スペインニュース・ドット・コムがお届するスペインのニュース

現地のメディアよりスペインのニュースをお伝えします。


2022年6月16日分のニュースより、動画配信による解説付き版をご覧頂けるようになりました。

動画ニュースはこちらです
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2024年10月11日(金)

フェリペ・ゴンサレス「サンチェス氏に代わり得る人物の名を挙げるとつぶされる。」

テレビ局の「ANTENA3」が、「Espejo Publico」という番組にPSOE所属の元首相、フェリペ・ゴンサレス氏と、元副首相、アルフォンソ・ゲーラ氏を招いて行なったインタビューの中で、これらPSOE重鎮によるサンチェス首相率いる現PSOEへの批判が飛び交った。
かつて副首相を務めたゲーラ氏は、サンチェス政権によって可決された特別恩赦法も、カタルーニャにおける税務制度の特別扱いも、また、先日可決されたばかりの服役中のETAメンバーへの減刑についても、全ての国民の平等を掲げる政党PSOEとしては断じてあり得ない政策であるとして、サンチェス政権が昨今、進めてきた主要政策全てについて強く否定した。
また、かつて首相を務めたゴンサレス氏は、間もなく開催が予定されているPSOEの全国大会における新総裁選出において、「サンチェス氏のライバルとなり得る人物の名前が幾人か頭に浮かぶが、彼等の名前を私が口にした時点で、サンチェス派によってその人物はつぶされるだろう。」と、具体的な名を挙げるのを避けた。
PSOEは間もなく11月末から12月の頭にかけて、全国党大会の開催を予定しており、新総裁の選出が行われるが、現時点でこれに立候補しているのはサンチェス氏のみとなっている。
しかし、フェリペ・ゴンサレス元首相は、PSOEらしいとは決して呼べない政治を続けるサンチェス派にこのまま 主導権を握らせておく必要などなく、彼に代わってPSOEを統率できる人物は数人存在しており、そう言った人物による今後の立候補表明の可能性が十分にあることを示唆した。
PSOE内では、サンチェス氏による独裁色の強いやり方に不満を示す政治家が増えつつあり、各州におけるPSOEの州単位での大会開催の調整が始まっていたが、サンチェス首相は全国大会の開催前に州大会を行なうことを禁止する旨を通達した。
全国大会で自身の総裁続投と、その主導権の存在を明確にしてから、州単位の大会を行なうことにより、各州での不満分子による勢力増大を抑えるのが目的と思われる。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*今年のTrashumancia祭は10月20日に
*運送業界のストライキ
*少子化の主な原因は?
*ラファ・ナダルが引退宣言

余談
*秋のスペインとコロンブス、他


2024年10月4日(金)

マドリッドのレストラン、営業時間を旅行者に合わせるか?

今年3月、マドリッド市はEUより2024年〜2025年度の「欧州美食文化首都」としての推薦を受けた。
これはEUが各地の食文化を称えて行なうもので、2019年はポーランドのクラクフが、2022年にはポルトガルのオエイラスが、そして2023年にはスウェーデンのストックホルムがその栄誉を受けた。
これに伴い、マドリッドのイサベル・アジューソ州知事は、マドリッドにおけるレストランの営業時間を外国人観光客に合わせることをレストラン業界に提案している。
マドリッドに限らず、スペインにおける一般的なレストランの営業時間帯は、昼の場合は早い所で13時から、遅い所では14時からの開始となり、夕食の場合で早い所で20時から、遅い所では21時からの開始となる。
ところが、外国人観光客の最も一般的な食事時間は、昼の場合で12時から、そして夕食の場合で18時頃からとなっており、より彼等の希望に合わせた時間帯での食事提供を出来るのが望ましいとして、マドリッド州行政とレストラン業界との間での対話が始まっている。
これら外人観光客向けの営業時間導入は、マドリッド市内でも、マジョール広場やグラン・ビアなど、特に観光客が集中する地域を対象にして検討される模様。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*インフレ率、2021年以来の最低値に
*ユーリボー、3%を切る
*タクシー組合、グエル公園付近の住民に警告
*スペインの家庭、節約モードが顕著化
*マドリッドのレンタサイクル、公共サービスに1本化
*バルセロナのボケリア市場、大改造工事を予定
*セビージャのアルカサル、入場者数過去最多へ

余談
*ハルカさん初ヨーロッパはスペイン!!、他


2024年9月27日(金)

スペイン政府、メキシコ大統領の就任式に欠席表明

今週火曜日にメキシコ政府は、「メキシコの新大統領就任式に、スペイン国王であるフェリペ6世を招待しない」、との発表を行ない、スペイン政府は、これを「受け入れ難いこと」として、就任式へのスペイン政府としての参列は行なわない旨を発表した。
メキシコでは、去る6月に行われた大統領選挙でClaudia Sheinbaum Pardo女史が新大統領に選ばれ、10月1日にその就任式が予定されている。
イベロアメリカ諸国における大統領就任式には、毎回スペインの国王も出席することが伝統となっていたが、メキシコとスペインとの関係は、現大統領であるAndres Manuel Lopez Obrador氏が2018年に就任以来、冷えた状態が続いている。
同大統領は就任以来、事あるごとにスペインに対し、過去に行われた新大陸における征服行為についての責任を認め、政治的な謝罪や賠償を求める発言を行なっており、両国における友好関係が休止状態に陥っている。
そう言った中、新大統領の就任を前にして、現大統領は、「聡明で歴史にも詳しい新大統領就任により時代が変わり、新たな機会が生まれるだろう」と発言していたが、新大統領就任式への招待者リストからスペイン国王が外されたことにより、両国間の関係は更に悪化することが懸念される。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*マドリッドの地下鉄、貨物輸送に利用
*8月のホテル宿泊日数過去最高記録
*西ナイル熱による死亡者、更に1名増加
*在住外国人の24%が過去2年間に到着
*週末だけでカナリアスに800人の違法移民上陸
*スペイン各地で高齢者と妊婦のワクチン接種開始

余談
*スペイン人と「柿の種」、他


2024年9月20日(金)

スペイン政府、初めて売春婦の数を発表

スペイン政府は、初めてスペイン国内に存在する売春婦の人数を公表した。
これによると、現在、スペイン国内で売春婦として働いている人の人数は114,576名で、スペインに住む成人女性の0.56%を占める。
これは、ウェブページに掲載されている650万件以上の売春やデートの広告を元にAIとBig Dataによって割り出した数字であり、参考値に過ぎないが、欧州安全保障協力機構調べによると、人身売買と売春の75%はウェブページを通じて広告掲載が行なわれているとのこと。
これら売春の状況にある10万人以上の女性を、広告に掲載されている対応可能時間や性格特性、サービス内容、写真など、幾つかの基準から判断すると、その約80%にあたる92,496名が人身売買の被害者である可能性があると見られ、更に9,000人については、その可能性が極めて高いと想定される。
年齢層としては18歳〜24歳の女性が全体の28%、24歳〜36歳が32%、37歳〜45歳が7%、46歳以上が1.6%となっているが、広告に年齢を明記していないものが31%存在するため、正確性に欠く模様。
また、全体の51%が中南米諸国出身で、16%がヨーロッパ出身との結果が出ているが、これに関しても、29%の広告で出身地が記載されていない。
彼女達の地方別分布を見ると、人口比にして最も多いのがバレアレス州で18歳以上の女性人口1万人あたり121名の売春婦が働いている。
これに続いて多いのがカタルーニャ州で、同じく18歳以上の女性1万人あたり103名が、バレンシアでは73名が、そしてカンタブリアでも同じく73名が働いており、全国平均では56名となっている。
また、絶対数で見ると圧倒的に多いのがカタルーニャ州で、売春婦の数は34,000人に達しており、これにマドリッドの20,549人、バレンシアの16,000人、アンダルシアの9,026人が続く。
今回の調査で、大規模で広告を行なっている組織の存在も明らかになっており、同じ電話番号で363人の女性の広告を出している例も確認されたとのこと。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*ベネズエラでスペイン人2名が逮捕
*マドリッド州:新型コロナとインフルエンザのワクチン接種を10月7日から開始
*夏のバルセロナのホテル、宿泊費過去最高。客室稼働率は4%減
*フェリペ6世国王、初めてパレスティナ大使を受け入れ
*ラス・ランブラス通りのペットショップ、姿を消す
*ヨーロッパ初のAI情報センターはラ・マンチャに

余談
*たかさんあきさんがスペインにはまった訳は?、他


2024年9月13日(金)

サンチェス政権に分裂:ベネズエラのEdmundo Gonzalez氏を正式な大統領として承認

ベネズエラで去る7月28日に行われた大統領選で、Maduro前大統領が投票結果の詳細を公表することなく一方的な勝利宣言を行ない、大統領続投を発表したことに対し、国際社会からその不当性を指摘する声が高まっている。
投票結果の不透明さから、Maduro氏の対抗馬として選挙に挑んだEdmundo Gonzalez氏の勝利を疑わないベネズエラ国民は多く、またこれを支持する国も多い中、Maduro前大統領の独裁が続くベネズエラで身の危険を感じたGonzalez氏はスペインへの政治亡命を求め、スペインはこれを受諾した。
そしてその僅か3日後の去る9月11日、国会で「スペイン政府としてEdmundo Gonzalez氏をベネズエラの国民によって民主的に選ばれた大統領であると認めるか否か」、について決議が行われ、PP、Vox、UPN、CC、PNVなどの賛成票、そしてJuntsの欠席、更にPSOEから追放されたJose Luis Abalos氏の棄権票などにより、Edmundo Gonzalez氏のベネズエラ大統領としての承認が可決された。
これまで、サンチェス政権が何かを可決しようとする時には常にそれに協力してきたJuntsやPNVからの協力が得られず、サンチェス政権のもろさが浮き彫りとなった。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*マドリッド市、レンタルキックボードを禁止
*献血時の質問にグアダルキビール盆地滞在歴の有無を追加
*マドリッドの市営プール利用者数、過去最高記録

余談
*この歳でも女一人旅!、他


2024年9月6日(金)は、担当者が同行案内で不在の為、動画配信も含め、ニュースはお休みとさせていただきます。


2024年8月30日(金)

9月1日より空港の手荷物検査に変化

欧州の主要空港では、機内持ち込み手荷物検査に最新のG3スキャナが使われており、これにより、液体状の物についても特別な制限無しに持ち込むことが可能となっていた。
しかし、9月1日より従来のスキャナに戻されることとなり、以前と同様、液体状の物は100ml以下の容器に入れた物しか持ち込めなくなる。
スペインでも、マドリッドのバラハス空港やバルセロナのエル・プラッツ空港などでこの影響を受けることとなり、手荷物検査に要する時間が増加するため、これまでよりも空港が混雑することが予想される。
従来のスキャナ利用に戻る主な理由として、経費が高額に達することが挙げられる。
スキャナそのものの価格が従来のものの8倍近くとなっており、また、維持費も従来の4倍とのことで、欧州は世界で最初にこれを導入したものの、経済面での圧迫が無視できないものとなっている模様。

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ニュース
*アビラの聖テレサの墓が110年ぶりに開かれる
*PP支持率大きく前進
*クルージング客増加:7月までで650万人
*マドリッド:来年には市バスの25%が電動に
*イベリア航空:今年使用する燃料の5%はSAF
*イジャ:カタルーニャ警察の総司令官にTraperoを任命
*西ナイル熱でまた一人死亡。オロプーシェ熱の感染拡大も懸念される
*マドリッドでのMPox感染者数162名

余談
*スペイン社会休暇ボケ、他


2024年8月23日(金)

*カナリアス:違法入国者の増加に処置無し

カナリアス諸島に押し寄せる違法移民の波は強まる一方で、すでに島々の収容能力を大きく超えている。
カナリアス州行政は、以前より中央政府に対応を求めているが、サンチェス政権は事実上、何ら対策を打ち出せずにいる。
この夏の初めに、政府は国会で外人法改正案を可決しようとしたが、PPやVOX、更にはJuntsの反対票により否決され、その後、何ら新しい提案を行なっていない。
否決された改正案では、「カナリアスやセウタなど、特定の地域に違法入国者が集中した場合、その中に含まれる未成年者は自動的に他州へ分配され、一部の州に負担が偏らないようにする」と言った内容が盛り込まれていたが、違法入国者の到来を防ぐ対策や、分配先の各州への具体的な経済支援、そして違法移民が増えた場合に想定される治安悪化などの社会不安への対策などについては、何ら触れられていなかった。
そのため、「各州へ分担させる前に必要な準備がなされていない」としてPPやVOXは反対票を投じ、Juntsは「カタルーニャを分配先から除外するのであれば賛成する」と言う条件を持ち出した。

カナリアス州は島であるにも関わらず、現時点で約7千人の未成年者を保護している状態にあり、今後、9月も引き続き夏と同じ速度で違法移民の到着が続くと、彼等の人道的な保護を行なうのは事実上、不可能となる。
こう言った状況が続く中であるにも関わらず夏の休暇を楽しんでいたサンチェス首相に対し、PPが強く批判。
休暇を終えた首相はようやく本日、金曜日、カナリアス州を訪れ、この件について州知事との会談が行なわれる模様。

カナリアスと同様に自治都市セウタでも同問題に悩まされており、今年になって今までにセウタに到着した違法移民は、未成年者だけで6百名にのぼっており、人口僅か8万5千人程度の自治都市セウタにとって、中央政府からの援助なしでこれだけの子供達を保護し続けるのは困難であり、更に今後も増え続けるとなれば、事実上、対応は不可能となっている。

無制限に押し寄せる移民の波に対し、PPは軍による監視や、EUの欧州国境沿岸警備機関Frontexによる警備への参与申請を提案している。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*サンティアゴ巡礼者の非常識な行動に、picheleiros迷惑千万
*7月に空路でスペインを訪れた外人観光客数、1100万人以上に
*EU:MPox(猿痘)に対する国境での感染防止対策強化をしない決定
*スペイン人が1年間に食べるアイスクリームの量は?
*Coria del Rio市、西ナイル熱対策としてコウモリの巣を設置
*世界最高齢のスペイン人女性が亡くなる

余談
*活け物の貝の真空パック?!、他


2024年8月16日(金)

*2023年のスペイン国籍取得者数、10年振りの記録更新

2023年に、外国人としてスペインに住んでいた人々でスペイン人国籍に変わった人の人数は243,481名となり、2013年以来の高記録となった。
スペイン国籍を取得出来た人数の急激な増加の理由は、その処理方法の近代化にあるとのこと。
以前は提出される全ての書類に目を通し判断を下す業務を人力で行っていたが、2023年よりそのほとんどが自動化された。
これにより申請者の在住歴、言語と一般常識試験の結果、犯罪歴、警察機構による否定的な情報の有無などについての審査が全て自動化された。
その結果、処理能力が大幅に向上し、それまでは申請後、結果を受け取るまで2〜3年かかっていたのに対し、2023年にはその期間が数か月にまで短縮された。
新しくスペイン国籍を取得した人々の中で最も目立ったのは35歳〜49歳の女性で、出身国別に見た場合に最も多かったのはモロッコ人の45,799名、ベネズエラ人の36,409名、コロンビア人の20,380名だった。
また、全体として中南米人が多かった中、その他にはアンドーラ、フィリピン、赤道ギネア共和国、ポルトガル、そしてスペイン系ユダヤ人も多く見られた。
スペイン国籍を取得するために要求される在住歴は2年となっている。

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ニュース
*RENFE:遅延激増により定時到着率が76%まで低下
*年金制度:受給者一人につき2.32人の納入者
*年金・健康保険制度:外国人加入者数にもブレーキ
*地方別、暑さによる死亡者数
*若者層、就労者の70%が親と同居
*マドリッド州行政:空港でのMpox(サル痘ウイルス感染による急性発疹性疾患)対策強化を中央政府に要請

余談
*スペインの夏は祭り!祭り!祭り!、他


2024年8月9日(金)

*プーチデモン元カタルーニャ州知事、バルセロナで演説後に雲隠れ

カタルーニャ州議会でPSCのイジャ代表による州知事就任に向けての承認決議が行われる予定となっていた昨日、7年近くに渡ってスペインの法廷から逃れ国外逃亡生活を続けていたプーチデモン元カタルーニャ―州知事が国境を越え、スペインに戻り、そしてその承認決議に参加するとのうわさが数日前から流れていた。
これは、「PSCとERCとの間で交わされた協定により、このまま承認決議が行われるとイジャの州知事承認は確実となる為、Juntsはこれを妨害すべく、その最後の手段として、プーチデモン元州知事が逮捕されるのを覚悟のうえでバルセロナに姿を現すに違いない。」と数日前より多くの報道機関が報じていた為である。
そして同氏が所属する政党Juntsは、同氏の逮捕が行われた時点で州議会の承認決議を中止するよう要求しており、これに対し州議会執行部は、そのような事態となった場合は決議を中止する意向を明らかにしていた。
これらの報道により、スペイン社会には、「プーチデモンが姿を現し、指名手配犯として逮捕され、カタルーニャ州議会におけるイジャの次期州知事承認決議は中止となり、更にはプーチデモンの身柄がマドリッドへ送られて最高裁へ出頭。」と言う流れになるとの認識が広まっていた。

そう言った中、昨日の朝9時頃、プーチデモン元州知事は彼が演説を行うために準備されたLluis Companys通りのステージに姿を現し、演説を開始。
カタルーニャ警察によると、彼が演説を行なうのを認める代わりに、それが終了後、おとなしく身柄を引き渡すとの約束が彼と警察との間で行われたとのこと。
元州知事は演説の中で、スペインの法制度についての批判を行ない、支持者等へのメッセージを送ったあと、姿を消した。
カタルーニャ警察によれば、彼は約束を守らずに逃亡したとのこと。
警察は、プーチデモンのバルセロナからの逃亡を避ける為、すぐにバルセロナ取り囲み体制を布き、バルセロナから出て行こうとする全ての車の監視体制に入ったが、大規模な渋滞を招くだけで、元州知事の姿を見つけることは無かった。
その後、警察は13時30分にバルセロナ取り囲み体制を解除するに至った。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*カタルーニャ州議会、イジャ代表の州知事就任を可決
*カタルーニャ:今年すでに暑さと寒さで219名が死亡
*相次ぐ国鉄トラブルでバカンス客は大混乱
*住居不動産高騰:バレアレス、マドリッドで1平米辺り4000ユーロ超え
*この夏、最も混雑する観光地10か所は?

余談
*スペインで良く耳にするコトワザ5選!、他


2024年8月2日(金)

*マドリッドの最高気温67℃?!

スペイン各地で暑い日々が続く中、国際環境NGO「グリーンピース」は、人々が地球の環境異常について更に関心を持つようになる事を目的に、マドリッド市内中心部で部分的に最高気温を測定し、これを公開した。
市内中心部で、地元民や観光客で賑わう一画を熱画像カメラで撮影すると、気象局が発表する最高気温とは全く異なる現実が浮かび上がってくる。
グリーンピースが去る7月31日(水曜日)に撮影した熱画像カメラの映像によると、マドリッドのマジョール広場での最高気温が63.5℃、プエルタ・デル・ソル広場で54.8℃、カジャオ広場で65℃に達していた。
また、プラド美術館の入り口付近では45℃程度、サンタ・アナ広場では67℃、そして、同広場の地面の温度は85℃に至っており、身長の低い子供達にとって非常に危険な状態となっている。
グリーンピースによると、木々が植えられている場所の気温は、それが無い所に比べて15℃〜20℃まで低くなっている事から、開発のために木々を伐採するのを避け、街路樹を増やす事が気温の上昇を防ぐのに大きな効果があるとしている。
尚、マドリッドでは、2022年と2023年の2年間で、暑さが原因とされる死亡者数が8000人に 登っているとのこと。

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ニュース
*Alvia特急脱線事故:運転士と鉄道設備管理局に有罪判決
*ERC、PSCとの合意書の内容を公開
*会計・経理監査局が新恩赦法に疑問。EU法廷へ
*税務調査官協会、カタルーニャの中央税務制度からの切り離しに警告
*クリミアコンゴ出血熱で男性死亡

余談
*Yukariさんの闘牛インタビュー報告、他


2024年7月26日(金)

*政府、カタルーニャ州政権交渉で15億ユーロを約束

去る5月にカタルーニャ選挙が行われたあと、今もその政権を巡る各政党間での交渉が行われている。
その期限が迫りつつある今、ERCはPSCの党首イジャの州知事承認決議に協力する条件として、「カタルーニャを税務上、中央行政から切り離すこと絶対条件とし、これを承諾しない場合は再選挙へ向かう事になる。」との最後通告を行った。
そう言った状況下で、何としても政権をとりたいPSOEは、様々なカタルーニャ優遇策をもって交渉を続けているが、その中の一環として、カタルーニャにおける鉄道設備、奨学制度、研究費などのための経済支援として、今後3年間に渡って15億2千万ユーロの援助を行うことを約束した。
この金額のうち、10億5,800万ユーロは、2016年からこれまでにカタルーニャの近郊線列車網Rodaliesが抱えている借金の返済を行い、債務ゼロから再始動するために充てられる。
また中央政府は去る月曜日に、カタルーニャのLleida - Cervera間、 Lleida - Manresa間の鉄道運営にかかる経費やその他の路線、LR3番線、R4番線などの改善に必要な費用として、年間520万ユーロの費用を2024年、2025年を通じて負担することを発表した。
更には、これらの改善工事が終わったあと、その運営はRENFEの手を離れ、FGCカタルーニャ鉄道へ移される事となる模様。
ERCは、サンチェス政権によるこれらの提案を善しとする一方で、カタルーニャ州知事にPCSのイジャ代表を推すには、全く不十分であるとしている。

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ニュース
*Junts、予算案可決を妨害
*最高裁、新恩赦法の適用は平等性と安定性を侵害するとして憲法裁判所へ進言
*土曜日だけで200人以上の違法入国者を保護
*アンダルシア、ウエストナイル熱拡大に警鐘
*この夏、持ち歩ける現金の上限は?
*ベルナベウ・スタジアムでのコンサートは23時まで

余談
*スペインの蚊取り線香、他


2024年7月19日(金)

*Bildu、サッカーのバスク代表チーム、カタルーニャ代表チーム、ガリシア代表チームの設立を要求

スペイン代表チームがサッカーユーロカップで4度目の優勝を遂げたその72時間後、バスクの過激独立派政党Bilduは、カタルーニャ、ガリシア独立派政党と共に、バスク、カタルーニャ、ガリシア、それぞれの代表チームの設立と認知を要求する声明を発表した。
Bilduのメルチェ・アイスプルア国会議員は、この要求を示すにあたってイギリスを例に挙げた。
イギリスではイギリス代表チームとしてまとめられておらず、イングランド代表、ウェールズ代表、スコットランド代表、北アイルランド代表と、4つの独立した代表チームが存在している。
その結果としてイギリスは、64年の歴史を持つユーロカップで優勝歴を持たず、その一方でスペインは今回の優勝で4回目と、最多優勝記録を持っている。
今回の優勝を成し遂げたスペイン代表チームの選手の出身地を見ると、26人の選手のうち3名がナバーラ(アレックス・レミロ、ミケル・メリノ、ウィリアムス)、2名がギプスコア(オジャルサバル、スビメンディ)、2名がアラバ(ウナイ・シモン、ビビアン)と、ナバーラをバスクに含めるとすれば、計7名がバスク出身となる。
また、カタルーニャ出身の選手はラミネ・ジャマル、マルク・ククレジャ、ダニ・オルモがバルセロナ県生まれ、ダビ・ラジャがバルセロナ市生まれと、計4名含まれていた。
その他の選手は、アルバロ・モラタ、ダニ・カルバハル、ナチョ・フェルナンデス、ロドリ・エルナンデスがマドリッド出身、ヘスス・ナバス、ファビアン・ルイスがセビージャ、アレックス・バエナがアルメリア、フェルミン・ロペスがウエルバで、アンダルシア州としてまとめると4名となり、アレハンドロ・グリマルドとフェラン・トレスがバレンシア、ペドリとアジョセがテネリフェ、そしてラポルテとル・ノルマンの2名がフランス生まれ、ホセルがドイツ生まれとなっている。

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ニュース
*違法入国者数、急増
*バルセロナ、ランブラス通りの地下に中世の城壁を発見
*この夏最初の熱波到来
*サメが出るスペインの海水浴場
*バルセロナ、観光税を更に値上げ

余談
*ジブラルタルはスペインだ!?、他


2024年7月12日(金)

*バルセロナ:カタルーニャ広場にユーロカップ決勝戦用大画面を設置

サッカー・ユーロカップ2024の決勝戦、スペイン対イギリス戦が、明後日、7月14日の日曜日に行われるが、これを観戦するための大画面が、バルセロナ市のカタルーニャ広場に設置される模様。
これについては、昨日、バルセロナ市行政のDavid Escudeスポーツ局長がSNSを通じて公表した。
また、バルセロナ市行政はこの大画面設置について、「バルセロナが国際レベルでスポーツ界の主要都市として認められ、重要なスポーツ大会での注目を得るための戦略である」として、多くの市民の参加を呼び掛けている。
Jaume Collboniバルセロナ市長は、バルセロナは「スポーツイベントを全ての国民に開かれたお祭りにする」取り組みを強化するとし、更に、この大画面の設置によってファンが試合を楽しんでくれることを、そして何よりも、スペイン代表チームの優勝を祝えることを願っている、と述べた。
バルセロナでは、去る5月18日にもカタルーニャ広場に大画面を設置し、女子チャンピオンズリーグの決勝戦の観戦を行ない、その優勝を祝っている。
また、昨年8月23日にもVall d'Hebronにある市営体育館に大画面を設置し、シドニーで行われていた女子サッカー・ワールドカップの決勝戦の観戦を行ない、そしてその優勝を祝っている。

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ニュース
*スペイン人、10人に一人がバカンスへ行く為に借金
*間借り料の高騰続く
*家庭の食料経費は過去最大、食料消費量は過去最低に
*ロシア疑惑担当判事、プーチデモン元カタルーニャ州知事への恩赦法適用を拒絶
*マドリッド地下鉄6番線、無人運転に向けての準備開始
*35歳以下の住宅ローン契約、全体の20%未満にまで下落
*5つの州でVoxがPPとの連立から離脱

余談
*牛追い祭りと闘牛、他


2024年7月5日(金)

*最高裁、プーチデモン氏の指名手配令を維持

去る月曜日、スペインの最高裁は、カタルーニャ独立プロセスに見られた公金横領罪について、新恩赦法の適用外であるとの見方を明らかにした。
これにより、プーチデモン元カタルーニャ州知事やトニー・コミン、ジョルディ・トゥルールなどの元カタルーニャ州行政役員等に出されている指名手配令が解除されることはなく、また、オリオル・ジュンケラス、ラウル・ロメバ、ジョルディ・トゥルール、ドロールス・バサなどに出されている公民権停止令も引き続き有効となる。
同決定は、新恩赦法が適用されることを前提に今後の予定組みをしているカタルーニャ独立派政党にとって、大きな障害となる。
国外逃亡生活を続けるJunts代表のプーチデモン元州知事は、再度、州知事としてその承認決議に挑むためにスペイン国内に足を踏み入れると、その時点で逮捕されることとなり、ERCの元代表、オリオル・ジュンケラスも、引き続き選挙には出られないこととなる。
最高裁の決定に対し、ERCやJuntsは憲法裁判所への上訴を行う構えとのこと。
またサンチェス政権内では、この決定がカタルーニャ独立派政党とPSOEとの関係に及ぼす悪影響についての懸念が広がっていると同時に、独立派政党に対し、司法機関の決定と、カタルーニャの州知事選任や中央行政の予算案、しいてはサンチェス政権との協力体制維持とを混同することなく、賢明な対応をするよう訴えかけている。
そしてPSOEは今回の最高裁の決定に対し、不満を露わにしている。

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ニュース
*マドリッド市:今月より「ラベルA」の一般車両の進入を禁止
*スペイン:風力・太陽光発電でトップグループ入り
*5月の外国人観光客930万人
*マドリッド LGTBIQA+プライド・フェスティバル2024により、ソル駅他が閉鎖
*バルセロナ:家賃未払いの2姉妹自殺に200人がデモ
*マドリッド州:不利となる法的措置無しで新生児の親権辞任を許可
*新型コロナ感染拡大:10週間連続で急増中

余談
*スペインのチップの習慣、他


2024年6月28日(金)

*司法最高評議会構成員、ついに更新か

スペインの司法最高評議会の構成員は、その就任期間が終わり更新時期となったにも関わらず、政治的な闘争の中で新構成員が決まらず、期限切れの状態が5年以上続いていた。
しかし、今週水曜日にEUのヴェラ・ヨウロヴァ副委員長同席の元にブリュッセルで行われた会議で、スペインの2大政党であるPPとPSOEとの間での合意が得られたことにより、ようやくその異常な状態に終止符が打たれることとなった。
同会議は、PPからは副書記のエステバン・ゴンサレス・ポンス氏が、そしてPSOEからは内閣府特命担当大臣や法務大臣を兼任するフェリクス・ボラーニョス氏が出席して行われた。

新たな構成員の決定は、まずは上院と下院がそれぞれ10名ずつ構成員を承認し、その後にこれら計20名の構成員によって最高裁の裁判長が選ばれるという流れになっている。
そして最高裁裁判長の選出には、司法最高評議会構成員の5分の3以上の賛成票を必要とし、更に下院での承認も必要となる。

また、司法と政治との分離をより確実なものとするため、政界から司法界への移転に2年間の空白期間を義務付け、更に「大臣や書記長などの経験を持つ者は、司法最高評議会の構成員や国家司法長官の任に就く為には5年間の空白期間を義務付ける」などの改正が行われる模様。
これにより、近年、実際に行われた、PSOE政権下で法務大臣を務めたドローレス・デルガード女史が、サンチェス政権により国家司法長官に任命されると言ったような事態の再発を防ぐことが可能となる。

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ニュース
*今後のスペインの世帯構成
*ベルナベウ・スタジアム、イベント回数を年間20回以内に制限
*カタルーニャの水不足、徐々に改善
*この苗字を持つ人の祖先はロマ
*電動キックボード:利用は16歳以上でヘルメット着用を義務化
*PSOE、闘牛賞再開案に反対票
*マドリッド LGTBIQA+プライド・フェスティバル2024 開始
*グエル公園の入場券、オン・ライン販売に一本化

余談
*闘牛:ド迫力の砂被り席観戦、他


2024年6月21日(金)

*フェリペ6世の即位10周年

2014年6月2日、当時のマリアーノ・ラホイ首相は、スペイン国民に向けて重大発表を行った。
それはスペインの歴史上、初めて行われる国王の退位を知らせるもので、次期国王の任は長男のフェリペに委ねられることとなった。
この発表があった後、同年6月18日の18時13分、1975年11月22日の即位より続いたカルロス1世による39年間の統治時代がその終わりの時を迎え、続いて翌19日に、現国王、フェリペ6世の即位式が行われた。
それから10年が経った去る6月19日、フェリペ6世即位10周年の日を迎え、今月18日、19日、20日に渡り、これを記念する多数の行事が行われた。
その一方で、去る日曜日、スペインの王制に反対する人々による大規模デモがマドリッドの中心部で行われ、政府発表によると約4000人が、またデモ開催団体によると約3万人が参加したとのこと。

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ニュース
*今、選挙があれば、PPの圧勝か
*闘牛士パコ・ウレニャ、重症
*スペイン人マジシャン、売り上げでギネス記録更新
*スペインの国歌に歌詞が無いのは何故?
*ERC、政府にカタルーニャの税制度独立を要求
*プーチデモン氏他、数名への特別恩赦の適用を巡り司法界2分
*カタルーニャ州知事、現時点では誰も立候補せず
*サンティアゴ・ベルナベウ サッカー場周辺の不動産物件価格急騰
*オリーブオイルの税率ゼロに

余談
*チャンネル開設2周年!、ザビエルの酒、他


2024年6月14日(金)

*カタルーニャ州議会:執行委員会を独立派で固める

去る5月12日にカタルーニャ州選挙が行われたあと、現在、その新政権樹立に向けて各政党間での交渉が続いている。
この政権樹立に大きな影響を与えるのが州議会議長を含む執行委員会の構成だが、先日の投票で再び、独立派政党が協力して州議会における地盤を固めた。
5月12日の選挙で最多議席数を獲得したPSCからもシルビア・パネケ女史が議長に立候補したが、42の賛成票しか得られず、独立派政党JUNTS、ERC、CUPの協力により賛成59票を獲得したJUNTSのジョセップ・ルル氏の当選となった。
ジョセップ・ルル氏は、違憲独立運動を進めたことにより懲役10年半の判決を受け、3年間の実刑を受けたあと、恩赦の適用を受け、2021年に釈放されている。
5月12日のカタルーニャ州選挙では、JUNTSの代表として立候補するとの声も聴かれていたが、最終的に、国外逃亡中のプーチデモン氏が代表として立候補した。

ジョセップ・ルル氏の議長当選により、州議会執行委員会のその他の構成メンバーは第一副議長にラケル・サンス女史 (ERC)、秘書としてジュリ・フェルナンデス氏 (ERC)とグロリア・フレイシャ女史 (JUNTS)と、7人中の4名が独立派政党からの選出となり、第2副議長にダビ・ペレス氏(PSC)、そして、残り二人の秘書として同じくPSC所属のジュディ・アルカラ女史、ロサ・マリア・イバラ女史が任に就くこととなった。
今後、この執行委員会が中心となって、カタルーニャの新州知事の選出が行われるが、執行委員会の過半数を独立派政党が占めることから、独立派州知事の選出に有利な運びとなることは必至と言える。

新州知事候補としては、先の選挙で最多議席数を獲得したPSCのイジャ代表が最大の候補と見られるが、独立派政党JUNTSの代表であり、違憲独立運動を進めたことにより指名手配を受けているプーチデモン氏も名乗りをあげている。
また、プーチデモン氏は、同氏の州知事就任にPSCが協力しない場合、中央行政におけるサンチェス政権維持への協力は行わないとして最後通告を行なっている。
PSCのイジャ代表、またはJUNTSのプーチデモン代表のいずれかの第1回承認決議が行われるのは遅くとも今月の25日となり、それで承認されなかった場合は、続いて第2回目の決議が27日に行われることとなる。

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ニュース
*欧州議会選挙:PPが勝利
*政府機関CISの選挙予測、今回も最悪
*新恩赦法、施行へ
*カタルーニャ違憲独立プロセス担当検事等、プーチデモン氏への恩赦適用を否定
*人気宅配サービスの上位5種は?
*RENFE:遅延の際の返金条件を変更
*2023年のビール消費量、3.5%減
*新型コロナによる入院者数、2021年の6月を上回る

余談
*スペインを愛した杉本さんに献杯、グラナダの秘宝、他


2024年5月31日(金)

*サグラダ・ファミリア教会、3年以内に建設敷地を確保か

ガウディによるデザインでは、サグラダ・ファミリアの栄光の門の前に幅広い階段を伴った広場が作られることとなっているが、バルセロナ市は長年、この敷地確保の問題を解決できずにいる。
先週も同問題の影響を受ける地域住民とバルセロナ市、そしてサグラダ・ファミリア教会建設委員会等による共同会議が行われたが、その解決に向けての新しい動きは見られなかった。
ガウディによる設計どおりの物を作ろうとすると、栄光の門の前にある沢山の住居を撤去する必要があり、それがどれだけの数になるのか、正確な数字は出されていないが、1976年に提出された数字では、 1020世帯が影響を受けることとなっている。
バルセロナ市行政は、長年放置されてきたこの問題について、その解決は簡単なことでは無いが、このまま放置し続けるのではなく、長くても3年以内には、全ての住民が満足の行く解決に至りたいとしている。

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ニュース
*スペインの失業率、EU内最悪
*マドリッド・リオ公園、ライトアップ
*セビージャ観光ブーム、今年も継続
*恩赦法、可決
*スペイン、パレスティナを国家として承認
*サンチェス首相、ゼレンスキーに10憶ユーロの支援を約束
*セビージャ、第2回カラコリア開催
*不動産価格、バブル期に迫る
*サン・イシドロ闘牛祭による経済効果、8000万ユーロ
*マドリッド地下鉄、優先席を蛍光色に

余談
*セビージャのお勧め夜景レストラン、他


2024年5月24日(金)

*スペイン人が飲むのは水道水? ミネラルウォーター?

スペインの水道水の水質については、あらゆる検査が行われていることから、全国どこでもそのまま飲用水として使用して問題は無いが、地方によっては、特に石灰塩やマグネシウム塩が多く含まれていたり、海水を利用しているなどの理由から、その味が気になると言う例も少なくは無い。
そう言った理由から、日常生活で水道水ではなく市販のミネラルウォーターを購入して飲んでいる人も多く、消費者協会OCUが行った調査によると、スペイン人の10人中4人が日常的に市販のミネラルウォーターを消費しているとのこと。

このアンケート調査は、全国各地の25歳から80歳までの1100名を対象に行われた。
特にミネラルウォーターの利用者が多かったのがバレンシア州の住民で、その70%が日常的にミネラルウォーターを消費していると答えた。
これに続いて多かったのがカタルーニャ州の66%で、これにガリシア州の49%、カスティージャ・ラ・マンチャ州の44%、カスティージャ・イ・レオン州の39%が続いた。
逆にミネラルウォーターの消費が最も少なかったのはマドリッド州で、その割合は僅か7%だった。
そしてマドリッドに次いで少なかったのは、バスク州の10%だった。

主なスーパーで販売されているミネラルウォーターを比較すると、その値段には大きな開きがあり、最も安いものが1リットル当たり0.13ユーロで販売されているFontecabras (manantial La Majuela, Zaragoza)であるのに対し、最も高いものとしては、1リットル当たり6.67ユーロで販売されているCazorla Flor (manantial Sierra de Cazorla, Jaen)が挙げられるとのこと。
ただし、この最高値の商品はガラス瓶を使用しており、同じ水でもプラスティック容器入りのものは1リットルあたり0.78ユーロで販売されている。
安い商品は全て、基本的にプラスティック容器が使用されている。
消費者協会OCUの計算では、4人家族で毎日一人当たり2リットルのミネラルウォーターを1リットル当たり0.17ユーロ(5リットル入りお徳用商品の値段)の価格で消費した場合、1年で496ユーロの出費となるのに対し、水道水を消費した場合は5.25ユーロで済むため、ミネラルウォーターを消費するのは水道水消費に比べ100倍の出費になるとして、同協会は水道水の消費を勧めている。

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ニュース
*AVEのガリシア線とアストゥリアス線、運行開始
*AVEのガリシア線、運行開始から遅延
*ナバーラでフランス人巡礼者の遺体発見
*ERC、サンチェスがIllaを犠牲にするならプーチデモンに協力
*新型コロナ感染広がる
*エクストラ・バージン・オリーブ・オイルの安売り始まる
*国家警察、電話による新しい詐欺形態について警告
*バレンシア市の人口、過去最高記録に
*世界のワイン消費量、過去30年間で最低に

余談
*コルドバとセビージャのお勧めレストラン、他


2024年5月17日(金)

*カタルーニャ州選挙、結果とその後

去る5月12日にカタルーニャ州選挙が行われたが、2021年度の選挙から今回の選挙における各政党による議席獲得数の推移は次のとおり。
PSC:33から42議席へ大きく増加。
ERC:33から20議席へ大きく後退。
Junts:32から35議席へやや前進。
VOX:11から11議席で現状維持。
PP:3から15議席へ大きく増加。
Cup(左翼過激独立派政党):9から4議席へと大きく後退。
Comu:8からSumarと組んで6議席へ後退。
Ciudadanos:6から0議席へと、カタルーニャ行政から姿を消すこととなった。
Alianza Catalana(2020年発足の極右翼独立主義政党):2議席獲得で、行政に参加。

カタルーニャ州議会は総議席数が135議席で、過半数はは68議席となる。
議席数の県別割り当て数はバルセロナ県が85議席、タラゴナ県が18議席、ジロナ県が17議席、ジェイダ県が15議席となっている。
今回の選挙でのスペイン国憲法を尊重する政党と、独立派政党とのバランスを見ると、PSCの42議席、VOXの11議席、PPの15議席、Comu−Sumarの6議席の総数が74議席、そしてERCの20議席、Juntsの35議席、Cupの4議席、Alianza Catalanaの2議席の総数が61議席となり、74対61でスペイン国憲法を尊重する政党が独立派政党を大きく上回る結果となった。

最多議席数を獲得したのは予想どおりPSCであったが、過半数68議席には全く届かない42議席では単独での政権樹立は不可能で、与党となるためには、複数の政党との連立、または複数の政党の棄権票による協力が必要となる。
今後、どう言った方針で、どの政党がどのような交渉を行うのか、目が離せない状況となっている。

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ニュース
*プーチデモン氏:州知事立候補を発表
*PSC「プーチデモンの州知事就任後押しは無し」
*スペイン各地でオーロラ
*ポルトガルースペイン高速列車:2034年に開通予定
*イベリア・エクスプレス:ヨーロッパで最も時間厳守の航空会社
*眼鏡・コンタクトレンズも社会保険適用へ

余談
*コルドバのお勧めレストラン、他


2024年5月10日(金)

*闘牛賞廃止決定に対し、非難殺到

先週末、エルネスト・ウルタスン文化大臣は、闘牛文化の発展において大きく寄与したと評価される人、または機関などに対して毎年授与されてきた闘牛賞の廃止を発表した。
これに対し、野党だけでなく与党PSOEからも非難の声が挙がっている。

先頭を切って抗議に出た一人は、PSOE所属のカスティージャ・ラ・マンチャ州知事を務めるエミリアーノ・ガルシア・パヘ氏で、「国が闘牛賞を廃止するのであれば、カスティージャ・ラ・マンチャ州ではこれに代わるものを設け、他の州行政からの協力を仰ぐことにより、全国規模的な賞、そして国際的に意義のある賞となる事を目指す。」とSNSを通じて発信した。

続いて同州の第1副知事であるホセ・ルイス・マルティネス・ギハーロ氏は、すでに闘牛財団と連絡をとり、闘牛賞設立の基盤づくりにかかっているとし、これをラ・マンチャ州独自の企画として進めるつもりはなく、全国的なものにしたいと語った。

また、PP所属のアラゴン州知事であるホルヘ・アスコン氏も、サラゴサ、ウエスカ、テルエルにおいてシーズン最高の闘牛を行った闘牛士に対し、アラゴンの歴史的な名闘牛士ニカノル・ビジャルタの名を冠したニカノル・ビジャルタ賞の授与を開始する計画をSNSを通じて発表した。
同計画については、すでにその審査の一部を担う事になるであろうアラゴン闘牛報道協会とも合意済みとのこと。

そしてマドリッド州行政からも厳しい批判の声が挙がっている。
政府による闘牛賞廃止は最悪の決定で、我が国の伝統と、我が国そのものに背を向けるものであり、スペインらしさの消滅をもたらすものであると酷評。
スペインらしさを消し去ろうとするこの政策に対し、マドリッド州行政としては、全国規模の闘牛賞の設立を全国の州行政に呼び掛けるとした。

エクストレマドゥーラ州行政(PPとVOX)からも、政府が闘牛賞を廃止するならば、エクストレマドゥーラ州行政は独自の闘牛賞を設立するとし、バレンシア州行政(PPとVOX)からも、エクストレマドゥーラ州行政の闘牛賞擁護に対し、全面的な協力をするとのメッセージが送られた。

バレンシア州のカルロス・マソン州知事(PP)は、政府の決定について、「悪い冗談」と評し、政府の取る道がスペインの文化と伝統に反するものであるなら、それは間違った道であると評した。

また、アンダルシア社会労働党総書記長を務めるフアン・エスパダス氏からも、所属する自党によるこの決定に対し、「同意は出来ない。闘牛はスペインの文化、伝統と習慣の一部である」と反対の意を表明している。

同様にエクストレマドゥーラ在任の中央政府代表であるホセ・ルイス・キンターナ氏もこの決定には同意しておらず、次のようにコメントしている。 「私自身、闘牛ファンであり、公人としての責任の元に闘牛文化擁護の姿勢を明らかにする。政府の決定には反対であり、スペインの文化遺産である闘牛を守ろうとしている人々へ敬意を表すべきである。」

更にマドリッド州、フエン・ラブラダ市のハビエル・アヤラ市長もPSOE所属だが、政府決定に反対の意思を示しており、フエン・ラブラダ市では闘牛文化を守り続けて行くと発言。

また、サラマンカPSOEの弁護士であるフェルナンド・パブロス・ロモ氏は、「政府の決定は大きな間違いであるとし、我々社会労働党員の中の多くが闘牛ファンであり、これを恥じている者はいない。」としている。

こう言った非難が殺到する中、サンチェス政権は「これは文化省単独による決定である」として沈黙を続けている。
尚、現政権におけるエルネスト・ウルタスン文化大臣はSumarに所属している。

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ニュース
*バルのテラス席問題
*マドリッド、近郊線列車サービスのトラブル続く
*カラバッジョの幻の作品、プラドで特別展示
*カタルーニャの水不足、緊急事態宣言を解除
*オリーブ、唐辛子の酢漬けに要注意
*セビージャのアルカサル、Alfarjesの修復作業完了

余談
*臓器移植大国スペイン、他


2024年5月3日(金)

*サンチェス首相続投、国民の44.5%が辞任すべきと批評

ペドロ・サンチェス首相は、先週水曜日の夜、辞任の可能性を仄めかし、決定は月曜日に発表する旨をSNSを通じて国民に発信した後、今週月曜日になって、辞任はせず続投するとの発表を行った。
首相が辞任を仄めかすメッセージを発信して二日後の先週金曜日に、社会学研究センターCISは、サンチェス首相の取るべき行動について、スペイン国民がどのように考えているかアンケート調査を行った。
その結果、国民のほぼ半分に相当する44.5%が辞任、または前倒し選挙を行うべきであると答え、続投すべきであると答えたのは36.7%にとどまった。
また同じアンケートで、サンチェス夫人に対する訴訟は、サンチェス氏に害を与えるために行われたものだと考える人が国民の48.2%に達したとのこと。
月曜日のサンチェス氏自身による決断の発表について、各政党から様々なコメントが出されているが、同時に報道界からも非難の声が挙がっており、これだけ世間を騒がせたあと、自身の一方的なメッセージの発信で終えるのではなく、記者会見を開き、記者からの質問に応じるべきであると指摘されている。

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ニュース
*年金支出、559憶1,900万ユーロの赤字
*カタルーニャ:2つの町を除いて全ての市町村で石綿(アスベスト)を多用
*コルドバ:パティオ祭り開催
*オレオレ詐欺で100名以上を逮捕
*タバコ規制強化、年内に開始
*インフルエンサーに様々な告知義務
*モロッコ産ピーマンから大量のクロルピリホスを検出
*セウタの港で数千リットルの燃料漏れ

余談
*名闘牛士にインタビュー決定!、他


2024年4月26日(金)

*ペドロ・サンチェス首相、辞任を示唆

去る水曜の19時過ぎに、サンチェス首相はSNSを通じて国民に向けてのメッセージを発信し、その中で辞任の可能性を仄めかした。
同メッセージの中で、首相は次のように述べている。
「良く考え、取るべき道を決めるため、数日間の予定を全てキャンセルする」
彼のこの突然の行動は、マドリッドの裁判所がサンチェス夫人に対する訴訟を受け入れ、これの調査の開始を発表したことが直接の原因となった。
訴訟を起こしたのはManos Limpiasと呼ばれる労働組合で、これは1995年に発足した、公務員等によって構成される市民団体である。
政治、経済の汚職に対し徹底的にこれを告発することを組織の活動目的としており、これまであらゆる政党がその訴訟の対象となっているが、一般的には極右翼の色彩を帯びた組織との見方が強い。
このManos Limpiasが、今回、サンチェス夫人に対し、夫サンチェス首相の影響力を利用した違法契約や私的な汚職があったとして訴訟を起こした。
これに対しサンチェス首相は、妻と言う個人への訴訟ではなく、首相の妻としての彼女に対する政治的な攻撃であるとし、「こういった政治家の私的な部分への攻撃はあってはいけないことであり、これを耐えてまで政治家を続けることに意義があるのかどうかが分からなくなってきた。」と言った内容が今回のメッセージに含まれている。
サンチェス首相は、今後、自身がとる道について、来週月曜日に発表するとしている。
首相の数日間の予定キャンセルよって大きな影響を受けるのがカタルーニャ社会党で、5月12日に予定されているカタルーニャ州選挙に向けて、今週末より選挙運動が開始となり、その中で予定されていたサンチェス氏による演説もキャンセルされたこととなり、社会党内で動揺の声が挙がっている。
また、各政党からもこのサンチェス氏の行動について、様々な声が聞かれる。

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ニュース
*サンチェス氏辞任の場合、その後の流れは
*バスク選挙、民族主義政党が70%を掌握
*マドリッド南部の都市間路線バス、無期限ストへ
*マドリッドーアランフエス間の鉄道サービス、5月1日〜5日までは臨時バスで代行
*コルドバ北部:1年ぶりに水道から飲用水
*マドリッドの下水から36,000トンのウェットティシュ
*カタルーニャ:カタラン語による応対を病院に強要
*スペインの踏切の数:全国で約3000か所、アンダルシアに498か所
*2024年、観光業は順調な出だし
*Virgen Extra:産地の卸値は下がり続けるも、ス―パーでは値上がり続く
*Air Europa:6月21日よりマドリッドーベネツィア便運行を再開

余談
*ゲストのKさん貫徹、他


2024年4月19日(金)

*マドリッド市が送った書留郵便、30万通が届かず

マドリッド市は、2023年4月から9月にかけて市行政が市民に宛てて送付した書留郵便が、正常に届けられていない事実を探知した。
その多くは違反金の支払い通達や税務上の通達書簡で、これらの配達が正常に行なわれていなかった事により違反金の支払いが出来なかった人や、早期支払いによって適用されるはずの減額を受けられなかった人などが多数あったとのこと。
市行政は2021年から2023年までの間、これらの配達業務について、配達業者RD Postと4300万ユーロの契約を交わし、依頼していた。
そしてその契約期間の終わりが近づいたところで、次期契約先の公募を行った結果、郵便局がこれを落札したが、この時期に重なる形でRD Postの業務内容に異常が見られ始めた。
市行政は、正常に配達業務が行われているかどうかを確認するため、実験用の書簡を用意してその配達状況を調査したが、その調査により正常に配達されていないことが判明した。
市は2023年4月以降に配達されなかった書簡は30万通に及ぶとしており、これはRD Post社との契約期間に出された全書簡数1,200万通の2.8%に達するとのこと。
市はこれにより被害を受けた市民への保証を約束すると共に、RD Post社に対し約100万ユーロの損害賠償を要求する構え。

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ニュース
*カタルーニャ州:ホテルなどで提供される使い捨てアメニティグッズを禁止
*バルセロナ市:市バス116番をグーグルマップから抹消
*RENFE:ガリシア線、アストゥリアス線に最新列車AVRILを導入
*スペイン人の半分以上が戦争はしない
*Mahou:売上高更新で利益1憶800万ユーロに
*カタルーニャ州:浮体式海水淡水化設備導入を発表

余談
*RENFE:返金に1年がかり、他


2024年4月12日(金)

*不動産購入者の15%が外国人

スペインにおける不動産購入者の内訳を見ると、外国人による購入件数が増え続けている。
2023年は、スペイン全体としては不動産売買数が減少したにも関わらず、外国人による購入の勢いに衰えは見られなかった。
2023年におけるスペイン全体の不動産売買数は、2022年に比べて9.8%の減少となったのに対し、外国人による購入は、2022年の13.75%から14.98%へと増加した。
全国不動産協会連合の広報担当であるEva Lopez女史は、スペインにおける外国人の不動産投資が増加している理由として、ロンドン、パリ、ベルリンなどに比べると、マドリッドやバルセロナの不動産の方が価格が低く、そして文化、気候の良さなどが魅力となっていることを挙げている。
Lopez女史によると、休暇を過ごすための目的だけでなく、老後の生活拠点として購入する人も多いとのこと。
国籍別でみると、2023年にスペイン国内の不動産購入で最も多かったのはイギリス人によるもので、8,176軒にのぼる。
続いてドイツ人が6,233軒、そしてフランス人が5,712軒だった。
また、その他にもモロッコ人(4,624軒)、ベルギー人(4,566軒)、イタリア人(4,484軒)なども目立った。

これら外国人による購入において、スペインで住宅ローンの借り入れを行う例は少なく、2023年度に外国人による購入でローン契約を伴うものは、僅か7.5%だった。
また、高額物件を購入する率も高く、2023年に外国人が購入した物件の9.71%が50万ユーロ以上のものだったとのこと。
そしてこの50万ユーロ以上の不動産物件を購入すると、スペインに住むために必要となる滞在許可証を取得できることもあって、2023年度、同金額以上の物件を購入した外国人の50.41%がEU諸国以外の国籍所持者だった。
その多くは中国人、ロシア人によるもので、彼らが購入した物件の70%はバルセロナ、マドリッド、マラガに集まっている。
この50万ユーロ以上の不動産物件を購入すると自動的に与えられる滞在許可をゴールデン・ビザと呼んでいるが、これの取得者数は2017年には947名、2018年には998名、2019年には861名となっていたが、2022年には一気に2,017名と、それまでの2倍以上に跳ね上がり、2023年には3,273名に達した。
そしてその平均購入額は2022年が857,105ユーロ、2023年が769,332ユーロだった。
これらEU諸国以外の国民による高額物件の購入は、スペインにおける不動産市場に混乱を招くとして、EUの他の国々と同様に、スペイン政府はこのゴールデン・ビザの廃止について検討し始めている。
尚、アイルランドやポルトガルではすでにこの制度は廃止されている。

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ニュース
*アンダルシア、全住民に居住地から30分以内に公共の歯科医療を保証
*チャマルティン駅の工事開始
*プーチデモン元カタルーニャ州知事、サンチェス首相に最後通告
*ルビアレス元スペインサッカー連盟会長、家宅捜査数日前にポルシェを購入
*ビルバオ、40年ぶりの国王杯優勝で大船団Gabarra出動

余談
*奇跡的に届いた日本酒、他


2024年4月5日(金)

*政府、過剰値下げのフランス国鉄に抗議

セマナ・サンタ(聖週間)の期間中、スペイン国内では6,000便以上の列車が運行されたが、そう言った中で、スペイン政府とフランス政府との間で一つの問題が浮き彫りとなっている。
問題の焦点となっているのはフランス国鉄が提供している格安サービスで、スペイン政府はこれを非現実的な価格であり、市場を混乱させているとして批判している。
スペイン国内で3年前から高速列車によるサービスを行なっているOuigoは、フランス国鉄が100%投資している国営会社で、その乗車賃は14歳以下の場合は一律で5ユーロ、そしてそれ以上の年齢では、9ユーロから始まり、運行日が近づくにつれ徐々に上がっていく設定となっている。
この極端な格安料金によるサービスの参入により、スペイン国鉄RENFEが運行するAVEの値段やRENFEグループの格安会社AVLO、イタリア資本のIryoなどの値段が崩れる結果となり、スペイン政府は、健全な競争が行われていないとして、同件を公正取引委員会へ訴える構えを示している。
公正取引委員会の調べによると、現在の高速列車サービスの運賃は、スペイン国鉄RENFEが独占していた頃と比べると、平均40%程度下がっている。
スペイン政府は、Ouigoが打ち出している極端に低い運賃が非現実的なものであるとする理由の一つとして 、3年前に同社が参入して以来、同社の赤字額が年間4,000万ユーロにのぼっていることを挙げている。
しかし、その一方でOuigoは、参入初期に赤字運営となることは極普通のことで、こういった準備期間を 置いたうえで、2024年から黒字へと転じて行きたいと述べている。

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ニュース
*33歳の男性に安楽死
*回収された偽札59,196枚、偽コイン32,969枚
*3月、ヨーロッパの物価上昇率は下がったがスペインでは上昇
*ガスの税率、10%から21%へ
*オリーブオイルの価格、下落傾向に
*スペインの幸せな町ランキング
*元司教、教会で結婚
*デジタル書籍の売り上げ6,800万ユーロに
*コーヒーは贅沢品に

余談
*夜遊びの季節に突入?!、他


2024年3月29日(金)

*政府、「カタルーニャ独立の議題」討議停止を憲法裁判所に申請

カタルーニャ独立派政党“Solidaritat Catalana per la Independencia”によって2月2日に出された独立に向けての「市民発案」は、2月20日に行われたカタルーニャ州議会においてJuntsとCupによる賛成票、ERCによる棄権票、PSCの反対票によって同議会の議題として承認された。
同発案の目的は、カタルーニャ州議会がカタルーニャの独立宣言を行うことである。
その後、PSCはこの決定を違憲であるとして憲法裁判所に訴えているが、これに加え、中央政府からも同様に、憲法裁判所へこれの停止令を要請することを、去る火曜日に政府が発表した。
首相府のBolanos大臣は、カタルーニャがスペインやEUから孤立するのではなく、スペインやEUを動かす原動力となって欲しいと述べると共に、憲法と、カタルーニャ州の自治権の擁護こそが、スペイン国民のカタルーニャとの共存、そしてカタルーニャの人々にとってスペインの他地方の人々との共存を行うための最善の保証であると述べた。

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ニュース
*4月2日と3日、マドリッドの市バスは無料
*百日咳、流行
*2024年のセビージャ春祭りは4月14日から
*Iberia Express、本日よりマドリッドーエディンバラ間の運行開始
*3月27日と29日、マドリッドの空港で地上誘導係員のスト
*Dani Alves元バルサ選手、仮釈放
*首相専用機、異常により緊急着陸
*レティロ公園他、強風によりマドリッドの公園閉鎖
*カタルーニャ、タクシー内の防犯カメラ設置を認可か
*「交換民泊」利用者増加

余談
*トレド共通入場券の注意点、他


2024年3月22日(金)

*スペインサッカー連盟のルイス・ルビアレス元会長に逮捕令、ジェラルド・ピケ選手も共犯か

2020年以降、スペインサッカーのスーペル・コパはサウジアラビアで行われているが、この契約が不正なものであるとして、一昨日、治安警備隊による家宅捜査が開始された。
家宅捜査はスペインサッカー連盟本部だけでなく、関係者等の自宅など11軒に及び、その中には連盟の元会長、ルイス・ルビアレスの自宅も含まれていた。
ルイス・ルビアレスには逮捕令状が出されたが、スペインに不在でドミニカ共和国にいたため逮捕に至っていないが、スペインへ帰国と同時に逮捕される模様。
また、「2020年から2030年までの10年間、サウジアラビアで開催する」と言うこの契約の仲介役となったのが、元バルサのジェラルド・ピケ選手が経営する会社Kosmosで、契約はルビアレスとピケ、両人によるサインによって結ばれている。
これまでの捜査によると、スーペルコパにレアル・マドリッド、或いは、バルサが出場することとなった場合、 裏で巨額の謝礼金がサウジアラビア政府から両名に支払われることが分かっている。
これにより、当時、まだバルサの現役選手でもあったジェラルド・ピケは、出場するバルサがチームとして受け取る金額800万ユーロよりもはるかに多い、2,400万ユーロを受け取る契約となっていた模様。
今後、更に捜査が進み詳細が明らかになると思われるが、スペインサッカー連盟の不祥事は、そのまま2030年のサッカー・ワールドカップの開催地としての認可に影響を及ぼす可能性がある。
ワールドカップ2030は、同大会開催100周年を記念するもので、スペイン、ポルトガル、モロッコの三カ国にまたがって行われることが仮決定しているが、今年12月に最終的な確認が行われて初めて確実となるため、今の時期に大きな不祥事が発覚すると、その認可が出ない可能性も否めない。

*セマナ・サンタ、枝の主日:マドリッドの主なプロセシオン時間割とルート

今年のセマナ・サンタは、3月24日の「枝の主日」に始まり、3月31日の「復活の主日」まで続く。
その開始日となる3月24日「枝の主日」に首都マドリッドで行われるプロセシオンは次のとおり。

・La Borriquita:
アルムデナ大聖堂から15時30分に出発し、Bailen通り、Mayor通り、Ciudad Rodrigo通り、Mayor広場、La Sal通り、Postas通り、Esparteros通り、Mayor通り、Puerta del Sol、Carmen通り、Tetuan通り、Preciados通り、Rompelanzas通り、Mesonero Romanos通り、Abada通り、Gran Via通り、Concepcion Arenal通り、Horno de la Mata通り、Mesonero Romanos通り、Desengano通り、Barco通り、Munoz Torrero通り、Valverde通り、Colon通り、San Ildefonso広場、San Ildefonso y Santos Ninos Justo y Pastor教会へと続く。

・El Silencio:
15時45分にSantisimo Cristo de la Fe教会を出発したあと、Costanilla de los Desamparados通り、Atocha通り、Jacinto Benavente広場、Atocha通り、Provincia Imperial広場、Toledo通り、Latoneros通り、Cuchilleros通り、Cava de San Miguel通り、San Miguel広場、Mayor通り、Bailen通り、Almudena大聖堂、Bailen通り、Requena通り、Ramales広場、Santiago通り、Santiago広場、Santiago通り、Milaneses通り、Mayor通り、Ciudad Rodrigo通り、Mayor広場、Sal通り、Postas通り、Zaragoza通り、Santa Cruz広場、Bolsa通り、Jacinto Benavente広場、Angel広場、Santa Ana広場、 Prado通り、Leon通り、Cervantes通り、Quevedo通り、Lope de Vega通り、Costanilla de las Trinitarias通り、San Jose通り、Moratin通り、Costanilla de los Desamparados通り、そして出発地点となったSantisimo Cristo de la Fe教会に23時ごろ帰着。

・Los Estudiantes:
17時30分にSan Miguel教会を出発したあと、Cordon通り、La Villa広場、Mayor通り、Arco通り、Sal通り、Mayor通り、Puerta del Sol、Carretas通り、San Ricardo通り、Pontejos通り、Esparteros通り、Santa Cruz広場、Salvador通り、Lechuga通り、Latoneros通り、Puerta Cerrada広場、San Justo通り、そして 出発地点に帰着。

・Santisimo Cristo de la Fe y la Salud:
17時にHospital del Nino Jesus教会を出発したあと、Menendez Pelayo通り、Alcalde Sainz de Baranda通り、Antonio Arias通り、Ibiza通り、Menendez Pelayo通り、そして出発地点に帰着。

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ニュース
*違法入国者数、急増
*国会議員、年に3台の携帯電話、4台のタブレットを紛失
*BBVAが現金の宅配開始
*Ouigo、次々と新路線を展開
*19日、バレンシア火祭りが終了
*Dani Alves元バルサ選手、仮釈放なるか?
*ブタンガス、17ユーロ弱に
*司法最高評議会、新恩赦法は違憲と判断
*プーチデモン氏、5月12日のカタルーニャ州選挙への出馬を発表
*冬時間から夏時間へ

余談
*セマナサンタの伝統菓子「トリハス」、他


2024年3月15日(金)

*2月の食料品インフレ率、過去2年間で最少値に

昨日、木曜日に行われた国家統計局の発表によると、今年2月時点での食料品物価は、前年度同時期に比べて5.3%の値上がりとなっており、ここ2か月ばかり続いていた約7%を大きく下回り、過去2年間での最小値を記録した。
これら食料品物価や電力費の値下がりが影響し、2月の総合物価指数は2.8%と、前月よりも0.6%低いものとなった。
食料品物価の高騰に歯止めがかかりはしたが、依然として国民の財布への影響は大きく、オリーブオイルの価格は17カ月前の2倍となっており、今も上がり続けている。
また、1年前の物価と比べると、果汁飲料の場合で19%、ジャガイモは12%、豚肉は11%、ケーキやクッキー類一般は11%、チョコレートは10%、果物は9.1%高くなっている。 逆に1年前より安くなったものとしては、ヒマワリ油が25%減、ピッツァが4.3%減、バターが3.5%減、豆類や生鮮野菜が2.7%減、脱脂乳が2.1%減、などが挙げられる。

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ニュース
*カタルーニャの水不足、8カ月ぶりに緩和
*バレンシア地下鉄、3月15日〜20日は24時間体制で運行
*知る人ぞ知る? マドリッドのヘオミネロ美術館
*カタルーニャ州選挙、5月12日へ前倒し
*マスクのコミッション問題
*3.11アトーチャ列車テロから20年
*マドリッド、17日頃よりプラタナスが大量の花粉放出
*バルセロナ、2025年までに電気自動車の充電所を3000か所に
*プラシド・ドミンゴ、8月にマルベージャで公演
*バルセロナ、パントマイマーとピエロの泥棒に要注意
*ハンバーガーコンテスト、優勝はガリシアのポンテベドラのお店

余談
*還暦で国鉄割引を受けよう!、他


2024年3月8日(金)

*新恩赦法、再び国会決議へ

サンチェス政権がカタルーニャ独立主義政党"JUNTS"と独自に進めている新恩赦法の内容改正について、今週水曜日に両者間での合意が見られた。
新恩赦法の施行については一度国会でその決議が行われたが、これによって最大の恩恵を受けることとなる政党"JUNTS"が反対票を投じたことにより否決され、その後、改正案の再提出期限が今週の木曜日となっていた。
サンチェス首相は今週月曜日の時点で、その内容は完全なもので改変を加えることは無いと断言していたが、最提出期限ぎりぎりの水曜日になって、全面的にJUNTSの要求を受け入れる形で合意に達した模様。
新恩赦法について、サンチェス首相が譲歩し、JUNTSからの要求を一方的に受け入れるのは、これで2度目となる。

スペインの法廷から追われ、国外逃亡生活を続けるプーチデモン元カタルーニャ州知事が率いる右翼独立主義政党"JUNTS"は、今回要求する新恩赦法の内容改正について幾つかの項目を挙げていたが、主な内容として次の3点が挙げられる。

一つ目:その対象となる時期を更に2か月前まで広げること。
これにより、2011年11月1日以降の案件全てについて効力を発することとなる。
また、その施行が確定した時点で、即時、効力を発することを条件としている。

二つ目:独立運動に直接関与していないにも関わらず、「協力した」として、公職に就く者の犯罪者化を目的とした人為的な警察活動によって有罪とされた人々へも恩赦を適用すること。

三つ目:反逆罪、国家の平和や主権および国防を脅かす罪、などもその適用対象に含めること。

この三つ目の条件を認めることにより、プーチデモン氏率いるJUNTSが行って来たとして調査が進められているロシアとの共同工作についても、事実上、その罪が問われないこととなる。

これらの改正点を含んだ新恩赦法について、昨日、木曜日に開かれた国会の司法委員会で、国会への再提出が認められた。
これにより、来週の国会で同新法案の再決議へと進み、これまでどおり、サンチェス氏率いるPSOE、PSOEと連立政権を組むSUMAR、カタルーニャ独立派政党であるJUNTS、ERC、そしてその他のバスク民族政党、ガリシア民族政党などの賛成票によって可決される見通しとなっている。
一旦可決されたあと、同法案は上院へと送られ、上院で過半数を持つPPがこれの施行を最大で2か月まで遅らせることは可能だが、否決する権限は上院には無いため、施行への流れとなる。

予想どおり進めば、最終的に可決され政府官報に掲載されるのは5月末ごろになると思われるが、その後、即刻施行されるに至るかどうかについては、以下に挙げるような理由から、不確実と言える。
まず、司法界から、この新恩赦法の内容に「憲法とは相いれない内容が含まれている」との指摘があった場合、憲法裁判所へその判断を仰ぐ手続きが取られる可能性がある。
また、司法界からだけではなく、下院議員50名以上の署名を伴っての違憲性の指摘があった場合も、同様の措置が取られる。
そして、司法界が更に「EUの定める人権に反する内容が見られる」と指摘した場合、EUの法廷へ持ち込まれることとなる。

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ニュース
*アトーチャ・テロ犠牲者への追悼空間、新しく公開
*住宅ローンに収入の37%
*オリーブオイル、エキストラバージン値上がり続く
*スーパーでの万引きランキング
*世界最高齢の女性はスペイン人、2番目は日本人
*モロッコ産イチゴからA型肝炎

余談
*バルが22時までに!?、他


2024年3月1日(金)

平均収入は増えるも貧困世帯も増加

国家統計局が今週月曜日に発表した2023年度生活実態調査の結果によると、激しいインフレが続いたこの2年間で、各世帯の家計に相反する二つの事象が生じている、という実情が露わとなった。
平均所得がこれまでに無い程の増加を示し、1世帯における平均所得は、2021年度の32,216ユーロから、2022年には34,821ユーロと、前年度比8%以上の上昇を見せた一方で、生活必需品を賄えない経済状態にある世帯が全体の9%に達しており、2014年以降、最悪の状況となっている。
同調査によると、平均所得については、世帯ごとの所得も個人の所得も、どちらについても2021年から2022年にかけて約8%の伸びが見られるとのこと。
しかしながら、生活必需品を賄えない貧困生活にある世帯の占める割合は、2022年の7.7%から2023年には9%にまで増加しており、これら所得の増加が、スペインにおける貧困の減少にはつながっていないことが伺われる。
尚、必需品を賄えない経済状態を示す指標としては、次のような項目が挙げられる。

*1年に1週間以上のバカンスに出かけられない。(全世帯の33%が相当)
*2日に1回の肉、または魚の摂取が出来ない。(全世帯の6.4%が相当)
*住居内の気温を適温に保てない。(全世帯の20.7%が相当)
*突発的な出費に対応できない。(全世帯の37%が相当)
*光熱費や家賃の滞納。(全世帯の13.6%が相当)
*新しい衣類の購入が出来ない。(全世帯の8.8%が相当) など。

また、貧しさを示す指標には、「これら生活必需品を賄えているかどうか」と言った段階だけではなく、「貧困状態や社会的排除の対処となり得る、危険な状況にある」と判断される基準が設けられているが、これに当てはまる世帯は、2023年時点でスペインの全世帯の26.5%を占めている。
そして、これら貧困世帯の占める割合は、スペイン国内でも地域差が見られ、最も多いのがアンダルシアで、全国平均26.5%よりもはるかに多い37.5%に達しており、これにカナリアスの33.8%、エクストレマドゥーラの32.8%、カスティージャ・ラ・マンチャの31.7%、ムルシアの30.5%、バレンシアの29.6%などが続く。
逆に最も少ないのがバスクの15.5%で、これにナバーラの17.2%、マドリッドの19.4%、アラゴンの20.4%、バレアレスの20.6%が続く。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*マドリッドの交通局にサイバー攻撃、個人情報漏洩
*大手銀行の給料
*ソフィア王妃近代芸術センター従業員によるストライキ
*バルセロナ県、水の浪費で24000人に警告
*カタルーニャの干ばつ、過去200年で最悪の事態
*マドリッド、シベレス広場とアルカラ門の間を一部遊歩道化

余談
*映画「瞳をとじて」のロケ地巡り企画について、他


2024年2月23日(金)

地下鉄 Santiago Bernabeu駅の工事開始

今週火曜日から始まったマドリッドの地下鉄 サンティアゴ・ベルナベウ駅の大改造工事は、その工期として38か月が予定されている。
作業は幾つかの段階に分けて行われるが、その第1段階は約3か月続く見込みで、その間、カステジャーナ大通りの交通に一部、車両通行止めなどの影響が出る模様。
市行政は可能な限り公共交通機関の利用を呼び掛けているが、これについても一部、影響を受けるとのこと。
カステジャーナ大通り93番地付近には市バスの停留所41番があるが、これが利用不可となる予定で、この停留所を通るバスは14、27、40、126、147、150、N22、N24となっている。
また、43、120の市バスの運行経路にも変更が生じる模様。
タクシーについても、カステジャーナ大通り93番地付近にあるタクシー乗り場が利用不可となり、その代わりとして144番地あたり、Rafael Salgado通りとの角に乗り場が設置されるとのこと。
地下鉄については、約3か月続く第1段階においては、従来通り10番線が運行されるが、第2段階以降は影響を受けるため、今後の詳細情報に注意が必要。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*マドリッド初のMascleta、予定通り開催
*2025年より全ての銀行送金が無料、そして瞬時に
*バルセロナのタクシー運転手、免許取得にカタラン語必須
*マドリッド地下鉄、6番線と8番線に自動運転車両を導入予定
*ガリシア州選挙、PPが過半数を維持
*RENFE、3月にストライキ
*バレンシアで大規模火災

余談
*アトーチャ駅での注意点と美術館の幽霊、他


2024年2月16日(金)

バレンタインデー:スペインでは?

物価高が続く中ではあるが、バレンタインデーを記念して愛する人に贈り物をする人は今年も多く、消費者協会Aesconが行ったアンケート調査によると、その割合は全体の59%に及ぶとのこと。
また、何らかの贈り物をすると答えた人々の内、74%が夕食や旅行と言った形で考えており、衣類、書籍、レコードなどと答えた人が14%、花が5%、宝石が4%だった。
その平均的予算としては、昨年より2ユーロ高い95.48ユーロとなったが、地域的な格差も大きく、最も平均予算が高かったのがマドリッドやカタルーニャの135ユーロで、逆に最も低かったのがカセレスの71.53ユーロ、バダホスの73.14ユーロ、ウエスカの76.4ユーロだった。

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ニュース
*パエージャ用の米が絶滅危機に
*麻薬密売、ヒブラルタル地方に定着
*インフレによりスペインの食生活に大きな変化
*マドリッド、サン・ミゲル市場の周りは歩行者専用スペースに

余談
*バレンタインとカーニバル、他


2024年2月9日(金)

テロ被害者協会、国家司法長官の辞任を要求

テロ被害者協会「尊厳と正義」は、国家司法長官であるAlvaro Garcia Ortiz氏の辞任を求める声明を発表した。
これは、ここ数日の間に、最高裁検察官であるAlvaro Redondo氏がそれまでの立場を一変させ、「Tsunami Democraticが起こした事件に見られるテロの兆候と、プーチデモン元カタルーニャ州知事との間に何ら関係は見られない」としたことに反応して出されたもので、テロ被害者協会は、国家司法長官より圧力が掛けられた結果と解釈している。
また同協会は、その圧力はサンチェス首相の介入によって行われていると指摘している。

一方で今週火曜日、「プーチデモン元カタルーニャ州知事に、テロ行為に関与したと考えられるに十分な兆候が 見られると判断して良いかどうか」と言う採決が高等裁判所刑事検察審査会で行なわれたが、その結果は15名の検察官中、12名がこれを肯定するという結果となった。
圧倒的多数によって、これまで国家裁判所のManuel Garcia-Castellon判事が主張していたとおり、プーチデモン元カタルーニャ州知事によるテロ関与があったとの認識が示された。
この結果を受け、テロ被害者協会は、これら圧倒的多数の検察官等の見解を無視する形で一方的にプーチデモン氏はテロに関与していないとの主張を通そうとする国家司法長官、Alvaro Garcia Ortiz氏の辞任を要求している。
また、最近になってプーチデモン氏のテロ関与を否定する姿勢を明らかにしたAlvaro Redondo最高裁検察官にしても、これまではテロ関与を指摘していたにもかかわらず、この時点でその態度に変化が見られたのは、サンチェス首相やAlvaro Garcia Ortiz国家司法長官からの政治的指示が出されたためであると指摘している。

更に昨日のEU議会においても、2017年にカタルーニャ分離主義政党を通じてロシアのプーチン政権が行って来たスペインへの、そしてEUへの政治的・社会的干渉については、大いに憂慮すべきであるとし、これに直接関与した政治家や政党についてのより細かな調査を行うよう、スペイン政府に要請が出された。

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ニュース
*マドリッド初のMascleta、Puente del Reyで開催
*2月8日金曜日、スペイン国鉄RENFEのスト
*農業従事者等デモにより、バルセロナ市混乱
*マドリッド、サン・ミゲル市場の周りは歩行者専用スペースに

余談
*「続・夕陽のガンマン」シロスで撮影、他


2024年2月2日(金)

ロシアからの援助を受けたとして、カタルーニャ独立プロセスの捜査延長

プーチデモン元カタルーニャ州知事を中心として行われたカタルーニャの違憲独立プロセスは、スペインにおける民主政治とEUの弱体化を図るロシアによる経済的、軍事的支援を受けていたとして、同件を担当していたホアキン・アギーレ判事は、これについて6か月間の捜査延長を命じた。
これにより、2月27日から6か月間に渡り、更なる調査が進められることとなる。

アギーレ判事によると、プーチデモン氏とその周辺の複数のメンバーは、カタルーニャ独立プロセスを進めるにあたって、ロシアの秘密機関、ドイツとイタリアの極右翼政治家等と接触を保っていたとのこと。
また、ロシアがウクライナ侵攻を開始することにより、ロシアとヨーロッパが戦争に突入することや、それによりヨーロッパへのガスの供給が制限されることとなる事なども、事前に知らされていた形跡があるとのこと。
更に、昨年末に無記名の書簡がアギーレ判事の元へ届けられ、それには様々な情報が含まれていた。
その中には、プーチデモン氏の自宅を訪れた人物の中に、フランスの秘密調査機関によってプーチン氏の直接命令で動いていると確認された人物が含まれていたことや、独立したカタルーニャが仮想通貨の拠点となることを条件に、ロシアが数千人の兵隊や数百万ドルの資金の提供を行うとのオファーがあったことなどの情報もあった模様。
これらロシアからのオファーのほとんどが現実のものとなることは無かったが、これまでの調査で、カタルーニャ独立派勢力がロシアから1万ドル相当のビットコインを受け取っていた事実が確認されているとのこと。

また、今週月曜日にロシアの独立メディアが行った発表によると、ラトビアのEU議員であるZdanoka女史は、少なくとも2015年以降、ロシアのスパイとしてEU関連情報をロシアへ提供し続けているとの情報もある。
2014年にも、BBCが同女史について、「親ロシア活動を続けており、ラトビアの独立を損ない、同国におけるロシアの主権を回復するための活動を行っている」と指摘している。
そしてJUNTSやERCと言ったカタルーニャ独立派政党と同女史との間にも、密接な交流がある。

また、スペインの国家安全局による最新の報告書には、ロシアとJuntsとの密接な関係について報告されているが、カタルーニャ独立派政治家等への特別恩赦を進めるサンチェス政権は、これら全ての情報をタブーとして、一切触れることなく、今週火曜日の国会で特別恩赦法の決議へと進んだ。

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ニュース
*新恩赦法、否決
*フランスでの大規模抗議への対応を求めるも、政府は沈黙
*マドリッド、「観光業で成功する町 世界ランキング」10位以内に
*経済成長率、島々がリード
*1月のインフレ率、ユーロ圏でスペインが最高値
*カタルーニャ、水不足で非常事態宣言

余談
*花粉多し!、他


2024年1月26日(金)

オリーブオイル高騰続く

先週金曜日時点での主なスーパーチェーンによるオンライン販売価格を比較すると、オリーブオイルのバージンオイルとエキストラバージンオイルの値段は、Mercadonaの場合で10〜16ユーロ、Carrefourで10〜13ユーロ、Eroskiで13〜16ユーロ、Alcampoで9〜15ユーロ、DIAで9〜20ユーロとなっていた。
スペイン食文化の基本食材とも言えるオリーブオイルの値段は上がる一方で、オリーブオイル生産者協会INFAOLIVAによると、先週時点でのエキストラバージンオイルの原産地価格は1リットルあたり8.9ユーロ、バージンオイルで8.575ユーロ、ランパンテで8.425ユーロとなっており、僅か2年前の3.1〜3.25ユーロと比較すると、大幅に値上がりしているのが分かる。
こう言った状況下で、スぺインにおけるオリーブオイルの販売量は、昨年の10月、11月時点で32.6%減少しており、より安価な食用油に変えている家庭が増えていることが分かる。

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ニュース
*PPが前進、PSOEは後退
*バルセロナで母親から移植した子宮で無事出産
*スペインの貯水量、9か月ぶりに50%台に
*昨年のスペイン人の購買力、2007年度より低下
*カタルーニャで女性の多くが路上での性被害に怯える
*マドリッド、F1と2026年〜2035年の10年契約
*ガリシアでのペレットの回収量、95%減

余談
*「瞳をとじて」を見ました!
* ハイジ50歳、他


2024年1月19日(金)

Junts、サンチェス首相への締め付けの手を弱めず

今年最初の国会で、サンチェス政権が用意した新法案決議への協力を行ったJuntsに対し、 その代償としてサンチェス首相はJuntsが提示した様々な要求を受け入れなければならず、 政府内外でこれによる様々な不協和音が鳴り響いている。
サンチェス首相が受け入れた条件の一つとして、カタルーニャ州行政に、外国からの移民の扱いに ついての権限を認めるというものがあり、これに多くの人々が関心を寄せた。
移民の扱いについては、スペイン国内での滞在の認可、労働の認可、強制追放など、様々な項目があるが、 「カタルーニャにおけるこれら全ての権限が州行政に与えられる」とJuntsは解釈している一方で、 サンチェス氏は、国境を挟む移民問題は全て国の中央行政の管轄下にあるとしており、これを独自に 管理する権限をカタルーニャ州行政に付与することはあり得ないとしており、両者間で明確な食い違いが 見られる。
サンチェス首相がスペイン国営ラジオからのインタビューで、このテーマについて、 あくまでもその管理権は国にあると発言したのに対し、JuntsのJordi Turull総書記長は去る月曜日、全ての権限を要求すると反論した。
また同氏は、もしもサンチェス首相がカタルーニャにおける独立の賛否を問う州民投票の開催を 認めない場合、サンチェス政権は “colorin colorado”(めでたし、めでたし)となるであろうと警告した。

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ニュース
*2月14日より地上波デジタルSD画質放送廃止
*2023年、マドリッドでの映画・テレビ番組などのロケが前年より8%増加
*60歳以上の親の3人に一人が子供の経済支援
*ガリシアの浜で回収されたプラスティックゴミはペレットの倍以上
*2023年のRENFE利用者数、5億2,230万人に
*メンデス・アルバロのエル・コルテ・イングレス、2月29日に閉業
*2023年のスペインの空港利用者数、過去最多に
*マドリッド、1920年以来、最も高い最低気温を記録

余談
*ビクトル・エリセ監督とその作品


2024年1月12日(金)

ガリシア、アストゥリアス、カンタブリアの海で大規模汚染

数日前からガリシア、そしてアストゥリアスの海岸に大量のペレットが流れ着き、現地ではこれの除去作業に追われている。
昨年12月8日に、「嵐のため、貨物船Toconaoから2万5千キロのペレットが入ったコンテナが6個、海に投げ出された」との報告が、ポルトガル政府からスペイン、そしてEUになされていた。
貨物船Toconaoはリベリア国籍の船で、12月5日にスペインのアルヘシラスの港を出発し、ロッテルダムへ向かっていた。
ところが、ポルトガル沖を北上中に嵐に遭い、Viana do Castelo の沖80キロ辺りで、コンテナ6つが失われた模様。
それぞれのコンテナには、ペレット25キロ入りの袋が千袋、計2万5千キロのペレットが積まれていた。
その後、これらコンテナが海底に沈んだのか、浮いた状態でいずこかへ流されたのかについては不明だったが、12月13日にスペイン、ガリシアのRibeiraの海岸に53個の袋が流れ着いたのを始まりとして、ガリシアの海岸の広域に渡って、バラバラの状態で無数のペレットの漂着が確認された。
この漂着したペレットについて、貨物船Toconaoは、それが同船の積み荷であったことを伝達し、1月4日になって、失われたペレットの総量についての報告を行った。
そして1月8日になると、ガリシアだけでなく、アストゥリアス、カンタブリアの海辺でもその存在が確認されるようになった。
漂着しつつあるペレットの量が膨大なものであるため、環境汚染の警戒レベルがガリシアでもアストゥリアスでも1から2に引き上げられた。
レベル2では、その対応はそれぞれの州行政が担う事となっているが、同時に中央政府に援助を求めることが可能となる。
これにより政府は、砂浜などに打ち上げられ、砂と混じってしまった大量のペレットの撤去作業員を派遣するなど、対応を開始しており、また、多くのボランティアも到着しつつあるが、作業は難航することが予測される。
ガリシアの海では、今から21年前に石油タンカー、プレスティジの事故があり、大量の原油などが流出し、前代未聞の規模での環境汚染が生じたが、今回の汚染も深刻なものとなることが懸念される。

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ニュース
*マスク着用義務、一部で再開
*イベリアの空港地上支援業務ストの影響続く
*サンチェス政権、Junts次第の実情が露わに
*プラド美術館、差別用語を抹消

余談
*スペイン語文化の不思議な一面、他


2024年1月5日(金)

アンダルシア州、市町村の53.8%が過疎化

アンダルシア州にある計786の市町村の内、その53.8%にあたる423の市町村で人口が3千人を下回り、過疎化の問題が表面化している。
これ以上の人口減少を抑えるため、過疎化が進む市町村に住むための様々な経済的援助がスペイン政府のみならず、EUからも行われているが、過疎化は止まらない。
アンダルシア州の中で、過疎化に直面する市町村が最も多いのがグラナダ県で、計121の市町村で人口が3千人を下回っている。
これに続くのがアルメリア県で70の市町村が、そしてマラガ県で58の市町村が、ハエン県では55、ウエルバ県では48、コルドバ県では37、セビージャ県で24、そしてカディス県で10の市町村がそれぞれ人口3千人を割っている。

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ニュース
*PSOE、バスク選挙でBilduとの協定は無いと強調
*PP、恩赦法修正案を提出
*グラナダに全長346キロのハイキングコースを整備
*Los Reyesのパレード

余談
*「くまどん」と「うしどん」の秘密、他


2023年12月29日(金)

カタルーニャ、若者層のカタラン語使用率15%減少

カタルーニャ行政が15歳〜34歳の若者層を対象に行ったアンケート調査によると、この15年間で若者によるカタラン語使用率は15%減少しているとのこと。
また、日常生活でカタラン語だけを話す、或いは、カステジャーノよりもカタラン語を中心に話すと言う若者は、2007年には全体の43.1%を占めていたが、2022年には25.1%まで減少している。
また、親から受け継いだ言語がカタラン語であるにも関わらず、カステジャーノが母国語のようになっていると言う若者が全体の14.1%を占めており、逆にカタラン語が母国語と感じている若者は僅か9.8%とのこと。

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ニュース
*Save the Childrenに援助を求めた家庭の半分以上が就労中
*2023年、死亡要因第一位から新型コロナが外れる
*アリカンテのディスコ、女性18人の入場を拒否
*2024年、スペインの年金平均受給月額が、全ての県で1,000ユーロ超え
*PP、全国のPSOE議員に対し、パンプロナにおけるEH Bilduとの協定再現の可能性否定を要求
*付加価値税、大幅な引き上げはサンチェス政権擁立の代償か
*イベリア航空ストライキ、回避されず

余談
*さよなら2023年、他


2023年12月22日(金)

スペイン人の多くがパンプロナ市長不信任動議に反対

市場・世論調査会社DYMが行った調査によると、PSOEがEH Bildu等と組んでパンプロナ市長不信任動議提出を決め、市長職をEH Bilduに渡すことについて、反対の意を示すスペイン人が全体の49%、賛成の人が23.8%、回答無しが27.2%だった。
これらの内訳を支持政党別に見た場合、PP支持者では反対が78.6%、Voxでは86.9%に至っており、サンチェス首相が所属するPSOEでも、反対が36.7%であったのに対し、賛成は僅か33.6%と、その支持者の中だけでも賛成する人は全体の3分の1となった。
賛成者が最も多かったのは、PSOEと連立を組む左翼連合のSUMAR支持者で、25.2%が反対であるのに対し、46.1%が賛成の意を示した。
また、特徴的なのは、この質問に対して回答を避けた人の占める割合が、PSOEでは29.8%に、SUMARでは28.7%に達しており、これら両党の支持者の中に、支持続行についての迷いが生じている人の数が多いことが見て取れる。

続いて、市長職をEH Bilduに提供することについては、サンチェス政権樹立協力への代償であると判断する人の数は全体の58.5%に達し、そうでは無いと答えた人は僅か17.7%だった。
これを支持政党別に見た場合、PP支持者では78.5%がそうであるとしており、Voxではその数字は89.3%に達する。
また、PSOE支持者の中でも57.7%がそうであると認識しており、SUMAR支持者の中でもその数字は 44.2%に達している。
そして回答を避けた人の数が、PSOEでは22.3%、SUMARで30.1%と、ここでも、両党の支持者の中に迷いが見られる。

今回の調査は今月13日から15日にかけて、18歳以上の1,011人を対象に行なわれたもので、同時に行われた、「今、選挙が行われた場合、どの党に投票するか」と言った質問では、引き続き、PPが支持率を伸ばしており、新恩赦法、そして今回のパンプロナ市長職のEH Bilduへの提供が国民の反感を買っているPSOEの支持率は、落ちたままとなっている。
これによると、PPは今年7月に行われた選挙で獲得した議席数137議席に対し、今、選挙が行なわれた場合152〜156議席を獲得することとなり、PSOEは121議席獲得していたものが、112〜116議席まで減少するとのこと。
また、PSOEと連立を組むSUMARも、31議席から20〜23議席へと後退することが予測される。

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ニュース
*ランチメニューは贅沢品?
*プエルタ・デル・ソルでのカウントダウン、人数制限を15,000人に
*マドリッドのスーパーマーケット労組によるスト解除
*Superliga、FIFAとUEFAを相手取った裁判で勝訴

余談
*クリスマスの宝くじとお菓子、他


2023年12月18日(月)

治安警備隊高官組合、政府による非弁護を批判

先週、国会において、Juntsの国会スポークスマンを務めるMiriam Nogueras議員が行なった発言に対し、スペインの司法界を含め、多方面からクレームが出される中、治安警備隊の高官等による組合からスペイン政府に対し、政府による弁護が見られないことへの苦情が発せられた。
その中で組合は、「国家の指示下で働く警備隊への中傷や攻撃があった場合、これを内務省他、国家機関が擁護に出るのが普通の国のあるべき姿である」としている。
Miriam Nogueras議員は国会において、治安警備隊の高官や元憲法裁判所長官、憲法裁判所のメンバー、最高裁メンバー、元最高裁長官他、数人を名指しにして、カタルーニャ独立運動の内容を歪め、偽りの事実を作り上げた卑劣な人々と称し、即刻、解雇され、裁きを受けるべきであると発言した。

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ニュース
*女性巡礼者に性的暴行
*24時間にアンダルシアで二つの脱線事故

余談
*スペイン日常物価事情、他


2023年12月15日(金)

クリスマス電飾経費、市民一人当たりの最多負担はビゴ

クリスマスが近づくと、各町々で綺麗なイルミネーションが灯され、 これが地元民のためだけではなく、ツーリストを呼び込むための大きな魅力となっている。
近年、これに多額の予算をつぎ込んで、その盛大なイルミネーションに よる評判を勝ち取りつつあるのがガリシアの町、ビゴだが、そのための 予算が膨大な額に達している。
今年、ビゴ市がクリスマス電飾設置のために組んだ予算は、電気代を 別にして237万ユーロで、市民一人当たり、その負担額は 7.9ユーロにのぼる。
これにオビエド市の市民一人当たり5.87ユーロ、サンタ・クルース・デ・テネリフェ市の一人当たり5.72ユーロが続いた。
オビエドについては、この予算の中に電飾の設置費だけでなく、 最初に電飾を灯す式典で人工雪を降らせると言う企画があり、 そのための装置20基のレンタル料が含まれている。
こう言った町々と対照的なのが、市民一人当たりの負担額がゼロと なっているビルバオで、同市では新しい電飾の導入は行われず、すでに 過去に市が買い取って所有している電飾のみを利用することにより 新たな経費をかけないようにしている。
これにより、今年のクリスマス電飾にかかる費用は、灯すための電気代として2.000ユーロ強のみを見込んでいる。
ビルバオに続いて市民の負担が少ないのがカステジョン市で、同様に過去の電飾の再利用を基本とすることにより、市民一人当たりの負担額を0.06ユーロに抑えている。
一方で、首都マドリッド市では一人当たりの負担が1.28ユーロ、そしてバルセロナでは1.15ユーロとなっている。
また、市民一人当たりの負担額ではなく、予算総額として見た場合、 最も多額の予算を投じているのが、約334万人の人口を持つマドリッド市で430万ユーロ。
これに続くのが人口約30万人のビゴ市(237万ユーロ)、人口約166万人のバルセロナ市(191万ユーロ)、人口約176万人のマラガ市(140万ユーロ)、人口約22万人のオビエド(130万ユーロ)となっている。
より贅沢なイルミネーションをと言う、地方による電飾争いは、 クリスマスツリーの大きさ争いにもつながっており、今年、スペイン国内で最も大きなツリーを置いたのはカンタブリアのCartesと言う町で 高さ65メートルに及ぶ。

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ニュース
*Renfe、今週火曜日より、電動キックボードの持ち込みを全面禁止
*魅力的な観光都市世界ランキングでマドリッドが3位(そして東京が4位)
*新恩赦法、国会での協議開始
*PSOE、EH Bilduと組んでパンプロナ市長に不信任動議

余談
*マドリッド近郊線列車に要注意!、他


2023年12月8日(金)

司法最高評議会メンバーの任期、5年超過

今月の6日はスペインの憲法記念日となっているが、スペインにおける司法界の混乱は慢性化した状態が続いている。
スペインにおける司法最高評議会は、最高裁長官をその会長とし、他の20名のメンバーによって構成される。
この20名の内、12名が裁判官から、そして8名は社会的に著名な法学者から選出されることとなっており、その任期は5年とされている。
しかし、現在の構成員は2013年に任命されたままの状態が続いており、今年、2023年の憲法記念日を迎えた今、実に通常の任期の2倍にあたる10年間に渡ってその任に就いており、5年間、更新が行なわれなかったこととなる。
これは、スペインの司法界が正常な状態に無いことを如実に示しており、EUから再三の警告を受けているが、未だに解決の目途は立っていない。

任期終了となっても更新が行われないまま5年の月日が過ぎ去った間に、構成員の中には亡くなった人もあれば、退職するのもの、辞任するものもあり、会長以外に20名いるべき構成員が現時点で16名しかいない状態が続いている。
また、最高裁や軍事裁判所、高等裁判所、国家裁判所、州裁判所などの裁判官の任命は、全てこの司法最高評議会が行うことになっているが、同評議会が任期が終了したメンバーで構成されていることから任命権が無い。
その結果として、各裁判所での欠員を補充出来ない状況が5年間続いたことにより、スペイン全国の上級裁判所における欠員が85名にまで至っており、司法の正常な機能に大きな支障を来たす状態が続いている。
特に最高裁の欠員は全体の30%にまで及んでおり、深刻な問題となっている。

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ニュース
*映画館への飲食物持ち込みは違法か?
*スペインの吹きガラス:ユネスコ無形文化遺産に
*マドリッドの国鉄近郊線、脱線事故相次ぐ
*マドリッドのスーパー、クリスマスと年越しにストライキ

余談
*司法会混乱の理由は?、他


2023年12月4日(月)

EU:恩赦についてスペイン政府の言い分を否定

スペインのFelix Bolanos法務大臣は、先週木曜日にブリュッセルのEU本部を訪問し、サンチェス政権が進めている、カタルーニャ違憲独立運動に関わり有罪判決を受けている人々への恩赦適用の合憲性について説明を行なった。
そしてその後、スペイン国民に向け、「スペインにおける人権保障は健全で強いものであり、これに関するEUによる懸念は皆無、ゼロである」と強調する報告を行っていた。
しかしその翌日、EUはこれについて、完全に否定するメッセージを発した。
EUは「スペイン政府が進めようとしている特別恩赦については、今後も注視する必要があると見ており、それが正当なものであるかどうかの判断は、同法がスペインで可決されたあとに下されるであろう」とスペイン政府の発言にくぎを刺した。

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ニュース
*PSOEとJuntsによる秘密会議開始
*マドリッドの仮設スケート場
*カタルーニャ:看護師組合、無期限ストを通告
*Concha Velasco 84歳で死去

余談
*政府の綱渡り、他


2023年12月1日(金)

マドリッドーアストゥリアス間の高速列車開通

マドリッドとアストゥリアスを結ぶ高速列車は、その途中に複雑な地形の山岳地帯が横たわっている為に工事が長期化していたが、ようやく運行開始へと漕ぎつけた。
去る29日の13時半ごろ、国王、首相、アストゥリアス州知事などを乗せた高速列車がマドリッドのチャマルティン駅を出発してレオンへ向かい、レオンでカスティージャ・イ・レオン州知事が合流し、オビエドへ向かった。

同路線の開通工事で困難を極めたのは、カンタブリア山地付近の線路の整備で、約50キロの区間に11の高架、13のトンネルを建設する必要があった。
この区間の総距離の実に80%がトンネルとなっており、その中で最も長いトンネルは24.6キロあり、スペインで2番目、ヨーロッパで6番目、そして世界で11番目に長いトンネルとなった。
国王を乗せた列車は、16時7分に約20年かけて作られたこの巨大なトンネルに入り、その11分後となる16時18分にトンネルを抜けた。

一般旅客を対象にした運行は11月30日から開始されたが、マドリッドからオビエドまでの所要時間が3時間39分と、在来線に比べて1時間15分程度の短縮となったとのこと。
RENFEによると新しい高速列車の運行は1日に片道4〜5便程度となり、ヒホンを出発する始発便が6時台で、その約28分後にオビエドを出発する。
また、最終便は19時台となる模様。
マドリッドのチャマルティン発便については、始発が同じく6時台で最終が18時台とのこと。
当面、この路線では車種としてALVIAが使用され、時速220〜250キロ程度での走行となるが、来年にはTALGO社の新モデルAvrilが導入され、マドリッドーオビエド間の移動時間は2時間43分へと、更に短縮されるとのこと。

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ニュース
*国家遺産モニュメント内部、撮影許可の方向へ
*RENFE、チケットの分割払いが可能に
*新政権下で国会開幕
*サンチェス政権、司法界でも混乱

余談
*応援団募集します!


2023年11月27日(月)

スペイン人の貯蓄率、収入の7.6%

スペインはEU諸国の中では4番目の経済大国として位置づけられるが、上位に位置する国々の中で収入に対する預金率が最も低いだけでなく、2022年には国民の預金額が最も大きく減少した国でもある。
今週、EU統計局が発表した最新情報によると、2022年のスペインにおける預金率は収入の僅か7.6%で、EU諸国平均の12.7%を大きく下回った。
EU内最大の経済大国ドイツの預金率は20%弱、第2位のフランスでは17%強、そして3位のイタリアでは10%弱となっており、4位のスペインを大きく上回っている。
また、新型コロナの影響を強く受けた2020年から2022年にかけての国民の預金額の減少率は、ドイツやフランスでは16%弱にとどまった中、スペインでは56.4%と、エストニア、ラトビア、リトアニアに次いで4番目に大きい数値を記録した。

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ニュース
*サンチェス氏、首相就任直後から様々な論争を呼ぶ
*マドリッド市の大気汚染度減少
*カタルーニャの囚人、初めて外国人がスペイン人を上回る

余談
*マドリッドのクリスマスの様子は?


2023年11月24日(金)

PSOE支持率、急落

カタルーニャ独立主義政党の協力を得ることにより政権を獲得したペドロ・サンチェス率いるPSOEは、独立主義政党との約束を守るため、特別恩赦をはじめとする異例の政策を進めているが、これにより同党の支持者からも強い反感を買っており、PSOEの支持率が急速に落ちつつある。
市場・世論調査会社DYMが今月17日と18日に行った世論調査によると、今、選挙が行われた場合、現与党のPSOEが獲得する議席数は、7月の選挙で獲得した121議席から大きく後退して108〜112議席となり、現最大野党のPPは、7月の選挙で137議席を獲得したが、これが149〜155議席へと増え、大きくその勢力を伸ばすことになる。
極右翼政党VOXについては、7月に33議席を獲得していたものが、28〜32議席に減るという結果となり、やや後退気味だが、少なく見た場合でも、PPの149議席とVOXの28議席で計177議席となり、この2党で過半数に達する結果となっている。

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ニュース
*カタルーニャ:独立派政党、過半数割れか
*シェフ世界一、スペイン人が三連覇
*スペインで最もおしゃべりな町
*アルメリア県の小村、恩赦の適用による負債返済義務免除を要求
*11月24日〜26日の3日間、マドリッド市バスは無料

余談
*浦島くまの日本滞在、他


2023年10月30日(月)

クラシコ出場選手で一番の高給取りは?

去る土曜日、スペインサッカーリーグのクラシコと呼ばれる、バルサ対レアル・マドリッド戦が行なわれ、1−2でレアル・マドリッドの勝利に終わった。
バルサではLamine Yamal、Alejandro Balde、Fermin Lopez、Gaviなど、レアル・マドリッドではBellingham、Camavinga、Rodrygo、Viniciusなど、両チームともに若手選手の起用が目立つが、今回のクラシコに出場した選手の中で最も高給取りなのは誰かについて、サッカー市場調査を行うOK Fichajesが情報を公表した。
それによると、ランキングは次のとおりとなる。
レアル・マドリッドの選手では、トップはToni Kroos選手で年収は24,380,000ユーロ(一週間につき468,846ユーロ)で、これにDavid Alaba(年収22,500,000ユーロ)、Luka Modric(年収21,880,000ユーロ)が続き、そしてViniciusとBellinghamが共に年収20,830,000ユーロ(1週間につき400,577ユーロ)となっている。
またバルサの選手では、トップがFrenkie de Jong選手で年収は37,500,000ユーロだが、怪我のため今回のクラシコには出場していなかった。
よってクラシコ出場選手の中でトップとなるのはLewandowski選手で、年収は20,830,000ユーロ(1週間につき400,577ユーロ)、これにJules Kounde(年収13,550,000ユーロ)、Raphinha(12,500,000ユーロ)、そして共に年収10,000,000ユーロのFerran TorresとGundoganが続くとのこと。

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ニュース
*10月の違法移民、カナリアス諸島だけで13,000人に
*マドリッド、公共交通機関への電動キックボードの持ち込みを禁止
*マラガ − ニューヨーク間直行便、毎日運行

余談
*ハロウィンは大人も当然仮装!、他


2023年10月27日(金)

マドリッドーバレンシア間、マドリッド―アリカンテ間の国内線、廃止か

PSOEとSumarによる新連立政権が誕生した場合の、両政党による協定に組み込まれた政策の一つとして、鉄道で2時間半未満の所要時間で移動出来る都市間では、交通機関としての旅客機運行を廃止すると言う項目があり、これについて、去る火曜日に両政党間での同意があった。
これにより影響が出る航路として、鉄道で2時間で移動が可能なマドリッドーバレンシア間、そして同じく鉄道で2時間20分で移動可能なマドリッド―アリカンテ間が予測されているが、マドリッド―セビージャ間、マドリッドーバルセロナ間のフライトについては、鉄道での移動時間が2時間半となっており、今回の同意にある「所要時間が2時間半未満の場合」と言う条件に当てはまらない、と解釈される可能性が高い模様。

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ニュース
*5人中3人が「恩赦」は政権維持のみが目的だと評価
*Sumar、レオノール王女の憲法宣誓式に欠席
*バルセロナ市長:「グアダラハラ世界書籍見本市に向け、カタラン語からスペイン語へ翻訳すべし!」
*年金・健康保険制度への外国人加入者数増加

余談
*滞在中のユウキさんをお招きして、他 


2023年10月23日(月)

Junts、首相承認投票の前に恩赦法の登録を要請

首相承認投票開催が目前に迫った今、PSOEと野党との交渉は、カタルーニャ独立派政党を除いて、概ねまとまりつつある。
カタルーニャ独立派政党のJunts、そしてERCとの交渉については、今もPSOE側からはその詳細が明かされる事なく続いているが、独立派政党の側からは、その進行状況についてのコメントが公開されている。
カタルーニャの違憲独立運動を進めたことにより有罪判決を受けたあと、国外逃亡生活を続けているプーチデモン元カタルーニャ州知事は、今もその所属政党Juntsの事実上の党首として、国外から自党へ指令を送っている。
同氏は、承認投票において賛成票を投じる代償の一つとして、違憲独立運動に関連して有罪となっている政治家等に対する恩赦の適用を、言葉による約束だけではなく、投票の前に国会の議題として登録することを挙げている。
PSOEとJuntsの交渉が始まった当初、プーチデモン氏は首相承認投票の前に恩赦適用の可決を求めていたが、事実上、時間的に無理があることから、その内容を「議題の登録」へと緩和するに至った模様。
PSOEがこれを行なったところで、実際にその議題をいつ国会で取り扱うかについての時間的制限は存在しないため、Juntsにとって、同議題が実際に国会で扱われることについての保証にはならないが、少なくとも、サンチェス暫定首相が恩赦を行う方向でJuntsと約束をしたと言う証拠が残ることとなる。
また、独立派政党による要求は、恩赦適用に留まることは無く、カタルーニャ独立の賛否を問う州民投票の合法的な開催についても強く求めており、これについては、現カタルーニャ州行政を担う独立派左翼政党ERCがより強く要求している一方で、Juntsは、それよりも2017年に行われた違憲州民投票の結果の尊重を求めている。

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ニュース
*第30回Trashumancia開催
*10月19日、木曜日、マドリッド市で観測史上最多の降雨量。
*バルセロナ、電動キックボードの公共交通機関への持ち込み禁止を続行

余談
*羊語を話す羊飼い、他


2023年10月20日(金)

カタルーニャ州知事、全国州知事招集を受けマドリッドを訪問

昨日開かれた上院議会で、全国州知事を招集しての「恩赦」についての討議が行われた。
今年行われた地方選でPPが大勝したことによって、PPが全国地方行政で幅を利かせているため、 州知事会議となると、サンチェス氏率いる暫定政権PSOEは完全に少数派となる。
その状況で「恩赦」についての議論を行うのは不利となるため、PSOEが政治を執る州からの知事の参加は無かった。
また暫定政府からも、首相をはじめ、閣僚の参加は一切見られなかった。
一方で、「恩赦」の対象となるカタルーニャ独立派政党であり、カタルーニャ州知事であるアラゴネス氏が、珍しくマドリッド入りし、この州知事会議に出席した。
余程のことが無ければマドリッド入りしない彼だが、上院において、「恩赦」は単なる「始まり」に過ぎないと主張し、会議が終了すると、議長への挨拶も無しに早急に立ち去った。
PSOEは、これを上院の名を語ったPP会議であると批判し、PPは、一人も参加しなかったPSOEに対し、「国民から隠れている」と批判している。

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ニュース
*マドリッド市長、バルセロナ市長と会見
*マドリッド、地下鉄車両内で電動キックボードのバッテリーが爆発
*Bildu代表、オテギ氏を誘拐事件6件と殺人事件1件の容疑で告訴
*ポデモス、イスラエルとの外交停止を要求

余談
*現在のスペインのテロ警戒レベルは?、他


2023年10月16日(月)

ペドロ・サンチェス暫定首相、Bilduと協定

サンチェス暫定首相は、次期首相承認投票で必要な賛成票数を確保すべく、各政党との交渉を進めているが、テロ組織ETAの後身とも言える政党Bilduについても、その例外とはならず交渉が行われている。
更には、Bilduの国会スポークスマンを務めるMertxe Aizpurua女史とにこやかに挨拶を交わし、握手する光景が多くの国民を驚かせている。
今年行われた地方選挙の際、Bilduが立てた立候補者リストには、テロリストとして有罪判決を受けたことのあるメンバーが44名(内、7名は殺人罪)含まれていた。
テロ組織としてのETAの解散宣言が出されたあと、そのメンバー等が政党を立ち上げ、今のBilduに至っているが、同政党は未だに、彼らが行った数々のテロ行為についての謝罪どころか、テロに対する糾弾も行っていない。
これまで、彼らを正式な政党として認めていなかった政党が多く、PPは勿論、PSOEについても同じで、サンチェス暫定首相は、2015年に、ナバーラテレビの番組の中で次のような発言を行なっている。
「私はBilduと協定を結ぶようなことは無い。5回でも20回でも繰り返そう。 Bilduとは手を組むことは無い。もう一度言いましょうか?」

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ニュース
*24時間で700人の違法入国者を保護
*ピラールの飛び石連休にAVEマドリッドーバレンシア線故障
*9月の消費者物価指数3.5%、食品物価指数10.5%
*10年後、年金制度維持のためには65歳の50%が労働継続

余談
*AIが高齢者に見守り電話?、他


2023年10月13日(金)

多数のロシア人、ウクライナ人がスペインへ引っ越し

今年前半の6か月間におけるロシア人とウクライナ人によるスペイン国内の住宅不動産の購入件数は、それぞれ50%増し、40%増しとなった。
1月から6月までの間にロシア人が購入したスペインの住宅物件数は2,137軒で、過去9年間で最多となり、これですでに2年6か月間、増加を続けている。
この半年間に彼らが購入した2,137軒の住宅の内、1,447軒はスペインに居住しているロシア人による購入で、非居住者による購入は690軒であった。
一方で、同期間のウクライナ人による購入件数は1,758件となり、こちらも過去最高記録となった。
その内、スペインに居住するウクライナ人による購入が1,406件、非居住者による購入が352件となった。
これら両国民によるスペイン国内不動産の購入件数は大きく増加したが、外国人による購入全体を見ると、前年度同時期と比べて7.5%減少しており、その総件数は67,983件となっている。
国籍別で見た場合、今年1月から6月までの期間にスペイン国内の住宅物件を最も多く購入したのはイギリス人で、全体の9.6%を占めた。
これに続いたのがドイツ人(8.1%)、モロッコ人(7.3%)だった。

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ニュース
*カナリアス諸島、9日間で4,531名の違法入国者を保護

余談
*ディア・デ・ラ・イスパニダ(イスパニア・デー)、他


2023年10月9日(月)

バルセロナで反恩赦大規模デモ

昨日、バルセロナで、市民団体Societat Civil Catalanaの招集により大規模な反恩赦デモが行われた。
これは、現在サンチェス暫定首相が進めている、「カタルーニャ独立派政党の政治家等が行なった違憲独立運動に関連した数々の違法、違憲行為に対する有罪判決を、恩赦適用により帳消しにする」と言う動きに対し、強い拒絶の意思を訴えるもので、同デモの主催団体であるSocietat Civil Catalanaによると、およそ30万人が直接参加し、更に40万人がオン・ラインでのライブ配信を通じて参加したとのこと。
一方、地元警察は、現地での参加者数はおよそ5万人だったとしている。
カタルーニャで反独立派の人々による大規模デモが行われたのは、6年振りのことである。
サンチェス暫定政権に対し、「カタルーニャの名を使ってのカタルーニャ問題解決」と言ったやり方に抗議すると共に、違憲独立プロセスを進めた罪人であり、その行為について改心するどころか、再び同じことを繰り返すと公言してカタルーニャ社会を脅迫している独立派政治家等に対し、暫定首相の個人的地位を守ると言う目的で 恩赦を適用するなどもってのほかであるとして、強く拒絶する意志を示した。
デモにはPP、Vox、Ciudadanosなどの政党の代表等も駆けつけ、市民団体の後押しを行った。
PPからは、その代表であるアルベルト・ヌニェス・フェイホー氏やマドリッドのイサベル・ディアス・アジューソ州知事、ホセ・ルイス・マルティネス・アルメイダ市長が駆けつけ、更にはアンダルシア州知事であるフアンマ・モレノ氏、ムルシア州知事のフェルナンド・ロペス・ミラス氏などの顔も見られた。
Voxからは、その代表であるサンティアゴ・アバスカル氏が、Ciudadanosからもその総書記長を務めるアドリアン・バスケス氏などが参加した。
マドリッドのアジューソ州知事は、デモ開始前の演説で、ペドロ・サンチェス暫定首相に対し、「首相の座に居座るために必要な僅か7票のために、スペインの未来を変えてはならない」とし、また、「憲法違反であることを、その解釈をゆがめて合憲に見せかけたところで、真実を歪めることは出来ない」と訴えた。
更にPPのフェイホー代表は、「このデモに足らないのはPSOEの姿であり、彼等はここへ来る代わりに、選挙で負けたにも関わらず首相の座を得るべく、独立主義者の協力を得るための交渉をしている」と訴えた。

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ニュース
*10人中6人が月額1,080ユーロ未満の年金

余談
*南京虫に要注意!、他


2023年10月6日(金)

サンチェス首相候補、カタルーニャ 州民投票の可能性を否定

去る火曜日に国王フェリペ6世とPSOEのサンチェス代表との会見が行われ、国王は、サンチェス氏を首相候補として正式に任命した。
サンチェス氏はこれを承諾し、国会での承認に必要な賛成数を獲得するための各政党との交渉期間に入った。
首相として承認を受けるための期限は11月27日となっており、これまでに承認を受けられなかった場合は再選挙となる。
サンチェス氏を首相として承認するための条件をそれぞれの政党が提示しているが、中でも、カタルーニャ独立派政党であるJuntsとERCが要求している「カタルーニャ独立主義政治家への恩赦適用」と「カタルーニャ独立の賛否を問う州民投票開催要求」が世論を騒がせている。
サンチェス氏は、恩赦適用については寛大な措置をとるとしつつ、州民投票開催の認可や保証は無いとしている。
恩赦については、あくまでも憲法を尊重したうえで可能な範囲で行うと強調している。

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ニュース
*バルセロナ大学で、護憲主義団体を警察が警護
*10月12日、ディア・デ・ラ・イスパニダの祭典
*バルセロナ市のマンション賃貸料、過去3か月で6.6%の値上がり
*2030年サッカーワールドカップはスペイン、ポルトガル、モロッコに決定
*グラナダ:ヨーロッパサミットにより、アルハンブラ宮殿の観光が3日間不可に

余談
*スペイン料理シェフ「ののちゃん」をお迎えして


2023年10月2日(月)

フェイホー氏首相承認決議、可決とならず

先週金曜日に、フェイホー氏の2度目の首相承認決議が行われたが、予想どおり、その二日前に行われた1度目の決議と同様の結果に終わった。
ただし、1度目が賛成172票 対 反対178票だったのに対し、2度目では賛成172票 対 反対177票となった。
反対票が1票少なくなったのは、口頭による投票が行なわれた中で、反対するはずのJunts所属議員1名が、誤って賛成を意味するSiと答えてしまったことにより、これが無効票として扱われることになったためである。
これにより、フェイホー氏による今回の政権樹立の可能性は絶たれ、続いて、第2候補となっていたPSOE所属のペドロ・サンチェス氏の承認決議へと駒が進められる。
国会の フランシーナ・アルメンゴル議長よりフェイホー氏の承認不成立についての報告を受けた国王フェリペ6世は、本日と明日の二日間に渡って各政党代表との会見を行い、正式に次なる首相候補を決め、これを国会へ提示することとなる。
2番目の候補として立候補する可能性があるのは、ペドロ・サンチェス氏のみであり、他の政党の代表等がこの首相候補をどのような姿勢で受け止めるのか、協力するのか、反対するのか等について、国王はそれぞれの意見に耳を貸すこととなる。
国王による各政党代表との会見は、議席数の少ない政党から開始される。
よって本日、月曜はUPN、CC、PNV、Sumar、Voxの代表の番となっており、明日、火曜日にPSOE、そしてPPとの会見が予定されている。

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ニュース
*「アトーチャのバシリカ」と「著名人のパンテオン」で無料観光案内
*ムルシアのディスコで火災、死亡者多数か

余談
*スペイン人は王政に賛成?、他


2023年9月29日(金)

フェイホー氏首相承認決議でサンチェス氏、討論に参加もせず

PP所属の新首相候補、アルベルト・ヌニェス・フェイホー氏の首相承認決議に向けての討論が、去る火曜と水曜の二日間に渡って行われたが、初日の討論におけるPSOEの持ち時間に壇上に上がったのは、その代表を務めるサンチェス氏ではなかった。
PSOE所属議員ですら、そのほとんどがこれについて知らされていなかった中、壇上に姿を現したのは元バジャドリ市長のオスカル・プエンテ議員だった。
これにより、サンチェス氏はフェイホー氏の首相承認決議に向けた第1回目の討論を事実上、無視することとなった。
これには、PPが立てた首相候補、フェイホー氏を軽視すること、また、カタルーニャ独立派政治家等への「恩赦政策」について、今のタイミングで国会において直接討論するのを避けたい意向が伺える。
そして翌日、第2回目の討論で、サンチェス氏は開始時間に遅刻して来ると言う形で、再びフェイホー氏を軽視する態度を示した。
サンチェス氏が国会に到着した時、すでに開始から2分が経過しており、Bilduの党首メルチェ・アイスプルア氏の姿が壇上にあった。
ペドロ・サンチェス氏は、過去にも同様に公式な場での遅刻歴があり、2022年のイスパニアデーでは、遅れていた彼の到着を国王が車の中で待つこととなった。
更に2019年に遡ると、彼の遅刻により国王を50分間も待たせると言う事態に至ったこともある。

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ニュース
*首相承認決議、最終場面へ
*10%の富裕層がスペイン不動産の30%以上を所有
*マドリッド初の全世代用カルチャーセンターが間もなく開館
*動物愛護法、本日より施行

余談
*文化センターも色々、他


2023年9月25日(月)

反恩赦、大規模集会に6万人

昨日、日曜日、マドリッド中心部において、暫定政府が行おうとしているカタルーニャ違憲独立運動に関わった 政治家等に対する恩赦に抗議する大集会が開かれた。
参加したのはマドリッド住民だけではなく、スペイン各地より到着した大型バスの数は200台にのぼり、 参加者の数は、PPによると6万人以上、暫定政府によると4万人と報告された。
集会には、かつて首相を務めたホセ・マリア・アスナル氏やマリアーノ・ラホイ氏等の姿も見られた。
PPの現党首、アルベルト・ヌニェス・フェイホー氏はその演説の中で、自身が首相となってもならなくても、スペインの全国民にとっての「公平」、「平等の権利」を守り抜くとし、一部の政治家だけが特別扱いを受ける事は許される事ではないと訴えた。
また、暫定政府の中核をなす政党PSOEの党員等に対し、サンチェス暫定首相が進めている一連のカタルーニャ独立派勢力との交渉について、党内討議を行うことを促した。
PSOE内ではすでに、フェリペ・ゴンサレス元首相やアルフォンソ・ゲーラ元副首相などから、サンチェス暫定首相のやり方に対し強い非難の声が挙がっている。
また、市場・世論調査会社NC Reportが行ったアンケート調査によると、「カタルーニャの違憲独立運動プロセスを進めたことにより有罪判決を受けている政治家等に恩赦を適用すべきか」と言った質問に対し、去る7月の総選挙においてサンチェス氏率いるPSOEに票を投じた人々の中でも、その10人中約8人(78.8%)が「ノー」と答えた。

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ニュース
*スペインの空港での手荷物検査に変化
*不動産売買、6か月連続で減少

余談
*夏の戻り:10月第1週まで、他


2023年9月22日(金)

国会でのカタラン語、ガジェゴ語、エウスケラ語の使用開始

ペドロ・サンチェス暫定首相率いるPSOE政権の続投を支持する代償して、カタルーニャ独立派政党が提示した条件の中の一つに、国会、そしてEU議会におけるカタラン語の使用権の保証が含まれている。
これを実現すべく、暫定政府は国内だけでなく、EU内でもその手続きを進めているが、まずは去る火曜日の国会より、カタラン語、ガジェゴ語、エウスケラ語を使用することが可能となった。
これに伴う物理的な変化として、同時通訳が数人同席することとなり、議員だけでなく、報道陣や見学者等も含め、全員に片耳用イヤフォンが渡され、これを着用しての参加となる。
そして、この初回となる多言語国会の中で、国会におけるカタラン語、ガジェゴ語、エウスケラ語の使用に関する新しい規定についての討議が行われることとなったが、PPとVOXは、「全員がカステジャーノと言う共通の言語で意思疎通が出来る中、これら多言語の使用とそれに必要な機材の導入は必要無い」として、反対の姿勢を維持している。
今回の国会では650個のイヤフォンが用意されたが、以前より200個は所有していた為、新たに用意したものは450個で、これにかかった費用は7,600ユーロであった。
これらイヤフォンは買取であったことから、故障しない限り更なる出費は無いが、音声の発信機材や必要なケーブル類などは、今年末まではレンタルを使用することとなっており、この費用が45,900ユーロにのぼるとのこと。
そして来年以降は、この発信機材についても買取りに変更する予定とのこと。
同時通訳については、この年末までの間、12名との契約を行なうとしているが、その費用については公開されていない。

一方で、EUにおけるこれら3言語の公式な導入については、去る火曜日よりEU議会での協議が始まっているが、これが可決されるためには加盟国全ての賛成が必要となり、現時点ではすでにスウェーデン、フィンランド他、数か国がその必要性に疑問を示している。
尚、EU議会の承認をより得やすくするために、サンチェス首相はこれら3言語の導入について、必要となる費用はスペイン政府が負担するとしている。

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ニュース
*3人中2人が恩赦適用に反対

余談
*マドリッドで30年振りの大規模モネ展、他


2023年9月18日(月)

闘牛の町“アルバセテ”

毎年アルバセテで9月に行われる秋祭りは、闘牛文化において、マドリッド、セビージャに続いて、スペインで3番目に重要なフェリアとなっている。
このフェリアでは10日間連続で闘牛が行われるが、牛追い祭りで有名となっているパンプロナのサン・フェルミン祭ですら、10日間の興行は無い。
アルバセテで行われる10日間の闘牛プログラムの内訳は、7回の正闘牛、2回の見習い闘牛、そして1回の騎馬闘牛となっており、その充実したプログラムにより、9月のスペインにおける闘牛文化の中心となっている。
今年のこの9月の闘牛は、昨日、9月17日、日曜日を持って閉幕となった。
尚、今年マドリッドで行われる秋のフェリアでの闘牛は、9月30日が初日となり、その後10月1日、5日、6日、7日、8日、11日、12日の計8回の興行が予定されている。
今シーズンを持って引退宣言をした名闘牛士“エル・フリ”が出場するのは、初日となる9月30日の予定。

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ニュース
*カナリアスに上陸した違法移民、15日間で3,000人以上に
*Zara、更に躍進

余談
*カタラン人とバスク人の会議は何語で?、他


2023年9月15日(金)

マラガのピカソ美術館職員、ストライキへ

今年はピカソ没後50年を迎えるだけでなく、マラガのピカソ美術館が誕生して20周年を迎える。
これに合わせて同美術館では様々な企画が用意されており、その中の主要展示会の一つ、「El eco de Picasso(ピカソのエコー)」が間もなく10月2日より公開となるが、その直前の9月18日から9月22日までの5日間に渡り、従業員のストライキが予定されている。
従業員組合によると、同美術館で働く彼らの労働条件は、同様の規模を持つスペイン全国の美術館の中で最も悪く、その労働時間も長ければ、休暇も少ないとのこと。
給与に至っては、最も高い給料を得ているビルバオ美術館の従業員と比較すると、年収にして1万ユーロ少なくなっている。
こう言った状況下で、同ピカソ美術館は新館長の募集要項を発表したが、これによると館長の年収は8万ユーロで、住居費として2万5千ユーロ、交通費として5千ユーロが保証されているとのこと。
これを知った従業員等は、更に怒りをあらわにしている。

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ニュース
*大雨続くも水不足の解決につながらず
*村落の学童不足、急速に深刻化
*スペイン、義務教育どまりの人口がヨーロッパで最多
*地下鉄サンティアゴ・ベルナベウ駅の大改装工事、来年開始

余談
*元祖チョコレートの国スペイン、他


2023年9月11日(月)

マドリッドーシグエンサ間 中世列車運行開始

スペイン国鉄RENFEは、今年も中世列車の運行を開始した。
これはグアダラハラ県の町、シグエンサ市行政の協力を得て行われるもので、中世の町、シグエンサの歴史や伝説などを紹介する文化企画となっている。
今季1本目の列車は、去る土曜日の朝10時にマドリッドのチャマルティン駅を出発した。
その後10時29分にアルカラ・デ・エナレス駅に、10時48分にグアダラハラ駅に停車し、これらの駅からの利用者を乗せたあと、11時37分にシグエンサに到着。
中世の面影を色濃く残す町シグエンサでは、ガイドの解説付きツアーが用意されており、主なモニュメントの見学を楽しむことが出来、また、乗車券を提示することによって、同企画に登録しているレストランで10%の割引を受けることが出来る。
シグエンサでの歴史散策を楽しんだあと、19時45分に再び列車に乗り込み、グアダラハラ駅への到着が20時36分、アルカラ・デ・エナレス駅への到着が20時56分、マドリッドのチャマルテイン駅への帰着が21時29分となる。
料金は大人45ユーロ、14歳以下は20ユーロとなっており、4歳以下で座席を使用しない場合は無料とのこと。
ただし、無料で同行出来る子供の数は大人一人につき一人までとなっており、無料券を入手する必要がある。
この中世列車の運行は春と秋に行われており、秋のこの後の運行予定は9月28日、11月4日、11月11日となっている。
チケットはRENFEのオンライン販売で入手可能。

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ニュース
*カタルーニャのDiada、独立派勢力沸騰
*消費者協会、オリーブオイルの販売価格に異常を確認

余談
*電話による新手詐欺、他


2023年9月8日(金)

プーチデモン元カタルーニャ州知事による5つの条件

PSOEは、カタルーニャ独立派政党Juntsによる首相承認決議における賛成票を得るため、スペイン国内指名手配を受ける元カタルーニャ州知事、プーチデモン氏とブリュッセルで会談を行った。
同氏との会談に臨んだのは、暫定副首相であるYolanda Diaz(ジョランダ・ディアス)氏であった。
これに対し、PPやVOXを筆頭に各方面から強い非難の声が挙がっているが、PSOEは、暫定副首相が政党の代表として、また、スペイン政府の代表として行ったことでは無いと説明している。
現在、PPのフェイホー党首が、次期首相の承認決議に向け、一票でも多くの賛成票を集めようと各政党との交渉を続けているが、これが失敗に終わった場合、続いてPSOEのペドロ・サンチェス党首が同様に首相承認決議に臨むこととなる。
しかし、承認を勝ち取るためには、スペインの法の裁きを逃れ国外逃亡中であるプーチデモン氏率いる、カタルーニャ独立派政党Juntsによる賛成票が必要となるため、事実上、その交渉が開始されたと言えよう。
各紙報道によると、プーチデモン氏は、サンチェス氏への賛成票を投じる代償として、明確な条件を5つ提示した模様。

1.独立運動の正当性を認めること。

2.2017年10月1日に行われた州民投票だけでなく、2014年11月9日から25日にかけて行われた投票にまでさかのぼり、これらについて下された全ての有罪判決を取り消すこと。

3.「独立問題は法的問題ではなく政治的問題である」として、法廷に持ち込むのをやめること。

4.第三者による仲介。同時にEU内の公式言語として、カタラン語を含めること。

5.政府公認の上での州民投票を実施すること。

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ニュース
*夏の休暇終了と共に18万5千人が失業
*マドリッド市がトレド市に市バス15台を貸し出し
*マンションの間貸し増加

余談
*チャンネル登録者1000人達成のご挨拶と乾杯、他


2023年9月4日(月)

第63回国際バレンシア風パエージャコンクール、間もなく開催

バレンシア県にあるSueca市で毎年行われる国際パエージャコンクールは、今年で63回目を迎える。
今年の開催は今月10日、日曜日に予定されており、世界各国から集まる45人の料理人によって競われる。
今回の参加者を国別でみると次のとおり。
プエルト・リコ、ペルー、エクアドル、アルゼンチン、メキシコ、チェコ、コスタ・リカ、オーストラリア、イタリア、スイス、イギリス、アンドーラ、韓国、日本、カナダ、スペイン。
このコンクールは、スペインで行われる美食コンクールとしては最も古いものとされており、初回の開催は1961年に遡る。
開始当時は同地方での小規模行事だったが、5年後にはスペイン全国規模の大会となり、1990年には世界各国からの参加者を受け入れての国際大会へと発展し、今ではパエージャを競う大会としては世界を代表するものとなっている。
同大会では独自の変わったパエージャを競うのではなく、長年、バレンシアの一般家庭で作り続けられてきた最も伝統的なパエージャを美味しく作ることを競うもので、全ての参加者に対し、ふんだんな野菜、1キロ半の米、鶏肉、ウサギの肉、オリーブ油、水、塩など、同一の食材が用意される。

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ニュース
*大雨による被害、本土中央部で拡大
*カタルーニャ、外人観光客数2019年より2.5%減
*Olot市、市内中心部での電動キックボード使用を禁止

余談
*Youtubeチャンネル登録者数1000人達成!、他


2023年9月1日(金)

トマト祭りのカメラ取材用入場料700〜900ユーロ

去る8月30日に、バレンシア州の街、ブニョルでラ・トマティナ(トマト祭り)が開催された。
この行事を取材する目的で報道陣がカメラを持って報道陣用スペースに入るためには登録及び予約が必要だが、それは理解できるとしても、それに伴う入場料が高すぎるとして、バレンシアの記者組合は、開催都市であるブニョル市を訴えた。
報道陣用のスペースに入るためには、700〜900ユーロの請求を受けることとなっており、記者団はこの料金は高額であり、報道の権利が侵害されていると主張しているが、これに対しブニョル市と、市からトマト祭りの運営を任された企業は、狭いために場所の確保が難しいことをその理由に挙げているが、記者団はその解決策として、時間による交代制などの適用を求めている。
しかしながら、これら記者団は、運営企業から「取材料金を払えないのであれば他の仕事をせよ」との返答を受けたとのこと。


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ニュース
*アルベルト・ヌニェス・フェイホ―、ペドロ・サンチェスに前代未聞の提案
*Vuelta a Espanaの妨害に400リットルの油
*住宅ローン支払いに収入の半分が必要

余談
*夏の休暇の後スペインは?、他


2023年8月28日(月)

バレアレス諸島、嵐による被害甚大

昨日、日曜日、各地で大雨や強風による被害が報告されたが、特にバレアレス州で大きな被害が出ている。
8月の最終日曜日と言う事もあり、夏の休暇を終えて帰る旅行客も多く、昨日だけでマジョルカ島、メノルカ島、イビサ島の空港では1,455便の運行が予定されていたが、悪天候のため100便以上がキャンセル、または他の空港に着陸することとなった。
島々では、強風により路上に様々な障害物が散乱し、各地で土砂崩れや木々が倒れるなどの被害が続出した。
また停電の被害も5,500軒に及んだ模様。
海でも、パルマ市の港に停泊中だった全長330メートルの大型クルーズ客船ブリタニア号の固定用ロープが強風で切れたことにより、船が動き始め、傍に停泊していた石油タンカーCastillo de Arteagaと衝突する事故が発生。
これにより石油タンカーが岸壁に接触し、その外壁に亀裂が入ったが、油が流れ出すには至らなかった。
また、750名の乗客を乗せたフェリーCiudad de Mahon号も、イビサ島の港に係留しようとしたところを強風にあおられ岸壁に接触。
その後、再度の試みで係留には成功したが、先の接触事故で外壁に損傷が生じたため、全ての乗客と車両とをそこで降ろすこととなった。
この他にもカタルーニャ州、バレンシア州を中心に強風、大雨、雹などによる大きな被害が多数報告されている。


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ニュース
*カタルーニャ過激独立主義者、Vuelta a Espanaを妨害

余談
*今スペインは夏?冬?、他


2023年8月25日(金)

PPのアルベルト・ヌニェス・フェイホ―氏、政権樹立に向けて行動開始

国王フェリペ6世は、今週の月曜日と火曜日の二日間に分け、ERC、EH Bildu、BNG、Junts等の 独立派政党と民族主義政党を除く他の7つの政党の代表との個別会見を終えた。
7つの党の内、PPのアルベルト・ヌニェス・フェイホ―代表、そしてPSOEのペドロ・サンチェス代表の2名が 、首相として立候補したい旨を国王に告げた。
総選挙の結果が出たあとに行われるこの一連の会見で、2名以上の立候補者が現れたのは今回が初めてのことであった。
そしてその両名共に、国会での承認決議で承認される為に必要な過半数の賛成票を獲得する目途が立っていない。

過半数に達する為には176名の議員の賛成が必要となるが、総選挙で国民による最多投票数を獲得したPPが持つ議席数は137議席で、これに33議席を持つ極右翼政党VOX、1議席を持つナバーラの右翼政党UPN、同じく1議席を持つカナリアスの中道右翼政党Coalicion Canariaの協力を得て計172議席と、過半数に4議席足らない状態となっている。
また、PSOEについても、総選挙で得た議席数は121議席で、これに31議席を持つ左翼グループSumar、そしてカタルーニャ独立派政党ERC、バスク独立派政党EH Bildu、バスク民族主義政党PNV、ガリシア民族主義政党BNGなどの協力を得ても計171議席となっており、過半数に5議席足らない状態となっている。
しかしPSOEのペドロ・サンチェス代表は、この足らない賛成票を獲得する為、国外逃亡中のプーチデモン元カタルーニャ州知事率いるカタルーニャ独立派政党Juntsが持つ7議席の賛成票を得ようと、強引とも言える裏交渉を続けており、これが実現すると過半数以上の賛成票を得ることが可能となる。

こう言った状況下で、国王がこれら両名の内、どちらを首相候補として推すのかが注目されていたが、これまでの慣例に習って、国王は最多投票数を獲得した政党、PPの代表を候補者として指名した。
これを受けて国会のArmengol新議長は、候補者となったアルベルト・ヌニェス・フェイホ―氏との相談の上、国会における首相承認決議の日程を発表した。
これによると、第1回承認決議は9月27日に行われる予定で、ここで不承認となった場合、2度目の決議がその二日後の29日に行われる。
1度目の決議で承認される為には過半数以上の賛成が必要となるが、これが失敗に終わった場合にその二日後に行われる2度目の決議では、賛成票が反対票を1票でも上回れば承認されることとなる。
決議が行われる日まで、PPは更なる協力を得るために各政党との交渉を続けることとなり、その交渉相手の中にはカタルーニャ独立派政党が含まれることも有り得るが、バスクの過激独立派政党EH Bilduとの交渉は無いと予想されている。
また、2度目の決議も失敗に終わった場合、その後の流れとして最も可能性が高いのは、同様に首相立候補を表明したPSOE代表ペドロ・サンチェス氏にその機会が与えられると言う展開だが、サンチェス氏の承認決議も成り立たなかった場合、国王が上院・下院の両方を解散し、再選挙となる。
尚、仮に再選挙が必要となった場合、来年の1月14日となる可能性が高い。


その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*オリーブ油価格、過去最高値更新
*スペインで最も観光客が集中するところは?

余談
*スペイン・サッカー連盟会長:辞任する?しない?、他


2023年8月21日(月)

国会新議長、国会でのカタラン語使用認可を延期

先週木曜日に国会の新議長として選出されたPSOE所属のArmengol議長は、新議長就任と同時に、次回の国会よりカタラン語、バスク語、ガジェゴ語の使用を認める旨を発表し、左翼系政党、民族主義政党等の拍手喝さいを得たが、それから24時間も経たないうちに、この発言を撤回した。
議長は、基本的にその地方の議員しか解せないこれらの方言を国会で自由に使用するための準備が全く整っていないこと、そしてこれを実現することが簡単ではなく、専門家との相談を含め、様々な準備と経費が必要となり、これには時間も要すること、そして次回の国会からこれを実行する事には無理があることを認めた。
そして、可能な限り早急にこれの実現に向けて取り組むとして、木曜日の発言を訂正した。

テネリフェ島の火災被害、更に拡大

去る8月15日に始まったテネリフェ島の山火事による被害面積は、昨夜21時半の発表時点で12,813ヘクタールに達していた。
また、地元行政の発表によると、土曜日の夜に避難所で夜を過ごした人の数は1,005名とのこと。
昨夜、風が弱まり、火の広がり方が遅くなった事などにより消火活動が効率よく進んだ為、一部、火の勢いが制御下に置かれつつあるが、未だ制御不能な状態となっているところもあり、専門家によると、21,000ヘクタールを焼き尽くすだけの勢いがあると推測されるとのこと。
尚、調べによると今回の山火事の原因は放火とのこと。

余談(Youtube動画でお話ししています)
*スペイン初優勝:喜びと悲しみ、他


2023年8月18日(金)

国会役員選出で左翼が優勢

去る7月23日に行われた総選挙のあと、PP、PSOEを中心とした政権闘争が続いているが、政権樹立に向けての第1歩として、昨日、今期国会の新役員選出が行われた。
スペインの国会ではその役員として、議長1名と副議長4名、秘書4名の計9名が選ばれるが、議長職をPSOEが獲得した。
その他についても第1副議長、第2秘書をPSOE、第3副議長、第1秘書をSumarが獲得し、議長職を含めた計5名が左翼勢力となった。
今回の選挙で最多議席数を獲得した中道右翼のPPは、残りの第2副議長、第4副議長、第3秘書、第4秘書の4職を得るにとどまった。
PSOEは、議長職を獲得するためにJuntsやERCなどのカタルーニャ独立派政党の協力を得るべく、その交換条件として幾つかの約束を交わした模様。
その約束の中には、スペインの国会でカタラン語やバスク語、ガジェゴ語などの使用を認めるだけでなく、EU議会においてもこれらの言語の使用を認めてくれるよう要請することが含まれている。
また、2017年にあったカタルーニャにおける違憲独立プロセスに関しても、「違憲、違法と見なされている全ての事項について、その責任を問わずに済む合法的手段を検討する」と言った内容が含まれる模様。
国会の役員選出が終わった今、PPとPSOEによる政権闘争の最終段階に入り、国王による首相候補の指名が行われ、国会での承認決議へとの流れとなる。 
伝統的に、選挙で最多票を獲得した政党の代表が指名されるが、昨日の国会役員選出で、選挙での最多票獲得政党PPではなくPSOEが議長職を勝ち取ったと言う事実から、国会において他の政党からより多くの協力を得ることが出来る政党は、PPではなくPSOEであると言う現状が明らかとなった。
こう言った中、国王がこれまでの慣習通りに最多票獲得政党のPPを推すのか、そうでは無く、より支持政党の多いPSOEを推すのか、注目が集まっている。

スペインの空港利用者数、記録更新

今年1月から7月までの7か月間にスペインの空港を利用した人の数は1憶5,920万人に達し、パンデミア前の最多記録であった2019年度の数字を1.2%上回った。
また7月だけで見た場合、利用者数は2,970万人で、2019年の7月と比較して同じく1,2%の増加となった。
この7月の利用者数2,970万人の内、2,040万人が国際線の利用者だった。
同月、利用者数が最も多かった空港はマドリッドのバラハス国際空港で、550万人を記録。
これにバルセロナ(490万人)、パルマ・デ・マジョルカ(440万人)が続いた。
貨物輸送についても、最も多かったのはマドリッドの空港で52,042トンとなり、これにバルセロナ(13,454トン)、サラゴサ(8,719トン)が続いた。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*Leonor王女、軍事学校に入学
*スペイン初の植物預かり所兼病院が誕生
*スペインの貯水量、今年始めて40%を切る

余談
*巨大三つ葉と千本しし唐、他


2023年8月14日(月)

燃料費高騰によりガソリン1.68ユーロ、ディーゼル1.552ユーロ

この5週間、燃料費の高騰が続いており、今年に入ってからの最高値を更新し続けている。
ディーゼルの場合で、55リットルタンクを満タンにしようとするとその費用は85.36ユーロとなり、この夏が始まった時と比べて6.88ユーロの増額となっている。
夏の開始とされた6月19日時点では、ディーゼルはリッターあたり1.427ユーロだったが、今では1.552ユーロと、8.8%値上がりしている。
またガソリンについても5.3%の値上がりが見られ、リッター1.596ユーロから1.68ユーロになり、55リットルタンクを満タンにすると92.4ユーロと、夏開始時より4.54ユーロの増額となっている。
ガソリンの値段がリッター1.86ユーロであった1年前と比べると、現時点での1.68ユーロの方が安くなっているように思われるが、1年前には燃料費急騰に対し政府による経済支援があった事により、リッターあたり20センティモの割引が適用されていた為、消費者にとっての価格は1.86ユーロではなく、1.66ユーロだった。
しかし現在では同支援が打ち切られている為、1.68ユーロがそのまま消費者にとっての値段となり、事実上、1年前よりも高値となっている。
5週間連続でこれら燃料費は高騰を続けているが、過去最高値と比較すると、まだ随分と差が見られる。
これまでで最も燃料費が値上がりしたのは2022年6月末頃で、リッターあたりの値がガソリンの場合で2.128ユーロ(20センティモの支援により1.928ユーロ)、ディーゼルの場合で2.1ユーロ(20センティモの支援により1.9ユーロ)に達した。

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ニュース
*7月のインフレ率2.3%
*「海水浴禁止」でも「泳げます」

余談
*バルセロナのレストランは一人で入れない?、他


2023年8月11日(金)

イベリア航空、数年以内にツェッペリン(硬式飛行船)の運行開始

イベリア航空は、スペイン国内の近距離便に代わる移動手段として硬式飛行船の運行計画を進めているが、いよいよそれが具体化しつつある。
スペインでは、地球の環境保護のため、近距離の移動については飛行機の利用を避け、鉄道を利用する方向に移行しつつあるが、それに対応するためイベリア航空では、より環境汚染の少ない硬式飛行船の運用を検討していた。
導入が予定されているのはイギリスのHybryd Air Vehicles (HAV)社によるもので、同飛行船では一般の旅客機と比べ、CO2の排出量を90%まで減らすことが可能となる。
これは世界最大の飛行船で、71メートルの長さを持つボーイング747より大きく、船体の最も長い部分は92メートルあり、収容人数は100名程度とのこと。
現時点では、2026年にはその運行を開始する予定となっている。
イベリア航空は、そのグループ会社であるAir Nostrumを通じて、この飛行船を10機まで増やす予定とのこと。
開始と共に運行が予定されている路線についての情報はまだ明らかではないが、マドリッドーバレンシア間、バルセロナーマジョルカ間などが例として挙げられている。
このハイブリッド飛行船の飛行速度は時速130キロ程度となるが、大気汚染度が少ない事に加え、滑走路の必要が無く、平坦なところであれば陸地でも海でも離着陸が可能、と言う特徴を持つ。

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ニュース
*新型コロナ抗原検査キットの販売数激増
*ボツリヌス菌騒動で、トルティージャの生産を再開できず
*マンション賃貸料、更に高騰
*死産児の戸籍登録を認可

余談
*スペインの子供は大人になったら何になりたい?、他


2023年8月7日(月)

サンチェス政権続投の代償はカタルーニャ州財政負債の免除か?

暫定政府が持ち出した州行政への負債免除案は、未だ正式なものでは無いものの、すでにスペイン全国で多くの議論を呼んでいる。
暫定政府が今後も政権を維持するためには、カタルーニャの独立派政党による賛成票が必要な状況となっているが、これを得るための代償として、カタルーニャ州が抱える巨額の負債を免除する可能性が高いと思われ、これが全政党で物議をかもしている。
サンチェス暫定政権がこれをカタルーニャ州政府のみを対象に行うと言う可能性は少ないが、この政策を正当化するために、全ての州に対し同様に免除を行った場合、これによって最も大きな恩恵を受けるのは、全州の中で最大の負債を抱える州、つまりカタルーニャ州となり、逆に、負債が無いことから全くその恩恵を受けないのがマドリッド、バスク、ナバーラの3州となる。
また、これら3州に続いて、これまでの州行政努力により負債を極力軽減して来たカスティージャ・イ・レオンやガリシア、カナリアス、アストゥリアスなども、極端に不公平な政策の犠牲となる。
負債を抑えている州の中には、サンチェス暫定政権と同じ政党による行政もあることから、今回の「行われるかもしれない不公平な政策」については、政党の違いを超えて、各方面から非難の声が上がっているが、この政策がどのような内容となるのかについて、暫定政府は未だ、その詳細には触れていない。

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ニュース
*スペイン北部の人気上昇

余談
*ワールドユースデーでスペイン人に奇跡、他


2023年8月4日(金)

政権闘争続く

PP、そしてPSOEの2大政党は政権獲得に向けて闘争を続けており、中でもPSOEによるカタルーニャやバスクの独立派政党との交渉が活発化している。
7月23日に行われた選挙で最多議席数を獲得したPPは137議席、そしてそれに対するPSOEは121議席を有している。
スペインの国会の総議席数は350議席となっており、首相承認に必要とされる過半数による賛成を得るためには176議席が必要だが、過半数の賛成票による承認に至らない場合、2度目の採決では反対票よりも賛成票が1票でも多ければ承認されることとなる。
今回の選挙で最多議席数を獲得したPPの状況をみると、党が持つ議席数137に右翼政党VOXが持つ33議席の賛成票が加わると、賛成が計170票となり、これにUnion del Pueblo Navarro(UPN)党が持つ1議席が加われば、計171票の賛成票となる。
一方、議席数121を有するPSOEは、左翼勢力が集まる政党であるSumarが持つ31議席、バスク民族政党PNVが持つ5議席、ガリシア民族政党BNGが持つ1議席、カタルーニャ独立派政党のERCが持つ7議席、バスク過激独立派政党Bilduが持つ6議席が加わると、こちらも同じく計171票の賛成票となる。
ここで、カタルーニャの違憲独立運動に関連する様々な罪状により指名手配を受け、国外逃亡生活を続けている プーチデモン元カタルーニャ州知事率いるカタルーニャ独立派政党であるJuntsが持つ7議席がPSOEに賛成票を投じると、PSOEのサンチェス氏による政権継続となり、Juntsによる賛成票を得られない場合、カナリアス州のCoalicion Canaria党が持つ1議席がどちらに賛成票を投じるかによって勝敗が決まることとなる。
各政党間における主な交渉は予想通りの形で進められていると見られるが、今後、引き続き注目を集めるのは、PSOEとカタルーニャ独立派政党であるERCやJuntsとの交渉、PPとCCa、そしてPSOEとCcaとの交渉となる。
またPSOEは、政権樹立のため不可欠となるカタルーニャ独立派政党の協力を得るため、すでに奥の手を講じ始めている。
この重要な時期に州行政への予算割り当て、そして州行政が持つ負債返済支援などの見直しについて着手し始めると共に、現在の暫定政府の中で副首相を務めるジョランダ・ディアス氏は、去る水曜日、スペインの国会におけるスペイン語以外の公用語の使用の認可について提言した。
カタルーニャはスペインの全州の中で最も大きな負債を抱えており、これら負債の軽減や免除、そして国会におけるカタラン語の認可などが、カタルーニャ独立派政党の協力を得るための交換条件の一部となり得るとの見方が強まりつつある。

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ニュース
*マドリッド州行政、若者の住居購入支援を強化
*干ばつ、更に深刻化

余談
*スイカ・メロンの安売り開始、他


2023年7月31日(月)

在外スペイン人による投票でPPがPSOEの2倍の投票数を獲得

去る金曜日に海外在住スペイン人による投票の集計が行われたが、PPの支持率が圧倒的に高く、その票数はPSOEの2倍に達した。
これにより、予想されたとおり両党に充てられる議席数に変化が生じ、その結果、PSOEのペドロ・サンチェス代表が首相として続投するには、左翼政党の賛成票だけでなく、独立派政党や“テロ組織ETAの後身”と言える政党「EHBildu」などの協力が必要となった。
PSOEを33万票上回る最多投票数を獲得したPPは、議席数にしてPSOEを16議席上回っている。
こう言った状況の中、日曜日にPPのフェイホー代表はサンチェス氏に対し書簡を送り、今週中の両者による会談を要求。
フェイホー代表は、「最も多くの国民が票を投じた政党が政治を行うベきである」と主張すると共に、「政権樹立を妨害する事による行政麻痺は避けるべきである」としているが、これに対し、サンチェス氏は今週の両者会談を拒絶した。

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ニュース

*週末だけで500人近くの違法移民が上陸
*年金・健康保険制度の赤字、1,000憶ユーロに
*闘牛士エル・フリ、引退か

余談
*レティーロ公園:一部で新装公開、他


2023年7月28日(金)

選挙結果、国王に難題

7月23日に行われた投票結果を元に、政権樹立に向けて各政党がそれぞれの交渉を続けている。
この後の流れとしては、まず8月17日に、今回の開票結果により各政党に充てられた議席数によって構成される新期国会が成立する。
そして議席を得た各政党の代表に対し、8月末から9月初頭あたりに国王が招集をかけ、今後の政治の在り方について国王と各党代表との間で個別会見が行われる。
これにより、それぞれの政党間でどのような協力体制が期待され、どういった形での政権樹立の可能性があるのかを 国王が判断し、国会の新議長を通じて首相候補を立てることとなる。
今回の選挙では、現与党PSOEと現最大野党PPの支持率が完全に逆転する形となり、中道右翼のPPが明らかに最多投票獲得政党となったが、単独政権樹立に必要な議席数を得るには至らなかった。
また、極右翼政党VOXとの協力が可能となった場合でも、その総議席数はPSOEが全左翼系政党、そして独立派政党を含む民族主義政党の協力を得た場合の数には及ばなかった。
これにより、政権がPP、PSOEのいずれの手に渡るのかは、全て今後の各政党間の交渉がどういった方向へ進むかによって左右されることとなる。
歴史的には、最も多くの票を獲得した政党の代表が国王による任命を受け、政権樹立を試み、そのまま首相となることが普通だったが、現国王はこれまでに一度だけ、最多投票獲得政党の代表ではなく、2位に終わった政党の代表を首相候補として立てたことがあった。
それが2016年に行われた選挙の時で、その時の候補者となったのが現在のペドロ・サンチェス暫定首相である。
この時、国王が最初に候補として推薦しようとしたのは、ペドロ・サンチェス氏では無かったのである。
慣例どおり、国民による最多票を獲得した政党PPの代表であったマリアーノ・ラホイ氏にその任を 受けてくれるよう打診したが、ラホイ氏がこれを断ったことにより、国王は流れとして2番目の候補であった ペドロ・サンチェス氏を推すこととなった。
選挙での獲得票数が2位となった政党の代表が首相候補として国王から推薦される結果となったのも歴史上初めてのことであったが、同時に、獲得票数第1位となり、国王からの推薦を得たにもかかわらずこれを受けなかったと言う事も、前代未聞の出来事であった。
現在のフェリペ6世国王が即位して以来、スペインではそれまで続いていた2大政党時代が終わり、議席数が複数の政党により分散するようになり、その結果として一政党による単独政権の樹立ではなく、複数の政党による連立政権が当たり前となっている。
これに伴い、政権樹立ならず選挙のやり直しとなったり、政府が任期を全うできず、より短い期間での前倒し選挙となることも多く、それに伴って現国王による首相候補推薦の回数が異常に増加している。
フアン・カルロス1世前国王が、その40年間続いた在位期間に行ったこの首相候補任命が僅か10回であったのに対し、現在のフェリペ6世国王は、2014年6月に即位して以来、2019年に行われた選挙までの僅か5年半の間にすでにこれを8回行っており、今回が9回目となる。
今回、PPのアルベルト・ヌニェス・フェイホー代表を推すか、PSOEのペドロ・サンチェス代表を推すのか、 現国王は再び難しい選択を迫られることとなる。

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ニュース

*選挙の最終結果は本日、28日に
*バルセロナの海水浴場で働く水難救助員組合、本日よりスト開始
*自動車道、高速道路開発・維持経費、国民一人当たり年間27ユーロ

余談
*市販のトルティージャは要加熱、メロンはお菓子?、他


2023年7月23日(日)

本日の総選挙の経費2億2千万ユーロ

本日、7月23日(日)、スペインでは、任期終了を待たず前倒しとなった総選挙の投票が行なわれているが、これの開催に要する政府予算は2億2千万ユーロ以上にのぼる。
この予算の内、45.9%にあたる1億100万ユーロを選挙の宣伝費、そして郵便投票にかかる経費が占めている。
また、投票会場の準備、投票箱や投票記載台などにかかる費用も、全体の10.2%にあたる2,250万ユーロを 占めるとのこと。
今日の投票は350名の下院議員、208名の上院議員を選出するもので、3,700万人の有権者に召集がかかっている。
スペイン全国各地に60,314か所の投票会場、21万個の投票箱、そして5万9千個の投票記載台が設置されている。

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ニュース
*スペインの最低賃金、EUで7番目
*247万人が郵便投票

余談
*サンティアゴ・デ・コンポステラ:1日に2千人が到着、他


2023年7月21日(金)

スペイン各地でボツリヌス症を確認

スペイン各地でボツリヌス症の症状を訴える人が出ており、昨日の時点で5人の患者が確認されている。
6月30日にバジャドリで市販のトルティージャを食べたイタリア人2名をはじめ、アストゥリアスで1名、ガリシアで1名、そして昨日になってマドリッドで1名の計5名が確認され、イタリア人以外の3名は集中治療室での入院が必要な状態となっている。
また、疑わしい症状があるが、まだ確認待ちとなっている人がマラガに1名、バレンシアに1名おり、これら全ての人々が市販のトルティージャを食べていたとのこと。
現時点では、今回のボツリヌス症の発生元やその後の販売経路などについての詳細は明らかとなってはいないが、調理済みトルティージャ製造業者大手のPalaciosグループは、全ての商品について回収を開始した。
同社の商品は様々なスーパーで販売されており、自社製品としてだけでなく、各スーパーチェーンの商品としても 販売されているため、スペイン全国で様々なロゴマークが付けられて流通している。
その例として、Palacios, Auchan, Chef Select, Eroski, Consum, Unide, Ametller, Condis, Grupo IFA, El Corte Ingles, DIA, Carrefour, Alipende, Rikissimoなどが挙げられる。
消費者に対しては、すでに購入済みの場合、購入した店で返品するよう促している。

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ニュース

*ガロニャ原発解体作業、間もなく開始
*地中海、海水の温度が過去最高に
*マドリッドのグラン・ビア、ヨーロッパで2番目に人通りが多い繁華街
*郵便投票期限、今日まで延長

余談
*トルティージャと郵便局に要注意!、他


2023年7月17日(月)

6月の違法移民4,129名

夏になり、平均して気候が良くなり、海が穏やかになると、例年、海を渡ってやってくる違法移民の数が急増する。
今年6月の1か月間にスペインへ到着した違法移民の数は、4,129名に達している。
今年1月から6月末までの半年間にやって来た違法移民の合計数は、海路を通じてやってきた者と、セウタ、メリージャなどへ陸路入国した者を合わせて12,704名となっており、これは前年比較1,627名減となってはいるが、この6か月間の合計数12,704名のうち、その32.5%にあたる4,129名が6月の1か月間に集中していることから、夏になって一機に急増しているのが分かる。
これら違法移民を乗せて海を渡って来たボート類の数は、今年前半の6か月間で計560隻となっており、2022年度と比較すると27隻減少している。
彼等が最も頻繁に利用しているルートはスペインのカナリアス諸島を目指すものだが、その一方で、一般にアルジェリアルートと呼ばれるもので、スペインの南東部の海岸にある町々、アルメリア、ムルシア、バレンシア、そしてバレアレス諸島などを目指すルートをとるものも増加しつつある。

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ニュース
*バレンシアの農業、イノシシ被害甚大
*スペイン、フランスに次いでロシア産ガスを大量輸入
*カタルーニャ、Joan Juncadella小学校でスペイン語教師の教室への立ち入りを禁止
*二十歳のCarlos Alcaraz、ウィンブルドンで優勝

余談
*新型コロナは終わった?、他


2023年7月14日(金)

カタルーニャ独立派による独自の身分証明書運用の取り締まりを要求

カタルーニャの一部で、独立派によって作り上げられた仮想の身分証明書が広まりつつある。
これは、違憲独立運動に関連する複数の罪に問われ、国外逃亡生活を続けるプーチデモン元カタルーニャ州知事によって始められた独立に向けての動きの一つであり、スペイン政府が発行する身分証明書とは全く関係の無い、カタルーニャの名を使った身分証明書が発行されており、自称「共和国評議会」のホームページを通じて、12ユーロを支払うことによって申請が可能となっている。
公的な効力を持たない架空の身分証明書に過ぎないが、独立派政党が行政を行う幾つかの自治体では、公的な手続きを行う場合にもこれの有効性を認めているところがあり、そう言った自治体の数は11に及んでいる。
この動きについて、昨年の国会において、PP議員が政府に対して取り締まり要請を提出した。
これを受け政府は、昨年12月に同件の詳細についての調査を開始すると答えたが、その後、政府による介入は一切見られず、今回、カタルーニャの市民団体SCCから、これ以上、この架空の身分証明書が広がらないよう対処を求める要求書が、カタルーニャ州政府に対し提出された。
この架空身分証明書による諸手続きを認めている市町村では、行政が運営する図書館、スポーツジムなど、様々な施設の利用に必要な登録手続きだけでなく、税金の支払いについても、これの利用を認める方向で進めているところが幾つかある、との報告がある。

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ニュース
*クリスマス宝くじ販売開始
*ウエルバ県、La Antilla の海水浴場にシャチ出現
*1か月の平均所得で購入できるガソリンの量

余談
*バカンス第2陣始動!、他


2023年7月10日(月)

スペインのビール生産量はヨーロッパで第2位

2022年、スペインにおけるビール生産量はドイツに次いでヨーロッパ内で第2位となった。
首位に立つドイツは、常に他の国を大きく引き離して単独首位の地位を維持しており、2022年度のドイツのビール生産量は8,783万ヘクトリットルであったのに対し、2位となったスペインの生産量は4,110万ヘクトリットルと、ドイツの半分以下であった。
スペインのあとを追う国々は、ポーランド(3,830万ヘクトリットル)、英国(3,750万ヘクトリットル)、 ベルギー(2,350万ヘクトリットル)、オランダ(2,210万ヘクトリットル)、フランス(2,180万ヘクトリットル)となっている。
また、ヨーロッパ内だけではなく世界規模で見た場合、その生産量で首位に立つのは中国(3憶5,970万ヘクトリットル)で、これに米国(2憶360万ヘクトリットル)、ブラジル(1憶4,300万ヘクトリットル)、メキシコ(1億3,470万ヘクトリットル)、ドイツ(8,783万ヘクトリットル)、ロシア(8,210万ヘクトリットル)、日本(4,460万ヘクトリットル)、ベトナム(4,200万ヘクトリットル)、
スペイン(4,110万ヘクトリットル)と続き、スペインは世界で9番目の生産量
を持つ国となった。
スペインで最も生産量が多い会社はMahou - San Migel社で、1,281万ヘクトリットルを生産しており、これに Dammグループ(1,134万ヘクトリットル)、Heineken Espana(1,007万ヘクトリットル)が続く。

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ニュース
*65歳以上、映画は2ユーロで
*バルセロナ市内に立ち小便器が出現

余談
*この夏2度目の熱波到来:各地で40度越え、他


2023年7月7日(金)

マドリッド、5月の外国人観光客による消費額で首位に

今年5月にマドリッド州を訪れた外国人観光客の数は704,000人となり、前年度の同時期と比較して23%増加した。
そして、これら外人観光客による当地での消費額は1日平均324ユーロとなり、全国平均である185ユーロを大きく上回ったと同時に、第二位となったカタルーニャ州の222ユーロとも大差をつけて一位となった。
また、一日平均だけでなく、その滞在期間を通じての総消費額についても一人当たりの平均額が1,806ユーロとなり、総額にすると、5月に外国人観光客がマドリッド州で消費した金額は12億7,100ユーロに達し、昨年同時期の34.2%増し、そしてパンデミア前の2019年同時期と比較しても28.6%増しと、この統計が取られ始めて以来の最高額を記録した。
今後、夏場は内陸部にあるマドリッドでは海辺の観光地に比べて集客力が落ちるのが普通だが、州行政は各種大規模コンサートや新しい博物館である王立コレクションギャラリーのオープン、様々な文化活動、ゲイ・プライドの開催など、様々な文化的活動による効果を期待している。

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ニュース
*カタルーニャ警察、サイドミラー詐欺多発について警告
*スペイン銀行、80万世帯近くが1か月間の基本生活費の捻出に無理有りと警鐘
*EU法廷、プーチデモン氏他、3名の独立派政治家等の議員特権を停止

余談
*牛追い祭:宿はどこにとるべき?、他


2023年7月3日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、隔週で金曜日の発表となっている。
先週末金曜日に発表された最新情報と最近の推移は次のとおり。

死亡者数(14日分合計)の推移:
5月19日発表 249名 >>6月2日発表 203名 >>
6月16日発表 206名 >>6月30日発表 138名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
5月19日発表 18名 >>6月2日発表 15名 >>
6月16日発表 15名 >>6月30日発表 10名。

入院者総数の推移:
5月19日発表 2,354名 >>6月2日発表 2,380名 >>
6月16日発表 1,749名 >>6月30日発表 1,297名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
5月19日発表 104名 >> 6月2日発表 155名 >>
6月16日発表 98名 >>6月30日発表 86名。

新規陽性確認者数(14日分合計)の推移:
5月19日発表 22,402名 >> 6月2日発表 22,328名 >>
6月16日発表 14,493名 >> 6月30日発表 9,763名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。

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ニュース
*バルセロナ、ビーチの盗難被害者にサバイバルキット
*人口577人の村に28,000台の車?

余談
*宿泊税に要注意!、他


2023年6月30日(金)

マドリッドにGaleria Colecciones Realesがオープン

昨日、マドリッドにGaleria Colecciones Realesと言う名称で新しい博物館がオープンした。
入口は王宮と大聖堂の間にあるカサ・デ・カンポを望むバルコニーにあり、面積4万平方メートルを持つ館内には、 王室の所蔵品650点が展示されている。
この650点の展示物は、総数17万点あるものの中から選ばれたとのこと。
館内では9世紀の城壁跡も観られ、現在は、特別展として王室の馬車や車も展示されている。
オープンにあたって無料の入場券も多く用意されたが、すでに配布終了とのこと。
同博物館は基本的に毎日営業しており、開館時間は日曜日以外は10時から20時まで、日曜日は10時から19時までとなっている。
入場料は一般料金の場合で14ユーロで、オン・ライン販売による事前購入が可能。
尚、月曜日から木曜日は18時以降、スペイン他、EU諸国の住民、そしてイベロアメリカ諸国民は入場無料となる。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*夏の休暇による大移動開始
*高速道路における三角表示板の義務撤廃
*肉、魚は贅沢品
*カタルーニャ:独立の賛否を問う州民投票開催への賛同者は、全体の34%

余談
*昔はパトカーも飲酒運転、他


2023年6月26日(月)

マスク着用義務、全面解除へ

先週末の金曜日に行われた全国保健会議において、医療施設、薬局、高齢者施設、歯科医院など、これまで残されていた特定の場所におけるマスク着用義務の全面解除について合意が得られた。
2020年3月より続いていた新型コロナウィルスに関する各種規制の内、これだけは未だ解除されずにいたが、いよいよそれに終止符が打たれることとなる。
同件は恐らく明日、火曜日の閣僚会議で可決され、その後、政府官報にて公布され施行へ、との運びとなる。
尚、ガン患者病棟や手術室、集中治療室など、新型コロナとは無関係に、常にマスク着用が義務とされてきた場所での着用義務は、今後も従来どおり維持されると共に、着用義務が無い場所であっても、新型コロナやインフルエンザなどに感染している可能性がある症状が見られる場合には、自主的にマスクを着用するよう呼び掛けている。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*サンチェス首相、スペイン銀行よりも高金利を提供
*エクストラ・バージン・オリーブオイルの価格が81.7%高騰
*スペインにおける最高気温記録

余談
*今年は遅いラベンダー、他


2023年6月23日(金)

スペイン人の平均年収、2.9%増

昨日の国家統計局発表によると、2021年度の平均年収は前年度に比べて2.9%増しの25,897ユーロとなった。
しかしながら、人数で比較した場合に全体の半分として区切れる年収は21,639ユーロとなっており、そこを基準として、それより年収が低い人とそれより高い人との人口が半々となっている。
よって、平均年収が25,897ユーロとなってはいるが、人口の半分以上がそれよりもはるかに低い収入を得ていることが分かる。
最も多い層となっているのが年収18,500ユーロ層で、563,384名がこれに含まれており、この層については、前年度と比較して僅か0.1%しか年収が増加していない。
また、これに続いて多い層は更に低収入の人々で、16,487ユーロ層となっており、2021年には56万人がこの層に含まれていた。
また、男女差を見ると、男性の平均が28,389ユーロであったのに対し、女性平均はそれより18.4%低い23,176ユーロにとどまった。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*Renfe、フランスでのAVE運行を開始
*ヨーロッパ最大のコルク林はカディスに
*外国人によるスペイン国籍取得数増加
*この夏、スペイン人の85%が旅行予定

余談
*スペイン人は人混みが好き?!、他


2023年6月19日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、隔週で金曜日の発表となっている。
先週末金曜日に発表された最新情報と最近の推移は次のとおり。

死亡者数(14日分合計)の推移:
5月5日発表 249名 >> 5月19日発表 249名 >>
6月2日発表 203名 >> 6月16日発表 206名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
5月5日発表 18名 >> 5月19日発表 18名 >>
6月2日発表 15名 >> 6月16日発表 15名。

入院者総数の推移:
5月5日発表 2,510名 >> 5月19日発表 2,354名 >>
6月2日発表 2,380名 >> 6月16日発表 1,749名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
5月5日発表 109名 >> 5月19日発表 104名 >>
6月2日発表 155名 >> 6月16日発表 98名。

新規陽性確認者数(14日分合計)の推移:
5月5日発表 20,773名 >> 5月19日発表 22,402名
6月2日発表 22,328名 >> 6月16日発表 14,493名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。

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ニュース
*バルセロナ市行政、社会党政権樹立
*6月29日より商用迷惑電話禁止
*住宅ローン月額、2019年より46%増
*未成年者の精神不安定、増加

余談
*オンライン落とし物競り市、他


2023年6月16日(金)

サモーラで「ミジャ・ロマニカ 観光・文化企画」始動

サモーラ司教区、サモーラ県行政、サモーラ市行政、Caja Rural銀行などによる共同企画として、カスティージャ・イ・レオン州のサモーラ市で 「ミジャ・ロマニカ観光・文化企画」が開始されるとの発表があった。
これは、サモーラに残るロマニコ教会の修復や保存、そして、同地における、より質の高い観光サービスを行なうための資本集めの目的を持つとのこと。
サモーラ市は、ヨーロッパの中でも、市街地内の限られた面積に残るロマニコ様式教会の件数が最も多い町として知られており、その数は23軒にのぼる。
今回の 「ミジャ・ロマニカ観光・文化企画」では、その内の幾つかの教会を巡る順路が設定され、参加者は Santiago del Burgo教会から大聖堂まで歩くこととなる。
その間、San Vicente教会、 San Juan教会、 Santa Maria la Nueva教会、 San Cipriano教会、La Magdalena教会、 San Ildefonso教会などのロマニコ教会を見学する。
Santiago del Burgo教会から終着地点となる大聖堂までは、直線距離にすると1キロあるが、これらのロマニコ教会を巡りつつ進むと、1610メートル、つまり1ミジャ(1マイル)となる。
この企画への参加費用は、経由するロマニコ教会への入場料として6ユーロとなっており、同企画は今月末までに開始される模様。
尚、終着地点に設定されている大聖堂の入場料については、この6ユーロの参加費用には含まれていない。
また、これらの教会の見学は毎週水曜日の午前中は常に無料で行なえると共に、これら以外にもロマニコ教会4軒が いつも無料で公開されている。
そして、今回の「ミジャ・ロマニカ観光・文化企画」が開始された後も、サモーラ住民については常に無料公開となる。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*貧困生活者の割合、スペインはEUで3番目
*スペインの出生数、引き続き減少

余談
*お陰様でYoutubeチャンネル開局1周年!


2023年6月14日(水)

賃貸マンション利用者と無申告契約の増加

スペインにおける賃貸住居利用者の割合が増加しつつある。
過去10年間の推移を見ると、2013年には住居全体の13%が賃貸として利用され、87%が所有物件であったのに対し、2022年には賃貸物件の比率が24%にまで上昇しており、ヨーロッパ諸国平均の30.1%には達しないものの、急速に増加しているのが分かる。
2021年度まとめでは、スペイン全国での賃貸住居利用世帯数は3百万世帯で、人数にして780万人がその利用者となっていたが、これら賃貸住居利用の増加と共に、その申告がなされていない点が問題視され始めている。
2021年時点では、賃貸物件の10軒中4軒が無申告契約となっていた。
2015年から2021年の間に、税務署が探知するに至った無申告契約によるブラックマネーは、総額71憶ユーロにのぼり、これによって徴収された税金は8億6千万ユーロに達した。
行政はこれら無申告契約について、更に追及の手を強める方向で動いており、不動産登記簿に記載する要綱として、賃貸契約の有無、その開始日と終了日、住人の身分証明書情報などを追加する案が検討されている。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*夏の観光業、44,000人の人手不足
*Googleマップ、セウタとメリージャのスペイン保有を尊重せず

余談
*住居賃貸文化、お肉の値段、他


2023年6月12日(月)

スペイン人の65%がカードより現金払い

スマートフォン、クレジットカード、デビットカードなどの普及が進む中、スペインでは、日常生活において従来の現金による支払いを好む人が全体の64.5%に達している。
Nickel銀行が行った調査によると、スマートフォンやカードを使った支払いを好んで利用している人の割合は、僅か24%程度とのこと。
また、習慣的に現金を利用している人々の43%が、その理由として「消費金額の管理がし易い」と言う一面を挙げており、また32.3%が「他の支払方法に比べ、プライバシーがより守られる」と言った点を挙げている。
一方で、公正取引委員会調べによると、2022年の後半6か月間にオンライン販売を利用したことがあると言うスペイン人は、全体の51%に達している。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*不動産売買数、3か月連続で低下
*マドリッド州で一番多い名前

余談

*衣替えの時期は?、他


2023年6月9日(金)

郵便局職員労組、未だ郵便局との合意無し

7月23日に行われる事となった前倒し選挙に向け、郵便を利用した投票が激増することが予測される中、郵便局で働く職員等の労働条件を悪化させる事無く、投票が円滑に行われる為に、職員の増員が不可欠となっている。
その対策として、郵便局では5,500人を仮契約する事によって増員する旨を発表したが、労組はこれを不十分として選挙前のストを通達した。
郵便局は増員数を1万人に増やすことで完全な対応を行うとしたが、これも労組を説得するには至っていない。
労組は、増員数やそれに伴う勤務時間の変更などについて一切の相談を受けていないとし、実際に働く職員の意見を取り入れた形での対応を要求すると同時に、増員数については1,2000人が必要であるとしている。 

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ニュース
*マドリッド地下鉄1番線、6月24日から一部閉鎖
*前倒し選挙発表以前に旅行契約を交わした人は投票立会人義務免除

余談
*病院の予約:無断で変更、他


2023年6月7日(水)

カリタスによる生活支援需要、20%増

スペイン・カトリック教会管轄下で活動している慈善団体「カリタス・エスパニョーラ」のマドリッド支部発表によると、2022年度にカリタス・マドリッドに生活支援を求めてきた人の数は、前年度と比べて20%増加した。
2021年にカリタスの援助を受けた人の数は100,448名だったが、2022年には120,000人と、 約2万人増しとなった。
そして、支援を必要とする人々の家計を最も締めつけているものは、家賃だったとのこと。
同慈善団体が2022年度に充てた支援総額は4,100万ユーロにのぼり、前年度比較34%増となった。
これら経済支援の65%が家賃支払いの援助に充てられ、25%が生活するための基本経費に、そして残り10%が その他の経費に充てられた。
2022年は、ウクライナでの戦争に伴う移民増加と記録的なインフレとが重なり、これがスペインにおける貧困層の状況悪化にも強い影響を与えることとなった。
また、カリタスによるとこれら生活支援を必要とする人々の構成に変化が生じつつあり、高等教育や大学教育を終えた高学歴者が全体の55%に達しているとのこと。
また、失業者ではなく、雇用を得ているにも関わらず、その所得が低すぎることにより生活苦を強いられている人々が占める割合も増えているとのこと。
カリタスのマドリッド支部長を務めるルイス・エルナンデス・ボスメディアーノ氏は、こう言った社会問題に対し、より適切な対応を可能とする為にも、中央政府、マドリッド州行政、マドリッド市行政の三者による協力体制が必要であることを強調している。
現時点でこれら三者による協力体制は出来ておらず、いずれかの窓口へ相談に行っても、他の行政へ「たらいまわし」にされることが多いとのこと。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*若者の3分の1が1日に3時間以上をビデオゲームに
*マドリッドの郵便局労働組合、選挙前のストライキを通達

余談
*夏の郵便は要注意!、他


2023年6月5日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、隔週で金曜日の発表となっている。
先週末金曜日に発表された最新情報と最近の推移は次のとおり。

死亡者数(14日分合計)の推移:
5月5日発表 249名 >> 5月19日発表 249名 >>
6月2日発表 203名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
5月5日発表 18名 >> 5月19日発表 18名 >>
6月2日発表 15名。

入院者総数の推移:
5月5日発表 2,510名 >> 5月19日発表 2,354名 >>
6月2日発表 2,380名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
5月5日発表 109名 >> 5月19日発表 104名 >>
6月2日発表 155名。

新規陽性確認者数(14日分合計)の推移:
5月5日発表 20,773名 >> 5月19日発表 22,402名
6月2日発表 22,328名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*大学進学センター試験開始
*麦類の収穫、半分以下に

余談
*マドリッド市内で乗馬、他


2023年6月2日(金)

4月の外国人旅行客、記録更新

観光大国であるスペインの経済を支える外国人観光が、新型コロナ以前の状態に戻りつつある。
今年4月にスペインを訪れた外国人観光客の数は7,235,055名となり、2019年同時期よりも89,000人増加した。
また、これら外国人観光客による4月の消費総額は84億2,000万ユーロに達し、観光客一人につき、1日あたり173ユーロを消費したことになる。
4月におけるこの人数も消費金額も、同統計が取られ始めて以来の最高値とのこと。
このように4月だけで見るとこれまでの記録を更新することとなったが、今年1月から4月までの4か月間で見ると、外国人観光客の数は約2,100万人で、2019年度の同時期と比較すると40万人少なくなっている。
しかしながら、消費額については2019年同時期の224憶2,900万ユーロを上回り、256億8,100万ユーロに達したとのこと。
この消費額の増加は、パンデミア以降に見られた物価の高騰によるものと見られており、パンデミア前と比較すると、ホテル代が24%、パッケージツアー代が17%、外食産業における飲食代が15%の値上がりとなっている。
スペインにおける外国人旅行客の中で最も大きな比重を占めているのがイギリス人とドイツ人だが、これら両国からの訪問は、未だパンデミア前の状態には戻っていない。
また、ロシア人観光は止まったままで、アジアからの観光もパンデミア以前の状態には程遠い状態となっている。
それにも関わらず記録的な増加となりつつある要因として、ヨーロッパにおけるイギリス、ドイツ以外の国々からの観光客とアメリカからの観光客の急激な増加が挙げられる。
例えば、パンデミア前と比べてオランダからの観光客が27%増、アイルランド人が25%増、アメリカ人が24%増加している。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*選挙投票立会人、旅行契約済みの場合は義務免除なるか
*郵便局が5500人を急募

余談
*スペインの病院怖し!、他


2023年5月31日(水)

総選挙:7月へ前倒し

ペドロ・サンチェス首相が党首を務めるPSOEは、去る5月28日に行われた州知事及び市長選で大敗を期し、その当日の夜には、首相から党内幹部らに対して前倒し総選挙の通達が行われた。
そしてその翌29日にはこれについての発表が行われ、昨日30日には政府広報での正式発表があり、これにて7月23日の総選挙開催が確定となった。
今年の12月10日までに行われることとなっていた総選挙だが、今回の地方選における支持率の低下と、これに伴う右翼政党への支持率の上昇を見て、この状態が長引けば長引く程、総選挙における結果が左翼勢力にとって不利なものになるとして、事態の最悪化を防ぐための特効薬としての前倒し選挙を選んだ模様。
尚、その決定が地方選開票終了直後に行われた事からも、ペドロ・サンチェス首相は今回の地方選での敗北を概ね予測しており、その結果次第で、総選挙の前倒しを決行する判断をすでに下していたものと思われる。
これにより、総選挙は急遽、7月23日に行われることとなった。
7月は休暇時期であるため、すでに多くの国民が休暇の予定を組んでおり、投票日には不在となることが分かっている人も多く、郵便による事前投票の利用者が多くなることが予想される。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*初のスペイン製ロケット:打ち上げ延期
*集中豪雨:水不足の解決にはならず

余談
*スペインは雨が降らない国?、他


2023年5月29日(月)

州および市長選挙:PP圧勝。マドリッド他、各地で過半数超え。

昨日行われた選挙で、マドリッド州ではイサベル・ディアス・アジュソ現州知事率いるPPの圧勝となった。
アジュソ知事は前回の選挙でも大勝しており、州議会における過半数に近い65議席を獲得していたが、今回の選挙では更にその勢力を伸ばし、過半数を超える71議席を獲得し、単独政権樹立を手中に収めた。
Podemosは姿を消し、左翼政党で議席数を獲得出来たのはMas Madrid(27議席)とPSOE(27議席)だけで、両者合わせてもPPの議席数とは大きな差があり、マドリッド州行政から左翼政党の影響が大きく退いたこととなる。
また、PPとの連立政権樹立を狙っていた極右翼VOXも10議席にとどまり、同党による州政府参入の道は閉ざされた。

同じく昨日の選挙で、マドリッド市長選においてもPPの圧勝となり、ホセ・ルイス・マルティネス・アルメイダ現マドリッド市長の続投となるだけでなく、市議会における過半数にあたる29議席を獲得し、ここでもPP単独による政権樹立が確実となった。
また、左翼政党としてはMas Madridが12議席、PSOEが11議席と、両者合わせても23議席となり、PPが持つ議席数には及ばなかった。
極右翼政党VOXも5議席にとどまり、首都マドリッド市行政への影響力を持つには至らなかった。

その他の地方でもPPの勢力拡大が目立ち、アラゴン州、バレアレス州、カンタブリア州、バレンシア州、ラ・リオハ州、ムルシア州、ナバーラ州、セウタ自治都市、メリージャ自治都市で首位となり、ラ・リオハやメリージャでは過半数を獲得した。
PSOEがその勢力を維持出来たのはアストゥリアス州、カナリアス州、カスティージャ・ラ・マンチャ州、エクストレマドゥーラ州のみで、エクストレマドゥーラでは僅かな投票数でPPを上回ったものの、議席獲得数は同数となり、過半数を獲得できたのはカスティージャ・ラ・マンチャ州のみとなった。

市長選においてもPPの勢力圏が広がり、PPが最多議席数を獲得した県庁所在地はア・コルーニャ、アルバセテ、アリカンテ、アルメリア(過半数)、バダホス(過半数)、ブルゴス(過半数)、カセレス、カディス(過半数)、カステジョン、セウタ、シウダ・レアル、コルドバ(過半数)、クエンカ、グラナダ(過半数)、ウエルバ、ウエスカ、ログローニョ(過半数)、ルーゴ、マドリッド(過半数)、マラガ(過半数)、メリージャ(過半数)、オビエド(過半数)、パルマ・デ・マジョルカ、ポンテベドラ、サラマンカ(過半数)、サンタンデール(過半数)、セゴビア、セビージャ、テルエル(過半数)、バレンシア、サラゴサなどが挙げられる。
またPSOEが最多議席数を獲得した県庁所在地はジロナ、グアダラハラ、ハエン(同数)、ラス・パルマス(グラン・カナリア)、レオン、ジェイダ、メリダ(過半数)、パレンシア、サンタ・クルース・デ・テネリフェ、ソリア(過半数)、タラゴナ、トレド、バジャドリ(同数)、サモーラのみにとどまった。
尚、バスクのビトリア市ではBILDUが第1党、カタルーニャのバルセロナ市ではJunts Per Catの分身であるTriasBCNが第1党となった。

余談(Youtube動画でお話ししています)
*各地で雨、今日のお買い物


2023年5月26日(金)

外国人移民によりスペインの人口増加

2023年第1四半期におけるスペインの人口は、2022年第4四半期に比べて136,916名増加し、4月1日時点での人口は48,196,693名と過去最高値を記録した。
また、前年度同時期と比べると1,23%(590,184名)増加しており、この増加率は2008年以来の最高値となった。
今回、2021年4月1日以降の3か月ごとの統計が国家統計局によって公表されたが、それによると継続的に人口増加が続いており、2021年4月1日以降に80万人以上増加して48,196,693名となった人口の内、6,227,092名が外国籍所有者であり、全体の12.9%を占めている。
2023年1月現在、スペインの全在住者の平均年齢は44.1歳となっており、スペイン人だけで見た場合は 45歳、外国籍の在住者だけで見た場合は37.1歳、そしてEU加盟国の国籍を持つ在住者だけで見た場合は39.6歳となっている。
移民の多い主要国籍の内、最も平均年齢が高かったのがイギリス人移民(54.1歳)、ドイツ人移民(50歳)、 フランス人移民(43歳)などで、逆に最も低かったのがホンジュラス人移民(30.4歳)、パキスタン人移民(31.1歳)、モロッコ人移民(32歳)であった。
今年第1四半期におけるスペインの人口は136,916名の増加となったが、これに貢献したのはあくまでも外国人移民149,530名の増加であって、同時期におけるスペイン人の人口は12,614名減少している。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*イベリア航空:世界で最も時間厳守の運行

余談
*大罪の家、特殊言語、他


2023年5月24日(水)

ペドロ・サンチェス首相:就任以来、国民に一人当たり7000ユーロの借金

スペイン国庫の赤字は記録的な速度で拡大を続けており、すでに発行済みの国債への対応に必要な1,860憶ユーロの金利に加え、今年も昨年の10%増しとなる2,568憶4,600万ユーロ分の国債が発行される。
国家財政赤字は今年3月には1兆5,350憶ユーロに達し、前月比+1%、そして前年度同時期比較+5.6%となった。
2022年度だけで、815憶4,000万ユーロの赤字増となっている。
2018年6月にペドロ・サンチェス氏が首相に就任して以来、急速に進むインフレなどの影響もあって税収が大幅に増えているにも関わらず、財政赤字は1日平均にして1億5,600万ユーロ、計3,320憶ユーロの拡大を見せている。
これをスペインの人口で割ると、ペドロ・サンチェス首相就任以降、国民は一人につき7,063ユーロの負債を負わされたこととなる。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*月給の30%以上が家賃に

余談
*スペインでの血液・尿検査、他


2023年5月22日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、隔週で金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と最近の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分、または14日分合計)の推移:
4月21日発表 109名 >> 5月5日発表 249名(2週間分)>>
5月19日発表 249名(2週間分)。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
4月21日発表 16名 >> 5月5日発表 18名(2週間の1日平均)>>
5月19日発表 18名(2週間の1日平均)。

入院者総数の推移:
4月21日発表 2,331名 >> 5月5日発表 2,510名 >>
5月19日発表 2,354名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
4月21日発表 105名 >> 5月5日発表 109名 >>
5月19日発表 104名。

新規陽性確認者数(7日分、または14日分合計)の推移:
4月21日発表 11,222名 >> 5月5日発表 20,773名(2週間分)
5月19日発表 22,402(2週間分)。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。

その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*出生数:パンデミアの影響続く

余談
*雨とトマトとパン床


2023年5月19日(金)

平等省:「子育てと家事分担アプリ」を9月に無料提供予定

イレネ・モンテロ大臣率いる平等省は、今年9月に「子育てと家事分担アプリ」の無料提供を開始する予定とのこと。
これは、「子育てや家事全般における労働負担や精神的負担の多くが、男性よりも女性に集中している」として、これをより均等に分担出来るようにすることを目的としたものである。
無料アプリをダウンロードしたあと、買い物に要した時間、買い物へ行く前に、何を買うべきかを考え悩んだ時間、調理に要した時間、子供との会話に付き合った時間、授乳に要した時間、泣き止まない子供をあやした時間、清掃に要した時間、洗濯、アイロンがけに要した時間など、全てを記録していくことにより、例えば夫婦間で、子育てや家事全般における労働負担がどれだけ偏っているかが、一目瞭然で分かると言うもの。
更に平等省は、同じ時間を費やした場合でも、食事が終わったあとに食器類を洗うと言う事務的な作業と、 日々何を食べるかについて悩み、それに必要な食材を購入しに行くのとでは、精神的ストレスの度合いに大きな違いがあるとして、こう言った役割を多くの場合、女性が負担しているという事を強調している。
平等省ではこのアプリの開発に向け、ソフト開発業者と211,750ユーロの契約を交わしたが、これは同省が、男女平等の実現を目的とした政策の為に充てた予算である2,586,764ユーロの中の一部である。


その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*特定の場所でのマスク着用義務:解除決定を先延ばし
*Rafa Nadal:全仏オープンRolan Garros不出場。来年、引退宣言。

余談
*へのへのもへ?、他


2023年5月17日(水)

コルドバの大聖堂、大規模修復工事へ

コルドバの大聖堂は、イスラム時代に建てられたメスキータを利用する形でつくられており、内部にはメスキータ時代のMacsura(Maqsura)が保存されている。
Macsuraはメスキータ内部で、キリスト教に例えれば主祭壇にあたる部分「ミヒラブ」に隣接する場所で、その天井には通常、立派な装飾が施されている。
コルドバ大聖堂内に保存されているこのMacsuraは10世紀の建築で、約200年前に修復されているが、今、200年振りの再修復工事が予定されており、コルドバ大聖堂はアンダルシア州政府に対し、この修復工事の許可申請を提出した。
この工事を実現するための準備は1999年の図面作成から始まり、現場の湿度や気温情報なども含めた様々な情報を、建築家だけでなく、考古学者、歴史家、モザイクや絵画の修復家なども交えて調査し、検討が行われた。
3つ並ぶ天井のうち、まずは東側の天井の修復から開始されるが、これは、落下する危険があったために1771年に修復が行われており、現時点でその目立った劣化は認められないことから、今回の計画ではモザイクの清掃作業に限って行われる模様。
続いて1815年に一度修復された西側の天井の番となるが、ここでも天井のモザイクの清掃作業が行なわれると共に、石膏と被覆材との結合の補強が行われる模様。
また、2016年に行われた調査で10世紀のオリジナルの塗装が残っていることが確認されていることから、その保存部分の正確な確認と、その保存に必要な作業が施される模様。
最後に中央の天井の修復が行われるが、これも良い保存状態にあり、その強度としては特に補強する必要はないとのこと。
よって、主にオリジナル部分と後世に行われた修復部分の詳細にわたる確認作業と清掃作業が行われる模様。
これまでにMacsuraの修復は何度か行われてきたが、その中でも1815年に行われた工事が最も重要なものとなっていた。
しかし、今回は部分的なものではなく、3つ並ぶ天井全てに及ぶ、より完全な調査と修復が行われる予定で、その工期は3年間が見込まれている。
同工事は、順を追って部分的に行われ、その間、大聖堂の見学は可能とのこと。
同大聖堂は2022年には150万人の入場者を、そして新型コロナ前の2019年には200万人以上の入場者を迎えていた。


その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*スペイン人の読解力低下

余談
*コルドバで見たのはモスク?それとも大聖堂?


2023年5月15日(月)

カタルーニャ:VicでPPの選挙運動を妨害

バルセロナの北、約70キロにある町「Vic」では、先月の23日にも、今月の選挙に向けて用意されていたチラシ他、全ての準備物が破壊されると言う、過激独立派によるPPへの激しい攻撃が行われたが、土曜日に再び暴力を伴った妨害行為が見られた。
PP党員等が選挙ポスターの設置を行なっているところへ現れた過激独立派グループが、それらポスターを全て破り捨てたとのこと。

EU:2035年までにガス湯沸かし器、ディーゼル湯沸かし器を禁止

二酸化炭素の排出量を抑えるため、EUでは、一般家庭におけるガスやディーゼルを使った湯沸かし・暖房器の使用が、近い将来、禁止される。
これを徐々に進めるため、2028年以降、新しく建てられる建物でのこれらの設置は禁止となり、2035年をめどに、また、それがどうしても無理な場合は2040年までに全面禁止となる。


その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*Ryanair:飛行中のトイレ使用を有料に?
*マドリッドで竜巻発生

余談
*サン・イシドロのお話し、他


2023年5月12日(金)

預金金利3%超え、続出

欧州銀行間取引金利が約3.8%となっている今、銀行の預金金利への反映をめぐって 銀行間での競争が激化しつつあり、すでに以下の銀行で預金金利が3%を超えている。
Banco BIG:1万ユーロ以上の6か月定期で4%、3か月定期で3.5%。
Banco Finantia:5万ユーロ以上の36か月定期で3.4%、25か月で3.3%、18か月で3.15%、12か月で3%。
Renault Bank : 500ユーロ以上の24か月定期で3.34%。
WIZINK : 5000ユーロ以上の12か月定期で3.3%、3か月定期と18か月定期で共に3%。
BFF Bank : 5000ユーロ以上の12か月定期で3.29%。
EBN Banco: 1万ユーロ以上の36か月定期で3.2%、24か月で3.15%、18か月で3%。
Targo Bank : 1万ユーロ以上の24か月定期で3%。
尚、ヨーロッパ諸国の中で、スペインの銀行による預金金利引き上げは依然、消極的であり、常に遅れをとっている。
そう言った中、英国では昨日、英国銀行がインフレ抑制対策の一環として金利を4.5%に引き上げる決定を下した。


その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*バルセロナ市議会、Port Olimpic大改造案

余談
*500mlの缶ビールが80円、他


2023年5月10日(水)

水不足:貯水量48.9%に

雨不足が続くスペインでは、貯水量が着実に減少を続けている。
全国平均で見ると現在、水位は48.9%となっており、先週よりも更に0.7%低下した。
前年度同時期の50.7%よりも更に低い数値となっており、また、過去10年間における同時期平均68%に比べると、異常な状況にあることが分かる。
特にアンダルシアでは26.5%と深刻な状況に陥っており、また、カタルーニャでも内陸部では25.6%まで落ち込んでいる。
こういった中、ガリシア、アストゥリアス、カンタブリア、バスクなど、北部地方が全国平均値を48.9%まで引き上げている。
過去にこれ程の水不足が起こったのは28年前の1995年で、その時には水位が40.37%まで下がったとのこと。
尚、雨不足により農業に大きな影響が出ており、顕著な値上がりが予想される作物として小麦、大麦、米、トウモロコシ、ヒマワリ油、オリーブ油、ジャガイモ、ニンジン、ブロッコリー、カリフラワー、加工用トマト、ハチミツなどが挙げられている。


その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*Bilduの候補者リストに44名の元テロリスト

余談
*巡礼で無理は禁物、他


2023年5月8日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
4月14日発表 180名(2週間分)>> 4月21日発表 109名 >>
4月28日 連休前で発表なし >> 5月5日発表 249名(2週間分)。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
4月14日発表 13名(2週間の1日平均)>> 4月21日発表 16名 >>
4月28日 連休前で発表なし >> 5月5日発表 18名(2週間の1日平均)。

入院者総数の推移:
4月14日発表 2,149名>> 4月21日発表 2,331名 >>
4月28日 連休前で発表なし >> 5月5日発表 2,510名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
4月14日発表 115名>> 4月21日発表 105名 >>
4月28日 連休前で発表なし >> 5月5日発表 109名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
4月14日発表 15,083名(2週間分)>> 4月21日発表 11,222名。 >>
4月28日 連休前で発表なし >> 5月5日発表 20,773名(2週間分)。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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ニュース
*サッカー国王杯、レアル・マドリッドが優勝
*女性が午後に美容院へ行く権利

余談
*海外旅行保険について


2023年5月5日(金)

偽オリーブオイルが流通

世界最大のオリーブ産出国であり、輸出国でもあるスペインで、大規模な偽オリーブオイルの流通が確認されている。
これを販売しているのは大手メーカーの一つで、商品のラベルにはオリーブの実をあしらったデザインと合わせて、高品質のエクストラ・バージン・オイルの製造販売を行う老舗であることを謳っており、いかにも上質のオリーブオイルであるかのような印象を与えるが、同じラベルの下方に「オリーブオイルとひまわりオイルの混ぜ合わせ」との一文が添えてある。
中身はと言えば、エクストラ・バージン・オイルが僅か全体の35%で、25%がオリーブの精製オイル、20%がひまわりオイル、そして残り20%がひまわりの精製オイルとなっている。
同じメーカーの商品でその価格を比較すると、5リットル入りエクストラ・バージン・オイルが34.95ユーロであるのに対し、この混ぜ合わせであるにも関わらず、まるで純粋なオリーブオイルであるかのようなラベルと共に販売されているものは、同じく5リットル入りで20.99ユーロとなっている。
スペインの法律では、国内におけるオリーブオイルとその精製オイルやその他の植物油との混合生産は禁止されており、これに照らすと先の商品は違法となるが、EUの規定では他国における混合生産を禁止することは出来ないとされている。
今回、問題となっている商品は、スペイン国内でスペインのメーカーが販売を行なっているが、他の植物油との混合過程は、スペイン国内ではなくポルトガルで行われており、ポルトガルで商品となったあとスペインへ輸出される形を取っているため、違法性は見られないとのこと。


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ニュース
*レパントのキリスト像は白かった

余談
*日本におけるオリーブオイルは?


2023年5月3日(水)

スペインはEUで2番目に移民受け入れが多い国

スペインは年間平均40万人の移民を受け入れており、これはEU諸国の中で2番目に多い数字となっている。
バルセロナにあるビジネススクール、TBS Educationが2017年から2020年の4年間を対象に行った調査によると、スペインが受け入れた移民の数はEU平均の2倍となっている。
2020年にEUで移民受け入れ数が最も多かった国はドイツで、994,819名だった。
これに続いたのがスペインの415,150名で、このあと、フランス(200,495名)、イタリア(191,766名)、オランダ(170,612名)と続いた。
同年におけるEU平均は137,384名となっており、スペインはその3倍に達した。
また、EU諸国内におけるこれら移民受け入れ数の差は縮小傾向にあり、2017年にはEU内最多となったドイツと最小となったスロバキアとでは、138万人の差があったとのこと。
スペイン国内における移民受け入れ地としては、マドリッド、カタルーニャ、バレンシア、アンダルシア、カナリアスが主要な受け入れ地となっており、海外からの移民、国内での他府県からの引っ越しを含め、全体の 74%がこれら5つの州に集中している。
また、スペイン人による他府県からの引っ越し先としては、マドリッドとカタルーニャがその最大の受け入れ先となっている。
スペインにおける人口は外国からの移民を受け入れることで増加を維持しており、新型コロナによる各種規制の 緩和により、2022年には前半だけで172,456名増加し、計557万人と、これまでの最高値に至った。 国籍別に見て最も増加が目立ったのはコロンビア人(+60,142名)、ウクライナ人(+48,396名)、 ベネズエラ人(+31,703名)だった。
現在、スペインに住む外国人で最も多いのはモロッコ人で770,610名となっており、これにルーマニア人(619,833名)、コロンビア人(375,528名)、イギリス人(307,443名)、イタリア人(306,621名)と続く。


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ニュース
*マドリッド、旧市街地からベンチが激減

余談
*私も移民、ほか


2023年5月1日(月)

カタルーニャで雨乞い

雨が降らず深刻な水不足となっているカタルーニャでは、各地で雨乞いの儀式が行われている。
バルセロナから北東約145キロにある町、Peraladaでも、先週末、多数の住民がイエス・キリストの十字架刑の御像を担ぎ出しての行列に参加し、カトリック司祭による雨の到来を願う儀式が行われた。
この街に残る伝承によると、今回、担ぎ出されたキリスト像は西暦975年に発見されたもので、同年の 12月17日、仕事に出かけた村人が、街を出たところで動物が引く荷車と出くわしたが持ち主の姿は無く、 荷車の中を覗いてみると、そこにイエス・キリストの十字架刑の御像があったとのこと。
その後、村ではこのキリスト像を、異常気象による被害の救済を乞うための守護像として崇拝してきた。
村に残る記録によると、そういった目的で最初にこのキリスト像を伴った雨乞いの儀式が行われたのは、像が発見された僅か数年後の干ばつの時で、この儀式が行われた翌日の夜に雨が降ったと記録されている。
その後も1006年、1054年、1285年、1411年、1553年、1671年、1693年、 1727年、1816年に儀式が行われたことが記録されているが、最後に行われた儀式が今から何年前であったのかについては不明瞭とのこと。
1930年代か1940年代に行われたとされ、少なくともそれから80年以上が経っているとのことだが、正確な年代は記録されていない。
また、その時の儀式を見た村人はすでに存在していないため、どのような形で行われたかを語れる人が残っていないとのこと。
よって今回、80年以上の年月を経て復活した雨乞いの儀式では、キリスト像を担いで通る伝統的な道筋や距離も不明だったが、蝋燭を手にした多数の村人達が参加し、カトリック司祭同伴の元に行われた。
深刻な干ばつが続くカタルーニャでは、この街だけでなく、数週間前から各地で雨乞いの祈りが捧げられている。
モンセラの修道院でも雨を願う祈りが行われ、黒いマリア像として広く知られるモレネタへの供物が捧げられている。
またバルセロナの北約110キロにあるEspunyolaでも、すでに3月末に司教による司式で雨乞いのミサが 行なわれた。


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ニュース
*セビージャの春祭り、人出も暑さも記録更新
*スイカ、メロン、原産地名に偽り

余談
*選べるタパス、他


2023年4月28日(金)

バスクの教育からスペイン語授業を排除の方向へ

バスク議会では教育制度についての見直しが行われ、これにより、一般にスペイン語と呼ばれているカステジャーノによる授業が排除される方向へと動きつつある。
これまでは、教育制度にはA型、B型、C型の3種があり、子供を通わせる学校を選ぶ際、保護者は各学校が提示している教育制度の種類から選択することが可能であった。
A型の学校ではスペイン語による授業が行われ、少なくとも一つの教科についてはエウスケラ(バスク語)で行われる。
次にB型の学校では、スペイン語とバスク語の両方を取り入れた授業を行っており、C型ではバスク語のみによる教育が行われている。
しかし、今回、施行に向けて進められている新制度では、これら3つの区別についての記述が完全に抹消されており、これらの提示やその遂行の義務が無くなると思われる。
新制度は年内にも有効となる見通し。


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ニュース
*サン・ミゲル市場、急遽閉鎖

余談
*スペインのお化けワラビ、他


2023年4月26日(水)

水不足のためUrgell運河閉鎖

スペイン各地で水不足が深刻化する中、カタルーニャでは昨日、同州にある主要運河であるUrgell運河が その水門を閉じると言う、異例の事態に至った。
これは、この運河が作られて以来、161年の歴史の中で初めてのことであり、これに伴い、カタルーニャの政界では水戦争が始まった。
これまで続いた雨不足により、すでに付近の貯水池の水は底をつき始めており、Rialpにあるこの地方における最大規模の貯水池の水位は、その容量の僅か6%と言う最悪の状態となっている。
更に、今後もまとまった雨の見通しが無いことから、この夏の付近住民の飲料用水を確保するため、農業用水の供給を停止する判断に至った。
これにより、約50.000ヘクタールの農地が影響を受けることとなる。
水門は昨日の正午に閉ざされたが、今後は「3週間の内、1週間だけ開ける」と言う、冬場と同じ頻度での開門が行われる模様。
この措置について、農業従事者からは強い反発の声が挙がっているが、カタルーニャの独立派政府は同問題について、中央政府による水政策の悪さに責任があるとし、中央政府による解決を要求している。
一方でカタルーニャの社会党は、カタルーニャ州政府に対し、中央政府からカタルーニャに充てられた予算があるのだから、それを有効利用して適切な対応をするよう求めている。


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ニュース
*スペインで唯一、空気がきれいな町は?

余談
*世界唯一の呪われた村?!、他


2023年4月24日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
3月31日発表 256名 >>4月7日連休により発表無し >>
4月14日発表 180名(2週間分)>> 4月21日発表 109名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
3月31日発表 37名 >> 4月7日連休により発表無し >>
4月14日発表 13名(2週間の1日平均)>> 4月21日発表 16名。

入院者総数の推移:
3月31日発表 2,048名 >> 4月7日連休により発表無し >>
4月14日発表 2,149名>> 4月21日発表 2,331名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
3月31日発表 102名 >> 4月7日連休により発表無し >>
4月14日発表 115名>> 4月21日発表 105名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
3月31日発表 8,167名 >> 4月7日連休により発表無し >>
4月14日発表 15,083名(2週間分)>> 4月21日発表 11,222名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に
限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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ニュース
*ホセ・アントニオ・プリモ・デ・リベラの棺を移動

余談
*本の日(4月23日)の由来、他


2023年4月19日(水)

干ばつが深刻化

スペインが直面している雨不足による水不足は悪化する一方で、これにより農作物の収穫が大きく減少することが予測されている。
こういった状況下で、去る3月30日にスペイン気象局による説明を伴った現状の説明と今後の見通しなどについての報告会議が行われたが、本日、これに続いて各地方の現状報告と、それをもとに何を優先するかなど、今後取るべき対策を話し合うための会議が行われる。
農牧業従事者等は、これにより政府が積極的な対策を打ち出すことを期待しているが、政府は今回の会議について、まだ情報交換と技術的な意見交換にとどまるもので、具体的な対応策が検討されるものでは無いとしている。
現在、スペインにおける貯水量は全国平均にして50.65%であり、これは過去10年間の平均と比べると16.8%少ないものとなっている。
特にアンダルシア、中央部、レバンテ、カタルーニャで貯水量の減少が深刻化しており、カタルーニャでは6月までに大量の雨が降らない場合、9月には緊急事態宣言を招く可能性が高いとのこと。
また中央部にあるカスティージャ・イ・レオンでは、雨不足のため、すでに麦類の収穫は期待できないとしており、アラゴンでも今後2週間以内に雨が降らなければ、同じく今年の収穫は無くなるとしている。


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ニュース
*ドン・フアン・カルロス元国王、再びのスペイン訪問
*タルテッソス遺跡発掘で新発見

余談
*消費者への対応が改善?、他


2023年4月17日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
3月24日発表 298名 >> 3月31日発表 256名 >>
4月7日連休により発表無し >> 4月14日発表 180名(2週間分)。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
3月24日発表 43名 >> 3月31日発表 37名 >>
4月7日連休により発表無し >> 4月14日発表 13名(2週間の1日平均)。

入院者総数の推移:
3月24日発表 2,014名 >> 3月31日発表 2,048名 >>
4月7日連休により発表無し >> 4月14日発表 2,149名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
3月24日発表 102名 >> 3月31日発表 102名 >>
4月7日連休により発表無し >> 4月14日発表 115名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
3月24日発表 7,417名 >> 3月31日発表 8,167名 >>
4月7日連休により発表無し >> 4月14日発表 15,083名(2週間分)。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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ニュース
*スペイン一般家庭の経済状況、更に深刻化
*Solo si es si法のその後

余談
*観光税のお話し、他


2023年4月14日(金)

Ferrovial社、オランダへの本社移転を決定

スペインにおいて鉄道設備、国道設備、空港設備、エネルギー設備などの広範囲に渡るインフラ事業を手掛けている大企業「Ferrovial社」は、昨日の株主会議で、その本社のオランダへの移転を可決した。
同社のこの意向に対し、スペイン政府からそれを阻止するための強い圧力がかけられていたが、昨日の株主会議では93.3%の賛成票をもって移転が可決された。
同社社長のラファエル・デル・ピノ氏は、この決定について、税務上の損得勘定によるものではなく、企業の発展の為の自然な判断であり、これにより同社の国際市場への進出がより容易なものになるとしている。
また、この移転のあとも同社がスペイン国内で供給しているサービスや雇用に変化は無く、スペインの税務署に納める金額についても大きな変化は生じないとして、その移転がスペインに与える経済的悪影響について否定している。
今回のFerrovial社の国外への移転決定について、野党からは「政府の悪政が招いた企業の流出である」として、責任追及の声が挙がっている。
また経済連からは、政府によるFerrovial社の海外移転への圧力について、「自由な経済活動を妨げようとしている」として、同様に強い批判の声が聞かれる。


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ニュース
*フラメンコ、義務教育に

余談
*パコ・デ・ルシアの曲のお話し、他


2023年4月12日(水)

トランス法、その後

平等省の発案により、その施行にまで持ち込まれた新法「solo si es si法」は、本来の目的とは正反対の結果を生むこととなり、依然、その問題は未解決のままの状態が続いているが、それと並んでトランス法についても問題がつきない。
マドリッド州のTorrelodones市では警察官補充のための募集が行われ、今年1月に筆記試験が行われた。
その時に受験した391名が去る3月21日に行われた実技試験に臨んだが、その中に1名、性の変更手続きを終え、男性から女性に変わっていた者があり、この人物は女性として実技試験を受けていた。
「一次試験としての筆記試験を男性として受けた者が、次の実技試験に男性の肉体力を持ちながらも女性として参加して良いのか。」と言う問いが議論を呼んでいるが、法の専門家は、良い悪いと言った次元の問題では無く、法的に女性となったのであれば、「女性として受ける権利」ではなく、「女性として受ける義務」があると指摘している。


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ニュース
*スペイン政府、スペイン製ワクチンBimervaxを320万回分購入
*2022年度確定申告に合わせた詐欺メール増加

余談
*スペインでの予約の注意点


2023年4月10日(月)

セマナ・サンタの連休、マドリッドのホテル稼働率は90%以上

新型コロナ危機による厳しい時期を乗り越え、今年のセマナ・サンタ休暇は首都マドリッドにも吉報をもたらした。
海の無いマドリッドは、気候が良くなってくると旅行の目的地としてはやや不利な環境にあるが、それでも今年のセマナ・サンタはホテルの稼働率が90%を超え、また飲食業の売り上げも記録的なものになったとのこと。

マドリッドの市バス、11日と12日は無料

首都マドリッドの市バスは、今週火曜日と水曜日の二日間、運賃が無料となる。
火曜日の0時から水曜日の23時59分までの48時間がその対象となり、その間、無料ではあるが乗車券の読み取りは必要であるため、定期券や回数券などを持っている場合は乗車時にこれを提示し、持っていない場合は、その旨を告げると運転手が無料乗車券を発券してくれるとのこと。
マドリッド市でこれが行われるのは13回目となるが、これによって公共交通機関の利用者を増やし、乗用車の利用を減らすのが大きな狙いとなっている。


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ニュース
*スペイン国鉄、マドリッド―アンダルシア間の新幹線格安サービスを開始

余談
*カタルーニャTVが宗教ネタで非難囂々、他


2023年4月7日(金)

バルセロナ:ハッカー集団による「クリニック病院」への脅迫続く

去る3月5日、ハッカー集団によるバルセロナの「クリニック病院」の情報が盗まれる事件があり、その後、同集団から、これらの情報と引き換えに450万ユーロの要求があったが、病院はこれに応じず、カタルーニャ警察、及びカタルーニャのサイバー安全局にその対応を任せていた。
そう言った中でカタルーニャ当局は、深層ウェブにある同ハッカー集団のサーバーを凍結することにより、病院から盗まれた4.5GBの情報を公開していたWEBページを抹消したが、これに対しハッカー集団は、感染症を患っている患者に関する情報や、病院が試験的に使用している薬品などについての情報を公開するとして、新たなる脅迫をネット上で公開した。
盗まれた情報の中には、患者や職員の個人情報、病院と関係を持つ企業、団体などの情報が含まれており、同脅迫が始まって以来、病院の情報系統が正常に機能しないことから、数百件の手術や数千件の外来診察の予約が取り消されるに至っている。


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ニュース
*手術待ちや専門医による診察待ち、400万人に

余談
*セマナ・サンタのお話、他


2023年4月5日(水)

イベリコ豚、日本は200ユーロ/kgで仕入れ

イベリコ豚の肉を使った食品の中で、スペイン国内で最も人気のあるものと言えば生ハムだが、国外へ目を向けると、必ずしもそうとは限らない。
日本ではイベリコ豚のバラ肉、リブ肉などの需要が高く、それを仕入れるのに日本の業者が支払う金額は、スペインでの相場とは比較にならないほど高額となっている。
例えば、イベリコ豚のリブ肉はスペイン国内では1キロあたり4ユーロ程度で取引されるが、日本の業者は同じものに15ユーロを支払うため、すでにスペイン国内でこのリブ肉を目にすることはほとんど無くなっている。
また、イベリコ豚のプレサ(肩ロースの一部)に至っては、スペイン国内の相場が40ユーロ/kgであるのに対し、日本の業者は200ユーロ/kgを支払っており、その後、消費者の手に届く時には更に驚くような価格になっているとのこと。


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ニュース
*雨不足:カタルーニャの貯水量26.9%

余談
*スペインの音楽教育、他


2023年4月3日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
3月10日発表 139名 >> 3月17日発表 254名 >>
3月24日発表 298名 >> 3月31日発表 256名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
3月10日発表 20名 >> 3月17日発表 36名 >>
3月24日発表 43名 >> 3月31日発表 37名。

入院者総数の推移:
3月10日発表 2,006名 >> 3月17日発表 2,145名 >>
3月24日発表 2,014名 >> 3月31日発表 2,048名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
3月10日発表 94名 >> 3月17日発表 91名 >>
3月24日発表 102名 >> 3月31日発表 102名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
3月10日発表 8,038名 >> 3月17日発表 4,696名 >>
3月24日発表 7,417名 >> 3月31日発表 8,167名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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ニュース
*ソル広場のゼロキロメートル地点、新たに公開

余談
*枝の主日
*燻製サーモンの値段


2023年3月31日(金)

セマナ・サンタ休暇に向け特別取締まり、特別警戒態勢始まる

カトリック教国であるスペインでは、この週末よりセマナ・サンタの連休に突入する。
全国で共通の祝日となっているのは来週の聖金曜日だけだが、これに加え、州によって聖木曜日を祝日にするところと、再来週の月曜日を祝日にするところに分かれる。
これらの祝日を組み込む形で、間に挟まれる平日に有給休暇を充てることによって長期連休として利用する人も多く、交通局では本日、金曜日の午後から特別取締まり体制に入る。
また、セマナ・サンタ期間中は各地で多数の祭事が予定されていることから、テロなどの発生を防ぐ目的で特別警戒態勢が布かれる。 首都マドリッド市では、1,350名の市警察官の増員により警戒が強められるとのこと。


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ニュース
*EU、スペイン製対新型コロナワクチンを認可

余談
*アトーチャ駅と新幹線


2023年3月29日(水)

指名手配中のカタルーニャ独立派政治家クララ・ポンサティ氏、バルセロナで逮捕

クララ・ポンサティ氏は、2017年に行われたカタルーニャの独立の賛否を問う違憲州民投票の開催や、一方的独立宣言などを推し進めた当時のカタルーニャ州政府主要メンバーの一人であり、これまでスペインの法の裁きを逃れて国外逃亡を続けていたが、昨日、車を使ってフランスから国境を越えてスペインへ入国したあと、バルセロナの大聖堂前広場でカタルーニャ警察によって逮捕された。
逮捕前に同氏は記者会見を開いており、スペイン政府との交渉にやって来たのではなく、スペインの司法と対決するためにやって来たと主張していた。
バルセロナの裁判所に連行され、供述を行ったあと、最高裁からの指示により、同裁判所は4月24日に最高裁への出頭を命じたうえで、昨夜23時前に仮釈放した。
最高裁は、4月24日の出頭命令に従わない場合は再逮捕の対象となることを通達しているが、ポンサティ氏は、スペインの司法の権威も権限も、一切、認めていないと主張している。
同氏は、今朝6時過ぎにバルセロナのエル・プラッツ空港の出国審査を問題なく通過し、いずこかの経由地を経てEU議会のあるブリュッセルへ向かった模様。
現在、EU議員の職に就く同氏は、2017年10月1日にカタルーニャで行われた違憲州民投票の開催において、不服従の罪に問われており、懲役刑の対象とはなっていないが、一定期間の公民権停止処分の対象となっている。


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ニュース
*マドリッドの健康環境、EUで第一位に

余談
*スペイン人は魚卵を食べる?、他


2023年3月27日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
3月3日発表 99名 >> 3月10日発表 139名 >>
3月17日発表 254名 >> 3月24日発表 298名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
3月3日発表 14名 >> 3月10日発表 20名 >>
3月17日発表 36名 >> 3月24日発表 43名。

入院者総数の推移:
3月3日発表 1,827名 >> 3月10日発表 2,006名 >>
3月17日発表 2,145名 >> 3月24日発表 2,014名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
3月3日発表 84名 >> 3月10日発表 94名 >>
3月17日発表 91名 >> 3月24日発表 102名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
3月3日発表 7,093名 >> 3月10日発表 8,038名 >>
3月17日発表 4,696名 >> 3月24日発表 7,417名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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ニュース
*今年初の大規模火災
*卵の値段、30%高騰

余談
*スペイン人は生魚を食べる?、他


2023年3月24日(金)

憲法裁判所、安楽死法を支持

スペインでは、一定の条件が揃った場合に安楽死の申請が可能となっているが、これに対し右翼政党VOXは、生命に対する基本的人権を侵害するものであるとして憲法裁判所に訴えると共に、その仮停止処分を求めていた。
しかし昨日、憲法裁判所はそれを構成する裁判官11名の内、9名がこの新法を支持する姿勢を示したことから、9票対2票でVOXからの訴えは退けられる結果となった。
現在、憲法裁判所の11名の裁判官は革新派とされる7名、そして保守派とされる4名によって構成されているが、今回、この保守派4名の意見が二つに分断される形となった。


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ニュース
*スペインの出生率、過去最低に

余談
*スペインに野球はある?


2023年3月22日(水)

年金制度改正:スペインにおける年金受給は何歳から?

先ごろ、年金制度改正案が可決され、政府広報で正式に発表された。
新たな年金制度によると、年金制度加入期間(納入期間)が37年9か月以上を満たしている場合に限り、65歳から受給開始が可能となり、この期間を満たしていない場合は、66歳と4か月からの受給開始となる。
しかし今後、この必要期間は徐々に延長され、それにより受給開始時期も徐々に遅くなっていき、2027年には、65歳で受給を開始するためには38年6か月以上の納入期間が必要となり、これを満たさない場合は67歳からの受給開始となる。
また受給金額の計算に使用される掛け金は、最後の25年間に納めた金額、または29年間から最も少なかった2年間の納入額を差し引いたものとなる。


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ニュース
*首相不信任決議
*世界各国の幸福度順位付け

余談
*言語文化を守ろう!



2023年3月20日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
2月24日発表 194名 >> 3月3日発表 99名 >>
3月10日発表 139名 >> 3月17日発表 254名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
2月24日発表 28名 >> 3月3日発表 14名 >>
3月10日発表 20名 >> 3月17日発表 36名。

入院者総数の推移:
2月24日発表 1,888名 >> 3月3日発表 1,827名 >>
3月10日発表 2,006名 >> 3月17日発表 2,145名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
2月24日発表 95名 >> 3月3日発表 84名 >>
3月10日発表 94名 >> 3月17日発表 91名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
2月24日発表 7,380名 >> 3月3日発表 7,093名 >>
3月10日発表 8,038名 >> 3月17日発表 4,696名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に
限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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ニュース
*バスク州政府、ETA囚人の仮釈放に謝罪義務なし
*テニス選手Carlos Alcaraz、ランキング1位に。

余談
*マヨネーズもスペイン発祥



2023年3月17日(金)

スペインの成人の48%が睡眠障害

スペイン神経学会の調査によると、スペインの成人ではその48%が、そして未成年では25%が良質の睡眠をとれていないとのこと。
また、年齢に関係なく国民の50%が「なかなか眠りにつけない」、32%が「よく眠れたと言う実感を持てない」と言った状況にあると言う。
良質の睡眠の定義として、満たすべき条件が幾つか挙げられているが、その一つが睡眠時間であり、成人の場合で一日に7〜9時間、15〜17歳は8時間以上、2歳〜14歳の子供で10時間以上とされている。
続いて「睡眠をとる時間帯が決まっている事」、そして「継続した睡眠の確保」が挙げられており、これらのどれかが欠けると良質な睡眠とは見なされない。
スペイン神経学会によると、400万人以上の国民が慢性、且つ、重度の睡眠障害を持っているとのこと。
これまでの調べによると、スペインにおける睡眠障害は男性よりも女性に多く見られ、正常に睡眠をとれていると感じている女性は全体の33%程度にとどまっている。
また性別に関係なく14歳以下の年齢層については、20%以上が決まった時間帯に睡眠をとれていないとしており、30%が十分な睡眠をとれていないと感じている。


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ニュース
*数か月間続いたマドリッドの医療従事者等によるストが終結。

余談
*バレンシアの火祭りとパエージャの秘密


2023年3月15日(水)

食料品物価指数16.6%に

今年の2月と昨年の2月とを比較すると、食料品の物価は16.6%高騰し、同統計が取られ始めた1994年1月以来、最大の伸び率となった。
品目別に見た場合、次のような高騰が見られた。
砂糖(52.1%)、バター(39.1%)、牛乳(33.2%)、オリーブオイル(33.1%)、 ひまわり油(27.3%)、卵(28%)、豆類と生鮮野菜(23.6%)、小麦、シリアル類(26.2%)、 鶏肉・豚肉・牛肉(14%前後)、パン(13.2%)など。
尚、今年1月より有効となった基本食品に対する減税や免税措置が取られた結果として、これらの上昇率にとどまっている。
同政策では、当面、今年の6月いっぱいまでパン、牛乳、卵、生鮮野菜、果物類、豆類、イモ類、小麦粉、シリアル類などの税率をゼロに、また、食用油、パスタ類などの税率をそれまでの10%から5%に減税しており、 7月以降の継続についてはまだ公表されていない。
これら物価上昇により、高級食材となっている魚や肉の消費量には32%の減少が、そして生鮮野菜の場合で18%の減少が見られるとのこと。


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ニュース
*ベンゾジアゼピンの服用量、スペインが世界最多。

余談
*日本からの荷物(普通郵便)は届く?


2023年3月13日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
2月17日発表 210名 >> 2月24日発表 194名 >>
3月3日発表 99名 >> 3月10日発表 139名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
2月17日発表 30名 >> 2月24日発表 28名 >>
3月3日発表 14名 >> 3月10日発表 20名。

入院者総数の推移:
2月17日発表 1,830名 >> 2月24日発表 1,888名 >>
3月3日発表 1,827名 >> 3月10日発表 2,006名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
2月17日発表 117名 >> 2月24日発表 95名 >>
3月3日発表 84名 >> 3月10日発表 94名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
2月17日発表 7,038名 >> 2月24日発表 7,380名 >>
3月3日発表 7,093名 >> 3月10日発表 8,038名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*緊急事態宣言(2020年3月14日発令)が出されて3年。
*マドリッドのアウトレット、日替わり価格で大人気

余談
*スペインにとっての3月11日、他



2023年3月10日(金)19時30分(日本時間) YouTube ライブ配信

銀行、65歳以上の利用者の通帳維持を確約

デジタル化が進み、従来の預金通帳が急速に姿を消しつつあり、これに伴ってデジタル機器利用の事実上の強制化が見られる中、そう言った電子機器の利用に抵抗を感じる、あるいは、その利用が困難であると感じる高齢者から強い抗議の声が挙がっていた。
これを受け政府は、1年前に全銀行に対し、高齢者への対人での応対や、預金通帳維持の義務を通達していたが、実際にはこれが守られていないことも多く、維持されるはずの預金通帳が廃止された例や、預金通帳を使って現金を引き出すと手数料を請求される、などの事例が報告されていた。
そう言った中、昨日、経済相大臣であり第一副首相でもあるナディア・カルビーニョ氏と銀行連盟、消費者協会、そしてスペイン銀行総裁等による会議が行われ、今後の具体策として、65歳以上の利用者については従来の預金通帳維持の保証、そしてこれを利用して入出金する際の手数料適用の禁止についての確認が行われた。
消費者協会Asufin調べによると、65歳以上の年齢層においては、その40%以上が現在でも従来の物理的な預金通帳を利用しているとのこと。
また、現金の利用に慣れている高齢者にとっては、日常生活で現金の入出金が行える環境が必要であるため、人口500人以上の集落を対象に、この1年間で現金自動預払機を少なくとも79か所で増設したとのこと。


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ニュース
*性の変更申請に男性殺到

余談
*病院の予約、いつ取れる?



2023年3月8日(水)

国際女性デー:フェミニストの分裂がより明確に

国際女性デーとされている本日、3月8日には、世界各地で様々な行事が予定されているが、スペインの首都マドリッドでも、例年同様に大規模なデモが予定されている。
2020年の3月8日、この国際女性デーに合わせた大規模デモが直接的原因となって新型コロナの感染爆発が起きたのはまだ記憶に新しいが、今年は、新型コロナ危機始まって以来初めて、感染拡大を防ぐ為の規制無しでの開催となり、その規模も更に大きなものとなることが予想される。
しかしながら、女性の権利に関する新法やトランス法など、政府による昨今の様々な政策に関して、フェミニストの中に大きな分裂が生じつつあり、彼らが一致団結しての抗議運動にはならない模様。
この分裂は昨年にも見られたが、今年はそれが更に顕著なものとなることが予測される。
そう言った中、首都マドリッドでは本日の夕刻、アトーチャ駅前の広場付近に集合する一団が、18時半にその行進を開始する。
そしてその一方で、同じくアトーチャ駅前の広場付近に集合する別の一団が19時にその行進を開始する予定となっており、前者はアトーチャ通りをのぼりつつ外務省があるラ・プロビンシア広場へ向かい、後者はプラド通りからシベレス、グランビアを経てスペイン広場へ向かう。
このどちらのデモ行進に参加するかによって、各政党の今後の支持率が大きく変わることが予測される。


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ニュース
*政府、パリダ法を火曜日に閣僚会議で可決
*Solo si es si法の改正、昨日の国会で可決

余談
*観光業の復活で泥棒も復活



2023年3月6日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
2月10日発表 264名 >> 2月17日発表 210名 >>
2月24日発表 194名 >> 3月3日発表 99名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
2月10日発表 38名 >> 2月17日発表 30名 >>
2月24日発表 28名 >> 3月3日発表 14名。

入院者総数の推移:
2月10日発表 1,880名 >> 2月17日発表 1,830名 >>
2月24日発表 1,888名 >> 3月3日発表 1,827名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
2月10日発表 111名 >> 2月17日発表 117名 >>
2月24日発表 95名 >> 3月3日発表 84名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
2月10日発表 8,387名 >> 2月17日発表 7,038名 >>
2月24日発表 7,380名 >> 3月3日発表 7,093名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


その他のニュースと余談(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

ニュース
*政府、パリダ法を火曜日に閣僚会議で可決予定

余談
*アルベルカにて(「穢れなき悪戯」の撮影地)



2023年3月3日(金)

スペイン語表記法に変更

昨日、スペインのRAE(Real Academia Espanola)は、スペイン語表記法の一部を変更する旨を発表した。
これはティルデと呼ばれ、一般に「アクセント記号」として親しまれている記号の使い方についてのもので、この記号は、不規則なアクセントの位置を示すための用途だけではなく、同じ綴りだが複数の意味がある単語の場合に、その区別をつけやすくするように使用されることもあったが、現代スペイン語では、表記法を簡略化する目的でその使用が廃止されていた。
しかしながらその決定に対し、各方面、特に作家などから再考を求める声が絶えなかった。
理由は、ティルデを使わないことが原因となり、その意味が正確に伝わらないことが実際に有り得るためである。
一例を挙げると、"Trabaja solo los domingos" と言う文章がある場合、solo と言う単語にティルデを付けないで書くと、この単語が形容詞として使われたのか、副詞として使われたのかが読者に正確に伝わらない可能性が あり、それによって、「日曜日だけ働く」と言う意味なのか、「日曜日は一人で働く」と言う意味なのか分からず、全く違う意味になってしまう可能性がある。
この件については長年に渡って議論されてきたが、今回、RAEはこのティルデの復活を決定した。
しかし、意味が異なって伝わる危険性が無い場合は、今後もこの記号を使わないことを推奨している。
また、solo と言う単語だけでなく、este、esta、estos、estasなど、「これ、それ、あれ」と言った代名詞として使われる場合と、「この、その、あの」と言った連体詞として使われる場合とがある単語についても、必要があると判断される場合には、代名詞にティルデを付けることも認めるとのこと。


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ニュース
*2035年にはスペインの成人の37%が肥満に
*Solo si es si法による減刑例、更に増加

余談
*預金金利は交渉すべし、他



2023年3月1日(水)

対インフレ政策効果無し:物価上昇率6.1%に

急激な物価上昇が続き国民の家計への圧迫が急増する中、政府は今年1月より、生活必需品としての基本食品に対する税率をゼロにすることにより、家計への負担軽減を図った。
しかしながら、国家統計局が行った昨日の仮発表によると、1月末時点の総合物価上昇率は6.1%に、そしてエネルギーと生鮮食品を外して計算される基調的な物価上昇率(コア・インフレ率)では7.7%に達した。
スペインにおける物価上昇率は、昨年7月に10.8%と、1984年9月に同統計が取られ始めて以来の最高値に達した後、昨年12月には5%を切るところまで下がったが、その後、再び増加傾向に転じ、これで3か月連続での増加となった。


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ニュース
*政府、洋上風力発電用水域として5000平米を認可

余談
*スペインで一番古い町は?



2023年2月27日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
2月3日発表 278名 >> 2月10日発表 264名 >>
2月17日発表 210名 >> 2月24日発表 194名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
2月3日発表 40名 >> 2月10日発表 38名 >>
2月17日発表 30名 >> 2月24日発表 28名。

入院者総数の推移:
2月3日発表 2,056名 >> 2月10日発表 1,880名 >>
2月17日発表 1,830名 >> 2月24日発表 1,888名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
2月3日発表 150名 >> 2月10日発表 111名 >>
2月17日発表 117名 >> 2月24日発表 95名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
2月3日発表 9,053名 >> 2月10日発表 8,387名 >>
2月17日発表 7,038名 >> 2月24日発表 7,380名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に
限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


その他のニュース(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

*ワールド・モバイル・コングレス、本日より開催。

*イベリア航空、マドリッドーバルセロナ線を新型コロナ以前の便数に。



2023年2月24日(金)

スペインの大卒資格、給与優遇の資格とならず

スペインでは、25歳〜64歳の年齢層で見た場合、その40.7%が大学などの高等教育を終えており、その比率はEU諸国平均の33.4%を大きく上回っている。
逆に義務教育しか受けていない人の割合が36.1%で、その後、何らかの中等教育まで終えたが高等教育へ進まなかった人の割合が、23.2%となっている。
EU諸国平均では、この中等教育まで終えた人の割合が45.9%となっており、スペインの23.2%と比べるとその2倍近くになることから、EUの他の国々に比べてスペインでは、教育水準における中間層が極めて薄いことが分かる。
一般的な解釈として、「大学を卒業すれば、それなりの高収入を得ることが可能となる」、とされていた時代が スペインにもあったが、現在では、それは過去の幻影と化しており、大卒の資格が直接、高収入につながると言うことは無い。
年齢層を25歳〜34歳に限って見た場合、スペインでは大学などの高等教育を終えている人の占める率は48.7%にのぼるが、その10人中4人近くに当たる全体の36.6%が、低賃金の業種に就いているとのこと。
この比率はEU平均では22.1%であり、36.6%に達しているスペインは最多となっている。


その他のニュース(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

*各地で積雪、車両立ち往生

*イベリア航空、Air Europa社を買収



2023年2月22日(水)

マドリッドーバルセロナ間AVE、15ユーロ

首都マドリッドとバルセロナを結ぶ高速列車AVEは、この2月25日でその開通から15年を迎える。
RENFEはこれを記念して、同区間15ユーロでの切符販売を開始している。
この15周年記念特別価格による切符は、記念日の25日となる今週土曜日までの期間限定で販売が続けられ、利用可能期間は3月15日から年末までとなっている。
ただし、この切符は15万枚の枚数限定で販売されており、販売期限の土曜日になる前であっても、売り切れと同時に販売終了になるとのこと。


その他のニュース(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

*65歳以上の40%以上が預金通帳を使用

*国家警察、正規のメールサービスの存在を通達



2023年2月20日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
1月27日発表 251名 >> 2月3日発表 278名 >>
2月10日発表 264名 >> 2月17日発表 210名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
1月27日発表 36名 >> 2月3日発表 40名 >>
2月10日発表 38名 >> 2月17日発表 30名。

入院者総数の推移:
1月27日発表 2,341名 >> 2月3日発表 2,056名 >>
2月10日発表 1,880名 >> 2月17日発表 1830名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
1月27日発表 177名 >> 2月3日発表 150名 >>
2月10日発表 111名 >> 2月17日発表 117名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
1月27日発表 8,801名 >> 2月3日発表 9,053名 >>
2月10日発表 8,387名 >> 2月17日発表 7,038名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に
限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


その他のニュース(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

*マドリッド市、ゴミの分別方法を年内に変更。



2023年2月17日(金)

トランス法、中絶法改正案、可決

性犯罪者をより厳しく裁くことを目的として施行された Solo si es si法が、逆に性犯罪者の刑を軽減する結果を生んでいることから激しい非難を受けているイレネ・モンテロ平等省大臣だが、同氏が打ち出した法改正3本柱の残り2つが、昨日の国会で可決された。
今回の決議においても、先の Solo si es si法同様に、連立政権を組む PSOE と Unidas Podemos との間にはその考え方に大きな相違が見られ、可決には至ったものの、両政党の間に更なる深い溝を残すこととなった。
Solo si es si法は、これが政府、そして社会が考えているとおりの役割を果たすかどうかについて、法専門家等による意見を仰ぐことなく政府の一存で施行された結果、その内容に事実上、欠陥があり、本来の目的とは正反対の結果を招くこととなったものである。
こういった前例があるにも関わらず、今回の2つの改正案についても、政府は法専門家等の意見を取り入れることは無かった。
これに対し、これらの改正案が再び深刻な問題を引き起こす原因となるのではないか、と言った懸念が広がっている。
尚、トランス法、中絶法改正案に含まれる主な改正点としては、次のものが挙げられる。

トランス法:
*16歳以上であれば自己判断と責任で戸籍上の性別変更が出来る。
*14歳、15歳では保護者の同意が必要。
*12歳、13歳では法的機関による認可が必要。
*性別登録の変更に際し、性同一性障害、ホルモン治療、手術による肉体の変化などについての情報提出義務は無し。

中絶法:
*中絶決断前に再考期間として3日間をおく義務の排除。
*出産を選んだ場合に得られる様々な支援についての情報提供を受ける義務の排除。
 これにより情報は希望する人のみ受けられることとなる。
*自己判断で決定できる年齢を18歳以上から16歳以上に引き下げ。
*全国の行政に対し公的医療施設での中絶手術への対応を義務化。
*公的医療に従事する医師の中で、中絶手術に反対する医師のリスト作成。
*重度な月経による欠勤の権利。


その他のニュース(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

*スペインの不動産売買価格7.1%の高騰

*銀行が提供する預金金利、6月頃まで目立った引き上げは無しか?



2023年2月15日(水)

マドリッド、アルカラ門の大修復開始

スペインの首都、マドリッドを象徴する建造物の一つとなっているプエルタ・デ・アルカラ(アルカラ門)の大規模な修復工事が始まった。
アルカラ門は18世紀、カルロス3世の時代に造られたもので、それ以前にあった16世紀建築の門を取り壊し、新たに建造されたもの。
その建造にあたってイタリア人のサバティーニ、スペイン人のベントゥーラ・ロドリーゲス、ホセ・デ・エルモシージャなどが企画を出したが、カルロス3世はサバティーニの企画を採用し、ネオクラシック様式で造られた。
1778年に完成して以来、245年の歳月が経った今、その損傷が激しいことから大規模な修復が急務とな り、昨日、作業が開始された。
工期は10〜12か月とされており、今年の年末か来年年明け頃に完了する予定であり、同工事に充てられる予算は300万ユーロとのこと。


その他のニュース(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

*RAE(レアル・アカデミア・エスパニョーラ)、Abogadoの定義を修正



2023年2月13日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
1月20日発表 424名 >> 1月27日発表 251名 >>
2月3日発表 278名 >> 2月10日発表 264名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
1月20日発表 61名 >> 1月27日発表 36名 >>
2月3日発表 40名 >> 2月10日発表 38名。

入院者総数の推移:
1月20日発表 2,914名 >> 1月27日発表 2,341名 >>
2月3日発表 2,056名 >> 2月10日発表 1,880名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
1月20日発表 220名 >> 1月27日発表 177名 >>
2月3日発表 150名 >> 2月10日発表 111名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
1月20日発表 11,426名 >> 1月27日発表 8,801名 >>
2月3日発表 9,053名 >> 2月10日発表 8,387名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に
限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


その他のニュース(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

*映画監督カルロス・サウラ氏、死去

*医療従事者らによる大規模デモ



2023年2月10日(金)

国民の貯蓄率、インフレで過去最低に

新型コロナ危機勃発以降、様々な行動制限が原因となり、従来の形で休暇を楽しむことも出来なかったことなどから、スペイン国民の貯蓄率は必然的に上がる結果となった。
これにより、2020年の4月〜6月には平均貯蓄率が収入の25%と過去最高値に、そして同年度1年間平均では18%に達した。
翌年の2021年には減少が見られたが、それでも1年間平均で10%以上を維持していた。
しかし、2022年の前半はなんとか持ちこたえていたが、後半に入ると、急速に進むインフレの影響や、新型コロナ危機勃発後、最初の行動制限無しで楽しめる夏の休暇時期に重なったことなどもあり、スペイン国民の貯蓄率は急降下し、過去最低値に近い5.7%まで落ち込んだ。
新型コロナ危機が始まる直前の貯蓄率は8.4%であったため、大きく減少しているのが分かる。
また、ユーロ圏平均である12%と比較しても、大きな格差が見られる。
専門家によると、インフレや金利上昇の影響により、この2年間でスペイン国民の購買力は12%落ちているが、今年は金利の急激な変化による影響が更に表面化することが予測されるとして、警告を発している。


その他のニュース(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

*動物愛護法改正案、可決



2023年2月8日(水)

住居賃貸料、約10%の高騰

欧州における急激な金利上昇の影響を受け、変動制金利による住宅ローンの返済を行っている人々の月々の支払額が大幅に増加しているが、賃貸物件を利用する人々にとっても、同様に厳しい状況となりつつある。
スペインにおける賃貸物件の値段は、新型コロナ危機勃発直後から急激に下がり始め、2021年は底をついた状態が続いたが、同年末頃から上昇に転じ、2022年半ば頃には新型コロナ以前の相場に戻った。
その後も上昇は続き、今週月曜日に大手不動産会社Idealistaが公開した情報によると、今年に入り、スペインにおける不動産賃貸料は過去最高値に達しているとのこと。
1年前と比較すると9.4%の値上がりを見せ、全国平均すると1平米あたりの値段が11.6ユーロとなっている。
都市平均で比較した場合、最も家賃が高いのがバルセロナで1平米あたり19.8ユーロとなっており、これにマドリッド(16.5ユーロ)、サン・セバスティアン(16.3ユーロ)、パルマ・デ・マジョルカとビルバオ(13.3ユーロ)、マラガ(12.1ユーロ)が続く。
逆に家賃が最も安い町はサモーラ(5.6ユーロ)、ルゴ、アビラ、カセレス、シウダ・レアル(6.2ユーロ)、クエンカ(6.8ユーロ)などが挙げられる。
家賃の高騰により、特に低所得の若者層に大きな経済的圧迫が生じており、都会での例を見ると、バルセロナ市で68平米のマンションに住むためには平均1,346ユーロの家賃が掛かり、25歳〜34歳の年齢層の場合、 所得の76%をこれに充てる必要がある。
首都マドリッド市では平均1,089ユーロの家賃で所得の62%が、バレンシア市では平均980ユーロで所得の55%が、セビージャ市では平均806ユーロで所得の47%を充てる必要があるとのこと。


その他のニュース(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

*本日より公共交通機関利用時のマスク着用義務解除



2023年2月6日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
1月13日発表 346名 >> 1月20日発表 424名 >>
1月27日発表 251名 >> 2月3日発表 278名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
1月13日発表 49名 >> 1月20日発表 61名 >>
1月27日発表 36名 >> 2月3日発表 40名。

入院者総数の推移:
1月13日発表 3,505名 >> 1月20日発表 2,914名 >>
1月27日発表 2,341名 >> 2月3日発表 2,056名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
1月13日発表 222名 >> 1月20日発表 220名 >>
1月27日発表 177名 >> 2月3日発表 150名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
1月13日発表 17,773名 >> 1月20日発表 11,426名 >>
1月27日発表 8,801名 >> 2月3日発表 9,053名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に
限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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*マドリッド近郊線列車、設備改善工事開始、C3, C3a, C4, C4a y C4b線に影響



2023年2月3日(金)

スペインはローマ帝国内最大の金山

スペインはローマ時代に、その広大な帝国内で最大の金の産地となっていた。
イベリア半島内の地表近くに存在する金鉱で、ローマ時代に発見・採掘されなかった所は無いとされているが、地中深く眠っている金は、今も大量に存在するとのこと。
スペイン国内でその埋蔵量が最も多いとされるのはアストゥリアスで、すでにローマによって採掘が行われた場所を含め、約480か所の金鉱が存在する。
その中で、地下にあるためローマ人の手を逃れ、今も大量の金が隠されているとされるのがSalave金鉱であり、その地下には30トン程度、100万オンス相当の金が眠っているとされており、これはスペイン銀行が所蔵する金の10%に及ぶ。
同金鉱はローマ時代にも採掘の対象となったが、その時代、地表付近の採掘のみが行われた為、今も地下には大量に残っていることが確認されており、これまでに複数の業者がこの金鉱での採掘計画を提出したが、いずれも自然環境の破壊につながるとして、許可が下りなかった。
特に問題視されたのが、採掘作業による川の水の汚染であったが、今回、アストゥリアスの業者が川の汚染を避ける手段を講じた上で、新たに許可申請を行っている。
この金鉱での採掘許可が出た場合、ヨーロッパ最大の金鉱となるが、環境への悪影響は免れないとして、強い反対運動が続けられている。
金は、1トンの大地から数グラムしか採集されない為、大量の土壌を掘り起こす必要がある。
Salave金鉱での採掘が開始されれば、30トンの金を採集するのに、向こう13年間に渡って毎年74万トンの大地が掘り返されることとなり、こうして掘り起こされた土壌に含まれるカドミウム、水銀、ヒ素、硫化物などの有害物質が大量に地表に露出し、海へも流出することとなる。
そして採集された金の95%は、富裕層のための商品や富裕層による投資対象となるだけで、そう言った目的のために、これ以上、地球を掘り起こして更なる金を採掘する必要はどこにも無いとの指摘があがっている。
また、10数年かけて取り出そうとしている30トンの金など、ベルギーにある大規模な携帯電話リサイクル工場が、廃棄された古い携帯電話から取り出している金の量に比べれば微々たるもので、同工場では年間、30トン以上の金を取り出しているとの指摘もある。
尚、国連調べによると、携帯電話端末41台から1グラムの金が回収できるとのこと。
金鉱の開発によって地元経済が潤うのは必至だが、これについてアストゥリアス住民の間では、意見が真っ二つに割れている。


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*未成年者における性的固定観念



2023年2月1日(水)

最低賃金8%の引き上げ

今週月曜日の上院においてペドロ・サンチェス首相は、今年度の最低賃金について、8%の引き上げを行うことを発表した。
これにより、1,000ユーロであった2022年度の最低賃金に比べ、80ユーロ多い1,080ユーロが今年度の最低賃金となり、最低賃金受給者の年収は1,080ユーロX14か月分となる。
スペインにおける最低賃金は、ユーロ通貨の流通が始まった2002年には442.2ユーロであったが、 20年以上が経った今、230%以上の増額となった。
また、現政権となった2018年以来、736ユーロから1,080ユーロへと、47%増額している。
今回の引き上げは、労働組合からは高く評価されているが、企業連盟からの批判の声が強く、この決定に至るまでの最後の2回の会議には、企業連代表はその出席を拒否している。
主要労働組合によると、最低賃金引き上げにより、直接その恩恵を受ける人口は就労人口の約14%にあたる約250万人にのぼり、その多くは女性や若者層であるとのこと。
現在、スペインの最低賃金はEU加盟国内の順位付けでは8番目に位置しているが、第1位にあるドイツ(1,703ユーロX14か月分)や、第2位のフランス(1,650ユーロX12か月分)と比較すると、まだまだその差は大きい。
尚、今回の引き上げが正式に閣僚会議で決定され、有効となるのに2週間以上を要するが、今年度の最低賃金制度として、その効力開始時期は1月1日に遡ることとなる。


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*Solo Si es Si 法:見直しへ

*Euribor(欧州銀行間取引金利)3.33%へ



2023年1月30日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表と
なっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
1月5日発表 318名 >> 1月13日発表 346名 >>
1月20日発表 424名 >> 1月27日発表 251名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
1月5日発表 45名 >> 1月13日発表 49名 >>
1月20日発表 61名 >> 1月27日発表 36名。

入院者総数の推移:
1月5日発表 3,520名 >> 1月13日発表 3,505名 >>
1月20日発表 2,914名 >> 1月27日発表 2,341名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
1月5日発表 231名 >> 1月13日発表 222名 >>
1月20日発表 220名 >> 1月27日発表 177名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
1月5日発表 9,220名 >> 1月13日発表 17,773名 >>
1月20日発表 11,426名 >> 1月27日発表 8,801名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に
限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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*EUの若者層失業者、5人に一人がスペイン人



2023年1月27日(金)

公共交通機関利用時のマスク着用義務、2月8日から廃止

政府は昨日、2月7日の閣僚会議において、地下鉄やバスなど公共交通機関利用時のマスク着用義務廃止を決定する予定であることを発表した。
決定後、翌日の2月8日には政府広報に反映され、それと同時にこれまで長く続いたマスク着用義務が廃止となる。
医療専門家会議への相談も無く突然行われたこの発表に、各方面から批判の声が上がっているが、着用義務の廃止そのものについては、多くの国民から歓迎の意思が表明されている。
しかし同時に、地下鉄やバスは、混雑時には狭い車内に大勢の人々が詰め込まれることとなるため、同義務を廃止するのは時期尚早であるとする声も多い。


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*一般家庭の60%が冬の暖房温度を低く設定



2023年1月25日(水)

スペインから東京へ旅行、宿泊費26%安く

記録的なインフレが続く中、航空運賃についても値上がりが目立っている。
大手予約サイト「Kayak」によると、今年の航空運賃は2022年と比較して平均36%の値上がり、また、ホテル代には平均7%の値上がりが見られるとのこと。
よって今年、旅行をするためには昨年より大きな出費を覚悟しなければならないが、スペイン人の旅行意欲は落ちるどころか、昨年より大きく上昇しており、今年旅行するための航空券の検索件数は、昨年に比べて94%の増加、更に、長距離フライトの検索数は119%増加しているとのこと。
また、ホテルの検索件数についても62%増し、特にヨーロッパ内のホテル検索については93%増しとなっている。
一般的に夏の休暇時期は航空運賃の高騰が見られるが、目的地によっては目立った高騰が無いところもあり、その一つとして予約サイトKayakは東京を挙げている。
今年の夏、東京での宿泊費は昨年と比較して26%下がっているとのこと。


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*水不足解消

*スペインのホテル代、コロナ前より15%高騰

*外人観光客数、未だ元には戻らず



2023年1月23日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
12月30日発表 196名 >> 1月5日発表 318名 >>
1月13日発表 346名 >> 1月20日発表 424名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
12月30日発表 28名 >> 1月5日発表 45名 >>
1月13日発表 49名 >> 1月20日発表 61名。

入院者総数の推移:
12月30日発表 3,717名 >> 1月5日発表 3,520名 >>
1月13日発表 3,505名 >> 1月20日発表 2,914名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
12月30日発表 236名 >> 1月5日発表 231名 >>
1月13日発表 222名 >> 1月20日発表 220名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
12月30日発表 14,221名 >> 1月5日発表 9,220名 >>
1月13日発表 17,773名 >> 1月20日発表 11,426名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、
全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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*昨年末の爆弾郵便事件、ロシアによるものか?



2023年1月20日(金)

スペイン、臓器提供数でトップを維持

スペインにおける臓器移植数は、2022年に前年度比13%の増加となり、新型コロナ危機以前の レベルに戻りつつある。
2022年に行われた臓器移植数は5,383件にのぼり、2019年の5,449件に迫る結果となった。
一日平均にして、15件の手術が行われた計算となる。
スペインでは臓器提供者の確保が順調に進んでおり、2021年度の統計では、人口100万人あたりの提供者数が米国の41.6人、ヨーロッパ平均19.3人、スウェーデンの同じく19.3人、ドイツの11.1人などを上回って、46.3人に達している。
これら安定した臓器提供により、2022年度に最も増加が目立ったのが腎臓移植と肺移植で、共に前年度比15%の増加となった。
また、家族の一員の死亡時における遺族の協力的な姿勢もこの臓器提供に大きく貢献しており、10件中8件まで、遺族が臓器提供に合意するとのこと。
提供者を年齢別に見た場合、最も多いのが60歳代で全体の60%を占めており、70歳代は28%、80歳代が5%となっている。
スペイン国内で地方別に見た場合、人口比率として提供者数が最も多いのはカンタブリアで、100万人あたり82.8人に達しており、これにナバーラ(71.2人)、エクストレマドウーラ(60人)が続く。


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*Solo Si es Si法



2023年1月18日(水)

財政赤字、過去最悪に

スペインの財政赤字は、悪化の一途を辿っている。
昨年11月終了時の統計が発表となったが、これによると、公共財政赤字額は同年10月終了時よりも83億8,400万ユーロ多い1,506兆ユーロに達し、更なる記録更新となった。
年間比較で見た場合、前年度同時期よりも5.6%多い792億2,700万ユーロの増加となった。
その中で最も大きな比率を占めるのが中央政府による財政赤字で、昨年同時期より7.3%(1兆3,315億9,700万ユーロ)の増加となった。
続いて、各自治州行政の赤字合計が昨年同時期より1.3%増し、3,165億900万ユーロ増となった。
中央政府の財政赤字でその主要原因として目立ったのが、年金・社会保険などを含む社会保障制度の赤字で、昨年同時期より13.1%増となり、1,061億7,600万ユーロに達し、これまでで初めて1,000億ユーロを超える数字となった。


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*カスティージャ・イ・レオン州:中絶希望女性に胎児の心臓鼓動音

*マドリッドーリスボン間の鉄道移動、2年計画で所要時間5時間に短縮予定



2023年1月16日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
12月23日発表 241名 >> 12月30日発表 196名 >>
1月5日発表 318名 >> 1月13日発表 346名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
12月23日発表 34名 >> 12月30日発表 28名 >>
1月5日発表 45名 >> 1月13日発表 49名。

入院者総数の推移:
12月23日発表 4,095名 >> 12月30日発表 3,717名 >>
1月5日発表 3,520名 >> 1月13日発表 3,505名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
12月23日発表 233名 >> 12月30日発表 236名 >>
1月5日発表 231名 >> 1月13日発表 222名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
12月23日発表 18,798名 >> 12月30日発表 14,221名 >>
1月5日発表 9,220名 >> 1月13日発表 17,773名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、
全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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*食料品物価、過去最大の値上がり



2023年1月13日(金)

スペイン人の53%がクリスマスプレゼントを返品もしくは交換

クリスマス商戦が終わった今、スペインでは冬の大安売りの時期に突入しているが、市場・世論調査会社CM.COMが行なったアンケート調査によると、スペイン人の53%がこのバーゲン時期を利用して、クリスマスに受け取ったプレゼントの返品や交換を行う予定であるとしている。
アンケートはスペイン全国で18歳以上の1000人を対象に行われたもので、同時に、57.8%が今回の安売り期間を利用して100ユーロ以上の買い物を予定しているとのこと。
また、73%が従来の店舗での買い物ではなく通販を利用するとしており、80.6%が平常時の買い物を避けて安売り時期を待つと答えた。


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*カタルーニャ違憲独立運動を進めた政治家等に減刑



2023年1月11日(水)

カタルーニャ、電動スケートボードの公共交通機関への持ち込みを禁止

カタルーニャ州では、今年2月1日より、向こう6か月間の予定でバス、鉄道、地下鉄など公共交通機関への電動スケートボード、キックスケーターなど、電力で動く乗り物の持ち込みが禁止となる。
これに違反した場合、200ユーロの罰金が科せられるとのこと。
各交通機関へは州行政より、2月からこれに対応出来るよう準備を進めるようにと先月から通達されていた。
カタルーニャでは、昨年11月に近距離線鉄道の車両内で電気キックスケーターのバッテリーが爆発する事故があった。
こう言った事故を未然に防ぐための具体的な方法が未だ見い出せないため、適切な対応策が見つかるまでの間の仮措置として、2月より6か月間、これらの持ち込みを禁止とし、その間に具体策を講じるとしている。


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*Solo Si es Si 法による減刑、すでに137件に



2023年1月9日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
12月16日発表 236名 >> 12月23日発表 241名 >>
12月30日発表 196名 >> 1月5日発表 318名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
12月16日発表 34名 >> 12月23日発表 34名 >>
12月30日発表 28名 >> 1月5日発表 45名。

入院者総数の推移:
12月16日発表 4,431名 >> 12月23日発表 4,095名 >>
12月30日発表 3,717名 >> 1月5日発表 3,520名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
12月16日発表 269名 >> 12月23日発表 233名 >>
12月30日発表 236名 >> 1月5日発表 231名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
12月16日発表 18,604名 >> 12月23日発表 18,798名 >>
12月30日発表 14,221名 >> 1月5日発表 9,220名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、
全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


その他のニュース(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

*所得に対する電気代、スペインはユーロ圏で2番目に高い国



2023年1月6日(金)主の御顕現の祝日

政府、EUからの助成金配当でカタルーニャを最優先

2022年にEUから支給された経済支援金の配当額が最も大きかったのはカタルーニャ州で、13億2,500万ユーロに達した。
これに次いで多かったのが、アンダルシア州の13臆2,000万ユーロ。
そのあとマドリッド州(9億7,700万ユーロ)、バレンシア州(8億8,600万ユーロ)、カナリアス州(7億8,000万ユーロ)、バレアレス州(5億4,500万ユーロ)が続いた。
尚、バレンシア州、カナリアス州、バレアレス州の行政は、いずれもPSOEによって行われている。


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*フアン・カルロス元国王、昨日、3年連続で国外での誕生日



2023年1月4日(水)

2022年度、失業者数268,252名の減少

政府発表によると、スペインにおける失業者総数は、2022年が終わった時点で前年度より268,252名少ない2,837,635名となり、2007年以来の低い数値となった。
12月だけで43,727名減となっており、月間比較では3か月連続での減少、そして年間比較では2年続けての減少となった。
これにより、現状としては失業者数が15年前の数値に戻ったとしている。
年齢別で見た場合、特に改善が見られたのが25歳以下の層であり、2022年に12%の減少が見られた。
また男女別では女性の失業者数が133,884名減、そして男性失業者数が134,368名減と、それぞれ前年度に比べて7.3%、そして10.5%の減少となった。
また2022年度に交わされた雇用契約のうち、期間限定の一時雇用ではなく、期限なしの正規雇用が占める割合が38.4%を占め、7,027,160件に達しており、前年度より500万件近くの増加となった。
政府はこれを高く評価しているが、無期限正規雇用の定義についての改正が行われたことも、この数値の上昇に影響を与えており、政府による誤魔化しであるとの批判の声も上がっている。


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*スペインの水不足状況、大きく改善



2023年1月2日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
12月9日発表 314名 >>12月16日発表 236名 >>
12月23日発表 241名 >> 12月30日発表 196名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
12月9日発表 45名 >>12月16日発表 34名 >>
12月23日発表 34名 >> 12月30日発表 28名。

入院者総数の推移:
12月9日発表 4,167名 >>12月16日発表 4,431名 >>
12月23日発表 4,095名 >> 12月30日発表 3,717名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
12月9日発表 243名 >>12月16日発表 269名 >>
12月23日発表 233名 >> 12月30日発表 236名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
12月9日発表 17,828名 >>12月16日発表 18,604名 >>
12月23日発表 18,798名 >> 12月30日発表 14,221名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、
全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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*自治州行政、中国からの入国者への陰性証明提示義務化を要請

*マドリッド市条例:空き瓶を捨てる時間に制限



2022年12月30日(金)

異性間暴力、今年の12月がこの20年間で最悪の月に

現在確認されているだけで10名の女性が殺害され、2名が重症を負った。
更にまだ3件、調査中の事件がある。
殺害された女性のうち、その半数が警察へ身の危険を訴えていた。

憲法裁判所、4名の新構成員を承認

昨日の会議で、4名の新しい裁判官の承認が全会一致で行われた。
このあと、スペイン国とその憲法への宣誓の儀式が行われ、政府広報による公式発表へと進む。
構成内容は、暫定議長を務めるリカルド・エンリケス氏を含めて保守派が5名、革新派が7名となり、革新派が多数を占める。

2022年:これまでで最も暑い年

気象局によると、2022年は過去107年間の記録において最も暑い年となることが確実となっている。
1年間の平均気温は15.3度に達し、例年平均より1.6度高く、15度を超えたのはこれが初めてとのこと。
また、この12月にはかなりの降水量があったが、1年を通してこれまでで最も乾いた年の一つとなることが予測されている。



2022年12月28日(水)

カタルーニャ独立の賛否を問う州民投票は有り得ない

カタルーニャの違憲独立運動を進めた政治家等に対する異例の恩赦適用や減刑など、独立派政党への極端な優遇策を進めてきたスペインの現政権だが、カタルーニャのペレ・アラゴネス州知事が行なったクリスマス演説に対し、強い否定の姿勢を示した。
カタルーニャ州知事は、去る月曜日に行われたクリスマス演説の中で、来年の州民投票開催実現に 向けた中央政府との交渉について、これを具体的に進めていくとしたが、これに対しペドロ・サンチェス首相は昨日の会見の中で、カタルーニャの独立へ向けての一連の動きは終わっており、独立の賛否を問う州民投票の開催はあり得ないと断言した。
また、「州民投票開催を含め、独立派政党が何を要求するのもそれは彼らの自由だが、それが実現することは無く、また、現在、EUが目指しているのはヨーロッパのより強い団結、主権の共有とその中での協調であって、主権の分立ではない」として、カタルーニャ州知事の演説に対して真向からそれを否定する発言を行った。


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*インフレ緩和策により一部の食品の税金がゼロに

*スペイン司法最高機関構成員、ようやく更新か



2022年12月26日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
12月2日発表 207名 >>12月9日発表 314名 >>
12月16日発表 236名 >> 12月23日発表 241名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
12月2日発表 30名 >>12月9日発表 45名 >>
12月16日発表 34名 >> 12月23日発表 34名。

入院者総数の推移:
12月2日発表 3,856名 >>12月9日発表 4,167名 >>
12月16日発表 4,431名 >> 12月23日発表 4,095名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
12月2日発表 229名 >>12月9日発表 243名 >>
12月16日発表 269名 >> 12月23日発表 233名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
12月2日発表 19,303名 >>12月9日発表 17,828名 >>
12月16日発表 18,604名 >> 12月23日発表 18,798名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、
全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。



2022年12月23日(金)

刑法改正案、上院を通過

先週の金曜日に国会で可決された一連の改正法案は、その中に含まれていた「最高司法機関の構成員選出法改正案」に問題が有るとして、上院における決議の停止令が出されたため、今週木曜日に予定されていた上院での決議は見送りになると思われていた。
しかし、状況が二転三転した結果、問題が指摘された項目以外の改正案についてのみ、予定通り昨日の上院で決議が行われ、可決に至った。
これにより、可決の20日後となる来年1月12日から改正法が有効となる。

可決された一連の改正法案の中でも、政府にとっての最重要項目は刑法改正案であり、その中に扇動罪の廃止と横領罪の刑の軽減が含まれている。
これらの施行により、カタルーニャにおいて違憲独立運動を進めた政治家等に対しても大幅な減刑が行われることとなり、懲役年数が減るだけでなく、近い将来、彼らの政界への復帰が予想される。
これらの改正は、カタルーニャ独立派政治家等だけでなく、同種の犯罪を犯した全ての人々への判決に影響を与えるため、昨今、世論を騒がせている性犯罪者に好都合な結果となってしまった Solo Si es Si法 と同様に、多くの犯罪者の釈放につながるのではないか、との懸念も広がっている。


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*クリスマスと元旦の振り替え休日はどうなる?



2022年12月21日(水)

憲法裁判所、政府の改正案に停止命令

先週の金曜日に行われた国会で、扇動罪の廃止、横領罪の刑の軽減、司法最高評議会の構成員選出に関する規定の変更、などを盛り込んだ改正法案が緊急法案として可決されたが、これに対し、今週月曜日、憲法裁判所から「司法最高評議会の構成員選出法改正について問題がある」として停止令が出された。
これを受け、下院、上院共に、執行委員会は憲法裁判所の判断を尊重し受け入れる旨を発表し、これによりスペインの主要な報道機関は、金曜日に可決された改正案全てにおいて、予防的な措置としての停止処分が適用されると報じた。
しかし昨日の朝、下院議長、並びに上院議長は、その決定に大きな変更を加え、今回の改正案から、憲法裁判所によって問題がある可能性が指摘された項目のみを切り離し、その他の項目については予定どおり施行へ向けての手続きを進め、それに必要な上院での決議を今週木曜日に行なうと発表した。

今回の一連の出来事の中で、国会がその一存で国家の司法界最高機関の構成員選出法と言う司法の根本とも言える要素に変更を加えようとしたこと、国会で可決された改正法案に対し、その改正法が施行に至る前に司法界より停止令が出されたこと、そして一旦、可決された一連の改正法案の中から、問題となり得る特定の項目だけを切り取り、急遽改正法案の内容を変更すると言う応急措置的な政策がとられたことなど、スペイン民主政治の歴史における前代未聞の事象が相次ぐこととなった。

政府は、「あってはならない政治への介入」であるとして司法界を批判しているが、EUからは、EU構成国の一つとして、スペイン政府は憲法に影響を及ぼすような改正を行う場合、その改正案を進める前に必ず司法界への照会を行う必要があり、「違憲、違法とはならない」とする司法最高機関からの保証を得る必要がある、との指摘が出されている。


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*Solo Si es Si法による減刑、すでに100件以上に



2022年12月19日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
11月25日発表 260名 >>12月2日発表 207名 >>
12月9日発表 314名 >> 12月16日発表 236名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
11月25日発表 37名 >>12月2日発表 30名 >>
12月9日発表 45名 >> 12月16日発表 34名。

入院者総数の推移:
11月25日発表 3,779名 >>12月2日発表 3,856名 >>
12月9日発表 4,167名 >> 12月16日発表 4,431名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
11月25日発表 216名 >>12月2日発表 229名 >>
12月9日発表 243名 >> 12月16日発表 269名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
11月25日発表 21,783名 >>12月2日発表 19,303名 >>
12月9日発表 17,828名 >> 12月16日発表 18,604名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、
全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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*本日、AVEのマドリッドームルシア線 開通式

*PSOE、UP、共に支持率急激に低下



2022年12月16日(金)

国会、騒然。刑法改正案他を可決

昨日の国会で、PSOEとUPによる連立政権は、扇動罪の事実上の廃止、横領罪による罪の軽減などを含む刑法改正案、そして司法最高機関構成員の選出法の改正案などを可決した。

政府から出されたこれら改正案の全てが違憲であるとして、右翼政党等から国会での決議を停止するよう憲法裁判所へ要請が出されていたが、これに対抗する要求や書類も政府から提出されており、憲法裁判所は「それら全てに目を通し判断を下すには、時間が必要である」とし、来週の月曜日までその決定を先延ばしにすると発表した。
これを受け、右翼政党を中心とする主要野党は、国会での決議は憲法裁判所からの発表が出されてから行うべきであるとしたが、政府はこれを無視し、予定通り、昨日の国会へ緊急法案として持ち込んだ。
国会では、主要野党による決議への参加放棄が行われる中、与党、そして今回の刑法改正案によって 直接的な利益を受けることとなるカタルーニャ独立主義政党、民族主義政党などの協力を得て、全てが可決されるに至った。

今後は、来週、月曜日に行われる予定の、憲法裁判所からの発表を待つこととなる。
この発表によって今回の決議が無効とされない場合、木曜日には上院での可決が行われ、その当日、又は遅くとも翌日には政府広報による発表が行われ、それと同時に改正法が有効となることが予測される。


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*中絶法改正により、16歳から自己判断で中絶可能に

*プリミティーバス宝くじ、唯一の1等当選者



2022年12月14日(水)

カタルーニャ独立運動:州民投票の再計画に入ったことを公表

カタルーニャ州行政は昨日、「中央政府との合意を伴う、カタルーニャ独立の賛否を問う州民投票」の開催に向けて動き始めていると公表した。
これはカタルーニャの行政を担う独立派政党ERCのパトリシア・プラジャ広報官によって行われた発表だが、この内容についてスペイン中央政府は強く否定している。
プラジャ広報官は、現在スペインの中央政治の中で進められている横領罪や扇動罪についての法改正は、州民投票開催の可能性にとって良い方向に進んでいると評価している。
同氏によるこれらの公表のあと、中央行政を担うPSOEからは3度に渡ってこれを否定する発表が繰り返された。
1度目はフェリックス・ボラーニョス内閣特命大臣によるもので、「合意、不合意に関係なく州民投票は行われない」とし、2度目はパチ・ロペス議会公報官によるもので、「誰かが州民投票開催を依頼した場合、必ず憲法に照らされる」としており、続いて、閣僚会議終了後に国土政策担当大臣であり政府広報官も務めるイサベル・ロドリーゲス氏が、「我が国で独立の賛否を問う州民投票が行われることはあり得ない」と強く否定した。
中央政府の3度にわたる否定に対し、主要野党が疑いの目で見ているだけでなく、カタルーニャ独立派政党ERCも、「政府はこれまでも最初は否定して来たが、いつも最後にはそれらを行って来た」として、政府の否定発言の信憑性を否定している。
ERCのこの発言に対し政府広報官は、まさに横領罪や扇動罪などの罪の軽減が確定しようしている今、 政府に不要な圧力をかけるのではなく、これらの刑の軽減により、カタルーニャ独立運動を進めた政治家等が受ける恩恵を評価すべきと言った内容の発言を行っている。


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*政府、solo si es si法の意味合いを改正?!



2022年12月12日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
11月18日発表 284名 >> 11月25日発表 260名 >>
12月2日発表 207名 >> 12月9日発表 314名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
11月18日発表 41名 >> 11月25日発表 37名 >>
12月2日発表 30名 >> 12月9日発表 45名。

入院者総数の推移:
11月18日発表 3,813名 >> 11月25日発表 3,779名 >>
12月2日発表 3,856名 >> 12月9日発表 4,167名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
11月18日発表 204名 >> 11月25日発表 216名 >>
12月2日発表 229名 >> 12月9日発表 243名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
11月18日発表 22,182名 >> 11月25日発表 21,783名 >>
12月2日発表 19,303名 >> 12月9日発表 17,828名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、
全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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*政府、今日の国会で刑法の修正案を提出

*ナバーラのパンプロナで治安警備隊撤退に対する大規模デモ



2022年12月9日(金)

AVEのムルシアーマドリッド線、12月20日に開通か

ムルシアの新聞社 La Opinion de Murcia の報道によると、ムルシアと首都マドリッドを結ぶ高速列車AVEが、今月20日よりその運行を開始する。
また、これに先立ち、19日に一般乗客無しでの運転と開通の式典が行われるとのこと。
これについてRENFEからの公式発表はまだ行なわれていないが、一昨日、同路線運行のための職員の割り振りが行われた模様。
ムルシアーマドリッドを結ぶAVEは、1日に4便(往復で8便)が運行され、そのうちの2便がアリカンテ経由、アトーチャ駅行となる。
これについては所要時間が3時間半に及び、2019年に運行を開始した特急ALVIAの所要時間よりも長くなるが、残り2便についてはアリカンテを経由せず、マドリッドまで2時間50分で到着でき、終点駅はチャマルティン駅となる。
アリカンテ経由の2便については、ムルシアの出発時間が11時50分と19時30分、そして経由しない2便が6時25分と13時55分になる模様。
また、ムルシアとアリカンテ間の移動については、従来の1時間半近くかかっていた在来線に代わり、45〜50分で移動できる列車の運行が開始され、カルタヘナームルシア間についても、カルタヘナの住民がマドリッド行きのAVEを快適に利用できるよう、シャトル便列車の運行を開始するとのこと。


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*政府、司法界における「5分の3決議」を廃止

*サッカー、スペイン代表チームの監督交代



2022年12月7日(水)

男女間の給与格差拡大

男女間に見られる収入格差を無くす方向に進んでいるはずの今、2020年から2021年にかけて、逆にこの格差の拡大が見られた。
国家統計局の調査によると、2021年におけるこの平均収入の男女間格差は21%となっており、 男性の場合で月額2,276ユーロ、女性の場合で1,883ユーロと、その間には月額にして393ユーロの違いがある。
スペインにおけるこの男女間格差は、2006年から2020年にかけて僅か6ポイントしか改善されおらず、更には、2020年には19%であったものが2021年には21%と、2ポイント増加している。
また、平均よりも高い収入を得ている人には男性が多く、男性の3人に1人が月給2,342ユーロ以上であるのに対し、女性の場合はこれが4人に1人となっている。
逆に平均よりも収入が低い人の割合を見ると、月給1,367ユーロ未満となっている人の割合が、女性の場合は40.5%を占めているのに対し、男性では20.2%にとどまっており、女性が男性の2倍に達している。


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*政府、横領罪についての法改正に着手



2022年12月5日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
11月11日発表 118名 >> 11月18日発表 284名 >>
11月25日発表 260名 >> 12月2日発表 207名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
11月11日発表 17名 >> 11月18日発表 41名 >>
11月25日発表 37名 >> 12月2日発表 30名。

入院者総数の推移:
11月11日発表 3,372名 >> 11月18日発表 3,813名 >>
11月25日発表 3,779名 >> 12月2日発表 3,856名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
11月11日発表 210名 >> 11月18日発表 204名 >>
11月25日発表 216名 >> 12月2日発表 229名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
11月11日発表 21,896名 >> 11月18日発表 22,182名 >>
11月25日発表 21,783名 >> 12月2日発表 19,303名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、
全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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*週末のプリミティーバス宝くじ、1等賞当選者無しで1,500万ユーロ保留



2022年12月2日(金)

爆弾郵便事件が続発

去る11月30日以降、スペイン国内で爆発物を入れた郵便が複数発見されている。
最初に見つかったのは11月30日の正午ごろ、マドリッドにあるウクライナ大使館に届いた郵便で 、爆発はしなかったが1名の負傷者が出たとのこと。
同じ日の午後、サラゴサにある武器工場に届けられた郵便物に同様のものが確認されたことから、 これら以外にも発送されている可能性があるとして捜査が開始された。
その結果、昨日には、マドリッド州のトレホン・デ・アルドス市にあるEUの人工衛星センター宛てのもの、 ペドロ・サンチェス首相宛てのもの、マルガリータ・ロブレス防衛大臣宛てのもの、マドリッドにあるアメリカ大使館宛てのものが 見つかっている。
いずれの郵便物も茶色の封筒が使用されており、同じ日にスペイン国内から投函されていることなどから、同一人物による犯行の可能性が高いとして捜査が進められている。


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*Solo Si es Si法により、イレネ・モンテロ平等省大臣、更に孤立



2022年11月30日(水)

来年度の年金8.5%増額か

国家統計局は昨日、今年11月のインフレ率の仮発表を行った。
これによると11月のインフレ率は6.8%となり、昨年11月末から今年11月末までの 情報が揃ったところで、政府は来年度の年金支給額の見直しを行うこととなる。
昨年同時期に行われた見直しでは、2022年度の年金の上昇率は2.5%にとどまったが、今回行われる2023年度用の見直しでは8.5%の増額(予測)となり、これまでに例を見ない高い数字となる。
この仮発表によるインフレ率を元に計算した場合、国の年金制度の経済負担は、政府計算によると127億5,000万ユーロの増加、そしてスペイン中央銀行の計算によると153億ユーロの増加となり、これも過去最高記録となる。
この増額を含め、2023年度の年金制度に必要となる予算は、今年度より11.4%多い1,906臆8,700万ユーロに達する見込みとなっている。
昨日行われた仮発表に続いて、国家統計局による正式発表は12月14日に行われる予定であり、その後、来年度の年金支給額についての最終的な見直しが公表される。


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*Solo Si es Si法による性犯罪者の減刑について最高裁が発言

*マジョルカの学校、サッカー応援のためスペイン国旗を掲げた生徒等の授業を中止(続報)



2022年11月28日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
11月4日発表 161名 >> 11月11日発表 118名
>> 11月18日発表 284名>> 11月25日発表 260名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
11月4日発表 23名 >> 11月11日発表 17名
>> 11月18日発表 41名>> 11月25日発表 37名。

入院者総数の推移:
11月4日発表 3,363名 >> 11月11日発表 3,372名
>> 11月18日発表 3,813名>> 11月25日発表 3,779名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
11月4日発表 195名 >> 11月11日発表 210名
>> 11月18日発表 204名>> 11月25日発表 216名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
11月4日発表 17,875名 >> 11月11日発表 21,896名
>> 11月18日発表 22,182名 >> 11月25日発表 21,783名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、
全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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*マジョルカの学校、サッカー応援のためスペイン国旗を掲げた生徒等の授業を中止



2022年11月25日(金)

手術待ち患者数、記録更新

スペインの公共医療における外科手術の順番待ち状況が、大きく悪化しつつある。
昨年末時点における順番待ち患者数が706,740人であったのに対し、今年6月末時点ではそれより35,778人増加して742,518人となり、前回発表時も過去の記録を上回っていたが、今回、すでに新型コロナによる影響が大きく減少しているにも関わらず、再びの記録更新となった。
今年6月末時点でのスペインにおける外科手術の順番待ち期間は、全国平均にすると113日となっている。
現在、PP所属のイサベル・アジューソ州知事による行政が行われているマドリッド州の医療サービスのあり方について、中央政府は強く非難しているが、同州における平均手術待ち期間は65日となっており、全国平均の113日と比較するとかなり短くなっている。
これに対し、スペイン国内で最もこの順番待ち期間が長い州の一つが、PSOE行政下にあるアラゴン州であり、平均151日と、マドリッドの2倍以上となっている。
アラゴンと並んで手術を受けるのが困難となっている州がカタルーニャで、同じく平均151日の 待ち期間となっており、これにカナリアス州(144日)、エクストレマドゥーラ州(139日)、カンタブリア州(132日)、カスティージャ・イ・レオン州(129日)と続く。
逆に待ち期間が最も短いのが自治都市であるメリージャ(39日)で、次がバスク州(64日)、そして3番目にマドリッド州(65日)が続く。


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*昨日の国会で来年度予算、扇動罪廃止案などが可決



2022年11月23日(水)

政府予算案、明日可決か

政府は、明日に予定されている予算案決議に向け、各党との交渉を続けているが、ERCの発表によると、予算案可決への条件の一つとして、カタルーニャへの社会基盤設備予算として9億ユーロを組み込むことで、同党と政府との間での交渉はすでに合意に達しているとのこと。
また、PNVについても同様に社会基盤設備予算を中核とした同意に至っており、BILDUについては、ナバーラ州から治安警備隊を事実上撤退させるという条件を受け入れることにより、政府は同党の賛成票を得た模様。
更に、BNGとは棄権票を投じることで合意に至っている。
これら反スペイン国家派を中心とした政党との合意により、明日の決議では、可決するために必要な票数をぎりぎり確保できた模様。


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*住宅ローン金利上昇による家計の圧迫緩和策



2022年11月21日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
10月28日発表 220名 >> 11月4日発表 161名 >> 11月11日発表 118名 >> 11月18日発表 284名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
10月28日発表 31名 >> 11月4日発表 23名 >> 11月11日発表 17名 >> 11月18日発表 41名。

入院者総数の推移:
10月28日発表 3,337名 >> 11月4日発表 3,363名 >> 11月11日発表 3,372名 >> 11月18日発表 3,813名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
10月28日発表 188名 >> 11月4日発表 195名 >> 11月11日発表 210名 >> 11月18日発表 204名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
10月28日発表 23,753名 >> 11月4日発表 17,875名 >> 11月11日発表 21,896名 >> 11月18日発表 22,182名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、
全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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*マドリッド州、基本医療の医師等5000人が無期限ストに突入

*Solo Si es Si法

*インフレにより暖房なしのクリスマス?



2022年11月18日(金)

Solo Si es Si 法適用により、すでに11件、計18年の減刑

イレネ・モンテロ平等省大臣によって進められ、2か月前に施行に至ったSolo Si es Si 法の適用により、すでに少なくとも11件の性犯罪事件に関する判決で計18年の減刑が生じている。
スペインにおける性犯罪に対する処罰がより重度なものとなるよう、また、同種の犯罪を減らすことを目的として発布された改正法であったが、結果として、同法を適用することによって、刑期を減らすことが可能となる事例が続出している。
本来の目的と正反対の結果を生んでいる同法の施行に直接関わったイレネ・モンテロ大臣に対し、社会全般、そして野党全般からだけでなく、与党内からも様々な批判の声が上がっており、同大臣の辞任を要求する声が高まっている。
しかしながら大臣は、この改正法の内容には何ら問題や修正が必要な点は無いとし、全ての責任は男尊女卑的で非人道的な法の解釈を行い、それを押し通そうとする裁判官等にあるとの主張を続けている。
これによりイレネ・モンテロ大臣は、スペインの司法界全体と事実上、敵対する形となった。
この状況を受け、大臣の所属政党Unidas Podemosも、党として同大臣を擁護する発言を避けており、また、政府の中核を成すPSOEからは強い批判の声も上がっている。
スペインの司法界は大臣の発言に対し、その発言の撤回と謝罪を求めており、ペドロ・サンチェス首相は連立を組むUnidas Podemosに対し、司法に関する問題は司法にゆだねるべきであるとの指示を出した模様。


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*マドリッド州、救急医療スト終了



2022年11月16日(水)

Solo Si es Si 法、早くも改正か

僅か2か月前に公布され、一般に「Solo Si es Si」と呼ばれる新法は、平等省のイレネ・モンテロ大臣が送り出した目玉政策の一つで、性犯罪者に対する刑を重くするのが目的だった。
これまでの法律では、仮に強制的性交の被害があった場合でも、軽度な性的暴力とみなされることにより刑が軽減される例が多かったことから、本人の同意無しで相手の性の自由を犯す行為があった場合、その全てが性の自由権の侵害と見なされ、1〜4年の実刑判決の対象となることになっていた。
ところが、この新法が施行された後に行われた裁判で、これを逆手に取った判決が出された。
未成年者3名に対し性的暴行を行ったとされる男性について、6年3か月の求刑が行われていたのに対し、今回の新法に基づいて、求刑より5年短い1年と3か月の懲役が言い渡されることとなった。
更には前科が無い場合、2年未満の懲役判決では実際には懲役義務が免除されることから、この男性は釈放されることとなり、この結果を招くこととなったモンテロ大臣の新法に対する批判が相次いでいる。
女性擁護の目的で送り出した新法だったが、加害者を守る結果となったことに対し、同大臣はゆがんだ解釈をした司法に責任と過失があると一度は批判したが、その後、詳細情報が得られるまではそれ以上の発言は避けるとしている。
尚、この問題が生じる可能性については、同法が公布される前から司法界から忠告が行われていた。
また、同大臣に対し、慌て過ぎ、先走りし過ぎとの声が政府内のPSOEから上がっている。


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*ヨーロッパで6番目、世界で9番目に長いトンネル



2022年11月14日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
10月21日発表 217名 >> 10月28日発表 220名 >> 11月4日発表 161名 >> 11月11日発表 118名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
10月21日発表 31名 >> 10月28日発表 31名 >> 11月4日発表 23名 >> 11月11日発表 17名。

入院者総数の推移:
10月21日発表 3,357名 >> 10月28日発表 3,337名 >> 11月4日発表 3,363名 >> 11月11日発表 3,372名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
10月21日発表 175名 >> 10月28日発表 188名 >> 11月4日発表 195名 >> 11月11日発表 210名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
10月21日発表 25,422名 >> 10月28日発表 23,753名 >> 11月4日発表 17,875名 >> 11月11日発表 21,896名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、
全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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*運送業全国スト開始

*扇動罪法改正案、予算案、年内の可決に向けて走り出す



2022年11月11日(金)

マドリッドの医療従事者スト、全国に広まるか

マドリッドにおける公共医療従事者等によるストが今月21日より予定されているが、医療従事者等が労働環境の現状に不満を感じているのはマドリッドだけではなく、スペイン全国に及ぶことから、ストがより広範囲に広がることが予想される。
すでに、来週木曜日にはバレンシア、カスティージャ・ラ・マンチャ、カンタブリア、ナバーラ、アンダルシア、カタルーニャなどの組合による会合がマドリッドで予定されており、マドリッド州の組合によって告知済みのストに加わる可能性についての協議が行われる模様。
今回のストの中心となっているのは、スペインの公共医療の中でも、各地域に置かれている公共診療所で行われる基本医療に従事する医者達だが、これに救急隊員など他の部署の従事者等も徐々に加わり始めている。

政府、扇動罪の事実上廃止案を国会へ提出

本日の国会で、ペドロ・サンチェス首相率いる政府は、扇動罪の事実上の廃止案を緊急法案として提出する模様。
中央政府によるカタルーニャ独立派政党との裏交渉が続く中、右翼政党を中心とした野党等が常にその可能性を指摘し危惧して来たが、今、野党等が懸念したとおりの展開となりつつある。
政府は扇動罪を廃止するのではなく、これによる刑罰の軽減を行なうとしているが、これまでの刑期が10〜15年だったのに対し、政府による改正案では1〜6年となっており、事実上の廃止と解釈出来る。
同案が可決に至った場合、違憲独立運動を進めた事により、現在、国外へ逃亡中のカタルーニャ独立派政党政治家等のスペインへの帰国の可能性が高まることになる。



2022年11月9日(水)

若者の43%が異邦人による行政に拒否的反応

15歳から29歳の若者1200名を対象に行なったアンケート調査によると、その43%が、彼等が住む町の行政を異邦人が担う事について否定的な感覚を持っていることが判った。
また、25%が強い反対の意思を示しており、若者層の4人に1人が人種主義に傾倒していることとなる。
また33%が外国人嫌悪の原因を移民の増加にあると考えている一方で、14%がスペインにはそう言った人種差別の問題は無いと考えている。
人種主義的感覚が強いと見られる25%の若者については、極右政党に傾倒している者が多く、その大半が男性とのこと。


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*ALVIA脱線事故の裁判、昨日再開

*日曜日から運送業スト

*誘拐・身代金請求の詐欺電話に要注意

*Hikikomori症候群



2022年11月7日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
10月14日発表 173名 >> 10月21日発表 217名 >> 10月28日発表 220名 >> 11月4日発表 161名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
10月14日発表 25名 >> 10月21日発表 31名 >> 10月28日発表 31名 >> 11月4日発表 23名。

入院者総数の推移:
10月14日発表 3,303名 >> 10月21日発表 3,357名 >> 10月28日発表 3,337名 >> 11月4日発表 3,363名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
10月14日発表 174名 >> 10月21日発表 175名 >> 10月28日発表 188名 >> 11月4日発表 195名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
10月14日発表 20,652名 >> 10月21日発表 25,422名 >> 10月28日発表 23,753名 >> 11月4日発表 17,875名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、
全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


2022年11月4日(金)

政府、心身不一致性(トランスジェンダー)法を巡り更に分裂

トランス法と略されている心身不一致性に対する新法案を巡り、政府内におけるPSOEとUPの対立が悪化している。
社会より大きな批判を受け、政府は同法案の可決を急いだが、これに向けて組み込んだ修正案が引き金となり、更なる反発を呼ぶ事となった。
政府内で平等省大臣を務めるUP所属モンテロ大臣は、国会内において連立政権を組む同士であるPSOEを容赦なく批判すると共に、PSOEが用意した修正案に対し、更なる修正を要求している。
その中には、スペインにおける身分証明証の表記内容から、男女の性別表記を抹消することや、公的な性別の種類として男女以外の姓を追加することなどが含まれており、これらモンテロ大臣の要求に対し、普段からPSOEに協力的な姿勢を示して来た野党、ERC、PNV、EH Bildu、Mas pais、Compromis、BNGなどが協調の姿勢を示し、事実上、PSOEは国会内で孤立することとなった。


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*バルセロナ、カタラン語を話す人口は減る一方



2022年11月2日(水)

スペインにおける若者層の雇用状況悪化

スペインにおける雇用状況は、25歳未満の若者層を中心に悪化している。
国家統計局によると、今年第3・四半期における失業率は、労働人口全体では12.7%であったのに対し、16歳〜24歳の年齢層では31%に達している。
またこれら若者層を対象に行なったアンケートでは、失業中だが1年以内に就職出来ると言う希望を持っていると答えた人は僅か36%、そして働いているが1年以内に解雇されると思うと答えた人が26%に達した。
25歳未満の年齢層では、今年第3・四半期に失業者が71,500名増加し、第2・四半期と比べて失業者数は15.2%増となった。
また、全年齢層で見た場合、第3・四半期には60,800人の失業者増となっており、新型コロナの影響を強く受けた2020年を除けば、過去最悪の数値となった。
こう言った経済状況が続く中、若者達の53%は、自身が中流階級の下層に属すると感じており、中流階級の上層以上に属すると感じる人は僅か11.4%となっている。
また、25歳未満の子供を持つ親の捉え方としては、その45%が自分達の時代よりも子供達の生活水準が下がるとだろうと感じており、より向上するであろうと感じている親は30%程度にとどまっている。


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*トランス法: 男性が女性更衣室を利用できるのか

*バスクのスポーツ選手が 国際大会でバスク(国)代表として出場



2022年10月31日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
10月7日発表 289名 >> 10月14日発表 173名 >> 10月21日発表 217名 >> 10月28日発表 220名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
10月7日発表 41名 >> 10月14日発表 25名 >> 10月21日発表 31名 >> 10月28日発表 31名。

入院者総数の推移:
10月7日発表 2,716名 >> 10月14日発表 3,303名 >> 10月21日発表 3,357名 >> 10月28日発表 3,337名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
10月7日発表 129名 >> 10月14日発表 174名 >> 10月21日発表 175名 >> 10月28日発表 188名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
10月7日発表 18,957名 >> 10月14日発表 20,652名 >> 10月21日発表 25,422名 >> 10月28日発表 23,753名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


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*政府、性の自己選択権を巡り分裂

*水不足続く



2022年10月28日(金)

スペイン司法権を巡る交渉決裂

スペイン司法における最高機関である司法評議会、そして憲法裁判所の構成員の任期が2018年に終わっているにも関わらず、新規メンバーの選出について主要政党であるPSOEとPPによるそれぞれの主張に折り合いが見られず、約4年間にわたって新規任命が完了しないと言う異常事態が続いている。
こう言った状況を打開すべく、司法界を率いて来た司法評議会のトップであったカルロス・レスメス氏が辞任を発表し、政界に対し即刻の対応を求めたことにより、与党PSOEと最大野党PPとの間で解決に向けての交渉が始まっていた。
これにより早期解決が期待されたが、昨日、その交渉が完全に中断されるに至った。
理由は、政府が刑法改正の意図を示したためである。
現時点で政府にとっての最重要課題となっているのが来年度予算案の可決で、これを実現するためには、カタルーニャの独立派政党ERCの賛成票を必要としている。
その状況下でERCは政府に対し、反逆罪、扇動罪についての改正を要求しており、事実上、これを予算案賛成への交換条件としている。
ERCと政府との間では、すでに同件についての合意が得られていると見られ、これが最大野党PPの逆鱗に触れることとなった。
PPは、国家の根底となるスペイン国憲法を崩壊に導こうとしている独立派政党との交渉や裏工作をやめない限り、国家や国民を守るためにある司法権についての交渉を行なう事はあり得ないとしている。


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*2035年からEmision0以外の新車、販売禁止

*2025年から家具類のリサイクル義務化。

*RENFE、子供達のグループを強制下車



2022年10月26日(水)

スペインの年金平均受給額1,257.9ユーロ

昨日の政府発表によると、今年9月に退職し年金受給を開始した人々の平均受給額は1,257.9ユーロとなった。
厚生年金と国民年金との間に見られる格差は大きく、厚生年金加入者だけで見た場合、その平均は1,529.10ユーロとなったが、国民年金加入者だけを見た場合、その平均受給額は837.30ユーロと、厚生年金に比べてはるかに低くなっている。
これら老齢年金の平均受給額1,257.9ユーロは、昨年同時期と比較すると5.4%の増加となっている。
また、国による年金制度から支払われる全ての年金(老齢年金、障害者年金、遺族年金他)の平均額は10月1日時点で1,093.13ユーロとなっており、これについても昨年同時期比較5.4%の増加となった。
厚生年金、国民年金の両方を合わせた老齢年金の平均受給額には自治州による大きな違いが見られ、10月1日現在、上位3州がバスク(1,541.65ユーロ)、アストゥリアス(1,504.41ユーロ)、マドリッド(1,459.29ユーロ)で、最下位3州がエクストレマドゥーラ(1.047.56ユーロ)、ガリシア(1.066.66ユーロ)、ムルシア(1.123.73ユーロ)となっている。


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*酷暑による死亡危険度、スペインがヨーロッパで最大



2022年10月24日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、先々週より週1回、毎週金曜日の発表となっている。
先週金曜日に発表された最新情報と過去3週間の推移は次のとおり。

死亡者数(7日分合計)の推移:
10月7日発表 289名 >> 10月14日発表 173名 >> 10月21日発表 217名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
10月7日発表 41名 >> 10月14日発表 25名 >> 10月21日発表 31名。

入院者総数の推移:
10月7日発表 2,716名 >> 10月14日発表 3,303名 >> 10月21日発表 3,357名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
10月7日発表 129名 >> 10月14日発表 174名 >> 10月21日発表 175名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
10月7日発表 18,957名 >> 10月14日発表 20,652名 >> 10月21日発表 25,422名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。

***お知らせ***

政府による新型コロナ状況全国統計の発表が、先々週より週1回、毎週金曜日のみの発表に変更となりました。
当サイトではこの変更を受け、毎金曜日発表の統計を元に、毎週月曜日にお伝えします。


その他のニュース(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

*新型コロナ、ナイジェリア発の新変異型BQ.1、カタルーニャの下水から検出

*ポルトガルはガリシアが好き。AVEマドリッドーリスボン線は後まわし



2022年10月21日(金)

スペイン入国時の新型コロナ関連審査、完全撤廃

空や海を通じてのスペイン入国時、EUやシェンゲン加盟国以外の国からやって来る旅行者については、空港や港における新型コロナ関連の一定の審査が続けられていたが、本日よりこれが完全に撤廃される事となった。
これにより、日本を含めEUやシェンゲン以外の国からやってくる旅行者についても、体温測定、健康状態申告書の提出、ワクチン接種証明やPCR陰性証明などの提示義務などが無くなり、スペインへの入国にあたっての新型コロナに関する全ての手続きが無くなることとなる。
しかしながら政府は、新型コロナの今後の状況次第で、これまで行われて来た各種審査がいつでも復活する可能性はあるとしている。

備考:このニュースの内容については情報源にやや不明瞭な点があるため、 Youtube動画ニュースの後半でお届けします余談の中で少し触れさせて頂きます。


その他のニュース(Youtube動画ではこれらのニュースについても解説しています)

*スペイン、ポルトガル、フランスの3国、海底ガス管によるガス輸送案で同意

*EU、カタルーニャ州行政に対し、カステジャーノによる教育25%義務の遂行の必要性を強調。



2022年10月19日(水)

スペインで一番バルの多い町

スペインは人口比で見た場合、世界で最もバルやレストランの数が多い国とされており、2020年の国家統計局のまとめによると、全国平均にして人口175人に1軒の割合でこれらの店が存在する。
村単位で比較した場合、スペイン国内で最もバル、レストランの人口比が高いところは、ウエスカ県にあるSallent de Gallegoで、人口1,519名の小さな村だが、人口1,000人あたり15.74軒のバル、レストランがある。
これに続いて、第2位がカンタブリアのComillasで、第3位がカステジョンのPeniscola となっている。
また村ではなく、より人口の多い都市単位で比較した場合、首位に立つのがレオン市で人口1,000人あたり5.03軒のバル、レストランがあり、これにサラマンカ市(4.22軒)、サモーラ市(4.14軒)、オレンセ市(4.05軒)、パレンシア市(3.60軒)、ログローニョ市(3.53軒)、サン・セバスティアン市(3.29軒)、グラナダ市とラ・コルーニャ市(共に3.27軒)、ビルバオ市(3.15軒)が続く。
また、県単位で見た場合に首位に立つのがカセレス県で人口1000人あたり8.07軒となっており、これにバレアレス県、ア・コルーニャ県、セゴビア県、アストゥリアス県、ウエスカ県、レオン県と続く。


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*スペインからピスタチオが消えた謎



2022年10月17日(月)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、先々週まで週2回の発表となっていたが、先週より週1回、毎週金曜日の発表に変更となった。
先週金曜日に発表された最新情報と過去約1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数の推移:
9月20日発表 566名 >> 9月27日発表 239名 >> 10月4日発表 178名。
ここまでが先々週まで行われていた毎週火曜日発表の統計の推移だが、毎週金曜日のみとなった発表に合わせて最近の推移を見ると次のようになる。
10月7日発表 289名 >> 10月14日発表 173名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
9月20日発表 81名 >> 9月27日発表 34名 >> 10月4日発表 25名。
そして先々週金曜日10月7日発表時点では41名 >> 10月14日発表 25名。

入院者総数の推移:
9月20日発表 2,515名 >> 9月27日発表 2,332名 >> 10月4日発表 2,501名。
そして先々週金曜日10月7日発表時点では2,716名 >> 10月14日発表 3,303名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
9月20日発表 159名 >> 9月27日発表 143名 >> 10月4日発表 141名。
そして先々週金曜日10月7日発表時では129名 >> 10月14日発表 174名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
9月20日発表 19,080名 >> 9月27日発表 19,067名 >> 10月4日発表 18,835名。
そして先々週金曜日10月7日発表時では18,957名 >> 10月14日発表 20,652名。

新規陽性確認者数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。

***お知らせ***

政府による新型コロナ状況全国統計の発表が、先週より週1回、毎週金曜日のみの発表に変更となりました。
当サイトではこれまで、毎週火曜日に発表されていた統計を、翌水曜日に最新情報としてお伝えしていましたが、この変更を受け、今回より毎金曜日発表の統計を元に、毎週月曜日にお伝えします。


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*オリーブオイル原産地価格、過去最高値に

*国王夫妻、25年ぶりにドイツを公式訪問



2022年10月14日(金)

スペイン、人口増加と高齢化

国家統計局による昨日の発表によると、今後15年間でスペインの人口は420万人以上(+8.9%)増加して5,100万人以上に、そして50年後には5,290万人に達することが予測されている。
出生数と死亡数とのバランスを見ると人口は減少傾向にあるが、移民による人口増加がその減少傾向を上回るため、スペインの人口は増加を続けるとのこと。
これら移民の増加により、スペインの全人口に占めるスペイン人の割合は、現状の84.5%から、50年後には63.5%程度まで減少すると予想されている。
また、スペイン人女性の出産率は減少傾向にあるが、移民女性の出産により、出産率は全体としては増加傾向となり、女性一人当たりの子供の数は、現状の1.19人から、14年後の2036年には1.27人に増加すると推測されている。

スペインにおける高齢化については2050年頃に山場を迎えるとされており、現在、全体の60.7%を占めている20〜64歳の人口は、2052年には53.1%まで減るが、その後は増加傾向に転じ、2072年頃には54.7%まで戻る予想となっている。
また65歳以上の人口については、現状の20.1%から、その山場を迎える2050年頃には30.4%を占めるに至るが、その後は減少に転じると予測されている。


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*今月末、夏時間から冬時間へ変更



2022年10月12日(水) 祝日

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、これまで毎週火曜日と金曜日と週に2回の頻度で 行なわれていたが、今週から週1回、毎週金曜日の発表に変更され、昨日、火曜日の発表は行なわれなかった。
これにより、現時点での最新情報は先週金曜日に発表された統計となっており、これを含めた過去約1カ月間の推移は次のとおり。

死亡者数の推移:
9月13日発表 356名 >> 9月20日発表 566名 >> 9月27日発表 239名 >> 10月4日発表 178名。
ここまでが毎週火曜日発表の統計のまとめで、先週金曜日、10月7日発表の統計をその1週間前の金曜日時点での 統計と比較した場合、その1週間の死亡者数は289名に増加した。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
9月13日発表 51名 >> 9月20日発表 81名 >> 9月27日発表 34名 >> 10月4日発表 25名。
そして先週金曜日発表時点では41名に急増。

入院者総数の推移:
9月13日発表 2,602名 >> 9月20日発表 2,515名 >> 9月27日発表 2,332名 >> 10月4日発表 2,501名。
そして先週金曜日発表時点ではその1週間前比較2,716名に増加。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
9月13日発表 169名 >> 9月20日発表 159名 >> 9月27日発表 143名 >> 10月4日発表 141名。
そして先週金曜日発表時では129名に減少。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
9月13日発表 15,394名 >> 9月20日発表 19,080名 >> 9月27日発表 19,067名 >> 10月4日発表 18,835名。
そして先週金曜日発表時では18,957名に増加。

新規陽性者確認数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。

尚、政府による全国統計が週1回、毎週金曜日の発表に変更となりましたが、当サイトでは 今後も新型コロナ情報は今までどおり、毎週水曜日にお伝えします。


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*司法問題解決に向けた会談続く

*貯水池の水位



2022年10月10日(月)

スペインの司法トップ、本日辞任

2013年以来、9年間にわたってスペインにおける司法の最高機関である司法評議会、そして最高裁を率いて来たカルロス・レスメス氏は、昨日、10月10日をもってその職を辞任することを発表した。
スペインでは司法機関における政治の影響が強く見られるとして、その早期改善がEUからも要求されていた。
近年、ペドロ・サンチェス首相率いる現政権では、検察庁トップに現役の政府司法局トップを据え付けると言った例も見られ、行政権と司法権の分立原則がなおざりにされている感が否めなかった。
そう言った中で、スペイン司法における最高機関である司法評議会の構成員の任期が2018年に終わり、その更新時期となっていたが、新規役員の選出について主要政党であるPSOEとPPによるそれぞれの主張に折り合いが見られず、約4年間にわたって役員の更新が完了しないと言う異常事態が続いている。
この異常事態を受け、司法界を率いるカルロス・レスメス氏は、去る9月7日に政府と最大野党PPに対し最後通告を出した。
それは、両党の対話により、即刻、この異常事態を解消しないのであれば、同氏はこれ以上スペイン司法界を支えることは出来ず、その地位から身を引くと言うものだった。
しかし、この最後通告があったにも関わらず、二大政党による対話は見られず、昨日の辞任宣言へと至った。
辞任宣言の中で、カルロス・レスメス氏は「これ以上、ここに私が居続けると、政治家等によって作り上げられた現在の異常事態の共犯者の一人となってしまう。」と発言している。

一方、これまで彼の最後通告を無視し続けて来たペドロ・サンチェス首相は、彼の辞任宣言があったその直後に、PPのアルベルト・ヌニェス・フェイホー党首に対し、「明日、10月10日、同件について話し合いたい」と対話を希望する旨を通達。
これに対し、アルベルト・ヌニェス・フェイホーPP党首は、我々はこれまでも常に対話を求めて来たとしてこれを受諾すると共に、EUからも指摘を受けている、行政権と司法権のより明確な分立を確立するための新たな方法については、PPとしては7月時点ですでに政府に提案済みであることを強調した。
ペドロ・サンチェス首相とアルベルト・ヌニェス・フェイホーPP党首による両者会談は、本日の朝10時半から行われる予定となっている。


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*カタルーニャ州政府分裂



2022年10月7日(金)

新型コロナ後遺症への対応を求める大規模デモ

スペインでは明日、10月8日に、新型コロナによる後遺症に苦しむ人々への対応を要求する大規模デモが行われる。
首都マドリッドの市内中心にあるカジャオ広場で予定されている他、バルセロナやセビージャなど他都市も含めた一斉デモが予定されている。
EU調べによると、新型コロナの後遺症に苦しむ人の数は、ヨーロッパ全体で1700万人以上にのぼる。
スペインにおける中期又は長期後遺症に苦しむ人の割合は、成人感染者の場合で10〜20%、未成年感染者の場合で5〜10%に達しており、感染する可能性が高い環境で働いていた医療従事者の場合では、現在、後遺症に苦しむ人の割合が全体の30%に達していると言う。
世界保健機構も、この新型コロナ後遺症についての症状や治療法についての早急なる研究と、これについての社会的認知についての必要性を訴えているが、スペインを含め世界各国の政府は未だ、消極的な姿勢を崩していない。
政府レベルでの認知が行われない限り、後遺症は社会保障や健康保険の対象外となるため、勤務出来る体調では無いのに休職申請も出来ず、また、通学出来る体調で無いにも関わらず通常の欠席と見なされるなど、不当な扱いを受ける人が多数生じている現状が変わることは無い。
そう言った状況下における今回の大規模デモは、政府に対し後遺症に関する正確な実状公開、そして政府レベルによるこれらへの急速な対応の要求を主な目的としている。


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*政府、来年度予算の振り分けでカタルーニャを特別扱い



2022年10月5日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナウィルスによる死亡者数、入院者数他、過去1カ月間における推移は以下のとおりとなっている。

1週間単位での死亡者数(7日分合計)の推移:
9月13日発表 356名 >> 9月20日発表 566名 >> 9月27日発表 239名 >> 10月4日発表 178名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
9月13日発表 51名 >> 9月20日発表 81名 >> 9月27日発表 34名 >> 10月4日発表 25名。

入院者総数の推移:
9月13日発表 2,602名 >> 9月20日発表 2,515名 >> 9月27日発表 2,332名 >> 10月4日発表 2,501名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
9月13日発表 169名 >> 9月20日発表 159名 >> 9月27日発表 143名 >> 10月4日発表 141名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
9月13日発表 15,394名 >> 9月20日発表 19,080名 >> 9月27日発表 19,067名 >> 10月4日発表 18,835名。

新規陽性者確認数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。



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*公共交通機関利用時のマスク着用義務続行

*国鉄、近・中距離線列車定期券無料化を来年度も続行



2022年10月3日(月)

毎日、2軒の酪農家が廃業

政府発表によると、昨年8月から今年8月までの1年間に廃業に追いやられた酪農家の数は、スペイン全国で784軒にのぼり、1日平均にして2軒以上が姿を消したこととなる。
今年8月に運営が維持されていた酪農家の数は全国で10.918軒で、前年度同時期比較784軒の減少は、全体の約7%が廃業したことを意味する。
スペインにおける牛乳価格は値上がりが続いており、酪農家による卸値も、今年8月には1リットルあたり平均47.6センティモとなっていた。
これは前月比にして3%、前年度同時期比較では41%の値上がりとなっていたが、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来続いている飼料やエネルギー費の高騰により、この程度の値上げでは生産に必要な経費を賄えなくなっている。
ウクライナから大量に輸入されていた飼料は、2020年の値段と比べると実に80%の値上がりとなっている。
更には、異常気象に伴う記録的な干ばつにより牧草が育たないことが、酪農家の経営を更に苦しいものにしている。


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*RENFE マドリッドーバルセロナ間のAVE増便

*カタルーニャ社会党PSC、カタルーニャ州政府への協力の代償引き上げ?



2022年9月30日(金)

政府、防衛費とウクライナ支援予算増額に反対

昨日の国会で行なわれた幾つかの決議の中に、来年度予算に含める防衛費予算とウクライナへの軍事支援予算についての項目があったが、これらの増額について、PSOEは反対票を投じた。
またPSOEとの連立政権を組むPODEMOSはこの種の決議には常に反対の姿勢を示しており、今回もその例外とはならず、また極右政党のVOXは棄権票を投じた。
ウクライナへの軍事支援については、ウクライナ政府から、スペインによる支援は「消極的」であり満足していないとの評価を受け、これについて、スペインのマルガリータ・ロブレス防衛大臣は「我が国はウクライナ支援の増強を行ない、更に200トンの軍事物資を供給する」と発表していた。
また、今年6月末にマドリッドで行われたNATOサミットにおいては、スペインは防衛費予算を現行の国内総生産の1.01%から2029年までに2%へ増額することを確約しており、その第1歩として来年には1.1%に、そして2025年には1.2%に引き上げる義務を負っている。
NATOサミットにおいて政府が行なったこの確約について、政府の一部を成すPODEMOSは真っ向から反対の姿勢を示していたが、ペドロ・サンチェス首相率いるPSOEはこれを聞く耳は持たず、単独で確約に踏み切った。
しかし今になって、昨日の国会で、来年度予算における防衛費、並びにウクライナへの軍事支援費増額にPSOE自ら反対の姿勢を示した。


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*カタルーニャ州政府、解体の危機

*減税政策は増税政策?



2022年9月28日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナウィルスによる死亡者数、入院者数他、過去1カ月間における推移は以下のとおりとなっている。
1週間単位での死亡者数(7日分合計)の推移:
9月6日発表 323名 >> 9月13日発表 356名 >> 9月20日発表 566名 >> 9月27日発表 239名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
9月6日発表 46名 >> 9月13日発表 51名 >> 9月20日発表 81名 >> 9月27日発表 34名。

入院者総数の推移:
9月6日発表 2,889名 >> 9月13日発表 2,602名 >> 9月20日発表 2,515名 >> 9月27日発表 2,332名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
9月6日発表 224名 >> 9月13日発表 169名 >> 9月20日発表 159名 >> 9月27日発表 143名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
9月6日発表 16,192名 >> 9月13日発表 15,394名 >> 9月20日発表 19.080名 >> 9月27日発表 19.067名。

新規陽性者確認数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


その他のニュース(動画ニュースで解説しています)

*各地で集中豪雨あるも、水不足続く

*マドリッド州政府、4度目のワクチン接種の必要性を疑問視



2022年9月26日(月)

ウクライナ難民、スペインから出国

ウクライナにおける戦争が始まって以来、スペインに保護されたウクライナ難民は10万人以上にのぼるが、今、その多くが厳しい生活難に直面している。
スペイン政府は彼等がスペイン社会に適応出来るよう、言語教育や雇用斡旋などの政策を行なったが、現実はそう簡単なものでは無く、スペイン社会に適応できず、その結果、就職も出来ずに無収入状態が続いている難民も多い。
慈善団体が行なう食料や寝床の提供を求めて列に並ぶ人や、路上生活をしながら物乞いによる生活を続ける人の姿が増えつつある。
彼等難民の受け入れが始まった頃、スペインの多くの一般家庭が人道的な立場から難民家族の受け入れを行なったが、その後の世界的なインフレによる電気、ガスなどのエネルギー費や、基本的食料品の極端な値段高騰などにより、受け入れを行なった家庭そのものが経済難に陥り、一旦受け入れたウクライナ難民の保護が維持できなくなっている例も多い。
その結果として、スペインで路上生活をするぐらいなら、今も戦争が続く自国、ウクライナへ戻ることを望む人や、スペイン以外のヨーロッパ諸国への移住を望む人が多く、ウクライナ難民のスペインからの出国が目立ち始めている。


その他のニュース(動画ニュースで解説しています)

*サンチェス首相、新型コロナに感染

*トレド大聖堂でパイプオルガン戦争



2022年9月23日(金)

プラド美術館、不当入手された作品の返却作業を開始

プラド美術館は、所蔵する全作品の中から、不当な方法で入手されたものとして、25点の作品を公表した。
これらはスペイン市民戦争時代、そしてフランコ独裁時代に没収などの形で同美術館へ持ち込まれたもので、その中にはホアキン・ソロージャ、ルーベンス、ヤン・ブリューゲル(息子)、フランソワ・ブーシェ、ホセ・グティエレス・デ・ラ・ベガなどの作品も含まれている。
世界の美術館が持つ所蔵品には、権力によって没収されたものや、戦利品として持ち込まれたものが多く含まれているのが極普通のこととして扱われて来たが、今、これについて倫理的な観点からの見直しが求められており、不当な手段で入手したことが明らかな作品については、本来の所有者へ返却すべきとの考え方が広がりつつある。
スペインでも昨今、フランコ政権によって没収されたものでアルマグロのパラドール内に展示されていた絵画作品2点が、その元の持ち主へ返却されると言う事例が見られた。
ブラド美術館はそう言った作品の返却作業を開始し、その手始めとして、先の25点について本来の持ち主についての調査が開始されているが、同時に、同美術館の所蔵品の中にまだそのような作品が残っていないか、更に調査を続けているとのこと。


その他のニュース(動画ニュースで解説しています)

*新型コロナワクチン、9月26日から4度目接種開始。

*バルで氷代請求



2022年9月21日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナウィルスによる死亡者数、入院者数他、過去1カ月間における推移は以下のとおりとなっている。
1週間単位での死亡者数(7日分合計)の推移:
8月30日発表 354名 >> 9月6日発表 323名 >> 9月13日発表 356名 >> 9月20日発表 566名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
8月30日発表 51名 >> 9月6日発表 46名 >> 9月13日発表 51名 >> 9月20日発表 81名。

入院者総数の推移:
8月30日発表 3,421名 >> 9月6日発表 2,889名 >> 9月13日発表 2,602名 >> 9月20日発表 2515名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
8月30日発表 229名 >> 9月6日発表 224名 >> 9月13日発表 169名 >> 9月20日発表 159名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移:
8月30日発表 18,746名 >> 9月6日発表 16,192名 >> 9月13日発表 15,394名 >> 9月20日発表 19.080名。

新規陽性者確認数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


その他のニュース(動画ニュースで解説しています)

*アンダルシア州:資産税廃止

*外国からの資本投資、70%がマドリッドへ



2022年9月19日(月)

バルセロナで大規模デモ: スペイン語による授業保障を要求

昨日、日曜日にカタルーニャの中心、バルセロナ市において、スペイン語による学校教育を受ける権利の保障を 求めるデモが行なわれた。
デモは各種15団体によって組織された団体「皆のための学校」が中心となって行なったもので、政界からはPP、Ciudadanos、Vox、Valentsなどの参加が見られた。
数千人の参加者によるデモは昨日の昼過ぎ、12時30分頃にバルセロナ市内にあるArco de Triunfo からの開始となったが、行進開始前の演説で、「皆のための学校」代表のアナ・ロサーダ氏は、「多くのカタラン人にとっても母国語であるスペイン語は、カタルーニャにおいても公用語である。そしてカタラン人がこれによる学校教育を受ける権利を守ろう!」と言った内容の呼びかけを行なった。
また、最高裁による「スペイン語による学校教育の25%の保障」命令を無視しているカタルーニャ州政府と、 これについて黙視を続けるスペイン中央政府に対し、政治的な理由により、カタルーニャにおける基本的言語権を侵害しているとして糾弾した。
今回のデモで参加者が手にする横断幕やプラカードで目立ったものとしては、「私達は皆、カタルーニャだ。そして私達は皆、スペインだ。」、「カタラン語で、そしてスペイン語で!」、「言語を禁止することは対話を禁止することと同じだ!」、「いずこにおいても国家主義や民族主義は最悪だ!」などが挙げられる。


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*アリカンテ、今年1月〜8月の路上飲み摘発数928人



2022年9月16日(金)

賃貸マンション: 新規契約時の家賃、急激に高騰

急激なインフレが続く中、賃貸マンションに住む人々の家計を支援するための政策として、政府は賃貸契約更新時における家賃値上げ率の上限を2%に定め、当初、これを6月末までの施行としていたが、その後、年末までの延長が発表された。
この政府による対応は、賃貸物件を持つ家主に対し、「今後更なる期間延長や、値上げ率上限の見直しなどが行われる可能性が高い」と言う印象を与えたと見られ、賃貸市場に大きな変化が生じている。
インフレによる経済的影響は家主にとっても同様に深刻化しており、この契約更新時の賃貸料凍結政策によって、今後の家賃収入の増額が見込めなくなるのを恐れる結果、新規での賃貸契約を交わすにあたり、高額の家賃設定を行なう例が急増している。
また、将来的に更なる諸制限が追加されることを恐れる結果として、物件を手放す選択をする例も増えており、その結果、賃貸物件の数が激減している。
首都マドリッドの場合で、昨年9月と現在とで比較すると、市場に出回っている賃貸物件の数が20%以上減少しており、某不動産会社によると、今年に入って全国平均で37%減、バルセロナでは58%減、セビージャやマラガで50%減、ラス・パルマスで49%減、タラゴナやバレンシアで47%減と、賃貸物件を探す人にとっては厳しい状況となっている。


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*猛暑による死亡者、例年より激増



2022年9月14日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナウィルスによる死亡者数、入院者数他、過去1カ月間における推移は以下のとおりとなっている。
1週間単位での死亡者数(7日分合計)の推移:
8月23日発表 340名 >> 8月30日発表 354名 >> 9月6日発表 323名 >> 9月13日発表 356名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
8月23日発表 49名 >> 8月30日発表 51名 >> 9月6日発表 46名 >> 9月13日発表 51名。

入院者総数の推移:
8月23日発表 4,063名 >> 8月30日発表 3,421名 >> 9月6日発表 2,889名 >> 9月13日発表 2,602名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
8月23日発表 271名 >> 8月30日発表 229名 >> 9月6日発表 224名 >> 9月13日発表 169名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移
8月23日発表 17,483名 >> 8月30日発表 18,746名 >> 9月6日発表 16,192名 >> 9月13日発表 15,394名。

新規陽性者確認数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


その他のニュース(動画ニュースで解説しています)

*ヨーロッパ全体で新型コロナから完治出来ない人の数、少なくとも1700万人

*AVE、試験的に大型犬の乗車を許可



2022年9月12日(月)

カタルーニャの日、Diada

昨日、9月11日はカタルーニャ州の日として、同州の祝日であった。
毎年この日には、カタルーニャ独立派の人々による大規模デモが行われており、昨日もバルセロナ市内で約15万人(地元警察発表)によるデモが行われた。
この発表に対し、独立主義者によって構成される市民協会ANC(自称:国民議会)は、70万人の参加があったと発表している。
実際には、今年のデモは独立派政党間の分立が目立ち、カタルーニャ独立を共通の目的とした一体感が、全く見られないデモとなった。
また、カタルーニャ独立の賛否についても賛成派の減少が目立っており、最近のアンケート調査では、過去10年間で最も低い数値にまで落ち込んでいる。

その他のニュース(動画ニュースで解説しています)

* 今週末の海からの違法入国者数700名

* Carlos Alcaraz 最年少のテニス世界ランキング1位



2022年9月9日(金)

カタルーニャで鉄道麻痺

今朝5時頃より、カタルーニャにおけるスペイン国鉄RENFEのサービスが、AVEの運行を除き、ほぼ停止した状態となっている。
原因は通信システムの故障とのことで、現在、その復旧が進められているが、RENFEは他の交通機関の利用を呼び掛けている。

Talgo最新モデル 時速360キロ達成

Talgo社の高速列車Avrilが、オレンセーサンティアゴ間での試運転で、時速360キロによる走行に成功し、AVEと匹敵する性能となった。
Avrilは12車両連結で、長さは約200メートル。
乗務員を除いて581人乗りとなっており、347人乗りのAVEよりもかなり大型となっている。
今後、更なるテストを重ねたあと、実用速度330キロでの運行を予定している。

その他のニュース(動画ニュースで解説しています)

*司法評議会、政府に最後通告

*スペイン人の60%が休暇明け症候群(Sindrome posvacacional)

*労働省大臣、基本的食料品の価格上限設定について、大手食料品スーパーなどに協力を呼びかけ



2022年9月7日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナウィルスによる死亡者数、入院者数他、過去1カ月間における推移は以下のとおりとなっている。

1週間単位での死亡者数(7日分合計)の推移:
8月16日発表 567名 >> 8月23日発表 340名 >> 8月30日発表 354名 >> 9月6日発表 323名。

死亡者数を一日平均で見た場合の推移:
8月16日発表 81名 >> 8月23日発表 49名 >> 8月30日発表 51名 >> 9月6日発表 46名。

入院者総数の推移:
8月16日発表 5,138名 >> 8月23日発表 4,063名 >> 8月30日発表 3,421名 >> 9月6日発表 2,889名。

上記入院者数の内、集中治療室での入院者数の推移:
8月16日発表 354名 >> 8月23日発表 271名 >> 8月30日発表 229名 >> 9月6日発表 224名。

新規陽性確認者数(7日分合計)の推移
8月16日発表 25,744名 >> 8月23日発表 17,483名 >> 8月30日発表 18,746名 >> 9月6日発表 16,192名。

新規陽性者確認数については、重症化しない限り、PCR検査対象が60歳以上に限られているため、全体の感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


その他のニュース(動画ニュースで解説しています)

*ジョランダ・ディアス労働省大臣、基本的な食料品の価格に上限設定を提言

*スペイン:この夏のロシア産液体ガス輸入量、世界でトップ



2022年9月5日(月)

8月の失業者数40万9千人

週末にあった発表によると、スペインで今年8月の1カ月間に解雇された人の総数は40万9千人となり、これまでに例を見ない最悪の数値となった。
8月は例年、夏のバカンスの影響もあり、一時的な繁忙期に入る業種が多く、その結果として一気に雇用が増えるが、同時にその一時的な繁忙期の終了と共に解雇が急増する時期でもある。
今年の8月が終わった時点で失業者数は4万428名の増加(+1.4%)となっており、その結果、失業者総数は292万4千240名と、290万人台に突入した。
しかしながら、政府は8月の失業者数の増加としては特に多いものではなく、また、昨年度同時期と比較すれば、失業者総数も40万9千675名の減少となっており、雇用状況は良好であると主張している。


その他のニュース(動画ニュースで解説しています)

*スペインで最も古い大聖堂 〜San Martin de Mondonedo大聖堂〜

*緊急避妊薬を無料提供しない薬局に、9万〜100万ユーロの罰金

*ジブラルタル海峡での重油タンカー事故 現状



2022年9月2日(金)

ガスの税率、21%から5%へ引き下げ

エネルギー価格の高騰が続いている影響で、スペイン国民が支払う電気料金はすでに1年前の70%増しとなっており、一般家庭の経済を締め付けるだけでなく、様々な企業でその生産の減量や停止が見られる。
そう言った中で夏が終わりを迎え、秋から冬へと向かう今、政府は、ガスに適用される税率を現行の21%から5%へ引き下げることを発表した。
新税率の適用は10月から開始され、当面は年末までの3カ月間続く予定となっている。
ペドロ・サンチェス首相はこの決定について、「秋、そして冬が始まるにあたって、煖房が必要となるこの時期、ガス代による負担を下げるのは理にかなった対応である」と説明したが、電力についての使用制限を設けたのと同様に、ガスの使用についても何等かの制限をかけるのかどうかについては触れていない。
尚、エネルギー価格の前代未聞の高騰が続く中、ガスに対する税率の引き下げの必要性について、最大野党であるPPは今年7月から再三にわたって政府に要求していたが、政府がこれに耳を傾ける姿勢を示すことは無かった。
更には、昨日行なわれた税率引き下げ発表の僅か24時間前にも、政府はその必要性を否定したばかりだった。
PPのアルベルト・ヌニェス・フェイホー党首は、「野党のそのまた野党を演じ続ける政府であっても、我々は我々の政策案と政府への要求を提示し続ける」とコメントしている。


その他のニュース(動画ニュースで解説しています)

*カタルーニャ:学校教育におけるスペイン語による授業25%保障遂行は1校も無し。

*ジブラルタル海峡でタンカー事故


2022年8月31日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

スペインにおける新型コロナに関する全国集計の報告は、中央政府によって毎週火曜日、金曜日の2回行なわれている。
昨日、火曜日にあった発表によると、過去1週間における新規死亡者数は354名とのこと。
1週間前の発表(340名)と比較すると約14%の増加となっており、1日平均にすると、1週間前の約49名から約51名となった。
また、この1週間における新型コロナによる入院者数の変化を見ると、先週火曜日発表時には4.063名だったが、昨日の発表では3.421名と約16%の減少を見せ、その中で集中治療室に入院している人の数についても、271名から229名へと約15%減少しており、集中治療室の使用率は、新型コロナ危機始まって以来、最も低い数値となった。
この1週間における新規陽性者確認数については、先週発表時の17.483名に比べ、18.746名と約7%増加しているが、これについては、通常のPCR検査対象が60歳以上に限られているため、感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


その他のニュース(動画ニュースで解説しています)

*8月のインフレ率 10.4%(仮発表)

*中絶法改正案(性と生殖健康法)、閣僚会議で可決


2022年8月29日(月)

マンション賃貸料、35都市で過去最高値に

インフレが続く中、スペインにおけるマンションの賃貸料についても高騰が続いており、今年7月における全国平均では1平米あたりの値段が11.3ユーロに達した。
昨年同時期と比較すると5.6%の値上がりとなっており、新型コロナ危機が始まって以降の最大の値上がり率となった。
アリカンテ、バレンシア、ムルシア、マラガ、サンタ・クルス・デ・テネリフェ、レオン、レリダ、ログローニョ、ビトリア、サンタンデール、サラゴサ、トレドなどでは7月に過去最高値に達しており、カディスでも今年5月に記録した最高値を繰り返した。
これらの地域を含め、テルエル、サモーラ、クエンカ、サラマンカ、ポンテベドラ、タラゴナ、アビラ、カステジョン・デ・ラ・プラナ、ソリア他、50の県庁所在地の内、35都市で今年になって過去最高値を記録している。
最も高値となっている町はバルセロナで1平米あたり平均17.42ユーロとなっており、これにマドリッドの15.89ユーロが続く。
スペインにおける賃貸住居物件の値段は、新型コロナ危機により、一旦、大きく下がったが、社会全体が新型コロナとの共存体制に入ったことにより、急激な高騰傾向に転じた。


その他のニュース(動画ニュースで解説しています)

* テルエル、地方都市過疎化問題への政府の緊急対応を要求

* ガス料金(電気料金)上限政策の落とし穴


2022年8月26日(金)

国会再開  省エネ新法案他 可決

国会議員等の夏休みが終わり、昨日よりスペインの国会が再開された。
今回の国会で社会の注目を集めていたのは、夏休み前に政府が緊急法案としてその仮施行を開始した省エネ法案の決議であった。
同法案について、様々な理由からPP、VOX、CIUDADANOSなどの右翼政党が反対の姿勢を表明しており、政府にとってその他の政党から支持を得る事が不可欠となっていたが、ERC、PNV、BILDUなど、カタルーニャやバスクの独立派や民族主義政党による支持、そしてガリシアの民族政党BNGの棄権票を取り付けることによって、賛成票187票 対 反対票161票で可決に至った。
ただし、協力姿勢を示した政党からも数々の批判や要望が出され、政府が意図していた緊急法案としての可決とはならず、通常法案としての扱いを条件としての可決となった。
これにより、約2週間前から仮施行されている省エネ法はこのまま続行されるが、今後、その内容について、各政党からの意見や要求などをもとに、必要に応じた変更が加えられる可能性が残されている。

なお、昨日の国会では、この省エネ法以外にも、性犯罪についての新法、科学研究支援の強化、自営業者の年金保険料改正案などが可決された。


2022年8月24日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

中央政府により週に2回発表される新型コロナの状況だが、昨日行なわれた発表によると、過去1週間における新規死亡者数は340名とのこと。
1週間前の発表時(567名)と比較すると約40%減となっており、 死亡者数を1日平均で見た場合、1週間前の81名から49名となった。
また、この1週間における新型コロナによる入院者数の変化を見ると、先週火曜日発表時には 5,138名だったが、昨日の発表では4,063名と約21%の減少、そしてその中で集中治療室に入院している人の数が、354名から271名へと、約23%の減少となった。
この1週間における新規陽性者確認数については17,483名となっているが、これについては、通常のPCR検査対象が60歳以上に限られているため、感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


2022年8月22日(月)

政府、干ばつ問題を見て見ぬふり

降雨量の減少と記録的な猛暑による水不足の問題は悪化の一途を辿っており、カタルーニャのレリダ県にあるリアルブ貯水池では、その貯水率が僅か8%と、枯渇の危機に直面している。
昨年同時期には、同貯水池の貯水率は50%に達していたことからも、この夏の干ばつの深刻度がうかがわれる。
水不足により各家庭への給水制限が行われるだけでなく、農業用に使用する水量に大きな制限がかけられているため、農産物の生産量が下がり、大手農協等による報告では、すでにその損害額は80億〜100億ユーロにのぼるとのこと。
乾燥に強い作物であるオリーブにしても、その最大の産地の一つであるハエン県だけで、その損害額は10億ユーロに達するとの報告がある。
小麦についても大規模な減産となっており、間もなく旬を迎えるブドウ、そしてブドウから派生するワインの生産量にも大きな影響が予想される。
また水不足により、米の生産量も大幅な減少となるとのこと。
牧畜についても、雨不足により草が育たないことによる飼料費の増大、そしてその飲用水調達の問題が更に深刻化しているが、現時点では短期的にも長期的にも、スペイン全国でまとまった雨量の予報は無い。
こう言った現状を目の前にしても、スペイン政府が干ばつ問題への対応に乗り出す気配は未だ見られない。


2022年8月19日(金)

スペイン人、8月の休暇は何週間?

スペインの労働基準法では通常、1年間における有給休暇として30日が保障されている。
これを複数の時期に分けて利用することが可能となっているが、伝統的に夏休みとして8月に休暇をとる人が多く、企業では全社員の休暇が同時期に重なることが無いよう、7月、8月を中心とした調整が行われる。
そのため夏の休暇時期は海や山を中心に休暇を楽しむ人々で混雑が見られ、宿泊費なども他の季節よりも値上がりするのが普通となっている。
そう言った繁盛期を避け、より空いている時期、より値段が下がる時期を選んで休暇をとるスペイン人も年々増加傾向にあるが、それでも8月は、今もスペイン社会では「夏の休暇」の代名詞と言える。
この8月にスペイン人がどれだけの期間、休暇を楽しんでいるかについてのアンケート調査を市場・世論調査会社NC Reportが行なったところ、次のような結果が得られた。
3週間以上の休暇をとると答えた人・・・22.2% 
2〜3週間程度と答えた人・・・18.4%
1〜2週間程度と答えた人・・・26.3%
1週間未満と答えた人・・・9.3%
とらないと答えた人・・・17.6%
回答無し・・・6.2%

年齢別で見ると、8月に長期での休暇をとる人の27%が55歳以上で占められており、18〜34歳の年齢層では16.6%にとどまった。


2022年8月17日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

中央政府により週に2回発表される新型コロナの状況だが、昨日行なわれた発表によると、過去1週間における新規死亡者数は567名とのこと。
1週間前の発表時(626名)と比較すると約9%減となっており、 一日平均にすると新型コロナによる死亡者数は1週間前の89名から81名となった。
また、この1週間における新型コロナによる入院者数の変化を見ると、先週火曜日発表時には 6,043名だったものが、昨日の発表では5,138名と、約15%の減少、そしてその中で集中治療室に入院している人の数が、392名から354名へと、約10%の減少となった。
この1週間における新規陽性者確認数については25,744名となっているが、これについては、通常のPCR検査対象が60歳以上に限られているため、感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


2022年8月15日(月) 聖母被昇天の祝日です

違法移民、週末だけで約800人が到着

天候も良く海も荒れていないことから、海路、スペインへの入国を試みる違法移民の数が増加している。
先週末、金曜から日曜にかけての3日間で、移民を乗せてアルメリア、ムルシア、マジョルカ、フエルテベントゥーラ、ランサロテ、セウタ、カディスなどに向かっていた簡易船が少なくとも22艘確認され、これらを利用して海を渡って来た移民約800名が保護されている。
最も作業が難航したのは、金曜日に8艘の船に分かれてランサロテ島付近に到着した392名の救出で、海上保安局のパトロール艇以外に2機のヘリコプター、そして周囲の海域を航行中だった複数の商船の協力が必要となった。
搭乗者の証言によると、道中、6歳の女児が死亡したとのこと。
翌日の土曜日にも、ランサロテ島を中心にカナリアス諸島上陸を目的とした簡易船7艘が到着し170名以上が、そして昨日の日曜日にも少なくとも153名が到着し、保護されている。
ランサロテ島では、こう言った移民を一時的に保護する施設が2021年に拡張され、200名まで収容可能となっているが、この週末の到着分だけで全く足らない状況となっている。
違法移民の到着経路としては、これら大西洋経由が最も多いが、それ以外に地中海経由でも多数の移民が到着しており、この週末、ムルシアで16名、マジョルカ島で53名、セウタで6名が保護されている。


2022年8月12日(金)

ガスパチョ 対 トルティージャ・デ・パタタス

ガスパチョ(Gazpacho)、そしてトルティージャ・デ・パタタス(Tortilla de patatas)は、スペインにおける人気料理として世界的にも広く知られているが、そのどちらを選ぶかとなると、スペイン人にとっては難しい選択となる。
世論・市場調査会社NC Reportが、「夏の休暇に海辺へ出かけるにあたって、持参する食事としてガスパチョとトルティージャ・デ・パタタスのどちらを優先するか?」と言った内容のアンケート調査を行なったが、その結果、スペイン人の選択は、ほぼ半々に分かれた。
詳細はトルティージャ・デ・パタタスと答えた人が全体の49.1%、ガスパチョを選んだ人が47.2%、そして無回答が3.7%だったとのこと。
年齢層別で見ると、トルティージャ・デ・パタタスを選ぶ人が、18歳〜34歳ではその54%を、35歳〜54歳では47%を、55歳以上では48.2%を占めている。
また、35歳〜54歳では、その48.4%がガスパチョを選んでいる。

尚、この夏は、極度な物価高騰などによる経済危機の影響を受け、外食を避けるために海辺へこれらの食材をお弁当として持参する人が全体の38%に達するとのアンケート結果が出ているが、男女別に見た場合、女性では弁当持参を考えている人が43.6%に達しているのに対し、男性では32%程度となっている。


2022年8月10日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

中央政府により週に2回発表される新型コロナの状況だが、昨日行なわれた発表によると、過去1週間における新規死亡者数は626名とのこと。
1週間前の発表時(319名)と比較すると96%増となっており、 一日平均にすると新型コロナによる死亡者数は1週間前の46名から89名となった。
また、この1週間における新型コロナによる入院者数の変化を見ると、先週火曜日発表時には 7,836名だったものが、昨日の発表では6,043名と、約23%の減少、そしてその中で集中治療室に入院している人の数が、431名から392名へと、9%の減少となった。
この1週間における新規陽性者確認数については34,561名となっているが、これについては、通常のPCR検査対象が60歳以上に限られているため、感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


2022年8月8日(月)

食料確保は特権階級のもの?

スペインではインフレが進む中、食料確保が切実な問題となりつつある。
国家統計局の行なった仮発表によると、今年7月のインフレ率は10.8%となっており、物価は1984年9月以来の記録的な高値に達しつつある。
そしてこの異常な上昇の主な原因となっているのが食品価格の高騰で、その中でも必需品とされる基本的な食料品の値上がりが目立つ。
また、スペインではインフレ率の中で食品価格高騰が占める割合がユーロ圏諸国の中でも特に高くなっており、ユーロ圏での平均が17%であるのに対し、スペインではこれが22%に達している。
今年7月時点での前年度比を比べると、ユーロ圏平均では食用油の価格は29%、穀物やコーヒーの価格は11%、乳製品、卵、肉類の価格が12%の値上がりとなっているのに対し、スペインでは食用油が37%、穀類が16%、コーヒーが11%、乳製品、卵が16%、肉類が10%となっている。
また、2021年1月からの推移を見た場合、スペインでは食用油の価格は56%、穀類が17%、乳製品、卵は16%の値上がりとなっている。

消費者協会OCUの調べによると、昨年5月から今年5月までの物価変動を基準にして計算した場合、毎日の食費が平均15.2%増となる。
これを一般的な家庭の食費に当てはめた場合、今年年末には2022年の年間食料費が前年度より830ユーロの増加になるとしており、5月以降も更にインフレが進んでいることから、その増加分は1000ユーロ程度に達すると予測されている。
OCUによると、特に価格高騰が目立っているのがひまわり油で118%の値上がりとなっており、これにマドレーヌ(75.4%)、マーガリン(75.2%)、バナナ(63.6%)、パスタ類(59.9%)、ソフトオリーブオイル(52.6%)、小麦粉(49.7%)、卵(45.9%)、マヨネーズ(42.9%)などが続く。
新型コロナ危機と急激なインフレの影響により、これら基本食品の高騰に対応出来ない家庭が増えており、十分な食料確保が出来ていない家庭が75万世帯に達しているが、その多くが行政からの充分な援助を得られないため、各種NGO団体に頼っている。


2022年8月5日(金)

スペインの農産物輸出額、過去最高に

2021年におけるスペインの農産物、水産物の輸出額はその前年度と比較して11%の増加となり、総額601億1,800万ユーロと、過去最大値を更新した。
これはスペインの同年総輸出額の19%を占めている。
農産物、水産物の輸入額については前年度比較16.4%の増加で、総額にして411億6,900万ユーロとなっており、これらの貿易収支は前年度比0.8%プラスの189億4,800万ユーロの黒字となった。
また、農産物、水産物に限らない全ての輸出入について見た場合、総輸出額が20.1%の増加、総輸入額が23.8%の増加となっており、新型コロナ危機により停滞していた経済だが、2021年には大きな動きが認められる。
食品類において最も輸出額が大きかったのが果物類で、101億6.200万ユーロに達しており、これに肉類(88億1.900万ユーロ)、野菜類(74億6.100万ユーロ)が続いた。
また、特に増加率が目立ったのがオリーブ油を中心とした油類で27.4%の増加となり、53億5.900万ユーロに達した。
尚、主な輸出先はEU諸国で、全体の63%を占めている。


2022年8月3日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

中央政府により週に2回発表される新型コロナの状況だが、昨日行なわれた発表によると、過去1週間における新規死亡者数は319名とのこと。
1週間前の発表時(752名)と比較すると58%減となっており、 一日平均にすると新型コロナによる死亡者数は1週間前の107名から46名となった。
また、この1週間における新型コロナによる入院者数の変化を見ると、先週火曜日発表時には 9,826名だったものが、昨日の発表では7,836名と、約20%の減少、そしてその中で集中治療室に入院している人の数が、516名から431名へと、16%の減少となった。
この1週間における新規陽性者確認数については42,768名となっているが、これについては、通常のPCR検査対象が60歳以上に限られているため、感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


2022年8月1日(月)

スペイン政府、休暇前に閣僚会議で省エネ計画を可決

ロシアからのガス供給量が激減し、今後更にその状況が悪化することが予測される中、EUではその加盟国に対し、ガス消費量の15%削減義務を課す事を可決したが、同案に対し、スペインは最初から反対の姿勢を示し、交渉の結果、スペインは7%の節約による協力を行なうことで同意に至っている。
政府も間もなく夏の休暇に入るが、その前に本日の閣僚会議で、この「ガス消費量7%削減」を実現するための省エネ計画の可決が行われる模様。

その主な内容は、企業や行政関連施設などに向けた義務や、一般市民への推奨事項などとなっている。
企業、行政への義務としては、建物内での冷房の温度調整を27度以上に、また、冬には煖房の温度調整を19度以下に設定するよう義務付けられる他、電力供給会社に対しては、消費者が契約電力量の変更を無料で行なえるように調整を求めるとのこと。
公務員の出勤については、週に3日まで在宅勤務が認められることとなり、また義務では無いが、全ての職場において、ネクタイの着用を避けるなど、暑くなることを防ぐ服装が推奨される。
一般家庭においては、夜間、窓を開けることによる冷房の節約、不要な照明の点灯を避けること、そして冷暖房による温度調整を企業向け義務と同様の温度に設定すること、などが推奨項目として挙げられている。


2022年7月29日(金)

政府、カタルーニャ独立主義に譲歩

新型コロナ危機が始まって以来、中央政府とカタルーニャ州政府との間でのカタルーニャ独立問題に関する協議が停止した状態となっていが、今週水曜日に再開された。
今年になって、イスラエルが開発したスパイウェア“ペガサス”を利用した、カタルーニャの政治家等を対象としたスパイ行為などが発覚したことなどもあり、中央政府とカタルーニャ州政府との間での緊張感が高まっている中での再開となった。
今回の協議は報道陣の入室許可も無く、徹底した秘密主義のもとで行われたが、終了後、それぞれが記者会見で、発展的な成果が得られたと報じている。

今回、カタルーニャ州政府が持ち込んだ主要議題は、政治の極度な司法化を避けること、そしてカタラン語の更なる推進の2本立てとなっていた。
独立主義政党にとって、前者が最重要議題となっていたが、これについては協議の中での進展は見られなかった模様。
しかしながら、後者、カタラン語の扱いについては、中央政府が100%譲歩する形となった。
カタルーニャでは、「スペインの標準語とされるカステジャーノ語による学校教育を保証するため、教育の場におけるカステジャーノ語による授業の割合を、少なくとも25%以上に保たなければならない」との指示がカタルーニャ高等裁判所より出されている。
しかし、カタルーニャ議会はすでに、同裁判所命令を無視する決定を行っており、今回の協議で中央政府はその決定を擁護する姿勢を明確にした。
また、カタルーニャ行政が、カタラン語をEU議会における公式言語の一つに認定するよう要求したことについても中央政府は同意を示し、スペイン政府として同件をEU議会に正式依頼することを明らかにした。

尚、カタルーニャの学校教育における「カステジャーノ語による授業25%維持」は、高等裁判所命令によるものであり、カタルーニャ議会や、今回の中央政府とカタルーニャ政府による協議での決定はこれに背くこととなるため、高等裁判所が同件を最高裁へ持ち込む事が予想される。


2022年7月27日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

中央政府により週に2回発表される新型コロナの状況だが、昨日行なわれた発表によると、過去1週間における新規死亡者数は752名とのこと。
一日平均にして約107名が、新型コロナ感染が原因となって死亡するという状況が続いている。
先週発表時(過去1週間の死亡者数694名)と比較すると約8%の増加となった。
また、この1週間における新型コロナによる入院者数の変化を見ると、先週火曜日発表時には11,579名だったものが、昨日の発表では9,826名と、約15%の減少、そしてその中で集中治療室に入院している人の数が、先週火曜日発表時の547名から516名へと、5.7%程度の減少となっている。
この1週間における新規陽性者確認数については71,069名となっているが、これについては、通常のPCR検査対象が60歳以上に限られているため、感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。

スペインでは4回目のワクチン接種の開始時期を今年の秋ごろの予定としているが、 これに合わせてスペイン製ワクチンHIPRAの導入を見込んでいる。 報道によると、現存する他社のワクチンに比べて、HIPRAは全ての変異種について 体内に構成される抗体の量で優っているとのこと。


2022年7月25日(月) 使徒サンティアゴの祝日です

スペインの海辺:マンションの屋上階、45,000ユーロより

新型コロナ危機が始まって以降、全国的に見られた在宅勤務の普及により、都会に住むのをやめて地方都市へ引越しをする例が多く見られるようになったが、引越し先として海辺に建つマンションの屋上階をその選択肢に入れる人も多い。
大手不動産会社Idealistaによると、現在そう言った物件をスペイン全国に約8000軒用意してあり、最安値のもので45,000ユーロから販売しているとのこと。

これら最安値の物件があるのはアンダルシア州アルメリア県のRoquetas de Mar市で、45,000〜50,000ユーロで、2寝室のマンションで、中古物件ではあるが非常に良い状態のものがあるとのこと。
また同じくアルメリア県Vera市では53,000ユーロから、バレンシア州アリカンテ県のTorrevieja市では60,000ユーロから、Guardamar del Segura市では69,000ユーロから、同じくバレンシア州カステジョン県のOropesa del Mar市では68.000ユーロから選べるとのこと。

また80,000ユーロ前後の予算があれば、Alicante市やムルシア州のLa Manga del Mar Menor市、ジロナ県のLloret de Mar市、タラゴナ県のCalafell市、マラガ県のManilva市、同じくマラガ県のEstepona市などにも1〜2寝室の売り物件が揃っているとのこと。
更に100,000ユーロ前後でアリカンテ県のDenia市, Calpe市, Benidorm市, Altea市, El Campello市, La Vila Joiosa市、マラガ県のMijas市などに、150,000ユーロ前後でカンタブリア州のCastro-Urdiales市で探す事が出来るとのこと。
スペイン本土以外の島では、マジョルカ島のPalma de Mallorca市で130,000ユーロから、Calvia市で210,000ユーロから、またカナリアス諸島のサンタ・クルス・デ・テネリフェ県にあるArona市で95,000ユーロから良い物件があるとのこと。


2022年7月22日(金)

山火事による焼失面積、過去最大に

今月10日付けのスペイン政府の発表では、その時点での今年になって山火事で焼けた総面積は7万ヘクタールとなっていたが、昨日、7月21日付けのEUによる報告書では、193,247ヘクタールとなっていた。
両者間に11日間の違いがあるとは言え、その数字は似ても似つかないものとなっている。
EUの報告によれば、2012年が山火事による被害が最悪となった年とされていたが、その時の焼失面積は189,376ヘクタールで、今年は7月21日時点ですでに2012年の記録を超えていることとなる。

また、ヨーロッパ各国で山火事被害が報告されている中、スペインにおける被害が最も大きく、今年になって燃えた面積は総国土面積の0.38%に至っている。
193,247ヘクタールが燃えたスペインの次に被害が拡大しているのはルーマニアで、149,264ヘクタールが焼失。
そして、これにポルトガル(46,593ヘクタール)、フランス(39,904ヘクタール)、クロアチア(30,889ヘクタール)、イタリア(25,103ヘクタール)が続く。

マドリッドーブルゴス間のAVE開通

昨日、国王フェリペ6世、サンチェス首相、カスティージャ・イ・レオン州知事などの出席のもと、マドリッドーブルゴス間の超高速列車AVEの開通式が行われた。
国王等を乗せたAVEは、昨日の午前11時にマドリッドのチャマルティン駅を出発したあと、90分の所要時間で12時半にブルゴスに到着した。
今後、このマドリッド―ブルゴス間をつなぐAVEは、道中、バジャドリでの停車を含め、1時間33分の所要時間で運行される予定だが、1日に1往復のみの運行となり、それ以外はセゴビア、バジャドリでの停車を含む列車ALVIA、またはセゴビア、バジャドリ、べンタ・デ・バニョス、パレンシア他での停車を含むAVANTを利用することとなる。
ALVIAによるマドリッドーブルゴス間の所要時間は1時間50分前後、AVANTでは含まれる停車駅によって3時間〜3時間半程度となっている。


2022年7月20日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

中央政府により週に2回発表される新型コロナの状況だが、昨日行なわれた発表によると、過去1週間における新規死亡者数は694名とのこと。
一日平均にして約100名が、新型コロナ感染が原因となって死亡するという状況が続いている。
また、この1週間における新型コロナによる入院者数の変化を見ると、先週火曜日発表時には12,789名だったものが、昨日の発表では11,579名と、約10%の減少となったが、その中で集中治療室に入院している人の数は、先週火曜日発表時の501名から547名へと、9%程度の増加となっている。
この1週間における新規陽性者確認数については99,318名となっているが、これについては、通常のPCR検査対象が60歳以上に限られているため、感染拡大状況を把握するための情報とは成り得ない。


2022年7月18日(月)

山火事による被害、4州で25,000ヘクタールに

スペインの全国各地で山火事が広がっているが、特にエクストレマドゥーラ州、カスティージャ・イ・レオン州、ガリシア州、カタルーニャ州の4州で週末にかけて最悪の状況となった。
これら4州だけで、焼けた面積は25,000ヘクタールに達しており、数百名の住民が避難を余儀なくされた。
また、サモーラ県での山火事で消火作業を行なっていた男性1名の死亡が報告されている。

4州の中でも最も状況が悪化しているのはカセレス県、ヘルテ谷のGarganta de los Infiernos、そしてバルセロナ県のEl Pont de Vilomara で起きた山火事で、猛烈な勢いで広がっている。
El Pont de Vilomara の山火事については、立ちのぼる煙がバルセロナ市からも確認出来るとのこと。
また、ヘルテ谷での山火事については、すでにそれが人為的な放火であったとの発表があった。

ガリシア州ではSaa Pobra de Brollon で700ヘクタール、Donis(Cervantes, Lugo)で75ヘクタール、Vilamor(Folgoso, Lugo)で2,500ヘクタール、Videferre(Oimbra, Orense)で350ヘクタール、Ramil(Palas de Rei, Lugo)で275ヘクタールの被害が報告されている。


2022年7月15日(金)

スペインで一番安く家を買える町

スペインにおける不動産価格は、1年前と比較して3.8%の高騰となっており、全国平均では1平方メートルあたりの値段が1,548ユーロとなっているが、そう言った状況の中でも、より安く家を買える町々も存在する。
大手不動産会社 Idealista によると、その平均価格がスペインで最も安い町は、トレド県の Alcaudete de la Jara(人口1,700人程度)で1平米あたりの平均価格が329ユーロとなっている。
そしてこれに続くのが同じくトレド県の Lucillos(人口600人程度)で平均価格363ユーロ、シウダ・レアル県の Almaden(人口5,500人程度)で平均価格372ユーロ、トレド県の Pulgar(人口1,500人程度)で平均価格374ユーロ、シウダ・レアル県の Campo de Criptana(人口13,600人程度)で398ユーロなどで、全てカスティージャ・ラ・マンチャ州の市町村となっている。


2022年7月14日(木)

モロッコ政府: スペインとの国境で起きた大量死はスペイン政府の責任

去る6月24日、スペインの自治都市であるメリージャへ、モロッコ側から集団で違法入国を試みた結果、多くの怪我人(違法移民と警察官等、計140名)と少なくとも23名の死亡者が出ると言う事件があったが、これに対し、基本的人権を順守した対応が成されていたかどうかについて、疑問が持ち上がっている。

集団はモロッコ側とスペイン側とを分ける壁を越えることなく、モロッコ側でスペインへの侵入を断念するに至っており、大勢の負傷者と死亡者が出た理由として、当初より、モロッコ当局の対応に問題があったとする見方が強かった。
しかし、これに対しモロッコ政府は、独自の調査の結果として、その責任はスペイン側にあるとの見解を公表した。
モロッコ政府は、スペインへの違法入国を試みようとする集団がスペインへの入り口付近に密集した際、スペイン当局がスペイン側へ通じる扉を開放していれば、この惨事は起きなかったと指摘している。


2022年7月13日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

中央政府により週に2回発表される新型コロナの状況だが、昨日行なわれた発表によると、過去1週間における新規死亡者数は689名とのこと。
一日平均にして100名弱が、新型コロナ感染が原因となって死亡するという状況が続いている。
1週間前には1日平均が50名強であったことから、この1週間で死亡者数は2倍に増えたこととなる。
また、この1週間における新型コロナによる入院者数の変化を見ると、先週火曜日発表時には11,589人だったものが、昨日の発表では12,789名と、11%の増加、 そしてその中で集中治療室に入院している人の数は、先週火曜日発表時の502名から501名へとほぼ変化無しとなっている。
新規陽性確認数については、先週火曜日の71,818名から昨日発表の59,226名へと、約12%の減少となっているが、これについては、通常のPCR検査対象が60歳以上に限られているため、実際の新規感染者数とは似ても似つかない無意味な数字となっている。


2022年7月12日(火)

ロシアへのガス依存度高まる

スペインで消費されるガスの供給元に、大きな変化が生じつつある。

2021年6月と2022年6月とで比較すると、米国からのガス輸入量が2,5倍増加したのに対し、アルジェリアからの輸入量は57.3%の減少となっている。
スペインにとって、今年前半の6か月間における最大の供給国となったのは米国で、輸入量全体の34.4%を占めるに至った。
これに次いで多かったのがアルジェリアで全体の24.7%、そしてナイジェリアの14%となり、ロシアからの輸入量は10.1%で、ロシアが4番目に位置している。
また、2021年7月から2022年6月までの1年間における輸入量を比較すると、アルジェリアが最も多く全体の31.3%を占め、2番目となった米国が26.7%、そしてこれにナイジェリア(13.1%)、ロシア(8.5%)が続いた。
次に今年6月の1カ月間における輸入状況に目を向けると、ロシアからの輸入が全体の24.4%に達しており、これを凌いだのは唯一米国の29.6%で、アルジェリアは21.6%止まりと、ロシアがスペインにとっての第2番目の供給国となっている。

スペインからロシアへの供給量は、1年前と比べると4倍に膨れ上がっている。


2022年7月11日(月)

マドリッドの外国人移民人口増加

経済危機が直接的原因となり、2008年頃よりマドリッドにおける外国人移民の人口が大幅に減少したが、その後、再び増加傾向に転じ、2014年には394,000人であったのに対し、現在は510,000人に膨れ上がっている。
マドリッドに住む外国人の内訳として、長い間、最多数を誇っていたのがルーマニア人で、そのすぐ後を中国人が追う形となっていたが、近年になって少し変化が生じつつある。
自国の独裁政治から逃れようとするベネズエラ人の移民が増加しており、その結果として、現時点でマドリッドに住む同国籍人の人口は4万人以上に達し、4万2千人強となっているルーマニア人の数に迫りつつある。
マドリッドに住む外国人移民の中で最も多いルーマニア人が占める割合としては、全国籍移民の中の8.3%にあたり、ベネズエラ人が8%、そしてベネズエラに追い越された中国人は約38,000人で7.4%となっている。

マドリッド市で特に移民人口が占める比率が高いのは街の中心部で、住民全体の25.84%と、4人に1人が外人となっている。
中心部に次いで多いのがウセラで全体の23.98%となっており、そのあと、カラバンチェル(21.25%)、プエンテ・デ・バジェカスとテトゥアン(共に20%)などが続く。
また、それぞれの国籍によって特に集中している地区があり、ルーマニアからの移民が最も多い地区はビジャ・デ・バジェカスのサンタ・エウヘニア地区で、ここでは居住する外国人の48%がルーマニア人となっている。
また、ベネズエラ国籍の移民はオルタレサやサンブラスーカニジェハスなどに集中している。
現時点で3番目に多い中国人移民についてはウセラにその集中が見られ、全移民の30%を占めており、特にウセラの中のプラドロンゴ地区では41.4%に達している。


2022年7月8日(金)

不動産価格、高騰続く

公証人評議会による昨日発表の報告書によると、今年5月におけるスペインの住居不動産売買数は、昨年度同時期比較7.3%の増加となった。
また、その価格も3.8%増加し、全国平均にして1平方メートルあたり1,548ユーロとなった。

住居の種類別に見た場合、集合住宅では売買数が8.8%の増加、価格は1.7%の増加となり、個別住宅の場合では売買数が2.8%増、価格が8.1%増となった。
また、住居物件購入において、その50.7%が担保ローンを組んでの購入となっており、平均すると購入価格の73.7%、金額にして147,166ユーロの借り入れが行われている。

今年5月にスペイン全国で交わされた売買契約数の合計は63,921件で、その内の48,821件が集合住宅、15,099件が個別住宅となっている。
地方別に見た場合、売買数の増加率が最も高かったのはカナリアス(+34.8%)、バレンシア(+16.1%)、エクストレマドゥーラ(+13.1%)などで、逆に最も低かったのがマドリッド(−3.7%)、ムルシア(−3.6%)、アストゥリアス(-3.2%)であった。


2022年7月7日(木)

観光業復活するも、経済に暗雲

スペインでは夏の休暇シーズンを迎え、観光地はどこも賑わっている。
新型コロナ感染拡大により2年連続で抑えられてきた欲求が爆発したかのごとく、予約が殺到しており、観光業による総生産額は新型コロナ危機が始まる前の年、2019年の同時期に匹敵する数字となりつつある。
今年第2・四半期では2019年同時期を上回る売り上げとなり、第3・四半期についてもほぼ同程度の数字に達すると予測されており、2022年が終わる時には総額1,517億9,800万ユーロと、2019年度の98%に相当する額に戻る見込みとのこと。
しかしながら、売り上げが新型コロナ前の状態に戻ることが、そのまま同業界における収益が戻ったことを意味する訳ではない。
記録的なインフレにより相当量の金額が動いてはいるが、2019年と今年とで比べた場合、同額の売り上げであっても、収益は大きく減少しているとのこと。

急速に進むインフレに対する政府の姿勢にも、ようやく変化が見られるようになり、僅か1週間前には「今年はEUの中でスペイン経済が最も大きく成長し、EUを引っ張る機関車となる」と豪語していた第一副首相、兼、経済相大臣ナディア・カルビーニョ氏であったが、つい先日の会見では、「今年後半におけるインフレの更なる深刻化を覚悟し、備えなければならない」と、近未来におけるスペイン経済について、正反対の見解を述べた。

『関連したことわざ』・・・・Youtube動画ニュースで説明していますので、興味のある方はご覧下さい。
Donde dije digo, digo Diego.
Nunca digas 'De esta agua no bebere'
Otro gallo cantaria
(スペイン語に見られる特殊文字は使用していません)


2022年7月6日(水)

スペインにおける新型コロナ最新情報

中央政府により週に2回発表される新型コロナの状況だが、昨日行なわれた発表によると、過去1週間における新規死亡者数は353名とのこと。
一日平均にして50名以上が、新型コロナ感染が原因となって死亡するという状況が続いている。
また、この1週間における新型コロナによる入院者数の変化を見ると、先週火曜日発表時には9,553人だったものが、昨日の発表では11,586名と、12%以上の増加となった。
更に、その中で集中治療室に入院している人の数は、先週火曜日発表時の433名から502名へと、同じく12%程度の増加となっている。
新規陽性確認数については、先週の52,218名から昨日発表の71,818名へと、約14%の増加となっているが、これについては、通常のPCR検査対象が60歳以上に限られているため、感染状況の悪化が続いていることは判るが、実際の新規感染者数とは似ても似つかない、氷山の一角となっている。


2022年7月5日(火)

サンチェス首相、独裁色濃厚

政府は本日の閣僚会議において、国防費予算について、その増強の手始めとして10億ユーロの増額を可決する模様。
スペイン政府は、6月末にマドリッドで開催されたNATO首脳会議で、国防費予算を2029年までに国内総生産の2%まで引き上げることを確約したが、現時点では1.01%止まりとなっていることから、今後、7年間で現予算の2倍にまで引き上げる必要がある。
しかしながら、中央政府で社会労働党PSOEと連立政権を組むPodemosは、防衛費増額に真っ向から反対しており、政府内での分裂が表面化している。

そう言った中、サンチェス政権は今回も、Podemosを完全に無視する形で防衛費増額案の可決を行なう構えと見られる。
本日の閣僚会議において同件が扱われることは、Podemos所属の大臣等には一切、連絡が届いておらず、Podemos陣は、これについて一般の報道を通じて知るに至ったとのこと。
サンチェス陣営はこれについて、全ての閣僚に連絡済みであったと主張しているが、Podemos陣営はこれを完全否定している。
サンチェス首相の独裁色が更に強まると共に、PSOEとPodemos両党の任期終了前の分裂の可能性が更に高まりつつある。


2022年7月4日(月)

宗教建築文化遺産、400件が消失の危機に

スペイン国内に残る歴史的建造物の保存活動を推進している Hispania Nostra協会 は、その保存状況によって歴史的建造物を3つの区分に分けて公開している。
その区分は、ほとんど失われてしまったものをまとめたブラック・リスト、消失の危機にあるものをまとめたレッド・リスト、そして健全な保存状態にあるものをまとめたグリーン・リストとなっている。

レッド・リストに挙げられたものは、このまま放置すると近未来には完全に失われてしまう危機にあるものばかりで、これらの文化遺産が消失するのを防ぐためには、早急な対応が必要であることをスペイン社会に訴えかける役割を果たしている。
現時点でこのレッド・リストに含まれる歴史的建造物は1100件以上にのぼるが、その中で修道院、エルミータ、教会、病院などの宗教建築が400件近くを占めている。
これら消失の危機にある歴史文化遺産の中には、テルエルにある Santuario de la Virgen de Gracia、カセレスにある Ermita de San Jorge、同じくカセレスにある el Convento de San Antonio de Padua、グラナダにある Hacienda Jesus del Valle、アストゥリアスにある Monasterio de San Salvador de Cornellana、オレンセに ある Monasterio de Santa Maria de Melon、レリダにある Iglesia de Sant Serni d'Arreu、サラマンカにある Ermita Templaria de Sepulveda de Yeltes、などの貴重な建造物が含まれている。
これらはその建造物そのものが歴史的価値の高いものであるだけでなく、その中には数々の貴重な書物類や宗教美術品などが保存されていたが、今では廃墟に近い形となっている。

これら宗教的建造物が多大な損傷を受けることとなった主な要因としては、19世紀初頭にあったナポレオン戦争、1836年に始まったメンディサバルの永代所有財産解放令、1936年に始まったスペイン内戦などが挙げられる。


2022年7月1日(金)

NATO:スペイン防衛費拡大、2%へ

6月29日、30日の二日間に渡ってマドリッドで開催されたNATO首脳会議は無事に終了したが、その中でスペインは、今後の防衛費拡大を約束する事となった。
フランスでNATO首脳会議が行われた2014年時点では、スペインにおける防衛費は国内総生産の0.92%(106億800万ユーロ)となっており、同会議において、全加盟国が防衛費予算を10年以内に国内総生産の2%まで引き上げることで合意した。
しかし、これを既に達成した国は3分の1にも満たず、多くの国が2%未満の状態を維持している。
その中でもスペインは、最下位のルクセンブルクに次いで下から2番目に位置し、現時点でその防衛費予算は国内総生産の1.01%にとどまっており、2014年から8年たった今、当時の0.92%から僅か0.09%の増強しか行われていない。
今回、マドリッドで行われた首脳会議で、再び「2%達成の義務」が確認されたことにより、スペインは2029年までにこの条件を満たすことを約束した。

尚、現時点でこの2%の基準線に達している国は次のとおり。
ギリシャ(3.76%)、アメリカ合衆国(3.47%)、ポーランド(2.42%)、リトアニア(2.36%)、エストニア(2.34%)、イギリス(2.12%)、ラトビア(2.1%)、クロアチア(2.03%)、スロバキア(2%)。

サンチェス政権による2%達成の確約については、連立を組むPODEMOSが強烈な反対の姿勢を示しており、国会の承認を得る以前の問題として、政府内の意見の統一が今後の大きな課題となる。


2022年6月30日(木)

NATO首脳会議: 会議の外では、、、

昨日と本日の二日間、マドリッドでNATO首脳会議が行われているが、この間、出席している各国首脳陣と共にスペインを訪れた配偶者等のための企画が用意されている。
昨日、これに参加したのはアメリカ大統領夫人をはじめ、トルコ、アルバニア、ベルギー、ラトビア、リトアニア、モンテネグロ、北マケドニア、韓国、キプロス、マルタ、オーストラリア、ルクセンブルク、スロバキア、NATO事務総長夫人などで、スペインのレティシア王妃がその案内役を務めた。
また、スペインの首相夫人の姿も見られた。

一行はマドリッドの王宮から出発し、高速列車AVEを利用してセゴビアへ向かったが、アメリカ大統領夫人だけは、その孫娘等を伴って別に移動したあと、セゴビアでの合流となった。
セゴビアで専用バスに乗り込み、向かったのはラ・グランハ離宮で、離宮内とそれを取り巻く庭園の見学を終えたあと、すぐ傍にある王立ガラス工場へ向かった。
王立ガラス工場の簡単な見学を終えたあとにマドリッドへ戻り、その足で国立レイナ・ソフィア美術館へと向かった。
セゴビアへは同行しなかったフランス大統領夫人は、ここで合流した。
同美術館に展示されているピカソの作品「ゲルニカ」の前で記念撮影を行ったあと、美術館にあるレストランで昼食となった。
メニューの内容はアンチョア、ホタテ貝のコンフィタード、ソロンゴージョ・エクストレメーニョ(zorongollo extremeno)、トルタ・デ・カサール(torta de casar)、焼き蛸、子羊のブニュエロ(bunuelo)、ヘルテのサクランボとのこと。
また、夕刻には首脳会議における各国代表とその配偶者等がプラド美術館で合流し、美術館見学が行われたあと、同美術館における夕食会となった。
夕食会は、各国首脳陣とその配偶者等の2グループに分かれて行われたが、この時のメニューは次のとおり。
鱈とオレンジとビートのアペリティーボ、ボガバンテ(ロブスター)と夏野菜のガスパチョ、子羊の低温調理、レモンのプレ添えなど。


2022年6月29日(水)

スペインの新型コロナ事情 最新情報

昨日行われた中央政府からの発表によると、スペインにおける新型コロナ感染状況は、引き続き急速な悪化傾向にある。
新型コロナ事情についての政府発表は毎火曜日、毎金曜日の週2回の頻度で続けられており、昨日、火曜日にあった発表と先週の火曜日にあった発表とを比較することによって、その7日間における変化と傾向を観ることが出来るが、この発表によると、スペインにおける新型コロナによる入院者数は1週間で22.58%の増加(1,760名増加して現在9,553名)、重症化により集中治療室に入院している患者の数も19.9%の増加(72名増加して433名)となった。
また、この1週間で新たに登録された新型コロナによる死亡者数は302名で、死亡者累計は107,906名に達している。

特に感染拡大状況の悪化が著しいのがバレアレス、カナリアス、カスティージャ・ラ・マンチャ、エクストレマドゥーラ、マドリッド、ラ・リオハなどの州で、マドリッドだけで入院者数は2,000人を超えている。
また、カタルーニャでも急速な悪化傾向が見られ、この1週間では、1日平均4,000人の新規陽性者が確認されており、2週間前と比較すると50%の増加となっている。
カタルーニャ保健局によると、現在、同州の医療従事者で新型コロナに感染したため出勤出来ない状況にある人の数が2,000人前後となっており、このまま7月、8月と夏の休暇シーズンに入ると、人手不足により医療サービス全体に多大な悪影響が出るのは必至とのこと。


2022年6月28日(火)

NATO首脳会議: マジョール広場が大駐車場に

多数のバルやレストランが設置するテラス席で賑わうマドリッドのマジョール広場だが、本日17時には全てのテラス席が撤去される。
その理由は、マジョール広場のすぐ傍にある、外務省の拠点とされているサンタ・クルス宮において、NATO首脳会議に出席する各国代表等による夕食会が予定されており、その際の大駐車場としてマジョール広場が使用されるためとのこと。
同広場にある飲食店は、テラス席が撤去される17時以降も店内での営業は続けられるが、今の季節はテラス席が人気で、これが使用できないとなると、飲食店の売り上げが激減することは避けられない。

明日、明後日に開催されるNATO首脳会議に向け、すでに各国代表がスペインの首都マドリッドに到着し始めており、これに伴い、マドリッドでは特別警戒態勢が布かれている。
開催当日となる明日、明後日は、警官、治安警備隊員、消防隊員など、1万人を動員した警備が行われるが、今回、このNATO首脳会議を安全に開催するための特別警備はエイレネ作戦と名付けられた。
エイレネ作戦によって車両通行止めを含む大きな影響を受けるのは、マドリッド市内のアトーチャ周辺からプラド通り、レコレトス通り、カステジャーナ大通り、アベニーダ・デ・アメリカ、そして開催会場となるIFEMA付近、空港付近、高速道路A2、M11、M40などが挙げられるが、それ以外でも様々な警備が行われるため、本日より可能な限り、自家用車の利用は避けるよう呼びかけている。
警備内容の詳細についてはその全てが発表とはなっていないが、各国代表が利用するホテルなどの周囲、半径300〜400メートル内に駐車されている車は全て撤去されるため、注意が必要となる。
また、自家用車の利用が困難となることから、マドリッド行政は会議開催中、市バスの全路線についての無料化、そして地下鉄の増便を発表している。


2022年6月27日(月)

首都マドリッドでNATO反対デモ

今月29日、30日にスペインの首都マドリッドでNATO首脳会議が行われるが、それに先立って昨日の日曜日、マドリッド市内中心部において大規模な反NATOデモが行われた。
同デモは複数の諸団体によって計画、実行されたが、政治的にはIZQUIERDA UNIDA(左翼連合)、PCE(スペイン共産党)、PODEMOSなどによって行なわれたもので、これにベルギー、ドイツ、フランスなどからのグループも加わり、デモ実行組織側によると約30.000人が参加、スペイン政府によると2.200人程度が参加したと発表された。
参加した有力な政治家としては、左翼連合所属でEU議員を務めるシラ・レゴ氏、スペイン共産党のエンリケ・サンティアゴ党首などの姿が見られたが、PODEMOSについてはその旗印も主要メンバーの姿も見られなかった。

デモの中で、横断幕やメガホンを使って最も多く主張された言葉は「NATO反対! 軍用基地反対! 軍艦出て行け!」と言ったもので、デモ隊は正午ごろアトーチャ付近から出発し、14時頃、グラン・ビアが終わるスペイン広場付近に到着し、最後に幾つかの要求項目を読み上げたが、その中に「NATO解散要求」が含まれていた。


2022年6月25日(土)

スペインにおける新型コロナ最新事情

週に2回、中央政府によって発表される新型コロナ感染状況が昨日の金曜日に公表された。
感染状況は引き続き悪化傾向となっており、拡大する速度が速まりつつある。

今回発表の内容は今週の月曜日、火曜日、水曜日の3日分のまとめとなっているが、これによると、この3日間分として登録された新型コロナによる新規死亡者数は195名で、1日平均にすると65名となる。
これで、これまでにスペインで新型コロナによって亡くなった人の累計は107,799名にのぼる。
また、新型コロナにより病院に入院している人の数も前回発表時の7,793名から8,205名へと増えており、集中治療室の使用率も全国平均で4.38%へと増加した。
過去1週間に確認された新規陽性者の数は118,421名とされているが、PCR検査の対象となっているのが60歳以上の年齢層のみで、それ未満の年齢層については重症化しない限り検査が行われていないため、実際の新規陽性者数はこの数字の数倍に及ぶと思われる。
尚、感染状況が特に悪化している地域としては、マドリッド、ラ・リオハ、カナリアスなどが挙げられる。


2022年6月24日(金)

エクストレマドゥーラ州、7月19日に高速列車の運行開始

エクストレマドゥーラ州のプラセンシアからバダホスを結ぶ高速列車の運行が、来月19日から開始となる。
国鉄RENFEは、この新しい路線のチケット販売を本日より開始し、9月末までの間に、開通を記念した格安チケット3万枚を販売するとのこと。
この高速列車は、プラセンシアを出発したあとカセレス、メリダを停車駅としてバダホスに至るもので、一日に1往復の運行が予定されている。
在来線利用と比べると、マドリッドからバダホスまで移動する場合で51分の短縮、モンフラグエからバダホスへの移動の場合で44分の短縮、バダホスからカセレスへの移動では25分の短縮、カセレスからメリダへは20分の短縮となる。

現在、エクストレマドゥーラとマドリッドとを結ぶ鉄道サービスを改善する計画が進行中であり、今回のプラセンシアーバダホス間の高速列車運行開始はその第一段階となる。
第二段階として、すでにナバルモラル・デ・ラ・マタからプラセンシアまでの高速列車開通工事が進められており、これが完了すると、首都マドリッドとエクストレマドゥーラ州との連絡が大きく改善されることとなる。

スリ、置き引きに懲役刑

昨日の国会で、スリ、置き引きなどの犯罪を犯した場合に適用される刑法の改正が可決された。
これまでスペインでは、被害額が400ユーロ未満の場合、罰金が科せられるだけで懲役刑に至る事は無かったため、同種の犯罪が同一人物により何度も繰り返されると言う状況が続いていた。
しかし今回の決定により、400ユーロ未満の被害額である場合でも、過去に3回以上の摘発を受けたことがある場合は、6カ月から18カ月の懲役刑の対象になることとなった。


2022年6月23日(木)

チャマルティンとアトーチャを結ぶ高速列車用トンネル稼働

高速列車用に建設が進められていたマドリッドのチャマルティン駅とアトーチャ駅とを結ぶ新しいトンネルが、いよいよ来月の1日より開通する。
これまで二つの駅の間を結んでいたのは在来線用の線路だけであり、例えば高速列車を利用して他都市からマドリッドのアトーチャ駅に着いた後、市内北部にあるチャマルテイン駅へ移動するためには、高速列車を降りてから、広い駅構内を在来線乗り場まで移動して在来線列車に乗り換える必要があった。
チャマルティン駅から出発してアトーチャ発の高速列車を利用する場合も、同様に広い駅構内を移動する必要があった。
今回の新トンネルの開通により、マドリッド発着の高速列車の停車駅にこれら二つの駅が含まれることとなり、どちらの駅を利用する人にとっても在来線への乗り換えが不要となる。
ただし、新トンネル開通により来月頭からその恩恵を受けるのは、当面、高速列車ALVIAのみで、AVEについては諸々の準備が整うまでは見送りとなる模様。

また、このトンネル開通と同時に、もう一つの新トンネルを使った路線の運行も開始される。
もう一つのトンネルとは、チャマルティン駅とマドリッド南部にある街、トレホン・デ・ベラスコとを結ぶもので、これを利用することにより、スペインの北部地方と東部地方との間を高速列車で直接移動することが可能となる。
例えばアストゥリアスのオビエドやヒホンからマドリッドを経由してアリカンテ、バレンシア、カステジョンなどへ、また、カンタブリアのサンタンデールやトレラベガからバジャドリ、パレンシア、レオン、マドリッド、クエンカ、アルバセテなどを経由してアリカンテへと乗り換え無しで移動可能となる。

マドリッド、NATO首脳会議に向け特別警戒態勢

今月29日、30日に首都マドリッドで開催が予定されているNATO首脳会議に向け、マドリッド市内ではすでに段階的な特別警戒態勢が始まっている。
今回の会議ではNATO加盟国30カ国に加え、EU代表、そして招待国としてアジア太平洋地域から4カ国が、NATOに加盟していないEU加盟国から4カ国などの参加が予定されている。
また、ウクライナのゼレンスキー大統領のビデオ通信による参加も予定されている。

今回はウクライナ危機が続く中での開催であることもあって、世界の注目を集めているが、その開催中の安全を保障するため、スペイン政府内務省は国家警察官6,550名、治安警察官2,400名を含む9,000人以上による警備を予定している。
更にマドリッド州行政やマドリッド市行政による警備として、1,200名の市警察を含む2,000人による警備体制が布かれるとのこと。
特別警戒態勢の対象となるのは、首脳会議の会場となるマドリッドのIFEMAの周辺だけでなく、関係者等が利用するホテルがあるマドリッド市内中心部全体も含まれており、市内各地で一般車両の通行止めなどの措置が取られるが、内務省はその詳細については公表を控えており、市民に対し、会議開催中の乗用車の利用を避け、通勤をせずに可能な限り在宅勤務を行なうなどの協力を求めている。


2022年6月22日(水)

新型コロナ事情悪化

毎週火曜日と金曜日の2度に分けて中央政府が行う新型コロナ感染状況の発表が昨日あったが、これによると、感染状況は着実に悪化してきている。
去る金曜日に行なわれた前回の発表の時点で、すでに感染状況の悪化傾向が2週間続いていたが、今回はその傾向が顕著にあらわれた。

昨日、火曜日の発表は先週の金曜日から今週の月曜日までの4日間分のまとめとしての報告となっているが、これによると、新型コロナによる新規死亡者数は122名で、過去1週間での死亡者数は365人、一日平均52名以上を維持している。
また、今回登録された新規感染者数は50,235名で、その内23,706名が60歳以上であった。
現在スペインでは、60歳未満の年齢層については、重症化しない限りPCR検査の対象とならないため、先述の50,235名から23,706名を差し引いた数字が、60歳未満で重症化した件数の目安として解釈することが出来る。
新型コロナによる一般病棟入院者数の合計は、前回発表された6,788名から7,793名に、そして同じく新型コロナによる集中治療室の利用者数は342名から361名へと増加している。

ライム病による入院、191%増

ダニ媒介性感染症として知られるライム病による入院者数が増加しており、2005年から2019年にかけて、これによる入院者数の数が191%の増加を見せている。
正確には、この間のスペイン国内での入院者総数は1,865名と記録されている。
ライム病はスペインだけでなくヨーロッパ全域で見られ、年間平均にすると全ヨーロッパで約200,000件の報告がなされている。

ヨーロッパに生息するダニの5〜40%がライム病を引き起こすバクテリアに感染しているとされており、これに人間が感染すると、皮膚、神経系の症状、不整脈、関節や筋肉炎、眼症状など多様な症状が見られるが、心臓疾患の原因となることもある。
この心臓疾患により、1985年から2019年の間にスペインで11名の死亡が確認されている。


2022年6月21日(火)

知事の年収

2008年頃から始まった経済危機の中で苦しむ国民が多かった中、政治家の給料における減給はほとんど無く、逆に昇給が多く見られたことにより、この10数年、政治家の給料についての国民の関心が高まっている。
スペインは17の自治州、そして北アフリカにセウタとメリージャと言う二つの自治都市を有しており、それぞれに知事を中心とした自治政府が存在する。

その知事が受け取る年収を比較した場合、全国で最も高給取りとなっているのがカタルーニャのペレ・アラゴネス州知事で、今年度の年収は132.855,82ユーロと設定されており、順位付けで最下位となっているバレアレスのフランシナ・アルメンゴル州知事の年収69.084,68ユーロと比べると、ほとんど2倍に近い金額となっている。
カタルーニャ州知事に次いで2番目の高所得者となっているのがバスクのイニーゴ・ウルクジュ州知事で年収106.778,14ユーロ、その後にマドリッドのイサベル・アジューソ州知事(103.090,32ユーロ)、セウタのフアン・ヘスス・ビバス・ララ知事(96.023,73ユーロ)、メリージャのエドゥアルド・デ・カストロ・ゴンサレス知事(91.913,79ユーロ)、そしてこのあと、アラゴン、ラ・リオハ、ガリシア、バレンシア、カスティージャ・ラ・マンチャ、エクストレマドゥーラ、カナリアス、カンタブリア、ムルシア、ナバーラ、カスティージャ・イ・レオン、アストゥリアス、アンダルシア、そしてバレアレスと続く。

尚、中央政府のペドロ・サンチェス首相の年収はこれら知事のものと比べて多いと言うわけでは無く、84.845ユーロ、月収にして7.070ユーロ程度となっており、仮に知事の年収順位付けに組み込んだ場合、9番目の位置付けとなる。

サグラダ・ファミリアの元主任建築家ジョルディ・ボネ氏、死去

1985年から2012年までの間、バルセロナのサグラダ・ファミリア教会建築工事の責任者を務めたジョルディ・ボネ氏が、本日早朝、97歳で亡くなった。

同氏はサグラダ・ファミリア建築現場を退いたあとも名誉主任として世界各国でガウディ建築についての講演を行なうなど、ガウディ文化の普及とその理解を広めるのに貢献を続けて来た。
ガウディを師として仰いだ同氏が手がけた作品としては、バルセロナのサン・メディル教会、バダロナにある聖母モンセラ教会、モンセラのサン・ベニート修道院などがある。
また、バルセロナのカタルーニャ音楽堂や、同じくバルセロナの司教館の礼拝堂など、彼の手による修復を受けた建物も多い。


2022年6月20日(月)

アンダルシア州選挙、PPの記録的な圧勝

昨日行われたアンダルシア州選挙は、過去に例を見ない、まさに記録的なPPの圧勝に終わった。
選挙前には、様々な世論・市場調査会社がアンケートの実施による選挙の結果予測を行なっており、選挙が近づくにつれ、PPの優位が顕著になっていた。
そして昨夜、開票が終わってみると、これらの結果予測を更に上回るPPの勝利と、同じく記録的とも言えるPSOEの大敗が報じられることとなった。

アンダルシア州は、過去40年近くに渡って左翼政党PSOEの勢力圏となっていた地方だが、前回、2018年に行われた選挙でその勢いに明らかな衰えが見え始め、議席数では第一党の座をなんとか維持したものの、右翼政党PPとCiudadanosの連立政権による、アンダルシア初の右翼政権誕生を許すこととなった。
そして今回の選挙では、ペドロ・サンチェス首相率いる中央政府への支持率の低下に加え、パブロ・カサード氏からアルベルト・ヌニェス・フェイホー氏へとPPの指導者が交代したことによるPPの支持率上昇傾向があったことから、PSOEが約40年間維持し続けて来たアンダルシア州内第1党の地位に終止符が打たれる可能性が高いと見られていた。
結果、前回の選挙で全議席数109の内、33議席を獲得してかろうじて第一党となったPSOEは、今回の選挙で30議席と、党内過去最低記録を更新することとなり、前回26議席で第2位となっていたPPが今回、58議席を獲得して首位に立つばかりでなく、完全に過半数を超え単独政権を樹立出来る環境を手に入れることとなった。

また、その他の政党の動きを見ると、前回、議席数21で第3位にあった右翼政党Ciudadanosは今回、その姿を消し、議席数12で第5位につけていた極右翼政党VOXは、今回の左翼崩壊の中でも僅か2議席を増やすにとどまった。 また前回17議席で4位にいた左翼連合政党は、二つに分断した結果、今回はその2党を足しても7議席止まりで、中道右のPPと極右であるVOXの合計議席数が72、そしてPSOEを筆頭とする全左翼政党の合計議席数が37となり、これまで左翼の拠点となっていたアンダルシア州は事実上、圧倒的な右翼の勢力圏に転じることとなった。
アンダルシアにおけるPSOEの大敗は、次に控えているバレンシア州選挙にも大きな影響を与える可能性がある。

山火事多発: 燃えるスペイン

6月前半に到来した記録的な熱波による高気温と乾燥は、山火事被害の拡大を促す事となった。
カタルーニャ、アラゴン、ナバーラ、カスティージャ・イ・レオン、アンダルシア他、スペインの7州で山火事被害が広がっており、住民の避難や大規模な消火活動が続けられている。

カスティージャ・ラ・マンチャ州、サモラ県のクレブラ山脈では、すでに25.000ヘクタールが焼けており、過去最大級の災害となりつつある。
25.000ヘクタールと言えば、ラ・パルマ島の火山噴火の際、溶岩流によって焼かれた面積の20倍にも及ぶ。
カタルーニャでも複数の山火事が発生したが、その多くは消火に成功し、現時点で燃え続けているのは先週水曜日に始まったアレテサ付近のものだけで、ここでもすでに2.700ヘクタールが焼失している。
アラゴンでも複数個所で消火作業が続いているが、中でも6か所における火事が強い警戒を必要としており、ノナスペ周辺の山火事被害は、すでに2.000ヘクタールに及んでいる。


2022年6月18日(土)

スペインの新型コロナ事情

政府による新型コロナの感染状況の発表は、今年3月半ば頃より毎日の発表から週に2回の発表に変更となっており、毎週火曜日に金、土、日、月曜の計4日分のまとめが、そして金曜日に火、水、木曜の計3日分のまとめとして報告されている。
昨日の金曜日にもその定期的な発表があったが、それによると今週の火、水、木曜の計3日間で新型コロナウィルスにより亡くなった人の数は243名とのこと。
その前の発表(金、土、日、月曜分)が131名となっていたことから、これらを足すと過去1週間における死亡者数合計として374名が算出され、この1週間では、1日平均53.4名が亡くなり続けたことになる。
またCovid19による入院患者数は、前回の発表時に6.763名だったのが昨日の発表では6.788名と増えており、この2週間ばかり、感染確認数と共に増加傾向が続いている。

陽性確認数については、感染の疑いが持たれた場合でもPCR検査の対象となっているのは60歳以上のみで、それ以外の年令層については重症化しない限りは原則的に検査対象外となっているため、現在、スペインでどの程度の感染者が出ているのかについては、全く把握出来ない状況となっている。
検査をすればするほど陽性確認数は増えるわけで、それが政府が望んでいる「新型コロナ=インフルエンザと同等の扱い」と言った感覚を社会に浸透させるのに不都合が生じるのは言うまでもない。
また、検査を無限に繰り返す事により生じる国家財政への更なる負担を軽減させる必要があり、今後も政府による新型コロナの「国民の意識からの抹消」政策は続くと思われるが、毎日53名以上がこれで亡くなり続けていると言うのが現実となっている。

スペインの水道水

スペインの水道水は全国のほぼ全地方(99.5%)で飲用としての基準を満たしているが、その水質には地方によって大きな差異が存在している。
首都マドリッド市があるマドリッド自治州では、カナル・イサベル・セグンダと呼ばれる水道局が管理しており、一般的にスペイン国内でも高水準の水質を誇っていると考えられている。
しかし、首都の水質がスペイン国内で最良と言う訳ではない。
水質を比較する場合、バクテリアなどの微生物、カルシウム、マグネシウム、塩素など、どう言ったものがどれだけ含まれているかによって判断するため、水源がどこであったかが、まず差異が生じる大きな要因となる。
2019年度に公表された飲用水質報告書によると、スペインで飲用として使用された水は、その80.9%が地下水源より得たもので、13.7%が地表水から、また直接雨水を利用したものは全体の僅か0.1%、そして出どころを確認出来ていない分が5.3%となっている。

消費者協会OCUによると、各地方の水質を比較する為には、水に含まれるミネラルや水道管から派生し得る金属(鉄や亜鉛など)、塩素反応の結果生じるトリハロメタン、農薬などの含有量、様々な粒子の存在による濁度、病原体となり得る微生物の存在に加えて、水道料金についても考慮する必要があるとしており、これらを使った総合比較を行なった場合、スペイン国内で最も評価が高いのはブルゴスとのこと。
ブルゴスの水道水には水質に悪影響を与えるミネラルが少なく、石灰分も含まない。
また汚染も無く、水道料金も安い。
ブルゴスに次いでサン・セバスティアンの評価が高く、それ以外にはラス・パルマス、ポンテベドラ、バダホス、マドリッド、タラゴナ、パレンシア、コルドバ、グアダラハラ、オレンセ、ハエン、マラガ、ア・コルーニャ、アビラ、クエンカ、ムルシアなどが高い水質を持つ地方として挙げられている。
続いて、先述の地方と比較するとその評価は落ちるものの、「良い水質」としての評価を得ているのがオビエド、グラナダ、ビルバオ、レオン、ジロナ、ソリア、アルバセテ、サンタンデール、テネリフェ、ウエスカ、サラゴサ、ルゴ、レリダ、パンプロナ、セゴビア、ビトリア、アルメリア、サラマンカ、トレド、サモーラ、セビージャ、バレンシア、バジャドリ、カディス、カステジョン、アリカンテ、カセレス、テルエルなど。
そしてその次の格付けとして「飲用使用可能」との評価を得ているのがバルセロナ、ウエルバ、ログローニョ、サラゴサの一部で、評価が低かった主な原因は好気性微生物の含有量の多さだった。
更にバルセロナの水道水については、塩素、塩、石灰などの含有量の多さから、その味への影響は避けられない。
最後にパルマ・デ・マジョルカ、シウダ・レアル、パレンシアの一部については、その水質に幾つかの問題が指摘されている。
シウダ・レアルでは、2019年も2020年も塩素反応の結果生じるトリハロメタンの含有量が許容量の限界にまで達していた。
パルマ・デ・マジョルカでは、衛生面での評価が低かったことと、ミネラルが多すぎる極度な硬水で、味にも問題有りとの評価となっていた。


2022年6月17日(金)

燃料費高騰、天井知らず

スペインにおけるガソリン、ディーゼルの価格高騰は留まるところを知らず、過去最高値を更新し続けている。
急激な値上がりに対応出来ない運送業界に対し、政府は去る4月に1リットルにつき20センティモの経済支援策を決定したが、その後も続く値上がりにより、同支援による効果は事実上無くなった。
この1週間でガソリン価格は3.36%の値上がりとなり、1リットルあたりの値段が全国平均2.117ユーロに、そしてディーゼルは4.54%の値上がりで2.003ユーロとなった。
ディーゼル料金が2ユーロを超えたのは、これまでで初めてのこと。
これら燃料費の高騰がどれ程深刻なものであるかは、1年前の価格と比較すれば判るが、この1年間での値上がり率はガソリンの場合で55%、ディーゼルに至っては64%の値上がりとなっており、政府による経済支援を計算に入れても、運送業界ではこれだけの経費急増を消化することは困難な状態となっている。

そう言った中、この夏に運送業界による再びのストライキが予定されている。
同業界によるストは今年3月から4月にかけて20日間続いたが、その際、スーパーなどの仕入れにも大きな支障が見られ、牛乳や小麦粉関連食品など、生活必需品の供給に大きな影響を与えた。
これを終わらせるために政府は燃料1リットル当たり20センティモの経済支援を開始したが、その効果が無くなった今、スト再開とそれによる物資供給危機は現実味を帯び始めている。
これを避けるべく、昨日、政府と運送業界組合との間での協議が行われたが、現時点では何ら同意に至っておらず、今年7月に再びストライキが行われる予定となっている。

スペイン国土の75%が砂漠化

本日、6月17日は国連により制定された「世界砂漠化及び干ばつ防止の日」であり、今年はスペインがその関連行事の開催国となっている。
スペインはヨーロッパの中でも地球環境破壊の影響を最も強く受けている国とされており、特にその干ばつと砂漠化が急速に進みつつある。
本土では特にアンダルシア地方、そしてカナリアス諸島やバレアレス諸島などを中心に、スペイン国土の75%が砂漠化の危機にある地域としての指定を受けている。
世界自然保護基金WWFからは、この状況はスペインの対応の悪さに起因する面も大きいとの指摘も出ており、実際、スペインにおける水消費量の80%以上が 農産業などに優先して充てられ、環境保護は二の次となっている。
その結果、アンダルシアなどでは今年の春、記録的な降雨量があったにも関わらず、貯水率は35%と深刻な状況に陥っている。
政府は対策を講じているとしているが、WWFは、その内容については具体性に欠けるとしており、予算についても少なすぎることを指摘している。


2022年6月16日(木)

スペインの出生数、更に低下

国家統計局の本日の発表によると、スペインにおける2021年度の出生数は336.811名で、2020年度と比較して1.3%の減少となり、1941年に統計が取られ始めて以来の過去最低記録となった。
スペインでは、この10年間で2014年を除いて減少傾向が続いており、10年前と比べると28.6%の減少となっている。
2021年の場合、特に出生数の減少が目立ったのは最初の2か月間、つまり1月と2月で、これは新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言発令が直接的原因になったと考えられる。
スペインでは2020年の3月に最初の緊急事態宣言が行われ、これによって事実上ほとんどの国民が自宅から外出出来なくなっていた。
2021年度における女性一人当たりの子供の数は1.19人で、スペイン人女性だけで見た場合、この数字は1.16名となり、外国籍女性の場合では1.38名となる。
尚、2021年にスペインで生まれた336.811名の子供の内、21.4%にあたる71.914名はその母親が外国人だった。
出産時の平均年齢については年々高齢化しており、1985年には28.5歳であったのに対し、2021年には32.6歳となり、10人に一人が40歳以上だった。

新型コロナ危機が始まって以来、出生数の減少と反比例する形で増加しているのが死亡者数だが、2021年には450.687名に達しており、過去2番目に多い記録となった。
過去最多となったのは新型コロナに対するワクチンがまだ普及していなかった2020年で、2021年よりも更に43.000人多い死亡者数が記録されており、スペインでは出生数を死亡者数が大きく上回る状況が続いている。
尚、スペインは世界でも長寿国の一つとして知られているが、新型コロナによる影響で同国における平均寿命が落ち込んだ。
しかし、2020年から2021年にかけて0.73歳持ち直したことにより83.06歳となった。
男女別に見た場合、女性は0.77歳持ち直して85.83歳、男性は0.65歳持ち直して80.24歳となった。


2022年6月15日(水)

アルジェリア、スペインの外務大臣を放火魔、能無し呼ばわり

今年3月、ペドロ・サンチェス首相が「スペインはモロッコによる西サハラの領有権を認める」と言う、自党内の一部を含む全政党の意に反する外交を行なったことにより、アルジェリアがスペインとの友好国協定の破棄を発表し、スペインとの交易が途絶える危機に直面することとなった。
ヨーロッパ諸国にとってアルジェリアは、「ロシア発のエネルギー危機」の影響を緩和するために不可欠なエネルギー供給源の一つであり、アルジェリアで生産されるガスは海底ガス輸送管を通ってスペインへ送られている。

今回のサンチェス首相が招いたアルジェリアとの外交危機の解決を求めて、先日、スペインのホセ・マヌエル・アルバレス外務大臣がEU政府のあるブリュッセルへと向かった。
EUとアルジェリアとの間で結ばれている条約があり、EU加盟国であるスペインとの交易を遮断することは条約違反であるとしてEUの介入を請うのが目的だった。
スペインからの要請を受けたEUはアルジェリア政府に対し、スペインとの交易の正常化を求めたが、これに対しアルジェリアは一旦、主張を撤回する姿勢を見せたものの、その後間もなく、今回の件はアルジェリアとスペインの2国間における政治的な問題に由来するものであり、EUとの経済的な協定の範疇にあるものでは無いとして、EUの反応を批判すると共に、スペインへの怒りを露わにした。
そして昨日、アルジェリアは、政府広報課を通じてEU政府へ「告げ口」に行ったスペインの外務大臣について、「どこぞのなにがし」や「鎮火させるどころか更に状況を悪化させる放火魔」と言った表現を使って愚弄。
更には、大臣がブリュッセルからスペインへ戻った後の会見で、「今回のアルジェリアとの外交危機の裏ではロシアが糸を引いている」と言った解釈が可能な発言まで行い、政府の失策について、EUの力添えが得られない場合にはロシアの名を出す事により、米国を含むNATOによる救援すら請おうと言った愚かな姿勢が見られる」との痛烈な批判を行なった。

スペインとアルジェリアとの外交危機は長引く様相を呈しているが、そう言った中でもイスラム系対テロ体制については、今もその協力体制は正常に機能しているとのこと。
また、これについてはモロッコ政府とも同じで、西サハラのモロッコ領有を認める前、同国との関係が悪化していた時も、対テロの協力体制に悪影響が及ぶことは無かった模様。


2022年6月14日(火)

穀物の収穫20%減

今年の秋と冬に予定されているスペインの穀物収穫量は1.550万トン程度と予測されていたが、最近の見直しにより1.470万トン程度にとどまるとの予測に変った。
予測どおりの結果となった場合、昨年度より20%少なく、また2020年度と比較すると34.5%少ない収穫量となり、ウクライナ危機が続く中、スペインの輸入への依存度が更に高まることとなる。
また、現時点での予測収穫量1.470万トンにしても、真夏となる前に始まった異例の暑さの影響で、今後、更に減少方向への見直しがあることが予想される。
尚、現時点でのこの秋・冬の収獲予定内訳は、軟質小麦500万トン、大麦720万トン、硬質小麦57万7千トン、燕麦などのカラスムギ類90万トン、ライムギ28万3千トン、ライ小麦62万7千トンなどとなっている。

ライアンエアー、客室乗務員組合によるストライキ

夏のバカンスシーズンを目前にした今、スペインで運行している格安航空会社の一つ、ライアンエアーの客室乗務員等によるストライキについての発表が行われた。
これによると、ストは今月の24日、25日、26日、30日、そして7月1日、2日の計6日間に渡って行なわれる予定となっている。
客室乗務員等の給料や労働時間、休暇など、労働条件全般の改善を求めるための交渉が開始されてすでに8カ月が経っており、これの早期解決を求めるためのストと見られる。


2022年6月13日(月)

アンダルシア州選挙予想、PPが更に優位に

選挙が1週間後に迫った今、アンダルシア州民の投票意図は更にPPに傾きつつある。
世論・市場調査会社NC Reportが行なった調査によると、1週間前に行われた調査時に比べ、PPへの支持率が更に高まっている。
1週間前の結果ではPPが獲得する予測議席数は45〜47議席だったが、今回の結果では48〜50議席に達しており、過半数となる55議席に迫りつつある。
この予測によると、左翼政党による議席数はPSOE、Por Andalucia、AAの3党を足してもPPの獲得数に及ばない可能性が高く、そうなった場合、PPは極右翼政党VOXとの連立を避け、単独政権樹立へ突き進むこととなる。
アンダルシア州はPSOEにとってその拠点とも言える州であり、ここでのPPに対する完全な敗北は、アンダルシア州行政だけでなく、全国行政におけるPSOEの深刻な衰退を意味することとなる。
PSOEは、対Covid19政策や対ウクライナ問題政策における低評価、そして西サハラを巡るモロッコ・アルジェリア問題など、昨今のペドロ・サンチェス首相による独断的な行動に対する自党を含めた全政党からの批判などもあり、国民による支持率が急速に落ちつつある。

AVE マドリッドーレバンテ線の発着駅、アトーチャからチャマルティンへ変更

マドリッドとレバンテ方面(バレンシア、アリカンテ、アルバセテ、クエンカ、ムルシア)を結ぶ高速列車AVEのマドリッドにおける発着駅が、今年の夏より変更となる。
マドリッド市内にある主要駅アトーチャとチャマルティンとをつなぐ高速列車用のトンネル工事が終わったことにより、これまではアトーチャ駅発着となっていたこれらの列車は、夏以降、チャマルティン駅発着となる。
しかしながら、マドリッド市内中心部にあるアトーチャ駅から、中心部から少し離れたチャマルティン駅への変更に対し、バレンシア州行政より強い抗議を受けたRENFEは、1日に8便だけチャマルティン駅への到着前にアトーチャ駅での停車を含めることを決定した。
高速列車はRENFE運行によるAVEだけでなく、低料金サービスを掲げたOuigo、Iryo、Avlo などもあるが、アトーチャ駅での停車が含まれる1日8便のサービスについては、全てRENFEのAVEとなる模様。


2022年6月10日(金)

対アルジェリア国交危機: ペドロ・サンチェス首相、失策続く

EU諸国の中にはロシアから輸入するガスへの依存度が高い国が多くあるが、スペインはアルジェリアからのガス供給のおかげでウクライナ危機に伴うロシア発のエネルギー危機の影響は最小限に抑えられていた。
ところがモロッコによる西サハラの領有権を認めると言う、ペドロ・サンチェス首相の一存とも言える、突然の、そしてスペイン国民の多くが耳を疑うような決定がなされたことにより、西サハラを巡ってモロッコと対立しているアルジェリアとスペインとの友好関係に深刻な亀裂が生じるに至った。
今年3月、サンチェス首相による西サハラのモロッコによる領有承認のニュースが流れた直後、アルジェリアはマドリッドからその大使を帰国させ、長年続いてきたスペインとの良好な関係に大きな弊害が生じることを警告した。
アルジェリアとスペインとは20年前から友好国としての協定を結んでおり、両国間の通商においても特別な優遇措置がとられていた。
またアルジェリアからのガス供給についても、友好国スペインに対しては、特別料金での供給が行われていた。
そう言った中で閣僚会議すら通さずに突然行なわれた首相によるモロッコよりの政策転換に対し、全ての野党は勿論、サンチェス首相が所属するPSOEと連立政権を組むPODEMOSや、更にはPSOE内部からも首相の行動に対する痛烈な批判の声が挙がった。
その後、国会での首相による政策転換についての説明に納得する政党は無く、引き続きPSOE、特に首相が孤立化した状態が続いている。

ロシアによるウクライナ侵攻が続いている今、アルジェリからヨーロッパへ供給されるガスの重要性は誰もが認識していることで、これに弊害が出ることはスペインの全政党だけでなく、全てのEU諸国が危惧するところだが、そう言った中、サンチェス首相が招いたアルジェリアとの国交危機によるガス輸入への弊害の可能性について野党が説明を要求しても、政府は「アルジェリは良識と責任ある国であり、その心配は無い」として野党からの責任追及を跳ねつけ続けて来た。
そして今週水曜日、アルジェリア政府は「スペインは友好国では無い」との公式発表を行ない、これと同時にアルジェリアの金融機関協会がスペインからの、またスペインへの金融取引の閉鎖を発表した。
これによりすでに始まっていたスペインとの通商拒絶が本格化し、事実上、スペインとアルジェリアとの間での一般貿易が絶たれることとなる。
またガス供給についても、これまでの友好国用料金の適用が失効となり、今後、これまでの料金の2倍の価格にもなり得るとの噂も聞かれる。
アルジェリアからのガス供給そのものは2032年までの契約があるため、現時点で滞る可能性は少ないと思われるが、値上げは可能となっている。
今回のアルジェリアとの国交危機は、EU全体へのガス供給にも悪影響を及ぼすこともあり、サンチェス政権はアルジェリアとの外交にEUの介入を依頼した模様。


2022年6月9日(木)

不在着信詐欺の増加

最近、電話を使った不在着信詐欺の被害が増加していることから、治安警備隊より注意喚起が行われている。
携帯電話の呼び出し音が鳴って相手の番号を見ると見覚えのない番号が表示されているため、電話を取らないでいるとすぐに呼び出しは終わり、不在着信記録だけが残る。
誰からの電話だったのかが気になってあとからその番号へ電話をかけると、法外な通話料が請求されると言う使い古された手口ではあるが、この被害が増加しているとのこと。
治安警備隊によると、これらの電話は国外から発信されており、表示される電話番号は355、225、233、234から始まるものが多いとのこと。
これらの番号はそれぞれアルバニア、コートジボワール、ガーナ、ナイジェリアのもので、不在着信記録にこれらの番号から始まるものがあっても、その番号へ電話しないよう注意を呼び掛けている。

異例の早さの熱波到来

スペインでは全国的に気温が上がりつつあるが、明日から週末にかけて記録的な熱波となる可能性が高いとして、気象局は警告を発している。
本土のほとんどの地域、バレアレス諸島で35〜38度となり、グアダルキビール流域やグアディアナ流域、タホ流域、エブロ流域などでは40度、そして局所的には42度以上に達するところもあるとのこと。
気象局では、明日からの急激な気温上昇が熱波によるものだとすれば、これまでで「最も早い時期に到来する熱波」になるとのこと。
熱波として記録されるには、一時的な気温上昇だけではなく、一定の気象現象が一定期間持続するなどの条件を満たす必要があるため、現時点では明日からの気温の急上昇が熱波として記録されるかどうかは判らないが、仮にそうなった場合、1981年の6月11日に始まった熱波よりも1日早い開始となり、これまでの公式記録を更新することとなる。

明日の日中の予想気温としては、バダホス、コルドバ、セビージャなどで40度、カセレス、ハエン、シウダ・レアル、グラナダ、マドリッド、トレド、サラゴサなどでも36〜39度に達する見込み。
また夜間もタホ、グアディアナ、グアダルキビールなどの河川流域やマドリッド市などの都会では、22度以下には下がらない予想となっている。


2022年6月8日(水)

食料の無駄遣いにブレーキ

近代では多くの国々で食糧が粗末に扱われ大量に廃棄されているが、スペインもその例にもれず、年間にして国民一人当たり31キロの食糧が無駄になっている。
この状況を改善するため、政府は食品廃棄防止計画に乗り出した。
無駄に廃棄される食べ物の量を最小限に抑えるための様々な規定をまとめたもので、今後、その詳細について更に煮詰めた上で来年1月からの施行を目指している。

主だった内容の一つとして、飲食店に対する「(注文して)余った食べ物の持ち帰り用リサイクル可能容器の常備と、持ち帰りサービスの無料提供」の義務化がある。
また、食料品店に対しても「賞味期限が迫った商品、外見上綺麗に見えないもの」など、そのままでは売れ残ってしまい廃棄に至る可能性が高い商品についての大幅値下げなどによる販売促進義務をはじめ、特に大手チェーン店については、製造過程から店頭販売に至るまで、全ての工程における無駄な廃棄を避けるための計画書の作成とその提出、そしてそれに基づいた制度構築が義務付けられることとなる。
様々な対策を講じた上で売れ残ったものの扱いについては、食用としてまだ使用出来るものについては非営利の社会福祉団体などへの寄付が義務付けられ、寄付を受けた団体に対してはこれら食糧の転売の禁止と、必要とする人々への一切の差別を伴わない供給が義務付けられる。
また、食用として使用不可となったものについては、飼料、または飼料の原料としての用途に使用され、それも不可能な場合は廃棄物として他産業での利用、堆肥やバイオ燃料の原料に充てられることとなる。

尚、これら新規制に違反した場合は罰金が課せられ、例えば食料品店が売れ残った商品を寄付しなかった場合で2000ユーロの罰金、チェーン店を展開する企業が製造過程から店頭販売までの無駄廃棄防止総合計画の認可を得ていなかった場合は6万ユーロの罰金、そして同じ企業が2年間に2度以上の重大な違法行為を行なった場合には50万ユーロの罰金が設定されている。


2022年6月7日(火)

スペインの空港、入国審査で大混雑

航空協会のハビエル・ガンダラ会長は、Covid19危機により空港利用者が激減した際、空港で働く人員の大幅な削減が行なわれたが、利用者数が戻りつつある今、その増加に対応しきれない状態が続いていると指摘している。
同氏によると、様々な新型コロナ関連規制解除により空港利用者数が急増しているにも関わらず、入国審査を行なうスタッフの人数は増強されておらず、そのために大きな混乱が生じ、今年3月にはマドリッドのバラハス空港だけで乗り換えに間に合わず乗り過ごした人の数が15.000人に達しているとのこと。
最も混雑するのはイギリスからのフライトが到着した時で、イギリスがEUから離脱したことにより、イギリス人旅行者はEU諸国民が利用する自動入国審査機を利用することが出来ないことが直接的原因となっている。
スペインを訪れる外人観光客の中でも最も多いのがイギリス人だが、その彼等が第3国からの旅行者同様に入国管理官による手動審査を受けなければならず、これにより入国審査を受けるのに長蛇の列が頻繁に生じている模様。
同様の問題がマラガ、アリカンテ、パルマ・デ・マジョルカ、テネリフェ・スールなどの空港でも起こっている。
夏のバカンスシーズンを前に、航空協会は同問題の早期解決を政府に要求しているが、政府は必要な措置はすでに取られており、これ以上の対応は必要ないと主張。
隣国ポルトガルでも同様の問題が起きているが、バカンス時期到来に合わせ、期間限定でイギリス人観光客についても自動入国審査機の利用を許可すると言った対策を講じている。

主治医による初期診察予約は平均11日後

スペインの公的医療制度では、通常、医師による診察を希望する場合、居住地区にある最寄りの診療所での予約を取り、そこで登録してある主治医による初期診察を受けることになる。
そして専門医による更なる診察や検査などの必要がある場合は、主治医を通じて必要な予約申請が行われる。
ところがCovid19危機が始まってから、この主治医による初期診察制度にも大きな変化が生じた。
Covid19感染を避けるために、診療所内に多数の患者が集結するのを防ぐ目的で1日の診察数を減らすと共に、実際に患者が来院しての診察では無く、電話を通じての口頭による診察制度が新たに設置されたが、ワクチンの普及に伴いCovid19危機が(政府の主張によると)ほぼ終ったとされる今でも、この電話診察制度が維持されており、その結果として来院しての診察を受ける機会が極端に減少したままの状況が続いている。

115団体によって構成されている市民団体「初期診察制度を救おう」によると、Covid19危機による様々な障害が無くなった今でも初期診察制度は正常に機能しておらず、予約依頼を行なってから初診を受けられる日までの平均待ち時間が11日に達しており、これはCovid19危機が始まる前の年、2019年時の平均待ち時間の2倍に達しているとのこと。
一方で電話による口頭診察の件数が激増しているが、これを利用をした人の中の64.2%が、実際に医師と会って話すのと比較して症状の詳細などについての説明が困難であるとしている。
また45%が医師の説明の理解についても難易度が増すとしており、48%が「利用しづらい」としている。
Covid19危機によって導入された電話診察制度がこのまま残留するだけでなく、これの比率を高めることによって診療所における医師をはじめとした職員の数を減らすことは、そのまま行政の経費削減につながるため、これにより国民の「基本医療サービスを受ける権利」がないがしろにされることに危機感を募らせる専門家も多い。


2022年6月6日(月)

アンダルシア州選挙、PSOEが大きく後退か

PSOEは、中央行政に限らずスペイン全国でその支持率が落ちつつあるが、その後退により、間もなく6月19日に予定されているアンダルシア州選挙においても大きな影響が出ることが予測される。
2018年12月2日に行われたアンダルシア州選挙では、PSOEが投票数の27.9%を、そして全議席数109の内、33議席を獲得した。
これに対し2番目に獲得投票数が多かったPPは20.7%、議席数26にとどまり、そのあとCiudadanosの21議席、少数派左翼連合AAの17議席、VOXの12議席と続いた。
アンダルシアはスペインの民主政治が始まって以来、常に中道左翼政党PSOEの勢力圏となっていた州だったが、この時の選挙で初めてPPとCiudadanosによる中道右翼連立政権が誕生した。
また、この連立政権樹立には極右翼政党VOXとの交渉も不可欠となり、一部の国民の間では極右翼政党の台頭に危機感を感じる者もあった。
しかしその後、PPのフアン・マヌエル・モレノ州知事率いるアンダルシア行政における極右翼の影響が州民の危機感を増大させることは無く、スペイン中央行政を担うPSOEの支持率低下と共に、アンダルシアにおけるPPの支持率が更に増しつつある。

アンダルシア州選挙を約2週間後に控えた今、世論・市場調査会社NC Reportが行なったアンケート調査によると、今回の選挙における各党の予想獲得投票率はPPが35%で第1位(前回は20.7%)となり、これにPSOEの25.9%(前回27.9%)、VOXの15.5%(前回11%)、少数派左翼連合PAの10.0%(左翼連合AAからの離脱派)、少数派左翼連合AAの4.1%(前回16.2%)、Ciudadanosの3.8%(前回18.3%)が続く。
この投票率による各党の獲得議席数はPPが45〜47議席、PSOEが31〜33議席、VOXが17〜18議席、PAが8〜9議席、AAが3〜4議席、Ciudadanosが1〜2議席となり、首位となるPPが前選挙時の26議席から大きく前進し、同じく勢力を伸ばしつつあるVOXの獲得議席数を足すと52〜65議席に達し、過半数55議席を超えることとなる。
極右翼政党VOXの州政府への参加については、PP、PSOE共に望むものでは無いが、単独で過半数議席に達しないPPが政権を得るには、PSOEによる棄権票を得るか、VOXとの連立政権樹立の可能性を探ることとなる。
今回のアンダルシア選挙におけるPSOEの大敗退が予想される中、すでにPSOE内では、党首ペドロ・サンチェス首相の退陣の時期となりつつあるとして、次なる代表の選出の必要性をほのめかす声も聞かれる。

ビルバオ: グラン・ビアのエル・コルテ・イングレス、夏に閉店

スペインの大手百貨店「エル・コルテ・イングレス」は、売り上げの少ない店舗の閉店を進めており、1年前にはすでにバルセロナのフランセスク・マシア、ハエンのリナーレス、ムルシアのエル・ティロなどの店舗をはじめ、8軒が閉店となり、その後、ブルゴスのラ・モネダ通りやビトリア通りの店舗もその営業を終えた。
これらに続いてマドリッドのバグアダ、レガネスのパルケスールの店舗についても閉店が決まっており、その正確な時期は今月中に発表とのこと。
また、ビルバオのグラン・ビア20番地にある店舗もその対象となっており、今年の夏、8月にはその幕を閉じる模様。


2022年6月5日(日)

Covid19規制緩和: スペインへの入国時に必要なものは?

EU諸国では経済活動再開を最優先する政策が取られているところが多く、夏のバカンスシーズンを目前に控えた今、Covid19による多数の死亡者の報告が続いているにも関わらず、感染拡大防止対策として行われて来た様々な規制をほとんど取り除くことにより、人々に積極的に旅行を行なうよう促している。

スペインでも、先月半ば過ぎにEU以外の国からスペインへやって来る旅行者に対するワクチンパスポート(接種完了証明)の提示義務を排除し、第3国からの観光客を呼び込もうとしている。
これら規制緩和を含めたスペイン入国時の最新規定が去る木曜日から施行されており、これによると、まずEU諸国からの移動についてはワクチンパスポートはすでに過去のものとなり、不要になった。
また入国直前のPCR検査や抗原検査などによる陰性証明や、過去6カ月以内に感染して治癒したと言う証明などについての提示義務も無く、事実上、Covid19に関する特別な書類の提示義務は一切存在しなくなってい る。
更に、EU加盟国では無いノルウェイ、スイス、アイスランドなどについても、シェンゲン協定加盟国であることから同様の扱いとなっている。
また、空路や航路によるスペイン入国の際、これまでは出発地情報、スペインでの滞在地情報他、幾つかの情報を記入して提出することが義務付けられていたが、この制度もすでに廃止されている。
唯一、維持されている規制としては、飛行機や船の中でのマスク着用義務であり、これはスペイン国内に入った後も、医療施設や高齢者介護施設などに入館する際には厳守する必要がある。

一方で、EUやシェンゲン加盟国以外の国、例えば日本からスペインへ入国する場合については、ワクチン接種完了証明の提示義務は解除されているものの、直前のPCRや抗原検査による陰性証明の提示義務は維持されている。
また、スペイン入国時には空港や港で検温や体調確認などの簡易健康診断の対象になることもあるとのこと。

なお、これらの措置は状況により変更される可能性があるため、旅行の際は直前に関連機関への確認が必要。


2022年6月3日(金)

Covid19: 若者層の精神状態に強く影響

15歳〜29歳の若者層1500人を対象に行なったアンケート調査によると、Covid19危機が始まって以来、精神状態に異常を感じている若者が急増している。
自殺を考えた事があると答えた人の割合について、この2年間での推移を見ると、25〜29歳の年齢層では変化は無かったが、15〜19歳では2019年には5.5%であったのが2021年には12.3%に、20〜24歳では6.3%から9.2%に急増した。
男女別に見た場合、男性が9.6%、女性が7.8%となり、男性の方により多く見られる。
また、過去1年間に精神的な問題に直面したと答えた人が全体の56.4%に、そして医師より精神障害として診断されたことのある人が36.2%に及んでおり、最も多いのが鬱(45%)や不安障害、パニックまたは恐怖症(43.9%)であった。
精神障害を感じながらも医師に相談しなかった人が全体の49%と半数近くに及んでおり、自己判断で何らかの精神医薬品を使用した例も多く、若者層の「4人に1人」にあたる24.9%がそれらの医薬品を使用したことがあるとのこと。

担保ローン未払いによる差し押さえ、新築物件では57.4%増加

Covid19による経済状況悪化に伴い、住宅ローンの支払いが滞る例が増えているが、今年第1・四半期における差し押さえ件数は3320件に達し、昨年同時期と比べて3.4%の増加、前四半期比較では2.8%の増加となった。
増加傾向はこれで7四半期(21カ月)続いており、新築物件のみに限って見た場合、前年度比57.4%の増加となっている。
また、差し押さえが完了してはいないが、その手続きが開始された件数を見ると、今年第1・四半期だけで7.965件に達している。
差し押さえが完了した物件の内、全体の65.4%が日常生活で自宅として使用されている住居物件であり、14%が法人名義の物件、27%が店舗やガレージ、オフィスなどとして使用されている物件、9.9%が日常生活で自宅として使用されていない住居物件だった。
州別に見た場合、最も差し押さえが多かったのがアンダルシア州で1943件となっており、これにカタルーニャ(1680件)、バレンシア(1452件)が続いた。
逆に少なかったのはラ・リオハ(33件)、ナバーラ(54件)、カンタブリア(56件)などとなっている。


2022年6月2日(木)

海外に住むスペイン人

1900年代初頭、スペインから他国へと仕事を求めて移住する人が多く、特にその動きが目立ったのがガリシアからアルゼンチンへの移住であった。
1900年から1910年にかけての10年間で、ガリシアからアルゼンチンへ移住した人は50万人を超え、アルゼンチンのことを「ガリシア州の第5番目の県」と言った表現が使われるまでに至った。
その後、1950年から1970年頃にかけて再び移住が盛んとなり、アルゼンチンにおけるスペインからの移民人口は120万人を超えていた。

そして近年、アメリカ発の経済危機の勃発と共に、2008年頃から再びスペイン人の海外への移住が目立ち始め、特に若者世代の失業率が高まったことにより、雇用を求めてスペインを出て行く若者が急増した。
海外に住むスペイン人の数は、2009年には1.471.691名だったのに対し、現在は2.742.605名と、この12年ちょっとで約2倍に膨れ上がっている。
スペインを離れたスペイン人は現時点で世界189カ国に居住しており、その中でも最も多いのが歴史的に関係が深い中南米諸国となっている。
現時点で中南米諸国に住むスペイン人の数は1.618.382名で、これに次いで多いのがヨーロッパ諸国で1.019.795名、そしてアジア(48.737名)、アフリカ(30.089名)、オセアニア(25.602名)と続く。
国別で最も多いのは、やはり移民の歴史が古いアルゼンチンで現在でも480.159名が居住しており、スペイン人の海外居住者の約5分の1を占めている。
次に多いのが隣国フランスの290.033名で、これに米国(183.003名)、ドイツ(178.488名)、英国(176.054名)、キューバ(158.960名)、メキシコ(148.421名)、ベネズエラ(140.014名)、ブラジル(135.417名)、スイス(130.276名)と続く。
尚、日本に住むスペイン人の数は3.362名となっている。


2022年6月1日(水)

スペインからEU諸国へ大量にガス輸出

スペインとフランスとの国境に位置するララウ(ナバーラ)、イルン(ギプスコア)には、両国をつなぐガスパイプがあり、ロシアによるウクライナ侵攻が始まるまで、これらのガスパイプは常にスペインへ向けてガスを送るために利用されていた。
しかし、ロシアによる一方的な契約違反(ロシア通貨ルーブルによる支払の強要)によりロシアからEU諸国へのガス供給が途絶え始め、EU諸国が持つガスの蓄えが急減しており、これを補うために今、スペインからフランスへ向け、同パイプを通じて大量のガスが送られている。
大手ガス会社Enagasによると、スペインからフランス経由でEU諸国へ送られているガスの量は、スペインがアルジェリアから輸入しているガス量を上回っており、船による液体ガスの輸出量も289%の増加となっているとのこと。
現時点でスペインが持つガスの蓄えは許容量の66%となっているが、ロシアのガス依存度が高い他のEU諸国ではより深刻な状況となっており、フランスやイタリアでは47%、ドイツでは45%、オランダでは35%にまで落ち込んでいる。

ローラン・ギャロス: ラファ・ナダル、ノバク・ジョコビッチを下して準決勝へ

スペインテニス界の新星、カルロス・アルカラスがアレクサンダー・ズベレフに敗れたあと、大会に残るスペイン人選手はラファ・ナダルのみとなっていたが、昨日行われた試合で、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチを6−2、4−6、6−2、7−6で下し準決勝戦へと進んだ。
このあと準決勝戦では、カルロス・アルカラスに勝利したランキング3位のアレクサンダー・ズベレフとの対戦となる。
ラファ・ナダル選手は明後日、6月3日で36歳となる。


2022年5月31日(火)

金利上昇により住宅ローン月額100ユーロ増

スペインで契約される住宅ローンの多くで変動制金利が適用されており、その基本線となるのは欧州中央銀行が定める欧州公定歩合Euriborとなっているが、ウクライナ危機勃発以降、Euriborが急激な勢いで上昇している。
今年1月には−0.477%であったEuriborが、現時点で0.278%となっており、今後、更に上がり続けることが予測される。
このEuribor急上昇に伴い、変動金利制で組まれた住宅ローンの支払い額に大きな影響が出ている。
例えば30万ユーロ、30年払いのローンの場合、今、金利の見直し時期が重なると、今年1月時点での金利で計算した場合と現時点での金利で計算した場合、ローンの月額に100ユーロの差額が生じることとなり、年間1200ユーロの出費増となる。
この状況は今後も続くと見られ、専門家等は今年末頃にはEuriborが1.3%程度に達すると予測している。

消費者物価指数、再び上昇傾向に

物価の急激な高騰により、今年3月には前年度同時期比較9.8%と、10%に届く勢いに達したが、4月にはこれにブレーキがかかり、8.3%と下降傾向に入ったかに見えた。
しかしながら昨日、国家統計局が示した5月の予想値によると、再び物価上昇に拍車がかかり、8.7%に達する見込みとのこと。
国家統計局は毎月、月末にその月の予想値として先行発表するが、5月分としての最終的な公式発表は6月10日に行われる予定。
5月における物価指数の再上昇は主に燃料費、食品価格、ノンアルコール飲料などの価格高騰がその要因となっている。


2022年5月30日(月)

左翼支持者の多くが前倒し選挙を支持

世論・市場調査会社NC Reportが行なった世論調査によると、「PSOEとPodemosとで成る左翼連立政権による政治は、その任期が終わるまで待たずに前倒し選挙を行なった方が良い」と考える国民の割合が急増している。
最新のアンケート調査では、現政権がこのまま続投すべきであると答えた人の割合が全体の47.1%であったのに対し、前倒しで選挙を行なうべきであると答えた人の割合が45.4%と、両者間の差がほぼ見られなくなった。
そして現政府を解散すべきであると考える人の割合がPSOE、Podemosの支持者の間で高いことが特徴的で、PSOE支持者の場合で61.3%が、Podemos支持者の場合でも62.5%が解散・前倒し選挙を善しとしており、現政府の支持者等が現政府が良好に機能しているとは感じていないことが明白となりつつある。
逆に右翼政党では、前倒し選挙は行わず、現政権にその任期が終わるまで続けさせるべきと答えた人の割合が多く、前倒し選挙を支持した割合はPP支持者の場合で僅か19.4%、Voxの場合で22.2%、Ciudadanosの場合で46.7%にとどまった。

サル痘: マドリッド州政府、PCR検査を開始

スペインにおけるサル痘感染確認数はすでに100名近くに及んでいるが、その多くがマドリッドに集中しており、現時点でマドリッドでの確認数は75名、そして46名が検査の結果待ちとなっている。
そう言った状況下、スペイン中央政府による感染防止対策が不充分であるとして、マドリッド州行政は独自の対策を打ち出しつつある。
その一つが州行政によるPCR検査の実施で、マドリッドにあるラ・パス、エル・グレゴリオ・マラニョン、エル・ラモン・イ・カハル、ドセ・デ・オクトゥブレ、イサベル・センダルなど5つの病院で本日より開始される。
中央政府によるPCR検査も行われてはいるが、マドリッド州行政によると検査後の結果報告を受けるのに72時間を要しているのこと。
州行政は感染拡大を防ぐためには、新規感染者の発見を可能な限り早期に行なう必要があるとして、24時間以内の結果報告を受けられる体制を整えるべきとしている。


2022年5月29日(日)

チャンピオンズリーグ: シベレス広場に5万人以上が集結

昨夜、パリで行われたサッカー・チャンピオンズリーグの決勝戦、リバプール対レアル・マドリッドは0-1でレアル・マドリッドの優勝となった。
これでレアル・マドリッドが持つチャンピオンズリーグの優勝回数は14回となり、 2番目のACミラン(7回)、3番目のバイエルン・ミュンヘン(6回)、リバプール(6回)、 5番目のバルセロナ(5回)などとの差が更に拡大することとなった。
優勝の祝賀関連セレモニーはその全てが本日、日曜日に予定されていたが、 レアル・マドリッドのファン等はそれを待ちきれず、昨夜、優勝が決まりそうに思えた時点、23時半ごろにはすでにマドリッド中心部にあるシベレス広場へ続々と集まり始め、 夜中1時頃には5万人以上の集結が見られた。
アルカラ、レコレトス、プラド、グランビア、カステジャーナなど、広場の周囲の主な道路は全て車両通行止めとなり、有事に備え多数の警官や救急隊員などが配備された。
広場での集結が終わったあとも、マドリッド市内では小グループ単位で明け方まで騒ぎ続けているファン等も多く見られた。


2022年5月28日(土)

チャンピオンズリーグ決勝戦: マドリッド中心部で特別警戒態勢

レアル・マドリッドとリバプールによるサッカー・チャンピオンズリーグ決勝戦が本日21時よりパリで行われるが、これに合わせてスペインの首都マドリッドでも特別警戒態勢が布かれる。
レアル・マドリッドのホームスタジアムであるサンティアゴ・ベルナベウサッカー場にはレアルファン等が集まって観戦出来るように大画面が設置されるが、入場の際は通常の試合時と同様のセキュリティーチェックが行われ、座席指定による入場人数のコントロールが行われる。
試合開始の2時間前にはスタジアム周辺の警備のため403名の国家警察官が配備され、レアル・マドリッドが優勝した場合には翌日曜日の凱旋パレードなどの警備のため、更に459名の出動が予定されている。
また、マドリッド市警察についても本日、明日と、通常の勤務体制として配備される250名の警官に加え、更に1日に200名の補強が行われ、これらを合計すると今日、明日の2日間で計1760名以上の警官による警備態勢が布かれることとなる。

レアル・マドリッドが国内リーグ戦であれ、チャンピオンズリーグであれ、優勝した際にファンと選手が一同に集まって祝う場所は、マドリッド市内中心部にあるシベレス広場と決まっているが、今夜の試合終了後、レアル・マドリッドの選手団がマドリッドの空港に帰着するのは夜中の2時頃になることが予測され、その後、彼等がシベレス広場へ向かう予定は無い。
しかしながら、ファン等がシベレス広場に集結することがほぼ確実であることから、すでに同広場付近では様々な準備が進められている。
また、優勝が決まった場合、広場周辺は車両通行止めとなり、広場へ集まる人々の持ち物チェックなどを行なうため、三重の検問が行われる模様。
選手等の参加による凱旋パレードや式典は日曜日に予定されており、選手等を乗せた専用バスが17時にサンティアゴ・ベルナベウ サッカー場を出発し、アルムデナ大聖堂へと向かい、優勝カップをマドリッドの守護聖母像に捧げる。
そこからマジョール通りを通ってマドリッド州政府のあるソルへと向い、マドリッド州政府で再び優勝カップの献上を行なったあと、サン・ヘロニモ通り、アルフォンソ12世通り、モンタルバン通りを経てマドリッド市行政のあるパラシオ・デ・シベレスに到着。
ここで市へのカップ献上を終えたあと、20時頃、選手等はシベレス広場に赴き、そこで集まったファン等と合流することとなる。
選手等の凱旋パレードはそこではまだ終らず、更にカステジャーナ大通りを北上してサンティアゴ・ベルナベウ サッカー場へと向かい、22時頃からスタジアム内での祝賀式典が行われる。
そこで更に459名の警官が補強され、レベル4(最大から2番目のレベル)の対テロ警戒態勢も布かれることとなる。


2022年5月27日(金)

Covid19: ワクチン接種と肝炎の関係

今月25日から3日間にわたってマドリッドで行われている第47回スペイン肝臓研究協会学会において、Covid19ワクチンと肝炎の因果関係の可能性についての発表があった。
これはスペイン国内9つの病院で25名(平均年齢51歳)を対象に行なった調査に基づくもので、14名がファイザー社ワクチン、4名がモデルナ社ワクチン、5名がアストラゼネカ社ワクチン、2名がジャンセン社ワクチンの接種を受けていた。
これら被験者25名の内、半数以上にあたる13名に肝障害が確認され、また25名中、その70パーセントにあたる17名に自己免疫性肝炎の可能性があることが確認された。
ワクチン接種後、これら肝障害の発症までに要した時間は平均19日とのこと。
肝障害が生じる場合はトランスアミナーゼの数値が高まることが確認されているため、ワクチン接種の後、同数値の観察が必要であるとしている。
この調査結果は、Hepatology Journalによって報告されたばかりの18か国、87名の被験者を対象に行われた調査結果内容と概ね一致しているが、ワクチン接種後、肝障害が確認されるまでに要した日数は平均15日と報告されている。


2022年5月26日(木)

清涼飲料の糖分を10%減量

昨日、スペイン清涼飲料協会はスペインで販売されている清涼飲料について、それに含まれる糖分量を2025年までに10%減らすことを発表した。
すでに2005年〜2020年の間にかけて43%の減糖が行われており、今回の更なる10%の減糖により、計53%の糖分が減らされることとなる。
また、特に子供達の健康を守るため、13歳未満の子供を対象とした清涼飲料の宣伝や小学校内での通常販売を行なわないことや、販売する場合は唯一、メーカーのロゴや宣伝画像の無い自動販売機による低カロリー、或はカロリー無しの飲料のみとすることなども組み込まれている。
また地球環境保護についても触れており、2025年までには市販清涼飲料に使用される容器はその100%がリサイクル可能なものとなり、容器製造に使用される材料の50%が再利用素材となる。

サル痘: スペイン、EUによる天然痘ワクチン共同購入に参加

サル痘の感染が広がる中、EU諸国内ではすでに天然痘ワクチンの使用を開始している国々があるが、スペインではマドリッド州行政をはじめ、複数の州行政からの要求があるにも関わらず、ワクチン発注の決断を下さずにいた。
しかし、昨日のスペイン全国健康会議の中でも各州行政からの強い要請があり、中央政府はようやくその重い腰をあげることとなった。
サル痘については現在、それように開発されたワクチンは存在しないが、従来の天然痘ワクチンによる効果が85%まで期待されることが確認されている。
EUでは必要に応じて加入国に配分する目的で共同購入を行なうが、スペイン中央政府はこれに参加することを決定。
今後EUを通じて、世界で唯一、天然痘ワクチンの製造を続けているデンマークのBavarian Nordic社のImvanexワクチンが入荷することとなるが、その入荷時期も、入荷量についても詳細は不明となっている。
マドリッド州政府は、こう言った中央政府の対応の遅さを批判すると共に、州政府独自の対応として今週末よりマドリッドの4つの病院においてサル痘のPCR検査を開始することを発表した。


2022年5月25日(水)

サル痘: 40歳未満のワクチン接種は無し

中央政府は昨日、40歳未満を対象とした対天然痘ワクチン接種は現時点では行わないことを発表した。
天然痘ワクチンはサル痘に対しても85%の効果があるとされており、スペインを含む世界の多くの国々では、1980年頃までその接種が行われていた。
その後、天然痘ウィルスの絶滅に伴い接種の必要性が無くなったことにより、1980年以降に生まれた人々については無接種となっている。
今回、サル痘の感染拡大により、1980年生まれ以後の全世代について天然痘ワクチンを適用するべきかどうかについて検討されていたが、現時点ではまだその必要性は認められないとの判断に至った模様。

スペインにおけるアニサキス被害

スペインも魚介類の食文化が豊かな国の一つだが、同時にアニサキスによる被害も多く見られる。
ビゴにある海洋研究所によると、スペインにおけるアニサキス被害件数は年間8千件以上にのぼっている。
消費者協会OCUの調査によると、スペインで販売されている魚の約36%がアニサキスを有しており、特にその割合が高いのがカンタブリア海で獲れた魚であるとのこと。
スペインで食される魚の中でアニサキスに汚染されている率が最も高いのがメルルーサで全体の96%に達しており、これに鯖(87%)、鯵(67%)、プタスダラ(62%)などが続く。


2022年5月24日(火)

元国王、スペイン訪問を終えアブダビへ

去る週末、2020年8月よりアブダビに居を移しているフアン・カルロス元国王がスペインを訪問した。
元国王によるスペイン上陸は、彼の移住後、今回が初めてであった。
スペイン国民の一部の間で王室に対する批判の声が高まる中、今回の元国王によるスペイン訪問は王室の公式な活動とは無縁の、あくまでも私的なものであるとされ、フェリペ6世現国王の公務予定表にも同件については何ら記載はなかった。
王室としては、元国王が一人のスペイン国民としてその家族や友人等に会いにやって来ると言う、それだけの「目立たない出来事」であって欲しいと言うのが本音だったと思われるが、実際にはガリシアのビゴの空港にプライベートジェット機を利用した元国王が到着したその瞬間から、外国籍の記者を含む多数の報道陣にその行動の一部始終を追いかけられると言った状況となり、スペイン滞在中の数日間、毎日のトップニュースの一つとなっていた。

元国王は脱税や隠し資産の所有など、複数の提訴の対象となったが、それら全ての調査が終わり事実上無罪となったことから、今回のスペイン初訪問実現への流れとなっていたものであるが、幾つかの政党からは「国民は最高裁の発表には納得しておらず、元国王自身による説明と謝罪を求めている」として、今回のスペイン滞在を利用した記者会見を要求する声が高まっていた。
王室への厳しい追及は主にカタルーニャやバスクに独立派政党に見られるが、PSOEと現連立政権を組むPODEMOSからの王室批判の声も強い。
PODEMOSはその成立当時より王室の存続そのものを非難しており、常に王室への攻撃的発言を行なっているが、PSOEは、その件についてはPODEMOSと一線を引き、王室への直接的な批判を避ける姿勢を維持してきた。
しかし、今回の元国王の一時帰国に際し、反王制派政党による王室への不満が高まりを見せ、PSOEによる王室批判も強まりつつある。
PSOEにとって現政権を維持するための命綱となっているのが独立派政党、そして反王制派政党のPODEMOSによる協力であることから、今後もPSOEが見せる政治的、社会的ポリシーには、一貫性を伴わない「その場しのぎ」的な変化が続く事が予測される。

マドリッド州行政、中央政府にサル痘ワクチン使用認可を要請

現在、感染が広がりつつあるサル痘は、すでに世界十数カ国で感染が確認されているが、感染者総数の40%以上をスペインが占めており、また、そのほとんどがマドリッド州に集中している。
マドリッド州行政はこの状況を受け、先週木曜日に早急なるワクチンの導入を中央政府に対し申請しているが、未だそれに対する中央政府からの返答が無い状態が続いている。
現在、このワクチンの在庫はスペインには無く、使用するためにはスペイン政府管轄下にある医薬品・医療品庁を通じて取り寄せる必要があり、地方行政の権限だけでは行なう事は出来ないため、マドリッド州行政は中央政府に対し迅速な対応の必要性を重ねて要求している。


2022年5月23日(月)

住居不法占拠、増加の一途

スペインでは、夏のバカンスシーズンなどに休暇を利用して1週間、2週間と言った単位で外出する人が多く見られるが、留守宅を外部からの侵入者によって占拠され、自宅に戻れなくなってしまうと言うケースが頻繁に起きている。
また、空き家となっている物件についても同様で、一旦、占拠されると、侵入者を合法的に追い出すには時間がかかり、また、全ての手続きを経て取り戻した時には、家に置いてあった様々な財産は使い果たされ、家具や家電製品なども手荒い扱いにより使用不可となっていることが多い。
全ての国民が「正当な住居を持つ権利がある」とする政治的主張は、ポプリズム政党が唱える典型的なものの一つと言えるが、PSOE−PODEMOSの連立による現政権においても、特にPODEMOSが同主張をポリシーとしてかかげ、住居不法占拠に対する寛容策が取られて来たことにより、必然的に同種のトラブルが増加している。
PPによる前政権時代を見ると、2015年から2018年までの間に不法占拠数は年間10.377件から12.214件へと、4年間で17%程度の増加であった。
これに比べてPSOE−PODEMOSの連立政権下では、2020年度の不法占拠数は17.274件に達しており、2019年度から僅か1年で18.14%増加した。

昨年、2021年度において住居不法占拠の増加率が最も大きかった州はラ・リオハであり、前年度比272%増に達した。
これに続いたのがアストゥリアス(132.35%増)、ムルシア(82.02%増)、バレアレス(78.59%増)、バレンシア(63.06%増)などの各州で、更に自治都市セウタでも171.42%増、メリージャで63.63%増となった。
逆に増加率が低かったのはカナリアスで7.47%のマイナス、そしてアンダルシアが0.86%増、ナバーラが1.70%増にとどまった。
増加率ではなく、不法占拠数の絶対数で見た場合、最も多かったのがカタルーニャで、7.345件と群を抜いた数字となっており、これにアンダルシア(2.557件)、バレンシア(1.779件)、マドリッド(1.660件)が続いた。

ヨーロッパ最大の人工ビーチまでマドリッドから車で30分

マドリッド市から約50キロ、車で約30分のところに、ヨーロッパ最大規模の人工ビーチの建設計画が進められている。
建設予定となっているのは、カスティージャ・ラ・マンチャ州のグアダラハラ県にある、人口1万2千〜1万3千人程度のアロベラ市で、マドリッドで働く人々の衛星都市となっている。
建設用地としてアロベラ市が提供する土地は10万5000平方メートルで、完成予想図によると水面の面積が25.000平方メートル、そしてこれを取り巻く砂浜の面積が15.000平方メートルを占めることとなる。
各種ウォータースポーツの学校なども設置され、夏場だけ運営されるプールなどとは違い、1年を通しての運営が行われるとのこと。
建設の初期予算は1.560万ユーロとされており、順調に進めば来年には営業開始となる模様。

サル痘、40人の陽性確認、55人が結果待ち

スペインにおけるサル痘感染は拡大を続けており、昨日時点で陽性が確認された人が40名、検査の結果待ちとなっている人が55名となっていた。
世界14カ国で感染が確認されているが、その中でも陽性確認数はスペインが最多となっており全体の40%を占めている。
スペイン国内では、サウナ・ゲイ・パラダイスの利用者を中心に感染が広がったマドリッドに集中しており、39名の感染が確認済み、40名が検査結果待ちとなっている。
マドリッド以外ではアンダルシアで1名の感染が確認され、6名が検査結果待ちとなっており、カナリアスで2名が結果待ち、ラ・マンチャで2名が結果待ち、エクストレマドゥーラ、ガリシア、アラゴン、バスク、カタルーニャでそれぞれ1名が結果待ちとなっている。
感染経路として主流となっているのが身体の直接的な接触であることから、保健省では、日常的に頻繁に異なる相手と性行為を行なう人々全体に対し、症状らしきものが見られたらすぐに病院へ相談に行くよう呼びかけている。


2022年5月21日(土)

住居事情: 賃貸物件不足により賃貸料高騰

新型コロナ危機と共に観光客が激減したことにより、それまで民泊として運用していた不動産物件を一般の賃貸物件として転用する例が増え、賃貸用物件数が急増した。
また感染拡大防止のための様々な行動規制により、学生や会社員等による自宅からのオン・ライン受講やテレワークが増えた事に伴う賃貸物件の解約が増加したことにより、借主を獲得するための賃貸料値下げ傾向が続いた。
ところが、表面的ではあるにせよCovid19危機が終ったかのごとく社会が動き始めた現在、スペインにおける賃貸物件の値段に大きな変化が起きている。
ヨーロッパ人を中心とした観光客がCovid19危機以前の状態に戻りつつあることから、一時的に一般賃貸物件として利用していたものを再び観光客用の民泊に戻す家主が増えた。
また、通常登校や通常出勤に戻った学生や会社員などによる賃貸物件の需要が増えたことにより、賃貸用マンションの需要と供給のバランスが一気に崩れ、賃貸物件が大きく不足する事態を招くこととなった。
また、これに伴い賃貸料金が大きく値上がりしており、スペイン国住民の家計を圧迫している。

大手不動産会社であるFotocasaやIdealistaなどによると、今年第1・四半期には賃貸用物件の供給が全国平均37%減となり、バルセロナでは58%減、セビージャやマラガで50%減、ラス・パルマスで49%減、バレンシアやタラゴナで47%減となったとのこと。
賃貸料は今年4月時点で前年度同時期比較4.7%増(全国平均)となっているが、アリカンテでは21.7%増、セゴビアで19.5%増、バルセロナで18%増、マラガで15%増に達している(Fotocasa調べ)。
賃貸料値上がりによる家計への圧迫は深刻化しており、Idearista調べによると、今年3月現在、同問題が最も悪化しているのがバルセロナで、一般家庭の収入の内、47.6%が家賃に充てられているとのこと。
2021年3月にはその比率が33.2%となっていたことから、この1年で急速に悪化したことが見て取れる。
バルセロナに続いて深刻化が進んでいるのがセゴビア(27.8%から33.9%へ)、パルマ(22%から27%へ)、ウエルバ(27.4%から32.2%へ)、バレンシア(26.2%から30.8%へ)、マドリッド(33.2%から37.8%へ)など。

一般的な指針として、家賃は収入の30%未満に抑えるべきとされているが、労働組合CCOOの調べによると、スペインでは賃貸物件に住む人の約41%にあたる300万世帯が収入の30%を超える家賃を払っており、更にその中の140万世帯では、家賃が収入の50%を上回っているとのこと。
また、同労働組合調べによると、収入の30%以上にあたる家賃によって家計を圧迫されている世帯の比率が最も高いのはバスク州で賃貸生活者の65%に達しており、これにカナリアス州(60%)、マドリッド州(56%)、アストゥリアス州(53%)が続く。
逆にこの比率が低いのがエクストレマドゥーラ州(16%)、カスティージャ・イ・レオン州(17%)、カンタブリア州(20%)、アラゴン州(21%)、ムルシア州(24%)などとなっている。


2022年5月19日(木)

サル痘、7人の感染を確認

昨夜、マドリッド州において7人がサル痘に感染していたことが確認され、現時点で残り22名が検査の結果待ちとなっている。
今月6日にイギリスで最初に確認された感染者はナイジェリアから帰国したばかりの人物だったが、その後、ナイジェリアへの渡航歴の無い人々の間で感染が確認され、数日後にはすでにイギリス国内での感染拡大が始まっていることが報告された。
続いて今週月曜日にはポルトガルで3名の陽性が確認され、15名が検査結果待ちとなっているとの発表があったことを受け、スペインでも緊張感が広まったが、その翌日、火曜日にはマドリッド州で感染の疑いがある患者が8名あるとの発表があり、その後、一気に30名近くに増えた。
今回、スペインで確認されている感染者は全員が同性愛の男性で、感染は性行為を通じて生じた可能性が高いとされている。
しかし、現時点で感染の疑いがある人々の全員が同じ友好関係にある訳では無いことから、感染の震源地が複数個所に分かれていることが予想されるため、保健省では特に同性愛の男性に対し、発熱や発疹などの症状があれば、すぐに医師に連絡するよう警告している。
感染が確認された人、確認待ちの人については、現時点で重症化している人は無く、全員が自宅での隔離療養を行なっていると同時に、彼等との濃厚接触者の確認が進められている。

カナリアス州の観光業、Covid19前のレベルに

Covid19危機によって長期に渡って深刻な打撃を受けたスペインの観光業だが、今年4月には外人観光客数にも顕著な回復が見られた。
セマナ・サンタ休暇があった4月にスペインの国際空港経由で入国した外人観光客の数は6.963.964名と、約700万人に達したが、これは新型コロナ危機が始まる前の年、2019年4月時集計の85%に相当する。
今年1月から4月までの4カ月間では1.870万人の外人観光客を受け入れており、昨年同時期と比較すると約7倍にまで回復しているが、2019年同時期と比べればまだ26.1%少ない状況となっている。
これら外人旅行の回復が最も目立ったのがカナリアス州で、4月の国際線航空機を利用してやって来た外人観光客数は1.110.216名で、2019年同時期より僅か0.2%減にまで漕ぎつけた。
続いてバレアレス州でも1.139.613名が国際線航空機経由で到着しており、2019年同時期比較96.8%の回復となった。

これら外人観光の58.4%を占めているのがヨーロッパからの客となっているが、国籍別で見た場合、最も多いのはイギリス人で1.601.009名(全体の23%)、そしてこれにドイツ人1.121.843名(16.1%)、フランス人597.070名(8.6%)、イタリア人596.349名(8.6%)と続いた。
尚、これらの数字は国際線航空機を利用して到着した人々のみをまとめたものであるため、フランスやポルトガルなど隣接している国々からの陸路による多数の入国者は反映されていない。


2022年5月18日(水)

公共赤字、1兆4500億ユーロに

今年3月におけるスペインの総公共赤字額は、国内総生産額の117.7%にあたる1兆4.539億4.800万ユーロとなり、過去最大値を記録した。
赤字総額はCovid19危機勃発直後の急増期を終えたあとも増え続けており、前月の2月と比較しても123億8.100万ユーロの増加、前年度同時期比較では608億7500万ユーロの増加(+4.4%)となった。
これら公共赤字の内、その多くは国家財政赤字が占めており、その総額は1兆2.700億ユーロで前月比120億6.800万ユーロ増、前年度同時期比較5.3%増となっている。
Covid19危機による大きな影響を受けた国民保険制度における赤字も増大しており、前年度同時期比較991億8.700万ユーロ増(16.2%増)となった。
また、地方行政の赤字については前年度同時期と比べて3.100億ユーロ増(0.7%贈)、前月比では僅か800万ユーロ増と落ち着きを見せており、3月における公共赤字総額の大きな増加の主因が中央政府管轄下の国家財政にあることが判る。

バルのテラス席、95%が高レベルのニコチンで汚染

スペイン癌協会の癌予防コーディネーター、セバスティアン・デル・ブスト氏によると、スペインにおけるタバコを原因とした死亡者数は年間5万人以上にのぼる。
喫煙者人口が占める比率は全体の22%程度であり、残りの78%が非喫煙者であるにも関わらず、バルのテラス席ではその95%において、人体に害を与えるに充分な濃度のニコチンが検出されるとのこと。
特に心配されるのが子供達の健康で、こう言ったテラス席の悪環境の中で過ごすことにより、子供達が将来的に肺癌を患う可能性は数倍にも増加し、聴力障害が生じる可能性は50%、呼吸器障害の可能性が30%、喘息症状を起こす可能性は20%増加すると指摘している。
スペイン国内でも各州によってタバコの喫煙規制にはばらつきがあり、癌協会によると子供達の80%がタバコの副流煙による汚染にさらされており、その内の43%がバスのテラス席なども含めた屋外の公共スペースとなっているとのこと。
世界でタバコによる死亡者が年間800万人ある内、100万人が非喫煙者であり、副流煙が原因となっていることを忘れてはならず、同協会はテラス席、プール、ビーチ、スポーツ施設など、屋内だけでなく屋外における公共スペースでの喫煙規制についての早急な法改正を求めている。 


2022年5月17日(火)

5月に記録的な猛暑

今年最初の熱波到来により、全国的な高気温が今週いっぱい続くと予測されており、5月としては過去に例をみない暑さとなる可能性が高いとのこと。
今日の最高気温はグラナダやレリダなどで35度程度に達する見込みで、全国各地で例年平均を5〜10度上回る模様。
また、気温は週末に向けて上昇を続け、明日には例年平均より15度高くなるところもあり、ビルバオで35度、サラゴサで37度、コルドバで38度、その他グアダルキビール川流域で40度と言った高気温が予想されている。
更に土曜日には本土内陸部で36〜40度、グアダルキビール川流域で40〜44度と今回のピークに達するが、日曜日には本土内陸部、西部などで暑さが和らぎ始めるとのこと。
気象局では季節外れの猛暑への警戒を呼び掛けている。

スペイン、EU内で3番目に結婚が少ない国

EU統計局による昨日の発表によると、スペインで2020年度に登録された婚姻数は国民1000人あたり1.9件であり、スペインはEU諸国内で3番目に婚姻数が少ない国となった。
スペインよりも更に少なかったのはイタリアで国民1000人あたり1.6件、そして2番目に少なかったのがポルトガルで1.8件だった。
2020年はCovid19の影響を受け、EU諸国全体で婚姻登録数の大きな減少が見られたこともあるが、1964年から比べると、1000人あたりの登録数が8件から3.2件へと半数以下に減っている。
また、離婚届件数については増加傾向にあり、1964年には1000人あたり0.8件であったのに対し、2020年は1.6件と2倍に達しているが、1.9件に達した2010年以降、減少傾向が続いている。

スペインで最も過疎化が進む地方は?

大都市への人口集中が進むのと同時に、各地方の小村の過疎化が深刻化している。
2000年にはスペイン全国に存在していた8104の市町村の内、その人口が100人に満たないところの数が493か所となっていたが、国家統計局が持つ最新情報では、8131の市町村がある内、人口100名未満のところが1344か所まで増えているとのこと。
これによりマドリッド市(34万人増)やバルセロナ市(13万人増)と言った大都市の人口が増える一方で、人口100人未満の村が全体に占める割合が6.08%から16.52%へと急増しているのが判る。
現時点で人口100名未満の村を有する県は32県あり、逆にそう言った過疎化が進む村を持たない県はアラバ、アストゥリアス、バレアレス、ビスカヤ、カディス、コルドバ、ラ・コルーニャ、ギプスコア、グラナダ、ハエン、ルゴ、マラガ、ムルシア、オレンセ、ラス・パルマス、ポンテベドラ、サンタ・クルス・デ・テネリフェなど計18県となっている。
100名未満の村を持つ32県の内、そう言った村を最多数持つ県がグアダラハラで、過疎化が進む村が174箇所に達しており、これにブルゴス(161)、ソリア(115)、アビラ(95)、テルエル(93)、サラゴサ(83)、サラマンカ(83)、セゴビア(77)、クエンカ(76)、パレンシア(76)と続き、スペインにおける過疎化がカスティージャ・イ・レオン州、カスティージャ・ラ・マンチャ州、アラゴン州に集中しているのが判る。


2022年5月16日(月)

ドン・フアン・カルロス元国王、5月21日に2年弱ぶりの帰国

スペインの元国王ドン・フアン・カルロス1世は、脱税や隠し資産の所有など、複数の提訴の対象となり、スペインにおける王室への社会的非難の増大を避けるなどの目的から、2020年8月3日以降、アラブ首長国連邦のアブダビへ居を移していた。
その後、これまでにスペインへ入国したことは無く、また、現国王フェリペ6世がアブダビへ彼に会いに行ったことも無かった。
元国王に対する提訴で、最後まで続いていたものが3件あったが、その全てについてスペインの最高裁が終了発表を行なったことにより、彼の帰国の噂が流れていた。
その後、元国王から現国王へ届いた書簡に、今後もアブダビでの生活を続けるが、旅行としてスペインを訪問したいとの旨が記されており、1年と9カ月振りとなる帰国の予定が決まった模様。
予定としては、今月21日、22日の週末をガリシア州ポンテベドラ県のサンセンソで過ごしたあと、マドリッドのサルスエラ宮へ移動するが、王室の公式な住居に宿泊することは無いとのこと。


2022年5月13日(金)

RENFE、高速道路の有料化拡大を提案

スペイン国鉄RENFEにとって、最大の収益を生んでいる看板商品は、1992年に運行を開始した高速列車AVEによるサービスだが、これによる売り上げが近年、大きな落ち込みを見せている。
その主な原因としては、国鉄サービスの一部自由化で、他の企業が高速列車サービスに参入したことにより、RENFEの独占市場では無くなったことが挙げられる。
また、売り上げだけでなく、収益に対して大きな影響を与えているのが電気料金の急激な高騰で、経費の中で電気料金が占める割合が高騰前には7%程度だったものが、現時点では20%に達しており、激しく変化する電気料金をそのまま鉄道運賃の値上げとして随時反映させることは不可能であるとしている。

こう言った状況下でRENFEは、スペイン国内の高速道路の有料化を拡大することを提唱している。
そうすることによって自家用車での移動を減らし、国鉄利用を促進することによって、自然環境破壊を抑制する効果も得られると指摘。
RENFE社長を務めるイサイアス・タボアス氏は、1キロメートルあたり僅か2センティモの通行料を設定するだけで効果は得られるとし、マドリッドーバレンシア間の高速道路有料化についての例を挙げた。
同氏によると、マドリッドーバレンシア間の高速道路利用について、例えば5ユーロの通行料金を課すことによってその利用者は減少し、結果として年間13.000トンのCO2の発生を防ぐことが出来るとしている。
「5ユーロと言う通行料は果たして高すぎるだろうか? 私には判らないが、少なくとも社会はこの提案について討論を行なうべきだと思うが、、、」と、同氏は語る。

ダリによる作品、40年以上ぶりに発見

サルバドール・ダリが1979年に制作した蝋を使った彫刻作品、「聖十字架のヨハネのキリスト像」は、その姿を消して43年が経過していた。
その模造品は多数存在するが、専門家等はすでに原作は存在しないものと結論付けていた。
ところが、ハワイの美術品収集家がこれを所有していたことが判明した。
彼が持つある書物を譲り受けようと、その家を訪問したHarte International Galleriesは、その半地下にあったガレージでダリのオリジナル作品を発見することとなった。
作品はダリ本人がその保管のために使ったプレキシガラスのケースに入っており、40年以上経った今も完全な保存状態にあるとのこと。
思わぬ場所での発見に至ったこの作品は、美術品の世界では「失われた蝋」として知られていたもので、Harte International Galleriesが買い取ったとのこと。
値段は1000万〜2000万ドルと思われる。


2022年5月12日(木)

16歳以上の妊娠中絶、親の同意は不要に

政府は、来週の閣僚会議で中絶法改正案の可決を予定している。
改正案の主要点の一つに、人工中絶の判断を下す場合の年令引き下げがあるが、これが18歳以上から16歳以上へと変更される。
これまで、親権者の同意無しで妊婦本人の意思で人工中絶の判断を下すためには18歳以上である必要があったが、今回の改正後は16歳、17歳であってもこれが可能となる。
人工中絶手術は公共医療サービスだけでなく、予め同手術を請け負う旨を行政に登録していれば、私設病院であってもこれを行なう事が出来るようになるとのこと。
更にこれまでは、人工中絶手術を受けるにあたり、その決断をする前に、妊婦本人が有する権利、出産を支援するための公的援助などについて詳しい情報を得ていること、そしてそれらの説明を受けたあと、改めて熟考する時間として手術までに3日間以上の猶予を置く事が義務付けられていたが、この「3日間の熟考期間義務」も廃止とな り、説明を受けた直後の手術も可能になる模様。
また、政府は倫理的、宗教的などの理由で人工中絶に反対する医師であっても、依頼があればこれを行なうべきとしたが、これに対し、スペインの医師会から「倫理的価値観は医師の個人的権利であり、これに基づく個々の判断は保障されるべきである」との強い反発があったことから、政府は人工中絶に反対する医師のリストを作成し、それ以外の医師で中絶手術の充実を図るとしている。

これら中絶の問題以外にも、今回の改正案には様々な事項が含まれており、その中には生理用品やおむつなどの税率引き下げや、重度の生理痛による病気休暇申請の権利なども含まれる。


2022年5月11日(水)

ペガサス スパイ行為: 国家情報局長を解任

スパイウェア、ペガサスを使った、スペインの政治家を対象とした携帯端末の大規模ハッキングによる政治危機が続いている。
ペガサスによる攻撃はカタルーニャやバスクの独立主義政党所属の政治家だけでなく、首相や大臣など中央政府の主要メンバーにも及んでいるが、カタルーニャ独立主義政党所属政治家を対象とした攻撃については、その一部をスペイン政府の防衛省管轄下にある国家情報局が行なっていたことが国家機密会議の中で明らかとなり、同会議に出席していた独立派政党議員による「機密会議内容の違法公開」により、会議内容の詳細まで全国民が知る所となった。
独立派政党所属政治家への国家情報局によるスパイ行為について、これまで政府が行なって来た説明で納得した政党は無く、独立派政党は防衛大臣の辞任、或は解任を要求しているが、サンチェス首相率いる政府はこれを避けると共に、その代償として昨日、国家情報局の局長であるパス・エステバン氏の解任を発表した。
これにて、ハッキング行為の責任を全面的に国家情報局のトップに押し付けた形となった。
政府は、国家情報局が最高裁からの命令でやったことであり、政府はこれについて何ら関知するものでは無かったとしているが、最高裁が単独でスパイ行為による捜査を命じる事や、国家情報局の局長がその独断で政治家へのスパイ行為の決断、実行を行なうと言ったことがあり得ると考える者は、政治家にも一般国民にも無く、これまでの政府による説明に納得する政党は一つも存在しない。
また、昨日の情報局長解任が独立主義政党の「ご機嫌とり目的」で行われたことは誰もが想像できることだが、独立主義政党がこの「ご機嫌とり」で満足するはずもなく、引き続き、防衛大臣の解任を要求している。

今回、政府の責任を押し付けられる形で解任となったパス・エステバン国家情報局長は同職にあって40年間、スペイン国家の安全を情報面から担って来た大ベテランであり、彼女の解任については、政党の違いとは無関係に避難の声が挙がっている。
また、情報局がもたらす情報によって国家防衛活動を続けて来た軍隊や治安警備隊などからも、政府に対する批判の声が聞かれる。
局長解任は国家情報局をその管轄下に置くロブレス防衛大臣によって発表されたが、大臣は「解任」と言った表現はとらず「交代」と述べ、その後任として、長年、自らの片腕として最大の信頼をおいてきたエスペランサ・カステレイロ氏を任命した。


2022年5月10日(火)

ガソリンスタンド、更に経営難

ガソリンやディーゼルの高騰による経済への悪影響を抑えるために政府が開始した特別支援(リッターあたり20センティモの援助)は、運送業界における急激な経費拡大を緩和するのには役立っているが、同時に多くのガソリンスタンドを運営危機に追いやっている。
スペインにあるガソリンスタンドの69.5%が中小企業による運営となっているが、約3700軒が小規模な自営業として運営されており、これら小規模経営のスタンドでは、長く続いたコロナ危機による各種行動規制の影響で売り上げが激減し、苦しい時期を過ごして来たことも影響し、経営状態が悪化しているところが多い。
そこへ追い打ちをかけるように始まったのが今回の政府による燃料費特別支援政策で、給油にやって来る利用者への政府による支援分を、その都度ガソリンスタンドが立て替える形で割引することが義務付けらており、この建て替えが、小規模営業のスタンドにとっては経済的な負担が大き過ぎ、継続不能な状態に陥りつつある。

ガソリンスタンド連盟によると、年間100万リットルのガソリンやディーゼルを販売する「地方の平均的なガソリンスタンド」の場合で、1カ月につき16.666ユーロの建て替えを行なわなければならず、これはつまり毎月、年間収益45.000ユーロの3分の1に当たる金額を建て替えなければならないことになると言う。
政府は、同政策を開始した4月については、各ガソリンスタンドの経済的負担を軽減するために予想販売量に合わせた割引分の先払いを行なったが、予想販売量の計算がコロナ危機で車による外出が極端に少なかった前年度の売り上げ額を基本にして行なわれたため、今年の売り上げとは似ても似つかぬものとなり、その結果として先払いとして支給されたのは、実際の立替額の50%にしか満たなかったとのこと。
そして5月以降、政府による先払い制度は廃止となり、100%各ガソリンスタンドによる立て替えとなったうえに、各月の立て替え分は翌月15日までに返金申請を行ない、行政が持つ返金猶予期間(申請期日の翌16日以降、30日間)を待たなければならない。
更には、申請を終えたあと30日間を過ぎても返金が無い場合、何等かの理由で申請が却下されたと解釈されるため、その月の立て替え分を取り戻せるのがいつになるか判らないとのこと。
ガソリンスタンド連盟は、こう言った状況では営業不能に陥る小規模スタンドが急増し、ガソリンスタンドが姿を消す小村が増える可能性が高く、これを防ぐためには、政府による先払い制度を復活させるか、そうでなければ金利ゼロによる貸し出し制度を立ち上げることを要求している。

ジョビウ ウィルス(LLOV)取り出しに成功

ジョビウ ウィルス(LLOV)は、2002年にスペイン、アストゥリアスのジョビオにある洞窟で大量死していたコウモリのRNA(リボ核酸)から始めて発見されたが、今回、初めてこのウィルスを取り出す事に成功した。
ジョビウはエボラ ウィルスと同じくフィロウィルスに属するものだが、エボラがこれまでアフリカだけで発見されているのに対し、ジョビウは現時点ではヨーロッパのみで確認されており、アストゥリアスでの発見のあと、ハンガリーでも同種のコウモリから確認されている。
これまでの研究でジョビウは人への強い感染力を有し、人体の細胞内で増殖することが確認されているが、ジョビウとエボラ、両ウィルス間での抗体の交差反応性は無いことが判っており、人への感染が広がった場合、現存の対エボラ・ワクチンを利用することは不可能とされており、専門家等はジョビウに対するワクチンの開発が急務であるとしている。


2022年5月9日(月)

インフレにより無印商品の売り上げ急増

エネルギー費全般の高騰やウクライナにおける戦争による様々な食品の値上がりに伴い、スペイン国民の家計への圧迫が急速に進みつつある。
今年第1・四半期が終わった時点での消費者物価指数を見ると、全体としては9.8%のプラス、食品や日用雑貨など日常の買い物では6.8%のプラスとなっている中、レストランやバルでの値段は3.6%のプラスに抑えられている。
飲食業界では、肉、魚、野菜、果物、牛乳、油、小麦粉、卵など、サービスを提供するのに不可欠となる食材のほとんどが値上がりしていることから、利用者への販売価格の値上げの検討を余儀なくされており、多くの店では、これまで仕入れていた食材をブランド品から無印商品に変えたり、ランチメニューの内容を変更、工夫するなどして値上げを最小限に抑えるよう努力しているが、すでに飲食業全体の69.8%が何等かの値上げを行なっている。
また、食糧品スーパーも安売り製品を探し求める消費者の増加を強く実感しており、3割〜5割引きの大幅な値引き商品の継続的な維持や、大手スーパーチェーンの場合では一般の食料品メーカーのラベル付き商品ではなく、より安値で販売できる自社印の商品の充実に力を注いでいる。

Covid19: スペイン、平均寿命ランキング脱落

スペインにおける平均寿命は、1999年から2019年までの20年間に渡って伸び続け、女性の場合で3.9年、男性の場合で4.5年のプラスとなり、全世界における長寿大国の一つとなっていた。
しかしながら2020年、新型コロナ危機が始まり、最初の非常事態宣言が出された3月だけで、死亡者数は例年の年間死亡者数の80.8%増しとなり、スペインの平均寿命は大きく後退することとなった。
Covid19による平均寿命への影響がヨーロッパで最も大きかったのがスペイン、ベルギー、ブルガリアで、2020年には1.3年のマイナスとなり、これにポーランド、イタリア、ルーマニアの1.2年減が続いた。

スペインを例にとると、2019年の平均寿命が83.6歳であったのに対し、2020年には82.3歳(女性:85歳強、男性:79歳)へと21年ぶりの後退となった。
更に細かく見ると、ヨーロッパでも最も平均寿命への影響が目立ったのがマドリッド州で、2019年度比較3.5年減となり、男女平均で2019年には85.8歳だったのが2020年には82.3歳まで下がった。
マドリッドに続いて大きな影響が出たのがカスティージャ・ラ・マンチャ州、そしてヨーロッパ内で最初の感染拡大拠点となったイタリアのロンバルディア州で、共に2.8年のマイナスとなった。


2022年5月7日(土)

マドリッド、サラマンカ地区でガス爆発

昨日の午後1時頃、マドリッドの中心部にあるサラマンカ地区で大きな爆発があった。
付近の住民による「強いガスの匂いがした」との証言から、ガス漏れによる事故の可能性が高いとして調査が進められている。
爆発があったのはヘネラル・パルディーニャス通り35番地、アジャラ通りとの角地にあたる建物で、周囲には商店やバル、レストランも多く、また、アジャラ通りを挟んで正面には幼稚園から高等教育までを行なっているピラールの聖母学校もある。
事故による怪我人は約20名で、内1名が重症。
また、死亡者が2名確認されている。
爆発があった建物では、改装工事を行なっている階もあったとのこと。
通りを挟んで隣接する学校では、爆発音の直後、全生徒を建物内に避難させており、被害にあった生徒はいないとのこと。


2022年5月6日(金)

ペガサス スパイ行為: 国家情報局、18名に対するスパイ行為を認める

昨日行われた国家機密会議には、これまでで初めて独立派政党所属の議員等の姿が見られた。
初参加となったのはカタルーニャ独立派政党ERC所属のガブリエル・ルフィアン議員、同じくカタルーニャ独立派政党Junts所属のミリアン・ノゲラス議員、カタルーニャ過激独立派政党のアルベルト・ボトラン議員、そしてバスク独立派政党でありかつてのテロ組織ETAの後身とも言える政党ビルドゥ所属のメルチェ・アイスプルア議員などである。
会議は閉ざされた空間で行われ、その中で話されたことを外部へ持ちだす事は許されておらず、参加者の携帯端末も入室前に所定の場所に預ける形となる。
よって、会議中に得られた情報で、政府筋が発表する内容以外のものが公開されることは理論上あり得ないこととなっているが、今回の会議では初参加の独立派政党所属の議員等が複数存在することからも、守秘義務が遂行されるかどうかについての疑問が少なからず存在していた。
結果として、会議終了後、何人かの独立派議員による情報漏れが生じている。

今回の会議でその主要テーマとなったのは、独立派政党関連者60数名を対象としたスパイ行為の真相だが、説明を求められた国家情報局のパス・エステバン局長は、スパイウェア、ペガサスによる独立派政党の党員等計18名の携帯端末を対象としたハッキング行為について、最高裁からの認可と要請を受けて国家情報局が合法的に行な ったものであることを認めた。
ただし、残り40数名の携帯端末については、国家情報局は全く関与しておらず、それが外国、或は国内からのものであっても、国家情報局以外の何者かによる行為であると指摘した。
エステバン局長による機密開示により、独立派政党による中央政府への責任追及の圧力が強まることは必至となるが、これに対しペドロ・サンチェス首相は、「最高裁命令によって情報局が行なった行為であって、政府は無関係であり、その責任追及を受ける理由は無い」として、今回のスパイ事件についてあくまでも政府の関与を否定して いる。

ディーゼル料金、過去最高に

4月1日より始まった20センティモ/リットルの経済支援が続いているが、燃料費の値上がりはそれを上回る勢いで続いている。
特にディーゼル料金の高騰が目立っており、ガソリン料金を追い抜いた状態がすでに5週目に突入となり、これまでで初めて、1リットルあたりの値段が2ユーロの壁を越えつつある。
現時点でディーゼルの値段は全国平均で1.872ユーロ/リットルに達しており、全体の11,3%にあたる1.288件のガソリンスタンドでは約2ユーロとなっている。
正確にはこの1.288件の内、2ユーロに達している所が780件で、残りは1.999ユーロとなっており、その他、6000箇所でも1.9ユーロ以上となっているとのこと。
ガソリンについても高騰が続いているが、ディーゼルほどでは無く、全国平均で1.837ユーロと、過去2番目の高値となっている。


2022年5月5日(木)

Covid19: 高齢者への4度目の接種、先送りを検討

対新型コロナ・ワクチン、4度目の接種は、すでに免疫不全疾患を持つ人々を対象に開始されているが、それに続いて高齢者への接種についても認可を行なうよう幾つかの州政府から要請が出されている。
スペインでは、感染拡大を防ぐために行われていた行動規制のほとんどが解除され、その結果として感染は明らかに拡大傾向にある。
現在、重症化しない限りは、PCR検査による感染確認は60歳以上のみを対象に実施されており、それ未満の年令層における感染拡大については事実上、無視された形となっている。
よって政府が発表する感染状況は60歳以上の年令層のみを対象とした情報となっており、国民全体の状況を把握することは不可能な現状である。
そう言った中で、60歳以上の年齢層における感染状況は「危険レベル:高」に達しており、80歳以上の年令層に限った場合、更に深刻な状況となっている。

本日行なわれる中央政府と各州行政とによる合同保健会議で、4度目のワクチン接種の認可についての協議が予定されているが、アストゥリアス、アンダルシア、ガリシア、ムルシアなど、感染拡大状況が特に悪化している州が中心となって4度目接種の即刻の認可を要請している中、医療専門家等はこれを可能な限り先送りに、出来れば年末まで延期することを推奨している。
その理由として2点を挙げているが、一つ目は、通常、肺疾患系のウィルスがより活発化するのは冬で、今、4度目接種を行なっても、またすぐに冬の到来に合わせて5度目の摂取を行なう必要が出て来る可能性が高いと言うこと。
そして二つ目の理由として、ファイザー社、モデルナ社が現在、開発を進めているCovid19の初期ウィルスとオミクロンとの混合型ウィルスに対応させた新型ワクチンの販売開始が年内の予定となっていることから、これの認可、販売を待ってから4度目接種を実施するのがより効果的であるとしている。
ただし、4度目接種の先送りについては、あくまで感染拡大状況次第で、更に悪化が続くようであれば、即刻開始と言う判断もあり得ると、専門家等は指摘している。

社会保険制度加入者数、初の2000万人超え

今年4月は、3年ぶりに新型コロナ関連の様々な行動規制による制限を受けないセマナ・サンタ休暇を利用しての国内旅行が盛況となり、これに伴って国内旅行を中心とした旅行業、飲食業などが中心となっての新規雇用が急増した。
その結果として、4月には社会保険制度加入者数が184.577名の増加となり、総数は2,001万9.080名と、これまでで初めて2千万人を超える数字となった。
特に目立ったのがホテルやレストラン、バルなどの雇用で前月と比べて11万人の増加となった。
この記録的な雇用増加について、政府は労働法改正などの成果として評価しているが、4月は毎年、セマナ・サンタ休暇の影響で雇用が急増する月となっており、今年は2008年4月以来、最も失業者総数が少ない4月となったとは言え、それでも尚、失業者総数3.022.503名と言う現実がある。
そしてスペインにおける失業率は依然として高く、ギリシャやイタリアを上回ってEU諸国内で最悪となっている。
今年3月時点でのEU統計局まとめによると、スペインの失業率が13.5%であるの対し、2番目のギリシャが12.9%、3番目のイタリアが8.3%、そしてEU平均は6.2%となっており、スペインの雇用状況はEU平均値からまだまだ遠い位置にあるのが判る。


2022年5月4日(水)

ペガサス スパイ行為: 国家情報局、首相発言に疑惑

スパイウェア、ペガサスによる独立主義政党関連者を中心とした大規模スパイ行為が行なわれていたことが発覚したことにより、政府への責任追及の圧力が強まる中、去る月曜日に政府は、サンチェス首相やロブレス防衛大臣も同様のスパイ行為の被害を受けていたことを発表した。
独立主義政党関連者が使用していた携帯端末への攻撃についての捜査を進めると共に、首相をはじめ、中央政府要職に就くメンバーが使用する携帯端末の安全状況についての確認を行なう中で発覚したもので、政府はこれらのスパイ活動が、政府外部より行われている行為であるとの見方を強めている。
実際、ペガサスによるヨーロッパ諸国でのスパイ行為は急増しており、イギリスのThe Guardian紙が得た情報によると、スペイン国内のモバイル端末200台を対象としたモロッコによる攻撃が確認されているとのこと。

スペインでは政府が使用している携帯電話の安全性を確保するため、国家情報局が外部からの全ての攻撃を監視しているが、今回、首相や大臣の携帯電話への攻撃があったことや、その発見が遅れたことから、国家情報局長の解任の噂が広まり始めている。
しかしながら、情報局だけでなく、外部の専門家等の間でも、政府による突然の「首相と大臣の携帯電話も攻撃を受けたと言う発表」に対して疑問を抱く者が多く、政府による「加害者から被害者へ転じるための」茶番劇に過ぎないとする見方が強い。
専門筋は、スパイウェアの攻撃を受けたまま、1年近くもの間、それに本人が気付かずにいることは考えにくく、また国家情報局がそれを探知できずにいることもあり得ないとしており、政府が今回の独立主義政党関連者を対象とした大規模スパイ行為の責任を、国家情報局に押し付けて逃げ切ろうとしているのではないか、と言う憶測を強める一因となっている。


2022年5月3日(火)

ペガサス スパイ行為: サンチェス首相、ロブレス防衛大臣にも被害

イスラエルの企業が国家の政府を対象に販売や貸し出しを行なっているとされるスパイウェア、ペガサスを使ったカタルーニャ、バスク独立主義政治家等を対象としたスパイ行為が発覚したことで、スペインの中央政府への責任追及の圧力が強まっているが、昨日、政府はペガサスによる攻撃を受けたのは独立主義政党の関係者だけではなく、ペドロ・サンチェス首相、そしてロブレス防衛大臣についても同様の被害を受けていることを明かした。
これまで公表はされていなかったが、すでに国家裁判所への届け出は済んでおり、裁判所から警察、治安警備隊へその調査命令が出されているとのこと。
首相のスマートフォンへの攻撃があったのが昨年の5月と6月で、最初の攻撃で2.6ギガバイトの情報が、そして2度目の攻撃で130メガバイトの情報が盗み出された。
また、大臣への攻撃があったのは昨年6月で、9メガバイトの情報が流出したとのこと。

この時期に重なっていた大きな出来事と言えば、ポリサリオ前線の指導者ブラヒム・ガリ氏の突然のスペイン入国と、スペイン政府の同氏受け入れに対する報復行為と解釈し得る、モロッコからセウタへの大規模な違法入国、そしてペレ・アラゴネス氏のカタルーニャ州知事就任と中央政府によるカタルーニャ違憲独立運動に関わった政治家等に対する恩赦の適用開始、などが挙げられる。

今回の中央政府による首相、防衛大臣への攻撃事実の公開は、ペガサスの被害に遭ったのが独立主義政党関連者だけでは無いことを強調するのが狙いと見られる。
また同時に、ペガサス使ったスパイ行為がスペインの国外から行われている可能性、そして同スパイウェアがイスラエルの販売元企業の主張とは異なり、国家政府のみが販売対象となっているのではなく、それ以外の個人や組織に対しても販売されている可能性が高い事を示唆している。
尚、ペガサスはすでにメキシコ、モロッコ、カタール、イエメン、アラブ首長国連邦、バハレーン他、45か国の政府が所有しており、これまでに大統領、首相、国王など各国政府の代表だけでも14名の被害が確認されている。


2022年5月2日(月)はマドリッド州の祝日です。

公共医療: 706.740人が手術の順番待ち

スペインにおける公共医療は基本的に患者側の負担額は無く、無料で受けられるものとなっているが、常に需要が供給を上回っており、患者の容体に合わせての即対応が困難となっている。
そして近年、Covid19の感染拡大がその状況に拍車をかけることとなった。
Covid19への対応に追われる医療が、予定されていた手術を後回しにしてCovid19患者への対応を最優先としたため、特に2020年の感染拡大第1波の時には、予定が組まれていた各種手術の大規模なキャンセルとそれに伴う延期が行われた。
これにより、常に問題視されていた手術の順番待ち期間が更に長くなり、今もその影響を引きずっている。

Covid19危機が始まる前の2019年12月時点で、公共医療による手術待ちとなっていた人の数は全国で704.997名と、一つのピークを迎えていた。
また当時の平均待ち期間は121日、そして手術待ちの人々の中で6カ月以上待たされていると言う人の占める割合が19.9%だったのに対し、1年後の2020年12月には手術待ちの数が691.508名と、1年前に比べて少し緩和されたが、平均待ち期間は170日に達し、6カ月以上待たされている人の割合も33.8%に至った。
その後、Covid19への対応に慣れて来たこともあって徐々に状況は改善に向かい、2021年6月には手術待ち661.162名、平均待ち期間121日、6カ月以上待たされている人の割合は18.9%まで減ったが、2021年12月には再び悪化傾向に戻り、手術待ち706.740名と過去最多記録を更新し、手術待ち平均期間が123日、6カ月以上待たされている人の割合が20.3%と、半年前に比べて増加した。

更に、手術待ちの状況について忘れてはならないもう一つの現実が存在する。
スペインの公共医療の利用では、通常、居住地域にある公共医療の診療所で主治医を決め、全ての医療相談はこの主治医を通じて行なうこととなる。
主治医による初診を受けたあと、必要と判断された場合、血液検査や尿検査などの簡易検査が行われ、その結果次第で更なる専門的な診察が必要と判断された場合に各種専門科医へと送られることとなり、そこで初めて専門医による診療の予約を取ると言う段階へ進むが、この専門医による初診の予約が取れるのにかかる時間がまた長い。
全国平均で見た場合、平均待ち期間はコロナ危機が始まった2020年度の年末では115日に達しており、その後、2021年6月には75日まで減り、2021年12月には89日と再び増加傾向となっている。
つまり、「主治医が専門医による往診が必要であると判断してから専門医に診てもらえるまでの平均待ち時間が89日あり、その後、専門医が手術の必要ありと判断して手術の順番待ちの列に加えてから、平均123日待たなければ手術を受けられない」と言うのが、最新のまとめとして公表された2021年末現在でのスペイン医療の実状と言える。

尚、これら平均値は専門の科によって大きな差異があるため、待ち時間がほとんど無い科もある。
最も危機的な状況にあって平均値に悪影響を与えているのが外傷外科で、これに眼科、一般・消化器系外科が続く。
逆に待ち時間が短いのは胸部外科、心臓外科などとなっている。
また、これらは全て公共医療による無料サービスの利用に関する現状で、私企業が販売する医療保険に加入している人は、公共サービスとは別に各自が持つ保険を利用して私設病院での対応を受ける例も多く、その場合、待ち時間は極めて短いのが一般的である。


2022年4月29日(金)

独立派政党、国家機密へのアクセス権を入手

マルウェア、ペガサスを使用したカタルーニャやバスクの独立派政党関係者へのスパイ行為が発覚したことによる政治危機に対応する目的で、政府は、国家機密委員会の設立と、その構成メンバーとして独立派政治家等の参入認可について画策していた。
まず、国会において少数派となっている独立派政党の参入を可能にするためには、国会における可決に必要な票数の変更を行なう必要があった。
これまで認可を受けるには議席数の5分の3にあたる210票が必要とされていたが、サンチェス政権は独立派政党を構成メンバーとして招くために、この必要票数を総議席数の過半数となる176票に変更。
これによって昨日、カタルーニャやバスクの独立派政党の議員が国家機密委員会の構成メンバーとしての承認を得ることとなった。
新規設立となる同委員会の初期メンバーとなるのは、エクトル・ゴメス議員(PSOE所属:280票により承認)、クカ・ガマラ議員(PP所属:282票)、イバン・エスピノサ議員(VOX所属:270票)、パブロ・エチェニケ議員(PODEMOS所属:272票)、エドムンド・バル議員(CIUDADANOS所属:276票)、アイトール・エステバン議員(PNV所属:275票)、そしてガブリエル・ルフィアン議員(ERC)、ミリアン・ノゲラス議員(JUNTS)、メルチェ・アイスプルア議員(BILDU)、アルベルト・ボトラン議員(CUP)等の独立派議員(186票)となった。
これにより国家情報局が持つ国家機密に対し、初めて独立派政党がアクセス権を持つこととなる。

与党、そして独立派政党以外の政党からは、国家の安全を脅かす大失策であるとの声が挙がっており、PP所属で現EU議員を務めるホセ・マヌエル・ガルシア・マルガジョ氏は、政権維持のために、憲法を尊重せず国家の分断行為を繰り返す独立主義者等に国家安全維持のための機密事項を公開するのは自殺行為としか言い様が無く、こ の愚行を行なうサンチェス首相が政権から退いたとしても、その傷跡は長くスペインを苦しめることになるだろうと指摘している。


2022年4月28日(木)

ペガサス スパイ行為: 防衛大臣の辞任を要求

イスラエル製マルウェア、ペガサスを使ったカタルーニャ、バスク独立派政治家等を対象にした大規模スパイ行為について、国会における政府の説明が行なわれたが、これに納得する政党は無く、政府に対する追及は強まる一方となっている。
国家情報局がペガサスを有しているか、また、それを使用しているか、と言った問いに対する政府の回答は、「国家の安全保障に関する機密事項であるため答える事が出来ない。また、全ての対応は必要な法的手続きを経て、憲法と法律に準じた形で行われている。」の一点張りで、明確な回答は一切、提示されないままとなっていた。
これに対し独立派政党、民族主義政党が批判の声を強める中、昨日の国会で、マルガリータ・ロブレス防衛大臣が放った言葉が物議を醸している。

ペガサスを使ったスパイ行為を行なったとの疑惑を持たれている国家情報局は、防衛大臣の管轄下にあることから、責任追及の声はサンチェス首相、そしてロブレス防衛大臣に集中しているが、昨日の国会討論で同大臣が「憲法を無視する者(違憲州民投票や一方的な独立宣言を行なったカタルーニャ独立派政党)を前にして、国家や政府は一体何をすべきか?」と言った発言を行なった。
独立派政党は、この発言がそのまま「国家がスパイ行為を行なった」ことを認めたものとして解釈し、カタルーニャのペレ・アラゴネス州知事はマルガリータ・ロブレス氏について、大臣職不適任者であり即刻辞任すべきであり、そうでない場合はサンチェス首相による即解任を要求した。
一方で当のロブレス大臣はこれらの攻撃に対し、「何の証拠も無い虚偽の告発に過ぎず、彼等がその気になればマノレテ(1947年に亡くなった名闘牛士)の死すら政府のせいにするだろう。今、あたかも都合よく被害者のような振りをしているが、彼等が国家の基本的権利や国民の権利と自由を擁護しようとする姿など見たことがない。」と反論している。


2022年4月27日(水)

マドリッド、地下鉄ストライキ

本日4月27日の11時〜14時半にかけて、マドリッドの地下鉄サービスのストライキが行われるが、ミニマムサービスとしては70%が予定されている模様。
また、ストの時間に合わせる形で、11時半〜13時半にかけて国会議事堂前でのデモが予定されている。
今回のストは、マドリッドの地下鉄設備(車両、駅など)におけるアスベストの存在について、これによる地下鉄職員の健康への被害を公営企業である地下鉄マドリッドに認めさせること、また、被害を受けた職員やその家族への補償制度の設立や、被害者の特別早期退職制度の適用などを要求することを目的として行われる。 

Covid19:児童の精神状態に大きく影響

子供向け製品および娯楽技術研究所AIJUが行なったアンケート調査によると、Covid19の感染拡大に伴ってとられた様々な行動規制により不安、悲しみ、恐れ、怒り、不眠症、注意力散漫など、精神的に不安定となっている児童が全体の30〜45%を占めているとのこと。
まとめによると、否定的、或は不快な感情を持つ児童の割合がCovid19以前と比べて40%増加しており、子供達はより多くの悲しみ(31%増)、怒り(57%増)、退屈感(50%増)、不安感(50%増)を抱いている。
これらの調査結果は昨日、4月26日(スペインにおける児童の日)に合わせてAIJUが行なった「児童のための研究と教育学フォーラム」で発表されたもので、その中で心理学者シルビア・アラバ氏は、児童にとっては、Covid19危機による生活環境の突然の大きな変化に感情を適応させることが、成人より困難であることを指摘し、彼等が考えていること、感じていることなどを尋ね、耳を傾けることが大人の大切な役割であると述べた。

マドリッド州政府、帯状疱疹ワクチン摂取開始

マドリッド州政府は、5月第1週より帯状疱疹ワクチンの接種を開始する。
行政による無料接種として帯状疱疹ワクチンが含まれるのは、スペイン国内の全州でこれが初めてである。
州政府は、最終的には全州民を無料摂取の対象にするとしているが、免疫疾患を持つ人などについてはすでに接種が開始されており、今回、5月第1週から、新たに65歳〜80歳の年令層が対象となる。
摂取を希望する人は、特にワクチン接種としての予約をする必要は無く、いつでも主治医へ赴く時にその旨を伝えれば良いとのこと。
同ワクチンは2度の接種を必要とする。


2022年4月26日(火)

国王、資産を公開

昨日、スペインの国王、フェリペ6世は個人として所有する資産について、初の公開を行なった。
これによると、銀行口座にある預金総額226万7.942,80ユーロと30万5.450ユーロ相当の美術品、骨董品、貴金属類など、合わせて合計257万3.392ユーロの財産を所有しており、これらの出どころは1998年から皇太子として、そして2014年からは国王として、この約25年間、職務を果たしてきた間に受け取った、王室用に充てられた予算であるとしている。
その間に国王が受け取った総額は427万5.796,94ユーロとなるが、これから諸税が差し引かれることとなり、その計算や申告は国税庁マドリッド支部が補佐しているとのこと。
この情報公開によると、国王には個人所有物としての不動産物件や外国に持つ資産は存在していない。

国王フェリペ6世は、その即位当時より、王室や政府は道徳的、倫理的模範であるべきことを強調しており、今回の資産公開も、国民に対して王室の公正さと透明性を示すためのもので、異例と言える。
国王はこれまでにも、王室が受け取る年間予算の開示や、その予算を受け取る対象者の縮小、予算を受け取りながらの企業での就業と受給の禁止など、即位後の約8年間に王室の在り方についての様々な改革を行なって来た。

Podemos、国王の資産公開を信用せず

国王フェリペ6世がその個人資産についての公開を行なったことについて、Podemosから強い反発が見られた。
同党代弁者を務めるパブロ・エチェニケ氏は、「国王がどれだけ誠実な言葉を並べたところで、国王不可侵の制度がある限り、その内容の真偽についての確認を行なう事は不可能であり、結果、信憑性を疑わざるを得ない。何をどう偽装しても、法の枠外で世襲制により得られた地位が意味するものを隠すことは出来ない。」と痛烈な批判を 行なった。
Podemosは現在、PSOEと共に連立政権を組む政党だが、その創立当時よりスペインの王室制度に反対の姿勢を見せており、国王が中心となって行われるあらゆる公式行事への出席を可能な限り拒絶し続けている。


2022年4月25日(月)

外国人による不動産購入、最多数がモロッコ人によるもの

スペイン公証人評議会まとめによると、2021年度にスペインで不動産物件の購入を行なったスペイン在住外国人の中で最も多かったのは、モロッコ人であった。
2020年、Covid19感染拡大の影響で様々な行動規制が布かれた影響もあり、不動産売買数は大きく減少したが、2021年末には大きく回復して売買総数は63.934件にまで達し、その内の5.162件はスペイン在住のモロッコ人によるものだったとのこと。
この傾向はスペインの多くの地域において見られたが、例外としてガリシア、カナリアス、バレアレス、バレンシアなどではモロッコ人よりもドイツ人、イタリア人、ポルトガル人、イギリス人などによる購入が目立った。
尚、購入数では在住外国人の中でモロッコ人が最多となったが、彼等が購入した不動産の価格は安価なものが多く、その平均価格は1平米あたり668ユーロの物件で、モロッコ人の次に多かったルーマニア人の場合で1平米あたり990ユーロの物件、次いでエクアドル人が1.087ユーロの物件と、スペインの全国平均価格2.016ユーロに比べて安価なものがその中心となっていた。

原因不明の小児肝炎感染者数、スペインでも増加

イギリスで最初の警鐘があった原因不明の小児肝炎の感染確認数は増加を続けており、WHOではすでに11カ国で計169件の感染を確認している。
その多くがヨーロッパに集中しており、中でも最も多く報告されているのがイギリスで、すでに114名に達しており、これに続いて多いのがスペインの13名(カタルーニャ5名、アンダルシア2名、ガリシア2名、アラゴン1名、カスティージャ・ラ・マンチャ1名、マドリッド1名、ムルシア1名)となっている。
またヨーロッパ以外ではイスラエルで12名、米国で9名が報告されている。
感染者の内、17名(およそ10名に1名)が肝臓移植が必要となり、1名が死亡しているが、現時点でその原因はまだ判明していない。
最初に報告されたのは今月5日にイギリスで確認された10名だったが、いずれも10歳未満の健康な子供達だった。
現時点で報告されている感染者の年令層は生後一カ月から16歳で、74人からアデノウィルスが検出され、その内の18名はアデノウィルス41型であることが確認されている。
また、約20名からCovid19の原因となっているウィルスSARS-CoV-2が検出されているが、これらと肝炎との直接的関連性は考えにくく、未だ原因不明となっていることから、Covid19への対応で習慣化した日常生活における基本的な衛生対策を続けるよう呼びかけている。


2022年4月23日(土)

独立派政治家等へのスパイ行為についての説明を要求

去る火曜日に、カナダのトロントに本部を持つCitizen Labが、スペインにおいて独立主義政党の政治家を中心とした60名以上を対象にしたスパイ行為が行われていること確認したと発表した。
これを受け、スペインの独立主義政党、民族主義政党を中心に、中央政府に対する激しい追及の声があがっている。

スパイ行為に使われたのはペガサスと呼ばれるイスラエルで開発されたマルウェアの一種で、これを通じたスパイ行為が2017年〜2020年の間に、少なくとも独立主義政治家等を中心とした63名を対象に行われていたとのこと。
被害に遭った政治家はカタルーニャの独立派政党所属の政治家、独立派協会の主要メンバー、カタルーニャ独立派政治家等の主要弁護士、バスク独立派政党の政治家などで、現在の中央政府が事実上その政権を維持するのに少なからずも協力している政党の関係者等となっている。
これについて昨日、被害に遭った政治家が所属する全政党が、連名で同件についての調査委員会の設置、そしてペドロ・サンチェス首相だけでなくフェルナン・マルラスカ内務大臣、マルガリータ・ロブレス防衛大臣、治安警備隊長官、国家安全局長、国家情報局長他、複数の高官等による国会における説明を要求した。
ただし、PSOEと連立政権を組むPODEMOSは、スパイ行為についての糾弾は行なってはいるが、連名でのサインには加わっていない。
カタルーニャ独立派政党は、中央政府による責任ある説明、そしてスパイ行為の責任者の追求と正当な法の裁きがあるまで、カタルーニャと中央政府との全ての交渉は中断とし、また、連名でサインした全政党が中央政府への協力を拒絶するとの最後通告を行なっている。

一方、中央政府は同スパイ行為についての政府による関与を全否定している。
使用されたマルウェア、ペガサスはイスラエルのNSO Groupが開発したモバイル末端用スパイウェアだが、テロ活動やサイバー犯罪、麻薬取引、人身売買などの取り締まり強化を目的として作られたもので、国家の中央政府のみを対象に販売されている。
そのため、今回の一件についての責任追及がスペインの中央政府に集中しているが、中央政府は、「政府による」との報道が見られるだけで、「スペイン政府による」と言った情報は一切、存在していないと強調し、他国による干渉を示唆している。
また、スペインの国家情報局がこのペガサスを所持し、使用しているかと言う問いに対して、「国家の安全に関する事項は機密事項として法により守られているため、答えることは出来ない。」と中央政府は回答している。

このスパイ行為が行われたとされる時期は、カタルーニャで違憲独立運動が激化していた時に重なっているが、スパイ行為自体は、カタルーニャ州政府がカタルーニャ警察を一般市民として首都マドリッドに潜入させ、中央政府の主要メンバーを監視させていたなど、行政が公費を使って当然のように行っていたことで、特に珍しいことでは無い。
しかし、今回の一件がスペイン政府によるものであることが証明されれば、ペドロ・サンチェス率いる現政権が今後、苦しい立場に追いやられることは必至である。


2022年4月22日(金)

公的社会保険制度加入者数、過去最高に

政府の昨日の発表によると、Covid19やウクライナ問題の影響による経済危機が続く中ではあるが、健康保険や年金保険が統一されているスペインの社会保険制度への加入者数は、過去最多に達しているとのこと。
4月21日時点で加入者総数は2.005万7.588人となっており、これまでで初めての2千万人超えとなった。
この増加はそのまま雇用契約の増加を意味するが、雇用数の増加だけではなく、その契約内容にも変化が見られ、1年前には新規契約全体の70%が契約期間7日以内の一時雇用契約であったのに対し、今年はその種の契約は30%程度まで減少している。
その一方で期間限定では無い正規雇用が急増しており、今年4月に入ってからの新規契約では正規雇用が77%を占めている。

マスク着用義務解除によりマスクの税率が戻る?

Covid19感染拡大防止対策の一環としてマスクの着用が義務付けられていたことにより、スペイン政府はマスクを生活必需品として最小税率対象品目の一つとし、その税率を従来の21%から4%に引き下げていた。
しかし、これはCovid19の感染拡大状況の変化次第で変更となる「一時的な引き下げ」として行われたもので、昨年12月にその延長が決定となり、その延長期間が今年の6月をもって終了となる。
この減税対象となったマスクは簡易マスクだけであり、より感染防止効果が高いとされるFFP2などには適用されなかったが、それでも2021年度、この減税によるスペイン政府の減収は1億3700万ユーロに達したとのこと。
更に、マスク以外の医療・衛生用品など、同様に減税の対象となったものによる減収は1億4600万ユーロに達しており、今月20日よりバルやレストラン、劇場など、室内においてもマスク着用義務が解除されたことから、簡易マスクの税率が7月以降、元の21%に戻されるとの見方が強まっている。


2022年4月20日(水)

Covid19: 屋内でのマスク着用義務解除

スペインではこれまで、バルやレストラン、商店、劇場、映画館など、屋内におけるマスク着用義務が維持されて来たが、昨日の政府広報でこれの廃止が発表となり、本日よりこれが有効となる。
学校教育の場においても、これまでは運動場などではマスクを外せても、教室内では着用が義務となっていたが、本日以降、これも必要では無くなる。
高齢者施設では、入居者はマスク着用義務が無くなるが、そこで働く職員、そして親族や友人など入居者を訪問する人々については着用義務が維持される。
また病院など医療施設内については、入院患者が自身の病室で過ごす時を除き、その他全ての状況でマスク着用義務が維持される。
更に、バス、地下鉄、鉄道、飛行機など、公共交通機関の利用時についてもマスク着用が必要とされるが、駅舎内、地下鉄や列車の乗り場での待機時には不要となる。
また船の利用については、屋内で他人との安全距離として1,5メートル以上を保てない状況である場合はマスク着用義務が維持されるとのこと。 尚、個々の企業内におけるマスクの扱いについては、各企業で判断すべきとしており、政府はその手引きとなるものを近日中に公開するとしている。

春の積雪: 各地で通行止め

30度近い気温に身体が慣れ始めたかと思えたところで、大寒波Rossbyがスペインを覆いつつある。
これにより全国的な気温低下と雨や雪がもたらされており、本日、ガリシア、アストゥリアス、カスティージャ・イ・レオン、アラゴン、ナバーラ、マドリッド、アンダルシアなどの道路で積雪による通行規制や通行止めが多く見られている。
マドリッド州ではナバセラーダ峠越えの州道M601号線のKM15〜KM20間で、ネバダ山脈では州道A395号線のKM32〜KM38間で、アビラでも国道110号線のKM294〜KM301間で通行不能となっている。
またアストゥリアスのパハレス峠越えや州道AS112号線のラジャ付近で通行規制が行なわれており、ナバーラでも州道NA2011号線のKM7〜KM20間で通行止めとなっている。
その他にもセゴビアのビジャレホ付近の国道A1号線KM99地点、アストゥリアスの国道AP66号線、カンプマネス付近、ウエスカのA2606号線、パンティコサ付近、マドリッドのM604号線、ラスカフリア付近でも雪の影響が見られ、大型車の通行は禁止、そして乗用車の通行も積雪時用のタイヤやチェーン着用が義務づけられ ている。


2022年4月19日(火)

ガス料金高騰により火力発電依存度上昇

スペインにおける石炭を使った火力発電所は、その多くがすでに閉鎖されている。
残っている発電所についてもすでに閉鎖申請を終え、行政の認可待ちとなっているところが多く、それ以外の極一部が石炭ガス化複合発電への移行手続きを行なっている。
従来の火力発電は地球環境保護の意味から無くす方向で進められており、スペイン国内での石炭採掘はすでに行なわれていないことから、火力発電に必要な石炭は輸入する必要があり、この輸入にかかる費用とCO2排気量に応じてかけられる税金などによる経費増から、従来の火力発電を続けても電力会社としては利益が薄いためである。

そう言った中、昨今のガス料金の高騰によるガス発電力不足を補うため、閉鎖認可待ちとなっていた火力発電所が再稼働されており、今年第1・四半期におけるその発電量は昨年度同時期と比較して2倍に膨れ上がった。
2倍になったと言っても、スペインにおける発電量全体の僅か3%に過ぎないが、夜間9時から11時の間の電力不足を補うものとして使用されている。

郵便局の名を使ったフィッシング詐欺に要注意

郵便局の名を使ったフィッシング詐欺被害が広まっていることについて、スペインの郵政庁が警鐘を鳴らしている。
フェイスブックを通じた手口と、携帯電話のショートメッセージ送信によるものとが報告されており、その主な内容は、「受取人が現れることが無かった郵便物が大量に存在し、一定期間が過ぎた場合、郵政庁ではこれらを廃棄する権利を有するが、これらを1.95ユーロにて希望者に販売する」と言ったもの。
フェイスブックに見られる偽郵政庁のページは先月28日に作られたもので、そのページも、そこからリンクされているぺージも、全て郵政庁とは無関係である。
指示に従って進んで行くと、最終的にはクレジットカード情報を含む個人情報の入力を求められ、金銭の引き落としが行われるとのこと。


2022年4月18日(月)

高速鉄道サービス Iryo、今秋、新たに参入

スペインにおける長距離旅客鉄道サービスは、長年、国鉄RENFEのみによって運営されていたが、近年になって一部、他社の参入が始まっている。
現時点でフランス国鉄が所有するOuigo、そしてRENFE系列のAvloによる高速列車が運行されており、RENFEが行なってきた高速列車AVEのサービスと並んで利用されている。

ここへ新たに、今秋からIryoの参入が予定されている。
同社はバレンシアに拠点を持つスペインの航空会社Air Nostrum、イタリア国鉄、そしてマドリッドに拠点を持つインフラ開発企業Globalviaによって運営されるもので、まずはマドリッドーバルセロナ間の運行から開始し、その後バレンシア方面へ拡大、そして来年の頭にはセビージャ、マラガ、アリカンテ方面への路線についても開始するとしている。
マドリッドーバルセロナ間サービスのチケット販売は、今年9月からの開始予定となっており、運行は11月頃からとなる見込みである。
現在、RENFEのAVEと市場獲得を競っているOuigoやAvloが低料金を売りにしているのに対し、Iryoは低料金だけでなく、利用者の様々な要望に応えられるよう、多様な料金体系で幅広い客層をとらえたいとしており、スペインにおける高速列車利用者の約30%獲得を目指すとのこと。

また、今回10億ユーロの投資により開始することとなるスペイン高速列車市場参入だが、同社の予測では2026年ぐらいから収益を生み始めるとしており、そこから参入第2段階としてガリシア方面への路線についても運行を開始する予定とのこと。
ガリシア方面への参入は他路線とは異なり、別予算が必要となる。
その理由はガリシア方面の路線では、国際標準サイズとされるものと、イベリア半島標準サイズとされるものと2種の異なる幅の線路が使われており、この路線を走る列車は道中、車輪幅の変更を行なう必要があり、Iryo社が持つ列車は同システムを搭載していない。
そのためガリシア方面への運行を行なうためには、車輪幅変更装置を搭載した列車をレンタルするなど、新たに8億ユーロの投資が必要となる模様。

フェイホー効果によりPP支持率急上昇

第1野党PPの党首としてアルベルト・ヌニェス・フェイホー氏が就任して僅か15日が過ぎた今、スペイン国民の各政党に対する支持率は大きな変化を見せている。
NCReport社が行なった世論調査によると、今、選挙が行われた場合、PPは123〜125議席の獲得が予測されるとしており、1カ月前の調査時の100〜102議席から大きく躍進した。
対する現与党PSOEは、1カ月前の118〜122議席から99〜101議席へと大きく後退となった。
また、PSOEと左翼連立政権を組むPODEMOSは、25〜27議席と前回から大きな変化は無く、極右政党VOXが前回の69〜71議席から53〜55議席へと後退したとは言え、PP支持率上昇の効果が大きく、左翼政党がカタルーニャやバスクの独立主義政党や民族主義政党などの協力を取り付けたとしても、国会における右翼政党が占める議席数は過半数を制する結果となっている。


2022年4月14日(木)
本日、明日は、聖木曜日、聖金曜日の祝日です

セマナ・サンタに3年ぶりの平常

「エルサレム入場、枝の主日」となった去る日曜日よりセマナ・サンタ(聖週間)が始まっているが、多くの州では本日の聖木曜日から聖金曜日、聖土曜日、そして復活の日曜日にかけて、また幾つかの州では明日の聖金曜日から復活の月曜日までの連休となり、この休暇に合わせてスペイン全国で人々の大移動が行われている。
セマナ・サンタはイエス・キリストの受難を思い起こし、そしてその復活を祝うもので、 キリスト教においてはクリスマスと並んで大切な祭事となっており、全国各地で宗教行列をはじめ、様々な行事が予定されている。
そう言った宗教行事の見学を目的とした旅行者もあれば、それとは無関係に休暇として旅行を楽しむ人も多く、毎年、この時期にはキリスト教国全体での大移動が見られ、観光関連業界にとってはまさに書き入れ時となる。
しかしながら、Covid19危機が始まって以降、2020年、2021年における2度の セマナ・サンタは感染拡大を抑えるために布かれた様々な行動規制があったことに より、あらゆる行事が開催中止となり、また、人々が自由に旅行に出かけられる環境も 無かった。
が、3度目のセマナ・サンタを迎える今年、ようやくスペインを含むヨーロッパの全ての国々でCovid19起因の行動規制がほとんど無くなり、3年ぶりのヨーロッパ内大移動が始まっている。
これまで旅行をしたくても出来なかった人々の旅行欲が 爆発したのか、未だヨーロッパ人を中心とした旅行者に限られており世界中のツーリストが戻って来た訳ではないのにも関わらず、スペイン各地の ホテルにおける予約率はCovid19危機が始まる前、2019年当時の90%程度にまで 回復しているとのこと。


2022年4月13日(水)

エネルギー危機続くも、原子力発電廃止計画は続行

燃料費、電気料金の高騰に加え、ウクライナ危機の影響によるロシアからEU諸国への天然ガス輸入停止へ向けての動き、そして西サハラ問題の影響を受けたアルジェリアからスペインへの天然ガス供給の減量など、エネルギー問題が日々深刻化する中、スペインでは原子力発電の廃止計画が頓挫すること無く、今も進められている。

EUではエネルギー危機を乗り切るため、今年2月に原子力発電を「持続可能で環境にやさしいエネルギー」の一つとして認定した。
当時、スペインはオーストリア、デンマークなどと共にこの決定に反対したが、賛成票が多く可決に至った。
これによりフランス、オランダ、ベルギーなど、今も原子力発電所を新しく増築する計画を進めているEU加盟国もあるが、スペインでは完全廃止に向けての計画が進められており、昨日、今後のおおまかな予定が公表された。
これによると、現在スペイン国内で稼働中の発電所は7つあるが、その全てが遅くとも2035年までには完全に閉鎖されるとのこと。
まず最初に閉鎖されるのが、カセレスにあるAlmaraz T発電所で2027年の11月に運転停止となる。
続いて同じくカセレスにあるAlmaraz U発電所が2028年10月に停止、タラゴナにあるAsco I発電所が2030年10月に停止、バレンシアのCofrentes発電所が2030年11月に停止、タラゴナのAsco U発電所が2032年9月に停止、同じくタラゴナのVandellos II発電所が2035年2月に停止、グアダラハラにあるTrillo発電所が2035年5月に停止予定となっている。

これらの原発を止めるのにかかる費用として、2100年までにおよそ265億ユーロが見込まれているが、最も経費がかかるのが核廃棄物の処理であり、その費用がおよそ136億ユーロとのこと。


2022年4月12日(火)

フェイホーPP新党首: アジュソに自由を

野党第1党PPの新党首に就任したアルベルト・ヌニェス・フェイホー氏は昨日、党首として最初の党運営委員会議を開いた。
その中で、マドリッド州知事であるイサベル・ディアス・アジュソ氏に対する扱いについての姿勢を明確に示した。

今回のPP党首の前倒し選挙は、前党首であったパブロ・カサード氏と同党所属のマドリッド州知事、アジュソ氏との間での衝突が主な原因となった。
アジュソ氏の首都マドリッドにおける急速な支持率上昇、そして頻繁に見られた党本部とアジュソ氏との間での見解の違いなどから、両者の関係がぎくしゃくする中、アジュソ氏がマドリッドにおける政治にとどまらず、党首の地位を狙っていると言った噂も囁かれるようになり、両者間の関係は急速に悪化していった。
これらの衝突がパブロ・カサード氏を党首の座から身を引かせる結果につながったが、今回、新党首として選ばれたフェイホー氏は昨日の会議で、アジュソ氏との対し方についての重要な方針を示した。
それは「彼女にはやりたいように行動してもらえば良い」と言ったもので、仮にPP本部の意向とはそぐわない行動や発言があったとしても、“見て見ぬふり”をして、本部からそれに対する苦情や叱責は発しないとするものだった。
例として、極右政党Voxに対してPP本部とは異なる見解を表明したとしても、また、他州を政治訪問することでまるで彼女がPPの代表であるかのような印象が持たれるようなことがあっても(先週、彼女はバスクやナバーラを訪問)、PP本部からは何らこれに対する説明を求める必要は無いとしている。

これまでパブロ・カサード前党首時代は、中央集権型で党全体の方針をPP本部が統率する形で進められてきたが、フェイホー新党首は各任地でその責任者が才能を発揮して、それぞれの担当地方で党の勢力を伸ばしてくれることを望むとのこと。 

アルジェリアのガス輸出、スペインからイタリアへ乗り換え

これまで、アルジェリアによるヨーロッパへの天然ガス輸出の多くは、スペインを介して行なわれて来た。
ウクライナ危機勃発によりロシアからヨーロッパへのガス供給がいつ滞るか判らない状況となった今、アルジェリアからのガス確保はより一層、重要な課題となり、その経由地としてのスペインはヨーロッパへのガス供給の拠点となりつつあるかに見えた。
ところが、この絶妙なタイミングで持ちあがったのが西サハラ問題だった。
近頃、スペインとモロッコの関係が悪化しており、両国間の間を行き来していたフェリー船の運航も、世界レベルでのCovid19感染拡大により2年前からその運行が停止となっていたが、Covid19状況に一定の改善が見られ、国際間の往来が戻りつつある今も、スペインーモロッコ間の海の交通は閉ざされたままとなっていた。
両国関係の悪化が続く中、同時にアルジェリアとモロッコとの関係にも悪化が進み、両国間の国交は断絶状態にあった。

そう言った中でのスペイン政府による突然の「西サハラ=モロッコの領土」との見解発表を受け、モロッコとスペインとの国交は回復し、2年間、運行されていなかった海の交通も本日より再開されることとなったが、同時に、スペインは独立国家としての主権を主張する西サハラ住民、そして兼ねてよりこの西サハラの領有権争いに加わっていたアルジェリアとの外交危機を招く結果となった。
スペインのモロッコ寄り政策に対し、アルジェリアは即、その報復政策としてスペインへの輸出用ガス料金の値上げに踏み切った。
燃料、光熱費における前代未聞の高騰が続く中、頼みの綱であったアルジェリアからのガス料金値上げは、スペイン経済に大打撃を与える事となる。
アルジェリはガス料金値上げを輸出先国の中でスペインのみに適用することで、スペインへの輸出量を減らすと同時に、他国への輸出を増量することを決定し、その提携国としてイタリアを選んだ。
これまでガス消費量の大半をロシアに依存していたイタリアにとっては、アルジェリアからの輸出量増量の話は願っても無いチャンスで、昨日、両国間での調印が交わされた模様である。
これによりスペインは、国内におけるガス料金の高騰、そしてこれに引きずられて生じる電気料金の更なる高騰に苦しむだけでなく、アルジェリアからのガスをスペイン経由でヨーロッパへ分配すると言う、ヨーロッパ内におけるスペインの重要な役割確保の機会を失った事となる。


2022年4月11日(月)

西サハラ問題: ポリサリオ戦線、スペインとの国交断絶

ペドロ・サンチェス政権が西サハラのモロッコによる領有権を承認する姿勢を示したことを受け、西サハラの民族自決権を主張して活動を続けるポリサリオ戦線は昨日、スペインとの国交断絶決定を発表した。
更に、「スペインは、国連が認めている西サハラの民族自決権を無視し、武力を持って西サハラ侵略を行なおうとしているモロッコの権利を擁護する姿勢を示しているが、西サハラをかつてその植民地として統治していた国として、当地の住民や国際社会に対する責任を果たすべきである。」と強く非難した。
同時に、今回のサンチェス政権による独断的な政策変更に対し、形式的な投票であったとは言え、スペインの国会で反対の意を示したほぼ全ての政党、そして国会議員等に対して感謝の意を表した。

ひまわり栽培、活発化

初夏になると、見渡す限り広がるひまわり畑を一目見ようと、スペイン、特にアンダルシアを訪れる観光客も多かったが、スペインでひまわり畑がその全盛期を迎えたのは今から20〜15年程前のことで、その後、急激な衰退を見せる事となった。

ひまわり栽培の黄金時代となった20〜15年前には、EUからの資金援助の恩恵を受け、ひまわり栽培は非常に効率の良い商売となり、これに従事する農家が増えた。
また当時の品種としては、アンダルシアの気候が合っており、スペイン中央以北での栽培には不向きであったことから、大規模なひまわり畑はアンダルシアの初夏の風物詩となっていた。
ところが品種改良が進み、より気温の低い地方でも栽培が可能になって来た事により、スペインの他地方や、より北にある国々でも容易に栽培が可能となっていった。
そして今から10数年前より、ウクライナ、そしてロシアから大量のひまわり油、食用や家畜用飼料としてのひまわりの種子などがヨーロッパに流れ込み始めたことにより、ひまわり製品の価格は急落し、スペインにおけるひまわり栽培は一気に衰退の道を辿ることとなった。

しかし、今年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻により、これら両国からヨーロッパへのひまわり関連製品の流通が絶たれたため、ひまわり栽培から手を引いていた農家に、今、その再開が求められ、すでにスペイン各地で栽培が始まっている。 収獲を見越して大口契約の注文が殺到しているが、今後、更に値が上がることが予測されることから、農業組合側も現時点ので契約は一部に抑え、今後の成り行きを見つつ契約を進めるところが多く見られる。


2022年4月10日(日)

7月6日以降、自動速度制御装置の装備が義務化

スペインを含むEU諸国では、今年7月6日に自動車の自動速度制御機能搭載の義務化が開始される。
EUでは今年、同システム搭載の完全義務化に向けての第1歩を踏み出すことになるが、まずは7月6日をもって、それ以降に販売開始となる新車種について、その全てに同機能が搭載されることが義務となる。
しかし、7月6日よりも前から販売されていた車種についてはその対象とはならず、引き続き販売は可能とされる。
そして第2段階として、2024年以降は、いつから販売開始となった車種であるかに関わらず、販売される全ての車種において搭載が義務付けられることとなる。
交通事故の多くは速度違反が原因となっているため、自動速度制御装置搭載で速度違反を無くすことにより、2030年までにEU諸国全体で約25000人の死亡者、14万人の重症者が出るのを避けることが出来るとされている。

自営業は至難の業

スペインで自営業を営むと言うことは、年々困難になっており、今や、それを維持するのは至難の業と言わざるを得ない状態となっている。
Covid19による経済活動への大打撃を受けたところへ、政府による国民健康保険料や国民年金掛け金の値上げがあり、更には前代未聞とも言える急激な光熱費やガソリンなど燃料費の値上がり、これにウクライナ危機が合わさったことによる食品を含む生活必需品全体の値上がり、そして企業内で雇用人として働くサラリーマンとは 比較にならないほど少ない政府からの経済支援など、これら全てがスペイン国内に存在する約350万人の自営業者の生活を強烈に圧迫している。
特に燃料費や光熱費の高騰による影響は大きく、経済活動を継続するのに必要な経費が40%以上の増大を見せており、これに対応出来る自営業者は少ない。
また、従業員を抱えている場合では、その給料の最低ラインが2016年から2022年にかけて月額655ユーロから1000ユーロへと一気に52.6%増となっており、この短期間にこれだけの対応を出来る自営業者も極めて少ない。
ヨーロッパの他国の例を見た場合、この同じ期間における最低賃金の増加率はオランダやギリシャで13.1%、ドイツ、ベルギー、フランスなどはそれ未満となっている。


2022年4月8日(金)

西サハラのモロッコ領有権承認に否定決議

サンチェス政権が、野党のみならず政府閣僚等の承認を得ることもなく、西サハラにおけるモロッコの領有権の承認をモロッコ政府に伝えたことにより、スペインの政界に大きな混乱をもたらしているが、昨日の国会で、この首相の単独行動とも言える政策に対する賛否を問う決議が行われた。
西サハラの統治については、国連も現地住民等による民族自決権を尊重し、第3国が一方的に領有権を主張するものではないとしており、スペインはこれまで一貫して国連と同じ姿勢を維持して来た。
そう言った中でのサンチェス首相による突然の進路変更に対し、それを国会として認めるのか、或は引き続き西サハラ住民による自決権を尊重すべきなのかについての投票が行われたが、反対票168、賛成票118、棄権票61で、国会としてはこれを否定する結果となった。
賛成票を投じたのは唯一、サンチェス首相が所属するPSOEだけで、棄権票のほとんどが極右政党とされるVOXによるものとなった。

注目すべき点は、PSOEと共に連立政権を維持しているもう一つの与党PODEMOSが、反対票を投じているだけでなく、野党であるERC、EH Bilduなどと組み、今回のサンチェス政権の単独行動を問題にしたこの投票開催を率先して進めた点であり、二つの与党間に大きな亀裂があるのが見て取れる。
今回の否定決議には、サンチェス首相のモロッコや西サハラとの単独外交を覆す法的効力は無いが、他政党は今回の一件が国会では否決されたことであり、PSOE1党による独裁的行動であったことをスペイン社会に示し、その事実を歴史に残すこととなる。
また今回の投票では、PSOEの中でも自党のやり方に納得が行かず、反対票を投じるつもりでいた議員があったが、その議員は「投票が行われた昨日、この同じ日にサンチェス首相はモロッコからの招待を受け同国を訪問することとなっていたため、そう言ったタイミングで党内に亀裂を生じさせるような行為は避けるべきと判断して、自身の意図とは反するが賛成票を投じた」と語っている。

スペインの長期失業者数、ヨーロッパの17国合計を上回る

Covid19危機による経済危機が続いたあと、政府はその回復傾向を強調するような報道を熱心に行なっているが、実際には厳しい現実がある。
特に若者層における失業率が高く、現時点でスペインにおいて2年以上の長期失業状態にある人口は912.000人となっており、EU諸国全体の30%を占めている。
そしてこの912.000人と言う数字は、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ポーランド、チェコ、ハンガリー、オランダ、オーストリア、ルーマニア、ポルトガル、ベルギー、ブルガリア、ギリシャ、クロアチア、キプロス、ラトビア、リトアニアなど計17国の合計数に相当するとのこと。
また、ドイツ(人口8320万人)で245.900名、フランス(人口6730万人)が348.900人、イタリア(人口5930万人)が827.000人と、スペインより人口の多い国々でも長期失業者数はスペインより少なくなっている。
尚、スペイン国内で地方別に見た場合、アンダルシアが長期失業者総数の31.1%を、アストゥリアスが30.5%を占めている。


2022年4月7日(木)

Covid19:屋内でのマスク着用義務解除

昨日、トレドで行われた全国保健会議において、屋内におけるマスク着用義務の解除について協議が行われたが、全州代表がこれに賛同した。
また、その時期としては専門家等による意見を尊重する形で、間もなく始まるセマナ・サンタ休暇の前ではなく、その後とすることで全州一致を見た。

この結果を受け、政府はセマナ・サンタ休暇が終わったあと、今月19日に政府広報による発表を行ない、翌20日から有効となる予定。
これによりバルやレストラン、劇場、映画館、スーパーマーケットなど、屋内でのマスク着用義務が無くなるが、高齢者施設や医療施設、公共交通機関利用時などについてはその例外となり、今後も着用義務が維持される。
政府、そして医療界は、ウィルスが無くなった訳ではないため、マスク着用義務の廃止のあと、Covid19の感染拡大を抑え込めるかどうかは、これまで以上に個々人の良識ある行動にかかっており、感染者は義務では無くても自主的にマスクを着用するよう呼びかけている。
しかしながら、感染者との濃厚接触者であっても、また、感染の疑いが強くとも、無症状であったり、軽症である場合は、「60歳以上である」、「免疫不全疾患を持つ」、「医療従事者である」などの条件を満たさない限りPCR検査が行われないため、自身が感染していると確認することが困難であることから、自己責任としてのマスク着用を促されても、感染者の多くがこれを実行しないことが予想される。
また、別の問題として、今後、マスクを着用している人=Covid19感染者であるとの見方が広まる可能性が高く、スペインのように日常生活におけるマスク着用の習慣が無かった国では、大気汚染や花粉アレルギーなど、他の理由でマスクを着用している少数の人々への差別意識が強まる危険性も忘れてはいけない。

郵便局ストライキ

最大手の労働組合であるCCOOとUGTが、6月1、2、3日に全国の郵便局によるゼネストを発表した。
スペインの郵便サービスは国営の公共サービスとして行われているが、現在の責任者は現政権樹立時にPSOEより任命を受けたフアン・マヌエル・セラーノ氏で、同氏による「政府の権力を笠に着た」運営方針がスペインの郵便サービスの質を最低レベルにまで悪化させているとして、この状況の早期改善を訴えるとしている。
労組によると、この3年間で7000人が解雇され、それの埋め合わせとして必要時だけの仮契約が1万件以上行われているとのこと。
この正規職員の多数解雇によって、労働条件の悪化とそれに伴うサービスの質の低下がこれまでに無いほど顕著となっているとして、6月のゼネストに踏み切った。


2022年4月6日(水)

在スペイン・ロシア大使館の職員等27名に対し国外退去令

ウクライナのブチャやマリウポルなどで確認されているロシア軍による無差別大量虐殺の事実を受け、スペイン政府はスペイン国内に駐留しているロシア大使館の職員等27名に対し、「本国の平和を脅かす存在」であるとして1週間以内の国外退去を命じた。
最初の発表では退去令の対象となったのは25名とされていたが、その後、27名となり、この数字については今後も変化する可能性があると思われる。
また、これら27名のリストには大使館の総責任者であるユリ・コルチャギン大使は含まれていない。
ホセ・マヌエル・アルバレス外務大臣は、同大使がスペイン駐在各国大使の中でも最も駐在歴の長いベテラン大使であり、スペイン・ロシア間における対話の接点を完全に絶つことを避けると言う意味合いから、大使の駐留を容認するとしている。
スペインが大使館職員等の追放について発表したのを受け、即座にロシアの外務大臣が「スペインはロシアから同様の措置を受ける事になる」と発言したため、モスクワ駐在のスペイン大使についても、ロシアからの国外退去令から外されることを期待しての判断と思われる。

今週金曜日よりパンが変わる

パンはスペインにおける食生活にとって欠かす事の出来ない食材だが、今、スペインで販売されているパンに大きな変化が起きつつある。
パンをより健康的な食品とする目的で政府が進めているパンについての規定改正により、2019年7月より、インテグラルパン(全粒パン)として販売するためには全粒粉を100%使用したパンでなければならなくなっているが、更にパンに含まれる塩分量についても新規定への対応を行なうよう、各パンメーカーに対し準備期間としての時間猶予付で指令が出されていた。
この準備期間が終了となり、今週金曜日からは新たな規定に基づいた塩分量のパンしか販売できなくなる。

現代人の食生活では塩分の過剰摂取が問題とされることが多いが、中でも知らず知らずのうちに体内に取り込まれる「隠れ塩分」の摂取量について専門家等による指摘が集まっている。
調理時に加える塩分については、その分量についての認識を持ちやすいが、市販のパンや加工食品などに最初から含まれている塩分については、その量について認識せずに消費していることが多い。
その結果として、必然的に塩分の過剰摂取が生じることとなるが、スペイン安全栄養庁が、一日の塩分摂取量としては5グラム(ティースプーン1杯)未満にすべきであるとしているのに対し、スペインにおける平均摂取量は9.8グラムに及んでいるとのこと。
この悪習の改善策の一つとして、日常の食生活で継続的に消費されているパンに含まれる塩分を減らすことが義務付けられる事となった。

これにより今週金曜日以降、販売されるパンの全てにおいて、パン100グラム中に含まれる塩の量は最大で1.31グラムまでとなる。
また、塩の量ではなく、塩化物全体として計算するのであれば、パン100グラム中に含まれる量は1.66グラムが上限となる。
よって今週金曜日以降、これまでと同じ店で同じパンを購入した場合であっても、「味が薄い、物足りない」と言った印象を持つことになるが、健康維持のための対応として慣れる必要があるであろう。

経済成長率見通し、7%から4.5%へ

今年2022年のスペイン経済成長率について、政府は昨年12月時点の見通しとして+7%と言う数字を打ち出していたが、昨日、スペイン銀行が発表した報告書では、政府予想より2.5ポイントも低い4.5%となっていた。
スペイン銀行がまとめた2022〜2024年の見通しによると、国内総生産がCovid19危機以前のレベルに戻るのには2023年の第3・四半期までかかるとしており、インフレ率についても政府予想では2022年末で3.7%に達するとしていたのに対し、今年7月には10%前後に、そして年平均でも7.5%に至るとしており、そのあと2023年に入って平均2%まで、2024年になってようやく1.6%まで下がると予測している。
また、2023年の経済成長率についても政府予想の7.3%に対し、スペイン銀行の予想では2.9%となっている。

政府が予想値を算出した後にウクライナ危機が勃発し、世界経済全体への影響が出たということも政府とスペイン銀行によるそれぞれの予測値に大きな差異が生じたことの大きな要因の一つとなっていると考えられるが、いずれにせよスペイン経済の回復は、まだまだ長期的な視野を持って受け止める必要がありそうだ。


2022年4月5日(火)

西サハラ問題

ペドロ・サンチェス首相が、政府閣僚会議すら通さずにモロッコによる西サハラ領有権を認める旨をモロッコ国王、モハメッド6世宛て書簡にて伝えたことについて、スペインでは全野党だけでなく、PSOEと連立政権を組むPODEMOS党や首相が所属するPSOE内からも強い非難の声があがっている。

これまでスペインは、西サハラのあり方については国連が示す姿勢と同調する形を維持して来た。
それはつまり、彼等が独立国家となりたいのか、モロッコ他、他国の一部としてとり込まれることを望むのか、西サハラの住民の意思を尊重すべきであると言ったもので、この決定は唯一、全住民参加の投票による自決によってのみ行われるべきであるとするものだった。
ところが、この民族自決主義と基本的人権保障の擁護を掲げていた国としての姿勢を覆すような決定を、首相の一存と言われても仕方がない形でモロッコに伝えたことにより、政府、特に連立政権の中心となっているPSOEの国会議員、そして国民全体の信頼度が大きく揺らぐ結果を呼んでいる。
先週の国会で同件について全ての野党、そして連立政権を組むPODEMOSからもその説明を求められたが、サンチェス首相はこれに対し、「米国やヨーロッパ諸国と足並みを揃えて1歩前進したのであって、スペインは何もこれまでの姿勢を変えたわけではない。今は、ウクライナで起きている惨事に対応するために全ての政党が一致団結して立ち向かうべき時だ。」と答えただけで、これによって納得した政党はひとつも無かった。

サンチェス首相は間もなくモロッコへ飛び、西サハラのモロッコ領有承認についてのサインを行なう予定となっているが、その前に本日の国会で、この首相の独断とも言える決定に対する賛否を問う投票が予定されており、ここで全野党、そして政権の一部を担うPODEMOSまでもが反対票を投じる可能性が高く、更にはPSOE所属議員内にも反対票を投じる者が出ることもあり得る。
民族自決権の尊重は、バスクやカタルーニャなど、歴史的な民族問題を抱えているスペインだけに、今回の西サハラ問題への対応はPSOEにとって大きな傷跡を残すことになりそうだ。

燃料費支援をガソリンスタンドが建て替え、休業へ

トラックやバス、タクシーなど、輸送業車両に対する経済支援として政府が打ち出した「燃料1リットル当たり20センティモの援助金制度」は今月頭より有効となっているが、その金額を実際に負担しているのは、その場で割引を行なっている各ガソリンスタンドであって、政府ではない。
政府は、予想販売額に応じた必要な割引金額を予めガソリンスタンドへ支給するとしていたが、実際にはこれが行われておらず、小さなガソリンスタンドでもその立て替え金額がすでに4000ユーロに達しているところもあり、資金不足のためこれ以上の営業を続けることが困難となり、閉店に追いやられるところが増えている。
100か所以上のスタンドを経営する大手Petroprix社は、最初の4日間ですでに100万ユーロ近くの建て替えを行なっているとのこと。
全国に11.650か所あるガソリンスタンドの内、約4000が所属するガソリンスタンド企業連からは、『いつ』政府から返金してもらえるのかではなく、『本当に』返金してもらえるかすら判らないようなものをこれ以上建て替える訳には行かないとして、政府による早急な対応が無ければ、スペイン全国におけるガソリンスタンド閉鎖と言う深刻な問題につながるとの警告が発せられている。


2022年4月4日(月)

Covid19: 室内でのマスク着用義務、間もなく解除か?

来る4月6日にトレドにおいて全国保健会議が行なわれる。
オン・ラインによる会議では無く、保健大臣と全州の保健局長が出席しての会議となるが、ここで現行の室内におけるマスク着用義務を継続するか否かについての協議が予定されている。
政府の思惑は、間もなく4月10日に始まるセマナ・サンタ休暇に向け、少なくとも多くの州で連休が開始となる聖木曜日(4月14日)までに義務解除を行なうことと思われるが、すでに医療専門家等の間では、これに対し「現時点では感染拡大を促す危険な判断」であるとの指摘が行われている。
また、この協議に先立ち、保健緊急時調整センター所長のフェルナンド・シモン氏は、マスク着用義務の解除を進めるにあたって各州で数週間前に設置された感染症拡大状況監視専門チームに対し、「セマナ・サンタ休暇前に着用義務の解除を行なう事を適切な対応と考えるか」と言った問いを行なったところ、全州一致で「早すぎる。解除 はセマナ・サンタ休暇が終わったあと、その時の状況を見て行なうべき」との返答を得ている。

セビージャ春祭り、労働法改正により開催危機に

現連立政権のPODEMOS側が中心となって進めた労働法改正案が可決されたあと、去る3月31日より新労働法が施行されることとなったが、これがスペイン三大祭りの一つとして知られるセビージャ春祭り開催の大きな障害となっている。
今年のセビージャ春祭りは5月1日から7日までの予定となっているが、開催時期まで1カ月を切った今になっても、その会場に設置される1000軒以上のカセタで働く従業員の確保が難航している。

この2年間、Covid19の影響でスペインでも多くの祭りが中止となり、開催地の地元民は再び開催出来る日を楽しみにしていたが、3年目にしてようやくその念願が叶おうとしているところへ、予想外の障害となって表れたのがこのPODEMOS発の新労働法であった。
これにより労働者の権利を守るための改正が行われたわけだが、アンダルシアのフェリア飲食業協会は、そこには一般的、継続的な状況における労働条件の改善のみが組み込まれており、お祭り会場のように「一時的であり特別な状況」における労働条件についての例外的な扱いについての考慮がなされていないと指摘している。

世界的に広く知られるようになったセビージャの春祭りでは、約1週間の間、その会場で連日に渡って一晩中カセタが営業されており、そこで「飲んで歌って」と言ったお祭り気分を楽しむことが出来るが、この間、1000軒以上立ち並ぶカセタで働く人々には、労働法が定めるところの労働時間の規制などは適用されていなかった。
よって、交代で休憩をはさみながら1日の労働時間が14時間に及ぶことも普通とされていた。
ところが、今回の労働法改正によりこれが禁止となり、更には違反行為が無いかどうかについての労働局による巡回が行なわれることとなるため、春祭りと言った特殊な行事であるにも関わらず、労働時間は最長で8時間まで、そして8時間労働の間には少なくとも12時間以上の休息が必要、と言った「一般的な規制」の適用が義務付けられる事となる。
これらの条件を満たすためには、各カセタが交代制で少なくとも2つの従業員チームを契約する必要があり、これまでのような予算では、カセタの運営は不可能となる。

こう言った状況を受け、1000軒以上あるカセタの80%をその管轄下に持つアンダルシア・フェリア飲食業協会は、労働基準法についてのフェリア会場における例外的措置を求め、春祭り開催期間に合わせる形で4月30日から5月7日までの期限付きストライキを発表した。


2022年4月2日(土)

PP: アルベルト・ヌニェス・フェイホー新党首誕生

昨日と今日の二日間に渡り、セビージャでPPの第20回全国集会が行われており、その中で本日、アルベルト・ヌニェス・フェイホー氏がPPの新党首として承認される。
今回の党内選挙ではフェイフォー氏が唯一の立候補者であり、党員の90%以上の支持率を得ての出馬であることから、その承認は事実上、投票が行われる前から誰もが了解済みのことと言える。
パブロ・カサード前党首とイサベル・ディアス・アジューソ マドリッド州知事との間に見られた諸問題が原因となり、カサ―ド氏が身を引かざるを得ない状況となったことにより前倒しで行われることとなった党首選だが、昨日の集会でカサ―ド氏は党首として最後の演説を行ない、その中で新党首率いるPPの今後の活躍を祈ると共に、自身の国会議員としての任も、PP党内役職の任についてもその全てから退くことを伝えた。
このカサ―ド氏の個人的な決定については、すでに一部で報道されていたが、昨日の集会の中で、当人によって再確認されることとなった。


2022年4月1日(金)

社会保障制度赤字額、111億9200万ユーロに

国民年金、社会保険などを担う社会保障制度収支は、2021年度期終了時点で111億9200万ユーロの累計赤字となった。
これは国内総生産の0.93%に相当する額であるが、2013年以降の最少値となっている。
2021年における赤字額減少の直接的原因としては、新型コロナ危機による経済危機からの回復過程における雇用増加が挙げられる。
雇用回復により国民年金、社会保険料の支払いを再開出来た人が増え、これによる収入が2021年には前年度に比べ120億ユーロ(10%)の増加となった。
尚、社会保障制度が担う出費の多くを年金の支払いが占めていることから、年金受給者人口の増減がその収支のバランスを大きく変える事になるため、2020年、2021年と新型コロナ危機による高齢者の死亡が相次いだことによる影響があったことは言うまでもない。

ディーゼル料金、初めてガソリン料金を上回る

燃料費の高騰が続く中、ディーゼル料金がガソリン料金を初めて上回ると言う現象が起きた。
ディーゼル燃料はロシアからの輸入への依存度が高いこともあり、今回、異例の値上がりがあったと見られる。
先週と比較してガソリンは0.28%の値上がりとなり、1リットルの平均価格が1.818ユーロとなったのに対し、ディーゼル価格は2.26%の値上がりとなり、1リットルあたりの平均価格が1.837ユーロまで高騰した。
現時点ではロシアからヨーロッパへのディーゼル燃料の輸出が絶たれた訳ではないが、ウクライナ危機勃発前と比べるとその輸送頻度が下がっており、これに伴って輸送量が減少し、価格高騰へとつながっている模様。


2022年3月31日(木)

3月のインフレ、10%近くに

後日、正確な数値での公式発表があるが、昨日、国家統計局によって先行発表された仮集計によると、今年3月の前年度比インフレ率は9.8%と、二桁台に乗る直前にまで達したとのこと。
2月時の7.6%に比べて更に2,2ポイント増となっており、1985年に9.9%に達した時以来の最高値を記録した。
また、2月と3月での月間比で見た場合も3%の上昇となっており、月間増加率としては2002年以降の最高値となる。
これで月間比の増加傾向は2021年3月以降、唯一8月に0.8%の後退があっただけで、それを除けば13カ月に渡って続いており、特に低所得者にとっては毎日の食生活にも深刻な影響が出つつある。
昨日の国会で、ペドロ・サンチェス首相はこの急激なインフレについて、「3月に見られた前年度比9.8%の物価高騰の73%がウクライナ危機が原因である」として政府の経済政策が原因では無いと弁明している。


2022年3月30日(水)

家賃の値上げ、2%を上限に

Covid19危機によって後退した経済が充分に回復する間もなく、ウクライナ危機による影響がスペイン国民の家計を締め付ける中、政府は様々な対応を求められているが、経済対策の一環として賃貸住宅の値上げ率に上限が定められる事となった。
住居費は最も基本的な経費の一つであるため、これによる家計への負担が急増するのを防ぐための対応であり、ウクライナ危機下における一時的な対策として、当面は6月30日までの期限付きで施行される。
通常、賃貸料の値上げはインフレ率を反映する形で行われることが多いが、この期間に住居の賃貸契約がその更新時期を迎える場合、インフレ率とは関係なく、その値上げ幅は2%以内に抑えられる事となる。
ただし、これが完全に義務付けられるのは10軒以上の賃貸物件、または1500平米以上の住居物件を持つオーナーとされ、それ未満の規模の家主については、2%以上の値上げについても交渉する事は可能としており、交渉の結果、同意に至らない場合は2%の上限が適用されるとのこと。
不動産業界は、期限付きの一時的な措置であるとしてこの法令を施行しておいて、実際には7月以降も延長、そしてそのまま定着してしまうのではないかとの懸念を隠せない模様。


2022年3月29日(火)

Covid19: 屋内でのマスク着用義務の廃止について警鐘

政府は4月6日に予定されている全国保健会議で、バルの店内など、屋内におけるマスク着用義務の廃止について協議する予定としているが、これについて医療界から時期尚早として警告の声が挙がっている。

スペインでは感染拡大防止措置として取られて来た数々の規制が解除され、社会生活が新型コロナ危機以前の状態に戻されつつあるが、この規制緩和と共に感染拡大状況に明確な変化が見られ、しばらく続いていた減少傾向から増加傾向に転じている。
先々週の新規陽性確認数が100.666名であったのに対し、先週は127.000人と27.000人の増加となった。
地方別に見た場合、感染状況が最も悪化しているアラゴン、カタルーニャ、カンタブリアなどでは大きな増加は見られないが、その他の全ての州で増加している。
この増加に転じたタイミングでの「屋内におけるマスク着用義務の廃止」は、感染拡大第7波につながる可能性が極めて高いとして、今はまだその時期ではないと判断する専門家が多い。

政府による「新型コロナの風邪扱い」と「それによる強引な平常化」は、4月のセマナ・サンタ休暇をはじめ、各種春祭り時期の到来に向け、経済活動を活発化させることが狙いと思われるが、ワクチン接種が最優先された高齢者などは、3度目の接種を受けてからすでに半年が経ちつつあり、彼等の間での感染も拡大しつつあるのが現状である。
今、どのような政策を取るか次第で状況が急変する可能性が高く、それによって春、そして夏のバカンスシーズンがどう言った状況になるかが左右される、として医療界より警鐘が発せられている。

輸送業界ストによる影響、大きく緩和

輸送業によるストライキは3週目に突入しているが、先週、政府と大手労組との間で合意が得られて以来、ストの勢いは弱まりつつある。
今回のストは自営業者や小企業主などによって始められたものだが、政府との協議に参加したのは中・大規模企業組合だけで、そこで得られた同意には小規模営業主が必要としている対応が含まれていない、としてストは継続されている。
しかしながら自営業者の中にもストを終了した者が多く、自営業者協会によれば、自営業として輸送業に従事する約207.000人のうち、すでにその95%が営業を再開しているとのこと。
これにより、首都マドリッドでは去る週末における輸送業の稼働率はストライキ以前とほぼ変わらない程度にまで回復したとの報告があるが、アストゥリアス、ガリシア、バスクなど、今も大きな弊害が残っている地方もある模様。


2022年3月28日(月)

インフレによる家計への圧迫深刻化

エネルギー費の継続的な高騰、ウクライナ危機、運送業界によるストなどが重なったことによる急激な物価上昇が続いており、スペイン国民の家計の圧迫が深刻化しつつある。
ある調べによると、生活必需品の価格が今年1月に3%の高騰となり、2月には3.9%、3月にはすでに6%を越えており、この約3カ月で13%の値上がりを見せている。
国家統計局の試算によると、一般的な家庭における生活必需品を得るための年間経費は、約3000ユーロの増加になるとのこと。
年間インフレ率として見た場合、今年2月のインフレ率は7.6%と過去30年間における最高値に達し、EU平均より1.4ポイント増、ユーロ諸国平均より1.7%増となっており、近隣諸国の中でもスペインにおける物価高騰率は高い数値となっている。
また、この値上がり傾向は今後も続き、年内には二桁台に達するとの予測もある。
主要都市の中央市場における卸値は、ロシアのウクライナ侵攻前と比べると、玉ねぎの場合で43.8%、トマト35%、インゲン豆31.5%、レモン26.1%、カリフラワー25.9%、洋ナシ19.3%、ジャガイモ14.4%、豚肉12.4%などの値上がりが見られ、燃料費の高騰により先日まで続いた漁業組合によるストによる影響もあり、メルルーサやカタクチイワシ、舌平目など、ほとんどの魚類で1キロ当たりの値段が2週間前と比べて5〜15ユーロの値上がりとなっている。


2022年3月27日(日)

Covid19: 明日以降、軽症の新型コロナはインフルエンザ扱い

スペインにおけるCovid19の扱い方に急速な変化が生じており、今月1日から 感染者との濃厚接触者についての隔離義務が無くなったのに続いて明日、28日からは感染者であっても軽症者、無症状者についてはその隔離義務が廃止される。
またCovid19に感染している可能性が高いと思われる場合であっても軽症や無症状の場合、国の健康保険制度による抗原検査やPCR検査を受けられるのは 60歳以上の年令層、免疫疾患を持つ人、妊婦、そしてそう言った人々と接する職場で働く人々に限られることとなり、それ以外の人については感染しているかどうかの確認が行われることも無くなる。
これによりCovid19をインフルエンザと同程度の扱いにするのが政府の意向と思われるが、専門家の中には「急ぎ過ぎであり危険」との指摘も見られる。
政府によると明日以降、感染者であっても軽症者、無症状者は普通の生活を続けることが可能で、特に感染による危険度の高い人々と接する職種でない限りは出勤も可能とのこと。
ただし他人への感染を抑えるため、マスクの着用を、そして可能であれば在宅によるテレワークを推奨している。
感染したと思われる子供達の登校についてはインフルエンザなど他の感染症と同様に、常識的な判断として休ませるべきとしているが、休ませることを義務付けてはいない。
その他、サッカー観戦や集会など、大勢の人々が集まる場へ足を運ぶことは避けるべきとしているが、これについても禁止しているわけでは無いため、今後、感染が広がる可能性は高く、特にワクチンを受けていない人はこれまで以上に注意が必要と言えよう。


2022年3月25日(金)

運送業スト: 燃料1リットルにつき20センティモの支援

運送業界によるストライキは今日で11日目となる。
政府がこの抗議運動を無視する形でスト開始後の1週間が無駄に経過し、その後、事態の深刻化に対応を余儀なくされた政府は、運送業界との協議を持つこと無しに、一方的な形で僅かばかりの支援金の支給を発表した。
しかしこの対応が受け入れられる事は無く、その結果としてスペイン国内の物資流通に大きな弊害が生じている。

そう言った中、スト開始後10日目になった昨日、ようやく政府と運送業界大手労組との協議の場が持たれた。
協議は12時間に渡り、昨夜、夜中0時になっても終ることは無く、午前2時15分まで続き、ようやく合意に至った。
協議における決定事項は多数あるが、今回のストを終わらせるための直接的な対応と、受け取れる経済的支援は次のとおりとなっている。
高騰する燃料について、その経費を削減するための支援として燃料1リットルあたり20センティモの支援が行われ、その内、15センティモは政府予算が負担し、残り5センティモは石油業界による負担となる。
これによりディーゼルを使用する一般的なトラック1台につき、月額約700ユーロの経費軽減になるとのこと。br> この支援は7月末まで続けられ、その後、必要に応じて延長の可能性も残されており、対象となるのは貨物運送業界だけでなく、タクシー、バスなど旅客運送業も含まれる。
またこれとは別に、業界へのより直接的経済支援として4億5000万ユーロが充てられ、これによりトラック1台につき1250ユーロ、バス1台につき950ユーロ、ワゴン車500ユーロ、タクシー、VTC、救急車などにも1台につき300ユーロの支援が行われる。

これらの合意により、政府は運送業界によるスト問題の終了としているが、同ストを進めて来た運送業界内少数派グループは、政府との協議への出席すら認められておらず、彼等と政府との間での直接的な協議の場が持たれない限りストは続行すると警告している。


2022年3月24日(木)

空港の出入国審査混乱の兆候

Covid19危機によって外国人旅行者数が激減したことに伴い、スペインの全空港でパスポートコントロールを行なうスタッフ数が減らされていたが、徐々に旅行客が増えつつある今も、その人数は削減されたままの状態となっており、その結果として円滑な出入国審査が行なわれていないと言った問題が報告されている。
出入国審査における人員不足に加え、Brexitによりスペインを訪れる多数のイギリス人がEU諸国民ではなく第3国からの訪問者としてパスポートコントロールを受けなければならなくなったことも、この混雑に大きな影響を与えており、特にEU以外の諸外国からの旅行者の出入りが多く見られるマドリッド、マラガ、アリカンテ、カナリアス、バレアレスなどの空港で問題が表面化し始めている。
すでにマラガの空港ではパスポートコントロールを通過するのに1時間半を要すると言う状況が報告されており、まだハイシーズンでも無い現在でこの状況では、間もなくやって来るセマナ・サンタ休暇、そして夏のバカンスシーズンにとても対応出来るものでは無いとして、航空会社協会ALAは早急なる対応を求めている。

Covid19により肥満児が増加

Covid19危機が始まって以来、スペインでは子供達の肥満が増加しつつある。
学校閉鎖や外出規制などにより各家庭で過ごす時間が増えたことによる運動不足、ストレスの増加、また、登校しないことにより起床時間や食事の時間、就寝時間など生活のリズムにおける規則性が保てなくなったことなどが大きく影響したと考えられているが、その結果として、最近の調査ではスペインの6歳〜9歳までの児童の内、17%が肥満域に達しており、肥満とまでは言えないが「太り過ぎ」とされる児童が23%に達しているとのこと。
Covid19による様々な行動規制が姿を消しつつある今、この2年間に定着してしまった様々な不健康な生活習慣を改善し、子供達の健康管理により注意を注ぐ必要があると言えよう。


2022年3月23日(水)

ラ・リオハで天然ガス採掘調査を再開

スペイン政府は、ガス確保が外交における重要課題となっている今、ラ・リオハ州ソテスにあるビウラ鉱床の追加採掘調査の再開を、2023年11月12日までと言う期限付きで認可した。
ビウラ鉱床はログローニョから約12キロ地点にあり、少なくとも3BCM(30億立法メートル)以上の埋蔵量があるとされており、大きな埋蔵量とは言えないが、ラ・リオハ州の5年分の消費量に匹敵する。
同地域の採掘調査は1950年代に始まり、第1回調査ではガスの存在を確認することが出来ず失敗に終わった。
その後2009年から2010年にかけて行われた調査では、更に調査を続行する価値が充分にあると判断されるだけのガス量が確認され、2013年から2014年にかけて先の採掘現場から1.3キロ離れた地点を調査し、鉱床の周囲への広がり状況の確認が行われたが、この時にも採掘調査続行を促すのに充分なガス量が確認された。
その後、2019年に新たな追加調査の認可があり、その準備が始まっていたが、Covid19による世界的な異常事態により続行が不可能となっていたものである。

運送業ストにその他の業界が合流

運送業界によるストライキは今日で10日目に入り、この影響ですでにスペイン全国の流通が麻痺状態となり、スーパーや市場から一部の食品や日用品が姿を消すなど、国民の日常生活に大きな影響が出始めている。
ストの主な原因は燃料費の異常な高騰による運送業者の経営難だが、彼等と同様に燃料費高騰の影響を受けている他の業界もストライキに同調しつつある。
来る日曜日には、タクシー、救急車、旅客バスなどの業界による大規模デモが予定されており、更には故障車などの移動サービスを行なうレッカー車業界も本日よりスト参加を表明しており、約2500台のレッカー車がサービスを中断する模様。
これにより、すでに運送業者の大型トラックによる交通妨害で混乱をきたしているスペイン全国の車道では、更にその状況が悪化することが予想される。


2022年3月22日(火)

運送業スト拡大

先週月曜日に始まった運送業のストライキは今日で9日目に入るが、ここで大きな変化が生じた。
これまで、このストライキを行なっていたのは小規模企業や個人営業主など、運送業界の中における少数派だけであったが、業界内2番目の規模を持つ運送業連盟FENADISMERを含む大手組合も本日から参加を表明し、ストの規模は更に拡大することが必至となった。

ストが始まって1週間も経たないうちに、すでにスペイン全国での物資流通に大きな問題が生じており、全ての食料品を含む生活必需品の供給に弊害が見られる。
少数派によるストであっても、彼等の大型トラックが総出動して主な主要漁港や主要都市の中央市場付近、主要国道などの交通妨害を行なったり、ストに参加せずに営業を続けようとするトラックに対する攻撃を加えたりすることによって、スペイン全国の流通に致命的な被害を与えるに至っており、政府がこの少数派のみによるストライキ を余りにも軽視していたことは明白である。

政府に対し各方面から迅速な対応を求める声が高まる中、政府は「小規模企業や個人営業主などの連盟は、同業界の代表とは見なさない」として彼等と話し合いの席につくことを拒み続けており、彼等との協議を行なう代わりに、多数のパトロールカーを出動させ、営業を続けようとする運送会社のトラックを護衛するなど、力づくでストによる効果を減少させようと試みた。
また、政府は少数派との協議の場を持つこともなく、高騰した燃料費支援金として5億ユーロの経済的支援を一方的に発表したが、ストを先導した少数派グループはこれを善しとせず、スト続行を発表した。
これら全ての一方的な対応が逆効果に終わり、少数派グループのストへの士気はより高まり、そして大手組合参加(5万台のトラック)によるスト拡大へつながることとなった。

フェイホー氏、PP史上最高の支持率で党首選へ

PP新党首として唯一の立候補者となっている現ガリシア州知事のアルベルト・ヌニェス・フェイホー氏に対する承認投票は、4月1日・2日に予定されているが、昨日、それに先立つ二つの投票がスペイン全国のPP支部で行われた。
一つはフェイホー氏を候補者として推すかどうかの投票、そしてもう一つは、4月頭にセビージャで行われる承認投票に出席する各支部の代表者を決める投票であった。
フェイホー氏を次なるPP党首の候補者として支持するかどうかの投票は、全PP党員の中の88.05%が投票を行ない、その内の99.63%が賛成票を投じ、PP史上最大の支持率となった。


2022年3月21日(月)

PSOEとPODEMOSの関係悪化

最近になって、連立政権を組む2党、PSOEとPODEMOSの関係悪化が急速に進んでいる。
まずその大きな要因となったのがウクライナへの武器提供で、PSOE所属のペドロ・サンチェス首相が武器提供は人道的支援であり正しい決断であると演説する一方で、PODEMOS所属のジョランダ・ディアス第2副首相は戦争への武器支援は決して行なうべきものではない、と与党内で正反対の演説が行われ、政府としての姿勢に一貫性が見られないとして各方面から非難の声が殺到した。
続いて防衛費予算の増強決定についても、PSOEの一存で決められたことで、あくまでも戦争に否定的な姿勢を示すPODEMOSとの間で大きな確執が生じている。

そして、続けて生じたこれら2件の不一致による関係悪化に油を注ぐような出来事が、先週末に起きた。
これがペドロ・サンチェス首相の一存による西サハラについてのモロッコ領有権の承認で、この決定について、PODEMOS陣営はモロッコ政府による発表により知ることとなった。
それまでPODEMOSのイオネ・モラダ党首、ジョランダ・ディアス第2副首相、各大臣など、同党所属の閣僚達に対する一切の事前通達が行われておらず、事実上PSOEの独裁的政治が行われたことになる。

これら連続して起きたPSOEによるPODEMOSを無視した行為によって、両党間の関係は急速に悪化しており、現連立政権の土台が大きく揺らぎ始めている。
今回のスペイン政府による西サハラのモロッコ領有権承認は、スペイン政府が違法移民問題などで悪化していたモロッコとの関係の修復を大きな狙いとしたもので、これを行なった直後、10か月間、スペインに不在となっていたモロッコ大使が再びマドリッドに着任した。
そして同時にモロッコと国交断絶状態にあるアルジェリアは、スペインのアルジェリアへの、そして西サハラ住民に対する裏切り行為であるとして、スペイン駐在アルジェリア大使を本国へ呼び戻すと同時に、スペインに対し、 西サハラについての中立的姿勢への復帰が見られるまで、両国間の危機が続く事を警告した。
尚、昨年、スペインで消費された天然ガスの43%はアルジェリアからの輸入に依存しており、エネルギー危機に直面している今、アルジェリアとの関係悪化がもたらし得るエネルギー危機の悪化が懸念されている。

新道路交通法、本日より施行

本日より施行となる新道路交通法により、様々な変更が生じるが、主なものは以下のとおりである。

*運転中に携帯電話の使用を行なった場合、罰金はこれまでの200ユーロが維持されるが、免許証の減点ポイント数がこれまでの3から6へと変更。

*シートベルト、乳幼児用シート、ヘルメットなどの着用義務を怠った場合や、適切な形での使用が行われていなかった場合、罰金はこれまでの200ユーロが維持されるが、減点数が3から4へ引き上げ。

*自転車やバイクなどを追い越す際、進行方向の車線が2つ以上ある場合は必ず隣の車線に入って追い越すことが義務となり、2つ以上無い場合は、安全確保のため1.5メートル以上の距離を保つことが義務付けられる。これを怠った場合の罰金は200ユーロで減点数は4から6へ引き上げ。

*車窓からのポイ捨てについては、事故を引き起こす可能性やタバコの吸い殻などにより火事の原因となり得ると判断された場合、500ユーロの罰金が課せられ、減点数もこれまでの4から6へと引き上げられる。

*18歳未満の運転(4輪車、2輪自動車、自転車、障害者用電動椅子、スケートボード、キックボードなどを含む)について、酒気帯び運転の基準値はアルコール血中濃度0.0%とされ、アルコール、麻薬、覚せい剤などの服用と運転との共存は全面禁止とされる。

*追い越し・追い抜き時の最大速度は従来の「制限速度+20キロ」が廃止となり、制定された制限速度までに変更。

*速度違反測定妨害を目的とした機器について、それが接続されている、いないに関わらず、車内に設置していたら違反行為と見なされ、3ポイントの減点、200ユーロの罰金となる。


2022年3月20日(日)

スペイン政府、モロッコによる西サハラ領有権を承認

かつてのスペイン領、西サハラは1975年末にスペインが撤退したあと、モロッコとモーリタニア両国による領有権争いとなり、1979年にモーリタニアが身を引いたあと、その最西部を除く全地域がモロッコの支配下となり、最西部はサハラ・アラブ民主共和国と称される国連非公認の勢力圏となっている。
この最西部はモロッコによる支配を避け独立国としての道を歩むべく活動を続けるポリサリオ戦線の勢力下にあるが、昨年、アメリカのトランプ大統領がモロッコによる領有を認め、欧米諸国としては最初の承認となり、それにドイツが続いた。
モロッコ政府はスペイン政府に対しても同様の承認を求めていたが、スペイン政府は国連の姿勢に同調する形を維持し、承認に踏み切ることはなかった。
ところが昨日、突然、モロッコ王国より、スペインによる西サハラのモロッコ領有権の承認があったとの発表があり混乱を呼んでいる。
スペインの一般市民の間だけではなく、スペイン政府閣僚の間にもその混乱が広がっている。
モロッコ王国からの発表を受け、各方面からその真意について問われたスペイン政府はこれを肯定し、スペイン国家としての「西サハラ=モロッコ領」の承認が正確な情報であると再確認されたが、スペイン現政府の閣僚の中でも、PSOEと連立政権を組むPODEMOS側の閣僚等には一切、知らされていなかった。
これにより、政府内における両党の分裂は更に深刻なものとなることが予測される。
また、最近、モロッコとその隣国アルジェリアとの関係悪化により両国間の国交が断絶となり、これに伴ってアルジェリアからモロッコを経由してスペインへ供給されていた天然ガスの供給が絶たれている。
それを補うために、アルジェリアからスペインへ直接送られるガスの供給量が増加されており、これがスペインの、またスペイン以外のEU諸国におけるロシアからのガス不足問題緩和の一つの鍵となっているが、今回のスペインのモロッコ政府への肩入れが原因となり、アルジェリアとの関係が大きく悪化する可能性が指摘されている。
ペドロ・サンチェス首相率いるPSOEはモロッコ領有権承認について、予めアルジェリア政府に通知済みであったとしているが、アルジェリア政府は「突然の驚くべき発表である」として、在マドリッド・アルジェリア大使の本国への召喚を命じた。
西サハラの扱いについては、スペインがその領有権を放棄したあと、46年間にわたって中立的立場を維持して来たと言う歴史があるが、その歴史に終止符を打つ大きな決断が、閣僚会議すら通さず、PSOEのペドロ・サンチェス首相の一存によって下されたことについて、他の全政党から強い批判の声があがっている。


2022年3月18日(金)

運送業者ストにより流通悪化

今週の月曜日に始まった運送業による無期限ストは、ウクライナ危機による物資流通の悪化に拍車をかけた。
スペインの食料品スーパーでは、すでにウクライナから大量に輸入されている農業製品に由来する商品の売り切れが目立ち始めているが、これに加えて、今回の運送業ストによる影響でスペイン国内で生産されるものについても その供給に大きな弊害が生じている。
ストそのものは、大手労組が参加していないことなどから大規模なものとはなっていないが、ストに参加しないトラックなどがスト参加者による暴力的な攻撃を受け、営業を続けられない状況が続いているため、製品の生産過程そのものに問題が生じている。
漁港からは魚を積んだトラックが出られず、酪農家からは原乳が出荷出来ないと言った状況が続いており、漁船は漁に出るのをやめて停泊したまま、酪農家は出荷できない原乳の廃棄を余儀なくされている。
乳製品業界はこの状況が明日まで続いた場合、食料品スーパーの棚から牛乳が姿を消すと警告している。
家畜用飼料についても、仕入れが不可能となり家畜が死なないよう、牧場主が自家用車で仕入れに出ると言った状況に陥っているとのこと。

カタルーニャ独立派勢力、大きく後退

カタルーニャの社会学研究所が昨年11月から12月にかけて行なったアンケート調査によると、カタルーニャの人々の53%が独立に反対としており、賛成と答えた人は38%にとどまった。
昨年の調査では両者間の差が僅か4ポイント、一昨年は同じポイントで並んでいたが、独立反対派が15ポイントの差をつけて独立賛成派を上回ったのは、近年、独立運動が激化して以来初めてのこと。
また、今後のカタルーニャの在り方としては、現行のままスペイン国内における一つの自治州とするのが最適であると答えた人が34%で、最も多かった。


2022年3月17日(木)

マドリッドのタクシー68台、ウクライナ避難民を乗せて今朝到着

今朝、日付が変わり午前1時になった頃、マドリッド市に68台のタクシー群が到着した。
ウクライナ国民135名を伴っての到着だった。

これら68台のタクシーは、マドリッドの個人タクシー運転手等が運転するもので、ウクライナ危機への救援活動への参加を思い立ち、それを成し遂げた勇士等の凱旋である。
ウクライナでの惨事を見て、自分達に出来る事は何かと考えた時に思いついたのがタクシーを使っての物資の輸送、そして避難民の脱出の手助けだったとのこと。
これに賛同したタクシー運転手68名が、それぞれの車の内外部に、スペイン国内で集められた救援物資を積める限り積み込んでポーランドへと向かった。
ポーランドで積み荷を降ろしたあと、そのまま引き上げることは無く、ポーランドまで避難して来たウクライナの人々でスペインへ移動したい人々の移送の手助けを買って出た。
こうして乳幼児、子供、高齢者を中心に計135名の避難民を乗せたマドリッドのタクシー群は、ヨーロッパの東の果てから西の果てへと向かった。
マドリッドに到着する旅の最終日の走行距離は1400キロ。
マドリッドを出発してから戻ってくるまで、往復6370キロの道のりであった。

昨日中の到着とはならず、日付が変わり、今朝の1時過ぎになってようやくマドリッドに到着。
彼等の到着を歓迎しようと、マドリッドのタクシードライバー達がそれぞれの車を出し、オドネル通りからシベレス広場にかけてのタクシー・バス用車線に車を並べ、その到着を待っていた。
長旅を終え市内中心部へと入って来た135名のウクライナ避難民、そして彼等をここまで無事に運んできた運転手等に対し、クラクションによる大合奏、そしてスペインへの歓迎と励ましの言葉を投げかけた。
避難して来た人々には勿論、タクシー仲間等によるこの思わぬ大歓迎を受けた運転手等にとっても、生涯忘れる事のない瞬間になったとのこと。

マドリッドに到着したウクライナの人々は、「平和の使者協会」の創立者であるアンヘル神父が待つ、Hortaleza通り63番地にあるサン・アントン教会に導かれ、そのあとマドリッド市やその他の都市のそれぞれの受け入れ先家族の元へ向かった。


2022年3月16日(水)

バジェ・デ・ロス・カイードス(戦没者の谷)の十字架、世界最大として認定

マドリッド市から約54キロ地点にあるバジェ・デ・ロス・カイードスには、40キロ離れた所からでも見ることが出来る巨大な十字架があるが、この度、ギネスブックによって世界最大の十字架(高さ152.4メートル)としての認定を受けることとなった。
岩山の上に築かれたこの巨大な十字架の下には、岩山を掘って作られた礼拝堂や墓地があり、ベネディクト修道会の管理下にある。
スペイン内戦終了後に建設されたもので、十字架の手の部分は長さ46.4メートルあり、その内部にある通路は車が2台すれ違えるだけの幅を持つ。
ここにはかつて、独裁者フランシスコ・フランコが埋葬されていたが、2019年10月24日に独裁者の居るべき場所ではないとして、その墓は他所へ移された。
その後Podemos党などから、独裁時代のシンボルとも言えるこれらの記念碑は維持するに値しないとして、その取り壊しと、それに代わる民主時代を象徴する記念碑の建築を訴える声もあがっていた。

マドリッドで放射性機器が盗まれる

昨日、マドリッド州のウマネス市で、放射性機器が盗まれる事件があった。
盗まれたのはワゴン車に積まれていた土壌密度・水分測定器で、国際原子力機関による5段階の危険度分類(高1〜低5)では第4番目にあたる。
外見上の特徴としては、黄色く四角い箱型で上部には金属製の持ち手があり、メーカー名としてTroxlerと表記され、放射性物質であることを示すシールが貼られているとのこと。
箱の蓋を開けない限り人体への被害は無いが、開けた場合には放射能による被害が生じる可能性があるとして、核安全局はこう言った様相のものを見つけた場合は、すぐに当局へ連絡するよう警告している。


2022年3月15日(火)

防衛費予算、2%へ引き上げ

スペイン政府は、今月29日に行われる閣僚会議において、防衛費予算の大幅な引き上げを決定する予定としている。
スペインにおける防衛費のこれまでの推移を見ると、2015年度では国内総生産の1.27%、2016年度は1.14%、2017年度が1.23%、2018年度が1.25%、2019年度が1.23%、2020年度が1.4%となっており、現行予算も1.4%となっている。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ドイツ、フランスなど、すでに幾つかの国で防衛費予算の引き上げが決定されているが、NATOからの予算引き上げの要請もあり、スペインでも国内総生産の2%まで引き上げられる模様である。
これにより、政府予算における防衛費は年間112億7100万ユーロ増となる。
また、同じく今月29日の閣僚会議において、ウクライナ危機よって生じている急速なインフレによる国民生活への弊害を少しでも抑えるため、燃料・エネルギー費他、重度な影響を受けている業界や製品に対する税率の引き下げについても決定が行われる見込みである。

サハラからの砂、大量に飛来

去る日曜日より、空気中に混じったサハラ砂漠の砂がイベリア半島を覆い始めており、昨日にはスペイン各地で大量の砂混じりの大気により、赤く染まった風景が見られた。
しかし、気象局によると状況が最も悪化するのは本日の午後で、1立方メートルの大気中に含まれる砂の量が300マイクログラムに達する可能性もあるとのこと。
通常、40マイクログラム以上で人体に悪影響があるとされるため、気象局では不要不急の外出は避けるよう呼びかけている。
また、外出する場合は、対Covid19対策としてのマスク着用義務が無くなってはいるが、それとは別の意味でマスク着用を強く呼びかけている。


2022年3月14日(月)

ひまわり油不足により数週間後には生産停止企業続出か

ウクライナ危機が始まって以来、同国からスペインへの物流が滞り、これにより様々な農業製品の供給不足が生じている。
その中でもひまわり油不足は深刻な問題となっており、スペイン製と比べてより安価なウクライナ産ひまわり油は、すでに食品スーパーからも姿を消しつつある。
ウクライナ産農業製品は、船によりトルコのポスフォラス海峡経由でスペインへ大量に運ばれていたが、戦争勃発以降、この流通が途絶えたままとなっており、スペインで消費されているひまわり油の62%を占めるウクライナ産ひまわり油がスペインの一般市民へ与える日常生活における影響、そして食品産業へ与える影響は大きい。

スペインで消費されるひまわり油の年間消費量は、一般家庭での消費が193.200トン、そして食品工場やレストランなどで消費されるものが186.800トンに及んでいる。
Bimbo、Gullon、Nestleなどの企業が加盟している菓子類製造業の協会Produlceは、現時点では買い置きのひまわり油を使って生産を続けているが、小規模の企業だとあと2週間、大規模企業であってもあと4週間も今の状態が続けば、手持ちのひまわり油を使い切ることとなり、それ以上の生産続行が不可能になると言う。
また、世界最大のオリーブ産出国であり最大のオリーブ製品輸出国であるスペインではあるが、価格の違いだけでなく、その香りや味の違いから、これまでひまわり油を原料としていた食品の全てをオリーブオイル使用に変えることは不可能としている。
これら菓子類産業だけでなく、野菜の缶詰や瓶詰などの生産業界、海産物の缶詰業界などからも同様の警告が発せられており、ウクライナ危機の早期解決と共に、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカなど、他国からのひまわり油調達のルート確保が必要とされている。

運送業による無期限スト開始

本日、スペインのトラック運転手など運送業による無期限ストライキが開始された。
スペインの同業界主要労組の全てが協調してのストでは無いが、昨今の燃料費の急激な高騰に対する対応や労働条件改善を求めてのストが行われる。
スト開始に先立って、運輸・労働省に対し改善に向けての要求書を提出していたが、満足の行く回答を得られなかったため、通告どおり本日のスト開始となった。
燃料費の高騰についてはすでに深刻化しており、運送業界の90%以上(ほとんどが中小規模)が破綻状態にあるとのこと。
今回のストにより、経費を下回る料金でのサービス提供の法律による禁止、運転手による積載物の積み下ろし作業の禁止(運転手の労働条件向上のため)、積み下ろし作業に充てる時間を1時間に限定(積載地において無駄に待たされる時間を短縮するため)、全国の国道などに設置されている休憩所における運送業者用監視付き駐車スペ ースの充実、60歳での定年退職(危険を伴う職種であるため)他、様々な改善を求めている。


2022年3月13日(日)

インフレ率、10%近くに

物価高騰は留まるところを知らず市民の生活への圧迫が強まっている。
今年2月にはインフレ率が前年同時期比+7.6%と過去35年間での最高値に 達しており、地方単位で見た場合、カスティージャ・ラ・マンチャ州では9%に、 カスティージャ・イ・レオン州やアラゴン州で8.5%に、エクストレマドゥーラ州、 ラ・リオハ州では8.1%に、そしてガリシアでは8%に達している。
特に高騰率が高いのが電力費で前年度比較+80.5となっており、この後、液体燃料+52.3%、ブタンガス、プロパンガス+33.4%、オリーブ油以外の食用油+32.3%、オリーブ油+30.6%、ディーゼル+28.4%、ガソリン+25.1%、ホテルなど宿泊施設+21.1%、食用パスタ+19.9%、天然ガス、都市ガス+12.1%、 銀行手数料+11.7%、小麦、その他の穀物+10.6%、羊肉、山羊肉+9.5%、 米+9.4%、無脂肪牛乳+9.4%、牛乳+9.3%、家具類・室内装飾品類9.2%、 ジャム、蜂蜜など+8.7%などが続く。
貯蓄銀行財団の予測によれば今月も物価上昇は続き全国平均8.6%まで達した後、 下降傾向に転じ、年末には4.1%程度まで下がり年平均としては6.8%程度に 納まるとしているが、カイシャ・バンクの予想によれば今年のインフレ率は年平均7% に達するとしている。


2022年3月11日(金)

教会内虐待に対する調査委員会、設置で合意

昨日の国会で、カトリック教会内部における、児童を対象にした性的虐待について掘り下げた調査を行なうための調査委員会を設置することが決定した。
子供の頃にカトリック教会内で司祭などから性的虐待を受けたとする訴えが世界各国で相次いでいるが、スペインでも同様であり、カトリック教会に対し真相の追及と社会的責任を求める声が高まっている。
調査を行なうにあたり、政治色や特別な教会擁護色を排除する目的で、その指揮権を行政から独立した国民の権利擁護機関“エル・デフェンソール・デル・プエブロ”に託す事が可決された。

マドリッド州、面積の3分の1がラドン・ガス多発生地域

マドリッド州はその3分の1が花崗岩の大地に広がっており、ガリシア、エクストレマドゥーラ、カタルーニャ、ピレネー域などと並んで、自然発生するラドン・ガスの量がスペイン国内で最も集中している地域となっている。
マドリッド州内の多発生地域は、州北部のソモシエラからエル・ベルコ、エル・モラル、そして州西部のセニシエントス、ビジャマンタ、エル・アラモへと広がっている。
スペインでは非喫煙者の場合、肺癌の原因としてラドン・ガスがその首位に位置しており、喫煙者の場合でもタバコに次いで2番目の原因となっている。
ラドン・ガスが大量発生している地域であっても、生活空間における充分な換気が常に行われていれば危険は無いとされているが、半地下にある住居や店舗などで充分な換気が行なわれていない所や、建物のひび割れなどが原因で、大地から放出されているガスが気付かないうちに継続的に建物内に入っているような状況など、危険な状態にある家屋も少なく無く、調べによると、ラドン・ガス多発生地域における住居の約15%がそう言った危険な状態にあるとのこと。


2022年3月10日(木)

カタルーニャ州知事、プーチデモン氏とプーティン大統領との関係を糾弾せず

カタルーニャの違憲独立問題により海外逃亡中のプーチデモン元カタルーニャ州知事が、ロシアのプーティン大統領の協力を得てカタルーニャの独立運動を進めていたことを裏付け得る事実がすでに幾つか露呈しており、同件についての調査がEUで開始される。

ロシアはかねてよりEUの結束を崩す目的でEU諸国への工作を続けて来たが、その一環としてカタルーニャ独立運動の激化についても力を注いで来たと推測される。
その手段としては、カタルーニャ独立派政党への資金援助、過激独立派市民による暴動を激化させる目的で率先して暴動に参加する「火付け役」の派遣、カタルーニャの人々がスペイン政府による圧政に苦しんでいると言った内容の偽った画像や動画を含む膨大な量のフェークニュースの発信などが含まれていた。
これらロシアの手によってネット上に氾濫したフェークニュースを、ロシアの工作と気付かずにそのままテレビ報道に使用した例は世界各国で確認されており、これにより、国際的に「カタルーニャの人々が可哀そう」と言った感情を広め、カタルーニャの独立を擁護する風潮を作り、これによりスペイン国家の分断、ひいては EU圏内の分断を招くことを目的としていた。
こう言ったロシアによるEUの結束を弱めるための工作に関して、プーチデモン元カタルーニャ州知事とその周辺の官僚等がロシア政府と交渉を行なっていたと言う疑惑について、カタルーニャ独立派政党はEUに対しその事実を否定し、調査の中止を訴えていたが、先日、EUはこれを却下し調査の開始が確認された。

こう言った状況を受け、カタルーニャのPPを率いるアレハンドロ・フェルナンデス氏は昨日のカタルーニャ議会で、独立派政党ERC所属のペレ・アラゴネス州知事に対し、「EUによる調査によってプーチデモン元カタルーニャ州知事とプーティン大統領の協力によるEUの結束に対する攻撃的行為が明らかになった場合、それを糾弾するか」との問いかけを行なったが、これに対しペレ・アラゴネス州知事は「その件についてコメントするつもりは無い」と、明言を避けた。

スペイン政府、ウクライナへの更なる武器提供の可能性

スペイン政府は、ウクライナ付近のEU諸国の防衛のため軍隊を派遣しているのとは別に、ウクライナへの支援目的で武器の提供も行なっているが、昨日の国会でマルガリータ・ロブレス防衛大臣は、状況の変化に応じて武器の更なる提供を行なう可能性もあると示唆した。
ロブレス大臣は、今回のウクライナ危機の全責任は唯一、ウラディミール・プーティン大統領にあるとして、国際社会における徹底的な責任追及がなされるべきであると発言。
しかしながら、ウクライナへの武器提供については、以前よりPSOEと連立政権を組むPODEMOSが確固たる反対の姿勢を示しており、政府内分立の火種となっている。

カルフール、オン・ライン販売専用の大規模施設がマドリッドで稼働

大手スーパーチェーン“カルフール”が、マドリッドのヘタフェに同社初の通販専用の大規模施設を設置し、昨日その運営を開始した。
1万平米の敷地を持つこの施設では、1日に4000件の発送が可能とのこと。
約17000種の商品を用意しており、注文のあったものを発送直前に用意して、より新鮮な状態で消費者へ届けるために施設内にはパン工場、肉や魚の処理を行なう作業用スペースが設けられている。
また、消費者への配達時間に午前7時から午後10までの幅を持たせることにより、利用者の便宜を図っているとのこと。
同社はこれまでにもオン・ライン注文への対応を行って来たが、それ専用の大規模施設の稼働はこれが初めてである。


2022年3月8日(火)

新道路交通法、3月21日より施行

道路交通法の改正に伴い、日常の運転の中で幾つか注意すべき点が挙げられるが、その一つが前方の車を追い越す時に適用される最高時速の変更である。
これまでは一般国道での走行で、前方の車が例えば制限速度80キロ指定の場所で80キロで走っていた場合、追い越すために制限速度+20キロまで、つまり時速100キロまで出すことが可能とされていたが、今回の改正によりこれが禁止事項となり、制限時速ちょうどで走っている車を追い越す事は出来なくなる。
これに違反した場合の罰則は罰金100ユーロとのこと。

次に自転車や二輪車を追い越す時の規則にも変更が生じており、同一方向の車線が二つ以上ある道路における追い越し時は、必ず自転車や二輪車が使用している車線から隣の車線へ移動してから追い越すことが義務付けられる。
ただし同一方向の車線が一つしか無い場合の追い越しでは、これまでと同様に自転車、二輪車から安全距離として1.5メートル以上の距離を保つ形での追い越しとなる。
これらに違反した場合の罰則は6ポイントの減点となる。

続いて飲酒運転についての規制にも変更が見られる。
これまでは血液1リットルあたり0.8グラムのアルコール量をもって酒酔い運転、0.3グラムのアルコール量をもって酒気帯び運転と判断されていたことにより、微量のアルコール摂取については違反行為にはつながらなかったが、今回の改正により、18歳未満の運転手については、運転時には常に0.0グラムであることが義務付けられる。

また速度違反測定妨害を目的とした機器について、それが接続されている、いないに関わらず、車内に設置していたら違反行為と見なされ、3ポイントの減点対象となる。

ドン・フアン・カルロス1世、アブダビに残留

最高検察庁がドン・フアン・カルロス1世前国王に対する不起訴決定を行なって5日が経った今、今後の行動について述べた書簡がフェリペ6世国王の元に届けられた。
これによると、前国王は今後もアブダビでの生活を続ける予定であり、今のところスペインへ帰国する意思は無いとのこと。
しかしながら、今すぐにと言うわけではないが、いずれ家族や友人に会いにスペインへの頻繁な訪問を開始することを考えており、その際は公にすることなく、個人的な訪問となるよう努めるとしている。
スペインの法機関が前国王に対する不起訴決定を下した事に対し、すでにPODEMOSは強い批判を行なっている。


2022年3月7日(月)

PP、党内危機により支持率低下

PSOEの支持率低下に伴いPPへの支持率が上がり、1月実施の世論調査では、PPがPSOEを抜いて第1党となる可能性が高いことが明らかになっていた。
しかしながらその後に起きたPPの党内危機により、しばらく続いていたPP支持率上昇傾向が一気に下落傾向に転じた。
市場・世論調査会社NC Reportが行なった調査によると、党内危機の前には予想議席獲得数が130議席まで延びていたPPが、3月の調査では100〜102議席と大きく後退し、逆に1月には95〜97議席まで落ち込んでいたPSOEが、102〜104議席へとPPを追い越す勢いとなった。
また、PPの支持率が落ちた分、更に力をつけたのが極右翼のVOXであり、前回の調査で61〜63議席であったのが、今回は69〜71議席にまで前進した。
一方、現在左翼政権を維持するためのPSOEの支えとなっているPODEMOSについても、その支持率が下がり始めており、前回の27〜29議席から、今回は25〜27議席へと後退した。
現時点で選挙が行われた場合、中道左翼、中道右翼共に政権樹立は複雑な状況を迎えることが予測される結果となった。

従業員50人以上の企業、今日が性別間差別解消プラン提出期限

明日、3月8日は国際女性デーとして、スペインでも女性の権利を守るための大規模デモが予定されているが、その前日である今日は、スペインの企業(従業員50〜100名)に対する「性別間差別を無くすためのプラン」を行政へ提出する期限日となっている。
現政府は、スペイン国内の従業員250名以上の企業を対象に性別による給料差や、企業内役職への昇進の機会不均等などを改善するための具体的なプランの提出を義務付けていたが、2019年以降、その対象が徐々に拡大されており、従業員100〜150名の企業に対しては2年以内の対応を、そして50〜100名の企業については3年以内の対応を義務付けた。
そして今、従業員50〜100名の企業によるプラン提出期限を本日、迎えようとしている。

この従業員50〜100名と言う枠組みに相当する企業は約3万社あるが、現時点でその企画書を正式に登録しているのは僅か5000社程度であり、全体の17%程度にしか達していないとのこと。
性別間差別解消プランの提出は義務であることから、これを怠った場合、企業に対し751〜7501ユーロの、また最悪の場合は225.018ユーロの罰金が科せられることとなっている。
しかし実際には、17%程度の登録済みの企業以外にも、企画の提出を済ませ受理はされているものの、行政による処理が追いつかず未登録となっている企業や、提出期限として設定されたこの3年間の内、2年以上の期間が新型コロナ危機と重なったことにより、企業と労働者組合との間での交渉などが潤滑に行なわれなかったことなどが原因となり対応が遅れている企業もあると見られている。


2022年3月5日(土)

ウクライナ危機によりヒマワリ油の販売に制限

ウクライナにおける戦争による影響がスペインの食料品スーパーでも表面化しつつある。
ヒマワリ油や小麦などをはじめ、スペインがウクライナから輸入している農業製品は多く、昨年度の輸入額は10億2700万ユーロに達しているが、 今回のウクライナ危機をうけ、幾つかのスーパでは一部の商品についてすでに販売制限が始まっている。
大手スーパー、メルカドナではそのオン・ライン販売で購入出来るヒマワリ油の個数を5本までに制限、 カルフールでは6本まで、マクロでは店頭に「一人、一日に1本まで」とする張り紙が目に入る。


2022年3月4日(金)

ガソリン料金過去9年間で最高に

電力、ガスに並んでガソリンやディーゼルの料金の高騰も続いており、一昨日に過去最高値となったばかりであったが、昨日には更に記録を更新することとなった。
全国平均をとると、ガソリン代が1リットルあたり1.608ユーロ、ディーゼルが1.496ユーロとなっており、2013年以来の最高値に達している。
55リットルのタンクを満タンにする場合、ガソリン車で88ユーロ程度となり、昨年同時期と比べて18ユーロの増加、そしてディーゼル車の場合は82ユーロ程度となり、同じく18ユーロの負担増となる。
ヨーロッパ内での平均からすれば、スペインでの価格はまだ低い水準にあり、レギュラーガソリン(オクタン95)の場合、EU諸国の平均価格は1.75ユーロ、ユーロ圏で1.83ユーロ、またディーゼルの場合でEU諸国平均1.631ユーロ、ユーロ圏平均1.683ユーロとなっている。

アトーチャ駅を改名、アトーチャ・アルムデナ・グランデス駅に

中央政府は、スペインで活躍した女性達の存在を社会により強調する目的で、主要都市の駅名に彼女等の名前を追加する計画を進めている。
その始まりとして、まずは首都マドリッドの中央駅として知られるアトーチャ駅の名称を「アトーチャ・アルムデナ・グランデス駅」へ改名することが内定している模様。
アルムデナ・グランデス氏は、1960年にマドリッドに生まれた女性作家で、昨年11月に亡くなった。
大手新聞社エル・パイスの紙上におけるコラムの定期掲載でも広く親しまれていたが、映画界への功績も大きく、彼女の作品の内、6作品が映画化されている。
アトーチャ駅に続いて改名の対象となる駅や、それに使われる女性名についての政府による発言は現時点では行なわれていない。
第1号となるアトーチャ駅の改名には様々な手続きが必要となるため、具体的な時期は公表されていないが、政府は年内を目指している模様。


2022年3月3日(木)

一人当たり国内総生産、Covid19前より約5%減

Covid19危機によりスペイン経済は大きな悪影響を受けたが、2021年後半には急速な回復が見られた。
しかしながら最初に受けた損害が大きく、BBVA Research、FEDEA、ラファエル・デル・ピノ基金などが共同で行なった調査とそのまとめによると、2021年第4半期時点での労働力人口を対象とした一人当たりの国内総生産は、Covid19危機勃発前の2019年同時期と比較すると4.6%のマイナスとなっている。
また、2022年に昨年第4半期に見られた速度での成長(年成長率7.8%)を維持したと仮定しても、年末時での一人当たりの国内総生産はCovid19以前の水準には達しないことが予測されるとのこと。

ドン・フアン・カルロス前国王に対する3つの疑惑捜査を終了

スペインの前国王ドン・フアン・カルロス1世に対し、スペインの最高検察庁は3つの容疑について捜査を進めていた。
3つの容疑とは、サウジアラビアでの初の高速列車導入におけるスペイン企業の参入にまつわる手数料の受け取り疑惑、メキシコ企業家からの資金源を利用した違法クレジットカードの使用、租税回避地に置かれていた隠し財産で、これらの疑惑が表面化して以来、スペイン王家に対する風当たりが強くなることを極力避ける目的などから、ドン・フアン・カルロス1世はスペインを離れ、2020年8月3日よりアブダビでの滞在を続けている。
これらの疑惑は全て金銭に関連したものだが、後に期日内に税務申告漏れとなっていた分として自主的な申告と支払いが行われたことや、疑惑を裏付ける証拠が得られないこと、そしてドン・フアン・カルロス1世が国王としての不可侵性を有していた時期のことであることなどから、今回、最高検察庁はこれら3件について捜査終了と不起訴の決定を下した。
これにより、前国王が即刻スペインへ帰国するということは考え難いが、近い将来、その可能性も有り得ると考えられている。


2022年3月2日(水)

カサ―ド氏、党首として最後の全国役員会

昨日、PPのパブロ・カサード氏は党首として最後の全国役員会を開催した。
これはスペイン全土に広がるPP支部の代表等が召集される党内最高レベルの集会であり、出席者の中には今回の党首交代の直接的原因となったマドリッドのアジュソ州知事も含まれていた。
これによりカサ―ド氏率いるPP時代が終わり、新しい時代の幕開けとなる。
同総会において、次期党首を決める臨時総会の開催を4月1日と2日に行なう事が公式に発表された。
近代の党首を務めたホセ・マリア・アスナール氏、マリアーノ・ラホイ氏、パブロ・カサード氏に続く次期党首には、現在ガリシア州知事を務めるアルベルト・ヌニェス・フェイホー氏が選ばれる可能性が高いと見られている。

Covid19: ワクチン未接種の濃厚接触者に対する隔離を廃止

これまで、感染者との濃厚接触者でワクチン未接種の人については一定期間の隔離期間が設定されていたが、昨日行なわれた保健省と各州行政保健局による合同会議の中で、この措置を無くすことで合意に至った。
同変更は、今月5日から有効となる。
12歳以上の人口ではその9%にあたる3.750.684名が、また接種開始が遅かったため未だ2度の接種完了率が18.4%にしか達していない5〜11歳の人口では2.682.288名が今回の変更による影響を受ける対象となる。


2022年3月1日(火)

厚生年金と国民年金の受給額格差40%

労働法改正に伴う、自営業者への年金システム改正についての交渉が労働省と自営業者連盟との間で行われているが、未だ合意への兆しは見えない。
自営業者が加入している国民年金によるリタイヤ後の受給額は少ないだけでなく、厚生年金加入者が受け取る月額との差が拡大し続けている。
2020年には厚生年金受給者の平均受給額は月額にして1307.35ユーロ、そして国民年金受給者の平均月額が776.24ユーロで、その差は531.11ユーロであった。
これが2021年には厚生年金が1335.19ユーロ、国民年金792.94ユーロで差額は542.25ユーロとなり、2022年2月時点では厚生年金1398.5ユーロ、国民年金831.16ユーロとその差は567.34ユーロに広がり、両者間には約40%の差が生じている。
自営業者の中には退職後の受給額を増やすため、毎月の年金支払額の増額、特に退職20年前ぐらいからの増額を考える人も多いが、年金制度は47歳以上の労働者に対し毎月の掛け金の上限を最大で2000ユーロに限定することによって、それ以上の掛け金を支払えなくしており、これによって自営業者は一定額以上にリタイヤ後の受給額を増やすことが出来なくなっている。

週末明けのCovid19感染状況、発表できず

週末分のCovid19感染状況全国集計は、各州行政からの報告を元に毎週月曜日、中央政府よりそのまとめが公表されるが、昨日は夜中になっても発表されることが無かった。
これについて保健省はネット上で、技術的問題が生じたため発表出来ずにいることを伝えており、問題が解決次第、火曜日に公表する予定であるとしている。
中央政府によるこれまでの発表は先週金曜日に行われたその前日、木曜日までのまとめが最新であり、感染者数累計10.977.524名、死亡者累計99.410名で止まっているが、週末分の発表があれば、死亡者数累計が10万人ラインを超える事が予測されている。
対Covid19ワクチン接種の普及率については昨日、月曜日に更新データが発表されており、12歳以上の年令層については国民の92.9%が2回以上の接種を終えており、5〜11歳の年令層については57.4%が1回の接種を、18%が2回の接種を終えているとのこと。


2022年2月28日(月)

Euribor、2年間で最上昇

欧州銀行間取引金利Euriborは今年2月、過去2年間における最上昇率を示した。
今年に入って1月にも僅かに上昇傾向となり金利はー0.477%となったが、2月が終わろうとしている今、−0.334%となっており、これだけの上昇となったのは前月の−0.266%から−0.108%まで上がった2020年の4月まで遡る必要があり、実に約2年ぶりの大きな上げ幅となった。
現在、スペインにおける住宅ローン契約の75%以上が固定金利ではなく、変動金利制で組まれており、そのほとんどが、このEURIBORを基準としてその推移に連携する形で適用される金利が動くこととなっている。
1年前の金利が−0.501%であったのに対し、今年2月終了時点での金利が−0.334%と大きく上昇しているため、1年ごとの金利更新で契約をしている場合、住宅ローンの支払いによる家計への圧迫が増すこととなる。
15万ユーロの借り入れ、25年返済の場合を例にとると、毎月の返済額は10.98ユーロ、年間にして131.76ユーロの増額となる。

Covid19: 死亡者数累計、10万人越え

先週金曜日に政府は、Covid19による死亡者総数を99.410名と発表していることから、週末が明けた今日の発表でこれまでの死亡者数が10万人を越えることが予測される。
スペインでCovid19の感染拡大が表面化したのは2020年3月半ば以降だったが、それ以前にすでに始まっており、新型コロナ危機が始まって25カ月が経ったと仮定すると、この2年強の間に1日平均133人、1時間平均にして5.5人がCovid19で亡くなったこととなる。
2020年6月21日までとされる感染爆発第1波での死亡者数は28.323名と、Covid19に対応する体勢が整っていなかったこともあり、最も多くの犠牲者が出た。
その後、2020年12月頭までとされる第2波では18.322名が、2021年2月半ばまでとされる第3波では25.778名が、2021年6月半ば過ぎまでとされる第4波では8,228名が、2021年10月半ばまでとされる第5波では6180名が、そして現在、終息しつつあるとされる第6波では12.493名がすでに亡くなっている。
第6波については、感染のほとんどがオミクロン株によるもので、その致死率は0.2%と、それまでのものと比べて重症化、致死率共に低いとされているが、すでにワクチン接種が広く行きわたり、更には総人口が減っているにも関わらず、デルタ株が猛威をふるった第4波、第5波の時よりも多くの死亡者を出しているのが現実であることを忘れてはならない。


2022年2月26日(土)

スペインの対ウクライナ、ロシア貿易額113億ユーロ

ロシアによるウクライナ侵攻による世界経済への影響が懸念されるが、スペイン経済も大きな影響を受けることとなる。
2021年度のスペイン企業約15.000社がウクライナ、ロシア両国との間で行なった貿易総額は113億ユーロにのぼっており、今回の戦争勃発によりこれらの経済活動が失われようとしている。
昨年の産業省まとめによると、スペイン企業5432社がウクライナとの交易を行なっており、その総額は30億9178万ユーロで、その内の3777社が総額6億8178万ユーロの輸出を、また1655社が総額24億1000万ユーロの輸入を行なっていた。
また、同年、ロシアとの交易についてはスペイン企業4981社が総額22億1326万ユーロの輸出、そして4599社が総額60億3326万ユーロの輸入と、計82億4689万ユーロの交易を行なっていた。


2022年2月25日(金)

DANAによる雨到来

干ばつ続きのスペインに雨の知らせがやって来た。
気象局によると、カナリアス諸島辺りで起きたDANA(上空の冷たい空気の一部が本流から離れて孤立する気象現象)が移動し、48時間以内にスペイン本土南西部に達するとのこと。
これにより気温低下と雨が予測されており、今年に入ってからの雨量が例年の41%にしか達していないスペインにとっての朗報となった。
今回の雨は大気中を浮遊しているサハラ砂漠の砂を運んでくるため、アンダルシアを中心に泥混じりの雨となるところが多いとのこと。

在ウクライナのスペイン大使、国外へ避難

ホセ・マヌエル・アルバレス外務大臣は今朝、在キエフ、スペイン国大使館勤務のシルビア・コルテス大使が、100名程度の現地在住スペイン人と共に陸路にてポーランドへ向かっていることを発表した。
現地在住スペイン人のウクライナ国外への避難はすでに始まっており、今週火曜日にも約50名が出国を済ませていたが、個人の意思で現地に残留しているスペイン人がまだ100名程度残っていたとのこと。


2022年2月24日(木)

PP次期党首はアルベルト・ヌニェス・フェイホー氏

昨夜、最大野党PP所属の各州代表など主要メンバーがスペイン全国から召集を受け、PP党首の今後についての協議が行われた。
出席しなかったのは体調不良であったバレアレス州とカタルーニャ州の代表、そしてある意味で今回のPP党内部の大危機を招く要因となったマドリッド州知事アジュソ氏が召集を受けなかったことによる欠席となった。
マドリッド州知事アジュソ氏へのスパイ行為の発覚などから、PP現党首であるカサ―ド氏の辞任を求める声が強い中、次期党首候補としての噂が広がっている現ガリシア州知事のアルベルト・ヌニェス・フェイホー氏のみが、昨夜、他のメンバーより1時間前に召集され、カサ―ド氏、フェイホー氏の2名だけによるプライベートな会談が1時間半にわたって持たれ、そのあと予定より50分程度遅れて全メンバーによる会議開始となった。
協議の結果、カサ―ド氏の党首職の即辞任は無く、党規定に基づいた手続きを踏んだうえでの次期党首選出への流れとなることが決定。
次期党首選出を行なう党大会は4月の最初の週末となる2日、3日とし、カサ―ド氏自身は、アルベルト・ヌニェス・フェイホー氏を推すことを明確にした。

新型コロナ危機が始まって以来、その対応についての国民の不満も多く、PSOEとPODEOMOS連立による現政権に対する支持率が落ちており、最近のアンケート調査では、今、選挙を行なった場合、PPがPSOEを抜いて第一党になる可能性が高いと言う結果が見られる。
その場合、PPによる単独政権樹立は困難であるとしても、他の右翼政党との連立により政権をとれる確率は高く、これによりカサ―ド氏は念願の政府首相となれる可能性が高まっていたが、今回の不祥事でその夢が消えることとなった。

現在、不祥事によりPPへの支持率が一時的であるにせよ下がっている事がアンケート調査により見受けられるが、PPに投票していた人々がPSOEに流れると言う現象はアンケート結果には現れておらず、PPの指示が減った分、極右翼政党であるVOXの支持率が高まっている。
よって、もしも今、前倒し選挙が行われるような場合、スペインの政治は極右翼の影響を強く受ける可能性が高いと思われる。


2022年2月23日(水)

水道、電気、ガスの供給停止禁止令、強制退去禁止令を延長

新型コロナ危機による経済活動への大きな影響が続く中、スペインでは水道・光熱費や家賃の支払いに支障が生じている世帯が増加している。
そう言った世帯を保護するための対策として、水道、電気、ガスの供給停止禁止令や賃貸マンションなどからの強制退去禁止令などが出されていたが、その有効期間が今月28日をもって終了となる予定となっていた。
しかしながらCovid19による経済への影響は今も続いており、これらの法令を廃止するのは早すぎるとして、PSOEと連立政権を組むPODEMOSはPSOEに対し、それら法令の延長を要求していた。
これにより水道、電気、ガスの供給停止禁止令は6月末まで、強制退去禁止令は9月末までの延長が決まり、経済難に苦しんでいる家庭にとって朗報となった。

パブロ・カサ―ド氏、PP代表として最後の国会か

最大野党PPのパブロ・カサード党首は本日、党首として恐らく最後となる国会に臨んだ。
PP党内では今、前代未聞の嵐が吹き荒れており、これによりカサード氏の右腕として働いてきたテオドロ・ガルシア・エヘア総書記長が辞任に追いやられ、更にはカサード党首の退任を要求する声も高まりつつある。
現党首の失墜への流れはつい数日前に始まり、あっという間に現状に至った。

事の発端はパブロ・カサード氏派が行なったと見られる、同党所属でマドリッド州知事を務めるイサベル・ディアス・アジュソ氏に対するスパイ行為で、これが発覚したことにより、アジュソ氏派を中心にカサ―ド氏に対する大規模抗議を招く結果となった。
カサード氏とアジューソ氏の間には以前より大きな確執が見られ、事あるごとに両者間に対立が生じていた。
中央政府のCovid19対策に対し、批判を投じるにとどまるカサ―ド氏に対し、マドリッドのアジュソ州知事は常に先手を打つ形で積極的な行動に出ており、それがPP支持者によるアジュソ氏への高い評価が広がる一 因となっていたが、同時にカサ―ド派によるアジュソ氏への警戒心が高まる結果をも招いたと言えよう。

本日、PPの各地方支部の代表等が集まり現党首カサ―ド氏への信任度が測られるが、その多くがカサ―ド氏の退任を希望していると見られる。
同氏の退任のあと、その後続としては、現在ガリシア州知事を務めているアルベルト・ヌニェス・フェイホー氏を推す声が強く、3月1日に予定されている緊急党会議では、同氏が時期党首への単独候補として名乗り出る可能性が高い。
尚、現マドリッド州知事のアジュソ氏は、以前より自身の居所はマドリッド行政であって、全国のPPを統率しようと言う意思は無いと公言している。


2022年2月22日(火)

平均気温、過去60年間で1,5度上昇

様々な環境問題についての観測を行なっている民間団体OS調べによると、1961年から2018年にかけての57年間に、スペイン国内にある約8200の市町村の内、半数以上にあたる51%の町々で平均気温が1.5度以上、上昇しており、その中で2度以上の上昇となった市町村が全体の14%にのぼっているとのこと。
スペイン気象局によるまとめでは、過去60年間における気温上昇は全国平均にして1.3度と報告されており、今後もこの傾向は続くと予測されている。
気温の変化の進み方は世界各地によって差異が見られるが、スペイン国内でも地域差があり、これまでに最も気温上昇が目立ったのはピレネー山脈付近の市町村であり、3度以上の上昇となった町々が9つ存在する内、6つがピレネー東部に集中している。
それらの市町村の中でも最も温暖化が進んだのがカタルーニャのジロナで、すでに3.26度の上昇となっている。


2022年2月21日(月)

サンチェス首相とカタルーニャのアラゴネス州知事、日曜日に再会か

Covid19危機が始まって以来、カタルーニャの独立問題についての協議を行なうための会合が中断されたままとなっており、未だ再開されていない。
ペドロ・サンチェス首相率いる現政権は、カタルーニャの独立派政党等による協力を得る事によってこれまで様々な法案を可決して来たが、その協力を得るにはカタルーニャ独立問題解決についての継続的な対話が行われることが必須条件となっている。
しかしながらCovid19と言う世界規模での危機に見舞われる中、この2年間、多くの問題への取り組みが後回しにされ、カタルーニャ独立問題についても同様の扱いが行われて来た。
誰もがCovid19の感染拡大第6波もその終わりが近いと考えるようになった今、未だに協議の席につこうとしない首相に対し業を煮やした独立派政党は、事あるごとに政府に対する協力体制を解く可能性を示唆し、圧力をかけつつある。

こう言った緊張が続く中、これまでカタルーニャのアラゴネス州知事と顔を合わすのを避けて来たサンチェス首相だが、今月28日から来月の3日までバルセロナで行われるワールド・モバイル・コングレスの開会式が予定されている27日の日曜日に、その夕食会で二人が再会することが予測されている。
首相は同夕食会への出席をすでに確定しており、カタルーニャ州知事の出席は未だ確認されていないものの、毎回、同式典には必ず州知事の出席があることから、今回も同様であると想定される。
また、フェリペVI国王についても同式典への出席が確認されており、日曜日には久しぶりに国王、首相、そして独立派政党所属のカタルーニャ州知事の3名が顔を合わせ、夕食会で同じテーブルにつく可能性が高まりつつある。

年金、4人に1人が早期受給

スペインでは、2013年に施行された改正案により、年金受給開始年齢や満額受給のために必要な加入年数などが毎年、徐々に延長されているが、昨年、2021年における受給開始のための基本年齢は66歳(必要加入年数は36年)であり、早期受給を希望する場合は65歳から受給が可能だが、そのための必要加入年数が37年3カ月以上となっていた。 そう言った中、昨年、新たに年金受給者となった人の数は316.156名で、その内の75%にあたる238.415名が66歳になるまで待たない早期受給者となっており、平均すると昨年度の受給開始年齢は64.65歳であった。
コロナ危機が表面化した2020年には、66歳に達する前に受給を開始した人の割合は89%に達したが、その数字から2021年度よりも早期受給を希望した人が多かったと単純に解釈することは出来ない。
その理由として、受給開始年齢の引き延ばしが徐々に進められており、受給開始基本年齢が2021年度には66歳であったのに対し、2020年度は65歳10カ月であったことや、65歳から早期受給を開始するために必要な年金加入年数が、2021年には37年3カ月であったのに対し、2020年度は37年で良かったことなどが挙げられる。


2022年2月20日(日)

低料金高速列車AVLO: マドリッド ー バレンシア線、明日から運行開始

スペイン国鉄RENFEによる低料金高速列車AVLOによるマドリッド ー バレンシア線の運行が明日、2月21日より開始となる。
チケット販売は1月20日より始まっておりすでに10万席近くが販売済みとのこと。
新路線運行開始において第一段階では365人乗りの列車112型が一日に6便(往路、復路、各3便ずつ)の運行となるが、第二段階で438人乗りの106型車両が導入される予定。
ツーリストクラスの基本料金は7ユーロからとなっており、購入時点での最安値が 提示される仕組みとなっている。
また、14歳以下を対象とした基本料金は5ユーロからとなっているが、大人料金チケットとの同時購入によってのみ購入可能で大人一人につき2枚まで入手出来る。
基本料金には、車内持ち込み用小型手荷物とハンドバッグ類などが含まれているが、 座席指定や大型荷物の持ち込みなどはその他の追加サービスとして購入時に 別料金で指定する形となる。
マドリッド − バレンシア間の所要時間は2時間弱となっており、マドリッド出発の便は 6時半発ー8時23分着、12時40分発ー14時33分着(13:35クエンカに停車、14:09レケナに停車)、18時40分発ー20時20分着となる。
また、バレンシア発の便は9時28分発ー11時20分着(9:51レケナ停車、10:26クエンカ停車)、16時15分発ー17時55分着、21時10分発ー23時04分着(21:33レケナ停車、22:08クエンカ停車)となる。


2022年2月19日(土)

Covid19: ワクチン接種率、91%で停滞

スペインにおける対Covid19ワクチン接種は早急に進められ、全世界でも最も浸透するのが早い国の一つとなったが、感染拡大第6波が峠を越えて以来、その進み方にはブレーキがかかった状態が続いている。
現時点で12歳以上の人口の91%が2回以上の接種を終えているが、90.9%であった10日前と比べて僅か0.1%しか増えておらず、停滞状態が続いているのが判る。
5歳〜11歳までの年令層に対する接種の進み具合は州によって大きな格差が見られ、年齢層に関係なくスペインの全人口でみた場合、2回以上の接種完了率は81%程度にとどまっている。
5歳未満を対象としたワクチンが認可されていないことや、特別な疾患やアレルギーなどによって接種を受けられない人々が存在することもあり、スペインにおけるワクチン接種の浸透は、ほぼその上限に達した感がある。

スペインの州別平均収入: 最も収入が高いところは?

2020年度の統計によると、スペイン全国の平均月収は2038ユーロとなり、これを上回る地域としては、まず自治都市メリージャ(平均月収2662.6ユーロ)、自治都市セウタ(2257.2ユーロ)が挙げられる。
これら2つの自治都市とは別に自治州別で見た場合、平均収入比較で上位に並ぶのはマドリッド(2350.2ユーロ)、バスク(2278.8ユーロ)、ナバーラ(2209.2ユーロ)、アストゥリアス(2161.6ユーロ)、カタルーニャ(2158.1ユーロ)など5州で、いずれも先述の全国平均値を超えている。
これら5州に続くのがアラゴン(1972.4ユーロ)、カスティージャ・イ・レオン(1950.5ユーロ)、ラ・リオハ(1947.3ユーロ)、ガリシア(1941.9ユーロ)、カンタブリア(1941.0ユーロ)、バレンシア(1920.7ユーロ)で、どれも1900ユーロ以上となっているが、全国平均値以下である。
一方で平均月収が1900ユーロ以下の州はカスティージャ・ラ・マンチャ(1892.3ユーロ)、バレアレス(1844.8ユーロ)、ムルシア(1843.4ユーロ)、アンダルシア(1837.3ユーロ)、カナリアス(1775.7ユーロ)、エクストレマドゥーラ(1760.5ユーロ)となっている。


2022年2月17日(木)

ラ・二―ニャ現象:干ばつにより一部地域で給水制限始まる

スペインでは夏の降水量が少なく、その他の季節に降る雨が一年を通じて消費される水の供給源となっているが、今年は年始から春にかけて記録的な干ばつが続いており、21世紀開始以降、2番目に少ない降水量となっている。
この時期、スペイン全国における貯水池の平均貯水量は例年だと62.3%程度となっているが、今年は44.3%しかなく、1週間前(44.6%)と比較すると0.3%減少している。
特に水位が下がっているのがグアダレテ川流域、バルバテ川流域で共に29.6%しか無く、グアダルキビール川流域も28.5%、グアディーナ川流域でも30.4%、セグラ川流域でも34.4%、アンダルシアの地中海側地域でも34.4%にまで下がっており、すでに給水制限が始まっている地域も少なくない。
長期予報では、このまま少なくとも3月末頃までは雨量が少ない天候が続くとされており、今後、水不足は更に悪化する可能性が高い。
今回の干ばつの原因の一つとして、スペイン気象局のフアン・ヘスス・ゴンサレス氏はラ・ニーニャ現象による影響を挙げている。
ラ・ニーニャはインドネシア、マダガスカル、モザンビークなどでの大雨、日本での寒さ、米国やメキシコなどでの干ばつなどの原因にもなり得るもので、スペインでは過去にも干ばつの原因として確認されている。

フランス国鉄とスペイン国鉄による共同便廃止へ

現在、フランス国鉄とスペイン国鉄による共同便として運行されているバルセロナ ー リヨン ー パリ線、 マドリッド ー マルセーユ便について、フランス国鉄は一方的にその廃止を決定した。
これにより今年12月より、これら両路線の運行が無くなることとなった。
どちらのサービスも大きな収入を生むには至っていなかったが、更にCovid19危機の影響を受け、2020年にはその利用者数はCovid19前に比べて72%ダウン、2021年も59%ダウンとなっていた。
RENFEはフランスへの進出を以前より希望しており、その認可申請を続けているが、フランス政府は未だにその許可を出さずにいる。
一方でフランス鉄道SNCFは、すでに昨年5月よりスペイン国内でのサービスを開始している。
マドリッド − バルセロナ間を結ぶ高速鉄道Ouigoの運行により、昨年夏にはスペインのAVEはその利用者の30%を失ったとのこと。
また、フランス鉄道はこの春よりスペインのレバンテ路線の運行も開始する。
フランス鉄道のスペイン国内への参入を認可したことにより、同等の権利をフランス政府はスペイン鉄道に認めるべきであるとして、スペイン政府はフランスへ強く要求すると共に、必要に応じてEUへ同テーマを持ち込むことも検討中である。


2022年2月16日(水)

不動産売買数、バブル時代レベルに

Covid19危機により、一旦、大きく落ち込んだ不動産売買だが、2021年には前年度比較34.6%増と言う、過去に例を見ない増加となった。
スペインにおける不動産売買は、2007年にバブルがはじけ大きく落ち込んだあと徐々に動きを取り戻し始め、2014年には前年度比2%の増加、2015年には11.5%増、2016年度には14%増、2017年度は15.4%増、2018年度は10%増と増え続けたあと、2019年に0.7%減と僅かながらも減少となり、2020年にはCovid19の影響を大きく受けてマイナス17%の落ち込みとなっていた。
2021年度の売買数は565.523件と、2007年以来の最多数を記録した。

全国で高気温

2月後半に入ったが、スペインでは全国的な高気温と雨不足が予測されている。
例年、雨が多くなる冬の季節にほとんど降雨が見られず、すでに水不足が深刻化し、重度の給水制限が行なわれている地方もあるが、今回、北西から流れ込む雨雲は南西から張り出す高気圧によってその前進を阻まれ、本土北部にのみ少量の雨をもたらす程度に終る見通しとなっている。
また、今週末に向けて2月後半にしては高すぎる気温が続くと予想されており、カナリアスでは22度、バレンシア、アリカンテでは23度、ムルシア、マラガでは24度程度まで上がる見込みとなっている。


2022年2月15日(火)

カスティージャ・イ・レオン: VOXの要求

去る日曜日に行われたカスティージャ・イ・レオン州選挙でPPが最多議席数を獲得したものの、単独政権を得るために必要な過半数には遠い結果となった。
右派政党のPPが連立政権を組むとすれば、同選挙で第3位の位置に急上昇した極右派のVOXの協力が必要となるが、そう言った状況下でVOXのカスティージャ・イ・レオン代表を務めるフアン・ガルシア・ガジャルド・フリング氏は、未だその条件の詳細については触れていないが、大筋として二つの条件を提示している。
一つは、これまでPP、Ciudadanosの両党連立による州行政でCiudadanosが維持していた州政府内役職数と同数以上のものをVOXに任せること。
そしてもう一つは、それら役職配分についての云々を行なう前に、左翼政府によって進められてきた左翼政策、例えば異性間暴力法や歴史記憶法などの撤廃に向けて協力体制をとることなどについて話し合う必要があるとしている。
一方、今回の選挙で第2党となったPSOEは、PPが単独政権を組むためには不可欠となるPSOEの棄権票について、現時点では可能性は無いとしており、PPがそれを望むのであれば、棄権票の正式依頼を行なう必要があるとし、また同時に政権樹立後の党方針についての明確な提示、特に、極右翼政党VOXとの関係を拒絶する姿勢を明示する必要があると警告。

スペインで持ち歩いて良い現金の上限

マネーロンダリング防止策の一環として、スペインでは認可申請無しで持ち歩ける現金の上限額が制定されている。
特別な申請無しで持ち歩ける金額の上限は10万ユーロとなっており、これを超える金額を持ち運ぶ場合、予め許可申請を行なう必要がある。
また、2021年7月11日より施行となった新法では、現金による支払額にも上限が設けられており、支払い側、請求側のどちらかが企業、または自営業で商用目的でこれら金銭のやり取りを行なう場合、その金額は1000ユーロ未満であることが条件となっている。
ただし支払い側がスペインに税務上の住所を持たず、また、商用目的での支払いで無い場合は、現金による支払は10.000ユーロまで認められる。


2022年2月14日(月)

カスティージャ・ラ・マンチャ州選挙、PP勝つも大勝とはならず

昨日行われたカスティージャ・イ・レオン州選挙で、PPが最多数議席を獲得した。
しかしながら、過半数となる41議席には10議席足らない31議席にとどまった。
2019年5月に行なわれた前回の選挙では、第2党となったPPが3番目に多い議席数を獲得したCiudadanosと手を結ぶことによって連立政権を立てたが、今回、Ciudadanosは大きく後退し、代わりに同じく右翼政党Voxが一気に勢力を伸ばして第3党につけたため、PPとVoxの両党による政権樹立による、PPのアルフォンソ・フェルナンデス・マニュエコ知事による続投となる可能性が高い。
尚、2019年の選挙と今回の選挙による獲得議席数の変化を見ると、中央政府で政権を握るPSOEが勢力を落としつつあるのが判る。
PSOEは35議席から28議席に後退、PPは29議席から31議席へと前進、VOXは僅か1議席から13議席に躍進、そしてCiudadanosは12議席から1議席へと急落となり、Podemosは前回の1議席を維持するにとどまった。

Covid19: 感染拡大第6波による死亡者数、第4波、第5波を上回る

オミクロン株を主流とした感染拡大第6波による死亡者数は9.100名近くに至っており、すでに感染拡大第4波、第5波の死亡者数を上回っている。
オミクロン株はそれ以前の変異株に比べ、重症化率や致死率が低いとされ、更にはワクチン接種率がすでに90%近くに達していたことなどから、人々の警戒心に緩みが生じた感があったが、実際にはその陰で多くの人命が失われているのが判る。
Covid19危機が始まった当時、突然のことでこれに対応する準備が整っていなかったこともあり、第1波では登録された死亡者数は28.323名と、多くの人が亡くなった。
そのあと第2波では18.322名、第3波でも25.778名と惨憺たる状況が続き、その後ワクチンの普及が進むと共に緩和が見られ、第4波で8.228名、第5波では6.180名となったが、再三にわたって重症化率や致死率が低いと報道されてきたオミクロン株拡大による第6波で、その数はすでに9.078名に達している。
尚、情報会社DADAXによるWEBページ「ワールドメーター」によると、Covid19による死亡者数を人口比で見た場合、スペインは世界で38番名に位置している。


2022年2月11日(金)

インフレ率、賃金引上げ率を大きく上回る

政府は、今年から最低賃金をこれまでの月額965ユーロから1000ユーロへ引き上げることを決定し、これにより、最低賃金受給者の収入が昨年に比べて3.6%増となったことをアピールしている。
しかしながら、昨年2021年に行われた賃上げで最低賃金が1.6%増となったのに対し、同年度の物価上昇率は3.1%で、最低賃金受給者にとって、実際にはその差1.5%の減収になっている。
そして今年2022年の最低賃金が3.6%増となったのに対し、今年度の予想インフレ率は現時点で4%となっており、ここにも0.4%の格差が見られ、最低賃金受給者にとっては、2021年、2022年の2年間で約2%の減給と同じ状況になっている。


2022年2月10日(木)

最低年収、14000ユーロに

政府、企業連、主要労組などの協議によって進められていた今年度最低年収についての発表が、昨日、第2副首相によって行われた。
これによると、終日従事の契約の場合、今年度における国が定める全国共通の最低賃金は月額1000ユーロX12カ月とボーナス2カ月分とで、計14000ユーロとなる。
これまでの月収965ユーロと比較すると3.6%増となっており、今年1月分に遡ってこれが適用されることとなる。
2020年2月にあった賃上げで最低月収は900ユーロから950ユーロに、そしてその後、2021年9月に965ユーロとなっていたが、今回の協議で1000ユーロ台に達した。
しかしながら今回の賃上げについては、コロナ危機の長期化により経済活動が正常な状況には無く、現時点で企業の負担増を招く政策は避けるべきとして、企業連による合意はなく、政府、労組の2者のみによる合意での決定となった。
大手労組CCOOによると、最低賃金引き上げの恩恵を受ける人はスペイン全国で約180万人いるとのこと。
また、女性労働者の14%、16〜24歳の労働者の30%、また農業関連労働者の40%が最低賃金で働いているとのこと。
今回の協議では今後の最低賃金引き上げについても話し合いが行なわれており、来年には平均月収の60%(1011〜1049ユーロ程度)まで引き上げる予定となっている。


2022年2月9日(水)

Covid19: 屋外でのマスク着用義務、条件付きで明日から廃止

本日の政府広報により、屋外におけるマスク着用義務の廃止が発表される。
これが有効となるのは明日以降で、一定の条件付きとなる。
尚、着用義務廃止の対象となるのは屋外であって、公共の場として使用されている屋内、商店や飲食店など不特定多数の人々の出入りがある屋内については今まで通りの規制が維持される。
また、屋外であっても他人との安全距離として1,5メートル以上を保てない場合は、引き続き着用義務が課せられる。
公共交通機関サービスの利用についても着用義務は持続されており、特に、駅のプラットフォームなどにおいても着用は義務であることに注意が必要。

二重電話による詐欺に要警戒

消費者協会OCUは、最近、多発している二重電話による詐欺の被害に遭わないよう、警戒を呼び掛けている。
OCUによれば、最初に掛かってきた電話に出ると、その電話の持ち主が契約している電話会社の名を使って、電話料金引き上げの通達が行われるとのこと。
通常、月額にして15〜20ユーロ程度の値上げがあるとの説明があり、その通話が終ってしばらく経つと、再び電話が掛かり、これに応答すると今度は別の電話会社から安い特別料金プランの案内がある。
そして、その特別プランが他社のプランよりも優れているとして消費者協会も推奨していると言った案内が行われるとのこと。
消費者協会OCUによると、最初に掛かってくる電話は、消費者に電話契約を他社に変えようと思わせるための下準備で、2度目にかかってくる電話はOCUの名を利用した悪質なセールスであるとしている。
スペインでは、料金の値上げについての通知は30日以上の猶予を持って行なうことが義務付けられており、また、通常、電話を通じて口頭によって行わっることは無いとして、これらの詐欺の被害に遭わなよう警告している。


2022年2月8日(火)

国会議長、PP議員によるオン・ライン投票の内容確認せず

先週木曜日に行われた労働法改正案決議(2月4日の記事参照)において、PP議員が行なったオン・ライン投票が本人の意思に反した内容となり、この1票の差で決議結果が反転してしまったことについての様々な議論が今も続いている。
そう言った中で、体調不良によりオン・ライン投票を希望したPP議員に対してこれを許可する文書の内容から、オン・ラインによる投票を行なうに際し、その投票内容の正確さを保証するために、国会での全体投票が開始される前に、必ずオン・ライン投票をした議員に対し電話による投票内容の確認を行なう必要があったことが判明した。
しかしながら、実際にはこの電話確認は無く、また、オン・ラインによる投票でその内容に間違いが生じた可能性が高いことに気付いたPP議員が国会執行部へその旨を連絡し、議長からの確認電話を待っていたにも関わらず、議長からの電話は無かった。
また、PP党本部からの確認依頼に対しても議長はそれを行なわず、更に、現地での直接投票に変更するためにオン・ライン投票を済ませた議員が国会へ向かっていたため、PP党が直接投票の許可を申請したにも関わらず、議長はその認可を行なうかどうかについての決定を行なうための執行部会議の招集さえも行わなかった模様。
PP党はこれら議長の行動について、国会議員の投票権無視、反民主主義的違憲行為として憲法裁判所に提訴する準備を進めている。

養鶏場、一斉閉鎖の危機

電気、水、飼料、プラスティック、ダンボール、ディーゼルなど、養鶏場運営に必要な様々なものの料金が全て高騰していることから、スペイン全国の養鶏場が深刻な経営難に陥っている。
ディーゼル価格は約60%、電気、ガスは150%以上、プラスティックが50%、水が30%、肥料が100%、飼料が25%の高騰と、全てがこれまでに例を見ない急激な値上がりとなっており、スペイン銀行やEU中央銀行は今後もまだインフレが続くと予測している。
農牧業組合COAGは、これらの急激な経費増が鶏肉や卵の卸値に直接反映されない限り、養鶏場の運営維持は不可能としており、スペイン全国規模で一斉閉鎖に追い込まれる可能性があるとして警鐘を鳴らしている。


2022年2月7日(月)

屋外のマスク着用義務廃止へ

スペイン保健省と全自治州は、今朝の会合で12月末から続けられていた屋外でのマスク着用義務を廃止することを全会一致で合意した。
明日の閣僚会議で正式決定され、今週木曜日から施行される。
また今朝の会議では、スポーツ観戦の人数制限も緩和されることが決まった。
サッカーなど屋外イベントの場合は85%、屋内は75%に拡大される。
これは次節から今月末まで適用されるが、それ以降は100%に回復する。
屋外でのマスク着用は、かねてから感染医学専門家の間でもその有効性を疑問視する声が多く挙がっていた。
一方、各自治州知事は、廃止には同意したものの、中央政府の政策が場当たり的であるなどと批判し、カンタブリア州のミゲル・アンヘル・レビージャ知事は、今後も屋外でマスクを着用し続けると宣言した。
尚、屋外であってもコンサートやイベントなど、1.5メートル以上のソーシャルディタンスが確保できない場合は、引き続き着用が必要となる。
またそれ以外でも大勢の人が集まる場所では使用が推奨される。

国内の銀行支店数、10年で半減

銀行サービスの急速なデジタル化に対する、高齢者の抗議活動が最近話題となったが、スペイン銀行の調査によると、国内の銀行支店数は、この10年で半分にまで減少した。
また、56%の自治体にまったく銀行がなく、それはイベリア半島内陸部、特にカスティージャ・イ・レオン州で顕著であるという。
また、この10年で閉鎖された支店数は2万133軒で、これに伴い、8万4204人が解雇され、約3分の1の銀行員が職を失った計算となる。
結果、現在の支店数は、国民10万人あたり43.5軒で、最古のデータが残っている1975年よりも少ない数値である。
また、従業員の数にいたっては、現在、1000人あたり3.8人であるという。
数字の上では、支店数が増加した銀行もあるが、実際にはカイシャバンクなどのように他行を買収したり、合併した結果支店数が増加したものであり、単独で支店数を増やした銀行はほとんどない。

スペイン・ポルトガル、2030年W杯唯一の欧州候補に

2030年に開催予定のサッカーFIFAワールド・カップの共同開催地として立候補を昨年表明したスペインとポルトガルだが、この大会の唯一の欧州立候補となる可能性が高くなった。
報道によると、同大会には他に英国も名乗りを挙げていた。
しかしながら同国は、最終的に2028年のヨーロッパカップの候補地に切り替える所存であるという。
候補がひとつに絞られることにより、スペイン・ポルトガルに対する欧州からの支援が一極化することとなり、開催に向けてより有利に働くとみられる。


2022年2月4日(金)

オン・ライン投票の不具合で国会決議が反転

昨日の国会で、労働法改正案についての決議が行なわれた。
政府は同改正案の可決に向けて長期に渡り各政党との交渉を続け、僅かな票差ではあるが可決される目処が立ったところでの決議だった。
ところが投票のあと、国会議長の口から飛び出した結果報告は、政府の予想に反するものだった。
開票結果は賛成票と反対票がちょうど同じ数となり、可決に至っていなかったのである。
首相や労働大臣をはじめ、可決されることを予定していた与党側は動揺を隠せないでいたが、その直後、議長が結果についての訂正を発表し、可決宣言を行なったことにより、議事堂内は騒然となった。

政府の計算では2票差で決議されるはずだったが、ナバーラの保守派政党UPNの党員2名が、党の指示に背く形で反対票を投じたことが判明。
しかしこれだけでは賛成票、反対票が同数となり、可決には至らないはずだが、議長が訂正した開票結果では僅か1票差により可決されたことになっていた。
その1票とは、最大野党PPの議員で体調不良によりオン・ライン投票を行なった議員によるもので、本人は反対票を投じたはずなのに、賛成票を送ったことになってしまったようである旨、投票後すぐに国会の執行部に対し連絡を取ろうと試みたが、それが叶わなかったため、急いで国会議事堂へ向かったとのこと。
また、同議員はこれについて自身が所属するPP党にも連絡を入れ、党からも国会執行部に対し、何らかの原因による誤投票があったことを通知し、投票内容が議員の意図を反映しているものかどうかの確認を求めていた。
議員は国会での決議前に到着したが、オン・ライン投票を行なったと言う事実により現地での出席投票は認められず、投票のやり直しは許されなかった。
「謎の1票」について、議員に対しても党に対しても執行部からの返答が無いままに国会での決議が行なわれ、このオン・ライン投票による「謎の1票」が賛成票として加算された結果、僅か1票差での可決となった。

開票結果の発表時には否決となったことを通知しておきながら、その後すぐに可決であると訂正した事などからも、国会執行部はこの「謎の1票」の存在を把握しており、必要に応じてこれを利用したとして、PP、Voxなどは、今回の決議の無効性と政府による違憲行為について憲法裁判所へ提訴するとしている。


2022年2月3日(木)

マドリッド地下鉄11番線の大規模拡張計画

マドリッドの地下鉄の大規模な拡張工事の計画が進められており、その対象となる路線は11番線とのこと。
11番線は現在ラ・フォルトゥナ駅からマドリッド中心部への入り口の一つであるプラサ・エリプティカまでをつなぐ路線となっているが、今回の拡張計画ではプラサ・エリプティカ駅からコンデ・デ・カサル駅までをつなぐこととなる。
現在、プラサ・エリプティカ駅とコンデ・デ・カサル駅との間は6番線による連絡があるが、11番線の延長路線は別のルートを辿ることとなり、その道中、新駅としてコミ―ジャス駅、マドリッド・リオ駅が建設される。
その後は3番線の既存駅であるパロス・デ・ラ・フロンテラ駅、そして1番線の既存駅であるアトーチャ駅を経てコンデ・デ・カサル駅へと至る予定で、マドリッド市内の地下に約6キロに及ぶ新たなトンネルが掘られる事となる。
現時点での予定としては、遅くとも今年11月に工事を開始するとしており、完工は早くても2026年の第4・四半期以降となる見込みである。


2022年2月2日(水)

Hipra(イプラ):初のヨーロッパ純正対Covid19ワクチンはスペイン製?

スペインで開発が進められている対Covid19ワクチン「イプラ」は、実用化される前の最終段階であるフェーズ3に入った。
被験者3000人の協力を得て追加接種として使用し、この最終段階を終えたあと、今年の5月頃から実用化される見込みである。
これまでの実験でイプラの安全性と効果の確認は順調に進んでおり、特に現在、多くの国々で蔓延しているオミクロン株に対する効果は、ファイザー社ワクチンよりも大きいとのこと。
また、接種による副反応についても報告が無く、接種後の発熱や痛みなどの苦痛を伴うことが多い他社ワクチンと比べ、より快適に利用出来るとのこと。
少なくともEU医薬品庁による公認ワクチンとしての認可を受け、ワクチンパスポートに表記できるようにならなければ同ワクチンを受けた人がEU諸国内を自由に旅行することが出来ないため、スペイン政府は今後、この認可申請を進めることとなる。
スペイン政府やワクチン開発チームは、この認可申請における大きなトラブルは無いと考えてはいるが、EU医薬品庁が新たなるワクチンを認可するための条件として、ファイザー、モデルナなどの現存ワクチンと比較して、明らかにそれ以上の有効性が有ると言うことを立証しなければならないとしており、また、EU諸国の中の4か国以上の推薦があることを条件としている。
スペイン製ワクチン「イプラ」が実用化されれば、初のEU純正ワクチンとなるが、その開発について、EUからの経済援助は一切受けずにここまでたどり着いたことを開発チームは強調している。


2022年2月1日(火)

消費者物価指数計算の対象品目にマスクを追加

消費者物価指数の計算時に用いられる対象品目リストは、5年に一度、その見直しが行なわれる。
2016年に作成されたリストが2021年に更新され、この新しくなった品目リストを使用した年間同時期比較物価指数は、今年1月分がその最初の発表となる。
2021年の最新リストでは、対象品目の数が2016年に比べ22品目減って955品目となっているが、廃止された品目の中には利用者が減ったCDディスクやDVDディスク、そしてこれらを再生する携帯プレーヤーなどが含まれる。
また、従来の物理的に印刷物として販売されている雑誌や新聞なども同様に利用者が減り、その姿を消した。
変わって追加された品目の中には、インターネット経由で閲覧するオン・ライン新聞やCovid19危機勃発後にその需要が急増したマスクなどが見られる。
品目リストの中で最も重要視されているのは、引き続き食品とノンアルコール飲料であり、全体の22.6%を占めている。

スペイン語辞書に登録されている日本語紀元の単語

スペイン語の中に取り入れられている外来の単語は数多く存在するが、その中には日本語紀元とされるものもあり、スペイン語の基準とされるスペイン王立アカデミー発行の辞書には、現時点で59の単語が登録されている。
その中には日本語がまさに紀元であるものもあれば、他文化紀元の言葉が日本を通じてとり込まれたものも含まれており、例としては次のようなものが見られる。

Soja    = 醤油
Zen     = 禅
Futon   = 布団
Manga   = 漫画
Biombo  = 屏風
Origami = 折り紙
Tsunami = 津波
Karaoke = カラオケ
Tofu    = 豆腐
Emoji   = 絵文字


2022年1月31日(月)

Covid19: 入院患者数増加

スペインにおける最初の新型コロナ感染者が確認されてから2年が経つ今、感染拡大第6波による毎日の新規感染確認数は徐々に減少しつつあるにも関わらず、Covid19による入院者数は増えている。
週末の集計はまだ全ての州政府による報告が出そろっていないが、過去24時間における新規入院者数は少なくとも3つの州で増加となった。
最も増加が目立ったのがカタルーニャ州で2942名が新たに入院が必要となり、ガリシア州でも23名が、カンタブリア州でも22名が新規入院者として報告された。
スペインにおけるCovid19感染者総数は確認されているだけですでに980万人弱に達しており、その内、19歳以下の年令層が180万人程度を占めている。
また、感染した人の10〜16%に長期間にわたる様々な後遺症があると報告されている。

テニス全豪オープン、ラファ・ナダル優勝

昨日行われた全豪オープン決勝戦でスペインのラファ・ナダル選手が優勝し、世界4大大会における最多優勝記録、21勝を達成した。
これまでロジャー・フェデラー選手、ノバク・ジョコビッチ選手、そしてラファエル(ラファ)・ナダル選手の3名が20勝の記録で並んでいたが、今回の勝利によりラファが単独トップに立った。
ラファは自身が10年以上前から「ミュラー・ワイス病(MWD)」を患っており、昨年は5か月間に渡ってプレー出来ず、更に続けて昨年12月にはCovid19感染により試合に出場出来ない時期が続くと言った悪状況が重なり、選手引退の 可能性も囁かれていたが、今年のメルボルン・サマーセットへの参加で体調を確認し、同大会での優勝を持って全豪オープンへの出場を決めた。

公共の高齢者用旅行プラン、売れず

スペインでは、冬場の旅行オフ・シーズンに合わせる形で、社会保障システムが組む高齢者を対象とした旅行プランの販売が毎年行われる。
これは年金生活を送っている高齢者が通常の値段よりも経済的に旅行を楽しめるよう行なわれている公共サービスで、通常、各県の県庁所在地を発着地として行われる団体ツアーの形態がとられている。
ワクチンの浸透により、Covid19の脅威と共存しつつも様々な経済活動が戻りつつある今、昨年12月14日に今シーズンの高齢者用旅行プランの販売が開始となった。
例年、販売開始になるのを待ちわびている高齢者がその申し込みに殺到するのが普通で、販売開始後48時間でほぼ売り切れになるものだったが、未だオミクロン株を中心とした感染拡大第6波の最中にある今シーズンは、販売開始から1カ月たった今でもその25〜50%程度の空きがあり、申込受付が続いているとのこと。
感染拡大が続いていることから、一度申込みをしたものの、その後キャンセルする人が多く、同旅行プランを担うグループの一つであるTurismoSocial(Avoris社とHalcon Viajes社による提携)によると、一旦、予約は73%まで達したが、その後のキャンセルがすでに5%に達しているとのこと。


2022年1月28日(金)

Covid19: 感染状況、4日連続で減少傾向

昨日発表された前日分(26日分)の全国集計では、新規陽性確認数が130.888名で人口10万人あたりの数値が3.139名となり、4日連続で減少傾向が続いた。
しかしながら新規死亡者数は176名と、依然、深刻な状況が続いている。
地方別に見た場合、ほとんど全ての州で感染拡大にブレーキがかかりつつあるが、カタルーニャ、バレンシアの2州だけ、未だに増加傾向にある。
人口10万人当たりの数値が現時点で最も高いのはセウタで5.299名となっており、これにカタルーニャ(5.287名)、ムルシア(4.735名)が続いている。
逆に最も低くなっているのがアンダルシアの1.146名でこれにマドリッド(1.798名)、カナリアス(1.915名)が続ている。
感染拡大が収まりつつあることによって医療施設の負担も徐々に軽減してきているが、Covid19患者によるICUの使用率は今も全国平均22.16%に達している。
特に深刻な状況が続いているのはカタルーニャ(41.3%)、アラゴン(31.58%)、バレアレス(29.91%)、メリージャ(29.41%)、カスティージャ・イ・レオン(25.59%)、マドリッド(25.13%)などの州となっている。

EU諸国内で最も長寿の木、スペインにあり

これまでEU諸国内にある樹木の中ではギリシャにある 松の木がトップの座を占めていたが、この度、バジャドリ大学とフアン・カルロス国王大学等の共同研究の結果、その木よりも更に400年ほど長寿の木がスペイン、カナリア諸島の中のテネリフェ島で確認された。
テネリフェ島にある国立自然公園内にあるカナリアス原産のビャクシン属の一種で、放射線炭素による年代測定によるとその樹齢は1481年に達する。
調査ではその周辺に樹齢1000年以上のものが幾つも確認されたことから、 調査範囲を広めていくことにより、更に古い木が見つかる可能性も高いとのこと。


2022年1月27日(木)

Covid19: モデルナ社ワクチンによる副反応、痺れ

スペインでは3度目の追加接種としてファイザー社ワクチンとモデルナ社ワクチンの2種が使われているが、3度目の接種時に1度目、2度目に受けたワクチンと同種のワクチンを受ける事になるかどうかについての事前情報提供は無く、接種会場へ行くまで把握出来ない。
そう言った中、モデルナ社ワクチンによる副反応と考えられる症状としてスペイン保健省が発表した最新のリストの中に、新しく「痺れ」の症状が追加され、注目を集めている。
スペインでは今年1月9日時点で1度目、2度目、3度目の接種全てを含めて計1400万回分のモデルナ社ワクチンが使用されており、その中で痺れの副反応の報告が158件登録されている。
また、スペイン国内で使用されているファイザー、モデルナ、ジャンセン、アストラ・ゼネカ(すでに使用されていない)など全てのワクチンでは、今年1月9日時点で計80.109.445回分の接種が行なわれていたが、重要と思われる副反応報告は55.455件となっており、10万人あたり69件の割合となっていた。
そして報告された副反応があった人の中で重症となった人の内、375名が1月9日までに死亡に至っている。


2022年1月26日(水)

高齢者、金融機関に「より人間的な扱い」を要求

金融サービスにおけるデジタル化が急速に進む中、スペインでは銀行の支店数が急速に減少している。
2008年にはスペイン全国で45.000件あった支店の内、近年になって25.000件がその姿を消し、その結果として自宅からその徒歩圏内に利用出来る支店が存在しなくなった高齢者も多い。
若い世代は高齢者層に比べてインターネットを通じた各種サービスの理由に慣れているが、高齢者の中にはそれが出来ない人もあれば、インターネットのサービスを契約してもいない人も多い。
これにより高齢者が金融サービスの対象から排除されると言う現象が広がりつつあるが、この状況を改善すべく78歳の男性カルロス・サン・フアン氏は、行政、そして金融界のお目付け役であるスペイン銀行に対し、適正な対応を求めるための署名運動を開始した。
インターネット経由のサービスや、数少なくなった支店に置かれたATMによるサービスだけでなく、そう言ったものを使いこなすのが不可能、または困難である高齢者に対する「対人」での対応、より人間的な扱いを行なってくれるよう要求するための賛同者の署名集めを開始し、すでに38万人のサインを獲得した。
これが国民の声であるとして中央政府、そしてスペイン銀行へ提示したところ、両者から同テーマについての協議への参加の招待が届いた模様。

ビニール袋代より安いオレンジの卸値

去る週末、首都マドリッドにおいて農業従事者等による大規模デモが行われたが、大手スーパーチェーンなどによる圧力もあり、農作物によってはその生産コストを下回る値段でしか出荷出来ないものも多い。
コルドバの柑橘類取引場におけるオレンジ価格の今週の相場は、安い種類のもので1キロ当たり10〜13センティモ、高いもので15〜18センティモとなっており、これらは食品スーパーで1キロ入り、2キロ入りなどの単位で売られる際に包装用に使われるビニール袋にかかる経費10〜50センティモよりも安値となっているとのこと。
オレンジの場合、値崩れの大きな原因としてアフリカから大量に輸入されている激安オレンジの影響が強く、これらの輸入が続く間、大手スーパーはスペイン産のオレンジについても同レベルの卸値を要求することが多い。
このためアンダルシアではアフリカ産オレンジの大量出荷シーズンが終わるまで収獲を行なわず、果実を木に残したままの状態で少しでも卸値が回復するタイミングを待たねばならず、本来であればすでに収獲を終えているべき今の時期に、未だ 全体の25%しか収穫していないと言う状況にあると言う。


2022年1月25日(火)

スペイン、ポルトガルにおける癌死亡者の分布

マドリッドにある国立疫学センターとリスボンにある国立保健研究所による共同研究の結果として、イベリア半島に広がるスペイン、ポルトガル両国における各種癌による死亡者の分布図が作られた。
両国に渡る癌死亡者分布状況の分析が行われるのはこれが初めてのことで、両国間における様々な共通性や違いが浮き彫りとなった。
今回の分析に使用された情報は、2003年から2012年に癌により死亡した84万人の情報である。
地域別の死亡者分布を比較するにあたり、高齢化が進んでいる小村などでは癌発生率そのものが増すことから、住民の年齢層の内訳なども考慮に入れた形で、両国の全地域における死亡者の分布状況が分析された。
この研究による各種癌による死亡者の地域別分布は、次のようになった。

・肺癌
 癌の中でも両国において最も死亡者数が多いのが肺癌だが、両国間では大きな違いが見られた。
 ポルトガルよりもスペインで圧倒的に多く、地域としては エクストレマドゥーラ州、アンダルシア州西部、カスティージャ・ラ・マンチャ州西部に特に集中している。
 両国間で見られる差異の大きな原因としては、成人喫煙率の違いが考えられており、毎日習慣的に喫煙を行なう成人がポルトガルでは11%であるのに対し、スペインでは20%に達している。
 またエクストレマドゥーラ州の成人喫煙率は、スペイン国内でも最高値となっている。

・乳癌
 両国において2番目に死亡者数が多い。
 発症の一般的な要因としては喫煙、飲酒、肥満、更年期における一部のホルモン治療、一部の経口避妊薬、後期出産などが挙げられるが、死亡者はスペイン、ポルトガルの国境に関係なくイベリア半島の南西部に集中している。
 患者の85%が快復するとされるこの癌で、一定地域に死亡者が集中している原因として、医療サービスの全体的レベルの低さ、放射線治療へのアクセスの悪さ、早期発見システムが機能していない、などが考えられる。

・前立腺癌
 圧倒的に男性に多い癌だが、死亡する人の数としては肺癌、乳癌に続いて3番目に多い。
 スペイン、ポルトガルの両国間では死亡者数に大きな差が見られ、ポルトガルに圧倒的な集中が見られる。
 スペイン国内で多いのはポルトガル北部の延長上にあるガリシア州だけで、それもガリシア全土ではなく、ポルトガルと接しているガリシア南部に集中している。
 この一定地域における集中の主な原因として、遺伝的要因が考えれている。

・食道癌
 両国間で同レベルの分布が見られるが、ポルトガル北部からその延長上のガリシア、そしてガリシアから東へスペイン北部を横断してナバーラ州あたりまで集中が見られる。
 性別では男性の方が多く、女性よりも喫煙率、飲酒率が高いこと、野菜や果物の平均摂取量が少ないことなどが原因と考えられる。

・胃癌
 両国間で大きな差があり、ポルトガル国内では3番目に死亡者が多い癌となっている一方、スペインでは7番目に位置している。
 ピロリ菌による感染が大きく影響する癌だが、食習慣として塩漬け製品やスモーク製品の大量消費や、野菜の欠乏なども要因として考えられる。

・大腸癌
 スペインでは最も頻繁に見られる癌だが、死亡者はアンダルシア西部、アストゥリアス、カスティージャ・イ・レオン、バレンシア、エクストレマドゥーラなどに小規模の集中が散在している。
 ポルトガルではリスボン周辺、テイジョ川流域、アレンテージョなどに明らかな集中が見られ、原因としては喫煙率、飲酒率、加工肉製品の大量消費などが考えられている。

・膵臓癌
 両国間での差が見られる癌の一つで、ポルトガルでは少ないがスペイン北部に集中が見られる。
 一般的にその原因として喫煙がよく挙げられるが、喫煙率に男女間の差が見られるのに対し、死亡率では男女間の差が無いため、他の要因の存在が考えられ、慢性膵炎、肥満、糖尿、遺伝性の理由など推測されている。

・咽頭癌
 両国間での共通点が見られる癌の一つで、国境をまたいでイベリア半島の南西部、ポルトガル北部からガリシアにかけて、更にスペインでは北部などにその集中が顕著となっている。
 原因として飲酒、喫煙以外に、アスベストや石油由来の燃焼生成物との接触がある職場が多いことなどが考えられている。

・膀胱癌
 両国間に大きな差があり、ポルトガルでは少ない。
 スペインではエクストレマドゥーラ、アンダルシア西部、バレンシアなどに集中しており、喫煙以外に、一部の工場から排出されるもの、或は岩石などの自然浸食に伴い発生するヒ素の摂取などが原因として考えられる。

・白血病
 ポルトガル中央部とそれに隣接するスペインのエクストレマドゥーラ州、カタルーニャなどに集中が見られる。
 主な原因は白血病の種類にもよるが、急性骨髄性白血病については一般的にその20%が喫煙と関連性があるとされている。
 また、放射線治療や化学療法、職場などでのベンゼンとの継続的な接触なども影響があると考えられる。


2022年1月24日(月)

スペインで最も美しい村リストにプエンテデイが追加

「スペインで最も美しい村」協会が2022年度版として更新した美しい村リストには、計105か所の村名が挙げられているが、今年新たに追加となった村は一つだけで、ブルゴス市から約80キロ離れたところにあるブルゴス県のプエンテデイ村だった。
今回、このリストに加わるべく22の村が立候補したが、厳しい審査を通過出来たのはプエンテデイのみとのこと。
プエンテデイは人口僅か50名ほどの小さな村で、ネラ川にかかる、自然浸食によって出来上がった岩橋の上にある。
歴史建造物としてはロマニコ建築のサン・ペラージョ教会、15〜17世紀建築のロス・プリスエラ宮などがある。

19県に低気温注意報

スペイン各地で寒さが続いており、気象局では本日も引き続き19県に対し低気温に対する注意報を発している。
最低気温がマイナス8度程度まで下がる可能性があるとして、ウエスカ、テルエル、サラゴサ、アビラ、ブルゴス、レオン、パレンシア、サラマンカ、セゴビア、ソリア、バジャドリ、サモーラ、クエンカ、グアダラハラ、バルセロナ、ジロナ、ジェイダ、タラゴナ、オレンセの19県に注意報が出されている。

住居不法占拠増加

スペインにおける住居不法占拠は、増加傾向が続いている。
長期間使用されていない建物全体やバカンスなどで留守宅となっているマンションなどに不法侵入を行ない、そのままそこに住みついてしまうと言う犯罪行為だが、一旦、侵入され、家主がそれに気づかずに一定の期間が過ぎてしまうと、合法的に追い出すのが困難となるため、深刻な社会問題となっている。
スペイン国内でこの住居不法占拠が最も多発しているのはカタルーニャ州で、内務省発表によると、昨年1月から9月までの集計では5689件の報告が記録されている。
首都があるマドリッド州では1282件と、最も深刻化しているカタルーニャと比較すれば少なくなってはいるが、前年度に比べ住居不法占拠件数が全国平均では18%の増加となっているに対し、マドリッド州では24.8%増となっており、傾向としては予断を許さない状況となっている。


2022年1月22日(土)

スペイン、コロナ渦でも臓器移植数世界でトップ

スペインは臓器移植において、その件数で常に世界でトップを競う位置を維持しているが、2020年にCovid19危機が始まると同時に、他の国々と同様にドナーの数が大きく減少した。
2019年には2302名のドナーがあったのに対し、2020年は1777名にまで減ったが、Covid19危機下で医療の逼迫が続く中、2021年には8%の回復を見せ、ドナー数は1905名まで回復した。
これにより2021年には4781件の移植手術が可能となった。
その内訳は腎臓移植(2950件)、肝臓移植(1078件)、肺移植(362件)、心臓移植(302件)、膵臓移植(82件)、腸移植(7件)。
現在、スペインにおけるドナー指数は人口100万人あたり40.2人となっており、EU諸国平均や米国、英国などの2倍、またドイツと比較すると4倍の比率となっている。

また死亡後の臓器提供だけでなく、生存中の提供についても増加しており、2021年には前年度比25%増、323件の腎臓移植が行われた。
2020年にCovid19危機が始まって以来、これに感染中の人、感染後回復して陰性となった人、感染中に死亡した人などからの臓器移植をどのように扱うかについての問題が浮上したが、新規定に基づいた判断により移植可能とされた臓器によって、無事、手術を終えた患者はこれまでに143名に達している。
また、14件の手術がPCR検査で陽性反応を維持しているCovid19感染者からの臓器提供を受けて行われたとのこと。


2022年1月21日(金)

サッカー国王杯、8強決定

先週末から順次行われていたサッカー国王杯の8強決定戦が昨夜の2試合で終了となり、準々決勝へ進む8チームが決定した。
準々決勝戦へ進むのはカディス、マジョルカ、ラジョ・バジェカーノ、バレンシア、ベティス、レアル・ソシエダ、アスレティック・デ・ビルバオ、レアル・マドリッドの8チームで、抽選会は本日の12時半より行われる予定。

スペイン、黒海へ軍艦を派遣

ウクライナのNATO加盟の可能性が発端となり、ロシアとNATO加盟国との間での危機感が頂点に達しつつある中、OTANの一員であるスペインからも、二日前に黒海へ向けて乗組員52名の小型艦が送られているが、更に200名以上を乗せた艦2隻が2,3日中に出動予定であり、また2月には空軍の出動も予定されている模様である。
スペインによるNATO軍への参加は以前より続いており、現在もラトビア内のNATO軍の一部として300名が6年前から駐留している。


2022年1月20日(木)

Covid19: 感染者多数により学校教育に混乱

Covid19の感染拡大第6波がその山場を迎えたとされる今、スペインにおける学校教育は混乱状態にある。
先週水曜日に1日の新規陽性確認数がこれまでの最多数175.000人に達したが、先週金曜日時点でスペイン全国の学童・学生820万人(大学生を除く)の内、102.000人が、そして教職員についても全体の4%にあたる24.000人が隔離中となっていた。
クリスマスを含む冬休みが終わったあとの新学期開始に向けて政府が定めた新しい規定では、学校における1クラスの中で5名以上、またはクラス全体の20%以上が陽性となった場合にのみ、クラス全体が閉鎖となり自宅からのオン・ライン授業となるが、同基準に達しない場合、教師は学校での通常授業を行ないつつ、同時に自宅からオン・ラインで参加する隔離中の学童数人への対応も行なわねばならず、教師の負担が増大している。
また、教職員が感染した場合、代行の教師を用意するのに時間がかかり過ぎることによって、その間の授業が行なえていないと言う例も多々見られ、学校教育に大きな乱れが生じている。
尚、今回の感染拡大第6波は先週末以降、感染拡大の勢いが弱まって来ており、そのピークを越えたとする見方が強まりつつあるが、昨日発表の過去24時間における新規陽性確認数は157.941名、そして新規死亡者が160名と深刻な状況が続いている。

各地で寒波による注意報発令

スペインを覆っている寒波による影響は今日も続いており、気象局では各地に気温低下や積雪に関する注意報を発令している。
気温の低下について注意喚起がなされているのはウエスカ、サラゴサ、テルエル、セゴビア、ソリア、サモーラ、アルバセテ、クエンカ、グアダラハラ、シウダ・レアル、ムルシア、バルセロナ、ヘロナ、レリダ、バレンシア、アリカンテなどで−4度から−8度まで下がる予想となっている。
またレリダでは、標高700〜800m以上の地域で24時間に5センチ程度の積雪が予想されるとのこと。


2022年1月19日(水)

Covid19:大臣2名が感染

昨日、中央政府の閣僚会議が行われたあと、これに出席していた2名の大臣の感染が確認された。
感染したのはディアナ・モラント科学・革新大臣とジョランダ・ディアス労働大臣で共に症状は軽く、自宅で業務を続けるとのこと。
現在、首都マドリッド市があるマドリッド州では他州に比べて感染拡大が特に悪化はしていないものの、子供達の冬休みが終わり新学期が始まって僅か10日が過ぎた現時点で、すでに隔離中の学童が3万人、感染して療養中の教師が2800名に達している。

Covid19: カタルーニャ、感染拡大続く

昨日のカタルーニャ州行政発表によると、同州におけるCovid19感染拡大には未だ衰えは見られず、過去1週間における新規陽性確認数合計は203.000名と、これまでの最多記録更新となった。
また、同じく過去1週間におけるCovid19による死亡者数は、1日平均32名に達しているとのこと。
医療の逼迫も深刻化しており、同州におけるCovid19による入院者数は前日よりも55名増の2.672名に達しており、その内の529名(前日より7名増)が重症でICUでの治療を受けているとのこと。


2022年1月18日(火)

スペインの人口、2016年以降初めての減少

国家統計局がまとめた2020年の人口推移(2021年1月のデータ)によると、2020年におけるスペインの人口は65.688名の減少となり、47.385.107名であった。
人口が減ったのは2016年以降、初めてのことである。
今回の減少率は0.14%で、10州以上、32県で減少が見られた。
人口減の大きな要因として出生数の減少が挙げられるが、前年度と比べて出生届の数が71.000件減少した。
全人口の内、スペイン国籍を有するものが41.944.959名と全体の88.5%を占めており、残り11.5%にあたる5.440.148名が外国籍在住者である。
これらの集計はスペイン国内で住民登録をしている居住者の人口であり、海外で生活するスペイン人は含まれていない。

2021年度、不動産価格1.74%の高騰

不動産業大手Fotocasaが毎年公開する不動産価格年間報告によると、2021年度には17州の内、11州で高騰が見られ、スペイン全国平均としては1.7%の値上がりとなったとのこと。
高騰率が最も大きかったのはラ・リオハの+5.4%で、これにアンダルシア(+3.9%)、バレアレス(+3.4%)、アラゴン(+3.3%)などが続いた。
また、アンダルシア、バレアレス、マドリッドの3州では6年連続での高騰となった。
スペイン国内で最も不動産価格が高くなっているのは2018年以降4年連続でマドリッド州であり、昨年まで第3位にあったバレアレスが今回初めてバスク州を抜いて第2位となった。
不動産価格が最も高いマドリッド州における平均価格は1平米あたり3.123ユーロとなっており、第2位のバレアレスでは2.890ユーロ、そしてこれにバスク(2.882ユーロ)、カタルーニャ(2.544ユーロ)が続く。
また、2021年度のスペイン全国平均は、1平米あたり1.907ユーロであった。


2022年1月17日(月)

Covid19: 感染拡大第6波、峠を越えるか

昨年の1月16日〜17日にかけて、スペイン政府は感染拡大第3波がその山を越えたとの見解を発表したが、あれからちょうど1年経つ今、同様のことが第6波について生じつつある。
まだこれについての正式な見解は発表されていないが、先週より人口10万人あたりの陽性確認数の増え方にブレーキがかかり始めており、感染拡大が続いてはいるが、その速度が弱まったのが事実とのこと。
専門家らは、今から2、3週間程度で感染拡大速度に著しい低下が見られると予測している。

Covid19: ワクチン追加接種、伸び悩み

スペインにおける対Covid19ワクチン接種率は世界的に高く、WHOからも模範国とされていたが、それは2度目の接種までのことで、追加接種となる3度目についてはその普及速度は遅く、EU諸国内でも最後尾に近い所に位置している。
追加接種を完了した人の割合は未だ僅か13.3%となっており、ヨーロッパ諸国でスペインより更に少ないのは、それぞれ6.5%にしか達していないブルガリアとルーマニアだけで、それ以外の国は、2度目までの接種率がスペインより少ないにも関わらず、3度目の接種はより進んでいる。
尚、近隣諸国における3度目ワクチンの接種率はフランス(45.3%)、ドイツ(43%)、オランダ(41.4%)、ベルギー(47%)、オーストリア(47.8%)、イタリア(32.2%)、ポルトガル(36.2%)、ギリシア(38.5%)、マルタ(54.2%)などとなっている。

サッカー: スーペルコパ・デ・エスパーニャ、レアル・マドリッドが優勝

サウジ・アラビアで行われたスペインサッカー“スーペルコパ”は、昨シーズンにおけるリーグ戦の上位2チームと国王杯における上位2チームの計4チームによって競われたが、昨夜の決勝戦はATマドリッドを下したATHビルバオ、バルサを下したレアル・マドリッドの両チームによって行なわれた。
結果はルカ・モドリッチによるゴール、カリム・ベンゼマが蹴ったペナルティーによる2得点と、ティボ・クルトゥワによるPKセーブなどにより、0-2でレアル・マドリッドの優勝となった。
これによりしばらく低迷続きだったレアル・マドリッドは、1年半ぶりのタイトル獲得となった。
尚、現在行われているリーグ戦ではレアル・マドリッドが単独トップの位置を維持しており、21試合終了時点で49ポイント、これに20試合終了時点で44ポイントのセビージャが続いており、ATマドリッドは20試合終了33ポイントで4位、バルサは20試合終了32ポイントで6位、ATHビルバオは21試合終了28ポイントで9位となっている。


2022年1月15日(土)

2021年、スペイン人の購買力が大きく低下

2021年は前年度に比べ、物価が平均3.1%の高騰を見せたが、同年におけるサラリーマンの給与上昇率は1.5%にとどまり、その差、1.6%がスペイン人の購買力の大幅な低下に繋がった。
特に影響を受けたのが低所得の若い年齢層とされる。
物価上昇率と所得増加率との間に見られる1.6%の差を平均所得(2019年度の平均年収:24.395,98ユーロ)に照らし合わせてみると、その影響は年間390ユーロと、400ユーロ近くに達しており、2020年度はインフレにより、約400ユーロの購買力を失うに至ったことになるとのこと。
これだけの急激な購買力低下は、2003年に現行のインフレ率の計算法が使用され始めて以来初めてのことである。

週末は全国的な冷え込み

スペイン気象局ではこの週末に向け、全国的な冷え込みが予測されるとして警戒を呼び掛けている。
北部山岳部以外に、カスティージャ・イ・レオン州、カスティージャ・ラ・マンチャ州、カタルーニャ州、ラ・リオハ州、バレンシア州内陸部などでも最低気温がマイナス6度程度まで下がる見込みで、特に深夜から明け方にかけて注意報が出されている。
また、バレアレス諸島、ナバーラ、バスクなどでも急激な気温低下が予想されるとして、同じく注意報が出されている。
気象局では長期予報として今月後半は寒さが続くとしているが、乾いた寒さとなり、雨や雪は少ないとしている。


2022年1月14日(金)

2021年度インフレ率6.5%

2021年度のインフレは予想値より0.2%低い6.5%に落ち着いた。
国家統計局の本日の発表によると、2021年12月末時点での消費者物価指数は前月末よりも1.2%プラス、そして前年度同時期比較では6.5%プラスとなった。
物価上昇の大きな要因として電力費の異常な高騰、食糧品、ホテル代、外食産業などの値上がりが挙げられる。
年間比較で6.5%の上昇と言うのは、過去29年における最高値である。

Covid19: ワクチン追加接種による副反応

昨日発表時点で、スペインではワクチンの追加接種を終えた人が16.448.649名に達している。
追加接種には、それ以前に受けたワクチンの種類に関わりなく全国共通でファイザー社、またはモデルナ社のワクチンが使用されており、1度目、2度目の接種時の1/2量が投与されている。
追加接種の適用時期は、これまでは2度目の接種を終えてから6カ月が経過した後とされていたが、これを1カ月早めて5カ月後以降から可能となった。
追加接種を受けたあと、これまでに報告されている主な副反応は次のとおりだが、いずれの症状も接種後2〜3日で回復することが多い。

ファイザー社ワクチンの場合:
* 接種患部付近の腫れや痛み
* 疲労感
* 頭痛
* 筋肉痛
* 関節痛
* 発熱
* 悪寒
* 不快感
* 吐き気

モデルナ社ワクチンの場合:
* 発熱
* 頭痛
* 筋肉痛
* 接種患部付近の痛み
* 不快感
* 悪寒
* 疲労感
* 吐き気
* 関節痛
* 無気力、衰弱感
* 下痢


2022年1月13日(木)

クリスマス休暇とCovid19感染拡大の影響で血液が不足

スペインでは、クリスマス休暇が終わったあと輸血用血液の蓄えが大きく減少するのは毎年見られる現象だが、今回はこの時期に合わせてCovid19の感染拡大第6波があり、これに拍車をかけることとなった。
スペイン全国の病院で保管されている血液量が激減しており、その充足が緊急課題となっている。
アンダルシアでは、血液のタイプに関わらず全ての血液型についての提供を市民に呼び掛けている。
マドリッドでもその蓄えが保管可能となっている量の50%を下回っており、特にO−、A−、B−、O+、A+の残量が緊急事態レベルに達しているとして、市民への協力を求めている。
血液を提供出来るのは18〜65歳の年令層で、体重が50キロ以上ある人とされている。


2022年1月12日(水)

Covid19: 一日の死亡者数247名

昨日発表のCovid19感染拡大状況全国集計によると、前日、月曜日の新規陽性確認数は134.942名となり、人口10万人当たりの数値はCovid19危機が始まって以来、初めて3000名ラインを突破し3042名となった。
また、同じく月曜日の死亡者数として247名が報告された。
過去2週間における人口10万人あたりの数値は州によって大きな差が見られるが、最も悪化しているのがナバーラ(7253名)、バスク(6425名)、アラゴン(5799名)、レオン(4392名)などとなっている。
Covid19重症者による全国の病院のICU使用率は、23.5%と高い数値を維持している。


2022年1月11日(火)

25歳以下の失業率、13年ぶりに30%を切る

昨日のユーロ統計局発表によると、スペインにおける若者層(25歳以下)の失業率が、昨年11月時点の統計で13年ぶりに30%を下回った。
世界規模で影響が見られた経済危機により、2008年頃からスペインの若者層における失業率は24.5%程度から悪化の一途をたどり、2013年にはそのピークを迎え、その半数以上となる55.5%にまで達した。
その後は徐々に回復してきていたが、Covid19の影響により、2020年には再び38.3%にまで悪化していた。
2021年になって再び回復に向かい、同年11月は29.2%と、13年ぶりに30%を切り、失業者数が2020年同月と比べて581.000人から493.000人へと、約10万人減少したものの、同年齢層における失業率のEU諸国平均は15.5%であり、スペインより更に高い失業率となっているのはギリシア(39.1%)のみである。
ギリシア、スペインを筆頭として、同様にEU平均値を上回っている国々はイタリア(28%)、スウェーデン(24.6%)、ポルトガル(22.4%)、スロバキア(19.5%)、フランス(17.8%)、フィンランド(17.3%)、ブルガリア(15.6%)などとなっている。

Covid19: オミクロンの感染が最大で90%以上に

昨夜発表された中央政府のCovid19感染拡大状況全国集計によると、先週末分として新規陽性確認数は292.394名が、そして新規死亡者数は202名が登録された。
これまでのスペインにおけるCovid19による死亡者数合計は、政府発表の公式記録だけでも9万人を超えている。
また、感染拡大状況の一つの指標とされている人口10万人あたりの数値も悪化を続けており、昨日発表時点で全国平均は2989.47名と3000名台が目前に迫った。
最も悪化している州はナバーラとアラゴンで、人口10万人あたりの数値が共に7000名に達しており、これにバスク(6000名)が続いている。
現在、Covid19により入院している人の数はスペイン全体で16.496名で、その内、2056名がICUでの治療を受けている。
また、Covid19患者による病床使用率全国平均は13.4%、ICU使用率は23.58%に達している。
感染拡大に直接大きな影響を与えているのがオミクロン株であり、13州からの報告によると、12月27日から1月2日までに確認された感染者の内、オミクロンによる感染であると確認された例が全体の48.7%〜90.9%と、州によっては90%を越えているところもあったとのこと。
その前の週ではこの比率が22%〜79.4%だったことからも、オミクロン株の浸透が急速に進んでいる事が判る。


2022年1月10日(月)

Covid19蔓延の中、新学期始まる

1月6日、東方三賢人の祝日でクリスマスの祭事が終了し、その後に続いた週末が明けたところで子供達の冬休みが終わり、本日より学校教育の新学期開始となる。
クリスマス休暇中にオミクロン株を中心としたCovid19の感染が爆発的に拡大した結果、子供達の登校はCovid19が蔓延する中での再開となる。
授業開始直前の週末の新規感染確認数についての正確な数字の発表はまだ無いが、幾つかの州行政からすでに出されている報告だけで、その総数は12万人以上に達している。
スペインにおける5歳〜11歳児を対象としたワクチン接種は12月15日より開始されているが、現時点で少なくとも1度目の接種を終えている子供は1.076.522名で全体の32.1%となっており、未だ3.349.276名が未接種状態での登校再開となる。

自動車業界、2022年も10万人以上を仮解雇

経済活動を完全復旧出来ない状態が長引く中、スペイン国内に17か所ある自動車工場で働く人々の生活も大きな不安に包まれている。
今年2022年には、すでにこれら工場で働く人々の内、約23.000人を対象とした仮解雇を行なう事が決定しており、これによる生産量減少による影響で、その関連業界における仮解雇の対象となる人々が多数出る事から、計10万人以上の人々が一時的に仕事を失うこととなる。
仮解雇制度は、Covid19危機により通常の経済活動が維持できなくなったことにより大規模な解雇が生じるのを防ぐために政府が打ち出したもので、一定期間の仮解雇期間を設け、その後、経済活動が復旧していればその対象となって出社していなかった社員等が元の職場に戻れると言うものだが、実際にはその後、職場復帰出来ないと言う例も多発している。


2022年1月7日(金)

スペイン、肉の輸出額は世界で5番目

地球の自然環境保護の観点から、近年、しばしば取り沙汰されている大規模畜産業だが、スペインも世界で大量の食用肉を輸出している国の一つであり、その総額は2020年には85億4100万ユーロ、2021年も70億ユーロ以上に達し、世界で5番目の肉輸出大国となっている。
2020年のデータでは世界各国が輸入した全食用肉の内、その7.1%がスペイン産のものだった。
スペインが海外へ送り出す肉の大半は冷蔵、または冷凍された豚肉で、同年、全体の62.6%を豚肉が占めた。
おもな輸出国は中国で総輸出量の37.1%を占めており、これにフランス(11.5%)、ポルトガル(7.7%)、イタリア(6.9%)、日本(5.4%)が続いた。
また、豚肉の中でも特に生ハムに加工された形での輸出については、その主要販売先となった国はフランス(輸出総額1790万ユーロ)、ドイツ(1420万ユーロ)、ポルトガル(1350万ユーロ)、アメリカ合衆国(1240万ユーロ)だった。

銀行の支店数、2008年時の半数以下に

金融関連サービスのデジタル化が進む中、スペインでは銀行の支店が次々に姿を消しつつある。
2021年9月時点で 全銀行の総支店数は20.421件となり、前年度同時期と比べると2.488軒少なく、1年間で10.86%の減少となった。
また、これまで支店数がそのピークに達していた2008年の9月と比べると、その減少率は55.72%に達しており、当時の半分以下になったことが判る。
この変化に伴い、スペイン国内では現金の出し入れを行なえない地方が増えており、2020年末時点ですでに、居住地の半径5キロ以内の地域で現金の出し入れが出来ない人の人口が120万人に達していた。
これが最も表面化しているのがカスティージャ・イ・レオン州で、サモーラ県では県民の27.8%が、アビラでは21%が、セゴビアでは19.9%が、サラマンカでは18.7%が、パレンシアでは18.2%がこの問題に直面している。


2022年1月6日(木) 主の御顕現の全国祝日です


2022年1月5日(水)

前国王フアン・カルロス1世、国外で2度目の誕生日

スペインの前国王フアン・カルロス1世は、本日、84歳の誕生日を迎えるが、2年連続で国外で祝うこととなる。
前国王は2020年8月以降、アブダビに滞在を続けており、その間、一度もスペイン国内へは足を踏み入れていない。
スペイン王室も中央政府も前国王のスペイン帰還の可能性やその時期についてはコメントを避けているが、最高裁で扱われている3件についての一定の解決が見られるまで、前国王の帰国の可能性は少ないと思われる。
現時点で最高裁検察は、サウジアラビアにおけるスペインの高速列車AVE導入時にあったと思われる収賄疑惑、メキシコの企業家アレン・サンギネス・クラウセ氏より受け取ったとされる寄付金疑惑、ジャージーでの資金運用疑惑などの3件について調査を続けている。

2022年、不動産価格は4%高騰の見通し

スペインにおける不動産業では昨年、2008年以来の活発な動きが見られた。
2021年にスペイン全国で交わされた不動産売買契約数は53万件に達しており、査定会社TINSAによると、その売買価格も全国平均4.3%の上昇が見られたとのこと。
高騰レベルには地方による格差が大きく見られ、最も大きな値上がりとなったのがビルバオで13.7%増に達し、これにマラガ(9.8%)、セビージャ(6.2%)、マドリッド(5.8%)などが続いた。
逆に値上がり幅が少なかったのがサラゴサ(0.9%)、バルセロナ(2.9%)、バレンシア(4.2%)などであった。
今年の傾向としては不動産価格は高騰を続け、更に平均4%程度の値上がりとなるとの見方が強いが、逆に賃貸価格は4%程度の値下がりになると予測されている。


2022年1月4日(火)

Covid19: 冬休み明けの授業は通常登校で

政府は、昨年末30日から1月2日までの新型コロナ感染拡大状況全国集計として、新規陽性確認数372.766名、新規死亡者数168名との報告を行なった。
年越しを挟んだこの間のデータは正確さに欠け、集計に反映されていないものも多い可能性が高く、実際にはこれよりも更に深刻な状況となっていることが予測される。
カトリック教国スペインでは、このあと1月6日の東方三賢人の祝日、そしてその後の週末を持ってクリスマス、そして子供達の冬休みが終わりとなり、1月10日より学校教育での新学期が始まるが、この時期に重なる形で、スペインにおけるCovid19の感染拡大状況はこれまでに例を見ないほど悪化している。
そう言った中で、学校教育を再びリモート形式で行なうのか、或は通常登校の形で行なうのかと言ったことが問題となっており、本日予定されている中央政府と各州行政との保健会議でこの課題についての討議が行われるが、ほとんど全ての州 から通常登校続行案が提出される見通しとなっている。

Covid19: 新型コロナ患者によるICU使用率21.18%に

オミクロン株の感染拡大により、スペインではICUの使用率が全国平均21.18%に達すると言う深刻な状況で新年を迎えることとなった。
これまで、感染拡大第5波の影響で昨年8月に21.68%に達したのが最悪の記録となっていたが、今回の第6波では間もなくこの記録を更新しようとしている。
21.18%と言うのは全国平均値をとった場合だが、州によってのばらつきが大きく、最も事態が悪化しているのはカタルーニャで40.26%と言う異常事態にまで達しており、これにバスク(30.79%)、カスティージャ・イ・レオン(28.14%)、バレンシア(25.78%)、アラゴン(25.11%)などが続いている。
逆に使用率が最も低いのはガリシアとエクストレマドゥーラで、それぞれ6.5%、6.74%にとどまっている。

2021年の新雇用776.478名

2021年の12カ月間に国の年金・健康保険制度に加入した人(一時停止後の再開を含む)の総数は776.478名となり、新型コロナによる大打撃を受けた前年度と比べて4.1%の雇用増となった。
この成長率は2005年以来の記録となる。
また同制度に登録された失業者数は前年度末より782.232名減の3.105.905名となり、2007年以来の低い数字となった。
スペイン経済は新型コロナの影響による経済危機から徐々に回復しつつあるが、これらの数字には今回のパンデミックによる経済救済政策の一環としてとられている一時的な仮休職制度や、自営業者等を対象とした経済活動停止による救済措置を受けている人々の数は含まれていない。
通常の経済活動を再開出来ずにいる企業の社員で仮休職制度の適用を受け、事実上、仕事に復帰できていない人の数は124.000人に達しており、また、新型コロナの影響で経済活動の再開が未だ不可能となっている業種に就く自営業者の数も、先月20日現在のデータでは108.178名に上っている。


2022年1月3日(月)

ペットが法的に家族の一員に

ペットを飼う人々にとっては、その存在が家族の一員であることは言うまでもないが、スペインでは今週水曜日より、ペットの権利が法的に保障されることとなる。
この新法は、民法や抵当権法など3つの法律の一部を改正したもので、先月2日に下院議会で可決された。
ペットはこれまで所有物とされてきたが、新法により感情を持った生き物として扱われる。
虐待や遺棄に対する罰則の強化はもちろんのこと、離婚や別居などで家族が離散した場合の養育権や養育費の支払い、共同養育権なども適用対象となる。
また養育権で争いが生じた場合は、飼い主の事情だけでなく、そのペットにとって最も良い環境についても考慮される。

マドリッド州、年明けから早朝までの緊急通報28%増

マドリッド州によると、年が明けた午前零時から同9時までに緊急電話番号112への通報は、夜間外出制限があった昨年のこの時間帯より28%増加した。
112が受けた通報は全部で2234件で、このうち143件が喧嘩や暴力事件で昨年比54%増加したほか、火災が75件、急性アルコール中毒が156件、交通事故が44件、その他21件となっているが、いずれも大事には至らず、比較的静かな年明けとなった。
一方、マドリッド市内では、大晦日の午後10時から元旦の午前8時までの数値が発表されており、 こちらは救急・消防・警察の出動率がコロナ以前の平年並みであったと言う。

カタルーニャで国内初のフルロナ確認

カタルーニャ州政府の保健担当官は本日会見を行い、州内で国内初となるフルロナ感染者が複数確認されたと発表した。
フルロナは、インフルエンザとコロナウィルスに同時感染する症例で、イスラエルなどでも確認されている。
同担当官によると、感染者はいずれも軽症であるという。


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