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6月30日(水)

トリジョ前防衛相、ヤコレフ機犠牲者遺族に謝罪

前防衛大臣で、現在はアリカンテ選出下院議員を務めるフェデリコ・トリジョ氏は、昨年5月のヤコレフ機墜落事故犠牲者の身元鑑定に数多くの過ちがあったことに関し、“誠意を持ってお詫びしたい”という内容の声明文を昨日国会で読み上げたが、遺族が求めているように議員辞職はしない。
トリジョ氏は声明文の中で、今回のミスは悪意により発生したものではなく、自らの意志により現場に赴いた軍医たちは、トルコ当局の管轄という難しい条件の中でできる最大限の仕事を行ったことを確信しているとしたほか、事故発生後は、真実を明らかにするために常に遺族とトルコ当局の役に立とうとしてきた上、入手したすべての情報は国会に提出してきたと述べた。
この声明文については、トリジョ氏はマスコミからの質問は一切受け付けず、防衛省が国会に事故報告書をすべて提出するまではこの件については今後話さないと述べている。
遺族会では、トリジョ氏の謝罪を受け入れるが、今回の謝罪については“ご都合主義”であるとし、トリジョ氏の議員辞職要請を繰り返した。遺族会会長カルロス・リポジェス氏は、トリジョ氏が今回の身元確認ミスには悪意はなかったと述べたことについて、「彼は防衛大臣時代に、彼は我々を助けようとしなかった。最終的に遺族はトルコでDNA鑑定を行ったが、それはPP政権下ではなく、別の政権下においてだった。PP政権下では我々にDNA鑑定のチャンスは決して与えられなかっただろう。」と述べた。PPが“遺族の痛みを政治的に利用している”とPSOEを糾弾していることについては、会長は「真実は我々に痛みを与えるものではない。実際に我々を苦しめたのは1年間もの間つき続けられてきた嘘で、もしトリジョ氏に政治家としてだけではなく、1人の人間として少しでも尊厳と良心が残っているのなら、議員は辞職するべきだ。」と述べた。

エブロ川灌漑路、国会で廃止が決定

削除に反対した唯一の政党PP所属議員が、“Agua para todos(すべての人に水を)”と書かれたプラカードを持って議席についた昨日の下院議会審議で、PHN(国家水路計画)から、エブロ川灌漑路に関する項目の削除が賛成185対141で可決された。
3時間半にわたる審議の開始は、ナルボナ環境大臣の答弁から始まった。大臣の発言はPP議員からの野次に度々中断されたが、ナルボナ大臣は政府の提案するエブロ川灌漑の代替案の利点を説明し、PP政権下における無駄遣いとずさんな計画の糾弾、この後、PPを除く諸野党広報官によりこれを支持する発言が続いた。マリア・テレサ・デ・ララ・PP広報官は、発言を「今日はスペン南東部とレバンテ地方にとって悲しい日となりました。」と始め、PSOE糾弾を開始、PSOE政権がエブロ川灌漑路計画を中止するのは、計画に当初から反対していたカタルニャ州政府(社会党政権)との裏での合意によるものだとした。
国会27年の歴史で議席にプラカードが掲げられたまま審議が行われたのは初めて。最近ではイラク戦争反対のプラカードを掲げてIU(統一左翼)議員グループが議席についたが、ルイサ・フェルナンダ・ルディ議長(当時)は、彼らに対しプラカードを外すよう厳しい姿勢で臨んでいる。

セビジャで再び電力不足による停電

電力会社Endesaに対し月曜日の停電の原因調査を行うことをアンダルシア州政府が決定した数時間後の午後5時前、アンダルシアは再び停電に見舞われた。これにより影響を受けた家庭は122,200戸。2日連続の停電により、セビジャの電力供給システムの脆弱さとさらなる投資の必要性が明らかになった。
昨日の午後1時25分は、スペインでの電力消費量が36700メガワットと再び記録を更新、ドス・エルマーナス、アルカラ・デ・グアダイラ、ボジュジョス・デ・ラ・ミタシオン(セビジャ県)、アルへシラス(カディス県)の一部とセビジャは朝から停電に見舞われたが、午後に入って供給センターで電気回線がショート、8.9万戸に被害が出た。午前中の停電とあわせると昨日の停電による被害家庭は122,200戸にのぼる。アンダルシア州政府とセビジャ市役所はそれぞれ緊急対策本部を設置、Endesa社が2日連続で非常事態対策案を適用し、消費者に対し“節度ある電気の使用”を呼びかけている。
カディス、マラガ、セビジャで別々に起きた停電により、2003年1月からアンダルシア州政府がEndesa社に対し課した罰金は120万ユーロ、さらに、同社が法律で定められた施設の定期検査を怠っていると課された罰金が175万ユーロに上る。


6月29日(火)

首相、現状でのイラクの復興プロセスへの参加を否定

サパテロ首相は昨日、NATO加盟諸国間でのイラクの主権回復、安定回復、経済復興のための支援を行う合意を支持したものの、“起源”に問題があり、自国の政策に合致しない現状では、復興プロセスにスペインの参加を約束することはできないと述べた。
開会式が始まる前、サパテロ首相は初めてブッシュ大統領と顔を合わせ、通訳を介しおよそ7分ほど話した。首相はブッシュ大統領との特にイラク問題についての見解の相違について認めた上で、初めての会話は、他の加盟諸国首脳との会話と同様、礼儀をわきまえた普通の会話であったとし、アメリカとの外交関係があくまでも“普通”であることを強調した。
NATO加盟国首脳会議終了前に昨日、帰国したことについて質問された首相は、「明日には欧州理事会がある上、次の週末に行われるPSOE党大会に向けての準備も必要なためで、特に意味はない。」と単にスケジュール上の問題であると述べている。

猛暑により電力消費量激増

昨日の午後1時から2時にかけて、スペインでは1時間あたりの平均電気消費量が36330メガワットと史上最高値を記録した。40度近い気温に達したセビジャでは、電力の過剰消費により、午後3時過ぎ、およそ6万軒で停電、うち2500軒以上が4時間以上にわたって停電となり、電力会社セビジャーナ・エンデサでは、史上初めて非常事態対策案を適用した。
マドリッドでも昨日は今年1番の暑い日となり、バラハス観測所で38.8度、レティロ観測所で37.6度の最高気温を記録した。エアコンの利用により、マドリッドでも記録的な電力消費量となったが、電力各社では、今後さらに記録が更新される可能性があると予測している。

アストゥリアス皇太子夫妻、ローマ法王に謁見

挙式後、ローマ法王に謁見するというスペイン王室の習慣に従って、昨日、アストゥリアス皇太子夫妻はローマを訪問した。1982年のローマ法王スペイン訪問以来、フェリペ皇太子は数回法王に謁見している、妻レティシアさんは初めて。午前11時にバチカンに到着した2人には、アルベルト・アサ・王室長官、ホルへ・デスカジャール・バチカン大使が付き添い、謁見はおよそ25分にわたってスペイン語で行われた。
この中でヨハネ・パウロ2世は、皇太子夫妻にスペインでの模範となるような幸せな家庭を築くよう述べられた。謁見の後、夫妻はサン・ピエトロ大聖堂を見学、しきたりに従って聖ペテロ像の足に接吻し、祈祷の後、在バチカン・スペイン大使館主催の昼食会に出席、その後マドリッドに戻った。

ソフィア王妃芸術センターでダリ展開幕

旧館に隣接して建設が進められている新館“ヌーベル館”の完全オープンに先駆けて、すでに仮オープンしているリキテンシュタイン展に続き、昨日、“Dali. Cultura de masas(ダリ。大衆の芸術)”展が開幕した。展覧会担当委員のフェリックス・ファネス氏は、「この展覧会でダリについての新しいビジョンを提供したい」と述べている。同氏によると、今回の展覧会は、20世紀に起きた高尚な芸術と大衆の芸術の衝突にインスピレーションを得たものだという。ダリが、映画、広告、雑誌などの大衆芸術にも参加していたことを示すため、今回の展示される400点の作品には、絵画、素描にとどまらず、映画、雑誌、遺品なども展示される。この展覧会は8月30日まで開かれる予定。
現在建築中の新館については、倉庫、事務所、図書館と売店のある建物が2004年11月、レストラン、講演会場のある建物が2004年12月にオープンする予定でこの2つの建物と今回展示が始まっている建物の3つはアルミと亜鉛の1つの屋根の下に建設される。


6月28日(月)

イスタンブールでNATO加盟国首脳会議

NATO(北大西洋条約機構)加盟26カ国首脳は今日、明日とトルコのイスタンブールで会議を行うが、今日にもアラウィ・イラク暫定政府新首相からのイラク人部隊訓練と一時的技術援助要請を受ける見通し。関係者筋の話によると、この支援は、各国が独自に行い、NATOは調整機関としての役割を果たす予定で、今日と明日の会議で各国首脳はいつからどのように訓練を開始するかの話し合いを行う。訓練を行う場所については、イラク国内案と国外案が挙がっており、フランスとドイツはすでに訓練はイラク国内ではなく、自国内の軍事学校で行いたい意向を表明しており、スペインもこれに同意している。
サパテロ首相は今日の会議でスペインはアフガニスタン派遣兵補強のためのスペイン軍派遣は限定された規模になることを表明する予定。その後、首相は今日中にスペインに戻る予定で、これについて外務省では明日ブリュッセルで開かれる欧州委員会委員長選出のための特別欧州理事会会議の準備のためだとしている。この会議のため、イスタンブール市内は厳重警戒態勢に入っており、市の中心地は立ち入り禁止、また警官2万人以上が警備にあたっている。

オリンピックの聖火、スペインに到着

2012年のオリンピック開催を目指しているマドリッドに昨日の午前8時40分、ロンドンからオリンピックの聖火が到着した。聖火は、ルイス・ガジャルドン・マドリッド市長とエチャバリア・COE(スペインオリンピック委員会)委員長の手により地下鉄でヌエボス・ミニステリオス駅に到着、ここで、聖火はトップランナーの1996年アトランタオリンピックで金メダル、1992年バルセロナオリンピックで銀メダルを獲得した水球のマヌエル・エスティアルテさんの手に。その後、聖火は約12キロの行程をスポーツ選手、ジャーナリスト、11−M犠牲者のクラスメイトなど30人の手によりゴールのプエルタ・デ・アルカラまで運ばれた。
92年オリンピックで決勝ゴールを決め、スペインに金メダルをもたらしたサッカー選手フランシスコ・ナルバエス“キコ”さんによりプエルタ・デ・アルカラに運ばれた聖火は、ガジャルドン市長に手渡され、市長がアストゥリアス皇太子夫妻、ドニャ・ピラールCOE委員(国王の姉)、サパテロ首相、アギレ・マドリッド州知事の待つ特設ステージに上がり、聖火をフェリペ皇太子に手渡した。皇太子が聖火台に火を灯すと30度を越える暑さにも関わらず集まった群衆の間から大きな歓声が沸き起こった。
その後、聖火はバルセロナに移動。聖火リレースタート地点のモンジュイック・オリンピック・スタジアムではソプラノ歌手モンセラ・カバリエさんの歌の後、カバリエさんの娘でソプラノ歌手のモンセラ・マルティさんが聖火を持ってスタート、トータル49.5キロの行程をおよそ7時間かけて、パウ・ガソル(バスケットボール)、ミゲル・インドゥライン(自転車)、アランチャ・サンチェス・ビカリオ、コンチータ・マルティネス、セルジ・ブルゲラ(いずれもテニス)、ぺップ・グアルディオラ(サッカー)、ジェンマ・メングアル(シンクロナイズド・スイミング)さんなどのスポーツ選手や、フェラ・アドリア(シェフ)、ロキージョ(歌手)、マネル・フエンテス(タレント)さんなどの有名人が走った。ゴールのモンジュイック・スタジアムでは1992年生まれの子供達1500人っがオリンピックの五輪を形作り、その後モンジュイックの噴水で光と音の特別ショーが行われた。

クウェートを最後に出発した兵士が帰還

3月29日にイラクに派遣され、およそ1ヵ月半にわたって人道的援助活動に従事した後、クウェートに残ってスペイン軍撤退後機材の撤収作業に従事していた140人の陸軍兵士が昨日午前9時半頃、サラゴサ空港に到着した。空港では、ホセ・アントニオ・ガルシア・ゴンサレス新空軍司令官と家族が出迎え、140人のうち81人はアラゴン出身者で、残り59人はサラゴサ空港から飛行機でそれぞれの町に戻った。
この140人の兵士の帰還により、イラクに派遣後スペインにまだ戻っていない兵士は、6月23日にバレンシア港に向けてペルシャ湾を出発した機材輸送船に乗っている兵士のみとなった。


6月25日(金)

ヤコレフ機事故犠牲者、DNA鑑定の遺体の半分以上の身元鑑定間違い

昨年5月26日、トルコで起きた軍用機墜落事故の犠牲者の身元鑑定のため39人の遺族のDNA鑑定を行ったイスタンブール毒物研究所により、うち22人の遺体の身元が正しくなかったことが判明した。残り17人の身元は正しかったが、犠牲者全員の身元を改めて確認するには、今回DNA鑑定を受けていない23人のデータも必要となるが、このうち10人はすでにDNA鑑定申請を済ませている。
ホセ・ボノ防衛大臣は、今日の閣僚会議に先駆けて、国家防衛最高長官のアントニオ・モレノ・バルベラ提督を解任、ルイス・アレハンドレ陸軍長官、エドゥアルド・ゴンサレス・ガジャルサ空軍長官が秋までこの職務を兼任することを発表した。事故後、身元確認証明書にサインした衛生部隊のビセンテ・カルロス・ナバロ・ルイス大将とホセ・アントニオ・ベルトラン・ドニャ陸軍中将も更迭となる予定。
昨日、遺族が受け取った報告書によると、22人の遺体の身元が正しくなかっただけでなく、少なくともううち4つのケースでは、1つの棺に1人以上の遺体の一部が納められていたといい、中にはウクライナ人乗組員の遺体が混ざっていたケースもあったといい、また1人の遺体が、複数の棺に分かれて納めれていたケースも数件あったという。遺族の大半が所属する遺族協会では、最終的に身元が間違っていた遺体の数は30人以上になると見ている。

司法権統括委員会、女性への暴力対策法草案に反対

昨日行われたCGPJ(司法権統括委員会)会議で、女性への暴力対策法への反対報告書が10対9で承認された。草案反対派の理由の主流は、女性に対する暴力だけが法令の対象になるのは司法的見地からして正しくないとするものであるが、賛成派は保守派ホセ・ルイス・レケロ氏が作成したこの反対報告書の内容を批判するだけでなく、将来的には女性保護のための法令も制定すべきだとの見方を示した。
委員長が公務で出張中の上、内務大臣に就任したホセ・アントニオ・アロンソ氏の後任が決まっていないため、本来21人で構成されている司法権統括委員会の投票は19人の委員によって行われた。このうち報告者を含むPP(国民党)推薦委員10人が報告書賛成に投票、PSOE(社労党)推薦委員6人、IU(統一左翼)推薦委員1人、CiU(カタルニャ連合)推薦委員1人、PPとPSOE共同推薦の1人の計9人が反対に投票した。

ロイ・リキテンシュタイン展で、ソフィア王妃芸術センター新展示室オープン

1週間前から塗装業者、清掃業者、工事人ら300人が24時間体制で工事に取り組み、現在建築が進んでいるソフィア王妃芸術センター新館の一部が今日から仮オープンする。これを記念して同センターでは、アンディ・ウォーホルと並んでポップ・アートを代表するアメリカのロイ・リキテンシュタイン展が9月27日まで開かれる。この作家の回顧展がスペインで開かれるのは初めてで、“All about art”という副題のつけられたこの展覧会では、1961年から1997年にわたるリキテンシュタイン成熟期の作品が絵画、スケッチなど50点以上展示される。
フランスの建築家ジャン・ヌーベル氏設計の建物全体の完成にはあと数ヶ月かかる予定だが、これに先駆けて仮オープンする2つの新展示室は旧館と展示室A1でつながっており、1室でリキテンシュタイン展、もう1室では来週月曜日から、カタルニャのカイシャ・フォーラムで開かれていたDali y la culutra de masas展が開催される。2つの展示室を合わせた総床面積は2300平方メートル。


6月24日(木)

EU憲法批准のための国民投票実施へ

EU憲法は加盟全25カ国が議会投票か国民投票によって批准した上で2年以内に発効することが先日ブリュッセルでのEU首脳会議しないが、サパテロ首相は昨日国会で、“できるだけ早い時期に”スペインがEU憲法批准のための国民投票を実施する意向を表明した。実施時期と質問の文章については、すべての政党と今後話し合いを持つという。これを受けて最大野党PP(国民党)のラホイ書記長は、「抗議の時期は終わり、決定された内容を踏まえてスペインの将来について考えるときが来た。EU憲法は、国民投票により可能な限り最大の支持を持って承認されるべきだ。」と述べ、支持を表明、CC(カナリアス連合)もこれに続いたが、その他の政党は、意見を保留にしている。

ハイチ、アフガニスタン派兵について野党に打診

ミゲル・アンヘル・モラティノス外務大臣は、火曜日午後、政府がアフガニスタンとハイチに派兵する考えがあることを通知する目的で、諸野党外務問題広報官と一連の会談を持った。
具体的な内容が明らかになるまでは野党側からの正式な意見表明はないものの、この会談で、PP(国民党)、CiU(カタルニャ連合)、ERC(カタルニャ左翼共和党)は支持へ前向きな姿勢を示しており、IU(統一左翼)はアフガニスタンにおけるスペイン軍の規模拡大に反対、CC(カナリアス同盟)はハイチへの派兵に懸念を表明している。
ヤープ・デ・ホープス・ヘッフェルNATO事務総長からの再三の要請にもかかわらず、スペインは首都カブール外での治安維持に関わるPRT部隊への参加は考えておらず、国際治安部隊の補強に参加する意向で、輸送用ヘリコプター、飛行機、テント病院と300人の兵士の派遣を予定。また、9月にアフガニスタンで行われる選挙開催協力も予定している。国際治安部隊は国連の承認のもと、昨年8月から6500人の兵士がNATOの指揮のもと任務についている。
また、ハイチには、現在、国連承認のもと、ブラジルの指揮下でラテンアメリカ諸国で構成された軍隊が治安維持のために任務についているが、この任務へのスペインの参加がメキシコ、チリ、アルゼンチン、ブラジルから要請されていた。この要請に応えるため、スペイン政府では治安警備隊員の派遣を考えているが、問題は、要請されている200人もの人員が現状では確保できないこと。
サパテロ首相は、来週の月曜と火曜にトルコのイスタンブールで開催されるNATO会議の席で、アフガニスタン国際治安部隊へのスペイン軍の参加の意向を表明し、モラティノス外相とホセ・ボノ防衛相も、来週、国会外交防衛委員会で詳しい内容を発表する予定。

サエス監督、明日にも辞任

欧州選手権一次リーグで敗退した後も、契約通り2006年のワールドカップまで監督を続けることを表明していたスペイン代表チーム監督のイニャキ・サエス監督は、周囲からの批判による集中砲火を浴び、結局この圧力により昨日考えを変更、去就の決定はスペインサッカー協会に任せることを明らかにした。
サエス監督は、昨日協会本部でアンヘル・マリア・ビジャール会長と会談、その後会長は今日予定されていた記者会見を中止し、明日の特別役員会の招集を告知した。この役員会で監督の辞任が受理されると見られ、すでにサエス監督の後任として、ルイス・アラゴネス氏の名前も聞こえ始めた。しかし、アラゴネス氏は5月に1部リーグチームのマジョルカとの契約を1年延長したばかりで、契約書には、代表監督に召集された場合に辞任を認める項目は盛られていない。


6月23日(水)

11−M調査委員会、書類提出、証人喚問要請まとめる

要請締め切りの昨日、11−M国会調査委員会役員会は、各政党からの書類、証人喚問要請をまとめた結果、要請のあったすべての書類についてたただちに、政府、司法当局に提出を要請することで合意に達し、昨日から提出要請書類の作成が開始された。役員会では今日にも、委員会に今後の調査の手順について提案を行う予定。
提出が要請されている書類の大部分はCNI(中央情報局)の書類を含み、機密扱いの文書で、7月2日までに閣僚委員会で機密扱いを外すかどうかについて検討が行われる。要請から提出までの期限は1週間で、その時点でも機密扱いの文書については、非公開で閲覧する可能性について委員会では調査を始める。
PSOEが証人喚問は書類調査の後に行われるべきである点について譲らなかったため、役員会では、証人喚問の時期を7月5日から11日に設定、また喚問要請のあった人物に対しては、要請の多い人物を優先的に喚問する予定。したがって、ERC(カタルニャ左翼共和党)、CiU(カタルニャ連合)、PNV(バスク民族党)、Grupo Mixto(連合団体)、IU(統一左翼)から要請のあったアスナル前首相に対する喚問は、現時点では保留の状態で、今後さらに喚問を要請する政党が増えれば前首相の喚問もあり得るという。
しかし、役員会では、アセベス前内務大臣、アロンソ現内務大臣、ホルへ・デスカジャール前CNI長官といった喚問要請の多い人物を順に喚問するのではなく、警察、治安警備隊、新聞記者、政治家といったグループごとに喚問を行うことを検討しており、今後委員会がどのグループを最初に喚問するかを決定するが、提供できる情報の性質上、最初は警察関係者が喚問される可能性が高い。
委員会では、PPが3月11日から14日まで、特に総選挙前日に焦点をあてて調査を進めたい意向を示しているが、それ以外の各政党は、特に3月11日のテロは避けることができなかったのか、また同じ悲劇を繰り返さないためにはどうすればいいかについて調査を進めたい考え。

パイス・バスコとバレンシアを結ぶ新しい高速鉄道計画

マグダレナ・アルバレス勧業大臣は、昨日、パイス・バスコ州とバレンシア州を結ぶ高速鉄道(最高時速250キロ)計画について発表した。これは、ビトリア、ビルバオ、サン・セバスティアンから、マドリッドは通らずに、ログロニョ、サラゴサ、テルエルを通ってバレンシアに到達させるもので、線路の全長はおよそ600キロ、乗客、貨物両用となる計画。イグレシアス・アラゴン州知事との勧業省での会談後、記者会見でこの計画を発表した大臣によると、全長600キロのうち新たに建設が必要となるのは、バレンシア−テルエル−サラゴサの区間300キロのみで、残りはすでにある線路を改良して利用するという。
バスク州県都3つを結ぶ高速鉄道路線“Y”(路線の形から命名)については、大臣は、今年末までにビルバオ−ビトリア間の入札を行うことを約束、マドリッド−バレンシア高速鉄道開通時期についての質問に対してはアルバレス−カスコス前勧業相が発表した2007年ではなく、2010年になる見込みであることを明らかにした。

マドリッドでの最後の聖火ランナーはフェリペ皇太子

今週の日曜日、マドリッドに到着する予定のアテネ五輪の聖火ランナーの1人としてフェリペ皇太子が参加することが王室関係者により明らかにされた。92年のバルセロナ五輪では、開会式でスペインチームの旗手を務め、ヨットチームの選手として競技にも参加したフェリペ皇太子には、数週間前にマドリッド市役所が聖火ランナーを依頼していた。
聖火は午前9時頃ロンドンからバラハス空港に到着、地下鉄でヌエボス・ミニステリオス駅まで運ばれた後、プエルタ・デ・アルカラまでの11.6キロを30人のランナーが走る。フェリペ皇太子は特別コンサートが開かれるプエルタ・デ・アルカラで聖火を待つ予定。
明日が国王フアン・カルロス1世の聖人の日にあたるため、昨日、皇太子夫妻は1ヶ月にわたる新婚旅行を終えて帰国。ヨルダンで王子の結婚式に出席し、ぺトラを訪問して以降、夫妻の訪問地は王室関係者によると皇太子の“私的行事”のため、明らかにされていないが、マスコミ関係者の間では、中国、インド、フィジーを訪問したと見られている。来週月曜日28日には皇太子夫妻はローマを訪問し、法王に謁見する予定。


6月22日(火)

サパテロ首相、バチカン訪問

首相就任後初めて、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相がバチカンを訪問、ローマ法王に謁見した。謁見後に読み上げられた声明文の内容は、先週の金曜日、ホルへ・デスカジャール・新バチカン大使に宛てられた書簡の内容とほぼ変わらず、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は、「スペイン政府がバチカンとの良好な関係を望むのであれば、スペイン司教会議との相互理解は不可欠である」と述べた。スペイン司教会議は、宗教が義務教育必須科目でなくなること、堕胎手術適用条件の拡大、胚によるクローン作製研究、離婚手続きの迅速化、同性のカップルによる婚姻の許可について、反対を表明している。
金曜日、デスカジャール大使に“生命の基本的権利への尊重”を求めた法王は、“スペインの持つキリスト教の根”について昨日も触れ、またEU憲法にキリスト教についての言及が載せられなかったことに遺憾の意を表した。

京都議定書を守るため、電気代の値上げを示唆

クリスティーナ・ナルボナ環境大臣は昨日、国家二酸化炭素排出プランの草案を発表した。これによると、温室効果ガス排出を削減するためには、消費者の協力も必要であるという。新しいエネルギー開発のための投資の必要と、経済成長の2倍のリズムで成長している電力消費量の増大にブレーキをかけるため、ナルボナ大臣は、電気代の値上げと、2008年−2012年度燃料税の見直しの可能性について示唆した。
現在のところ、具体的な値上げ率については明らかにされていないが、ナルボナ大臣は「スペインの電気代は周辺諸国に比べるとかなり安い」との考えを示している。PP前政権で、2011年までに電力代は年間平均1.4%の値上げを行うことが可能であるとの見積もりが出されているにもかかわらず、実質的にはこの4年間で電気代は30%以上値下がりしている。
国家二酸化炭素排出プランの草案によると、京都議定書を守るため、最も努力が要求されている電力部門は、2001−2003年の二酸化炭素排出量が9060万トンだったが、2005-2007年にはこれを4.7%削減し、8640万トンまで下げなければならない。この数字について、軒並み電力各社は“妥当で現実的な数字”との見方を示している。

国王、パイス・バスコ訪問

国王夫妻は、昨日パイス・バスコを訪問。アラバ県ジョディオにあるガラス会社Guardian、ビトリアのゴシック様式の大聖堂(修復工事中)を訪問した。
モンティジャ工業大臣とイバレチェ知事に付き添われた国王は、今年で創業70周年を迎えるGuardian社の工場に到着後、国王は同社名誉会長アルバロ・ドラクロワ氏と記念プレートの開幕を行った。
午後には、国王夫妻はビトリアの大聖堂を訪問。現在この大聖堂は修復工事と並行して、考古学調査も行われている。大聖堂の前には、100人ほどが集まったが、このうち20人ほどは王室反対、バスクの独立を求める旗を掲げていた。バスク警察は、一団の前を横切ろうとした1人を逮捕している。
また、昨日は国王の定期健康診断の結果が発表された。一部マスコミから国王病気説が流れていたものの、医師団の発表によると、国王の健康状態は“満足いくもの”で、「いかなる病気の兆候も見つからなかった。」という。

カステジョンのバス銃撃で2人を逮捕

日曜未明、ディスコから戻るバスを銃撃した容疑で、昨日治安警備隊は20歳と23歳の男性2人を逮捕した。うち1人は、殺人未遂、傷害、武器の不法所持の罪に問われており、もう1人はその共犯。両者とも前科がある。治安警備隊では逃走した残りの人間について、引き続き捜査を行っている。また、犯行に使われたピストルもまだ見つかっていない。
負傷者の1人の母親が昨日ラジオ番組で語ったところによると、襲撃者はバスを止め、ドアを開けるよう要求。運転手がこれを拒否したところ、バスの車体を蹴り始め、この騒ぎの様子を見ようと1人が顔を上げたところ、襲撃者が発砲し、窓ガラスが割れたという。この銃撃で割れたガラスにより負傷した2人のうち引き続き入院していた1人は昨日退院した。


6月21日(月)

スペイン、ポルトガルに破れ、準々決勝進出ならず

ポルトガルで開催中のサッカー欧州選手権は、昨日1次リーグA組の最後の2試合が行われた。準々決勝進出をかけてスペインはポルトガルと対戦したが、後半から交替で入ったポルトガルのヌノ・ゴメス選手が57分にゴール。その後、スペインは得点のチャンスを生かせず、0−1で敗れた。試合開始前にすでに1次リーグ敗退が決まっていたロシアがギリシャに2−1で勝ったことも有利に働かせることはできず、得点不足に悩まされ、3試合で2たスペインは、勝ち点4でギリシャと並んだものの得失点差で4ゴールをあげたギリシャが2位で準々決勝に進出した。スペインが1次リーグで敗退するのは1988年の欧州選手権以来。
1万人がリスボンまで応援に駆けつけたスペインチームにエンジンがかかったのは、ポルトガルにゴールを決められてから。ゴール右ポストに当たったフェルナンド・トレス選手のシュートや、この日が欧州選手権デビューとなったフアニート選手のコーナーキックからのヘディングシュートなど、その後シュートまでは持っていくことができたものの、これらのチャンスをものにすることはできず、スペインチームはファンの期待を裏切り、またもや大舞台での失敗に終わった。
試合後、サエス監督は「監督を続けるかどうかを言う時ではない。」と今後の去就についてのコメントを避けた。欧州選手権1次リーグ敗退が決まったのは、ブルガリア、ロシアに続いてこれで3チーム目。

PP、EU憲法制定に対し国民投票を要求

金曜日、ブリュッセルでのEU首脳会議でEU憲法の採択されたが、このときの合意内容は“スペインに害を及ぼす”とし、最大野党PP(国民党)は、国民投票の開催を要求した。
憲法採択にあたって最大の争点の1つであった閣僚理事会の意思決定方式は、結局「多数決は少なくとも十五カ国を含む55%以上の加盟国が賛成し、賛成国の人口が全体の65%以上を占める場合に決定する」ことで決着したが、これに関し、PPのグスタボ・デ・アリステギ外交政策広報官は、「ニース条約で定められたこれまでの決定方式では、ドイツ、フランス、イギリス、イタリアの10に対し、スペインは8の投票権を持っていた。しかし、EU憲法制定に伴い、ドイツはスペインの2倍、残り3ヶ国も50%増しの投票権を持つことになる。簡単に言って、これはスペインがヨーロッパ内での大国ではなくなったことを意味する。」と述べた。
一方のPSOEはのルバルカバ国会広報官は、「ラホイ氏は単にスペインの国益をブリュッセルで決定したのが、自分ではなくサパテロ氏であったのが気に食わないというだけの理由で、すべてに反対を唱えている。」と糾弾。しかしながら、国民投票開催については、「首脳会談で採択が決まった場合には、国民投票にかけるというのは、総選挙での我々の公約であり、公約は守られるものである。」とし、開催に前向きな姿勢を示している。

ディスコ帰りのバス銃撃、2人負傷

県都カステジョン・デ・ラ・プラタからおよそ27キロの場所にある巨大ディスコ“ピラミデ”から帰る若者で満員のバスが昨日の午前8時15分頃銃撃され、バスに乗っていた18歳と19歳の若者2人が割れたガラスにより軽い怪我を負った。1人は昨日のうちに退院したが、もう1人は引き続き入院中。
この巨大ディスコでは、毎週末、6路線以上でバスを運行し、カステジョン、タラゴナ、バレンシア県からの客を運んでいる。治安警備隊では、すでに銃撃後逃走した乗用車に乗っていた人間の身元を把握している。銃撃の原因は前夜ディスコで起きた喧嘩であると見ている。

週末のスポーツの結果

F−1:インディアナポリスで開かれたアメリカGP、スペインのフェルナンド・アロンソ選手(ルノー)は、タイヤパンクのため9周目でリタイアした。優勝はミハエル・シューマッハ−選手(フェラーリ)。アロンソ選手の総合成績は5位で変わらず。
サッカー:2部リーグすべての試合が終了し、レバンテ、ヘタフェ(マドリッド)、ヌマンシアの1部リーグ昇格が決定。昨シーズン2部に降格したラジョ・バジェカーノ(マドリッド)は、2部Bチームに降格した。


6月18日(金)

フランス警察、ETAメンバー8人を逮捕

フランス警察は、昨日、イニャキ・ロペス・デ・ベルガラ・アストラ容疑者を含む8人のETAメンバーを逮捕、ETA予備部隊(闘争中のメンバーをフランスに隠匿、訓練し、後にテロその他の活動のための部隊編成を決定)に大打撃を与えた。
スペイン警察は、この逮捕により、ETAがフランスで仕掛けようとしていた夏のバケーションシーズンをターゲットにした一連のテロの実行は困難になったと見ている。アンジェ、ル・マン、リモージュの3都市のアパートからは、ピストル10丁と多数の銃弾、44600ユーロ、コンピューター、偽造ナンバープレートと多数の偽造書類が発見、押収された。この3ヶ所のアパートは数ヶ月前から警察の監視下におかれており、昨日の午前6時、3ヶ所で一斉同時捜査が行われた。
リモージュで逮捕されたロペス・デ・ベルガラ・アストラ容疑者は、ETA予備部隊の最高司令官と考えられている。アロンソ内務大臣は昨日の午前、逮捕発表のための短い記者会見を開き、その中で、今回の逮捕は、通常ETAが根城にしている地域よりはるかに北にあることから、内務大臣は「両国警察の目覚しい働きにETAはプレッシャーを受け、北に移動せざるを得ない状況に陥っている」との考えを述べ、フランスとスペインの警察の働きぶりに満足の意を表した。

EU首脳会議、憲法制定まであと1歩

EU加盟25カ国首相は作や、憲法制定に向けて最後の調整を始めた。議長国アイルランドのアハーン首相は「我々は合意に近づいている」が述べたほか、フランスのシラク大統領も「(状況を)楽観視している」とコメントしており、すべての首脳は、4つの問題点についての討議は今後も続けられるものの、今日にも歴史上初めてヨーロッパの憲法が誕生するとの見方を示している。
4つの問題点のうち、スペインにとって最も重要な、“二重多数決方式”の割合について、昨夜アハーン首相は、@加盟国55%の国の支持、A人口の合計が全体の65%以上に達する国々の賛成という条件を提案したが、サパテロ首相はこの割合を、それぞれ55.5%と66.6%に持っていきたい意向。サパテロ首相はポーランド大統領と昨日会談し、この割合について支持を得ている。ポーランドとスペインは、12月のEU首脳会議で二重多数決方式に反対し、これにより交渉が決裂していたが、このとき両国はニース条約方式(各国に持ち票を配分する特定多数決方式)を支持していた。
昨日の夕食の席では、プロディ欧州委員会委員長の後任について話し合いが持たれた。欧州国民党は、イギリスのクリス・パッテン元香港総督を推したが、ユーロ導入国でない国からの候補をフランスが拒否したため、話し合いは今日も継続して行われる。

11−M関与容疑で逮捕の3名を釈放

逮捕から3ヶ月、中央管区裁判所のフアン・デル・オルモ判事は、モハメッド・ベッカリ、アブデラヒム・ズバク、モハメッド・チャオウイの3容疑者を釈放した。この3人に対して、保釈金は要求されなかったが、引き続き司法監視下に置くために、毎週裁判所に出頭すること、パスポートを裁判所に預けること、常に連絡の取れる住所と電話番号を提出することが命令された。
司法関係者の話によると、釈放が決まったのは、捜査が進むに連れて、3人に課せられた容疑は濃くならず、逆に薄くなっていったためだという。例えば、この3人については、テロ当日、駅または列車内で見かけたという証言があったものの、捜査の進捗にしたがって、これらの証言は信憑性が薄れていったという。逮捕当時、3人は、テロ組織への所属、190人の殺人、1400人の殺人未遂、自動車盗難の罪の容疑者とされていたが、現在は、テロ幇助の容疑者としてみなされている。

地下鉄2号線、3号線、ホーム工事のため3ヶ月間運休(マドリッド)

モンクロア駅からレガスピ駅をつなぐ地下鉄3号線は、明日から9月後半まで運休となる。これは、マドリッドの地下鉄の中で最も古い路線の1つである3号線のホーム延長(現在の60メートルから90メートルへ)と設備の改良工事のため。モンクロア駅は、バスターミナル内に設置され、レガスピ駅はマドリッド州が現在計画している3号線のビジャベルデ方面への将来の拡張に対応する形に改装される。
また、2号線もソル駅からクアトロ・カミノス駅間でトンネル補強工事のため明日から9月前半まで同区間は運休。3号線の利用者は平日およそ26.5万人、2号線は10万人。この改良工事費用はおよそ2.58億ユーロが見込まれている。
運休期間中は、代替バスが運行し、利用客は地下鉄の切符を提示する必要なく無料で利用することができる。3号線の代替バスは、レガスピ広場からアルグエジェスまで(アルグエジェス駅からモンクロア駅は6号線が利用できるため)運行され、パロス・デ・ラ・フロンテラ、エンバハドーレス、ロンダ・デ・トレド、プエルタ・デ・トレド、グランビア・デ・サン・フランシスコ、バイレン、スペイン広場、プリンセサを通って、アルベルト・アギレラまで、2号線の代替バスは、カジャオ広場からグラン・ビア、サン・ベルナルド、アルベルト・アギレラ、セラノ・ホベル、プリンセサまで運行。また、工事期間中は、地下鉄1、4、5、6、10号線が例年の夏より多い本数で運行される。


6月17日(木)

スペイン、ギリシャと引き分け

サッカー欧州選手権、スペインにとって2試合目となる昨日の対ギリシャ戦、スペインチームは初戦のロシア戦と同じスタメンを起用。前半28分、モリエンテスが先制ゴールを決め、1−0のリードを保ったまま、後半を迎えたが、ディフェンスのミスにより、後半21分、ギリシャのカリステアスが同点ゴールを決め、試合は1-1の同点で終了し、観客席で応援する1万人をがっかりさせる試合に終わった。
昨日行われたAグループのもう1つの試合、ポルトガル対ロシアは2-0でポルトガルが勝利。ロシアの敗退が決定し、スペインが準々決勝進出を果たすかどうかは、次の対ポルトガル戦で決まることになった。

11−M国会調査委員会、すべての書類提出要請へ

昨日、11−M国会調査委員会の初めての会合が行われ、必要と思われるすべての書類について、CNI(国家情報局)、中央管区裁判所を含めた機関に提出要請を行うことが満場一致で可決された。各政党から調査委員会への書類提出要請は、証人喚問要請と同様、来週火曜日の10時までに行われなければならない。来週の火曜日に再び会議が開かれ、実際に誰を証人喚問するか、また今後どのように調査を進めていくかの話し合いが行われる予定。
証拠書類提出が要請された機関が、書類を提出するのに与えられる期間は1週間。また最初の証人喚問が行われる日程については、6月28日から7月1日が予定されている。CNI、中央管区裁判所ともに、提出が要請されると推測される文書は、機密扱いであることを理由に、すでに提出は不可能であることを明らかにしているが、調査委員会は「最初から要請しないのではなく、まず要請をしてみて、提出を拒否された時点でその理由を聞き、その後どうするかを考えるべき」であるとしている。

“O Bahia”の行方不明者4名の遺体見つからず

風速35ノットという悪天候を押して、昨日も、ア・コルーニャ県コスタ・ダ・モルテ沖の水深70メートルの地点に2週間前に沈没した漁船“O Bahia”丸の行方不明者4人を探すための潜水が行われた。昨日、スペイン政府の雇ったオランダの潜水夫チームは、4人の遺体があると推定されていた船室内に入ることに成功したが、スペイン潜水夫チームが1人の遺体を目撃したと述べていた船室からは1体の遺体も発見されず、船倉にも遺体はなかった。今後遺体の捜索は、引き続き海面と海岸で行われる。


6月16日(水)

憲法裁判所長官に初の女性選出

昨日、憲法裁判所長官に7対4でマリア・エミリア・カサス・バアモンデ女史(50歳)が選出された。労働法教授のカサス女史は4児の母で、1998年から憲法裁判所判事。創設から24年の歴史の中で憲法裁判所長官に女性が選ばれるのは初めて。
マヌエル・ヒメネス・デ・パルガ現長官の任期満了に伴って、憲法裁判所判事は2つのグループに別れた。1つは、カサス女史を支持する改革派で、もう1つはビセンテ・コンデ氏を支持する保守派。投票直前には保守派のもう1人の候補として、ホルへ・ロドリゲス−サパタ氏の名も挙がった。1回目の投票ではこの3人のいずれも過半数の7票を得るには至らず、カサス女史6票、コンデ氏、ロドリゲス−サパタ氏がそれぞれ3票を獲得。2回目の投票でロドリゲス−サパタ氏がカサス女史に投票したため、結果7対4、棄権1でカサス女史の長官就任が決定した。その後、午後の投票で、副長官には、商法教授のギジェルモ・ヒメネス氏(63歳)が選ばれている。

ラホイ氏、EUサミット前にサパテロ氏支持を拒否

ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は昨日国会で、EU憲法の制定についての話し合いが欧州理事会で行われる前に、全政党からのスペイン政府の政策支持を求めたが、最大野党PP(国民党)のマリアノ・ラホイ書記長はこの支持を拒否した。
欧州理事会開催前に首相が国会に出席するのは初めて。二重多数決方式に反対していたアスナル前首相とは異なり、サパテロ首相はこの方式の支持を表明しているものの、現在草案上で定められている承認に必要な人口の比率については、受け入れられないとしている。しかし、具体的に何パーセントなら受け入れるのかなど、どのように交渉を進めるかについては明らかにしていない。
一方、ラホイ書記長は、「スペインの利益を守る」という条件において、PSOEの支持を表明したが、このためにはニース条約方式(2000年制定の各国に持ち票を配分する特定多数決方式)遵守が不可欠と、前政権からの政策にあくまでも固執した。

ヨーロッパから中南米に送金される金額の半分はスペインから

国際移民機関(IOM)の調査によると、ヨーロッパに移住した中南米諸国出身者が本国に送金する金額は年間16億ユーロにのぼり、その半分にあたる8億ユーロ強がスペインからの送金であるという。
IOMがスペインの銀行、信用金庫の協力により調査したところによると、スペインに合法的に居住しているコロンビア人、ドミニカ人、エクアドル人の90%が定期的に本国に残る家族に送金をしており、その回数の平均は7〜10回で、1人あたり年間平均370ユーロを送金しており、これは、アメリカ合衆国に居住している中南米出身者1人あたりの年間平均送金額160ユーロを大きく上回っている。しかしながら、送金額全体では、居住者の数の多さから、アメリカから中南米諸国への送金額は世界一(246億ユーロ))。2位は日本からで、年間203億ユーロ。
IOMの調べでは、移民の居住期間が長くなれば送金額は少なくなる傾向にあるといい、その理由については、月日の経過と共に呼寄せる家族の人数が増えていくこと、また本国に残る家族の経済状態が長年の送金により安定することが考えられる。
またスペイン内務省の協力によりIOMが調べた結果、1995年にスペインに合法的に居住する中南米諸国出身者の数は92,642人だったのが8年後の2003年には514,485人と5倍になっていることもわかった。これは、合法的居住者の数で、さらに推定100万人の不法居住者がスペインにいると見られる。1995年には、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ、ベネズエラ出身者が多数を占めていた合法的居住者だが、現在最も多いのはエクアドル人とコロンビア人。
最近の移民の傾向としては、家政婦の仕事などで需要が多い女性が移民に出ることが上げられるが、ヨーロッパに売春のため移住する中南米出身女性も多く、ドミニカ人6万人、ブラジル人7.5万人がヨーロッパで売春に従事しており、スペインは、オランダ、スイス、ドイツと並んでマフィアの女性売春斡旋のターゲットとなっている。


6月15日(火)

フランスで強姦殺人のスペイン人に懲役30年

1996年の夏、ユースホステルで当時13歳のイギリス人の少女を強姦殺害した罪に問われていたすペン人フランシスコ・アルセ・モンテス被告(54歳)に対し、検察側は無期懲役を求刑していたが、昨日フランス裁判所は、懲役30年の刑を言い渡した。
学校のキャンプ行事としてこのユースホステルに泊まっていたキャロライン・ディッキンソンさん(当時13歳)が遺体で見つかって以来、クラスメイトが廊下で見かけた不審な人物の似顔絵を元にフランス警察は容疑者9000人近くを尋問、3000人に対しDNA鑑定を行ったが犯人は見つからなかった。しかし、2001年3月、アルセ被告がマイアミで性的暴力により逮捕、収監され、以前にもフランスの別のユースホステルで部屋に侵入しようとしていたところを逮捕されたものの、このときは証拠不十分で釈放されていた同被告に対し、DNA鑑定を行ったところ、ディッキンソンさんの体内から見つかったDNAと一致した。
調べに対し、アルセ被告は強姦したことは認めたものの殺害の意思については終始否定。しかし、昨日判事は「鼻と口を塞げば、短時間で窒息することは誰でも知っている」とし、被告に対し、懲役30年の刑を言い渡した。

殺された父親のボディガード殺害で息子逮捕(アルメリア)

昨日正午頃、アルメリアでアントニオ・ベルナベ・カペルさん(54歳)が銃殺された。ベルナベさんは、退職警官で、4ヶ月前に殺害された企業家フアン・アセンシオさんのボディガードだった。容疑者は、フアン・ホセ・アセンシオ容疑者(50歳)で、フアン・アセンシオさんの息子。
事件が起きたのはアルメリア市の中心地で、ベルナベさんと同行者が車から降りたところにアセンシオ容疑者が通りかかり、口論が始まった。その後、アセンシオ容疑者がピストルを出し、ベルナベさんに発砲。ベルナベさんと一緒にいたのは、アセンシオ容疑者の腹違いの弟、アントニオさんだったが、アセンシオさんがベルナベさんに発砲するのを見てその場から逃亡した。
12時11分には救急車が現場に到着し、アセンシオ容疑者はその場で自首した。容疑者の父、フアン・アセンシオさん(当時71歳)は、アルメリア市内で数軒の映画館を経営しているほか、セルバンテス劇場のオーナーでもある。1985年には銃弾4発を受けて殺害された最初の妻の殺害容疑で逮捕されたが、証拠不十分により釈放、その後1992年にベルギー人企業家殺害事件に関与した罪で懲役刑に服している。アルメリアの地方紙“La Cronica del Sur”に、元ロケタス・デ・マル・警察署長を含む3人との電話での会話の内容が掲載され、編集長ともめたこともある。彼が自宅入り口で銃殺されたのは、今年2月6日で、この事件はいまだに解決していない。

11−M、爆薬提供疑惑者あらたに2人を逮捕

昨日、治安警備隊は、フアン・デ・オルモ判事からの逮捕命令を受けて、アストゥリアス州で、11−M犯人に爆薬を提供した疑惑のある2人を新たに逮捕した。うち1人は、セルヒオ・アルバレス・サンチェス容疑者(23歳)で、もう1人は未成年者のため身元は明らかにされていない。この2人の逮捕は、先週逮捕された8人の供述から行われたと見られる。
また、この8人に対しては、昨日から尋問が始められたが、うち3人は供述終了後、今朝、釈放された。残り5人については、拘束命令が明日19時まで延長されており、さらなる尋問が続けられる予定。

勧業相、バルセロナまでのAVE開通は2007年と発表

マグダレナ・アルバレス勧業相は昨日、就任後初めてバルセロナを訪問、パスクアル・マラガル・カタルニャ州知事と会談した。会談後の記者会見で2人は、AVEは空港を通って2007年にバルセロナ開通の見通しであることを発表、また中央政府とカタルニャ州政府の共同委員会を設置し、アルバレス−カスコス前勧業大臣の決定したようにエル・プラット市に空港駅を設置するのか、州政府とバルセロナ市役所が望むように空港内に駅設置するのかについて検討を進めるという。
GIF(鉄道敷設局)は、次回、バルセロナと国境間の3区間の入札を行う予定で、バルセロナ港までの鉄道についても、現在行われている調査が終了次第入札が行われる。


6月14日(月)

欧州議会選挙、僅差でPSOEが勝利

25カ国が加盟している欧州連合の議会選挙は、投票率44.2%という結果に終わり、選挙民の関心の低さは、特に5月1日に新たに加盟した10カ国の26%という投票率に現れた。また、最近総選挙の行われたスペインとギリシャを除く、フランス、ドイツ、ポルトガル、イタリアといった国では与党が敗退する結果となっている。732議席の欧州議会で、引き続き最大議席を誇るのは269議席を獲得した欧州国民党。
投票率が低かったのはスペインも同じで、前回選挙の63%を大きく下回る46%という史上最低の数字に終わった。100%開票の結果、ホセ・ボレル氏が筆頭候補の与党PSOE(社労党)は、得票率43.30%、25議席を獲得(1999年の前回選挙から得票率8ポイントアップ)し、3月14日の総選挙に続く勝利を収めた。ハイメ・マジョ−ル・オレハ氏が筆頭候補の最大野党PP(国民党)は、得票率41.30%で23議席を獲得した。獲得議席数が3番目に多かったのは、BNG(ガリシア民族党)、CiU(カタルニャ連合)、PNV(バスク民族党)の3民族主義政党からなるGaleuscaで、得票率5.17%で3議席を獲得、IU(統一左翼)は、4.16%の得票率にとどまり、前回選挙の半分の2議席にとどまり、ERC(カタルニャ左翼共和党)、EA(バスク連盟)、CA(アラゴン党)などからなるEuropa de los Pueblosは2.49%の得票率で1議席を確保した。
PSOEは、カタルニャ、アンダルシア、アラゴン、エクストレマドゥラ、アストゥリアスで最大得票政党となり、PPはパイス・バスコを除くその他すべての自治州で最大得票政党となった。パイス・バスコで勝利したのは、Galeusca。

週末のスポーツの結果

バイク:カタルニャGP、モトGPクラスでセテ・ジベルナウ選手が2位に入り、引き続き通算成績1位を維持、250CCクラスでは、ダニ・ペドロサ選手が2位、トニ・エリアス選手が3位に入り、125CCクラスでは、エクトル・バルベラ選手が優勝、パブロ・ニエト選手も3位に入った。
F-1:ミヒャエル・シューマッハ−選手が今季7度目の優勝を飾ったカナダGP、スペインのフェルナンド・アロンソ選手はギアの故障で44周目でリタイアしたものの、通算成績では5位につけている。
バスケットボール:スペイン国内リーグ、ACBファイナル、バルセロナ対エストゥディアンテス第5戦は、69-64でバルセロナが勝利、通算成績3-2でバルセロナが2年連続でリーグ優勝を飾った。


6月11日(金)

国務院、マドリッド州でLOCE部分適用は不可能との判断

先週、マドリッド州政府から行われた質問に対し、昨日政府の諮問機関である国務院が回答を出した。国務院の判断では、中央政府がLOCE(教育の質向上法)適用延期を決定し、官報に掲載された5月30日以前に出されたいかなる州法もこれに合わせて改正されなければならない。これにより、エスペランサ・アギレ州知事が固執していた来学期からのESO(中等義務教育)3年目での進路別クラス分けは実行不可能となった。
また、昨日は、最高裁判所も、ガリシア、バレアレス、カスティジャ・イ・レオン、ラ・リオハのPP政権4州から提出されていたLOCE適用延期停止要請を却下した。

遅れる外国人居住労働許可更新窓口にINEM対応

PP(国民党)前政権からPSOE(社労党)新政権に残されたおよそ37万人の外国人居住労働許可申請・更新申請解決の緊急対応策として、政府はINEM(ハローワーク)、社会保険事務所などの窓口で申請書類の受付を行うことを昨日、サパテロ首相が発表した。
37万人のうち20万人は居住労働許可の更新を申請している外国人で、法的には申請から3ヶ月経過しても当局からの返答がない場合は、申請は受理されたことになっているが、現実には、彼らの居住が合法であるものを示す書類に欠けるため、彼らは労働契約の更新拒否、社会保険加入不可能、スペイン再入国許可証の入手不可能などの問題に直面している上、政府も外国人労働者からの所得税収入、社会保険収入を失っていることになる。
今回の緊急対応策では、INEMを窓口として新たに267ヶ所の事務所を設け、外国問題事務所の補強を行うとともに、申請窓口を分散することにより、申請がマドリッド、バルセロナ、アリカンテ、ムルシア、アルメリア、マラガに集中している現状緩和を図る。また、申請書類の提出も州政府庁舎、社会保事務所、INEMなどで行えるようにする。

IPC、0.6%の上昇

INE(国立統計局)の発表によると、5月のIPC(消費者物価指数)は前月に比べて0.6%上昇しているという。今年に入ってからIPCは2%、前年同月から比べると3.4%上昇していることになる。IPCは4月にも0.6%の上昇を見せており、これほどまでに急速なインフレ率の上昇は、1992年1月から2月以来。
5月に特に大きく値上がりしたのは、アルコール飲料とタバコ(4.1%)、燃料(3.3%)、運賃(1.6%)、衣料品・履物(1.4%)で、教育、ホテル、喫茶・レストラン、薬品は0.3%の上昇とほぼ横ばい、通信費(0.1%)、娯楽費(1.3%)は値下がりしている。
この1年で最もインフレ率が高いのは、交通費で5.5%、アルコール飲料とタバコ(5.4%)、食料・非アルコール飲料(4.7%)、ホテル、喫茶・レストラン(4%)、教育(4%)など。


6月10日(木)

治安警備隊員2人、銃撃により死亡

昨日の午後6時頃、県都パンプロ−ナの南80キロにあるナバラ県カステホンで、治安警備隊員2人が銃撃され死亡した。事件が起きたのは国道113号線で、ラ・リオハ県カラオラの交通警備隊に属するフアン・アントニオ・パルメロさん(29歳)と、ホセ・アントニオ・ビダルさん(31歳)が、護衛をするため風力発電機の風車の羽根を運ぶ車を待っていたところ、78キロ地点でスズキの緑の四輪駆動車が通過。この車に不審な点があったのか、何らかの交通違反を犯したのかは不明だが、2人がこの車に停車を命じたところ、この車は逃走。5〜10キロの追跡の後、2人がこの四輪駆動車の横にパトカーをつけ、2台の車両が停車したとき、四輪駆動車に乗っていた人間が彼らに対しサブマシンガンを発砲、その後、車はパンプロ−ナ方面へ逃走した。
昨日の発表によると、銃撃の目撃者はいないものの、死亡した2人は、銃撃され瀕死の怪我を負っていたにもかかわらず、その後さらに追跡を試みたが、150Mほど走ったところで車は反対側の車線に入り、その後道路から転落した可能性が高いという。1人は即死で、もう1人も数分後現場で亡くなった。救急車が到着したときは、2人とも座席に座ったままの状態で、反撃する時間もなく撃たれたものと見られる。
現場からは23の薬莢が発見されたが、ドイツのゲコ社製で、この銃弾はETAが普段使っている銃弾ではないが、東欧の犯罪者グループがよく使うものだという。犯人の乗っていた四輪駆動車のナンバーは不明で、事件発生後、付近一帯に検問が張られたにもかかわらず、いまだにこの車は見つかっていない。警察では、犯人について、ETA、組織犯罪グループを含めたあらゆる可能性から捜査を進めている。

アルカイダに爆薬提供のスペイン人6人を逮捕

治安警備隊は、11−Mとその後のAVE爆破テロ未遂に使われた爆薬Goma 2 ECO 200キロをテロリストに提供した容疑で、昨日、アストゥリアス州アビレスでスペイン人6人を逮捕した。
3月18日に元鉱夫のホセ・エミリオ・スアレス・トラショラス容疑者を逮捕して以来、治安警備隊では、同容疑者と親しい関係にある人間に的を絞って捜査を進めていた。昨日逮捕された6人は、同容疑者の妻カルメン・トロ・カストロ容疑者、義弟のアントニオ・トロ容疑者、コンチータ鉱山警備員のエミリオ・ジャノ容疑者とトラショラス容疑者の友人で、数箇所の鉱山での勤務経験のあるハビエル・ゴンサレス・ディアス、イバン・グラナドス・ぺニャ、ルベン・イグレシアスの3容疑者。アントニオ・トロ容疑者は、2001年7月から12月まで刑務所に入っており、このときに知り合った人間に爆薬を手に入れられると述べたことから、この人間がテロリストグループとトロ容疑者、トラショロス容疑者を引き合わせたことが、すでに逮捕されているラシッド・アグリー容疑者の供述により明らかになっている。
200キロもの爆薬が盗まれたArcillas y Chamotas Asturianas社では終始、「200キロもの爆薬を盗むのは不可能」と述べてきているが、鉱山警備員のジャノ容疑者は、工場から鉱山に爆薬が納入される際の唯一の記録係で、これまでの調べにより3月11日以前にこの帳簿の記録改竄が数回に渡り行われていることがわかっており、治安警備隊では、同容疑者が少しずつ爆薬を盗み、必要量が揃ってから爆薬が現金または麻薬と引き換えられたと見ている。
また、これらの容疑者の通話記録により、逮捕者の中にはテロリストグループと直接電話でコンタクトを取っていたものがいることも明らかになっている上、爆薬と雷管の使用の仕方を教えるため、チンチョンにあったテロリストの隠れ家を訪れた疑いもあるという。2月28日から29日にかけて、自爆したテロリストのジャマル・アーミダン“エル・チノ”がアビレスにいたことがわかっているため、この日、爆薬が渡された可能性が高いと見られている。

11−M犠牲者のための新しいメッセージボード

3月11日にテロの現場となったアトチャ、エル・ポソ、サンタ・エウヘニア各駅には、市民が自発的に置き始めた犠牲者へのメッセージ、ろうそく、花で“神殿”が出来上がっていたが、清掃職員から「いつまでも辛い思いが消えない」などの意見が寄せられ、この神殿は、昨日から“espacio de palabras(言葉の空間)”と呼ばれるメッセージボードに取って代わられた。“espacio de palabras”は、スキャナーとキーボードからなり、参拝者は自分の手形とメッセージを残すことができるほか、ホームページwww.mascercanos.comからも同様に手形とメッセージを残すことができ、これまでに記録されたメッセージを読むこともできる新しいメッセージボードに対しては、「ろうそくと花束の前の“神殿”の方が感動的だった」「毎日あれを見るのは辛かったのでこれでいい」など賛否両論。


6月9日(水)

ミラノで11−Mの首謀者の1人逮捕

月曜日の午後、ミラノでイタリア警察により、マドリッドで3月11日に起きたテロの首謀者の1人として国際指名手配されていたラベイ・オスマン・エル・サヤッド“モハメッド・エル・エヒプシオ”が逮捕された。スペイン警察は、4月にマドリッドで自爆死した“エル・トゥネシノ(スペイン語で“チュニジア人”の意)”と、同容疑者が11−Mの犯人グループのリーダーだったと考えている。この逮捕と同時に行われた作戦により、ベルギーで過激派イスラム主義者15人も逮捕されている。ピサヌ・イタリア内務大臣は、電話の盗聴から彼らが欧州議会選挙の前にフランス、またはベルギーでテロを起こす予定であった可能性が高いと発表、しかし、これらの15人に関しては、11−Mとの関連を示すものは今のところ見つかっていない。
“エル・エヒプシオ”(スペイン語でエジプト人の意)容疑者と共に、彼の協力者と見られるパレスチナ人ヤヒア・パユニ容疑者と同容疑者の借りていたアパートの家主も逮捕されたが、家主はその後釈放された。“エル・エヒプシオ”容疑者がこのアパートに住むようになったのは、逮捕の数日前からだが、イタリア警察では5月半ばから同容疑者の監視と電話盗聴を行っており、電話の盗聴から、テロの準備が進んでいることがわかったため、イタリア警察は同容疑者の逮捕に踏み切ったという。同容疑者は、元軍人で、爆発物についての知識も豊富。イタリア警察では、“エル・エヒプシオ”容疑者がヨーロッパにおけるアル・カエダのリーダーではないかと見ている。

沈没漁船から1人の遺体を回収

ア・コルーニャ県のコスタ・ダ・モルテ沖で先週水曜日に沈没した漁船“O Bahia”丸の船室内にあると見られる乗組員の遺体のうち1体が昨日の午後、潜水夫チームにより回収された。
深さおよそ80メートルに沈んでいるこの漁船から遺体の回収を行うため、昨日第一回目の潜水が行われたのは午後1時半。船体の中で唯一網の絡まっていない船尾部分の扉が開いているのを潜水夫の1人が発見。食堂または台所と見られるこの部屋の内部に遺体が1体あるのがライトで確認された。その後、第二回目の潜水が午後4時頃行われ、潜水夫が遺体の胴にロープを巻くことに成功、遺体を引き上げる作業が2時間にわたって行われた。
引き上げられた遺体は治安警備隊の船でコルメ港に運ばれ、ここで遺体が、レオポルド・コウト・アルバレスさん(56歳)のものであることが確認された。残り4人の乗組員の遺体はいまだ回収されていない。

ティッセン・ボルネミッサ美術館、拡張オープン

ティッセン・ボルネミッサ男爵夫人の所有する300点の絵画が2013年まで政府に無償貸与されることになり、この展示のための総床面積8000平方メートル(展示室18)の新館が明日から一般公開されるにあたり、国王夫妻、文部大臣出席のもと昨日、開館式が行われた。
今回展示が始まる男爵夫人のコレクションの中で特筆すべきものは、17世紀オランダ絵画、印象派、アメリカ絵画、フォービズムとドイツ印象派に代表される20世紀初頭の前衛芸術など。
2階建ての新館での一般公開は明日からで、16の展示室で、ブリューゲル、カナレット、コロー、ルノワール、シスレー、モネ、ゴーギャン、ブラック、カンディンスキー、ピカソ、フアン・グリスなどの作品が展示されるほか、特別展示として66点のカタルニャ絵画の展示も見ることができる。入場料は6ユーロ(学割4ユーロ)。


6月8日(火)

7自治州、LOCE施行一時停止法令を最高裁に提訴

最大野党PP(国民党)が政権を握っている7つの自治州は、LOCE(教育の質向上法)の一部を2年間施行停止にする法令を、昨日最高裁判所に提訴した。
PP前政権により施行が決められたLOCEは、14歳で進路決定を行わなければならないこと、高校終了時にレバリダと呼ばれる卒業試験を受け、それに合格しなければ卒業が認められないこと、宗教を単位認定の必須科目に指定していることなどから、抗議の対象となっていたが、PSOE新政権はこの法律の問題となっているこれらの部分の施行を2年間停止し、その間に代替法案を作成することを決定し、5月28日にLOCEの施行一時停止法令を承認していた。
これに対し、マドリッドを始めとするPP政権の7自治州は、“権力の逸脱”と定義、公共権力の専横を禁止する憲法第9条第3項に違反しているとし、最高裁判所に提訴した。この提訴状が裁判に値するものかどうかについて、これから最高裁で調査が始まるが、この結果が出るには通常数年かかる。しかし、今回の提訴と並行して、ガリシア、バレアレス州は、LOCE施行一時停止法令の一時施行停止要請も最高裁に提出しており、この判断は15日以内に下されるが、最高裁が、一時施行停止が必要と判断した場合は、PP政権で決定されたLOCEが適用されなければならないことになる。提訴者の1人であるルイス・ペラル・マドリッド州教育局長は、「新学期の登録は、7月1日から始まり、それまでに最高裁の判断が出るので、この変更により影響を受ける人間はいない」と述べているが、教育関係者は「今からもう1度LOCEを適用すると言われても新学期には間に合わせるのは不可能。」と強調している。

ボノ大臣、フランス防衛相と会談

ホセ・ボノ防衛大臣は、昨日パリでミシェル・アリオ=マリ・フランス防衛大臣と会談した。イラクから撤兵したスペイン政府に対しては、現在、ブラジル、チリ大統領からのハイチ国連軍へのスペイン軍派遣と、ヤープ・デ・ホープス・ヘッフェルNATO事務総長からのアフガニスタン地方再建パトロール部隊へのスペイン軍派遣が依頼されているが、昨日の会談では、どちらの派兵にも直接的関係を持つフランスと特にこの件についての話し合いが行われた。しかしながら、ボノ大臣は、「具体的な内容を話すには至っていない」と会見後の記者会見で述べ、「スペイン国外に軍隊を派遣する必要があると政府が判断する場合は、まず国会の意見を聞くことになるだろう」と明言した。

RENFE、AVE新車両購入契約見直し

新路線の工事が遅れていることと、RENFEが抱える巨額の負債(72億ユーロ)をこれ以上膨らませない目的により、現在RENFEは6つの最新契約(151車両、総額44.52億ユーロ)について、内容縮小に向けて見直しを始めた。これらの契約はいずれも、総選挙直前に締結が決まってたものだが、サインはまだ行われていない。
本来、これらの車両発注は、マドリッド−バルセロナ−フランス国境、コルドバ−マラガ、マドリッド−リスボン、ムルシア−アルメリアの新しい高速鉄道路線で使用するためのものであったが、これらの路線工事はいずれも予定より遅れている。マグダレナ・アルバレス勧業大臣は、「予定通りに路線が開通しないのなら、何のために車両が必要なのか」と述べ、車両建設会社から「路線工事の進捗状況に合わせ、納入期限を遅くする」との申し入れがあるにもかかわらず、“RENFEの経営を難しい状況に陥れる”これらの契約を縮小する方針。


6月7日(月)

居住合法化を求めて立てこもりの移民、強制退去(バルセロナ)

昨日の午前4時頃、バルセロナのカテドラルに10時間にわたり立てこもっていたおよそ1500人の不法居住移民が警察により強制的に退去させられた。この1500人は、土曜日、すべての移民に居住許可を求めて行われたデモ行進の後、午後8時からカテドラルに立てこもり始めたもので、近くにあるピ教会にも200人近くが立てこもった。
中央政府、カタルニャ州政府、バルセロナ市役所のほか、カリタス(慈善団体)、労働組合などのメンバーも立てこもり移民の説得にあたったが、効果はなく、結局午前4時、警察がカテドラルに突入した。立てこもっていた移民たちは、日曜の午前9時までのカテドラル使用許可を得ていたものの、結局これにより半分は自主的に、半分は強制的にカテドラルを出ることとなった。ピ教会に立てこもっていた移民は全員自主的に昨日の午前8時に教会を後にした。この立てこもりにより、30人ほどの逮捕者が出たが、後に全員釈放されている。

潜水夫チーム、“O Bahia”の姿を海底で確認

5人の深海潜水特別潜水夫からなるチームが2日にわたる入念な準備ののち、昨日の午後遅くに初めて、水曜日に沈没した漁船“O Bahia”の沈没地点近くまで潜水することに成功した。漁船が沈没している地点は水深およそ80メートルの地点で、潜水夫チームは昨日水深66メートルまでしかもぐらなかったが、間近から漁船を観察することができた。この結果、水がにごっている上、底流が渦巻く同地点での作業はただでさえ困難であるのに、沈没した漁船は船体の部分に漁に使っていた網がからまっている状態であることが判明。船の全長が17.5メートルと小さなものであるため、船室には人間が入れる大きさの窓もなく、現在の状態では、5人の遺体があると見られる船室内へのアクセスは不可能。
状況判断に必要なさらなる情報を得るため、農業省所有のミクロ潜水艦(カメラと1本のアームのついたもの)が今日にも潜水する予定だが、遺体の回収方法については、漁船を潜水夫の作業がもう少し容易となるさらに浅い地点に移動することを含め、一刻も早い回収に向けて検討が進められている。

週末のスポーツの結果

バイク:イタリアGPのモトGPクラスでセテ・ジベルナウ選手、250CCクラスでダニ・ペドロサ選手がそれぞれ2位に入り、125CCクラスでもエクトル・バルベラ選手が3位に入った。
サッカー:6月12日から開催される欧州選手権を前に、スペイン代表チームは、アンドラ代表チームと親善試合を行い、4−0で快勝。スペイン代表チームは昨日、サンティアゴ・コンポステ―ラで大聖堂参拝を行った後、ポルトガル入り。ギマランイス近くのホテルで強化合宿を試合前日まで行う。


6月4日(金)

ロンドンで西英首脳会談

サパテロ首相は昨日、イギリス首相官邸で1時間強の会談を行った。この席で、サパテロ、ブレア両国首相は、イラク危機に関し、“重大な意見の相違”があることを改めて確認したが、サパテロ首相はこの意見の相違は別にして、イラク人への自治権返還ができるだけ早く行われ、同国への外国軍の駐留ができるだけ短期間に終わるための国連での新しい決議採択に向けて努力すると約束し、ブレア首相もイラクがイラク人によって統治される日が一日も早く訪れるよう努力したいと述べた。また、昨日は、EU憲法、、テロ対策、中近東問題についても話し合いが行われたが、ジブラルタル問題については、話し合いは見送られている。
昨日、ファイナンシャル・タイムズ紙に載った記事によると、イギリス政府は次期欧州委員会委員長にスペイン人ハビエル・ソラナ氏を推したい意向だという。これはユーロを導入していないイギリスには、候補者を出す資格がなく、連邦主義色の濃い他の候補者ではなく、ソラナ氏の大西洋−ヨーロッパ主義の方がイギリスには都合がいいためである。昨日の会談では、ブレア首相がサパテロ首相にこの支援を依頼したとみられ、このため、イラク危機に関して大きな意見の相違があるにもかかわらず、昨日の会談は和やかなムードで行われた。しかし、ソラナ氏が委員長に就任した場合は、第二副首相兼経済大蔵大臣となったペドロ・ソルベス氏の代わりにEU経済金融問題担当委員に就任したホアキン・アルムニア氏を委員にすることはできず、アルムニア氏は就任に際し、10月以降も同職継投を約束されている。

漁船沈没事故、不明の残り5人も絶望

水曜日、自動救助信号発信装置から救助信号を出したまま、沈没した漁船“O Bahia”の10人の乗組員のうち、船長を含む5人はすでに遺体で見つかっているが、残り5人については、船中に遺体があると考えられている。
嵐が起きやすく遭難事故の多発する冬を終えたガリシア海岸は、昨日予期せぬ遭難事故のニュースにショックを受けた。しかも船長のエルミンド・ミゲレス・ディアス氏はビゴ湾では航行技術の高さで有名な人物であり、沈没した船も1999年建造の鋼鉄製の船で、高度な安全装置を搭載したものだった。“O Bahia”から水曜日午後18時30分、通信を受けたのは、数マイル後を航行していた別の漁船で、このとき船長は、順風で航行しているが、コスタ・ダ・モルテに近づくにつれ、北西の突風が出始めたと述べている。この後、午後20時33分マストの先端が水に使ったときに自動的に発信される救助信号が受信された。
遺体で発見された乗組員のうち何人かは裸だったといい、ベッドにいるところで事故が突然起こったのではにないかと見られている。「地震みたいなものだったに違いない。」と元漁師の1人は述べた。
すでに船が沈没した場所は確定されているが、水深が70Mほどあり、船内に遺体があるかどうかを調べるのは難しい状態。引き続き行方不明となっているのは22歳から57歳の5人で、エスピノサ農業・漁業大臣はアリカンテのダイバーチームを使って調査を行うことを発表した。プレステージ号沈没、重油流出事故で有名になったこの地域は、ヨーロッパで最も航行が難しい場所の1つとして知られているが、これほどの死者を出したのは1999年以来。“魔の年”と呼ばれるこの年には数週間内に3艘の船が遭難し、合計26人が命を落としている。

64%のスペイン人「11−Mが起こったのはイラク戦争支持のせい」

王立エルカノ協会が行ったアンケート調査の結果によると、64%の人はイラク戦争を支持していなければ3月11日のテロは起こっていなかったと考えており、この2つの出来事を結びつけて考えていない人の23%を大きく上回っているという。このアンケートは5月10日から18日までの間に1219人に対し電話で行われたもの。
このアンケートでは、サパテロ首相がイラクからのスペイン軍撤退を決めたことに78%が同意、同意でいないとした人は19%にすぎなかった。しかし、首相の決断次期についての質問では、ちょうどよかったと考える人は59%にとどまり、37%の人が尚早であったと考えていることもわかった。また、アンケート対象者の大部分(73%)は、スペイン軍がイラクから撤退したことにより、アメリカとスペインの関係は悪化すると考えているが、同時に72%はこれによりフランス、ドイツとの関係が回復し、アラブ諸国との関係もよくなると考えている人も57%にのぼった。イラクから撤兵することにより、国際的イメージが損なわれると考える人は38%、思わない人は54%だった。


6月3日(木)

厚生省、職場での禁煙実施を前倒しへ

エレナ・サルガード厚生大臣は、これまでタバコ追放国家計画で定められていた2007年ではなく、来年をめどにスペイン国内での職場での禁煙を実施したい意向であることを昨日表明した。厚相は、この実施のためには、換気のよい部屋を喫煙室にあてるなどできる限りの措置をとって、労組、企業側と2005年末には合意に達したいとしている。
しかしながら、昨日、厚生省関係者筋はこれはあくまでの厚相の“意向”であって、実際に実施するかどうかはまだ定かではないと述べた。2003年1月にタバコ追放国家計画が承認されたものの、その実行は実際には進んでいない。専門家によると、喫煙は、一種の中毒であり、喫煙者の70%は禁煙を望んでいるという。最近の調査では、医薬品の使用により、禁煙の成功率が4倍に上がるとの結果が出ているが、今のところ政府は、禁煙希望者に対する専門家の精神面からの支持による援助の可能性は検討しているものの、禁煙を助ける錠剤、パッチなどへの経済的援助については検討していない。厚相は、「タバコの購入に使っている金額は、治療に必要な金額をはるかに上回っている」ため禁煙のための国家レベルでの経済的援助は必要ないとの考え。WHO(世界保健機構)によると、タバコの値段を10%上げると喫煙者の数が4%減するというが、タバコの増税についても厚相は、「増税は現行内閣の政策に反する」として考えていない。
ナバラ州では2003年に公共の場での禁煙を厳しく規制する法律を承認している。完全施行には2年の猶予が設けられており、2005年には2人以上が働くすべての職場の閉鎖された場所での喫煙は禁止される。(役所、学校などの公共施設ではすでに2003年12月までに禁煙が実施されている。)また、2003年7月からは、禁煙治療にかかる費用の60%までを州が援助しており、2003年下半期には、この費用として301,592ユーロが費やされた。

ガリシアで漁船沈没、5人の遺体発見

昨日の午後8時15分、ア・コルーニャ県コスタ・ダ・モルテのシサルガス諸島付近でガリシアの漁船“O Bahia”から発信された自動救助信号を受信し、救助チームが同諸島近辺の捜索に出動したが、見つかったのは海上に浮く救命ジャケットなどの“難破の痕跡を示すもの”だけだった。ヘリコプタ−2台、大型船2艘、ボート10艘以上が1晩にわたり海上を捜索した結果、これまでに10人の乗組員のうち5人が遺体で発見されている。
現場はガリシア海岸の中でも遭難が多い場所として知られており、昨日は天候は悪くはなかったものの、強い北風によりかなりの高波となっていた。長さ20メートル、40トンのこの船は、3ヶ月にわたるカンタブリア海でのアンチョビー漁を終え、母港のセサンテス港(ビゴ県レドンデラ)に戻る途中だった。

ERC、国会でのカタルニャ語使用に期待

ERC(カタルニャ左翼共和党)のジョアン・タルダ氏が、昨日国会での質問を2度にわたってカタルニャ語で行い、マヌエル・マリン議長が同氏に対し、カタルニャ語は使わないよう要請したが、今日、カタルニャ州議会のエルネス・べナシュ議長(ERC)は、マリン議長と会談、現政権中にこの問題は解決するとの期待を示した。
ERCは欧州議会議長パット・コックス氏に対してもカタルニャ語の公用性をヨーロッパで認めるよう求め、同議長から支持は“込み入った”問題であるとの回答を得ているが、今日、マリン議長との会談を終えたべナシュ氏は、現行政権がこの問題を真剣に取り扱う用意があるという“感触”を得たと繰り返した。しかし、マリン議長から提示された可能性のある解決策については“議長への敬意”からコメントを控えている。


6月2日(水)

アルバレス勧業相、国会報告

昨日、マグダレナ・アルバレス勧業大臣は、大臣就任後初めて国会勧業委員会に出席した。この席で、大臣は、PP政権時代にアルバレス−カスコス前勧業大臣が発表していたのとは異なり、現実にはAENA(スペイン国内の空港を管理する国営会社)の資金運用能力には問題があり、4月30日に同社が発表した2003年度決算報告では公にされなかったものの、現在AENAの負債額は53億ユーロに上ることを明らかにし、また、すでに決定されている新たな投資が加わるため、このままだと2010年には同社の負債額が100億ユーロになることも述べた。大臣は、将来の返済能力保証のため、マドリッド、バラハス空港とバルセロナ、エル・プラット空港の拡張計画を始めとする、47空港への投資計画の見直しを行うことを発表した。
アルバレス大臣によると、今年4月の時点ですでに今年度勧業省予算の98%は使用先が決められていたため、必要不可欠とされる今後の計画については、特別負債に頼らざるを得ないという。また、予算不足のため、当初計画されていた有料高速道路の無料化については当面見送られる。必要不可欠な今後の計画の1つとして、大臣は、1.83億ユーロを投じて、高速道路の補修工事を行うことを発表。8月までにこの入札が行われるほか、スペイン国内に90ヶ所ある“puntos negros”(交通事故多発地)に対し、8100万ユーロの投資を行うことも明らかにした。

アルシラで女性の死体発見、犯人逮捕(バレンシア)

昨日の朝8時15分、バレンシア県アルシラ郊外で死体となって18歳の女性が発見されたが、警察は昨日、この事件の犯人として、被害者の女性の元恋人(21歳)を逮捕した。警察は、元恋人の友人男性2人に対しても事情聴取を行ったが、この2人は後に釈放された。
被害者のカルラさんの遺体には、胸部に尖ったもので差された傷が数個あったほか、首には切り傷、顔面は打撃によりつぶされていた。カルラさんは遺体で発見される前夜、友人の女性と散歩に出たまま帰らず、家族から捜索願いが出されていた。遺体のそばには、腕時計が落ちていたことから、警察では、カルラさんと犯人の間で激しい言い争いがあったと見ている。

州の教育政策に反対し、デモ(マドリッド)

昨日、マドリッド市内のラ・ビジャ広場から教育局のあるアルカラ通りまで、アギレ州知事の教育政策に反対するデモ行進が行われた。参加率は、労働組合側の発表で80%、州政府の発表で25%と大きな差が見られたが、デモには、各労組、教員、PTAから学校運営者まで、幼児教育から大学までのすべての公立教育施設からの参加があったほか、PSOE、IUなど州政府野党からもシマンカス州議会広報官(PSOE)、ジャマサレス代表(IU)など多数の参加が見られ、アギレ知事に対し“高品質の公共教育”を求めた。警察の発表によるデモ参加者数は3000人。
PP政権で施行が決定された新しい教育法LOCE(教育の質向上法令)の施行実施を2年間延期することを、PSOE新政権が決定したにもかかわらず、アギレ知事は州内でのこの法令施行を実行する意向を先週金曜日に表明。しかし、サン・セグンド教育相は、昨日、「地方政権にその権利はない」とアギレ知事の決定の違法性を通告している。


6月1日(火)

政府、防衛省、RENFEの所有地に低価格住宅建設へ

都市周辺地域の大部分の土地は、防衛省と国鉄RENFEの所有であるが、政府は選挙公約どおり、この土地を一般市民の手の届く範囲の価格での住宅建設に使用することを検討中。現在、住宅省では、実際にどれぐらいの面積の土地を住宅地として転用できるかどうかを調査中であるが、年間9万戸の社会保障住宅建築を予定しているという。
昨日、サパテロ首相と会談したラファエル・シマンカス・マドリッド社会主義連盟書記長は、PP政権中に“投機者の利益に便乗する政策が行われ、社会保障住宅プログラムが削減された”のと異なり、現行政権は“マドリッド市民が住宅を獲得できるよう援助”すると発表した。住宅省では今月をめどに、この具体的なプランの発表を行う予定。この計画の中心となっている国鉄RENFEの転用可能土地面積はおよそ4.5億平方メートルで、この売却によりRENFEが抱える72億ユーロの赤字を埋めることが期待されている。また、防衛省が持つ15億平方メートルの基地跡地の売却は、204.08億が必要とされる武器購入計画に役立つと見られるが、防衛省では、それぞれのケースについて検討する必要があり、売却の可能性について総合的な見解を述べることはできないと慎重な姿勢を示している。

76歳の元軍人、息子の喧嘩相手を射殺

昨日午前2時、マドリッドのプロスペリダ地区で、フロレンシオ・ディマス・サリナス容疑者(76歳)がロドルフォ・チャラベ・ガジェゴ(27歳)さんを銃殺、自身も事故で自らの銃弾を受け、死亡した。
事件が起きたのは、同地区にあるバル、V.O.亡くなったチャラベさんの家族と友人の供述によると、チャべラさんと、ディマス容疑者の息子(30歳)は3ヶ月ほど前に別のバルで、ディマス容疑者の息子が口火を切り、武道の達人であるチャラベさんがディマス容疑者の息子の歯を何本か折る喧嘩をしていたという。昨日は、偶然以前の喧嘩相手を発見した息子が自宅に戻り、父親を伴ってV.O.の出口でチャラベさんと2人の友人を待ち伏せ、3人が出てきたところにディマス容疑者がリボルバー、スミス&ウェッソンで手当たり次第に発砲した。近くをパトロールしていた警官2人が現場に急行し、まず空砲で威嚇射撃、ディマス容疑者に銃を捨てるよう命じたが、ディマス容疑者が従わなかったため、警官の1人がディマス容疑者の左足を撃った。
救急車が駆けつけた時点では、2人とも命があったものの、30分以上の救命作業の効果なく、2人は現場で死亡した。ディマス容疑者の致命傷となったのは、ひじの位置から入った後、わきから反対側に体を貫通した銃創でこれはチャラベさんを撃った後、その友人2人と乱闘になった際のものと見られる。チャラベさんは、腎臓に1発、胸部に1発銃弾を受けていた。

ベニテス氏、バレンシア監督を辞任

今朝、ベニテス氏のエージェントのマヌエル・ガルシア・キロン氏とバレンシアのマヌエル・ジョレンテGMがベニテス氏の契約について話し合いを持ったが、この席で、ベニテス氏がバレンシア側からオファーされていた1年間の契約延長を受けないだけでなく、現在残っている1年間の契約も破棄することが明らかになった。
ベニテス氏は、イギリスのリバプールからの5年契約を受ける見通しが濃厚となった。ベニテス氏の後任としては、すでにチェルシー監督のクラウディオ・ラニエリ氏、モナコ監督のディディエ・デシャン氏の名が挙がっている。




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