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5月31日(火)

2000人近くが正義を求めて裁判所前に集結(カタルニャ)

土曜日、痴話げんかの末ナイフで22歳の青年が刺し殺されたバルセロナ県ベルガ市(人口1.5万人)では市内の緊張が高まっており、昨日は午前8時頃から地方裁判所前に人々が集まり始め、裁判所で供述する逮捕者たちの到着を待ち受けた。集まった人々の持つプラカードには正当な裁きを求めるメッセージのほか、事件発生時の警察の対応に疑問を投げかけるメッセージも見られた。15時半から開かれた葬儀に出席した後裁判所前に駆けつけた人々もいたため、集まった人々は2000人近くになり、彼らは、19人の逮捕者(うち8人は未成年)を釈放しないよう求める9000人の署名を裁判所に提出した。裁判所前の緊張した状態に、担当判事は州警察署に赴いて供述を取らざるを得なかった。今日は、残る2人の逮捕者の供述が取られる予定。
カタルニャ州政府のモンセラ・トゥラ内務局長によると、成人逮捕者11人のうち9人は、麻薬密売または窃盗の前科者だったという。局長は、昨日改めて事件発生時の州警察の対応に間違ったところはなく、PP(国民党)とCiU(カタルニャ連合)が要求するように州議会に出頭し、事態の説明を行う用意があると述べたが、ベルガの住民の間では、州警察は現場への到着が遅かったとの噂が絶えない。検死の結果、亡くなったジョセップ・マリア・イサンタさんが3ヶ所に受けた刺し傷は2種類の刃物によるもの、または2人の人物によるものであったことがわかっている。土曜日のケンカで刃物を持っていたのは2人の若者だったとの証言が多数あるほか、警察ではすでに犯行に使われたと見られるナイフ2つを発見している。

厚生省、猛暑対策プランを発表

ここ数日は気温の上昇も落ち着いているが、気象庁では今年の夏は特に南部で例年より雨が少なく、気温が高くなることを予想しており、昨日、エレナ・サルガド厚生大臣は、明日から9月まで適用される猛暑対策プランを発表した。
プランは基本的には去年と同じで、広告を使っての予防呼びかけ、影響を受けやすい子供、お年よりのケア、情報提供電話の開設が行われるが、昨年は緑(危険なし)、黄(注意)、赤(危険)の3段階で示されていた注意報が、今年は黄色と赤の間にオレンジ(要注意)を設けられることになった。注意報発令は、県別に作成された日陰での史上最低・最高気温データを元に行われる。
政府では、気温が著しく高いときは、水分をたくさん取る、日陰にいる、シャワーをこまめに浴びる、昼間に屋外で運動を行わない、涼しい衣服を着るよう勧めている。赤十字社では相談の無料電話(900-22-22-99)を去年と同様に明日から開設。昨年は、19.4万件の電話があり、うち7.5万件が体調を崩した人からの電話で、3878件については、診察、または病院へ移送するため係員が出張した。赤十字社のほか、カリタス、スペイン県協会、各都道府県でも同様のサービスが行われる。暑さがそれほど厳しくなかった昨年、熱中症によりスペインで亡くなったのは26人(うち13人はカナリアス州)だった。


5月30日(月)

オテギ氏「平和交渉開始には政府はまだ未熟」

ETA所属容疑で先週木曜日マドリッドのソト・デル・レアル刑務所に収監され、翌金曜日に40万ユーロの保釈金を支払って釈放された非合法政党バタスナ党のアルナルド・オテギ氏は、昨日釈放後初めての記者会見をサン・セバスティアンで開いた。記者会見でオテギ氏は、パイス・バスコでの平和プロセスに参加するには政府はいまだ“未熟”であるとの考えを示したものの、これは決定的評価ではなく、左翼民族主義政治団体として紛争解決を模索する意志は「中央管区裁判所にも刑務所にも左右されるものではない」と、ETAとの交渉係を務める可能性を残した。
バタスナ党幹部フアン・ホセ・ペトリコレナ氏、バタスナ党弁護士ジョネ・ゴイリセライア氏と記者会見に出たオテギ氏は、「民主主義的解決を求めながら、左翼民族主義者との話し合いにスペイン人ファシストを満足させるための懲罰的政策を同時に用いることはできない。」と述べ、PP(国民党)と合意に達している政治戦略を捨てるようにPSOE(社労党)に呼びかけた。ETAがマドリッドとギプスコア県で起こしたテロについては、これらのテロはETAと政府がいまだこれらの出来事が起こらないような合意に達していない証拠であると述べるに留めた。オテギ代表の発言を受け、PSOEは「バタスナ党が平和確立に協力する意志を信じさせたいのであれば、ETAに武器を捨てるよう呼びかけなければならない」と述べている。
昨日は、聖体祭のミサにおいて、スペイン司教協議会副会長のアントニオ・カニサレス・トレド大司教、フアン・マリア・ウリアルテ・サン・セバスティアン司教が聖職者として初めて、武装放棄した際はETAとの平和交渉を開始するとの政府の姿勢への支持を表明した。

Festimad 最終日に破壊行為

マドリッド南部のフエンラブラダで毎年開かれる音楽フェスティバルFestimadが、今年は破壊行為で終わった。土曜日の午後9時半頃、強風(主催者側の発表で風速70キロ)により、会場の1つのテントが船の帆のようにふくらみ、ステージの鉄骨が抜かれそうになったため、その時演奏していたフマンチューのライブは安全上の理由により中止となった。その後、午後11時半に再び主催者側代表者がステージに上がり現状について説明、残り3組のライブを予定通り行うと発表したが、午前1時を過ぎてもライブが再開されなかったため、2.5万人の観客の一部が飲物クーポン販売小屋を破壊、破壊行為は会場のテント全体に広がり、内部にあったものはことごとく破壊され、飲物はすべて盗まれた。アーティストを乗せるためのライトバンは壊され、あたり一面にスプレーで落書きがされ、ステージには石が投げられた。
この“戦争”の真っ只中、アメリカのロックバンド“インキュバス”がライブを再開、続く“システム・オブ・ア・ダウン”のライブで観客の暴力はいったん静まったが、午前6時、最後のグループ“ザ・プロディジー”が演奏を始めた頃、もう1つのテントに火がつけられ、消防車が出動する騒ぎとなった。破壊行為に参加した観客は会場から追放され、けが人の手当に当たった赤十字社の話によると、怪我はいずれも打ち身、切り傷などの軽いものだったという。

週末のスポーツの結果

F-1:ドイツGPで、最終周でトップを走っていたキミ・ライコーネン選手(マクラーレンチーム)のマシンが故障、2位につけていたフェルナンド・アロンソ選手(ルノーチーム)が今シーズン4度目となる優勝を飾った。アロンソ選手は引き続き総合成績1位の座をキープ、2位のライコーネン選手、トゥルリ選手(トヨタチーム)との差は27ポイント。
サッカー:2004-2005シーズンが終了。30ゲーム以上を2部降格の危機にさらされ過ごしたマジョルカは、ベティスと引き分け降格を逃れた。2部降格は、レバンテ(37ポイント)、ヌマンシア(29ポイント)、アルバセテ(28ポイント)。チャンピオンズリーグには、リーグ優勝したバルセロナ(84ポイント)のほか、レアル・マドリッド(80ポイント)、ビジャレアル(65ポイント)、ベティス(62ポイント)が、UEFAカップにはエスパニョール(61ポイント)、セビジャ(60ポイント)と国王杯準優勝のオサスナ(優勝のベティスがチャンピオンズリーグに出場するため)が出場し、インテルトトには、バレンシア(58ポイント)、デポルティボ(51ポイント)が出場する。最多ゴール選手は、バルセロナのエトー選手とビジャレアルのフォリアン選手(25ゴール)、最優秀キーパーはバルセロナのビクトル・バルデス選手。


5月27日(金)

小児性愛者網発見、5人を逮捕

スペイン警察は、9人の男児に対しわいせつ行為を行っていた疑いで、5人を逮捕した。逮捕者のうち23歳から24歳の3人は、被害者の男児にわいせつ行為を働いている様子を収めた20本ほどのビデオに出演しており、警察によるとこれらの映像はインターネットを通じて他の小児性愛者に提供されていたという。被害者9人のうち5人は12ヶ月から2歳の子供だった。
今回の捜査は、今年2月、別の小児性愛者網捜査の際、逮捕者から“Nanysex”という名前を使った人物がインターネットを使って乳幼児の強姦写真を供給しているとの情報を得て開始された。インターポールの協力により、ビデオの1つに映っていた男児が握っていた切符が、今年1月マドリッドのアトチャ駅で発券された近郊電車のB3ゾーン切符であることがわかったほか、マドリッド北部が管轄のラ・パス病院のタオル、スペイン語特有のアルファベット“エニェ”のついたキーボードなどもビデオに映っていたことから、この小児性愛者網がスペインで運営されていることを確信した警察は、プロバイダーへのアクセス情報などからムルシアにあるパソコンショップ“PC Tuning”が本拠地であるとの結論に達した。さらにこの店のオーナー、アルバロ・I・Gが、マドリッドのコジャド-ビジャルバに住んでいたことも判明、容疑者が借りていたマンションを家宅捜査したところ、ビデオに写っていたのと同じマンションであることが確認された。
発見されたビデオ映像の中には、強姦者の顔がおぼろげに映っているものもあり、この結果、ムルシア、コジャド-ビジャルバで撮影されたビデオでわいせつ行為を行っていた犯人としてアルバロ・I・G容疑者(23歳)をムルシア、ジェイダ在住エドゥアルド・S・M容疑者(23歳)をバルセロナで逮捕したほか、生物学専攻の学生アントニオ・G・C容疑者(24歳)をビーゴで逮捕した。3人はいずれも容疑を認めているという。アルバロ容疑者には7人の男児に対してわいせつ行為を行った容疑がかけられているが、このうちの4人は、容疑者が安価(時給3ユーロ)で提供していたベビーシッターの広告を見て両親がベビーシッターとして雇ったもので、後の3人は容疑者と両親が知り合いだったことから容疑者に子守りを頼んだと見られている。昨日5人の逮捕を発表したアントニオ・アロンソ内務大臣は、「判事を務めた長年の間に様々なものを見てきたが、これほどまでにひどい映像を見たのは初めてだ」とコメント、“Nanysex”が運営していた小児性愛者網の基礎は今回の逮捕により壊滅させられたものの、今後の捜査により、ここから派生したさらなる逮捕者が出る可能性があることについても述べた。

バスク州政府、オテギ逮捕は“バスク平和確立の障害”との見方

PNV(バスク民族党)、EA(バスク同盟)、IU(統一左翼)で構成されるバスク州暫定政府は、昨日、非合法政党バタスナのアルナルド・オテギ代表逮捕の裏には政治的圧力があるとの疑いが濃い上、この政治的圧力は、バスク州平和確立のためには逆効果を与えるとの考えを示した。また、バタスナ党は、PSOE(社労党)がこの逮捕を宣戦布告と受け取っており、「バスク紛争の民主主義的解決の可能性を締め出した」と首相を批判、ビルバオのPSE(バスク社会党)本部前では昨日200人ほどのバタスナ党支持者が逮捕反対集会を開いたほか、ギプスコア県のエルゴイバルでもバタスナ党幹部の参加した反対集会が開かれた。
一方、オテギ代表の弁護団は、昨日ビルバオ裁判所、要求されている保釈金の半分に相当する20万ユーロ分の銀行の保証書を提出した。昨日未明、マドリッドのソト・デル・レアル刑務所に入ったオテギ容疑者には隔離措置が取られており、保釈金が支払われるまではこの状態に置かれることが決まっている。

Yak-42機事故から2年

62人のスペイン人兵が犠牲となった軍用チャーター機Yak-42機墜落事故から2年、昨日防衛省の中庭で追悼式典が行われた。昨日は真夏並みに日差しの強い一日となったため、防衛省では参列した300人以上の遺族に野球帽を配布した。犠牲者の冥福への祈りが捧げられた後、62人の名前が読み上げられ、最後の1人の名前が読まれた後、参列者からは拍手が起こった。その後ホセ・ボノ防衛大臣、フェリックス・サンス将軍と共に遺族の代表者4人(遺児、未亡人、犠牲者の兄弟と母親)は、花輪を捧げ、上空を偵察機アギラが飛び、スペイン国旗色のスモークを空中に残した。午後には合同ミサが行われ、その後遺族はほとんどの犠牲者の出身地であるバレンシア、ブルゴス、サラゴサへと帰って行った。
遺族の大半が所属する遺族会の代表アルフォンソ・アグジョ氏は、事故2周年となった昨日記者会見を開き、「大臣を務めていたとき、軍人を危険な目に合わせ、陳情を聞かず、死者を敬わず、遺族をだました。これだけの履歴があれば、国会は何らかの発言を行うべきだ。」と、当時防衛大臣だったフェデリコ・トリジョ議員の資格を剥奪するよう国会に申し入れ、遺族のクラ・リポレスさんは、トリジョ議員は、飛行の際に起きた異常について詳細に説明し、自主的に中央管区裁判所に出頭し、事情説明を行うべきだとの考えを示した。また、遺族会弁護士のレオポルド・ガイ氏は、必要手続きを整え元大臣の裁判所召喚を要請することを明らかにしている。
昨日は、亡くなった兵士の派遣先だったアフガニスタンと、事故前にYak-42機の最後の経由地であるキルギスタンのマナスでも追悼式典が行われた。


5月26日(木)

ETA、マドリッドでテロ

ETAの武装放棄を条件に対話を開始する政府の提案が国会で承認されてから1週間、昨日、マドリッドのサン・ブラス地区でETAによるテロが発生、事前に車種、車の色、ナンバープレートを知らせる予告電話があったため、爆発時、現場からの避難はほぼ完了しており、5人が軽傷を負ったものの死者・重傷者は出ていない。負傷して病院に運ばれた5人のほか、42人が鼓膜の痛み、パニック症状または避難時の転倒などにより現場で手当を受けた。また爆発したライトバンの近くに駐車されていた車8台が損傷したが、現場のアルカラ通りが広い通りであったため、爆風が拡散し、被害の拡大は防がれた。爆弾の入ったリュックが置かれていたライトバンは、爆発後原形を留めていなかったが、警察はこの車が前夜、マドリッド州サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルで盗まれた車であることを突き止めた。持ち主からは昨日の午前7時に盗難届が出されていた。
予告電話がGara新聞社にかけられたのは昨日の午前8時45分で、爆発はその46分後の9時31分に起きた。爆発したライトバンは、午前7時から7時半の間に2人の若い男性により駐車されたという目撃者の証言があり、警察ではライトバンを止めた後、犯人は用意してあった別の車でマドリッドとバルセロナを結ぶ国道を使って逃走、グアダラハラ県のある村から予告電話をかけたと見ている。昨日は、非合法政党バタスナ党のアルナルド・オテギ、ジョン・サラベリアの2人が中央管区裁判所にETAへの資金提供疑惑の事情聴取のため出頭する日だった。

ETAとの関連疑惑でアルナルド・オテギ逮捕

ヘスス・アロンソ検事は無条件収監を求めていたが、中央管区裁判所のフェルナンド・グランデ-マルラスカ判事は、昨夜、非合法政党バタスナ党のアルナルド・オテギ代表に対し、テロリスト組織ETAへの“指導者的地位”所属容疑による保釈金(40万ユーロ)付刑務所収監を命じ、昨日オテギ容疑者と出頭するはずであったSA(愛国社会主義同盟)のジョン・サラベリア元議員に対しては、国際指名手配が出された。
オテギ容疑者は、この日herriko taberna(バル兼独立主義者集会所)を通じてのETAへの資金提供に関わっている疑いについての事情聴取のため、中央管区裁判所から召喚されていた。保釈金40万ユーロを支払った場合、オテギ容疑者は月曜と金曜の週2回、居住地近くの裁判所に出頭しなければならず、パスポートは差し押さえとなり、国外に出ることができなくなるほか、引越しの際は裁判所に連絡が義務づけられることになる。判事は、「バタスナ党がETAの活動に関わり、オテギ容疑者がこのテロリスト組織の中で責任ある地位についていることの十分な裏付けがある」と判決文の中で述べているが、被告弁護人イオネ・ゴリセライア氏は、この判決を ”政治的、司法的スキャンダル”と定義、オテギ容疑者は法廷で容疑を全面的に否定している。

Yak墜落事故の賠償金をNATOに請求

スペイン防衛省は、2年前の5月26日に墜落しスペイン兵62人が死亡したYak42機をチャーター手配したNATO内機関のNAMSA(NATO保守・供給エージェンシー)に対し、“下請け会社の監督とコントロール義務の不履行”を理由に、賠償金として370万ユーロの支払いを求める書簡を送付した。防衛省によると、本来ならNAMSAが使う下請け会社はNATOの認可企業でなければいけないにも関わらず、Yak-42機チャーターにあたって使われた下請け会社はNATOに加盟していない3ヶ国(アイルランド、レバノン、ウクライナ)の認可を受けていない企業であったほか、乗客1人につき7.5万ドルかけられるべき生命保険もかけられていなかったといい、同省ではこれはNAMSAの監督義務不履行が原因だとしており、亡くなったスペイン人兵62人の遺族が本来受け取るべきであった保険料と同額をNAMSAに請求した。
NAMSAはこれまで全面的に責任を否定しており、スペイン防衛省は、現在返答内容によってはNAMSAを相手取り訴訟を起こす可能性について検討している。


5月25日(水)

NGO団体職員、不法滞在移民への詐欺で逮捕(ウエルバ)

治安警備隊は昨日、ウエルバにあるNGO団体Huelva Solidariaの幹部職員5人を詐欺の容疑で逮捕した。5人には、この5年間でおよそ4万人以上の不法滞在移民から、本来無料で行うべき書類の手続き、保管などの費用を支払わせ、600万ユーロ以上を騙し取っていた疑いたもたれており、このうち3人は別の不法滞在移民相手の詐欺事件の捜査対象にもなっている。
このNGO団体会員からの告発を受け、治安警備隊では1年前からこの団体についての捜査を行っていた。5年ほど前からウエルバで活動を始めているこの団体事務所には月曜日家宅捜査が入り、パソコン、書類が押収された。逮捕された5人は治安警備隊事務所で供述した後、釈放されたが、今後、裁判所から召喚状が届くことになる。この団体では、入会費10ユーロ、会員証発行費5ユーロ、会費月額60ユーロを移民に払わせていた上、翻訳、相談など、書類の保管についてはさらに別料金を徴収。他のNGO団体では無料で行っている労働許可申請などの手続きには100〜200ユーロの料金を取っていた。警察は、この団体の詐欺被害者であると思う移民は関係機関に告発するように呼びかけている。捜査は引き続き進行中のため、今後さらなる逮捕者が出ることもありえるという。

バレンシア州自治憲章改正、PPとPSOEが合意

「州内で幅広い同意が得られ、憲法を遵守する範囲であれば州自治憲章改良を後押しする」とサパテロ首相が宣言してから1年、初めての州自治憲章改正についての合意がバレンシア州で達成された。この合意では、国家税務局に協力する形で機能するバレンシア州収税局の設立が見込まれている。
何週間にもわたる交渉の末フランシスコ・カンプス知事(PP)とPSPV(バレンシア社会党)のジョアン・イグナシ・プラ氏が結んだ取り決めは、両者の発表によると国の法改正の必要がなく、憲法を遵守するものだという。バレンシア収税局設立の目的は、州税の徴収と運用だけでなく、共同で国家税務局とその他の税金の徴収・運用にもあたることで、このほか州自治憲章改正によって、司法委員会の設置も予定されているが、この委員会が持つことになる権限については、地方分権の目的で行われるCGPJ(司法権統括委員会)法の改正を待って決定されることになっている。また州自治憲章改正に伴って、州議会法、バレンシア・ラジオ、テレビ局法、公共宣伝法、オーディオビジュアル委員会法、司法諮問委員会、州選挙法の5つの法改正も行われるが、この合意についての公式発表は日曜日に行われる。
この法改正案は、明日からバレンシア州議会で審議にかけられ、7月1日承認され、その後国会でも承認される見通しだが、数週間前に交渉の席を離れたバレンシア統一左翼は、この改正法案に対し全面修正案を提出する予定。

エトー選手に罰金1.2万ユーロ

スペインサッカー協会競技委員会は、先月18日、カンプノウ・スタジアムで行われた優勝祝賀セレモニーで9万人以上のファンを前にレアル・マドリッドを侮辱するフレーズを6回にわたって繰り返したとし、FCバルセロナのサミュエル・エトー選手に対し、1.2万ユーロの罰金を言い渡した。エトー選手の発言について、委員会は「行われた時期と場所を考慮すれば、この発言はバルセロナとレアル・マドリッドのライバル関係をさらに深めるもので、将来の暴力の種の効果をさらに増長させかねないという点で、重大発言だ。」と述べたが、翌日公の場で謝罪したエトー選手の反省した態度を評価し、罰金額は規定より下げられたという。1.2万ユーロは罰金としてはこの9年間で最高額だが、選手には10日間の控訴猶予が与えられる。
バルサチーム関係者によると、レアル・マドリッドのロベルト・カルロス選手が暴力行為を多数働いてきたことで知られる過激派ファン組織“Ultrasur”のリーダーに試合後ユニフォームをプレゼントしたことに対しては、競技委員会が同選手を戒めただけでいかなる経済的懲罰も課さなかったにもかかわらず、今回エトー選手に1.2万ユーロの罰金が課せられたことに対する不快感がチームにはあるという。チームは選手と接触を取り、今後の手続きについて“アドバイス”していくと述べている。エトー選手はこの件に関して一切コメントを行っていない。


5月24日(火)

バスク州議会議長ようやく決まる

PNV(バスク民族党)は昨日、これまで議長候補として固執しつづけてきたフアン・マリア・アトゥチャ氏を候補から取り下げ、代わりにイサスクン・ビルバオ氏を候補とすることを決定。3日間、9回にわたる投票で議長が決まらなかったパイス・バスコ州州議会は、ようやくPNV、EA(バスク同盟)、EB(統一左翼)、EHAK(バスクの地共産党)、Aralar党の42票により、同氏を州議会議長に選んだ。アトゥチャ氏の候補取り下げを受け、PP(国民党)はカルメロ・バリオ氏を候補に立て投票、PSE(バスク社会党)はミゲル・ブエン氏を議長候補から取り下げ、白紙で投票したが、PNVの決定は、ビルバオ氏自身が審議開始15分前に知らされたほど予想されないものだったことから、PP議員の1人はすでに候補となっていないミゲル・ブエン氏に投票、1人は白紙で投票している。
バスク州議会初めての女性議長に選ばれたビルバオ氏は、1961年ベルメオ生まれ。PNV党首ジョス・ジョン・イマス氏が信頼を置いている女性で、アトゥチャ内務局長時代に内務局で働いていた。デウスト大学で法律を専攻、政治家としての最初の仕事はベルメオ市議(1987年〜1991年)。
バスク州議会では昨日は、副議長と書記も選出。ミゲル・ブエン氏(PSE)が第一副議長、ラファエル・ラレイナ氏(EA)が第二副議長に選ばれたほか、2人の書記にはPP、EBからそれぞれカルメロ・バリオ氏、コンチ・ビルバオ氏が就任。EHAKが選から漏れたことについて、審議後、同党のネカネ・エラウスキンは不快感を露にし、支持する州知事については“パイス・バスコの状況正常化と紛争解決に道を切り開ける人物”と述べるに留め、イバレチェ氏を支持するかどうかは明らかにしないままにした。

フランスでETA幹部3人を逮捕

スペイン、フランス警察の共同捜査により、昨日フランス南東部、リヨンの南に位置するRomans-Sur-Isereで、3人のETA幹部が逮捕された。3人はETAの国際部隊のリーダーで、外国での武器調達、ETAメンバーの逃亡、隠れ家手配などを担当していた。3人が逮捕された民家のガレージからは、盗難車と偽造ナンバープレートが見つかっているほか、この民家からは爆弾を製造するための材料が見つかった。逮捕されたのは、ラモン・サガラス・ガステルメンディ(37歳)、オイレル・ゴイティア・アバディア(33歳)のスペイン人2名と、フランス人のベルナル・サン・セバスティアン(55歳)で、フランスを拠点とした活動部隊の立ち上げを準備していたと見られている。
アントニオ・アロンソ内務大臣は、今回の逮捕は、国家のテロと闘う断固とした姿勢の現れであると定義、内務大臣によると、今年逮捕されたETAメンバーまたは協力容疑者の数は71人に上るという。大臣は首相と同様、政府とETAの間で何らかの交渉が始まっているとする噂を否定した。

コロンビアでゲリラの人質となっていたスペイン人、脱走に成功

駐コロンビアEC(欧州委員会)の発表により、2002年11月から同委員会に勤務し、今年4月15日に誘拐されたスペイン人公務員カルロス・アヤラ・サアベドラさん(59歳)が脱走に成功、日曜日ベネズエラで無事保護されたことがわかった。アヤラ氏は、この日、あるNGO組織のための土地買い付けに赴いた際、首都ボゴタの590キロ西にあるククタ市近くで同行していたコロンビア人女性アシスタント(10日後に解放)と共に誘拐されていた。アヤラ氏の誘拐から5週間、犯人側からECには何の接触もなかったが、同氏は犯人はFARC(コロンビア武装革命軍)で、日曜未明、見張りが眠っている間に脱走したと証言している。


5月23日(月)

首相、ギプスコア県での小規模テロを糾弾

先週日曜日にパイス・バスコ州で起きた4件の小規模テロを公式に糾弾しなかったとし、最大野党PP(国民党)から非難されていたホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は、昨日は、ギプスコア県サラウツで起きた2件の小規模テロ(うち1件は未遂)を糾弾する声明を滞在先のハエン県で行った。記者を前にサパテロ首相は、このテロに対する“深い拒絶”を表明した後、このテロによりETAが武装放棄すれば交渉を開始するという政府の姿勢が変わることはないことを改めて強調した。
サラウツに仕掛けられていた爆弾2つのうち、レストラン“アイテン・エチェ”近くの公園ベンチわきにあった爆弾は、午前3時頃この箱を見つけ、蹴った近くに住む男性により爆弾であることが判明、時限装置は午前5時半に仕掛けられていたが、爆発の前にバスク州警察爆発物処理班の手により2キロの塩素酸塩爆弾による爆発は防がれた。もう1つの爆弾は、同市に住むグラフィックアート会社Graficas Otzarreta社社長宅前で午前5時に爆発し、壁と庭の一部が破壊された。被害額はおよそ6000ユーロ。2つの爆弾は、先週ギプスコア県で爆発した4つの爆弾と類似した構成で、今年4月22日にフランス、ポワティエの化学工場から盗まれた爆薬を使ったものと見られている。

Yak-42機事故原因は、乗組員の“極度の疲労”

2003年5月26日にトルコのトラブゾンで墜落、スペイン人兵62名とウクライナ人乗組員13人の全員が死亡したYak-42機の事故原因について調べている調査委員会の最終報告書草案によると、事故の主要原因は乗組員の極度の疲労だったと見られるという。
70ページにおよび英語で記されたこの報告書には、この事故は、いくつもの要因が重なって起こったものだとされているが、その原因の中でも乗組員の疲労が最も大きな原因だと記されている。この報告書草案は3月15日にトルコの首都アンカラで、ロシア、スペイン、ウクライナの専門家に渡され、トルコを含めた4カ国の専門家からこの内容についての意見が最終的に書き加えられることになっている。報告書では、乗組員の経験が十分ではなかったにもかかわらず、海と山脈に挟まれ着陸の難しい空港に疲労状態のまま着陸しなければならなかった状況についても述べられているが、ウクライナはパイロットの2人が以前にこの空港への着陸を経験していると異議申し立て、しかし、これを証明する書類は提出されていない。また、ウクライナの法律でVCR(管制塔との会話を記録するブラックボックス)の故障した飛行機は飛行が禁止されているにもかかわらず、Yak-42機のVCRは少なくとも45日以上前から故障していたこともわかっている。現在のところ、トルコ、ロシア、スペインの3カ国は内容に同意しており 、ウクライナが反対する形のまま、報告書としてまとめられる見通し。


5月20日(金)

バスク州議会議長選出、依然として平行線

月曜日、火曜日に続いて、昨日もバスク州議会で州議会議長選挙投票が行われたが、3回の投票の結果は第2回目から変化を見せず、バスク州議会では依然として州議長を選出できない状態が続いている。投票前には、アトゥチャ氏が党の決定としてではなく個人的決定として候補から下りるとの噂も流れたが、投票の結果は同じで、投票後ジョス・ジョン・イマスPNV党首はマスコミの前に姿を表し、噂の否定と党はあくまでもアトゥチャ氏を候補とすることについて改めて表明した。
イマス党首はPP(国民党)、PSE(バスク社会党)、EHAK(バスクの地共産党)の政治的ではなく個人的な理由でのアトゥチャ氏拒絶について批判したが、その後、州議会によって選出されるポスト(州議会委員会、州営テレビ局代表など)の配分について他政党と交渉の用意があると、話し合いを求めた。しかし、この申し出は、PSE、 EHAKによって即座に拒否されており、EHAKがPNV、PSE両党にこの状況から脱出するための話し合いの場を設けるよう書簡で依頼したほか、PSEは引き続き両党の候補者を取り下げ、両党間で合意に達することのできる人物を新たに候補とする申し出に固執している。

警官、治安警備隊、ETAとの交渉開始国会決議を支持

UGT(労働総同盟)、PSOE(社労党)寄りの、警察の労働組合SUP(5万人のうち2.8万人が加入)と治安警備隊の労働組合AUGC(7万人のうち2.3万人が加入)は合わせて5.1万人の組合員を抱えているが、この2団体は昨日、国会が支持を決めたETAが武装完全放棄すれば交渉を開始するという政府の提案を受け入れることを表明した。
SUPは声明文の中で、1968年からETAにより殺害された817人のうち、半数以上の434人が警官、治安警備隊員またはその家族であることを強調、テロ最大の被害者を代表する立場から今回の国会決議を支持することを表明、ETAの完全武装放棄により交渉が開始される場合は、人を傷つける犯罪を犯したテロリストについては減刑措置を認めず、ETAメンバー服役囚をパイス・バスコ州内に収監する可能性について検討し、人を傷つける犯罪を犯しておらず、暴力の終結に協力を申し出たETAメンバーについては減刑を認めるべきだとした。現在、スペインでは550人のETAメンバーが服役中。

アトレティコ練習場に過激ファン乱入

昨日、マドリッド北西部マハダオンダでアトレティコ・マドリッドの選手が練習を行っていたところ、フェンスを倒し、“ウルトラ”と呼ばれる過激派ファン11人が練習場に乱入。選手、コーチ陣を罵倒し、キーパーのトレーナー、ミゲル・バストン氏は、集団のリーダーと見られる覆面をしたスーツの男から「お前の命はもう終わりだ」などと脅迫を受けた。
当時練習場に唯一いたガードマンは乱入場所の正反対にある入口におり、グラウンドで唯一携帯電話を持っていた職員が通報、しかし、治安警備隊員が到着したときにはすでに乱入者の姿はなかった。チームでは乱入者を告発しておらず、破壊されたフェンスの価値が300ユーロを越えない場合この事件は犯罪と見なされないため、逮捕者は出ていない。乱入者の一部は、覆面をかぶっていたが、スーツのリーダー格の男を含めた数人は、目撃者により彼らはホームスタジアムで南ゴール裏に陣取っている過激派ファン組織“フレンテ・アトレティコ”のメンバーであることが確認されている。
この日は、練習後選手が施設に残ることは禁じられ、全ての選手は練習終了後一斉に治安警備隊の警備する中練習場を出た。アトレティコ・マドリッドには、明日、サンティアゴ・ベルナベウ・スタジアムでのレアル・マドリッドとの試合“ダービー”が控えている。


5月19日(木)

サパテロ対ラホイ国会国政討論は、サパテロ首相に軍配

CIS(社会学調査センター)が先週の金、土曜日に行ったアンケート調査によると、先週行われた国政討論を見なかった人は48%だった。テレビで中継を見た(34.5%)または、ラジオで聞いていた(5.8%)人を対象に質問したところ、13議員が発言したにもかかわらず、対象者のほとんどはサパテロ首相とラホイ氏の演説の内容しか覚えておらず、この2人の“決闘”について質問したところ、サパテロ首相の演説内容について、“とてもよかった”または“かなりよかった”と答えた人は56.7%で、22.8%が反対に“とても悪かった”または“かなり悪かった”と答えている。ラホイ氏の演説内容については、31.7%が“とてもよかった”または“かなりよかった”と答え、47.1%が“とても悪かった”または“かなり悪かった”と答えた。
サパテロ首相のイメージについては、35.5%が“よくなった”、38.7%が“変らない”、21.4%が“悪くなった”と答えた一方、ラホイ氏のイメージは、17.1%が“よくなった”、34.7%が“変らない”、42.8%が“悪くなった”と答えている。

ペセス-バルバ氏、ETAとの交渉開始について被害者、警察と会談へ

ハエン県の高校で昨日行った演説の中でテロ被害者支援担当高等委員グレゴリオ・ペセス-バルバ氏は、「ETAとの交渉はどこに武器があるかを知り、そのメンバーを裁き、必要条件を満たす者については社会復帰を助けるためのものとならなければならない」との考えを示し、ETAが武装放棄した後平和交渉を開始するという火曜日国会で承認された決議について、被害者協会と警察労働組合を集め、来週話し合う予定であることを明らかにした。

空港トランジットゾーンから密入国手引きのグループを逮捕

スペイン治安警備隊とモロッコ警察共同捜査により、マドリッドのバラハス空港の監視のない場所から300人程度のモロッコ人を密入国させていたグループの19人が逮捕された。
アロンソ内務大臣が昨日明らかにしたところによると、密入国者は6000ユーロを支払い、カサブランカからマドリッド経由でブラジル(モロッコ人は入国ビザ必要なし)に向かう飛行機に乗り、マドリッドでのトランジットの際にこの区域のどこかから厳重な監視の目をくぐって空港外に出ていた模様。出口は建設上の何らかのミスにより生じた穴などであると考えられており、現在捜査中。密入国者はバラハス空港到着時から携帯電話で手引者からの指示を受けており、空港の外に出た後はタクシーで指示された場所に向かい、偽造身分証を受け取っていた。
逮捕された19人のうちリーダーと見られる男を含む6人はモロッコで逮捕、残りはマドリッド(12人)、ムルシア(1人)で逮捕された。4人はスペイン人で残りはモロッコ人。8件で家宅捜査が行われ、書類を偽造するためのゴム印、パソコン、偽造パスポート、偽造労働許可証などが押収された。


5月18日(水)

国会、武器放棄を条件にETAとの対話を開始することを確認

昨日国会は、武器を放棄すればETAとの対話を開始するというPSOE(社労党)からの提案について審議を行い、197対147でこれを可決承認した。反対票を投じたのは最大野党PP(国民党)のみで、PPは、この提案は両党間で結ばれている対テロ協定に反するとPSOEを激しく攻撃した。
すべての民族主義政党も支持したこの提案は、“ETAに武器を置くことを呼びかけ、これにより暴力の終結が得られた場合、国会は国家と暴力を放棄することを決めた者との対話プロセスを支援する”というのもので、サパテロ首相は提案を支持した7つの政治団体に感謝の言葉を述べると共に、“残り1つの政党”もこの提案に乗るようただちに行動を開始すると述べたが、これに対し、PPのラホイ党首は「これからの数ヶ月、私はスペイン人の大半とテロの犠牲者の支援のもと、ETAと交渉するためでなく、ETAを打ち負かすため全力で戦う所存である」と述べ、「今日、国家権力を代表する国会は、ETAに政治対話者という称号を与えた」と非難した。
昨日の審議までに、PSOEはPPからの合意を取り付けるべく交渉を試みたが、PPはEHAK(バスクの地共産党)の非合法化を政府が検察庁に対して働きかけない限り話し合いには応じないとし、交渉は決裂。AVT(テロ被害者の会)は、PPの姿勢を支持しており、昨日国会傍聴席にはフランシスコ・アルカラス同会会長、ETAに暗殺されたペドロ・アントニオ・ブランコ氏の未亡人の姿があった。

バスク州議会、2日目の審議でも議長選出ならず

バスク州議会では、月曜日に続き昨日も3度の投票が行われたが、33対33の状況は変らず、審議は明日に持ち越されることになった。月曜日白紙投票を行っていたEHAK(バスクの地共産党)は、昨日は投票用紙に“EAJ-PNV”と書いて投票、用紙には候補者の名前を記入しなければならないためこの9票は無効扱いとなったが、EHAKはこうして投票することにより、議長候補者がアトゥチャ氏でなければPNV(バスク語ではEAJ)を支持するという姿勢を改めて強調、今後48時間で新たな候補者を交渉するようPNVに呼びかけた。
投票後、PSE(バスク社会党)は、それぞれの党が推すミゲル・ブエン氏、フアン・マリア・アトゥチャ氏を州議会議長候補から取り下げ、合意に達することができる別の人物を新たに候補者として立てる提案をPNV(バスク民族党)に対し行ったが、この提案はPNVにより即時却下された。

マドリッド山間部で降雪

マドリッドとセゴビアの境界にあるナバセラダ峠は一昨日夜から4センチの降雪のため通行止めとなっていたが、昨日の朝、通行止めは解除となった。同じく降雪のため通行止めになっていたマドリッド山間部のナバフリア峠もすでに通行は可能となっているが、両峠共通行にはチェーンの装着が必要。
バルセロナのエル・プラット空港では、悪天候のためビルバオ、マドリッド、ローマ、リスボン、グラン・カナリア行きの6便が欠航したほか、カタルーニャ州全域に大雨注意報が出され、特にジローナ、バルセロナ県で警戒が呼びかけられた。バレンシア、グラナダ、マラガでも強風のため交通に影響が出た上、パイス・バスコ州ではバサウリで大雨によりネルビオン川が決壊した。


5月17日(火)

バスク州議会議長、3度の投票でも決まらず

過半数(38票)獲得が必要とされる第一回目の投票はPSE(バスク社会党)候補ミゲル・アンヘル・ブエン・ラカンブラ氏33対PNV(バスク民族党)フアン・マリア・アトゥチャ・メンディオラ前議長32、再び過半数獲得が要求される第二回目の投票では一回目で白紙投票したAralar党がアトゥチャ氏支持に回り、非合法政党バタスナ党系列であるとされるEHAK(バスクの地共産党)が白紙投票を続けたため、第3回目以降の投票は多数決であるにもかかわらず、PSEとPP(国民党)対PNV、EA(バスク同盟)、IU(統一左翼)とAralar党は33対33の引き分けとなり、バスク州議会議長選出のための投票は翌日に持ち越された。
EHAKは、この状況を打開するにはPNVがアトゥチャ氏ではなく別の候補を立てることだと述べたが、PNVのジョセバ・エヒバル広報官は同党には別の候補を立てる意思はないと明言した。議長選出の難航を見て、フアン・ホセ・イバレチェ暫定知事は、木曜日と金曜日に予定していたポーランド訪問を中止、この状況が長引けば、6月中旬に予定されている知事選出にも遅れが出る恐れがある。

スペイン、先進国中で男女差の大きい国であることが判明

世界経済フォーラムが男女差の少なさについて調査、発表したところによると、スペインは世界27位との結果が出た。調査は、政治、経済、教育、健康の分野について行われ、北欧五カ国がトップを占めたが、その国々でも男女完全同権はまだ確立されていない。
世界の主要企業家によって構成される世界経済フォーラムは、毎年スイスでダボス会議を開くことで知られているが、今回初めて58カ国(OECD-経済協力開発機構-に加盟している30ヶ国と近年急速に発展し、信用に足るデータを提供できる28カ国)を対象に男女差についての調査を行った。調査では、5分野について7段階評価を行い、スペインは総合成績4.13ポイントで58か国中27位、OECD加盟国30ヶ国内では、22位で、スペインより下位にあるのは、オーストリア、スイス、日本、イタリア、ギリシャ、メキシコ、韓国、トルコだけという結果だった。
分野別に見てスペインで最も男女差が大きいのは、女性の経済参加(58ヶ国中45位、OECD加盟30ヶ国中26位)。この分野では、賃金、職業における平等さ、労働力市場への女性の参加などについて評価されており、女性の貧困、賃金の悪い職業における女性労働者の割合、家庭における役割分担の均衡などを評価する分野でも34位、また教育分野は35位だった。しかし、女性であるために受ける暴行、公共衛生機関健康の分野では、世界第5位(OECD加盟国内でも同位)の結果が出ている。


5月16日(月)

バルサリーグ優勝

土曜日、レバンテとの試合を1-1で引き分け、1999年以来のリーグ優勝を祝うため、この日の夜、バルセロナのカナレタスの泉には4万人が詰め掛け、日曜日午前4時頃、バレンシアから到着したFCバルセロナは、1万人以上のファンに空港で迎えられた。
昨日は、カンプ・ノウ・スタジアムをスタートし、市内を一周してカンプ・ノウ・スタジアムに戻る優勝祝賀パレードが行われ、バルセロナ市役所の発表によると、90万人の人出があったという。パレードの通過地点ではチームのユニフォームに身を包み、チームのマフラーを振り回すファンたちにより前夜と同じ光景が繰り返された。パレード終了後、カンプノウ・スタジアムでは祝賀セレモニーが開かれ、歌手のジョアン・マヌエル・セラがチームの応援歌を歌った。
警察の発表では、昨日の未明、未成年者1人を含む4人が公務執行妨害で逮捕、ナイフでの負傷者3人を含む8人が負傷し、ゴミコンテナ12個が焼かれたという。

PP、ETAとの対話提案取り下げをPSOE、首相に要請

ETAが停戦を受け入れた場合、平和確立へ向けての話し合いを開始するというPSOE(社労党)が金曜日に行った提案は、明日国会で審議にかけられる予定で、現在最大野党PP(国民党)を除く全ての政党が支持を表明しているが、PPは、政府とPSOEに対し、この提案について“再考し、取り下げる”よう公式に申し入れた。
これに対し、サパテロ首相は、州知事候補支援のため訪問したサンティアゴ・デ・コンポステ―ラで、「すべてのスペイン人が望んでいる通り、平和のため、テロリズムの終結のためて働きつづける」とコメント、“PP党首の悲観主義に染まらないで”すべての政党と一丸となって働くことを約束した。
しかし、PSOEのこの提案をあざ笑うかのように、日曜日の未明、ETAによるテロがパイス・バスコ州で4件発生。ギプスコア県ベアサイン、ベルガラ、エルゴイバル、ソラルセにある企業の建物前で午前3時から4時の間に起きたこの爆発は、いずれも時限装置と1.5キロの塩素酸塩爆薬を使ったもので、ベルガラにあるフェリックス・ガビロンド社で起きた爆発によって腐食性酸のタンク破壊され、15000リットルの酸が流出、このガスを吸ったバスク州警官2人と警備員1人が病院に運ばれ手当を受けた。


5月13日(金)

ヨーロッパ5カ国共同で国境警察創設へ

フランス(ドミニク・ドビルパン)、ドイツ(オットー・シリー)、スペイン(ホセ・アントニオ・アロンソ)、イタリア(ジュゼッペ・ピサヌ)、イギリス(チャールズ・クラーク)の5カ国(G5)内相は昨日パリに集まり、密入国取締りと国境警備のため各国警察間で協力体制をとることを決めた。
昨日は2002年にG5が設立されて以来、臨時会議が開かれるのも、テーマが1つに絞られるのも初めてで、5ヶ国は、外国人移民が社会保障サービスを受けるために必要な条件や、プライバシーを侵害しない範囲で安全確保のために運輸会社がどの程度まで乗客のデータを求めることができるかと言った点について、5カ国間で足並みを揃えていくことで合意に達した。また、密入国によく使われるルートには他の地点より強化して警備体制を敷くほか、ドビルパン内相の言葉によると“ヨーロッパ国境警察の胚となるような”国境警備体制の設立も考えられているという。今後G5では、ビザ発給システムの統一の可能性についても話し合いが進められるという。

スペイン初のヘリコプター工場、アルバセテに建設

ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は昨日国会で、Eurocopter社の工場建設地がアルバセテに決まったことを発表した。
投資額の大きさ、450人の直接雇用だけでなく、ハイテクノロジー工業による地域の活性化、下請け会社を含め900人の雇用をめぐりカタルニャ、アラゴン、ガリシア、アンダルシア、カスティジャ・ラ・マンチャ州が建設候補地に名乗りをあげていた。フランス、ドイツに続いて3番目となるこの工場は、敷地面積10万メートルで、この工場を建設する場所としてアルバセテを選んだ理由について、Eurocopter社はロス・ジャノス空軍基地のほか、空軍最重要施設であるマエストランサ・デ・ロス・ジャノス空軍基地、同社建造ヘリコプターTigreの射撃演習を行っているチンチジャ射撃演習場、戦闘用ヘリコプターの訓練を行っているアルマグロ基地が近いことを挙げている。カスティジャ・ラ・マンチャ州は土地の無償提供のほか、最大40%の補助金受給、人材雇用支援、調査開発プロジェクトへの資金提供を申し出た。ホセ・ボノ防衛大臣がアルバセテ出身であることから、選考にもれた他の自治州からはこの決定について“重大なミス”であると非難する声が高い。
今後10年間で同社は15億ユーロの収益を見込んでおり、収益の大部分は2007年から2011年にかけてスペイン陸軍に引き渡される24機の戦闘用ヘリコプターTigreによりもたらされる。


5月12日(木)

国会で国政討論

昨日、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ氏が首相に就任して初めての国政討論が国会で行われたが、政府と最大野党PP(国民党)の議論はこれまでの国政討論の中でも最も緊迫したものの一つとなった。
サパテロ首相は出席するすべての政党に対し、“スペインでのテロに終止符を打つ”ための支援を求め、「平和プロセスが始動した際には、国会でその進行状況を報告し、支持を求める」と約束した。しかし、マリアノ・ラホイ・PP党首は厳しい内容の演説でこの協力要請を拒否、「瀕死のETAに再び活力を与えた」と首相を糾弾した。
ラホイ氏と首相の“対決”は2時間以上にわたって続いた。政府がEHAK(バスクの地共産党)と非合法政党バタスナ党、ETAとの関係について追求せず、同党がバスク州選挙で9議席を獲得したことに関し、ラホイ氏は「首相は死者を裏切り、ETAに議席を回復させた」と首相を激しく非難し、PP政権時にPSOE(社労党)との間で結ばれた対テロ協定は事実上破棄されたこととなった。
昨日はPPのほか、CiU(カタルニャ連合)、ERC(カタルニャ左翼共和党)が夜11時過ぎまで首相との討論を行ったが、今日は残りの政党により討論の続きが行われる。

造船所で4人が窒息死(ア・コルーニャ)

ア・コルーニャ県フェロールにある国営ナバンティア軍艦造船所で建造中の戦艦内で、昨日の午前8時頃、作業中の女性1人と男性3人が死亡した。この戦艦は、ノルウェー海軍からの発注で建造されていたもので、まず下請け清掃会社勤務の23歳の女性が4メートル四方のタンクの中で酸素の不足により気絶、彼女を助けようとした30歳と48歳の同僚2人、45歳の溶接工もタンク内で死亡したと見られる。
捜査の最初の段階で明らかになっているのは、現場にほとんど酸素が残っていなかったことだけで、今月25日にノルウェー海軍に引き渡される予定だったこの戦艦のタンク内でなぜ酸素が不足する事態が発生したのかについてはわかっていない。
市は2日間の服喪を宣言、各政党は遺族への弔意の表明として、昨日予定されていた県内でのすべての州選挙前キャンペーンを中止した。ナバンティア造船所では今回の事故を含め、この2週間で3件の事故により下請け会社の5人が死亡、1人が重傷を負っており、労働組合は“死者への追悼と労災事故防止予算の増加を求める”ため、金曜日にデモを行うことを決定した。


5月11日(水)

ロペス氏、EHAKと会談

PSE(バスク社会党)のパチ・ロペス党首は昨日、EHAK(バスクの地共産党)の代表3人(ネカネ・エラウスキン、マイテ・アランブル、カルメレ・ベラサテギ)とビルバオのPSE本部で会談したが、バスク州知事、バスク州議会議長選出についてはいかなる合意にも達することもなく、またEHAKからの要求である政党法廃止にロペス氏が同調することもなかった。両党の間で唯一意見が一致したのは、バスクに平和をもたらすための話し合いのため、すべての政党が参加する場を設けることが必要だという点のみ。この点については、午後ロペス氏と会談したEA(バスク同盟)のベゴニャ・エラスティ氏も同意している。

ビジャベルデの住民4000人が地域の安全を求めてデモ(マドリッド)

「暴力反対!共存賛成!」のスローガンを掲げ、昨日マドリッドのビジャベルデ地区の住民4000人以上がデモに参加した。同地区では、4月29日から1週間少しの間に、コロンビア人女性銃撃、スペイン人青年殺害、逃走中犯人によるひき逃げの3件の事件が起きており、住民は地域の安全を求める目的でこのデモを行った。ビジャベルデ地区は、人口14万人のうち18%が外国人移民だが、今月2日、17歳のスペイン人青年が19歳のドミニカ人青年にナイフで刺し殺されてから外国人排斥ムードが高まっており、デモに参加した外国人はわずかだった。

イベリア航空、今年1月からの3ヶ月で前年比58.7%増の損失

イベリア航空が発表したところによると、5%増加した収入も燃料費の高騰(30.6%増)には太刀打ちできず、今年1月から3月までで、同社は前年同期比58.7%増1600万ユーロの税引き後損失を計上したという。
同社は旅行代理店へのコミッション値下げにより31.4%、ツーリストクラス機内サービス削減により25.6%の費用削減に成功したものの、オーバーブッキング、フライトキャンセル、フライト遅延、チェックイン荷物紛失の賠償金支払い費用はEU新規約適用により35%アップしている。また収入の面では、航空券の売上はわずか2.9%の伸び、ハンドリング業務が15.5%伸びたほか、SAVIA社の株式売却により6670万ユーロの利益を得ている。また、飛行の1キロあたりの乗客数は6.5%アップし、乗客率は1.2ポイント上がって74.8%だった。


5月10日(火)

“レグラリサシオン”申請者数は690,679人

先週の土曜日で3ヶ月にわたる“レグラリサシオン”(不法滞在合法化特別措置)の申請期間が終了したが、昨日労働省が発表したところによるとこの申請者数は690,679人で、うち607,898人が申請受理、61,111人が不足書類の提出待ち、21,760人が申請却下(再検討要請可)された。申請者の職業で多かったのは家政婦(31.67%)、建設業(20.76%)、農業(14.61%)の順。
コンスエロ・ルミ移民問題担当書記官、オクタビオ・グラナド社会保険担当書記官と共に記者会見を行ったヘスス・カルデラ労働相は、今回の特別措置によりブラックマネーで働いていた外国人の80%に労働許可が出され、これが国家福祉と年金システムの維持に貢献するだろうと述べた。労働省の計算では、今年1月1日時点で全国市町村に住民登録しており、就労年齢(16〜64歳)にある外国人の数は2,357,056人で、このうち1,197,383人が労働許可所持者であるため、残り1,159,673人は不法滞在者。EU外からの外国人の就労率はスペイン人より9%高い70%であるというスペイン銀行のデータを適用し、1,159,673人の7割が就労しているとすると、811,771人が労働許可なしに就労しており、今回の特別措置申請者数が690,679人だったことから、これを811,771人から引いた121.092人が現在も引き続き不法就労していることとなる。
申請の60.4%は、マドリッド(170,784件)、カタルニャ(138,537件)、バレンシア(106,711件)で行われ、県別に見た場合は、マドリッドが最も多く、続いてバルセロナ、バレンシア、ムルシア、アリカンテ、アルメリアとなっている。申請が最も少なかったのは、セウタ(66件)とメリジャ(215件)。
申請者の国籍で最も多かったのは、エクアドル(20.33%)、続いてルーマニア(17.22%)、モロッコ(12.51%)だった。この特別措置により、ガリシアとカナリアス州にはコロンビア人、マドリッド、ムルシア、パイス・バスコ、ナバラ、バレアレス、アストゥリアス、バレンシア州にはエクアドル人、モロッコ人はセウタ、メリジャ市のほか、ジロナ、タラゴナ、アルメリア、マラガ、ハエン、カセレス県、ブルガリア人はカスティジャ・イ・レオン州北部、ルーマニア人はスペイン内陸部の県に多く居住していることがわかっている。

コロン広場で“ヨーロッパの日”祝賀式典

EU設立・基本的人権憲章制定55周年にあたる昨日、マドリッドのコロン広場で“ヨーロッパの日”を祝う式典が行われた。広場にはスペイン国旗、EU旗、加盟25ヶ国の国旗が掲げられ、加盟国大使、欧州議会議員、ホアキン・アルムニア・EU委員、マドリッド市議会議員などが出席した。
スペイン市町村連合の呼びかけにより、昨日はその他スペイン各地でもEU旗が掲揚され、“ヨーロッパの日”が祝われた。

アルカサルで中世の庭を復元(セビジャ)

スペインのムデハル建築代表作の一つであるセビジャのエル・レアル・アルカサルにあるパティオ・デ・ラス・ドンセージャス(侍女の中庭)の地中で2002年に見つかった14世紀の庭の1年にわたる復元作業が昨日終了した。作業は、この50年にアルカサルで行われた中で最も重要なもので、総工費は264,810ユーロ。
この庭は、ペドロ1世(1334〜1369年)の時代に作られたもので、1584年、保存状態が悪かったため土で覆われた。復元された庭は、真ん中を金魚が泳ぐ池が横切り、その両側にオレンジの木が各3本ずつマーガレットとバーベナに囲まれ植えられている。アルカサル保存責任者のホセ・マリア・カベサ氏によると、池に金魚を放すのは、かなり古い習慣で、夏場の蚊の大量を防ぐ目的があったという。作業では、庭の再現のほか、この庭のさらに5メートル下から発見された10世紀のイスラム遺跡の解析も行われた。


5月9日(月)

スペイン王室、皇太子妃の懐妊を発表

結婚1周年記念日を2週間後に控えた昨日の午前11時前、スペイン王室は皇太子妃レティシアさん(32歳)が現在妊娠3ヶ月目で、11月に出産予定であることを発表した。生まれてくる子供は王位継承権はフェリペ皇太子に次いで2位となり、インファンテ(男児の場合)またはインファンタ(女児の場合)・デ・エスパーニャ(スペイン親王または内親王)の称号を受ける。この称号は、フェリペ皇太子が国王に就任するまで使用され、この後は国王夫妻の子供として、第36代アストゥリアス王子または王女の称号に変えられる。
皇太子夫妻は昨日午後予定通りパルマ・デ・マジョルカに到着。夫婦としては初めてとなる自治州公式訪問を今日から金曜日までバレアレス州で行う。

首相、マウトハウゼン解放60周年記念式典に出席

ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は、昨日オーストリアのマウトハウゼン強制収容所で行われた解放60周年記念式典に出席した。スペインの首相がナチスの犠牲となったスペイン人共和主義者の追悼行事に公式出席するのはこれが初めて。
昨日同収容所には犠牲となった20万人以上を追悼するため12カ国以上から3万人近くが訪れた。出席者は3世代以上にわたった。この収容所に入れられたスペイン人は7182人で、近くの石切り場での強制労働に従事させられ、このうち2335人が生き延びた。スペイン人犠牲者の追悼碑前には60周年ということもあり、例年よりはるかに多い500人(生存者8人を含む)ほどが集まり、降りしきる雨の中、首相は2度と戦争を起こさないよう呼びかけた。首相のマウトハウゼン滞在はおよそ5時間で、この後首相は今日の第二次大戦終結60周年式典出席のためモスクワへ向かった。

週末のスポーツの結果

F-1:バルセロナのモンメロサーキットで行われたスペインGPで、後輪の1つに異常があったにもかかわらずフェルナンド・アロンソ選手が2位に入った。モンメロサーキットにはモータースポーツファンの国王フアン・カルロス1世を始めとし、観客11.6万人(会場新記録)が詰め掛け、観客席にはアロンソ選手の出身地アストゥリアスの水色の旗が踊った。アロンソ選手は開幕から表彰台に上がりつづけている唯一の選手で、2位に18ポイントの差をつけ総合成績も1位をキープしている。
バスケットボール:モスクワで行われたクラブチームヨーロッパ一を決定するユーロリーグ決勝戦で、スペインのタウ・ビトリアは、イスラエルのマッカビ・テルアビブに78-90で敗れ準優勝に終わった。
ハンドボール:クロアチアのザグレブで行われたレコパ決勝戦でスペインのアデマル・レオンが地元のザグレブを31-25で下して優勝。同チームがレコパで優勝するのは1999年に続いて2度目。
テニス:男子テニスのマスターズシリーズ、ローマ大会で第5シードのラファエル・ナダル選手が5時間15分の試合の末、アルゼンチンのギジェルモ・コリア選手を6―4、3―6、6―3、4―6、7―6で下し優勝。来月3日に19歳になるナダル選手はこの優勝により、ATP世界ランク5位に入った。


5月6日(金)

首相、イバレチェ氏と官邸で会談

昨日、4ヶ月ぶりにホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相とフアン・ホセ・イバレチェ・バスク州暫定知事の会談がマドリッドの首相官邸で行われた。会談でイバレチェ氏は自身の名のついたバスク州自治領化のための自治憲章改正案“プラン・イバレチェ”について言及することを避け、中央政府、バスク州政府関係者共に、この会談はエウスカディ(バスク)の平和を模索するため“新たな政治段階”を開こうとする両政府の意思確認に焦点が当てられたと述べている。
会談終了後は首相、暫定知事共に記者会見を行わなかったが、両政府がそれぞれ出した報告書によると、2人は、これまでの民族主義者と非民族主義者対立の時代を終わらせ、現在よりさらに拡大した同意を獲得しバスクの平和獲得をめざすという点で意見が一致したという。2時間におよんだ会談中、イバレチェ氏が“プラン・イバレチェ”について言及することはなく、先月17日に行われ、イバレチェ氏所属のPNV(バスク民族党)が4議席を失ったバスク州選挙後以来同党関係者も“プラン・イバレチェ”について一切口にしていないことから、この自治憲章改正案は放棄されたと見なされている。会談でサパテロ首相は、“すべての政党”が参加するのであれば、州自治憲章改正を支持する意向であることを改めてイバレチェ氏に伝えた。

バジャドリッド行きAVE用トンネルの1本掘削終了

2002年9月から2003年1月にかけて4台の掘削機によりマドリッドとセゴビアを2本のトンネルでつなぐため、グアダラマ山脈で掘削が始められていたが、このうち1本の掘削が昨日正午頃終了した。全28,377キロのトンネル掘削の終了を見届けるため最後の過程は大スクリーンに映され、これをマグダレナ・アルバレス大臣を始めとする勧業省関係者、Adif(鉄道敷設管理局)、マドリッド州、カスティジャ・イ・レオン州関係者が見守った。
マドリッド−セゴビア−バジャドリッドを結ぶ高速鉄道AVE用のこのトンネルの掘削により出た石の量はおよそ400万立方メートル。スペインで最も長いこのトンネルの長さはヨーロッパ第4位、世界第5位で、30メートルの間隔を置いて2本のトンネルが並行し、鉄道が開通すれば250Mごとに両トンネルが避難用回廊でつながれる。工事には従業員4000人が三交代制であたったが、工事中に起きた5件の労災事故で2人が亡くなっている。現在掘削が続けられている西側トンネルは、6月に掘削終了の予定。

マウトハウゼン収容所解放60周年式典にスペインから200人が参加

今週の日曜日、解放60周年を記念してオーストリアのマウトハウゼン収容所跡で開かれる式典に出席するため、ウィーンのスペイン大使館に昨日210人のスペイン人が集まった。同収容所では、11万から15万人が亡くなり、このうち5000人はスペイン人だったとされている。日曜日の式典にはサパテロ首相も出席の予定。
昨日大使館に集まった大半は、生存者の孫、生存者とホロコーストについて学習している学校の生徒といった若者で、生存者はわずか3人だったが、日曜までにはさらに数人が加わる予定。式典出席を主催したAmical de Mauthansenはこれまで毎年収容所跡訪問を行っているが、高齢化のため、これが最後の旅となることを危惧する生存者も多い。同収容所に収容されていたスペイン人は主に共和主義者で、収容所解放後スペインは彼らを引き取る申し出をせず、解放の1ヶ月、フランスが彼らの引き取りを申し出た。スペインの首相が同収容所跡を訪問するのは今年が初めて。


5月5日(木)

経済成長率全国一位はマドリッド州

Funcas(信用金庫財団)の調べにより、2004年前年と比べて最も経済成長率が高かったのはマドリッド州で3.29%で、反対に2004年の成長率が最も低かったのはバレアレス州の1.45%であったことがわかった。また1人あたりの収入はパイス・バスコ州が年間16,070ユーロと最も高く、これにアラゴン州の16,061ユーロが続いている。スペイン平均は13,760ユーロ。
今回の調査によりFuncasでは、スペイン経済の成長頭がスペイン北部から中央部、特にマドリッド、エクストレマドゥラ、カスティジャ・イ・レオンに移行し始めたと見ている。事実、この数年間にわたり高い経済成長率を保持してきたカタルニャ州は、2004年、スペイン平均成長率2.83%を下回って2.43%にとどまり、バレアレス、カナリアス、アストゥリアス州に続いてスペインで4番目に成長率の低い州となっている。
部門別に見た場合、建設業が以前として成長率トップ(4.21%)の座をキープ、アンダルシア州では建設業の成長が6.7%にもなっており、これは海沿いの別荘建築ブームが原因であると見られている。バレアレス諸島の観光業危機は建設業にも影響を及ぼしており、成長率は2%にとどまったほか、同州におけるサービス業の成長率もわずか1.4%となっている。

国連援助がなければスペインはハイチから撤兵

アメリカを訪問中のホセ・ボノ防衛大臣は昨日ニューヨークで、国連平和維持活動担当事務次長のジャン・マリー・ゲーノ氏に対し、国連の約束した援助金の支払いが行われない場合、スペイン軍は今年末にハイチから撤兵すると通知、フアン・アントニオ・ヤニェス国連スペイン大使を伴って国連本部を訪れたボノ防衛相は、各国から約束されたハイチ援助金の金額が7億ドルだったのに対し、3月までに集まった額が3億ドルにも満たないことを明らかにした。
アルゼンチン、チリ、ブラジルからの要請に応えサパテロ首相はハイチへの派兵を決定、ヨーロッパ唯一の派兵国として昨年10月から、ドミニカ共和国との国境地帯、ハイチ北東部に200人の海軍歩兵隊を派遣している。スペインの隣国モロッコもサパテロ首相の呼びかけに応え、100人の兵士をスペインとの共同任務に派遣しているため、スペインが撤兵する場合はモロッコ兵も撤兵することになる。アフガニスタンとバルカン諸島への平和維持軍派遣は国連ではなくNATOとEU指揮下にあるため、現在スペインが国連指揮下において参加している平和維持活動のうち、ハイチは最も重要な活動となっている。
現在、スペインからは、エチオピア、コンゴ、スーダンなど13の国連監視団を含め、約2000人の兵士が平和維持活動に派遣されているほか、45人の治安警備隊員および警官(うち半数はハイチ派遣)が海外派遣されている。

降雨不足でスペインのダム貯水量59%まで下落

クリスティーナ・ナルボナ環境大臣は昨日、現時点でのスペインのダム貯水量を発表し、国民に節度ある水の使用を呼びかけた。大臣の発表によると、現在の貯水量は59.6%、32169ヘクト立方メートルで、このまま雨不足が続けば、農業用水の使用規制を始めなければならない可能性が高いという。貯水量が少ないダムは、セグラ(21.7%)、グアディアナ・ウエルバ(29.8%)、フカル(34.4%)、カタルニャ(45.1%)、タホ(47.3%)で、逆にパイス・バスコ、アストゥリアス、カンタブリアなどスペイン北部の州では80%以上の貯水量となっている。スペイン全土ではこの数週間の降水量はほとんどゼロだった。


5月4日(水)

イバレチェ氏、バタスナ党代表者と会談

政党法の制定、適用により非合法政党となったため今回の州選挙に候補者を立てることができず、したがって州議員をもたないにもかかわらず、先週発表したとおり、昨日、バスク州政府暫定知事フアン・ホセ・イバレチェ氏はバタスナ党のアルナルド・オテギ、ペルナンド・バレナ両氏を知事公邸に迎え会談。ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相との会談を48時間後に控え行われたこの会談は、4月17日の州選挙で議席を確保したどの政党よりも長く2時間5分にわたって行われた。
州議会内での過半数獲得に向けての会談の対象者に非合法政党バタスナ党も含めることを州政府が発表して以来、PP(国民党)はこの会談を“恥ずべきもの”と繰り返し非難してきたが、昨日は中央政府も政府バスク州担当官を通じてこの会談について裁判所の判決への尊重を欠くものとする声明を発表したが、この会談に対し何らかの措置をとる可能性については言及しなかった。
こうした激しい非難の中で行った会談だったが、イバレチェ暫定知事は、6月の新議会発足に際しEHAK(バスクの地共産党)への投票を呼びかけたバタスナ党が今後どのような行動に出るかについてのヒントをほとんど得ることができなかった。会談後の記者会見でバタスナ党のバレナ氏は、同党にとっての最優先事項は、民族主義政党の知事を擁立することではなく、最も重要なのは、できるだけ早く平和プロセスへの取り組みが始められることで、そのためには誰も除外することなく話し合いを行うことが必要であるとし、話し合いの参加者にETAを含めることが必要であると述べたが、そのためにETAが停戦を約束すべきであるかについては言及しなかった。

ボノ防衛大臣、ラムズフェルド防衛長官と会談

スペインのホセ・ボノ防衛大臣は昨日アメリカのワシントンでドナルド・ラムズフェルド防衛長官と会談、両国はスペインのイラク撤兵から生じた関係危機の時期を乗り越えたとの見解を示した。
会談はまず両国代表団により30分強行われ、その後ボノ防衛相とラムズフェルド長官の間でさらに10分ほどの会談が行われたが、両国間の危機は過去のものとして扱われ、会談中話題にものぼらなかったという。PSOEが総選挙に勝った後、防衛大臣就任前にボノ氏がアメリカを訪問、その後2人は2月のNATO会議でも顔を合わせているが、3度目の今回、ラムズフェルド長官は、ボノ氏をペンタゴンの入口で出迎えた上、会談後の記者会見にも同席し、これまでにない歓迎ぶりを見せた。
記者会見では、両氏は両国間の固い結びつきのシンボルとして襟元にアメリカとスペインの国旗が交差したピンバッジをつけ、ラムズフェルド長官がアフガニスタンでの対テロ戦争におけるスペインとの協力関係のほか、イラク兵の地雷撤去訓練をスペインがオヨ・デ・マンサナレスの軍事学校で行っていることに満足を表した一方、ボノ大臣はテロリズムとの戦いにおいてアメリカがスペインの支援を欠くことはないだろうとコメントした。また、数週間前にラムズフェルド長官が“間違い”であると評したスペインのベネズエラへの兵器売買については、長官は「2国間で見解の相違があるのは当たり前のことだ」とこのテーマを重要視しない態度を示し、ボノ大臣もチャベス政権に売られる船と飛行機が周辺諸国の脅威となるものではないことを示す書類を提示し、緊張緩和に努めた。
しかしながら、記者会見でこの会談がサパテロ首相のホワイトハウス訪問につながるかどうかについて質問された防衛省書記官は返答を避けている。


5月2日(月)、3日(火)

メーデー振替休日およびマドリッド州の日の祝日のため、ニュースはお休みです。




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