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11月30日(火)

アスナル前首相、11−M調査委員会に出頭

ホセ・マリア・アスナル前首相は、昨日53人目の証人として国会11−M調査委員会に出頭した。アスナル前首相は、テロ発生前後の自身の首相としての任務にいかなる失敗も認めなかったほか、前首相、前大臣の中で3月11日(テロ発生日)から14日(総選挙開催日)の間に、嘘をついたり、情報操作をした者はいないと断言、選挙戦を有利に進めるためにこのテロを利用し、PPを政権から追い落とすための情報操作を行ったのは、現与党PSOE(社労党)と一部のマスコミであったと述べた。前首相は、証人喚問の間終始落ち着いており、自身と前政権の弁護だけにとどまらず、11−Mの首謀者であったイスラム主義テロリストとバスクテロ組織ETAとの関連について十分な操作を行っていないと現政権を非難するにまで至った。
スペイン現行民主主義の歴史の中で初めて元首脳が国会調査委員会に証人として出頭、11−M調査委員会始まって以来の11時間(うち休憩は5分ずつの2回のみ)という長時間にわたって行われた昨日の証人喚問は、結局新たな事実が明らかになることも、前首相がなんらかのミスを認めることもなく午後8時終了、笑顔で国会を後にするアスナル首相とPP議員と対照的に、喚問した議員は苦々しい表情だった。
国会前には午前9時からPP支持者グループが下院前に集まり、アスナル前首相への支持を示した。11−Mの被害者と遺族のグループも上院前に集まっていたが、両グループの衝突を避けるため、警察はこのグループが下院前に移動することを許可しなかった。両グループはその後一旦解散し、午後8時前再び終結、このときは11−Mの被害者と遺族のグループも20Mほど離れた場所に集まった。証人喚問終了後は、PP支持者がPPの旗を振り、アスナル前首相支援を叫ぶ一方、遺族グループは、手のひらを赤色に塗り、アスナル前首相と前政府に対する責任追及を要求した。

首相、ロシア訪問を中止

アスナル前政権が2年半前のベネズエラでのクーデーターを支持していたとのテレビ番組での発言について、明日、発言者のミゲル・アンヘル・モラティノス外務大臣が国会で説明を行うことになっているが、これに出席するため、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は予定されていたロシア訪問を中止する旨、プティン・ロシア大統領に連絡した。首相は明日の午後国会で、PP(国民党)党首のマリアノ・ラホイ氏からの予定されている質問「外務大臣により引き起こされた政府の危機にどのように対処するつもりですか?」に答えなければならない。
PPがサパテロ首相に対し、モラティノス大臣を更迭するよう執拗に要求しているほか、これまでの記者会見でもこの件についての発言が求められているが、首相は常に「大臣が自ら国会外務委員会で説明します。」と述べるに留め、それ以外にはいかなるコメントも行っていない。国会外務委員会は明日の午前中行われる。

フエルテベントゥラ島に大量のイナゴ

朝方に降った雨と南東から西への風向きの変更により、日曜日、州政府が収束に向かうと発表したイナゴの襲来だったが、昨日フエルテベントゥラ島北部にあるコラレホ自然公園の黄金色の砂は、明け方隣のランサローテ島から飛来したイナゴの大群により真っ赤に埋め尽くされた。
農業局の発表では、島北部のマハニチョとコラレホ自然公園の間の地域に飛来したイナゴの数を1億匹以上と発表。飛来したイナゴは余命1〜2週間の死期が近い赤色の状態であること、飛来地域が自然保護区であり他の植物への被害が大きいこと、この地域は乾燥地帯で集落が少なく、農業もほとんど行われていない(フエルテベントゥラ島の農業の90%は中央部と南部での温室栽培に集中)ため、人間への被害は小さいことから、農業局では自然の力に任せ、殺虫剤の散布は行わない方針。


11月29日(月)

カナリアス州政府、イナゴ災害収束を宣言

アダン・マルティン・カナリアス州知事は、昨日ランサローテ、フエルテベントゥラ両島でのイナゴ災害が“解決の道に入った”と述べた。知事は、同島での状況がはっきりと改善の方向に向かっていることを認めたが、警戒体制は数日間は緩めない方針であることも明らかにしている。
セネガルに端を発したイナゴ災害は東はイスラエルにまで広がり、すでに4百万ヘクタールが被害に遭っている。ランサローテ島、フエルテベントゥラ島には、強い西風により、土曜日から日曜日にかけて、イナゴ600万匹が運ばれてきたが、アフリカ大陸からおよそ100キロを飛んだ後のイナゴが体力をほとんど使い果たしていたことに加え、風向きの変更、降雨と殺虫剤の散布により、災害は収束に向かった。
イナゴの来襲による被害額は明らかになっていないが、ジャガイモ、ブドウを中心に被害が見られたほか、トマトの一部もイナゴに食い荒らされたとの報告があるが、被害の規模は大きくはないという。

性虐待63人目の犠牲者は18歳の女性

昨日、セビジャ県ウトレラの自宅で、3児の母のマリア・アンへレス・ゴンサレスさん(18歳)が死亡しているのが見つかり、数時間後、同居していたアンドレス・レジェス・レジェス(26歳)が殺人の容疑で逮捕された。
遺体を発見したのは、マリア・アンへレスさんの姉で、午前6時頃、ディスコの帰りにタバコをもらいにマリア・アンへレスさんの自宅に立ち寄ったところ、彼女がベッドで血まみれになって瀕死の状態だったという。マリア・アンへレスさんは犯人のレジェス容疑者との間に3歳、1歳半、8ヶ月の子供がおり、4年ほど前から同居していたが、最近は容疑者の暴力を受けるようになり、アンダルシア地方放送局Canal Surの番組“Siete Lunas”に出演したほか、市役所のソーシャルサービスに相談もしていた。レジェス容疑者は過去に窃盗、家庭内暴力(マリア・アンへレスさんは直前になって訴えを棄却)で服役していた。事件が起こったのは、エル・ティンテと呼ばれる、窃盗と麻薬売買が常習的に行われていることで官憲当局にも知られている地域。レジェス容疑者の逮捕後、犠牲者の家族と犯人の家族が怒鳴りあう緊張した場面も見られた。
ウトレラ市役所では、5分間の沈黙の後、ウトレラ女性協会の代表者たちが性虐待反対と、犠牲者への正義を求める声明文を読み上げた。スペインでは今年に入って夫、恋人、元夫、元恋人による虐待により63人の女性が命を落としているが、アンダルシア州の犠牲者の数は全国1位(17人)となっている。

サインス選手、引退セレモニーに10万人(マドリッド)

1990年、92年と2度、世界選手権で優勝し、今季限りの引退を先月発表したラリーのカルロス・サインス選手(1962年マドリッド生まれ)の引退セレモニーが昨日正午からマドリッドで催された。
シトロエンチームのユニフォーム姿で登場したサインス選手は、ラリーで使用していたサラに乗り、インでペンデンシア広場をスタート、アルカラ通り、シベレス広場を通って、レアルタ広場で終了、「自分がラリーカーに乗る最後が家族、友人、ファンに囲まれてマドリッドの中心になるとは夢の中でさえ思っていなかった。」とコメント、記者会見で今後の予定について聞かれた選手は、早まった判断をするのはよくないので、引退発表以来、ずっと考えていると述べた。セレモニーに集まった人の数はおよそ10万人。


11月26日(金)

PP、政府とのあらゆる話し合いの条件に外相の謝罪と訂正を要求

モラティノス外相が、月曜日に出演したテレビ番組で「在ベネズエラスペイン大使は、アスナル首相からクーデータを支持するよう命令を受けていた」と発言、前与党PPは火曜日と水曜日にマリアノ・ラホイ党首が、昨日はアセベス書記長がモラティノス氏に対し、公式に発言を撤回、謝罪することを要求、昨日アセベス大臣は「撤回がない場合、PPは対テロ協定や通常の行政に必要な政府への協力を制限する。」と記者会見で宣言した。これは、PPが外国人法改正、ジェンダー虐待法承認のほか、EU憲法批准キャンペーンについてもPPが政府に協力しないことを意味する。さらに、PPは謝罪がない場合は、来週、国会法が許す範囲内でモラティノス大臣リコールのあらゆる可能性を模索しながら、水曜日、モラティノスが今回の発言について国会で説明する際には、質問攻めにする見込み。
PPは、モラティノス大臣が発言の信憑性を裏打ちする証拠を一切持たないことを強調、当時外相を務めていたジョセップ・ピケ氏はエル・パイス紙に対し、「スペインはクーデターを支持したのではなく、ベネズエラ国民と民主政治を支持しようとした。スペイン政府が最大の努力で避けようとしたのは、民間人の衝突による危険だった。」と断言している。

マドリッド州、ワーナーブロスパークに5百万ユーロを緊急投資

マドリッド州政府は、数週間以内にサン・マルティン・デ・ラ・ベガンにある遊園地“ワーナー・ブロス・パーク”に430から520万ユーロを緊急投資することを決定した。州娯楽施設運営委員会委員長のへスス・サインス氏によると、この投資は毎年この遊園地から出る大量損失問題に終止符を打つためのものだという。同遊園地の今年度の損失は3800万ユーロと見積もられている。
同遊園地が多額の損失を出している最大の原因は、来園者数の顕著な減少で、サインス委員長はこの問題を解決するため抜本的な遊園地の改革を行うことを考えており、これに必要な費用を、11人の株主から出資額に応じて受け取る予定。最大株主のArpegio社(マドリッド州環境局が運営)が40%以上の株を持っていることから、必要とされる費用(1000万から1200万ユーロ)のほぼ半分はマドリッド州が負担することとなる。
州政府がこのようなプロジェクトに出資することについては野党からの反対があるだけでなく、エスペランサ・アギレ知事も賛成しておらず、知事はこの遊園地が経済的に立ち直り次第、州政府の出資を引き上げる意向を示している。ワーナーブロスパークは、オープンした2001年に160万人の来園者があったが、2003年の来園者数は110万人に減少し、今年も昨年とほぼ同数の来園者数が見込まれている。サインス委員長は「遊園地に新しいアトラクションを建設するには時間が足りないが、料金、開園時間、催し物などを見直し、3月以降の来園者が別の遊園地に来たように感じるようにしたい。」と述べている。

FIRS、カタルニャ代表参加を認めず

FIRS(国際ローラースポーツ連盟)理事会は、アメリカのフレスノ市で会議を行った結果、FCP(カタルーニャ・ホッケー連盟)を認めず、3月27日のカタルニャ代表の世界選手権参加承認仮決定を取り消すことを6対3で正式に決定し、これを受けて、会長でカタルニャ人のイシドロ・オリベラス・デ・ラ・リバ氏は辞任、後任に副会長のアルゼンチンのエルネスト・ゴンサレス氏が就任した。
FCPはこの決定に対し、“ボスマン判決”(この判決により、プロサッカー選手は契約が終了した時点で、チームの意向に関係なく自由に移籍できるようになった)で知られるベルギー人弁護士ジャン・ルイ・ドゥポン氏を通し、FIRSに決議取り直しを申請した。


11月25日(木)

国王夫妻、ブッシュ大統領夫妻と昼食

アメリカを訪問中のスペイン国王夫妻は、昨日テキサス州クロフォードにある農場で、1日早い感謝祭の食事をブッシュ大統領夫妻と共にした。この昼食会は、アメリカ訪問を知ったブッシュ大統領夫妻が国王夫妻を招待したもので、昼食にはブッシュ大統領の父親であるも同席した。
クロフォードにヘリコプターで到着した国王夫妻を迎えに出たブッシュ大統領は、集まった記者からこの昼食会の意味するところについて聞かれたところ、「スペインは偉大なる国で、よい友達だ。」と答えるに留め、助手席にフアン・カルロス国王、後部座席にローラ夫人とソフィア王妃を乗せた車を発進させた。
プライベートという性質上、昼食会には通訳も外交関係者も同席しなかったため、ここでの会話の内容は不明だが、王室とブッシュ家の良好な関係を示すなごやかな雰囲気だったという。スペイン王室関係者は、アメリカでは家族で祝う感謝祭という重要な行事を1日早め国王夫妻をもてなしたブッシュ大統領の行動に、王室とブッシュ家の関係がどういったものかは現れていること、またスペイン王室はスペイン政府と関係なく常にアメリカとは良好な関係を保ってきたことを強調した。
サパテロ首相が就任後まもなくイラクから撤兵したことからアメリカとスペインの政府間の関係は緊張したものとなっていた。ブッシュ大統領の再選決定数時間後に祝福の電話をかけたサパテロ首相への感謝の返事は11月2日になってようやく書簡で届けられたが、ホワイトハウスでは、今回の昼食会への国王夫妻招待は、ブッシュ大統領によるスペインとアメリカの関係回復を“一押し”するための意思の現れであるとしている。

副首相、外相交替がないことを国会で明言

アスナル前首相が2002年4月に起きたベネズエラの反チャベス・クーデーターを支持していたとテレビ番組で外相が発言したことにより、最大野党PP(国民党)はミゲル・アンヘル・モラティノス外相の辞任を要求していたが、昨日国会で、マリア・テレサ・フェルナンデス・デ・ラ・ベガ第一副首相は外相の交替がないことを明言した。
本来、政府の税政策について首相に質問を行う予定だったPPのマリアノ・ラホイ党首はこの機会を逃さず、質問の最後に外相の発言について説明するよう要求した。しかし首相が来年予定の税制改革についてのみ答え、外相の発言には触れなかったところ、PP議員席からは「臆病者!」との野次が飛んだ。 ラホイ氏に続き、アンヘル・アセベス書記長、エドゥアルド・サプラナ広報官も、前首相の名誉を汚し、スペインの対外イメージを傷つけたとし、書面で正式に謝罪し、この文書を在外スペイン大使館に送付した上で、外相が辞任することを要求した。最後に発言したサプラナ氏に対し、デ・ラ・ベガ副首相は「失望させて残念ですが、政府と外相はこれまでと同様、今後も引き続き仕事を続けます。特に外相には国際社会の正当な秩序確立とテロ対策における国際的安全、協力のために今後さらに働いてもらうつもりです。」と述べた。
昨日政府がとった対応に不満のラホイPP党首は、「モラティノス氏が国会で直接説明を行う水曜日まで待つことは我々にとって意味がない。我々は首相にこの問題と向き合ってもらいたい。」とコメント。ラホイ氏はサパテロ首相はモラティノス外相を辞任させるべきであるとともに、アスナル前首相がクーデターを支持していたことを肯定するチャベス・ベネズエラ大統領の発言についても、首相が大統領に対し訂正を求めるべきだとの考えを示している。

ボノ防衛相、カフェテリアに赴き謝罪

ホセ・ボノ防衛大臣は、今月17日に予告なくテロシミュレーションの舞台にされたマドリッドのマジョール通りにあるカフェテリアに昨日の朝赴き、オーナーと従業員に謝罪した。大臣が直接謝罪に現れたことにオーナーといあわせた客数人は驚いたものの、オーナーは謝罪を受け入れ、大臣の注文したカフェオーレを店のおごりにした。その後、庁舎に戻った大臣は、カフェテリアのオーナーに軍隊の絹のハンカチを贈った。
一方、このシミュレーション訓練を指揮した下士官は、要人警護コース教官の任務から解かれたほか、不適切で賢明でない行動をとったとし、8日間の自宅謹慎に処されている。


11月24日(水)

モラティノス外相、「アスナル政権はベネズエラのクーデターを支持した」と発言

月曜日の夜、TVEの番組“59segundos”に出演したミゲル・アンヘル・モラティノス外相が、「世間には知られていないが、アスナル政権時代、在ベネズエラ・スペイン大使は反チャベス氏クーデターを支持するよう命じられていた。しかし、現政権においてはそのようなことが再び起こることはない。なぜなら、我々は国民の意思を尊重するからだ。」と発言したことが政界で大きな波紋を呼んでいる。
昨日までスペインを訪問中だったウゴ・チャベス・ベネズエラ大統領は、昨日の朝、モラティノス氏の発言を肯定、2002年4月にクーデターが起こったとき、スペイン大使がすぐに首謀者である企業家ペドロ・カルモナ氏(現在、国外逃亡中)と会談を持ったことを指摘、「このような措置をとったのは、アメリカとスペインの大使だけだった」と述べた。しかし、クーデターについての捜査はベネズエラで継続中であるものの、過去にスペイン政府と起こった出来事は大統領にとって“閉じられたページ”であるとし、スペインとベネズエラの関係が新しい時代に入ったことを強調した。
一方、PP党首のマリアノ・ラホイ氏は首相に対し、公共放送での外相の発言を否定し、このような責任の重い職務に適した人材と交替させるよう要求、しかしホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は昨日、外相支持を表明した上で、モラティノス外相から要請があり、外相がこの発言について国会外交委員会で直接説明することを発表したが、首相自らがこの問題について言及することは避けた。

小児ポルノ写真提供容疑で90人を逮捕

内務省の発表によると、スペイン国家警察が26県にわたって6月から行っていた史上最大規模の対小児ポルノ写真捜査で、90人が逮捕されたという。この捜査で、スペイン全土の87ヶ所で家宅捜査が行われ、未成年によるわいせつな写真やビデオ映像を収めた多数のポータブルパソコン、ハードディスク、CD-ROM、DVDが押収された。逮捕者の多くはインターネットの使用について熟知している者で、教師、生徒、システムエンジニア、軍人などが含まれているほか、アルバセテ、バダホス、バレアレス、バルセロナ、カステジョン、ムルシア、ポンテベドラ、ビスカヤ、マドリッドでは21人の未成年者が逮捕されている。

事前通知なくテロシミュレーションを実行(マドリッド)

先週の水曜日、軍マドリッド司令部がマドリッド中心地にあるカフェテリアで警察にもカフェテリアのオーナーにも通知することなく、テロのシミュレーション訓練を行っていたことが、昨日ラジオ局SERにより明らかにされた。
この訓練には、マドリッド司令部で要人警護訓練コースを受けていた軍人5人と警官1人が参加、教官が要人の役についた。シミュレーションの舞台となったマドリッドのマジョール通りにあるカフェテリアのオーナー、マドリッド州とも訓練について事前に知らされておらず、マドリッド州では責任追及のための調査を開始した。防衛省は、所轄のラティナ警察署には事前に通知が行われていたとしているが、警察ではこれを否定している。
シミュレーションが行われた場所は市役所、国務院、王宮など警官、軍人により警備されている建物が多数あり、シミュレーションであると知らなかった彼らが何らかの武力行動を起こしていた可能性もあり、軍部でも、シミュレーションを実行した教官を懲戒対象とする調査を開始した。


11月23日(火)

チャベス大統領、商工会議所主催会議を欠席

スペインを訪問中のウゴ・チャベス・ベネズエラ大統領は、昨日商工会議所高等評議会が主催したスペインとベネズエラ企業家の集いで、閉会演説を行う予定だったが、サパテロ首相との会談が予定より長引いたとの理由によりこれを欠席した。
昨日から公式訪問を開始したチャベス大統領は、コンプルテンセ大学で2時間にわたり学生との交流を持った後、下院を訪問、その後アストゥリアス皇太子夫妻と昼食を摂り、サパテロ首相との会談に臨んだ。この後は、南米でのビジネスに関心のある企業200以上から出席者のあった商工会議所主催の集いで、国民投票により大統領が定まり、政治的に安定したベネズエラに投資する利点について大統領が演説する予定であた。集いには、Alcatel(携帯電話会社)、Banesto、BBVA、BSCH(いずれも銀行)、Campofrio、El Pozo(いずれも食肉加工業)、Dragados(建設会社)、EADS-CASA(航空機製造会社)、Gas Natural(ガス会社)、 Iberdrola(電力会社)などから代表者が出席、観光・商業書記官も政府から出席し、スペインのベネズエラ投資の関心の高さをうかがわせた。しかし、演説開始予定時刻午後6時半になる前にホセ・フェルナンデス・ノルニエジャ商工会議所高等評議会会長が壇上に上がり、首相との会談が長引いたため大統領が出席できない旨を出席者に説明した。
チャベス大統領は、今日Repsol、Cepsa(いずれも石油会社)、BBVA、Grupo Santander(いずれも銀行)、 Mapfre(保険会社)、Telefonica(電話会社)、Electronor(清掃器具製造会社)、Eductrade(コンサルタント会社)などの大企業の社長、CEOE(スペイン経営者連合会)会長との会合に出席の予定。

バダホス、ウエルバ、セビジャで停電

昨日の午前1時45分から3時45分の2時間にわたってセビジャ、ウエルバとバダホス南部で停電が発生した。Endesa社は昨日、被害にあった顧客数を発表することを避けたが、アンダルシア州政府の計算によると、セビジャ、ウエルバだけでも停電の被害を受けたのは85万世帯、113万人にのぼるという。幸い、停電の起こったのが明け方だったため、被害は小さく、セビジャで消防隊がエレベーターに閉じ込められた5人を救出した程度。
この停電について、Endesa社はREE(スペイン電気網)社の高圧線に問題が生じ、Endesa社の変電所に電気が届かなくなったことが停電の直接の原因であるとしている一方、REE社は自社の送電システムに不備があったことは認めたものの、原因はセビジャ県ギジェナにあるEndesa社の水力発電所で起きた火災(従業員2人が負傷)であるとし、昨日の時点では両社とも責任を回避している。アンダルシア州政府は原因究明のための調査を開始したが、原因となった会社に対する罰金は課さない意向。


11月22日(月)

マドリッド中心地に1200頭の羊

スペインの牧羊業者は、1995年に可決されたものの、多くの自治州が守っていない牧畜道路法を遵守し、羊の移牧路に建物を建設しないように訴えるため、今年も1200頭ほどの羊の群れと共にマドリッドを訪れた。今年の到着は、例年より1ヶ月ほど遅く、羊の数も300頭ほど少ないが、これは“青舌”と呼ばれるカタル性の羊の病気が流行したため。5月にグレドス山脈を出発した羊の群れは、ビトリア、ブルゴス、セゴビア、アビラを通ってマドリッドに到着。シベレス広場、アルカラ門を通ってビジャ広場で、風習に従って市役所職員が通行料の500マラベディ(昔の通貨)を受け取った。羊の群れには、スペイン各地の村から民族衣装を着た人々が同行したほか、サイクリング愛好家、ハイキング愛好家なども参加し、移牧路の保護を訴えた。
羊の群れは正午頃カサ・デ・カンポに戻り、ここで例年どおり屋外昼食会が開かれた。牧場主組合会長の話によると、エクストレマドゥラ州とアンダルシア州が移牧路保護のため出来る限りの努力を行っているのに大使、マドリッド州は、移牧路上にAVEの線路、ゴルフ場などを建設し、カスティジャ・イ・レオン、カスティジャ・ラ・マンチャ、ラ・リオハと並んで牧畜道路法を最も守っていない自治州の一つであるという。

操業停止鉱山で19キロのGoma2を発見

アストゥリアス州全域で、爆薬の不法売買網を特別捜査中の治安警備隊は金曜日、アストゥリア県のティネオにある10年前から操業していない陶土の鉱山 “ラ・ペルディス”から19キロの爆薬Goma2を発見、押収した。この鉱山は、11−Mに使用されたGoma2が盗まれたと見られるコンチータ鉱山と同じ会社が所有している。発見されたのはGoma2123パックだが、保存状態は悪く、発破孔は濡れて泥が付着しており、鉱山での採掘が終わったとき、放置されたと見られる。この鉱山では、11−Mで使用された爆薬を調達したと見られるエミリオ・スアレス・トラショロス容疑者が以前働いていたが、現在のところ治安警備隊では11−Mと“ラ・ペルディス”鉱山には関連がないと考えている。
アストゥリアス州内にある鉱山での爆薬管理がずさんであることについては、これまでにも治安警備隊からの指摘があった。アストゥリアスにある治安警備隊隊員の最大の組合であるAUGCは、人員と設備の不足を訴えると共に、実情をまとめた報告書を提出するため、これまで何度もアストゥリアス派遣中央政府委員前任者であるメルセデス・フェルナンデス女史(PP)との会合を要請してきたが、この要請は一度も聞き入れられなかったという。

ラホイ氏発言にPSOEが謝罪を要求

コスタリカの首都サン・ホセで開催されたイベロアメリカ首脳会議について、マリアノ・ラホイPP(国民党)書記長が党内のミーティングで、口語表現を使って数カ国からの首脳の出席がなかったことを皮肉った発言に対し、与党PSOE(社労党)は出席した首脳に代表される5千万人の人々と、出席していた国王を馬鹿にした表現を撤回するよう求めたが、ラホイ氏はこれを拒否、会議は“失敗”だったとの評価を下した。
昨日、バレンシアで開かれた党大会に出席したラホイ氏は、自分の発言は敬意を欠くものではなく、ポルトガル、ブラジル、チリ、エクアドルなどの国家主席が欠席する会議は、スペイン外交の新たな失敗であるため、自分の言ったことに誤りはないと述べた。同氏は、PSOEからの撤回要求を改めて拒否し、サパテロ政権の外交政策全般について、サハラ問題について明確な姿勢を打ち出していないこと、モロッコが2012年のロンドンオリンピック開催を支持しているにもかかわらずスペインはモロッコの“親友”であることなどを批判、「バチカンとアメリカを同時に敵に回すことにはさぞかしメリットがあるのだろう」と述べた。
一方、IU(統一左翼)のガスパル・ジャマサレス代表は「アスナル首相が出席した前回会議は、不要なテーマばかりが話された会議だったが、今回は出席者は少なかったものの、教育、保健など国民に直接影響を与える問題についての話し合いが行われた。」と今回のイベロアメリカ首脳会議の成果を評価している。


11月19日(金)

変電所の火災により大規模な停電(マドリッド)

マドリッドのアルガンスエラ地区にあるUnion Fenosa社の変電所で起きた火災により、首都マドリッドで8万世帯が午後5時から7時までの2時間にわたって停電に見舞われ、公共交通機関に大きな影響が出た。広範囲にわたって交通信号も機能しない状態となり、午後6時半、ルイス・ガジャルドン市長は市民に対し乗用車の使用を控えるよう呼びかけた。
火災が発生したのは昨日の午後5時頃。現場は南バスターミナルの後ろにあるウニオン・フェノサ社のセロ・デ・ラ・プラタ変電所で、午後4時50分と、55分に2度の爆発が1台の変圧器で起こった。爆発により変電所にあった7万リットルの可燃性冷却油が引火、ただちに消防車が現場に急行し、12部隊(およそ40人)が消火活動にあたった。その後さらに4部隊の応援があり、火は午後9時頃消し止められたが、その後も1部隊が現場に残り、特殊な泡を使って現場での冷却作業を一晩中行った。
この火災により停電となったのは、アルガンスエラ、レティロ、サラマンカ、セントロ、チャンベリ、プエンテ・デ・バジェカスのマドリッド市内6地区で、ラッシュアワーにあたる午後5時から7時の間、240台の信号機が機能しなくなり、大規模な交通渋滞を引き起こした。マドリッド市役所の発表では、今日の明け方になっても50台の信号がひきつづき消えたままだという。また、停電の影響で地下鉄トンネル内で一部の車両が停車、乗客は歩いてトンネルを出る、または暗い車内で電気が戻るまでの30分ほどを待つなどした。特に被害が大きかったのは2号線と4号線で運行が復旧したのは午後6時50分だった。その他、国鉄近郊線の7号線、10号線が火災の煙により運行不能となり、運行は午後8時半頃復旧した。今年7月にはマドリッドにあるウニオン・フェノサ社の別の変電所で火災が発生しているほか、昨日火災の発生した変電所では1999年にも火災が起きている。

Yak−42機犠牲者の遺体掘り起こし、月曜開始

中央管区裁判所のテレサ・パラシオス判事は、2003年5月26日トルコで墜落したYak-42機犠牲者62人のうち21人(身元の確認が間違っている犠牲者は30人だが、9人はすでに火葬されているため)の遺体を掘り起こすことを命じた。掘り起こしは、カスティジャ・ラ・マンチャ、バレンシア、ガリシア、アラゴン、エクストレマドゥラ、マドリッド、カタルニャ、ラ・リオハ、カスティジャ・イ・レオンの9つの自治州で11月22日から12月2日にかけて行われる。
判事は2人の法務医と2人の書記からなる掘り起こし担当チームを編成、掘り起こされた遺体は軍の護衛付でマドリッドのアルムデナ墓地に運ばれる。掘り起こしに立ち会うことができるのは、担当チーム、墓地管理会社職員2人と遺族に限定、作業がスムーズに進むよう、遺体が掘り起こされる墓地には警察または治安警備隊の警備がすでに要請されている。

移民搾取の雇用主逮捕(セビジャ)

治安警備隊と労働監査局の共同作戦により、セビジャで112人のルーマニア人を搾取していた罪で、スペイン人の雇用主とルーマニア人2人が逮捕された。逮捕されたスペイン人のL.P.M.(44歳)に対してはギリシャで同様の罪を犯し、インターポールから指名手配されていた。
搾取されていたルーマニア人たちは、セビジャ県のサルテラスとヘレナの間にあるオリーブ農家で契約書なしで、社会保険に加入することなく働いていた。ルーマニア人の中にはスペインでの労働許可を所持するものもおり、治安警備隊では、勧誘を担当していた2人のルーマニア人に騙されたと見ている。彼らは衛生条件が悪く、調理施設もないビニールと棒で作ったテントに住まわされ、照りつける太陽の下、最低限の休憩時間しか与えられず、オリーブ1キロあたりにつき20セントの支払いで働いており、この金額からさらに彼らの“生産性”を監視する監督にへの手当てが引かれていた。法令で、キロごとに給与額を定めることは認められておらず、オリーブ積みに従事する労働者には、6.5時間の労働(休憩15分)で1日40ユーロを支払うことが定められている。
セビジャでは2週間前にも同様の事件で逮捕があったばかりで、さらにウエルバでもパスポートを取り上げ劣悪な労働条件で同国人を働かせていたルーマニア人11人が逮捕されている。


11月18日(木)

第3回スペイン語国際会議開幕

昨日、アルゼンチンのロサリオで第3回スペイン国際会議が開幕、会場のエル・シルクロ劇場周辺は、要人の通行路一般車両通行止め、住民の身分照会、一部の地域での商店閉店など、大規模な警備体制が敷かれた。飛行機の故障によりネストル・キルチュネル・アルゼンチン大統領が遅刻、開幕が1時間以上遅れた開会式では、フアン・カルロス・スペイン国王、キルチュネル大統領、作家のエクトル・ティソン氏(アルゼンチン)、カルロス・フエンテス氏(メキシコ)が講演、フランシスコ・アヤラ氏(スペイン)もビデオで講演した。
会議開催中には、初版の出版から400年を記念し、コロンビア元大統領で作家でもあるベリサリオ・ベタンクール氏監修版の『ドン・キホーテ』が発表される予定。会議のテーマは“言語のアイデンティティとグロバリゼーション”で、会議は土曜日閉幕する。

世論調査ではPSOE支持率が依然PPをリード

CIS(社会学調査センター)が10月21日から26日の間に自宅訪問アンケートで18歳以上の男女2494人を対象に168の市町村で行った世論調査の結果、与党PSOE(社労党)支持者が42.1%であるのに対し、前与党PP(国民党)支持者は36.1%で、両党の支持率の差は4月の10.4ポイントから、7月7.2ポイント、そして10月6ポイントと徐々に縮まっていることがわかった。また、閣僚の採点も7月には6人が合格点を獲得していたが、10月の調査で合格点の5点(10点満点中)を超えていたのは、ホセ・ボノ防衛大臣(5.5点)、ペドロ・ソルベス第二副首相兼経済大臣(5.4点)、マリア・テレサ・フェルナンデス・デ・ラ・ベガ第一副首相(5.3点)、ミゲル・アンヘル・モラティノス外務大臣(5点)の4人に減っている。
各政党リーダーの採点では、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相(PSOE)が5.8点でトップ、とても信頼できる、またはかなり信頼できると答えた人の割合は7月から3%減少の52%だった。一方、最大野党PPのリーダー、マリアノ・ラホイ氏に対しては、7月より0.2ポイント上昇したものの依然として4.4点と落第点がついている上、とても信頼できる、またはかなり信頼できると答えた人の割合は7月から3%減少し、27.4%にとどまっている。
また、CISはEU憲法についての質問も行ったが、回答者の91%がEU憲法について“ほとんど知らない”または“全く知らない”で、その原因については政府と政党の説明不足と大半が答えている。今、EU憲法批准の国民投票があれば賛成に投票すると答えた人は44.6%で、反対に投票すると答えた人が4%、残り51.4%は危険、白紙投票、または未回答だった。

パロマレスの汚染地域、政府が土地買取

政府は、38年前に核爆弾を積んだ米軍機が墜落したパロマレスの7ヘクタールの土地を2005年に入る前に買い上げることを決定した。これは、Ciemat(エネルギー・環境・テクノロジー調査センター)の調べにより、予想を上回る量のプルトニウム、ウラン、アメリシウムがこの地域の地中から検出されたためで、買取は耕作、または住宅建築によってプルトニウムが拡散することを防ぐための措置。
1966年1月17日にパロマレス上空で米軍機2機が衝突、墜落、うち1機から4つの核爆弾が落ち、うち2つは無傷のまま地上と海中にそれぞれ落ちたが、残り2つはパラシュートが作動せず、パロマレスのそれぞれの端に中身がばらまかれた。事故後、爆弾が落ちた地域の土160万トンが米軍によって撤去されたものの、教育・科学省の一部門で汚染地域の監視にあたっているCiematの調査によって、CSN(国家保安委員会)が居住に適すると考える20倍の量である、プルトニウム1キロあたり10万ベクレルがこの地域で検出された。政府は買い上げた土地を一度柵で囲み、放射能除去作業終了(2年後の予定)後に再び売却する計画。Ciematの上層機関であるCSNは、この地区の管理についてずさんなところがあったことは認めたものの、毎年パロマレスの住民はマドリッドに上京し、専門家による血液と尿の検査を受けているがこれまで死亡率の上昇が確認されたことはないと強調している。


11月17日(水)

ETAに新たな打撃、16人を逮捕

国家警察は昨日、150人の警官を動員した作戦で、エウスカディとナバラでテロリスト組織ETAの徴兵部門に属していると見られる16人を逮捕した。2002年12月19日にETA幹部のイボン・フェルナンデス・イラディ”ススペル”の逮捕により押収された大量の書類を元にETAの徴兵部門で大量逮捕があったのはこれで5度目。これまで4度の逮捕で69人が逮捕されており、うち57人が服役中。昨日は18軒で家宅捜査が行われ、パソコン6台と大量の書類が押収された。逮捕者は、新規メンバーの採用、情報・物資調達を担当していた模様。
逮捕者のうち、パンプローナで逮捕されたイゴール・アスティビア・テジェチェア容疑者に関しては、2001年7月、ナバラ県レイチャで起きたUPN(ナバラ民族同盟)議員ホセ・ハビエル・ムヒカ氏暗殺に関わった疑いももたれている。

11−M、16歳の被告に懲役6年

11−M関連の最初の判決公判は1時間以内で終結した。被告のG.M.V.、通称“ヒタニージョ”が容疑を認めたため、ホセ・マリア・バスケス・オンルビア判事は、爆薬の供給と輸送においてテロリストに協力した罪で、彼に対して少年刑務所への収監6年、さらに釈放後の5年間は監視をつける旨言い渡した。判決文の詳細は数日内に公表される見通しだが、この内容が今後、他の11−M裁判で使用され得ることからこの判決文の重要性は高い。
裁判が行われた中央管区裁判所内法廷には50人近い新聞記者がつめかけた。少年は、母親に付き添われ被告席に座ったが、2人の姿が見えないよう被告席は茶色の衝立で囲まれていた。検察官は、入廷にあたりこれまで少年が収監されていた少年更正施設の責任者に、法廷で少年の現状を説明するよう要請。同責任者は、少年には反省と自分がしたことへの責任とそれによって起こった出来事についての再考が欠けており、少年刑務所への収監が少年の人生に害を与えるというよりは、現在彼に欠けているコントロールと規律について学ぶためにも、むしろ収監することが彼のためになる。」と報告。これを受けて判事は少年刑務所収監を支持したものの、6年以上の収監となると23歳の誕生日を迎えた後、少年が刑期の最後の数ヶ月を刑務所で過ごすこととなり、それまで少年刑務所で得られた成果が無駄になる可能性があると指摘、検察官は当初8年の収監を求刑していたが、これにより求刑を6年に減らした。
判決を言い渡した後、判事は少年に、刑期の半分が終わったところで法律が定めているように刑期の見直しが行われること、その時に減刑されるかどうかはそれまでの行動に左右されることを知らせた。

ロタでの移民大量溺死事件で懲役40年の判決

カディス地方裁判所は、25歳のモロッコ人、ハミッド・エチョクク被告に対し、密入国と思慮不足による殺人の罪で懲役40年の判決を言い渡した。2003年10月25日にカディス県のロタで海岸から200Mの地点で37人の密入国者が溺死、判事は船の操縦者の助手であった被告を、この溺死の直接責任者であったと認めた。
懲役刑の内容は、外国人の権利蹂躙の罪が3年、37人の犠牲者1人につき1年の刑40年であるが、法律で服役最長期間は最も重い罪の3倍を越えられないと規定されているため、実際には密入国の罪による3年の3倍である9年の服役となる。さらに、被告に対しては遺族1人につき9万ユーロの罰金の支払いも命じられた。
被告人弁護士は、“証拠の完全な不足”による無罪を訴え、生き残った5人のうち1人の、被告人の身元についての証言は、警察が証言をすれば合法的にスペインに居住することができると述べたための偽証であると訴えていたが、ロレンソ・デル・リオ判事はこの訴えを退けた。フアン・マヌエル・サンチェス・ベルナル弁護士は、提訴するかどうかは依頼人と話し合ってから決めると昨日述べている。


11月16日(火)

Yak-42機の犠牲者のうち30人は葬儀の時点で身元が判明していなかったとの証言

昨日は中央管区裁判所第3法廷に、被告として昨年5月26日の飛行機墜落事故で犠牲となった62人の身元確認の責任者である4人の軍高官が出廷、その後証人として出廷した軍査察官の証言は、ほぼ深夜まで続いた。
証人としての出廷は法律により真実を述べることが義務づけられており、遺体の送還法的手続きのため現場に渡ったこの査察官は、5月28日の合同葬儀の前に防衛省は62人の犠牲者のうち30人の身元が判明しないままであることを知らされていたと証言した。査察官によると、遺体の身元確認が行われた死体安置所で、トルコ当局が62人のうち32人は身元が判明しているが、残り30人については身元が判明しないまま遺体を引き渡す旨を記した文書の存在について知ったという。この文書には、ビセンテ・ナバロ、ホセ・アントニオ・ベルトラン両被告の署名があり、この文書について昨日法廷で尋ねられた両被告は、文書の存在は認めたものの、言葉の問題で内容をすべて理解するに至らなかったと述べた。しかし、査察官は、この文書についての話し合いには、通訳が1人同席しており、出席者にとっては内容は明白だったと証言している。遺体と共にマドリッドに戻った後、査察官は防衛省法務担当部門の上司に30人の遺体は身元がわかっていないことを報告、しかし葬儀は予定どおり進められたという。
一方、被告として出廷した軍医のナバロ将軍は、身元確認が科学的・医学的方法には基づかず、遺体の外見、所持品などの目視による調査であったことを認めた。しかし、調査時のメモの提出を求められると、今年の5月にすべて破棄したと答え、破棄した理由について問われると、今年の5月16日に30人の遺族が正しい身元確認のためDNA検査を受けにトルコを訪れているにもかかわらず、「何ヶ月経っても遺族から問い合わせがなかったため。」と答えた。トルコ当局がDNA標本を採取したのを知っていたにも関わらず、これを使用しなかった理由、また治安警備隊の身元確認専門家を同行しなかった理由については、「必要とは思われなかった」としている。ナバロ被告は、24時間前に葬儀がいつ行われるかを知らされていたことは認めたが、予定どおり葬儀を行うために身元確認を急ぐよう命令は受けていないと証言した。昨日出廷した残り3人の被告はすべてはナバロ被告の責任のもと行われたと証言している。

マドリッド市、IOCに招致ファイル提出

マドリッド市を始めとする2012年夏季五輪開催候補5都市は昨日、ローザンヌにあるIOC(国際オリンピック委員会)本部で招致ファイルを提出した。マドリッドが提出したファイルは3冊に分かれており、1冊目で動機と施設の保証、2冊目で施設、3冊目でインフラとサービスについて説明している。今年5月の選考では、パリ、マドリッド、ロンドン、ニューヨーク、モスクワの順の得点で最終候補地が5つに絞られ、この中から2012年夏季五輪の開催地が正式に決定されるのは、来年7月6日にシンガポールで開かれる第117会会議において。来年2月から各都市の視察が始まる。
最初の方が有利に働くとされる視察の順番はすでに抽選で決められており、この抽選でマドリッドの順番は5番だったが、昨日、“委員会のスケジュールの都合”という理由でこの順番の変更があり、マドリッドは最初に視察されることとなった。よって、視察はマドリッドが2月3日から6日、ロンドンが16日から19日、ニューヨークが21日から24日、パリが3月9日から12日、モスクワが14日から17日となる。ファイルの詳細については、今日にも市民に発表される予定だが、競技会場がコンパクトにまとまり、公共交通を利用して簡単に移動ができるというマドリッドの利点は大きく、予備選考で1位のパリとほとんど得点差もなかったことから、予備選考に提出した内容からほとんど変更はないという。

判事、フエンヒローラのイマームの収監を命令

バルセロナ刑事裁判所第12法廷は、今年1月の判決(懲役15ヶ月、罰金2160ユーロ)どおりフエンヒローラのイマーム、モハメッド・カマル・モスタファ被告の刑務所行きを命じた。同被告は著書『La mujer en el islam(イスラムの中の女性)』で、女性を虐待することを正当化し、跡を残さず女性を殴る方法について記し、女性差別煽動の罪に問われている。
刑法第81条では、前科がなく、判決が懲役2年以下で、すでに社会的に責任をとったと見なされる場合は刑務所収監を免れることができると記されている。この決定は判事の判断に委ねられており、被告はこの条件を満たしているものの、ファウスティーノ・サルメロン判事はこれを適用しないようにとの検察官からの訴えを受け入れ、被告の収監を命じた。被告はこの決定に対し控訴中。


11月15日(月)

バタスナ党、大規模な集会

中央管区裁判所が政党法を適用し、違法政治団体と認めてから初めて、昨日バタスナ党が大規模な集会をサン・セバスティアンで行い、1.5万人の支持者が駆けつけた。党が違法と宣告されて以来、バタスナ党の支持の低下が目立っており、参加者の持つ旗にはETAを支持するものは少なく、独立を支持するものがはるかに多く見られたほか、これまでの集会のように覆面者が舞台に上がり、スペイン国旗を燃やし、斧と蛇のETAのシンボルを聴衆に見せつけるシーンも見られなかった。
3時間にわたる集会では、25年の党の歴史をビデオ映像を混ぜて振り返るものであったが、党幹部たちはそれぞれの演説の中で、この左翼民主主義政党によるこれまでの闘争が自治州憲章改正と憲法改正への道をつけたことを強調、「バタスナ党を消し去ろうとした者たちは、我々がここまで到達できるとは思っていなかったが、現実を見れば、我々は正しい道にいることは明らかだ。我々は闘争に勝利している。」とオテギ代表は熱狂的に聴衆に語りかけた。これに続けてオテギ氏は「ここまで到達した今、平和を獲得するチャンスを見逃す手はない」とし、平和を獲得するほうが戦争を始めるよりはるかに難しいことを認めた上で、バタスナ党はパイス・バスコでの平和を獲得するための政治的対話に応じる用意があると述べた。
3週間前から開催が予告されていたにもかかわらず、今回の違法政治団体の集会を阻止するための措置はバスク州政府、州検事局、中央政府派遣事務所からも取られることはなく、市営施設の貸し出しを許可したエロルサ市長(バスク社会党)への非難の声がPP(国民党)からあがっただけに過ぎなかった。政府の目こぼしの結果開催された集会だったが、各政党がバタスナ党に要求している“ETAの糾弾”の言葉は最後まで聞かれなかった。

ロマ族夫婦と乳児殺害容疑者2人を逮捕

今月5日未明、ロマ族の17歳の夫婦と9ヶ月の娘が自宅で刺殺されているのがみつかった事件で、土曜日の午後、マドリッドとトレビエハ(アリカンテ県)で2人の容疑者が逮捕された。
被害者の家族は終始、犯行の動機は強盗であると主張していたが、被害者の男性はコカインとヘロインの小売りを行っていた上、現場には現金1000ユーロが手付かずで残っていた上、9ヶ月の乳児まで殺害されていたことから、同機は強盗ではなく、麻薬がらみの報復と警察では見ている。また、未明の襲撃だったにもかかわらず扉にはこじあけた形跡がなかったため、顔見知りの犯行と見て捜査が進められていた。逮捕された2人はロマ族ではなく、2人の間に血縁関係もないこと以外、身元は明らかにされていない。2人は昨日警察での供述をすでに終えており、今日裁判所に出頭する予定。

アメリカ大使館前で反戦集会

昨日、300人ほどがマドリッドにあるアメリカ大使館前に集まり、米軍のイラク駐屯終結を要求し、ファルージャで展開されている作戦に抗議した。この集会はIU(統一左翼)、Cultura contra la guerra(反戦文化団体)、 Ecologistas en Accion(活動環境運動団体)、Hermanos y amigos de Jose Couso(ホセ・コウソ兄弟・友人団体)、Juventudes Socialistas(青年社会主義団体)など複数の団体が発起人となったもので、参加者は“本当の平和を”“アメリカとイスラエル、国家テロリズム”などのパンカルタを掲げ、“Asesinos(殺人者)”などの叫び声を上げた。
集会に参加したIUのジャマサレス代表は、「国連の監視のもと、イラク国民による統治が進められるためにもイラク占拠は終わらせなければならない」と述べたほか、「現在、ファルージャで起こっているのは、あらゆる人権を蹂躙する大量殺戮である」とし、イラク攻撃が始まってからのイラク人の死者が10万人を超えていることに触れた。また、金曜日の午後、ブッシュ元大統領の招待に応じ、ボノ防衛大臣がアルバセテで会見に応じたことについては、ジャマサレス代表は「PP(国民党)と異なった外交政策を政府が取ることを期待する」と述べるにとどめた。


11月12日(金)

首相、アメリカ大使と会談

昨日、首相官邸で2時間にわたってホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は、ジョージ・アージロス駐西アメリカ大使と会談した。関係者筋では、この会談がアメリカとの緊張関係を緩和する最初の一歩と認識する向きが強い。
この会談は、今月22日にスペインを離れることが決定したアージロス大使からの要請により行われたものだが、帰国が決まった大使との型どおりの会談には終わらず、大使はスペインとアメリカの“よき時代”について言及、大統領からのメッセージは携えていなかったものの、首相と大使は両国の関係を改善し、平常の安定した関係に戻すことが必要であるとの点で意見が一致した。会談では、その他両国が共同で参加しているアフガニスタン平和維持活動、イスラム過激主義テロリストとの闘いのほか、特に中東平和プロセス促進の必要について重点を置いた話が行われた。
先月12日のイスパニア・デーのパレードと国王夫妻謁見を大使が欠席し、その理由について、昨年のイスパニア・デーのパレードで、アメリカ軍が前を通ったとき、サパテロ首相が起立しなかったためであると大使が述べたことから、スペイン政府とアージロス大使の関係は緊張化していた。昨日の会見では、両者は日ごとに関係を回復していることが強調され、その例の一つとして、90人のアメリカ人がコートジボワールからスペイン軍用機で脱出したことが挙げられた。

全国8000人の消防士がマドリッドでデモ

昨日、アトチャ駅からネプトゥーノ広場まで、スペイン全土から集まった消防士が定年年齢の引き下げを求めるデモ行進を行った。主催者側の発表では参加したのはおよそ8000人。
制服にヘルメットといういでたちでプラド大通りを埋め尽くした消防士たちは、定年年齢を10歳引き下げることのほか、職業病の詳しい研究とこの病気からの保護も訴えた。午前11時にアトチャ駅で、11−Mの犠牲者追悼と救助活動に従事した人の表敬のための献花を行った後、デモ行進は11時34分にスタート。参加者の中にはすでに退職した元消防士の姿や、現在の定年年齢(65歳)を皮肉るため白いかつらを被った参加者の姿も見られた。消防士側は「65歳で定年では、市民の安全を保証するために適切な年齢ではない」と述べ、年金受給額の減額なしに定年を10年早めることを要求している。


11月11日(木)

国王夫妻、ブッシュ大統領夫妻と昼食の予定

外交筋の話によると、スペイン国王夫妻がシアトルを訪問するのを知り、ブッシュ大統領夫妻が国王夫妻を昼食に招待、国王夫妻はこの招待を受けたという。国王夫妻は、17日にアルゼンチンのロサリオで第3回スペイン語国際会議を開会した後、翌18日にはコロンビアのカルタヘナ・デ・インディアスを訪問、続いてコスタリカを訪れた後、20日にシアトルに到着し、21日、22日はシアトルで開催されるスペイン文化遺産展覧会に出席する。昼食会は24日に行われる予定だが、場所については明らかにされていない。この訪問の他にも外務省ではすでに来年の国王夫妻のアメリカ公式訪問の準備も進めているという。
一方、昨日アメリカのマクレラン大統領報道官は、ブッシュ大統領とサパテロ首相がいまだに電話でも話していない理由について「電話は互いの都合のよいときにかけるため、順不同になることもある」と説明。アスナル前首相がサパテロ首相より先にブッシュ氏に面会したことについて、与党PSOEのルバルカバ下院社会党広報官は「アスナル氏はこれまで何度も行ってきたように、スペインの現在の政策を批判したに違いない。」と発言したものの、PSOEの見解としては、面会はプライベートなものであるため、アスナル氏が面会前も面会後もこの会見について政府に報告しなかったことについて以外は“不快感”はないとしている。外交筋の話では、過去の首相が外国の首脳と会談する場合は、国から公式に派遣される場合、または国からの公式メッセージを携えている場合を除き、報告の必要があるとは書面で記されておらず、確固とした慣習としても成立していないが、特に会見の相手が国の外交政策に重要な影響を与える国の場合は、礼儀の問題から、政府に会見の目的と結果について報告するのが普通だという。

Yak-42機犠牲者30人の遺体掘り起こしへ

全国管区裁判所のテレサ・パラシオ判事は、昨年5月26日にトルコで軍のチャーター機が墜落し、犠牲となった62人のスペイン人兵士のうち、身元が間違っている30人の遺体の掘り起こしについて命じる予定。遺体の掘り起こしにあたっては、法務医、生物学者からなる担当委員会が作られ、1つの棺に複数の人物の遺体が入っている可能性も考慮しながらDNA鑑定のためのサンプルを採取し、遺族に対しては、新たな鑑定結果が出るまで棺の移動、埋葬が禁じられる見込み。Yak-42機遺族会では、正しい遺体がクリスマスには遺族の手元に戻ることを期待している。
また、同判事は、身元確認と遺体の引渡しに立ち会った4人の軍高官に、身元確認間違いの責任ありとし、来週の月曜日、裁判所に出頭するよう命じた。

コートジボワールに再度軍用機派遣

土曜日から混乱の続くコートジボワールから今日の午前0時30分、トレホン・デ・アルドス空軍基地に43人のスペイン人在住者を乗せた飛行機が到着した。この飛行機には、他に48人の様々な国籍の外国人(うち22人はフランス人)も同乗。さらに25から30人のスペイン人を帰国させるため、同じ飛行機が数時間内に再びコートジボワールに向かう予定。
昨日から、コートジボワールのスペイン大使館では、紛争の激しい地域から遠ざけ、スペインへの帰国のチャンスを提供するため、国内に残っているスペイン人を一ヶ所に集め始めている。国内では、フランス人反対運動が、白人攻撃に発展しており、これまでに、帰国を希望したスペイン人は74人にのぼっているという。


11月10日(水)

コートジボワールのスペイン人救出に軍用機派遣へ

政府は、コートジボワール在住スペイン人20人ほどからの要請を受け、彼らを国外へ脱出させるための軍用機を昨日派遣した。最大都市アビジャンでは、フランス軍の撤退を求め、デモや、西洋人コミュニティへの攻撃、略奪が起こっており、コートジボワールに在住するおよそ240人のスペイン人(大半は宗教関係者)は、国外脱出または騒乱が止むのを自宅で待っている状態。
昨日マドリッドを発ったのは、空軍のボーイング707機で定員は160名。外務省関係者の話では、在アビジャン・スペイン大使館とスペイン人の警護のため、6人の特殊部隊警官がこの飛行機で現地に向かったが、在住のスペイン人のうち、50人ほどの消息がつかめていないという。

ブッシュ大統領、アスナル前首相と会談

ブッシュ大統領は、昨日、ジョージタウン大学での講義のため訪米中のアスナル前首相と、ホワイトハウスで40分にわたり会談を行った。これによりアスナル前首相はヨーロッパ首脳・元首脳の中で、ブッシュ大統領に直接再選の祝福の言葉を述べた最初の人物となった。サパテロ首相は、1週間前に電話をかけたもののいまだにホワイトハウスからの返事はなく、ブッシュ大統領とは言葉を交わしていない。
アスナル前首相がホワイトハウスを訪れたのは現地時間午前10時。外交官で元政府外交問題書記官のラモン・ヒル-カサレスし、アスナル前首相が代表を務める財団FAES(社会分析研究財団)国際関係担当のラファエル・バルダヒ氏が同行した。ブッシュ大統領とアスナル前首相は、再選祝福の言葉の後、この再選により今後国際政治がどのように変わっていくかについての意見交換を行ったが、会談の内容は、イデオロギーと政治問題全般についてで、サパテロ政権とアメリカ政府との関係といった具体的な内容については触れられなかったという。アスナル前首相は会話の内容をまず、党内後継者のマリアノ・ラホイ幹事長に連絡、その後アンヘル・アセベス書記長にも話したが、政府には連絡していないという。

11−M以降のイスラム主義逮捕者100人突破

月曜日夜、バレンシアでサラフィスト主義グループのモハメッド・ボウアレム・クホウニ“アブダラ”容疑者が逮捕されたほか、昨日、バルセロナで、イスラム主義テロと関係疑惑により、パキスタン人1人が逮捕された。これにより、11−M以来スペインで逮捕されたイスラム主義者の数は100人を突破(101人)、スペインは2004年最も多くのテロリスト容疑者を逮捕したヨーロッパの国となった。逮捕者のうち半数近くは現在も刑務所に収監中。
スペイン内務省ではイスラム主義テロリスト数の多い理由を11−Mにより警察機関内での警戒が高まったためとしている。逮捕された101人には、11−Mの首謀者のほか、11−Sやカサブランカでのテロに関与した疑いのある者も含まれているが、現在も逮捕されている50人のうち30人以上は、この15日間にガルソン中央管区判事の命により逮捕されたイスラム主義者で、大半は2001年から2003年の間にサラマンカのトパス刑務所でモハメッド・アシュラフ(スイスで服役中)容疑者の創設し、中央管区裁判所を初めとするマドリッドでのテロを計画していたとされるた過激イスラム主義団体に所属している容疑で逮捕されている。


11月9日(火)

アルムデナの聖母の祝日により、今日のニュースはお休みです。


11月8日(月)

カトリック教会、尊厳死反対キャンペーンをスペイン全土で開始

CEE(スペイン司教協議会)は、昨日全国の教会で“カトリック教徒の良心を動かすため”のパンフレットの配布を開始、社会党現政権の政策反対への最初の運動を始めた。配布されたパンフレットはカスティジャ語、カタルーニャ語、バスク語、ガリシア語の4カ国語で700万部以上印刷され、生命と死についてのカトリックの教義について説明。パンフレットの中には「尊厳死は殺人です。なぜなら、1人の人間にもう1人を殺させるからです。」と書かれている。このキャンペーンは、来年夏まで行われる予定で、尊厳死のほか、宗教の授業、家族の保護、生命の保護や妊娠中絶について今後取り上げていくという。
このキャンペーンについて、最大野党PP(国民党)は、「この点については意見が一致している」と前向きに評価、ラホイ総書記長は、現政権を「票の獲得のために無責任に、教会、判事、アメリカなどのケンカ相手を探している」と批判した。一方、IU(統一左翼)は、教会を“民主主義の決定をないがしろにしている”と非難。ジャマサレス代表は、教会が国からの資金援助を得ていながら尊厳死や同性愛者の婚姻に反対していることを批判し、書面で、政府に対しカトリック教会からの圧力に屈して議会と政府が取った民主主義的決定を変更することがないよう求めた。

初めての市役所での“洗礼”

チェロが奏でる音楽をバックに、昨日、バルセロナから65キロの場所にある人口3.4万人のイグアラダ市で初めての市役所による“洗礼”が行われた。市による“洗礼”は1790年ストラスブールで初めて行われたフランス共和制時代の慣習で、リバプールなど他の市でも様々な名称によって同様の儀式が行われている。
PSC(カタルニャ社会党)、ICV(カタルニャ緑の党)と無所属議員の連合が市政を動かしているイグアラダ市では、0歳から18歳までの居住者を市民として迎える儀式を正式に始めることを決定。サン・ボイ・デル・ジョブレガ市(バルセロナ県)でも2週間前に同様の決定がなされているが、この流れに賛同する人々は、教会との衝突を避けるため儀式を“洗礼”と呼ばないようにしている。
宗教から独立して行われるこの儀式で、市長は男児をイグアラダ市の市民として迎えることを宣言、国連憲章の中の子供の権利を謳った項目とスペイン憲法の教育についての項目に触れた。続いて母親が、イグアラダ市に対し、息子を市民として受け入れたことへの謝辞を述べ、このような儀式が民主主義社会で行われるようになったことを祝福、今後もこの儀式が続けられることを望むと述べた。イグアラダ市ではすでに別の家族がこの儀式開催を希望している。

2005年以降、新しい建物へのソーラーパネル設置義務付けへ

現在、政府が準備中の新建築技術法で、来年から新しく建設または改築される建物にソーラーパネルの設置が義務付けられる見通し。現在58.1万u(ドイツではすでに540万平方メートル)のソーラーパネル面積を2010年までに10倍にするのが目標。ソーラーパネルの寿命はおよそ25年で、設置には1軒あたり1100から1400ユーロかかるが、2平方メートルのソーラーパネルで50%から70%の給湯ををまかなうことができ、これにより各家庭で年間80ユーロが節約できる。また、経済的な面だけでなく、環境に優しいという環境の面での利点もある。
IDAE(エネルギー節約と多様化協会)の調べによると、ソーラーパネルを利用することにより、一軒屋では年間160万トン、20戸が入るマンションの場合、920万トンの二酸化炭素排出を防ぐことができるという。また、これまで5年間の間に建設された住宅350万戸がすべてソーラーパネルを使用していれば、2.45億ユーロの燃料費を節約できたという。
ソーラーパネル設置を義務付ける政府の方針に対して、建築業者からはすでに高騰している住宅の値段がさらに上がるとの懸念を示しているが、家庭にとって最も費用がかかるのは暖房、続いて給湯で、ソーラーパネルの設置がこれらの支出を少なくすることが期待できると専門家は述べている。


11月5日(金)

11−M容疑者最初の裁判は今月16日

中央少年裁判所のホセ・マリア・バスケス・オンルビア判事は、11−Mに使用された爆薬調達を幇助した罪で、16歳のG.M.V.、通称“エル・ヒタニージョ”被告の裁判を今月16日から18日にかけて行うことを決めた。被告は、エミリオ・スアレス・トラショラス容疑者の要請で、20キロのダイナマイトの入ったリュックサックを持ってオビエドからマドリッドまでAlsa社のバスで移動し、マドリッド到着後、11−M実行犯の1人となるジャマル・アーミダン容疑者にこのリュックを渡した疑いが掛けられている。エル・ヒタニージョ被告はアストゥリアスに戻った後、トラショラス容疑者から報酬として“1000ユーロちょっと”を受け取ったという。被告はまた、トラショラス容疑者と4人の北アフリカ人が鉱山で爆薬を受け取る際にも同席していたとされるが、この4人はレガネス市のマンション爆発の際、自爆死している。検察側は、被告に対し鑑別所収監8年、釈放後の5年は監視をつけることを要求している。

アルギニャーノ氏、ベラサテギ氏、裁判所出頭

バスク人シェフ、マルティン・ベラサテギ氏、カルロス・アルギニャーノ氏は昨日、中央管区裁判所に出頭、フェルナンド・アンドレウ判事の前で供述を行った。供述の内容については機密扱いのため、1時間程度の供述の後裁判所を出た2人のシェフは容疑についての一切コメントしていない。逮捕されたETAメンバー、ホセ・ルイス・ベオテギ容疑者が、“4人のシェフの革命税支払いの仲介をした”と供述したことから、10月18日には、フアン・マリ・アルザック氏、ペドロ・スビハナ氏も中央管区裁判所に出頭している。裁判所関係者の話によると、アルギニャーノ、ベラサテギ両氏とも、ETAに革命税を支払った容疑については否定しているという。

15日間で1.3万件のシートベルト違反

10月後半に治安警備隊が行った取り締まりキャンペーンの結果、13,003人がシートベルト装着義務違反により罰金(91ユーロ)の対象となったことがわかった。このうち、9445人は運転者。シートベルトを着用して運転している人の割合は、事前調査の結果(87%)より高い97.5%だった。2003年の交通事故の統計では、シートベルトを着用していない運転手の17%が死亡、着用していた人の死亡率は2.4%だった。
シートベルト非着用率を県別に見ると、カディスとアルメリアが最低の12%、逆にソリア、セゴビア、テルエル、サラマンカ、カンタブリアでは99%の車両が交通ルールを守っていた。また、今年から適用されたチャイルドシートの使用については、919件の違反があった。適切なチャイルドシートに子供を乗せないで交通事故に遭った場合、子供が致命傷を負う確率は5倍高くなるという。DGT(交通総合局)では、子供が体重36キロまたは身長150センチに達するまでは、各子供の身長と体重に合わせたチャイルドシートを使用することを推奨している。


11月4日(木)

首相、ブッシュ大統領の再選を祝福し、ヨーロッパとの対話呼びかけ

アメリカのブッシュ大統領の再選が決まったのを受け、スペインのサパテロ首相はこれを祝福し、この結果がEUとアメリカの関係緊密化へよい影響をもたらすことを望むと述べた。
当初の予定とは異なり、首相が発言を行ったのは公式に結果が発表する前。しかし、大統領への祝福メッセージは、結果が正式に発表されてから送られる。首相は、投票率が高かったことを“民主主義にとってよいニュース”とコメント、「これから、お互いの考えの違いを尊重しながら、効率的、建設的な協力関係をもつ新たな時代が始まることを期待する」と述べた。
下院の会議室で記者会見を行った首相は就任後のスペイン軍イラク撤退以来、深まっているアメリカとの溝については言及せず、フランス、ドイツと同様、アメリカとの対話の準備はできており、関係が好転することを確信していると述べるにとどめた。しかし、野党からはPP(国民党)だけでなく、IU(統一左翼)、CiU(カタルニャ連合)、PNV(バスク民族党)からも、ブッシュ大統領が再選を受けスペインに何らかの制裁を加えるのではないかとの危惧の声が聞かれ、政府に対し、アメリカとの関係強化に一層の努力を行う要請がなされた。

テロ対策について政府とPP会議

昨日、政府は最大野党PP(国民党)と対テロ協定についての第2回目の会議を行った。対テロ協定の内容は両者が追認したものの、イスラム主義テロリストとETAの関係の認識については、両者の間に相違が引き続き見られた。
3時間にわたって行われた会議の席に、アロンソ内務大臣は、警察と刑務所からの報告書を提出。この報告書のどちらもが、ETAとイスラム主義テロリスト間に何らかのつながりがあるとの見方を否定しており、これについて政府は、内務省が両者のつながりを示すと見られるすべての痕跡について“徹底的”に調査を行った末に出た結論であることを強調したが、一方のPPは「11-Mについてまだまだ解明されていない事柄もある中、政府には両者のつながりについて引き続き捜査の追及をお願いしたい。」とコメントした。>br> この点について、両者の見解の相違が見られたものの、対テロ協定については与党PSOE(社労党)、PPとも内容の変更は必要ないという意見で一致している。さらに、PPのラホイ総書記長は、刑務所内でETA囚人を集めて収監する予定はない、バタスナ党に対しては引き続き政党法を適用し非合法政党とする、対ETA政策は変更しないという3点について与党が確認したことにも満足の意を表した。しかし、現在はUNED(通信制大学)でのみ就学できるETA囚人に対し、政府がUNEDにない課程についてはパイス\・バスコ大学で就学できる可能性について研究している点について、ラホイ総書記長は現行どおり、UNEDのみでの就学にとどめるべきであると要求した。


11月3日(水)

逮捕したイスラム主義者からさらなるテロ計画発覚

先週スペインで逮捕されたイスラム主義者たちの供述が始まり、計画されていたテロの標的とされていたのがマドリッドの中央管区裁判所だけでなかったことが判明した。逮捕者の1人が所持していたマドリッドの地図には、アトチャ駅、プリンシペ・ピオ駅、ピカソタワー、PP本部、見本市・会議センター、サンティアゴ・ベルナベウ・スタジアムなどに印がつけられていたという。
“ノバ作戦”と名づけられた今回の作戦では13人が逮捕されている。バルタサ−ル・ガルソン・中央管区担当判事は、うち5人をテロリスト集団所属の罪に問うと共に、スイスで服役中のモハメド・アシュラフ容疑者がリーダーのイスラム過激派組織“モロッコのための殉教者”が、テロを計画し、第一グループが任務を遂行、または逮捕された場合に備え、第二グループも用意していたことを明らかにした。この第二グループのリーダーがアディラ・ミモン(本名ディバリ・アブデラ)容疑者で、同容疑者が上述の、標的と思われる場所に印をつけた地図を持っていたという。

ETAの“伝説的”6人の指導者、武装放棄を呼びかけ

今年の8月、服役中のETAの“伝説的”指導者6人が現執行部を批判し、武装闘争を止めるよう求める内容の書簡を送っていたことが判明した。この6人のリーダーは、90年代初めまでにETA内の組織を率いていた人物たちで、6人の中で最も知られている人物、フランシスコ・ムヒカ・ガルメンディア・“パキート”は、1992年に逮捕され、23の暗殺を指揮したとし、4645年の懲役刑に服している。書簡の中で6人は現在のETAを車に例えて“バックミラーが壊れたとか、タイヤがパンクしたとかの問題ではなく、エンジンがない”と表現、「現在のETA組織には武装闘争に後押しされるだけの政策がない」としている。
この書簡の存在が明るみに出たことに対し、アロンソ内務相はこの書簡について“興味深い内容”と述べ、政府はこの書簡について考慮に入れるとしながらも、あくまでも慎重な姿勢は崩さないと表明、バスク州政府もこの書簡に代表されている考えはETA、特に執行部で主流となっている考えではないとした。PNV(バスク民族党)からはこの書簡についてのコメントは出されていない。
また、昨日の明け方には、国家警察と治安警備隊により別々に行われた2つの作戦により、ETAの協力者と見られる6人がビルバオで逮捕されている。逮捕にあたり、9軒で家宅捜査が行われ、書類、パソコンなどが押収された。

スペイン軍外国人枠を2%から7%に拡大

ホセ・ボノ防衛大臣は、スペイン軍内での外国人受け入れ枠を現行の2%から7%に広げ、任務につくことのできる部隊も拡大する考えであることを発表した。
上院で、ボノ大臣は現在、陸海空軍に1050人の中南米または赤道ギニア出身者が所属しているが、この数字はまだ法律で定められた外国人受け入れ枠の2%に達していないことを明らかにした上で、スペインの現状を考慮すると、この枠は7%に拡大するのが“理に適っている”との意見を述べた。また、入隊を許されている国(中南米のスペイン語を母国語とする国々と赤道ギニア)の枠の拡大については考えていないが、任務につく部隊については現行のパラシュート部隊、歩兵部隊以外にも広げたいとした。大臣は外国人が軍務についていることに関し、軍内での満足度は高く、今後もこの方法によりスペインに居住する外国人の社会融合を促進していきたいとも述べている。


11月2日(火)

アフガニスタン派遣兵の半数、今月末帰還へ

大統領選挙支援のため、アフガニスタン北部に派遣されていたスペイン軍は、カルザイ氏の当選が公式に発表される今月5日から予定通り、段階的にスペインへの帰還を始めることとなった。25日には500人の兵士がスペインに戻っている予定。これにより、アフガニスタンに残るスペイン兵士はNATOの国際治安支援部隊(ISAF)に属する500人となる。
9月中旬からこれまでの派兵帰還の間に出動が必要だったことは一度もなく、スペイン軍の任務は主に周辺地域のパトロール。これまでで最も大きな事件は、アフガニスタン人警官が地雷を踏み、スペイン軍のヘリコプターで病院に運ばれたことだった。

乗り放題チケット販売開始(マドリッド)

昨日からツーリスト用公共交通機関乗り放題チケットの販売が始まった。このチケットは、カード型で、ZONA A(マドリッド市内のみ)またはZONA T(マドリッド州内とトレド、グアダラハラ)が選べ、利用日数は1日から7日まで。
チケットの種類は、1日券、2日券、3日券、5日券、7日券の5種類で、ZONA Tチケットを購入すれば、アランフエス、エル・エスコリアル、アルカラ・デ・エナレス、グアダラハラ、トレドといったマドリッド近郊都市にも行くことができる。ZONA A(ソナ・アー)の1日券は3.5ユーロ、ZONA T(ソナ・テー)の1日券は7ユーロで。最も高いZONA Tの7日チケットが36.70ユーロ。バス、地下鉄、国鉄で利用できる。
販売場所は、バラハス空港内のタバコ屋、地下鉄チャマルティン、アトチャ、メンデス・アルバロの3駅と観光客の利用が多い地域(ソル周辺、グランビアなど)にあるタバコ屋で、購入の際には、パスポートなどの身分証明書が必要。チケットには身分証明書番号が記入され、その人物だけが利用期間無制限に公共交通機関を利用できるシステム。チケットはプラスチックケースに入っており、このケースにはチケットのほか、スペイン語と英語での利用方法説明書、マドリッドの地図、地下鉄、国鉄路線図が入っている。マドリッド州では今後、販売場所を増やし、将来的にはインターネットでの販売も行う予定だという。

地下鉄衝突事故、調査委員会原因究明へ(バルセロナ)

TMB(バルセロナ都市交通)局長とバルセロナ市助役は昨日、共同記者会見を開き、日曜日に起きた地下鉄衝突事故の原因とその後の対応について説明を行った。
事故が起きたのは日曜日午後1時26分で、信号機は赤だったものの、コントロールセンターから線路上に他の車両はないとの許可を得た列車が3号線Penitents駅からVall d´Hebron方面に向けて発車、列車の時速50キロメートルに達した300Mほど走ったところで、線路が切り替えられこの列車は副線に入り、ここに停車していた列車に衝突した。この衝突により、乗客50人ほどが軽い怪我を負ったほか、衝突した列車の運転手が重傷を負い、病院に運ばれた。
事故の原因が人為的ミスだったのか、何らかの機械の故障だったかについてはいまだに判明しておらず、TMBは第三者で構成される調査委員会を設置し、原因の究明にあたるとしている。

週末のスポーツの結果

バイク:バレンシアで行われた世界選手権最終戦、125CCクラスで地元のエクトル・バルベラ選手が優勝、バルベラ選手は今シーズンの総合成績2位となった。来シーズンは250CCクラスに挑戦する予定。また、250CCクラスは、すでに総合優勝を決めていたダニ・ペドロサ選手が制し、今シーズン優秀の美を飾った。モトGPクラスでは、セテ・ジベルナウ選手が4位に入り、総合成績2位で今シーズンを終了した。
ラリー:カルロス・サインス選手が引退を発表して初めてのレースとなったカタルニャ・ラリーには、サインス選手を応援するたくさんのスペイン人が詰めかけた。サインス選手がこのレースに3位でゴールし、表彰台に上がったほか、地元のダニ・ソラ選手が6位に入った。今季残すは来週のオーストラリア・ラリーのみ。


11月1日(月)

諸聖人の日の祝日にあたるため、今日のニュースはお休みです。




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