、ハイチで死亡

昨夜、ハイチの首都ポルトープランスで、テレビ局アンテナ3のリカルド・オルテガ特派員が取材中に銃弾を受け、病院に運ばれたが1時間後に死亡した。オルテガ特派員は、アリスティド前大統領の反対者が行ったデモを取材していたところで、デモ隊に向かって前大統領過激派支持者シメールが発砲したとみられ、特派員以外にも6人が死亡、38人が負傷した。
この日行われたデモには各政党や社会団体が数ヶ月前から用意していたもので、反政府勢力の指導者ガイ・フィリップ氏や、ラウル・セドラ元軍司令官も参加、デモ行進が大統領官邸近づいた現地時間午後2時ごろ、突然発砲が始まった。この発砲で、アリカンテ県デニア出身のオルテガ特派員(37歳)は胸部と腹部に銃弾を受け、意識がある状態で病院に運ばれたが、出血多量のため亡くなった。この発砲は無差別に行われたと見られているが、カメラを持った人間を標的にしたとの見方も捨てられていない。
昨日亡くなったオルテガ特派員は、ハイチ行きの便がキャンセルされていたため、他の特派員たちとドミニカ共和国から飛行機をチャーターしてアリスティド大統領が辞任(2月29日)する1日半前に、ハイチ入りしていた。

タラゴナでPHN反対集会

PHN(国家水路計画)に反対する人々の集会が昨日、タラゴナ県トルトサで開かれ、主催者PDE(エブロ川を守る会)側の発表では1万人が参加したという。開催地に選ばれたトルトサはPDEが“キロメトロ・セロ(ゼロキロメートル)”と名づけており、ここに川の水を南に流すためのポンプセンターが建設される予定となっている。
PDEもカタルニャ州政府(公に水路計画反対を表明)も状況を楽観視しないよう呼びかけたものの、昨日の集会は、スペイン全国管区裁判所が水路計画に反対している市町村役場からの提訴を認めたこと、またスペイン政府が資金援助を要請している欧州委員会で作成されているいくつもの報告書が資金援助を行わないように助言しているというニュースを受けて、祝賀ムードのうちに行われた。
集会には、ルイス・リャック氏を始めとするPHNに反対する歌手も参加、アカペラで“L'estaca”を歌った。参加者たちは、2キロ半にわたって杭を打ち込み、青いリボンで杭をつないで囲んだ地域を“抵抗地域”とPDEが名づけ、「ここからは一滴の水も取らせない」と宣言、欧州委員会の報告書内容は彼らに勝利をもたらすものであるが、最終的結果がはっきりするまで、運動は続けようと参加者たちを鼓舞した。

スアレス元首相の娘、マリアムさん死去

スアレス元首相の長女で弁護士のマリアム・スアレス・イジャナさんが昨日、マドリッドのラ・ルス病院で癌のため亡くなった。享年41歳。長女が3歳、長男を妊娠中の1993年1月乳がんと診断され、肝臓、肺、脳への転移が発見された後も、癌との闘いを続け、『Diagnostico: cancer. Mi lucha por la vida(診断:癌。私の生命との闘い)』も執筆。しかし、先月25日に容態が急変し、自宅からラ・ルス病院に緊急入院、昨日午後1時30分、心停止が確認された。埋葬式は今日行われるが、近親者のみにて行われるため場所、時間は発表されていない。

週末のスポーツの結果

F-1:オーストラリアのメルボルンで行われた今シーズン開幕戦となるオーストラリアGP、フェラーリチームのM・シューマッハー選手とR・バリチェッロ選手が1-2フィニッシュを飾った。スペインのフェルナンド・アロンソ選手(ルノー・チーム)も3位入賞と健闘した。アロンソ選手が表彰台に上がるのは、F-1参戦これで5度目。
陸上競技:ブダペスト世界選手権が行われ、昨年のバーミンガム大会で獲得メダル数6個の記録を作ったスペイン選手団は期待を大きく裏切るメダルゼロという結果に終わった。
テニス:スペイン人同士の対戦となったアカプルコオープン決勝は、6-3、6-0でカルロス・モヤ選手がフェルナンド・ベルダスコ選手を破って優勝し、賞金65.2万ドルを手にした。ATPツアー初の決勝進出を果たしたマドリッド出身のベルダスコ選手だったが、今シーズン好調なモヤ選手に完敗した。


3月5日(金)

CISによる総選挙結果予想

CIS(社会学調査センター)が1ヶ月前に行ったアンケート結果によると、3月14日の総選挙による政界の変化は小さいという。このアンケートでは、現与党PP(国民党)が今回の選挙でも国会で絶対過半数を維持し、176議席(過半数プラス1議席)を獲得、PSOE(社労党)は前回選挙より6議席増の131議席にとどまるとの結果が出ている。
また、各党首についての評価では、PPのマリアノ・ラホイ党首が10点満点中5.2点でトップ、続いてPSOEのホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ党首の4.95点、CIU(カタルニャ連合)のジョセップ・アントニ・ドゥラン・イ・ジェイダ党首4.3点、IU(統一左翼)のガスパル・ジャマサレス代表3.96点との結果が出た。CISではこのアンケート結果から、今回選挙の投票率を75.1%と見ている。アンケート対象者にどの政党が勝つかを聞いた結果は、PPが63%、PSOEはわずか11%だった。しかしながら、どの政党に勝ってほしいかという質問に対しては、34%がPSOE、32%がPPと答えている。
このアンケート結果の発表を受けて、PSOEは「データは改竄されており、信憑性にかける」とコメント。一方のPPは「この結果に満足せず、さらなる努力を続けなければならない。」と述べた。

各地で中高生デモ

総選挙まで10日となった昨日、スペイン20以上の都市で、中高生が現与党PPの教育政策に反対するデモを行った。文部省が生徒の参加率を20%(およそ50万人)する一方、主催者側では200万人と発表。特に規模が大きかったのは、マドリッド、バルセロナ、バレンシアでのデモで、生徒たちは教育の質向上、宗教から独立した教育と卒業後の就職状況改善を求めた。
参加者の平均年齢は15歳。選挙権をまだ持たない彼らだが、8年間にわたるPP政権の教育政策への不満を表明。およそ1万人が参加(政府発表3000人、主催者側発表3万人)したマドリッドでは、PSOE(社労党)、IU(統一左翼)、教育関係者労働組合、UGT(労働総同盟)、CCOO(労働者委員会)、Ceapa(宗教からの教育の独立を求める保護者協会)などが後押し、同じく1万人程度の参加があったバルセロナでは、デモの最後に参加者の一部がゴミコンテナに火をつけたり、警官隊に石や瓶を投げつけたりする騒ぎとなった。バレンシアでのデモ参加者は2500人。昨日はその他、ビルバオ、ビトリア、パンプローナ、サンティアゴ・デ・コンポステラ、ヒホン、オビエド、パルマ・デ・マジョルカ、タラゴナ、バジャドリッド、アルバセテ、グアダラハラ、アビラ、サラマンカ、サモラ、プエルトジャノ、セビジャ、グラナダ、マラガ、コルドバ、ウエルバ、バダホスでも同様に中高生によるデモが行われた。

ラサロ・カレテル氏死去

作家、批評家、脚本家、大学教授、コラムニストなど様々な形でスペイン文学界を代表し、1991年から7年間にわたって王立言語アカデミー会長を務めたフェルナンド・ラサロ・カレテル氏が昨日未明、数日前から入院していたマドリッドの病院で亡くなった。享年80歳。
1923年サラゴサに生まれたカレテル氏は、サラゴサ大学文学に入学、その後マドリッドのコンプルテンセ大学に移り、ダマソ・アロンソ氏に師事。1945年学士、1947年博士課程を修了した後は、ダマソ・アロンソ氏の助手として働いた。1949年、公務員試験に合格、以降1971年までサラマンカ大学で総合言語学と文学批評の教鞭をとる。1972年にマドリッド自治大学でスペイン文学の教授に就任、78年からはコンプルテンセ大学で総合文法、文学批評の教授を務めたカレテル氏の王立言語アカデミー入りは1972年。91年には会長に就任し、若手の登用、ラテンアメリカにも門戸を開くなど、アカデミーの改革を推進した。会長を含む役職者の給与3ヶ月93ペセタ、会員は食事手当てのみという状況改善のために、当時首相だったフェリペ・ゴンサレス氏に直談判した話は有名。
正しいスペイン語の擁護者として知られたカレテル氏が、Informaciones紙で掲載を始めた“El dardo en la palabra”は、その後ABC紙での掲載を経て、1999年3月からEl Pais紙で掲載。このコラムで、カレテル氏は、皮肉、ユーモア、そして膨大な知識を織り交ぜながら、スペイン語の間違った使い方をテーマに執筆。これまでのコラムは、2冊の本となって市場に出ている。
これまで王立アカデミーの定例会を休んだことのなかったカレテル氏が亡くなった昨日、氏の訃報を受け、アカデミーは定例会を中止した。葬儀は今日午後12時半、ラ・パス葬儀所で行われる。遺体は荼毘に付され、その後遺骨は故人の家族ゆかりの地であるサラゴサ県マガジョンに運ばれる。


3月4日(木)

スペイン史上最高額の鉄道契約、タルゴ社とシーメンス社が獲得

スペインで建設中の新たなAVE(高速列車)9路線で使用するための40車両の入札が昨日行われ、トータル金額史上最高額の16.03億ユーロで、Talgo-Bombaridier社(スペイン-カナダ)とSiemens社(ドイツ)が落札した。
今回の受注40台のうち30台はタルゴ社が6.15億ユーロで建設、これに14年間にわたるメインテナンス契約5.544億ユーロが加算される。残り10台の建設はシーメンス社が2.43億ユーロで行い、この14年間のメンテナンス契約費は1.9億。
スペイン2大労働組合UGT(労働者総同盟)とCCOO(労働者委員会)は、タルゴ社が従業員全体の11%にあたる106人のリストラを決めていることから、この契約がタルゴ社に回ることに反対したが、スペイン国鉄Renfeのミゲル・コルシーニ総裁は、タルゴ社が出来る限りの範囲でリストラを行わないよう話し合いを行うと述べた。
フランシスコ・アルバレス-カスコス氏が勧業大臣に就任してからの4年間にRenfeの契約を最も多く受注したのはタルゴ社(27.8億ユーロ)だが、2位であるフランスのAlmstom社(22.1億ユーロ)は今回契約を獲得できなかった。昨日Renfeは緊急に近郊快速電車用車両Civia80車両の入札を行うことを発表したが、関係者の間では、ここでAVEの受注ができなかったアルムストーム社に償いをするため、落札させるのではないかとの見方が広がっている。

防衛省、ヤコレフ機遺族にDNA鑑定を約束

昨日、フェデリコ・トリジョ-フィゲロア氏が大臣を務める防衛省は、「遺体の身元確認の経緯についてヤコレフ機の遺族が感じている不信感解消のためにあらゆる手段を講じる用意がある」と発表した。防衛省関係者筋の話では、家族がDNA鑑定を望んだ場合は、防衛省がその費用を負担することも“あらゆる手段”に含まれているという。
昨日の午後遅くになって、防衛省は、「今日一日、犠牲者についての医師の報告書をもう一度詳しく見直した結果、スペイン防衛省はトルコのスペイン大使館に対し、トルコでのDNA鑑定に必要な司法許可の申請を行うよう命じた。」と発表、しかしながら、「新聞数紙の報道内容とは異なり、身元確認責任者であるナバロ将軍が報告しているように、トルコに派遣された医師団は、身元の正確な確認にDNA鑑定の必要はなかったと判断しており、確認された身元は正しいものである。」と強調、「防衛省は身元確認にあたった専門家を信頼している。」と結んだ。
昨日の午前中、選挙キャンペーンでアリカンテを訪問中だったトリジョ-フィゲロア防衛相(アリカンテ県からのPP筆頭候補者)は、「選挙運動と何の関係もない」とし、ヤコレフ機に関するあらゆる質問について返答を拒否している。

バレンシアの医師、革新的移植・接合手術

患者に新たな感染症の危険がなくなったとして、昨日バレンシアのレバンテ・リハビリ・センターのペドロ・カバダス医師が公にしたところによると、同センターの医師団は、交通事故で切断された腕の感染症からの回復のため、一時的にこの腕を大腿骨につないだ後、再び接合させることに成功したと発表した。
患者はトラック運転手のイスラエル・サリオさん(25歳)で、1月31日、トラックの運転中に交通事故を起こし、割れた窓ガラスでひじの下5センチのところで左腕が切断された。
事故の5時間後に5時間半にわたる手術が行われ、術後の経過は良好と見られたが、2日後に感染症の兆候が現れた。切断された腕が側溝に落ちたのが原因と見られるこの感染症により、結合された3本の血管のうち1本が詰まり、この腕を救うため、医師団はいったんこの腕を切断した後、一時的に別の場所に接合し、血管が元通りになった後、再び下の場所につなぐという大胆な手術を行うことを決定。一時的に接合する場所に左足大腿部が選ばれた。
最初の手術から3日後、2つ目の手術が行われ、患者の腕は一時的に大腿につながれた。このとき、腕が大腿から外れないように支えがつけられたほか、手の爪が足の皮膚に縫い付けられた。手術後、患者の状態が毎日チェックされ、血管が感染症から回復した9日後、この腕は大腿から外され、本来あるべき場所へと再接合された。
事故から32日後、患者のひじにはかすかな動きが認められるようになったといい、将来的には患者はこの腕を使ってコップを掴んだり、食事をしたりできるようになる見通し。また以前のようにはいかないものの、腕の触覚も戻るという。スペイン顕微外科界の権威であるカバダス医師によると、これまでに手足を別の場所に接合する手術については世界で3件が発表されているが、接合、切断、そして再び接合というのは前例がないという。


3月3日(水)

アラバ県で新たにETAメンバー逮捕

クエンカで日曜日に逮捕された2人のETAメンバーとのつながりがある容疑で、昨日、アラバ県ジョディオでベニャ・バロンド・オラバリ容疑者が逮捕された。バロンド容疑者は3年前からジョディオ市役所都市計画部で設計士として働いており、ビスカヤ県ミラバジェス市選挙候補者として、違法政党ビデルディの候補者リストの8番目に名前が載っていた人物。兄弟のアンデル・バロンドは、治安警備隊員1人と高速道路料金所職員1人を殺害したと見られているが、現在メキシコに逃亡中。逮捕後、容疑者の自宅で家宅捜査が行われ、大量の書類が押収された。
また、昨日全国管区裁判所は、ETAメンバーと見られるホセ・ルイス・トゥリジャス・アランセタ被告(46歳)を釈放した。被告に対してはETAから要求された“革命税”の支払いを拒否した企業家ホセ・オシナルデ・ペニャガリカノ氏に爆弾をしかけた本を送りつけた罪で裁判が行われていたが、115ページについていた被告の指紋について被告は、爆弾がしかけられる以前にその本を読んだ際についたものであって爆弾の準備、送付には関わっていないと主張、裁判所は「被告が爆弾を準備、送付したことについては疑問が残る」とし、この主張を認めた。

各地で3月の最低気温新記録

国立気象協会によると、この月曜日、マドリッドの夜間の最低気温は3月の歴代最低記録だったという。この日記録された最低気温はマイナス5.2度で、レティロ観測所がこの気温を記録したのは1900年以来。トレド(カスティジャ・ラ・マンチャ州)、セビジャ(アンダルシア州)、ルゴ(ガリシア州)でも同様に3月の最低気温記録を更新、トレドでは1916年3月6日以来の記録となるマイナス3.8度が観測された。この日スペインで最も寒かったのはセゴビアでマイナス8度を記録している。
先週の金曜日からスペインを襲った寒気団の影響は各地で深刻で、カタルニャ州ではこの寒さによりアーモンドの収穫の90%が失われた。

ジョアン・マヌエル・セラ氏にアルゼンチン政府が叙勲

カタルニャ出身歌手ジョアン・マヌエル・セラ氏がアルゼンチン政府からオルデン・デ・マジョ(五月勲章)の叙勲を受け、叙勲式典が月曜日、ブエノス・アイレスのサン・マルティン宮リベルタドールの間で行われた。この勲章は、アルゼンチン政府が外国人に対して与える勲章の中でも位の最も高いものの1つで、今回の叙勲は、セラ氏の歌手としてのキャリアと氏が民主主義と人権の擁護のために闘ってきたことを評価して行われたもの。
セラ氏はこの叙勲をアルゼンチン独裁政治中に行方不明になった人々の母親、祖母たちに捧げたほか、スペインのように過去に移民を出していた国は、その過去を忘れることなく、自国にやってくる移民と接すべきだと訴えた。セラ氏は今日、コロン劇場で最新アルバム“Serrat Sinfonico”をお披露目、今後1ヶ月にわたってアルゼンチンツアーを行う。


3月2日(火)

墜落ヤコレフ42機の犠牲者、大半の身元確認が不正確だった可能性

昨年5月26日、トルコで墜落したヤコレフ42機に乗っていたスペイン軍の犠牲者62人の大半は、身元の確認があいまいなまま、埋葬または火葬された疑いがあることが判明した。事故の報告書作成は引続きトルコで行われているが、スペインに遺体が送還される数時間前にサインされたという検死・身元確認調書には、犠牲者62人のうち30人は身元が確認できなかったことが記されている。
スペイン防衛省は制服、記章、所持品、または写真などを手がかりに62人の身元を識別したと断言する一方、トルコの検事局の書類には、“犠牲者のうちわずか2人が首から身元番号を記した札を下げており、12人はポケットから身分を示すものが見つかり、16人は衣服に縫い付けられた名前から、1人は持っていた携帯電話、もう1人はつけていたピアスから身元が判明した”と記されているのみ。残りの30人については、結婚指輪、アクセサリーなどを身に付けていた16人は、スペイン防衛省が家族に協力を求めていれば身元が判明した可能性が高く(しかし調査は行われていない)、最後の14人についてこの報告書では、「身元を知るための手がかりが全くない」状態だったという。
防衛省が一部の身元確認に写真を使った点について、グラナダ大学の法医学教授ホセ・アントニオ・ロレンテ氏は、「写真を使った身元確認には限界がある。」と述べている。特に、今回の事故のようにたくさんの遺体が散乱している上、確認者と犠牲者に面識がない場合は、最新の写真を使っていても身元の正確な確認は難しいという。スペイン防衛省が使用した写真は最も新しいもので4ヶ月前のものだった。コンプルテンセ大学犯罪学学校の教授で前マドリッド法務医長のホセ・アントニオ・ガルシア・アンドラデ氏は「このように大規模な事故では、唯一有効な身元確認の方法は結局DNA鑑定しかない」とコメント。トルコ当局では犠牲者のDNA鑑定できる皮膚標本を保管しているが、スペイン防衛省からDNA鑑定の依頼は行われていない。
事故現場には4人の医師と2人の看護士からなるスペイン医師団が派遣され身元確認に立ち会ったが、軍医務局には法務の専門家がいないため、医師団には法務医は1人もいなかった。遺体の身元確認の責任者は、軍医のビセンテ・ナバロ将軍だが、彼の専門は心臓。遺体のスペイン送還後、遺族の中には棺を開けたいと申し出る者もいたが、スペイン防衛省ではこれを許可しなかった。

イベリア航空、飲み物・機内食サービス有料化開始

昨日からイベリア航空では、国内線とヨーロッパ線でのツーリストクラスにおける飲み物・機内食サービスを有料化した。カナリアス諸島便をのぞく国内線と、短中距離路線(飛行時間3時間以内)のヨーロッパ便では、“TU MENU”と呼ばれる朝食、昼食または夕食メニューが時間帯によって6〜10ユーロで機内販売されるほか、サンドイッチ、飲み物、軽食も販売される。販売価格は炭酸飲料が2.5ユーロ、コーヒー1.5ユーロ、ピザ一切れ6ユーロなど。
有料化の対象はツーリストクラスのみで、ビジネス、ファーストクラスでのサービスはこれまで通り無料。カナリアス諸島便は6月から有料化の予定。
この措置は、機内サービス費平均24%安の他の格安航空会社との運賃競合のためにイベリア航空がすでに行っている大幅値下げによる収入減少を補填するためのもので、同航空はこれにより5000万ユーロを節約できると見ている。イベリア航空では昨年度から、新聞サービスの規模縮小、短中距離路線ツーリストクラスでのサービス縮小、機内食メニューの種類単一化を始め、これにより2003年度の機内サービス費は前年比18.3%減となっていた。エア・エウロパに続き、イベリア航空も機内サービス有料化に踏み切ったことで、スペインの航空会社で唯一無料機内食サービスを続けるのはスパンエアーのみとなった。

スペイン北部で引続き雪による影響

先週の金曜日からスペイン北部を見舞った大雪と寒さは勢力を弱め始め、カタルニャ州を除いて注意報は解除となった。しかし、依然としてスペイン北部では主要幹線道路が通行止め、徐行など交通網に大きな影響が出ている。
ビルバオとサン・セバスティアンは滑走路が凍結したため、一時空港を閉鎖。ビルバオ空港では10便が欠航し、ビトリア空港でも最大2時間の遅延が出た。また、国道8号線がフランスとの国境イルンで通行止めとなり、トラックおよそ5000台が影響を受けたほか、国道1号線がビトリアとパンプローナ間で、ナバラ県とギプスコア県を結ぶ国道15号線も通行止めとなった。アストゥリアス州では211村の住民7200人が雪のため孤立。オビエドでは道路が凍結し、午前7時から8時の1時間で交通事故16件が起き、2人が死亡、19人が負傷した。唯一昨日の夜も注意報が出ていたカタルニャ州では、アイグエストルテス国立公園(ジェイダ県)を訪れていた2人が雪崩で命を落としている。
国立気象協会では、今日天気は回復に向かうと予測しているが、スペイン北部では厳しい寒さが続くという。


3月1日(月)

爆発物輸送中のETAメンバー2人を逮捕

昨日未明、クエンカ県カニャベラル村で536キロの爆薬を積んだライトバンと乗っていたETAメンバー2名が治安警備隊により逮捕された。スペイン内務省によると、テロリストたちは今日、明日中にも首都マドリッドでのテロを計画していた模様で、3月14日の総選挙を前に、さらにETAがテロを企てている可能性もあると見て、警察では警戒を強めている。
見つかったライトバンは11月にフランスで盗まれていたもので、逮捕されたのは、ゴルカ・ビダル・アルバロ容疑者(25歳)とイルクス・バディジョ・ボルデ容疑者(25歳)の2人。ライトバン後部にはネジで縦2M、横1.5M、高さ1Mの弾薬庫が据え付けられており、バディジョ容疑者は別の乗用車(後に自分の車であったことが判明)でライトバンに先行して、危険があった場合に備えていた。ライトバンから押収されたのは536キロの爆薬と、90メートルにわたる導火線で、2人は毎週日曜の午後には国道2号線が混み合うのを利用し、同国道沿いのどこかにライトバンを放置しようとしていたと思われる。逮捕時に押収されたマドリッドの地図には、丸で囲まれた地域があり、その中には国道2号線沿いの企業団地、アルカラ・デ・エナレス市の一部と空港が含まれていた。
治安警備隊の公式発表によると、警備強化体制に入っていた治安警備隊員が昨日の午前1時半ごろカニャベラス村を通過したライトバンに不信感を抱きナンバープレートの照会を行ったところ、登録されている車と異なったメーカー、車種であったことが判明、警備隊員が車を止め、近寄ったところ、乗っていたビダル容疑者がETAメンバーであることを自供し、逮捕となったという。ビダル容疑者が逮捕されている頃、数キロ先の道路では、先行者に乗ったバディジョ容疑者が事故を起こし、病院に運ばれた。この事故が仲間の逮捕を知った後に故意に起こしたものか、偶然に起こったものかは判明していない。
その後、付近の住民は一時近くの小学校に避難、爆発物処理が行われた。アセベス内務大臣によると、今回押収された爆発物が実際に爆発していれば、直径35メートルの穴が開き、周囲は半径60Mの範囲で死者、1.5キロの範囲で負傷者と物的被害が出ていたという。

4自治州で引き続き雪による注意報

金曜日からスペイン北部を襲った悪天候は勢力を弱めたものの、依然としてカンタブリア、パイス・バスコ、カタルニャ、カスティジャ・イ・レオン(パレンシア、ブルゴス、ソリア県のみ)の4州では注意報発令中。パイス・バスコ州アラバ県では、公立の学校のスクールバスが運休、また同州ギプスコア県ウレチュでは、体育館の屋根が落ちた。原因は屋根に積もった雪のためと見られる。この日はバスケットボールの試合が予定されていたが、数分前に中止が決定され、体育館内は無人だった。
この悪天候の影響でスペイン北部ではおよそ3000人が孤立、レオン、アストゥリアス、カンタブリア、ブルゴスでは峠の数ヶ所が閉鎖、またはチェーンの装着要となっている。午後にはカタルニャ州をのぞき、天気は回復に向かう見込み。

堕胎者数、1年間で10.4%の増加

厚生省の調べによると、スペインの認可施設124ヶ所で2002年に行われた堕胎手術件数が77,125件であったことがわかった。これは前年比10.4%の増加で、過去5年間で55.6%増加していることもわかっている。一方、出生率は2002年に前年比2.5%、5年間で12.9%の増加だった。
国立家族計画協会のギジェルモ・ゴンサレス会長は、堕胎者数増加の原因について、“不十分な性教育”とモーニング・アフター・ピルを始めとする“一般避妊薬”へのアクセスの難しさを挙げている。モーニング・アフター・ピル処方の費用が州の費用でカバーされているのは、エクストレマドゥラ州、アンダルシア州のみで、ゴンサレス会長は「公費でカバーされる避妊薬の処方が古いタイプのもの対象に止まっているので、これを新しい薬にも拡大すべきだ」と述べているほか、特に若い女性が避妊薬を求めて救急病院にやってきたときの対応を改善すべきだとも述べた。
年代別に見た場合、堕胎手術を受けたのが最も多いのは、20〜24歳で女性1000人あたり14.37人、続いて25〜29歳の10.72人、20歳未満の9.28人となっている。自治州別に見ると最も多いのがバレアレス州で15〜44歳の女性1000人あたり14.25人、続いてマドリッド12.19人、ムルシア11.54人、カタルニャ11.37人、アラゴン9.94人、ラ・リオハ8.52人となっている。最も少ないのはセウタとメリジャで2.55人、続いてエクストレマドゥラ3.76人、パイス・バスコ3.94人だった。




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