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6月30日(木)

離婚手続き簡略化の法改正、下院で承認

今日午前1時、離婚手続きを簡略化するための法改正が下院で承認された。これにより、別居の事実、離婚請求の理由(不貞、アルコール、同居の終了など)が離婚成立のための要件から外されるほか、結婚後、離婚請求ができる期間が1年から3ヶ月に短縮される。改正法は官報掲載の翌日から効力を発生させ、現在離婚手続き中のすべての夫婦に適用される。
昨日下院では、上院から提出された8つの修正案を審議、このうちの6つについてはすべての政党が合意したが、共同養育権についてはPSOEが誤って投票。これにより上院からの修正案が否決され、両親の間で子供の養育権について合意に達しない場合、判事は共同養育権を与えることができるが、これには検事からの共同養育権支持の報告書が要求されることとなった。1981年から適用されている現行法から大幅の変更となった改正法では、これまで1年間の別居期間を経なければ離婚の申請ができなかったがこの別居期間が申請要件でなくなったほか、離婚請求の理由の提示も夫婦間での非難の原因となるとの考えにより廃止、結婚後離婚申請が行える期間も1年から3ヶ月に短縮された上、家庭内暴力などの理由により裁判官が必要と判断した場合は3ヶ月未満での離婚も行えることとなる。

国会防衛委員会、トリジョ前防衛大臣を公式に非難

昨日国会防衛委員会は、22対15で、前防衛大臣で現下院議員のフェデリコ・トリジョ氏をYak-42機の責任者として公式に非難することを承認した。同議員の所属するPP(国民党)以外のすべての政党は承認に投票したが、トリジョ議員は事故の責任者として軍隊と、現在治安警備隊長官を務めるカルロス・ゴメス・アルチェ氏(事故当時レバンテ空軍司令官)の名を挙げた。
この日トリジョ氏は、審議開始直前に書簡でトリジョ氏の責任についての審議を中止するよう委員長のホアキン・レギナ氏に要請、この要請が却下されると、自身の弁護のための委員会への出頭を要請し、この要請は委員長により受理された。委員長により無制限で発言時間を与えられたトリジョ氏は、糾弾される側から糾弾する側へと態度を変え発言を開始、防衛委員会の態度を糾弾した後は、ホセ・ボノ現防衛大臣を“うそつき”として非難、PPはボノ防衛大臣の“情報操作”と“トリジョ氏を迫害する態度”を審議にかけるよう要求するに至った。トリジョ氏はあくまでも自身がミスを犯したことは認めず、犠牲者の半数近い30人の身元確認が正しくなかったことについては“過ちを犯した軍関係者の名において”すでに謝罪したと述べ、前防衛大臣の名においては遺族に謝罪していないことには触れなかった。同氏は、トレホン・デ・アルドス基地で事故発生2日後の2003年5月28日に行われた合同葬で遺族から罵られた後、辞表を提出したがアスナル首相(当時)が事故は彼の責任ではないとしてこれを受理しなかったことを明らかにし、トリジョ氏に何らかの責任があったとしても、この責任は首相が辞表を受理しなかった時点で消えたとの自身の考えを示した上、翌年3月14日の総選挙で“我々から政権を奪うことで国民は我々を十分に罰した”とし、委員会に対し「本気で私に議席を捨てるよう要求するのですか?」と問いかけたが、これに対してERC(カタルニャ左翼共和党)のジョアン・プイグ議員は「決定はあなたの良心に委ねます。」と答えた。
Yak-42機の3遺族は審議を終えたトリジョ氏を待ち受け、辞任を改めて要求、国会に関係のない者が議会の建物内に入ったことについて元下院議長のトリジョ氏は現下院 議長マヌエル・マリン氏に抗議、同議長はこの件について調査を開始することを発表した。

点数制運転免許証制度導入、国会で承認

昨日国会は賛成310対反対7(PNV-バスク民族党)の投票結果により、点数制免許証制度の導入を決定した。新免許証制度では、免許証所持者はそれぞれ12点(免許取 得から3年間は8点)を与えられ、違反を犯すごとにここから減点されていく。政府はこの制度により2008年までに交通事故を40%削減させたい意向で、対象者数は2400万人にのぼる。
国会で導入が決まったものの、点数制免許証制度の導入時期についてはまだ明らかになっていない。政府が今年の夏と発表した後、DGT(交通総合局)のペレ・ナバロ局長が今年中と訂正、しかし現時点では導入時期を発表するのは難しく、関係者は6ヶ月以内をめざすと述べるに留めている。
新制度では、違反者を罰するだけでなく、優良運転者は報いられるシステムになっており、3年間無事故無違反だった運転者はさらに2点を与えられ、その後3年間も無事故無違反の場合はさらに1点が与えられる、すなわち6年間無事故無違反の運転者は12点ではなく15点を所持することとなる。また、違反運転者は、その減点が点数の一部である場合、その後3年間無事故無違反で点数を元に戻すか、15時間の講習(受講料187ユーロ程度を予定)後、4点を獲得するかを選ぶことができ、違反が重大なもので点数の全てを失った運転者は、6ヶ月間免許停止、さらに30時間の講習(受講料375ユーロ程度を予定)を受けて8点を回復できるが、この8点すべてを失った場合は、1年間の免許停止と30時間の講習受講が義務づけられる。
RACE(スペイン王立自動車クラブ)では、新免許証制度が導入されれば、年間150から300人の交通事故死者数の減少につながると見ている。


6月29日(水)

430以上の法廷でDVを専門的に取り扱い

昨年12月、国会で満場一致で可決承認された性暴力完全保護法の残りの部分が今日から効力を発生し、これにより、スペイン全国435の法廷で、配偶者、元配偶者、恋人、元恋人により虐待の対象となっている女性からの告発が専門的に処理される。JVM(女性への暴力法廷)と呼ばれるこれらの法廷は、各件の虐待レベルに応じて、被害者への自宅出口からの護衛、接近禁止命令、連絡禁止命令、養育権の剥奪などを決定、しかしこの法廷を利用できるのが女性に限定されている上、加害者が男性であるか女性であるかにより懲罰の重さが異なるため批判の声も強く、CGPJ(司法権統括委員会)は、これらの法廷の合憲性について疑問を投げかけている。
性暴力完全保護法は、専門法廷の設置、専門検事の設置と男性への重罰化という3つの柱を軸にし、配偶者、元配偶者、恋人、元恋人により虐待の対象となっている女性、子供、弱い立場にある人間を保護する目的で制定されたもの。昨年スペインではこの犯罪について5.5万件(2003年から15%増)の通報があった。

ペレス・トウリーニョ氏、自治州憲章改正は憲法を尊重して行うことを約束

ガリシア州知事に就任予定のPSdeG(ガリシア社会党)のエミリオ・ペレス・トウリーニョ氏は、今後4年にわたる連合政権樹立のため昨日、BNG(ガリシア民族党)のアンショ・キンタナ氏と早速コンタクトを取った。両党とも自治州憲章改正時に“ガリシアを国家として認知”することを目標にしているが、ペレス・トウリーニョ氏は、自治州憲章改正は、幅広い同意のもとに行われ、内容が憲法の範囲を越えることはないことを約束している。
法律により、自治州憲章改正には、州議会の3分の2の承認が必要であるため、PSdeG(25議席)とBNG(13議席)の連合政権が自治州憲章改正を進めるためには、37議席のPPの同意を得ることが不可欠。トウリーニョ氏、キンタナ氏は昨日、唯一の野党となるPPと合意に達するため、今後話し合いを進めていきたいと述べた。BNGはキンタナ氏を新政権唯一の副知事に就任させるよう要求する考えのBNGは、中央政府がこれまでガリシア州にほとんど投資を行わず、これによる中央政府のガリシアへの“歴史的負債”は、210億ユーロに上ると政府を批判している。
これからの予定では、7月18日にガリシア新州議会が発足、26日に知事が選ばれることになっており、中央政府では、7月28日に開かれる全国州知事会議にペレス・トウリーニョ氏がガリシア州知事として参加できることを期待している。

トラファルガーの海戦200周年記念式典に35ヶ国が参加

昨日、イギリス南部ポーツマス沖でトラファルガーの海戦200周年を記念する式典が行われ、35ヶ国から100以上の艦船と3万人以上の乗組員が参加した。スペインからは、航空母艦プリンシペ・デ・アストゥリアスと最新鋭の戦艦ブラス・デ・レソが参加、イギリス女王エリザベス2世は、夫のエジンバラ公、ウェールズ皇太子夫妻と共にHMS Endurance丸に特設されたデッキに立って艦船を見て回り、ポーツマス、ゴスポート、ワイト島合わせて25万人の観衆があった。
昨夜は、200年前にスペイン-フランス連合軍をカディス沖に退却させたイギリスのネルソン提督が指揮をとったHSM Victory丸で各国代表を招待した晩餐会が行われ、スペインからはセバスティアン・サラゴサ・ソト海軍提督が出席している。


6月28日(火)

PP、在外投票によるガリシア州議会過半数獲得ならず

ガリシア州議会選挙の在外投票が開票された昨日、5期目の知事就任を目指していた現職のマヌエル・フラガ知事(82歳)のPP(国民党)が過半数を獲得できないことが確実となった。結果は6月19日から変らず、PPが過半数に1議席足りない37議席の獲得、PSdeG(ガリシア社会党)が25議席、BNG(ガリシア民族党)13議席の獲得となり、1990年から続いたフラガ政権は終結、新たにPSdeGのエミリオ・ペレス・トウリーニョ氏がBNGとの連合により州政権を握ることとなる。結果が明らかになった今日未明、トウリーニョ氏は支持者の前に姿を見せ“変化と改革”の政権のため、全精力を注ぐことを約束した。
100%開票が終わった3県の結果は、ポンテベドラがPP49.7%、PSdeG43.7%、ルゴがPP45.9%、PSdeG47.6%、ア・コルーニャがPP49.5%、PSdeGが42.5%で、オウレンセ県での開票は今日引き続き行われる予定。過半数に足りない1議席をPPが獲得できるかどうかがかかっていたポンテベドラ県でPPは必要としていた票数を集められず、マリアノ・ラホイ氏が党首に就任してからのPPは、2004年の総選挙、EU議会選挙、2005年のパイス・バスコ州選挙に続き、4選挙連続の振るわない結果となった。フラガ氏はすでにラホイ党首に対し、知事就任はならなかったが野党代表として引き続きPPガリシア支部の代表を務めたい意向を表明している。

パイス・バスコ新州政府発足

PNV(バスク民族党)、EA(バスク連盟)、EB(バスク統一左翼)は、昨日新政権連合協定に署名した。イバレチェ知事出席のもと、ジョス・ジョン・イマスPNV党首、ベゴニャ・エラスティEA代表、ハビエル・マドラソEB代表が署名した合意内容は64ページに及び、前政権でイバレチェ知事が行った、民族自決の権利、住民投票実施を含む独立に向けた提案がすべて含まれており、バスク州議会で可決承認されたものの、国会で否決された“プラン・イバレチェ”は“バスク政治正常化”のため、存続する旨が記されている。
イバレチェ知事が“除外なき”交渉の場について言及し、これから各政党間での話し合いが始まることに自信を見せたほか、イマスPNV党首はこの協定が一時的なものではなく、4年間続くものであることを強調。3党は、今後4年の間に人権尊重、政治の自由、バスク人による意志と決定の尊重を基礎とし、平和の確立と社会的発展を目指す。

軍事博物館、移転にともない閉館(マドリッド)

マドリッドの軍事博物館は今月30日をもって閉館となる。これは、この博物館の所蔵品がトレドのアルカサルにある軍事博物館に移され、2007年再オープンするためで、スペイン陸軍管轄、1841年オープンのマドリッド軍事博物館は長い歴史に幕を下ろすこととなる。今後は、所蔵品の分類と梱包が始められ、博物館への入場が許可されるのは、研究者と特別許可を持つグループのみとなる。軍事博物館はおよそ3万点を所蔵、中でも8000冊の蔵書を誇る図書室と絵画コレクションが特に有名。今回の移転は、1999年PP政権時の決定によるもの。


6月27日(月)

土曜日の爆弾設置はETA移動部隊によるものとの見方

マドリッドのラ・ペイネタスタジアム駐車場で車両爆弾が土曜日爆発したテロについて、捜査を進めている警察では犯人はETAの移動部隊であるとの見方を強めている。犯行に使われた車両は、5月30日ビトリアで盗まれたルノー19で、偽造ナンバープレートがつけられていた。現場は、地下鉄工事のため鉄柵で囲まれており、警察では防犯ビデオの映像を元に犯人がどのようにして駐車場に入ることができたのかを捜査中。すでに、爆発した車に積まれていたのが塩素酸塩爆弾20キロだったことがわかっている。
土曜日のテロは、先月25日、ルフィノ・ブランコ通りで起きたテロ同様、2012年オリンピック施設をねらったもので、警察ではマドリッドが開催地として立候補している2012年夏季オリンピック開催地決定が7月6日であることから、これに影響を及ぼすのが今回のテロの目的だったと見ている。現場は人気のない駐車場で、この爆発では死者負傷者とも出ていない。

貧困撲滅を求め、3.5万人がデモ(マドリッド)

貧困撲滅と国連ミレニアム開発目標達成努力を求めるデモが昨日、マドリッドのシベレス広場からプエルタ・デル・ソルまでの区間で行われ、主催者側発表5万人、エル・パイス紙調査で3.5万人が参加した。
このデモは、対貧困スペイン同盟の呼びかけにより行われたもので、昨日はセビジャでも同様のデモが行われたほか、7月6日にイギリスのグレンイーグルスで開催されるG-8サミットを前に、U-2、REMなども参加する世界規模での運動に合わせ、今後数日の間にスペイン40以上の都市でも“Pobreza Cero, sin excusas(貧困ゼロ、弁解はなし)”のスローガンのもと様々な活動が行われる。
国連加盟の189ヶ国は、2000年9月に開催された国連ミレニアム・サミットで21世紀の国際社会の目標として国連ミレニアム宣言を採択。この中で、ミレニアム開発目標(MDGs)という8つの目標を2005年までに達成するべく定めた。この8つの目標とは、1.極度の貧困と飢餓の撲滅、2.普遍的初等教育の達成、3.男女間平等の推進と女性の地位向上、4.幼児死亡率の減少、5.妊産婦の健康改善、6.エイズ、マラリア、その他の疫病の撲滅、7.環境持続の保証、8.開発のための世界規模での協力体制の推進で、昨日のデモには、各政党、労働組合からも参加があった。デモの終着点プエルタ・デル・ソルでは、イスマエル・セラノさんが2曲を歌った後、ジャーナリストのマメン・メンディサバルさん、映画監督のベニート・サンブラノさんが声明文を読み上げ、借款の100%返済免除、国際通商規定の変更、税金天国の廃止を訴えたほか、スペイン政府に対し、国民の声を確実に反映させるよう要求した。

週末のスポーツの結果

バスケットボール:ACBリーグ優勝決定戦第五戦タウ・セラミカ対レアル・マドリッドが昨日、ビトリアで行われた。82対84、74対68、83対82、82対88とこれまでの4試合は接戦が続いていたが、最終戦も接戦。しかし、残り1分を切った時点で69対61と8点リードしていたタウがミスを続け、誰もがタウの優勝を信じていた試合は、残り6秒で36歳のベテラン選手エレロがコーナーから決めたスリーポイントでレアル・マドリッドの逆転優勝となった。レアル・マドリッドがACBリーグチャンピオンの座に就くのは5年ぶり。
テニス:イギリスで現在開催されているテニスの4大大会第3戦のウィンブルドン選手権、スペイン人選手で第4回戦に残っているのは、フアン・カルロス・フェレロ選手とフェリシアーノ・ロペス選手のみ。現在ATPランキング31位のフェレロ選手の対戦相手は、ランキング1位で芝コート32連勝中のロジャー・フェデラー選手(スイス)。一方、全豪オープン覇者で第5シード、ATPランキング5位のマラト・サフィン選手をストレートで破った33位のロペス選手は、第10シードでランキング17位のマリオ・アンチッチ(クロアチア)と対戦する。


6月24日(金)

イバレチェ氏、3期目の知事就任

昨日、フアン・ホセ・イバレチェ氏は、前州連合政権PNV(バスク民族党)の22票、EA(バスク連盟)の7票、EB(バスク統一左翼)の3票に加え、EHAK(バスクの地共産党)の2票を獲得し、PSE(バスク社会党)の18票とPP(国民党)の15票を獲得したPSEのパチ・ロペス氏一票差をつけ、3期目の知事就任を決めた。イバレチェ氏は明日、ゲルニカの木の前で宣誓を行う。
イバレチェ氏の知事就任を受け、PSEとPPは、同氏が就任後の計画として議会に提案した“排除なき話し合いの場”に非合法政党バタスナが加わる場合、同党がETAを糾弾しなければ両党はこの話し合いを欠席する旨を宣言。9月にイバレチェ知事との会談を行う予定のPPバスク支部長のマリア・サン・ヒル氏は、「オテギ氏(バタスナ党代表)との対話に我々をあてにしないように。」と述べた上、「武装組織に所属している容疑で告訴されているオテギ氏と話し合いを行うための場を議会外に設けることをPPは認めない」と強調した。また、PSEのホセ・アントニオ・パストール氏は、同党がバタスナ党と同じテーブルにつくためには、バタスナ党がETAを糾弾するか、ETAが武装放棄を宣言するかしなければならないと述べている。

人身売買関与の容疑で22人を逮捕

スペイン警察は、バレンシアとアリカンテで展開していた人身取引網関与の22人を逮捕した。逮捕者の大半はルーマニア人で、捜査は2003年、ルーマニア人未成年女子が、ルーマニア人のグループに売春を強要されていると告発したことから始められ、ルーマニアから女性をスペインに密入国させ、スペイン各地で売春をさせているこのグループは、昨年、ムルシアとサンティアゴ・デ・コンポステ―ラでも合わせて25人の逮捕者を出している。
このグループは売春強要のほか、バレンシアの2ヶ所の拠点を文書およびクレジットカード偽造の拠点としていた。警察は家宅捜査を行い、身分証、パスポート、スペイン通行許可証、クレジットカードなどの大量の偽造書類ほか、偽造に使っていたと見られるパソコン、スキャナー、プリンターのほか、火器1丁、偽のピストルと車1台も押収した。
女性を密入国させ売春を強要させるこの犯罪の摘発は今月これで3度目。1度目はエクストレマドゥラとアンダルシア、2度目はサモラで半奴隷状態でブラジル人女性に売春を強要していたメンバーが逮捕されている。

被害者の母親に火をつけられた強姦犯、死亡

今月13日、アリカンテのベネフサルにあるバルで、ガソリンをかけられ火をつけられた69歳の男性が昨日の午後10時頃バレンシアのラ・フェ病院集中治療室で死亡した。この男性は、7年前に強姦を犯した罪で刑務所服役中だったが、外泊許可を取りベネフサルのバルにいたところを被害者女性が発見し、母親に連絡。50歳の母親がバルに急行し、ガソリンをかけ火をつけた後逃亡、女性はその日のうちに逮捕、娘の強姦事件の影響で精神科の治療を受けていたため、精神病患者収容施設に拘置されている。男性は、体の60%に一度から三度の火傷を負い、肺機能は停止、人工呼吸器を使って集中治療室で手当を受けていた。


6月23日(木)

イバレチェ氏、EHAKの票により知事再任へ

フアン・ホセ・イバレチェ暫定知事は、今日の州議会審議でバスク州知事に再選される見通し。過半数獲得が条件の昨日の第一回目の投票では、PNE(バスク民族党)のイバレチェ氏がPNV、EA(バスク連盟)、IU(統一左翼)という前政権で連合を組んでいた3党の票のほか、EHAK(バスクの地共産党)からの2票を加えた34票を獲得、一方のPSV(バスク社会党)のパチ・ロペス氏は、自党とPP(国民党)の33票の得票で、両者共、必要とされる38票を獲得することができなかった。EHAK残り7票は“demokrazia eta bakea”(民主主義と平和)と書いた紙で投票され、Aralar党1票は白紙を投票した。今日の投票結果は多数決で決められるため、非合法政党バタスナ党が投票を呼びかけたEHAKの票のおかげでイバレチェ氏が1票差で知事に再選される見通しとなっている。
イバレチェ氏は昨日、バスクの政治正常化のための交渉の場を持つことと、“暴力不在のもと”バスクの将来についての住民投票を行うことを約束。イバレチェ氏が知事3期目を務められるよう票を“貸した”EHAKは、4月17日のバスク州選挙を“非民主主義的”と批判し、バスクの民族自決の権利を擁護してきているが、イバレチェ氏に2票を投じた理由について“こうすることによって、平和への新たな可能性が生まれるため”と説明した。

11-M国会調査委員会“アスナル政権はテロ後情報操作を行った”との結論

昨年3月11日マドリッドで起きた列車同時多発テロの前後の状況について調査を進めている11-M国会調査委員会は、昨日、PPをのぞくすべての政党が最終報告書の内容に合意した。最終報告書には、テロ発生前アスナル政権がイスラム主義の脅威を甘く見ていたこと、テロ発生後“選挙利益のため”情報操作を行ったことが記されている。昨日はこのほか、今後同様のテロ発生を防ぐための対策についての提案書も作成され、これについてはPPを含めた7政治団体すべてが賛成承認した。
7つの政治団体は調査結果を順に発表。2004年5月27日の調査委員会発足以来各団体の政治的見解は変らず、調査委員は最後まで交渉を続けたものの、書類の中の28ヶ所については、言い回しについて投票を行う必要が生じたほか、委員会発足当時から唯一異なった見解を示していた当時与党だったPP(国民党)の合意は結局得ることがでいなかった。この中には、“アルカイダのような国際テロ組織の脅威がスペインを直接脅かしていたにもかかわらず、スペイン当局はこの事実を重要視せず、そのため必要な対策が取られなかった”と述べられているほか、対テロ活動機関の間での協力体制が確立されていなかたこと、イスラム主義について各機関が合同で調査できるシステムがなかったことが状況を悪化させたと指摘、テロ発生後、犯人がETAだとするデータが全くなかったにもかかわらず、政府は警察から受け取ったデータを改竄し、ゆがめ、このテロが選挙に影響を与えないように、犯人がETAだと国民に考えさせるよう誤った情報を流したとも記されている。
報告書、提案書の内容は今月30日に国会で審議にかけられるが、PP、ERC(カタルニャ左翼共和党)、CiU(カタルニャ連合)の三党は、一部修正を求める意向。PPは、他政党と全く反対の意見を述べている同党が作成の最終報告書を個別意見として最終報告書に盛り込むことを要求、ERCも同党作成の最終報告書への同様の扱いを求めているが、これはアスナル政権内の数人の閣僚批判のため。この日をもって国会調査委員会は解散となる。

1985年以来最高の出生率を記録

スペインの出生率は6年連続で上昇を続けていることがわかった。2004年スペインでは453,278人の新生児が誕生(前年比3%増)し、1985年(456,298人)と同程度の出生率を記録。このうち13.7%は外国人移民女性による出産で、スペイン人女性から生まれた新生児数が前年比1.2%増にとどまっているのに対し、外国人移民女性から生まれた新生児数は前年比16.6%の伸び。INE(国立統計局)によると、出産年齢にある女性1人あたりの子供の数の平均は1.30人から1.32人となり、90年代初頭レベルまで回復したというが、EU平均の1.52人にはまだ遠い数字となっている。出産した外国人移民女性の出身地は、モロッコが20.8%(12,953人)で最高、続いてエクアドル17.8%(11,048人)。
2004年にスペインで生まれた子供の数は、この年に亡くなった人の数を82,580人上回ったが、ガリシア州(7,792人)、カスティジャ・イ・レオン州(6,986人)、アストゥリアス州(5,154人)、アラゴン州(1,610人)、カンタブリア州(339人)、エクストレマドゥラ州(217人)では死者数が新生児数を上回っている。昨年最も人口が増えたのは、マドリッド州で新生児数が死者数を28,444人上回っていた。


6月22日(水)

首相、テロ被害者主要団体と会談

ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は、昨日首相官邸にテロ被害者主要団体を招き、政府の対テロ政策について説明し、ETAとの闘いを続け、ETAが完全に武装放棄した場合は平和交渉を開始するという政府の決定に信頼を求めるための会談を行った。
しかし、午前中に会談した最大の団体AVT(テロ被害者協会)フランシスコ・ホセ・アルカラス会長は、「我々は、政府がETAに何らかの恩赦を与えるのではないかという心配と不安を引き続き持っている」と、会談後、首相の説明への不信感を露にした。アルカラス会長によると、首相はETAに何らかの交換条件を提供する可能性について否定しなかったといい、AVTではこれを政府がETAの“機嫌取り”をしようとしている証しだと受け取っている。
午後には、テロ被害者地方団体が首相官邸を訪問。午前中の緊迫したムードと異なり、これらの会談はなごやかな空気の中行われた。カタルーニャ被害者団体のロベルト・マンリケ代表は、「会談ではほとんど政治の話は行われなかった。なぜなら、我々の仕事はテロ被害者の支援だからだ。」と述べ、政府の方針を理解し支持することを表明、バレンシア、ガリシア、アンダルシア、バスク地方の被害者団体もこれまでの政府の対テロ政策を支持してきたのと同様、現政権の政策も支持すると述べた。
すべての会談には、グレゴリオ・ペセス-バルバ・テロ被害者支援担当高等委員、ホセ・アントニオ・アロンソ内務大臣が同席。内務大臣は2004年3月にPSOEが政権を握ってから、これまでに180人のETAメンバーが逮捕されていることを改めて述べ、政府の対テロ対策が効果を発揮していることを強調した。

水不足によりタホ川の水をめぐる紛争再発

現在スペインのダム平均貯水量は54.9%であるが、タホ川上流のダムは21%、セグラ川流域ダムは15.9%と危機的数字を記録、これによりカスティジャ・ラ・マンチャ州とムルシア州、バレンシア州の間で水をめぐる紛争が再発している。通常、タホ川からセグラ川への取水量は取水調査委員会で決定されるが、タホ川上流にあるエントレペニャスダム、ブエンディアダムの貯水量が550ヘクトメートルより少なくなった場合は、法律により閣僚会議で取水量が決定されなければならず、昨日、貯水量がこの値を10年ぶりに下回ったことが発表された。
10年前は、当時公共工事大臣だったジョセップ・ボレル氏(現EU議会議長)が他の閣僚を説得し、ムルシア州の希望が通ったが、この決定はカスティジャ・ラ・マンチャ州の不満を買い、同州はその後この決定を提訴。同州の言い分は裁判により認められたが、それはこの3年後だった。今回も決定がどちらに転んでもいずれかの自治州に不満が残ることになるが、カスティジャ・ラ・マンチャ州のホセ・マリア・バレダ知事がムルシア州が飲料用に使うのに必要な量である30ヘクトメートルしか取水を認めないと述べている一方、ムルシア、バレンシア両州は、1947年以来最悪の旱魃から果樹を守るために120ヘクトメートルの水を要求している。
国内で最も活発で収益を上げているアリカンテ、ムルシアの農業は、EUからの補助金を受けていない。7万人の農業従事者が加盟する中央灌漑組合では、今年の果実の収穫は全滅と見ているものの、樹木を救うために水を要求し、要求どおりの取水ができない場合、9500ヘクタールの農地が救われず、年間生産の35%にあたる2.83億ユーロの損害が出るとの報告書を作成した。これに対し、カスティジャ・ラ・マンチャ州は、衛星とヘリコプターを使った調査によりムルシアには果樹園を救うのに十分な水が残っているとする別の報告書を作成。2つの報告書は取水調査委員会を通じ閣僚会議に提出されるが、環境大臣によると、閣僚会議の結果が発表されるのは7月になるという。

セレクティビダ(大学入学試験)受験者合格率は87.77%(マドリッド)

マドリッド州でセレクティビダ(大学入学試験)を受験した23,123人のうち、前年比1.6%増の87.77%が合格点に達したことが昨日の結果発表でわかった。合格者は今年も女子生徒57%、男子生徒42%と女子の方が多く、州内最高得点はアルカラ市のインマクラーダ・レンテロ・レボジョさんの9.96点だった。州内6大学のうち、最も志願者合格率が高かったのはコンプルテンセ大学の89.6%で、これにマドリッド自治大学89.43%が続いており、一方合格率が最も低かったのは、工業大学の73.3%。また専攻別では、健康科学(医学、歯科学、薬学など)の合格率が最高の91.79%で、最も合格率が低かったのは社会科学の84.32%だった。

ソフィア王妃芸術センターでフアン・グリス展(マドリッド)

サバティーニ館、ヌーベル館の2つの大展示室を使って今日からフアン・グリス(本名ホセ・ビクトリアーノ・ゴンサレス、1887年マドリッド生まれ、1927年フランス、ブローニュ・スル・セーヌ没)展がマドリッドのソフィア王妃芸術センターで開催される。展示される250点の絵画と素描は、ヨーロッパおよびアメリカの主要美術館、個人収集家130から貸与されたもので、このうち半数はスペイン初公開。


6月21日(火)

中央管区裁判所、ハライはテロ組織ではないと判断

中央管区裁判所刑事裁判第四セクションは、昨日、バルタサ−ル・ガルソン判事によるハライ、ハイカ、セギがETAの青年部であるとの見方を否定した。これらの団体に所属する容疑で24人が同時に裁かれた昨日の裁判で、3人の判事は、これらの団体を非合法結社とは見なしたが、活動内容はテロリズムではないとし、幹部に6ヶ月から3年、メンバーに6ヶ月から2年の懲役刑を言い渡した。
2002年2月、ガルソン判事が裁判手続き開始を決定する根拠としたハライとその後継団体ハイカ、セギが、ETAの下部組織としてETA上層部からの命令に従って活動しているとの考えを根本から覆すこの判決は、この後検察局によって控訴されるが、その間に行われる同様の左翼民族主義過激団体裁判への影響が懸念されている。フェリックス・アルフォンソ・ゲバラ、カルロス・オジェロ、サンティアゴ・ペドラス三判事は、これらの団体はテロリスト組織ETAと同じ目的を追求する付属する組織であることは認めたが、“目的遂行のために武器を使ったことがない”ため、刑法で規定されている活動はテロリズムには該当しないとの考えを示した。
検察局は、被告に対しテロ組織所属の罪でそれぞれ10年を求刑していたが、判決では、被告24人のうち16人が懲役6ヶ月から3年、8人が6ヶ月から2年の刑を言い渡された。しかし、被告は全員すでに拘置所に3年以上拘束されているため、今回判決が出された24人は刑務所には収監されない。

石油、天然ガス、石炭、ダイヤモンド密輸のロシア人マフィアボス22人を逮捕

ロシア人マフィアがらみの資金洗浄を調査していた“スズメバチ作戦”は、石油、天然ガス、石炭、ダイヤモンド密輸に関与していた28人(うち22人はマフィアのボス)を逮捕、41ヶ所で家宅捜査が行われ、スペイン全土の42の銀行に広がっていた銀行口座、金庫800が差し押さえ、10万ユーロの手形、16200ユーロの小切手に加え、232,982ユーロと11,524ドルの現金、高級車42台が押収された。
さらに詳しい内容については、中央管区裁判所と検事局汚職対策部の400人以上の捜査員の報告書が待たれているが、現時点では、グルジア人、ロシア人、アルバニア人マフィアが自国での犯罪により得た資金を洗浄するため、100以上の会社を設立していたと見られている。これらの会社の多くはスペインにあり、代表者にスペイン人を立てた不動産会社、建設会社、バル、レストランチェーンなど。カタルニャ、コスタ・デル・ソル、アリカンテが活動拠点にされており、逮捕はバルセロナ、カステルデフェルス、マラガ、マルベジャ、フエンヒローラ、べナルマデナ、トレモリノス、ベニッサ、アルテア、オリウエラで裁判所命令により行われた。これから押収された大量の書類とパソコンの分析が行われるが、スペイン警察では、今回の逮捕は、ヨーロッパを拠点とした組織犯罪にとって最大の打撃となったと考えている。

M-30工事が原因の故障で6万世帯が停電(マドリッド)

チャマルティン地区でM-30(マドリッド市内環状線)の道路改良工事を行っていたOHL社のショベルカーが昨日午前11時39分、地下高圧線を壊し、マドリッド市北部6万世帯に停電を起こした。目撃者の話では、突然黄色い巨大な炎が上がり、爆発でショベルカーは1.5Mほど持ち上がったという。
電力会社Iberdrola社が発表したところによると、ショベルカーが高圧ケーブルを削ったためここから火災が発生、隣接する2本のケーブルも延焼し、この火災により、サン・フェリペ、チャマルティン変電所が機能を停止した。これにより、チャマルティン、テトゥアン地区が停電となったほか、カステジャーナ通り沿いの建物がカスティジャ広場からクスコまで、またパルケ・デ・アベニーダス、コンセプシオン地区、ブラボ・ムリジョ、アルベルト・アルコセール、ディエゴ・デ・レオン、フランシスコ、シルベラ通りなどでも停電が起きた。午後6時45分にはこれらの地区のほとんどで電力が回復したものの、破損したケーブルの修理には1週間以上かかると見られている。市役所では事故の原因調査を開始した。


6月20日(月)

ガリシア州選挙最終結果は、在外投票者開票結果待ち

昨日、ガリシア州議会選挙(75議席)が行われ、100%開票の結果、5期連続当選を目指す現職マヌエル・フラガ知事(82歳)を擁立するPPが、2001年の前回選挙から4票減、過半数に1議席足りない37議席を獲得、エミリオ・ペレス・トウリ−ニョ氏(56歳)擁立のPSdeG(ガリシア社会党)が25議席獲得と4年前から8議席増の躍進を見せた一方、アンショ・キンタナ氏(46歳)を推す民族主義政党BNG(ガリシア民族党)は17議席から13議席へと転落、PPが過半数を獲得するかどうかは、7万人以上の在外投票の結果が出る来週月曜日27日を待たなければならない。投票率は、4年前の64.2%を越え、史上最高の68.1%を記録した。
選挙前アンケートではPPが過半数から大きく遠ざかるとの見通しが立てられていたものの、開票結果によりPPはガリシア州での強さを確認、州政府が社会党と民族主義政党の連合政権の手に渡る可能性を残しているものの、この結果は、2004年総選挙以来、ヨーロッパ議会選挙、パイス・バスコ州選挙と大幅に議席を減らし、PSOEに獲得議席数で負け続けてきているPPを安堵させるものとなった。
しかし、PPは党首マリアノ・ラホイ氏出身地のポンテベドラで大きく票を失い、PPが失った2議席とBNGの1議席はPSdeGと流れ、同党のペレス・トウリ−ニョ候補は「ガリシアは変化に投票した。」と宣言、PSdeGでは、PPが在外投票により過半数に足りない1議席を獲得するのはほぼ不可能だとの見方を示している。一方、BNGはすべての県で得票数を減らし、1997年選挙以来続いている支持者離れが改めて確認された。同党擁立のキンタナ氏は、昨日すでに、PPが過半数を獲得できなかった場合は、PSdeGとの連合政権確立のための話し合いに応じる用意があることを明らかにしている。
数十年前から主に中央ヨーロッパと南米に居住しているスペイン人の票は、ア・コルーニャ、ルーゴ、オウレンセでの結果を変えるには至らず、PPが過半数を獲得するかどうかは、ポンテベドラ県登録投票者にかかっており、昨日、PP、PSdeGが計算した結果では、PPが過半数に足りない1議席を得るためには、同党がポンテベドラ県在外投票者からPSdeGの2倍の票数を得なければならないことがわかっている。

マドリッドで同性婚反対デモ(マドリッド)

土曜日、マドリッドで同性間での婚姻を認め、異性婚者と全く同等の権利を与える民法改正に反対するデモが開かれた。参加者数には、主催者側発表で150万人、マドリッド州発表で70万人、国家警察発表16.6万人(エル・パイス紙の調べでは18万人)と大きな違いが出ている。
デモの出発地点であるシベレス広場には午後4時頃から参加者が集まり始めた。デモがスタートしたのは午後6時。主催者のスペイン家族フォーラム代表者がデモ隊の先頭に立ち、その後に、スペインだけでなくヨーロッパ、アメリカなどの家族擁護団体からの代表者が続いた。これらの団体が掲げる最初のプラカード“家族は重要だ”を離れること200m、第二のプラカード“母親1人、父親1人の権利のために”が掲げられ、この後ろには、エドゥアルド・サプラナ下院党代表、“憲法の父”の1人であるガブリエル・シスネロス氏、元防衛大臣のフェデリコ・トリジョ下院議員、ハイメ・マジョ−ル・オレハ・元内務大臣などデモを支持するPPからの参加者が続いた。 マドリッド大司教であるロウコ・ベレラ枢機卿は、3人の補佐司教と共に最初のプラカードの後ろを歩き、全国各地から集まったその他20人以上の高位聖職者たちは、信者たちと歩みを共にした。通信社Europa Pressの調べでは、マドリッド大司教のほかデモに参加したのは、トレド大司教、グラナダ、ブルゴス、タラソナ、テルエル、ウエスカ、カステジョン、ヘタフェ、アルカラ・デ・エナレス各司教、トレド補佐司教、スペイン司教協議会広報官。“自由のために”と書かれた第三のプラカードの後ろには、教育関係者が続いた。
デモ隊先頭がプエルタ・デル・ソルに到着したのはおよそ50分後、その15分後にはこの場所は、伝統的家族のあり方を擁護し、同性愛者の婚姻および養子縁組に反対する声で満ち、家族擁護団体の代表者たちは、同性婚を認める民法改正の撤回を要求、父親と母親を1人ずつ持つ子供の権利擁護を求めた。

ETA、政治家をテロの標的から外すことを表明

金曜日、武装放棄については全く言及せず、政府と交渉開始を始める用意があるとの声明文を発表したETAは、昨日バスク地方紙GARAに、政治家をテロの標的から外すとの新たな声明文を発表。政府は改めてETAとの交渉開始条件は完全武装放棄であることを確認したが、同時にETAが停戦へと向かっているとの見通しを述べた。
声明文の中でETAは、政治家をテロの標的から外す理由についてPPとPSOEの対テロ協定が決裂したためと説明、政府の楽観主義者たちがこれがETAの完全武装放棄への長い道のりの始まりとなる期待を寄せる一方、PPおよびAVT(テロ被害者協会)は声明文への怒りを表明、グレゴリオ・ペセス-バルバ・テロ被害者支援担当高等委員が不快感を表明したほか、バスク州政府は“期待が持てるが内容は不十分”とコメント、ERC(カタルニャ左翼共和党)、EB(バスク統一左翼)も同様のコメントを行った。

週末のスポーツの結果

F-1:タイヤの安全性に問題性があると指摘されたミシュラン社がレース代替案を提案したものの、これが国際自動車連盟(FIA)に受け入れられなかったため、現在総合成績1位のフェルナンド・アロンソ選手所属のルノーチームを含む同社のタイヤを使用する7チームの14台がレースをボイコット。ブリジストン社のタイヤを使用する6台のマシーンだけでのレースになったアメリカGPは、フェラーリチームのM・シューマッハ−選手の今季初の優勝に終わった。
サッカー2部リーグ:最終戦が終了、すでに1部昇格を決めていたアラベスに続き、セルタ、カディスも1部昇格を決めた。2週間前に一旦昇格を決めたにもかかわらず、正しい手順を踏んでチーム登録されていない選手を出場させたとし、6月5日に3-1で勝ったへレス戦で得た3ポイントを剥奪されたセルタは、最終戦で対戦したジェイダを0-2で敵地で破って昇格。本拠地ビゴではファンが2度目の昇格を祝ったほか、12年ぶりに1部リーグに戻るカディスもお祭騒ぎとなった。


6月17日(金)

国土の31%が砂漠化の危機

世界砂漠化対策デーの前日にあたる昨日、スペイン環境省は、スペインの国土の31.5%が高い砂漠化の危機にあり、カナリアス、バレンシア、ムルシア州では州内90%以上の土地が砂漠化の危険にさらされていることを発表、クリスティーナ・ナルボナ環境大臣は、砂漠化対策のために2008年までに植樹、地表侵食観察システムの構築などに8250万ユーロを投じることを明らかにした。
砂漠化の原因は、山火事の多発、気候の変化、農地開発、、薬や化学肥料の過度の使用、風食、不適切な灌漑などであるが、スペインの14の県(タラゴナ、カステジョン、バレンシア、アリカンテ、ムルシア、アルメリア、グラナダ、ハエン、マラガ、セビジャ、アルバセテ、テルエル、テネリフェ、ラス・パルマス)では領土の50%以上が砂漠化の危険が高い状態にあり、うちアリカンテ県、ラス・パルマス県の100%のほか、7県で領土の90%が危険にさらされている。現在、環境省では、1996年に国連と締結したPAND(国家砂漠化対策プログラム)の草案作りが進められており、早ければ今年中に批准の予定。

同性愛者、マドリッドで同性婚支持集会開催へ

国際ゲイ・プライド・デーの行事内容発表の席で、Felgt(国立レズビアン・ゲイ・性転換者連盟)は、スペイン家族フォーラムが同性愛者に婚姻を認めるための民法改正反対デモを開く6時間前にあたる土曜日正午に、マドリッドのカステジャーナ大通りとビトゥルビオ通りの角にある憲法モニュメントの前に集まり、同性婚支持を表明するよう支持者に呼びかけた。すでにマドリッド社会フォーラム、女性芸術家団体、国家家族協会連盟など多数のNGO団体が参加を表明しているこの集会では、民法改正を支持し、同性愛者への差別撤廃を呼びかける声明文が読み上げられる予定。
ここ数日、同性婚反対デモがシベレス広場からプエルタ・デル・ソルに向けて出発する1時間後の午後7時にカステジャーナ大通りをスタートするブラジル人アーティスト、カルリーニョス・ブラウンさんのカーニバルに虹色の旗(同性愛者のシンボル)を持って参加するよう、携帯電話のメッセージ送信を通じて呼びかけが行われているが、ヒメノ代表はFelgtはこのイベントには公式に参加を求めてはいないとし、メッセージとの関連を否定した。

2012年オリンピック招致のため12人の大使を任命

7月6日に2012年夏季オリンピック開催地投票が行われるシンガポールに赴くスペイン使節団はソフィア王妃を団長とし、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相、エスペランサ・アギレ・マドリッド州知事、アルベルト・ルイス-ガジャルドン・マドリッド市長が参加する予定だが、昨日、この使節団に参加する12人の大使が発表された。この12人は、マヌエル・サンタナさん(テニス)、ミゲル・インドゥラインさん(自転車)、パウ・ガソルさん(バスケットボール)、アランチャ・サンチェス・ビカリオさん(テニス)、ブランカ・フェルナンデス・オチョアさん(スキー)、マヌエル・エスティアルテさん(水球)、ラウル・ゴンサレスさん(サッカー)、フェルミン・カチョさん(陸上)、メルセデス・コヘンさん(ホッケー)、ヘマ・ハッセン-ベイさん(フェンシング)、ベアトリス・フェレ・サラさん(馬術)とスペインオリンピック委員会副会長で元ハンドボールオリンピックメダリストのイニャキ・ウルダンガリンさん(現パルマ・デ・マジョルカ侯爵)で、このメンバーで合わせて16のオリンピックメダルを所持している。
使節団はこれらのメンバーによりスペイン人スポーツ選手が様々な競技で活躍していることをアピール、彼らの任務は、IOC(国際オリンピック委員会)メンバーに、開催地としてマドリッドに投票するよう訴えること。ルイス-ガジャルドン市長は昨日から明日までアフリカ人オリンピック委員19人にマドリッドを候補地としてアピールするためアフリカを訪問中。


6月16日(木)

イラクでの自爆テロ志願者を集めていたテロ組織関与で16人を逮捕

爆発物処理特別班の隊員を含め500人の警官が出動し、昨日、スペインにおける2つのイスラム組織を壊滅、16人が逮捕された。中央管区裁判所の命による今回の逮捕の内訳は、マドリッド5人、バレンシア1人、カディス2人、バルセロナ2人、サンタ・コロマ・デ・グラメネ3人、サバデル1人、ビラフランカ・デ・ペネデス1人、セウタ1人。
逮捕作戦のうちの1つ“セジョ”では、11-M実行犯の1人と見られるモハメッド・アファラのシリア逃亡を助けた疑いのある5人が逮捕。アファラはイラクから両親に別れの電話をかけており、スペイン内務省によると5月12日から19日の間にバグダッドで起きた自爆テロに参加して死んだ可能性が高いという。もう1つの作戦“ティグリス”では、自爆テロ志願者を集め、イラクのアルカイダリーダー、アブ・ムサブ・アル・ザルカウイの元に送っていたと見られる11人を逮捕。逮捕の際、警察は大量の書類を押収したが、武器、爆発物は見つかっていない。

マドリッド大司教も同性婚反対デモに参加を表明

昨日、前CEE(スペイン司教協議会)会長、アントニオ・マリア・ロウコ・マドリッド大司教は、3人の補佐司教、ヘタフェ、アルカラ・デ・エナレスの司教と共に、スペイン家族フォーラムにより今週土曜日に予定されている同性愛者の婚姻許可のための民法改正反対デモに参加することを表明した。CEE副会長のアントニオ・カニサレス・トレド大司教も参加を表明したが、通信社Efeでは、さらに15〜20人の高位聖職者がデモに参加すると見ている。
しかし、政府に反対するデモを開かない、他の団体が主催するデモに参加しない、というスペインカトリック教会の長年の伝統を破るこの行動については、CEE内で意見が分かれており、すでにカルロス・アミーゴ・セビジャ大司教、ルイス・マルティネス・シスタシュ・バルセロナ大司教は不参加を表明、現会長リカルド・ブラスケス・ビルバオ大司教がどのような行動を取るかに注目が集まっているものの、会長はデモに参加しないと見る向きが強い。

警備員殺害時の模様が録画されたビデオテープを発見(サン・セバスティアン)

ラディオ・エウスカディの放送したところによると、バスク州警察は、日曜日の朝、警備員のマヌエル・イグナシオ・アパオラサ容疑者が、上司のフロレンシオ・パラさんのこめかみを撃ち殺害する模様を写した防犯ビデオのテープを入手した模様。テープには、殺害後、アパオラサ容疑者が床に広がった血を片付けている様子も写っており、撮影されていた時間は記録によると日曜日午前7時頃だった。火災を免れたギプスコア県財務局本部の防犯ビデオテープはこれだけでなく、別のテープには、パラさん殺害の日の夜10時半の映像にアパオラサ容疑者が紙の束に火をつけている様子が写っているという。近隣の住民により建物から煙が出ているとの通報があったのは、この20分後だった。アパオラサ容疑者は、事件の2日後の火曜日、数年前に勤務していたサンセバスティアン郊外の科学博物館そばにある森の中で死体で見つかっており、胸部には弾痕があり、警察によると、ポケットにはパラさん殺害を自供する文書が入っていた。
バスク州警察はこれらの証拠は、事件は以前から口論が絶えなかったパラさんと新たに口論となった後パラさんを殺害したアパオラサ容疑者が、財務局本部の建物に放火、その後自殺したという当初からの仮説をさらに裏付けるものであると考えており、現在、容疑者の検死結果と容疑者殺害に使われたピストルが警備員が勤務で使用しているものと同じピストルから発射されたものかについての調査結果が待たれている。


6月15日(水)

ギプスコア財務局放火容疑者、死体で発見(サン・セバスティアン)

サン・セバスティアンにあるギプスコア県財務局本部が放火され、焼け跡から警備員の1人がうなじに銃弾を受けてみつかった事件で、事件当日から行方が不明で、容疑者として指名手配されていた別の警備員が昨日、死体で発見された。指名手配されていたマヌエル・アパオラサ容疑者の死体が見つかったのは、サン・セバスティアン科学博物館そばの森の中で、昨日午後3時過ぎ、森で遊んでた子供達により発見された。死体は胸部に弾痕があり、わきには、財務局勤務の警備員が勤務中に携帯するが火災現場から見つからなかった38口径のリボルバーが落ちていた。指名手配後、バスク州警察はアパオラサ容疑者の自宅に家宅捜査のため入ったが、マンションは空だった。
また、昨日は火災状況の被害報告があり、地上11階、地下4階のギプスコア県財務局本部建物の修復には1年半以上かかるとの発表があったほか、すでに保険会社と保険金の交渉が始められていることも明らかにされた。ギプスコア県広報官のコルド・アスコイティア氏は、改めてすべての書類にはコピーが存在し、このコピーを使用して業務を継続することが可能であることを強調、最大の問題である仮事務所設置については、現在15の候補に絞って選考を進めているという。

グラナダ大司教、同性婚反対デモ参加を表明

ハビエル・マルティネス・グラナダ大司教は、今週土曜日マドリッドで行われる同性愛者の婚姻を認める法改正に反対するデモに参加する声明文を昨日発表した。聖職者として初めて土曜日のデモ参加を表明したマルティネス大司教は司教協議会家族委員会代表で、参加希望者のために22台のバスをチャーターすることを明らかにした。
大司教は、彼およびカトリック教会は、真実の婚姻を差別し、聖なる社会財産を破壊するとして、これまで同性愛者に婚姻を認める法改正について繰り返し不賛成の意志表示を行ってきたと述べ、参加を希望する人々のために22台のバスをチャーターし、およそ1200人がマドリッドに行ける用意を整えたことを発表、信者に対しデモに参加するよう呼びかけた上で、「教会は誰かを敵として闘っているのではない。我々は同性愛者を含むすべての人々のためを思って行動している。」と述べた。
同性間での婚姻を認め、異性婚者と全く同等の権利を与える民法改正案は、すでに下院で可決承認され、上院で可決承認されれば改正決定となるが、昨日、バルセロナ選出、PSC(カタルニャ社会党)のメルセデス・アロス上院議員は、この民法改正案不支持のため、審議当日は議場に赴かないことを発表した。これにより、今後さらなる変化がない場合、法改正案は賛成130対反対127で上院で承認可決される見通しとなっている。

ヒラルディージョのレプリカ、塔から下ろされる(セビジャ)

昨日、強風のため中止されたヒラルディージョ(セビジャのカテドラルにあるヒラルダの塔の風見)のレプリカを下ろす作業は、今日の午前中に完了する予定。1999年1月からヒラルダの塔に上げられているこのレプリカを下ろすため、ビルヘン・デ・ロス・レジェス広場には高さ100メートル以上のクレーンが設置された。下ろされたレプリカはセビジャ司教区が管理する倉庫に当面保管され、その後(日取りは未定)カテドラルの“プエルタ・デル・プリンシペ(王子の入口)”で展示される予定。
これにより、レプリカを風見として使い、オリジナルをカテドラル内部で展示したいセビジャ司教区と、文化遺産法にのっとってそれに反対していた州文化局の6年間におよぶ紛争は終結。レプリカを下ろす作業にかかる費用は12万ユーロで、6月末または7月頭にバルトロメ・モレルが16世紀に作成したオリジナルのブロンズ製風見がヒラルダの塔上部に設置され、設置がうまくいっているかどうかの確認が4週間にわたり行われた後、足場が取り除かれる。8月15日のビルヘン・デ・ロス・レジェスの祭には、オリジナルの風見が足場なしでヒラルダの塔上部を飾る予定となっている。


6月14日(火)

財務局の建物放火、警備員を指名手配(サン・セバスティアン)

日曜日の午後10時51分、サン・セバスティアンにあるギプスコア県財務局本部の建物内数ヶ所で出火、消火後の昨日午前4時、警備員詰所でこの時間に勤務していたフロレンシオ・パラさん(41歳)の死体が見つかった。バスク州警察によると、死体は火による損傷が激しいものの、頭に銃弾を受けたと見られる跡があり、勤務交代の際に置いていくことになっている警備員用ピストルおよびパラさんが通勤に使っていた大型バイクがなくなっているという。裁判所は出火時に勤務についていたはずで、現在行方がわからなくなっている部下のマヌエル・イグナシオ・アパオラサをパラさん殺害および放火の容疑者として指名手配した。パラさんとアパオラサ容疑者は勤務シフトをめぐり、口論が絶えなかったという。
火事は、ガレージ、地下の3室、4階で発生、近くの住民の通報により駆けつけた消防員と警官は、建物内部が火災発生前に荒らされていたことを発見。地上11階、地下4階の建物の地下駐車場に止められていた公用車の窓ガラス、300台以上のパソコンのモニター画面が割られ、破られた書類があちこちに散乱していた。消火装置、火災報知器は建物内部から何者かにより作動しないよう操作されていたほか、防犯カメラも建物周辺での動きが写らないよう操作されており、314人の公務員が勤務していた建物は、火災によりほぼ壊滅状態となった。数ヶ所の火元は書類を重ねて火をつけた“素人の手口”だったため、警察では捜査開始時からETAまたは組織犯罪の可能性はほとんどないと見て捜査を行っていた。焼失した書類については別の場所にすべてのコピーが保管されているため、財務局のデータは全く失われていないという。

デ・フアナ・チャオス受刑囚、2ヵ月後に釈放

中央管区裁判所のサンティアゴ・ペドラス・ゴメス判事は、昨年12月、Gara紙に掲載されたフアン・イグナシオ・デ・フアナ・チャオス受刑囚が執筆した2つのコラム記事は、同受刑囚がテロリスト組織に所属すると証明するには十分な証拠とならないと判断、同受刑囚に対するETA所属容疑裁判を開始しないことを昨日決定した。デ・フアナ・チャオス受刑囚は、25人の暗殺に関与した罪で懲役3129年を宣告されているが、裁判当時に適用されていた1973年制定の刑法に基づいて、18年の懲役刑を終了する8月で刑期を全うしたとみなされ釈放される。
ペドラス判事は、デ・フアナ・チャオス受刑囚がMLNV(バスク国土解放運動)の支持者であることは認めたが、“ETAとこの運動に関連があるにしろないにしろ、この運動はテロリスト活動とは見なされない”と判断、ETAの歴史上最悪の犯罪者の1人である同受刑囚の釈放を阻止されるのは、今回の決定に対する検察局による控訴が受け入れられる場合のみで、カンディド・コンデ-プンピド検察局長は、「デ・フアナ・チャオス受刑囚が犯した罪の重さに見合った刑期を務めるよう、検察局はあらゆる手段を使う」と宣言。ヘスス・アロンソ判事はすでに控訴状を提出、AVT(テロ被害者協会)も控訴することを明らかにしている。

58歳以上の公務員に早期退職勧める

ジョルディ・セビジャ行政大臣は昨日、全体の10%に相当する58〜64歳の公務員約2.5万人に“割増退職金付早期依願退職”を勧め、これにより“公務員と民間職員間の格差”をなくす考えであることを明らかにした。
経済紙“Cinco dias”の主催により開かれた講演会でセビジャ大臣は、この計画は公務員の人員削減ではなく、“年齢引き下げと職務レベルの引き上げ”を目的にしたものであると説明。大臣によると、230万人いる公務員のうち、23%にあたる54万人が国家公務員、53.10%にあたる123万人が自治州公務員、残り23.90%が地方公務員であるといい、大臣は、当初の計画では早期退職の対象者は国家公務員のみであるが、今後、自治州、地方公務員でもこのモデルに続くことが望ましいと発言。自治州、各市町村で同様に早期退職が行われる場合は、その対象者は23万人になるという。セビジャ大臣によると、中央行政は、職員の最も多い年代が40〜49歳、続いて50〜59歳であるという問題のほか、職務レベルの高い職員が州行政に流出し、AからDまである職務レベルのうち国家公務員の大半のレベルがCまたはDであるという問題も抱えており、特に女性は多くが最低のDレベルであるという。
大臣は、早期依願退職を勧めることにより、中央行政の年齢を引き下げ、職務レベルと職員の性別に均衡を設けるのが今回の計画のねらいであると述べるとともに、現在短期雇用となっている職員をできるだけ安定した雇用に移し、適所適材の人員配置を行いたいと抱負を述べた。行政省では現在この早期退職について各労働組合と話し合いを進めており、昨日の時点では、これにかかる費用については明らかにされなかったが、支出は社会保険からではなく国家予算から出される予定であるという。


6月13日(月)

ERC、サラマンカでのスト主催者告訴へ

ERC(カタルニャ左翼共和党)のジョセップ・カロ・ロビラ党首は、昨日、同政党が今日にも先週土曜日にサラマンカで行われたデモの主催者を相手どり刑事訴訟を起こす所存であることを明らかにした。このデモは、土曜日午後8時からサラマンカのマジョ−ル広場とその近辺で、サラマンカ文書保管庫に保管されている一部の文書のカタルニャ州への返却に反対する目的で行われたもので、参加者数はカスティジャ・イ・レオン州知事(PP所属)によると10万人、市警察によると8万人、政府サラマンカ出張所によると2万人。このデモで“カロ、これがお前の箱だ”という文字の下に棺が描かれたものなど、ロビラ氏に対し死をもって脅迫する内容のプラカードを取り外すことなく行進が行われたため、カロ・ロビラ氏は、刑事訴訟の用意を進めると同時に、このデモを公式に支持していたPP(国民党)に対し、この脅迫プラカードの内容も支持するのか明らかにするよう要求。ERCのマリナ・リャンサナ広報官は、これらのメッセージは、PPの“カタルニャ憎悪を育てる政策”の一環であるとの考えを示している。
一方、昨日、カルメン・カルボ文化大臣は、市民戦争中フランコ軍によりカタルニャから持ち出された文書をカタルニャ州に返却することは、文書保管庫のまとまりがなくなることとは関係がないと述べ、これらの文書の返却はPPカタルニャ支部からも要請されたものであることを念押し、「市民戦争資料は、サラマンカではなく、国家の所有物である。多くのスペイン人が文書をサラマンカに集めたのは、1936年ここが反乱軍の首都だったからにすぎない。」と述べた。

コカイン密輸関与容疑で9人を逮捕(ポンテベドラ)

ポンテベドラ県アロウサとオ・モラソで昨日の午後コカイン密輸に関わった容疑で9人が逮捕された。これは、アゾレス諸島沖でおよそ3トンのコカインを積んだ船が逮捕されたのに伴って行われた捜査の結果で、このコカインは通称“カリブ・ルート”と呼ばれるルートを通ってガリシア海岸に水揚げされ、その後ヨーロッパ各地に配達される予定だった。9人のほかに、マラガでも1人が逮捕されている。治安警備隊麻薬捜査特別班がビラガルシア裁判所第一法廷の協力を受けて行ったこの捜査はこれで一旦終結。今後新たな逮捕は予定されていない。
捜査は数ヶ月前から始まっており、逮捕は、まず昨日の明け方ヨット“ノン・ストップ”丸が治安警備隊のパトロール部隊により発見され、載っていたベルギー人2人とアルバニア人が逮捕、その後捜査の場がポンテベドラ県の3つの町に移され、大規模な家宅捜査が行われた結果、グループの主犯格と見られる男と含む9人の逮捕となった。逮捕者は今日にも裁判所で調書を取られる予定で、ヨットは管轄裁判所のあるビラガルシア・デ・アロウサに曳航され、今週半ば頃到着の見込み。

週末のスポーツの結果

F-1:モントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットで行われたカナダGPで、好スタートを切ったフェルナンド・アロンソ選手は32周目でトップに立ったものの、マシンが壁をこすった際にサスペンションが故障。今シーズン初のリタイアとなった。レースは総合成績2位のキミ・ライコーネン選手が勝ち、総合成績1位のフェルナンド・アロンソ選手との差を22ポイントに詰めた。次回レースは19日に行われるアメリカGP。
バイク:バルセロナのモンメロサーキットで行われたカタルーニャGP、250CCクラスでダニ・ペドロサ選手が優勝。モトGPクラスでもセテ・ジベルナウ選手が2位となった。
サッカー1部リーグ:ビセンテ・カルデロン・スタジアムで行われた国王杯決勝戦は、延長戦の末、2-1でオサスナを下したベティスが28年ぶり2度目の優勝。
サッカー2部リーグ:アラベスが1部昇格決定。


6月10日(金)

CEE、同性婚反対デモ支持表明

CEE(スペイン司教協議会)は、今月18日、マドリッドでスペイン家族フォーラムの主催により開かれる同性婚反対デモへの支持を公式に発表した。CEEが政策反対デモを支持するのは、フェリペ・ゴンサレス政権時代の1983年の初の教育システム改正反対デモ以来。
すでに各地の司教が、同性同士の婚姻を認め、異性婚者と同等の権利を与えることを含めた現社会党政権による民法改正反対デモに参加するよう呼びかけを始めていたため、CEEはこの動きに応えざるをえなくなり、同性婚を認めることはカトリック社会にとって家族というものへの正面からの攻撃であるとデモ支持を表明したが、CEE内部にはセビジャ大司教のカルロス・アミーゴ枢機卿を始めとし、デモ支持に賛成でない勢力もあるため、今回は反対デモ主催ではなく、支持という形でスペインカトリック教会の姿勢を表明することとなった。
スペイン家族フォーラムのホセ・ガバルドン代表はCEEのデモ支持発表を祝い、CEEの支持はデモ開催にとって意義ある重要なもので、これによりデモ参加者が増えるとの見方を示した。政府は何のコメントも発表していないが、与党PSOE(社労党)関係者は「デモは尊重するが、我々は選挙公約を守っていく」と述べている。

交通事故死者の3人に1人はシートベルト着用せず

今年の1月から5月の間に交通事故で亡くなった872人のうち37.7%にあたる329人は、事故発生時シートベルトまたはチャイルドシートを着用していなかったことが昨日、DGT(交通総合局)の発表により明らかになり、このデータを受け、DGTでは今月13日から26日までシートベルト着用取締り特別キャンペーンを行うことを決めた。
このキャンペーンの対象は20万台以上で、治安警備隊交通担当部隊以外にも地方警備部隊も出動させるほか、パイス・バスコ、カタルニャ州警察、人口5千万人以上の市役所にも協力を求め、広範囲での取締りが行われる予定。このほか、マスコミ、道路の電光掲示板を使ってシートベルト着用の必要性を説く宣伝も並行して行われる。ペレ・ナバロDGT局長によると、スペインではシートベルトの重要性が十分に認識されておらず、シートベルトを着用することにより交通事故死亡の確立は半減、年間1000人の命が救われるという。局長はまた、忘れられがちな後部シートのシートベルト着用の重要性についても説明した。
昨年10月に行われた同様の特別取り締まりキャンペーン中には、38.3万台の車が対象となって1.4万人に罰金が課されたという。現行の道路交通法ではシートベルト未着用による罰金は91ユーロだが、今年末に予定されている点数制運転免許証が導入になれば、これは2点の減点対象となる。

明日から地下鉄3号線が運休(マドリッド)

明日から地下鉄3号線が工事のため全線運休となるのに伴い、EMT(マドリッド市交通局)は、昨年と同様午前6時から翌日午前1時半までレガスピ広場からモンクロア地区までの無料代替バスを運行することを発表した。EMTの発表によると、レガスピ行きはアルベルト・アギレラ66番地を得て、プリンセサ、プラサ・デ・エスパーニャ、バイレン、ロンダ・デ・トレド、ロンダ・デ・バレンシア、バタジャ・デル・サラドを通ってプラサ・デ・レガスピまで、逆向きのバスは、プラサ・デ・レガスピを出て、パセオ・デ・ラス・デリシアス、エンバハドーレス、ロンダ・デ・トレド、プエルタ・デ・トレド、バイレン、プラサ・デ・エスーパーニャ、プリンセサ、アルベルト・アギレラまでのルートを運行する。マドリッド市役所副市長マヌエル・コボ氏は工事にともなう迷惑について市民に謝った上で、「工事が終了した暁には市民への利益は多大なものとなる」ことを約束した。

RENFE夏のダイヤを発表

これに伴う6月13日からの主な変更は以下の通り。
マドリッド近郊列車(セルカニアス)C-3線(マドリッド・アトチャ駅-アランフェス駅):13時02分から16時02分、17時02分から22時02分の間の運行間隔が現在の30分から20分に。
バルセロナ近郊列車:海水浴客の利用が増えるため、週末と祝日は、Castelldefels、 Garraf、Mongat Nord、Cabrera de Mar-Vilassar de Mar駅に停車。
バレンシア近郊列車:ラルクディアとガンディア、ブニョ−ルとアルダイア間、バレンシアとカステジョン間の運行本数が増える。
マラガ近郊列車:マラガとフエンヒローラ間で7月1日から8月31日まで列車が1日1本増発。
AVE マドリッド-セビジャ:利用者数の少ない8月は1日14本の運行。マドリッド6時半発、セビジャ8時半発の列車は料金体系が“Valle”から“Llano”になり運賃が下がる。
タルゴ マドリッド-マラガ:8月の利用者が最も多い路線の1つであるこの路線は、9月4日までマドリッドは7時10分発、マラガは6時45分発と各方面行きが1本ずつ増発となる。


6月9日(木)

首相、ETA武装放棄後の交渉開始の意志を改めて強調

ピオ・ガルシアPP(国民党)上院議員代表は、政府はETAのテロ対策として有効であることが示されていた政策(PPとPSOE間で結ばれた対テロ協定)を捨て、テロリズムの終結について“馬鹿げた期待”を持たせたとし、首相を非難、政府に対し、下院で承認可決された“ETAが武装放棄した場合は、平和交渉を開始する”という決議を撤回するよう求めた。
これに対しホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は、政府の対テロ政策について説明、対テロ協定が結ばれた当時と現在ではETAのテロ活動状況が全く異なっており、ETAが最後にテロによる死亡者を出してから2年が経ち、ETA内部でも武装放棄への動きが見られる今こそ、平和交渉開始の可能性を探るべきだとし、唯一対テロ政策に反対しているPPを糾弾した。首相はまた、現政府がスペイン民主主義政が始まって以来、唯一ETAと交渉したことがない政府であることを述べ、この政府がついてからの1年間でETAメンバーの逮捕についてはめざましい効果があげられ、178人が逮捕されていることを改めて強調、「もし、ETAの永久武装放棄の意志を確認できる機会をみつければ、政府は平和へ到達する交渉を開始するだろう。スペイン人の大多数はこれ以上ETAのテロによる犠牲者が出ないことを願っており、テロ終結こそが疑いの余地なく、テロの被害者への最大の貢献となるだろう。」と政府の姿勢に変化のないことを改めて述べた。

モロッコ政府、スペイン外交使節団の西サハラ入国3度目の拒否

モロッコ政府は、昨日、サハラウィ(西サハラ住民)の人権状態について調査するためエル・アアイウン空港に着陸したカタルニャ州使節団の入国を拒否した。モロッコ政府がスペイン外交使節団の西サハラ入国を拒否するのはこの4日で3度目。
IU(統一左翼)の国会議員1人、カタルニャ州議会議員3人とACAPS(カタルニャ・サハラウィ支援の会)のメンバー2人からなるこの使節団は、エル・アアイウン空港に到着したものの、モロッコ警察によりただちに飛行機戻るよう命じられたという。着陸した使節団は「いかなる理由においてもモロッコの地は踏ませない」という言葉で迎えられたといい、使節団は、モロッコ当局からの侮辱的な扱いを告発した。
使節団の入国拒否の理由について、モロッコ政府はポリサリオ戦線への“分離主義の無条件支持”であるとしており、モロッコの外交書記官タイエブ・ファルシ・フィーリ氏は、「真実を歪曲し、我々の政策にあからさまに悪意を持ったキャンペーンに参加するために外部の人間が我が国の領土に入ることを認めるわけにはいかない。我々は、国の平穏を乱す人間を受け入れるわけにはいかない。」と述べた。
この使節団の西サハラ訪問については、当局が飛行機から降りることを許さないであろうとスペイン外務省が事前に取りやめることを勧めており、この勧告によりPSC(カタルニャ社会党)のジョアン・マヌエル・ジャイメ氏は直前になって訪問を取りやめている。


6月8日(水)

首相、クリントン元大統領と会談

ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は昨日、首相官邸でビル・クリントン・元アメリカ大統領と会談、首相は9月15日から17日にNYで開かれ、アブダラ・ヨルダン国王、トニー・ブレア英首相、コフィ・アナン国連事務総長、シモン・ペレス・イスラエル副首相、アーノルド・シュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事などが出席するクリントン・グローバル・イニシエイティブへの参加招待を受けた。
2時間以上にわたる会談で、クリントン元大統領は、どのようにして貧困をなくすか、紛争解決のためどのように宗教を利用するべきか、どのようにして新しい企業戦略とテクノロジーを気候変化との闘いに適用するか、などについてがこの集まりで話し合われることを説明、5月26日にすでに書簡で招待状を届けていたが、昨日改めて参加をよびかけた。元大統領は、危機にあるEU憲法支持を表明、首相は「このプロセスはヨーロッパにとってのみ重要なのではなく、世界の革新主義者にとって重要である。」と答えた。

NATO、Yak-42機墜落事故の責任認める

2年前の5月26日に墜落しスペイン兵62人が死亡したYak42機をチャーター手配したNATO内機関のNAMSA(NATO保守・供給エージェンシー)は、フェリックス・サンス・ロルダン防衛長官に宛てた書簡で、乗客1人につきかけられているべきだった7.5万ドルの生命保険がかけられていなかったこと、および使用機のチャーターに6社もの会社が仲介に入った下請け会社のコントロールが欠如していたことについて初めて責任を認めた。
1週間前にマドリッドで行われた軍最高司令官であるサンス長官とNAMSAのカール-ハインツ・ミュンツァー・ディレクターの会談の後送られたこの書簡でNAMSAが事故原因の一部について責任を認めたため、ホセ・ボノ防衛大臣は、現時点ではこれで満足だとし、明日、あさってとブリュッセルで開かれるNATO会議の議題としてこの問題を取り上げるよう要請しないことを決めた。この書簡でNAMSAは、NAMSAがチャーターを依頼したチャップマン・フリーボーン社がその下請け会社に生命保険をかける義務について通達していなかったこと、またチャーターに関与したすべての下請け会社についての報告をNAMSAに行わなかったことを明らかにしているほか、スペイン防衛省が理由は不明であるものの、チャーター機の検査および書類チェックを行わなかったことも明らかにしている。NAMSAでは事故後のスペインからの要請により、保険内容のコントロールと機体のチャーター契約内容についてこれから見直しを行うこと、またチャップマン社の責任を追及し、同社がスペインに賠償金を支払うよう働きかけることを約束した。事故後の調査により、事故機のYak-42機チャーターに際しスペイン防衛省は149,000ユーロをNAMSAに支払ったが、このうち、Yak-42機の会社であるUMエアーが受け取ったのは、わずか38,500ユーロだったことも判明している。

カハマドリッド、スペイン現代絵画所蔵作品60点を初展示(マドリッド)

カハ・マドリッド財団所蔵の20世紀後半以降のスペイン人作家の作品が、今日から9月4日まで同財団(Plaza de San Martin, 1 火〜日10時から20時まで。入場無料)で公開される。この“Acentos”展で公開されるのは、同財団所蔵の所蔵するエドゥアルド・アロジョ、ミケル・バルセロ、アントニオ・サウラ、アントニ・タピエスといったこの半世紀で最も活躍している画家の作品300点の中から選ばれた60点。
展覧会は、Equipo57(1957年パリでホルへ・オテイサ、アンヘル・ドゥアルテ、ホセ・ドゥアルテ、フアン・セラノ、アグスティン・イバロラにより結成されたグループ。空間を重視した抽象的な画風が特徴)の“無題”とアントニオ・サウラの“ミルタ”から始まり、エドゥアルド・アロジョ、ラファエル・カノガル、ルイス・ゴルディジョ、ホセ・マリア・シシリア、ミゲル・アンヘル・カンパノ、フアン・バルホラ、ダリオ・ビジャルバ、フアン・ウスレー、マヌエル・ミジャレス、エウセビオ・サンペーレの作品展示へと続いていく。この展覧会開催を担当したアウロラ・ガルシア氏によると、“Acentos”展では、この半世紀の絵画における創造性の成果を要約、時代の移り変わりと傾向の推移のバランスを取るため時代順ではなく、異なった時代の作品が混ざって展示されていることを説明した。
カハマドリッド財団のほか、キオ・タワーでもこれから、所蔵作品の中から1点がおよそ1ヶ月半の期間で展示されていくことが決まり、現在はエドゥアルド・アロジョの作品が展示されている。


6月7日(火)

首相、テロ被害者団体と個別に会談へ

マドリッドでAVT(テロ被害者協会)が最大野党PP(国民党)支援のもと政府とETAとの交渉開始反対デモを開催してから2日、昨日サパテロ首相は、ガリシア州選挙終了後の今月21日からすべてのテロ被害者団体と順番に会談を持ち、彼らの意見を聞き、テロ被害者支援法改正について説明すると発表した。首相は、政府がすでにETAとの交渉を始めているという噂を否定し、改めて政府とETAとの交渉はETAが武装放棄しない限りは開始されず、いかなる政治的代償を払うこともないことを改めて説くという。
21日、最初に首相官邸に赴くのは、テロ被害者団体最大組織であるAVT代表団。同団体と政府の関係はよくなく、AVTは昨年12月に首相が任命したグレゴリオ・ペセス-バルバ・テロ被害者支援担当高等委員の辞任を何度も要求してきている。政府関係者によると、首相がペセス-バルバ氏と共にこれらの会談を開く目的は、政府の対テロ対策についての“誤解を解く”ためであるという。首相は、政府がETAと交渉を開始するときは国会国政討論の場で約束したように必ず最初に国会で報告してから行うこと、交渉開始はETAの完全武装放棄を条件にいかなる政治的代償を払うこともなく行われることを強調し。また、現在はテロに遭った時期により受給額が異なっている補助金システムの改正を含めたテロ被害者支援法改正について、各被害者団体からの意見を広く取り入れる予定。

秋田犬に噛まれ、2歳の女児死亡

日曜日午後、2歳の女児がバルセロナ県シッチェスで秋田犬に噛まれ、病院に運ばれたが月曜深夜死亡した。この犬は、女児の母親が同居している交際相手の男性が飼っていたもので、日曜午後5時半頃、女児が犬に襲われ頭と首に大怪我を負ったと救急車に通報があった。犬が女児に噛み付いたときこの男性は留守で、母親は女児のそばにいたものの、犬を止めることができなかった。女児は救急車により近くの病院に運ばれたが、重傷であったためその後別の町にあるさらに大きな病院に移送された。女児は治安警備隊のパトカーの先導で高速道路を使って運ばれたものの、治療の甲斐なく月曜深夜死亡した。
治安警備隊によると、秋田犬はきわめて危険な種類であるにもかかわらず、飼い主は他人に危害を加えた場合に備えた保険に加入していなかった上、危険な種類の犬を飼う際に義務づけられている飼い主に精神的異常がなく、正しく犬を扱える人物であるかの検査も受けていなかったという。この犬は男性の友人である以前の飼い主から譲られたもので、ワクチンは正しく接種されており、身分登録のマイクロチップもつけられていたが、飼い主はこの犬の登録を居住地の市役所に対し行っていなかった。女児の母親、飼い主の男性ともこの犬が攻撃的になったことはこれまでなかったと証言しているほか、保健所に移送された際もこの犬はおとなしかったという。犬の処分については裁判所の決定待ちだが、一度人間を襲って殺した犬は同じことを繰り返すとされており、裁判所がこの犬を殺すよう命じる可能性が高いという。

地下鉄10号線、9月から4ヶ月間工事のため一部運行停止(マドリッド)

チャマルティン駅改装工事に伴い、7月1日から地下鉄10号線はチャマルティン駅に停車しなくなるほか、9月10日から1月まではプラサ・デ・カスティージャ駅-フエンカラル駅間が運行停止となることが交通局により発表された。チャマルティン駅停車は来年2月末に再開の見込み。交通局からはすでに、6月11日からの3号線の全線運行停止も発表されている。
2年という当初の予定から大きく工事期間が短くなったチャマルティン駅改装工事は、2007年に終了し、1日あたり6万人が利用することが見込まれている。新しい駅には地下鉄の1、10、11号線が乗り入れ、国鉄と接続する。総額9300万ユーロのこの工事は、2007年の完成を目指して24時間連続で行われ、駅工事のため760Mの支線が作られ、チャマルティン駅工事期間中、列車はこの線路を走ることになっている。新しい駅舎は地下3階地上1階建てとなり、地上階には44のプラットフォームを備えたバスターミナルになる予定。


6月6日(月)

ナダル選手、初出場の全仏オープンで優勝

19歳の誕生日の2日後、マジョルカ島マナコル出身のラファエル・ナダル選手が初出場の全仏オープンで優勝という快挙を成し遂げた。アルゼンチンのマリアノ・プエルタ選手(世界ランキング34位)との決勝戦は3時間24分に及ぶ厳しい試合となったが、この試合を6―7、6―3、6―1、7―5で制することにより、ナダル選手は現時点でクレーコートに最も優れた選手の1人であることを証明した。全仏優勝は、ナダル選手にとっては今シーズン6つ目のタイトルで、選手は現在24連勝中。初出場で全仏オープンを制したのは、1982年スウェーデンのマッツ・ビランデル選手以来。スペイン人選手が全仏オープンシングルスで優勝するのはこれで8人目。
また、昨日は、マドリッド出身ビルヒニア・ルアノ選手とアルゼンチンのパオラ・スアレス選手のペアが6年連続全仏オープン女子ダブルス決勝に進出、ジンバブエのカーラ・ブラック、南アフリカのリーゼル・フーバー組を4―6、6―3、6―3で破り、2年連続、4度目となる全仏タイトルを手にしている。

マドリッドでETAとの交渉開始に反対するデモ

国会で過半数以上の票により承認可決された政府の提案に反対し、いかなる場合にもETAとは話し合いを行うべきでないとするデモがAVT(テロの被害者協会)の呼びかけにより、土曜日マドリッドで開かれた。参加者数については、マドリッド州が100万人に達したと発表する一方、政府は24万人と発表している。
プリンシペ・デ・ベルガラ通りからドミニカ共和国広場までの2キロ弱で行われた行進は、3つの横断幕により区切られ、最初にテロの被害者、家族、友人のグループ(中には犠牲者の写真を持って参加する者もいた。)が立ち、彼らの持つプラカードには“Por ellos. Por todos. Negociacion en mi nombre, No!(彼らのために。みんなのために。私の名前においての交渉には反対!)”“ETA rendicion, no negociacion(ETAには交渉ではなく降伏を)”などのスローガンが書かれ、その後にマリアノ・ラホイPP(国民党)党首、アンヘル・アセベスPP総書記長、エドゥアルド・サプラナPP下院広報官、すべてのPP選出自治州知事、アルベルト・ルイス・ガジャルドン・マドリッド市長などが並ぶ政治家グループ、最後にテロ被害者を支援する市民のグループが歩いた。デモにはホセ・マリア・アスナル前首相夫妻も参加した。
デモ終了後の19時半、AVTのフランシスコ・ホセ・アルカラス会長とジャーナリストのイサベル・サン・セバスティアン氏が犠牲者の追悼のための黙祷の後演説を行い、サラゴサの治安警備隊詰所爆破テロにより、兄と幼い甥2人を失ったアルカラス会長は、ETAと話し合いを始めることは“死者への裏切り”であると述べた。

マドリッド市役所、2012年オリンピック招致後押しのための祭典を開催

シンガポールでの2012年夏季オリンピック開催地最終決定まで1ヶ月となった昨日、マドリッドでは市役所主催で招致を後押しするための祭が開かれた。メイン会場となったカステジャーナ大通りには、ステージ、屋台が設置されたほか、レスリング、バスケットボール、アーチェリーなど15種類のスポーツ体験ができ、日中は30度を越す暑さとなったにもかかわらず会場は朝から大勢の人出でにぎわった。
午後7時には、グレゴリオ・マラニョン広場からラ・レアルタ広場まで長さ3キロ、2.1万平方メートルのギネスブック公認世界一大きな旗がボランティアにより広げられ、オリンピックがマドリッド市民から支持されていることを示した。この布からはリュック、ペンケースなどが作成され恵まれない人々に贈られることになっており、布はその後オリンピック委員会に渡された。夜には、歌手シャキーラさんのコンサートがプエルタ・デ・アルカラで開かれ、歌手アレハンドロ・サンスさんも参加、コンサートの後は、花火が打ち上げられた。主催者側によると、昨日この祭典に参加したのは100万人強だったという。

クリスティーナ王女、女児出産

昨日の午後3時55分、バルセロナのテクノン・クリニックで、国王夫妻の次女クリスティーナ王女がパルマ公爵夫妻(クリスティーナ王女と夫の元ハンドボールスペイン代表選手イニャキ・ウルダンガリン氏)にとっては初めての女児となる3685グラムの女児を自然分娩で出産した。4人目の子供となる女児はイレネと名づけられた。
パルマ公爵夫妻は、1997年10月4日バルセロナのカテドラルで挙式、1999年9月29日に長男フアン・バレンティン、2000年12月6日に次男パブロ・二コラス、2002年4月30日に三男ミゲルを設けている。


6月3日(金)

オテギ、サラベリア訴訟手続き開始

中央管区裁判所のフェルナンド・グランデ-マルラスカ判事は、テロリスト組織ETAの幹部であるという容疑において非合法政党バタスナ党のアルナルド・オテギ代表とジョン・サラベリア同党選出元議員の訴訟手続き開始を決定した。オテギ代表は先週逮捕され48時間にわたってマドリッドの刑務所に収監された後、40万ユーロを支払い保釈中で、先週の中央管区裁判所の召喚に姿を見せなかったサラベリア元議員に対しては、国際指名手配が出されている。
バルタサル・ガルソン判事が着手したHerriko Taberna(バル兼独立主義者集会所)を通じてのETAへの資金提供捜査はこうしてバタスナ党2人の起訴へと結びつくこととなり、ガルソン判事からこの捜査を引き継いだグランデ-マルラスカ判事は、今月8日に出頭するようオテギ代表に命じた。起訴状には、ETA幹部イボン・フェルナンデス・イラディ“ススペル”逮捕時に押収された書類に、ETAメンバー勧誘の手紙を作成していたのがジョン・サラベリア容疑者だったことなどが記されており、判事は、この2人とETAの結びつきを示すに十分な証拠があるとしている。
また、昨日PP(国民党)バスク支部は、バスク内務局、検事局に対し、明日ビルバオで予定されているバタスナ党主催のデモ行進を中止させるよう要請した。このデモは、“Orain herria, orain bakea(今こそ住民、今こそ平和)”のスローガンのもとバスクの平和確立のための交渉開始を後押しすることを目的として行われるものであるが、バスク州議会PP広報官のレオポルド・バレダ氏は「ETAの一部である非合法団体のデモ召集に手をこまねいているわけにはいかない」と述べている。

ペセス-バルバ氏、AVT召集デモ不参加を表明

テロ被害者支援担当高等委員グレゴリオ・ペセス-バルバ氏は、明日、AVT(テロ被害者協会)主催でマドリッドで開催されるデモに参加しない旨を書簡で通達した。デモは、政府とETAの交渉開始に全面反対を表明するためのもので、ペセス-バルバ氏が、AVT会長フランシスコ・ホセ・アルカラス氏に宛てた書簡には、「デモに参加しない旨をご連絡いたします。欠席の理由は、このデモが政府反対表明のものではないものの、国会で過半数により承認支持されたことを修正するよう求めるものだからであります。」と述べられているほか、ペセス-バルバ氏は、ETAとの対話反対がすべてのテロ被害者団体から支持されているものでないことも理由として挙げている。
アルカラスAVT会長は、ペセス-バルバ氏の欠席表明について、「犠牲者に与えるべき奉仕を超えて、自党PSOE(社労党)と政府に奉仕するペセス-バルバ氏らしい。彼自身がすべての被害者からの支持を受けていないにも関わらず辞任していないのに、すべてのテロ被害者団体からの支持がないため欠席するという理由は理解できない。」と述べている。ペセス-バルバ氏がAVT主催のデモを欠席するのは2度目で、前回1月22日のデモに同氏が参加しなかったことにより、AVTはペセス-バルバ氏の辞任を求め、両者の関係は悪化している。
明日のデモには、マリアノ・ラホイPP党首、ホセ・マリア・アスナル前首相が参加を表明しているほか、AVTによると、全国から400台以上のバスで会員が駆けつけることになっているといい、AVTでは大規模なデモに発展することを見込んでいる。

アストゥリアス皇太子夫妻訪日

妊娠4ヶ月に入ったレティシア皇太子妃の同行が最後の最後に決まり、アストゥリアス皇太子夫妻が昨日日本に到着した。夫妻は日曜日帰国の予定。
水曜日の午後、マドリッドから空軍機で飛び立った皇太子夫妻は、モスクワを経由し、昨日東京に到着。空港からそのまま滞在先のホテルに向かった。今日から公式日程が始まり、両国間の関係を深める目的で開かれる第8回スペイン-日本フォーラム開会式に出席、夜には皇居で天皇夫妻との晩餐会に出席する。明日は、日本在住のスペイン人コミュニティーの訪問を受け、日曜日には高円宮妃の案内で愛知万博のスペインパビリオンを訪問、午後には東京に戻り浩宮皇太子夫妻主催の晩餐会に出席、その後空港に向かい、マドリッドに戻る予定。


6月2日(木)

アルカイダ裁判にゾウガン容疑者が証人として出頭

11-Mで使用された携帯電話の販売店店主で、このテロの実行犯の1人として現在刑務所に収監されているモロッコ人ジャマル・ゾウガン容疑者が、昨日11-Sに関係したと見られるスペインのアルカイダメンバー24人についての裁判に証人として出頭した。担当判事がこの裁判は、11-Mとは何ら関係のないものであることをあらかじめ言い渡しておいたにもかかわらず、裁判中2度にわたってゾウガン容疑者は、自身の11-Mへの関与を否定、無罪を主張した。ゾウガン容疑者に対しては、2004年3月11日にマドリッドでテロ対象となったうちの2車両に爆弾入りリュックサックを置いたのを見たとする3人の証人がいる。
スペインアルカイダのリーダーと見られるイマッド・エッディン・バラカット・ヤルカス“アブ・ダダ”容疑者について、ゾウガン容疑者は客として知っていたのみで、2001年の逮捕で新聞に名前が載るまで、アブ・ダダ容疑者の名字すら知らなかったと供述、同容疑者にアフガニスタンでの戦闘参加に誘われたかどうかについても否定、マドリッドに在住していたモロッコ人アルカイダメンバーについても知らないと主張し、ゾウガン容疑者からはこの裁判に役立つ供述は全く得られなかった。

フランス警察、ETAの爆弾製造所発見

フランス警察は、サンゴーダンでETAが爆弾の製造に使っていたと見られるアパートを発見した。このアパートは今年3月にサンゴーダン近くで逮捕されたETAメンバー、ジョセバ・セグロラの借りていたアパートで、セグロラは、ガリコイツ・アスピアス“チェロキ”に次ぐETAのナンバー2だった。アパートからは、電話帳、爆破装置などが見つかった。
アパートが発見されたのは、持ち主が2ヶ月ほど店子を見ず、4月と5月の家賃も滞納されていると警察に通報したため。昨日朝、国家対テロ部隊が家宅捜査に入ったところ、散らかったアパート内部から大量の爆弾製造材料が見つり、2寝室に倉庫のついたこのアパート内から発見された証拠が予想より多かったため、証拠の記録、整理は昨日の午後から始められ、今日も引き続き行われる。アパート内部にあった大量の爆弾製造材料の中には、5月23日にロマン・シュル・イゼールで3人のETAメンバーが逮捕されたときにこのアパートで大量に見つかったのと同じ物質があり、警察では、3月のセグロラ逮捕後、この3人のETAメンバーが爆弾製造所をロマン・シュル・イゼールに移動さいたとの見方をしている。5月23日の逮捕時と同様、サンゴーダンのアパートからも時限装置、爆破装置、はんだごて、偽造用ナンバープレート、銃弾が見つかっているが、保管されていたものの全容がわかるまでには数日かかる模様。

グアダラマ山脈で工事中のAVEトンネルで事故

昨日の午前4時頃、マドリッドとセゴビアの境にあるグアダラマ山脈で工事中のマドリッドとバジャドリッドを結ぶAVEトンネルで事故が起き、作業員5人が負傷した。この事故は、トンネル北口近くで掘削のための爆破による落石を防ぐための使用済み衝立を移動中、この衝立が倒れたため起こったもので、34歳から42歳までの男性5人(2人はスペイン人で3人は東欧出身者)の負傷者はただちに病院に運ばれたが、1人は重傷。工事を担当している勧業省所属ADIF(鉄道敷設管理局)では、事故原因の調査を開始した。


6月1日(水)

CISによるガリシア州選挙予想発表

CIS(社会学調査センター)が4月29日から5月11日にかけて行ったアンケート調査によると、今月19日に行われるガリシア州議会(過半数38)選挙で、PP(国民党)は2001年の前回選挙から5議席少ない36議席にとどまり、過半数を失うとの結果が出た。ガリシア州4県(ア・コルーニャ、ルーゴ、オウレンセ、ア・コルーニャ)の中でPP離れが最も深刻なのはア・コルーニャ県。アンケート時点では、PPのほか、BNG(ガリシア民族党)も1議席を減らし、この6議席がPSdeG(ガリシア社会党)に流れることが予想されており、ガリシア州知事を4期連続で務め、5期目を目指すマヌエル・フラガ氏(PP)が敗れ、PSdeGとBNGが連合政権を立て、PSdeGのエミリオ・ペレス・トウリーニョ候補が知事となる可能性が出てきた。
アンケートではまた、ガリシア州でのアンケート対象者の中で政治、経済現状が悪いまたは悪いと答えた人が、よいと答えた人を上回ったほか、将来が今より悪くなると答えた人もよくなると答えた人より多く、ガリシア州の住民が悲観的になっている様子が明らかになった。フラガ氏(PP)、アンショ・キンタナ氏(BNG)、トウリーニョ氏(PSdeG)の3人の候補者の10段階評価は、フラガ氏が4.6、キンタナ氏が4.1、トウリーニョ氏が4.4といずれも合格点に達せず、候補者を信頼するかどうかについての質問では、信頼できない、またはほとんど信頼できないと答えた人がフラガ氏59.6%、キンタナ氏61.5%、トウリーニョ氏60.4%にのぼった。三人の候補者の中ではフラガ氏が最も合格点に近く、知事になってほしい人物としても3人の中でトップだが、トウリーニョ氏との差は3ポイント。また、73.4%の人が、PPは別の候補者を立てたほうがよかったと答えているが、具体的な候補者の名前は挙げられないでいる。

家庭内暴力被害者を難民として初めて受け入れ

スペイン政府は昨日、家庭内暴力被害者の38歳のアラブ人女性を難民として受け入れることを決めた。女性についての詳しい情報は、女性の安全のため明らかにされえていないが、この女性はペルシャ湾岸国出身で、訴えによると、この女性は未成年者のときに誘拐され、結婚を強制されて以来夫とその家族から日常的に暴力を受け、結果、何度も負傷し病院に運ばれ、離婚を申請したものの、出身国では夫の同意がなかったため申請が受理されず、そのため出身国から逃げだしたという。数ヶ月前、女性からの難民としての受け入れ要請を受けた政府は出身国では彼女の身柄の保護が十分に行われないという理由において、この女性に難民としての居住許可を与えた。
調査の結果、女性の出身国では強制的結婚、女性への暴力が日常的に行われており、国家が既婚女性に対して重大な差別を行っていることがわかっており、3年間スペインに居住しているこの女性は、現在精神科治療を受けている。ジュネーブ条約の難民認定の条件には、家庭内暴力被害者であることは含まれていないが、国連難民高等弁務官事務所のカリン・デ・グルジル氏は、「条約締結時にはこのような状況が予測されていなかったが、この条約の精神は、迫害される人々を救済することである」と述べ、スペインで初めて家庭内暴力の被害者を難民として受け入れたことを評価した。
スペインはヨーロッパの中でも難民受け入れ数の少ない国の1つで、2004年は5370件の申請があったが、この大半は却下されている。アロンソ内務大臣は、現在の722人に加え、今年さらに380人の警官を家庭内暴力被害者の保護にあてると発表した。

イルレタ氏、デポルティ−ボ監督を退任

アントニオ・ロペス監督が月曜日にバレンシアを去り、昨日は、デポルティーボのハビエル・イルレタ監督が退任し、アトレティコ・デ・マドリッドのセサル・フェランド監督の契約が解消された。
セサル・アウグスト・レアンドイロ会長との1時間にも満たない話し合いの末、イルレタ氏は双方合意の上で監督を退任することが決定。イルレタ氏がデポルティーボの監督を務めた7年間で、チームはリーグ優勝1回(1999-2000シーズン)、国王杯(2002年)、スペインスーパーカップ(2000年と2002年)を獲得、この5年は連続してチャンピオンズリーグに出場していたが、今シーズンは8位に終わっていた。契約を更改しないことが決まった後、イルレタ氏は「満ち足りたこの数年間は私の人生にとって忘れられないものとなるだろう。すべてには始まりと終わりがあり、お互いが終止符を打つときだという意見に達した」と述べた。レアンドイロ会長は、後任についてはまだ話し合いを開始していないと述べたが、アスレティック・ビルバオ監督を解任されたばかりのエルネスト・バルベルデ氏が第一候補との噂もある。
一方、アトレティコ・デ・マドリッドのトニ・ムニョス・スポーツディレクターは、「我々はフェランドと状況を分析した。彼は自分の仕事に対し誠実に尽くしたが、結果は重要で、最も理にかなっているのは契約を続けないことだという結論に達した。」と、2006年6月までのセサル・フェランド監督の契約を解消することを発表した。後任候補について、ムニョス氏は名前を挙げることは避けたが、「現在、何人かの選手を加え、チームをひっぱっていく理想的なコーチ2、3人について検討している。検討は慎重に時間をかけて行うつもりで、新監督は、人格と野望を持ったチームを作る能力のある人物でなければならない。」と述べた。候補としては、カルロス・ビアンチ氏、ホアキン・カパロス氏、ハビエル・アギレ氏の名前が噂されており、来週にもビアンチ氏との話し合いが始められる模様。昨日、ビジャレアルのリケルメ選手は、「ビアンチ氏の行くところならどこでも行く」とコメントしており、ビアンチ氏がアトレティコの監督に就任すればリケルメ選手がアトレティコのオファーを受ける可能性も出てきた。




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