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9月30日(木)

同性カップルに異性カップルと同等の権利

閣僚会議で承認された同性カップルの婚姻許可のための民法改正草案は、明日国会で審議、承認の見通しとなっている。この改正草案は、“平等”と“イデオロギーの自由”推進のため、民法の14項目を改正するもの。フアン・フェルナンド・ロペス・アギラ−ル法務大臣は昨日、改正法が来年初頭に施行されることを期待する旨を発表、この法改正によりスペインはオランダ、ベルギーに続き、同性間での婚姻を認める世界で3番目の国となる。
現在ナバラ、パイス・バスコ、アラゴンの3州(カタルニャ州でももうすぐ可能となる)では同性カップルよる養子縁組、前述の4州ほどの自治権を持たないアンダルシア、エクストレマドゥラ、アストゥリアスの3州でも同性カップルによる子供の里親制が認められているが、今度の民法改正により同性カップルの養子縁組が全国で認められるほか、同性婚姻者は遺産相続、離婚、年金受給など異性婚姻者と同等の権利が与えられることとなる。

電子DNI、来年1月から発行へ

ムルシアで10月1日まで開かれている第八回Tecnimap(行政の情報技術最新化会議)に出席中のジョルディ・セビジャ行政大臣は、8400万ユーロを投資する“行政テクノロジー最新化プラン2004−2007”を発表した。このプランは、電子DNI(国民身分証明書)の導入を始めとし、42のプロジェクトからなるもので、行政手続きを迅速化、簡略化するのがねらい。情報を電子化することにより、中央行政、州行政、市町村行政間の協力関係が密になることが期待されている。
また、2004年1月から発行される予定が、造幣局と社会保険局の情報共有のための技術的問題のため延期されていた電子DNIは、2005年1月から発行されることも昨日明らかにされた。セビジャ大臣によると、最初の年に電子DNIを持つのは人口の10%で、10年で全国民に普及させるという。


9月29日(水)

PPガリシア内紛、話し合いは党大会後に延期

マヌエル・フラガ・ガリシア州知事は一昨日に続き、昨日も再び体調を崩し、2日間の休息が必要となった。休養のため公邸へと向かう前に知事は、ホセ・ルイス・バルタール・PP(国民党)オウレンセ支部長との話し合いに進展が見られたこと、金曜日に開かれるPP全国党大会後まで話し合いを延期することを提案したことを明らかにした。
月曜の夜にフラガ氏とバルタール氏が行った会談には、“両者の友人”として予期せぬショセ・クイニャ氏の参加があったが、フラガ氏によると、これが“危機の解明”に大きく役立ったという。一方のバルタール氏は「クイニャ氏が参加したのは、フラガ氏が同氏を招待したためで、私は私の問題、彼は彼の問題について話し、クイニャ氏の参加は会話の進展に良い意味でも悪い意味でも大きな影響は与えていない。私が唯一望むのは“党内での民主主義”だ。」と述べている。
また、マドリッドのPP本部は、離党党員からの票を借りてガリシア州政府を維持する意志がないことを表明、しかし、現在のところ離党表明議員からの公式発表がないこと、またPPガリシア支部はフラガ氏の統率力に何の危機もない強固な機関であるとの考えから、この危機には不干渉の立場を保つことを決定した。

ビスカヤとレオンでETA協力者5人を逮捕

スペイン国家警察は、今朝未明、ビスカヤ県、レオン県の4ヶ所でETAの協力者と見られる男女5人を逮捕したという。逮捕者はいずれも、スペインから指名手配されているETAメンバーをフランスに逃がし、主にフランスから顔の割れていないメンバーをスペインに入国させ、また武器の国境越えも請け負っていた者。
5人は全員ビスカヤ県出身者でビスカヤ在住者だが、うち1人はたまたまレオン県ラ・バニェサに滞在中で、滞在先のホテルで逮捕された。残り4人のうちカップル1組はアリゴリアガ、1人がソペラナ、1人がベランゴで逮捕されている。この逮捕は、ETAリーダーの1人と見られるイボン・フェルナンデス・デ・イラディ・“ススペル”容疑者逮捕時にフランスで押収された書類の調査の結果、中央管区裁判所が逮捕命令を出したもので、ビスカヤ県の3ヶ所では家宅捜査も行われた。

首相の給料は年間8.5万ユーロ

高級公務員の給料2%上げを定めた2005年度予算によると、2005年のサパテロ首相の給料は、84,960.72ユーロ、フェルナンデス・デ・ラ・ベガ、ソルベス両副首相は79,854.60ユーロ、その他閣僚は74,959.92ユーロ、書記官クラスは6.9万ユーロ前後であるという。
一方、司法関係者の給与は政府関係者より高く、エルナンドCGPJ(司法権統括委員会)委員長兼最高裁判所長官、カサス憲法裁判所長官は年間135,518.74ユーロ、コンデ・プンピド検事庁長官は115,538.40ユーロ、最高裁判所判事、全国管区裁判所長官、憲法裁判所判事、会計監査院長官も11万ユーロを超えた給与額と首相を上回っている。


9月28日(火)

英語が6歳から義務教育へ

昨日、マリア・へスス・サンセグンド文部大臣が167ページにわたる教育システム改正案を、各自治州代表者からなる教育評議会と、国家学校委員会に提出した。改正案は、外国語教育の推進、教育的問題のある生徒への対応、柔軟性のある履修科目、教育施設への独自の決定権拡大の4つの軸からなる。
この改正案に含まれているのは、すでにPP政権時代に提案されていたものの実行には至っていなかった6歳(小学校1年生)からの英語義務教育化を始めとし、前政権が承認した教育の質向上法で定められた卒業試験(現在は適用一時棚上げ)の廃止、高校での美術を人文学の科目に含め、一般科学という新しい科目を設置、また義務科目を減らすことのほか、宗教の授業の代わりに、宗教、哲学、歴史を含む新たな科目を設置することなどに加え、12歳(ESO-第二義務教育-1年生)からの第二外国語学習の可能性、2科目以上で落第点をとった生徒の自動的留年を教員の判断による留年へ変更、小学校4年生とESO2年生ですべての生徒の学力を測るための総合試験を行うことなどが盛り込まれており、今後、すべての教育部門からの議論への参加を経て、2006-2007年度から適用を目指している。

ゴーギャン展、2つの美術館で始まる(マドリッド)

ティッセン-ボルネミッサ美術館とカハ・マドリッド財団主催の“Gauguin y los origenes del simbolismo(ゴーギャンと象徴主義の源)”展が今日からマドリッドのティッセン-ボルネミッサ美術館(パセオ・デル・プラド8番地)とカハ・マドリッド財団(サン・マルティン1番地)で3つずつの展示室に分けて開催される。この展覧会は65の美術館と多数の個人コレクションから貸し出されたゴーギャンを中心とする様々な画家の作品186点から近代美術を方向付けた決定的瞬間1884年から1891年に焦点を当てたもの。展示作品の中でも最も重要な作品は、ゴーギャンが1888年に描いたスコットランド・ナショナルギャラリー所蔵の『説教の後の幻影』で、ギジェルモ・ソラナ展覧会開催委員によると、「この絵により、ルネッサンスからの400年にわたり築き上げられた芸術的伝統がうち捨てられた」という。この展覧会の開催期間は、来年1月9日まで。

デビスカップ決勝戦開催地にセビジャが決定

12月3日から5日に行われるスペイン対アメリカのデビスカップ決勝戦の開催地が昨日、セビジャに決まった。マドリッド、バルセロナ、マラガ、サンティアゴ・デ・コンポステラ、ラ・コルニャ、バレンシア、カナリアスも立候補していたが、収容人数で他の候補を凌いだセビジャが、スペインテニス協会から選ばれることとなった。
セビジャ市では当初、マエストランサ闘牛場を使うことを考えていたが、最終的に開催地として決めたのは観客席拡大のための一部改造を行わなければならないラ・カルトゥハ・オリンピックスタジアム。この改造により収容人数は2.2万人となり、これまで唯一スペインで開催されたデビスカップ決勝(2000年)の開催地、バルセロナのパラウ・サンジョルディを6千万人上回る。


9月27日(月)

ETA,ピレネーの高圧塔に16の小型爆弾を設置

フランスとスペインを結ぶ高圧塔のスペイン側の入口、ブハルエロ(ウエスカ県)で高圧塔の1つにETAが設置した16の小型爆弾が昨日、治安警備隊により発見された。
爆弾はいずれも爆発規模の小さいもので、オルデサ・モンテペルディド国立公園内のアクセスの難しいフランス国境に最も近い高圧塔に取り付けられていたものを、治安警備隊が空からヘリコプターで昨日の午前中に発見、発見時にはすでにうち8つが爆発した後で、午後2時45分頃、残りの爆弾も解除された。最初の8つの爆弾の爆発は規模が小さかったため、高圧塔のセンサーも感知せず、電気の供給にも全く支障を来たさなかった。
土曜日に、ギプスコア県ベオビアとブハルエロに爆弾を設置したとバスク語新聞Berria紙に予告電話があったため、治安警備隊が敷いていた特別警戒態勢は、日曜日午後3時半、解除された。ベオビアの爆発物解除にあたったバスク州警察の爆発物専門部隊は、この爆弾の構成は今月15日にイルンで爆発し、ほとんど被害の出なかったテロの爆弾と同じものだと見ている。

PNV、プラン・イバレチェ実行のための支持を呼びかけ

Alderdi Eguna(政党の日)の昨日、PNVは集まった支持者に対し、プラン・イバレチェを実行に移すための協力を呼びかけた。
金曜日にSA(愛国社会主義同盟−旧バタスナ党)がバスク州議会でのプラン・イバレチェ支持拒否を表明。PNV(バスク民族党)、EA(バスク連盟)、IU(統一左翼)からなるバスク州政府がプラン・イバレチェを実行に移すための過半数(38票)獲得に足りない2票の獲得は、12月に予定されている州議会審議ではほぼ絶望的と考えるイマズ・PNV党首は、昨日、党首として初めてAlderdi Egunaに出席した。イマズ党首は、演説の中で、アスナル前首相について言及、この中で「嘘と情報操作により、PNVと暴力を結び付け、その名を汚そうとしたことを決して許すまい」と述べた。また、サパテロ現首相に対しては、「我々が我々の未来を自由に決める権利を認めない憲法を受け入れることはできない」と、パイス・バスコがスペインの政策に自由に参加する権利を与えるよう憲法改正を行うことを要求した。
また、最初に演説を行ったイバレチェ・バスク州知事は、「目標に到達するために我々は急いではいない」と述べ、12月の採決で州議会によるプラン・イバレチェの承認が得られない場合は、5月の地方選挙にプラン・イバレチェを掲げ再び州知事として立候補することを宣言し、支持者に対し、この選挙での勝利への協力を請うた。

ETA、民族自決のための暴力を肯定するビデオを送付

Gudari Eguna(兵士の日)にあたる今日、バスク地方紙GARAが、テロリストグループETAから送りつけられた15分のビデオテープの内容について掲載した。ビデオは森の中で撮影されており、3人のETAメンバーが登場。GARA紙によると、ビデオの大半はバスク民主主義の回復のためのテロリズムを肯定することに費やされており、「武装闘争のお陰で、Euskal Herria(バスク地方、ナバラ地方とフランス・バスク地方)は自由へと開かれた道を確保している」と述べられているという。また、このビデオの中でプラン・イバレチェについては「自治憲章改正と政党の利権に基づくあらゆるプランは否定する」と述べられている。

エラス選手、スペイン人初のブエルタ三冠を達成

昨日、最終日、マドリッドで28.2キロのタイムトライアルが行われたブエルタ・ア・エスパーニャ2004を制したのは、昨年に引き続き、スペインのロベルト・エラス選手(リバティチーム)だった。エラス選手は2000年にも優勝しており、これで三度目の優勝となった。これまで三冠を達成しているのは、スイス人トニー・ロミンゲル選手のみで、エラス選手はスペイン人として初めての三冠という栄光に輝いた。
前日に43秒差まで詰めていた2位の新鋭、サンティ・ペレス選手(フォナックチーム)は山岳スペシャリストながら、カルロス・サストレ選手(CSCチーム)、フランシスコ・マンセボ選手(イリェス・バレアレスチーム)といったスプリンターを押さえ、この日のタイムトライアルステージ優勝を飾る奮闘を見せたが、28キロしかないタイムトライアルで43秒の差を縮めることは不可能で、結局30秒差で総合成績2位にとどまった。
エラス選手が優勝をかけて43秒差を守ろうとする一方、3位の座をマンセボ選手とアレハンドロ・バルベルデ選手(ケルメチーム)が争った昨日の最終日のレースは大変な盛り上がりを見せた。マンセボ選手はこの日のステージ2位で、14位に終わったバルベルデ選手に1分17秒差をつけて初めてのブエルタの表彰台にあがった。

週末のその他のスポーツの結果

テニス:モヤ選手が疲労と肩の痛みを訴え、フェレロ選手も右手を負傷したため、予定と異なりトミー・ロブレド選手、ラファエル・ナダル選手が出場したデビスカップ準決勝対フランス戦のシングルス最終2戦は、両選手がそれぞれポール=アンリ・マシュー選手、アルノー・クレマン選手を破り、スペインは対戦成績4-1で決勝進出を決めた。決勝戦の対戦相手はアメリカで、12月3日から5日にわたりスペインで開催されるこの大会の開催地に、マドリッド、バルセロナ、セビジャ、バレンシアとカナリアス諸島が立候補している。
F−1:中国で初めてのF-1開催となった中国GP、スペインのフェルナンド・アロンソ選手は4位。総合成績では3位と29ポイント差の4位につけている。今シーズン、残るは日本GPとブラジルGPの2戦。


9月24日(金)

SEPI、労組と話し合い延期で合意

SEPI(国家工業出資団体)とELAを除く労働組合は、5時間にわたる交渉の末、国営造船所の将来についての緊張緩和にこぎつけることに成功した。両者は、PP政権時代に受けた補助金返還のための期限を最大限に引き出す交渉をEUと行うことを含む、今後の交渉を方向付ける4つの点での合意書類に調印した。労組関係者は、自治州政府、市役所からの圧力に加え、PSOE以外の政党がIzar再建プランへを拒絶した点をSEPIが考慮したことから、今回の交渉の見直しが行われたと考えている。
労働組合側は、SEPIからの提案に関する合意は行われておらず、問題が解決に向かったわけではないとしながらも、交渉が別の角度から始められることに期待感を示し、一方のSEPI側は、EUとの交渉により最大限の返済期限を獲得し、当初からのSEPIの目的であった労働者側、経営者側双方からの合意に達することができるとの自信を示している。次回の話し合いは9月29日に行われる。

中国人履物業者に対し、新たな抗議(エルチェ)

昨日、エルチェのカルス産業団地で500人あまりが集まり、市役所までのデモ行進を行った。この地区に倉庫を持つ中国人靴業者に抗議する同様の集会は先週木曜日にも開かれ、このときは中国人の倉庫2軒が焼かれたが、昨日は国家警察、地方警察の機動隊が迅速に対応したため、大事には至っていない。
産業団地入口のロータリーには午後になって徐々に人が集まり始め、警察が待機しているにもかかわらず、午後8時にはこの人数は500人ほどとなった。機動隊に産業団地入口をふさがれたこの集団は、“履物業者への解決を!”のプラカードを掲げ、エルチェ市役所に向け行進を始めた。デモ行進者たちは、あくまでもこのデモは人種差別と関係のないものであることを強調、ビラを配布し、コントロールなしの輸入に抗議、労働者の権利の尊重、地元企業化の保護を訴えた。
前回と同様、今回のデモも携帯電話のメッセージによる呼びかけで起こった主催者なしのデモで、これまでに、未成年者3名を含む15人が公共安全妨害の罪で逮捕されているが、裁判所での供述を行った後、全員釈放されている。中国政府は在北京スペイン大使を呼び、中国人倉庫が襲撃されたことに対する“懸念”を表明、中国人とその所有物への“保護”を要請したほか、在スペイン中国大使館のヤン・バン・グア氏はエルチェを拠点としている70人ほどの中国人企業家と会談し、スペイン政府から彼らの安全についての保証を得ている旨を伝えた。


9月23日(木)

3.5万人が6ヶ月以上の外科手術待ち

昨日、サルガド厚生大臣が初めてスペインの外科手術待ちリストを公開した。このリストによると、2003年12月31日現在、40.6万人ががリストに名を連ね、待ち期間の平均は77日、うち3.5万人(8.6%)は、手術を受けるために6ヶ月以上待たされていた。手術待ち患者が最も多いのは白内障の患者で7.1万人、平均待ち期間は81日、また、手術までの待ち期間が最も長い病気は外反母趾で平均22日であることもリストの公開により明らかになっているほか、専門別に見た場合、外傷科、一般外科、消化器科、眼科の患者がリストの65%を占めており、待ち期間の長さ平均はは顔面手術(162日)、皮膚手術(113日)、呼吸器手術(96日)、血管手術(93日)となっている。これらの日数は12月31日現在、「何日待っているか」を質問したもので、「手術までに何日かかったか」ではないことから、実際にはこれよりさらに日数がかかっていることになる。
また、今回発表されたリストによると、半年以上手術を待っている人の数、手術待ちリストに載っている人の数は共に2002年末に発表されたリスト(それぞれ1.8万人、30万人)を大きく上回っている。
サルガド大臣は、手術待ちリストが多くの国民の懸念の対象となっていることを考慮にいれ、現状を分析し、改善にとりかかることを約束したが、改善の際には、患者の生活の質にかかわる病気(白内障、ひざ、腰の人工骨手術)の待ち時間短縮を優先的に行いたいとした。今回のリストは、“政党間での攻撃という本来の主旨から外れた目的に使われることを避けるため”、自治州別でのデータは公開せず、スペイン全土での数字を明らかにするにとどめられている。

首相、国内の不法滞在者が80万人であることを認める発言

サパテロ首相は昨日、国会で、スペイン不法移民問題を解決し、1ヶ月以内に外国法改正案の準備を終えることを約束した。また、首相は最大野党PPのラホイ総書記長からの質問に答える際、スペイン国内に80万人の不法滞在者がいることを認める発言を行った。サパテロ首相はこの数字を認めた上で、これだけの不法滞在者は前政権からの“遺産“であるとライバルのラホイ氏の非難に利用した。
80万人という数字は労働組合が計上したもので、これは、各市町村住民登録外国者数267.2万人から合法的居住外国人者数177.6万人を引いたもの。しかし、現政権、前政権ともに専門家は複数の市町村に登録している外国人のケース、すでにスペインを去っているにもかかわらず、住民登録の抹消手続きが行われていないケースなどがあるとし、この数字は正しいものではないとの見方を示していた。

依然として大きい自治州間での所得差

金融機関ラ・カイシャが住民1000以上の8109の市町村を調査対象にし、昨日発表した2004年経済年鑑によると、スペイン国内での所得地域差は依然として大きい。スペイン平均年鑑所得が1人あたり9700から10800ユーロであるのに対し、最も所得の低いエクストレマドゥラは7000から8100、次に低いアンダルシアは8100から9000ユーロであるという。反対に所得の最も高いのはナバラ、パイス・バスコで、年間13000から13700ユーロ、これにバレアレス諸島、カタルニャ、マドリッドの12300から13000ユーロが続いている。県別に見た場合、最も所得の低いのはバダホス、カディス県でいずれも7000から8100、またカセレス、アルバセテ両県とアルメリア県をのぞくその他のアンダルシア州の県も8100から9000ユーロと低い年間所得となっている。
カタルニャ州は引き続きスペインでの経済活動の19.6%を握る経済の中心地で、これにマドリッド(14.9%)、アンダルシア(13.4%)が続いている。


9月22日(水)

サパテロ首相、初の国連演説

昨日、サパテロ首相は、首相就任後初めてとなる国連総会での演説を行った。国連を前にスペインの外交政策を披露した首相の演説は、アナン国連事務総長の演説内容に沿い、ブッシュ大統領の演説内容には反するものであった。
首相は自身を“様々な文化、様々な慣習、様々な言語をもつ多様性を持つ古い国”のリーダーであると紹介、スペインは今後もテロ撲滅のための戦いを続けるが、この戦いはあくまでも合法の範囲内で、人権と国連を尊重した上でのみ行っていくが、これは倫理的理由によるものだけでなく、これこそがテロに打ち勝つための方法であるためだと述べた。イラク戦争については、犠牲者への追悼の意を表しながらも、この戦争が合法的なものであったかどうかについての言及は避け、「スペインの国民の大部分はこの戦争に反対であった」「戦争を推し進めた人々は、我々を納得させるに足る理由を示すことができなかった」と述べるに留めた。
演説後の記者会見では、“自由と民主主義のための闘争”という目的はブッシュ大統領と同じでありながらも、両者の見解の相違があることを認めながらも、それでも両国の間に強い連帯感が存在していることを強調した。また、テロの撲滅のためには、どのようにして生まれ、育つのかについて理論立てて考える必要があるとし、昨日のアナン事務総長との個人会談で、西洋社会とアラブ・イスラム社会を結ぶ同盟の締結を提案したことを明らかにした。

オウレンセのPP州議会議員、PP離党を表明

“PPの分裂防止のため”と、マヌエル・フラガ・ガリシア州知事が続投を表明して1ヶ月。州知事の予想に反し、昨日、PPオウレンセ支部のホセ・ルイス・バルタール氏が、他のオウレンセ県選出PP議員少なくとも5人と共にPPを離党する旨をフラガ知事に伝えた。
PPがガリシア州議会で過半数を維持するためには、5人という数字は失えない議員の数に相当。オウレンセ県は、ガリシア州4県の中でも最もPP支持率が高い県で、PP支持率は50%を超えている。関係者の話によると、月曜日バルタール氏はフラガ知事と夕食を共にし、この席でラホイ氏の支持を受ける人物の影響が日毎に増し、自分の居場所がなくなっていくのを感じさせる組織にはとどまりたくないという意志を伝えたとされる。ラホイ氏と地方政治有力者との対立は、ラホイ氏が政治家としてのキャリアを始めて以来のものであるが、この会談でフラガ知事はバルタール氏に対し、同氏のPP内での勢力確保を約束した上、PP本部からの圧力により1年半前に更迭されたショセ・クイニャ氏(バルタール氏がラホイ氏とその支持者と対立しながら常にフラガ知事の後継者候補として推していた人物)を何らかの要職につける用意がある意思表示も行った模様。
しかし、説得にもかかわらず、バルタール氏の決意は固く、フラガ知事が取り付けられたのはバルタール氏が離党を公式に発表するのを1週間ずらすという約束のみだった。氏は離党によりガリシア州議会を壊滅させることはせず、次回地方選挙が予定されている2005年秋までは議会の安定を保証している。

バルセロナとジロナでM4.1の地震

昨日の午後5時48分、ジロナ県リポレスの深さ10Mを震源地とする地震が発生した。震度はM4.1でこの地震の揺れはわずか1.2秒にわたるものだったが、この後これより小規模の余震が発生した。揺れはバルセロナとジロナ全域で感じられたが、この地震による負傷者は出ていない。
地震発生後、140件の通報が寄せられたが、このうち消防隊の出動を必要としたのは、リベス・デ・フレセルでの道路への落石とケラルブス市役所(いずれもジロナ県)の2件のみだった。
この9ヶ月の間、カタルニャ州で発生したM3以上の地震はこれで5件。この昨日までの最大規模のものは、6月1日にバルセロナ県ビドラで起きたM3.5の地震だった。


9月21日(火)

サパテロ首相、訪米

アメリカを訪問中のサパテロ首相は、昨夜ニューヨークの国連本部で、フランスのシラク大統領、ブラジルのルラ大統領、チリのラゴス大統領、アナン国連事務総長と共に、国連飢餓撲滅サミットの開会を宣言した。これは、ルラ大統領の呼びかけにフランス、チリ、国連が賛同したのプランにスペインも6月参加したもので、武器売買への新たな課税、移民の送金費用値下げなどからなる8つの措置からなる。首相は、今日国連総会で初めての演説を行う予定。
また、首相は昨日夫人とグラウンド・ゼロを訪問している。

自治州知事会議開催危機

11月の自治州知事会議開催の準備のため、昨日、17自治州と2自治都市から代表者が集まって会合を開いた。この席で、自治州知事会議開催責任者であるジョルディ・セビジャ自治大臣がどのような形で会議を開くべきかの意見をすべての代表者に請うたところ、8自治州と2自治都市(いずれPP政権)の代表者が大臣に対し、会合前の朝食会で打ち合わせた通り、その前に政府が推進しようとしている自治州プランの内容を発表するべきだと抗議した。
PP代表者たちは自治大臣が会合のあり方を最初に提案しないのは、民族主義政党との合意という“借金”のためだと糾弾、バレンシア州代表エステバン・ゴンサレス・ポンス氏は、政府の目的が上下院の承認を必要としない州知事による第三の議会の創設であるのではないかとの危惧を表明したほか、ムルシア州代表のフェルナンド・デ・ラ・シエルバ氏は「各自治州の手札を政府が見たがっているポーカーのゲームのようだ」とこの会合を表現した。
これに対し、PSOE政権の自治州は反論。カタルニャ州政府代表ジョアン・サウラ氏はPP所属代表者たちを“協力の文化”に欠けていると非難、アンダルシア州代表ガスパル・サリアス氏は自治州会議は協力のための必須の軸であると会議を擁護。昨日の会合では州知事会議開催の合意には達しなかったため、新たな会合が10月に開かれることとなった。

アスナル前首相も訪米中

FAES(社会分析研究財団)会長で、前首相のホセ・マリア・アスナル氏は、日曜日夜、ワシントン入りした。金曜日までワシントンに滞在し、ジョージタウン大学で4年生以上の学生対象の教鞭をとる。今日は、大学講堂で生徒、教員、マスコミ向けの講演を行う予定だが、定員90名のこの講演はすでに順番待ちのリストが出来ている状態。
今年秋から2005年にかけて4回にわけて行われるアスナル氏のセミナーは、この後11月8日から12日、2005年1月31日から2月4日、4月4日から8日に行われ、受け入れる生徒の数は最大15名だという。前首相には、大学から車が貸与されるほか、ワシントン滞在費用も大学負担。報酬については大学側から明らかにされていない。


9月20日(月)

自宅に立てこもりベランダから発砲、警官1人が死亡

土曜日の夜バレンシア県スエカの自宅に立てこもり、ベランダから猟銃を発砲し、警官1人を殺害、治安警備隊員1人を負傷させた男は日曜日午前8時10分、投降し、逮捕された。男は精神科の治療を受けていたにもかかわらず、猟銃の使用許可を公布されていた。
逮捕されたフェリシシモ・マイデ容疑者(41歳)は、土曜日の夜、離婚を切り出した妻と口論になり、12口径の猟銃を取り出し、自宅内で発砲、自殺すると妻を脅した。妻は18歳の娘と自宅を脱出することに成功、妻と隣人からの通報を受け、地方警察のパトロールカーが到着。後に、地方警察もう1台と治安警備隊のパトカーも現場に到着した。
マイデ容疑者は、8階にある自宅ベランダから発砲を開始、このマンションから35メートル離れた場所で待機していた35歳の警官、トマス・カタラさんが標的となり頭を撃たれたため、この警官に同行していた治安警備隊員が救急車を呼んだところ、今度はこの治安警備隊員が腹部に被弾。しかし、防弾チョッキをつけていたため、命に別状はなかったが、マイデ容疑者が「動くものはすべて撃つ」と脅迫していたため、現場の警官はカタラさんが死んでいくのを見守ることしかできなかった。カタラさんは普段は警察署で事務職を務めていたが、この日は救援に駆けつけており、勤務明けまであと20分というところだった。
午前2時20分、マドリッドから治安警備隊の特殊部隊が到着。マイデ容疑者の説得を始め、午前3時30分、猟銃がマンションから狙う中、ようやくカタラさんの遺体を回収することに成功した。午後6時頃からマイデ容疑者が交渉の姿勢を見せ始め、投降の条件としてバレンシア地方テレビ局カナル9で声明文を読み上げることを挙げた。この要求が聞き入れられ、マイデ容疑者が社会保険医療から正しい精神科の治療を受けられなかったと糾弾する声明文が午前8時6分にテレビで放送された。
スエカでは第15回世界パントマイム展が日曜日まで開かれる予定だったが、この事件を受け中止となり、市役所は3日間の服喪を宣言した。

カマチョ監督、辞意を表明

土曜日、アウェイでの対エスパニョール戦に1−0で敗北、15日のチャンピオンズリーグ予選、対レヴァークーゼン戦(3-0)に続く敗退となったレアル・マドリッドのアントニオ・カマチョ監督は、土曜日の夜フロレンティーノ・ペレス会長に辞意を伝えた。ペレス会長は、月曜日の午前中の話し合いをカマチョ氏に提案したが、カマチョ氏は今朝電話でペレス会長に決意に変わりはないことを表明し、話し合いは行われなかった。
今日の会議でレアル・マドリッド執行部もカマチョ氏の辞任を承認、氏から提案された現監督補佐マリアノ・ガルシア・レモン氏が後任者としてシーズン終了まで監督を務めることとなっ た。
午後1時半過ぎから行われた記者会見でカマチョ氏は現在のチームプロジェクトを率いる能力を持たない自分により、これ以上チームの危機が深刻化するのを防ぐためであると辞任の理由を説明、新監督のレモン氏は、友人であるカマチョ氏が去る悲しみと共にこの役目を引き受けたと述べ、チームが厳しい状況にある現在、必要なのはファンの支えであると呼びかけた。

週末のスポーツの結果

自転車:ブエルタ2004、15日目の昨日はグラナダ-シエラ・ネバダ間29.6キロで個人タイムトライアルが行われ、サンティアゴ・ペレス選手(Phonakチーム)が2位のアレハンドロ・バルベルデ選手に1分7秒の差をつけてこの日の勝者となった。総合成績では、引き続き昨年の覇者ロベルト・エラス選手が1位だが、2位のバルベルデ選手が5秒差に迫っている。 
バイク:日本GP、250CCクラスこそ1位ダニ・ペドロサ選手、2位トニ・エリアスとスペイン勢が制したが、モトGPはジベルナウ選手が6位、チェカ選手が7位、125CCもロレンソ選手が7位とスペイン勢は揮わなかった。


9月17日(金)

造船所従業員とバスク州警官隊が衝突、16人が負傷

国営造船所従業員による抗議は日ごとに激しさを増している。昨日はビスカヤ県セスタオで、従業員と警官隊の衝突により16人が負傷、このうち、警官隊の発射したゴムボール弾を目に受けた56歳の従業員1人と、警官1人が重傷を負って病院に運ばれた。
日曜日、ビルバオでサパテロ首相が造船所継続と労働者の保護を約束したにもかかわらず、水曜日のSEPIとの会合にこの約束が全く反映されなかったことへの怒りに駆られ、昨日午前7時頃、ラ・ナバル・デ・セスタオ造船所従業員たちは、材木とタイヤでサントゥルチ-バラカルド間で国鉄の線路、ビルバオ-サントゥルチ間で県道3739号線を遮断した。その後、現場にバスク州警官隊が到着、戦いの火蓋が切って落とされた。労働者側はロケット花火、ナット、ボルト、ビー玉、石で警官隊を攻撃、警官隊はこれにゴムボール弾で応戦し、衝突が収まったのは10時頃、鉄道、道路の通行が復旧したのは正午頃だった。
昨日は、またコルーニャ県フェロールでも3000人がデモ行進を行い、PSOE事務所前に集結、カディス県のサン・フェルナンド、プエルト・レアル、カディス造船所は今日デモ行進を予定している。

離婚手続き短縮化、今日閣僚会議で承認へ

来年の夏の施行を目指し、今日閣僚会議で承認される見通しの離婚手続きの改正は、施行時に手続き中、係争中となっているすべての離婚手続きに対して適用される模様。この改正によりこれまでの離婚手続きの必須条件が撤廃され、これにより現在裁判所で見られる離婚手続きの飽和状態が解消されることが期待されている。
また、離婚申請の際、当事者たちは親権を1人が持つのか、2人で共有するのかを選ぶことができ、親権共有の場合、子供は一定期間ずつをそれぞれの両親と過ごすことができるほか、現在、離婚者間での問題となることが多くなっている年金についても、経済状況が悪化した者が、一括で受給することが可能となる。
この改正により、離婚成立に必要な期間は、協議離婚の場合2ヶ月、調停離婚でも6ヶ月と大幅に短縮される見通し。

2000人のタクシー運転手がデモ(セビジャ)

タクシー業界で最近の治安の悪化に抗議するため、昨日午前9時半サンタ・フスタ駅からタクシーが行列を成してセビジャ市役所に向かった。この1ヶ月で客から暴行を加えられたタクシー運転手は7人、火曜日には1人の運転手が2人の乗客に重傷を負わされ、80ユーロを奪われる事件も起きており、労働組合は、同じような事件が再び起こることを防ぐためにセビジャ市長が対し、防御ガラス、またはGPSシステムの搭載などの治安対策費用を市の年度予算に組み込むことを公に書面で約束することを要求した。現状が改善されない場合は、毎週日曜日、24時間ストを行う可能性もあるという。
市役所前に到着したタクシー運転手たちは、市役所の玄関に卵、トマト、オレンジを投げつけ、団体の一部が柵をなぎ倒した後、市役所に押入ろうとし、市役所を警備する警官と衝突、窓とドアのガラスが破壊され、このとき開かれていた会議は一時中断となった。市役所がデモの代表者と話し合いを行っている間、残りのデモ参加者たちは市役所周辺に駐車、周囲の交通に混乱をもたらした。タクシー運転手たちが通常の業務に戻ったのは午後4時半頃。


9月16日(木)

11-M調査委員会アスナル前首相を証人喚問へ

国会11-M調査委員会は昨日、満場一致でアスナル前首相と13人の証人喚問を決定した。この証人喚問要請は、国会の少数派政党グループが行ったものであるが、元首相が調査委員会で証言するのはこれが初めてとなる。前首相の証言の日程はまだ決まっていない。
アスナル首相の証人喚問が決定した後、サプラナPP(国民党)国会広報官がマルティネス-プハルテ議員に電話をかけ、同議員がサパテロ首相の証人喚問についても投票を行うよう要求、しかしこの要求は“書面で行われていない”との理由から却下された。
昨日の委員会の会議の後、サプラナ氏はPPが行っていた証人喚問要求は“真実を知るために必要であった”にもかかわらず、このすべてが却下されたことに異議を唱えた。また、PPのラホイ総書記長は、PPがサパテロ首相の証人喚問を書面により要請することを発表、これまで調査委員会が明らかにしたことと言えば、前政権は終始知っていたことをすべて国民に対し明らかにしたということ、そしてモロッコ国籍の者たちがテロの実行犯だったがその後ろで手配をしたものが誰かはわからないということの2点だけだと述べた。3月13日に警察が政府の命によりETAとイスラム過激主義者の関係について調査した際の報告書では、両者になんらの結びつきもないことが報告されているが、ここにきてPPはこの仮説に執着、テロ実行手配をしたのが誰だったかについて明らかにするため、ETAとモロッコ諜報機関に関する情報書類の提出を要求した。ラホイ氏はマスコミに偽の情報を流したのは誰か、総選挙前日の13日PP本部前でのデモを組織し、PPを総選挙で負けるように仕向けたのかについて調査委員会が調査を認めないことを糾弾、このような状態が続く場合はPPが調査委員会から脱退する可能性もあることを示唆した。
PPがサパテロ首相の証人喚問を要求している理由について、サプラナ氏は「我々の党は、サパテロ氏が3月11日から13日の間にマスコミと話し合いを持ったこと、この席で国民を混乱させる偽の情報を流した可能性があるとの情報をつかんでいる」と説明した。一方のPPは調査委員会はなぜ、このテロが起こったのかを調査し再発を防ぐためのもので、テロ発生後について調査する必要はないとし、この要請を却下している。
アスナル前首相はこれまでにも調査委員会出頭の用意があることを明らかにしてきていたが、側近の話によると、昨日も「国会がそれを必要と考えるのなら、喜んで出頭しよう」と述べ、彼はスペイン民主主義の歴史の中で調査委員会に出頭する唯一の首相であると、証言を行うことを避けているサパテロ現首相との違いを強調したという。

IZAR労働者とSEPIの話し合い決裂

SEPI執行部とIZAR労組の二度目の話し合いが昨日行われた。労組側は経営者側が何らかの姿勢の変更を示すことを期待して話し合いに臨んだが5時間にわたる話し合いの後、マスコミの前に現れた労働者側の代表者たちは、両者の姿勢は依然として大きく異なること、労働者側としてはSEPIの打ち出す解決策、軍事受注部門と民間受注部門の切り離しを受け入れることはできないことを改めて強調、9月21日、28日、30日の3日、再び数時間にわたり全国のIZAR造船所でストを行うことを発表した。次の話し合いは21日に行われる予定。
一方、日曜日にビルバオで「造船所救済」を約束し、労働者支持の姿勢を見せたかに思われていたサパテロ首相は昨日国会で、「SEPIのプランは、我が国の造船所の将来と話し合いの基礎となるに適したものである」と発言。これを受けてIU(統一左翼)のジャマサレス代表は、IZAR再建のために経済省の管轄下にあるSEPIの計画が採用されれば、左翼政党間の関係は危機に陥ることになると警告、またPPのフェルナンデス・デ・メサ議員は造船所をめぐる社会的軋轢の原因は、政府が明確な政策を示さないためだと政府を糾弾した。

エルゲルージ選手にアストゥリアス皇太子賞

昨日、アストゥリアス皇太子賞選考委員会は、アストゥリアス皇太子スポーツ賞の今年の受賞者にモロッコの中距離陸上選手ヒシャム・エルゲルージ選手を選んだ。選考委員の15人がエルゲルージ選手、3人がスペイン人ラリードライバーのカルロス・サインス選手に投票、スポーツ賞受賞者決定にこれほどの意見の一致が見られたことは過去にほとんどない。
アテネオリンピックで1500Mと5000Mの金メダル2つを獲得したエリゲルージ選手は優れたスポーツ選手としてだけでなく、ユニセフ親善大使としても活動。自国モロッコでも特に幼児の健康、栄養、発育問題の改善に力を入れた慈善活動を行っていることで知られており、昨日、受賞の知らせを受けた選手は賞金5万ユーロを学校の建設費用に充てると発表した。
アストゥリアス皇太子スポーツ賞の過去18人の受賞者のうち、陸上競技選手が受賞するのはこれで7人目。


9月15日(水)

造船所ストで9人が負傷

造船所IZARが昨日、スペイン各地10ヶ所で2時間にわたって行ったストにより、カディスでは労働者がホセ・レオン・デ・カランサ橋を占拠、警官隊との衝突により警官2人、労働者7人の計9人が負傷した。カディス以外の場所では警官隊との衝突は起きていない。
カランサ橋を占拠したのは、プエルト・レアル、サン・フェルナンド、カディスの3つの造船所の労働者で、橋の通行は午前8時から正午まで遮断され、カディス市内への車両、列車によるアクセスが不能となった。2人の警官の負傷は、投げつけられた鉄くず、ねじによるもので、労働者の負傷は警官が使用した催涙弾とゴムボール弾によるもの。セビジャでは、1000人以上の労働者がサン・テルモ宮(アンダルシア州知事の執務する場所)までデモ行進、ガリシアではフェロールで3000人、フェネで1000人近くがデモ、ヒホンでは、200人ほどの労働者がタイヤのバリケードに火をつけた後、マジョール広場で集会を行ったほか、セスタオ、カルタヘナ、マニセス(バレンシア県)でも、IZAR労働者によるデモ、集会が行われた。
労働者側は経営陣SEPIが提案している再建プランに反対しており、今日再び労組側と経営側との話し合いが行われる。一方、欧州委員会は、IZARがスペイン政府から受け、2002年3月にEU裁判所が違法との判決を下した補助金11.1億ユーロプラス3900万ユーロの利息の返還がまだ行われていないことから、スペインに対する懲罰手続きの準備を開始した。

イスラム主義テロリスト10人を逮捕(バルセロナ)

バルセロナで今日未明、少なくとも10人(大半はパキスタン人)がイスラム主義テロリストとつながりを持つ容疑で逮捕された。これは、中央管区裁判所の命によるものだが、11-Mとの関連はないものと見られる。
逮捕現場となった複数の商店、アパートはすべてラバル地区にあるもので、逮捕後、家宅捜査が行われ、武器、爆発物は見つからなかったが、多数の書類が押収され、これから分析にかけられる。

スペイン、コカインの消費量EU1位

15歳から64歳までの75万人以上がこの12ヶ月以内にコカインを使用していたことが、昨日エレナ・サルガド厚生大臣により明らかにされた。これは人口の3%にあたりEU1位で、アメリカと同じ比率にあたる。その他の麻薬の消費についても状況は好転しておらず、ヘロイン、LSDをのぞいて1994年以来すべての麻薬消費量は増加の一途をたどっている。欧州麻薬監視局の調べでは、スペインはマリワナの使用でEU3位、エクスタシーの使用で4位につけているという。
厚生省のデータによると、麻薬消費の増加にともない、複数の麻薬の服用が広がり、副作用による救急医療の増加が見られ、またケタミンや液状エクスタシーといった新しい麻薬も使用されるようになっているほか、麻薬服用を始める年齢も13から15歳にまで下がっている。
サルガド大臣は、厚生省で行っている国家麻薬プランがうまく機能していないことを認め、この見直しを行うことを発表。
厚生省の調査の結果によると、14歳から18歳のうちの6.8%が過去1年以内にコカインを使っており(1994年は1.8%)、36.1%(10年前の2倍)が1ヶ月以内にマリワナを吸っているほか、4.6%(1995年は2%)がエクスタシーを飲んでいたという。


9月14日(火)

西仏独、共同で外交政策、保安政策展開へ

昨日、マドリッドの首相官邸でサパテロ首相は、フランスのシラク大統領、ドイツのシュレーダー首相と三者会談を行った。この会談において、早急に共同で到達すべき目標として3ヶ国が挙げたのは欧州憲法の批准。サパテロ首相は、仏独両首脳と“その他の首脳”も交え、国民に憲法の内容と利点について説明を行うキャンペーン傘下を呼びかけた。
どの首脳も、憲法がすべての加盟国により批准される可能性以外については言及していない。ドイツは国会審議を通して早急に批准したい意向で、スペインも2月27日に批准のための国民投票を行う予定。問題を抱えているのはフランスで、社会党のファビアス元首相がさらなる社会保障制度を憲法に盛り込むことを要求している。
また、昨日は数ヶ月前に発表されていた警察・司法機関の協力体制、国境警備協力体制強化、犯罪者前科記録の共有のほか、二重国籍の許可、またスペインを将来的にフランス-ドイツ歩兵部隊、フランス-ドイツ海軍に組み込む計画も今後話し合うことで合意に達した。
イラク問題については、三者の間で話し合われたものの、マスコミに対して内容はほとんど明らかにされなかった。サパテロ首相が先週、イラクからの外国軍撤退は状況改善につながるとの考えを示したのに対し、シュレーダー首相が発言を控えた一方、シラク大統領は「他国のイラク問題に対する姿勢について私が意見を述べなければならない理由はないが、イラクでの現状は深刻で、改善が見えない。」とし、「我々は、それぞれが様々なやり方で、我々には閉じることのできないパンドラの箱を共に開けてしまった。しかし、いずれにせよ我々が各々の姿勢を変えることはない。」と否定的な意見を示した。
3ヶ国による首脳会談は今後も引き続いて開催されるが、さらに他の国がここに加わる可能性もある。シュレーダー首相は次回会談を年内にドイツで開催することを約束した。

1年以上の雇用契約を持つ不法居住者の居住・労働合法化を提案

ヘスス・カルデラ労働・社会問題大臣が昨日、国会で明らかにしたところによると、政府は10月の閣僚会議で外国人法改正を承認する見通しだという。これにより、雇用主を告発し、スペインにおける1年以上の就労状態を証明することのできる外国人不法労働者は、居住合法化を申請できることになり、雇用主はその年の未納社会保険を精算し、この労働者に1年以上の雇用契約を与えることにより、罰金住・労働許可は雇用契約が存続する期間に対してのみ与えられるもので、雇用契約が切れた時点で労働者は国に戻るか、新たな雇用契約を提出し居住・労働許可を延長しなければならない。また、居住・労働許可が有効となるには、社会保険加入が必須条件となる。
カルデラ大臣は、 この法改正が外国人労働者の合法的雇用を促進することを強調、スペイン国外で外国人労働者を雇用する際の基本必要条件もこれに合わせて改正し、国家雇用サービス局がスペイン国内居住者により埋められていないことが確認されている職業ポストについてのカタログを作成するという。また、申請書提出から回答までにあかる期間を現在の2ヶ月から1ヶ月に短縮することも明らかにした。また、昨日の発言中、カルデラ大臣は、政府の移民政策の柱となるのは、労働市場の需要に沿った行政、移民手引きマフィアの撲滅、移民のスペイン社会参加、移民排出国との協力であることを何度も強調。また、「まだまだなされるべきことはたくさんある」としながらも、最近のモロッコの協力強化を高く評価した。

公道で無許可のレースに60台以上の車が参加

昨日、ジローナの高速道路AP-7でポルシェ、フェラーリ、ロールスロイスなどの高級自動車およそ60台が違法レースに参加した。このレースはロンドンをスタートし、ゴールのベニドルムを目指したもので、参加運転手のうち2人は時速200キロ以上を出し、危険運転の罪により逮捕された。
カタルニャ州警察が国境のラ・ジョンケラからカタルニャ州に彼らが入るのに気づいたのは昨日の朝。参加者はユニフォームを着ており、大半がイギリス人だった。警察で調書を取られた後、警察署を後にした彼らは、この後裁判所から出頭命令が出たときに再びスペインに来なければならない。
この高速道路では4ヶ月前にも同様のレースが行われ5人が逮捕されている。


9月13日(月)

サパテロ首相、造船所救済を約束

バスク州知事候補としてPSE(バスク社会党)から立候補する予定のPSE党首パチ・ロペス氏は、現在の同党最大の懸念は従業員約1200人を抱えるラ・ナバル・デ・サステオ造船所の将来であり、サパテロ首相から特別にこの問題解決についての約束を取り付けたいと述べてから2日、サパテロ首相は40分にわたり同造船所役員会と会談、造船所存続を保証する何らかの合意を労組と結び問題を解決することを約束した。
また、1997年からPP(国民党)前政権が国立造船所IZARに対して出していたEU補助金が後、欧州委員会により違法とされたため、IZARはこれまで受け取った11億ユーロの返却を迫られているが、これについては、首相は現在 EUと懸命に交渉しているところだと述べた。
今週、アンダルシアではマヌエル・チャベス州知事がUGT(労働者総同盟)、CCOO(労働者委員会)のアンダルシア支部代表と会談し、アンダルシア州内プエルト・レアル、セビジャ、サン・フェルナンドにあるIZARの造船所の現状について話し合いを持つほか、水曜日には、造船所を民間受注部門と軍事受注部門に分割し、民間受注部門を民営化する提案を行っているSEPIとIZAR労組の話し合いもマドリッドで行われる予定。

エンシエロで2人死亡、12人が負傷(カンタブリア)

カンタブリア県アンプエロで開かれていたエンシエロ4日目の昨日、牛の角に突かれ2人が死亡、12人が負傷した。この日は初めて4歳牛がエンシエロに使われ、牛の体重は500〜520キロ、エンシエロは25分という長時間にわたって続いた。
亡くなったのはビスカヤ県レイオアに住む48歳の男性とラシネスに住む47歳の男性。48歳の男性は頚部を角で突かれ、運び込まれた病院で出血多量により死亡、47歳の男性は胃を突かれ、同じ病院で手術を受けている途中で死亡した。昨日の午後7時の時点で、負傷者12人のうち7人は打撲傷により引き続き入院中、4人はサンタンデールの病院に移送されており、1人が退院。負傷者のうちアンプエロの43歳の男性と42歳の男性、サントーニャの26歳の男性は重傷。
エンシエロ終了後、ニエベス・アバスカル市長は、市役所ではエンシエロの前に柵の補強を行い、子供と高齢者に参加をやめるよう呼びかけるほか、マイクで安全のための注意の放送も行っており、市役所では要求されるすべての規則を守っていたと強調した後、この日予定されていた祭の他のプログラムとすべての闘牛の中止を発表した。

週末のスポーツの結果:

テニス:全米オープン女子ダブルスで、ビルヒニア・ルアノ(スペイン)-パオラ・スアレス(アルゼンチン)組がロシアのスベトラーナ・クズネツォワ(今大会女子シングルス優勝)-エレーナ・リホフツェワ組を6-4、7-5で破り、3年連続で全米オープンのタイトルを獲得し、1995年以来このペアが獲得したグランドスラムタイトルはこれで7つとなった。
F-1:モンツァで開催されたイタリアGPを制したのはルーベンス・バリチェッロ選手。2位にミハエル・シューマッハ選手が入り、フェラーリチームの1、2フィニッシュとなった。フェルナンド・アロンソ選手(ルノーチーム)は、3位につけていた40週目で後輪を砂に取られコースアウトし、リタイア。


9月10日(金)

病院が火事、患者231人が避難

昨日午前8時頃、アリカンテ県オリウエラのベガ・バハ県立病院倉庫が出火、被害が出たのは倉庫のある地下だけだったが、煙が建物全体に充満、患者231人が避難を余儀なくされた。出火時が偶然、職員の勤務シフト交代時間に当たったため、通常の倍の数の職員により患者の避難作業は効率よく進められ、症状の重い160人(うち6人は集中治療室に入院中)は、48台の救急車で他の病院に移送され、患者55人が予定を繰り上げて退院した。
しかし、消防隊が消火活動に当たり、被害の度合いを調べている間に同病院内の集中治療室で78歳の男性患者が、また別の病院に運ばれる救急車の中で74歳の男性患者が脂肪。病院側では2人の死亡は火事にうよるものではなく、病状の悪化によるものであると説明している。
倉庫内冷却装置の電気回線がショートしたのが出火の原因と見られているが、市衛生局は詳しい原因についてさらなる調査を行う予定。

8月のIPC、前月から0.4%の上昇

今日のINE(国立統計局)の発表によると、8月のIPC(消費者物価指数)は前月から0.4%上昇し、これにより今年に入っての上昇は1.8%、この12ヶ月間の上昇は3.3%となった。
8月のIPC上昇の原因となっているのは、娯楽・文化費で1.6%の上昇、また燃料費の上昇を受け交通費も1.1%の上昇、夏休みシーズンとあってホテル、カフェテリア、レストランも0.9%上昇している。このほか、上昇幅は小さいものの、住宅(0.4%)、食料・非アルコール飲料(0.3%)、薬品(0.1%)も上昇、アルコール飲料、タバコ、教育費には変化がなかった。逆にIPCが下がったのは、電話(0.1%)のほか、夏のバーゲンシーズンの影響により衣料品・履物が0.4%下がっている。
この12ヶ月で最もIPCが上昇しているのは交通費(5.8%)、アルコール飲料とタバコ(5.6%)、ホテル、カフェテリア、レストラン(4%)、食料・非アルコール飲料、教育(3.9%)、住宅(3.8%)など。
8月に最も値上がりした食品は羊肉(4.4%)、鳥肉(1.5%)、缶詰・瓶詰果物とドライフルーツ(1.2%)、逆に値下がりしたのはじゃがいもとその加工製品(マイナス2.1%)、卵、豆類、生鮮野菜(マイナス1%)。この12ヶ月で見ると、油脂、缶詰・瓶詰果物とドライフルーツ、卵がそれぞれ19.9%、18.5%、12.5%と大幅に値上がりしている。
8月はスペインの全自治州でIPCが上がっているが、この12ヶ月で見た場合、最もインフレが進んでいるのがセウタとメリジャで4.4%、続いてカタルニャ(3.9%)、ムルシア(3.6%)、アンダルシア(3.4%)で、バレアレス、カスティジャ・ラ・マンチャ、バレンシア、ガリシア、マドリッド、ナバラはスペイン平均と同じ3.3%となっている。

地下鉄2号線、3号線、月曜日から運行再開へ(マドリッド)

6月19日から改良・拡張工事のため不通となっていた地下鉄2号線のソル−クアトロ・カミノス駅間と3号線全線が来週の月曜日、9月13日から運行を再開することが発表された。
全線が不通となっていた3号線で行われていたのはホームの拡張工事で、これにより駅の長さが60Mから90Mまで伸び、車両数が4両から6両に増やせるため、混雑解消につながる。また、同時にトンネル、線路の補強工事、駅の雨漏り修理工事も行われたが、これらの工事はすべて終了するまでに2年かかると見られている。一方、路線の一部が不通となっていた2号線では、工事区間のトンネルの補強工事が行われた。
運行が再開されることにより、工事期間中提供されていた無料バスサービスは終了、また利用者の一時的増加のため増発されていた地下鉄1、4、4、6、10号線のダイヤも通常ダイヤに戻される。
この工事にかかった費用は306,642,372ユーロで、マドリッド州とマドリッド市が半分ずつ負担することになっている。


9月9日(木)

首相、PNV党首と会談

サパテロ首相は昨日、PNV(バスク民族党)のイマス党首と1時間半にわたり首相官邸で会談した。首相が今年1月に党首に選出されたイマス氏と会談を行うのはこれが初めて、PNV党首が首相官邸を訪問するのは6年ぶり(当時の党首はアルサジュス氏)だが、両者ともこの会談を“対話と尊敬の新しい時代の始まり”と評価し、政府関係者も緊張関係の続いたPP政権時代からの関係の変化を期待している。
昨日の会談により、両者はエウスカディ(パイス・バスコ)の将来についてのお互いの姿勢を確認、首相はイバレチェ・プランを進めるにあたってバスク政府がとった方法を批判、地方政治に対しスペイン憲法が与えている権限の限界についてイマス氏に釘をさした。また、首相は、エウスカディ内でさらなる自治権獲得のための合意が足りない点を指摘、この点については7月の首相との会談においてイバレチェ州知事も認めたところであるが、これについてイマス氏は、いずれにせよ、このプランがエウスカディの将来については最も合意を得ているプランであること、また非民族主義政党であるIU(統一左翼)もこれを支持していることを強調した。
またイマス氏は、「PSE(バスク社会党)が提案し政府も支持する姿勢を示している自治憲章改正案とイバレチェ・プランを両立させることがカギとなる」と新しい時代は一方的にプランの撤収を迫るのではなく、議論によって始まるものだとも発言。PNVは、PSEがこの改正案をイバレチェプランの修正案としてバスク州議会に提出、審議にかけることを要請しているが、PSEはこれを拒否している。
イバレチェプランの承認については12月にバスク州議会で採決が取られるが、プラン承認のためには、バタスナ党(テロリスト組織ETAとのつながりを指摘され、政党法の制定により非合法政党と認定)の支持が不可欠となっている。しかし、現在のところバタスナ党は姿勢を明らかにしていない。

PP、アスナル氏のために名誉職創設

PPは10月1日から3日まで第15回党大会を開き、そこで執行部が新編成され、PP党首に現総書記長のマリアノ・ラホイ氏が就任するが、PPでは、前首相アスナル氏を引き続き執行部にとどめるために新しく名誉党首という地位を創設した。野党という新たな環境での活動のため、ガブリエル・エロリアガ氏とアナ・パストール女史(前政権厚生大臣)が党の定款変更案を作成しており、これが党大会で承認される見通し。
党大会ではラホイ氏が党首に、ナンバー2の総書記長の座にはアンヘル・アセベス氏(前内務大臣)が就任し、ラホイ氏は次回総選挙で与党に返り咲くための対外活動、アセベス氏は党内管理を担当する。執行部は12人で構成される予定で、ラホイ、アセベス氏のほかに、下院広報官としてエドゥアルド・サプラナ氏(前政府広報官)、上院広報官にピオ・ガルシア・エスクデロ氏(元マドリッド市助役)、欧州議会広報官にハイメ・マジョ−ル・オレハ氏(元内務大臣)が就任。また、調査部門は、アスナル氏が会長を務める財団FAESが担当、経済政策、社会政策、自治権、保安司法、組織コミュニケーションの6部門の書記官も任命される。
これで、アスナル氏が名誉会長、フラガ氏が創設会長の座に就くことが決まったが、両氏とも党リーダーの座を去って以来、特別な場合を除いて党高いには出席していない。


9月8日(水)

11−M調査委員会、調査続行へ

与党PSOE(社労党)は昨日、すべての少数派政党からの申請に応じ、新たな証人喚問を含め、国会11−M調査委員会の調査を続行することを承諾、この申請は満場一致で可決承認された。
最大与党PP(国民党)がテロの“頭脳面での首謀者”についての調査が不足していることを調査延長の理由としている一方、与党PSOEは、数ヶ月前からイスラム主義者のテロ発生の兆候があったにもかかわらずテロを防げなかった前政権の“不備”について、もう少し深く分析することが必要であるためとし、アセベス内務大臣の指揮のもと、警察機関の間で連携がうまくいっていなかった点を強調している。
昨日、少数派政党グループはホセ・マリア・アスナル前首相の証人喚問を要請したが、前首相を含むすべての証人喚問要請者については、次回委員会開催の9月15日に決定される。

集中豪雨により3人行方不明

カタルニャ、アラゴン、ナバラ、バレンシア、パイス・バスコで月曜の夜から火曜の明け方まで降った大雨により、各地で浸水、道路の通行止め、鉄道運休、航空便の経路変更が余儀なくされたが、タラゴナ県カンブリルスでは、集中豪雨により夫婦と女性の兄である男性1人が行方不明となっている。アンドラ居住者であるこの3人は夕食後、自宅に向かって四輪駆動車で移動していたところ、集中豪雨により激流と化した川の流れで車が立ち往生。救助を求めるために車から降りていたためこの夫婦の14歳の息子の通報により警察が現場に急行したが、500Mほど海の方向に流されている車両は見つかったものの、3人の姿はなかった。カンブリルスでは、15分間で1平方メートルあたり120リットルの雨が降っており、当時の川の状態からして3人が生存して発見される可能性は絶望的という。また、サラゴサとナバラでは引き続き8つの道路が通行止めとなっている。

有毒物質積載のスペインの船、トルコ沖で沈没

発ガン性物質クロモ4を含む灰3488トンを積載し、スペインから出航した船MV Ulla丸が月曜日、停泊していたトルコ南部のアレハンドレタ沖で沈没した。
この灰は、スペインの3ヶ所の火力発電所から出たもので、1999年12月9日、環境省の許可なしでアストゥリアス県アビレスからアルジェリアに向けて出航。これは、建設会社ACSドラガドスがこの灰を購入し、セメントと混ぜてアルジェリアでのダム建設に使用しようとしていたためであったが、1999年末船がアルジェリアに到着した際に船倉に水が入り、灰が湿ったためダム建設への使用が不可能になった。この後、船長はなぜか船をスペインに戻さず、トルコに向かい、灰を下ろし始めたが、環境保護団体グリーンピースの抗議によりトルコ当局が灰の検査を行った結果、積載物質の有害性が発覚し、灰は再び船に積み込まれた。船がトルコに向かった理由のほか、出航時3488トンあった灰がトルコに到着した際になぜ、2200トンしかなかったのかについても現在のところ公式発表はない。
この後、トルコ政府がスペイン政府に対し、灰をスペインに戻すよう要求、スペイン環境省がこの責任者を船に灰を積んだAsland社とし、同社に対し船をスペインに戻す手続きを開始するよう要求するという二重の訴訟が始まった。当初Asland社は、責任者は灰を購入したACSドラガドス社であると主張していたが、最終的に2003年2月にこの船をスペインに戻す意志を表明した。
ところが、有害物質を持ち込もうとした罪による罰金1.4億ユーロと入港税(1300ユーロ)の未払いによりMV Ulla丸はトルコ政府により差し押さえとなった。この問題が解決したのが2004年6月で、スペイン政府が別の船で灰をスペインに戻す手続きを開始した。スペイン環境省はAsland社に対し、灰をどのようにスペインに持ち帰るのかについて計画書を提出するように指示、同社が計画書作成のための具体的な情報を環境省に要請したところ、回答が得られたのが今月3日だった。
スペインに灰が戻されることが決定した直後に船が沈んだため、オスマン・ぺぺ・トルコ環境相は意図的に沈められたとの見解を示している。現在のところ、クロモ4が船倉から漏れた形跡は見つかっていないが、ぺぺ環境相は周囲の海域に汚染が認められた場合はスペイン政府に賠償金を要求するとしている。


9月7日(火)

PSOE、PP、“11-M調査委員会にアスナル氏出席は無用”

国会11−M調査委員会は、夏休みを終え今日、再び会合を開き、この席で新たに証人喚問が必要か、それとも報告書の作成に取り掛かるかを決定する。昨日与党PSOE(社労党)と最大野党PP(国民党)は、ホセ・マリア・アスナル前首相の証人喚問は不必要との結論に達しているが、少数派政党はこの考えに賛成していない。
アスナル氏の証人喚問についてはPP、PSOEに並び、ERC(カタルニャ左翼共和党)も「今さら大した貢献ができるとは思えない」としているのに対し、PNV(バスク民族党)は「国民と犠牲者はアスナル氏が出頭しないということを理解できないだろう」と述べているが、アスナル氏の証人喚問の是非について委員会で採決を迫る姿勢は示していない。
また、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は今後委員会が新たに証人を喚問するかどうかについて「本質的な部分で疑惑は解明されている。」とし、調査委員会と司法機関では働きが違うものであるから、ある時点で、“終止符を打ち、将来について考えるべきだ”との考えを示した。
PSOE、IU(統一左翼)、ERCは、前政権がテロを未然に防げなかったこと、また総選挙を前に世論を操作しようと試みたことを糾弾するという結論を発表することで意見が一致しているが、PP、CiU(カタルニャ連合)、PNVはそれぞれの異なった理由により結論を出さない意向。CiUはPSOEとPPの出方を見極める考えで、PNVはすでに自党での結論を出しているものの、今日これを発表する考えはなく、PPは調査を継続し、新たな証人喚問を要求することにより、前政権への糾弾を避けたい模様、また、PSOEはこの調査委員会の結末として、国際テロに関する協定を諸政党と結びたい意向。

違法火薬倉庫が爆発、2人死亡(マドリッド)

昨日の午前8時55分、マドリッドのプエンテ・デ・バジェカスにある工業地区ラ・セラミカで大規模の爆発があり、2人が死亡した。爆発により亡くなったのは34歳と36歳の男性で倉庫に隣接する自動車修理工場で働いていたが、倉庫と修理工場の間の壁が爆発により倒れ、この下敷きとなって亡くなったほか、倉庫で働いていた42歳の男性が重傷で病院に運ばれ、さらに通行人など8人が軽い怪我を負った。また、爆風により近くのアパートが損壊し、12戸が避難した。
爆発したのは映画の撮影用の銃器を保管していた会社で、爆発により倉庫は壊滅状態となった。この会社は銃器保管の許可は持っていたが、400キロにもなる爆薬・銃弾の保管許可は持っていなかった。2月に治安警備隊の検査が入ったおりには、何の以上もなかったという。倉庫の持ち主は逮捕されたが、爆薬は保管していなかったと供述しているという。


9月6日(月)

首相、年金支給額引き上げを約束

昨日、ロディエスモ(レオン県)で開かれた炭鉱夫の年次集会に出席したサパテロ首相は集まった35000人の聴衆を前に“最も切実な国民の要求に応えるため”の来年度の予算案の一部を明らかにした。UGT(労働者総同盟)のカンディド・メンデス氏からの問いに答える形で発表となった年金支給額引き上げについては、IPC(消費者物価指数)の予想と各政党との会談が終わるまで最終的な決定はないが、首相は来年度予算で年金支給最低額を2倍にして計上すると発表した。関係者の話では、支給額は平均3%上昇、最低額は6%〜6.5%の上昇で、300万人が1987年以来最大の上昇となる最低年金支給額の上昇の対象となり、これにかかる費用は4億ユーロと見積もられる。
また、来年度は今年度より20万人多い50万人に対し、住宅購入のための補助金が支給され、経済状況の苦しい家庭対象の奨学金2.5万口が支給されるという。サパテロ首相は来年度予算案を“社会的支出い重点を置き将来を見据えた”予算案と定義、これまでのPPの政策とは方向が異なることを改めて強調した。

明日から新学期

就学カレンダーについては、各自治州で決定することとなっているため、明日から徐々にスペイン各地で小中高等学校が新学期を迎える。例年と同じく、最初に新学期が始まるのは幼稚園(0歳から6歳)と小学校(6歳から11歳)の最も小さい子供達からで、カナリアス州とラ・リオハ州は明日から、カスティジャ・ラ・マンチャ州とムルシア州ではあさって8日から新学期の始まりとなる。新学期が始まる州が最も多いのは9日木曜日で、アラゴン、アストゥリアス、カンタブリア、ナバラ、バレンシアの5州、翌日10日にはガリシア州とセウタで新学期開始となる。来週13日月曜日にはマドリッド、バレアレス、エクストレマドゥラの3州が、14日にはカスティジャ・イ・レオン州で学校が始まり、最も遅いカタルニャ州の子供達が学校に戻るのは15日水曜日。今年度終了が最も早いのは、アラゴン、カンタブリア、カスティジャ・ラ・マンチャ、ラ・リオハ州で6月21日、最も遅いのはガリシア、カスティジャ・イ・レオン州で27日となっている。
また、12歳から16歳までの中高校生は、最も早い州(アラゴン、アストゥリアス、カスティジャ・ラ・マンチャ、エクストレマドゥラ、セウタ)で13日から、カナリアス、ラ・リオハ両州は14日から新学期が始まり、翌15日にはマドリッド、カタルニャ、バレアレス、ムルシア州、16日にカンタブリア、17日にガリシア、ナバラ、バレンシア州で新学期が始まり、最も遅い20日にはカスティジャ・イ・レオン州でも新学期開始となる。今年度が終了するのは、最も早いナバラ州が6月10日、最も遅いムルシア州が30日。
登校日数が最も少ないのはカンタブリア州の高校生で159日、逆に最も多いのはラ・リオハ州の幼稚園で177日となっており、同じ学年でも州によって最大16日の登校日数の差が出ている。年間登校日数も各自治州が決定するが、市町村の祝日の影響があるため同じ州内でも市町村によって多少の差が出るのは普通。

RENFEの負債56億ユーロ国費負担へ

2005年鉄道自由化法が施行されるのに先立って政府はRENFEの全負債額の80%にあたる56億ユーロを国費負担する模様で、現在勧業省と経済省が最終調整を行っている。
RENFEが現在抱える72億ユーロの字のうち、38億ユーロは線路の整備に必要な支出が政府から遅れたためのもので、18億ユーロはインフラ購入費によるもの。主に車両の購入により発生した16億ユーロの赤字はRENFEの負債として残される。
この56億ユーロの扱いについて、現在最終的な決定はまだ下されていないが、18億ユーロを国の赤字として計上、残り38億ユーロは、鉄道が自由化されてから鉄道システム管理を行う新しい公共会社ADIF(鉄道インフラ管理会社)に肩代わりさせる可能性が高い。RENFEの負債を国が負担することにより、政府の赤字が急増する危険があるが、これについては部分的に社会保険収入増がカバーすると見込まれている。


9月3日(金)

PSOE、YAK遺族、トリジョ氏に議員辞職を要求

昨年5月26日にトルコのトラブゾンで墜落したYAK42機の身元確認において、スペイン人医師団が30人すべての身元を間違っていたことが判明し、PSOEと遺族は当時防衛大臣を務めていたフェデリコ・トリジョ議員(PP)に“政治家としての責任をとり”議員バッジを返還するよう改めて要求した。 また16遺族は、身元確認が正しくなかったのは、確認作業中のミスがあったからではなく、トリジョ前大臣から遺体の身元がわからないようにするよう命令があったと考えており、最高裁判所にトリジョ議員を訴える準備を進めている。
昨日政府は9月中にこの件について国会で審議を行うことを発表したが、IU(統一左翼)、ONV(バスク民族党)、CiU(カタルニャ連合)は、調査結果についての報告をボノ現防衛大臣が国会で行うことを要求している。

ナルボナ大臣、水路計画代替案を発表

クリスティナ・ナルボナ環境大臣は昨日、国家水路計画の代替案として、A.G.U.A.プランを発表、この中の105の緊急対策については、2005年中に成果を出すと約束した。これから国会で審議されるこの案では必要経費は39億ユーロと見積もられており、これにより最終的にはカタルニャ、バレンシア、ムルシア、アンダルシアの1063ヘクトメートルに水が供給されることになる。
この新しい計画はA.G.U.A.(Actuaciones para la Gestion y la Utilizacion del Agua−水管理・使用のための活動)と名づけられ、費用の33%にあたる12.62億ユーロについてはEUからの補助金が見込まれている。計画中重要度の高い工事は、20の海水淡水化施設建設・拡張工事。2ヶ月前に環境省が国家水路計画中止を決めた際には、最初の成果が出るまでにかかる期間を1年と見ていたが、計画が具体化し、2005年上半期には成果が出る可能性が高いことが明らかになっている。

“Mar Adentro”プレミア試写会に首相と6人の閣僚が出席

『テシス-次に私が殺される』、『オープン・ユア・アイズ』、『アザーズ』の作品で知られるスペインのアレハンドロ・アメナバル監督の最新作『Mar Adentro』のプレミア試写会が今日からのスペイン一般公開に先駆けて、昨夜開かれ、この試写会に昨日、首相夫妻、ボノ防衛大臣、カルデラ労働大臣、ロペス・アギラル法務大臣、カルボ文化大臣、トルヒジョ住宅大臣、サルガド厚生・消費大臣が出席した。試写会出席の理由についてサパテロ首相は「スペイン映画への支援の必要性に応えるため」と答えたが、安楽死を合法化することについての意見を求められた際には「映画の話をしよう」と返答を避けた。
『Mar Adentro』は、四肢付随のラモン・サンペドロ氏が安楽死の権利を求めて闘い、ほぼ30年にわたる病床生活の後、周囲の助けにより安楽死を実行した実話を扱ったもので、主人公をハビエル・バルデムさんが演じている。この作品はベネチア映画祭にも出品されており、他にロラ・ドゥエニャスさん、ベレン・ルエダさんなどが出演、サウンドトラックはアメナバル監督自身が作曲、サンペドロ氏がガリシア出身者である関係で、ガリシア人ミュージシャンカルロス・ヌニェス氏も協力している。


9月2日(木)

7、8月の交通事故死者数、昨年より減少

1年のうち最も交通事故死者数が多いのは7月、8月だが、今年の夏は25年ぶりに交通事故死者数が減少した。ホセ・アントニオ・アロンソ内務大臣によると、今年の夏は昨年に比べて交通事故数が109件、死者数は143人、負傷者数207人減少したという。この2ヶ月の交通事故数は前年同時期に比べて15%の減少であるが、この事故の大半はスピード違反、または飲酒運転によるもので、事故の75%は監視の少ない支線道路で深夜または明け方に発生している。
アロンソ大臣は減少の理由について、この夏集中的に行われた3つのキャンペーン、スピード違反取り締まり強化、道路上でのアルコール検査数増加、DGT(交通総合局)が道路上の電光表示板とマスコミを使って行った宣伝の成果だとしている。この時期、アルコール検査は昨年の45%増の535,082件行われ、うち2.95%の15,828人が陽性、スピード違反取締りに関しては、4,628,582台が監視カメラにより撮影されたうち、150,259台が罰金対象となった。内務大臣によると、運転者が制限速度を守った場合、さらに事故数はさらに30%下がるという。

YAK42機犠牲者身元再調査終了

アフガニスタンでの任務を終えたスペイン軍兵士を乗せトルコで墜落、乗っていた兵士62人全員が死亡した事件から15ヶ月、昨日国立毒物学・法医学研究所は防衛省に最終報告書を提出し、これをもって防衛省は身元再調査を終結とした。
7月8月に行われたDNA検査の結果を載せたこの最終報告書によると、62人の身元のうち、スペイン人医師団により行われた30人の身元確認の結果は“すべて間違い”で、身元が正しく確認されていたのはトルコ人医師団が行った32人だったという。昨日の午前中の報告書提出を受け、午後にはフェリックス・サインス国家防衛隊長が遺族に電話で結果を連絡、今日から報告書が郵送される。報告書によると、スペイン人医師団が30人の身元調査に費やした時間はわずか3時間25分で、この結果多大なミスが生じたのは確実。すでに身元確認書に署名した2人の責任者は更迭されているが、2人を相手取った遺族会の告訴も7月15日全国管区裁判所により受理されている。
最終報告書により遺体のすべての行方も明らかにされており、遺族が希望した場合は遺体の交換も可能とる。遺体の掘り起こしを行う際には、裁判所の許可が必要となる上、少なくとも14人の遺体は火葬、うち数人は散骨されている。遺族会会長と昨日会談したホセ・ボノ防衛大臣は、必要なすべての手続きに協力することを約束した上で、改めてマドリッドに共同墓碑を建設し、すべての犠牲者を葬る提案も行った。

8月の失業者増加数、過去20年で最悪

労働省の発表によると、失業者数が13,217人増加し、1984年以来最悪の増加を記録した8月となった。また、6ヶ月連続で続いた失業者数減少の傾向もこれによりストップし、INEM(職業安定所)に登録されている失業者数は1,598,392人となっている。
部門別に見た場合、失業登録者数が減少したのは、初任者6,849人(3.14%)、サービス業672人(0.07%)、農業537人(1.43%)であるが、産業で8,857人、建設業で12,418人とそれぞれ3.7%、7.09%の大きな増加があったため、結果的には失業者数が増加する形となった。男女別に見た場合、女性の失業者数は7,742人(0.81%)減少しているが、男性は20,959人(3.33%)増加している。また自治州別では、カナリアス州が2399人の減少でトップ、続いてマドリッド(1,592人)、カスティジャ・イ・レオン(533人)とその他3州で減少、一方最も増加が大きかったのはバレンシア州の5,592人で、続いてカタルニャ州3,588人となっている。


9月1日(水)

2003年移民入国数はスペインがEU1位

Eurostat(ヨーロッパ統計局)の調べによると、スペインは2003年EU加盟国の中で最も人口増加が多い国の1つだったことが明らかになった。主要な原因は移民の急増で、2003年EU加盟15ヶ国の移民収支(入国した移民数から出国した移民数を引いたもの)が168百万人だったのに対しスペインはおよそ59.45万人と、EUの増加移民の3人に1人はスペインに入国していることがわかった。次に入国した移民が多いのはイタリアで51.12万人、続いてドイツ14.49万人となっている。
スペインの1000人あたりの人口増加率はキプロスの21.5人に次ぐ15.5人。インドの14.7人を超えているが、人口増加64.73万人のうち、2003年のスペイン人の増加(出生者数から死亡者数を引いたもの)はわずか5.3万人だった。
また出産年齢にある女性1人あたりの子供の数はヨーロッパ平均が2002年の1.46人から1.48人とわずかに上昇。この数字は国によって開きがあり、1位のアイルランドが1.98人、2位のフランスが1.89人であるのに対し、スペインは平均以下の1.29人。しかし、EU新加盟国のキプロス(1.16人)、スロバキア(1.17人)、ポーランド(1.24人)の数字がこれを下回っており、スペインはようやくEU最低数の国でなくなった。
このほか、EU平均年齢は男性が74.8歳、女性が81.1歳であるのに対し、スペインは男性77.2歳(77.9歳のスウェーデンに続き2位)、女性83.7歳(1位。2位はフランスの82.9歳)とEU有数の長寿国であることも明らかになっている。

首相、ラホイ氏と会談へ

ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相が今月中にPP(国民党)のマリアノ・ラホイ総書記長と首相官邸で会談を行うことを、昨日ジョルディ・セビジャ行政大臣が明らかにした。ラホイ氏が書簡により要請したこの会談では、欧州憲法についての国民投票、スペイン憲法および自治州憲章改正について話し合われる予定で、首相がラホイ氏と会談を行うのは就任後これで2度目。書簡の中でラホイ氏は自治州問題について与党PSOE(社労党)メンバーがこれまでに示している意見の相違、矛盾に“大きな懸念”を抱いていると表明、これについてセビジャ大臣は、憲法改正は1年、2年といった短期間で決定されるものではなく、それまでに党内外を含めて最大の意見の一致を見るための努力が必要であることを強調、また改正に関しては国家のあり方、スペイン国家の不分解性を定めた憲法第1条と第2条については何らの変更も行わないことを改めて繰り返した上で、「民主主義の基本である討論を恐れることはない。PPメンバーの多くはこの問題に関して討論の必要があることを理解し、これに参加する意志を表明しているのだから。」とラホイ氏に呼びかけた。

フォーラム出演中に3人の囚人が脱走

カタルニャ州法務局とフォーラムバルセロナの協力により、教育プログラムの一環としてこれまでにバルセロナ市内の刑務所に収監されている800人以上の囚人が演劇、コンサートなどの形でフォーラムに出演してきた。
昨日はバルセロナのQuatre Camins、ModelsとCans Brians3つの刑務所の囚人がフォーラムバルセロナを訪れたが、この機会を利用し3人の囚人が脱走した。この3人はいずれも軽犯罪により収監されている者で、うち2人はTrinitat少年刑務所、1人はQuatre Caminsに収監されていた者だとされているが、3人の身元については今のところ発表されていない。




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